市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

清水聖義・太田市長の不正疑惑をめぐり市長の政治姿勢を問うべく同市役所で行った記者会見

2024-02-02 23:11:53 | 政治とカネ

太田市役所3階の記者クラブ
■当会は、これまでも太田市長の清水聖義氏の市政にからんで、数々の不透明な不正疑惑に関する情報提供を受けて、調査をしてきました。ここ半年だけでも、4件の不正疑惑が浮上し、事実関係を確認すべく、太田市長あてに公開質問や情報開示請求を行っています。そうした中で、知り得た情報を広く知っていただくために、2024年(令和6年)1月24日(水)午後2時半から、太田市役所本庁舎3階の太田市政記者クラブで、「太田市の清水聖義市長の政治姿勢を問う」と題して記者会見を行いました。





 当日は、当会代表の小川と副代表の長澤、そして太田市在住の元会員で、現在は協力者として活動いただいている市民のかた、そして、当会会員3名が県内からはるばる駆けつけてくださいました。1月の幹事社は毎日新聞社でした。その他、記者クラブ加盟各社のうち、朝日新聞社、読売新聞社、上毛新聞社、そしてNHKの計5社のメディアが取材しました。
会見中の当会副代表と当会協力者の太田市民



 会見に先立ち、事前に、加盟記者クラブの幹事社である毎日新聞社を通じて、次の案内文書をメディアに出しており、会見はこれに沿って当会側から説明を行い、その後、メディア側からの質問を受ける形をとりました。

*****1/24記者会見用レジメ*****
                         2024年1月24日
大田市役所記者クラブ 関係各位
                   市民オンブズマン群馬
                   副代表  長澤 健二
                   連絡先:桐生市天神町3丁目14-36 
                       TEL 090-7197-6449

       清水聖義・現太田市長の疑惑について

 記者の皆さん、今日はお集りして頂き、有難うございます。今回は、市民オンブズマン群馬として記者会見させていただきます。我々は、行政の不正の追及と行政に対して提案をする、ボランティア団体であり、会員による会費だけで運営しております。したがって活動は全て、会員の自主的活動によって行われております。
 現在、国会でも政治資金規正法で決められている政治資金パーティー収入の虚偽記載による巨額の裏金問題で大騒ぎになっており、現職の一部の国会議員が起訴されたり、起訴されそうになったりしています。群馬県でも、地方議員をはじめとする政治家のモラルが落ちてきており、この原因として、選挙管理委員会や警察、検察が与党の言うなりになっていることが挙げられます。
 そしてこのたび、ここ太田市でも、当会に寄せられた情報を基に、現太田市長である清水聖義氏の政治家としての資質の実態について、記者会見での説明の要旨をここで説明いたします。次の4点を中心に説明したあと、質疑応答に入ります。どうぞ、よろしくお願い致します。
(1)太田芸術学校の太田市文化スポーツ部参事だった58歳の職員について
(2)学校法人太田国際学園が設置者となっているぐんま国際アカデミー(GKA)に関する政治家としてのモラルについて
(3)新聞報道にある、清水市長の献金疑惑について
(4)北茨城の交流館の跡地問題について

 上記4件に対する概要について、それぞれ以下の通り説明します。

(1)太田芸術学校の太田市文化スポーツ部参事だった58歳の職員について
  これは、令和5年10月10日に当団体に寄せられた匿名の情報提供が発端です。その内容は、太田市の公な機関である「おおた芸術学校」に勤務する人物が、太田市職員でありながら、相当前から故意に不正な出演料と称する640万円を懐に入れていたというものです。提供された情報によると、この人物は常日頃から太田市長との関係を周辺に吹聴していたそうです。この事件は、NHKや上毛新聞などで報道され、この人物による背任行為について、ニュースでは「6年間」と発表されましたが、実際にはそれ以前から続いてきていました。しかも出演料を商品券などで受け取り、脱税行為を繰り返してきました。これを財団側から指摘され、確定申告をしていた時期がこの6年間ということです。
  当事者の職員は太田市より640万円の返還と停職3ヶ月を命じられましたが、本来、懲戒免職に該当する事案なのに、なぜ、このような極めて穏便な処分なのか、極めて不可思議です。市役所内では、もっぱら清水市長からの指示が囁かれています。
  その後、当団体の代表が情報提供者と連絡を取り、事実確認をした事柄を、令和5年10月30日付で公開質問書として清水市長あてに提出するとともに、同日、情報公開請求を提出しました。このうち、公開質問書についての清水市長からの回答は、未だにありません。もうひとつの情報公開請求では、同11月13日付で、市職員の元参事の経歴のみが開示通知されただけで、その他は個人情報等の理由により、開示されませんでした。当団体は、太田市長が不開示決定の処分理由について「おそれがある」というだけで、具体的に立証していないため、同12月7日付で審査請求をしています。これは、最高裁判例で「不開示理由の具体的な立証」が求められており、清水太田市長の不開示決定は言語道断です。ちなみに、類似の情報不開示事案で、当団体副代表である私が桐生市を相手に訴訟を提起し前橋地裁で争った結果、勝訴しています。本日は公開質問書等を公開いたします。

(2)学校法人太田国際学園が設置者となっているぐんま国際アカデミー(GKA)に関する政治家としてのモラルについて
  この事案についても、最近、当団体に匿名の情報提供が寄せられました。清水聖義市長が理事長をしている学校法人太田国際学園が設置者になっている英語特区のぐんま国際アカデミーに約400坪の土地を貸していた所有者は、相手が学校法人であるため、理事長の清水市長に相談したそうです。当初、清水市長は「市でその土地を買い取る」と言っていましたが、その後突然、自分の娘の会社にその土地の半分を買い取らせ、あとの半分を自分が理事長をしている学校法人に買い取らせました。自分の娘の会社に買い取らせた土地も、学校法人が買い取った土地も、ともに学校法人太田国際学園の群馬国際アカデミーの父兄の送迎用駐車場として利用されています。そのため、アカデミーから地代が自分の娘の会社に支払われているとみられます。これは、明らかに、市長としての立場を利用し、家族に利益を与える結果となっていて、利益相反とも言える道義的責任が問われる行為です。それも、土地の買い取りに際して、他の買い手より、売り主から安く買い取っています。これには、実際に清水市長の娘の会社より、高く買おうとした人が憤慨していると聞いています。

(3)新聞報道にある、清水市長の献金疑惑について
  この事案については、当会に寄せられた情報を基に、令和4年12月に、清水市長あてに、公開質問書を送りましたが、清水市長からの回答はなく、会計責任者の代理として、弁護士からFAXで連絡があり、情報提供者は「誰か」との回答だけでした。本日、ここに質問書を用意しましたので、見てください。
  新聞報道によると、300万円の献金を返そうとしたが、受け取らなかったので「供託」したとあります。供託したのは令和5年1月です。これは、明らかに、当会が質問書を提出したの、あわてて「供託」したと「推測」されます。
  皆さんもご存知と思いますが、太田市長選挙は令和3年4月11日に投開票が行われました。このことの意味するところは、太田市長は、支援者からの献金を選挙から1年9か月後に供託したことです。公職選挙法は選挙に関する収入と支出をまとめた「選挙運動費用収支報告書」を投票日から、15日以内に届け出ることが義務付けられています。これについては罰則もあります。清水市長は献金を受けたのを認めているのであるから、これは、収支報告書の収入欄に記載すれば済むことであり、直後に返金の意思を示したのであれば、すぐに、供託とし、収支報告書に記載すれば済むことでした。又、支援者としては、清水聖義氏がすぐに返金の意思を示せば受け取ったとことでしょう。それを、1年半もたってから、返金するとしたので、憤慨したのでしょう。又、1年半も寄附金を持ったままであれば、脱税にもあたります。この件に対して清水市長は説明責任を果たすべきであり、そうすれば、支援者も納得することでしょう。

(4)北茨城の交流館の跡地問題について
  2020年9月24日オープンの「おおた・北茨城交流物産館」が2023年3月6日に閉館いたしました。今、太田市ではこの商業施設をめぐって問題が発生しています。この事業は清水市長の肝いりで進めた事業で、商業施設は太田市と連携協定を結ぶ茨城県北茨城市とのつながりから、太田市の市有地に大雄建設(太田市)が建設し、開業したものです。その後、同社が運営していましたが、新型コロナウイルス下で売り上げが減少するなどして、2023年3月から休業のため閉館していました。この商業施設事業に入札した業者は1社と聞いています。それだけ、この事業の採算が危ぶまれた証拠であり、誰も反対しなかったのでしょうか。
  このような状況でも、太田市はこの建物を買い取り、活用するとしています。この建物を2億1450万円で買い取りに対して、市議会でも問題にしています。まず、この買取価格が妥当であれば問題はありませんが、清水市長は「太田市にも専門家がいる。この業者は市のために貢献してくれた」等の理由で、この金額で買い取りの意向を示しています。
  しかし、太田市にいる専門家とは誰のことか、根拠が示されません。なぜ、第三者の不動産鑑定士に査定させようとしないのでしょうか。太田市の場合、不動産鑑定士が太田市職員にいるとは考えられません。建物買取価格に建物を使用するための改築費用と新築した場合の費用等を比べて買取価格を決めるべきでないでしょうか。買取金額の原資は税金であることは清水市長もご存じのはずで、市民が納得する金額にすべきです。又、建物を解体し、新築とすれば、太田市にも経済効果があるでしょう。

 このように、清水市長は自分の立場を利用して、太田市政においていろいろなことを私利私欲のために政治をしていると思われます。地方自治法には目的として「地方公共団体は住民の福祉の増進を基本目的として」と記載されています。当団体は、今こそ、太田市政を住民の手に取り戻さなければならないと思います。
                            以上
**********

■結局1時間10分ほどの会見となりましたが、メディアの関心は、清水聖義市長の裏金疑惑のようでした。なぜなら、翌日の朝刊に、唯一掲載された朝日新聞社の記事を読むと、そのことがわかります。

**********朝日新聞2024年1月25日
「市長選で献金」太田市長に問う 市民オンブズが会見

 市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は24日、太田市役所で記者会見し、清水聖義市長に対して、2021年の市長選をめぐる献金などの問題を指摘し、説明するよう求めた。
 関係者らによると、21年4月の市長選の際、市内の食肉販売会社長(83)が用意した現金300万円を、建設会社長(80)を通じて清水市長に手渡した。市長側は選挙運動費用収支報告書などに記載しなかった。23年1月にこの300万円を法務局に供託した。
 清水市長は朝日新聞の取材に「中身を確認しないで紙袋を受け取った。事務員に渡したところ300万円が入っていたので、すぐに返すように指示した。大金をもらう理由がない」と説明。事務員が何度も返そうとしたが受け取らないため、供託したという。
 社長2人は23年4月、収支報告書に記載しないのは公職選挙法に違反するとして清水市長を太田署に告発したが、前橋地検太田支部は同12月に不起訴処分にした。社長2人は「不起訴は納得できない」として今月23日、太田検察審査会に審査を申し立てた。
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■それでは、太田市長の疑惑満載の4つの事件を順にみていきましょう。

(1)おおた芸術学校の太田市文化スポーツ部参事による不正報酬とパワハラ疑惑

 おおた芸術学校は群馬県太田市にあるオーケストラ・合唱・演劇の教育機関で、一般財団法人太田市文化スポーツ振興財団が運営しています。この問題は、2023年9月、おおた芸術学校の担当課長(太田市文化スポーツ部参事の男性職員)が、同校の演奏会に指揮者として出演するなどして多額の報酬(6年間にわたり、出演の対価として約640万円)を得ていたとして、停職3カ月の懲戒処分を受けたこと、同時に同職員は、特定の職員に叱責等を繰り返して退職させるなどのパワハラ行為も判明したこと、また同校備品のバイオリンを手続きせずに外部に売却等の不祥事が発覚したことでメディアに報じられました。

**********NHK群馬NEWS WEB 2023年09月29日18:21
太田市職員 業務の演奏会に出演 約640万 不正報酬で処分
 太田市の58歳の職員が、業務にあたるにもかかわらず、市が運営する芸術学校の演奏会に出演しておよそ640万円の報酬を不正に受け取っていたとして、停職3か月の懲戒処分を受けました。
 懲戒処分を受けたのは、太田市文化スポーツ部で参事を務めていた58歳の男性職員です。
 市によりますと、職員は、おととしまでの6年間、市が運営する「おおた芸術学校」の演奏会に指揮者として出演し、およそ640万円の報酬を不正に受け取っていたということです。
 職員は、芸術学校を担当していたため、学校が主催する演奏会への出演は業務となり、本来は報酬を受け取ることができないということです。
 市の調査に対して、職員は「お金はもらっていいものだと思っていた」と話しているということです。
 市は、29日付けで職員を停職3か月の懲戒処分にするとともに、今後、不正に受け取った報酬の返還を求めていくことにしています。
 太田市の清水聖義市長は「市民の皆様の信頼を大きく損なう事案であり、深くおわび申し上げます」とコメントしています。

