市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

高速走行中の新幹線車内でも高放射線量を記録する東北新幹線の郡山駅~福島駅の実態

2011-09-24 09:05:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■先日、9月18日に仙台に出かけました。東京駅を午後2時8分に出発したMax.やまびこ141号の2号車10A席(1階席)で、ロシア製の線量計により継続的に計測した結果を報告します。尚、単位はすべて毎時マイクロ・シーベルト(μSv/h)です。

福島駅の新幹線ホームで測ると0.41。
 東京駅では0.08を出発後、地下駅の上野駅では0.06~0.07に若干減少しました。午後2時23分に大宮駅に到着までは0.09~0.10を記録し、その後、午後2時58分着の宇都宮駅付近では0.10~0.11を推移しました。宇都宮駅を出発し、トンネルに入りはじめると0.09になりますが、那須塩原駅を通過する頃には0.15~0.17と、次第にジワジワ線量が上昇し始めました。

 福島県に近づくとトンネルが頻繁に現れ始めました。線量計の数値が落ち着くまでに時間がかかるため、誤差17%前後でなるべく短時間で計測を繰り返しました。トンネルを出たり入ったりする箇所では0.11~0.14程度で推移しました。相当長いトンネルでは0.06にまで低下しました。

 やがてトンネルを抜けて新白河駅を通過するころ、0.08から0.10でしたが、その後はトンネル内でも0.12~0.16程度に上昇するようになりました。

 午後3時30分に郡山駅に到着する前に、幾つかトンネルを抜けますが、0.17~0.20を記録しました。トンネルを抜けると、間もなく郡山駅のアナウンスがあり、0.25を記録したかと思ったら、突然、警報音が鳴りだしました。ロシア製のこの線量計は0.30になると警報が鳴るように作られています。

 やがて、郡山駅に近づいて列車は減速を始めると、線量は0.34になり、さらに郡山駅に近付くにつれてホーム寸前では0.41まで上昇しました。

 郡山駅のホームに停車中に測定すると、屋根の下の為か、線量は減少し0.22となりました。

 郡山駅に停車後、再び発車して、駅のホームを離れた途端、線量はグングン上がり始め0.34~0.37まで上昇しました。その後、時々短いトンネルをはさんで、新幹線は次の停車駅である3時45分着の福島駅を目指して進みました。線量計は0.34から最大0.44までアップし、再びトンネルが頻繁に続く区間に入ると0.29から0.17へと下がり始め、福島駅の手前にある長いトンネルでは0.15程度まで減少しました。

 トンネルを出た直後は0.17程度でしたが、次第に線量が増加に転じ、福島駅の手前でアナウンスがあったころは、0.27に増えました。そして、福島駅のホームでは0.41となりました。

 ここで、山形行きのつばさ251号を切り離し、午後3時51分に列車は再び仙台を目指して進みはじめました。ホームを出るとたちまち0.40を記録し、その後、0.42~0.45を推移しました。トンネルに入り始めると0.32になりましたが、途中、トンネルを抜けると0.48を記録しました。間もなく、トンネル区間が始まると0.26に低下し、その後、非常に長いトンネルに入りました。すると0.06~0.08程度になりました。

 トンネルを抜け、白石蔵王駅のアナウンスが聞こえた時は0.10となり、ホームに着くと0.06まで下がりました。白石蔵王駅を出発すると最大0.17を一時記録しましたが、概ね0.10を超えることは少なく、再びトンネルの出入りが頻繁になるころには0.07に下がり、その後、仙台駅のアナウンスが聞こえる頃は0.05~0.06になりました。

 そして午後4時22分、仙台駅に到着しましたが、仙台駅のホームでは0.08でした。ちなみにα線は13/min.cm2、β線は8/min.cm2でした。

■念の為、帰路も線量を連続的に継続したところ、仙台駅を出たあと、トンネル区間に入ると0.05~0.07で推移し、長いトンネルの内部では0.05~0.06でした。

 白石蔵王駅を通過する際も0.05~0.06で推移し、その後の長いトンネル内では0.05を一時下回りました。

 トンネルを抜けるとたちまち0.17に増加し、福島駅のアナウンスが聞こえる頃はアラームが鳴りだすようになり、線量値は0.19~0.33に増加しました。福島駅に停車中は0.21を記録しました。福島駅を出ると0.26程度に増加し、そして間もなくトンネル区間に入ると0.16から0.07まで低くなりました。

 トンネル区間を抜けると、たちまち警報音が鳴り始め、最大0.48を記録しました。向かって左側の車窓に「日東福島」の看板が見えるころには0.34を測定しました。トンネルに入る直前に0.31を記録し、長いトンネル内では最小値0.08を記録しました。

 トンネルを出た途端、0.42まで急上昇。その後、再びトンネル区間に入ると0.19~0.21を推移し、トンネル区間を抜けて、郡山駅のアナウンスが聞こえると0.46にまでアップしました。

 郡山駅では0.29を測定。郡山駅のホームの上で測ると0.31~0.32でした。ちなみにα線は30/min.cm2、β線は15/min.cm2でした。郡山駅を出発すると、間もなくトンネル区間に入り、0.12~0.22を推移しました。長いトンネル内では0.07まで低下し、その後、トンネルを抜けると0.13となり、那須塩原駅を通過する際には0.11となりました。

 その後、0.10~0.12を推移し、宇都宮駅のアナウンスを聞くころには0.09を記録しました。宇都宮駅停車中は0.10で、その後、小山駅を通過する頃には0.08となりました。大宮駅では0.06まで低下し、大宮駅で上越新幹線に乗り換えると0.07~0.08でした。一度本庄早稲田付近で0.10となりましたが、高崎駅では0.08でした。

