市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【仰天報道!】磯貝建材破産を「待ってました」とばかりにM&A承継SPCが破産…闇の連鎖が示す深淵!!

2024-06-23 16:42:10 | 県内の税金無駄使い実態

↑「磯貝建材を買収するために設立された投資目的会社」が破産したことを報じた6月18日上毛新聞朝刊

■5月31日をもって事業を停止し、自己破産申請準備中の磯貝建材ですが、昨年2月に同社のM&Aを仕掛けた事業承継JP1株式会社という特定目的会社が、後を追いかけるように、6月7日付で前橋地裁から自己破産開始決定を受けたことが、地元紙により報じられました。磯貝建材の自己破産については以下のブログ記事を参照ください。

〇2024年6月8日:【速報!】シナリオどおり?磯貝建材が破産手続開始…情報公開に及び腰の群馬県が示す隠蔽体質の悪質性

 さっそく上毛新聞の6月17日のWEB記事と同18日の朝刊記事を見てみましょう。殆ど同じ文章ですが、微妙に異なっていることがわかります。また、記事の中で「同社」という言葉が、どの事業者を指しているのか、曖昧であることが気にかかります。

**********上毛新聞2024年6月17日13:19
経営コンサルの事業承継JP1(群馬・前橋市)が破産 磯貝建材(安中市)の関連会社 負債3億6000万円
 経営コンサルティングの事業承継JP1(群馬県前橋市)が前橋地裁から破産開始決定を受けたことが17日、分かった。7日付。帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は約3億6000万円。
 同社は2022年12月、都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材(安中市)を買収するために設立した特定目的会社(SPC)。23年3月に買収し、同社から経営指導料を得ていた。
 しかし同年2月に磯貝建材が製造した側溝で、県が定める規格と異なる鉄筋が使われていた粗悪品が見つかった。調査の結果、偽装が判明。売り上げが激減して経営指導料が得られなくなり、資金繰りが行き詰まっていた。
 磯貝建材は24年5月末に事業を停止し、現在自己破産申請を準備している。事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れており、同社から破産を申し立てられていた。

**********上毛新聞2024年6月18日
磯貝建材を買収の事業承継JP1破産 負債3億6000万円
 経営コンサルティングの事業承継JP1(前橋市南町、福士裕社長)が前橋地裁から破産開始決定を受けたことが17日、分かった。7日付。帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は約3億6千万円。
 同社は2022年12月、都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材(安中市)を買収するために設立した特定目的会社(SPC)。23年3月に買収し、同社から経営指導料を得ていたが、同年2月に同社が製造した側溝で、県が定める規格と異なる鉄筋が使われていた粗悪品が見つかった。
 調査の結果、偽装が判明し、売り上げ激減に伴い経営指導料が得られず、資金繰りが行き詰まった。
 同社は今年5月末に事業を停止し、現在、自己破産申請を準備している。事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れており、同社から破産を申し立てられていた。
**********

■先日の磯貝建材の自己破産の時と同じように、国内の倒産情報・自己破産情報、政治・経済情報などを配信するニュースサイトが、この特定目的会社の破産について、17日に報じています。

**********JC-NET 2024年6月17日
事業承継JP1(株)/破産手続き開始決定 <群馬>
 「事業承継JP1(株)」は(群馬県前橋市南町3丁目***)に所在している企業です。
 同社は、令和6年(2024年)6月7日午前10時に前橋地裁民事部破産再生係にて破産手続きの開始決定を受けました。(官報より参照)
 この破産手続きに関しては、選任された金井勇樹弁護士が破産管財人として担当することが決定されています。
 同破産管財人によって行われる破産手続きに関して、債権者に対する届出期間が設定されています。この期間は、令和6年7月19日まで。また、財産状況に関する情報を報告するための調査も実施されます。この調査に関する報告集会や一般調査、廃止意見聴取、計算報告などの期日は、令和6年9月24日午後1時15分となっています。
 当該事件は、令和6年(2024年)に発生したもので、番号は(フ)第153号となっています。
**********

■立て続けに起きた破産の連鎖ですが、「事業承継JP1株式会社」とか「特定目的会社(SPC)」という普段聞きなれない言葉が並びます。そこで、報道その他を調べてみた結果をまとめてみました。

 まず「事業承継JP1株式会社」ですが、群馬県前橋市南町3丁目に所在していた経営コンサルティングの特定目的会社で、2022年12月に設立されましたが、2024年6月7日に破産手続きの開始決定を受けています。破産管財人として伊勢崎市太田町851-22の金井法律事務所の金井勇樹弁護士(電話0270-27-7288)が選任され、債権者に対する届出期間は2024年7月19日までと設定されており、財産状況に関する報告集会などの期日は2024年9月24日13:15予定ということまで決まっています。

 破産管財人として選任された金井勇樹弁護士が業務として取り扱う分野は、借金・債務整理、交通事故、離婚・男女問題、不動産・建築、遺産相続、労働問題、企業法務・顧問弁護士、犯罪・刑事事件、債権回収とあるので、債務整理に関わる本件を担当することになったようです。

■また、事業承継JP1株式会社の福士裕・社長のプロフィールは、LinkedIn等によると次のとおりとなっています。

福士裕CEO。LinkedInより。

 1987年に東京大学経済学部卒業後、同年に日本興業銀行(興銀とも呼ばれ、最末期の2000年からはみずほフィナンシャルグループの傘下に入り、みずほコーポレート銀行を経て、みずほ銀行の前身行の一つ)に入社し、1991年から93年にかけて米国カリフォルニア州立バークレー校でMBA取得後、興銀証券初期メンバーとして参画。当初は事業法人、金融法人向け外債仕組債営業に従事しました。

 2000年、みずほ証券に合併後は一貫して投資銀行業務を担当。DCM、ECM、シンジケーションを中心に資本市場における専門知識を蓄積するとともに、トータル12年にわたるロンドン、香港での数多くの日本企業によるクロスボーダー調達案件を通じた投資銀行業務経験を有し、加えて2011年にみずほ証券ロンドン現法副社長、2015年4月~16年3月にかけて同証券グローバル資本市場グループ長、2016年4月から17年3月までみずほ証券香港現法副会長と同証券シンガポール現法会長(17年9月まで)を歴任しました。

 その後、2017年4月からSBI証券投資銀行本部執行役員を経て、2019年12月20日にサザンクロス・キャピタル㈱を設立し代表取締役に就任しました(なお、同社は2022年10月26日に㈱ワイアールキャピタルに社名変更し、2024年3月6日に閉鎖登記)。そして、2022年5月には事業承継JAPAN㈱を立ち上げ、同年8月から同社代表取締役CEOを務めるとともに、㈱ワイアールパートナーズの代表取締役CEOも兼務するなど、通算で投資銀行ビジネスに30年以上従事して、現在に至っています。

サザンクロス・キャピタル㈱の第3期決算公告(令和3年12月31日現在)

 また、事業承継JAPAN株式会社(法人番号: 2010401167237、会社法人等番号:010401167237、本店所在地:〒160-0023東京都新宿区西新宿8丁目1番2号PMO西新宿3階)は、2022年5月9日に設立され、その直後の同年5月30日に本店所在地を東京都港区虎ノ門4丁目3番1号に変更しました。さらに同年8月24日に、本店所在地を東京都港区虎ノ門4丁目3番1号城山トラストタワー27階に移した後、2023年7月31日に東京都新宿区西新宿2丁目1番1号新宿三井ビルディング11階に変更しています。

 事業承継JAPAN㈱に関する情報は、上記以外はよくわかりません。しかし、事業承継は既にビジネスモデルとして、近年もてはやされています。たとえば、テレ朝の報道ステーションのスポンサーの一つとなっているM&Aキャピタルパートナーズ㈱があります。

 Wikipediaによると、同社は、2005年(平成17年)10月に設立され、事業内容はM&Aのアドバイザリーや仲介を主な業務とし、代表取締役社長は中村悟氏で、2022年9月30日現在の資本金は28億円、2022年9月期の売上高は207億6百万円(連結ベース、以下同様)、営業利益97億13百万円、経常利益97億66百万円、純利益67億94百万円、純資産325億98百万円、総資産399億13百万円(2022年9月期)、従業員数は連結で229名、単体で159名となっています。

 同社はM&A仲介大手として東証プライム市場上場企業で、その特徴として着手金無料、専門コンサルタントによる専任担当制を掲げており、より多くの企業がM&Aをひとつの選択肢として検討できる体制を整えていて、子会社には、日本のM&A業界の草分け的存在である株式会社レコフと株式会社レコフデータ、また、企業再生を得意とするみらいエフピー株式会社があり、グループによるシナジー(相乗)効果を効かせた様々な案件を取り扱っています。

■今回の磯貝建材を巡る“連鎖”倒産事件ですが、いろいろ不可解な点があります。まずはこの事件の時系列を見てみましょう。

 冒頭に示した報道記事の情報によれば、磯貝建材を巡るM&A(Mergers and Acquisitionsの略で、企業の合併や買収を指す。「合併」は二つ以上の企業が一つの企業になること、「買収」はある企業が別の企業を買うこと、「資本提携」も含まれることがある)の時系列は、次のとおりとなります。

●2022年12月
 都内の投資会社が磯貝建材を買収するために特定目的会社(SPC)として事業承継JP1㈱を設立した。
(※この「都内の投資会社」が買収後の磯貝建材の経営陣を指すのか、事業承継JP1㈱の社長の福士裕氏が経営する事業承継JAPAN㈱を指すのか、定かでない)

●2023年02月
 磯貝建材製造の側溝の偽装が、甘楽町における県営林道整備事業で発覚した。
(※当会は、この発覚から2023年9月1日の山本知事の偽装側溝調査結果の公表までの経緯について、2023年11月1日に県土整備部に情報開示請求をしているが、未だに側溝の規格に関するごく一部の情報が開示されただけで、発覚から県内の偽装側溝使用状況調査、破壊検査、非破壊検査など重要な情報は依然として不開示のまま)

●2023年03月
 都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材を買収した。買収に当たって、事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れた。買収後、事業承継JP1は「同社」から経営指導料を得ていた。
(※「都内の投資会社」とは、磯貝建材の現社長の長谷川裕貴氏が持っていた会社なのか、事業承継JP1のことなのか定かでない。また、「同社」とは、磯貝建材を指すと思われるが、そうすると、磯貝建材から経営指導料の名目で、カネが事業承継JP1に流れていたことになる)

