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市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【一太県政】2024年度移住先ランキングで初の全国トップにはしゃぎまくる知事の知らない現場の実態

2025-02-26 11:56:25 | 県内の税金無駄使い実態


■東京・有楽町で移住の支援相談を行う認定NPO法人「ふるさと回帰支援センター」は毎年この時期に、移住の希望地ランキングを発表しています。このNPO法人が今年2月25日に、群馬県が4年連続で1位だった静岡県を抜き、初めて1位となったと発表しました。この情報に、我らが群馬県の一太知事は狂喜乱舞。さっそく同日に記者会見を開きました。内容詳細は末尾記事をご覧ください。

 一太知事といえば、民間会社の㈱ブランド総合研究所が行っている魅力度調査で、毎年10月に結果を公表していますが、「群馬県が毎年下位に低迷(2023年は44位、2024年は41位)しているのはけしからん!」として、かつては県知事が「法的措置をとる」などと抗議したうえ、県が独自の検証結果をまとめたこともあります。

 たかが民間会社の評価基準不明のランキング調査結果に一喜一憂するのもいかがかと思いますが、今回はNPO法人の、これまたどういう調査方法なのか、客観的かどうかも分からない結果に対して、「喜びを爆発」させている知事を見ていると、情緒不安定ではないかと心配になります。

■この移住希望地ランキングの話題について、昨年11月26日の上毛新聞1面に「本県移住が過去最多」という記事が出ました。

**********上毛新聞2024年11月26日
本県移住が過去最多 コロナ過で関心高まる
23年度1479人 相談は初の1万件超え

 2023年度の本件への移住者は前年度比11・7%増の1479人で、過去最多を更新したことが県のまとめで明らかになった。総務省のまとめによると、本件への移住相談件数も45・9%増の1万1622件で、15年度の集計開始以降で初めて1万件を超えた。県は相談体制の拡充に加え、新型コロナウイルス禍を経て全国的に地方移住への関心が高まる中、23年5月に新型コロナが5類に移行して関連イベントの開催や参加がしやすくなったことが背景とみている。
 県ぐんま暮らし・外国人活躍推進課によると、本件への移住者数は20年度1075人、21年度1314人、22年度1324人と推移していた。県は23年度、4月に東京交通会館(東京)内の相談ブースを広げ、6月に移住担当の相談員を1人増員した。移住セミナーを「全国トップクラス」(同課)の63回実施したことも奏功したとする。
 転職を必要としないテレワーク環境や子育て環境の充実を求める層からの関心が高い。夏場の涼しさや災害の少なさを求める人からも相談が寄せられているという。同課は「東京に近い高崎や前橋、東毛地域に涼しい北毛地域など、まんべんなく希望地が広がっている」と説明する。
 23年度の相談件数は各自治体の窓口やイベントで受け付けたものが集計対象。本件は交通会館と都道府県会館(東京)、県庁の窓口に6436件(前年度比1810件増)、イベントに5186件(1844件増)が寄せられた。全体の相談件数はコロナ禍で減った20年度を除いて年々増えている。
 全国の相談件数は3万8103件増の40万8435件。総務省の担当者は「コロナの5類移行で人が動きやすくなった。自治体がイベントを打ち出しやすくなり相談も伸びている」とする。都道府県別では宮城県2万2548件、長野県2万586件、福島県1万8603件のじゅんにおおかった。
 人口問題に詳しい高崎経済大地域政策学部の佐藤基人教授は、今後は1ヶ所の拠点にこだわらない柔軟なライフスタイルがさらに広がると指摘。移住をさらに呼び込むために「関連する情報をいかに効果的に伝えられるかが課題」とした。
(赤尾颯太)
**********

 上毛新聞は、一太県政のスポークスマン同然ですので、県の発表を鵜呑みにしてしまい、しっかり取材していないため、仕方がないかもしれませんが、そもそも、この移住者の数は、市町村ごとの基準が全く違うので、いい加減な数字であることをまず認識しておかねばなりません。

 当会が独自に入手した「市町村ごとの移住者数 報告まとめ(H29~R4)」(【取扱注意】R5.9.1現在)、によれば、窓口で適当にカウントする市町村が殆どのため、市町村ごとの内訳は表に出せないマル秘データ扱いになっています。



 この一覧表には多数の疑問符の付く箇所がありますが、極端なところでは、令和3年度をみると、みどり市が移住者数272人(94組)で県内トップですが、前橋市(29組72人)や高崎市(36組81人)の何倍もみどり市に移住者がいた、とするデータを一体誰が信じるでしょうか。水増しでもなんでも、一人でも多くの移住者をカウントしたい一心の一太知事だけは信じるのでしょうけど。

■こうして、判断基準のあいまいな信憑性の乏しい統計記録でも、「結果が良ければ全て良し」がまかり通る一太県政ですから、移住希望先ランキングも推して知るべしです。

 当会では、昨年11月の上毛新聞記事に不信感を抱き、同12月16日付で、一太知事に公文書開示請求を行いました。

*****12/16公文書開示請求*****
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 令和6年11月26日付上毛新聞一面記事は「本件移住が過去最多 相談は初の1万件超え」と題し「総務省のまとめによると、本件への移住相談件数も45・9%増の1万1622件で、15年度の集計会議以降で初めて1万件を超えた」などと報じている。ついては、この記事に関する次の情報。
(1)23年度の相談件数6436件の内訳(それぞれ交通会館、都道府県会館、県庁窓口ごと)
(2)23年度に実施したイベントで相談を受付けた件数5186件の内訳(それぞれのイベントごとの件数。また相談を受け付けた際に用いた冊子やアンケート用紙、配布した宣伝グッズの内容と個数などを含む)
(3)同じく、24年度でこれまでに相談受付を実施したイベントとそれぞれのイベントごとの相談受付件数)
(4)今後、24年度で相談を受け付ける予定のイベント名と開催場所
**********

 その結果、2025年1月6日に県庁で群馬くらし・外国人活躍推進課移住促進係の金谷係長と大塚主事から情報開示資料を受領しました。

 担当部署のお二方からは、上記の上毛新聞記事にある「移住相談件数1万1622件」の調査実態についての具体的な説明はいただけませんでしたが、群馬県ではランキングを上位に持っていくために、姑息なやり方をしていることが容易に想像できます。

 当会が想定するその姑息な方法とは、ランキングのカラクリを利用して、ちょっとした行事や道の駅のイベントなどに群馬県の職員を送り込み、移住に全然関心がない人でも構わずに声を掛け、ともかくアンケートに記入してもらうことです。


令和5年度 県主催・出展移住相談会・会議等 実績

 その手法たるや、アンケート用紙を示して次の声がけをするのが定番です。

「アンケート書いてくれたら、ぐんまちゃんあげますよ」

 このように甘い言葉で誘うため、子ども連れの親には効果てきめんです。保護者としては、移住に関心がなくても、子どもの喜ぶ様子を脳裏に描きつつ、半ば、無理矢理にアンケートに記入させられるわけです。

 これまた、県職員に号令をかけて、組織ぐるみで投票し続け、ようやく2014年のゆるキャラグランプリでぐんまちゃんが100万2505票を獲得し、念願の1位を獲得した時のノウハウを十二分に発揮した賜物と言えるでしょう。

 つまり、ぐんまちゃんグッズにつられてアンケートを求められたかたがたの中には群馬在住なのに、都内在住と書いてしまう人まで現れる始末です。

 もちろん、アンケートに記入した全員がそうだというわけではありません。しかし、本心でなく、嘘で記入してもらったアンケートをもとに、政策を評価しても、なんの役にも立たないどころか、むしろ悪影響です。

■前述の通り、一太知事は、魅力度ランキングの正確性にさんざん文句を言っていますが、裏を返せば、「正確性」とは真逆の、こんなことまでしているのです。これでは、エビデンス(証拠・根拠)もへったくれもありません。

 一太知事のこうした性格や体質に、忖度を余儀なくされているとはいえ、翻弄される県の関係部署の皆さんもたまったものではありません。休日・祝祭日返上で、県内外のイベントに参加し、ぐんまちゃんグッヅを餌に、県内在住者かどうか確認することもなく、子ども連れと見るや手当たり次第にアンケートを配らなくてはいけないからです。


令和6年3月5日付 令和5年度 業績職員等表彰について


(別添)令和5年度業績職員等表彰 受賞一覧

 一太知事は、さすがにそうした苦労を掛けた担当職員らが所属する地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課を昨年3月5日付で表彰リストに載せましたが、今年は念願のトップになったということで、今年も同課は表彰の対象となり、一太知事とのトークセッションに駆り出されることでしょう。担当部署職員の皆さんの本音が聞きたいところです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


※参考記事
**********FNNプライムオンライン2025年2月27日06:13
移住希望地人気No1に「群馬県」が初選出!地震“少なく”土地“安い”「新しい家がどんどん建ち、教室足りない」知事も喜び爆発

【急増】知事も喜び爆発!移住希望地初の全国1位「群馬県」少ない地震・物価安・利便性高く“住みやすい街”に
 移住の希望地ランキングが発表され、群馬県が初めて全国で1位となった。その群馬県の中でも注目されている街はどこなのか、取材した。
★群馬県知事も喜び爆発★
 東京・有楽町で移住の支援相談を行う「ふるさと回帰支援センター」。
 このNPO法人が25日に発表した移住の希望地ランキングで、群馬県が4年連続で1位だった静岡県を抜き、初めて1位となった。
 ふるさと回帰支援センター・ぐんま暮らし相談員の藤田正治さんは「10年前に相談員だった頃は、本当に東京またはその近辺の方がほとんどで。最近は全国から北海道から沖縄からも相談が群馬県に来る。最近の傾向は30〜40代で子育てを自然の中で行いたいという方が増えている」と話す。
 移住の促進に力を入れてきたという知事も、この快挙に喜びを爆発させている。
●群馬・山本一太知事:この度、2024年の移住希望地ランキングが公表され、群馬県が全国1位となりました。ついに念願を果たすことができました。知事としてこんなに嬉しいことはありません。
 なぜ群馬県が移住希望先のトップに立ったのか。イット!は群馬で注目を集めている街を取材した。
 向かったのは、県のほぼ真ん中に位置する吉岡町。人口増加率は県内トップで、将来的には“群馬県で唯一人口が増加する自治体”になると予測されている。
 吉岡町の人も「新しい家がどんどん建っていて、(学校の)教室が足りなくなっちゃって。地震もないし水害もない。安心して住める場所なので移住される方が多いんじゃないかなと思う」と、移住者の増加を実感していた。
 群馬県は地震が少ないのも特徴の一つ。過去100年間に起きた震度4以上の地震は77回で、東京のわずか7分の1ほどにとどまっている。
 そうした安心感に加え、町の人からは土地が安く、利便性も高いというアピールポイントも挙げられた。
●吉岡町民:土地を選ぶとき、前橋か吉岡かと思ったときに、前橋より吉岡の方が地価が安いし。何しろいっぱいあるんですよ、温泉が。
 土地だけでなく、群馬県の物価は全国でも3番目の安さで、関東ではダントツで一番だ。
 特に吉岡町は、県庁所在地の前橋市に隣接するベッドタウンでありながら、伊香保や草津、万座といった全国有数の温泉地にも行きやすい位置関係にある。
★季節ごとにアウトドアスポーツも満喫「子供も楽しんでくれている」★
 実際に群馬県に移住をしてきた人は、どのような生活を送っているのか。
 イット!が訪ねたのは、2024年1月に東京からみなかみ町へと移り住んだ毛利英人さん(38)ご夫婦。
●毛利さん:そのまま東京にいるっていう選択肢はなかったね。
●奥さん:そうね。そうね。
 3人目の子どもが生まれるタイミングでみなかみ町に移住してきたといい、会社の理解もあり、同じシステムエンジニアの仕事をリモートワークで続けながら、週に2回ほど都内に通う生活だという。
 みなかみ町といえば関東有数の豪雪地帯というイメージがあるが、場所によってはそうでもないという。
●毛利さん:この辺りはそんなに多くなくて、雪かきをしても年に3回とか4回とかそれくらいのなので、移住してきた者としてはまだ楽しめる範囲じゃないかなと思います。
 また、実際に移住するとなると、地域の社会にうまく溶け込めるかという点も気になるところだが、その辺りはどうだったのだろうか。
●毛利さん:今回移住する前にみなかみ町の移住コーディネーターさんがついてくださって、少し間を取ってくれる方がいたので、すごくスムーズに挨拶もできて。周りの方も良い方ばかりで。子供らも楽しんでくれているなというふうには思います。
 夏はカヌー、冬はスキーなど、季節ごとにアウトドアスポーツも満喫するようになり、自然豊かな環境を家族で楽しめているという。
(「イット!」2月26日放送より)

