市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

放射能を浴びせられたうえ東電福島原発由来の汚染ガレキ搬入の危機を迎える郷土群馬の山河

2011-10-23 12:57:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■8 月23 日~9 月8 日に実施された文部科学省及び群馬県による航空機モニタリングの測定結果がまとまったということで、9月27日に公表されました。
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_092714.pdf


 この測定結果をみた群馬県民は、涙とともに怒りを禁じえなかったのではないでしょうか。筆者もそのひとりです。

■「文部科学省及び群馬県による航空機モニタリングの測定結果について(群馬県内の地表面から1m高さの空間線量率)」というタイトルの図を見ると、我らが愛してやまない故郷の山河が、東電福島原発から垂れ流された放射能の死の灰を浴びて呻吟している様子が分かります。

 このような取り返しのつかない事態を招いたのは、長年にわたる自民党政治であり、その利権構造を維持していた役所そして天下り先の東電の責任です。

 また、民主党でも、9月4日の記者会見で、細野環境大臣が、原発事故で放射性物質に汚染されたがれきや土壌の最終処分場について「福島の痛みを日本全体で分かち合うことが国としての配慮ではないかと思っている。福島を最終処分場にはしないということは方針として出来る限り貫きたい」などと述べ、日本全国に放射線を撒き散らそうとしている始末です。

■さて、航空機モニタリングの測定結果を見ると、群馬県で年間1ミリシーベルト(時間当たり0.11μSv/h相当)を超えない、つまり安全ですというお墨付きが与えられる場所は、標高の低い平野部にある前橋、高崎、太田、伊勢崎、館林などと、嬬恋村の長野県境沿いの地域だけで、県土全体のわずか5分の1にすぎません。

 安中市で見ると、0.1以下で安全なのは、市の東端の板鼻、岩井、大谷の一部だけです。旧安中地区は0.1-0.2で、西に行くほど値が増え、磯部から西は0.2を越えており、旧松井田地区の大半は0.2-0.5のゾーンです。

 地図をよくみると薄青色の中に緑色の部分があります。これは0.5-1.0の地域です。いずれも県土の上流域にあります。やがて下流へと汚染が広がる可能性を示しています。0.5-1.0の地域として桐生市とみどり市にかけての広い範囲、沼田市の北部、高山村と渋川市の境界付近、みなかみ町や中之条町の一部に県土のホットスポットがあります。

■次に、「群馬県内の地表面へのセシウム134、137の沈着量の合計」の図を見てみましょう。図に示された単位は平方メートル当たりのベクレルです。9月18日現在の値に換算している、というのが気になります。

 ちなみに、土壌の放射線汚染の安全基準としては、チェルノブイリの場合、土壌基準が1kg当たり493ベクレル(1㎡当たり9860ベクレル)以上では農業は禁止とされています。一方、日本の土壌基準は1kg当たり5000ベクレル(1㎡当たり10万ベクレル)とされています。

 また、土壌汚染の測定方法については、1kg当たりの汚染数値で世界基準は土壌表面を1~3cmの深さで試料をすきとって計測する方です。日本でも以前は世界基準で測定していましたが、なぜか3月11日以降は5cmの筒掘りをして、地表部分は除いて測定するようになりました。

■やはり、地上1mの空間線量に影響を与えているためか、県土の北部に高い値を示す地域が広がります。1㎡あたり1万ベクレル以下、すなわち、世界基準で農業をすることが禁止されない放射線レベルになんとか収まっている県土面積は全体の2割以下という有様です。いずれも標高の100m前後以下の地域です。

 安中市で見ると、農業禁止に該当しない1万ベクレル以下の土壌は、板鼻と岩野谷地区の高崎市と接するごく一部の区域、及び下仁田町と接する旧松井田地区南西部の区域しか該当しません。

 土壌汚染が1万~3万ベクレルの範囲にある区域は旧安中市のほぼ全域にわたっています。さらに、汚染レベルが3万~6万ベクレルのホットスポットが秋間の一番北西部と松井田町の北西部にあります。

■県土で見ると、土壌緯線が1㎡当たり6万ベクレルを超える地域は、群馬県の北部に集中しており、県土全体の4分の1に相当する汚染面積となっています。さらに、10万ベクレルを超える場所は、みなかみ町北部地域、同町東南部から沼田市西北部を経て川場村の中部と南部にかけての地域、片品村の中央部と西南部地域、中之条町の北東部地域、東吾妻町の北部地域、高山村南部と渋川市北部に続く地域、沼田市東南部から桐生市北部を経てみどり市の西半分にかけての地域に広がっており、県土の5%を超えるとみられます。

 川場村や沼田市など、群馬県には全国に誇れる農業生産地域がありますが、こうした土壌汚染の実態が、農業に与える影響が心配されます。

 安中市においても、世界基準に照らせば、高崎市に接するほんの一部の地域を除いて、ほとんど農業禁止となっても不思議ではない状況です。

■こうした事態になっていても、依然として東電の社員は、大卒40歳の平均が年収1千万円以上で、今年の夏のボーナスは昨夏と比べて半額以下とはいえ、依然として組合員平均38.2歳で約40万円が支給されました。しかも半減したといっても、本給ベースだけの話で、諸手当は含まれないため、公務員平均(行政職35.6歳で56万4800円)を上回る社員がゾロゾロいるというのですから、この国はいったいどうなっていくのでしょうか。

【ひらく会情報部】

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大澤知事の公舎不正使用について、本日午後2時に請求資料が情報開示されます