■高速移動体である新幹線の車内で、1~2分間の継続的な線量測定のため、スポット的な数値を検出するのは困難ですが、それにもかかわらず、郡山駅周辺と福島駅周辺で0.44、0.48を記録したことはやはり驚きでした。この区間は線量計のアラームが鳴りっぱなしで、必死にアラーム(0.30以上の場合に発生)の音源を手のひらで押さえて、周囲の乗客の迷惑にならないように配慮しなければなりませんでした。

 このことから、東海道新幹線では広島駅から東京駅まで0.07、上越新幹線では東京駅から高崎駅まで0.08、そして東北新幹線では、大宮駅では0.08ですが、北上するにつれてジワジワと上昇し、那須白河駅で0.15程度になりますが、その後新白河駅で一旦下がり、郡山駅と福島駅の間でピークを記録します。福島駅の北にある山間部分を抜けると、線量は急減し、仙台駅は高崎駅と同レベルの0.08でした。

 東電福島原発事故から半年を経過しましたが、高速で走る新幹線の車内でも、相当な線量が依然として記録されている現状は、そうとう深刻です。

 9月23日から東北新幹線は震災前の3.05の新型新幹線車両の「はやぶさ」がデビューした当時の時刻表に回復し、「はやぶさ」も最高速度300km/hで走行できるようになりました。しかし、東電福島原発でメルトダウンした燃料は依然として100度以上の高温状態にあります。大量の冷却水は蒸気となって空中に拡散し続けています。東北新幹線の福島県内の沿線の空間放射線環境が元に戻るには一体何年かかるのでしょうか。

新幹線の車窓に映る福島市内。

【ひらく会情報部】

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今でも原爆ドーム付近で0.14マイクロシーベルトを観測する福島原発事故による残留放射線の深刻さ

2011-09-22 12:30:00 | 国内外からのトピックス
■先日、9月12日に広島市を訪れた際、原爆ドームを尋ねてみました。広島駅の南口からタクシーで1000円ちょっとで10分ほどで到着しました。たまたまロシア製の線量計を持参していたので、原爆ドーム、平和公園、原爆資料館の空間放射線量を計測してみました。


原爆ドーム前で計測した結果、0.14μSv/h(誤差±9%)を記録。

 その結果、地表1m高さにおける放射線量は0.11~0.15μSv/hの範囲で計測されました。この数字をどうみるかは人それぞれだと思いますが、原爆投下後66年を経過してもなお、周囲より若干高い数値を示していることに、いろいろな考えが思い浮かびます。



原爆ドームを南側から見たところ。計測してみると0.15μSv/hだった。

説明文の掲示板のところも同様に0.15μSv/h。


太田川。

平和公園の噴水の植え込みの脇で計測したところ0.11μSv/hだった。


平和公園の記念碑の前で計測すると0.14μsSv/hあった。


平和祈念資料館と、その入口。

「原子力平和利用で1956年(昭和31年)から施行された円視力基本法では、“民主・自主・公開”を基本原則としている」との説明文は、福島原発事故で無残にも踏みにじられた。

ストロンチウムを使った放射線の仕組み説明機器の前で計測したところ0.12μSv/hだった。

残留放射線の影響。

放射線量の人体への影響表。

被曝時の年齢と白血病の発生との関係。

 タクシーで原爆ドーム前に降り立ち、さっそく原爆ドームの碑文の前で計測したところ0.14μSV/hあったのにはちょっと驚かされました。というのは、東京から広島までの新幹線の車内では0.07μSv/hであり、広島駅の新幹線ホームでも同様だったからです。

広島駅の新幹線プラットフォームで計測した結果、0.07μSv/h(±16%)

■原爆が広島に投下されたのは1945年8月6日(月)午前8時15分でしたから、既に65年が経過しました。しかし、放射線量はほぼ安全範囲内とはいえ、東京都心よりも若干高い数値を示しています。

 この事実に接し、福島第一原発の事故がいかに深刻な影響を長期間にわたり周辺に及ぼ
す深刻さを実感させられました。

 というのは、ヒロシマの原爆地で、ずっと生活している住民の間に放射能によるガンの発生や死亡率への影響について、「なんだ、低レベルの被曝を日常的に受けているのに特段異常は感じない。フクシマの原発事故による低レベル放射能の汚染地で生活しても、全く問題ないのではないか」という風潮を助長させるのではないか、ということです。

■なお、なぜか、広島駅から呉線で50分ほど行った呉市の市内で宿泊したホテル内では0.12~0.14μSv/hほどあるのが気になりました。それも、2階よりも5階のほうが放射線レベルが高いことが判りました。

 これからも、当会では、国内外を問わず、旅先で放射線量を計測してみる予定です。

【ひらく会情報部】

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フェンス脇で最大0.24マイクロシーベルトを記録したサイボウ最終処分場に持ち込まれた謎の物質

2011-09-21 23:50:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■安中市岩野谷地区の大谷西谷津にあるサイボウ環境㈱の最終処分場に、少なくとも7月29日から8月2日にかけて、得体の知れない大型トラックが、なにやら大量に廃棄物を持ち込んでいるとの情報が地元住民から寄せられました。さっそく、事の真相を確認するために、当会では8月29日付(同30日受理)で次の内容の情報開示請求を安中市に対して行いました。