**********上毛新聞住宅情報サイト「すみかくらぶ」2025年02月26日
【2024年】移住希望地ランキング、群馬県が初の全国1位!子育て世代に人気の理由とは?

★群馬県が初の全国1位!子育て世代に人気の理由とは?★
 子育て世代の移住先として群馬県が全国トップに!認定NPO法人ふるさと回帰支援センターは、2024年の都道府県別の移住希望地ランキングを発表しました。群馬県が初めて1位を獲得し、前年の2位からさらにランクアップしました。
★群馬県、窓口相談で初の1位に★

 ふるさと回帰支援センターに寄せられた移住相談件数は2024年で6万1,720件となり、4年連続で過去最多を記録。2023年の5万9,276件から4.1%増加しました。
 群馬県は窓口相談で初めて1位となりました。特に20~30代の若い世代からの相談が増加し、地方移住を考え始めたライト層や、子育て環境を重視する層に人気が高まっています。
★子育て世代に人気の理由とは?★
 群馬県が子育て世代に支持される理由として、以下が挙げられます。
①災害リスクの低さ: 「災害の少ない地域に住みたい」という声が多くありました。
②首都圏からのアクセスの良さ:東京から100キロ圏内にあり、テレワーク移住にも適しています。特に高崎市は交通機関も充実していて「転職なき移住先」としても注目されています。
③自然環境: 伸び伸びとした子育てが可能な環境が魅力です。
④住宅コストの安さ: 都内と比べて土地や物価が安く、住宅費用を抑えられます。
 子育て世代のほかシニア世代のUターンも増えています。
 群馬県への移住を考える人々からは、「仕事に追われるより、家族や自分の時間を大事にしたい」という声も多く聞かれました。これは、地方移住を通じてより良いワークライフバランスを求める傾向を反映しています。
(中略)
★群馬県の積極的な取り組みも後押し★
 快挙の背景には、群馬県の積極的な移住促進政策があります。
 群馬県は2020年に全35市町村がふるさと回帰支援センターの会員となり、全県を挙げて移住希望者の受け入れ態勢を強化。群馬県に住みながら都内などの勤務地に通勤する「転職なき移住」をアピールしたことで、ゆとりある暮らしを望む20~40代の子育て世代の共感を得たとされています。
 山本一太知事も記者会見で「王者静岡を抑えて1位」と喜びを表明しました。
 海なし県で空っ風の強い群馬県が、温暖で海を有する静岡県よりも、住むのに魅力的と言われるのは、すみかくらぶ編集部としてもうれしい限りです!
 これからも群馬のゆとりある暮らしをご提案してきますので、どうぞよろしくお願いいたします!
※執筆者Writer:すみかくらぶ編集室

**********群馬県HP2025年2月25日
移住希望地ランキングに係る山本一太群馬県知事記者会見要旨
■記録作成 メディアプロモーション課(報道係)
動画(You Tube)
■知事冒頭発言
 皆さん今日はお忙しいところお集まりいただいてありがとうございます。ここから会見室ではありますが、ぶら下がり取材という形でお願いしたいと思います。移住希望地ランキングについてですね、大変うれしいニュースが入ってまいりましたので、発表させていただきたいと思います。
 目標をやっと達成しました。このたび、2024年の移住希望地ランキングが公表され、群馬県が全国1位となりました。群馬県が全国1位ということです。移住希望地ランキングは皆さんご存じだと思いますが、東京の有楽町で、国内最大規模の移住相談窓口を設置しているNPO法人ふるさと回帰支援センターの新規相談者へのアンケートをもとに集計され、毎年公表されているものです。実際に移住の希望がある、または興味がある方へのアンケートということで、これはですね群馬県の魅力をしっかりと反映したランキングだと私たちはとらえています。2024年は、前年2023年の2位という結果を受けてですね、ここ(記者会見)でも1位を目指すと宣言しましたが、群馬県初の1位を目指して、移住施策に取り組んでまいりました。その結果、ついに念願を果たすことができました。知事としてこんなにうれしいことはありません。
 またランキングにはですね、「窓口相談者」と「セミナー参加者」という2つの部門があるんですね。窓口相談者は、群馬県として初めて1位をとったのですが、セミナー参加者のほうは昨年に続いて2年連続1位となっています。実は両方の部門で1位を獲得したのは群馬県が全国初ということになります。群馬県としては、今回のランキングの結果も含め、群馬県への関心の高まり、この群馬県の勢い、何度も言いますが群馬県には運気、勢いがありますから、これをしっかりと実際の移住につなげていけるようにですね、引き続き移住促進に取り組んでまいりたいと思います。とにかく、王者静岡を抑えて1位になりました。今日はそのご報告で皆さんに集まっていただきました。私からは以上ですが、皆さんからご質問があればお受けしたいと思います。
■質疑応答
(記者)
 魅力がかなり広まったということですけれども、特に若い人の支持といいますか、関心が高いようなんですが、この要因について、知事としてはどのようなものだと受けとめていますか。
(知事)
 まず、ちょっと世代のことは後で申し上げたいと思うんですけれども、今回、全国1位になった要因はいろいろあると思うんですけど、まず何といってもですね、県と市町村の連携っていうのがあると思うんですよね。私が知事になって、初めてふるさと回帰支援センターを訪れた時には、支援センターの会員になっている市町村は3つ、4つぐらいだったんですね。それから、その日のうちに電話をして10ぐらいに増やしてですね、最終的にすべての市町村に会員になってもらいました。(すべての市町村が会員になっているのは)群馬県だけです。ですから、市町村としっかり協力をしながらですね、いろんな、いわゆる移住に関する情報発信をしたりとかですね、あるいは受け入れの体制を整えたりしてきたっていうことがあります。特にですね、特筆すべきは群馬県と市町村とが常に協力して開催してきた、ふるさと回帰支援センターと共催したセミナーとか相談会の数だと思うんですよね。私の記憶だと40回近い、37回ぐらいあったでしょうか(正しくは57回)。これはもちろん全国でトップでした。やはり市町村と連携してやってきたっていうことが大きかったと思うのと、あとはちょっと手前味噌ですけれども、地方創生関係の担当部局、とにかくうちの担当部局の職員が、本当に八面六臂の活躍を見せてくれたと。本当に一生懸命ですね、この事業に取り組んでくれたと。そういうことも、大きな要因だったかなというふうに思います。

 それから、これも関係していると思うんですが、今やっぱり群馬県の、こういう言い方が正しいかどうかわかりませんけれども、ネットでの発信力、いわゆるYouTubeチャンネルの2年間の登録者数の伸びが全国で1位だったりとか、去年1年の動画の視聴回数も4千万回で全国一ですから。こういうことも含めて、かなり群馬県の発信力が上がったっていうこともですね、群馬県の魅力がうまく伝わった原因なんじゃないかなというふうに感じています。
(地域創生部長)
 先ほどのご質問のセミナーの回数ですけれども、ふるさと回帰支援センターと共催した回数は57回になります。それと、年代の若い人が多いということについてですが、実はしばらく前から、東京との近接性を生かして、群馬県は転職なき移住の適地だということをPRしてまいりました。やはり、転職なき移住ということで、働き盛りの方に多く関心を持っていただいています。昨年も若い方の希望順位が高かったことから、例えばセミナーをするにあたっても、若い子育て世代の方が関心を持つようなテーマを増やすようにしてきた、そういったところも効果が出たのではないかと考えています。
(知事)
 今のことをこれから言おうと思ったんですよ。ありがとうございます。今回、一応年代別で見ると、20代、30代、40代、50代まで全部トップです。特にやっぱりね、20代から40代ぐらいまでのところでかなり関心が高まっているっていうのは、今地域創生部長が言ったみたいに、転職なき移住の適地だということがあると思います。群馬県はとにかく東京に近いですよね。東京に近くて、これだけ雄大な自然があって、おいしい食べ物があってですね、満員電車もないし、おそらく居住空間も(東京より)ずっと広いところに住めるし、なおかつ物価も安いですから。そういう意味で言うと、転職なき移住っていうか、ここに住んで東京に通うっていう人も、もちろん出てきているんじゃないかなと思うし、ここからさらに力を入れていかなきゃいけないと思うんですけど、とにかく子育て世代の人たちからの関心もすごく多くなっているんじゃないかという気がしています。
(記者)
 今、若い世代、若い子育て世代に向けてアピールということですが、テーマを選んだとおっしゃいましたけど具体的にどのようなテーマで、訴求力があったようにお考えでしょうか。
(地域創生部長)
 移住促進セミナーのテーマということですよね。一番反応がよかったのは、実はインフルエンサーを活用してのSNSの発信(をテーマにしたセミナー)なんですけれども、やはりそれも若い移住者の方が実体験に基づいてお話されたということが、反応がよかったというふうに聞いております。その他、子育て、教育、こういったことをテーマにしたセミナーの反応がよかったというふうに聞いております。
(記者)
 今SNSとおっしゃいましたが、発信力という点も非常に大きかったと思うんですが、若い世代にとっては特にSNSですね。この辺も大きく4千万という数字が出ていますけど、移住に特化したようなSNSの発信内容、その番組と言ったらなんですけど、そういったものっていうのは、特化したものはあるんですか。
(地域創生部長)
 ぐんま暮らしのポータルサイトの中で様々な動画も紹介しております。群馬県のページからリンクを貼っておりますけれども、独立した形で常にいろんなイベントだったり、セミナーでやったものを後で動画で紹介するようにしております。もちろん、Xですとか、そちらでの発信もやっています。
(知事)
 今お話があったんですけれども、もちろん移住に関連する動画っていうのもあると思うんだけど、とりあえずやっぱりなんていうか、例えば、移住したいって思う、あるいは実際に移住するっていう最初の段階は、その地域に対する関心があるかっていうことなので、その意味で言うと、直接移住に関係する動画を作ってなかったとしても、もちろんいくつかあると思いますが、やっぱりその4千万回のアクセスがあるぐらい、群馬県があちこちから注目を集めたっていうのは、間違いなくこの数字にも反映されているんじゃないかなと思います。
(記者)
 あらためて、このランキングの持つ意義、意味といいますか、そして、そこで1位になったことの意味を教えていただければと思います。
(知事)
 これは本当に群馬県の認知度、発信力、これを非常に、象徴的に表すランキングだと思っているんですね。まず、これも地域創生部長からもうちょっと正確にフォローしてもらえればと思うんだけど、2023年に2位になったじゃないですか。そのあとやっぱり、移住に対する問い合わせみたいなものがすごい増えたんですよ。ぐんま暮らし支援センターへの相談件数はたしか25%ぐらい増えて過去最高になったと。それから、去年の群馬県の移住者数も過去最高なので。このランキングは、そのままやっぱり、ある意味実績に繋がっているっていうところが大きいというふうに思います。何しろあそこ(順位推移のグラフ)を見ていただければ、15位から10位、5位まできて9位になって2位になって、1位っていうことなので。去年の2位に続いて、今年さらに上がって1位になったっていうことはすごく大きいなと。つまり、やっぱり群馬県に対する関心もかなり定着してきたっていうことです。本当に地域創生部が頑張ってくれて、市町村とも連携を上手くしてですね、ふるさと回帰支援センターと連携してセミナーを57回やったということもあるんですけど、窓口の相談者数も一番になったっていうのはすごく大きくて、もちろん努力もしましたけど、それだけやっぱり群馬県に対する関心が高まっているっていうことの証拠だというふうに思います。
(記者)
 先ほど移住者の増加という話もありました。さらに、今回の1位を受けて、実際に来てもらうということが大事なのかなと思うんですけどそのあたりいかがでしょうか。
(知事)
 そこはさっきもちょっと申し上げたとおり、今までは転職なき移住(を促進してきました)、さっきこれも地域創生部長に説明してもらいましたが、東京に近いっていうことで、ここに住んで仕事に通うみたいな人たちも増えているんだと思うんですけど、ここからはやっぱり20代から40代の人たちに関心が高いっていうことで、子育て世代をターゲットにしていくということで、これから情報発信の中身とか、セミナーみたいなものもね、子育て世代を対象にしたものを戦略的にやっていければいいんじゃないかと思います。今、県議会に諮っている予算の中にも、子育て世代に関係あるもので、テレワークと保育園留学、これを組み合わせた、親子移住体験事業も計上していますので、ここからは、子育て世代にさらに関心を広げていくっていうことが、戦略としてはいいんじゃないかと思います。何か付け加えることがありますか?
(地域創生部長)
 いいえ、特にはございませんけれども、今回のランキングは、関心を持っていただいたので相談件数が増えたということです。今後は、相談件数を実際の移住につなげていく、というほうに。もう少しシフトしつつ、頑張っていくのかなと思っております。
(記者)
 私から最後です。ランキング1位になったんですけれども、来年、次の目標とかあれば教えていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
(知事)
 いやもうこれ以上、上がないので、やっぱりここまで来たからには、なかなか大変なんですけど、とにかく王者静岡を抑えての1位ですから。できるだけ、このランキングも高い順位を維持していくと。そもそも群馬県は、こういうことを言ってはあれなんですけど、私(が知事に)なったときに、とにかくぱっとしない県だって言われたので。そもそもこれだけ認知されているランキングで1位って初めてだと思うんですよね。だけどYouTubeの総再生回数も1位ですし、それから実質賃金の伸びも1年間で1位ですし、メディアの露出も圧倒的に増えているので、そういう意味でいうと少なくとも、この何年かでやっぱり群馬県のプレゼンス、影響力みたいなものは大きく広がっているし、勢いがあるってことは証明されたと思います。
 飯倉公館での、地方自治体の海外へ向けてのアピール事業の時に、とにかく1年のうちに高校野球と高校サッカーで全国優勝するっていうことは、普通ないので。(高校スポーツの優勝は)私の功績じゃないんですが、でもやっぱり群馬県のこの運気、勢いっていうのはいろんなところに感じられるので。これやっぱり、今日も皆さんに来ていただいていますけど、大きく報道されると思うんですよね。本当に北関東の群馬県が全国1位ですから。だからこれは本当に大きなインパクトがあるんじゃないかと思います。ぜひ皆さんにも、せっかく群馬県に来て取材していただいているので、大々的に発信していただけると本当に嬉しいです。
(記者)
 ふるさと回帰支援センターのお話も先ほど出たかなと思うんですけれども、あらためて移住促進の施策に着手した当時の状況を振り返ってみての当初の思いだったりとか、あるいはそこから今日に至るまでの本県の移住をめぐる雰囲気や風向きの変化というのを振り返ってみてどう感じていらっしゃるかを教えてください。
(知事)
 移住希望地ランキングにはやっぱりすごく注目していて、大体常連というのがいて、もう昔からそうなんですけれども、みんなどこに移住したいか、暮らしたいかっていうと静岡、長野、山梨、福岡とか、もう相場が決まっているわけですよね。やっぱり、だからこの中に群馬県が食い込んできたっていうのはすごく大きいと思うんですね。もう言及もしたくないけど、どんどんなくなっていく変なランキングがあるじゃないですか。ただの行ってみたいランキングだからね、あれは。そうじゃなくて、移住希望地としてこれだけ関心を持ってもらえるっていうのは、ある意味本当に群馬県が住む場所として魅力があるっていう意味なので、そういう意味ではこのランキングに本当に注目をしていたので、この結果はすごくうれしいです。
(記者)
 幅広い世代の方が移住先として魅力を感じていらっしゃるというデータかなと思うんですけれども、今おっしゃられたように、某魅力度ランキングみたいな結果もある中で・・・
(知事)
 魅力度ランキングと言わないで、もうその言葉は結構なので。そんな無くなるような杜撰なランキングの話はしないでください。
(記者)
 今回の移住希望地ランキング1位というこの実績をどのように活用し、あらためて発信に役立てていきたいかを教えてください。
(知事)
 まず若い世代については、確か去年23年のときも、20代とか(順位が)高かったんですよね。
(地域創生部長)
 1位でした。
(知事)
 今回、20代、30代、40代、50代まで一番っていうのは、やっぱりもうどの世代にも関心を持たれている、やっぱり群馬県が魅力的に映っているっていうことだと思います。どう使っていくかっていうか、去年2位になったときも相当、実はインパクトがあって、いろいろ例えばテレビとか新聞でも取り上げていただきましたし、勝手にYouTubeの特集が組まれて、30万とか40万(回再生)とか回っているので。でも1位だから、やっぱり2位と1位は全然違うんですよね。やっぱり全国1位になったっていう、このこと自体が、おそらくもう群馬県としてのすばらしい大きなブランドになるんじゃないかなというふうに思います。
(記者)
 今回1位ということですけれども、地域創生部長から1位内示の連絡が知事に入ったのではないかと思います。そのときの最初の印象といいますか、その知らせを受けての知事の第一声はどんな感じ・・・
(知事)
 連絡が入ったのは一応担当者のほうで、そこから聞いたんですけど。やったっていうか、よかったなっていう、なんかちっちゃくガッツポーズを作りました。やっぱり、移住相談件数はもともと多いんです。群馬県に対する関心が高まっていることは間違いない。ぐんま暮らし支援センターへの問い合わせも過去最高だし。それから、セミナーは各市町村とやっていて、(回数が)断トツだったので。これで、どこが群馬県の上に来るんだろうと思って。静岡がやっぱり王者なので、静岡県はやっぱりもう昔から1位ですから、ずっと多いところなので王者なんですよ。だけど静岡がそんなに勢いがないと聞き、なんか栃木県もすごく頑張っているし、でもなんか群馬県より上に行くところがあるのかなと思っていたので、もしかしたら、とは思っていたんですけども。少なくとも3番以内には絶対入ると思っていたんですけれども。やっぱり、この知らせを受けて、ちっちゃくガッツポーズしました。
 ということで、これをさらに励みにして、しっかり頑張っていきたいというふうに思います。今日は急遽お集まりいただきましてありがとうございました。
( 以上で終了 )
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Tel:027-226-2175