2011-10-21 12:46:00 | 県内の税金無駄使い実態

■大澤知事のスキャンダラスな週刊誌記事掲載を発端に、知事公舎の不正使用問題が浮上したため、市民オンブズマン群馬では今年の7月下旬に、知事に対して情報開示請求を行っていましたが、ようやく、本日、10月21日(金)午後2時に、県庁2階の県民サービスセンターで情報開示が行われることになりました。

 この情報開示に先立ち、先日、県庁に赴いた際に、知事公舎を所轄している管財課を訪れ、担当責任者である次長と面談して、この事案に関する意見を聴取するとともに、問題点について討議したので、その模様を次の通り報告します。内容をお読みいただくとよくわかりますが、県は、あるときは公舎は私人の住宅だから誰が訪れてもよいとし、一方で公人の滞在する場所だから第3者の立入は厳に禁止されるべきだとしており、ご都合主義が見て取れると思います。

■それでは、県民と次長とのやり取りをじっくりご覧ください。

県民:(この県知事による公舎の不正使用について)皆さんは目的外とは一概には言えないというが、内部がどうなっているのか見学会を開催させていただきたい。しかし見学会の類は治安の問題で認められない。知事が引っ越した後も、ダメと言う。それはいったいどういう観点なのか、分かりやすく説明してもらわないと、ただ警備上の観点から、と言う説明では会員に説明ができない。

次長:たしかに7月28日付だったでしょうかね。最初にね?

県民:いずれにしてもそのころ。(知事の)退去間近な時だった。

次長:まあ、文書で一度回答いたしまして、その、こちらの回答を受けて、そういう退去後であれば警備上の問題はなくなったのではないかということで、直接(市民オンブズマン群馬の)鈴木事務局長が来られまして、私がちょうど対応しましたけれど。当初から、最初の回答時から、「知事がいるから、警備上の問題があるから」ということではなくて、「知事公舎であるから」。中を公開するということは、そのことによって公舎の中の間取りがどうなっているのか、どういったその形で知事が居ることになるのか、と、そういった情報がわかると、まあ図面もそうですよね。そうすると警備上の問題、いま、あのう、犯罪的なですね、えー、知事のその、生命なり危害を及ぼす行為を招く恐れがあるということ。

県民:というと、つまりはテロ活動のたぐいを招くということのほうが、わかりやすいということですね。

次長:まあ、そういうことですよね。

県民:ということは県民の方がテロリストだという懸念があるから、そういうものは県民には見せないほうがいいと、こういうことですか。

次長:県民であるかどうか、県民がテロリストだとかという断定ではないが、そういう恐れもね、あるということでね。

県民:でもそういう意味ではこの間、第三者の方が(公舎に)入っているんですね。

次長:それはあのう。

県民:つまり、知事の家族ぐるみのお付き合いだということで週刊誌ではいっているが、いわゆる、有体にいえば愛人と言うこともされていますが、いわゆるプライベートの付き合いの方が、あそこに引き入れられたわけですよ。そういう意味では警備上の問題は無いのでしょうか?

次長:あのう、公舎の、そもそも公舎のその設置目的と言うのはですね。その職員、およびその職員と生計をね、えー、まあ・・・・・、言っているのは家族の方は入れると。

県民:もちろん、そうでしょうね。

次長:ええ、普通、生活の領域ということはありますよね。現に、えー、公選職であれ、公人であれ、まったく一切合財、そのプライベートの部分は無いわけではないわけで、で、しかもあそこの公舎というのは、一般の公邸ということではなくて、職員個人の住居ということで、もちろんそこでで、あのう、公務を遂行する場合もありますけれども、電話のやり取りをして、部下に指示を出すと、あるいは部下から報告ももらうと、いうこともあるでしょう。基本は、住居なんです。職員の、住居なんですよね。

県民:職員の住居?

次長:だから、公舎の管理規則を読んでいただければ分かるんですが、「公務の円滑な遂行のため」ということがあるが、それは要は、遠くからでは、いざというとき登庁するときには時間がかかって不便をきたすであろうと。ただ今は交通機関や通信手段も発達しているので、従来ほどそういうことではないんですが、やはり近くにあるというのは、その「公務の円滑な遂行」ということで、まあ、そういうあのう、究極的な目的があるんですが、直接的な目的は、「公務の円滑に資するために、職員の住居に供することをもって、県が設置している」ということなんですね。直接の目的は職員の住居。

県民:まあ、社宅みたいなものでしょう?

次長:ええ、そうです。この場合は知事のね。ですから社宅・・・、まあそうです。社宅と同じなんですが、ただ知事だけに、よりその、あのう、身辺警護と、いうことは比率は高いのでね。警備と言うのはね。いま実際に機械警備ということで、あのう、防犯カメラ等ということでね。いまは知事が住んでいませんのであれなんですが、その防犯カメラを設置するだとか、そういうあのう・・・。

県民:セコムと契約してやっているわけでしょう。

次長:そうですね。

県民:セコムの張り紙が(公舎の玄関脇に)してある。

次長:そうです。

県民:中には立ち入らせてもらえないが、周囲はよく観察させてもらったが、セコムとは引き続いて今も契約をしているのか?

次長:今もやっていますね。今、外部から中に入らないように。

県民:でも、使っていないんですからもったいないですね。

次長:使ってないんですが、いやあ、使っていないんで。それについては先程、えー、そういうご批判を招かないように管理はしていこうと考えていますが。

県民:また、2階とも断られたので、おそらく不特定多数の県民に対して公開をしてはならないという趣旨かもしれないが、では、特定のかたに対して、外部に対してのいわゆる縛りを入れて、その結果についての後輩について安全上の問題があるので外に話してくれるなと言うことも含めて上で中を見せていただくことはできませんか?

