市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス補助金取消の出直し住民訴訟で原告準備書面(1)提出(その2)

2017-04-28 23:53:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■続いて証拠説明書です。原告らはこれまで甲第1号証から第35号証まで提出していますが、前回、証拠説明書の添付を失念してしまいました。そこで、今回提出した甲第36・37号証と併せて次の内容の証拠説明書を提出しました。

*****証拠説明書(甲1~37)*****PDF ⇒ 201704282.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第27号住民訴訟によるバイオマス補助金支払取消請求事件
原告  小 川  賢 他1名
被告  群馬県知事 大澤正明
                           平成29年4月28日
前橋地方裁判所 御中
            証 拠 説 明 書 (甲1~37)
                        原告  小 川   賢  ㊞
                        原告  羽 鳥 昌 行  ㊞
●号証:甲1
PDF ⇒ bopqneuioocixj20160921.pdf
○標目:群馬県職員措置請求書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年3月31日
○作成者:原告
○立証趣旨:住民訴訟に先立ち前置主義に基づき原告が群馬県監査委員に対して監査請求をしたことを示す。
●号証:甲2
PDF ⇒ zitcgntj.pdf
○標目:平成27年度9月補正予算検討案(知事査定)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年9月初頭か?
○作成者:被告(環境森林部林業振興課)
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書1として提出した資料。設備の配置や仕様も定かでない未成熟な事業なのになぜか原告がデタラメに査定して予算化したことを示す。
●号証:甲3
PDF ⇒ borqoocixs.jpg
○標目:㈱前橋バイオマスの履歴事項全部証明書(平成27年9月27日以前)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成26年10月30日
○作成者:㈱前橋バイオマス
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書2として提出した資料。安中市松井田地区で木質バイオマス発電を計画したが頓挫した。その後、東電グループから声がかかり、看板を掛け替えて今回の事業に鞍替えしたことを示す。
●号証:甲4
PDF ⇒ bosroocix.jpg
○標目:㈱前橋バイオマスの定款(平成27年9月27日以前)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成26年10月30日
○作成者:㈱前橋バイオマス
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書3として提出した資料。定款の「目的」の第3号で「間伐材・廃材等の森林資源を有効活用してのバイオマス発電用燃料チップへの加工業」と記し、東電原発事故由来の放射能汚染廃材も福島等県外から持ち込むことを当初から事業者が画策していることを示す。
●号証:甲5
PDF ⇒ botpsoocixrs.pdf
botqsoocixrs.pdf
○標目:㈱前橋バイオマス燃料の履歴全部証明書(平成27年9月28日以降)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成26年2月28日
○作成者:㈱前橋バイオマス燃料
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書4として提出した資料。会社の「目的」の第3号で「間伐材・廃材等の森林資源を有効活用してのバイオマス発電用燃料チップへの加工業」と記し、東電原発事故由来の放射能汚染廃材も福島等県外から持ち込むことを当初から事業者が画策していることを示す。
●号証:甲6
PDF ⇒ boutoocixds.jpg
○標目:㈱前橋バイオマス燃料の履歴全部証明書(平成27年9月28日以降)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年6月22日
○作成者:㈱前橋バイオマス発電
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書5として提出した資料。会社の「目的」の第2号で「間伐材・廃材等の森林資源を有効活用してバイオマス発電用燃料チップへの加工業」と記し、東電原発事故由来の放射能汚染廃材も福島等県外から持ち込むことを当初から事業者が画策していることを示す。
●号証:甲7
PDF ⇒ bovuoocixd.pdf
○標目:㈱前橋バイオマス発電の定款
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年6月22日
○作成者:㈱前橋バイオマス発電
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書6として提出した資料。定款の第2条「目的」の第2号で「間伐材・廃材等の森林資源を有効活用してバイオマス発電用燃料チップへの加工業」と記し、東電原発事故由来の放射能汚染廃材も福島等県外から持ち込むことを当初から事業者が画策していることを示す。
●号証:甲8
PDF ⇒ bowvs.pdf
○標目:近隣住民への説明経過(林業振興課開示資料)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年9月以前
○作成者:関電工
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書7として提出した資料。関電工が行政側に提出したもので、あたかも住民への説明をきめ細かく行ったかのような記述だが、赤字で指定した個所については、いずれも事業者が虚偽の記載をし、行政もそれを鵜呑みにしていることを示す。
●号証:甲9
PDF ⇒ jgbnxp.pdf
○標目:地元説明会で関電工が配布した説明資料の一部「環境対策(放射能測定)」
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年3月以前
○作成者;関電工
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書8として提出した資料。現実にそぐわない、絵に描いた餅のような放射能測定手段で事業者が安全・安心を強調すればするほど、東電が吹聴した原発神話が脳裏に呼び起こされる。
●号証:甲10
PDF ⇒ bpoxs.pdf
○標目:その他、事業主体の説明不足やルール違反の経緯等を示す証拠
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年3月以前
○作成者:㈱前橋バイオマス、㈱前橋バイオマス発電
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書9として提出した資料。原告らが情報公開請求を群馬県や安中市に行い入手した情報から、いかに原告ら住民が知りたい情報が行政により阻害されているか、また、事業者と行政が結託して本来定められた規則を逸脱して手続きを進めている状況を示す。
●号証:甲11
PDF ⇒ bppbpqbpr212223qny1.pdf
○標目:平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内報について
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年6月17日
○作成者:渋川森林事務所
○立証趣旨:被告と前橋バイオマス燃料は、原告の住民監査請求結果を待っていたかのように阿吽の呼吸で、請求が却下された平成28年6月14日の3日後の同年6月17日に前橋バイオマス燃料に対する補助金の内報を決済した。
●号証:甲12
PDF ⇒ bppbpqbpr212223qny1.pdf
○標目:平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業実施設計書について
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年6月21日
○作成者:渋川森林事務所
○立証趣旨:被告と前橋バイオマス燃料は、原告の住民監査請求結果を待っていたかのように阿吽の呼吸で、請求が却下された平成28年6月14日の2日後の同年6月16日に、群馬県林業振興課は、渋川森林事務所長に予算割当予定額を内報した。
●号証:甲13
PDF ⇒ bppbpqbpr212223qny1.pdf
○標目:平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の内示について
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年6月27日
○作成者:渋川森林事務所
○立証趣旨:渋川森林事務所は、平成28年6月23日に、補助金を内示を起案し、同年6月27日に決済され、同年7月15日までに補助金交付申請書を提出するよう前橋バイオマス燃料に通知し、前橋バイオマス燃料は、同年6月28日に補助金申請を行い、同年7月4日に交付が決定した。
●号証:甲14
PDF ⇒ bpsqneur120161010.pdf
○標目:群馬県職員措置請求書の補正書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年10月13日
○作成者:原告
○立証趣旨:平成28年9月23日に提出した「群馬県職員措置請求書」について、地方自治法第242条に規定する要件を具備しているかどうかを判断するに当たり、同条第1項に規定する事実を証する書面が不足しているとの指摘により作成・提出した補正書。添付資料として、事実証明24「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付申請書」、事実証明25「平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の交付決定にについて(通知)」(甲15)を追加証拠として提出した。
●号証:甲15
PDF ⇒ iaxglj20160826.pdf
○標目:平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金交付申請書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年6月28日
○作成者:前橋バイオマス燃料株式会社
○立証趣旨:平成27年10月21日付けの「森林整備加速化・林業再生基金事業診断書」なるものが申請書として添付されているが、原告らが主張してきた放射能に対する安全性の確認が全くされておらず、トラックスケールは単なる重量測定に過ぎず、乾燥のための脱水プレスによる廃液についても、地下汚染の危険性など全く検証しておらず、診断書としては不十分としか言いようがない。
●号証:甲16
PDF ⇒ bpu25tm.pdf
○標目:平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の交付決定について
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年7月4日
○作成者:渋川森林事務所
○立証趣旨:交付決定にあたり、渋川森林事務所長は、「適正かつ円滑な事業執行に努めるようご配意をお願いします」と付け加えた。しかし、当の前橋バイオマス燃料は、これまで一度も原告や地域住民に対し、事業の説明はされず、挙句の果てに、敷地内に貯木場は作らないと終始発言し、住民と約束してきたのに、平成29年3月頃から、住民に黙って、地域住民の北側100メートル程先に、大規模な貯木場建設を始め、さらに住民の不安、不信、怒りは募るばかりである。
●号証:甲17
PDF ⇒ bpv20161020r1qpeij.pdf
○標目:陳述用原稿および追加証拠
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年10月20日
○作成者:原告
○立証趣旨:陳述の最後に、現在のところ森林内に隔離されている放射能汚染物質だが、本事業が実施されれば、これらの危険物質が人家の近くに大量に持ち込まれることになる。しかも焼却をすることにより、さらに放射線レベルが高くなり、一層危険度が増すことになる。この結果、放射能汚染の拡散と高レベルの放射能物質発生を招くという脅威に群馬県民がひろく晒されるのである。このため、憲法に定める多数の住民の生存権が脅かされているのであるから、被告知事大澤には、本事業に対する補助金の交付による財政支出を停止する措置をとる義務がある。と締めくくった。
●号証:甲18
PDF ⇒ bpw10bbnqis.pdf
○標目:明白な甲状腺がん異常多発と健康障害の進行
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年5月13日
○作成者:こどもたちを放射線障害から守る全国小児科医の集い・実行委員会 代表 高松勇
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書10として追加提出した資料。原発事故由来の放射能汚染の影響で生体に深刻な影響が徐々に表れていることを示し、本件の放射能汚染木質バイオマス処理事業による圧縮プレスの絞り水、燃焼灰、排ガス降下煤塵による環境汚染が県民の健康に重大な脅威となることを裏付ける。
●号証:甲19
PDF ⇒ bpx11bbc_uw.pdf
○標目:甲状腺がん異常多発津田論文と国際環境疫学会の書簡の意義
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年5月13日
○作成者:日本小児科学会自由集会報告 医療問題研究会 林啓次
○立証趣旨:上記監査請求に係る事実証明書11として追加提出した資料。原発事故由来の放射能汚染の影響で生体に深刻な影響が徐々に表れていることを示し、本件の放射能汚染木質バイオマス処理事業による圧縮プレスの絞り水、燃焼灰、排ガス降下煤塵による環境汚染が県民の健康に重大な脅威となることを裏付ける。
●号証:甲20
PDF ⇒ bqo12kocixdi.pdf
○標目:小規模な木質バイオマス発電の推進について
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年1月28日
○作成者:農林水産省
○立証趣旨:小規模な木質バイオマス発電に対する気運の高まりとして、地域に賦存する資源量等を勘案すると、小規模なものが取り組みやすいと評価をしている。また、小規模な木質バイオマス発電に期待される効果として、小規模な木質バイオマス発電は、より地域の実情に即した地域主導の取組として取り組みやすく、地域に賦存する資源の最大限の活用と、それに伴う地域への利益還元につながる。 さらに、農業や観光等の地域の産業との連携等による農山村の活性化や防災など、多様な効果が期待できるとし、海外から木材を輸入し、沿岸で大規模型で運用する事業とは別である日本の木材を活用した木質バイオマス発電は、小規模型の木質バイオマス発電しか考えられないと評している。
●号証:甲21 -1
PDF ⇒ bqpp1311qnxevih2332nxjh23.11.pdf
○標目:群馬県森林・林業基本計画①
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成23年11月
○作成者:群馬県
○立証趣旨:大規模な木質バイオマス発電など、平成32年まで全く想定されていない。
●号証:甲21 -2
PDF ⇒ bqpq1312qnxevih2332nxjh23.11.pdf
○標目:群馬県森林・林業基本計画②
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成23年11月
○作成者:群馬県
○立証趣旨:同上
●号証:甲21 -3
PDF ⇒ bqpr132qnxevvih2332nxjh28.3.pdf
○標目:群馬県森林・林業基本計画(改訂版)①
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年3月
○作成者:群馬県
○立証趣旨:前橋バイオマス燃料の燃料確保のため、東京ドーム64個分に相当する皆伐などが、突然計画されたのは、驚きであり、木質バイオマス燃料として、本来活用されるとされてきた林地残材ではなく、原木が堂々と燃料として利用され、発電のための皆伐・間伐がいま群馬県の森林内で始まろうとしている。
●号証:甲21 -4
PDF ⇒ bqps1331qnxevih2332nxjh28.3.pdf
○標目:群馬県森林・林業基本計画(改訂版)②
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年3月
○作成者:群馬県
○立証趣旨:同上
●号証:甲21 -5
PDF ⇒ bqpt1332qnxevih2332nxjh28.3.pdf
○標目:群馬県森林・林業基本計画(改訂版)③
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年3月
○作成者:群馬県
○立証趣旨:P63に燃料用チップ・ペレット生産量(平成31年目標)として110千㎥とある。これが生木なのか風乾木材なのか定かでないが、水分量30%程度でも、8万トンとなり、全量を前橋バイオマス燃料用に供給してしまうと、その他のバイオマス施設向けの燃料が確保できないことになる。最初から県外の汚染木材の調達を前提とする被告の事業者に対する配慮を感じさせる。
●号証:甲22
PDF ⇒ bqq14xetvj.pdf
○標目:森林整備加速化・林業再生事業費補助金等交付要領
○原本:写し
○作成年月日:平成27年2月
○作成者:農水省
○立証趣旨:第20条に使用見込みの低い基金等の返納が定めてある。事業者である前橋バイオマス燃料は、安中市松井田町のバイオマス発電計画が頓挫した松井田バイオマスの看板を前橋バイオマスと架け替えただけの焼き直し法人。何が何でも基金を使い切ろうという被告の思惑がうかがえる。
●号証:甲23
PDF bqr15xevj.pdf
○標目:森林整備加速化・林業再生事業実施要領
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年2月
○作成者:農水省
○立証趣旨:別表1の7(2)木質バイオマスエネルギー利用施設整備とあるが、事業主体は森林組合、林業者関連団体、農協など地場の業者が主であるが、本事業は大企業である関電工が主導しており、大きな違和感がある。
●号証:甲24
PDF ⇒ bqs16xev.pdf
○標目:森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年2月
○作成者:農水省
○立証趣旨:本事業の補助金は国が出しているが、都道府県に基金を作る形になっており、極めて被告群馬県の裁量性の高い事業であることがわかる。多額の基金を積み増したことから、被告はその予算執行のために、あろうことか原発由来の放射能汚染の原因者である東電のグループ会社に対して、群馬県民のよりどころの赤城山と自然豊かな県土を放射能汚染のリスクに曝そうとしていることが窺える。
●号証:甲25 -1
PDF ⇒ bqtp1711oocixdv.pdf
○標目:前橋木質バイオマス発電事業計画について①
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年6月頃
○作成者:群馬県から情報公開された資料
○立証趣旨:資料の本事業の経過の説明によると、環境アセスメントの必要性について、関電工は群馬県と平成27年1月に開始し、同年3月には環境アセスメントの対象にならないと群馬県に確認をし、事業をスタートさせた。このことが事実ならば、これまで裁判等で被告が主張してきた、「環境アセスメントの実施の判断は事業者自らが行う」ということが全くのウソになる。さらには、本来は、条例で定めた排ガス量を上回ってしまい、環境アセスメントを実施しなければならなくなった場合には、発電事業が遅れ、群馬県にしてみれば林業計画が未達になり、このウィンウィンの関係が崩れることを恐れ、被告がこの発電事業だけに特別扱いしたとするならば、県庁ぐるみでの、納税する県民に対する裏切り行為である。
●号証:甲25 -2
PDF ⇒ bqtq1712oocixdv.pdf
○標目:前橋木質バイオマス発電事業計画について②
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年6月頃
○作成者:群馬県から情報公開された資料
○立証趣旨:同上
●号証:甲25 -3
PDF ⇒ i28n628j.pdf
○標目:補助金申請書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年6月28日
○作成者:前橋バイオマス燃料
○立証趣旨:乾燥施設として、自社のプレス機を導入する計画であるが、そもそも補助金は、必要最小限に留めなければならないはずなのに、自社製(トーセン)なので設備には言いなりであり、そこにコスト意識は生まれてこない。また、木質バイオマス燃料は、自然乾燥が世界標準なのに、おそらくプレスによる脱水は世界初になるかもしれない過剰設備に補助金が交付されるなんて許されるものではない。
●号証:甲26
PDF ⇒ bqu18bvi12.20j.pdf
○標目:チップ資料
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年12月20日
○作成者:関電工
○立証趣旨:チップ脱水装置による廃液には、確実に放射能が含まれるが、技術的には簡単に除去できるはずなのに、その装置は全くつける意思は無く、地下水汚染等も懸念されるが、その実証実験すらしていない。
●号証:甲27
PDF ⇒ bqv19rkxqn.pdf
○標目:群馬県環境政策課、群馬県環境保全課、群馬県環境エネルギー課、前橋市環境政策課宛にメールで質問した控え
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年12月26日以前
○作成者:原告ら
○立証趣旨:平成28年12月26日に環境省等との交渉を行い、関電工らが放射能の自主基準として示している「原子力発電所外に適応されている放射能に関する主な指標(原子力被災者生活支援チーム平成24年4月作成)」は不適切と環境省が回答したため、本当に問題ないのか、群馬県の担当部局に見解を求めたが、平成29年4月20日現在においても全く回答が得られず。
●号証:甲28
PDF ⇒ bqw20qo160331nvfqbe.pdf
○標目:群馬県環境政策課遠藤康明と唐澤素子との会話内容
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年3月31日
○作成者:原告小川
○立証趣旨:原告がたまたま県庁を訪れた際に被告の当事者と立ち話をしたときの会話内容を記したメモ。しどろもどろな様子がうかがえるが、関電工の口頭での排ガス量の説明を聞いて、条例に定めた排ガス量について、燃料用木材の水分量が多いという関電工の説明を鵜吞みにして、条例を捻じ曲げて排ガス量が毎時4万ノルマル立米を大きく超えているにもかかわらず、環境アセスメントは不要だと口頭で被告が関電工に伝えていた様子がわかる。
●号証:甲29
PDF ⇒ bqx2620150330vfqn0331k.pdf
○標目:環境影響評価制度検討「未利用在による木質バイオマス発電に係る環境影響評価について」
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年3月31日
○作成者:群馬県環境政策課
○立証趣旨:情報公開された甲29であるが、数多くの疑問点をあげる。まず回議用紙であるが、①上司の点検日が無い。②施行年月日が記入されていない。2枚目の決定内容等であるが、①国の環境影響評価法や群馬県条例を逸脱して、一事業者だけ特別扱いし、環境アセスメントの実施基準を一部署だけの判断で決定できるはずがなく、群馬県環境影響評価技術審査会等の図る必要がないのか。②そしてこの決定事項は、関電工だけに知らされ、ファイリングされ、どこにも周知されていない。これも公表原則をうたった群馬県環境影響表条例からああ逸脱している。3枚目の「未利用材による木質バイオマス発電に係る環境影響評価について」の書類であるが、①手書きで(案と)書かれている、②日付も3月○日になっており、書類の体をなしていない。また、これまで、被告は、木質バイオマスの水分量を15%としてきた(群馬県 - 参考資料www.pref.gunma.jp/04/e0100182.html)はずなのに、関電工を環境アセスメントの実施から逃れるために、20%と根拠もない補正を設定した。しかし、このホームページは被告はつじつまが合わなく不利になるのを恐れ、削除したようだ。さらに最大の疑問がある。同じ書類の電子データを求め公開されたが、同じ文書ではないのだ。文字幅や行間隔が全くことなり、電子データを解析すると作成日、更新日、印刷日など辻褄が合わず、証拠隠しのため、慌てて担当者に偽造させたことは間違いない。
●号証:甲30
PDF ⇒ bro2720160507sm.pdf
○標目:公文書不存在決定通知
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年5月7日
○作成者:群馬県環境政策課
○立証趣旨:甲29があるにもかかわらず、被告は、「存在しない」という。甲29は、存在しない書類なのだろうか。
●号証:甲31
PDF ⇒ glmpnij.pdf
○標目:再生可能エネルギーを活用した地域活性化の手引き(抜粋)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年3月
○作成者:東京農業大学
○立証趣旨:自然乾燥に数カ月を要すと書かれている。しかし、関電工は9カ月を要すと虚偽の説明をし、被告も何の確認もせず、鵜呑みにした。このことから、被告も関電工も癒着していることは明らかである。
●号証:甲32
PDF ⇒ glmpnij.pdfbrq293mbocixicdoij.pdf
○標目:第3回信州しおじり木質バイオマス発電推進協議会発電部会調査経過報告(抜粋)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成26年1月30日
○作成者:(株)森のエネルギー研究所
○立証趣旨:低質材・林地残材は、自然乾燥により水分30~35%w.b.にすることは十分に可能であるとし、3か月~6ヵ月の自然乾燥が必要としているが、関電工は被告に対し、9か月の乾燥期間を要するため、早く事業が開始できるよう被告に要請し、被告もそれに応えた(甲2)。
●号証:甲33
PDF ⇒ brr30dh28n3zzmij.pdf
○標目:株式会社関電工の平成28年3月期決算短信[日本基準]連結
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年4月28日
○作成者:上場取引所
○立証趣旨:本来、補助金事業とは社会の役に立つ事業に対して不足している費用を補てんするという性格である。絶対安全だという神話を作り上げながら福島原発事故を起こした東電グループの関電工は東証一部上場企業であり、その財務体質や収益力は抜群であるにもかかわらず、出資先の前橋バイオマス燃料を通じて本事業のための巨額の補助金を申請することは、補助金事業の趣旨にそぐわない。
●号証:甲34
PDF ⇒ brs20161128z.pdf
○標目:監査結果通知
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年11月28日
○作成者:群馬県監査委員
○立証趣旨:住民訴訟に先立ち前置主義に基づき原告らが群馬県監査委員に対して監査請求をした結果、まだ補助金の支出をしていないので監査請求資格がないとして6月14日付で却下された(甲13)。これを待っていたかのようにその後、被告により基金等の交付が決定され、基金等の一部が支出されたことが明らかになったことから、あらためて原告として、本住民訴訟事件を補完すべく、2回目の住民監査請求を群馬県監査委員らに行ったところ、同監査委員らは、交付金を平成27年度の補正予算に計上したことも、当該交付金を支出した【する】ことについても問題がないので、本件基金の交付申請に基づく補助金の支払停止を求めるとする部分は、いずれも理由がない、などとして、またもや却下した。
このように、2度の住民監査を通じて明らかになったことは、群馬県監査委員は被告群馬県の言うなりであり、群馬県では監査委員制度が機能不全に陥っている実態である。そのため、本件は住民の安心・安全な事業推進のために使われるべき交付金であるのに、被告が県外の特定業者らと癒着して、県民軽視どころか放射能汚染という後世の県民世代に悪影響を及ぼす利益追求変調事業に加担する交付金の支出について、全く判断をしようとしない。このことから群馬県では県民本位の公平公正な税金の支出の監視ができなくっていることを示す。原告らは、この監査結果を踏まえて、2016年12月末の地裁最終営業部までに、あらたに住民訴訟を提起すべく、訴状作成の準備に着手したところである。
●号証:甲35
PDF ⇒ brt20161214gzlivj.pdf
○標目:上毛新聞記事
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年12月14日版
○作成者:上毛新聞
○立証趣旨:原告らは群馬県や前橋市、事業者に再三にわたり、火災等の危険性を訴えてきたが、トーセンは二度目の全焼火災を起こし、懸案事項が顕在化してしまった。甲36によれば、保険金目当ての不審火災の疑惑も潜在するという。
●号証:甲36
PDF ⇒ 2017042831b36.pdf
2017042832b36.pdf
○標目:第193回国会衆議院環境委員会議録第6号(抜粋)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年3月24日版
○作成者:国(衆議院)
○立証趣旨:隣接の栃木県においてトーセンがバイオマス発電計画を巡り補助金の目的外使用及び補助金の不正支出、公文書・詩文書偽造及び補助金の詐取等の疑いがある旨、国会衆議院環境委員会議で福田代議士が三浦林野庁林政部長に質疑を行ったもの。トーセンが信用に足る会社ではないことを示す。
●号証:甲37
PDF ⇒ 201704284b37.pdf
○標目:広報しょうばら2014.11月号
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成26年11月版
○作成者:広島県庄原市
○立証趣旨:庄原市で木質バイオマス利活用プラント整備事業を巡り事業実施主体のグリーンケミカル㈱が補助金の不正受給事件を起こし補助金事業の中止に追い込まれたため、同市が国への補助金返還義務を負い、同氏がグリーンケミカル社に補助金返還命令をする羽目になった事例を示す。本事業において前橋バイオマス燃料の株主で、前橋バイオマス発電の株主でもあるトーセンも関電工も不誠実で信用のおけない事業者であることから、同様の不始末が懸念されている。
                     以上
*********