7月末から8月上旬にかけて1520トンもの「覆土」が搬入された違法手続きの権化のサイボウ最終処分場。
**********
                         平成23年8月29日
             行政文書開示請求書
〒379-0192 安中市安中1-23-13
 安中市長 岡田義弘 様
 安中市情報公開条例第6条第1項の規定により、次のとおり行政文書の開示を請求します。
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
地元の目撃者情報によると、7月29日、8月1日、2日にかけて相当数の大型トラックが土砂のようなものをサイボウ環境㈱の最終処分場(大谷西谷津地区)に搬入したことが確認されている。この土砂のようなものは、館林市など他の自治体から持ち込まれた焼却灰や下水汚泥なのか、それとも、その飛散を防ぐための覆土なのか不明だが、3.11の震災による福島原発事故により各地で焼却灰や下水汚泥、それに上水道ろ過施設の沈殿物などに含まれる放射性物質の問題が顕在化していることから、行政では既にきちんと持ち込まれた物質の種類と量を把握されているはずである。ついては、7月1日以降8月末に至るまで、同社の最終処分場に搬入された一切の物質に関するデータ(それらの搬入をチェックする地元住民による報告書の写しや、自治体が搬入した廃棄物に含まれる放射線量の測定結果データを含む)。
ちなみに、焼却灰などの同処分場への搬入作業は、通常、サイボウ環境が所有する複数のダンプトラックで行われるようだが、7月末から8月初めにかけての搬入には、サイボウ以外のトラックが使用されており、この搬入に関する行政文書も開示請求に含む。
**********

■この背景には、現在、全国各地で深刻な問題になっている下水汚泥の焼却灰やゴミの焼却灰に含まれる放射線の問題があります。

得体の痴れない「覆土」。

 サイボウ環境の最終処分場は、群馬県で3番目に作られた民営の一般廃棄物処分場であり、その設置許可に際しては、群馬県と業者がグルになり、15年近い歳月を費やして、違法行為のオンパレードにより平成18年末に完成し、平成19年1月から運営を始めたものです。

「覆土」なのに、全面に一度に敷き詰めている。明らかに変だ。

 したがって、公営の処分場と異なり、散々違法行為を働いて、行政と業者の合作で許可を受けた民営の処分場の為、得体の知れない高レベルの放射線を放つ焼却灰や、除染した高レベル放射線を有する表土などの受け入れ先として、イの一番に目を付けられやすいタイプの処分場であることは間違いありません。だから、地元住民としては、得体の知れないトラックが多数、この処分場に入り、得体の知れない廃棄物を大量に持ち込んだことに懸念を抱くのも当然です。


地元住民らによる手作りの看板。


■たまたま、9月7日の東京新聞に次の記事が載りました。

**********
放射性セシウムを検出 下水汚泥の処理深刻
高崎・前橋 保管庫新設で負担増

 福島第一原発事故の影響で県内の下水道汚泥から放射性物質が検出されて約3ヵ月がすぎた。県や各市が保管する汚泥や焼却灰は約4千7百トンに達する=表参照。測定値が減少して県外へ搬出を再開した市がある一方、保管庫増設などで負担増に悩む市もある。(川口晋介)
 伊勢崎、太田、館林の各市の汚泥は5月、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり180~530ベクレルを記録し、埼玉県内のコンクリート会社への搬出を停止。6月に入り、同社が当時受け入れ基準としていた同200ベクレルを下回ったため、搬出を再開した。
 一方、沼田市は、委託業者の搬出先の栃木県内の肥料化業者が受け入れを停止したまま。汚泥の放射性セシウム濃度は、同コンクリート会社ならば現在受け入れている同500ベクレル未満になっているので、市は「コンクリート会社に協議をお願いするつもり」と話す。
 完全に行き場がないのが、人口が多く下水処理量が多いため汚泥を焼却灰にする前橋市と高崎市。焼却により容量は減るものの、放射性セシウムは約20~30倍に濃縮され、5月には両市とも同40000ベクレル以上を測定した。
 高崎市はコンクリート会社への搬出を中止。8月下旬には国が埋め立て可能とする同8000ベクレルを下回ったが「埋め立て場所が確保できない」(同市)と処理場内に保管庫を新設する方針。
 「汚泥を取り出せない処理工程になっている」という前橋市も深刻。焼却灰を溶解して砂利状にし、公共工事で再利用する従前の方法を中止。処理場内に約16百万円をかけて保管庫を新設するなど関連事業費は2千万円を超え、今後も膨らむ可能性がある。
 焼却灰を埋め立てしていた桐生市は、焼却前の汚泥状態で自前の最終処分場への埋め立てに切り替えた。
 搬出できない自治体担当者は「国や県が処分場を整備してくれないか」と願う。
(写真)前橋市が六供町の市水質浄化センター敷地内に新設した焼却灰の保管施設(市提供)
(表)放射性物質が検出された下水道の汚泥・焼却灰処理状況
事業主体/保管量(トン)/処分状況
県   /    3900/肥料化して保管
前橋市*/    218/保管庫増設
高崎市*/    132/保管庫増設検討
桐生市*/     29/場内保管
伊勢崎市/     0/全量搬出済み
太田市 /    340/11月ごろから搬出
沼田市 /     30/搬出交渉中
館林市 /    100/搬出中
渋川市 /     40/場内保管
      合計4789
(注)*は焼却灰。他は汚泥。8月末から9月上旬現在
**********

 これを見て、最初に脳裏に浮かんだのは、サイボウの処分場に焼却灰を入れている安中市と館林市と沼田市のことです。安中市は浄化槽の汚泥や屎尿の処理施設を持っていますが、下水は下流の高崎市に繋がっていることから、焼却灰についてはゴミの焼却灰だけですが、館林市や沼田市については、汚泥の焼却を行っていることから、ゴミ焼却灰と称して、下水汚泥の焼却灰も紛れて持ち込む恐れがあります。