●2024年05月
 同月末までに、磯貝建材が事業を停止した。JC-NETの倒産要約版によると、以下のとおり。
 破綻企業名:磯貝建材(株)
 本社地  :群馬県安中市簗瀬620-1
 代表   :長谷川裕貢
 設立   :1937年4月(昭和12年/業暦:87年)
 資本金  :1000万円
 事業   :コンクリ二次製品製造販売(U字溝、歩道用ブロック、側溝蓋など)
 売上高  :2021年7月期、約8.5億円
       2023年7月期、約4億円
 破綻   :2024年5月31日、事業停止/自己破産申請の準備中
 委託弁護士:伊藤博昭弁護士(TH総合法律事務所)、電話:03-6911-2500
 裁判所  :未定
 負債額  :約2億円
 破綻事由 :同社はコンクリ二次製品メーカー。U字溝、歩道用ブロック、側溝、側溝蓋など製造していた。2023年3月に現代表が創業家から買収、しかし、同年に群馬県発注工事の側溝で県の指定以外の鉄筋が使用されていることが発覚、同年9月に県が40ヶ所で鉄筋の大きさなどに偽装があったとして公表し、同社の信用は失墜、受注は激減し、先行きの見通しも立たないことから、今回の事態に至った。追、買収前から鉄筋偽装が常態化していたようだ。

●2024年06月
 群馬県前橋市南町3丁目にある事業承継JP1㈱が、6月7日午前10時に前橋地裁民事部破産再生係で破産手続きの開始決定を次のとおり受けた。
 令和6年(フ)第153号
 債務者  事業承継JP1株式会社(群馬県前橋市南町)
 1 決定年月日時 令和6年6月7日午前10時
 2 主文 債務者について破産手続を開始する。
 3 破産管財人 弁護士 金井勇樹
 4 破産債権の届出期間令和6年7月19日まで
 5 財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和6年9月24日午後1時15分
 前橋地方裁判所民事部破産再生係

■以上の一連の時系列の流れを見ると、いくつかの疑問が沸いてきます。

【疑問1】
 2023年2月に偽装側溝が公共事業で使われていたことが発覚したのに、なぜ、翌月の3月に事業継承JP1と長谷川裕貴氏はM&Aを実行したのか? 

【疑問2】
 群馬県県土整備部は2023年2月の甘楽町での林道工事で発覚した磯貝建材製造の偽装側溝について2023年9月1日の山本一太知事による記者発表までこの事件を公表しなかったが、県土整備部内では情報共有されていたはず。他方で、磯貝建材の創業者一族である旧・経営者や工場長ら幹部らは、昔から不正な側溝を製造し納入していたことは自覚していたはず。ひょっとして、偽装製品がバレるリスクを想定して、М&Aによる事業売却を企て、実際に県にバレたため、急遽、売却に踏み切ったのではないか?

【疑問3】
 となると、2023年2月の磯貝建材製の偽装側溝が甘楽町の林道現場で発覚し、それが県土整備部で共有された際に、何らかのルートにより磯貝建材の旧・経営者らに、その情報が伝えられたのではないか?

【疑問4】
 そうすると、群馬県が2023年2月に甘楽町での林道工事で磯貝建材製の偽装側溝発覚から、同年9月1日の山本知事による本件の記者発表までの経緯を示す公文書開示請求を、当会が11月1日に行ったところ、いまだに県土整備部が開示を拒んでいるところから、上記の疑問1から3について、当会をはじめ納税者・県民に知られると困ることがあるのではないか?

■この数年来、М&A(企業の合併・買収)は中小企業の事業を継承する有力な手段として脚光を浴び、それをビジネスモデルとして手掛けるM&A仲介各社は急成長してきました。それと共に、M&Aに絡む事件も最近メディアを賑わすようになっています。


一般的なM&Aの手順の流れ。

 たとえば、日本M&Aセンターホールディングス(HD)は、業界を切り開いたパイオニアであり、シェアトップですが、同社は2021年12月に売上高に関する不適切会計が発覚し、それをきっかけに、急成長を支えてきた有力幹部が次々と退職するなどして、同社の体力は急速に弱まりました。

 モルフォ事件は、今から9年前の2015年12月に、画像処理およびAI(人工知能)技術の研究・製品開発型企業の㈱モルフォが、デンソーと業務提携すると公表した際、㈱モルフォの役員及び社員らが、この重要事実を事前に知り、同年10月に従業員持ち株会への拠出金を増額するなど、インサイダー取引をしたとして、証券取引等監視委員会から課徴金納付命令の勧告を受けました。

■このように、M&Aは影の部分も背負っていることが分かります。今回の磯貝建材の事件は、単なる側溝の偽装ではなく、M&Aを偽装した前代未聞の「経済の大事件」となる展開を孕んでおり、29年前、安中市土地開発公社を舞台とした忌まわしい大事件、すなわち、安中市民が今での「タゴ51億円事件」として語り継ぐ、空前絶後の巨額詐欺横領事件に匹敵する可能性すら予感させます。

 タゴ事件では、安中市役所・土地開発公社をはじめ、市長ら歴代幹部、上司、同僚、家族、親戚縁者、骨董屋、地元事業者、愛人、ヤクザ、政治家、群馬銀行、甘楽信金、群馬県企業局らが複雑多岐に絡んでおり、当会は、共同正犯の存在を、さまざまな証拠を入手して警察に通報しました。ところが最終的に、警察は、元職員の単独犯行と認定して幕引きしました。

 疑獄事件とは、犯罪事実が曖昧な事件を指す言葉であり、政・官・財界に波及する利権関係事件の総称として使われる呼び方です。同時に、多額の贈収賄事件を指すことが多く、役所の幹部らが絡んでいると思われる事件が該当します。

 この意味で、安中市のタゴ51億円事件は、決して犯罪事実が曖昧ではなく、その証拠は警察の捜査でも山ほど集まったはずですが、なぜか大疑獄事件には発展しませんでした。

■しかし、この磯貝建材を巡っては、同社はもとより、M&A仲介者・投資会社、群馬県県土整備部、安中土木事務所、安中市幹部、地元金融機関、地元コンサル会社、埼玉県コンクリート製品協同組合など、多数の幅広い分野の登場人物を巻き込んでおり、「大疑獄事件」に発展するかどうかは、ひとえに捜査当局の出方次第と言えます。

 29年前のタゴ51億円事件では、結局、タゴと共犯同然の群馬銀行に対して、安中市は土地開発公社の連帯保証人として、毎年2000万円ずつ、あと78年間かけて15億5千万円を和解金の名目で返済するハメになりました。

 今回の磯貝建材を巡る偽装側溝事件では、長年にわたる偽装側溝の製造と出荷により、巨額の不当利得をマネーロンダリングすべく、M&Aという新手の手法が使われており、はやくも連鎖倒産のかたちで、資金洗浄する動きが表面化しました。

■今後の動きは、引き続き予断を許しませんが、当会の奮闘空しく29年前に元職員の単独犯行として不発に終わったタゴ51億円事件の教訓を生かして、積極的に警察や検察への告発や、住民監査請求による住民訴訟などの手段を活用して、真相の究明、責任の明確化、そして再発の防止をはかってまいりたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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ぐんま赤い糸プロジェクト参加費の男女差について、群馬県に公開質問した回答結果…!?

2024-06-13 11:54:54 | 県内の税金無駄使い実態

ぐんま赤い糸プロジェクト(通称:あいぷろ)/ぐんまスマイルライフのロゴ・マーク

■4月下旬に当会事務局に、県内在住の40代男性の方から電話を頂きました。

 男性の話によると、群馬県が提供している行政サービスで「ぐんま赤い糸プロジェクト」というサービスを利用し、婚活パーティに参加しようと考えて、先日「群馬県デジタル窓口」内で「LINE版あいぷろ通信」に登録し、その婚活パーティの開催日程などを通知してもらえるようにしたそうです。

 そして、その後、パーティ開催の通知が男性に届いたので、さっそく内容を確認し、参加しようと思ったところ、そのパーティの詳細を確認すると、男性と女性の間で参加費用に差があることに疑問を抱き、男性は参加するのを断念したとのことです。

 男性は、参加を断念した理由について、次の考えを示しました。

(1)公では法の元に平等で、公では性別による差別はされないと謳っていること。
(2)すなわち、憲法の第14条「国民は法の下に平等で性別などの社会的関係において差別されない」に基づいた関連法令に関する基本理念であること。(3)また、群馬県でもその関係法令に基づき群馬県男女共同参画推進条例が制定されていること。
(4)にも関わらず、県(公)の名前のお墨付きの婚活事業なのに、男女間で参加費用に差がある民間のサービスを提供しているのは、矛盾しており、強い違和感を禁じ得ないこと。
(5)実際に、婚活の参加費が男子6000円で女子4000円とか。男子3000円で女子2000円というふうに男女差を設けていること。
(6)群馬県の担当者に理由を尋ねたところ、「女子の参加が少ない傾向があるので、少し安くして女子の参加を促している」という趣旨の説明をしていること。

 そして「ついては、この婚活サービス提供事業に関して、調査していただき、サービスを是正するよう、当局と話していただけますと幸いです」という要請をいただきました。

■この相談事案について、当会会員の皆さんの間でも、以下に示す通り、さまざまな意見が示されました。

・憲法14条には「絶対的平等」の他に「相対的平等」がある。相対的平等とは何が何でも平等にするのではなく、各人の性別、能力、年齢、財産、職業などの種々の差異を前提として、同一の事情と条件の下では均等に取り扱うことである。

・これを婚活パーティに当てはめて考えた場合、いわゆる「かわいい」女子の参加料は500円で、そうでない女子の参加料は1000円とするのはダメだが、婚活パーティのニーズの差からくる男女間の参加人数の違いから、女子1000円で、男子3000円という差を設けることには合理性があるので、群馬県の説明は一概に違憲性は問えないのではないか。

・例えば、趣旨目的は異なるかもしれないが、「学割」や「60歳以上無料」などと同類という気がしないでもない。

・確かに、この問題については、民間業者が婚活パーティを主催する場合は、それぞれの主催者がターゲットとする男子、女子のカップル成立の戦略により、相対的平等でもよいと思われる。

・しかし、行政が主導して行う場合は、やはり会費を同じにする方が合理的である。なぜなら、相談者が言うように「県が群馬県男女共同参画推進条例を制定しているにも関わらず、県(公)の名前のお墨付きで男女間で参加費用に差がある民間のサービスを提供しているのは矛盾している」という主張は、筋が通っていると思われるからだ。