**********上毛新聞2023年09月30日17:00
業務なのに多額の報酬を受領、パワハラも 群馬・太田市が課長を停職3カ月、降格処分 
 群馬県太田市は29日、本来は業務であるにもかかわらず、市が運営する「おおた芸術学校」の演奏会に指揮者として出演するなどして多額の報酬を得ていたとして、市文化スポーツ部参事の男性職員(58)を停職3カ月の懲戒処分とした上、課長に降格させる処分を発表した。職員は6年間にわたり、出演の対価として約640万円を受け取っていた。
 市によると、男性職員は市が運営する音楽教育機関「おおた芸術学校」の担当課長。少なくとも2016〜21年度の6年間、担当課の職員でありながら同校が公演を委託した団体で指揮者として活動し、団体から約640万円を受け取っていた。本来は職務である同校の団体に対する指導でも、継続的に謝金を受け取っていたとみられる。
 この職員を巡ってはこれ以外に、特定の職員に叱責(しっせき)などを繰り返して退職させるなどのパワハラ行為も判明。同校備品のバイオリン(8万5000円相当)を、手続きせず外部に売却したことなども明らかになった。市は遅くとも21年ごろから男性職員の不適切行為を一部把握していたが、本格的な調査を開始したのは外部からの指摘があった今年4月ごろだった。
 職員はこれまでの上毛新聞の取材に「公務員として守秘義務や職務専念の義務などを守ってさえいれば、活動を通じて報酬を得ても良いと考えていた」と話していた。
 清水聖義市長は「市民の信頼を損なう事案。音楽に関わる子どもを増やすため、学校の信頼回復に努めていきたい」とコメントした。

**********東京新聞2023年10月1日07:58
「本来業務」で報酬 太田市職員を停職処分
 群馬県太田市は9月29日、文化スポーツ部参事の男性職員(58)を停職3カ月の懲戒処分とし、課長に降格させると発表した。
 市によると、参事は市が運営する音楽教育機関「おおた芸術学校」を担当していたが、公演に指揮者として出演時、本来業務のため受け取れない報酬を2016~21年度に計約640万円受け取った。
 さらに学校備品のバイオリンを正規手続きを踏まずに卒団生へ売却したり、特定職員にパワハラ行為を繰り返して退職へ追い込んだりした事例もあったとしている。
 清水聖義市長は「深くおわび申し上げます。音楽に携わる児童、生徒を今後も増やし続けるためにも信頼回復に努めてまいります」とのコメントを出した。
 同校は小中学生対象の「本科」に、小中高校生が活動する合唱、オーケストラ、演劇の3団体を併設している。(小松田健一)

**********毎日新聞2023年9月30日
業務で対価受領、参事停職3カ月 太田市、降格も /群馬
 太田市は29日、文化スポーツ部の男性参事(58)が、業務としてオーケストラの公演に出演したのに委託団体から対価約640万円を受け取ったとして、停職3カ月の懲戒処分にし、課長に降格させた。
 市によると、参事は2016~21年、市が運営し、自らが担当する芸術団体「おおた芸術学校」の公演に指揮者として出演していた。
**********

 その後、10月10日に当会事務局に寄せられた情報によると、太田市の公な機関である「おおた芸術学校」で市の職員として勤務していたのは矢野和弘という元参事で、太田市職員でありながら、実は、ニュースで報じられている「6年前」ではなく、さらにそれ以前から故意に不正な出演料を懐に入れており、悪事はこれに限らないとのことです。

指揮 矢野 和弘
群馬県出身。吹奏楽指導に携わり、全日本吹奏楽連盟より3度指揮者賞、群馬県吹奏楽連盟より2度の永年優秀指導者表彰、群馬県知事より顕彰状を受ける。現在、おおた芸術学校付属オーケストラ「ジュネス」「おおたウィンドオーケストラ」「おおたアカデミーオーケストラ」の三団体の音楽監督と、おおた管弦楽団「リジョイス」を加えた四団体の常任指揮者を務める。また、エフエム太郎 (76.7MHz)で毎週日曜日10:30(再放送毎週水曜日10:00)より「矢野和弘の音楽と遊ぼう」を放送中。高崎高校昭和59年卒、群馬大学、太田市立城東中学校教諭、現職。

 報じられた「6年前」というのは、それ以前にも出演料を商品券などで受け取り、脱税行為を繰り返してきており、このことについて、おおた芸術学校を運営している一般財団法人太田市文化スポーツ振興財団側から指摘され、確定申告をしていた時期を指しています。

 この不正な出演料を報酬として二重取りしていたほかにも、元参事は、不透明な楽器購入に関与していました。1200万の予算が付いた年に、元参事は「ハープといえば金色だよね」という理由で、既に学校には通常のハーブが1台あったにもかかわらず、500万円のハープをいきなり買い入れたことがありました。また、ティンパニを4セットも買い入れたり、その他の楽器も「壊れたら修理よりまた買えばいい」と言う方針で、実際そのようにしたりしていました。さらに、楽器の購入のためと称して韓国に出張する際、担当外の女性を自費で同行させて複数日数の宿泊を伴う現地滞在をするなどしていました。

 この元参事をおおた芸術学校の職員として直接任命したのが、太田芸術学校の創設時に校長(代表)をしていた清水市長本人でした。なので、清水市長と元参事の関係もその当時から続いていたわけです。

 おおた芸術学校では、清水市長の指示により、楽器講師を中心におおたアカデミーオーケストラを結成し、太田市内の小学校を回って演奏を行っており、楽器講師には、音大卒業のプロの演奏家が携わっており、なかには群響での演奏活動の経験のある方々もいました。

 この巡回音楽教室から活動が始まり、そのうち元参事が太田市長にかけあい、徐々に予算がつくようになりました。定期演奏会をはじめ、混声合唱とのコラボや太田市が誇る山本バレエ団との公演など、次第に演奏活動も盛んになりました。

 ところが、いつのまにかおおたアカデミーオーケストラの事務局が実態のないペーパーカンパニーになり、現在もこの状態が続いています。このようなペーパーカンパニーが出来た背景には、もともとおおた芸術学校の校長が太田市長だった時期があり、金銭面で、太田市文化スポーツ振興財団のトップである清水聖義から、おおた芸術学校長の清水聖義にカネが流れる構図が、利益相反となるので都合が悪いため、アカデミーオーケストラの代表者の自宅を事務局ということにしていますが、実態は別の場所にしています。

 このほかにも、コロナ禍による演奏活動休止を口実に、元参事は、「太田市長から人件費削減の指示を受けた」などとして自分の気に入らない職員らに退職を迫ったり、「生徒の保護者から教え方が悪いとクレームが来ている」などと出まかせを言って熱心に指導してきた講師らに契約打ち切りを言渡すなど、虎の威を借る狐ならぬ、太田市長の威光を盾に、逆らう者はこうなるぞ、という見せしめ人事までするようになりました。何かといえば太田市長との関係をひけらかすため、元参事の横暴に誰も逆らえなくなったため、太田芸術学校を舞台にした着服とパワハラが日常茶飯事となっていました。

 当会が入手した上記の情報が事実かどうか確かめるため、当会では、太田市長宛に次の公開質問状を提出しました。

*****10/3清水市長あて公開質問*****
                         令和5年10月30日
〒373-8718群馬県太田市浜町2番35号
太田市長 清水聖義 様
Tel:0276-47-1111(代表)Fax:0276-47-1888(代表)

                〒373-0842 群馬県太田市細谷町■■■■■
                塚本 忠久
                電話番号 0276-■■-■■■■

おおた芸術学校を巡る太田市元参事の不祥事件について(公開質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。
 さて、2023年09月29日から30日にかけて報道された情報によりますと、太田市文化スポーツ部参事だった58歳の職員(以下「元参事」という)についての不祥事件に関して、少なくとも2016年から2021年度にかけて、元参事の業務先であり、太田市が運営する「おおた芸術学校」(以下「OAA」という)主催の演奏会において、元参事は担当課職員でありながら、OAAが委託していた団体で指揮者として出演し、団体から約640万円の不正報酬が支払われ、本来は職務であるOAAの団体に対する指導でも、継続的に謝金を受け取っており、さらにこれ以外にも、特定の職員に叱責などを繰り返して退職させるなどのパワハラ行為を行っていたうえ、OAA備品の楽器(8万5千円相当バイオリンなど)を所定の手続を経ずに外部に売却するなどしており、これに対して太田市は、遅くとも2021年ごろからこの職員の不適切行為を一部把握していたが、本格的な調査を開始したのは外部からの指摘があった今年4月ごろで、この結果、太田市は9月29日に、この職員を停職3カ月の懲戒処分とした上、参事から課長に降格させる処分を発表したとあります。
 一般的に言えば、職員でありながら、公務にもかかわらず出演料が支払われることは有り得ないことです。また、パワハラ等による𠮟責などで特定の職員を退職に追い込んだ背景には、人事面で何らかの威光を笠に着ていたことが想定できます。さらに、公的に使用する備品の調達に関して、所定の手続きを経ないまま、購入や売却をしたとするならば、組織としての管理体制に重大な瑕疵があったことをうかがわせます。
 市民として今回の一連の経緯を検証し、今後,2度と同様な事態を招かないようにしたいと考えております。つきましては、以下の質問事項がありますので、誠意をもってお答えください。
 なお、公務ご多忙のところまことに恐縮ですが、ご回答は、文書もしくはFAXにて11月13日(月)必着で上記連絡先までご連絡賜りたくよろしくお願い申し上げます。尚、当日までにご回答いただいた場合、あるいはいただけない場合、その回答内容あるいは事情について、広く公表させていただくことをあらかじめご了承ください。

【質問その1】
 元参事は、市職員でありながらOAAが委託していた各種団体で、イベントの際に指揮者として出演し、報酬を得ていたとあります。元職員をOAAの職員に任命したのは、いつ、誰の発案で、その理由はなんだったのでしょうか?

【質問その2】
 OAAが委託していた各種団体が、なぜ元参事のような個人に対して、報酬を支払うことができたのでしょうか?
 たとえば、市やOAAにはこのような場合出演料のレートや支払い方法など内規があったのでしょうか?
 仮に元参事の出演料の支払いについて、内規に基づき各種団体に請求がなされたのであれば、なぜ元参事の所属先の太田市もしくはOAAに対して、支払う形をとらなかったのでしょうか?

【質問その3】
 おおたアカデミーオーケストラを始めとする付属団体では誰がどのように出演料の決定を担当し、実際に支払いが行われたのでしょうか?

【質問その4】
 同じく市職員の扱いで演奏もしている人もいるとの情報もあり、当方として、OAA職員全体の勤務形態や内容の詳細を明らかする必要があると考えます。よって、今後、そうした情報を開示請求しようと思いますが、貴殿の見解を予めお聞かせください。

【質問その5】
 おおたアカデミーオーケストラの事務局が、なぜか同オーケストラ代表のO氏宅として登録されているようですが、事実でしょうか?
 事実である場合、実際は名義貸しの、実態のないペーパーカンパニー同然ということになりかねません。そうすると、おおた芸術学校の事務局、及び太田市文化スポーツ側はきちんと会計を把握していないものと考えられますが、そのような懸念について、貴殿の見解をお聞かせください。

【質問その6】
 2016年から2021年まで長年にわたり、約640万円もの報酬、その他謝金等を不正に受け取っていたにもかかわらず「当然もらえるものだった」と釈明する元参事に対して、太田市はどのような指導をしていたのでしょうか?

【質問その7】
 おおた芸術学校のホームページで、2023年10月17日付で「おおた芸術学校職員による不祥事についてのお詫び」と題して、「9月29日(金)、本校職員が懲戒処分となりました」との記載があります。この「本校職員」は、元参事の市職員と同一人物と思われますが、OAAの理事長でもある貴殿は、なぜ「本校職員兼太田市文化スポーツ部参事」という表現をしなかったのでしょうか?

【質問その8】
 元参事は、OAAの職員や講師らに対して、退職や契約打ち切りを持ち掛けて、「コロナの影響で予算が少なくなり、クラス開講や演奏会が事業縮小になった」などと、実際は自ら招いた原因なのに、あたかも市長の意向による人員削減の方針の一環であることを理由としてほのめかしたそうですが、貴殿は元参事にそのような人員削減の方針を本当に示したのでしょうか? 本当だとすると、貴殿は市長及びOAAの理事長の立場で、元参事にOAAの人事を仕切ることも容認していたのでしょうか?

【質問その9】
 OAAには元参事が懇意にしている女性職員が複数いるため、他の職員や講師らが、元参事の素行について相談しようと思っても、元参事に知られるリスクがあるため、元参事の素行の実態について、貴殿に報告できない状況が懸念されます。このような事情について、貴殿はOAAから報告を受けていましたか?

【質問その10】
 2016年まで、元参事は、指揮者として出演したギャラとして商品券で支払いを受けていた上に確定申告を怠っていたとの報道もあります。このため財団職員から脱税のリスクを指摘されて、ようやく申告するようになったということですが、そうすると、2016年から2021年まで、なぜ約640万円もの報酬が出演料などとして元参事本人に支払われていたのでしょうか? 2016年の時点でなぜ是正できなかったのか極めて疑問です。

【質問その11】
 楽器購入に関して、1200万円の予算がついて、そのうち500万円を元参事がハープ購入に充てたようですが、OAAの予算は誰がどのように決めて、それを太田市の誰が査定して決裁しているのでしょうか? OAA設立当時から現在に至るまでの予算の規模とその内訳はどのようなものでしょうか?

【質問その12】
 元参事は、楽器購入のために頻繁に韓国に出張していたのは本当でしょうか? その際、複数名で2泊ほど滞在するのが常だったのは本当でしょうか? また、元参事の愛人らも、元参事が自費で同行したのは本当でしょうか? 楽器購入だけなら、オンラインによるネット購入でも可能で、わざわざ韓国に出張する必要性はないと考えますが、貴殿の見解はいかがでしょうか?

【質問その13】
 なぜ元参事を、長年にわたりOAAに配置したのでしょうか? 貴殿の方針だったのでしょうか?