 勿論、一般ゴミの焼却灰も東電福島原発事故でばら撒かれた死の灰による放射線を放っているため、こちらの放射線量の管理状況も気になるところです。

■そこで、先日、9月10日にロシア製の線量計を使って、サイボウ環境の最終処分場の周囲の放射線レベルを計測してみました。多数の得体の知れない大型トラックが持ち込んだ大量の物質が、処理に困っている放射性物質を含む焼却灰や除染表土である可能性が懸念されるからです。

 周囲で計測した結果、持ち込まれた物質に最も近いフェンス脇で計測した放射線レベルが、0.25マイクロシーベルトであることが分かりました。距離的に40~50mくらい離れていますが、にもかかわらず、これだけの線量があるということは、明らかに地元住民らの懸念する放射性廃棄物が投棄されていることになります。


フェンスから離れた所でも0.19μSv/h。

搬入物に一番近いフェンス脇で0.25μSv/hもある。

フェンス前の斜面の草の上で0.23μSv/h。


雨水調整池。その排水口で0.17μSv/hを計測。


下流の耕作者の水利権を無視して群馬県と安中市がサイボウに作らせた灌漑用ため池。その脇で0.16μSv/hを記録。

何の権限もない地元懐柔用の一般廃棄物適正処分対策委員会事務所の小屋。


サイボウ所有のゴミ焼却灰輸送用の2台の大型トラック。

トラック駐車場所の脇のフェンスの外側で0.18μSv/hを計測。

トラック駐車場所入口フェンス前で0.18μSv/hを計測。

上流側から見た処分場の様子。

排水処理施設の横にあるサイボウの結城社長専用棟。シャワー室もあるが、従業員は使わせてもらえないという。

排水処理施設の脇で0.14μSv/h。

サイボウのトラック2台が見える。その下のゴム製遮蔽シートが変色している。水が染み出しているようだ。以前、ここは土砂崩れを起こした個所でもある。ずさんな工事と材料の品質の低下が顕著だ。

サイボウ処分場のすぐ横にある、かつてコスモス祭の会場だったところ。補助金目当てだったからこの通り長続きしない。

コスモス祭り会場跡にあるケヤキの木の根元で0.14μSv/h。岩野谷地区では、通常0.10μSv/hが平均的な線量レベルだが、サイボウ処分場の周辺では40%ほど高くなっている。

■そして9月12日付で安中市長から届いた行政文書部分開示決定通知書により、本日10月21日(水)午後4時から、次の情報が開示される予定でしたが、台風15号が接近していて暴風雨状態だったため、開示を受けることができず、開示時期を来週以降に延期することになりました。

 ところで、開示される予定の情報ですが、当会が「7月1日以降8月末にいたるまで、サイボウの最終処分場に搬入された一切の物質に関するデータ(それらの搬入をチェックする地元住民による報告書の写しや、自治体が搬入した廃棄物に含まれる放射線量の測定結果データを含む)」及び「ちなみに、焼却灰などの同処分場への搬入作業は、通常、サイボウ環境が所有する複数のダンプトラックで行われるようだが、7月末から8月初めにかけての搬入には、サイボウ以外のトラックが使用されており、この搬入に関する行政文書も開示請求に含む」としたところ、次の情報しか開示対象とされませんでした。

①協議会日誌(部分開示。安中市情報公開条例第7条第2号に該当するとして臨時職員氏名は不開示):監視員の1日ごとの日報。全部で39ページ。
②閉門時間延長申請書(部分開示。同条例第7条第2号に該当するとして一般廃棄物適正処分対策協議会会長氏名及び個人の印影は不開示):閉門時間を延長する場合の申請書。全部で1ページ。
③受入状況報告書(開示):サイボウ環境㈱の受入状況を毎月合計した報告書。全部で2ページ。

 また、「補足説明」として次の記述がありました。

(1)7月29日、8月1日、8月2日の搬入について
7月29日及び8月2日には、延長届けがあるように5時まで閉門時間の延長を行い、覆土用の砂を搬入しました。なお、8月1日は搬入予定であったが天候の都合により搬入は中止し、8月12日に延期した。処分場の維持管理の所管は群馬県であり、一般廃棄物適正処分対策協議会(以下「協議会」という。)では、覆土の搬入に関しての資料提出を求めていないが、監視員により搬入トラックの台数の連絡を受けただけであります。連絡を受けた搬入車両の台数は、7月29日が28台、8月2日が32台、8月12日が16台でした。
(2)自治体が搬入した廃棄物の放射線量について
最終処分場の維持管理の所管は県にあり、協議会としては搬入する廃棄物の放射線の測定結果データの提出は求めていません。測定結果は県のホームページで確認できるのでそちらで確認をお願いします。
(3)サイボウ環境(株)以外のトラックについて
協議会としては、廃棄物の搬入について監視員でチェックを行うものであり、覆土の搬入についての資料提出は求めていません。7月29日、8月2日及び8月12日のサイボウ以外のトラックの搬入は覆土の搬入であり、資料はありません。

■安中市長のこの説明によれば、得体の知れない大型トラックによる処分場への搬入物のチェックは、得体の知れない搬入トラック業者或いは処分場の管理者であるサイボウ環境㈱(サイボウは名義貸しだけで、この処分場の実質的な運営者は長野県佐久市のイーステージ)による「搬入物は覆土用の砂」という自己申告を、安中市はそのまま鵜呑みにしており、どこから持ち込まれたものか、また、その放射線量はいくらか、など、全く関知しようとしていないことが分かります。

