■5月31日に当会代表が帰宅すると、国立高専機構から書類の入ったやや厚めの封筒が特定記録郵便で届いていました。封筒を開けてみると、中に、「校報」と「弁護士費用」の2件の審査請求結果に関する書類が入っていました。
↑送料410円で特定記録郵便で届いた国立高専機構からの封書。↑
群馬高専では、運営に関する情報を取りまとめた「校報」が年1回(2016年度以前は年2回)発行されており、その中には教職員の異動や退職等に関する人事情報を取りまとめたセクションがあって、群馬高専のホームページ上でも公開されていました。しかし西尾前校長体制下の16年10月に突如全面非公開とされてしまい、さらに17年3月に当会が直接群馬高専に赴いて閲覧を求めたところ、完全非公開措置が取られていることが発覚しました。
さらに17年6月の面談時に山崎新校長にこの件について問い質したところ、適当な屁理屈を並べ立て、西尾前校長の情報隠匿路線を追認する構えを見せました。
状況を重く見た当会では、非公開に関して正当な理由が無いことを証明するため17年8月に「校報」人事情報について情報公開請求を行いましたが、翌月届いた通知は、かつて公開していた分以外は全面不開示とする強硬極まりないものでした。こうして当会では、この全面不開示処分に対し、17年10月に審査請求を申し立てていました。
■またこれとは別に、群馬高専アカハラ関連文書不開示処分取消訴訟において高専機構(実質的には群馬高専)が任用している弁護士の報酬額を把握するため、17年10月に弁護士費用情報に関する開示請求を提出しましたが、これも翌11月全面不開示とされたため、同月中に審査請求を申し立てていました。
こうして総務省審査会の審議の俎上に載っていた「校報」人事情報不開示・弁護士費用情報不開示の2件についての審査請求ですが、2018年3月29日付で、この2件に対する答申書が同時に、当会事務局宛てに送付されてきました。結論から言えば、この答申はどちらも群馬高専の行った全面不開示処分を否定し、部分的にあるいは全ての開示を支持するものでした。
〇2018年3月30日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…校報・弁護士費用不開示処分の審査請求で審査会が答申↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2601.html#readmore
それからちょうど60日が経過した5月29日に機構が発送した開示資料が5月31日に届いたというわけです。送られてきた文書は次のとおりです。
●平成29年9月20日付け29高機総第77号「群馬高専校報第129号の不開示決定処分に係る審査請求」
①送付状および裁決書謄本
PDF ⇒ 20180529_kouhou_saiketusho.pdf
②答申書
PDF ⇒ 20180329_kouhou_tousinsho.pdf
③開示資料
PDF ⇒ 20180529_kouhou_kaijijouhou.pdf
●平成29年11月17日付け群高専総第212-1号および212-2号「弁護士費用の不開示決定処分に係る審査請求」
①送付状および裁決書謄本
PDF ⇒ 20180529_bengosihiyou_saiketusho.pdf
②答申書
PDF ⇒ 20180329_bengosihiyou_tousinsho.pdf
③開示資料
PDF ⇒ 20180529_bengosihiyou_kaijijouhou.pdf
■冒頭でも報告したとおり、今回、機構は、答申が行われた日の翌日からちょうど60日目に裁決書を発送しました。
改正された行政不服審査法によれば、通常、住民からの審査請求を受けて、実施機関が審査会に諮問をしたら、審査会は必要な調査審議を行った上で、実施機関に対し、原処分が妥当であるか否かを答申します。その際、審査請求人にも、参考として答申の写しが速やかに送付されます。
↑審査会の答申から実施機関による裁決書の送付が請求人に送られるまでのプロセス↑
実際に、今回の2件の審査請求についても、審査会は機構に答申すると同時に3月29日付で当会にも答申書の写しを送って来たので、当会は翌3月30日に受け取りました。当時の経緯は次のブログを参照ください。
○2018年3月30日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…校報・弁護士費用不開示処分の審査請求で審査会が答申↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2601.html
通常、答申を受けた実施機関は、答申を尊重して、審査請求を認容・一部認容又は棄却する裁決を行い、審査請求人に裁決書謄本を送付します。