【質問その14】
 2022年12月9日付地元紙の報道によると、元市職員(36)が上司のパワハラでうつ病を発症し、退職を余儀なくされたとして、市に約410万円の損害賠償を求める民事訴訟を前橋地裁太田支部に起こしたことがわかります。この事件と、今回の元参事の懲戒処分との間には、なんらかの関連があるのでしょうか? なんらかの関連がある場合、事実関係をご教示ください。

【質問その15】
 これだけ長期間、しかも多岐に亘り不祥事を起こした元参事に対して、課長への降格と停職3か月の懲戒処分だけというのは、あまりにも甘い処分と言わざるを得ませんが、貴殿はなぜ、懲戒免職処分を判断するに至らなかったのでしょうか? その理由をお聞かせ願います。
                            敬具
**********

 これに対して、現時点で未だに太田市長からの回答は当会に届いておりません。昨年11月22日に面談した際、応対した太田市人事課長、係長、太田芸術学校長、太田芸術学院職員の4名は、「現在弁護士と相談中なので、いつ回答できるかわからない」と話したので、当会会員らは「いつまでに回答しようとしているのか言ってほしい」と再三お願いしましたが、太田市職員らは「わからない」の一点張りでした。

■公開質問状と併せて、当会では清水市長あてに次の公文書開示請求書を提出しました。

*****10/3清水市長あて公文書開示請求*****
                         令和5年10月30日
  (宛先)太田市長
                請求者 住所 太田市細谷町■■■■■
                    氏名 塚本忠久
                法人その他の団体にあっては、事務所
                (事業所)の所在地、名称及び代表者の氏名
                電話番号 0276-■■-■■■■
 太田市情報公開条例第8条の規定により、次のとおり公文書の開示を請求します。
<開示の請求に係る公文書の名称又は内容>
 2023年09月29日から30日にかけて報道のあった太田市文化スポーツ部参事だった58歳の職員(以下「元参事」という)についての不祥事件に関して、少なくとも2016年から2021年度にかけて、元参事の業務先であり、太田市が運営する「おおた芸術学校」(以下「OAA」という)主催の演奏会において、元参事は担当課職員でありながら、OAAが委託していた団体で指揮者として出演し、団体から約640万円の不正報酬が支払われ、本来は職務であるOAAの団体に対する指導でも、継続的に謝金を受け取っており、さらにこれ以外にも、特定の職員に叱責などを繰り返して退職させるなどのパワハラ行為を行っていたうえ、OAAの備品の楽器(8万5千円相当バイオリンなど)を所定の手続を経ずに外部に売却するなどしており、これに対して太田市は、遅くとも2021年ごろから元参事の不適切行為を一部把握していたが、本格的な調査を開始したのは外部からの指摘があった今年4月ごろで、この結果、太田市は9月29日に、元参事を停職3カ月の懲戒処分とした上、参事から課長に降格させる処分を発表したと報じられました。ついては、以下の項目に関する一切の情報。
①2021年ころから元参事の不適切行為を一部把握したあと、本格的な調査を開始した今年4月までの間に、入手した情報を時系列的に調べた過程がわかる情報
②今年4月に外部から提供のあった指摘の内容がわかる情報
③今年4月から9月29日の発表までに、3か月の停職と参事から課長への降格を伴う懲戒処分が適当だとする判断を下すに至った過程がわかる情報(庁内での会議録、懲罰委員会の議事録や報告書等を含む)
④太田市職員の懲戒処分等に関する指針
⑤元参事が、太田市に入庁後、2016年までどのような所属先、職位だったのか、異動にかかわる情報
⑥元参事のパラハラ等により退職を余儀なくされた職員、講師らOAAの関係者のかたがたのそれぞれの事情が分かる情報(退職の時期、理由がわかる面談記録や報告書などを含む)
⑦2022年12月9日付地元紙の報道によると、元市職員(36)が上司のパワハラでうつ病を発症し、退職を余儀なくされたとして、市に約410万円の損害賠償を求める民事訴訟を前橋地裁太田支部に起こしたが、今回の元参事の懲戒処分との関係が分かる情報
⑧太田市文化スポーツ部と、太田市文化スポーツ振興財団、おおた芸術学校、それと元参事に出演料等を払っていた団体の人的、財政的、業務的な関係が分かる情報
⑨元参事に出演料等を支払っていた団体の会計処理がどのようなものだったかがわかる情報(2016年以降の団体事務局の所在地、団体の運営責任者の職位と氏名、団体の組織図、座席配置票、収支報告等を含む)
⑩2016年以降、元参事が国内出張をしたことがわかる情報(出張先、出張目的、日程、出張費用、同行者等が記された出張命令書、出張報告書等を含む)
⑪2016年以降、元参事が海外出張(韓国を含む)をしたことがわかる情報(出張先、出張目的、日程、出張費用、同行者等が記された出張命令書、出張報告書等を含む)
⑫太田市文化スポーツ振興財団の2016年以降の収支報告書、職員名簿、市からの補助金額がわかる情報
⑬2016年以降、元参事が指揮をした演奏会の内容がわかる情報(指揮をした団体名、日時、会場、出演料等を含む)
⑭2016年以降、元参事に関して、他の職員や関係者(講師、団員、生徒、保護者ら)から学校、財団、市に寄せられた内部通報の様子がわかる情報
⑮元参事が韓国に出張した際、事前の必要経費として申告していた金額及びその内訳と、帰国後の支出報告の内訳がわかる情報
⑯OAAが委託していた団体で、元参事が指揮者として出演して、団体から支払われた約640万円の報酬の内訳
⑰元参事が、本来は職務であるOAAの団体に対する指導でも、継続的に謝金を受け取っていたことがわかる情報(それぞれの謝金の金額、支払元、支払い日時、謝金の名目等を含む)
⑱元参事が、OAAの備品の楽器(8万5千円相当バイオリンなど)を所定の手続を経ずに外部に売却していたことがわかる情報
⑲元参事に約640万円その他の不当利得の返還を求めたことと、元参事が不当利得の返還に応じたことがわかる情報(遅延損害金も検討したことがわかる情報を含む)
<請求の目的>真相究明、責任所在明確化、再発防止のため
**********

 こちらの情報開示請求は、令和5年11月13日付で開示決定通知と非開示決定通知が送られてきました。このうち非開示通知書は「不存在」「太田市情報公開条例第6条第2号又は第7号該当」とあり①~⑲まで理由が書いてあります。








 明らかに太田市の人事課長は、不都合な文書は「不存在と非開示」で押し通そうとしていることがうかがえます。そのため、令和5年11月22日に太田市役所を訪れた当会会員らは「処分をするための事実関係の資料はないのか」などと質問しましたが、人事課長は「不存在」としか言いませんでした。しかし、「令和5年の4月まではない」と言っていたので、調査を始めたのは令和5年5月からではないかと思われます。なぜなら「令和5年4月まではない」と言っていたからです。そのため、その後「令和5年5月から現在まで」の期間を対象とした公文書開示請求を追加で行いました。また、条例第7号は「・・・おそれ」とあるので、当会会員が審査請求中です。



 ご覧のとおり、元参事の経歴だけが開示され、財務状況はHPに掲載してあるものが添付されていましたが、それ以外の肝心な情報は全て不存在とされてしまいました。明らかに、この事件について、太田市はひた隠そうとしており、その背後には清水市長への忖度が見え隠れしています。

(2)学校法人太田国際学園のぐんま国際アカデミー(GKA)に関する私物化疑惑

 ぐんま国際アカデミー(GKA)は、太田市外国語教育特区構想に基づき設立された、初等部~高等部までの一貫教育校です。太田市が申請し構造改革特区第1号に認定された「太田市外国語教育特区構想」に基づき、設立され、2005年4月に太田市西本町(西本町キャンパス)に初等部が開校しました。開校から3年間は初等部1年生と4年生が募集され、4年目からは初等部1年生のみ募集されています。2011年4月、群馬松嶺福祉短期大学跡地の太田市内ケ島町(内ケ島キャンパス)に高等部が開校し、それにともない中等部が同所に移転しました。2014年3月に同校初の卒業式が行われ、2005年に初等部4年生として入学した1期生を輩出し、2017年3月に、初等部1年生として入学し同校で12年間学んだ生え抜きの1期生が卒業しています。

 初等部のある西本町キャンパスから北へ200mほど離れた場所に、ぐんま国際アカデミーが駐車場として借りている約400坪の土地があります。


赤丸で囲んだ赤枠の場所が当該土地

 今から7年前、ここの所有者が相続の関係で土地を売らなければならなくなりました。そこで、駐車場として借りているぐんま国際アカデミーの理事長である清水市長に相談に行ったところ、太田市長が「アカデミーで買うよ」と言いました。

 ところが一旦「買うよ」といった清水市長ですが、その後「待てよ、俺が半分買うことにするかな・・・いや、やっぱり俺じゃあだめだ。娘に買わせる」と言って、400坪の土地の半分を娘の会社(㈱グルーバルロジスティクス太田、代表取締役・清水朋子、太田市飯田町753番地)に買わせました。当時、他にも「この土地を買いたい」と所有者に持ち掛けた人がいましたが、その人は、あとで清水市長の娘の会社が、坪1万円安い金額で買ったことを知り、憤慨したという話もあります。



 当会は、この土地がぐんま国際アカデミーの保護者送迎用駐車場として使用されていることを確認しています。


 仮に、ここが、ぐんま国際アカデミーの駐車場として、借り上げられた土地である場合、借り上げ料が土地所有者に支払われていると思われます。となると、誰が、月いくら支払っているのかどうか、ということが気になるところです。

■そこで、令和5年10月30日に次の内容で情報開示請求書を清水市長に提出しました。

*****10/3清水市長あて公文書開示請求*****
                         令和5年10月30日
  (宛先)太田市長
                請求者 住所 太田市細谷町■■■■■
                    氏名 塚本忠久
                法人その他の団体にあっては、事務所
                (事業所)の所在地、名称及び代表者の氏名
                電話番号 0276-■■-■■■■
 太田市情報公開条例第8条の規定により、次のとおり公文書の開示を請求します。
<開示の請求に係る公文書の名称又は内容>
 学校法人太田国際学園が設置者となっているぐんま国際アカデミー(GKA)に関する以下の情報。
(1)現在GKAは、中等部・高等部(所在地:〒373-0813 群馬県太田市内ケ島町1361-4)及び初等部(所在地:〒373-0033 群馬県太田市西本町69-1)の2カ所にキャンパスを有するが、それぞれのキャンパス周辺において、GKAないし学校法人もしくは太田市関連部署名義等で、現在借り上げている駐車場があれば、それらの場所が判る地図など。
(2)同じく、借り上げている駐車場があれば、その借り上げ条件(有償か、無償か、有償の場合借り上げ単価(円/月/平米)
<請求の目的>学習・研究等のため
**********

 しかし、未だに開示が為されておりません。したがって、疑惑を確かめることが出来ない状況にあります。

(3)新聞報道もされている清水市長の献金裏金化疑惑

■太田市長の選挙運動費用収支報告書不記載による献金の裏金化疑惑については、当会の次のブログでも報じていますので参考にしてください。メディア関係者は、この問題に最も関心があった様子です。

○2022年12月30日:太田市長に政治資金規正法違反の疑惑?・・・寄付金の記載の有無に関する質問状に答えを濁す市長
○2023年4月27日:【速報】太田市長の政治資金規正法違反?・・・300万円の献金を巡る疑惑で市民らが清水聖義市長を告発!
○2023年10月27日:太田市の清水市長が公選法違反容疑で書類送検・・・選挙無法特区の群馬で注目される地検の対応
○2023年12月19日:【選挙無法特区】政治とカネで今度は太田市長を不起訴にした前橋地検・・・もはや「何でもあり」!?