**********毎日新聞2025年2月26日
移住希望地ランキング、群馬が初の1位 首都圏へのアクセスなど評価

2024年11月に東京都内で開かれた「ぐんま移住&交流フェア」の様子=群馬県提供
 地方への移住を支援する認定NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京都)が発表した2024年の移住希望地ランキングで、群馬県が初の1位に選ばれた。前年2位の成績で注目を集めたことから20~30代を中心に相談が増えたといい、県がアピールする首都圏へのアクセスの良さなどが浸透したとみられる。【日向梓】
★都内アクセス良好、災害少なく 若い世代が関心★
 センター窓口で相談者が回答したランキング(複数回答)で初の1位を獲得。2位は静岡、3位は栃木だった。移住セミナーや相談会の参加者の回答ランキングは2年連続で1位となり、2位は福島、3位は広島が続いた。群馬は年代別で20代以下、30代、40代、50代に1位に選ばれ、60代は2位、70代以上は3位だった。
 センター窓口のランキングで、群馬の順位は20年に10位、21年に5位、22年に9位だったが、23年に2位に急浮上。注目を集め、悲願の1位を獲得した。実際に転勤や進学を除く県内への移住者数は4年連続で増加しており、23年度は過去最多の1479人だった。
 1位に選ばれた要因として、県はコロナ禍を機に急増したテレワーク需要に県が掲げる「転職なき移住」が合致したことに加え、自然豊かな環境での子育てを希望する若い世代の関心を集めたと分析。近年の傾向として、自然災害の少なさを重視したり、記録的な酷暑を受けて嬬恋村や利根沼田など涼しいエリアを希望したりする相談が増えているという。
 移住セミナーや相談会の回数は20年が計7回だったが、24年は過去最多の計111回を実施。移住者から関心のあるテーマを聞き取り、伝統文化やアウトドアなど幅広い内容で開催したといい、担当者は「回数も内容も誇れるものになり、手応えも感じている」と自信をにじませる。
 山本一太知事は記者会見で「県と市町村が連携し、担当職員が一生懸命取り組んでくれた。念願が果たせて、こんなにうれしいことはない」と語り、今後は子育て世代の移住支援にさらに注力するとした。
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【一太県政】吾妻振興局中之条合同庁舎の敷地を巡る不可思議かつ不合理な事実

2025-01-31 23:23:23 | 県内の税金無駄使い実態

中之条合同庁舎の正面ファサード。昭和48年に建設された地下1階、地上3階建て、鉄筋コンクリート造りの建物(築52年)。庁舎には群馬県の4つの地域機関が入居している。出典:群馬フィルムコミッションHPより

■各都道府県庁には、様々な部署や役職が置かれています。群馬県でも知事戦略部」を筆頭に、総務部、地域創生部、生活こども部、健康福祉部、環境森林部、農政部、産業経済部、県土整備部、会計局、振興局、企業局、病院局、議会及び教育・公安・労働など各種委員会等があり、業務内容は当然のこと、規模も組織形態も実に多様です。ここでは、そんな部署のひとつ「振興局」について、その概要や主な仕事内容をみていきましょう。

 振興局の立ち位置は、他の部署と違って少し特殊です。県庁の事務作業を分担するために、庁舎から飛び出し、県内各地で職務を行なっています。いわゆる「出張所」のような扱いであり、「出先機関」と呼ばれるものです。こうすることで、事務の負担が軽減できるだけなく、地域内をより隅々まで見渡せるようになり、行政を進めやすくなるといった利点もあります。

 ちなみに、群馬県内に点在する振興局は中部・高崎安中・吾妻・東部・北群馬渋川・多野藤岡・利根沼田・桐生みどり・甘楽富岡の全部で9つあり、県条例で定めたうえで設置しているため、区分けも市町村単位とは限りません。



 それぞれの振興局では、管轄地域を絞ったことにより県庁ではできないきめ細かな業務を実現することが求められています。各振興局には概ね行政県税事務所、保健福祉事務所、環境森林事務所、農業事務所、土木事務所などが置かれていますが、これ等が全て一つの庁舎にあるのは利根沼田振興局のみですが、いずれも「合同庁舎」と称する建物を主体に、ほとんどの事務所が集まっています。

■「合同庁舎」というと霞ケ関を想い浮かべますが、我が国の行政機関もしくは裁判所、または都道府県・市町村の機関において、複数の異なる業務組織の庁舎(オフィス)を一つに集約した建築物のことです。その目的は、利用者である住民の利便性の向上、公務の能率の増進、土地の高度利用、建築経費の節減とされています。

 内部構造としては、ビル一つが一機関になっているわけではなく、階単位、または区画単位で使い、それが何層にも重なっています。同居する機関は関係するように考えられています。

 都道府県の組織においては、各部局の出先機関を一つの建物に集約し、これを「合同庁舎」または「総合庁舎」と称することがあります。近年では出先機関自体を部局横断的組織として統合するケースも増え、「合同庁舎」とは称さなくなる事例も見られます。なお、大阪府では池田市の市役所本庁と府の出先機関を統合した庁舎や、兵庫県では神戸市長田区の県市の出先機関を統合した庁舎を設けている所もあります。


群馬県利根沼田振興局庁舎。温もりのある群馬県産木材を多様に使用した地上5階建の庁舎で、庁舎内には6事務所が入居しているほか、会議室も大小合わせて11室ある。1階県民ホールは展示会など地域の文化活動に活用されている。出典:群馬県HPより

■さて、こうした県の出先機関として各地域の県行政の拠点となっている振興局ですから、その敷地は、てっきり当然群馬県が所有する公有地だと思っていたところ、例外があることが分かりました。

 当会が調査したところによると、吾妻振興局のうち中之条町にある合同庁舎には、保健福祉事務所と土木事務所を除く、4つ(行政県税事務所・教育事務所・森林環境事務所・農業事務所)の地域機関が入っていますが、この建物に付随する駐車場等の敷地は借地だということがわかりました。そのため、誰からどのようなかたちで土地を借用しているのか検証すべく、令和6年12月16日付で県知事に対して公文書開示請求書を提出しました。

*****12/16公文書開示請求書*****
 群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号)第12条第1項の規定により、次のとおり公文書の開示を請求します。
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 群馬県吾妻郡中之条町664にある群馬県吾妻振興局が使用している駐車場に関する次の情報。
(1)当該駐車場のうち、県が借り上げている全ての駐車場の場所に関する情報(それぞれの駐車場の地番、面積、駐車可能台数などを含む)
(2)同じく、県が借り上げている全ての駐車場の借り上げ条件が分かる情報(それぞれの駐車場の借り上げに係る契約書、借り上げ料=県の支払い金額、借り上げ開始時期などを含む)

**********

 すると、年末に当会に対して吾妻振興局から電話があり、年明けの1月6日午後3時半に現地中之条町の合同庁舎で情報開示を受けることになりました。




■というわけで、仕事始めの1月6日、前橋市にある県庁で別件の情報開示を1時半に受けた後、2時少し前に県庁を出発し、3時15分ごろ、中之条町の合同庁舎前の駐車場に到着しました。前橋より気温が5度ほど低く、定刻まで社内で過ごそうとしていたところ、突然、車の窓ガラスをコンコンと叩かれました。見ると防寒服を着た初老の男性で、目を合わすと声をかけられました。

 「自分はカタガイという者だ」とその男性が自己紹介したあと、雑談がはじまりました。内容としては、北は北海道、南は沖縄まで全国隈なく行ったことがあり、バイクが趣味で、親族には警察官が多いとのこと。「何かあったら警察に口が利けるから、あちこちからいろいろな相談を受ける。あんたもなんかあったら遠慮なく声をかけてくれ」とおっしゃるので、お名前と住所を聞いたところ、フルネームと、居宅として「駐車場から見えるあの屋根の家だ」と指差しで教えていただきました。(3/19追記:地元関係者から聴取したところ、このカタガイさんは認知症の兆候がおありで、後述の県職員用駐車場の地主の片貝暢夫氏とは別人であることが判明しました)