次長:これは文書で2回お答えしている通り、2回お答えしているとおり警備上の問題があるので、要するに見学会については・・・

県民:要するに何人(なんびと)に対しても見せないということ?

次長:まあ、何人にという抽象的・・・まああのう、・・・いずれにしてもいまのね、オンブズマンのかたなり、一般の方なりがですね、まあこれ、オンブズマンだから特別だというわけでなく、一般の県民も同じように申し入れる権利・・・、権利というか、申し入れることは妨げられませんけれども。

県民:我々、納税者の費用で賄われているということについては、否定はされないと思う。

次長:そうですよね。ただそのために情報公開請求制度ができた。

県民:それは別途やってもらっているが、不安になるのは今の次長の話ですと、ようするに個人情報だとか、いわゆるプライバシーに関することとか言って開示されないのではないかという不安もあるわけですよ。今チェックされていると思うが。

次長:まさにその、同時並行的に、えー、まあ、文書での、いわゆる情報公開請求と言うのは権利として何尾とも公開請求することができる。ただ、当然、個人情報ですとか不開示情報に該当すればね、それは開示することはできませんと、いうことになるが、開示に該当すれば開示しなければならないということで、そういう情報公開条例に基づいた権利としての請求と、今回の特別見学会の開催という、これはあくまでも権利、納税者ということですが、権利として認められているということではないと思う。

県民:権利として認められているかどうかという判断は、県民の権利だと思うが、私としては県民のかたがたから、おかしいではないか、中をみせても、特に改造したとか改修したという件について、この辺は細かいところは情報公開でどの程度出るのか分かりませんが、今の次長がおっしゃった原則開示の観点から、もし我々が開示すべきと思うところが開示されなかった場合には当然それは不服申し立てをさせてもらうから。

次長:まあ、もう弁護士にも相談の上で、対応しておりますし。

県民:まあ、県の御用弁護士さんのコメントと言うのは大体わかっているが、

次長:我々もいろいろな事例で調べますが。

県民:県の顧問弁護士がどういおうと我々は県民の常識的な意見を踏まえて行動させていただくわけだ。

次長:我々としても県の条例などをとって、全体として対応させていただきたいと思いますけれど。

県民:相談として改めてお願い年ですが、要するに、防犯上間取りがダメかどうかという範囲で、ここまで許されると言うところは無いんですか。要するに、構内そのものの、正門から一歩立ち入った時点で、もうそれさえダメだと、そういうことなのか。外回りはOKだとかね。

次長:やはりそれは警備上の話と言うことと同じなのではないのか。外を回るのは止められませんものね。

県民:塀の外をまわるということか。

次長;塀の外一般は周囲に道路があるが。

県民;ただ、今、誰もいらっしゃらないですよね。

次長:しかし、ただやはり一般常識にしたがってですね。ただ我々としては公道をどう歩いていいかということで、そこから、あのう、それ以上のことをするということがなければ、別にそれについてとやかくは言えないというのでしょうが、我々の管理権とすると、やはり敷地の中についてはね。

県民:だから、その中の、なんというか、実際に生活される場についてはいけないと。ただ、外部については、家の建物の外については問題は無いのではないか。だって、上のほうから全部丸見えですよ。

次長:写真でもインターネット上でも、あの、屋上というか、高い建物から撮った、撮影したものが出ていますので。

県民:望遠で撮ったとか、石ころのひとつひとつまで見えてますよね。だから、少なくとも、家の周りまではさしつかえないし、それは通常の、そのまわりを游歩、歩いていても見えますよね。

次長:いま、グーグルストリートビューと言うことで写真をとって載せたということで問題になっていることもあるますよね。

県民:あれば問題は一時なりましたけど、特段いまもストリートニューはやっていますよね。

次長:それは解決されたのかどうか分からないが。

県民:それは風景として撮影されているわけですから、ただ、お願いと言うのはあれもこれもダメということではなくて、ここまではいいですよ、ということはございませんかということを申し上げているんですよ。

次長:それはだから、基本的には我々としてもですね、そのう、抽象的な、その、まあ、あの、うん、具体的にどうだという仮定の話だが、いずれにしても見学会と言うことに対しては・・。

県民:見学会というスキームではなくて、いわゆる限られた人物で、言ってみれば、例えば、私とかこの間きた事務局長とか、そういうふうに、我々も遵法精神にのっとってやっているので、我々オンブズマンが違法行為をするわけにはいかないわけですよ。そういう意味で安心しろと言っても信用してくれるかどうかは分からりませんが。

次長:この人だから大丈夫だということではなくて、等しくですね、やっぱり、この人に見せただたとかそうするとまず警備上の理由と言うのは、ひろく普遍的な理由づけでね、やってますのでね、あのう、基本的には同じなんですよね。

県民:ああそうなんですか?

次長:ええ。あのう、人権・・・もちろん、あのう、そのう、しっかりしているから、信用できるから、見せる見せないという、そういうことではなく、

県民:そうですか。愛人なら見せてもいいわけだ。まあ、あの人は愛人ではなくて、(知事)ご自身の福祉法人の経理を担当されているということらしいですけども、そういう方はいいんですか。

次長:想像に基づいて、私どもの立場ではいえないんですが。

県民:想像じゃないですけど、そうなんですか。まあ、知事のいわゆる取り巻き…

次長:ただ、住居ですから、近所づきあいなんかも当然されることもあるんですよ。自治会とのですね、会合にも参加する、あるいはその人、・・まあ、これ一般論ですよ。言ってはいけないということは無いわけですよ。

県民:まあ、配り物がありますよね。自治会の。だから配り物は一切入らなくて、全部郵便受けなんですか。

次長:まあそれは、その住居をね、使用している人の範囲の、当然ね、判断と言うことでね。公舎だから、だれも家族以外は一切絶対入れてはいけない、ということもないんですよね「。

県民:今、誰もいらっしゃらないんですよ。だからね。たしかにいらっしゃればそのかたのプライバシーもあるでしょうから、一応そのかたのOKを取らなければならないと思って、だから知事あてにお願いをしたわけだが。

次長:だから知事と言うことではなくて、県の公舎としての警備上の問題だということなんですよね。

県民:それはちょっと勇み足にすぎませんか?