・実際に、下記のURLなどで調べてみると、男女間で参加費用に差のない婚活パーティを開催しているケースもある。
※参考にしたURL↓
○男女平等なのに…? 「婚活パーティー」の参加費、なぜ男性の方が高い? | オトナンサー (otonanswer.jp)
○婚活パーティーで男性の参加費が高いのは男性差別?その理由や弊害は?|アラフォー男性の結婚応援団~うまくいかない婚活にサヨナラ (arafour-kekkon.com)
○婚活パーティーの参加費が女性より男性が高い理由(男性差別、少子化)<生きる知恵ブログ> - 生きる知恵 (ikiruchie.com)
他多数。

・したがって、行政が主導するからには、行政が定めた条例の趣旨に反するような形での婚活パーティ等のサービスを提供する業者を行政自身が県民に対して紹介する事業は、矛盾しているという相談者の指摘には一定の合理性があると思える。

 こうした当会会員の忌憚のない見解をまとめた結果、群馬県には、行政が主体となって婚活サービスを行う場合はもとより、業務委託のかたちで「赤い糸」事業を民間の力を借りて推進するのであれば、婚活男女間で参加費用に差のない婚活イベントやサービスを提供する業者を対象にすべきだというふうに申し入れるのがよいのではないか、という方針を当会として確認しました。

 なぜなら、当会のオンブズマン活動の行動規範に照らして、活動目的である①税金の無駄遣い、②行政の不当な権限の行使による県民の不利益の是正の観点に合致すると考えられるからです。そのため、知事あてに次の公開質問を行い、県側の見解を問い、その結果を公表することにしました。

*****5/2県知事宛公開質問*****
                       令和6年5月2日
〒371-8570群馬県前橋市大手町1丁目1-1
群馬県知事 山本一太 様
(群馬県生活こども課少子化対策係 御中)
Tel:027-223-1111(代表) 027-226-2392(あいぷろ窓口) FAX:027-226-2100(生活こども課)

            〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
            市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
            TEL: 090-5302-8312(代表・小川)
            FAX: 027-224-6624(事務局)

   男女間差別のある群馬県の行政サービス是正について(公開質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。
 さて、本年4月24日に当会事務局に、県内在住の40代男性のかたから、次の内容の相談が寄せられました。
  「私は、群馬県の行政サービスで『ぐんま赤い糸プロジェクト』)、というサービスを利用し婚活パーティに参加しようと考えています。先日『群馬県デジタル窓口』内で『LINE版あいぷろ通信』、というものに登録し、その婚活パーティの開催日程などを通知してもらえるようにしました。
   ある日、その通知内容を確認し参加しようと思ったところ、そのパーティの詳細を確認すると男性と女性の間で参加費用に差があることに疑問を抱き、参加するのをやめました。理由は以下となります。
   ①公では法の元に平等で、公では性別による差別はされないと謳っております。
   ②憲法第14条も「国民は法の下に平等で性別などの社会的関係において差別されない」と定めており、その関連法令もあります。
   ③群馬県でもその関係法令に基づき群馬県男女共同参画推進条例というものが制定されています。
   ④にも関わらず、県(公)の名前のお墨付きで、男女間で参加費用に差がある民間のサービスを提供しているのは如何なものなのか?矛盾しているのではないか?」
 この相談内容について、当会で協議した結果、群馬県に行政サービスの適否や改善の要否について、確認が必要との結論に至りました。つきましては、本件行政サービスに関する以下の質問に係る貴殿の見解をお聞かせください。なお公務多忙の折、誠に恐縮ですが、令和6年5月17日(金)必着で、上記連絡先まで文書あるいはFAXでご回答ください。
【質問1】当該行政サービスは、憲法や条例の趣旨に照らして是正する必要があるとお考えですか?必要の有無およびその理由をご教示ください。
【質問2】出会いの場の企画・実施に際して、男女の参加費を同等に設定している企業・店舗等業者も少なからず存在していますが、こうした業者を「協賛団体」として選定することへの賛否およびその理由をご教示ください。
                               敬具
**********

 すると、5月22日付で、次の回答が届きました。

*****5/17県からの回答FAX*****
05.17 17:19 群馬県こども政策課  0272262100 #9683 P 1/3    1

       FAX送信票
               群馬県生活こども部生活こども課
                TEL 027-226-2392
                FAX O27-226-2100
令和6年5月17日  送信枚数 3(送信票を含む)
宛先:市民オンブズマン群馬代表 小川 賢 様 (027-224-6624)
発信者:群馬県生活こども部生活こども課 政策推進室少子化対策係
件名:当課へお寄せいただいた御質問への回答について
内容:
 日頃より、群馬県行政にご理解ご協力を賜り、ありがとうございます。
 さて、過日当課あてにFAXにてお送りいただきました御質間について、別添のとおり回答いたしますので、ご査収の程よろしくお願いします。


=====別添=====




                        (公印省略)
                        生こ第30094-2号
                        令和6年5月17日

市民オンプズマン群馬 代表 小川 賢 様

             群馬県生活こども部生活こども課長  富澤 恵子

      ぐんま赤い糸プロジェクトに関する御質問について(回答)

 令和6年5月2日付けで御質問いただきました件につきまして、下記の通り回答いたします。

【質問1】当該行政サービスは、憲法や条例の趣旨に照らして是正する必要があるとお考えですか?必要の有無及びその理由をご教示ください。

【回答1】
・ぐんま赤い糸プロジェクト(通称「あいぷろ」)は、少子化の要因の一つである未婚化、晩婚化に社会全体で対応するため、結婚を希望しながらも出会いの機会の少ない独身の方に対し、出会いの機会を提供する事業として実施しています。
・本事業は、事業趣旨に賛同する協賛団体(民間企業や団体)がイベントを主催し、県がその情報を「群馬県結婚・子育て応援ポータルサイト『ぐんまスマイルライフ』」で広報するものであり、官民が連携して事業実施しています。
・具体的なイベント内容については、協賛団体において、多くの方に出会いの機会を提供できるよう、試行錯誤の上、決定されています。
・特に、近年は女性のイベント参加者が減少傾向であることから、出会いの機会を等しく参加者に提供するためには、女性の参加率を上げることが大きな課題となっています。イベント参加者へのアンケート調査によると、参加黄用に対する考えについて男女間に差があるため、女性の参加者を増やす1つの方策として、女性の参加費用の軽減措置が講じられています。こうした協賛団体による対応については、効果的なイベント実施の観点から一定の合理性があるものと考えられます。
・男女の参加費用に著しい差が生じないよう配慮しながら、効果的な実施のために、やむを得ず男女で異なる参加費を設定したイベントをあいぷろ事業として実施することは、男女に等しく出会いの機会を提供することや、より多くの出会いの機会を提供する点からも適当と考えています。

【質問2】出会いの場の企画・実施に際して、男女の参加費を同等に設定している企業・店舗等業者も少なからず存在していますが、こうした業者を「協賛団体」として選定することへの賛否およびその理由をご教示ください。

【回答2】
・あいぷろ事業の趣旨に賛同していただける協賛団体につきましては、毎年期間を設け募集を行っており、一定の基準に華づき協賛団体として登録しています。協賛団体において、婚活イベントをあいぷろ事業として実施する際には、男女の参加費用に著しい差が生じないよう参加費の設定をお願いしておりますので、同等に設定していただくことについては当然問題はございません。

                      生活こども課政策推進室
                      少子化対策係
                      TEL: 027-226-2392
**********

■ご覧の通り、生活こども課長名の文書は、当会の質問に対して面と向かおうとしない歯切れの悪い回答となっています。

 このため、5月22日付で、あらためて群馬県としての婚活サービス事業におけるジェンダーの観点から、参加費の男女差についての見解を求めるべく、次の再質問書を提出しました。

*****5/22県宛再質問書*****
                          令和6年5月22日
〒371-8570群馬県前橋市大手町1丁目1-1
群馬県知事 山本一太 様
(群馬県生活こども課少子化対策係 御中)
Tel:027-223-1111(代表) 027-226-2392(あいぷろ窓口) FAX:027-226-2100(生活こども課)

            〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
            市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
            TEL: 090-5302-8312(代表・小川)
            FAX: 027-224-6624(事務局)

   男女間差別のある群馬県の行政サービス是正について(再質問書)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。弊団体は、税金の無駄使いや行政の不正を追及する市民団体です。
 さて、本年5月2日付で表記に関する公開質問書を貴殿に提出したところ、5月17日付の生こ第30094-2号で「ぐんま赤い糸プロジェクトに関する御質問について(回答)」をFAXにて受信いたしました。
 当会の質問1「当該行政サービスは、憲法や条例の趣旨に照らして是正する必要があるとお考えですか?」について貴殿の回答は「協賛団体において、試行錯誤の上、イベント内容が決定されている」「女性の参加費用の軽減措置は、効果的なイベント実施の観点から一定の合理性がある」「異なる参加費を設定したイベントを(県の)事業として実施することは、より多くの出会いの機会を提供する点からも適当である」というものです。
 また当会の質問2「男女の参加費と同等に設定している業者も少なからず存在しているが、こうした業者の選定についてどういうお考えですか?」について、貴殿の回答は「男女の参加費用に著しい差が生じないように参加費の設定をお願いしており、同等に設定することは当然問題ない」というものです。
 貴殿の回答の意味するところは、「協賛団体に任せている」というものであり、群馬県の定めた「男女共同参画推進条例」の視点からの貴殿の見解を問うた当会の質問の要旨に照らして、違和感を禁じ得ません。
 たまたま5月14日から17日かけて、LINEの「群馬県デジタル窓口」から、直近の「あいぷろイベントの案内」を確認したところ、以下の企画すべてで、男女の参加料が異なっていました。
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23090/ 男性:4,000円 女性:2,000円
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23101/ 男性:2,000円 女性:1,000円
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23118/ 男性:6,000円 女性:3,000円
https://smilelife.pref.gunma.jp/encounter/event/23113/ 男性:2,000円 女性:1,000円
 そこで質問です。貴殿は、群馬県男女共同参画推進条例を自ら無視しているのではないでしょうか?そのため、直ちに条例に照らして、本件行政サービスの参加料を男女平等とすべきではないでしょうか?
 この質問に係る貴殿の見解をあらためてお聞かせください。なお公務多忙の折、誠に恐縮ですが、令和6年5月31日(金)必着で、上記連絡先まで文書あるいはFAXでご回答ください。
                             敬具
**********

 この再質問書の回答期限は5月31日とさせていただいておりましたが、こちらへの回答は、現時点で未だに届いておりません。

 群馬県には、今回の婚活にかかる行政サービスにおいても男女間に差別のないものを選定してもらうよう、引き続き申し入れてまいりたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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【磯貝不正側溝】住民監査請求を却下した安中市監査委員に情報開示請求!