 もともとサイボウの処分場の覆土は、処分場を開削した際に出た掘削土砂を利用するということで群馬県の許可を得ており、外部から覆土を持ち込むことはないはずです。にもかかわらず、合計76台もの大型トラックが持ち込んだ得体の知れない搬入物(1台あたり20tと仮定すると1520tにも上る膨大な量!)について、安中市は全く検証しようとしないのです。

 しかも、「処分場の維持管理の所管は群馬県だ」とか「地元民による搬入物チェックの為の対策協議会では、トラックの台数の連絡を業者から受けただけ」というとんでもない説明を安中市はしているのです。処分場の維持管理の所管は群馬県ですが、処分場に廃棄物を持ち込む業者への許認可権は安中市長にあります。得体の知れないゴミを、サイボウが持ち込んだのか、他の業者が持ち込んだのか、業者の事務所を立ち入り検査をすることができるはずです。しかし、そのようなことを岡田市長がするわけがありません。

■これまで、県外のゴミは絶対に持ち込ませない、などと群馬県や安中市はさかんに強調して、サイボウ処分場の設置を正当化してきました。サイボウは、県外の廃棄物も持ち込ませろ、と先年、安中市長を相手取り、訴訟まで起こしました。結局、安中市が勝訴して、県外の廃棄物は持ち込ませないとする安中市とサイボウとの間の協定の有効性が裁判で確認されましたが、当会はこの裁判を茶番劇と見ていました。

 これまで、群馬県や安中市による規制により、県外ゴミの搬入がおおっぴらにできなかったサイボウ(=イーステージ)の最終処分場ですが、3.11の福島原発事故による放射性廃棄物問題で、一躍注目を浴びるようになりました。公営でなく民営の為、外部からの監視を受ける心配がないからです。

 地元対策の為、大谷地区の住民2名を対策協議会と言う名目で、人件費を安中市とサイボウ(=イーステージ)が折半で支払っていますが、何の役にも立っていないことが、前記の安中市の説明でも明らかです。

■もうひとつ問題があります。安中市や館林市や沼田市から搬入されるゴミ焼却灰の放射線量の測定が行われていないことです。

 安中市の補足説明では、「測定結果は県のホームページで確認できるのでそちらで確認をお願いします」と、この問題から逃げるだけです。

■こうなると、地元住民としての対策としては、実際に処分場の中に入って、持ち込まれた得体の知れない物質の放射線量を測定することです。

 また、この件については、安中市の逃げ口上にもあるとおり、処分場の設置許可権者である群馬県にも責任があるため、さっそく文書で事実関係を確認する予定です。

 それにしても、覆土という名目で、県外から大量の放射性廃棄物を持ち込んだとなると、事は重大です。当会は、群馬県と安中市の指導の下に、サイボウ最終処分場の構内の放射線量の測定を直ちに行う必要性があると考えています。

【ひらく会情報部】

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大きな被害を及ぼして日本海に去った台風12号が今度は沿海州に接近

2011-09-06 23:37:00 | 国内外からのトピックス
■9月4日(日)の午後3時55分発のウラジオストク航空機で沿海州に向かおうと成田空港のターミナル1のHカウンターに行ったところ、機材のやりくりがつかなくなったという理由で、翌5日(月)の午前9時出発に変更となりました。


台風12号の真上を飛ぶウラジオストク航空の中古のエアバス320型機。
 台風が予想より西側のコースを辿ったため、フライトには影響がないと安心していたところ、全く別の理由なので、肩すかしをくらった感じです。

 いずれにしても、台風が一層日本から離れて、月曜日の成田の天候はさらに良好でしたが、予定通り成田を飛び立ったエアバス320型機は間もなく分厚い雲の上に出ました。明らかに台風12号による雲です。

 通常、高度1万メートル以上の成層圏は、台風の場合でもほぼ安定した気流ですが、さすがに大量の雨を降らせた台風12号の空気の流れは成層圏の下側まで届いているらしく、ところどころに下から吹き上げる雲の塊が見えます。

 そうした場所に差し掛かると、比較的小さなエアバス320の機体は大きく揺れ、各コップのお茶が一部こぼれだす程でした。あとから台風のコースをチェックしてみると、ちょうど日本海の真ん中あたりで一番揺れたので、台風の目からかなり近いところを飛んでいたと思われます。

■やがて、そこを過ぎると飛行は再び安定し、間もなく降下体勢にはいり、雲の切れ間から沿海州の森林が見えましたが、通常は、ウラジオストク航空に進入する場合、東側から着陸態勢に入るのですが、今回は珍しく西側から東側に向かって進入しました。明らかに台風が近づいてきている証拠です。

 現地時間9月5日午後2時(日本時間正午)の着陸時も、かなり機体が左右に揺れましたが、無事に着地しました。ターミナル前の駐機場で停止後、外に出ると相当強い風が吹いていましたが、まだ晴れ間が見られました。ウラジオストク市内に向かううちに、雲の流れが次第に激しくなり、雨もぱらついてきました。