■5月10日(水)午前10時30分から前橋地裁本館2階第21号法廷で開かれる第2回口頭弁論は、同じく前橋バイオマス発電計画に係る群馬県環境影響評価条例で定める環境アセスメントを群馬県が不要だと判断した根拠を示す文書の不存在決定処分取消請求事件(事件番号 平成28年(行ウ)第24号)の第3回口頭弁論期日と同じ時間に前後して開催されます。

 ぜひ一人でも多くの会員・読者・県民のかたがたに傍聴していただきたいと心からお願いする次第です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この記事おわり】

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス補助金取消の出直し住民訴訟で原告準備書面(1)提出(その1)

2017-04-28 22:33:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■県都前橋市の赤城山南麓に、東電グループの関電工を主体とする事業体が、放射能汚染木材を県内外から集積し、20年間で160万トンもの木質チップを搾汁し、通常のバイオマス発電であればストーカ式ボイラーを使うところ、敢えて多様な放射能汚染廃棄物の燃焼処理に適した流動床ボイラーで何でも燃やしてしまおうという亡国事業に邁進中です。このため当会は地元住民団体とともにこの事業に投入される4億8000万円もの補助金の交付中止を群馬県に対して住民監査請求を通じて申し入れてきました。その結果、門前払いをされたため、住民訴訟を提起中です。

 先日3月10日に第4回口頭弁論が開催されましたが、被告から出訴期限徒過ではないかとの言いがかりを受けたため、原道子裁判長の訴訟指揮により、あらためて原告が別途提訴したところ、今後は被告から二重訴訟だとイチャモンがつけられたため、原告が最初の住民訴訟を取り下げました。するとすかさず3月10日付けで、被告から第1準備書面が送られてきました。

 そして3月15日に新しい裁判長のもとで、出直し住民訴訟の第1回口頭弁論が前橋地裁本館2階第21号法廷で開廷されました。新裁判長は、原告住民に対して「訴えの利益が不明瞭なので争点を整理する必要がある」として、4月末までに主張をまとめて準備書面で提出するように指示をしました。そこで、この度、4月28日の昼過ぎに、原告らは準備書面(1)を前橋地裁に提出しました。

 本件のこれまでの詳しい経緯は次のブログを参照してください。

〇2016年6月22日:赤城山と県土を狙う東電の毒牙=前橋バイオマス向けチップ工場補助金停止を求める住民監査を県監査委員が却下
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2038.html#readmore
〇2016年7月17日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス計画への補助金を止めるため県を提訴
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2076.html#readmore
〇2016年8月6日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス計画補助金取消し訴訟で地裁から事務連絡
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2100.html#readmore
〇2016年9月19日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月23日午前10時の第1回口頭弁論を前に被告群馬県から答弁書
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2125.html#readmore
〇2016年9月23日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…住民訴訟直前の9月23日午前9時半に再度住民監査請求を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2130.html#readmore
〇2016年9月24日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…9月23日午前10時の第1回口頭弁論期日の様子
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2077.html#readmore
〇10月21日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…2度目の住民監査請求で県監査委員らに陳述と追加証拠を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2149.html#readmore
〇2016年11月11日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…11.18第2回口頭弁論期日に向けて原告住民が準備書面(1)を地裁に提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2160.html#readmore
〇2016年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…第2回口頭弁論直前に県から届いた被告第1準備書面の驚くべき内容
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2162.html#readmore
〇2016年11月21日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・補助金差止訴訟の第2回口頭弁論が11月18日に前橋地裁で開廷
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2173.html#readmore
〇2016年12月3日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・11.18の第2回口頭弁論を取材したネット出版社が記事を掲載
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2178.html#readmore
〇2016年12月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・またもや原告住民らの監査請求を却下した監査委員ら操り人形の面々
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2179.html#readmore
〇2016年12月7日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・原告住民らの新たな住民監査の請求却下結果を地裁に甲14証で提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2185.html#readmore
〇2017年1月16日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス発電補助金差止訴訟の第3回口頭弁論が迫り原告準備書面(2)を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2210.html#readmore
〇2017年1月28日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス発電補助金差止訴訟の第3回口頭弁論が前橋地裁で開廷
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2221.html#readmore
〇2017年2月16日:【速報】東電の毒牙から郷土を守れ!・・・バイオマス発電補助金差止訴訟で被告の調査嘱託の結果が判明
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2240.html#readmore
〇2017年3月7日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス発電補助金差止の出直し裁判で被告群馬県から仰天の答弁書
〇2017年3月13日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・バイオマス発電補助金差止の住民訴訟の最後となる第4回口頭弁論の報告
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2260.html#readmore
〇2017年3月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・バイオマス発電補助金差止の出直し住民訴訟で被告から第1準備書面
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2261.html#readmore
○2017年3月16日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!・・・バイオマス発電補助金差止の出直し住民訴訟3.15第1回弁論で課題噴出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2263.html#readmore

 それでは、次回5月10日(水)午前10時30分から開催される出直し裁判の第2回口頭弁論期日を控えて、原告らが前橋地裁に提出した訴訟資料を次に示します。

*****送付書兼受領書*****PDF ⇒ yqzter1i1j2017.4.28.pdf

*****原告準備書面(1)*****PDF ⇒ 2017042811.pdf

事件番号 平成28年(行ウ)第12号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払取消請求事件
原告  小 川  賢 外1名
被告  群馬県知事 大澤正明
                            平成29年4月28日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
               原告準備書面(1)
                         原告  小 川   賢  ㊞
                         原告  羽 鳥 昌 行  ㊞

平成29年3月15日の第1回口頭弁論期日における裁判長の訴訟指揮に基づき、原告は次のとおり陳述する。

第1 これまでの経緯

(1)原告らは、当初は群馬県議会に対して本事業への補助金支出の裏付けとして平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として本事業を補助金の対象事業として計上し、本事業は、同年9月14日から10月7日まで開催された群馬県議会第3回前期定例会に上程され承認されたことから、補助金と言う公金の支出が財務会計上の行為として、相当の確実さをもって予測されたことから、平成28年3月31日に住民監査請求に踏み切った。

(2)ちなみに本事業の概要は次のとおりである。
    事業名:(新規)木質バイオマス発電燃料製造施設等整備〔環境森林部林業振興課〕
    金 額:480,000千円
    説 明;・林業県ぐんまの実現に向け、未利用材の活用を推進するため、木質バイオマス発電燃料(チップ)の製造施設整備に対して補助。
        ・事業主体:前橋バイオマス燃料(株)
        ・補 助 率:6/10以内
 即ち上記の4億8000万円は、本事業費8億円に対する本件補助金で、国は50%、県が10%の補助率とされている。

(3)この結果、群馬県監査委員は、平成28年6月14日に発出した監査結果通知で、「未だ前橋バイオマス燃料から群馬県知事に対し、補助金交付申請が行われておらず、その状況かでは、さらに一般会計補正予算が可決されていたとしても、そのことのみをもって群馬県知事により本件施設整備事業に対する本件補助金が確実に交付されるものとは言えないから、現時点において本件補助金の交付の差止の是非を検討しなければならないと判断される程度にまで相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているとまではいえないというべきものである」として、本事業の推進が事実上決定されて、必然的に補助金の支出が確実になったにもかかわらず、わざと争点をはぐらかし、「本件措置請求は地上自治法第242条第1項に規定する要件を満たしていないものと判断し、却下する」という結論をくだした。

(4)そのため、続く住民訴訟でも、口頭弁論を3回行ったが、裁判官は、補助金交付申請が行われていない段階での住民監査の前置について、処分性の面でグレーな部分があるとされ、実際の補助金の交付申請が出されたことを確認したうえで、あらためて住民監査請求を行うほうが、原告としての訴訟資格の観点から、好ましいのではないかとの示唆をうけた。

(5)ところが実際には、群馬県監査委員の監査結果通知日からわずか2週間後、前橋バイオマス燃料は、平成28年6月28日、渋川森林事務所長に対して本件補助金交付申請書を提出し、同所長は、前橋バイオマス燃料に対して、同年7月4日、本件補助金交付決定を行った。(甲第16号証)