今回は結果的に、3月29日の答申内容をそのまま機構がコピペして、その前後に若干の追記をして裁決書として体裁を整えたものを、2カ月後の5月29日に請求人に送ってきました。
答申から裁決を行うまでの期間について、通常は30日以内としている場合がほとんどであり、対象文書が大量であって、個別具体的に非開示とすべき情報の当てはめを行う必要がある場合などの特段の事情がある場合に限り、60日以内としています。
ところが、今回、答申を受けての裁決により開示された資料は、2件ともそれぞれ僅か3、4ページに過ぎません。当然、原則30日以内というルールに照らせば、せいぜい1週間から10日で開示するのが常識ですが、機構はギリギリの60日まで、延ばしに伸ばしました。
このことを見ても、機構が、当会に対して協力的な姿勢を見せようとしない証左と言えるでしょう。
■そして今回、さらに気になる点がいくつか浮上してきます。
「校報」人事情報も、弁護士費用情報も、当会の元々の開示請求では群馬高専ないし機構本部での現地受領を希望していたにも関わらず、なぜか今回答申を受けて下された新処分では、当会に受領方法を諮ることもなく、一方的に郵送とされています。
少なくとも16年の3月時点では、答申を受けて処分を取り消し、再処分で仮に開示を行うとなった場合は、群馬高専にてそれを行うと、群馬高専総務課の六本木課長補佐(当時)と尾島職員(当時)より説明が為されていました。
○2016年3月24日:アカハラ問題の実態と学校側の対応とが分かる情報の早期開示を群馬高専に直訴↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1933.html
とすると、少なくとも今回も、郵送か現地開示かを選ぶ権利は当会にあったはずです。
当会では、よほど多忙である場合や、確認の必要がない情報である場合を除いては、文書開示にあたっては基本的に現地受取を行うこととしています。そちらの方が、開示された文書にミスや疑義があった場合、担当職員に即座に申し立てることができるからです。
そうした希望もあらかじめ聞くことなく、まして滅茶苦茶な処分を行って9ヶ月も開示を遅滞させた非礼を詫びることもなく、突如として一方的に送り付けておしまいとするのは、やり方としてどうなのか、と思わざるを得ません。
■もうひとつ気になるのは、これまでは答申によって処分を取り消す際は、機構理事長が原処分を取り消したという「決定書」と、各高専校長がその所管情報について新処分を行ったという「通知書」が出ていたのに、今回から機構理事長名義の「裁決書」としてこれが一元化されているということです。
処分内容に対して不服が申し立てられた際に、答申を出している情報公開・個人情報保護審査会は、16年4月に内閣府から総務省に移管されていますが、その際に、不服申し立ての名称である「異議申立」も「審査請求」へと変わっています。これに対応して、「決定書」も「裁決書」へと名前が変わっているというのは納得ができます。
しかし、以前は、「処分取消は理事長の裁量、新処分は各校校長の裁量」と役割分担されていたのが、この度よりすべて理事長名義に統括されています。もちろん、責任関係がバラバラだったこれまでに比べて、明らかにすべてが理事長の責任であると示されるようになったことは、今回の改定のメリットであると言えるのかもしれません。
しかし他方で、機構本部が全51高専のこうした業務を代替できるわけもなく、実務や調整は各高専が担っている現実は変わらないわけですから、この「裁決」について、各高専がどの程度まで関与しているのかが、非常にわかりづらくなってしまいました。
例えば、直近でも、群馬高専を5月2日に訪れた際は、猿田部長は「機構の中で臨時委員会を立ち上げ、そこで検討ののち、委員会から『処分を見直せ』と群馬高専に通知し、実際の再処分については群馬高専が行う」と説明していました。
○2018年5月5日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…控訴審判決を踏まえて群馬高専を電撃訪問!顛末や如何に・・・↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2632.html
そうなると、実際の処分は群馬高専が担っているにも関わらず、彼らは一切文書の上では姿を見せないということになります。こうなると、機構理事長を隠れミノに、山崎校長・猿田部長・櫻井課長の隠蔽タッグが好き放題やる可能性すら危惧されるわけです。というより、すでに好き勝手やっていると言っていいかもしれません。加えて、群馬高専が実際の処分を担当しているなら、群馬高専で開示するのが一番早いわけで、わざわざ機構に戻して郵送とする意味もわかりません。