2024-06-12 23:37:33 | 県内の税金無駄使い実態



安中市による破壊検査の結果集計表。全ての結果が「不可」となっている。鉄筋の径は規格よりも遥かに細く、バラツキがある上に縦方向の鉄筋は異型でなく単なる丸棒(出所:安中市)

■群馬県内の道路インフラの安全性の信頼を大きく損ねた磯貝建材による群馬県型側溝(GPU)の製品偽装問題は、その後も引き続きメディアが報じており、その衝撃は止みそうにありません。

**********朝日新聞デジタル2024年6月11日10:45
磯貝建材、自己破産申請へ 偽装側溝問題
 群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、偽装側溝を製造した磯貝建材(群馬県安中市)が事業停止し、自己破産申請の準備に入ったことがわかった。信用調査会社の帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は少なくとも2億円を超える見込み。
 同支店によると、磯貝建材は1937年創業。公共土木工事に使われるU字溝などのメーカーとして、2021年7月期には年売上高約8億4700万円を計上していた。
 だが昨年9月、県は同社の偽装側溝が県発注工事に使われていたことを公表した。2月に甘楽町の林道整備工事で品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかり、調査の結果、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認された。
 同社は問題発覚前にM&A(合併・買収)で経営陣が創業家から代わっており、偽装を始めた時期や理由について「3月の社長交代以前のことは分からない」と説明したとされる。
 偽装公表後、売り上げは激減。安中市発注工事でも偽装側溝が使われていたことが発覚するなど、先行きの見通しが立たないことから事業の継続を断念したという。(杉浦達朗)
**********

 この問題は、原因(真相)究明と責任の所在の明確化、そして再発防止策が重要ですが、道路インフラの安全性を担保するためには、規格通りの側溝に交換することが必要です。そのための費用は、責任の所在を明らかにすることで、当然原因者である製造者の磯貝建材が負担しなければならないはずです。また、検査を省略して不正の温床を助長させた群馬県にも責任の一端が問われるべきです。

 しかし、群馬県は未だに真相解明や責任の所在の明確化に二の足を踏んでおり、当会の情報開示請求にも極めて消極的です。そうした中、安中市が独自で非破壊検査と破壊検査を実施しました。これらは既に群馬県が実施していますが、なぜか、情報共有がなされていないようです。そのため、当会は、これ等の検査にかかる費用を安中市が負担するのではなく、群馬県が負担すべきであと考え、4月16日付で住民監査請求を行ない、6月6日付で監査結果通知が交付され、6月8日に配達記録付き郵便で届けられました。この経緯は、以下のブログ記事を参照ください。
○2024年6月10日:【磯貝不正側溝】県とは別に独自に非破壊・破壊検査を自前で実施した安中市に住民監査請求した結果、なんと「却下」

 ところが、このタイミングで、上記のとおり、磯貝建材が自己破産申請手続きを開始する準備を進めているとメディアが報じたのです。

 このままだと、側溝の取り換えに必要な費用が原因者から回収できなくなります。せめて、安中市が実施した非破壊検査・破壊検査の費用は、事前に群馬県からの検査結果の情報を得ていれば、余計な支出をせずに済んだわけで、本当に必要だったのかどうかを問うため、当会は住民監査請求をしたわけです。

 ところが、安中市監査委員は、「棄却」ではなく、あっさりと「却下」の判断を下して、当会の住民監査請求を切り捨ててしまいました。

■安中市監査委員2名のうち、田島龍一氏は、市内で公認会計士・税理士事務所を営んでいますが、その経歴たるや、目を見張るものがあります。

 ネット情報等によると、同氏は、安中市2丁目にある田島屋本店を実家にもち(事務所も同じ住所)、公認会計士・税理士の両方の国家資格を持ち、関東信越税理士会や安中ロータリークラブの会員です。新島学園から同志社大学経済学部に進み、在学中、1973年米国ホイットマン大学への留学を経て、同志社大を1974年に卒業後、1977年に監査法人サンワ東京丸の内事務所(現・有限責任監査法人トーマツ)へ入所し、6年間会計監査業務を担当、1982年に公認会計士登録を果たし、1983年、国際税務コンサルティング部に移り、国際税務・組織再編税務等に従事しました。1990年、勝島敏明税理士事務所(その後、税理士法人トーマツを経て、現・デロイト・トーマツ税理士法人)開設とともに転籍し、組織再編チームの長として海外から日本へ、及び日本から海外へのM&A税務デューデリジェンスや日本国内での合併・分割等の組織再編税務相談業務に従事し、税理士法人トーマツの代表社員を歴任しました。2008年に、実家に戻り、公認会計士・税理士田島龍一事務所を群馬県安中市に開設し、現在に至っています。

 もう一人の監査委員である高橋由信氏は、安中市議会議員で、現在8期目のベテランです。

 そのプロフィールを拝見すると、同氏は1956年、安中市岩井に生まれ、1975年、県立安中高等学校を卒業し、1953年に安中手話サークル設立とともに手話通訳及び指導を開始しました。1955年に安中市青年団連合会会長、第9回群馬県洋上大学への参加を経て、1988年に仲間と共に地域づくり団体「未来塾」を創立しました。1991年に安中市議会議員に初当選を果たし、2010年には安中市長選挙に立候補し次点となりました。その後再び市議に返り咲き、2022年に安中市議会副議長、2023年4月の安中市議会議員選挙で8期目の当選を果たして、現在、安中市監査委員、高崎安中消防組合監査委員、総務文教常任委員会委員として活動しています。この間、ボランティア歴47年の経験から、群馬県地域づくり協議会理事、地域づくり団体「未来塾」運営委員、安中聴覚障害者協会相談役、安中手話サークル役員手話検定2級取得の資格を有しています。

 このように、市議会から選任された高橋由信氏の監査委員としての資質や実績はともかく、税理士と公認会計士としての田島龍一氏の赫々たる経歴は、まさに監査委員の職能にふさわしいと言えるでしょう。

 なぜなら、税理士は税のスペシャリストとして、納税者に代わって確定申告や相続税申告を作成する「税務書類の作成」や税務調査の立ち合いを行う「税務代理」、様々な税金についての相談に回答する「税務相談」が主な業務として挙げられますが、「公平な税負担により、住みやすい豊かな暮らしを守ること」が税理士の社会的使命であるからです。

 また、公認会計士は、会計の専門家として、各国の制度によって業務の範囲と比重は異なるものの、共通して会計監査(財務諸表監査)を独占業務としています。主な業務には、財務情報が適正に表示されているかどうかについて、独立した立場から意見を表明する財務諸表監査が挙げられます。これは、上場会社などの社会的に影響力の大きい会社に義務付けられており、虚偽の財務情報によって投資者や債権者などの利害関係者が損害を被ることを防ぐための重要な役割を担っています。これは、行政に義務付けられた監査を、市民の目線で行う監査委員としての役割に合致するものです。

■そのため、当会では、今回の磯貝建材製の不正側溝にかかる実態調査として、非破壊検査と破壊検査を安中市が独自に支出したのは、果たして適切であったのかどうか、国際税会計コンサルティング業務に精通した田島龍一・監査委員であれば、しっかりと調査し、判断していただけるに違いないと期待していたのも事実です。

 だからこそ、たまたま、監査委員事務局で、5月の定例監査のため、出席した田島委員と高橋委員と話す機会があったので、非公式ながら口頭で、この住民監査請求の重要性を熱っぽく説いたのでした。

■しかし、誠に残念ながら、当会の住民監査請求は、門前払い同然の「却下」という結果に終わりました。そこで、今回の住民監査に関して、監査委員はどの程度のレベルの労力を費やして、監査業務を実施したのか、検証する必要性を感じ、6月10日に次の開示請求書を安中市監査委員あてに提出しました。

*****6/10安中市行政文書開示請求書*****
                        令和6年6月10日
           行政文書開示請求書
 安中市監査委員 田島龍一様・高橋由信様
                   郵便番号 379-0114
                   住  所 安中市野殿980
                   氏  名 小川 賢
                   電話番号 090-5302-8312
 安中市情報公開条例第6条第1項の規定により、次のとおり行政文書の開示を請求します。
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
 令和6年6月6日付安監委発第66001号「安中市職員措置請求書について(通知)」に関する次の情報。
①4月16日の請求書提出以降、現在に至るまで、監査委員2名がそれぞれ本件の監査に割いた時間
②本件の監査の過程で、ヒヤリングや聴取をした関係先(請求人のほか、副市長ら市幹部、契約検査係など関係市長部局関係者、群馬県県土整備部など知事部局関係者、市顧問弁護士など)
③本件の監査の過程で、請求人が提出した資料以外に、関係先から収集し、監査の判断に用いた文書があれば、それらの内訳(聴き取りメモも含む)
④地方自治法第242条第7項及び第8項に定める請求人の証拠の提出及び陳述と市長その他の執行機関又は職員(関係職員等)の陳述や同席について、どのように判断したのか、また、その根拠
**********

 当会では、この開示請求により、監査委員がどの程度、真剣にこの住民監査請求に取り組んだのかどうか検証したうえで、住民訴訟に踏み切るかどうか、検討する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報
**********JC-NET 2024年6月12日
磯貝建材(株)(群馬)/自己破産へ コンクリ二次製品鉄筋偽装 倒産要約版
 群馬に拠点をおく、磯貝建材(株)が自己破産の準備に入ったことが判明した。負債総額は約2億円。
 以下要約。
【倒産要約版 JC-NET版】
1 破綻企業名   磯貝建材(株)
2 本社地     群馬県安中市簗瀬620-1
3 代表      長谷川裕貢
4 設立      1937年4月.(昭和12年/業暦:87年)
5 資本金     1000万円
6 事業      コンクリ二次製品製造販売
          U字溝、歩道用ブロック、側溝蓋など
7 売上高     2021年7月期、約8.5億円
          2023年7月期、約4億円
8 破綻      2024年5月31日.
          事業停止/自己破産申請の準備中
9 委託弁護士   伊藤博昭弁護士(TH総合法律事務所)
          電話:03-6911-2500
10 裁判所     未定 
11 負債額     約2億円
12 破綻事由    同社はコンクリ二次製品メーカー。U字溝、歩道用ブロック、側溝、側溝蓋など製造していた。2023年3月に現代表が創業家から買収、しかし、同年に群馬県発注工事の側溝で県の指定以外の鉄筋が使用されていることが発覚、同年9月に県が40ヶ所で鉄筋の大きさなどに偽装があっとして公表し、同社の信用は失墜、受注は激減し、先行きの見通しも立たないことから、今回の事態に至った。追、買収前から鉄筋偽装が常態化していたようだ。
[2024年6月12日]