 定刻になったので、男性と「じゃあ、またね」と言って別れて、合同庁舎に入りました。入ると既に2名の職員が待機しており、県民室と呼ぶ部屋に案内されました。




玄関ロビー。右側に廊下を進み、右手のトイレの次の区画が、情報開示の行われた県民室


主要棟のほかに平成15年に建設された地上3階建て鉄骨造りの会議室棟(築22年)があり、大小5つの会議室を擁する。出典:群馬フィルムコミッションHPより


中之条合同庁舎は高台の中腹に位置しており、屋上からは中之条町の南側を見渡せる。今回は生憎夕方で雨模様だったため、屋上からの展望は次の機会とした。出典:群馬フィルムコミッションHP

■開示された資料を拝見すると、驚くべきことに駐車場として使われている土地のほかに、なんと合同庁舎や会議等の敷地も借地であることがわかりました。




開示された駐車場等を含む配置図

 開示された駐車場に関する土地貸借契約書は3通あり、それぞれの内容は次のとおりでした。

*****駐車場①の借地契約書*****



            土地賃貸借契約書

 貸主 中之条町長 外丸 茂樹(以下「甲」という。)と借主 群馬県吾妻行政県税事務所長 齊藤 義之(以下「乙」という。)とは、次の条項により、土地の賃貸借契約を締結する。

(信義誠実の義務)
第1条 甲乙両者は、信義を重んじ、誠実にこの契約を履行しなければならない。

(賃貸借物件)
第2条 賃貸借物件は、末尾記載のとおりとする。

(使用目的)
第3条 乙は、賃貸借物件を中之条合同庁舎敷地及び駐車場に使用するものとする。

(賃貸借期間)
第3条 賃貸借期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までとする。
2 前項に定める賃貸借期間が満了する1箇月前までに甲・乙いずれからも特別の意思表示がないときは、この契約をさらに1年間継続するものとし、以後同様とする。

(賃貸借料)
第5条 賃貸借料は、年額金779,850円とする。
2 1年末満の期間にかかる賃貸借料の額は、前項に定める賃貸借料年額に基づき、月割計算により算出した金額とする。

(賃貸借料の支払)
第6条 甲は、賃貸借期間満了後、支払請求書を乙に提出するものとする。
2 乙は、甲の支払請求書が正当であると認めたときは、当該書類を受理した日から30日以内に賃貸借料を甲に支払うものとする。ただし、当該年度分の支払期限前に賃貸借期間が終了(解除等を含む。)した場合は、甲の指定する期日までに支払うものとする。

(賃貸借物件の引渡し)
第7条 甲は、第4条に定める賃貸借期間の初日に、賃貸借物件を、その所在する場所において乙に引き渡すものとする。

(管理義務)
第8条 乙は、賃貸借物権の使用にあたっては、善良な管理者の注意をもって維持保全につとめなければならない。

(危険負担)
第9条 乙は、賃貸借物件がその真に帰することのできない事由により滅失又はき損したときは、賃貸借料の減免又は契約の解除を請求することができる。

(無断転貸等の禁止)
第10条 乙は、甲の承認を得ないで、賃貸借物件を第三者に貸付け、又は賃貸借物件の使用目的を変更しないものとする。

(義務の承認)
第11条 甲は、賃貸借物件の所有権を第三者に移転するときは、あらかじめ乙に協議するとともに、当該第三者にこの契約の権利義務を継承させなければならない。

(租税等の負担)
第12条 賃貸借物件にかかる公租公課等は、甲の負担とする。

(賃貸借物件の返還)
第13条 賃貸借期間が終了(契約の解除等を含む。)したときは、乙は、賃貸借物件を、甲の指定する期日までに、その所在する場所において甲に返還するものとする。

(契約の解除)
第14条 乙は、次の事情が生じたときは、催告なしにこの契約を解除することができる。
(1) 甲が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有している者(以下「暴力団員等」という。)であることが判明したとき。
(2) この契約に係る下請契約等の相手方が暴力団員等であることを知ったにもかかわらず下請契約等を解除しなかったとき。
(3) その他この契約書の条項に違反したとき。

(暴力団等による不当介入があった場合の届出義務)
第15条 甲は、甲又はこの契約に係る下請契約等の相手方が暴力団員等から不要な要求行為を受けた場合は、その旨について、乙への報告及び警察への通報を行わなければならない。

(予算措置との関係)
第16条 この契約に基づく年度以降の債権債務は、各年度における乙の当該予算の成立を条件として履行するものとする。

(疑義の決定)
第17条 この契約に関し疑義のあるとき、又は、この契約に定めのない事項については、甲乙協議のうえ決定するものとする。


 上記契約の締結を証するため、契約書2通を作成し、両者記名押印のうえ各自その1通を保有するものとする。

  令和6年4月1日

                 貸主 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町1091
                    中 之 条 町 長   外丸 茂樹

                 借主 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町664
                    吾妻行政県税事務所長 齊藤 義之

物件の表示(土地)
●所在:群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町
 地番:664-1
 地目:宅地
 面積:2,596.04㎡
●合計:2,596.04㎡

=====付属資料=====










*****駐車場②の借地契約書*****



               土地賃貸借契約書

 貸主 中之条町長 外丸 茂樹(以下「甲」という。)と借主群馬県吾妻行政県税事務所長 齊藤 義之(以下「乙」という。)とは、次の条項により、土地の賃貸借契約を締結する。

(信義誠実の義務)
第1条 甲乙両者は、信義を重んじ、誠実にこの契約を履行しなければならない。

(賃貸借物件)
第2条 賃貸借物件は、末尾記載のとおりとする。

(使用目的)
第3条 乙は、賃貸借物件を駐車場に使用するものとする。

(賃貸借期間)
第4条 賃貸借期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までとする。
2 前項に定める賃貸借期間が満了する1箇月前までに甲・乙いずれからも特別の意思表示がないときは、この契約をさらに1年間継続するものとし、以後同様とする。

(賃貸借料)
第5条 賃貸借料は、年額金192,110円とする。
2 1年未満の期間にかかる賃貸借料の額は、前項に定める賃貸借料年額に基づき、月割計算により算出した金額とする。

(賃貸借料の支払)
第6条 甲は、賃貸借期間満了後、支払請求書を乙に提出するものとする。
2 乙は、甲の支払請求書が正当であると認めたときは、当該書類を受理した日から30日以内に賃貸借料を甲に支払うものとする。ただし、当該年度分の支払期限前に賃貸借期間が終了(解除等を含む。)した場合は、甲の指定する期日までに支払うものとする。

(賃貸借物件の引渡し)
第7条 甲は、第4条に定める賃貸借期間の初日に、賃貸借物件を、その所在する場所において乙に引き渡すものとする。

(管理義務)
第8条 乙は、賃貸借物件の使用にあたっては、善良な管理者の注意をもって維持保全につとめなければならない。

(危険負担)
第9条 乙は、賃貸借物件がその真に帰することのできない事由により滅失又はき損したときは、賃貸借料の減免又は契約の解除を請求することができる。

(無断転貸等の禁止)
第10条 乙は、甲の承認を得ないで、賃貸借物件を第三者に貸付け、又は賃貸借物件の使用目的を変更しないものとする。

(義務の承認)
第11条 甲は、賃貸借物件の所有権を第三者に移転するときは、あらかじめ乙に協議するとともに、当該第三者にこの契約の権利義務を継承させなければならない。

(租税等の負担)
第12条 賃貸借物件にかかる公租公課等は、甲の負担とする。

(賃貸借物件の返還)
第13条 賃貸借期間が終了(契約の解除等を含む。)したときは、乙は、賃貸借物件を、甲の指定する期日までに、その所在する場所において甲に返還するものとする。

(契約の解除)
第14条 乙は、次の事情が生じたときは、催告なしにこの契約を解除することができる。
(1) 甲が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有
している者(以下「暴力団員等」という。)であることが判明したとき。
(2) この契約に係る下請契約等の相手方が暴力団員等であることを知ったにもかかわらず下請契約等を解除しなかったとき。
(3) その他この契約書の条項に違反したとき。

(暴力団等による不当介入があった場合の届出義務)
第15条 甲は、甲又はこの契約に係る下請契約等の相手方が暴力団員等から不要な要求行為を受けた場合は、その旨について、乙への報告及び警察への通報を行わなければならない。

(予算措置との関係)
第16条 この契約に基づく年度以降の債権債務は、各年度における乙の当該予算の成立を条件として履行するものとする。

(疑義の決定)
第17条 この契約に関し疑義のあるとき、又は、この契約に定めのない事項については、甲乙協議のうえ決定するものとする。


 上記契約の締結を証するため、契約書2通を作成し、両者記名押印のうえ各自その1通を保有するものとする。

  令和6年4月1日
                 貸主 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町1091
                    中 之 条 町 長  外丸 茂樹

                 借主 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町664
                    吾妻行政県税事務所長齊藤義

物件の表示(土地)
●所在:群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町
 地番:664-1
 地目:宅地
 面積:639.51㎡
●合計:639.51㎡

=====付属資料=====






             土地貸貸借契約の一部変更契約書

 貸主中之条町と借主群馬県が昭和60年12月1日契約した土地賃貸借契約の一部を次のとおり変更する。

第1条 賃貸借物件「吾妻郡中之条町大字中之条字王字原664 宅地 775.08㎡」を「吾妻郡中之条町大字中之条字王字原664 宅地 639.51㎡」に改める。

第2条 賃貸借量「年額 金79,800円」を「年額 金66,000円とする。ただし、昭和61年度は72,900円とする。」に改める。

第3条 この一部変更契約は、昭和61年10月1日から効力を有するものとする。

   昭和61年9月30日

          貸主 吾妻郡中之条町大字中之条1091
                 中之条町長 宮 崎 太一郎
          借主 前橋市大手町1丁目1番1号
                 群馬県知事 清 水 一 郎



           土地賃貸借契約の変更について(協識)

 現在中之条町大字中之条町663番地内に建設されている中之条町第10区所有の山車の車庫の敷地(町有地)が吾妻警察署中之条幹部派出所の建設用地となるためこの山車の車庫を第10区公民館の隣の貴殿と賃貸借契約を締結している中之条町大字中之条町664番地、宅地、775.08㎡の中之条町合同庁舎用駐車場内の一部に移築したいので、昭和61年12月1日契約に係る土地賃俄借契約書第15条により協議いたします。

                  記
1,物件の表示
     中之条町大字中之条町字王子原664番地 宅地 775.08㎡
                  を
     中之条町大字中之条町字王子原664番地 宅地 639.51㎡
                 に改める

2,賃貸借料
     (1) 昭和61年度分
       年額79,800円を年額72,900円に改める。
        積算の基礎 79,800円/775.08㎡ = 102.96円/㎡ = 103円
        639.51㎡×103円×6/12 = 32934.77円 ≒ 33,000円
        79,800円×1/2 = 39,909円
        33,900円+33,000円 = 72,900円
     (2) 昭和62年度分
       年額79,800円を年額66,000円に改める。
        積算の基礎
        639.51㎡×103円×12/12 = 65,869円 ≒ 66,000円



*****駐車場③の借地契約書*****



                           収入印紙2000円貼付
               土地賃貸借契約書


 貸主 片貝暢夫(以下「甲」という。)と借主 群馬県吾妻行政県税事務所長 齊藤義之(以下「乙」という。)とは、次の条項により、土地の賃貸借契約を締結する。

(信義誠実の義務)
第1条 甲乙両者は、信義を重んじ、誠実にこの契約を履行しなければならない。

(賃貸借物件)
第2条 賃貸借物件は、末尾記載のとおりとする。

(使用目的)
第3条 乙は、賃貸借物件を駐車場に使用するものとする。

(賃貸借期間)
第4条 賃貸借期間は、令和6年4月1日から令和7年3月31日までとする。
2 前項に定める賃貸借期間が満了する1箇月前までに甲・乙いずれからも特別の意思表示がないときは、この契約をさらに1年間継続するものとし、以後同様とする。

(賃貸借料)
第5条 賃貸借料は、年額金1,766,400円とする。
2 1年末濶の期間にかかる賃貸借料の額は、前項に定める賃貸借料年額に基づき、月割計算により算出した金額とする。

(賃貸借料の支払)
第6条 甲は、賃貸借期間満了後、支払請求書を乙に提出するものとする。
2 乙は、甲の支払請求書が正当であると認めたときは、当該書類を受理した日から30日以内に賃貸借料を甲に支払うものとする。ただし、当該年度分の支払期限前に賃貸借期間が終了(解除等を含む。)した場合は、甲の指定する期日までに支払うものとする。