(6)本件補助金交付決定に基いて、前橋バイオマス燃料は、同年8月5日、渋川森林事務所長に対して概算払請求書を提出し、2億2230万円の支払いを請求し、これを受け、同所長は、同月16日、補助金概算払いとして、2億2230万円を支出したことは別訴(御庁事件番号「平成28年(行ウ)第12号」、乙第5号証)で明らかとなっている。同様に、前橋バイオマス燃料は、同月19日、1620万円の概算払い請求を行い(御庁事件番号「平成28年(行ウ)第12号」、乙第6号証)、渋川森林事務所長は、同月26日に、1620万円を概算払いとして支出した(御庁事件番号「平成28年(行ウ)第12号、乙第7号証)。以上のとおり、渋川森林事務所長は、同日までに、本件補助金交付決定額4億8000万円のうち、概算払いにより、合計2億3850万円を支出している。

(7)このため、原告らは平成28年9月21日に、あらためて住民監査請求を行ったところ(甲1)、群馬県監査委員は今度は「本件補助金を平成27年度補正予算から支出することを決めた措置の撤回を求めるとする部分は、住民監査請求として不適法であるから、これを却下する」とし「本件補助金交付申請に基づく補助金の支払い停止を求めるとする部分は、いずれも理由がないから、これを棄却する」とする結論を出した。こうして原告らは、再度住民訴訟事件を今回提起するに至ったのである。

(8)ところが平成29年3月15日の第1回口頭弁論期日において、裁判官から、「訴状では支出してはならないと求めているが、既に支出されてしまった部分があるわけだから、支出してはならないということにはならない。未支出の部分があるならば、そこは支出してはならないということになる。支出された部分をどうするのか、検討すること」と1番目の訴訟指揮があった。

(9)さらに裁判官からは「支出の内容について、補助金の交付決定の違法性の根拠について、いろいろな事由をあげているようだが、それらについて条文を明らかにして主張すること」と2番目の訴訟指揮があった。

(10)その上で「違法であることにより、補助金の交付決定がどうなるのか、無効確認なのか処分取消なのか、それともその他の主張をするのか、どれかを選択すること」と3番目の訴訟指揮があった。

 上記(8)(9)(10)について、原告らはそれぞれ次のとおり主張する。

第2 処分の判断について(前項第1(8)関連)

 原告らは、当初から本事業への補助金支出の処分性について、被告が平成27年度9月補正予算案として本事業を補助金の対象事業として計上し、議会に上程した時点で、補助金の支出を伴う本事業の決定処分をしたことから、地方自治法242の2条第1項に定めた1~4号までの抗告訴訟の類型の中で、1号に分類されている当該財務会計行為に係る権限を有する執行機関(群馬県渋川森林事務所長もしくはその元締めの群馬県環境森林部)を被告として「財務会計上の行為の全部の差止めの請求」を行うべく「本事業に関して、公金である補助金を支出してはならない」と主張していた。
 だが、前述のとおり、平成28年6月28日、前橋バイオマス燃料は、渋川森林事務所長に対して本事業に係る補助金交付申請書を提出し、同所長は、前橋バイオマス燃料に対して、同年7月4日、本件補助金交付決定を行い、この決定に基づき、同年8月5日、前橋バイオマス燃料が渋川森林事務所長に対して概算払請求書を提出し、2億2230万円の支払いを請求し、これを受け、同所長は、同月16日、補助金概算払いとして、2億2230万円を支出した。さらに同様に、前橋バイオマス燃料は、同月19日、1620万円の概算払い請求を行い同月26日に1620万円を概算払いとして支出した。このため、その時点までに、本件補助金交付決定額4億8000万円のうち、概算払いにより、合計2億3850万円が支出されている。
 そのため、原告らは、現在までにいくら補助金が支出されているか、その後の被告らの支出状況について未確認であるが、すくなくとも、補助金交付決定額4億8000万円の約半分は前橋バイオマス燃料に支出済みであることは事実のようである。
 よって、未支出分の補助金については、1号の差止め請求事件としたいところであるが、未支出分の補助金も含めて、渋川森林事務所長は既に平成28年7月4日に本事業の補助金交付決定処分を行っているのであるから、2号に分類されている地方公共団体、すなわち群馬県(代表者 大澤正明)を被告として「行政処分たる財務会計上の行為の取消し又は無効確認の請求」を行うべく「知事が前橋バイオマス燃料に対し平成28年7月4日付けでした補助金交付決定処分を取り消す」ことを求めたい。

第3 補助金の交付決定の違法性の根拠について(前々項第1.(9)関連)

 今回の住民訴訟事件では、補助金という公金の交付決定の違法性の最大の根拠は、地方自治法第2条第14項に定める「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」との条項である。
 また、同様の条項として、地方財政法第4条第1項(予算の執行等)に定める「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」がある。
 ちなみに本事業は、「(新規)木質バイオマス発電燃料製造施設等整備〔環境森林部林業振興課〕」という事業名が付せられているが、これは国の森林整備加速化・林業再生基金事業の実施に伴うもので、原資は国だが、資金が国から都道府県に行って基金が積まれ、その基金から県がそれぞれ事業決定処分に基づき、補助金という公金の支出をしている。このため、本事業は、きわめて被告群馬県の裁量性が高い事業となっている。
 さて、原告らは本事業に伴う補助金の支出について、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」という。)に則っていなければならないと考える。
 ところが、以下に示す諸要因により、前橋バイオマス燃料は、本事業への補助金等の交付について、偽りその他不正の手段をとった経緯がある。
 そもそも、補助金適正化法第1条には(この法律の目的)として、「この法律は、補助金等の交付の申請、決定等に関する事項その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定することにより、補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする。」と定めている。
 同法第3条では(関係者の責務)として第1項に「各省各庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当つては補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従つて公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。」とあり、第2項では「補助事業者(被告)等及び間接補助事業者(前橋バイオマス燃料)等は、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し、法令の定及び補助金等の交付の目的又は間接補助金等の交付若しくは融通の目的に従つて誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならない。」と定めている。
 そして、同法第29条では(罰則)として、第1項には「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とあり、第2項では「前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。」とある。
 次に、あらためて、不正と思われる要因とその違法・不法に当てはまる条項について述べる。

(1)補助事業の目的から逸脱していること
 本事業は、次の補助事業によるものとされている。
群馬県は、前橋バイオマス燃料に森林整備加速化・林業再生費補助金及び森林整備加速化・林業再生整備費補助金により森林整備加速化・林業再生基金を造成し、4億8000万円を交付を決定し、一部開始しているが、『森林整備加速化・林業再生事業実施要綱』の趣旨によると、森林・林業・木材産業を取り巻く喫緊の課題の解決に向けた地域の創意工夫に基づく総合的な取組を支援するため、森林整備加速化・林業再生事業費補助金及び森林整備加速化・林業再生整備費補助金を都道府県に交付して、森林整備加速化・林業再生基金(以下「基金」という。)を造成し、この基金を財源として事業実施主体(以下「事業主体」という。)が行う事業(以下「基金事業」という。)を実施することにより、東日本大震災からの復興を着実に推進するとともに、森林の多面的機能を発揮しつつ林業の成長産業化を実現することとする。と明記されており、この森林整備加速化・林業再生事業の目的が、東日本大震災からの復興を着実な推進であり、基金事業により復興の推進が図られなければ、補助金の目的に反しており、復興推進に寄与しない事業には、交付してはならない、とされている。
 本事業は、放射能汚染のリスクがない地域においては有効であるが、東京電力福島第一原発事故により大量に外部に放出された放射性物質が風にのって、隣接の北関東の山間部に降り注いだことによる放射能汚染の被害を受けた群馬県や栃木県、茨城県等においては、リスクの増大に結びつく結果をもたらし、東日本大震災からの復興の推進に逆行する事業であることは明らかである。
 よって、放射能の除染対策に手を付けられない群馬県やその周辺の森林からの間伐材を集積してチップ化して燃焼させることは、本事業の補助金交付の原則に反しており、森林整備や林業再生という次元よりさらに根本的な住民の生命や財産の安全のほうが重要であることから、復興を妨げることはあっても補助対象事業には当たらないことは明らかである。
 さらに最近になって、前橋バイオマス燃料は、突然、群馬県内に設置予定だった間伐材等の集木システムについての補助金の申請を取り下げて、かわりに補助金なしでバイオマス発電施設の近くの元電中研が所有していた約3ヘクタールの山林を購入して、貯木場を造成した。この目的や背景は依然として不詳だが、貯木場で集荷した間伐材等を補完することで、自然乾燥により水分量が低く抑えられることにより、前橋バイオマス燃料が売り物にしている大型プレス機による脱水装置の使用意義が当初計画と異なっている可能性がある。
このため、被告は補助金適正化法第1条及び第3条第2項に違背し、前橋バイオマス燃料は、同法第3条第2項に違背し、同法29条第1項の罰則に該当する行為、すなわち後述の偽りや不正の手段により補助金の交付をうけており、それを知りつつ積極的に環境アセスメントの対象要件のルールを捻じ曲げて前橋バイオマス燃料の株主ら(関電工及びトーセン)が別の事業体としてバイオマス発電施設建設・運営のために作った前橋バイオマス発電の環境アセスメントを不要にした被告群馬県の行為は、同法第29条第2項に該当すると考えられる。

(2)補助金交付を受ける資格がないこと
 関電工は、福島第一原発事故の原因者である東京電力のグループ会社であり、本来、放射能汚染に苦しむ住民に対して、謝罪すべき立場にあるはずである。また、甲第3号証によれば、株式会社トーセンが平成26年2月28日に設立した㈱松井田バイオマスという法人が平成26年10月30日に看板を架け替えただけの㈱前橋バイオマスに対して、甲第4号証によれば、関電工は、本件事業で補助金交付に関して群馬県議会の平成27年第3回定例会議の最中の同年9月28日に、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合とともに、104株の出資参加をして、併せて、関電工の戦略事業本部開発事業部長の石塚浩が取締役として役員に就任している。
 即ち、知事大澤が、平成27年9月4日に平成27年度9月補正予算案として、次の事業を後述する補助交付金の対象事業として計上し、同年9月14日から開始された群馬県議会の定例会期間中、9月25日(金)の県議会本会議、一般質問までは補助金交付を受けるための事業主体ではなかった。
 また、甲第4号証によれば、㈱前橋バイオマスの定款には「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と記されており、本来、㈱トーセンは、廃棄物中間処理の許可が必要な廃材や木くずなどを間伐材に紛れ込ませて発電燃料として受け入れることを想定していた。そして、平成27年9月28日に関電工らが出資参加した際、「間伐材等を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と定款を変更したが、依然として「間伐材“等”」というふうに表現しており、放射能汚染された木くずや廃材などを間伐材に紛れ込ませようとする意図が強く感じられる。
 放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域の指定されている群馬県北部及び西部の山間部から間伐材と称して集積し、それを前橋バイオマス燃料がバイオマス発電用に使うことは、許されない。事実、依然として群馬県では果樹等の剪定枝については、焼却せずに圃場内に留めておき、自然に腐朽させるよう農業者に指導したままである。
 さらに甲第6号証及び甲第7号証によれば、平成27年6月22日に関電工とトーセンによって設立された㈱前橋バイオマス発電では、定款で「間伐材・廃材等の森林資源を有効利用してのバイオマス発電燃料云々」と明記されており、㈱前橋バイオマスの定款のコピペであることがわかる。このことは、㈱前橋バイオマス燃料の現在の定款に記されている「間伐材等」の“等”の意味が、廃材も含む可能性を示唆しており、極めて危険である。
 このような行き当たりばったりで未成熟な事業にたいして、補助金の交付をすることは、「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを要請している地方自治法第2条第14項及び「経費は、その目的を達するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」 とする地方財政法第4条第1項の各規定に違反するものである。
 なお、前橋バイオマス燃料の株主のひとりであるトーセンは、隣の栃木県で平成25年度の森林整備加速化・林業再生基金事業の補助金を受けて推進している木質バイオマス発電事業で補助金の目的外使用および補助金の不正支出、文書偽造および補助金詐取の容疑があるとして、平成29年3月24日に開かれた第193回国会衆議院環境委員会のなかで質疑があり、代議士の福田昭夫理事が、国の政府参考人の林野庁林政部の三浦正充部長に対して、きちんと事実関係を確認するように指摘している。(甲第36号証)
以上のことから、前橋バイオマス燃料の本質を知りながら本事業への補助金交付を決定した被告は補助金適正化法第1条及び第3条に違背し、さらに同法第29条第2項に該当する。また、前橋バイオマス燃料は、同法第3条第2項の関係者責務違反に該当する。

(3)地元及び周辺住民への事業に関する周知が不徹底であること
 甲第10号証に示すように、本事業については、平成27年5月の連休中に、事業計画予定地の電力中央研究所の敷地に隣接している赤城ビュータウンの住民らが、関電工が施工主として密かに掘削作業をしていた騒音に驚き、原因を調べてはじめて本事業の存在が発覚した。その後も、関電工は、本事業に関して、近隣住民に対する個別説明方式にこだわり、現在でも、「赤城ビュータウン以外の住民は原則として事業説明の対象としない」とする立場を取り続けている。
 関電工による平成27年10月、12月、平成28年3月に開かれた地元住民説明会では、口コミで本事業の存在を知った赤城ビュータウン以外の参加住民らが、「放射能汚染された木質資源を燃やすという違法行為による広範囲の放射能汚染の拡散のリスク」をアピールして、県内に広く事業の周知徹底を要請する声を上げても、本事業主体のリーダーである関電工は「我関せず」という態度をとり続けている。
 こうした関電工による本事業に関する極めて消極的な説明責任を見るにつけ、地元及び周辺住民らは関電工など事業主体に対して、一層不信感を募らせざるを得なくなっている。
 さらに、同じく本事業の事業主体である㈱トーセンに至っては、住民らの強い出席要請にもかかわらず平成27年10月3日の第1回地元説明会や平成28年3月27日開催の第3回地元説明会には全く顔を出さず、唯一平成27年12月20日開催の第2回地元説明会に出席したが、本事業について一言も語ることはしなかった。このため、監査請求人らをふくむ住民らは、肝心の本事業に関わる木質燃料チップ工場の施設の内容についての説明を事業主体から受けられずにいる。
 このような事業内容の不透明性と、情報開示への消極性は、本事業の目的である「都道府県が地域の特性を活かし、地域が主体となって林業の成長産業化を実現する」こととは、相容れない。したがって、そのような社会性に欠ける企業が進める本事業には、我々の血税である補助金という公金を支出することは絶対に許されない。
よって、前橋バイオマス燃料の情報不開示体質を知りながら本事業への補助金交付を決定した被告は補助金適正化法第1条及び第3条に違背し、さらに同法第29条第2項に該当する。また、前橋バイオマス燃料は、同法第3条第2項の関係者の責務違反に該当する。

(4)事業主体の出資者である関電工の社是や環境方針と合致しないこと
 関電工は事あるごとに、環境への基本姿勢を強調しているが、これを遵守するためには、本事業はまったく馴染まない。だからただちに本事業を白紙撤回しなければならない。
 参考までに、関電工の環境方針を以下に示す。
【関電工環境基本方針】
理念
株式会社関電工は、循環型経済社会の構成員として、豊かな人間環境づくりに取り組み、絶えざる自己革新によって、地球環境の保全活動に貢献します。 
行動方針
地球環境の保全活動を、経営の重要課題の一つとして位置づけ、環境マネジメントシステムの改善を図るとともに継続的向上に努めます。
省資源、省エネルギー、資源リサイクル、汚染防止を、目指した活動を展開するとともに、廃棄物の減量化を推進します。
法規制及び協定書を遵守するとともに、環境に関する自主基準を制定し、環境保全に取り組みます。
社員への環境教育を徹底し、環境保全意識の向上に努めます。
地域社会との協調連帯を図り、社会との調和に努めます。
 関電工の環境方針は絵空事であり、木質バイオマス燃料や発電の事業による環境破壊は免れないであろう。例えば、放射能に汚染されたチップは、トーセンが新開発をしたという世界初を標榜する巨大な木質チップ脱水用のプレス機(このような実績もない製品に補助金が支給されること自体、通常ではありえない)で脱水される計画(だが、その廃液は、放射能除去を一切せず、地下に垂れ流しされる計画となっている。推定するに、年間1万トン程度は地下に捨てられる。排ガスについては、バグフィルターで放射性物質は、多少気休め程度の除去は期待できるかもしれない。ちなみに、住民からバグフィルターに加えてさらに電気集塵機や、排ガス中の残留セシウムの除去に有効なスクラバーとよばれるガス水洗装置の増設要請が説明会で提案されたが関電工はこれも一顧だに検討せず、拒否していた。しかし、廃液については、全く意識が無く、第二の豊洲になることは間違いない。それは、放射能を土壌が溜め込み、あっという間に、その土壌は、特定廃棄物(8000ベクレル/kg以上)になってしまうからである。また、廃液の放射能除去は、上記のスクラバー装置のほか、ゼオライトやRO膜が有効とされている。だが、関電工はこうした放射能汚染防止技術の採用について、検討さえしようとしなかった。
以上のことから、出資者のひとりである関電工が経営に影響力を持つ前橋バイオマス燃料への補助金の使途がずさんな環境対策に過ぎないのを知りつつ、本事業への補助金交付を決定した被告は補助金適正化法第1条及び第3条に違背し、さらに同法第29条第2項に該当する。また、前橋バイオマス燃料は、同法第29条第1項の罰則に該当すると考えられる。