次長:あのう、だから、さきほども言ったように、それは弁護士にも相談しており、我々としても司法の判例とかね、実例を確認しております。

県民:どういう判例があるんですか。聞きたいくらいだが。

次長:あのう、オンブズマンさんのほうが詳しいのではないかと思う。

県民:詳しくは無いが、いつも裁判ではご指導いただいていて、皆さんのほうが勝訴されますから。

次長:情報公開請求については結構、蓄積がやっているでしょうから。判例もね。判断ですけどもね。だいたいご覧になればね。

県民:うん、まあ、その判断の線引きがいつも問題になるんですよ。原則開示という性格がなし崩しになっているわけです。

次長:まあ、不開示事項と言うのがあって、不開示事項に該当すればね。

県民:ただし書きに色々あるが、要するに公人の方だが、今誰もいないんですよね、いないのに誰に対して警護だということを、どういうふうに立証されるのか、別に我々は祭場の宅ですぐ裁判すると思われては心外だが。

次長:まあ、そういうことで・・・。

県民:見せたくないと、それも警護上の理由だと?

次長:それも、警護上ね。基本はね。ただ人が住んでいませんので、プライバシーはやはり住んでいる場合の最大の理由だが、そうでなくても、やはり知事という公職にある人のね、えー、まあ、つぶさにその、生活、公舎の生活状況を明らかにする、ということはね。

県民:別にね、どういう間取りについてね、この分だと間取りについての情報は今の話で開示されないのではないかと言う懸念を、今の次長の話だとそうなるんだと言う懸念がある。要するに我々も(この事件の報道をみて)仰天したわけですよ。ああいうことが白昼堂々と行われて、それをよりによって週刊誌のカメラマンに実写までされると、これは放っておけないんですよ、我々も。

次長:そのことについては、我々も逆になぜそういうことが、だいぶ、だから、

県民:マンションの4階か5階のかたから、あればみれば撮影した方角が判るでしょう。だから、目に余ったわけですよ。もちろん、我々マンションに入って当事者に聞いたわけではないが、ただ雑誌を見ただけだが。

次長:まあ、だけど、今ね、そのプライバシーの部分はね。えー。

県民:だけど、そこで県民が、なぜ(知事が)そんなことを行ったのかと。まあ、いろいろ改修したのが、この間の知事の応対ですと、「いや、私は入ってから改修していないんだ」というコメントをされていましたが、入ってから改修ではなくて、可いる前に改修したわけなのでその辺は詭弁だなと思っているんですが。せっかくのチャンスで、「いや、使用していたところは中はこういうことだったんだと」いうことで、普通であれば見せますよ。しかも、セコムがあるわけでしょう?だから、外から、例えばテロリストに爆弾を投げられて、いつもそこにいる可能性があるから、その居る場所が明らかになるから、そういう内部の情報、だからこの間のビンラーデンの殺害みたいね。あらかじめ

次長:いや、決してそんな極端なことを言っているのではなく。

県民:でも同じことでしょう。テロリスト呼ばわりされるのは困るんですよ。

次長:そうじゃなくて、要するに情報が漏れないということですね。

県民:情報って何ですかね。

次長:直接的にそういうことをやるから、請求する人がそういうことを目的とするから、ということじゃなくて、目的を、どういう目的であれ、一般のかたに、あのう、勿論我々見てますけども、我々には、守秘義務がありますから、そういうことの公開はできない。

県民:守秘義務はあるけれども、皆さんには、不正が行われた時には告発の義務もあるんですよ。ところが皆さんが告発したことは、我々にも告発情報は多くなっていますが、残念ながらみな匿名の情報だが、本来は司直に対して皆さんが目の前で違法・不当・不正が行われた場合は、報告義務があるんですよ。

次長:いや、あるんですよ。それは当然承知の上ですが、だから。

県民:守秘義務は私もうんざりするほど聞かされました。

次長:それは勿論我々守秘義務ということで、そのうえで、それを守らない人もいるかもしれないが。

県民:だから、不正があったら守秘義務は関係ないんですよ。今回は、皆さんは違法不当行為ではないとおっしゃるが、やはりおかしいでしょう。あれが刑事罰に値するのかどうか、私もよく分かりませんが。少なくとも皆さんが、知事が自分で作ったあの使用規則?