(賃貸借物件の引渡し)
第7条 甲は、第4条に定める賃貸借期間の初日に、賃貸借物件を、その所在する場所において乙に引き渡すものとする。

(危険負担)
第9条 乙は、賃貸借物件がその真に帰することのできない事由により滅失又はき損したときは、賃貸借料の減免又は契約の解除を請求することができる。

(無断転貸等の禁止)
第10条 乙は、甲の承認を得ないで、賃貸借物件を第三者に貸付け、又は賃貸借物件の使用目的を変更しないものとする。

(義務の承認)
第11条 甲は、賃貸借物件の所有権を第三者に移転するときは、あらかじめ乙に協鏃するとともに、当該第三者にこの契約の権利義務を継承させなければならない。

(租税等の負担)
第12条 賃貸借物件にかかる公租公課等は、甲の負担とする。

(賃貸借物件の返還)
第13条 賃貸借期間が終了(契約の解除等を含む。)したときは、乙は、賃貸借物件を、甲の指定する期日までに、その所在する場所において甲に返還するものとする。

(契約の解除)
第14条 乙は、次の事情が生じたときは、催告なしにこの契約を解除することができる。
(1) 甲が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有している者(以下「暴力団員等」という。)であることが判明したとき。
(2) この契約に係る下請契約等の相手方が暴力団員等であることを知ったにもかかわらず下請契約等を解除しなかったとき。
(3) その他この契約書の条項に違反したとき。

(暴力団等による不当介入があった場合の届出義務)
第15条 甲は、甲又はこの契約に係る下請契約等の相手方が暴力団員等から不要な要求行為を受けた場合は、その旨について、乙への報告及び警察への通報を行わなければならない。

(予算措置との関係)
第16条 この契約に基づく年度以降の債権債務は、各年度における乙の当該予算の成立を条件として履行するものとする。

(疑義の決定)
第17条 この契約に関し疑義のあるとき、又は、この契約に定めのない事項については、甲乙協議のうえ決定するものとする。


 上記契約の締結を証するため、契約書2通を作成し、両者記名押印のうえ各自その1通を保有するものとする。

  令和6年4月1日

                 貸主 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町■■■
                             片 貝 暢 夫

                 借主 群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町664
                     吾妻行政県税事務所長 齊藤義之

物件の表示(土地)
●所在:群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町
 地番:668-1
 地目:雑種地
 面積:429㎡
●所在:群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町
 地番:673-6
 地目:雑種地
 面積:196㎡
●所在:群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町
 地番:674-2
 地目:雑種地
 面積:367㎡
●所在:群馬県吾妻郡中之条町大字中之条町
 地番:674-1
 地目:雑種地
 面積:994.57㎡
●合計:1,986.57㎡

=====付属資料=====







**********

■読者の皆さんはお気づきになったかもしれませんが、群馬県は、合同庁舎を含む駐車場①、及び駐車場②は、中之条町の市有地(宅地)を借り上げており、その単価は年間平米当たり300円となっています。

 一方、駐車場③は隣接地に住む地主の片貝暢夫さんの私有地(雑種地)を借り上げており、その単価は年間平米当たり889円となっています。

 つまり、合同庁舎に勤務する県職員用の70台分の駐車場の借上げ単価のほうが、合同庁舎に来訪する県民ら来客用駐車場の借上げ単価より約3倍高い水準となっています。

 このことについて、合同庁舎を管理する吾妻行政県政事務所総務係の担当者らに、経緯や背景を聞きましたが、「今までの慣習で借り上げており、いつからこうしたかたちになったのか、以前の糊塗なので承知していない」とのことでした。

 そのため、後日、県庁の資産活用課を訪ねて、経緯等についてヒヤリングを申し入れたところ、なぜか駐車場については総務課も所管しているとのことで、双方の部署に対して、上記の駐車場の借地料の捻じれ現象の発端や背景、現在に至るまでの経緯について質問しました。しかし、両部署とも担当者は、「以前からの経緯は分からない」として、もっぱら当会が情報開示で入手した情報に基づく説明を、ただただ聞くだけの姿勢でした。

■当会は、今回の情報開示により、改善すべき事項として以下に示す課題を提起し、群馬県に伝えました。

(1)県有施設は基本的に群馬県が所有し管理していると思うが、中之条合同庁舎のように、地元自治体の公有地を借り上げている事例は他にあるのか。安中高校跡地のように、安中市から大正時代に寄付された土地なのに、安中市に返還するときは県有地として2.8億円で売却したのだから、行政の継続性の観点から、土地を取得して県有財産として管理すべきではないのか。

(2)一方、県職員用として70台分の駐車場は、雑種地の民有地を借り上げているが、地目が宅地の公有地の借上げ単価より約3倍も高いのはどのような理由があるのか。ネットで検索すると、中之条町字王子原で中之条駅から980mの地点では公示地価が平米当たり2万7600円(2024年)とある。雑種地の場合、すぐには宅地として利活用できないのだから、実際の相場としては、農地よりは高いかもしれないが、この3分の1程度あたりだろうか。そうすると10年間の借地料と釣り合うことになる。




職員用駐車場用地の地主の肩の住所は、番地が黒塗りだが、上記の住宅地図とGoogle Map衛星写真から、どうやら「中之条町字中之条町大字王子原673-2」であることが推察される。↑

(3)それらに加えて、本来、県職員は公共機関をなるべく使用することが推奨されている筈。とりわけ、中之条駅のある吾妻線は群馬県渋川市の渋川駅と嬬恋村の大前駅を結ぶ55kmあまりの路線で、地域の生活を支えるだけでなく、草津温泉、川原湯温泉、四万温泉、万座温泉、鹿沢温泉などへの観光輸送の役割を果たしてきた。渋川駅から途中の長野原草津口駅までの間は上野からの特急も走り、概ね1時間に1本程度列車が運転されている。しかし、2024年3月にJR東日本は、長野原草津口駅と大前駅の間約13kmが、2022年度は4億6000万円の赤字になったことで赤字ワースト路線として、今後の在り方について協議対象の筆頭に位置付けた。合同庁舎は最寄り駅のJR中之条駅(吾妻線)から徒歩10分、最寄りのバス停「合同庁舎入口」から徒歩1分なので、本来であれば、来客用であればともかく、職員用駐車場として70台ものスペースの確保は、通勤手当を支給している上に、さらに公金で駐車経費もカバーするなど、職員優遇も甚だしい。なので、2024年度末を以って、このような異常に高い借地契約は直ちに見直すなり、できれば解除すべきだ。

■この点について、知り合いの県職員で、県土の周縁地域に在住する中堅の係長に訊いてみると、「今自分は県庁の本庁勤務だが、出先の振興局での勤務のほうがよかった。できたら、また出先の事務所の業務をしたい。理由は、出先の勤務のほうが、地元との距離感が短いため、充実感を味わえることと、通勤距離が短くなることもメリットだ」とのコメントでした。

 このようび県職員で周縁地域居住者の場合、県庁の本庁勤務はともかく、県庁より反対側にある遠距離の振興局への異動を希望しない場合は、その旨、要望票のコメント欄に記載すると、人事課で勘案してくれるということです。

 出先の振興局での勤務を望む背景に、こうした自家用車による通勤時に県が駐車場を公金で整備してくれているメリットも潜んでいるのではないか、と勘繰るのは当会だけでしょうか。

■県の資産活用課と総務課の担当者らは、当会の報告を聞いて、今後どのようなアクションを取るのか、それとも無視するのか、注目して参りたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】




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【仰天報道!】磯貝建材破産を「待ってました」とばかりにM&A承継SPCが破産…闇の連鎖が示す深淵!!

2024-06-23 16:42:10 | 県内の税金無駄使い実態

↑「磯貝建材を買収するために設立された投資目的会社」が破産したことを報じた6月18日上毛新聞朝刊

■5月31日をもって事業を停止し、自己破産申請準備中の磯貝建材ですが、昨年2月に同社のM&Aを仕掛けた事業承継JP1株式会社という特定目的会社が、後を追いかけるように、6月7日付で前橋地裁から自己破産開始決定を受けたことが、地元紙により報じられました。磯貝建材の自己破産については以下のブログ記事を参照ください。

〇2024年6月8日:【速報!】シナリオどおり?磯貝建材が破産手続開始…情報公開に及び腰の群馬県が示す隠蔽体質の悪質性

 さっそく上毛新聞の6月17日のWEB記事と同18日の朝刊記事を見てみましょう。殆ど同じ文章ですが、微妙に異なっていることがわかります。また、記事の中で「同社」という言葉が、どの事業者を指しているのか、曖昧であることが気にかかります。

**********上毛新聞2024年6月17日13:19
経営コンサルの事業承継JP1(群馬・前橋市)が破産 磯貝建材(安中市)の関連会社 負債3億6000万円
 経営コンサルティングの事業承継JP1(群馬県前橋市)が前橋地裁から破産開始決定を受けたことが17日、分かった。7日付。帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は約3億6000万円。
 同社は2022年12月、都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材(安中市)を買収するために設立した特定目的会社(SPC)。23年3月に買収し、同社から経営指導料を得ていた。
 しかし同年2月に磯貝建材が製造した側溝で、県が定める規格と異なる鉄筋が使われていた粗悪品が見つかった。調査の結果、偽装が判明。売り上げが激減して経営指導料が得られなくなり、資金繰りが行き詰まっていた。
 磯貝建材は24年5月末に事業を停止し、現在自己破産申請を準備している。事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れており、同社から破産を申し立てられていた。

**********上毛新聞2024年6月18日
磯貝建材を買収の事業承継JP1破産 負債3億6000万円
 経営コンサルティングの事業承継JP1(前橋市南町、福士裕社長)が前橋地裁から破産開始決定を受けたことが17日、分かった。7日付。帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は約3億6千万円。
 同社は2022年12月、都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材(安中市)を買収するために設立した特定目的会社(SPC)。23年3月に買収し、同社から経営指導料を得ていたが、同年2月に同社が製造した側溝で、県が定める規格と異なる鉄筋が使われていた粗悪品が見つかった。
 調査の結果、偽装が判明し、売り上げ激減に伴い経営指導料が得られず、資金繰りが行き詰まった。
 同社は今年5月末に事業を停止し、現在、自己破産申請を準備している。事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れており、同社から破産を申し立てられていた。
**********

■先日の磯貝建材の自己破産の時と同じように、国内の倒産情報・自己破産情報、政治・経済情報などを配信するニュースサイトが、この特定目的会社の破産について、17日に報じています。

**********JC-NET 2024年6月17日
事業承継JP1(株)/破産手続き開始決定 <群馬>
 「事業承継JP1(株)」は(群馬県前橋市南町3丁目***)に所在している企業です。
 同社は、令和6年(2024年)6月7日午前10時に前橋地裁民事部破産再生係にて破産手続きの開始決定を受けました。(官報より参照)
 この破産手続きに関しては、選任された金井勇樹弁護士が破産管財人として担当することが決定されています。
 同破産管財人によって行われる破産手続きに関して、債権者に対する届出期間が設定されています。この期間は、令和6年7月19日まで。また、財産状況に関する情報を報告するための調査も実施されます。この調査に関する報告集会や一般調査、廃止意見聴取、計算報告などの期日は、令和6年9月24日午後1時15分となっています。
 当該事件は、令和6年(2024年)に発生したもので、番号は(フ)第153号となっています。
**********

■立て続けに起きた破産の連鎖ですが、「事業承継JP1株式会社」とか「特定目的会社(SPC)」という普段聞きなれない言葉が並びます。そこで、報道その他を調べてみた結果をまとめてみました。

 まず「事業承継JP1株式会社」ですが、群馬県前橋市南町3丁目に所在していた経営コンサルティングの特定目的会社で、2022年12月に設立されましたが、2024年6月7日に破産手続きの開始決定を受けています。破産管財人として伊勢崎市太田町851-22の金井法律事務所の金井勇樹弁護士(電話0270-27-7288)が選任され、債権者に対する届出期間は2024年7月19日までと設定されており、財産状況に関する報告集会などの期日は2024年9月24日13:15予定ということまで決まっています。

 破産管財人として選任された金井勇樹弁護士が業務として取り扱う分野は、借金・債務整理、交通事故、離婚・男女問題、不動産・建築、遺産相続、労働問題、企業法務・顧問弁護士、犯罪・刑事事件、債権回収とあるので、債務整理に関わる本件を担当することになったようです。

■また、事業承継JP1株式会社の福士裕・社長のプロフィールは、LinkedIn等によると次のとおりとなっています。

福士裕CEO。LinkedInより。

 1987年に東京大学経済学部卒業後、同年に日本興業銀行(興銀とも呼ばれ、最末期の2000年からはみずほフィナンシャルグループの傘下に入り、みずほコーポレート銀行を経て、みずほ銀行の前身行の一つ)に入社し、1991年から93年にかけて米国カリフォルニア州立バークレー校でMBA取得後、興銀証券初期メンバーとして参画。当初は事業法人、金融法人向け外債仕組債営業に従事しました。