 午後6時過ぎになると風が次第に強くなり、雨も激しく降り出しました。その夜ナホトカに移動しましたが、雨は断続的に降り出していました。

ウラジオストク市内の石炭火力発電所の煙突の煙も強い風で横にたなびく。5日日本時間午後4時40分。

■6日の朝8時(日本時間6時)にナホトカの近くの町に向かいましたが、風雨はかなり強くなりはじめていました。

ナホトカ郊外の道路。6日日本時間午前6時32分。

 そのあと、湾内を船で見物しましたが、海上は風波が強くフード付きの合羽を着ていても、横殴りの雨で顔に雨粒が当たりびしょ濡れになるほどでした。

横殴りの雨に煙るナホトカ近郊の湾内。6日日本時間午前9時16分。

 6日の夕方までナホトカ地方は風の影響が残り、地元の人に聞くと、沿海州の南側はさほどではなかったが、北部では雨が沢山降り、日本と同じく洪水の被害が出たそうです。

風が次第に収まり始めたナホトカ港内。6日日本時間午後3時54分。

■これまでは、日本を通過した後はほっとしていましたが、実は日本を通過後も、こうしてロシアに被害をもたらしていることに気がつかされました。沿海州の人たちは、テレビで日本の被害のことをよく知っており、台風12号の北上に非常に関心を持っていました。

 報道によれば、台風12号による日本での被害は、6日午後8時現在、12道県で死者48人、行方不明者58人の計106人に上り、死者・行方不明者計99人を出した2004年の台風23号を上回って台風災害としては平成最悪となったことが報じられました。

 ロシアの沿海州での被害状況は現時点ではまだはっきりしませんが、9月4日の現地の新聞には次の報道がありました。
Currently, the typhoon left the territory of Japan is moving toward the Khabarovsk Krai and Primorye, where authorities have declared a storm warning. It is expected that "Talas " come to Russia in the night from 5 to 6 September and bring heavy rains and wind speeds of 20-25 meters per second. MOE urged local residents not to leave the settlements, not to travel by car and out into the open sea in boats and motor boats. In some regions of Primorye and Khabarovsk possible shortages of electricity.

■台風12号のアジア名はタラス(Talas)です。台風の被害は複数の国々に跨ることがあるので、各国の受けた被害を総合してみるのも歴代の台風の被害ランキングを比較する上で、興味深いかもしれません。

【ひらく会海外取材班】

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多胡運輸タンクローリー横転炎上事故の損害賠償請求にかかる情報不開示で、首都高に再検討を要請

2011-09-05 21:55:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■当会は、平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸(群馬県高崎市箕郷町)所有の大型タンクローリーによる横転炎上事故で、同年10月14日に記者会見した佐々木克己社長(当時)は「損害が経営に与える影響は小さくない。賠償請求をきちんとやりたい」と述べた件に関して、これまでに首都高が多胡運輸やその元請、或いはガソリン等の運搬を依頼した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報を、平成23年7月27日に首都高に開示請求しました。

何事もなかったように業務を続けている多胡運輸。首都高は本当に多胡運輸と交渉しているのだろうか。(6月18日撮影)

 当会は多胡運輸の経営者の実兄が関与した1995年5月18日に安中市土地開発公社を舞台にした地方自治体としては史上最大の51億円事件の真相追究と再発防止に取り組んでいます。多胡運輸の経営者もこの事件に係っていることから、この大事故の推移を見守ってきました。

 そのため、首都高が記者会見で、復旧工事費や本事故による通行料金の減収額を試算した結果、総額45億円に上る可能性のある損害について、原因者に請求をするという明確な方針を打ち出していたことに関心を寄せてきました。

■ところが、安中市の51億円事件の真相が解明されないまま、元職員だけが14年の実刑判決を受けました。警察の捜査も途中から腰が引けてしまい、51億円の行方のうち、14億円以上が不明となりました。そのうえ、事件の当事者の市役所や公社、そして群馬銀行の関係者らは事件の真相を語ろうとしませんでした。挙句の果てには、市の公金24億5千万円を103年間かけて、市が群馬銀行に和解金と言う名目で支払うという異常な決着で幕引きが図られてしまいました。

 このため、元職員の実兄が経営する多胡運輸が起こした首都高史上最大の物損事故の行方がどうなるのか、当会のみならず、元職員とその関係先の懐に消えた巨額横領金の尻拭いをさせられている安中市民としては、非常に気がかりだったからです。

■ところがこの事件の経過を見ると、事件当初から多胡運輸の名前がマスコミの間でなかなか報道されず、さらには多胡運輸に仕事を請負わせていた元請のホクブトランスポートが、事故発生直後にホームページを突如として消去したり、さらには荷主の出光興産がこの事件について全くコメントを出さなかったり、当初から異常な滑り出しを見せたのです。

 平成20年8月の事故発生から2ヵ月後の復旧工事完了後は、マスコミは全くこの事件を取り上げなくなり、被害者の首都高でさえも業務報告書にこの事件のことを記載しなくなりました。明らかにへんです。

■そこで、現状をきちんと認識するために、首都高にこの事故の損害賠償についてどうなっているのか、事故発生から3年が経過する平成23年8月3日が迫った7月27日に、首都高に情報開示を求めたものです。

 ところが、今回も「不開示」という通知がきました。それでも、前回は「存否を言うことができない」という理由の「不開示」でしたが、今回は、「契約、交渉または争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれがある」という理由の「不開示」でした。

■いずれも「不開示」ですが、理由のニュアンスが全く異なる為、当会は8月30日付けで「再検討の求め」という形で、首都高に次のとおり説明を求めることにしました。3年の民事時効前に、首都高が対策を講じていることを期待したからです。