■こうした疑問があったため、6月1日の昼下がり、機構総務課情報開示担当の中島職員に電話をして、質問しました。回答の概要は以下の通りです。
(★答申から開示までルール内とはいえ時間を掛けすぎていることについて)
【中島職員】:今回は、個別具体的に非開示とすべき情報の当てはめを行う必要がある場合などの特段の事情がある場合に該当したため、60日を要した。
本来は60日でも足りないくらいだったが、ルールなのでなんとか早期に開示をする必要を十分認識しており、むしろギリギリ間に合ったというべきもの。したがって、60日以内に開示したので、手続きになんら瑕疵はない。
(⇒当会コメント:H28年度「校報」人事情報と弁護士費用情報あわせてたった7ページに「本来は60日でも足りない」と自らを擁護する根拠がよくわからない。まして「当てはめ」が必要なのはどう解釈しても「校報」人事情報のたった3ページ分。「当てはめ」のためにはせいぜい当該年と前後年あわせて3年分の公表刊行物をチェックすればそれでいいと思われるし、ましてその時には群馬高専の職員は暇を持て余して学生便覧でハサミチョキチョキ・クレヨンぬりぬりの幼稚園児ごっこに興じていたのだから、60日どころか10日もあれば終わると思われるが、機構側はその弁明を繰り返した。仮に今後当会が6年分の「校報」の情報開示請求を出したら、1年間をかけるつもりなのだろうか……)
(★今回開示を一方的に郵送としていることについて)
【中島職員】:裁決書は郵送されることになっている。そしてそこに開示情報を同封して一緒に送ることがベストと判断し、これが機構としての決まりになっている。
(⇒当会から「郵送でなくて、現地受取としてほしかったのだが、そのような方法を検討してはもらえないのか?」と聞いた)
……私では判断できないので、上司に確認する。
(⇒3時間後、折り返し電話)
上層部に確認したが、やはり、機構内のルールに則って対応しており、何もルールの逸脱や瑕疵はない、というのが機構としての立場だ。
(⇒当会コメント:「そのルール自体がおかしいのではないか、もう少し柔軟にできないのか、配慮はしてくれないのか」と聞いているのに、「ルールだから」という禅問答が返ってくるばかりで、対話が成立しなかった。さらに、上述のとおり、「群馬高専の以前の説明はそうではなかったよね、明らかに矛盾しているよね」と何回聞いても、同じ禅問答が返ってきてしまい、これまた意味のある対話にならなかった)
(★「決定書」「通知書」が「裁決書」に一元化されていることについて)
【中島職員】:指摘の通り、内閣府所管の異議申立から総務省所管の審査請求に制度変更されたのにともない、「決定書」も「裁決書」となっている。また、通知書については、前回は何も開示しないことに決したから「不開示決定通知書」という形で請求人に対して出状した。今回は、開示対象情報があったので、当該情報を郵送という形で請求人に送ったもので、対応としては同一のもの。何ら対応に瑕疵はない。
(⇒当会コメント:以前までは、答申を経て開示する場合でも、普通に開示請求した時と同様に、開示場所・日時と開示箇所について記した通知書が送られてきたはずで、それが開示情報を郵送することを前提とした「裁決書」となっていることについて聞いたのだが、どうも向こうの認識に現実との乖離が感じられる)
(★猿田部長から、機構内委員会での検討後は群馬高専で作業すると説明があったことについて)
【中島職員】:猿田部長のいうとおり、機構で臨時の委員会を立ててそこで協議する際に、群馬高専も加わっているというのは事実。ただし、開示の方法は機構内のルールに基づき郵送の形を誰に対してもとる。
(⇒当会コメント:答申を受けての臨時の委員会に群馬高専が加わっていることではなく、その後の実際の開示作業を群馬高専が行っていることと機構の主張の矛盾を聞いたのだが、どうも話が通じない)
■概しての感想としては、機構の中島職員は、こちらの聞きたいことについて要領を得た回答をしてくれませんでした。向こうの緊張ぶりを見るに、こちらからのコンタクトに対して余計なことは言わないよう厳命されているとともに、おそらく録音を取っており、上層部に当会からの電話の一言一句を報告するものとみられます。
とにかく、的を得た建設的な対話ができないと話になりませんから、これ以上同様の対応が続く場合、「上層部」に直談判した方が手っ取り早いかもしれません。
■また、機構の劣悪な対応はさておき、今回開示された情報そのものについてですが、答申を経てもなお随所が黒塗りとなっています。内容面とこの黒塗りの妥当性をこれから精査していくことになりますが、場合によっては、更なる追及が必要となるかもしれません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑送料410円で特定記録郵便で届いた国立高専機構からの封書。↑