(4)北茨城の交流館の跡地を巡る疑惑

 この疑惑事件は、新聞報道から情報を得て、現在調査中です。

**********日本経済新聞2023年11月17日19:30
群馬・太田市、休業中の商業施設に国際課など移設

「おおた・北茨城交流物産館」は2020年9月に開業した(群馬県太田市)
 群馬県太田市は休業中の商業施設「おおた・北茨城交流物産館」(同市)の建物取得後の利用計画を公表した。2024年9月をめどに市の国際課や学校教育センターを移設し、文教施設として活用。外国人市民向けの日本語学習や日本人の不登校生徒への支援などを行う。
 このほか、交通対策課のバス管理センターも配置する。余剰スペースは、市の第三セクターでビール製造などを行う夢麦酒太田(同)が地ビールの缶詰め作業で利用するという。
 商業施設は同市と連携協定を結ぶ茨城県北茨城市とのつながりから、太田市の市有地に大雄建設(同)が建設し、20年9月に開業した。同社が運営していたが、新型コロナウイルス下で売り上げが減少するなどして23年3月から休業していた。
 太田市は2億1450万円で同建物を取得する予定。取得後の利用を巡っては、当初、市の福祉関連業務を行う庁舎とする計画だったが、市議会から批判があり撤回していた。

**********上毛新聞2023年6月16日06:00
海産物販売の「おおた・北茨城交流物産館」が休館 オープンから2年半、業績不振で 群馬・太田市

マグロの解体ショーなどが行われたおおた・北茨城交流物産館バスターミナル駅=2020年12月
 群馬県太田市は15日までに、同市飯塚町の物産交流施設「おおた・北茨城交流物産館バスターミナル駅」が、業績不振により3月6日に休館したと明らかにした。同館には設備購入などの補助金として、開館時に。同館には設備購入などの補助金として、開館時に太田市が2500万円、交流のある茨城県北茨城市が500万円をそれぞれ投じていた。公募型プロポーザル方式で選定された大雄建設(太田市)が施設を建設、保有し、管理と運営も担っていた。
 同館は2020年9月にオープンし、北茨城市の海産物などを販売。施設用地は、太田市が市有地1773平方メートルを年額約174万円で同社に貸してきた。同社によると、慢性的な集客難に加え、物価高騰の影響もあり休館を決定した。今後の施設活用については未定としている。
 市は15日の市議会6月定例会の一般質問で、現時点で同社に補助金の返還を求めない方針であることを明かした。また、四半期ごとの同社からの業績報告では、集客の当初目標が達成されていたことから「経営難との認識はなかった」と説明した。
 上毛新聞の取材に、北茨城市まちづくり協働課は「4月に休館の知らせを受けるまで、業績不振だとは知らなかった」と説明。同市の公金を投じた施設の休館について「非常に残念。北茨城をPRする場として事業を再開してほしい」と話した。

**********号外Net太田市2023年6月25日06:24
【太田市】もう一度見たかったマグロの解体…。「おおた・北茨城交流物産館バスターミナル駅」が臨時休業中。
「おおた・北茨城交流物産館バスターミナル駅」が2023年3月6日より臨時休業中となっています。

お店の前には悲しい張り紙が。みなとの魚は同館内で営業していた鮮魚店。
2時間無料で使える広々とした駐車場も閑散としていました。

こちらは2020年9月24日にオープンし、交流のある北茨城市の海産物などを中心として販売してきました。魚だけでなく、野菜も産地直送で新鮮なものが売られていました。揚げたてのコロッケやカツの販売もあり、毎日の食事の調達に利用していた方もいたのでは?オープン当初は、海のない群馬県でも新鮮な魚が食べられると話題でした。また、毎日マグロを解体するというイベントには衝撃を受けたことを覚えています。

オープンからわずか2年半での休業。バスターミナルおおたの隣という、せっかくのアクセス良好な立地です。新たな形で営業再開となり、多くの人で賑わう場所となることを祈るばかりです。

**********

■1月24日の太田市役所での記者会見でも申し上げたように、多選+老害という観点から、これ以上清水市長の続投は、太田市の将来に大きな影響をおよぼすことから、何とか回避したいものです。

 ところが、呆れたことに、清水市長にエールを贈る輩も県内には存在します。

**********一太ブログ「気分はいつも直滑降」2021年03月28日14:56
来週は太田市長選挙が告示〜高齢・多選批判をものともしない清水聖義市長の知力と体力に脱帽。
 ・・・・(前略)・・・
 今日は、午前9時45分に高崎の自宅を出発。午前11時から太田市内で行われた清水聖義太田市長の選対事務所開きに駆けつけた。次のような挨拶をした。
 「皆さんご存知のとおり、清水市長には、私が国会議員だった頃から山本一太太田後援会の会長をお願いしています。その市長が再選を目指して立候補すると言うなら、私に応援する以外の選択肢はありません。」
 「しかしながら、私が今回も清水市長を支援するのは、(もっと大事な)別の理由もあります。それは、太田市の現状や将来を考えた時、太田のリーダーとして余人をもって代え難いひとだからです。」
 清水市長は79歳。前回の選挙の際も、高齢・多選批判はあった。が、知力や体力はもちろんのこと、感性も構想力も、そして好奇心も全く衰えていない。この人は「常人」とは違う。実際、TANITAの体組成計に乗ってみたら、体内年齢は59歳だったそうだ。実年齢より20歳若いって、スゴい。ちなみに、自分も体内年齢44歳(19年差)を維持している。
 来週の告示日にも、必ず駆けつける。
追伸:(後略)
       <清水太田市長とは昨年のウェブ番組で対談>

**********

■一太知事は、清水市長のことをこのように評価してますが、既に記憶力の減退は否定しがたい状況にあります。なぜなら、上記に掲げた1月25日付け朝日新聞朝刊で、清水市長は朝日新聞の取材に「中身を確認しないで紙袋を受け取った。事務員に渡したところ300万円が入っていたので、すぐに返すように指示した。大金をもらう理由がない」と説明し、「事務員が何度も返そうとしたが受け取らないため、供託した」と話したからです。

 献金した方の証言によると、「事前に清水市長に300万円の献金を伝えたところ、清水市長は押っ取り刀で事務所にやってきて、現金300万円を受け取ると感謝の言葉を述べて、そそくさと立ち去った」ということです。

 「清水市長の記憶力が減退しているとなると、市政への影響が懸念される」と太田市民が心配するのも無理ありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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群馬県議選から300日が経過・・・安中市区選出の2議員の互いに真逆な資産構成

2024-02-01 19:20:28 | 政治とカネ
 
2022年6月2日、40年間世話になった安中市役所本庁での退任式で岩井市長をはじめ市職員に別れを告げる粟野好映副市長(64)。このあと県議選出馬の決意を固め、同年10月下旬に出馬を表明。出典:2022年6月3日上毛新聞社。

■昨年令和5年4月9日の統一地方選から早くも10カ月が経過しようとしています。安中選挙区では、3名の候補者が出馬しましたが、激戦を制した2名が現在、県議会で活動しています。

*****選挙結果(選管確定)*****
【安中市】定数2/候補3
得票数(得票率) 氏名  年齢  党派   新旧 当選回数 代表的肩書
7,894(37.4%) 粟野好映 64歳 無所属   新  1回   (元)安中市副市長
6,831(32.4%) 伊藤 清 69歳 自民党(公) 現  3回   党県総務会長
6,386(30.2%) 遠間大和 43歳 無所属(自) 新      (元)安中市議
**********

 新人の粟野県議も、ベテランの伊藤県議も、すでに議員活動に連日勤しんでおられることでしょうが、群馬県議会では、以前より政務活動費に関するモラルハザードが酷いことは、両県議もご存知かと思います。くれぐれも、群馬県議会の公金取り扱いの杜撰な体質に染まらないように願いたいものです。

■当会では、昨年4月の統一地方選前半の県議選の選挙期間中に、マスコミの取材を受けたことがあります。その時の報道記事を見てみましょう。

**********東京新聞群馬・栃木版2023年4月6日08:11
群馬・栃木県議 Q&A 年収は1400万円程度 働きぶり 有権者が監視

  群馬、栃木の両県議選は9日の投開票日に向けて折り返し点を回り、各立候補者が舌戦を繰り広げている。県民の代表として県政運営を担う県議の仕事や待遇についておさらいした。(統一地方選取材班)
 Q 県議会はどのような組織?
 A 地方自治法九六条は県議会の権限に十五項目の議決事項を定める。特に重要なのは条例の制定・改正・廃止と、予算の制定だ。行政運営は法令と予算が根拠となるので、県が政策を進めるには県議会の議決を受けないといけない。執行機関の県と、議決機関の県議会とで「車の両輪」になっている。
 Q 年間にどれぐらい仕事をするの?
 A 定例会が群馬県は年三回、栃木県は四回開かれ、県議は本会議や常任委員会に出席する。二〇二二年度の定例会日数は群馬県が計百三十三日間、栃木県は百日間だった。ただ、特別職地方公務員の県議は勤務時間の定めがない。閉会中でも所属する常任委員会の所管事項に関する会合や現地視察、有権者からの請願や陳情への対応などをしている。
 Q 収入はどれぐらい?
 A 報酬や民間のボーナスに当たる期末手当は両県とも条例で決まり、年収だと両県議とも一般の議員は約千四百万円になる。報酬とは別に、議員活動の経費に充てる「政務活動費」も会派単位で支給される。現地視察の交通費や政策立案に必要な資料の購入、研修会・講演会開催といった使途を想定する。政党や選挙活動、生活費には使えない。
 Q けっこう手厚いように思えるけど。
 A あまりに低額だと生活を維持できず、富裕層や世襲、特定団体の後ろ盾があるといった人物しか議員になれないとしたら、政治参画の道を狭めかねない。
 一方、待遇にふさわしい仕事をしているかは、有権者が絶えず監視する必要がある。市民オンブズマン群馬事務局長の鈴木庸さん(71)は「議会情報にアクセスしやすくするなど公開度を高めると同時に、有権者も関心を持ち続けることで緊張感が生まれる」と指摘した。
 Q 政務活動費をめぐる不祥事はときどき報じられるね。
 A 「第二の報酬」という指摘もあり、一六年には富山市議会で大規模な不正受給が発覚。群馬県議会でも昨年十二月、白紙領収書を使って申請した議員が引責辞職した。年一回提出される収支報告書と領収書のコピーを群馬県議会はウェブサイトで公開しており、栃木県議会も二四年度から前年度分の公開を始める。
 鈴木さんは「使途の厳格化と、不正使用時は会派の連帯責任で全額不支給や減額といったペナルティーが必要だ」と話す。
**********

■上記の記事の中で、赤字で示してあるとおり、群馬県議会では令和4年12月に立憲民主党所属の太田市区選出の議員が、とんでもない不祥事件を起こしました。

**********上毛新聞2022年12月17日11:00
白紙の領収書を使い政務活動費を申請 12万円を受給 太田市区選出の八木田県議
 太田市区選出の八木田恭之県議(60)が、同市内の電気製品などを扱う店に金額の入っていない白紙の領収書発行を依頼し、2021年度の政務活動費の申請に使っていたことが16日分かった。この店から電子機器や事務用品を購入したと記入し、政活費約12万円を受給したが、店側はこれらの商品を「扱っていない」とした。八木田氏は白紙の領収書を依頼したことを認めた上で「他の店で買ったのかも知れない。間違いであれば修正する」としている。
 八木田氏が所属する県議会会派リベラル群馬の21年度政務活動費収支報告書によると、21年4月~22年2月、この店から八木田氏の事務所や同会派宛ての領収書計8枚が添付されている。このうちパソコン周辺機器やプリンター、トナーインクの購入費とされる5枚(計16万393円分)について、同会派を通じて八木田氏側に政活費計12万4398円が支出されている。

**********朝日新聞デジタル2022年12月20日11:07
白紙の領収書を使って政活費を申請 群馬県議「別の店で購入した」
 群馬県議会の会派「リベラル群馬」に所属する八木田恭之県議(60)=太田市区選出、1期目=が、2021年度に交付された「政務活動費」の一部を、白紙の領収書を使って申請していたことがわかった。19日、八木田氏が取材に対して認めた。電機店からもらったといい、「別の店で購入した物品の領収書をなくしたため、利用した例があったと思う」などと説明している。
 リベラル群馬が県に提出した、所属議員の21年度分の政活費領収書によると、八木田氏は太田市内の電機店の領収書8枚を会派に提出し、政活費計18万4158円を受け取った。
 領収書の宛名には「八木田恭之事務所」や「リベラル群馬」、ただし書きには「ワイヤレスメガホンレンタル代」「トナー代」「空気清浄機代」などとそれぞれ記されている。
 この電機店の店主は、八木田氏の自宅のアンテナを修理したことはあるが「物を売ったことはない」とし、領収書に記されている商品には店で扱っていないものも含まれると指摘。「八木田氏から1年以上前くらいに『月3千円ぐらい経費で落としたい』と頼まれ、困っているんだろうなと思い、宛名や金額が入っていない領収書12枚を渡してしまった」と話す。
 八木田氏は、電機店から受け取った白紙の領収書を使ったと認めたうえで、枚数などの詳細は「確認中」とし、今後返金など必要な対応を検討すると話した。(柳沼広幸、川村さくら)

**********朝日新聞2022年12月29日10:45
白紙領収書を利用、八木田県議が辞職
 白紙の領収書を使って政務活動費を申請し、受け取ったことを認めていた八木田恭之県議(60)=太田市区選出、リベラル群馬、1期目=が28日、政務活動費の収支報告書の訂正届と議員辞職願を県議会へ提出した。同氏が文書で発表した。辞職は同日付で議長に許可された。
 議会事務局によると、訂正届は過去2年度分の政務活動費のうち計22万8558円を減額するという内容。すべて太田市内の電機店の領収書をもとに支給された分だった。同事務局は八木田氏に返金のための納入通知書を渡したという。
 八木田氏は文書で、「支給済みの該当額の返還が決まったため、自らの責任として議員辞職を願い出た」とし、「後日改めて皆さまへのご説明の場を設定」するとした。(川村さくら)

**********毎日新聞2023年1月20日
八木田元県議が謝罪 白紙領収書 立憲に離党届提出 /群馬

 ↑白紙領収書を使った経緯を説明する元県議の八木田恭之氏(右)と後藤克己・立憲民主党県連会長=太田市で2023年1月19日、川地隆史撮影
 白紙の領収書を使って政務活動費を受け取ったとして、先月県議を辞職した八木田恭之氏(61)は19日、地元の太田市で記者会見し「支援者の期待に背いてしまい、大変申し訳ない」と謝罪した。4月の県議選には出馬せず、所属していた立憲民主党に離党届を提出したという。
**********

 太田市区選出の八木田恭介県議の素行については、以前から問題視されており、当会のブログでも警鐘を鳴らしていました。次のブログ記事をご覧ください。

○2020年9月22日:八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費及び旅費の二重請求について住民監査請求

■一方で、2022年の県知事と県議の所得等報告書が令和5年7月3日に公開されましたが、山本群馬県知事が2009万円、県議平均は1412万円で、前年の2000万円、1411万円より微増しました。