**********
                    平成23年8月30日
首都高速道路株式会社 御中
          氏名 市政をひらく安中市民の会 事務局長 小川賢
          住所 〒379-0114群馬県安中市野殿980番地
          連絡先電話番号 ※電話番号は日中連絡のとれる番号
        再検討の求め
下記のとおり貴社の保有情報について再検討を求めます。
          記
1 債権等を求める保有情報の内容と再検討を求める理由
再検討を求める内容
 今回、貴社から示された「首都高高速道路会社が保有する情報の開示に開する規則」(以下「規則」という。)第5条の但し書きである第四号「会社が行う事務または事業に開する情報であって、公にすることにより次に掲げるおそれその他当該事務または事業の性質上、当該事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼす恐れのあるもの」のニ「契約、交渉または争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれ」という不開示理由は、昨年同時期に当会が行った情報開示の求めに対する不開示理由である規則第6条に定めた「開示の求めに対し、当該開示の求めに係る保有情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、会社は、当該保有情報の存否を明らかにしないで、当該開示の求めを拒否することができる」と異なっており、実際に、貴社が多胡運輸やその関係者に対して、契約、交渉または争訟を行っていることをうかがわせる不開示理由となっています。
 そうであれば、開示すると貴社の財産上の利益や当事者としての立場を阻害となるような情報はともかく、それ以外の情報のなかには、開示の求めに応じて開示できるものがあると思われますので、ぜひ再検討をお願いします。
 例えば、横転炎上事故を起こした原因者側である、多胡運輸もしくはその関係者から貴社への自発的な連絡内容、事故発生に開しての貴社に対する連絡、通知あるいは謝罪などを目的に行われた何等かのコンタクトがあったのであれば、それらは開示情報として取り扱われるべきであると考えます。
 あるいは、もし、原因者側からこれまで、そうした連絡がない場合には、今度は貴社から、事故による損害について、請求をする旨の意思表示がなされているはずです。なぜなら、実際に交渉または争訟を行っていることをうかがわせるからです。
 そのような、単に事故発生の事実関係を確認したり、請求の意思を示したりする程度の情報であれば、開示しても、社会的に貴社の地位を高めることに資することこそあれ、多胡運輸やその関係者らに対して帰社の地位を害することにはならない、と考えられます。
 そうした情報は、具体的な損害賠償請求にかかる金額や責任の所在の認否にかかるものではない限り、貴社の立場を害するおそれはないし、もし、貴社の事務事業の適正な遂行に支障を及ぼす恐れのある箇所が含まれていても、その箇所のみを黒塗りにしたうえで開示するなど、原則開示に少しでも近づくための努力や工夫がもう少しあってしかるべきだと考えます。
再検討を求める理由

 当会の情報開示の求めに対して「不開示」とした理由は、貴社の「首都高速道路株式会社が保有する情報の開示に関する規則」に基づくとしておりますが、貴社のホームページを見ても、その規則の全文はどこにも掲載されていません。ホームページに掲載されているのは、次の記述のみです。

開示・不開示の検討
開示の求めがあった保有情報について、不開示情報にあたるかどうかの検討を当社で行います。
〔不開示となる情報〕
保有情報に次の情報が含まれる場合は不開示となります。
【1】特定の個人を識別できる情報や個人の権利利益を害するおそれがある情報。
ただし、次の(1)から(3)に該当する場合は開示します。
(1) 法令の規定や慣行により公にされる情報。
(2) 生命、身体、財産を保護するために公にすることが必要な情報。
(3) 公務員、独立行政法人等の役職員の職務遂行に係る情報。
【2】当社以外の法人、団体、個人事業主の権利等を害するおそれがある情報。
ただし、生命、身体、財産を保護するために公にすることが必要な情報の場合は開示します。
【3】当社以外の法人、団体、個人事業主から公にしないとの条件で任意に提供された情報。
ただし、生命、身体、財産を保護するために公にすることが必要な情報の場合は開示します。
【4】国の機関、地方公共団体、独立行政法人等の情報で次の(1)から(3)に該当するもの。
(1) 公にすると率直な意見交換や意思決定などの中立性を損なうおそれのある情報。
(2) 公にすると国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報。
(3) 公にすると特定の者に不当に利益や不利益を及ぼすおそれがある情報。
【5】当社が行う事務・事業に関する情報で公にすると当該事務・事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報。