(5)安全な間伐材を県内から安定的に調達することは不可能であること
 事業主体である関電工は、当初のうち群馬県内の間伐材を100%使用すると言いながら、まもなく、万が一足りなければ、近県の間伐材も入れることを可能性として仄めかす発言に転じている。このように、言っていることが最初に比べ、あれもこれも変わること自体、信用できない。
 本事業により発電用に使われるチップの年間生産量7万トン、原料である間伐材等の受入量8万4100トンの安定した確保が、事業実現の基本の一つであるが、群馬県内における森林バイオマスの賦存量の実態をみれば、年間間伐材等の受入量8万4100トンもの確保は到底現実的ではない。
 このため、事業主体は上述のとおり、群馬県以外の周辺の栃木県、長野県、埼玉県等から必要に応じて間伐材等を調達する必要があると認識しているのである。そうなると、福島県の製材所で保管されていた大量の放射能汚染木くず・バーク(樹皮)チップなどの特定廃棄物相当の産廃が、東電から依頼を受けた元官僚で自称コンサルタントの男により、福島県外に持ち出され、滋賀県の琵琶湖西岸に不法投棄された放射能汚染木くず・バークチップが、群馬県民のしらないうちに前橋市内の産廃中間処理業者の破砕施設に持ち込まれ、他の廃材等と眞挫合わされて、オガクズとして群馬県内外に販売された事件と同様な手口で、群馬県外から大量の危険な放射能汚染廃材等が持ち込まれる可能性が極めて高くなる。
 とりわけ、関電工は、絶対安全だとしていた福島第1原発の重大事故の責任を取らないまま、多額の税金を政府につぎ込ませても平然としている東京電力のグループ会社である。本事業が、東電の思惑で立案されたことは、こうした背景から容易に想像できる。
 もし、本事業に補助金が交付されると、東電の除染責任を我々の税金で尻拭いされることになる。東電の息のかかった関電工は、本事業へのこの補助金がないと、事業がなりたたないとしているが、そのような不採算事業を強引に推進する背景には、東電の思惑が見え隠れしているのである。つまり、発電という名の「壮大な除染事業」である。
 群馬県は、群馬県森林・林業基本計画を中間年である平成27年3月に改定し、初めて皆伐という文言を明示し、その規模を、東京ドーム64個分の面積の森林の皆伐計画とした。つまり、燃やすことありきの皆伐計画であり、明らかに前橋バイオマス燃料及び発電のためだけの森林伐採である。このことを見ても、今回の事業で被告が事業のために用意しようとしている間伐材は森林を破壊しない限り、確保できないことを物語っている。
 本来の木質バイオマス発電は、間伐材のカスケード利用のはずである。つまり、木材から得られる産物はきわめて多様であり、見栄えのする建築部材や家具材を筆頭に、見えないところに使われる各種の構造用材があり、紙パルプやボード類の製造に使われる低質材、そして最後に燃料用の木質バイオマスがあるべきである。木材の使い方として理想的なのは、良いものから順々に取っていって、最後まで余すことなく使い尽すことが本来の形である。こうした使い方が木材の「カスケード利用」であり、このことにより、本事業に関係する全ての人が、また地域住民までがその恩恵を受けられることになる。木質バイオマス発電事業の理念は、地域住民にとって裨益をもたらすものでなければならないはずである。しかし、前橋バイオマス燃料や発電は、燃やしてしまうだけの間伐なので、その恩恵を受ける地域住民は殆どいないに等しい。
 群馬県の誇る安心・安全な生活環境、営農環境、自然環境を厳守し、次世代に引き継ぐためにも本事業を助長する補助金の交付は、県民への裏切り行為であり、直ちに停止しならない。
以上のことから、前橋バイオマス燃料の本質を知りながら本事業への補助金交付を決定した被告は補助金適正化法第1条及び第3条に違背し、さらに同法第29条第2項に該当する。また、前橋バイオマス燃料は、同法第3条第2項の関係者責務違反に該当する。

(6)事業主体の信頼性に瑕疵があること
 群馬県に提出された事業計画を情報公開で入手したが、近隣住民への説明経過によると、甲第8号証により、「反対者ゼロ」などと事実と全くかけ離れた文言が続き、虚偽の記載をし、不正に補助金の支給を受けようとしている。
 また、同資料によると、「間伐材を乾燥させるのに9ヶ月を要するので、補助金交付を早めることが必要だ」などとする虚偽の記載がある。実際には、本事業における乾燥期間として2~3ヶ月程度が想定されているのである。しかも、計画には、自然乾燥ではなく、巨大なプレス機による強制乾燥方式で、これを使用すれば乾燥時間は殆どいらなくなるからである。仮に、このことについて群馬県が知っていたとすると、明らかに官業癒着のデキレースにもとづき、被告の代表者である大澤知事は査定したことになる。他方、被告がこのことについて知らなかったとするならば、関電工やトーセンら事業者による詐欺に近い虚偽である。
さらに、『森林整備加速化・林業再生基金事業実施要領』には、第2の事業計画等の中の6で、都道府県知事は、全体事業計画及び年度事業計画を作成するに当たっては森林・林業基本法(昭和39年法律第161号)第11条第1項の規定に基づく森林・林業基本計画、森林法(昭和26年法律第249号)第4条に定める全国森林計画、同法第4条第5項に定める森林整備保全事業計画、同法第5条に定める地域森林計画、同法第10条の5に定める関係市町村の市町村森林整備計画、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(昭和54年法律第51号)第2条の2第2項の規定に基づく林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本構想、木材の安定供給の確保に関する特別措置法(平成18年法律第47号)第4条第3項の規定に基づく木材安定供給確保事業に関する計画、林業労働力の確保の促進に関する法律(平成8年法律第45号)第4条第1項の規定に基づく林業労働力の確保の促進に関する基本計画、関係する流域において策定されている流域林業活性化実施計画及び地域振興に関する基本的な計画又は方針との調和を図るとともに、関係行政機関、民間非営利団体及び地域住民等との必要な調整を図るものとする。と明記されているが、群馬県知事は全くその責任を果たしておらず、実施してはならないのではないか。早急に調査し、指導すべきである。
 また、第5の基金事業の実施の中で、「3 都道府県知事等及び事業主体は、地域の実情に鑑み、過剰と見られるような施設等の整備を排除する等、徹底した事業費の低減に努めるものとする」と明記されているが、これも本事業の実態を反映していない。例えば、関電工やトーセンらが出資する前橋バイオマス燃料は「世界初」を標榜する木質チップの乾燥期間短縮方法の導入を計画している。これはチップの乾燥のためにトーセンが世界に先駆けて開発したという大型プレス機による脱水設備であるが、この設備調達のための補助金が交付されるというのである。再生エネルギーの一環として位置づけられるバイオマス発電においては、できるかぎり自然エネルギーによるシステムの構築が優先されなければならない。そのため、世界的にみてもバイオマス燃料は自然乾燥による乾燥方式となっている。油圧プレスの稼働のために使用されるエネルギーとして、隣接するバイオマス発電施設で作られる電気の一部が無駄に費消されることは、バイオマス発電本来の理念から逸脱するものである。しかも、木質チップ中の水分を強制的に減少させる脱水設備はわが国ではまだ実績がない。こうした実績のない新規開発製品へ高額な補助金を野放図に交付することは地方自治法第2条第14項に定めた最小の費用で最大の効果を定めたルールに違反しており、脱水設備への交付は、即刻中止すべきである。
 こうした補助金対象の機材に関する価格評価について、被告はきちんと精査した形跡がない。この種の類の事件としては、平成23年12月29日に、木くずや家畜の木くずや家畜のふんを有効活用するバイオマス(生物資源)事業を巡り、広島県庄原市の環境関連会社「グリーンケミカル」が、国の補助金約2億5千万円を不正受給した疑いが取りざたされ、同市や農林水産省が調査した事件がある。
 それによると、同社はプラスチックの原料用に木くずを粉砕する機械を大阪市の会社から購入したとして補助金を申請し、農水省は平成20~22年度に計約2億5千万円を交付したが、実際は関連会社の「コスモエース」(東京)から数千万円で仕入れていた。東京国税局がコスモ社の税務調査を行い、機械を販売した利益を隠蔽したとして約2億6千万円の所得隠しを指摘し、グリーン社の不正受給の疑いが浮上したものである。結局同市は平成26年11月までに木質バイオマス利活用プラント整備事業の中止と国への補助金返還を決め、グリーン社に補助金返還請求をし、不正行為を理由に当該事業を取消した。この時の理由として、同市は、「補助対象経費の水増し」「契約前発注」「不正な資金の支払い」「入札偽装」、「入札顛末書の虚偽報告」、「多用途使用」、「不具合未改修」、「虚偽報告」、「購入価格が不適正」「未承認の財産処分」の不正行為があったとしている。(甲第37号証)
 本事業では、前橋バイオマス燃料の株主であるトーセンが自社開発とする大型プレス機による脱水装置への補助金を使った購入が含まれており、支出の有無は不詳だが、支出を決めた処分は被告から為されている。前述のグリーンケミカル社が子会社から仕入れていた木くず粉砕機械を巡る不正行為と共通点が多く、トーセンの栃木県における補助金を巡る不正疑惑に照らすと、とうてい信頼に足る事業者と見做すことはできない。
以上のことから、前橋バイオマス燃料の補助金の使途がずさんであることを知りながら本事業への補助金交付を決定した被告は補助金適正化法第1条及び第3条に違背し、さらに同法第29条第2項に該当する。また、前橋バイオマス燃料は、同法第29条第1項の罰則に該当すると考えられる。

(7)放射能汚染対策に重大な不備があること
 放射能対策が全く盛り込まれていないことは明らかである。放射能汚染物質対策の不備による放射性物質の流出が懸念される理由と、関連する施設の場所・工程を次の①~④に示す。
 ①事業主体の関電工は、地元説明会での配布資料(甲第9号証)では「間伐等を受入する際、トラックスケールで検査する」としているが、メーカーは技術面から「管理基準値(40ベクレル/㎏)は、到底できない」と発言している。その時のやり取りを次に示す。
(質問)走行しながらの測定ということで、トラック全体の総ベクレルが370kBqということではなく、ある一定の塊の線源が370kBq以上ないと測定不可能という解釈でよろしいでしょうか。
(回答)その通りです。【回答者:株式会社テック・デル高畑】

また、関電工自身も、3月26日の話し合いや3月27日の説明会の場で、住民からの質問に対して「できない」と答えている。したがって、放射能のかなり高い間伐材が持ち込まれても、その実態について全く把握できないということになり、それによる危害は甚大である。
つまり、その約1万分の一である40ベクレル/㎏など測定できるはずもない。
 ②貯木スペースは間伐材の乾燥のため野天に保管されるが、風等により放射性物質の敷地外への拡散防止策が講じられていない。また、雨等による放射性物質の排水口や敷地外への流出対策が講じられていない。
 ③チップ加工時の放射性物質の空気中への拡散防止策が講じられていない。
 ④チップの脱水時の排液を、放射性物質を未処理のまま地下浸透させてしまうことになり、関東平野の地下水資源に対する重大な脅威となる。
 以上のことより、近隣住民の生活保全環境はもとより、田畑への営農環境、河川への自然環境への放射性物質の流入による重大な環境破壊の危険性はかなりの確率で高くなることは必至である。
以上のことから、被告および前橋バイオマス燃料は、補助金適正化法第3条第2項の関係者の責務違反に該当する。

(8)本事業主体の運営・技術面に係るレベルと実績等がお粗末であること
 事業主体のひとつである㈱トーセンは数年前に、製材工場で山火事を起こし、体育館などを全焼させた。にもかかわらず、今だに火災の原因は不明とされ、何の対策もとられていない。このままでは、本事業が行われる赤城山での山火事発生の危険性が大いに想定されるため、周辺住民の静観環境や財産保全に対して脅威となる。以下、㈱トーセンのホームページからの火災発生に関する記事を引用する。
トーセンのホームページのURL:
http://www.tohsen.net/news_topicsn.php?num=62&yr=2013
那珂川工場火災のお詫びとお礼
平成25年9月28日(土)午後10:00、県北木材協同組合 那珂川工場におきまして、火災が発生致しました。関係各位、地域住民の皆様には、多大なご心配、ご迷惑をお掛けいたしました。この場をお借りしまして、お詫びとご協力のお礼を申し上げます。
なお、旧体育館(加工棟)の全焼という事態となりましたが、地元消防団、消防署、行政の皆様のご協力により、消火は完了し、那珂川工場内の他の設備、隣接の発電施設建設地への影響はないことをご報告致します。

 これまで関係機関に再三火事の対策を訴えてきたが、ついに、群馬県において、平成28年12月14日の午前6時に近隣住民が出火していることを発見し、119番通報し、事務所と作業棟を全焼させてしまった(甲第35号証)。
 この両方の火事に共通するのは出火原因が不明であることと、出火当時無人であったこと、そして全焼火災であったことである。
 甲第36号証にもそのことが質疑されているが、前橋バイオマス燃料の株主のひとつでもあるトーセンが、火災保険金目当てに起こした連続不審火災ではないかという疑念が当然浮上してくる。トーセンが本当に誠実で信用に足る会社であるのかどうかは、同社がこの2つの火災で保険金を受けたかどうか、被告には確認する義務がある。
以上のことから、前橋バイオマス燃料は、補助金適正化法第3条第2項の関係者の責務違反に該当する。

(9)環境アセスメントを実施しないまま計画を脱法的に進めようとしていること
 本事業では、年間8万トンの木質チップを発電用燃料として製造する計画だが、それを全量発電施設で使用した場合の排ガス量について、きちんとした計算手順と結果について、被告群馬県からも事業主体からも全く説明がなされていない。被告群馬県は当該木質バイオマス発電所の制度設計前の平成27年3月に総排気量が4万ⅿ³/hr以上あるかどうかの詳細審査を実施せず関電工に環境アセスメント対象外として事業者に通告しており、本事業は法令違反であることが明白である。その癒着の実態と根拠を原告らの見解とともに、以下に示す。
平成27年1月 群馬県と環境アセスメントの実施の必要性について協議を開始
 ⇒【原告らの見解】群馬県環境影響評価条例によれば協議の必要性はないのに、なぜ関電工は協議を求め、群馬県はそれに応じたのか?群馬県は、終始一貫して、環境アセスメントの実施の判断は、事業者に委ねられていると言っているが、だとしたら、なぜ、群馬県環境影響評価条例の運用を変更する必要があったのだろうか?
 平成27年3月 群馬県より環境アセスメント実施は不要との回答あり
  ⇒【原告らの見解】なぜ、結論が出るのに2ヶ月かかったのか。何が協議されたのか。また、実施前に、関電工だけが運用の変更を知らされるのは、違反行為である
平成27年3月31日決裁 群馬県環境影響評価条例の運用を変更し、木質バイオマスの排ガス量の計算を2割減とした(実施は同年4月1日)。
⇒【原告らの見解】しかし、本当に起案及び決裁日時に相違はないのか極めて疑問である。なぜならその後、次の経緯をたどっているからである。
 平成28年4月22日 原告小川賢が被告に対して、被告の主張する「環境アセスメントをしなくてもよい」という根拠を確かめるべく情報公開を求める
同年5月8日 被告から原告小川に不存在処分決定通知が発出される
同年9月13日 原告羽鳥昌行がこの件で別途、あらためて情報公開を求める
同年10月4日 被告から原告羽鳥に情報開示決定通知が発出される
 ⇒【原告らの見解】なぜ不存在だった書類が公開されたのか?・・・それは、同年5月8日以降、平成27年3月30日起案、同月31日決裁の書類をでっち上げた可能性が高いからだ。したがって、平成27年3月に関電工に対し、環境アセスメントの実施をしなくても良いという根拠は何もないということになる。
同年10月14日 原告羽鳥が被告に対して、同10月4日に情報公開された上記情報の電子文書に係る情報公開を求める
同年10月28日 被告から原告羽鳥に情報開示決定通知が発出される
 ⇒【原告らの見解】同年10月4日に公開された文書と、今回公開された文書は明らかに違う文書であり、同じ文書が2通あること自体が有り得ないことであり、しかも、作成日や印刷日が人為的に偽造されている。なぜ、被告群馬県は、ここまでしなければならないのか、それは、作成年月日を隠すためであり、関電工への環境アセスメントの実施をしなくてもよいという根拠を隠すためだけとしか想像できない。
なお、上記の一連の原告らによる情報開示請求に対して被告の不誠実な対応については、原告らは別途法的対応措置をとることにしている。
前橋バイオマス発電施設と木質チップ製造施設は同じ敷地内に建設され、前者は前橋バイオマス発電、公社は前橋バイオマス燃料の名義で建設され、完成後は運用されるようだが、前橋バイオマス発電も前橋バイオマス燃料も出資者として関電工とトーセンが両方に関与している。また、前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料は、前橋バイオマス運営上議会を形成し、「自主管理基準値の遵守状況の確認・審査」「住民対応状況の確認」「その他環境に関する方針等の決定」を標榜しているが、関電工もトーセンも本事業に関して地元住民への説明会場で、十分な説明や情報開示をしておらず、両者が一体となって地元や周辺住民らに対して不誠実な対応に終始してきた。
そうした不誠実な事業者らが行う本事業に対して環境アセスメントを免除したのが被告である。
以上のことから、被告も前橋バイオマス燃料も補助金適正化法第第3条第2条に定めた関係者の責務を果たしておらず、責務違反に該当する。
 なお、環境アセスメントの要件である排ガス量について、前橋バイオマス燃料と同じ株主らが株主として名を連ねる前橋バイオマス発電は、本当の排ガス量の数値を被告に説明してこなかった可能性が高い。そもそも東電グループの関電工が関与する事業に補助金を投入しなければならない理由は全くない。