 しかし、県議の実際の所得は、ほかにもあります。例の政治活動費と呼ばれる「第二の給与」ともいうべき特典です。次の記事をご覧ください。

**********上毛新聞2023年2月5日12:00
議員の政活費 政策調査の支出割合が縮小、5年で10分の1に 広報費は拡大傾向《深層報道+》




県議の政務活動費の報告書。事務所費や光熱費など「活動補助」の支出が6割を超える
 議員の能力向上や議会機能を強化するための経費として支給される政務活動費(政活費)。群馬県では県と13市町の議会が導入している。議員が地域の課題をくみ取って政策に反映させられるよう、ある程度の裁量が認められているが、調査研究や政策立案のための支出は縮小しているのが現状だ。政活費受給を巡る不正が発覚するたびに運用指針が厳しく見直されている一方で、議員活動の萎縮を指摘する声もある。
■活動補助が最多
 県議には約1200万円の議員報酬とは別に、1人当たり年360万円の政活費が支給される。
 それぞれ条例で金額を定めており、市では前橋120万円、高崎100万円、太田43万円、伊勢崎42万円、桐生38万円で、他の7市は10万~24万円。町村では大泉が唯一、15万円を支給する。高崎は新型コロナウイルス感染症対策費に充てるとして、期間を限定して3割削減している。
 県議会では2021年度、総額1億6860万円が支給された。使い道の内訳は人件費、事務所費などの「活動補助費」が63.8%と最多。議会の活動を住民に伝える「広聴・広報活動費」が34.4%。「政策調査研究・政策立案活動費」は1.8%にとどまった。使い切れなかった1450万円は県に返還された。
**********

 上述の八木田恭介議員も、この第二の給与を財布代わりに使いたいがため、白紙の領収書という古典的な手法を使って、公金をくすねていたわけです。本来であれば横領や着服ですから、議会事務局は県警に被害届や告発状を出すべきところです。しかし、一般と特別の違いはあれども、ともに公務員という立場で、そうした「過激な」対応はしません。だから、逮捕も、送検も、起訴もされないわけです。

■話を戻しますと、安中市区選挙区の市民から、信任を得て県政に派遣された2名の県議については、まだ県議に就任後1年が経過していないため、所得等報告書や政務活動費報告書はまだ議会事務局に提出されていません。唯一、提出されて公開されているのが資産等報告書です。

 そのため、当会は昨年11月2日に群馬県議会事務局を訪れて、安中市区選出の2名の見地の資産等報告書等を閲覧しました。


 その結果、興味深い情報を得ましたので、ご報告します。

■はじめに、伊藤清県議の資産等報告書を閲覧しました。















■続いて、粟野好映県議の資産等報告書を閲覧しました。



















■以上のとおり、伊藤県議は預金10万円としか記載していません。ほかに固定資産も動産も何も所有していません。収入は県議としての報酬や政治活動費等を得ているので、日常の暮らしや、政務はやっていけるでしょうが、10万円の定期預金、もしくは家で10万円を貯金箱に入れているというイメージです。

 他方、粟野県議は、預金も232万円余ありますが、それ以上に投資や保険に注力しています。それも株式などの金融商品などの流動性の高い方法で運用していることがわかります。

 安中市の職員として、総務部長という激務や、その後の副市長という重責を担いながら、どのように株式を運用してきたのか、大変興味を抱いた当会は、直接、粟野県議に質問することにしました。そして、令和5年11月8日付けで次の公開質問状を粟野県議に郵送しました。

*****11/8公開質問状*****
                         令和5年11月8日
〒379-0134群馬県安中市簗瀬468-10
群馬県議会議員 粟野好映 様

                   〒379-0114群馬県安中市野殿980
                   市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
                   TEL: 090-5302-8312
                   FAX: 027-381-0364

資産等報告書記載の有価証券の内訳等について(公開質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 本年3月31日告示・4月9日投開票の群馬県議会議員選挙(安中市区)で見事当選されたことを心よりお喜び申し上げます。あれから7か月が経過しようとしていますが、県政の舞台でますますのご活躍を常にご祈念申し上げております。
 さて、群馬県のホームページ「議員の紹介」で貴殿のHPにリンクがあり拝見したところ、「群馬県議会議員の資産公開」として、<上毛新聞の記事がわかりやすいので、転載させていただきます>とのコメントとともに、次に示すとおり上毛新聞記事の写真と文章が載っておりました。
【記事の写真】

【記事の文章】
「4月の改選で当選した群馬県議50人の本人名義の資産が、県条例に基づき公開された。土地、建物、預金などを合わせた1人当たりの平均資産額は1701万円で、前回(2019年、3070万円)に比べて4割超減少した。前回資産が多かった上位10人のうち、半分の5人が引退したことなどが要因。今回最も多かったのは久保田順一郎氏(自民)で2億2383万円だった。
 資産額が1億円を超えたのは久保田氏と、森昌彦氏(同)の1億324万円、5000万円以上1億円未満は井田泉氏(同)の5124万円。1000万円以上5000万円未満は17人、100万円以上1000万円未満は20人、0円は7人だった。
 公開は県議の任期開始日から100日以内の資産報告を義務付ける「政治倫理の確立のための群馬県議会議員の資産等の公開に関する条例」に基づいて行われた。改選に伴い、各議員が任期開始日となる4月30日時点の資産を報告した。」
 このうち、弊職は、貴殿の「有価証券」及び「株券」について、さらに詳しく知りたいと思い、11月2日に議会事務局総務課を訪れて、資産等報告書を閲覧しました。
 つきましては、公務ご多用のところ誠に恐縮ですが、貴殿が保有する株券のそれぞれの額面金額と購入時期について、別紙「ご回答用紙」にご記入していただき、FAXにて、遅くとも11月24日(金)までに、上記連絡先まで送信いただけますと幸いです。なお、当日までにご回答いただいた場合、あるいはいただけない場合、その回答内容あるいは事情について、広く公表させていただくことをあらかじめご了承ください。  
                         敬具

別紙:ご回答用紙
 
**********

 すると、期限日の令和5年11月24日金曜日の17:55に筆者の携帯に着信がありました。たまたま中央線快速電車に乗っていて、新宿駅を出発したあたりで、「誰かな」と思いつつ、電車内でしたのでどうすべきか迷ったものの、最後尾の車両だったこともあり、割合空いていましたのでそのまま応答したところ、なんと粟野県議からでした。

 「議会開催中なのにわざわざ電話をいただくなんて」と恐縮した次第ですが、県議は「小川さんから手紙を頂戴していた件なんだけど」と話を切り出しました。

 走行中の車内のためやかましく、よく聞き取れませんでしたが、県議がおっしゃるには「資産公開の条例では、株券の銘柄と株数の開示が義務付けられているので、それ以上詳しい情報の開示は差し控えたい」とのことでした。

 筆者は「公務でお忙しいでしょうから、額面には〇をつけるだけで済むように、また、取得時期については記憶の範囲内でお願いしたのですが、ダメでしょうか」と再度お願いを試みましたが、県議は「条例の範囲内ということで」を繰り返すばかりでした。

■以上のように、安中市区選出の県議のお二人は、それぞれ、資産の金額や運用手段が非常に個性的です。少なくとも、粟野県議に関して言えば、時価1685万円相当の優良株をお持ちなので、政務活動費を不正に騙取した八木田恭介・元県議のような妙な出来心にかられる心配はないと言えます。

 当会は、今後も、県議の所得等報告書や政務活動費報告書などを適宜点検する必要性を痛感しております。また、県民の皆さんからの情報提供もいつでもお待ちしております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連記事
**********上毛新聞2023年4月9日23:13
 《群馬県議選安中市区》粟野氏が初当選

初当選を果たし、喜ぶ粟野氏(右)
 9日午後9時5分ごろ、当選の知らせが安中市安中の粟野好映氏の選挙事務所に伝わると、集まった支持者は歓声を上げ、喜び合った。
 元安中市副市長。陣営は「選挙経験ゼロの素人集団」と手探りで準備を進め、3候補が2議席を争う選挙戦に挑んだ。
 期間中は自民公認の現職と、自民推薦の元市議を相手に、草の根活動を展開。一職員から副市長まで務めた40年の行政経験を前面に「市民の声を県政に届けたい」と力強く訴え、支持を集めた。
 初当選を果たした粟野氏は「皆さんの支えで勝ち抜くことができた」と感謝し、「ゴールではなくスタート。市民、県民のため精いっぱい務めることが皆さんへの恩返し」と決意を新たにした。

**********上毛新聞2023年4月9日23:08
《群馬県議選安中市区》伊藤氏が3選
 
だるまに目を入れる伊藤氏
 9日午後9時5分ごろ、安中市安中の伊藤清氏の選挙事務所では、僅差の2位当選に支持者からどよめきが上がった。
 伊藤氏は自民系他候補と票を分ける苦しい戦いであったとし、「応援してくれた皆さんの力のおかげ。西毛広幹道を核とした安中のまちづくりなどに寄与したい」と話した。
 選挙では自民党県連の要職経験を強調し、市議時代からの豊富な人脈で国政や県政との橋渡し役をアピール。市内全域で手堅く支持をまとめた。
**********
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金井康夫県議(沼田市区選出)にまつわる不正疑惑の調査をしようとしない群馬県選挙管理委員会

2024-01-28 13:49:10 | 政治とカネ

氏名:金井 康夫(かない やすお)、生年月日:昭和44年2月16日、選挙区:沼田市/当選4回、所属会派:自由民主党、住所:〒378-0043沼田市東倉内町771、電話番号:0278-22-2771、Fax:0278-22-2770。群馬県議会HPより

■自民党は衆議院の小選挙区、参議院の選挙区ごとに選挙区支部、基礎自治体ごとに支部(地域支部)を擁するほか、一定の職域ごとに職域支部を設置することができるとされており、47都道府県ごとにこれら支部を束ねる連合会を設置しています。会員は党員と、全ての党所属議員から構成され、都道府県支部連合会は通常、県連(1都1道2府以外の43県)、都連(東京都)、府連(大阪府と京都府)、道連(北海道)などと省略して呼ばれています。

 そして、県連会長は、現職国会議員から選出することを原則としていますが、県連が分裂状態になって前会長が辞任した場合など、やむを得ない時は都道府県議会議員から選出した例もあります。県連幹事長は地元の都道府県議会議員から選出するのが通例です。県連総務会長、政調会長は都道府県議会議員だけでなく、同一県内にある政令指定都市の市議会議員からも選出されますが、東京都連のように幹事長以外が全て国会議員という例もあります。

 さて、我らが群馬県における税金を原資とした公共事業や補助金事業等の利権の分配に、大きな影響力を持つ群馬県の自民党県連を見てみましょう。令和5年5月11日現在の自由民主党群馬県支部連合会の令和5年度役員一覧は以下のとおりです。

*****自民党群馬県連・令和5年度役員一覧(敬称略)***** 
役    職    氏    名
会長        小渕優子
副会長       久保田順一郎、星野寛、狩野浩志、橋爪洋介、井田泉
幹事長       井下泰伸
筆頭副幹事長    松本基志
副幹事長      大林裕子
総務会長      金井康夫
総務副会長     相沢崇文
政務調査会長    大和勲
政務調査副会長   神田和生
県議会議員団々長  穂積昌信
県議会議員団副団長 牛木義
選挙対策委員長   小渕優子
選挙対策委員長代行 久保田順一郎
選挙対策副委員長  副会長
選挙対策幹事長   井下泰伸
選挙対策部長    井下泰伸
選挙対策副部長   金井康夫
選挙対策幹事    総務全員

組織委員長     星野寛
組織副委員長    矢野英司
広報委員長     久保田順一郎
広報副委員長    斉藤優
党紀委員長     橋爪洋介
党紀副委員長    神田和生
代表会計監査    井田泉
会計監査      森昌彦
財務委員長     狩野浩志
財務副委員長    牛木義
総務企画部会長   神田和生
総務企画副部会長  牛木義
健康福祉部会長   斉藤優
健康福祉副部会長  大林裕子
環境農林部会長   森昌彦
環境農林副部会長  入内島道隆
産経土木部会長   相沢崇文
産経土木副部会長  秋山健太郎
文教警察部会長   高井俊一郎
文教警察副部会長  亀山貴史
**********

■こうした中、正月早々、自由民主党群馬県支部連合会の総務会長・群馬県議会議員の金井康夫(沼田市区選出)の不正疑惑について、当会事務局に情報提供を頂きました。長文の内容でしたので、テーマごとにまとめたうえで、1月12日に群馬県選管に調査を申し入れるべく、以下の内容の文書を上申書として提出しました。

*****1/12県選管あて上申書*****
                              令和6年1月12日
〒371-8570 群馬県前橋市大手町1-1-1
群馬県選挙管理委員会 御中
                      〒371-0801前橋市文京町一丁目15-10
                      市民オンブズマン群馬
                      代表 小川 賢
                      連絡先:090-5302-8312

              上申書
件名:金井康夫県議(沼田市区)の不正疑惑について(報告と質問等)

 平素より、群馬県民の公平、公正な公民権の行使の維持のため、また、群馬県の行政機関として、県政策の制定や決議を行うことにより行政サービスの実施に、日夜ご尽力していただき衷心より感謝と御礼を申し上げます。
 さて、自由民主党群馬県支部連合会総務会長・群馬県議会議員の金井康夫(沼田市)氏の不正疑惑について、下記の通りご報告申し上げます。既に報道でも取り上げられた情報もあり、ご存知かもしれませんが、必要な措置をお取りいただき、その結果を適宜県民に公表して頂くよう、ここに要望いたします。また、質問がございますので、こちらについても、できるかぎりお答えを速やかにいただけると幸いです。