 今回、同封された通知書には、「参考」として、当該規則の該当条項の「第5条」の但し書きの「第四号 会社が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」の「二 契約、交渉又は争訟に係る事務に開し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれ」が引用されています。上記のホームページ上にある「開示・不開示の検討」の【5】に該当していることになります。
 つまり、「当該事務事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」「会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれ」が貴社の不開示の理由であることが判ります。
 貴社にとっておそらく今回史上最大と位置付けられるローリー横転炎上による物損事故の損害賠償に関して、当会が「請求に係る情報」を請求した件を開示することは、「適正な事務事業の遂行に支障を及ぼすおそれがある」のかどうか、考えてみました。
 貴社自身はもとより、首都高を利用しようとした不特定多数の国民が2ヵ月もの間、不便を強いられたわけですから、貴社としては原因者に対して適正な損害賠償請求という事務事業を行う責務が当然あるはずであり、貴社もそのように認識していると思います。だから、「当会を含めて首都高の利用者に、原因者の多胡運輸への損賠請求額を示すと、多胡運輸に対する交渉又は争訟に支障を及ぼす」ということはないと思います。
 それでは、もうひとつの理由である「二 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害する恐れがある」と貴社が判断しているのかどうか、検討する必要があります。貴社が具体的な条項として「ニ」を示したことから、これが不開示の理由だということになるからです。
 今回、当会は、貴社が民事時効の到来以前に、多胡運輸等への損害賠償をしたかどうかを確認したかどうかを知りたいわけです。多胡運輸等への損害賠償請求は「交渉」に該当すると考えます。また、多胡運輸等が支払いを拒否すれば裁判沙汰になり、この場合は「争訟」に該当することになります。
 そうすると、「会社の財産上の利益を害するおそれ」または「当事者としての地位を害するおそれ」があると貴社は主張しているわけですから、貴社は多胡運輸等と交渉中あるいは争訟中ということになります。
 貴社がそのような状況にあると仮定すると、当会が請求した「原因者の多胡運輸やその関係者らに対する賠償請求にかかる一切の情報」のうち、「会社の財産上の利害を害する」、つまり貴社の賠償請求が減額されたり、取りはぐれたりするおそれがあるということになります。あるいは、「交渉当事者としての地位を害する」、つまり、交渉先の多胡運輸等に対して貴社の立場が弱くなるおそれがあるということになります。
 ということは、貴社の回答から推察すると、決して多胡運輸に対して損害賠償請求を放棄しているわけではないことをうかがわせます。つまり、多胡運輸に対して、何らかの形で交渉申だということになります。
 もしそうであれば、当会が請求した一切の情報を、全部「不開示」とするのも不自然です。なかには、貴社の地位に影響を与えないものもあるはずです。開示することにより賠償請求額が減額されたり取りはぐれたりするおそれのある情報というのは、もっと限られてくると思います。
 開示しても首都高の立場に影響を及ぼさないという情報は、多胡運輸など原因者への請求書或は請求書を送った証拠となる送り状ないし請求することを社内的に秦議して決めた際の起案書などが考えられます。
 請求の内訳の細部にわたっては、多胡運輸等との交渉で、値切られる恐れがあるかもしれませんが、全体として例えば45億円という賠償請求額を開示してもなんら問題にはならないはずです。 45億円のうち、たとえば通行止めによる通行料の減収分をあきらめて20億円の復旧工事費だけを請求したという情報を開示しても、開示規則に反することはないはずです。
 むしろ、貴社が多胡運輸などに対してきちんと損害賠償請求をしていることを公表したほうが、利用者への信頼の観点から、メリットが大きいはすです。いや、むしろそうすることが、利用者に対する責務ではないでしょうか。
 貴社のホームページには、「ETC利用照会・残高照会/通行料金が「未払い」となってしまったお客様へ」と題して、首都高の利用者が料金所を通過する際、ETCカードを挿入し忘れた状態で通行したり、または誤って一般レーンを通過してしまった等により、通行料金が「未払い」となった場合は、そのまま目的地まで走行後、あとで事後申告したうえでETCカードもしくは現金で、未払い分の通行料金の支払いを利用者に求める手順が詳しく掲載されています。
 そして、未払いのまま連絡のない場合には、不正通行として取り扱い、レーンに設置してある不正通行対策監視カメラ等を活用し、割増金も含めた通行料金を請求させていただくことがある、と警告しています。
 このように貴社は利用者に対しては、数百円単位の未払いについて、利用者の責任の自覚にうったえて、もし責任の自覚がない場合には、厳しく取り立てるとしています。
 しかし、3年前の横転炎上事故は首都高史上最大の物損事故で、十億円単位という損害額は、ETCの取り扱いミスという故意又は過失とは比べ物にならない桁違いのケースです。
 本来であれば、事故を起こした多胡運輸からの自主的な連絡、つまり事故に問する通知なり謝罪なり、上述のように、なんらかのコンタクトが貴社に対して行われるはずです。もし、それが一定の期間為されない場合には、今度は貴社から事故による損害について、請求をする旨の意思表示があってしかるべきです。
 当会は、そのような、基本的なやり取りを示す情報もあると考えて、今回の情報開示の求めに踏み切りました。
 それにもかかわらず、当会から請求された一切の情報を少しでも開示することは、貴社にとって、耐え難いと判断しているのであれば、そのような説明をしてほしいのです。
 既に調査をされてご承知だと思いますが、問題を起こした多胡運輸は、安中市土地開発公社を舞台にした総額51億円余りの巨額の公金が横領され、しかも、警察の懸命な捜査にもかかわらず14億円以上が使途不明となっています。
 この事件にはさまざまな政治家、役人、業者、暴力団などがかかわっていますが、今回の事故ではっきりしたのは、多胡運輸に仕事を回していたのは、元中曽根泰宏事務所の運転手をしていた人物が創業した高崎北部運送、現在のホクブトランスポートという元請の運輸会社です。多胡運輸の社長は、51億円余の公金をネコババしたとされる安中市土地開発公社元職員の実弟であり、この事件にも関係のあった人物のひとりです。
 この事件の発覚直後から事件の真相解明と責任の所在の明確化及び再発防止を目的に活動してきた当会としては、貴社の不開示通知に捜するたびに、政治的な圧力を感じざるを得ません。
 その点では、前回の当会の請求で、貴社が存否さえ示せないため、開示請求に対して不開示としたのは、まだ理解できる余地があります。
 しかし、今回は、実際に多胡運輸等と交渉或いは争訟という可能性が伺えるだけに、全面的に不開示扱いとするのは、問題だと思います。せめて部分開示という形でも、開示が可能かどうか、ぜひ再検討願います。    以上
2 首都高速道路株式会社から開示等の連絡があった日及び最初に開示を受けた日
開示等の連絡があった日  平成23年8月24日
3 希望する開示の実施の方法の変更
(開示方法の変更を希望する場合のみ、ア又はイに○印を付けてください。)
                               以上
**********

■果たして「再検討の求め」に対して、首都高がきちんと説明責任を果たしてくれるのかどうか、期待したいと思います。なお、開示手数料315円は、9月27日の期限前に首都高に支払う予定です。

【ひらく会事務局】

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