次長:自分で作ったわけではなくて、これはあのう、全国みんな一緒なんですよね。国の国家公務員のですね、宿舎法というのがあるんですよ。なべて、あのう、47都道府県でも市などでも当然市長公舎の管理規則等というのを定めていますが、基本的には全部同じなんですね。

県民:若干変えていますけどね。

次長:まあ、細かい文言が違うのは当然そうだが、趣旨は同じですよね。住居目的。その市長也、特別職、まあ一般職もあるんですが、そういった職の、一定の職位の人のための住居目的で設置しているんですよ。第三者が入ったらまずいですということを書いている規則はないですね。あっ、その人がですよ。その人が住居に入っている間の話ですよ。

県民:第三者といっても、普通はたとえば、町内会の回覧板をもってきて、打合せで今度、一隻再札してくれないか、立ち話もなんだから中に入れると言うことは問題ないとおもう。

次長:問題ないとおもう。

県民:ところが、情報によると100回以上、週末に招き入れたというのは問題ですよ。

次長:そういった事柄はですね。あのう、そういう週刊誌では、そういった報道があったのかもしれませんけども。週刊誌をもとにして、調べるというのは逆に。

県民:ただ週刊誌をもとに、たしかに週刊誌にね。

次長:社宅の話をされましたが、社宅を誰かがうわさで、社宅の住人に対して会社がね。そういうことが犯罪に、むしろそれは問題にならないのか、と。

県民:社宅と言うとあれだが、昔でいうとこれは官舎ですよね。

次長:あのう寄宿舎なんかもありますけど、それは労働基準法が今ありますが、みだりに使用者が権限に基づいてね、侵してはならないという私的領域がね、そういった観点から週刊誌的な報道が、むしろ、いいのかどうか。

県民;私も、あすこにたしか幾つか不正確な記述があったと思う。例えば玄関わきのつい立が数メートルとあったが、あれをよく観察すると普通の垣根ですよね。そうでなければ数メートルあったらあの角度であのかたの姿は撮れませんよ。あれば間違いですよ。あれは私は訂正しなければならないと思っていますよ。あの高さは私の背丈よりちょっと高いようなので、1.9mから2.0mと訂正しなければならないと思っている。

次長:まあ、我々もいま一生懸命、担当者が情報公開請求に対して事務を、彼なんかも担当者なんだけど、膨大な量があるので、コピーが。おそらく、その辺の所は公開請求請求に対して開示する文書のなかで理解していただけるのではないかと思っている。工事についても、決して無駄にやったものは無いと。

県民:それは見せてもらえればわかる。ただし見せてもらったうえでの話であって、黒塗りとか白抜きになっていたり、あるいは不開示になっていると、そこはチェックのしようがない。そこのところを、消されたり見せなかったすると、これはやっぱり見せなかったということで公にしなければいけないし、会員に諮ってこのまま黙っているのかという声があれば、それなりの対応を取らざるを得ない。これは皆さまの誠意を信じているわけだが。ちょっと今、次長の話を聞くと不安になっちゃった。

次長:それは安心していてほしい。

以上です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの情報による】

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タゴお宝絵画等6点の不公開処分取消訴訟の控訴審の日時決まる

2011-10-14 22:39:00 | 土地開発公社51億円横領事件

■実弟の経営する多胡運輸所有のタンクローリーが首都高5号線で横転炎上して首都圏経済に多大な損害を与えた件で、首都高が多胡運輸とその元請と荷主を相手取り34億5千万円の損害賠償請求訴訟が10月7日に東京地裁で行われましたが、当会にも、東京高裁から、9月30日付で、元安中市職員のタゴが親友に預けておいた絵画等6点の絵柄情報を公開するよう岡田義弘安中市長(=岡田義弘安中市土地開発公社理事長)に求めている訴訟の口頭弁論が11月8日に東京高裁で行われることが決まりました。

 9月30日付けで特別送達された口頭弁論期日呼出状は次のとおりです。

東京高裁からの口頭弁論期日呼出状の入った封筒。

**********
         口 頭 弁 論 期 日 呼 出 状
■控訴人           □代表者
□被控訴人          □代理人
□第一審原告
□第一審被告
     小 川  賢 様
    平成23年9月30日
      東京高等裁判所第4民事部
            裁判所書記官 中 越 紀代子(公印)
              TEL 03-3581-2010(ダイヤルイン)
              FAX 03-3581-5529
 事件番号 平成23年(行コ)第306号 公文書不公開処分取消請求控訴事件
 当 事 者    ■控訴人     小川賢
          □第一審原告
          □
          ■被控訴人    安中市
          □第一審被告
          □
 この事件の口頭弁論期日は,下記のとおり指定されましたので,出頭してください。
                   記
 期   日  平成23年11月8日(火)午前11時00分
 出頭の場所 東京高等裁判所第817号法廷(8階)
                注       意
1 この事件について提出する書面には,部名,事件番号及び当事者を記載し,記名・押印してください。
2 病気,その他やむを得ない事情で出頭できないときは,期日前に,出頭できない理由を詳しく記載した「期日変更申立書」に医師の診断書その他の証明書を添えて提出してください。
                案         内
   所在地 〒100-8933 東京都千代田区霞が関1丁目1番4号
   最寄駅 地下鉄(東京メトロ)霞ケ関・・2分 桜田門・・3分 日比谷・・10分
       地下鉄(都営)内幸町・・10分
       J R 有楽町・・15分
※ 駐車スペースが狭いので,車での来庁はご遠慮ください。
**********


■あわせて、事務連絡として、できるだけこのほかに主張、立証材料がある場合には、10月24日までに提出するように、アドバイスがありました。当会では、既に控訴状に控訴理由を記述して、裁判所に提出済みですが、今回の事務連絡の指示にそって、現在、資料をもとに、さらなる控訴理由を構築中です。

**********
平成23年(行コ)第306号 公文書不公開処分取消請求控訴事件
 (原審 前橋地方裁判所 平成23年(行ウ)第10号)
控訴人   小川賢
披控訴人  安中市
                           平成23年9月30日
控訴人 小 川  賢 様
                  東京高等裁判所第4民事部
                     裁判所書記官 中 越 紀代子
                  T E L 03-3581-2010
                  F A X03-3581-5529
              事  務  連  絡
1 上記事件が当部に係属しました。
2 控訴理由書の提出期限は平成23年10月24日です。既に提出した書面以外に提出を予定している書面(主張,立証)等があるときは,できるだけこの日までに提出してください。
                                   以 上