第4 請求の内容の選択について(前々前項第1(10)関連)

 前述の2で述べたとおり、原告らは未支出分の補助金も含めて、被告の渋川森林事務所長が既に平成28年7月4日に本事業の補助金交付決定処分を行っていることから、2号に分類されている地方公共団体、すなわち群馬県(代表者 大澤正明)を被告として「行政処分たる財務会計上の行為の取消し又は無効確認の請求」を行うべく「知事が前橋バイオマス燃料に対し平成28年7月4日付けでした補助眞交付決定処分を取り消す」ことを求める。
 この場合、取消請求もしくは無効確認請求のどちらかを選択することになる。
 原告らは、一応有効となっている平成28年7月4日の本事業の補助金交付決定処分を無効にしてもらいたいと考えているので、取消請求を選択したい。
 被告は、例えば環境アセスメントが不要だとして本事業と不可分のバイオマス発電施設の設置許可を認めたが、群馬県環境影響評価条例によれば、毎時4万ノルマル立方メートルを超える排ガス量を輩出する火力発電施設は、環境アセスメントが必要になるはずである。しかし、環境アセスメントを行わなければ設置許可が出せないはずなので、既にバイオマス燃料を製造する木質チップ工場の建設工事はかなり進捗しており、バイオマス発電施設の建設工事を鉄骨が建てられていて、既に着々と工事が進捗していることがうかがえる。
 被告は、もしかして火力発電施設の稼働前に環境アセスメントを実施すれば問題ないと考えているのかもしれないが、環境アセスメントには少なくとも1年以上の期間を必要とすることが予想される。
 その場合、環境アセスメントの結果次第では、稼働できない場合も想定されることから、バイオマス発電施設と一体となるバイオマス燃料の製造施設である木材チップ製造施設に対して補助金を支出することはできないはずである。

 よって、被告が為した本事業の補助金交付決定処分の取消しを求める。

                          以 上
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・その2に続く】

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大同有毒スラグ問題を斬る!・・上武道路建設工事に使用された建設資材の書類を入手(その3)!

2017-04-24 23:50:00 | スラグ不法投棄問題
■国道17号の大規模バイパス「上武道路」は、群馬県渋川市にある大同特殊鋼(株)・渋川工場の有害スラグを、(株)佐藤建設工業がレキ質土や下層路盤材という仕様の建設資材として、大量に使用したことから、今や「有害スラグ街道」の異名をほしいままにしています。この経緯において国土交通省は、有害スラグが使用されているのを知りながら、施工業者に有害スラグを撤去させることができたにもかかわらず、そうすることを怠り、有害スラグの殆どをそのまま残置させて工事を完成させてしまった・・・と当会は考えています。


昨年2016年秋の稲穂を垂れた水田風景と上武道路田口改良工区の様子。この副道には有害スラグが大量に投棄されている。雨が降ると副道や歩道は水たまりとなる。道路と圃場と高さが同じなので、地下で田んぼの水と混じりあっている可能性があり、フッ素毒で汚染されているかもしれない。また冬になれば乾燥し、有害粉じんをまき散らしている。

■シリーズでお伝えしている国土交通省の工事で使用された建設資材の書類拝見ですが、今回は実際の現場の様子と書類を見比べてみましょう。


上武道路開通式が行われた田口改良工区の様子。コンクリート製の縁石が並べてあるが、まだ砕石やアスファルトが施工されていない。道路工事に詳しい方に聞いてみると、「これは再生砕石RC40~0で解放してある状況だ」という。ところどころ車などで縁石を跨げるよう粒度調整砕石を擦り付けて、移動を可能にしているのだそうだ。

■上の現場写真を見てください。再生砕石RC40~0まで施工して解放してある状況です。ところどころ車の移動を可能にするため、粒度調整砕石40~0で擦り付けを作ってある状況です。この現場は大量の有害スラグが投棄されていました。


有害スラグがザックザク。この写真でも再生砕石の上に、粒度調整砕石40~0で車が移動できるよう擦り付けが作られていることが分かる。再生砕石RC40~0や粒度調整砕石40~0どちらにも有害スラグが大量に投棄されていた。

■この上武道路田口改良工事に使用された再生砕石RC40~0と粒度調整砕石40~0の試験成績表を見ていきましょう。


上武道路田口改良工事に使用された再生砕石の試験成績表。

 この試験結果試験表には以下のような記入があります。

**********PDF ⇒ 4ahcrc401.pdf
品名 再生砕石RC40~0
工事名 上武道路田口改良工事
工事場所 前橋市田口町他1箇所
池下工業(株)御中
平成25年6月10日
塩○○○○○会○

**********


上武道路田口改良工事に使用された再生砕石の試験成績表がもう一つあった。

 こちらの試験結果試験表には以下のような記入があります。

**********PDF ⇒ 5ahcrc402.pdf
品名 再生砕石RC40~0
工事名 上武道路田口改良工事
工事場所 前橋市関根町~前橋市田口町
池下工業(株)御中
平成26年2月7日
塩○○○○○会○

**********


↑粒度調整砕石40~0の試験結果報告書。↑

 こちらの記載内容は次のとおりです。

**********PDF ⇒ hcm40.pdf
       平成26年1月15日
試験結果報告書
工事名 上武道路田口改良工事
材料名 粒度調整砕石40~0(M40)
(ふるい分け試験、密度及び吸水試験、すりへり試験)
(液性限界、塑性限界試験、締固め試験、修正CBR試験)
工期:平成25年05月08日~平成26年02月20日迄
工事場所:自:群馬県前橋市関根町 至:群馬県前橋市田口町
池下工業株式会社
株式会社 佐藤建○○○

**********

■コンクリートなどのがれき類を破砕した、再生砕石の試験結果報告書として2部が提出されています。

 これらについて、専門家に話を聞くと「半年に1回試験を行う」とのことでした。また、粒度調整砕石40~0は天然石を砕き、粒度を調整した砕石とのことでした。整理すると次のようになります。

**********
再生砕石RC40~0 塩○○○株式会社
粒度調整砕石40~0 佐藤建設工業株式会社

**********



 もう一度現場写真をみると、再生砕石にも粒度調整砕石にもスラグがザックザク投棄されていました。

 粒度調整砕石40~0は佐藤建設工業が納入していますので、スラグが混入されていても不思議ではありません。佐藤建設工業はその販売する全ての資材に猛毒スラグを投棄していました。渋川市などは、わざわざテスト施工の場所まで提供して、試験的に納入させていたほどです。

 さて、再生砕石RC40~0は問題です。猛毒スラグが大量に投棄されていますが、猛毒スラグを入手できたのは佐藤建設工業のみです。したがって塩○○○○○会○の再生砕石に猛毒スラグが混入されることはありません。

 考えられるのは、「塩○○○○○会○の試験結果報告書とは異なる、佐藤建設工業の有害スラグ混合砕石を、田口改良現場に使用してしまった」ことが考えられます。工事打合せ書で、国土交通省と打ち合わせた内容と異なる建設資材が、使用されてしまった疑いがあると言えるでしょう。

■打ち合わせと違う材料が使用されたとしたら、大問題です。

 まず、出来あがった形が設計と異なる「出来形不足」の疑いがあります。また「締固め度」などの試験はどのように求めたのでしょうか?

 ちなみに、この「締固め度」というのは、土や路盤材を一定の方法で締固めたとき、含水比と乾燥密度(単位容積当たりの土や路盤材の実質部分質量)の関係を表したグラフにおいて、締固め曲線の最大値を最大乾燥密度、それに対応する含水比を最適含水比と呼びます。

 「締固め度=Dc」とは、試験に用いた試料と同じ土(または路盤材)であるという前提で、盛土時の締固めの程度を示す値であり、現場で測定された湿潤密度から乾燥密度を計算し、その値が最大乾燥密度の何%に相当するかを示します。盛土の目的により、管理基準値がDc=85%、90%、95%等と定められています。

 或いは、届け出た試験結果報告書で国土交通省を安心させておいて、猛毒スラグを不法投棄?したことも考えられます。

■佐藤建設工業の建設資材には、やはり猛毒スラグが混ざっていました。また、上武道路田口改良工事を受注した建設会社は、打ち合わせと異なる材料を、変更届を出すことなく使用していた疑いが浮上してまいりました。

 このとおり、上武道路工事は、調べれば調べるほど問題山積で、恐ろしい現場であることが、またしても判明してまいりました。

 これだけデタラメがまかり通れる背景としては、よほど行政が特定の業者になめられているのか、あるいは行政が特定の業者を忖度(そんたく)しているのか、どっちにしても官業癒着の構図が見え隠れしているのは確かなようです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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【続報】大同有毒スラグを斬る!・・・「検察審申し立てず」、では“一体だれが責任を取るのか”!

2017-04-23 01:09:00 | スラグ不法投棄問題
■大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)の有害スラグ問題で、刑事責任を問う刑事告発が不起訴となった問題で、廃棄物の監督官庁である群馬県が「検察審査会への申し立てをする考えは無い」と態度を急変させた報道がなされました。続報が入ってまいりましたので見ていきましょう。

**********2017年4月21日毎日新聞地方版

大同特殊鋼
鉄鋼スラグ問題 検察審に申し立てず 知事、不起訴で /群馬

 大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、廃棄物処理法違反容疑で書類送検された同社などが不起訴処分(昨年12月22日付)になったことについて、大沢正明知事は19日の記者会見で、検察審査会に申し立てない考えを明らかにした。今後、この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった。
 検察審査会は、検察の不起訴処分の適否を判断する。大沢知事は「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」と述べた。
 一方、一連の問題を受け、県は廃棄物処理法を管轄する環境省に対し、廃棄物の定義があいまいだとして、定義や判断基準を明確にするよう要望書を提出した。県によると、大阪府で、「おから」を飼料用に処理した飲食店経営者が廃棄物と判断されて罰金刑を受けたケースがある。【鈴木敦子】
**********

■今回も報道のポイントを整理していきましょう。

ポイント①
 大沢正明群馬県知事は、検察審査会に申し立てない考えを明らかにした。今後、この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった、こと。

ポイント②
 検察審査会は、検察の不起訴処分の適否を判断する。大沢知事は「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」と述べた、こと。

ポイント③
 県は廃棄物処理法を管轄する環境省に対し、廃棄物の定義があいまいだとして、定義や判断基準を明確にするよう要望書を提出した、こと。

■では、これらのポイントについてひとつずつ、検証してみましょう。

●ポイント①
 大沢正明群馬県知事は、検察審査会に申し立てない考えを明らかにした。今後、この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった、こと。

 毎日新聞では、「この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった」と報道しています。裁判所が運営する検察審査会のホームページを見てみましょう。検察審査会の役目について記してあります。
http://www.courts.go.jp/kensin/q_a/index.html
**********
検察審査会の概要
審査はどういうときに行われるのか?
「犯罪の被害にあった人や犯罪を告訴・告発した人から申立てがあったときに審査を始めます。
申立てがなくても,新聞記事などをきっかけに審査を始めることもあります。」

**********

 有害スラグ事件については、群馬県が刑事告発をした人であり、今回審査会への申し立てをする考えが無いことから、毎日新聞では「刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった」と報道していると思われます。

 しかし、有害スラグは今なお、群馬県中に広く不法投棄されたままです。大同・佐藤グループが刑事責任を問われないなら、今後は誰が責任を取っていくのでしょうか?

 群馬県知事が責任をとっていただけるのでしょうか?

 はたまた、廃棄物の監督官庁である環境部局の幹部の皆様が責任を取って罪をかぶってくれるのでしょうか?

 スラグには残念ながら環境基準を超える猛毒が含まれています。既に県内一部の土壌から汚染が確認されています。今後何十年かけて土壌汚染が広がり、やがては地下水までも汚染する可能性があります。土壌が汚染されただけでも、生活環境保全上問題があるのです。何十年後かに再度問題となったときに、大同グループは何も責任を負担しないことでしょう。その時群馬県知事や環境部局の幹部様が責任をとって罰を受けていただけるのでしょうか?

 大同スラグに毒が無ければ同会もこのような事は言いません、猛毒だから真剣なんです。

今回の有害スラグ事件では、我々の手元にも内部情報が多数漏れてきています。群馬県環境部局にも多数の内部資料が証拠として入手できていたはずです。今回、検察審査会に申し立てをしないことは、群馬県環境部局の不手際を意味するのではないでしょうか? 今後は知事をはじめ環境部局の責任を問う声が上がることでしょう。

●ポイント②
 検察審査会は、検察の不起訴処分の適否を判断する。大沢知事は「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」と述べた、こと。

 国民から選ばれたメンバー11名で構成されるという検察審査会は、不起訴処分の適否を国民の判断で審査するのが役目です。毎日新聞が、大沢知事の「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」とするコメントを報じた背景には、検察審査会の制度趣旨目的から見当違いもはなはだしいおかしな発言内容であるとする論調を強く感じさせます。

 “有害スラグ問題を適当に誤魔化し、最後には群馬県民に負担を押し付けてしまえ!”という無責任な行政責任者による“尻まくりコメント”と結論付けられるでしょう。

●ポイント③
 県は、廃棄物処理法を管轄する環境省に対し、廃棄物の定義があいまいだとして、定義や判断基準を明確にするよう要望書を提出した、こと。

 この要望書は群馬県廃棄物リサイクル課の幹部様が環境省に提出したのでしょうか? 何をとぼけて要望書などを提出しているのでしょうか? “とぼけている?”と感じるのは以下の理由からです。箇条書きにしてみました。

**********
◎群馬県内の廃棄物の官庁は群馬県です。
◎大同特殊鋼由来のスラグは環境基準を超える猛毒が含まれています。
◎群馬県廃棄物リサイクル課が自ら
http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm
 「ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。」と理由を挙げて廃棄物認定しているではないか。

**********

 国から権限を委譲されて地方で自治をするためとして群馬県庁が組織され、廃棄物を管理しているのです。群馬県には、責任を持って廃棄物認定をしなければならない責務があります。何をいまさら、責任転嫁するかのような要望書を環境省に提出する必要があるのでしょうか? 例によってお得意の、“パフォーマンス”ということなのでしょうか?

 また、大同スラグは猛毒が含まれています。加えて逆有償取引の事実もあります。最高裁判例を基に環境省が技術的指導をした内容に沿って、大同スラグに対する廃棄物認定が行われています。こんな簡単な廃棄物認定の事例は滅多に無いと言えるでしょう。

 更に毎日新聞は県の発言を紹介しています。

**********
「県によると、大阪府で、『おから』を飼料用に処理した飲食店経営者が廃棄物と判断されて罰金刑を受けたケースがある。」
**********

 おからと異なり、大同スラグには猛毒が含まれています。廃棄物の認定も簡単です。なぜ毒が含まれていない「おから」を持ち出すのでしょうか?