**********日経クロステック2024年05月21日
鉄筋偽装の側溝が40カ所判明、群馬県に続き安中市の発注工事でも
 群馬県安中市の建材メーカー、磯貝建材が鉄筋の太さなどを偽装したコンクリート製側溝を出荷していた問題で、市発注工事の40カ所で偽装製品が使われていたことが分かった。市が2024年5月10日に明らかにした。

安中市による破壊検査で、鉄筋の径が規格を満たしていないと判明した側溝(写真:安中市)
 磯貝建材の製品を巡っては群馬県が23年9月、県発注工事で偽装側溝が使われていたと発表している。群馬県型落蓋式側溝(GPU)として県の承認を受けていた同社製品が、規格を満たしていないと判明した。この発表を受け、安中市も市発注工事で偽装製品の使用について調査した。
 市が工事関係資料を残している過去5年間に施工した磯貝建材の側溝の延長は約3.1kmに上る。全ての工事区間を網羅するよう各区間から1~3カ所を抽出して非破壊検査を実施。計99カ所の検査箇所のうち、35カ所で鉄筋の径が規格を満たさないことが分かった。
 非破壊検査で判別できなかった偽装を見抜くため、市は残り64カ所から5カ所を選んで破壊検査を実施。その結果、5カ所全てで規格を満たさない鉄筋が見つかった。直径が規格では6.35mmのところ4mmしかなかった鉄筋を20本、4mmのところ3.2mmだった鉄筋を11本確認した。市は全ての箇所で偽装製品が使われている可能性が高いと見ている。

安中市が5カ所で実施した破壊検査の結果(出所:安中市)
(青野昌行)
**********
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【磯貝不正側溝】県とは別に独自に非破壊・破壊検査を自前で実施した安中市に住民監査請求した結果、なんと「却下」

2024-06-10 01:18:07 | 県内の税金無駄使い実態

6月8日の正午少し前に届いた安中市監査委員事務局からの封筒

■磯貝建材が自己破産申請の準備に入ったという衝撃ニュースが地元紙の朝刊で報じられた6月8日の昼前に、筆者の自宅に薄青緑色の封筒が配達証明付き郵便で届きました。見ると、安中市監査委員事務局とあります。開封してみると、案の定、住民監査請求の結果通知が同封されていました。

 早速目を通してみたところ、冒頭の「監査の結果」として「本請求を却下する」と書いてあります。また、「理由」として、全部でたったの21行しか記載されていません。本当にきちんと監査をやったのかどうか、極めて疑わしい結果通知です。





*****6/6住民監査結果通知*****
                        安監委発第66001号
                         令和6年6月6日
請求人 安中市野殿980番地
      小 川 賢 様

                    安中市監査委員 田 島 龍 一
                    安中市監査委員 高 橋 由 信

            安中市職員措置請求書について(通知)

 令和6年4月16日付けで提出のあった措置請求について、監査した結果を下記のとおり通知します。
                   記
1 監査の結果
 本請求を却下する。

2 理由
 住民監査請求は、安中市の長若しくは職員による違法・不当な公金支出等により、安中市が被害を被ったと認められることが請求の要件である。
 本請求内容は、市内に所在する磯貝建材(株)による群馬県型側溝の強度偽装事件に関し、安中市において、すでに実施済である非破壊検査業務及び破壊検査業務費用の弁済を群馬県に対し求めること。第三者委員会設置により経緯や責任の所在などを調査することの2点である。
 群馬県型側溝承認制度は、品質確保及び受注者の品質規格証明業務と監督員の確認業務の省力化を図ることを目的とした制度であり、磯貝建材(株)の当該製品は、平成29年度から県の承認を受けている。
 1点目の検査費用弁済要求について、市は、県からの情報収集に努め、本事件に係る補償及び請求の法的根拠等について弁護士に相談するなど、不当に財産管理を怠っているとは認められない。また、対応の遅延により、安中市契約規則第50条に規定する履行の追完、損害賠償の請求等の機会を逸する可能性が生じるため、市予算での検査実施はやむを得ないものと解する。
 2点目の第三者委員会設置については、検査結果を踏まえ、今後検討されるものであり、現段階において違法・不当な公金支出には当たらないと判断される。
 以上の理由により、本請求を却下とする。
 本請求に係る監査結果は以上であるが、次のとおり意見を申し添える。
 市民の安全と適正な予算執行は行政の責務である。当該側溝設置個所の継続的な安全確認及び県や他市の動向を注視し、本市対応について市民に広く知らしめることを望むものである。
**********

■今回の安中市職員措置請求(住民監査請求)は、筆者が4月16日に以下の内容の措置請求を提出したことが端緒です。

*****4/16安中市職員措置請求書*****
          安中市職員措置請求書

1 安中市長に関する措置請求の要旨
 2023年9月6日付の上毛新聞記事によると、「地元業者が規格外の側溝使用した問題受け、工事場所の調査に乗り出す 群馬・安中市」との見出しで「群馬県発注の道路工事で、規格外の側溝が使われていた問題を受け、安中市の岩井均市長は5日、過去に市が発注した工事について、該当する側溝の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにした。側溝を納入した建材業者が地元業者のため、実態を把握する調査が必要と判断した。同日開かれた市議会決算審査特別委員会で報告した。今回の調査は、工事関係の書類が保存されている期間(国庫補助事業10年、市単独事業5年)が対象。工事した場所を把握した上で、現場で破損などがないかを確認する。同時に側溝が規格を満たしているかどうかも確認。規格を満たしていない場合には、契約約款に基づき、受注者に対し、再度工事を指示する方針。同業者の側溝をめぐっては、鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない側溝が、県発注の道路工事で少なくとも32カ所(計約3キロ)で使われていたことが判明している。(宮崎秀貴)」とする報道が為された。
 このため、請求人は、規格外の側溝を納入した地元業者の製品が、どのようなかたちで安中市発注の道路工事に使用されたのかを確認すべく、2023年10月4日、同19日および2024年3月1日の3度にわたり、安中市長に対して条例に基づき関連情報の開示請求を行った。その結果、不当な財務会計上の行為又は怠る事実を以下のとおり確認したので、これを是正することにより市民全体の利益と安全を守るべく、住民監査請求を行う。
⑴ だれが(請求の対象となる職員等)。
  安中市長。
⑵ いつ、どのような財務会計上の行為を行ったのか
  規格外の製品を製造・納入した地元業者である磯貝建材㈱の製品「GPU3型側溝」が、安中市発注の公共工事に使用されたことに関連して、それらの製品が規格を満たしているかどうか、事故の未然防止のため確認する必要があるとして、安中市が2023年10月16日から同11月2日にかけて非破壊検査業務を実施した。
  そして、安中市はその費用1,331,000円(税込み)を安中市の一般会計「2-1-5-3-1-12節 委託費(予備費から充当)」から支出した。
⑶ その行為は、どのような理由で、違法又は不当なのか
  本件は、本来、GPU3型側溝の規格を定めた群馬県が、製造者に対して、規格に合致した製品を製造・納入するよう検査・指導・監督すべきであり、今回、磯貝建材製の規格外の側溝が2023年2月に甘楽町での県営の林道工事で使用が発覚したことを端緒に、群馬県知事が2023年9月1日の記者会見で公表したものであるから、当然に、群馬県に費用負担を申し入れるべき事案である。
  にもかかわらず、そうした手続きを怠り、安中市の一般会計から支出し、しかも現在に至るまで、群馬県に費用負担の申し入れの相談すら行っていない。
⑷ その結果、どのような損害が市に生じているのか
  すでに、令和5年度の決算が閉められており、この支出が損害として確定してしまった。
⑸ どのような措置を求めるのか(是正等措置を求める内容及び対象者)
  監査委員会は、安中市長に対して、市長が、以下の事項を速やかに実行するよう、勧告する。
  ①群馬県に対して、至急、安中市が支出した1,331,000円と相当な経費(人件費その他、金利も含む)の弁済を求める。
  ②なぜ、磯貝建材製の規格外の側溝が市内の公共事業で使われたのか、第三者委員会を設置し、経緯と影響を調査し、真相究明と責任の所在の明確化を通じて再発防止をはかる。
⑹ 財務会計上の行為から1年を経過している場合は、その正当な理由
  該当しない。

2 請求人
  住  所 安中市野殿980
  電話番号 090-5302-8312
  氏  名 小川 賢 (自署)

 地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

令和6年(2024年)4月16日

安中市監査委員 殿


別紙:事実証明書
1 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月17日安財第193004号)
2 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月24日安財第206004号)
3 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年3月12日安財第346003号)
**********

 この2日後、たまたま筆者が安中市役所の新館2階にある監査委員事務局を訪れると、渡辺事務局長から「事務局で確認したら、非破壊検査の実際の支出額が121万円であることが判明した。なので、金額を修正してほしい」と言われました。さっそく、修正しましたが、証拠が必要なため、その後、行政課に直行し、非破壊検査費用の実際の支出額について、情報開示請求をしました。そして、5月1日に当該資料が開示されました。

 このため、監査委員事務局に対して、「ぜひ監査委員の前で陳述と追加証拠の提出の機会を設けてほしい」と要請しました。しかし、おそらく渡辺事務局長は、2名の監査委員に打診してみたのでしょうが、結果的に陳述の機会は、たまたま筆者が5月下旬に監査委員事務局を訪れた際に、毎月恒例の市の定例監査業務が行われるタイミングとあったため、たまたま事務局にやってきた2名の監査委員の前で、口頭で、この磯貝建材の不正側溝事件とその背後に見え隠れする疑惑について説明しました。

 しかし、これはあくまでも非公式で便宜的に行われたものなので、筆者は、きちんと文書で陳述書と追加証拠の提出をしておくべきと考えました。

 一方、5月10日に安中市が磯貝建材の不正側溝の破壊検査を行った結果について、報道されたことから、実際に破壊試験遂行のためいくら支出したのか、証拠を入手する必要が生じたため、5月19日に安中市に行政文書開示請求書を提出しました。