**********


【ひらく会事務局】

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3年前の多胡運輸ローリー横転炎上事件の損害賠償を荷主の出光にも請求した首都高の決断と勝算

2011-10-13 12:43:00 | 首都高炎上とタゴ運輸

■当会は、平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸(群馬県高崎市箕郷町)所有の大型タンクローリーによる横転炎上事故で、これまでに首都高が多胡運輸やその元請、或いはガソリン等の運搬を依頼した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報を、平成23年7月27日に首都高に開示請求しましたが、首都高は8月24日付で、全部不開示の通知をよこしました。

 そこで、8月30日付で「再検討の求め」で不服申し立てをしていましたが、9月27日付でまたもや不開示の通知が送られてきました。

 ところが、当会の推測どおり、首都高はこの事故について、時効前に多胡運輸らを相手取り損害賠償請求の手続を進めていたのでした。


■10月8日未明のNHKの報道は次のとおりです。

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首都高事故 34億円賠償請求
 3年前、首都高速道路でタンクローリーが横転して炎上し、2か月半にわたって通行規制が行われた事故を巡り、首都高速道路の運営会社が「交通量が著しく減り損害を受けた」と主張して、ガソリンの運搬を委託していた出光興産などに34億円余りの賠償を求める裁判を起こしました。
 この事故は、3年前の8月、東京・板橋区の首都高速環状線と5号線の合流付近で、ガソリンなどを積んでいたタンクローリーが横転して炎上したもので、現場の道路は、橋桁や路面が変形するなど大きく損傷し、2か月半にわたって通行規制が行われました。この事故について、首都高速道路株式会社は「復旧工事に多額の費用がかかったうえ、交通量が著しく減って損害を受けた」と主張して、ガソリンの運搬を継続的に委託していた出光興産のほか、運送会社などにおよそ34億5000万円の損害賠償を求める訴えを起こし、7日は東京地方裁判所で初めての審理が開かれました。訴えについて、出光興産は「今後、どのように対応するか検討していきたい」と話しています。この事故を巡っては、ドライバーの安全運転の対策が不十分だったとして、運送会社がトラックの使用停止などの行政処分を受けました。
【10月8日 0時20分 NHK】
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■また、共同通信社もこのニュースを簡単に報じています。

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運営会社、34億賠償求め提訴 08年の首都高炎上事故で
 首都高速道路で2008年、ガソリンなどを運搬していた大型トレーラーが横転して炎上し、通行規制が行われた事故をめぐり、首都高速道路の運営会社が、運搬を委託していた出光興産やトレーラーを所有する運送会社などに計約34億5千万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴していたことが7日、分かった。
 訴えによると、08年8月、東京都板橋区の首都高速5号線と環状線の合流付近でトレーラーが横転、側壁に衝突して炎上した。この影響で現場の道路は路面が沈下するなど激しく損傷し、約2カ月半にわたって通行規制が行われた。(共同)
 運営会社の「首都高速道路株式会社」側は「復旧工事に多額の費用がかかり、交通量も激減した」として今年7月に提訴していた。(共同)
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■しかし、妙なことに、大手新聞社はどこもこのニュースを報じません。報じたのがNHKと共同通信社だけだとなると、やはり出光興産の広告宣伝費の恩恵にあずかっているマスコミ各社の及び腰ぶりが象徴的に浮かび上がります。

 出光興産の広告宣伝費の恩恵を直接は受けていないNHKでも、報道の内容を見ると、事故を起こした多胡運輸(群馬県高崎市)の名前や、そこに出光の石油製品の配送を請け負わせていたホクブトランスポート(群馬県高崎市)の名前は表に出さず、「ガソリンの運搬を継続的に委託していた出光興産のほか、運送会社など」という表現を使っており、何か意図的な背景を感じさせます。共同通信社の記事も「トレーラーを所有する運送会社など」という記述をしており、同様の配慮がうかがえます。

■どのような経緯や背景があるにせよ、当会は、政治的な圧力にめげず、いちおう多胡運輸に対して損害賠償請求を起こし、利用者に対して説明責任を果たそうとするように見える首都高の対応に、ひとまず拍手を送りたいと思います。

 本来は「大喝采を送る」と言いたいところですが、「ひとまず拍手を送る」という控えめな表現をした背景には、次の経緯があるからです。

■前述のとおり、当会の切実な「再検討の求め」に対して、首都高は次のとおり、再度「不開示」通知を9月27日付で当会に送ってきました。


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                    総 務 第27号
                    平成23年9月27日
 市政をひらく安中市民の会
   事務局長 小川 賢 様
                    首都高速道路株式会社
                    代表取締役社長 橋本 圭一郎
      首都高速道路株式会社が保有する情報の開示について(通知)
 平成23年8月31日付けで受理しました情報開示請求に係る再検討の求めについて、再検討を求める内容及び理由に基づき再度検討いたしましたが、下記のとおり不開示とすることとしましたので、通知します。
                    記
1 再検討の求めがあった情報の名称
 平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸所有の大型タンクローリーによる横転炎上事故で、同年10月14日に記者会見した佐々木克己社長(当時)は「損害が経営に与える影響は小さくない。賠償請求をきちんとやりたい」と述べた件に関して、これまでに首都高が多胡運輸やその元請、或いはガソリン等の運搬を依頼した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報。
2 不開示とした情報とその理由
(1)不開示とした情報
 上記1の情報
(2)不開示とした理由
 「首都高速道路株式会社が保有する情報の開示に関する規則」第5条第四号ニの規定に該当するため不開示とした。
(参考) 首都高速道路株式会社が保有する情報の開示に関する規則(抜粋)
 第5条 会社は、開示の求めがあったときは、開示の求めに係る保有情報に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示の求めを行う者に対し、当該保有情報を開示するよう努めるものとする。
 一~三 略
四 会社が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
 イ~ハ 略
 二 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれ
 ホ~ト 略
                   以 上
*********