               記

1 政治活動用ポスターについて
  令和5年12月27日付の上毛新聞にて、「自民党沼田支部が政治活動用ポスターを撤去し忘れた」とする報道がなされました(別紙1)。この報道について、貴会の関与が背景にあるとすれば、ここに感謝を申し上げたいです。以下に記事のテキストを引用します。
**********上毛新聞2023年12月27日17:00
群馬県議選のポスター撤去し忘れ、条例違反の可能性 自民党沼田支部
 自民党沼田支部が今年4月の群馬県議選に向けて沼田市内に掲示した政治活動用ポスターの一部が、県屋外広告物条例に基づく許可期間を過ぎても掲示されたままになっていることが26日、分かった。県は条例違反の可能性があるとして撤去を求める方針。
 ポスターは演説会を周知する内容で、掲示期間を2022年10月29日~23年2月28日とする県の届け出済み書が記載されている。同支部長を務める県議の金井康夫氏は上毛新聞の取材に「ポスターをはがし切れていない場所もあるので速やかに撤去したい」とした。
**********
 しかし、同支部長の金井氏が政治活動用ポスターの撤去を「忘れた」というのは不可解なものです。なぜなら、沼田市の有権者ならば記憶していますが、平成27年並びに平成31年の県議選でも、金井氏は同様のポスターを掲ホしていますが、いずれも選挙前に撤去をしていたからです。
 ですので、今回は、「忘れた」のではなく、意図的に貼り続けたのではないでしょうか? というのは、過去のポスターは、当時の群馬県知事と一緒に写っていますが、今回は特に懇意とされている二人の国会議員だからです(別紙2)。
  そこで、ご質問です。
【質問1】何か別の意図があるのではないでしょうか? 貴会の見解をお聞かせください。

2 政治資金収支報告書について
  上記1のポスターに関連して、令和4年分の政治資金収支報告書を見てみますと、これまたおかしいことに気付かされます。
  別紙1の記事の通りだとすると、当該ポスクーは自民党沼田支部の活動ですが、支出されているのは群馬県沼田市第三支部です(別紙3)。自民党の場合、郡市支部と県議の個人支部に分かれています。県議個人の政治活動ですから、この報告書の記載で良いように思いますが、一方、沼田支部の報告書を見ますと県政報告会支出の記載があります(別紙4)。
  言うまでもなく、政治資金収支報告書は故意の有無に関わらず、虚偽の記載をした場合は有罪です。なお、合同の県政報告会を行った利根郡は、星野県議の個人支部である群馬県利根郡第一支部に記載をされています(別紙5)。
  ここで、ご質問です。
【質問2】ポスターも県政報告会も、県議個人の活動ですから両方とも第三支部で支出するべきではないでしょうか?
【質問3】金井県議の場合、政治資金報告書への記載に虚偽があったかどうか、確認していただき、その結果を共有していただけますでしょうか? 

3 政務活動費について
  金井氏の政治資金の取り扱いがおかしいので、続けて政務活動費を見てみることにします。令和3年12月27日に、県政報告レポート第41号印刷代として、部数15,520枚で257,730円が支出されています(別紙6)。一方、令和5年3月5日に、県政報告レポート第45号印刷代として、部数14,050枚で499,800円が支出されています(別紙7)。
  もちろん、物価の高騰、カラーの有無やサイズによって、印刷代は変わってくるでしょう。しかし、金井氏がHP上で公開されている県政報告レポートを見比べると、印刷されたサイズは分からないものの、第41号の方がページ数は多く、同じカラーです。2年弱の期間が空いているとは言え、同じ印刷所で、部数が1,000部以上減った印刷代が2倍近くかかっているのです。
  そこで、ご質問です。
【質問4】貴会としても、これはおかしいとお思いになりますでしょうか? なぜなら、令和5年3月5日と言えば、県議選の直前です。本当に、県政報告レポート部数14,050枚の印刷代なのでしょうか? 普通は疑問を抱くところですが、貴会は金井県議から何か説明をお聞きになっていますでしょうか? あるいは、まだお聞きになっていない場合、金井県議もしくは同県議の秘書など関係者に、このことを確認なさいますか? ちなみに金井県議の秘書は川手満氏(連絡先090-7718-0419)です。

4 弔電について
  群馬県議会は、平成23年6月7日開催された代表者会議で、冠婚葬祭の虚礼廃止について次のとおり申し合わせをしました。
     *****虚礼廃止に関する決議(平成2年6月14日)
      群馬県議会は、政治改革を求める国民の期待と県議会に対する県民の負託と信頼に応えるため、公職選挙法の規定を遵守することはもとより、虚礼を廃して公正で廉潔な議員活動を推進し、もって政治倫理の体現に努めるとともに、健全なる議会政治の発展を期することを決意する。
  群馬県議会は、この「虚礼廃止に関する決議」の趣旨を尊重し、虚礼を廃して公正で廉潔な議員活動を推進するため、弔電は自粛する、とし、また、答礼として自筆で出す暑中見舞い、年賀状以外は公職選挙法上禁止されていることを確認しています。
  ところが、沼田市内の各葬儀場に確認すれば明らかですが、金井氏は県議会で自粛が要請されている弔電を出し続けています。
  ここでご質問です。
【質問5】このことをお調べいただけますでしょうか? あるいは貴会の所掌ではなく、別の部署、たとえば議会事務局がこうした事案に対応しているというのであれば、そちらのほうに調べるように依頼いただき、結果を共有するように依頼いただけますでしょうか?

                              以上

別紙(添付):
1 令和5年12月27日付上毛新聞報道記事

2 金井県議と2人の国会議員が映った政治活動用ポスター


3 自由民主党群馬県沼田市第三支部の令和4年分政治資金収支報告書(抜粋)



4 自由民主党沼田支部の令和4年分政治資金収支報告書(抜粋)



5 自由民主党群馬県利根郡第一支部の令和4年分政治資金収支報告書(抜粋)



6 政務活動費実績報告(県政報告レポート第41号印刷代、部数15,520枚で257,730円)

7 政務活動費実績報告(県政報告レポート第45号印刷代、部数14,050枚で499,800円)

8 県政報告レポート第45号



9 県政報告レポート第41号


**********

 ところが、この文書を受け取った群馬県選挙管理委員会書記で群馬県市町村課選挙・政治団体係の高橋誠係長は「当委員会は、このような情報をいただいても、以前から申し上げている通り、調査権がないので、対応が困難であり、まして、それぞれの県議の行った内容については、選良としての判断があったと思うので、それについての質問をされても、コメントする立場にない。また、仮に実際の不法行為があったとしても、以前から申し上げているように、告訴や告発をする権限を持たないので、直接、県警捜査二課などのしかるべき機関に相談してほしい。なので、報告ということであれば預かってもよい」というのです。

 当会は、「やはりそういうことを言うかもしれないと想像はしていたが、具体的な証拠もあることから、直接本人に対して、議会事務局を通じて、事実関係について説明するよう働きかけてはもらえませんか?」と強く要請しました。しかし、県選管書記の高橋係長は、「部署内で回覧して情報共有はするが、それ以上のことができるかどうか、検討するとしか、今は申し上げられない」という趣旨のお答えでした。

 その後、1月26日に別件で東京高裁でお目にかかった際に、高橋係長に「その後、金井県議の疑惑についての上申書に対する対応は何か進展がありましたか?」と質問しましたが、同係長は「前回申し上げたとおりで、部内回覧はしたが、それ以上のことはしていないし、今後もするつもりもない」とのことでした。

■しかし、これでは、公正、公平な選挙システムが担保できるのでしょうか。なぜなら、選挙管理委員会とは、選挙が公正に行われるように選挙に関わる事務を管理する組織だからです。しかも、
選挙管理委員会は、行政機関のひとつでる行政委員会として、選挙の公平性を保つために、政治家である首長から独立した執行機関となっています。

 そもそも、県庁10階の群馬県選挙管理委員会の事務局は、群馬県市町村課選挙・政治団体係が担当しています。一般県民には、告発が義務とされることはありませんが、公務員の場合は、刑事訴訟法239条2項に「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定められており、告発義務が課されています。

 行政が適正に行われるためには、各種行政機関が相互に協力して一体となって行政機能を発揮するのが重要になります。そこで、その運営について協力義務を課すとともに、告発に裏付けられた行政運営を行うことにより、犯罪の捜査や公訴権の行使といった刑事的な行政についても適正な運用をし、その機能がより効果的に発揮されるようにするために、公務員の告発義務が定められているわけです。

■とりわけ、選挙という公民権に係わる業務に携わる群馬県選挙管理委員会の事務局を兼務する群馬県市町村課選挙・政治団体係は「選挙管理事務、市町村選挙連絡調整、政治資金規正、政治団体」について担当しており、公職選挙法や政治資金規正法の正しい運用についての啓発活動も主な業務の一つのはずです。

 しかし、今回のように、肝心の選挙管理委員会は、県民が具体的な証拠を添えて報告し、対応を促しても、ちっとも動こうとしません。

 なので、やはり直接、群馬県警の捜査二課に告発の相談をする必要がありそうです。関連情報の収集や、金井県議のお膝元の状況の確認を進めるなかで、前向きに検討することにしたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【選挙無法特区】政治とカネで今度は太田市長を不起訴にした前橋地検・・・もはや「何でもあり」!?

2023-12-19 00:34:27 | 政治とカネ

国家戦略特区の指定区域

■我が国では、全国からの提案募集を通じ、現場から寄せられた規制改革のニーズを実現するため、これまで構造改革特区、総合特区、国家戦略特区の3つの特区制度を措置してきました。構造改革特区は、特例として措置された規制改革事項であれば、全国どの地域でも活用できる制度です。総合特区は、地域の特定テーマの包括的な取組を、規制の特例措置に加え、財政支援も含め総合的に支援する制度です。国家戦略特区は、活用できる地域を厳格に限定し、国の成長戦略に資する岩盤規制改革に突破口を開くことを目指した制度です。3つの特区は、それぞれ異なる特徴がありますが、国家戦略特区と構造改革特区との提案を一体で受け付けるなど、連携して運用を行っています。

 このうち国家戦略特区制度は、成長戦略の実現に必要な、大胆な規制・制度改革を実行し、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設されました。内閣府地方創生推進事務局によれば、経済社会情勢の変化の中で、自治体や事業者が創意工夫を生かした取組を行う上で障害となってきているにもかかわらず、長年にわたり改革ができていない「岩盤規制」について、規制の特例措置の整備や関連する諸制度の改革等を、総合的かつ集中的に実施するものとされています。

 この国家戦略特区の指定区域に群馬県は入っていませんが、群馬県ではもっとすごい「特区」が既に実現しています。それは「選挙無法特区」として、公選法や政治資金規正法に違反しても、決して罰せられないという、まさに群馬県以外の政治家にとって、夢のような特区なのです。

■今回、選挙無法特区群馬県を改めて証明する形となったのは、次の記事です。

**********上毛新聞2023年12月5日17:30
清水市長を不起訴 群馬・太田市長選直前に授受された現金巡り 地検太田支部

 2021年の太田市長選の直前に授受された現金を巡り、市内の男性2人に公選法違反容疑で告発された清水聖義市長について、前橋地検太田支部は4日、不起訴処分とした。
 これまでに、告示前日に現金300万円の授受があったことは双方認めている。男性側は選挙運動のために寄付したのに選挙運動費用収支報告書に記載されていないと指摘。清水氏は受け取った直後に返金の意思を示し、拒否されたため供託したと説明していた。
 県警太田署が告発を受け、捜査結果の書類を10月に同支部に送った。
**********

 清水聖義・太田市長の公選法違反に係る告発については、これまでも当会のブログ記事で経過を紹介してきました。

〇2023年4月27日:【速報】太田市長の政治資金規正法違反?・・・300万円の献金を巡る疑惑で市民らが清水聖義市長を告発!
https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/97266e9779a8fd98ec2d11d599895ac3
〇2022年12月30日:太田市長に政治資金規正法違反の疑惑?・・・寄付金の記載の有無に関する質問状に答えを濁す市長
https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/35725dd13e2f948d59ad2fde4c925a35
〇2023年10月27日:太田市の清水市長が公選法違反容疑で書類送検・・・選挙無法特区の群馬で注目される地検の対応
https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/f28a8cecfedd2711952e06c437d0c464

 上記10月27日の当会ブログ記事の中で、「太田署の捜査関係者が「起訴を求める意見を付けなかった」と言っているとなると、②相当処分(起訴・不起訴どっちでもいい)、③寛大処分(起訴猶予、つまり不起訴にしてやってくれ)、④しかるべき処分(起訴できないと考えている)のどれか、ということになります。そうすると、地検における清水聖義・太田市長に対する処分の判断がおのずと見えてくる気もします。」と当会の見解を示しておきましたが、まさに書類送検をしてから僅か38日後に、前橋地検太田支部は、不起訴処分を公表したことになります。

■その後、当会は、本告発事件の関係者のかたがたと面談し、これまでの告発に至る事情について、さらに詳しく取材する機会を得ました。取材を通じて、告発の内容が明らかになりました。

*****4/26告発状*****
              告 発 状
                        令和5年4月26日

太田警察署長殿

                   告発人 齋藤 勇
                   告発人 横山信夫

    告発人  住 所  群馬県太田市熊野町38-47
         氏 名  齋   藤       勇
         電 話  0276-60-4508

    告発人  住 所  群馬県太田市宝町29番
         氏 名  横   山   信   夫
         電 話  0276-31-1301

    被告発人 住 所  群馬県太田市飯田町753
         (執務先 群馬県太田市浜町2番35号 太田市役所内)
         氏 名  清   水   聖   義   