 2000年、みずほ証券に合併後は一貫して投資銀行業務を担当。DCM、ECM、シンジケーションを中心に資本市場における専門知識を蓄積するとともに、トータル12年にわたるロンドン、香港での数多くの日本企業によるクロスボーダー調達案件を通じた投資銀行業務経験を有し、加えて2011年にみずほ証券ロンドン現法副社長、2015年4月~16年3月にかけて同証券グローバル資本市場グループ長、2016年4月から17年3月までみずほ証券香港現法副会長と同証券シンガポール現法会長(17年9月まで)を歴任しました。

 その後、2017年4月からSBI証券投資銀行本部執行役員を経て、2019年12月20日にサザンクロス・キャピタル㈱を設立し代表取締役に就任しました(なお、同社は2022年10月26日に㈱ワイアールキャピタルに社名変更し、2024年3月6日に閉鎖登記)。そして、2022年5月には事業承継JAPAN㈱を立ち上げ、同年8月から同社代表取締役CEOを務めるとともに、㈱ワイアールパートナーズの代表取締役CEOも兼務するなど、通算で投資銀行ビジネスに30年以上従事して、現在に至っています。

サザンクロス・キャピタル㈱の第3期決算公告(令和3年12月31日現在)

 また、事業承継JAPAN株式会社(法人番号: 2010401167237、会社法人等番号:010401167237、本店所在地:〒160-0023東京都新宿区西新宿8丁目1番2号PMO西新宿3階)は、2022年5月9日に設立され、その直後の同年5月30日に本店所在地を東京都港区虎ノ門4丁目3番1号に変更しました。さらに同年8月24日に、本店所在地を東京都港区虎ノ門4丁目3番1号城山トラストタワー27階に移した後、2023年7月31日に東京都新宿区西新宿2丁目1番1号新宿三井ビルディング11階に変更しています。

 事業承継JAPAN㈱に関する情報は、上記以外はよくわかりません。しかし、事業承継は既にビジネスモデルとして、近年もてはやされています。たとえば、テレ朝の報道ステーションのスポンサーの一つとなっているM&Aキャピタルパートナーズ㈱があります。

 Wikipediaによると、同社は、2005年(平成17年)10月に設立され、事業内容はM&Aのアドバイザリーや仲介を主な業務とし、代表取締役社長は中村悟氏で、2022年9月30日現在の資本金は28億円、2022年9月期の売上高は207億6百万円(連結ベース、以下同様)、営業利益97億13百万円、経常利益97億66百万円、純利益67億94百万円、純資産325億98百万円、総資産399億13百万円(2022年9月期)、従業員数は連結で229名、単体で159名となっています。

 同社はM&A仲介大手として東証プライム市場上場企業で、その特徴として着手金無料、専門コンサルタントによる専任担当制を掲げており、より多くの企業がM&Aをひとつの選択肢として検討できる体制を整えていて、子会社には、日本のM&A業界の草分け的存在である株式会社レコフと株式会社レコフデータ、また、企業再生を得意とするみらいエフピー株式会社があり、グループによるシナジー(相乗)効果を効かせた様々な案件を取り扱っています。

■今回の磯貝建材を巡る“連鎖”倒産事件ですが、いろいろ不可解な点があります。まずはこの事件の時系列を見てみましょう。

 冒頭に示した報道記事の情報によれば、磯貝建材を巡るM&A(Mergers and Acquisitionsの略で、企業の合併や買収を指す。「合併」は二つ以上の企業が一つの企業になること、「買収」はある企業が別の企業を買うこと、「資本提携」も含まれることがある)の時系列は、次のとおりとなります。

●2022年12月
 都内の投資会社が磯貝建材を買収するために特定目的会社(SPC)として事業承継JP1㈱を設立した。
(※この「都内の投資会社」が買収後の磯貝建材の経営陣を指すのか、事業承継JP1㈱の社長の福士裕氏が経営する事業承継JAPAN㈱を指すのか、定かでない)

●2023年02月
 磯貝建材製造の側溝の偽装が、甘楽町における県営林道整備事業で発覚した。
(※当会は、この発覚から2023年9月1日の山本知事の偽装側溝調査結果の公表までの経緯について、2023年11月1日に県土整備部に情報開示請求をしているが、未だに側溝の規格に関するごく一部の情報が開示されただけで、発覚から県内の偽装側溝使用状況調査、破壊検査、非破壊検査など重要な情報は依然として不開示のまま)

●2023年03月
 都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材を買収した。買収に当たって、事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れた。買収後、事業承継JP1は「同社」から経営指導料を得ていた。
(※「都内の投資会社」とは、磯貝建材の現社長の長谷川裕貴氏が持っていた会社なのか、事業承継JP1のことなのか定かでない。また、「同社」とは、磯貝建材を指すと思われるが、そうすると、磯貝建材から経営指導料の名目で、カネが事業承継JP1に流れていたことになる)

●2024年05月
 同月末までに、磯貝建材が事業を停止した。JC-NETの倒産要約版によると、以下のとおり。
 破綻企業名:磯貝建材(株)
 本社地  :群馬県安中市簗瀬620-1
 代表   :長谷川裕貢
 設立   :1937年4月(昭和12年/業暦:87年)
 資本金  :1000万円
 事業   :コンクリ二次製品製造販売(U字溝、歩道用ブロック、側溝蓋など)
 売上高  :2021年7月期、約8.5億円
       2023年7月期、約4億円
 破綻   :2024年5月31日、事業停止/自己破産申請の準備中
 委託弁護士:伊藤博昭弁護士(TH総合法律事務所)、電話:03-6911-2500
 裁判所  :未定
 負債額  :約2億円
 破綻事由 :同社はコンクリ二次製品メーカー。U字溝、歩道用ブロック、側溝、側溝蓋など製造していた。2023年3月に現代表が創業家から買収、しかし、同年に群馬県発注工事の側溝で県の指定以外の鉄筋が使用されていることが発覚、同年9月に県が40ヶ所で鉄筋の大きさなどに偽装があったとして公表し、同社の信用は失墜、受注は激減し、先行きの見通しも立たないことから、今回の事態に至った。追、買収前から鉄筋偽装が常態化していたようだ。

●2024年06月
 群馬県前橋市南町3丁目にある事業承継JP1㈱が、6月7日午前10時に前橋地裁民事部破産再生係で破産手続きの開始決定を次のとおり受けた。
 令和6年(フ)第153号
 債務者  事業承継JP1株式会社(群馬県前橋市南町)
 1 決定年月日時 令和6年6月7日午前10時
 2 主文 債務者について破産手続を開始する。
 3 破産管財人 弁護士 金井勇樹
 4 破産債権の届出期間令和6年7月19日まで
 5 財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和6年9月24日午後1時15分
 前橋地方裁判所民事部破産再生係

■以上の一連の時系列の流れを見ると、いくつかの疑問が沸いてきます。

【疑問1】
 2023年2月に偽装側溝が公共事業で使われていたことが発覚したのに、なぜ、翌月の3月に事業継承JP1と長谷川裕貴氏はM&Aを実行したのか? 

【疑問2】
 群馬県県土整備部は2023年2月の甘楽町での林道工事で発覚した磯貝建材製造の偽装側溝について2023年9月1日の山本一太知事による記者発表までこの事件を公表しなかったが、県土整備部内では情報共有されていたはず。他方で、磯貝建材の創業者一族である旧・経営者や工場長ら幹部らは、昔から不正な側溝を製造し納入していたことは自覚していたはず。ひょっとして、偽装製品がバレるリスクを想定して、М&Aによる事業売却を企て、実際に県にバレたため、急遽、売却に踏み切ったのではないか?

【疑問3】
 となると、2023年2月の磯貝建材製の偽装側溝が甘楽町の林道現場で発覚し、それが県土整備部で共有された際に、何らかのルートにより磯貝建材の旧・経営者らに、その情報が伝えられたのではないか?

【疑問4】
 そうすると、群馬県が2023年2月に甘楽町での林道工事で磯貝建材製の偽装側溝発覚から、同年9月1日の山本知事による本件の記者発表までの経緯を示す公文書開示請求を、当会が11月1日に行ったところ、いまだに県土整備部が開示を拒んでいるところから、上記の疑問1から3について、当会をはじめ納税者・県民に知られると困ることがあるのではないか?

■この数年来、М&A(企業の合併・買収)は中小企業の事業を継承する有力な手段として脚光を浴び、それをビジネスモデルとして手掛けるM&A仲介各社は急成長してきました。それと共に、M&Aに絡む事件も最近メディアを賑わすようになっています。


一般的なM&Aの手順の流れ。

 たとえば、日本M&Aセンターホールディングス(HD)は、業界を切り開いたパイオニアであり、シェアトップですが、同社は2021年12月に売上高に関する不適切会計が発覚し、それをきっかけに、急成長を支えてきた有力幹部が次々と退職するなどして、同社の体力は急速に弱まりました。

 モルフォ事件は、今から9年前の2015年12月に、画像処理およびAI(人工知能)技術の研究・製品開発型企業の㈱モルフォが、デンソーと業務提携すると公表した際、㈱モルフォの役員及び社員らが、この重要事実を事前に知り、同年10月に従業員持ち株会への拠出金を増額するなど、インサイダー取引をしたとして、証券取引等監視委員会から課徴金納付命令の勧告を受けました。

■このように、M&Aは影の部分も背負っていることが分かります。今回の磯貝建材の事件は、単なる側溝の偽装ではなく、M&Aを偽装した前代未聞の「経済の大事件」となる展開を孕んでおり、29年前、安中市土地開発公社を舞台とした忌まわしい大事件、すなわち、安中市民が今での「タゴ51億円事件」として語り継ぐ、空前絶後の巨額詐欺横領事件に匹敵する可能性すら予感させます。

 タゴ事件では、安中市役所・土地開発公社をはじめ、市長ら歴代幹部、上司、同僚、家族、親戚縁者、骨董屋、地元事業者、愛人、ヤクザ、政治家、群馬銀行、甘楽信金、群馬県企業局らが複雑多岐に絡んでおり、当会は、共同正犯の存在を、さまざまな証拠を入手して警察に通報しました。ところが最終的に、警察は、元職員の単独犯行と認定して幕引きしました。

 疑獄事件とは、犯罪事実が曖昧な事件を指す言葉であり、政・官・財界に波及する利権関係事件の総称として使われる呼び方です。同時に、多額の贈収賄事件を指すことが多く、役所の幹部らが絡んでいると思われる事件が該当します。

 この意味で、安中市のタゴ51億円事件は、決して犯罪事実が曖昧ではなく、その証拠は警察の捜査でも山ほど集まったはずですが、なぜか大疑獄事件には発展しませんでした。

■しかし、この磯貝建材を巡っては、同社はもとより、M&A仲介者・投資会社、群馬県県土整備部、安中土木事務所、安中市幹部、地元金融機関、地元コンサル会社、埼玉県コンクリート製品協同組合など、多数の幅広い分野の登場人物を巻き込んでおり、「大疑獄事件」に発展するかどうかは、ひとえに捜査当局の出方次第と言えます。

 29年前のタゴ51億円事件では、結局、タゴと共犯同然の群馬銀行に対して、安中市は土地開発公社の連帯保証人として、毎年2000万円ずつ、あと78年間かけて15億5千万円を和解金の名目で返済するハメになりました。

 今回の磯貝建材を巡る偽装側溝事件では、長年にわたる偽装側溝の製造と出荷により、巨額の不当利得をマネーロンダリングすべく、M&Aという新手の手法が使われており、はやくも連鎖倒産のかたちで、資金洗浄する動きが表面化しました。

■今後の動きは、引き続き予断を許しませんが、当会の奮闘空しく29年前に元職員の単独犯行として不発に終わったタゴ51億円事件の教訓を生かして、積極的に警察や検察への告発や、住民監査請求による住民訴訟などの手段を活用して、真相の究明、責任の明確化、そして再発の防止をはかってまいりたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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ぐんま赤い糸プロジェクト参加費の男女差について、群馬県に公開質問した回答結果…!?