*****5/19市行政文書開示請求書*****
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
 「群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、安中市は5月10日、市発注工事で同じ製造業者の側溝を検査したところ40カ所で偽装製品を確認したと発表した。工事請負業者に工事のやり直しを命じるか検討する。過去5年間に磯貝建材製側溝が使われた市道は約3・1キロで、ここから99カ所を抽出して県の規格に適合するか調べた。非破壊検査では35カ所、破壊検査では5カ所で規格で定めた強度を満たさない偽装製品が確認された。破壊検査では、鉄筋が県の規格6・35ミリに対し偽装製品は4ミリだった」との報道に関する以下のことが分かる情報。
①業者と交わした破壊検査業務契約の内容(契約書を含む)
②破壊検査業務契約の成果品(検査報告書を含む)
③2024年(令和6年)3月1日以降、現在までに、この問題で、群馬県(出先の安中土木事務所等を含む)と情報共有した経緯とその内容
④磯貝建材製品が納入された工事箇所の現地パトロールの報告書
⑤工事請負業者に工事のやり直しを命じるか検討することに関する市としての対応(昨年10月頃市内弁護士事務所での法律相談以降、法律相談をした経緯があればそれも含む)
⑥4月10日の記者発表内容
**********

 この結果、5月29日に上記③と⑤は不存在だとして、その他については部分開示されました。不存在とされたうち、③の「群馬県(出先の安中土木事務所等を含む)と情報ky法有した経緯とその内容」について、筆者は、きちんと、その旨を不存在通知書として明確に表明すべきと考えたので、証拠として市側にあらためてまし当該文書の作成をお願いした。

■そして、次の陳述書を5月29日に監査委員事務局に持参して提出しました。

*****5/29陳述書*****
               陳 述 書
                          令和6年5月29日
                   請求人 住所 安中市野殿980
                       氏名 小 川   賢

件名:磯貝建材不正側溝使用問題を巡る調査・試験等の費用支出に関する
   職員措置請求(住民監査請求)に伴う陳述及び追加証拠の提出について

 今回、安中市監査委員からの陳述等の実施にかかる通知はまだいただいていないため、監査委員が定める日時に陳述等を行っておりませんが、令和6年5月27日にたまたま監査委員事務局を訪れた際、監査委員の皆様に陳述等の機会について打診したところ、本日提出できる旨のご説明を賜りました。そのうえで、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第1項の規定により、請求人が行った請求の要旨を補足すべく、同法第7項及び第8項に基づき、請求人として証拠の提出及び陳述を行います。
 今回、請求人が行った職員措置請求(住民監査請求)において、対象となる財務会計上の行為として、当初、非破壊検査費用について1,331,000円を計上しましたが、その直顔に、監査委員事務局から「その費用に掛かる金額は設計価格であり、実際に支出した契約金額は1,210,000円である」との指摘を受けました。そのため、急遽、事実証明書4に示す通り、追加の証拠を提出いたします。
 さらに、その後、請求人が確認したところ、安中市は、非破壊検査に加えて、破壊検査についても令和6年3月末までに実施し、同年5月10日付で記者発表をしました(事実証明書5の14頁目参照)。そのため、破壊検査に係る請負代金1,694,000円についても、本件住民監査請求に含めるべきと考え、ここに陳述及び追加の証拠を提出するものです。
 安中市の担当者の説明によると、非破壊検査も破壊検査も群馬県に電話ベースで情報共有をしており、非破壊検査については、群馬県が既に実施した業者に打診したところ、あいにく引き受けてもらえず、同じ種類の業務に携わる業者に委託して実施したとのことです。また、破壊検査についても、群馬県で既に実施しており、この時、群馬県が業務委託をしたのが安中土建であったことを県から知らされたため、実績があるとの判断で、安中市は破壊検査業務を安中土建に随契で発注したとのことです。
 また、安中市は、市が発注した公共工事で磯貝建材製の不正側溝の使用工事が施工された場所5カ所を絞り、そこから、擁壁など他の構造物への影響が少ない現場状況を勘案しながら、1個ずつ不正側溝を任意に選定し、掘り出したあと、安中土建の敷地内で破壊検査を行いました。その際、新たに入れた側溝として、前橋市にある株式会社佐藤コンクリートが製造した正規の側溝を使用しました。併せて、側溝の入れ替えで必要となる隣接の既設側溝や周辺土壌との隙間の養生に必要な工事を実施したことが判明しました。
 こうした背景を鑑みると、なぜ、群馬県が事前に磯貝建材製の不正側溝について非破壊検査や破壊検査を実施したにもかかわらず、その情報(調査報告書等を含む)すら県から取得しようとせず、同じ手順と手法で非破壊検査や破壊検査を実施したのか、理解しかねるところです。
 なぜなら、安中市の清水昭芳副市長は、2年ほど前までは群馬県県土整備部長であり、さらに、磯貝建材の前社長とも同じ高校の学友であったことから、磯貝建材のことについては、詳しく知ることのできる立場にあったからです。さらに、清水副市長の経歴を見ると、以下のとおりとなっています。
   ・2015年(平成27年)  群馬県 安中土木事務所所長
   ・2016年(平成28年)  群馬県 下水環境課長
   ※2017年(平成29年)  磯貝建材株式会社のU字側溝が群馬県GPUの承認
   ・2018年(平成30年)  群馬県 建設企画課長
   ・2020年(令和02年)  群馬県 技監
   ・2021年(令和03年)  群馬県 県土整備部長
   ・2022年(令和04年)  安中市 副市長
 以上の経歴から、安中土木事務所所長として、西毛広域幹線道路に関わり、安中市及び県内の建設業者と密接な関係がうかがえます。とりわけ、磯貝建材のU字側溝が群馬県GPU型側溝として承認され、工場での立会検査が免除となった2017年には県下水環境課長であり、所管する権限が、側溝との関連性をうかがわせています。
 昨年2月の磯貝建材の不正側溝の発覚以降、昨年9月1日の群馬県知事による記者会見で、早急に修復する重要性が示され、市町村にも情報共有をして、一刻も早くこの問題への対応措置をとることの重要性が説かれています。ところが、それからさらに8か月が経過しようとしているにもかかわらず、安中市は群馬県から、磯貝建材製の不正側溝に関する情報をほとんど得ておらず、しかも、得ようとする努力すら見えません。
 これは県土整備部長で、しかも安中土木事務所長を務めた経験のある副市長を擁する安中市としては、考えられない消極的な対応です。
 本来であれば、群馬県が制定したGPU型側溝を使用するまでもなく、JIS規格の側溝を使うよう設計指示をすれば、磯貝建材の製品を使う意味はありませんでした。
 GPU型側溝というのは、群馬県(G)で使用される特定のタイプのプレキャスト(P)コンクリート製U型側溝を示しているようです。これらには、歩道用のGPU2型や車道用のGPU3型など、用途に応じた様々な種類があり、GPU型側溝は、通常のU型側溝の排水機能に加えて、側溝底部及び側壁部から雨水を浸透させる貯留部を持っているとして、差別化しているような情報も耳にします。これにより、雨水をすみやかに下流に排出するだけでなく、地下水の補給や洪水のリスク軽減にも寄与する設計となっているというのでしょうが、群馬県に情報開示でそうした特徴について昨年10月以来、情報提供を求め続けていますが、未だにこの問題について「調査中」を理由に説明が得られていません。
 本来、プレキャストコンクリート製側溝はJIS A 5372で規定されており、機能別のバリエーションで以下のように区分されています。
  ・PU1:JIS A 5372に規定されているU形側溝を使用する場合で蓋無し
  ・PU2:上記のU型側溝に上蓋を被せたもの(歩行者までを考慮)
  ・PU3:上記のU型側溝に上蓋を被せたもの(2tまでの車両を考慮)
  ・PU4:JIS A 5372に規定されている落ち蓋式U形側溝(道路用鉄筋コンクリート側溝)の1種(歩行者までを考慮)
  ・PU5:JIS A 5372に規定されている落ち蓋式U形側溝(道路用鉄筋コンクリート側溝)の3種(T荷重を考慮)
 なぜ群馬県がわざわざGPU型という企画を設定し、それを推奨してきているのか、そして、なぜ県内の安中市を含む市町村の一部が、通常のJIS規格のPU型側溝でもよいのに、GPU型側溝を公共工事で使用しているのか、こうした背景には、やはり、群馬県の意向が反映されていることがうかがえます。
 群馬県は、既に磯貝建材製のGPU型側溝の強度試験にいち早くこっそりと取り組んでいますが、今回の不正側溝問題に関する対処方針や調査結果情報が迅速かつ円滑に市町村にも伝達されれば、安中市がわざわざ県と同じ要領で非破壊検査や破壊検査を実施する必要は無かったはずです。
 上述のとおり、市内に製造工場を有する磯貝建材製の不正側溝が、令和5年2月に甘楽町で発覚したのですから、少なくとも、それ以降に施工された工事には、磯貝建材製の不正側溝の使用が回避できた可能性があります。
 業界では、なぜ県が推奨する側溝として、県がお墨付きを与えた磯貝建材の製品を使ったのに、不正側溝が発覚したとして、請負業者がその瑕疵の責任をとらなければならないのか、という声が沸き上がっています。
 上述のとおり、群馬県が密かに随契で特定業者を通じて県外(埼玉県とも言われている)のコンクリート製品協同組合に加盟するメーカーに強度試験の実施を依頼しているという情報も飛び交っています。安中市に必要なのは、群馬県に対して、及び腰になるのではなく、積極的に、今回の不正側溝問題の真相や責任所在について、県と情報共有をして、安中市民の血税を使うことなく、この問題に適切に対処することがなにより求められている筈です。
                          以上

別紙:追加証拠としての事実証明書
4 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年4月23日安財第023001号)
5 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年5月20日安財第047001号)
**********

 そして、③の「県との文書による情報共有」に係る不存在通知書が5月30日に届いたのと、住民監査請求書の本文の誤字の修正について、追加の陳述書(2)と、5月31日に監査委員事務局に持参して提出しました。

*****5/31陳述書(2)*****
               陳 述 書 (2)
                          令和6年5月31日
                    請求人 住所 安中市野殿980
                        氏名 小 川   賢

件名:磯貝建材不正側溝使用問題を巡る調査・試験等の費用支出に関する職員
   措置請求(住民監査請求)に伴う陳述及び追加証拠の提出について(修正)