第1 告発の趣旨
   被告発人の以下の所為(「第2 告発事実」記載の行為)は、公職選挙法第186条2項に違反すると考えるので、被告発人に対して同法第246条第3号に従って厳重に処罰して頂きたく、告発する次第である。

第2 告発事実
   被告発人は、令和3年4月4日告示の太田市長選挙に被告発人が立候補するに先立って、同年4月3日午後3時頃、告発人横山信夫(以下「告発人横山」という。)が経営する横山建設株式会社(群馬県太田市宝町29番所在)(以下「横山建設」という。)の社長室内において、告発人横山が告発人齋藤勇から託された上記選挙に関する選挙運動資金300万円を受領した。被告発人は出納責任者以外のもので公職責任者のために選挙運動に関する寄付を受けたものであるから、公職選挙法第186条第2項によれば当該候補者が候補者の届出がされる前に受けたものについては、候補者の届出がされた後直ちに出納責任者にその明細書を提出しなければならないと規定されているところ、明細書を提出しなかった。被告発人の係る行為は同条項違反であり、同法第246条第3号に該当するものである。

第3 告発に至る経緯
 1 告発人横山は告発人齋藤勇(以下「告発人齋藤」という。)から、令和3年4月2日午後3時頃、令和3年4月4日告示の太田市長選挙に立候補する被告発人の選挙運動資金として300万円を被告発人に手渡すよう託された。
 2 4月3日午後0時頃、告発人横山は被告発人に対して横山建設に来てもらいたい旨を電話で伝えたところ、被告発人は同日午後3時頃に行く旨回答した。
 3 被告発人は上記電話での回答通り、午後3時頃、横山建設㈱を訪ねてきた。告発人横山は被告発人を横山建設社長室に招き入れ、告発人齋藤より託された上記選挙運動資金300万円(以下「本件寄附金」という。)を被告発人に手渡した。被告発人は本件寄附金を受領すると、直ぐに横山建設を出ていった。
 4 告発人横山は、本件寄附金は令和3年4月4日告示の太田市長選挙に立候補する被告発人の選挙運動に関する寄付金として渡したものであることから、令和5年1月31日、公職選挙法が定める「選挙運動費用収支報告書」に記載されているかを確認するために太田市選挙管理委員会に対して上記文書に関して公文書開示請求を行った(添付資料1)。同委員会から2月13日付けで公開された「選挙運動費用収支報告書」を見たところ、本件寄附金についての記載がされていないことが判明した(添付資料2)。
   そのため、告発人横山は上記報告書に関する出納責任者である野村昭雄(住所 太田市南矢島町463番地3)に対して「選挙運動費用収支報告書」に本件寄附金が記載されていないこと、および本件寄附金の取扱について確認するために、藤代浩則弁護士に依頼して2月24日付け文書にて質問をした。そうしたところ、野村昭雄からは本件寄附金に関する事実は一切把握していない旨の回答があった(添付資料3)。
 5 告発人らとしては、本件寄附金を被告発人が受領したことは事実であり、受領したのであれば公職選挙法に従って出納責任者である野村昭雄にその明細書を直ちに提出しなければならないところ、野村昭雄は本件寄附金に関する事実を一切把握していなかったのであるから、被告発人は出納責任者である野村昭雄に明細書を直ちに提出していなかった事実をこの野村昭雄の回答によって知るに至った。
 6 以上の事実からすれば、被告発人は長年太田市長として公職に就き、市民に対して範を垂れなければならない立場にあるにも関わらず、公職に就く者として当然遵守すべき公職選挙法を遵守することなく公職選挙法第186条2項違反という公正な選挙を害する到底許されざる重大な違反行為をしたことは、明白なことである。
   よって、告発人らは、被告発人を公職選挙法第246条3号に従って厳重に処罰して頂きたく、本告発に及んだ次第である。
                 (以上全体について、添付資料4)
                                以上

       添付資料(告発事実を立証するための資料)
1 「公文書の送付について」と題する書面(写し)
2 選挙運動費用収支報告書(写し)
3 回答書(写し)
4 陳述書(告発人横山信夫)

*****添付書類4*****
                陳述書

太田警察署長殿

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
                                私こと。この度、齋藤勇さんと一緒に清水聖義氏を公職選挙法違反の疑いで告発致しました横山信夫を申します。私たちが清水氏を告発するに至った事情について簡単ではありますが、本書麺をもって申し述べます。説明が不十分な点、あるいはより詳細な事実関係をお知りになりたいようであれば、貴署における捜査に全面的にご協力するためにもお時間をいただければ包み隠すことなく全てお話いたしますので、遠慮なくお申し出ください。
 さて、私、横山信夫は、令和3年4月2日午後3時頃、齋藤勇さんから現金300万円を太田市長選挙に立候補する清水聖義氏の選挙運動資金として清水氏に直接手渡すよう頼まれました。私は齋藤さんと共にこれまでも市長選挙のたびに清水氏を応援していましたので、今回も清水氏を応援する立場から齋藤さんから預かった現金300万円を清水氏に渡すこととしました。
 私は翌日3日のお昼頃に清水氏に横山建設に来てもらいたいと電話したところ、清水氏から午後3時頃に郁人の返事がありました。
 清水氏は約束通りの午後3時頃、私の会社(横山建設)に来ました。清水氏はいつも通りに会社の奥にある私がいる社長室に来ました。社長室に入ってきた清水氏に対して私は選挙運動資金として齋藤さんから預かった現金300万円を袋に入れたまま渡したところ、清水氏はそのまま現金を受け取って帰って行きました。
 この300万円については、後日、清水氏の秘書を通じて私に「選挙期間中お金がたくさん集まったので返したい」と言ってきました。私は齋藤さんから託されて清水氏に選挙運動資金として渡したものであり、清水氏もその場で躊躇うことなく受け取っていて、いまさら返してもらう立場にもないことから断りました。しかし、それでも清水氏は私に秘書(富岡由香氏)に300万円を銀行から下ろさせて事務所においてあるので取りに来るようにと電話で言ってきました。私は受け取る理由がないので断りました。このように私は受け取りを断ったのですが、それにもかかわらず清水氏は何度も電話を掛けてきては受け取るようにと言ってきました。私も電話がある都度断っていました。他方で、私と齋藤さんとで、清水氏に対して3人で直接会って話し合いをしないかと持ち掛けてみたのですが、清水氏はこれに応じてくれませんでした。
 このように私たちと清水氏との間でおなじようなやり取りを何度もしていたのですが、突然、清水氏の後援会「おおた21・政経クラブ」から300万円を法務局に供託したとの通知が1月下旬に届きました(供託通知書のコピーを添付致します)。その供託通知書の「供託の原因たる事実」欄に供託した理由が書かれていますが、私は清水氏の甲年会にこの300万円をわたしたのではなく、市長選挙の選挙運動資金として清水氏本人に対して私、清水氏もその場で自ら受け取ったのであって、後援会が受け取ったとの記載は全くの嘘です。
 この選挙運動資金に対する清水氏のこれまでの対応と供託手続きについて不審に思い、私が渡した300万円について間違いなく「選挙運動費用収支報告書」に記載されているのかを確認するために、今年の1月31日に太田市選挙管理委員会を訪ねました。該当する千九予運動費用収支報告書を閲覧したところ、この300万円に関するきさいは一切なく、寄附金者欄にも私のことも齋藤さんのことも書かれていませんでした。また、選挙期間中にたくさん寄附が集まったという割には報告書に記載されている寄附金額は518万5000円であり、その他の収入を含めても768万5000円と選挙運動資金としては低い金額です。閲覧した報告書はその場では閲覧のみでコピーもできないために公文書開示請求を行って取り寄せました。選挙管理委員会からは2月13日付けで報告書の写しが私宛に送られてきました。
 報告書の出納責任者欄には「野村昭雄」との記載があり、住所も書かれていたことから、藤代浩則弁護士に依頼して野村氏宛に私が清水氏に渡した選挙運動資金300万円がきさいされていないことと、記載していない理由について、2月24日付通知書にて質問をしました。そうしたところ野村氏からは、3月9日付け回答書において300万円授受の事実自体一切把握していないとの回答がありました。出納責任者であるにも関わらず候補者が届け出前に受領した選挙資金の存在を把握していなとの回答には驚きを通り越してア然とするしかありません。
 私としては齋藤さんから預かった現金300万円を令和3年4月3日に清水氏に市長選挙における選挙運動資金として私、清水氏はその場で受け取ったにも関わらず、選挙運動費用収支報告書に記載されていないばかりか、出納責任者の野村氏も一切知らないと回答してきたことに対して非常に不審に思っただけでなく、市民から手渡された選挙運動資金を法律に従って報告もしていない清水氏は、市長として失格であり、法律に従って厳重に処罰されるべきであると思うようになりました。また、後援会として受け取ったが返すという訳の分からない理由を書いて供託してきた行為に対しても、選挙運動費用収支報告書に記載しなかったことを隠すため、つまり選挙違反を免れるために行ったのではないかという疑いを強く持つようになりました。また、この報告書に記載されている収入金額も選挙運動資金としては低い金額であり、正直に報告していない疑いがあります。
 この300万円をしみずしにわたすよう依頼してきた齋藤さんとも相談をし、今後の対応について話し合いました。齋藤さんも渡した300万円に関するきさいがなく、出納責任者も知らないのはおかしいし、し、供託などということをなぜするのか全く分からない、選挙違反を隠すためにではないかと私と全く同じ思いでした。また、私と斉藤さんとで清水氏に話し合いを持ちかけましたが、全て拒絶されています。話し合いにも応じない清水氏の態度から察するに、私たちには話せない何かを隠している疑いがあります。
 このような清水氏の行為は市長として相応しくなく、厳重に処罰されるべきであるとの考えを齋藤さんも持っていたことから、この度、孤発を決意するに至りました。
 この件に関する詳細はb子の陳述書だけではb書き尽くせませんし、これまでの清水氏と私たちとの関係についても警察にはお話ししたいことがたくさんありますので、お時間と機会を頂ければ全てお話し致します。貴署の捜査には許力を惜しみませんので、遠慮なくお申し出ください。
 私たちが暮らす太田市政をこれ以上清水氏に委ねることはでいませんので、厳重な処罰が下されますよう厳しく捜査をしていただきたくお願い申し上げます。
                            敬具
                  2023年4月26日
                       陳述人 横山信夫 印

*****供託通知書*****


■清水市長は、おっとり刀で支援者のもとに駆け付け、選挙運動資金300万円をいつもの選挙の時のように、阿吽の呼吸で受け取ったのに、なぜ会計責任者に明細書を提出せず、したがって収支報告書に記載もしないで、挙句の果てに「寄附が集まりすぎたから」と支援者に返そうとしたのでしょうか。当会として、いくつかの可能性を想定してみました。

 実は、選挙に使って良い費用には上限金額が定められていて、これを「法定選挙運動費用」と呼びます。これは選挙運動にかかる支出の最高限度額(上限額)のことで、人件費・家屋費・通信費・交通費・印刷費・広告費・文具費・食糧費・休泊費・雑費の合計が、この最高限度額を上回ってはいけないとされています。

 この「法定選挙運動費用」の上限を超えて支出をした場合、公職選挙法違反となります。違反した場合には、出納責任者に罰則が適用されるとともに、出納責任者の違反であることから、連座制により候補者の当選も無効となります。

 法定選挙運動費用の具体的な金額は、当該選挙の告示日における選挙人名簿登録数に依存します。その為、告示日には必ず「選挙人名簿登録者数」が発表されますから、法定選挙運動費用のギリギリまで予算をかける予定の候補者は、この金額の推定をした上で選挙戦の準備を行う必要があるのです。

<都道府県知事>
 告示日における選挙人名簿登録者数×7+2420万円

<都道府県議会議員>
 告示日における選挙区内の選挙人名簿登録者数÷その選挙区内の議員定数×83+390万円

<指定都市の市長>
 告示日における選挙人名簿登録者数×7+1450万円

<指定都市の市議会議員>
 告示日における選挙区内の選挙人名簿登録者数÷その選挙区内の議員定数×149+370万円

<指定都市以外の市長>
 告示日における選挙人名簿登録者数×81+310万円


<指定都市以外の市議会議員>
 告示日における選挙区内の選挙人名簿登録者数÷その選挙区内の議員定数×501+220万円

<町村長>
 告示日における選挙人名簿登録者数×110+130万円

<町村議会の町村議会議員>
 告示日における選挙区内の選挙人名簿登録者数÷その選挙区内の議員定数×1120+90万円

■2021年4月4日に告示された任期満了に伴う太田市長選には、NHK党の新人で自営業の町田紀光氏(41)、5選を目指す無所属現職の清水聖義氏(79)、無所属の新人で契約社員の東外喜夫氏(71)の3人が立候補しました。そして、同年4月3日現在の選挙人名簿登録者数は17万7475人(太田市選挙管理委員会調べ)でした。

 単純に計算すれば、太田市長選の法定選挙運動費用の上限は1747万5475円となります。筆者は安中市長選挙に4回出馬しましたが、4回目出馬時の安中市と松井田町との合併市長選が執行された平成18年4月15日の時点で男25,671人、女性27,410名の合計53,081人でしたから、太田市の3分の1以下です。計算すると739万9561円となります。