群馬高専では、運営に関する情報を取りまとめた「校報」が年1回(2016年度以前は年2回)発行されており、その中には教職員の異動や退職等に関する人事情報を取りまとめたセクションがあって、群馬高専のホームページ上でも公開されていました。しかし西尾前校長体制下の16年10月に突如全面非公開とされてしまい、さらに17年3月に当会が直接群馬高専に赴いて閲覧を求めたところ、完全非公開措置が取られていることが発覚しました。
さらに17年6月の面談時に山崎新校長にこの件について問い質したところ、適当な屁理屈を並べ立て、西尾前校長の情報隠匿路線を追認する構えを見せました。
状況を重く見た当会では、非公開に関して正当な理由が無いことを証明するため17年8月に「校報」人事情報について情報公開請求を行いましたが、翌月届いた通知は、かつて公開していた分以外は全面不開示とする強硬極まりないものでした。こうして当会では、この全面不開示処分に対し、17年10月に審査請求を申し立てていました。
■またこれとは別に、群馬高専アカハラ関連文書不開示処分取消訴訟において高専機構(実質的には群馬高専)が任用している弁護士の報酬額を把握するため、17年10月に弁護士費用情報に関する開示請求を提出しましたが、これも翌11月全面不開示とされたため、同月中に審査請求を申し立てていました。
こうして総務省審査会の審議の俎上に載っていた「校報」人事情報不開示・弁護士費用情報不開示の2件についての審査請求ですが、2018年3月29日付で、この2件に対する答申書が同時に、当会事務局宛てに送付されてきました。結論から言えば、この答申はどちらも群馬高専の行った全面不開示処分を否定し、部分的にあるいは全ての開示を支持するものでした。
〇2018年3月30日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…校報・弁護士費用不開示処分の審査請求で審査会が答申↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2601.html#readmore
それからちょうど60日が経過した5月29日に機構が発送した開示資料が5月31日に届いたというわけです。送られてきた文書は次のとおりです。
●平成29年9月20日付け29高機総第77号「群馬高専校報第129号の不開示決定処分に係る審査請求」
①送付状および裁決書謄本
PDF ⇒ 20180529_kouhou_saiketusho.pdf
②答申書
PDF ⇒ 20180329_kouhou_tousinsho.pdf
③開示資料
PDF ⇒ 20180529_kouhou_kaijijouhou.pdf
●平成29年11月17日付け群高専総第212-1号および212-2号「弁護士費用の不開示決定処分に係る審査請求」
①送付状および裁決書謄本
PDF ⇒ 20180529_bengosihiyou_saiketusho.pdf
②答申書
PDF ⇒ 20180329_bengosihiyou_tousinsho.pdf
③開示資料
PDF ⇒ 20180529_bengosihiyou_kaijijouhou.pdf
■冒頭でも報告したとおり、今回、機構は、答申が行われた日の翌日からちょうど60日目に裁決書を発送しました。
改正された行政不服審査法によれば、通常、住民からの審査請求を受けて、実施機関が審査会に諮問をしたら、審査会は必要な調査審議を行った上で、実施機関に対し、原処分が妥当であるか否かを答申します。その際、審査請求人にも、参考として答申の写しが速やかに送付されます。
↑審査会の答申から実施機関による裁決書の送付が請求人に送られるまでのプロセス↑
実際に、今回の2件の審査請求についても、審査会は機構に答申すると同時に3月29日付で当会にも答申書の写しを送って来たので、当会は翌3月30日に受け取りました。当時の経緯は次のブログを参照ください。
○2018年3月30日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…校報・弁護士費用不開示処分の審査請求で審査会が答申↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2601.html
通常、答申を受けた実施機関は、答申を尊重して、審査請求を認容・一部認容又は棄却する裁決を行い、審査請求人に裁決書謄本を送付します。