 令和6年5月29日付陳述書の中で、修正すべき箇所と、追記すべき箇所および関連する新たな提出証拠を以下に記しますので、よろしくご査収くださるようお願い申し上げます。

【1頁目上から21行目の修正】
修正前:した(証拠説明書5の14頁目参照)。そのため…
修正後:した(事実証明書5の14頁目参照)。そのため…

【1頁目上から25行目の追記】
修正前:情報共有をしており、非破壊検査については…
修正後:情報共有をしているのみで、文書でのやりとりは一切なく(事実証明書6参
照)、非破壊検査については…

【関連する新たな提出証拠】
別紙 事実証明書:
6 安中市行政文書不存在通知書(令和6年5月20日安財第047001号)

                          以上
*********

■以上が、今回の住民監査請求の一連の経緯です。

 それにしても、安中市は、市民の血税を有効利用するという意識が欠落しているとしか、言いようがありません。

 今から29年前の1995年6月3日に安中市土地開発公社を舞台にした51億円もの巨額詐欺横領事件で、多数の共犯者がいるにもかかわらず、元職員タゴの単独犯行とされ、結局、タゴへの巨額債権を行使することなく、タゴが昨年1月9日に死去したことをしった安中市は、今度は、迅速に債権放棄の手続きをしました。勿論、タゴの親族も、いち早く相続放棄の手続きを取っていました。

 タゴの弟が、タゴの横領金の一部を元手に、多胡運輸を立ち上げ、その後、ホクブ・トランスポート社(旧・高崎北部運送)の支援もあり、運輸事業を拡大しましたが、首都高5号線熊野町ジャンクションで、出光のアポロマークをつけた多胡運輸のタンクローリーが横転事故を起こしました。その後、この事故を巡り多胡運輸は、総額45億円の損害賠償を、首都高から提訴され、その後、保険で10億円余り充当されて減額されましたが、最終的には35億円の債務を負いました。しかし、損害賠償裁判の判決が出る前に、タゴの弟も亡くなり、多胡運輸はさっさと「㈱美正」に会社を譲渡し、破産手続きを取りました。

 このように、安中市が絡む事件では、いずれも公金で尻拭いが行われています。磯貝建材の不正側溝を巡る今回の事件は、29年前のタゴ51億円事件の再来ともみなすことができます。この重大事件に対して、どのように安中市が対処するのか、注目してきましたが、今回の住民監査請求の結果に接して、安中市の状況は、29年前と何ら変わっていないことを、筆者は痛感させられています。

 今回のこの住民監査請求の審査結果として、却下通知が安中市監査委員から送り付けられてきたので、7月9日までに、対応方針を決めることにします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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【速報!】シナリオどおり?磯貝建材が破産手続開始…情報公開に及び腰の群馬県が示す隠蔽体質の悪質性

2024-06-08 14:17:17 | 県内の税金無駄使い実態

磯貝建材の自己破産申請の準備開始を報じる地元紙の記事

■本日の地元紙朝刊を見た当会は、「やはり、この手で来たか!」と思わずつぶやきました。なぜなら、当会がこれまで群馬県に出してきた情報開示請求や県警への告発に対するこれまでの行政側のノラリクラリの対応を見ると、この破産手続を円滑に行えるようにするためのお膳立てだったのでは、としか考えられないためです。

 まずは週末金曜日の夕方に発せられたネット記事、そして本日の地元紙の朝刊を見てみましょう。

**********上毛新聞2024年6月7日17:04
コンクリート製品製造の磯貝建材(群馬・安中市)が破産 県発注工事で規格偽装し信用失う

コンクリート製造の磯貝建材
 コンクリート製品製造の磯貝建材(群馬県安中市簗瀬)が5月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが7日、分かった。帝国データバンク群馬支店によると、負債額は調査中。
 同社は1937年4月設立。公共土木工事に使用されるU字溝を主体に、歩車道ブロック、横断側溝などを製造していた。県内の中堅土木工事業者を主な対象として事業を拡大。災害復旧工事向けの案件を多く受注し、道路に関連した大型案件も寄与して2021年7月期の売上高は約8億4700万円を計上していた。
 しかし、同社の主要商圏となる西毛地区における公共工事や、同社製品が採用される現場が減少。23年3月に企業の合併・買収(M&A)で株主が創業家から変更し、新しい経営体制で経営再建を図ったが、同年7月期の売上高は約4億円に落ち込んだ。
 一方で同年2月に県発注の道路工事において、同社製の側溝が県の定める規格と異なる鉄筋が使用されていることが判明。調査の結果、偽装が発覚し、同年9月に開かれた県の定例会見で公表され、信用が失墜していた。売り上げは激減し、外部専門機関などとも協議したが、先行きの見通しが立たないことから事業継続を断念した。

**********上毛新聞朝刊2024年6月8日
県発注工事で規格外側溝 磯貝建材が破産準備
 県発注の道路故事で規格外の側溝が使われていた問題で、納入業者のコンクリート製品製造、磯貝建材(群馬県安中市簗瀬、長谷川裕貴社長)が5月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが7日、分かった。帝国データバンク群馬支店によると、負債額は調査中。
 同社は1937年4月設立。公共土木工事に使用されるU字溝を主体に、歩車道ブロック、横断側溝などを製造していた。県内の中堅土木工事業者を主な対象として事業を拡大。災害復旧工事向けの案件を多く受注し、道路に関連した大型案件も寄与して2021年7月期の売上高は約8億4700万円を計上していた。
 その後は公共工事などが減少。昨年2月には県発注の道路工事で、同社が納入した側溝に粗悪品が見つかった。調査の結果、県が発注した林道や県道などで、鉄筋の太さや本数などが規格に満たない側溝が使われていたことが判明。安中市でも同様の側溝が確認された。
 売り上げが激減し、先の見通しが立たないことから、事業継続を断念した。
同社は昨年3月、創業家から都内の投資会社に売却されていた。
(林哲也)
**********

■群馬県内の土木行政の信頼性を揺るがせたこの事件は、昨年2月に甘楽町における県営の林道工事で、不成型の側溝が見つかり、業者から報告を受けた群馬県が、破壊検査をしたところ、見た目以外にも内部の鉄筋が規格と異なり、単なる細い針金で、しかも本数が不足していたことが判明したことから、内部で問題視されました。

 ところが、群馬県知事が記者発表したのは昨年9月1日でした。この間、まるまる半年間、群馬県はどのような対応策を検討していたのでしょうか。その疑問を問うべく、当会は、昨年11月1日付で群馬県に、次の内容の公文書開示請求書を提出しました。

*****11/1群馬県公文書開示請求書*****
                     令和5年11月1日
 群馬県知事 山本一太 様 あて
              郵便番号 371ー0801
              住所 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
              氏名 市民オンブズマン群馬
              代表 小川 賢
              電話番号 090-5302-8312(連絡担当者名)本人
 群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号)第12条第1項の規定により、次のとおり公文書の開示を請求します。
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 群馬県は9月1日、「県発注の道路工事で、規格で定めた強度に満たないコンクリート製側溝が32カ所で使われていた。建材メーカーの磯貝建材(安中市)が、製品を偽装して工事業者に納入していた。県は、工事を施工した22社に側溝の交換を指示した。調査対象は過去5年分で、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性がある。県だけではなく、市町村発注の道路工事に使われている可能性もあり、県は市町村に今回の調査結果について情報提供した。磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できた。そのため県は、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で『偽装側溝』が確認された。区間は合わせて約3キロだった」と発表した。ついては、次のことがわかる情報。
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。
⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。
⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。
⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)
⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況
**********

 この結果、昨年11月15日に、群馬県県土整備部建設企画課技術調査係から部分開示通知を受け、同日、部分開示された資料をCDで受領しました。

*****11/15公文書部分開示決定通知書*****
                       建企第366-11号
                       令和5年11月15日
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GPU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。
⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。
⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。
**********

 開示された情報は、⑥の群馬県型側溝承認申請書と承認書、そして⑦の技術基準で、⑫は開示資料の中に特定された文書は見当たりませんでした。

 ⑥では、令和2年9月17日付で群馬県型側溝承認申請書が磯貝建材から県土整備部長あてに提出され、同年9月24日付で県土整備部長から磯貝建材に工場検査通知が発出され、同年10月8日午後2時から磯貝建材安中工場で、県から派遣された職員2名による工場検査が行われ、同年10月21日付で承認書が磯貝建材に交付されたことがわかります。

 ⑦では「群馬県型側溝承認要領」が令和5年4月1日から一部改定されており、それまでの「基準通知(群馬県が他側溝承認要領)の一部改定について(通知)」(令和元年12月17日付建企第30011-35号)は廃止されています。この承認要領の目的は、県の承認を得ると、品質の確保及び受注者の品質規格証明業務と監督員の確認業務の省力化が可能となると第1条でうたわれています

 申請の受理後、県土整備部長は、職員のなからか検査員と立会者を指定し、申請者に検査日を連絡し、申請者の工場で製造した資材について、最も生産個数の多い側溝、蓋、管渠型側溝のそれぞれ1種類ずつについて、定められた承認検査を行い、結果を県土整備部長に報告するとされています。

 検査項目は「外観」「性能」「配筋」「材料・製造方法」「形状、寸法・品質管理体制」とあります。また、承認の有効期間は3年間となっています。

 承認を受けた対象資材(側溝)は、工事請負者(受注者)が承認表示部分(ぐんまちゃんマーク)を写真に収めておけばよし、とされており、群馬県型側溝は、配筋と強度の測定を省略できる、と第8条で規定されています。

 また、承認を受けた場合、その後毎年1回ずつ、JIS製品に係る品質管理責任者が自主検査をして結果報告書を県土整備部長に提出することが義務付けられます。ところが、磯貝建材の場合、このJIS製品品質管理責任者は、社長だった磯貝昇が自ら務めていました。これでは、自ずと結果はさもありなんとなるわけです。

 検査調書では、外観(キズ、ひび割れ、欠け、反り、ねじれ)、性能(曲げ強度)、鉄筋の配置(主鉄筋の数・径、配力筋の数・径、配筋均等状況)、使用材料・製造方法(示方配合表、強度、セメント、砂利、砂、鉄筋でいずれも書類確認)が項目として挙げられています。ですが、磯貝建材の偽装は、見破れなかったわけです。磯貝建材が、あらかじめ検査用の製品を特別に準備し、それ以外の製品は手抜きだらけのものが常に出荷されていたことがうかがえます。