 また、大阪府の「おから」事件は、裁判にまで発展し判例が残されています。なぜ自分達の勉強不足を公表するのでしょうか? まったく訳が分かりません。

 猛毒が含まれている大同スラグについて、本来であれば、群馬県としては、結果的に無駄足を踏むことになるとしても、きちんと検察審査会に申し立てをして、「大同スラグは毒があるので危険な廃棄物である」ことを主張しなければならないはずです。

 どう考えても、“何らか”の理由で敢えて「県として申し立てる考えはない」ことにしたので、責任追及する声が上がり犯罪者とされると困るので、“とぼけている”?としか思われません。ピエロを演じてまでも今は“おとぼけ”に徹して、群馬県民を煙に巻いてしまおうとしているのでしょうか?

 有毒スラグのように簡単な廃棄物認定について環境省に要望書を出すくらいなら、ギブアップ宣言を広く公表したらいかがでしょうか?

 ここまで“おとぼけ”を演じる群馬県、特に環境部局などは、むしろ自虐的に“存在意義必要がない部署だ”と自ら標榜したらいかがでしょうか?

 そしてこの際だから、大幅に人員を削減し組織も整理して、「廃棄物判断などの難しい仕事は、環境省と検察などで相談して決めてください」としたためた要望書を、あちこちに提出したほうが良いのではないでしょうか?

■繰り返しになりますが、大同・佐藤グループは「刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった」と報道されました。ですが猛毒スラグは群馬県中に投棄されたままとなっています。今後は誰が責任をもつのでしょうか? 大同・佐藤グループに代わり、群馬県知事が責任をもつのでしょうか? となると実施機関である廃棄物リサイクル課が責任をもつのも良いのでは?

 大同有害スラグ対応について群馬県廃棄物リサイクル課は何をしているのでしょうか? 2016年12月15日に廃棄物リサイクル課が発出した文章を最後に見ていきましょう。

**********
・大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する使用箇所の解明等の状況について
http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/006.htm
 大同特殊鋼株式会社渋川工場から排出された鉄鋼スラグについて、平成27年9月11日に廃棄物処理法に基づく調査結果を公表後、使用箇所の解明及び環境調査を進めてきたところですが、現在の状況は次のとおりです。

1 使用箇所の解明及び環境調査
(1) 公共工事について
① 平成27年9月11日に県から県内全市町村、及びスラグ再生路盤材の出荷記録があった国関係機関に対して調査を要請したところ、平成28年3月末時点では、使用が確認された工事は325箇所であった。
その後、別表のとおり林野庁関東森林管理局、渋川市及び東吾妻町から新たに12箇所の報告があり、平成28年9月末現在、使用箇所の合計は337箇所となった。
② 改めて、県では、環境調査が終了していない工事実施主体に対して、迅速な実施と結果の報告を要請した。
(2) 民間工事について
① 平成27年9月12日、県から大同特殊鋼(株)に対して、民間工事における鉄鋼スラグの使用箇所の解明及び環境調査を指示したところ、平成28年9月末現在、70箇所の報告があった。
② 県では、同社に対して、引き続き使用箇所の全容解明に当たるとともに、判明した使用箇所における環境調査の加速化と結果の報告を指示した。
(3) 環境への影響調査について
調査の結果、土壌汚染が確認された場合には、県が直接周辺地下水の調査を実施し、環境への影響を確認してきている。これまでの調査の結果では、地下水への影響は認められない。

2 今後の対応[従前のとおり]
① 今後とも鉄鋼スラグの使用箇所の解明を進め、新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
② 判明した使用箇所はすべて県がリスト化し、環境への影響について監視を行っていく。

***********

この文章は「廃棄物処理法に基づく調査結果を公表後、使用箇所の解明及び環境調査を進めてきたところですが、現在の状況は次のとおりです。」として、廃棄物処理法に基づく調査に関する文章であることが明示されています。

 また、今後の対応も示されており、スラグの使用箇所の解明を進めることと、使用箇所のリスト化及び環境への影響について監視を行うとして、廃棄物処理法に基づく調査を進めることが示されています。

 これらの対応は従前とおりであることも記されており、廃棄物処理法に基づく調査ばかりしていることが分かります。

■群馬県廃棄物リサイクル課は、いつまでも廃棄物処理法に基づく有害スラグ使用箇所の解明や環境調査ばかりしていないで、廃棄物処理法に基づく対策を早期に示さなければなりません。

 なぜなら
「廃棄物処理法に基づく調査」が行われれば、
  ↓
「廃棄物処理法に基づく対策」

が示されなければならないからです。

 具体的には、廃棄物は投棄した原因者により撤去させなければなりません。その際、大同有害スラグは猛毒であるので遮断型最終処分場に埋設処分しなければなりません。その後、直下の土壌について土壌汚染対策法所定の環境調査を実施しなければなりません。

 大同特殊鋼・佐藤建設工業の刑事責任が問われないと報道されましたが、このまま大同スラグが放置されて何も対策がとられなくなってしまうのでしょうか? それでは次の世代に禍根を残すことになります。

 県土各地に広く放置された大同有毒スラグが何十年後かに問題となり、大同特殊鋼が排出者責任を負わないとなるのであれば、県民の安全・安心な生活環境の保全責任を有する群馬県知事や環境部局の後継者や後輩の皆様が、遡ってご負担していただき責任とっていただけることになるのでしょうか?

 群馬県民が納めた血税で有害スラグを片づけることは決して有ってはなりません。税金の無駄遣いを排除することを活動目的とする市民オンブズマン群馬としては、微力ながら全力を傾注して、責任の明確化と実効を行政に要請し続け、この問題の安易な幕引きや先送りを抑止してまいる所存です。

【市民オンズマン群馬事務局・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料1:県の検察審査会申立断念に関する新聞報道
**********2017年4月20日上毛新聞

スラグ問題
刑事責任の追及断念 知事「行政処分しっかり」

 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)などが環境基準を超える鉄鋼スラグを不正処理したとして廃棄物処理法違反容疑で書類送検され、前橋地検が昨年12月に不起訴処分としたことについて、大沢正明知事は19日の定例会見で「検察審査会に申し立てる考えはない」と述べ、県として刑事責任追及を断念したことを明らかにした。
 県は2015年9月に同社を刑事告発したが、前橋地検は、送検された大同など3社と役員ら5人を、嫌疑不十分で不起訴処分としている。大沢知事の方針に関し、前橋地検幹部は「コメントする立場にない」とした。
 一方、県は鉄鋼スラグが使われた公共工事現場から基準値超の有害物質が検出されたことを受け、大同に使用場所の解明などを指示している。生活環境が脅かされる状況になれば措置命令を出す方針で、「行政処分はしっかりやる」と述べた。

**********2017年4月20日 朝日新聞デジタル 群馬

ニュース短信
■県、スラグ問題は検察審査会へは申し立てず

 大同特殊鋼渋川工場から出たスラグについての一連の問題で、県が同社などを廃棄物処理法違反の疑いで刑事告発し、前橋地検が不起訴処分(嫌疑不十分)としたことについて、大沢正明知事は19日の定例記者会見で「検察官の責任で判断したと思うので、県としては検察審査会に申し立てる考えはない」と述べた。
 県廃棄物・リサイクル課は「これまでの調査で関係者に違法性の意識があったとみているが、検察で証拠が不十分と判断され、新たに争うための資料を示すのは難しい」としている。

**********2016年12月23日朝日新聞デジタル

大同特殊鋼など不起訴 スラグ問題「立証困難」 /群馬県
 大手鉄鋼メーカー、大同特殊鋼(本社・名古屋市)の渋川市の工場から、基準値を超える有害物質を含む鉄鋼スラグが出荷された問題で、前橋地検は22日、廃棄物処理法違反(委託基準違反など)の疑いで書類送検された同社を含む計3社と大同特殊鋼の男性役員ら5人を不起訴処分(嫌疑不十分)にし、発表した。
 地検によると、過去の裁判例や法律の趣旨から考えて、「(スラグを)廃棄物と認定し、立証することは難しい」とした。また、男性役員らの違法性の認識についても「裁判で、スラグを廃棄物として故意に扱ったと立証できるまでの証拠が不十分」だったとしている。
 この問題をめぐっては、県が2015年9月に3社などを刑事告発。県警は今年4月、大同特殊鋼は、大同エコメット(愛知県東海市)が産業廃棄物の中間処理業の許可を得ていないことを知りながら、スラグ約2万8300トンの処理を依頼し、エコメットが処理、佐藤建設工業(渋川市)は無許可でその一部を委託収集したとして廃棄物処理法違反の疑いで書類送検した。
 不起訴処分の発表を受け、大沢正明知事は「県警は『被疑事実あり』として送検しており不起訴処分は意外。引き続き、スラグの使用箇所や環境への影響の調査を進めたい」とのコメントを出した。県は今後、検察審査会への申し出を含め、検討するという。
 大同特殊鋼総務部広報室は「皆様のご心配、ご懸念に対して、引き続き誠実に対応したい」とコメントしている。

※参考資料2:廃棄物の定義は最高裁判例が反映されています
**********2016年12月23日毎日新聞群馬版
大同特殊鋼
鉄鋼スラグ「廃棄物の証拠不十分」 大同など不起訴 地検「故意性」認めず /群馬

 「再生資材」か「産業廃棄物」か--。大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場から出たスラグ問題で、前橋地検は22日、書類送検された大同などを容疑不十分で不起訴とした。「廃棄物」と認定した県や県警に対し、大同側は「製品としての再生資材」と主張。地検の判断が注目されたが、不起訴の理由を「廃棄物だと立証するには証拠不十分だった」と説明する一方、「廃棄物では絶対ないという言い方はしない」と歯切れの悪いものとなった。【尾崎修二】
 不起訴になった法人は、大同のほか、佐藤建設工業(渋川市)と大同特殊鋼の子会社、大同エコメット(愛知県東海市)。
 廃棄物処理法で扱う「不要物」の定義をめぐっては、過去の最高裁の判例で、その物の性状▽排出の状況▽通常の取り扱い形態▽取引価値の有無▽事業者の意思--などを総合的に勘案して決めるのが相当と示された。
 県は、廃棄物処理法を所管する環境省と1年以上協議を重ねた上で、大同側が、スラグを環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷▽販売額以上の金額を「販売管理費」名目で支払う「逆有償取引」だった--などの観点から「廃棄物」と認定。昨年9月に大同など3社を刑事告発した。
 県警も、これら2要素のほか、「製品」にもかかわらず流通経路が送検された3社間のみで完結していた点などから「廃棄物」と認定し、4月に書類送検した。
 県や県警は有害性や取引形態に着目したのに対し、地検の築雅子次席検事は、「関係者の故意性(廃棄物との自覚)の認定は、証拠上困難」とした。さらに、副産物の有効利用などを促す資源有効利用促進法に言及し、「有用な副産物は材料として利用できる、という視点もある。それらの法の趣旨に鑑みて、総合的に判断した」と述べた。
 県内では400カ所以上の工事現場でスラグ使用が発覚し、130カ所以上で環境基準を超えるフッ素や六価クロムが検出されている。大同は「不良製品への対応」との名目で、調査や被覆工事の費用を負担している。大同の本社広報室は「皆さまのご懸念、心配に対し、引き続き誠実に対応したい」とのコメントを発表した。
★関係者、驚きと落胆の声
 地検の不起訴処分に、関係者の間では驚きと落胆の声がもれた。
 県警に告発していた県の大沢正明知事は「不起訴処分は意外だ。不起訴の理由をよく確認して今後の対応を決めたい。県としては、引き続き鉄鋼スラグの使用箇所や環境への影響について調査を進め、県民の安全・安心をしっかりと確保していきたい」とコメントした。
 スラグを廃棄物と認定し、書類送検した県警生活環境課の幹部は「検察の判断について何も話すことはない」と言葉少な。ある捜査関係者は「地検が疑義があるとしたのは、大同など当事者が故意性を否定していることが大きかったのではないか。残念だが、仕方がない」と無念さをにじませた。
 スラグ問題を追及してきた「市民オンブズマン群馬」の鈴木庸事務局長は「健康被害を与えるかもしれないスラグの問題で、不起訴というのは無責任だ」と不満を述べ、検察審査会に申し立てる意向を示した。【鈴木敦子、杉直樹】

■大同特殊鋼のスラグを巡る問題の経緯■
2002年4月   大同特殊鋼が大同原料サービス(現大同エコメット)と鉄鋼スラグの委託加工、売買契約を締結
  09年7月   大同特殊鋼、大同エコメット、佐藤建設工業の3社で鉄鋼スラグを混ぜた路盤材の製造・販売契約
  13年10月  渋川市が市スラグ砕石対策調査委員会を設置
  14年1~2月 県が3社の立ち入り検査を開始
     8月   大同特殊鋼が内部調査の結果などを公表
          国交省が調査に着手
  15年1月   鉄鋼スラグ協会が再発防止ガイドラインを改正
     9月   県が3社を県警に刑事告発
          県警が3社の本社や工場を家宅捜索
  16年4月   県警が書類送検
**********

※参考資料3:不起訴処分のもたらす今後の波紋
**********2017年1月25日毎日新聞 PDF ⇒ 2017n1l.pdf
記者の目
群馬・有害スラグ 業者不起訴=杉本修作(東京社会部)
環境行政、後退の恐れ


 昨年末、環境行政の今後を左右するといっても過言ではない判断が下された。大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、前橋地検が廃棄物処理法違反容疑で書類送検された同社や子会社など3社とその幹部ら5人を容疑不十分で不起訴処分とした。違法事業者を監督する全国の自治体は困惑している。前橋地検の判断は、監督に当たる職員の萎縮や悪質な業者の増長を生みかねず、今後に大きな禍根を残す可能性がある。

 鉄鋼スラグは製鉄の際に炉にたまる金属性の物質で、鉄鋼メーカーは高額な廃棄物処理費を抑えるため、破砕処理して道路に敷く砂利などに加工している。鉄の種類によっては、添加された化学物質がスラグに残留し環境汚染の要因になる。

 2013年6月、渋川工場から出されたスラグに、発がん性物質の六価クロムや骨の病気の原因となるフッ素が含まれていることが判明し、群馬県内の自治体が調査を始めた。県は15年9月、スラグを許可なく資材に加工したことが廃棄物処理法違反にあたるとして県警に刑事告発し、その後県警が書類送検した。これまで県と市町村が調査した工事の3分の1に当たる134カ所で環境基準を超える有害物質が検出され、このうち86カ所で周辺土壌への汚染が確認された。私は問題発覚から3年間取材し続けた。

国と県熟慮の末、刑事責任を追及

 捜査の最大の焦点は、スラグが廃棄物か否か--だった。廃棄物でなければ、そもそも廃棄物処理法の適用を受けることはなく、逆に廃棄物であれば、資材に再利用するには、法で定める資格や許可を受けなければならない。

 大同はスラグが汚染の原因となったことを認め、16年3月期の決算で対策費として53億円の特別損失を計上する一方、刑事責任については否定した。これまで同社は、スラグを「有価物」と呼び、廃棄物処理に必要な法的手続きを取っていなかった。

 これに対し、環境省は廃棄物の定義に五つの基準を設けて、有価物を装った違法なごみ処理の取り締まりを全国自治体に喚起している。群馬県は環境省と実に1年以上にわたって協議し、このスラグを有価物を装った廃棄物と認定した。環境基準を超える有害物質が含まれていることを知りながら出荷した上、「販売管理費」などの名目で販売額以上の金額を買い手に支払っていたことなどが理由だ。

地検の判断に戸惑う自治体

 この判断に、前橋地検は異議を唱えた。築(ちく)雅子次席検事は昨年末の記者会見で「廃棄物というには疑義がある」として不起訴処分を発表した。ただ、その根拠は「総合的に判断した」と述べるだけで、「証拠関係にわたる部分はお答えできない」として明らかにしなかった。資料を公表し、客観的な基準を基に説明した県の姿勢とは対照的だ。処分決定の前、ある県関係者は「仮に不起訴にするにしても、県の判断をある程度尊重してくれるはずだ」と話していたが、今は落胆しながらこう話した。「例えば、有害物質の検査について、我々は大同の検査回数では不十分だと考えており、実際に大同は基準を超えるスラグを拡散させた。しかし、地検の担当者は『一応検査はやっている』と評価する。問題のとらえ方が完全に違っていた」