今回は結果的に、3月29日の答申内容をそのまま機構がコピペして、その前後に若干の追記をして裁決書として体裁を整えたものを、2カ月後の5月29日に請求人に送ってきました。
答申から裁決を行うまでの期間について、通常は30日以内としている場合がほとんどであり、対象文書が大量であって、個別具体的に非開示とすべき情報の当てはめを行う必要がある場合などの特段の事情がある場合に限り、60日以内としています。
ところが、今回、答申を受けての裁決により開示された資料は、2件ともそれぞれ僅か3、4ページに過ぎません。当然、原則30日以内というルールに照らせば、せいぜい1週間から10日で開示するのが常識ですが、機構はギリギリの60日まで、延ばしに伸ばしました。
このことを見ても、機構が、当会に対して協力的な姿勢を見せようとしない証左と言えるでしょう。
■そして今回、さらに気になる点がいくつか浮上してきます。
「校報」人事情報も、弁護士費用情報も、当会の元々の開示請求では群馬高専ないし機構本部での現地受領を希望していたにも関わらず、なぜか今回答申を受けて下された新処分では、当会に受領方法を諮ることもなく、一方的に郵送とされています。
少なくとも16年の3月時点では、答申を受けて処分を取り消し、再処分で仮に開示を行うとなった場合は、群馬高専にてそれを行うと、群馬高専総務課の六本木課長補佐(当時)と尾島職員(当時)より説明が為されていました。
○2016年3月24日:アカハラ問題の実態と学校側の対応とが分かる情報の早期開示を群馬高専に直訴↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1933.html
とすると、少なくとも今回も、郵送か現地開示かを選ぶ権利は当会にあったはずです。
当会では、よほど多忙である場合や、確認の必要がない情報である場合を除いては、文書開示にあたっては基本的に現地受取を行うこととしています。そちらの方が、開示された文書にミスや疑義があった場合、担当職員に即座に申し立てることができるからです。
そうした希望もあらかじめ聞くことなく、まして滅茶苦茶な処分を行って9ヶ月も開示を遅滞させた非礼を詫びることもなく、突如として一方的に送り付けておしまいとするのは、やり方としてどうなのか、と思わざるを得ません。
■もうひとつ気になるのは、これまでは答申によって処分を取り消す際は、機構理事長が原処分を取り消したという「決定書」と、各高専校長がその所管情報について新処分を行ったという「通知書」が出ていたのに、今回から機構理事長名義の「裁決書」としてこれが一元化されているということです。
処分内容に対して不服が申し立てられた際に、答申を出している情報公開・個人情報保護審査会は、16年4月に内閣府から総務省に移管されていますが、その際に、不服申し立ての名称である「異議申立」も「審査請求」へと変わっています。これに対応して、「決定書」も「裁決書」へと名前が変わっているというのは納得ができます。
しかし、以前は、「処分取消は理事長の裁量、新処分は各校校長の裁量」と役割分担されていたのが、この度よりすべて理事長名義に統括されています。もちろん、責任関係がバラバラだったこれまでに比べて、明らかにすべてが理事長の責任であると示されるようになったことは、今回の改定のメリットであると言えるのかもしれません。
しかし他方で、機構本部が全51高専のこうした業務を代替できるわけもなく、実務や調整は各高専が担っている現実は変わらないわけですから、この「裁決」について、各高専がどの程度まで関与しているのかが、非常にわかりづらくなってしまいました。
例えば、直近でも、群馬高専を5月2日に訪れた際は、猿田部長は「機構の中で臨時委員会を立ち上げ、そこで検討ののち、委員会から『処分を見直せ』と群馬高専に通知し、実際の再処分については群馬高専が行う」と説明していました。
○2018年5月5日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…控訴審判決を踏まえて群馬高専を電撃訪問!顛末や如何に・・・↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2632.html
そうなると、実際の処分は群馬高専が担っているにも関わらず、彼らは一切文書の上では姿を見せないということになります。こうなると、機構理事長を隠れミノに、山崎校長・猿田部長・櫻井課長の隠蔽タッグが好き放題やる可能性すら危惧されるわけです。というより、すでに好き勝手やっていると言っていいかもしれません。加えて、群馬高専が実際の処分を担当しているなら、群馬高専で開示するのが一番早いわけで、わざわざ機構に戻して郵送とする意味もわかりません。