2024-06-13 11:54:54 | 県内の税金無駄使い実態

ぐんま赤い糸プロジェクト(通称:あいぷろ)/ぐんまスマイルライフのロゴ・マーク

■4月下旬に当会事務局に、県内在住の40代男性の方から電話を頂きました。

 男性の話によると、群馬県が提供している行政サービスで「ぐんま赤い糸プロジェクト」というサービスを利用し、婚活パーティに参加しようと考えて、先日「群馬県デジタル窓口」内で「LINE版あいぷろ通信」に登録し、その婚活パーティの開催日程などを通知してもらえるようにしたそうです。

 そして、その後、パーティ開催の通知が男性に届いたので、さっそく内容を確認し、参加しようと思ったところ、そのパーティの詳細を確認すると、男性と女性の間で参加費用に差があることに疑問を抱き、男性は参加するのを断念したとのことです。

 男性は、参加を断念した理由について、次の考えを示しました。

(1)公では法の元に平等で、公では性別による差別はされないと謳っていること。
(2)すなわち、憲法の第14条「国民は法の下に平等で性別などの社会的関係において差別されない」に基づいた関連法令に関する基本理念であること。(3)また、群馬県でもその関係法令に基づき群馬県男女共同参画推進条例が制定されていること。
(4)にも関わらず、県(公)の名前のお墨付きの婚活事業なのに、男女間で参加費用に差がある民間のサービスを提供しているのは、矛盾しており、強い違和感を禁じ得ないこと。
(5)実際に、婚活の参加費が男子6000円で女子4000円とか。男子3000円で女子2000円というふうに男女差を設けていること。
(6)群馬県の担当者に理由を尋ねたところ、「女子の参加が少ない傾向があるので、少し安くして女子の参加を促している」という趣旨の説明をしていること。

 そして「ついては、この婚活サービス提供事業に関して、調査していただき、サービスを是正するよう、当局と話していただけますと幸いです」という要請をいただきました。

■この相談事案について、当会会員の皆さんの間でも、以下に示す通り、さまざまな意見が示されました。

・憲法14条には「絶対的平等」の他に「相対的平等」がある。相対的平等とは何が何でも平等にするのではなく、各人の性別、能力、年齢、財産、職業などの種々の差異を前提として、同一の事情と条件の下では均等に取り扱うことである。

・これを婚活パーティに当てはめて考えた場合、いわゆる「かわいい」女子の参加料は500円で、そうでない女子の参加料は1000円とするのはダメだが、婚活パーティのニーズの差からくる男女間の参加人数の違いから、女子1000円で、男子3000円という差を設けることには合理性があるので、群馬県の説明は一概に違憲性は問えないのではないか。

・例えば、趣旨目的は異なるかもしれないが、「学割」や「60歳以上無料」などと同類という気がしないでもない。

・確かに、この問題については、民間業者が婚活パーティを主催する場合は、それぞれの主催者がターゲットとする男子、女子のカップル成立の戦略により、相対的平等でもよいと思われる。

・しかし、行政が主導して行う場合は、やはり会費を同じにする方が合理的である。なぜなら、相談者が言うように「県が群馬県男女共同参画推進条例を制定しているにも関わらず、県(公)の名前のお墨付きで男女間で参加費用に差がある民間のサービスを提供しているのは矛盾している」という主張は、筋が通っていると思われるからだ。

・実際に、下記のURLなどで調べてみると、男女間で参加費用に差のない婚活パーティを開催しているケースもある。
※参考にしたURL↓
○男女平等なのに…? 「婚活パーティー」の参加費、なぜ男性の方が高い? | オトナンサー (otonanswer.jp)
○婚活パーティーで男性の参加費が高いのは男性差別?その理由や弊害は?|アラフォー男性の結婚応援団~うまくいかない婚活にサヨナラ (arafour-kekkon.com)
○婚活パーティーの参加費が女性より男性が高い理由(男性差別、少子化)<生きる知恵ブログ> - 生きる知恵 (ikiruchie.com)
他多数。

・したがって、行政が主導するからには、行政が定めた条例の趣旨に反するような形での婚活パーティ等のサービスを提供する業者を行政自身が県民に対して紹介する事業は、矛盾しているという相談者の指摘には一定の合理性があると思える。

 こうした当会会員の忌憚のない見解をまとめた結果、群馬県には、行政が主体となって婚活サービスを行う場合はもとより、業務委託のかたちで「赤い糸」事業を民間の力を借りて推進するのであれば、婚活男女間で参加費用に差のない婚活イベントやサービスを提供する業者を対象にすべきだというふうに申し入れるのがよいのではないか、という方針を当会として確認しました。

 なぜなら、当会のオンブズマン活動の行動規範に照らして、活動目的である①税金の無駄遣い、②行政の不当な権限の行使による県民の不利益の是正の観点に合致すると考えられるからです。そのため、知事あてに次の公開質問を行い、県側の見解を問い、その結果を公表することにしました。

*****5/2県知事宛公開質問*****
                       令和6年5月2日
〒371-8570群馬県前橋市大手町1丁目1-1
群馬県知事 山本一太 様
(群馬県生活こども課少子化対策係 御中)
Tel:027-223-1111(代表) 027-226-2392(あいぷろ窓口) FAX:027-226-2100(生活こども課)

            〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
            市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
            TEL: 090-5302-8312(代表・小川)
            FAX: 027-224-6624(事務局)

   男女間差別のある群馬県の行政サービス是正について(公開質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。
 さて、本年4月24日に当会事務局に、県内在住の40代男性のかたから、次の内容の相談が寄せられました。
  「私は、群馬県の行政サービスで『ぐんま赤い糸プロジェクト』)、というサービスを利用し婚活パーティに参加しようと考えています。先日『群馬県デジタル窓口』内で『LINE版あいぷろ通信』、というものに登録し、その婚活パーティの開催日程などを通知してもらえるようにしました。
   ある日、その通知内容を確認し参加しようと思ったところ、そのパーティの詳細を確認すると男性と女性の間で参加費用に差があることに疑問を抱き、参加するのをやめました。理由は以下となります。
   ①公では法の元に平等で、公では性別による差別はされないと謳っております。
   ②憲法第14条も「国民は法の下に平等で性別などの社会的関係において差別されない」と定めており、その関連法令もあります。
   ③群馬県でもその関係法令に基づき群馬県男女共同参画推進条例というものが制定されています。
   ④にも関わらず、県(公)の名前のお墨付きで、男女間で参加費用に差がある民間のサービスを提供しているのは如何なものなのか?矛盾しているのではないか?」
 この相談内容について、当会で協議した結果、群馬県に行政サービスの適否や改善の要否について、確認が必要との結論に至りました。つきましては、本件行政サービスに関する以下の質問に係る貴殿の見解をお聞かせください。なお公務多忙の折、誠に恐縮ですが、令和6年5月17日(金)必着で、上記連絡先まで文書あるいはFAXでご回答ください。
【質問1】当該行政サービスは、憲法や条例の趣旨に照らして是正する必要があるとお考えですか?必要の有無およびその理由をご教示ください。
【質問2】出会いの場の企画・実施に際して、男女の参加費を同等に設定している企業・店舗等業者も少なからず存在していますが、こうした業者を「協賛団体」として選定することへの賛否およびその理由をご教示ください。
                               敬具
**********

 すると、5月22日付で、次の回答が届きました。

*****5/17県からの回答FAX*****
05.17 17:19 群馬県こども政策課  0272262100 #9683 P 1/3    1

       FAX送信票
               群馬県生活こども部生活こども課
                TEL 027-226-2392
                FAX O27-226-2100
令和6年5月17日  送信枚数 3(送信票を含む)
宛先:市民オンブズマン群馬代表 小川 賢 様 (027-224-6624)
発信者:群馬県生活こども部生活こども課 政策推進室少子化対策係
件名:当課へお寄せいただいた御質問への回答について
内容:
 日頃より、群馬県行政にご理解ご協力を賜り、ありがとうございます。
 さて、過日当課あてにFAXにてお送りいただきました御質間について、別添のとおり回答いたしますので、ご査収の程よろしくお願いします。


=====別添=====




                        (公印省略)
                        生こ第30094-2号
                        令和6年5月17日

市民オンプズマン群馬 代表 小川 賢 様

             群馬県生活こども部生活こども課長  富澤 恵子

      ぐんま赤い糸プロジェクトに関する御質問について(回答)

 令和6年5月2日付けで御質問いただきました件につきまして、下記の通り回答いたします。

【質問1】当該行政サービスは、憲法や条例の趣旨に照らして是正する必要があるとお考えですか?必要の有無及びその理由をご教示ください。

【回答1】
・ぐんま赤い糸プロジェクト(通称「あいぷろ」)は、少子化の要因の一つである未婚化、晩婚化に社会全体で対応するため、結婚を希望しながらも出会いの機会の少ない独身の方に対し、出会いの機会を提供する事業として実施しています。
・本事業は、事業趣旨に賛同する協賛団体(民間企業や団体)がイベントを主催し、県がその情報を「群馬県結婚・子育て応援ポータルサイト『ぐんまスマイルライフ』」で広報するものであり、官民が連携して事業実施しています。
・具体的なイベント内容については、協賛団体において、多くの方に出会いの機会を提供できるよう、試行錯誤の上、決定されています。
・特に、近年は女性のイベント参加者が減少傾向であることから、出会いの機会を等しく参加者に提供するためには、女性の参加率を上げることが大きな課題となっています。イベント参加者へのアンケート調査によると、参加黄用に対する考えについて男女間に差があるため、女性の参加者を増やす1つの方策として、女性の参加費用の軽減措置が講じられています。こうした協賛団体による対応については、効果的なイベント実施の観点から一定の合理性があるものと考えられます。
・男女の参加費用に著しい差が生じないよう配慮しながら、効果的な実施のために、やむを得ず男女で異なる参加費を設定したイベントをあいぷろ事業として実施することは、男女に等しく出会いの機会を提供することや、より多くの出会いの機会を提供する点からも適当と考えています。

【質問2】出会いの場の企画・実施に際して、男女の参加費を同等に設定している企業・店舗等業者も少なからず存在していますが、こうした業者を「協賛団体」として選定することへの賛否およびその理由をご教示ください。

【回答2】
・あいぷろ事業の趣旨に賛同していただける協賛団体につきましては、毎年期間を設け募集を行っており、一定の基準に華づき協賛団体として登録しています。協賛団体において、婚活イベントをあいぷろ事業として実施する際には、男女の参加費用に著しい差が生じないよう参加費の設定をお願いしておりますので、同等に設定していただくことについては当然問題はございません。

                      生活こども課政策推進室
                      少子化対策係
                      TEL: 027-226-2392
**********

■ご覧の通り、生活こども課長名の文書は、当会の質問に対して面と向かおうとしない歯切れの悪い回答となっています。

 このため、5月22日付で、あらためて群馬県としての婚活サービス事業におけるジェンダーの観点から、参加費の男女差についての見解を求めるべく、次の再質問書を提出しました。

*****5/22県宛再質問書*****
                          令和6年5月22日
〒371-8570群馬県前橋市大手町1丁目1-1
群馬県知事 山本一太 様
(群馬県生活こども課少子化対策係 御中)
Tel:027-223-1111(代表) 027-226-2392(あいぷろ窓口) FAX:027-226-2100(生活こども課)

            〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
            市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
            TEL: 090-5302-8312(代表・小川)
            FAX: 027-224-6624(事務局)

   男女間差別のある群馬県の行政サービス是正について(再質問書)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。弊団体は、税金の無駄使いや行政の不正を追及する市民団体です。
 さて、本年5月2日付で表記に関する公開質問書を貴殿に提出したところ、5月17日付の生こ第30094-2号で「ぐんま赤い糸プロジェクトに関する御質問について(回答)」をFAXにて受信いたしました。
 当会の質問1「当該行政サービスは、憲法や条例の趣旨に照らして是正する必要があるとお考えですか?」について貴殿の回答は「協賛団体において、試行錯誤の上、イベント内容が決定されている」「女性の参加費用の軽減措置は、効果的なイベント実施の観点から一定の合理性がある」「異なる参加費を設定したイベントを(県の)事業として実施することは、より多くの出会いの機会を提供する点からも適当である」というものです。
 また当会の質問2「男女の参加費と同等に設定している業者も少なからず存在しているが、こうした業者の選定についてどういうお考えですか?」について、貴殿の回答は「男女の参加費用に著しい差が生じないように参加費の設定をお願いしており、同等に設定することは当然問題ない」というものです。
 貴殿の回答の意味するところは、「協賛団体に任せている」というものであり、群馬県の定めた「男女共同参画推進条例」の視点からの貴殿の見解を問うた当会の質問の要旨に照らして、違和感を禁じ得ません。
 たまたま5月14日から17日かけて、LINEの「群馬県デジタル窓口」から、直近の「あいぷろイベントの案内」を確認したところ、以下の企画すべてで、男女の参加料が異なっていました。
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23090/ 男性:4,000円 女性:2,000円
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23101/ 男性:2,000円 女性:1,000円
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23118/ 男性:6,000円 女性:3,000円
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23113/ 男性:2,000円 女性:1,000円
 そこで質問です。貴殿は、群馬県男女共同参画推進条例を自ら無視しているのではないでしょうか?そのため、直ちに条例に照らして、本件行政サービスの参加料を男女平等とすべきではないでしょうか?
 この質問に係る貴殿の見解をあらためてお聞かせください。なお公務多忙の折、誠に恐縮ですが、令和6年5月31日(金)必着で、上記連絡先まで文書あるいはFAXでご回答ください。
                             敬具
**********

 この再質問書の回答期限は5月31日とさせていただいておりましたが、こちらへの回答は、現時点で未だに届いておりません。

 群馬県には、今回の婚活にかかる行政サービスにおいても男女間に差別のないものを選定してもらうよう、引き続き申し入れてまいりたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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【磯貝不正側溝】住民監査請求を却下した安中市監査委員に情報開示請求!