 群馬のスラグ問題は、監督官庁である全国都道府県の担当者も固唾(かたず)をのんで見守っていた。結果を受け、複数の担当者は「何が駄目だったのか。地検の説明では大事なことが分からない」と戸惑いを隠さない。中国地方の担当者は「これまでグレーゾーンについては、廃棄物と判断するよう環境省から言われてきたが、今後はこうした指導が変わるのか」と声を落とした。

 渋川工場のスラグの処理は、別の問題もはらんでいる。大同はスラグに含まれる有害物質が検査で基準値を超えないよう天然砕石と混合していた。大同と共に不起訴処分となった建設会社はこの処理を担当し、同社の社長は私に「毒でも薄めれば安全になる」と言い放った。しかし、有害物質がなくなるわけではなく、環境省もこうした「希釈処理」を認めていない。地検の判断はこうした処理にお墨付きを与えたと受け止められかねず、日本環境学会顧問の畑明郎元大阪市立大大学院教授は「悪質な処理が横行する可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 資源の再利用は大切だが、そのためにこの国の環境が汚されてはならない。私は地検が、環境行政のあり方を理解したうえで処分を決めたのか疑問に思う。行政の監視が後退しないことを切に願う。
**********

※参考資料4:メガソーラー造成地の土壌における基準値超えのフッ素汚染の実態

**********2016年9月16日毎日新聞群馬版 PDF ⇒ 2016n0916vey.pdf
榛東村 5カ所でスラグ使用
最大7倍のフッ素 広報に結果公表

 大手鉄鋼メーカ―「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、榛東村の5カ所の工事で、この鉄鋼スラグが使われ、最大で環境基準の約7倍のフッ素が検出されたことが村の調査で分かった。村は16日配布の村広報に結果を掲載し、今後の対応を県と協議する。
 村によると、スラグが使われていたのは、「ソフトバンク榛東ソーラ-パーク」と「白子の海ソーラーポート」の太陽光発電所2カ所のほか、キャンプ場などがある「創造の森」入口付近、茅野公園の駐車場――など5カ所。発電所と創造の森ではスラグ砕石がむき出しになっている。
 フッ素の環境基準は、含有量で1キログラムあたり4000ミリグラム以下、溶出量で1リットル当たり0.8ミリグラム以下。ソフトバンク榛東ソーラーパークはソーラーパネルの外側で、土壌中のフッ素溶出量が最大で基準の約7倍だった。ソフトバンクによる調査では、パネル内部でも最大で6倍超。白子の海ソーラーポートでは路盤材のフッ素溶出量が2.5倍だった。村はソフトバンクや「白子のり」を製造する白子とも対応を協議する。
【尾崎修二】
**********

※参考資料5:群馬県内の廃棄物行政の監督官庁は群馬県です。群馬県の決定に影響を与えられるのは裁判所のみでなければなりません
■環境省の説明をご覧ください。第187回国会 経済産業委員会 第8号(平成26年11
月12日)において塩川委員の質問に答えた(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)鎌形 浩史政府参考人の話です。
**********
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818720141112008.htm
○鎌形政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の鉄鋼スラグが廃棄物に該当するか否かという点でございますけれども、個別具体的な判断につきましては、産業廃棄物の適正処理に関する指導監督権限を有する、この場合ですと群馬県において適切に判断するということになりますが、その判断の考え方について申し上げますれば、物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断するということになります。
 御指摘の土壌環境基準については、そのうち、物の性状の判断の要素ということになるということでございます。
**********


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アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・第3回口頭弁論で提出を約束した原告準備書面(2)を提出

2017-04-22 00:39:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専の電子情報工学科を舞台に発生した陰湿極まるアカデミックハラスメント(アカハラ)事件。この忌まわしい事件に関連する情報公開請求に対して、群馬高専側が存否応答拒否を含む完全不開示決定をしたため、当会は異議申立てを経て1年ほどかかってようやく群馬高専側の存否応答拒否を引っ込めさせました。そこで再度、群馬高専側にアカハラに関する情報開示請求をしたのですが、またもや全面不開示処分とされてしまいました。当会は現在、群馬高専の上級機関である国立高等専門学校機構を被告として、不開示処分取消請求のための行政訴訟を行っています。その第3回口頭弁論が、2017年4月14日(金)11:30に東京地裁5階の522号法廷で開かれました。その時の訴訟指揮に基づき、当会は4月21日付で次の内容の原告準備書面(2)を東京地裁と被告の国立高等専門学校機構=群馬高専に郵送で提出しました。

*****送付書兼受領書*****PDF ⇒ tei2j2017.x.xx.pdf
         送付書・受領書
〒104-0061
東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
被告訴訟代理人 
弁護士 木 村 美 隆 殿
                      平成29年4月21日

                〒371-0801
                 前橋市文京町一丁目15-10
                 原 告  市民オンブズマン群馬
                      代表 小川 賢
                 TEL 027-224-8567 / FAX 027-224-6624

             送  付  書

 事件の表示 : 御 庁  平成28年(行ウ)第499号
 当 事 者 : 原 告  市民オンブズマン群馬
         被 告  独立行政法人 国立高等専門学校機構

 次回期日  : 平成29年5月26日(金)午後1時45分

   下記書類を送付致します。
       1 原告準備書面(2)          1通
       2 証拠説明書(甲8~13)       1通
       3 甲号証(8~13)         各1通
                             以 上

--------------------切らずにこのままでお送り下さい--------------------

           受  領  書

上記書類、本日受領致しました。
                       平成29年 月  日

           被 告  独立行政法人 国立高等専門学校機構
                被告訴訟代理人
                  弁護士

東京地方裁判所民事第3部B2係(佐藤春徳書記官殿)御中 :FAX 03-3580-5706
市民オンブズマン群馬事務局(事務局長 鈴木庸)あて :FAX 027-224-6624

*****原告準備書面(2)*****PDF ⇒ 20170421o2.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第499号 法人文書不開示処分取消請求事件
原告  市民オンブズマン群馬
被告  独立行政法人国立高等専門学校機構

                       平成29年4月21日
東京地方裁判所民事第3部B2係 御中

             原告準備書面(2)

                        原告  市民オンブズマン群馬
                            代表 小川 賢

 平成29年4月14日の第3回口頭弁論を踏まえて、平成29年4月7日付の被告の準備書面に対する反論を次のとおり陳述する。

第1 被告の「準備書面」の中の「1 法第5条1号ロについて」について
 本事案に関わる文書の開示は、アカデミックハラスメントによる被害者の権利・利益保護のために必要であると認められるため、法第5条1号ロによって被告はかかる文書を開示すべきであるという原告の主張に対し、被告は1の(2)および(3)において後述する反論を行った。よって原告はこれに対し以下のとおり、あらためて反論を行う。

1 被告準備書面1の(2)について
 被告は「しかし原告の上記指摘は、一般論にすぎず、その内容が当をえているかどうかにも議論の余地があろう。これに対し、本件開示請求にかかる文書が、法5条1号ロの『人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報』が不開示の除外理由に当たるかどうかの判断は、当該情報にかかる個人の権利利益よりも、人の生命、健康、生活又は財産の保護の必要性が上回るかどうか、という比較衡量・・・(中略)・・・となることは、きわめて当然である。ハラスメントに係る事実の有無が、加害者とされる側、被害者とされる側双方にとってプライバシーのなかでも秘匿性の高い情報であること、これに対して、ハラスメントの事実の有無の調査等は人事管理に関する事項として被告ないし群馬高専が対応すべき事柄であり、文書開示と生命等の保護に関連性がないか、きわめて低いことは、上記の具体的な比較衡量にもとづく主張であり、文書を非開示とすることによりハラスメント事案を隠蔽しようとしているとの原告の指摘は、まったく当たらない。」と主張する。

 この箇所について、原告は次の通り反論する。

 被告は「原告の主張は一般論であり、具体的事柄ではない」ことを理由に法第5条1号ロの適用は受けないと主張する。しかし、原告準備書面(1)に示した通り、ハラスメントの被害者らが被告に対し直訴を行った際の告発文書はすでに被害者側関係者の手により原告に提供されたうえでインターネット上にもアップロードされており、原告はこの告発文書の内容について容易に確認することができる。これらの文書については、具体的な個人情報に関わる箇所を原告により削除したうえで、甲11号証、甲12号証として提出する。これらが作成され、被害者らから被告に提出された経緯は、準備書面(1)の第4にて説明した通りである。
 そして当該告発文書上には、全頁にわたって、被害者らがアカデミックハラスメントによって学校に通うことができなくなったり、精神に異常をきたし精神科通いを余儀なくされたり、自殺未遂にすら至っているという状況が生生しく記載されており、これは一般論でも想像でもなく、厳然たる具体的事実である。
 また、原告準備書面(1)にて反論した通り、開示請求から1年半が経過してしまったことに対しては被告側が行政手続きにかかる時間を利用して幾度にもわたる時間稼ぎを繰り返した結果であり、仮に被告がそれを意図していなかったとしても、ハラスメント事案からすぐに開示請求を行っている原告側には何ら落ち度は無いうえ、このような状態にまで至った被害者らの精神的な損害は1年半程度で消えて無くなるような性質のものでは決してなく、直ちに回復されなければならない。
 これに加えて重要なのは、ハラスメントによって生じた社会的・金銭的なものを含めた損害や逸失利益については、被告から一切の補填が為されておらず、現在も損害が与えられたままになっていることであり、これらも直ちに補償・回復されなければならない。
 そもそも、「1年半が経過したから問題は風化している」ということを、ハラスメント事件の発生を許し何の対策も行わず放置した被告が主張すること自体、一切の説得力を持ち得ず、被告のその主張は、時効を待って逃亡生活を続けた犯罪者のそれと何一つ本質的に変わるところはない。人を教え導く機関であるはずの被告ないしは群馬高専から、そのような非倫理的な主張が発せられること自体が極めて異質である、ということをこの際、強く指摘しておかなければならない。
 さらに、当然ながら、被告である群馬高専、および被告代理人は開示請求対象文書の内容をすべて把握しているはずであり、熟読したうえでその内容について検討を加えているはずなのであって、その上でなお「被害者の生命・健康や社会的・金銭的利益が脅かされているという原告の主張は一般論である」などという旨の主張をするのは審理に対する著しく不誠実な態度であると言わざるを得ず、明らかに失当である。

2 被告準備書面1の(3)について
 被告は「なお、被告および群馬高専では、教職員を懲戒処分にした場合にはその旨の情報を提供することとなっているところ、平成26年4月以降に、群馬高専のハラスメント事案に関して情報提供を実施した事実はない。このことからも、開示請求①から③に係る書面には、懲戒処分となりうるようなハラスメントの事実は記載されていないことが伺われるのであり、同書面には『人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報』は記載されていないことは、この点からも明らかである。」と主張する。

 この箇所について、原告は次の通り反論する。

 「懲戒処分が行われなかった」から「懲戒処分となり得るようなハラスメントの事実が記載されていない」という被告の主張は、甚だしい論理の飛躍である。処分の決定が被告ないしは群馬高専の恣意的な判断に委ねられる以上、当時加害者と目される人物によって、一般的に懲戒免職に値するような極めて悪質な行為が行われたとしても、懲戒処分が一切行われないという場合の存在も十分に想定され得るのであり、実際にそうであっただけの話である。つまり懲戒処分が行われなかったことをもって、当該ハラスメントが常識的観点に照らして無害であったと結論付けることはできないのである。
 そもそも、懲戒処分の有無は当時被告ないし群馬高専が主観的に判断したものであり、他方で「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」かどうかは被告ないし群馬高専の価値観から離れて客観的に評価されなければならないのであって、この二者を同種であるかのように論ずるのは誤謬も甚だしい、と断じてよい。それにも関わらず、被告の主張は「懲戒処分が行われなかったから、人の利益権利を著しく侵害するようなハラスメントの事実はなかった」と言うに等しく、詭弁と断じてよいと言える。したがって、ここで被告が言う主張は、著しく失当であると言わざるを得ない。
 さらに、原告が確認できる限りにおいて、ハラスメントの加害教員は著しく倫理に反した非行行為を幾度にもわたって為しただけでなく、違法行為すら行っていると考えられる。
 具体例をいくつか抜き出して挙げると、パワーハラスメントによって同僚や学生を精神科通いに追い込み、自殺未遂すら発生させた(甲11号7頁、同11~14頁など)ことは明らかに暴行あるいは傷害罪の構成要件を満たすものである。また、職務に関して知り得た女子学生の住所と言った個人情報を、その女子学生との個人的関係を作るために私的利用した行為(甲12号7頁)は、明らかに独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「保護法」)52条に違反している。(甲第8号証)
 これらの違法行為は、親告罪でないものも含まれ、加害教員に懲役や罰金刑といった刑事罰が与えられてしかるべきほどの悪質な行為である。こうした違法行為、および加害教員がなした非常に悪質な非行行為は、人事院が定めた懲戒処分に対するガイドライン(甲第9号証)と照らし合わせても、最低でも停職・減給・戒告処分に相当する。にも関わらず、被告はこうしたガイドラインが義務ではないことを利用し一切の懲戒処分を科さなかった。また、甲11号証10頁からも、加害教員の行為が明白にハラスメントであると客観的に十分認識されうるほど悪質なものだったにも関わらず、被告が一切実効的な対応を取らなかったことがうかがえる。このように具体的事実と照らし合わせても、「懲戒処分がなされていないから加害教員の行為に問題はない」とする被告の主張には何一つとして正当性は認められない。

第2 被告の「準備書面」の中の「2 法第5条1号ハについて」について

 被告は、「しかし、開示請求の対象文書が公務員が職務上作成したものであり、その内容が公務員の公務に関連する情報であったとしても、当該情報の内容によっては、『個人に関する情報』に該当することは、前記裁判例のとおりであり(乙4)、この裁判例の判断は独立行政法人の職員が職務上作成した文書についてもそのまま当てはまるものである。開示請求①から③にかかる文書が、個人に関する情報としての不開示情報(法5条1号柱書)が記載されたものであり、被告がこれを理由として不開示決定処分をしたことは前記のとおりである。原告は開示請求①から③にかかる文書が、公務員が職務上作成した文書であることを主張するが、公務員が職務上作成した文書であることと、当該文書に個人に関する情報としての不開示情報が含まれることは両立しうるのであり、原告の主張は失当と言うほかない。」と主張する。

 原告はこの項について、4月14日の第3回口頭弁論に基づき、被告からの「公務の遂行に係る情報」についての追加反論を踏まえたうえで、反論することとしたい。ただし、審理の参考として、被告の追加反論を踏まえない状態での反論を二重線処理のうえ以下に示しておく。