 とりわけ、心配なのは、使用材料・製造方法が書類確認だけで済まされていることです。プレキャストコンクリート製品はJIS A 5364で規格が定められていますが、このうち「材料及び製造方法の通則」で、コンクリート骨材や鉄筋の材料について詳しく表されています。当会が入手した情報によると、磯貝建材は、鉄筋に使う鋼材の品質を証明する書類としてミルシート(鋼材検査証明書)を入手するため、鉄筋を1本だけ発注していたそうで、その後の更新の都度、やはり1本だけミルシートを得るために購入していたことから、鉄筋の寸法や形状に加えて、材質もごまかしていた可能性が高いと思われます。なぜなら、ミルシートのない鋼材では品質が担保されておらず、当然価格も安いからです。

 磯貝建材は、こうした偽装を日常的に行っていたとみられるので、コンクリート骨材についても、注意が必要です。JIS A 5364では、コンクリート骨材として、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ骨材、電気炉酸化スラグ骨材、溶融スラグ骨材や再生骨材の使用も規定されているからです。このため、暴利を得るために手段を択ばない磯貝建材が、地元の東邦亜鉛安中製錬所から発生する鉛やカドミウム、ヒ素入りの非鉄スラグに目を付けた可能性は十分あり得ると当会は懸念しています。

■上記の部分開示通知書は、群馬県県土整備部建設企画課技術調査係が事務担当課ですが、同じく令和5年11月15日付で、決定期間延長通知書が県土整備部契約検査課検査企画係から通知されました。

*****11/15決定期間延長通知書*****
                       契第57-40号
                       令和5年11月15日
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。
⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況
※⑥、⑦及び⑫は、別途通知する。
<条例第19条第1項の規定による決定期間>
令和5年11月1日から令和5年11月15日まで
<延長後の決定期間>
令和5年11月1日から令和6年1月4日まで
<延長の理由>
 開示請求に係る公文書の量が多く、対象公文書の特定や、開示・非開示の審査など、開示決定等に係る事務に時間を要するため。
**********

■そして、年度末休暇が迫る昨年12月26日に群馬県契約検査課から部分開示通知を受け、同日、部分開示された資料をCDで入手しました。

*****12/26公文書部分開示決定通知書*****
                       契第57-45号
                     令和5年12月26日
◆部分開示の概要
請求する公文書の内容/文書日付・文書名/開示状況/開示しない部分/該当条例/開示しない理由
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記戟されている文書/第14条第6号/当該公文書の存否を答えるだけで、県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支応を及ぼすおそれがあるため。
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書/S.9.1・修補依頼文(22社)/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支応を及ぼすおそれがあるため。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠/-・-/不開示/-/-/当該請求に係る文書は作成しておらず、保有していないため.
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか/RS.9.21/県土整備部発注工事における規格外落蓋式側溝の使用について/部分開示/      県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている添付資料/第14条6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実/R5.9.12・県発注工平における偽装側溝の使用について/部分開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報/-/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/当該公文含の存否を答えるだけで`県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/当該公文書の存否を答えるだけで、県が行う群馬型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため.
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠/RS.9.1・修補箇所一覧/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため.
⑪34カ所中、2カ所磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)/R5.9.1・修補箇所一覧/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
(※当会注:⑫は、なぜか県からの開示通知では、欠番となっています)
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況/-・-/不開示/当該請求に係る文書は作成しておらず、保有していないため。
**********

 このように、肝心の情報はいずれも群馬県情報公開条例第14条第5号に該当するとして、存否応答拒否、もしくは不存在、ないし「事務事業に支障を及ぼすおそれがあるため」を理由に不開示とされました。

 結果的には、磯貝建材の破産手続の準備が整うための言いわけに過ぎなかったことが分かります。

■その後も当会では、県土整備部契約検査課検査企画係の矢嶋正課長補佐から、不開示となった情報についても、今年5月の連休前あるいは連休後、さらに遅くとも今年6月ごろまでには開示できる部分の情報開示の可能性を検討しているとする電話連絡をいただいていました。

 今年度に入ると、人事異動により、県土整備部契約検査課の次長に、それまで新型コロナワクチン室長だった総務畑の青木敏彦氏が任命され、契約検査係長には、それまで安中土木事務所企画調査係長だった吉田晃一補佐が就きました。しかし、懸案の情報開示については引き続き消極的な対応が続いていました。

 そうした最中に飛び出した今回の衝撃的なニュースに、当会は、安中市でちょうど29年前に発覚した土地開発公社を舞台にしたタゴ51億事件のことを思い出さざるを得ません。つまり、行政は都合の悪い不祥事件が発覚した場合には、徹底的に情報を隠蔽し、最終的には住民の血税で尻拭いをして、事件に関係した公務員の責任を問おうとしないからです。

■当会では、当初から、この安中市内にある側溝製造業者を巡る不正側溝事件は、群馬県がその業者に対して品質に問題がないとする証明書を与え品質検査を免除していることもあり、また、当会に寄せられた情報によるとその業者は長年に亘って不正側溝を製造してきたことから、事件の背後には巨額の不法利得の存在がうかがえるため、第二のタゴ事件の匂いを嗅ぎ取っていました。

 また、不正な土木資材に対して、県が使用のお墨付きを与え、その結果、莫大な利権が生じる構図は、大同特殊鋼の渋川工場が副産物として長年に亘り大量に排出していたフッ素や特価クロム鉄鋼スラグを、群馬県県土整備部が再生砕石と同等だというお墨付きを与えたことで、大同特殊鋼から有害スラグの使用を独占的に扱っていた佐藤建設工業を彷彿とさせます。

 この佐藤建設工業が得た特権を真似て、東邦亜鉛の安中製錬所から排出される鉛やカドミウム、ヒ素などの重金属を含む有毒な非鉄スラグに目を付けて、これまた莫大な利権を手に入れた岡田興業と岡田工務店による不正事件があります。

 これらのスラグの不正使用を巡る群馬県環境森林部の隠蔽体質も、今回の磯貝建材を巡る不正側溝の不祥事件での県土整備部の対応と重ね合わすことができます。

■今回の磯貝建材の破産手続開始となれば、当会が県警捜査2課に提出してあった告発状が未だに正式受理されていない現状を鑑みると、県警の対応の遅滞の責任は、捜査2課に十分に負っていただく必要があるのではないか、と当会は痛感しております。

 群馬県は、32ヶ所の不正側溝を使用した偽装現場に係る情報開示を延ばしに延ばした挙句、不正側溝にかかる安全性のレベルの確認と称して、県外の業者に強度検査を特定の県内の検査業者を通じて委託するなどして、それも公表もせずに密かに実施してきました。

 その結果、群馬県が昨年2月に発覚して昨年9月に記者発表し、今年5月31日をもって磯貝建材が事業を停止して自己破産手続を開始するまでの経緯をあらためて振り返ると、群馬県による業者の「破産」を待ち、その状況を踏まえて「しょうがないので、公費で再工事をするしかないな」というシナリオだったことが浮き彫りにされました。

 29年前に安中市を震撼させたタゴ51億円事件と同様、事件にかかわった多数の公務員や取り巻きの業者らは、結局何ら責任を問われませんでした。タゴが昨年1月9日に死去した現在、配偶者ら遺族は直ちに相続放棄の手続きをとり、毎月1万円ずつあと約1万8000年間を返済する義務はもう誰も追う者がおらず、他方、安中市は群馬銀行との和解金103年ローンをあと78年分遺しており、こちらの債務については、市民の血税を充当すればいいや、とばかりに、群銀との交渉すら、やる気が全くありません。

 この磯貝建材の事件でも、今回のシナリオの作成に関与したとみられる公務員は数多くいることがうかがえます。そして、磯貝建材が自己破産となると、結局、そのツケは我々納税者住民の税金による負担とさせられてしまうことになります。


安中市簗瀬620-1にある磯貝建材の工場。2024年4月27日午後撮影(以下同様)








サイロの社名が消されている

操業停止中の週末にもかかわらず、駐車場には4台の車があった。この時(4月27日)には既にシナリオに沿って、着々と進んでいたのかも

■本来であれば、群馬県はもとより、磯貝建材の不正側溝が公共工事で使用された安中市などの自治体は、群馬県の記者発表や、県から送られてきた情報に基づき、ただちに行政代執行による再工事の方針を経て、修補に必要な費用を原因者である当時の磯貝建材の経営者に求償するための民事訴訟を提起すべきだったのかもしれません。

 先行して民事裁判を提起しようともせず、一方、刑事罰としてこの不正事件を逸早く警察に告発していた当会としては、「群馬県は、不正側溝を使用した工事については、例外なく、すべて請負業者にやり直しを命じる方針だ」という群馬県県土整備部からの事情聴取内容を県警が鵜呑みにしているらしく、未だに正式な告発受理をためらっている事情を憂慮しています。

 さらに、当会は、今回の不正事件の直接の当事者でないため、民事裁判を起こす権限もありません。唯一、住民監査請求を通じた損害賠償のための住民訴訟は可能ですが、訴訟を提起しても、裁判所が行政のかたを持つため、勝訴できる担保はありません。

 そうした「刑事」と「民事」の両面に存在するジレンマの「間隙」を縫うように、磯貝建材の磯貝昇・前社長への火の粉の降り掛かりを避けるために、群馬県としては(そして安中市にも相当な責任がありますが)、巧みにシナリオを描いてきたのではないか。そのために、これまでこの事件の真相究明や責任明確化を延ばしに延ばしてきたのではないか。当会はこのような疑念を振り払うことができません。

■当会に3月頃寄せられた情報によれば、磯貝建材の前社長は、市内のテニスコートでテニスを楽しんでいる姿が目撃されたとのことです。今から思えば、その時はすでに、自らに火の粉が及ばないよう、巧みに作られたシナリオの内容を本人は知っていたのかもしれません。

 仮に、もっと迅速に県警が当会の告発状をもとに、初動捜査を進めていれば、今回の自己破産準備開始の手続きに影響を及ぼしたに違いありません。なぜなら、税理士、会計士、あるいは弁護士ら破産手続を進める資格のある人物は、依頼されてもいずれも受任しなかったかもしれないからです。

 読者の皆様にお願いがあります。今日の報道以降、磯貝建材の前社長が、どこかで和やかにテニスを楽しむ光景が目撃された際には、匿名で構いませんので、直ちに当会あてご連絡賜れれば幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
コメント (2)
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