■当会が、詳細に、再検討の求めの理由を説明したのも係らず、ごらんのとおりの紋切り型の不開示通知には本当にガッカリさせられました。

 この分では、なぜ、損害賠償金額が当初の45億円(内訳は、通行止めのあった8~9月の料金収入減少分25億円+橋桁の架け替え等の復旧工事に20億円)という意気込みに対して、約10億5千万円減額した形となったのか、また、いつ、出光興産、ホクブトランスポート、多胡運輸に損害賠償請求を出したのか、どんな内容の訴状を出したのか、などについて、情報開示を行っても、木で鼻をくくった対応で、再び不開示にされてしまうかもしれません。

 報道では、「訴えについて、出光興産は『今後、どのように対応するか検討していきたい』と話しています」と報じていますが、3年前の事故発生直後から、今日に至るまで、なんのコメントを発してこなかった出光興産が、この期に及んでもこのようなことしか言わないということは、同社の体質を如実に物語っているといえるでしょう。

■現在、日本経済は超円高で、製造業の海外シフトが顕著に進んでいますが、出光興産のような輸入会社は、円高差益でホクホクの状況が続いています。こうした追い風が、群馬県の超大物政治家との繋がりの深いホクブトランスポートとその庇護の下にある多胡運輸への賠償請求という向かい風を帳消しにする絶好の機会であることから、首都高が全面勝訴した場合には、出光興産が全額を支払い、ホクブや多胡運輸には実質的な負担がないように配慮されると見られます。

 なぜなら、多胡運輸は、安中市土地開発公社を舞台にした巨額詐欺横領事件(当会をはじめ安中市民はこの事件を「タゴ51億円事件」と呼んでいます)で、単独犯として、市役所や市議会、金融機関など共犯と目されていた多くの共同正犯の関係者の罪を一手にひきかぶった元職員の親族である実弟が経営している多胡運輸や、超大物政治家との結びつきの強いホクブトランスポートをつぶすわけにはいかないからです。

 現在、元職員は藤岡市に在住していますが、彼らには虎の子の使途不明金14億円余りがあるはずです。それらを全部使えば、首都高からの損害賠償請求額の4割強を賄えることになるからです。

 もっとも、使途不明金は、もともと安中市の公金ですから、首都高に支払うより、安中市民に還元されなければならないカネです。

 にもかかわらず、タゴ一族の巨額の使途不明金の温存はもとより、タゴ一族を養う為に存在する多胡運輸と、そこに超大物政治家の口利きで出光の石油製品の配送の仕事を与えているホクブトランスポートの存続は、至上命題であることは天下り機関でもある首都高としては、既に承知の上だと思われるからです。

 莫大な円高差益を出光興産がちょっぴり首都高に還元するだけで、この損害賠償請求が片付けられ、タゴ一族の安泰は担保されるに違いない、というのが、この件に関する当会の見解です。

【ひらく会事務局】

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コメの収穫期を迎えて報じられた「福島全域でコメ出荷可能」ニュースと日本の食品基準

2011-10-12 23:48:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■10月12日の共同通信によると、「福島全域でコメ出荷可能 放射性物質規制値下回る」として次の報道がなされました。
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 コメの作付けが行われた福島県の全ての市町村で収穫された一般米の放射性物質濃度が調査の結果、全て国の暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)を下回り、出荷可能となったことが10月12日、福島県への調査で分かった。
 県は9月23日、収穫前の予備調査で唯一、目安の200ベクレルを超える500ベクレルちょうどの放射性セシウムが検出された二本松市を「重点調査区域」に指定。収穫後の本調査で調査地点を大幅に増やし監視を強化していた。
 本調査では、500ベクレルを超えた場合、旧市町村エリアごろに出荷が停止される仕組みになっているが、最終的に全ての検体で下回ることが確認されたという。[共同]
**********

■この内容を見ると、ご同慶の至りですが、どうも腑に落ちません。国の暫定規制値というものの根拠が曖昧だからです。

 たしか、日本政府は、25年前の1986年4月26日に発生したチェルノブイリの原発事故による放射性物質による輸入職員汚染に際して、許容基準値を370ベクレルにしていたはずだからです。当時の新聞記事です。