2024-06-12 23:37:33 | 県内の税金無駄使い実態



安中市による破壊検査の結果集計表。全ての結果が「不可」となっている。鉄筋の径は規格よりも遥かに細く、バラツキがある上に縦方向の鉄筋は異型でなく単なる丸棒(出所:安中市)

■群馬県内の道路インフラの安全性の信頼を大きく損ねた磯貝建材による群馬県型側溝(GPU)の製品偽装問題は、その後も引き続きメディアが報じており、その衝撃は止みそうにありません。

**********朝日新聞デジタル2024年6月11日10:45
磯貝建材、自己破産申請へ 偽装側溝問題
 群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、偽装側溝を製造した磯貝建材(群馬県安中市)が事業停止し、自己破産申請の準備に入ったことがわかった。信用調査会社の帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は少なくとも2億円を超える見込み。
 同支店によると、磯貝建材は1937年創業。公共土木工事に使われるU字溝などのメーカーとして、2021年7月期には年売上高約8億4700万円を計上していた。
 だが昨年9月、県は同社の偽装側溝が県発注工事に使われていたことを公表した。2月に甘楽町の林道整備工事で品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかり、調査の結果、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認された。
 同社は問題発覚前にM&A(合併・買収)で経営陣が創業家から代わっており、偽装を始めた時期や理由について「3月の社長交代以前のことは分からない」と説明したとされる。
 偽装公表後、売り上げは激減。安中市発注工事でも偽装側溝が使われていたことが発覚するなど、先行きの見通しが立たないことから事業の継続を断念したという。(杉浦達朗)
**********

 この問題は、原因(真相)究明と責任の所在の明確化、そして再発防止策が重要ですが、道路インフラの安全性を担保するためには、規格通りの側溝に交換することが必要です。そのための費用は、責任の所在を明らかにすることで、当然原因者である製造者の磯貝建材が負担しなければならないはずです。また、検査を省略して不正の温床を助長させた群馬県にも責任の一端が問われるべきです。

 しかし、群馬県は未だに真相解明や責任の所在の明確化に二の足を踏んでおり、当会の情報開示請求にも極めて消極的です。そうした中、安中市が独自で非破壊検査と破壊検査を実施しました。これらは既に群馬県が実施していますが、なぜか、情報共有がなされていないようです。そのため、当会は、これ等の検査にかかる費用を安中市が負担するのではなく、群馬県が負担すべきであと考え、4月16日付で住民監査請求を行ない、6月6日付で監査結果通知が交付され、6月8日に配達記録付き郵便で届けられました。この経緯は、以下のブログ記事を参照ください。
○2024年6月10日:【磯貝不正側溝】県とは別に独自に非破壊・破壊検査を自前で実施した安中市に住民監査請求した結果、なんと「却下」

 ところが、このタイミングで、上記のとおり、磯貝建材が自己破産申請手続きを開始する準備を進めているとメディアが報じたのです。

 このままだと、側溝の取り換えに必要な費用が原因者から回収できなくなります。せめて、安中市が実施した非破壊検査・破壊検査の費用は、事前に群馬県からの検査結果の情報を得ていれば、余計な支出をせずに済んだわけで、本当に必要だったのかどうかを問うため、当会は住民監査請求をしたわけです。

 ところが、安中市監査委員は、「棄却」ではなく、あっさりと「却下」の判断を下して、当会の住民監査請求を切り捨ててしまいました。

■安中市監査委員2名のうち、田島龍一氏は、市内で公認会計士・税理士事務所を営んでいますが、その経歴たるや、目を見張るものがあります。

 ネット情報等によると、同氏は、安中市2丁目にある田島屋本店を実家にもち(事務所も同じ住所)、公認会計士・税理士の両方の国家資格を持ち、関東信越税理士会や安中ロータリークラブの会員です。新島学園から同志社大学経済学部に進み、在学中、1973年米国ホイットマン大学への留学を経て、同志社大を1974年に卒業後、1977年に監査法人サンワ東京丸の内事務所(現・有限責任監査法人トーマツ)へ入所し、6年間会計監査業務を担当、1982年に公認会計士登録を果たし、1983年、国際税務コンサルティング部に移り、国際税務・組織再編税務等に従事しました。1990年、勝島敏明税理士事務所(その後、税理士法人トーマツを経て、現・デロイト・トーマツ税理士法人)開設とともに転籍し、組織再編チームの長として海外から日本へ、及び日本から海外へのM&A税務デューデリジェンスや日本国内での合併・分割等の組織再編税務相談業務に従事し、税理士法人トーマツの代表社員を歴任しました。2008年に、実家に戻り、公認会計士・税理士田島龍一事務所を群馬県安中市に開設し、現在に至っています。

 もう一人の監査委員である高橋由信氏は、安中市議会議員で、現在8期目のベテランです。

 そのプロフィールを拝見すると、同氏は1956年、安中市岩井に生まれ、1975年、県立安中高等学校を卒業し、1953年に安中手話サークル設立とともに手話通訳及び指導を開始しました。1955年に安中市青年団連合会会長、第9回群馬県洋上大学への参加を経て、1988年に仲間と共に地域づくり団体「未来塾」を創立しました。1991年に安中市議会議員に初当選を果たし、2010年には安中市長選挙に立候補し次点となりました。その後再び市議に返り咲き、2022年に安中市議会副議長、2023年4月の安中市議会議員選挙で8期目の当選を果たして、現在、安中市監査委員、高崎安中消防組合監査委員、総務文教常任委員会委員として活動しています。この間、ボランティア歴47年の経験から、群馬県地域づくり協議会理事、地域づくり団体「未来塾」運営委員、安中聴覚障害者協会相談役、安中手話サークル役員手話検定2級取得の資格を有しています。

 このように、市議会から選任された高橋由信氏の監査委員としての資質や実績はともかく、税理士と公認会計士としての田島龍一氏の赫々たる経歴は、まさに監査委員の職能にふさわしいと言えるでしょう。

 なぜなら、税理士は税のスペシャリストとして、納税者に代わって確定申告や相続税申告を作成する「税務書類の作成」や税務調査の立ち合いを行う「税務代理」、様々な税金についての相談に回答する「税務相談」が主な業務として挙げられますが、「公平な税負担により、住みやすい豊かな暮らしを守ること」が税理士の社会的使命であるからです。

 また、公認会計士は、会計の専門家として、各国の制度によって業務の範囲と比重は異なるものの、共通して会計監査(財務諸表監査)を独占業務としています。主な業務には、財務情報が適正に表示されているかどうかについて、独立した立場から意見を表明する財務諸表監査が挙げられます。これは、上場会社などの社会的に影響力の大きい会社に義務付けられており、虚偽の財務情報によって投資者や債権者などの利害関係者が損害を被ることを防ぐための重要な役割を担っています。これは、行政に義務付けられた監査を、市民の目線で行う監査委員としての役割に合致するものです。

■そのため、当会では、今回の磯貝建材製の不正側溝にかかる実態調査として、非破壊検査と破壊検査を安中市が独自に支出したのは、果たして適切であったのかどうか、国際税会計コンサルティング業務に精通した田島龍一・監査委員であれば、しっかりと調査し、判断していただけるに違いないと期待していたのも事実です。

 だからこそ、たまたま、監査委員事務局で、5月の定例監査のため、出席した田島委員と高橋委員と話す機会があったので、非公式ながら口頭で、この住民監査請求の重要性を熱っぽく説いたのでした。

■しかし、誠に残念ながら、当会の住民監査請求は、門前払い同然の「却下」という結果に終わりました。そこで、今回の住民監査に関して、監査委員はどの程度のレベルの労力を費やして、監査業務を実施したのか、検証する必要性を感じ、6月10日に次の開示請求書を安中市監査委員あてに提出しました。

*****6/10安中市行政文書開示請求書*****
                        令和6年6月10日
           行政文書開示請求書
 安中市監査委員 田島龍一様・高橋由信様
                   郵便番号 379-0114
                   住  所 安中市野殿980
                   氏  名 小川 賢
                   電話番号 090-5302-8312
 安中市情報公開条例第6条第1項の規定により、次のとおり行政文書の開示を請求します。
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
 令和6年6月6日付安監委発第66001号「安中市職員措置請求書について(通知)」に関する次の情報。
①4月16日の請求書提出以降、現在に至るまで、監査委員2名がそれぞれ本件の監査に割いた時間
②本件の監査の過程で、ヒヤリングや聴取をした関係先(請求人のほか、副市長ら市幹部、契約検査係など関係市長部局関係者、群馬県県土整備部など知事部局関係者、市顧問弁護士など)
③本件の監査の過程で、請求人が提出した資料以外に、関係先から収集し、監査の判断に用いた文書があれば、それらの内訳(聴き取りメモも含む)
④地方自治法第242条第7項及び第8項に定める請求人の証拠の提出及び陳述と市長その他の執行機関又は職員(関係職員等)の陳述や同席について、どのように判断したのか、また、その根拠
**********

 当会では、この開示請求により、監査委員がどの程度、真剣にこの住民監査請求に取り組んだのかどうか検証したうえで、住民訴訟に踏み切るかどうか、検討する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報
**********JC-NET 2024年6月12日
磯貝建材(株)(群馬)/自己破産へ コンクリ二次製品鉄筋偽装 倒産要約版
 群馬に拠点をおく、磯貝建材(株)が自己破産の準備に入ったことが判明した。負債総額は約2億円。
 以下要約。
【倒産要約版 JC-NET版】
1 破綻企業名   磯貝建材(株)
2 本社地     群馬県安中市簗瀬620-1
3 代表      長谷川裕貢
4 設立      1937年4月.(昭和12年/業暦:87年)
5 資本金     1000万円
6 事業      コンクリ二次製品製造販売
          U字溝、歩道用ブロック、側溝蓋など
7 売上高     2021年7月期、約8.5億円
          2023年7月期、約4億円
8 破綻      2024年5月31日.
          事業停止/自己破産申請の準備中
9 委託弁護士   伊藤博昭弁護士(TH総合法律事務所)
          電話:03-6911-2500
10 裁判所     未定 
11 負債額     約2億円
12 破綻事由    同社はコンクリ二次製品メーカー。U字溝、歩道用ブロック、側溝、側溝蓋など製造していた。2023年3月に現代表が創業家から買収、しかし、同年に群馬県発注工事の側溝で県の指定以外の鉄筋が使用されていることが発覚、同年9月に県が40ヶ所で鉄筋の大きさなどに偽装があっとして公表し、同社の信用は失墜、受注は激減し、先行きの見通しも立たないことから、今回の事態に至った。追、買収前から鉄筋偽装が常態化していたようだ。
[2024年6月12日]

**********日経クロステック2024年05月21日
鉄筋偽装の側溝が40カ所判明、群馬県に続き安中市の発注工事でも
 群馬県安中市の建材メーカー、磯貝建材が鉄筋の太さなどを偽装したコンクリート製側溝を出荷していた問題で、市発注工事の40カ所で偽装製品が使われていたことが分かった。市が2024年5月10日に明らかにした。

安中市による破壊検査で、鉄筋の径が規格を満たしていないと判明した側溝(写真:安中市)
 磯貝建材の製品を巡っては群馬県が23年9月、県発注工事で偽装側溝が使われていたと発表している。群馬県型落蓋式側溝(GPU)として県の承認を受けていた同社製品が、規格を満たしていないと判明した。この発表を受け、安中市も市発注工事で偽装製品の使用について調査した。
 市が工事関係資料を残している過去5年間に施工した磯貝建材の側溝の延長は約3.1kmに上る。全ての工事区間を網羅するよう各区間から1~3カ所を抽出して非破壊検査を実施。計99カ所の検査箇所のうち、35カ所で鉄筋の径が規格を満たさないことが分かった。
 非破壊検査で判別できなかった偽装を見抜くため、市は残り64カ所から5カ所を選んで破壊検査を実施。その結果、5カ所全てで規格を満たさない鉄筋が見つかった。直径が規格では6.35mmのところ4mmしかなかった鉄筋を20本、4mmのところ3.2mmだった鉄筋を11本確認した。市は全ての箇所で偽装製品が使われている可能性が高いと見ている。

安中市が5カ所で実施した破壊検査の結果(出所:安中市)
(青野昌行)
**********
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