 選挙運動収支報告書は、本来、正確に収支を申告し、収入については明細書を、支出については領収書を添付する必要があります。

 2021年4月の太田市長選では、上記の通り法定選挙運動費用の上限は1747万円余りですから、清水候補は支援者からの300万円を収支報告書に記載しても何ら問題なく、しかも支援者が指摘するように、実際の選挙運動費用のうち寄附金は518万5000円であり、その他の収入を含めても768万5000円だったので、清水候補の秘書が支援者に「選挙期間中お金がたくさん集まったので返したい」と言ってきたこと自体、理由になっていません。

 「選挙期間中に寄附金が集まりすぎた」というのは、支出金額に対して、寄附収入が過大となったという意味なのか、それとも、本当に法定選挙運動費用の上限である1747万円以上集まってしまい、本来、収入は上限を超えても、使わなければよいわけですが、何か別の理由があり「これはまずい」と考えて、大口の寄附金を返そうとしたことも想定されます。

 あるいは、選挙運動収支報告書を太田市選管に提出したところ、法定選挙運動費用が上限を超えていたため、市選管から訂正するよう指摘を受けて、収支の金額を低めに抑えた形にする必要が生じ、収支のバランスを低く設定し、余った寄附金は記載せずに、いわゆる簿外処理(つまり裏金)し、支出も実際より低く申告して、実際に受け取った領収書の一部を処分することで調整した可能性もあります。

 つまり、選挙運動費用を低めに申告して、裏金づくりや、それを原資として領収書が取りにくい支出(たとえば買収工作など)に回すことなど、表には出せない何か事情があった可能性があります。

■警察は、告発した関係者らから、こうした事情について聴取しているはずですから、しっかりと清水候補本人や秘書、それに会計責任者らから、しっかりとこのあたりの事情の裏付けを捜査したはずです。その結果、太田署から地検太田支部への書類送検の際に、起訴を求める意見を付けず、地検も、それにこたえるかのように僅か38日目に不起訴処分を出したのですから、やはり、群馬県は「選挙違法特区」同然と言えるのではないでしょうか。

 当会は、告発者のかたがたが地検太田支部に対して、不期初処分理由の告知を求めることにより、今回の不起訴処分が「起訴猶予」なのか、それとも「嫌疑不十分」なのか、あるいは「嫌疑なし」なのかを確認することを願っています。

 そして、その結果を踏まえて、検察審査会に対して「審査申立」をする必要があると考えており、告発者のかたがたもその方向で検討しておられる様子です。

■当会は、今回の収支報告書への寄附金の記載について、当初は政治資金規正法の観点から考察していました。この度、告発状の内容を確認して、選挙運動収支報告書に関する公選法に基づく違法行為であることを確認しました。

 折から、パーティー券を巡る裏金問題が日本の政界を揺るがしています。この「パー券問題」では、すでに現役の閣僚として、松野博一官房長官や西村康稔経済産業大臣、鈴木淳司総務大臣、宮下一郎農林水産大臣の4人が辞任し、さらに、世耕弘成参議院幹事長も辞任し、与党の自民党でも、萩生田光一政務調査会長と、高木毅国会対策委員長が辞任することになり、このスキャンダルはまだまだ拡大していく可能性を孕んでいます。

 過大な期待は禁物ですが、東京地検特捜部がいちおう50人体制で捜査を進めており、強制捜査にも乗り出すと見る向きもあります。

 こうした中、群馬県における政治とカネの問題に取り組んできた当会としては、行政サイドの政治家への忖度に加えて、警察や検察、そして裁判所ですら、こと群馬県内の政治家に関して、他の都道府県では考えられないほど、公選法や政治資金規正法の違反行為に対する姿勢の甘さに、何度も煮え湯を飲まされてきました。そして今回の太田市長選を巡る公選法違反事件も、案の定、不起訴処分という結果を見せつけられました。

 選良として手本を示すべき政治家が、選挙運動や政治資金の収支報告書に適切に記載することが義務になっている寄附金やパーティー券の儲けを、記載せず、あるいは少なく記載していた疑いを有権者にもたれること自体、恥ずべきことなのに、さらにその儲けの一部を議員がキックバックとして懐に入れているのです。本来、こういうことのないように、血税から巨額の政党助成金が支出されているのですから、議員のモラルハザードはもはや絶望的なレベルまで落ち込んでいます。

 総務省によると、政党助成金の制度が始まった1995年以来、2021年までの27年間の交付額は計約8539億6300万円にのぼります。27年間で最も多く受け取ったのは自民党で、計約4088億7800万円です。この政党助成金は、国民1人あたり250円の税金を各党に割り当てる制度です。それぞれの政党の議席数に応じて配分される金額が決まります。

 テレビ朝日の試算によれば、2023年度の予算成立後に決まる2023年分の政党交付金は315億3600万円となります。最も多いのは自民党で、159億1000万円が交付される予定です。そのほか、立憲民主党に68億3200万円、日本維新の会に33億5100万円、公明党に28億6900万円、国民民主党に11億7300万円、れいわ新選組に6億1900万円、NHK党に3億3400万円、社民党に2億6000万円、参政党に1億8400万円となっています。

 そろそろ政治とカネの問題に本腰を入れて訣別すべき時ですが、残念ながら群馬県は今後とも選挙無法特区として名を馳せることになる予感を払しょくできません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「公選法第186条」
*****(明細書の提出)*****
第百八十六条 出納責任者以外の者で公職の候補者のために選挙運動に関する寄附を受けたものは、寄附を受けた日から七日以内に、寄附をした者の氏名、住所及び職業並びに寄附の金額及び年月日を記載した明細書を出納責任者に提出しなければならない。但し、出納責任者の請求があるときは、直ちに提出しなければならない。
2 前項の寄附で当該候補者が候補者の届出(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、参議院名簿の届出又は参議院名簿登載者の補充の届出。以下この項において同じ。)がされる前に受けたものについては、候補者の届出がされた後直ちに出納責任者にその明細書を提出しなければならない。

※参考情報「公選法第246条」
*****(選挙運動に関する収入及び支出の規制違反)*****
第二百四十六条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の禁錮こ又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第百八十四条の規定に違反して寄附を受け又は支出をしたとき。
二 第百八十五条の規定に違反して会計帳簿を備えず又は会計帳簿に記載をせず若しくはこれに虚偽の記入をしたとき。
三 第百八十六条の規定に違反して明細書の提出をせず、又はこれに虚偽の記入をしたとき。
四 第百八十七条第一項の規定に違反して支出をしたとき。
五 第百八十八条の規定に違反して領収書その他の支出を証すべき書面を徴せず若しくはこれを送付せず又はこれに虚偽の記入をしたとき。
五の二 第百八十九条第一項の規定に違反して報告書若しくはこれに添付すべき書面の提出をせず又はこれらに虚偽の記入をしたとき。
六 第百九十条の規定による引継ぎをしないとき。
七 第百九十一条第一項の規定に違反して会計帳簿、明細書又は領収書その他の支出を証すべき書面を保存しないとき。
八 第百九十一条第一項の規定により保存すべき会計帳簿、明細書又は領収書その他の支出を証すべき書面に虚偽の記入をしたとき。
九 第百九十三条の規定による報告若しくは資料の提出を拒み又は虚偽の報告若しくは資料を提出したとき。
**********

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太田市の清水市長が公選法違反容疑で書類送検・・・選挙無法特区の群馬で注目される地検の対応

2023-10-27 08:38:46 | 政治とカネ


■2021年4月の群馬県太田市長選の直前に授受された現金300万円を巡り、再選された清水聖義市長が、現金を選挙運動費用収支報告書に記載していなかったことを、現金を寄付した市民らが今年1月に知り、4月26日付で公選法違反の疑いで清水市長を群馬県警太田署に告発していました。

 この事件について、当会はこれまで以下のブログ記事で報じていますので、参照ください。
〇2023年4月27日:【速報】太田市長の政治資金規正法違反?・・・300万円の献金を巡る疑惑で市民らが清水聖義市長を告発!
〇2022年12月30日:太田市長に政治資金規正法違反の疑惑?・・・寄付金の記載の有無に関する質問状に答えを濁す市長

 報道によると、清水市長は、現金の授受を認めた上で、「直後に返金の意思を示したが、拒否されたため供託した」としています。つまり、いったん受け取ったが、その後、何らかの都合や事情が生じたことを口実にして、受け取ったことをもみ消すために、供託という方法を取ったとも受け取れます。

 公選法は、立候補の届け出前に選挙運動のための寄付を受けた場合、候補者は届け出後、速やかに出納責任者に明細書を提出しなければならないと定めています。また、寄付する側について政治資金規正法は、個人による特定の候補者への金銭の寄付を、選挙運動に関するものに限り年間150万円まで認めています。

■その後、警察で捜査が為されていたと見えて、本日、太田署から前橋地検あてに捜査書類が送付されたことが報じられました。

**********読売新聞2023年10月26日

清水・太田市長 公選法違反疑い 捜査書類送付
 現金300万円の寄付を受けたのに明細書を出納責任者に提出しなかったとして、太田署が清水聖義・太田市長(81)を今月20日に公職選挙法違反(明細書の提出)容疑で前橋地検太田支部に捜査書類を送付したことがわかった。
 男性会社社長(83)(同市)と男性会社役員(80)(同)の2人が4月26日に同署に告発状を提出し、同署が捜査していた。捜査関係者によると、同署は起訴を求める意見は付けなかった。
 複数の関係者によると、清水市長は前回の市長選で、告示前日の2021年4月3日、会社社長が用意した現金300万円を会社役員を介して受け取ったが、立候補届け出後に寄付の明細書を出納責任者に提出しなかった疑いが持たれている。市長側は300万円を前橋地方法務局太田支局に供託した。
 2人は清水市長の選挙運動費用趣旨報告書に寄付の記載がなかったとして、告発状を提出していた。
 清水市長は25日、読売新聞の取材に対し「寄付を受け取ったという認識は全くなかったので、選挙運動費用・・・・・・・・・・・・った。秘書に任せていた。(会社役員に)返そうとしたが受け取ろうとしないので、仕方なく供託した。検察の捜査には全面的に協力する」と話した。
**********

■この読売新聞記事を読むと、どうやら太田署は、清水聖義・太田市長を、いわゆる「書類送検」したことになります。

 書類送検は、刑事手続において司法警察員が被疑者を逮捕せず、または逮捕後釈放した後に被疑者の身柄を拘束することなく、事件を検察官送致(送検)することを意味しており、もっぱら報道で用いられる用語で、上記の読売新聞記事のように、「書類送付」とか「捜査書類送付」などと表現されることもあります。

 具体的には、司法警察員が、逮捕された被疑者、書類および証拠物、事件を検察官に送る手続(検察官送致:刑事訴訟法第246条本文)の一種であり、被疑者の逮捕・勾留の必要がない事件や、被疑者が送致以前に死亡した事件、公訴時効が成立した事件の被疑者が判明した場合などで行われます。

 一般に、司法警察員が被疑者を逮捕しない場合の送致を在宅送致、逮捕した場合の送致を身柄付送致(身柄送検)といい、「書類送検」は前者を指しています。

■原則として、司法警察員が犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければなりません。ただし、検察官が指定した事件については例外的に送致しなくともよいこともあります。これは刑事訴訟法第246条の但し書、いわゆる微罪処分の場合です。

 また、刑事訴訟法第242条では、「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない」と定めがあり、同第2項は「検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない」とされています。

 次に同法第246条に「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない」との定めがあります。

 すなわち、告訴または告発の場合には、送検は、警察による捜査の結果を問わず自動的に行われる手続であり、当該告訴または告発の内容が正当であったか否かの判断を示すものではなく、実際に犯罪の嫌疑があったことを示すものでもありません。しかし、現状では、いくら警察や検察に告訴や告発をしても、なぜか受理すらされていないのが実態です。

■今回の読売新聞記事には、「捜査関係者によると、同署は起訴を求める意見は付けなかった」と報じられています。

 これは「処分意見」というもので、犯罪捜査規範195条に基づき、送検時には罪状と情状を考慮した処分意見が付されることになっています。そして、この処分意見とは、慣行上次のように区分されています。
  ①厳重処分   :起訴を求める
  ②相当処分   :起訴・不起訴どちらでも良い
  ③寛大処分   :起訴猶予にしてやってほしい
  ④しかるべき処分起訴できないと考える

 このことから、太田署の捜査関係者が「起訴を求める意見を付けなかった」と言っているとなると、②相当処分(起訴・不起訴どっちでもいい)、③寛大処分(起訴猶予、つまり不起訴にしてやってくれ)、④しかるべき処分(起訴できないと考えている)のどれか、ということになります。そうすると、地検における清水聖義・太田市長に対する処分の判断がおのずと見えてくる気もします。

■ちなみに、警察の司法警察員から、送致を受けた地検の検察官は、裁判所に起訴するか否かを、刑事訴訟法247条に基き決定することになります。

 起訴しない旨決定した場合には不起訴処分となります。不起訴処分とする理由には、犯罪の成立は肯定できるものの、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としない(刑事訴訟法248条)と認められると、「起訴猶予」という判断がなされることになるわけです。このほかにも、構成要件不該当・違法性阻却・責任阻却等の理由をあげて、地検が犯罪の成立を認定しないことが多々あります。

 告発や告訴をした一般市民は、もちろん起訴を望んでいるわけで、他県ではもちろん起訴に相当する場合であっても、こと群馬県に関すれば、なにぶんにも選挙無法特区の状態ですので、決して予断が許されないことは、ここで申し上げるまでもありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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