■こうした疑問があったため、6月1日の昼下がり、機構総務課情報開示担当の中島職員に電話をして、質問しました。回答の概要は以下の通りです。
(★答申から開示までルール内とはいえ時間を掛けすぎていることについて)
【中島職員】:今回は、個別具体的に非開示とすべき情報の当てはめを行う必要がある場合などの特段の事情がある場合に該当したため、60日を要した。
本来は60日でも足りないくらいだったが、ルールなのでなんとか早期に開示をする必要を十分認識しており、むしろギリギリ間に合ったというべきもの。したがって、60日以内に開示したので、手続きになんら瑕疵はない。
(⇒当会コメント:H28年度「校報」人事情報と弁護士費用情報あわせてたった7ページに「本来は60日でも足りない」と自らを擁護する根拠がよくわからない。まして「当てはめ」が必要なのはどう解釈しても「校報」人事情報のたった3ページ分。「当てはめ」のためにはせいぜい当該年と前後年あわせて3年分の公表刊行物をチェックすればそれでいいと思われるし、ましてその時には群馬高専の職員は暇を持て余して学生便覧でハサミチョキチョキ・クレヨンぬりぬりの幼稚園児ごっこに興じていたのだから、60日どころか10日もあれば終わると思われるが、機構側はその弁明を繰り返した。仮に今後当会が6年分の「校報」の情報開示請求を出したら、1年間をかけるつもりなのだろうか……)
(★今回開示を一方的に郵送としていることについて)
【中島職員】:裁決書は郵送されることになっている。そしてそこに開示情報を同封して一緒に送ることがベストと判断し、これが機構としての決まりになっている。
(⇒当会から「郵送でなくて、現地受取としてほしかったのだが、そのような方法を検討してはもらえないのか?」と聞いた)
……私では判断できないので、上司に確認する。
(⇒3時間後、折り返し電話)
上層部に確認したが、やはり、機構内のルールに則って対応しており、何もルールの逸脱や瑕疵はない、というのが機構としての立場だ。
(⇒当会コメント:「そのルール自体がおかしいのではないか、もう少し柔軟にできないのか、配慮はしてくれないのか」と聞いているのに、「ルールだから」という禅問答が返ってくるばかりで、対話が成立しなかった。さらに、上述のとおり、「群馬高専の以前の説明はそうではなかったよね、明らかに矛盾しているよね」と何回聞いても、同じ禅問答が返ってきてしまい、これまた意味のある対話にならなかった)
(★「決定書」「通知書」が「裁決書」に一元化されていることについて)
【中島職員】:指摘の通り、内閣府所管の異議申立から総務省所管の審査請求に制度変更されたのにともない、「決定書」も「裁決書」となっている。また、通知書については、前回は何も開示しないことに決したから「不開示決定通知書」という形で請求人に対して出状した。今回は、開示対象情報があったので、当該情報を郵送という形で請求人に送ったもので、対応としては同一のもの。何ら対応に瑕疵はない。
(⇒当会コメント:以前までは、答申を経て開示する場合でも、普通に開示請求した時と同様に、開示場所・日時と開示箇所について記した通知書が送られてきたはずで、それが開示情報を郵送することを前提とした「裁決書」となっていることについて聞いたのだが、どうも向こうの認識に現実との乖離が感じられる)
(★猿田部長から、機構内委員会での検討後は群馬高専で作業すると説明があったことについて)
【中島職員】:猿田部長のいうとおり、機構で臨時の委員会を立ててそこで協議する際に、群馬高専も加わっているというのは事実。ただし、開示の方法は機構内のルールに基づき郵送の形を誰に対してもとる。
(⇒当会コメント:答申を受けての臨時の委員会に群馬高専が加わっていることではなく、その後の実際の開示作業を群馬高専が行っていることと機構の主張の矛盾を聞いたのだが、どうも話が通じない)
■概しての感想としては、機構の中島職員は、こちらの聞きたいことについて要領を得た回答をしてくれませんでした。向こうの緊張ぶりを見るに、こちらからのコンタクトに対して余計なことは言わないよう厳命されているとともに、おそらく録音を取っており、上層部に当会からの電話の一言一句を報告するものとみられます。
とにかく、的を得た建設的な対話ができないと話になりませんから、これ以上同様の対応が続く場合、「上層部」に直談判した方が手っ取り早いかもしれません。
■また、機構の劣悪な対応はさておき、今回開示された情報そのものについてですが、答申を経てもなお随所が黒塗りとなっています。内容面とこの黒塗りの妥当性をこれから精査していくことになりますが、場合によっては、更なる追及が必要となるかもしれません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】