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1987年1月10日 神奈川新聞
「放射能ナッツ水際阻止」
横浜・大黒埠頭などに陸揚げされていたトルコ産ナッツから基準を上回る放射性物質が検出され、厚生省は9日、輸入元に対しトルコに送り返すよう指示した。汚染されていたのはトルコ産ヘーゼルナッツ。同省は10サンプルを抜き取って国立衛生試験所で放射能検査を行ったところ、全サンプルから許容基準値1キロ当り370ベクレルを大幅に超える520?980ベクレルのセシウム134、137が検出された。
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1987年2月7日 日本海新聞
「輸入香辛料などまた放射能検出」
厚生省は6日、トルコから輸入した月桂樹の葉、セージ(サルビアの葉)とフィンランド産の冷凍の牛の胃から、基準値を上回るセシウム134、137を検出したと発表した。月桂樹の葉からは1キロ当り最低490ベクレルから最高670ベクレル、セージからは同1000ベクレルから3000ベクレル、牛の胃からは440ベクレルのセシウムが検出された。
**********
1987年2月13日 読売新聞
「放射能汚染 トナカイ肉も」
スウェーデンから成田空港に到着した輸入トナカイ肉が放射能で汚染されていることがわかり、厚生省は13日、積み戻しを指示した。今年1月に届いたトナカイ肉0.5トンのうち0.2トン分からセシウム134、137が1キロ当り389ベクレル検出されたもの。同省では、輸入食品の濃度限度を1キロ当り370ベクレルと定めている。放射能汚染の輸入食品がみつかったのは5件目
**********

 ヘーゼルナッツやハーブや、牛の胃袋やトナカイ肉などは、毎日食べる食品ではありません。しかし、コメは、いくら昔に比べて消費量が減ったとはいえ、依然として日本人の主食です。輸入食品の濃度限界が1キロ当たり370キロベクレルなのに、なぜコメの安全基準が500ベクレルなのでしょうか。

■これと同じことが、カドミウム汚染米にも言えます。

 国際的な食品基準や汚染低減のための規範を審議して決定する機関であるコーデックス委員会では、コメのカドミウム残留基準を当初0.2ppmとして設定していましたが、日本政府は、厚生労働省が中心に実施した疫学調査の結果と、農水省が中心になって実施した農作物等に含まれるカドミウム実態調査の結果を提出し、必死になって、この基準値の底上げを諮りました。

 そのために、コーディクス委員会に対して、カドミウム残留基準を精白米0.4ppmとした変更手続が日本政府から申請されたのです。つまり、従来の玄米の基準から精白基準にすることによって、カドミウム汚染の比率を軽減することが目的だったからです。その理屈は、コメ消費の多くは精白米で摂取されているから、というものです。

 コメを含めて、厚労省は、次のような修正をコーデックスに求めました。(単位:ppm、カッコ内は日本に適用した場合に基準値を超えることになる当該品目食品の比率=違反率:%)。

   品目      コーデックス案     厚労省案
   コメ       0.2 (3.3%)      0.4 (0.3%)
   大豆      0.2 (16.7%)     0.5 (0.6%)
   サトイモ    0.1 (11.0%)      0,3 (0.5%)
   ニンニク     0.05 (29.5%)    0.2 (0%)
   オクラ      0.05% (25.0%)   0.2 (0.7%)
   トマト      設定せず        0.05 (0%)

 その結果、2006年7月に、精米については0.4 mg/kgという基準値が決められたのでした。しかし、世界では、玄米基準として0.2mg/kgが常識であり、日本のコメがいくら「おいしい=食味がよい」とはいえ、カドミウム汚染濃度を考えると、決して自慢して薦めたり輸出したりできる代物ではないことを認識しておかねばなりません。

■こうした日本政府のダブルスタンダード体質は、今回のコメの放射能汚染の基準値適用に際しても、存分に発揮されたものと言えます。

~食べ物に含まれる放射性物質の安全基準について、世界各国の基準値を比較したものがあります。次のその一例を示します。

●ベラルーシ(子供)              37 Bq/kg
●ウクライナ(野菜)セシウム137        40 Bq/kg
●ベラルーシ(野菜)              100 Bq/kg
●コーデックス(Sr90,Ru106,I131,U235の合計) 100 Bq/kg
●アメリカの法令基準             170 Bq/kg
●これまでの日本の輸入品規制値         370 Bq/kg
●日本の暫定基準値(野菜) セシウム137     500 Bq/kg
●日本の暫定基準値(野菜) ヨウ素131     2000 Bq /kg

■こうした放射能汚染に対する我が国の食品基準の大甘な現状を外国の専門家が批判するのは当然です。10月12日の共同通信は次のように報じています。

**********
日本の食品基準は甘すぎ ベラルーシ専門家が批判
チェルノブイリ原発事故後の住民対策に取り組んできたベラルーシの民間の研究機関、ベルラド放射能安全研究所のウラジーミル・バベンコ副所長が12日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。東京電力福島第1原発事故を受け、日本政府が設定した食品や飲料水の放射性物質の基準値が甘すぎ、「まったく理解できない」と批判、早急に「現実的」な値に見直すべきだと述べた。
 例えば、日本では飲料水1キログラム当たりの放射性セシウムの暫定基準値は200ベクレル。一方、ベラルーシの基準値は10ベクレルで、20倍の差があるという。
 ベラルーシでは内部被ばくの影響を受けやすい子どもが摂取する食品は37ベクレルと厳しい基準値が定められているが、日本では乳製品を除く食品の暫定基準値は500ベクレルで、子どもに対する特別措置がないことも問題視。「37ベクレルでも子どもに与えるには高すぎる。ゼロに近づけるべきだ」と指摘した。(2011.10.12 20:28共同)
**********

■大震災で世界中から義捐金を送ってもらったのに、この国は、東電福島原発事故で放射性物質を世界中に撒き散らしてしまいました。にもかかわらず、相変わらず日本政府は脱原発政策に舵をとることができず、原子力ムラの利権を温存しようとしています。

 同じ敗戦国のドイツやイタリア、そして中立国のスイスがいち早く脱原発を打ち出したのに比べると、この国には将来の世代を見据えた正しい見方のできる為政者のいないことがよくわかります。それのは、「長いものには巻かれろ」的な国民性が起因しているのかもしれません。

【ひらく会情報部】

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