 公務員あるいはそれに準ずる立場の者が公務中になした行為について、公務員のプライバシーとして不開示が認められるのは、プライバシーの保護の必要性が開示することによる公益上の必要性を上回る場合のみである。被告の提示した乙4号証においても、東京地裁は「したがって、本件条例九条二号本文の定める個人情報が同号ただし書ハに該当するか否かについては、個人のプライバシー保護の必要性と当該情報が記録された公文書を開示する公益上の必要性を比較衡量することによって、これを決すべきものである。」(乙4号証13頁)としている。そして、東京地裁がこの事件に関して当時不開示という判決を下したのは、かかる非違行為を行った者に関する情報を開示することによる明白な公共的利益が認められなかったためである。
 しかし本事件の場合、明白な被害者が存在し、事件については一切の実効的解決をみておらず、上述の通り被害者の権利・利益は今も侵害され続けているという点において、水道局職員による談合などとは明らかに性質が異なる。
 被告は、「ハラスメントの事実の有無の調査等は人事管理に関する事項として被告ないし群馬高専が対応すべき事柄である」と繰り返し主張している。一次的には被告の言う通り、調査から対応、処分までを被告ないし群馬高専が対応すべきであるかもしれないが、一連の対応は被告ないし群馬高専の良心に委ねられているということを忘れてはならない。
 被告ないし群馬高専の良心に任せた結果、明らかに間違った裁定がなされ、特定個人らの人権が蹂躙されているのであり、さらに、「群馬高専と被害者」という二項対立の図式のままでは事態の解決が一切見込めないのであるから、二次的な対応として第三者の目が入れられなければならないことは自明の理である。前述の第1の2に次いで繰り返すが、被害者に関しては重大な精神的苦痛・経済的損害が生じていたし、生じているのであり、これらは直ちに回復されなければならない。
 回復されるためには、被告ないし群馬高専がその自浄作用によってかつての対応や処分を再検討せねばならないが、その自浄作用の発動が現時点で認められず、期待されない以上、第三者により問題点が把握され、整理された上で、被害者の同意のもと世間一般に広く事件の問題点が認知され、被告ないし群馬高専に働きかけが行われなければならない。そして、それを行うにあたって、被告の情報開示が必要とされるのである。
 さらにハラスメントの加害者は、極めて悪質な非行行為のみならず、重大な違法行為にまで手を染め、さらに一切の処罰を受けていないのであるから、この事件に関してはすでに群馬高専という一機関が対応できる範囲を大きく逸脱しており、場合によってはしかるべき法務機関が対応する必要があるのは明らかである。しかるに被告ないし群馬高専が、事件に関する情報の一切を不開示とし、事件の存在自体を公的に認めないことにより、市民の手による刑事告訴が困難となっているのであるから、隠された犯罪の追及という面でも、開示の公益上の必要性は明らかである。
 また、重大な非違行為をなし、しかも何ら処罰を受けなかった人間が教鞭を取り、学生たちを教え導く立場にあるという今の状況自体が、それこそ青少年の育成に極めて有害であると言わざるをえず、この状況を是正することが、公益にかなっているのは言うまでもない。
 加えて言えば、被告ないし群馬高専は、そもそも日本全国から来た15歳の少年・少女たちが5年、あるいは7年もの期間、人生を預けることとなる「教育機関」であることを忘れてはならない。その公共性およびそれに要求されるハラスメント事案への厳しさは、公務員である職員しか所属し得ない水道局などとは比較にならないほど異なるのであって、ゆえに決して他の公共機関や行政法人と同列にその性質が語られ得るものではない。
 ハラスメントなどの存在を一切外部に見せない上に改善もなく、一方で「綺麗な群馬高専」しか見せずに入学を促すというのは、15歳の中学生たちやその保護者たちをあまりに愚弄しているというほかない。
 被告ないしは群馬高専のハラスメント問題が何一つ解決をみておらず、再発防止が一切保証されていないこの状況下では、何も判断の機会が与えられないまま入学した新入生が次なるアカデミックハラスメントの被害に遭う可能性は十二分に想定され得ることである(この「可能性」は、特定人物を対象とするものではないが、「公益性の証明」という点では十分である)。
 そのような悲劇が起こらないようにするためにも、最低限ハラスメントの実態が開示され、入学を検討している中学生とその保護者、あるいは進学指導を行う学校関係者・塾関係者の判断材料とされなければならない。この観点からも、開示は公益にかなっているとみることができる。


第3 被告の「準備書面」の中の「2(ママ) 部分開示について」について

1 被告による関係者らに対する開示への意思確認連絡の義務
 被告の主張を検討する前に、本事件に関しては、被害者から見た自己に関する情報のコントロール権について論ずる必要がある。プライバシーに関する権利とは、一般的にみだりに自己に関する情報を公開されない権利と捉えられるが、逆の側面から見れば、自己に関する情報の公開を自分で決定する権利でもある。つまり、「公開されない自由」があれば「公開する自由」もあるということであり、この自己情報コントロール権の考え方は、保護法9条2項の1にも反映されている。当該項においては、独立行政法人等は個人情報についてその「本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき」において外部に提供ができることになっている。(甲第8号証)原告の求める開示は外部への提供の一種であるから、当然、開示に際して、個人情報の属する本人の同意があれば開示可能であるということになる。
 これに関して、原告は準備書面(1)において、不開示処分にプライバシーの属する関係者ら、特に被害者らの意思が反映されているのか甚だ疑問であること、開示に同意ないしは開示を希望する関係者が存在した場合、全面不開示処分は自己に関する情報のコントロール権の侵害であり、プライバシーの属する当人の意思を完全に無視した「プライバシー保護」は詭弁以外の何物でもないことを指摘した。この点は不開示決定処分の妥当性を考えるうえで最重要の論点のひとつであるはずだが、被告は準備書面において一切触れていない。
 また、群馬高専にて発生した「寮生連続不審死事件(原告側呼称)」についての情報開示を原告が被告に求めた際は、原告から特段の要求がなくとも被告はプライバシーの属する3遺族に対しそれぞれ開示の意志と範囲を確認する作業を行っていることから、被告は法人文書開示にあたってのプライバシーの帰属者への意思確認義務の重要性を理解しており、それが実行可能であることを理解しているはずである。にも関わらず、本件については意図的にプライバシーの帰属者へのコンタクトの必要性を無視している。
 この点を考えれば、被告はまず、開示請求対象となっている文書にプライバシーの記載されている関係者ないしは被害者らに対し、氏名等といった核心的な個人情報を除いた自身に関わる記載について、開示してよいか、どの程度まで開示してよいかを確認する作業を行わなければならない。特に開示の意志を確認しなければならないであろう関係者の数は当会の調べによって確認されている限りでは30~40人に満たず、その全員に対して被告は連絡先を保有しているのだから、ヒアリング調査は全く不可能なことではなく、被告の業務に深刻な影響を与えるものではないと断言できる。
 そのうえで、かかる関係者が全員、開示を全面拒否すると発言したのであれば、被告の行った開示請求②対象文書の全面不開示処分にも正当性が認められるかもしれないが、1人でも開示に同意する関係者が存在したのであれば、その人物にかかる箇所は開示されなければならない。不特定多数の、あるいは調査不能なほど膨大な数の対象について調査を行うわけではなく、多く見積もって1学級程度の人数を対象に意思確認を行えばよいのだから、原告の主張は被告に悪魔の証明を強いているわけでも何でもない。
 加えて、行政機関個人情報保護法第8条第2項第1号あるいは保護法第9条第2項第1号に規定される本人同意の確認は、本人が当該保有個人情報の利用目的以外の利用・提供の内容について認識することができるよう適切に行われるのであれば口頭で行ってもよいことになっている(甲第13号証)。つまり極端な話、電話連絡のみでも本人の意思確認を行うという目的は達成され得るのであり、それすら意図的になしていない被告の行動は、著しく道義的責任を無視したものと言わざるを得ない。
 なお、原告の調べによって、すでにハラスメント被害者である元教員・学生らのうち複数名が、すでに氏名等といった核心的な個人情報を除いた自身に関わる記載についての開示に同意ないしは開示を希望していることが確認されている。なお、この事実については、それこそ「プライバシー」の観点からそれを証明する署名捺印の類を法廷に提出することは不可能であり、したがって原告は具体的に誰が同意しているのかを被告に示すことはできない。しかし開示請求対象となっている文書や関係者の連絡先は当然のことながらことごとく被告が保有し、自由に閲覧できる立場にあるのだから、被害者・関係者への意志の確認義務・証明義務はむしろ被告の側にある。
 また、保護法9条2項の1の例外但書として、本人または第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められる場合が定められている。これについては、どのような場合が「不当な侵害」にあたるのかを考える必要がある。「不当」というのは、この場合、「本人が予期していない、理不尽な事象であること」を指すと解してよい。しかし、本人が自身に関する情報の提供に同意した時点で、そのリスクについても承知している、と考えるのが妥当である。つまり、被害者らあるいは関係者らがすでに全員成年であり、自己に関する健全な判断力はすでに備わっていると見做される以上、その判断は行為の意味と生じ得る結果を理解したうえでなされたものとして尊重されなければならない。もし妥当でないにしても、意思確認連絡の際に、想定され得るリスクに関する説明を挟めばそれでよいのであるから、いずれにせよ、プライバシーの帰属者に対する「不当な」権利侵害は回避され得ると考えてよい。またこのことから、当該但書は2項の1よりは2~4を主眼に置いたものであると解される。
 一方で、第三者に対しても、この場合特定の第三者に具体的な被害が生じる場合を想定していると解するのが妥当である(例えば、日本のどこかに居住する市井の個人であり第三者が、偶然開示情報を見て不愉快な気分になる、という可能性も完全に否定され得るものではないが、そのような場合についてまで考慮するのは明らかに無意味である)。そして本件開示請求対象文書について見ると、後述の通り、プライバシーが帰属し、開示に同意する当人以外の関係者を特定不能にする形で情報を明らかにするのであれば特定個人に具体的損害は起こりえないこと、また百歩譲って特定の第三者の利益が具体的な形で侵害されるとしても、それはプライバシーの属する本人あるいは公共の利益と比較衡量されるべきであることを考えれば、やはりこの但書によって被害者らの自己情報コントロール権は制限され得ないのである。
 ここで、当事件との比較対象となる事例として、長崎地裁平成18年2月21日(公文書不開示処分取消請求事件)の判例がある(甲第10号証)。この事件における原告A(第三者のNPO法人)は、この事件における被告のB高等専門学校に対し、学内でのセクシュアルハラスメントに関する内部調査報告の開示を求めた。しかしここで長崎地裁は原告Aの請求を棄却した。この判断のポイントとなったのは「1、原告Aの行動はセクシュアルハラスメント被害者の了解を得ておらず、この事件の被害学生Cは原告Aの行動や報道を不快に感じており、開示を望んでいない旨を被告Bが聴取済みであったこと」および「2、個人情報審査会により、当該文書に記載された情報は『全体として』権利利益侵害情報であって,不開示とすることが相当であり、部分開示を行うことができないという答申書が発行済みであったこと」の2点である。長崎地裁は、記載内容から被害者Cを特定可能であることから、個人利益侵害情報にあたると認定して法第7条に関わる請求を退け、続いて審査会答申書と被害学生Cのプライバシーの観点から法第6条に関わる請求を退けた。この判例で重要なのは、あくまで被害学生Cの意志と権利を尊重し、全面不開示としている点である。つまり、情報を開示すること自体がプライバシーの帰属する当人の了解を得ておらず、不快の念を生じさせその利益を侵害させる可能性があるからこそ、長崎地裁は比較衡量の上でこの判決を下したのであり、これができたのは、被告Bが被害学生Cの意志を確認し、それが開示を一切望まないものだと聴取するというプロセスをしっかりと経たからである。また、この判例において、長崎地裁は、行政法人の職員である加害者に関わる情報開示の可能性については認めているものの、あくまで開示を拒否する被害者とのプライバシーの兼ね合いを考慮し不開示が妥当としているのであって、公務員あるいはそれに準ずる立場の者である加害者のプライバシー保護はこの判決に一切影響を与えていないことも特筆すべき点である。
 翻って当事件に関する状況を見れば、原告が確認している限り、被告は本準備書面提出日に至るまで被害者や関係者に対し何ら確認の連絡を取っていない上、開示に同意する関係者の存在までもが確認されており、全面不開示処分は著しく不合理であると言わざるを得ない。不開示が認められた類似事例においてですら、被告Bはプライバシーの帰属者への意思確認という極めて当たり前の道義的責任を果たしているのであって、当然本事件の場合もこれは被告の義務であると解されることができ、被告はただちにこれを行うべきである。加えて言えば、本件対象文書に関しては、個人情報審査会から部分開示を行うことができないという答申書が発行されてもいない。
 
2 被告準備書面2の(2)について

(1)開示請求②に係る文書についての全面不開示処分の妥当性の検討
 被告は、「しかし、開示請求②にかかる文書は、申告者が(ママ)、被申告者のハラスメント行為とされる行為の内容やその経緯、申告者の説明する被害内容や、他の当事者に関するハラスメントとされる行為の内容が記載されており、個人に関する情報に関わらない部分の記載はない。」と主張する。

 原告は次の通り反論する。

 被告の提出した判例(乙4号証)において、公務員あるいはそれに準ずる行政法人の職員がなした非違行為そのものも不開示情報に該当する理由として、東京地裁は「たとえ、その職員の氏名、住所等を秘密にしたとしても、開示された情報内容そのものから、あるいは右情報内容と水道局の組織規定や職員録等の他の情報とを組み合わせることにより、特定の個人が識別される可能性があるのであるから、原告が本件開示請求により求めた情報であると主張する右の情報は、本件条例九条二号本文の定める個人情報に該当するものというべきであり、被告としてはこれを開示しないことができるものである。」(乙4号証16頁)と説明している。
 つまり、行為についての記載そのもの、あるいは行為についての記載と当該機関が発行した他の公的書類を組み合わせて特定個人を識別可能である場合に、行為についての記載は個人識別情報と見做され得るのである。
 しかし、原告が開示請求②に係る文書を確認する限りでは、記載されている行為自体は被告ないしは群馬高専のどこでも起こりうる、またどの教員も起こしうるものであると解される。つまり、「研究室に監禁し、長時間にわたる罵倒を行った」「指導学生に対し、人格否定を行った」「同僚に対して脅迫・強要をなした」といった情報が記載されていたと仮定して、それは被告ないしは群馬高専の全学科・全教員に当てはまり得る事柄である。つまり、加害教員に関してその氏名と役職、加害教員と被害者に関してその所属学科を墨塗りした場合、行為者についてはすでに特定個人として識別不能であるということを指摘しなければならない。このことは、原告が自ら個人情報に関する墨塗り処理を行っている甲11号、甲12号証を見ても明らかである。
 もちろん、開示請求②に関わる文書の中には、特定人物でなければあり得ないような特徴・行為についての記述がある可能性もあるが(例えば、特定学科や特定人物しか参加・関与し得ない事柄に関連してハラスメントが起こった場合など)、それらについては、該当記述箇所ごとに個別に判定され、特定を防ぐ範囲で最小限削除されればそれでよいのであり、一概に個人識別情報であるとする被告の主張は失当であると言わざるを得ない。
 また、ハラスメント行為の具体的内容については、それを受けた被害者側にとってもプライバシーであると認定される可能性もあるが、上述の通り、プライバシーであるならば被害者の自己情報コントロール権の下に置かれるという解釈が妥当であるから、当然、被告は被害者に対し該当箇所の開示への同意の意志を確認し、かかる人物が開示を全面的に拒否した場合にのみ、不開示とすることが妥当であると解される。よって、被害者の意志を一切確認せずに、帰属者とその意志から切り離された「プライバシー」を振りかざし全面不開示とする被告の行為は明らかに失当である。
 さらに、告発文書は、被告の陳述する通り、基本的に「加害教員がなした行為」と「被害者の被害状況」が記載されているが、特に、被害者の被害状況は別個に章立てされている箇所もあり、その箇所においては加害教員の具体的な行為については言及されていない。
 すなわち、百歩譲って加害教員がなした行為を開示することが加害教員の個人利益を害するがゆえに不開示情報にあたるとして、それでもなお、氏名・生年月日等の核心的な個人情報を除いた被害者の被害状況を記した箇所については、加害者のプライバシーの及ばぬ範囲であると認定され、かかる人物の同意あるいは希望がある場合には開示されなければならない。
 なお、被害者の被害状況までもが加害教員のプライバシーと見做された場合、例えば個人Aが個人Bを殴り、怪我をした個人Bが病院に行ったという事例があったとして、個人Aが個人Bに「病院に行ったという事実単体でも私個人のプライバシーだから他人には言うな」と命令するようなものであり、このような明らかに不当な事例が正当に成り得てしまう。類似の拡大解釈はいくらでも成り立ち得ることから、これは現代日本の法制に対する重大な挑戦ですらあり、被害者の被害状況単体の開示はあくまで被害者の一存によるものと解されざるをえない。

(2)開示請求③に係る文書についての全面不開示処分についての妥当性の検討
 被告は、「開示請求③にかかる文書も、関係者から聴取した結果として、ハラスメントとされる行為の経過や当事者が記載されていることは、上記開示請求②にかかる文書と同様である。開示請求③にかかる文書には、このほか調査に至った経緯や調査担当者、調査方法と調査結果に関する記載があるが、これらにも関係当事者の氏名や具体的な聴取内容が記載されており、個人に関する情報が渾然一体となって記載されているので、不開示情報が記録されている部分を容易に区分することはできない。また、開示請求③に係る文書は、法5条4号へ『人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ』のある情報が記載された文書であり、その記載はいずれも人事管理に関する事項として一体の内容をなすものであるから、記載内容はいずれも人事管理に関する不開示情報に該当すると解すべきである。」と主張する。

 原告は次の通り反論する。

 そもそも開示請求③にかかるようないわゆる内部調査書類が「公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのある文書」とされる理由は、乙4号証も踏まえて噛み砕いて言えば「外部に開示しないことを条件の1つとして調査に同意し、情報提供を行った内部の調査協力者にとって、その具体的な提供情報が無断で外部に明らかにされてしまうことは横紙破り以外の何物でもなく、また、このような前例を作りあげてしまうと、以後類似の事件が起こった場合に調査へ協力する人間が減ってしまうことになりかねず、内部調査すなわち人事に支障をきたすことになってしまうから」である。
 具体的な提供情報の開示の可否については後で論ずるとして、この事実を踏まえたうえで開示請求②に係る文書の各要素について検証していくと、まず「調査方法」については、対象者の具体的な個人情報を除けば事件の経緯に関する情報の中でも極めて一般的なものであり、開示によって人事に影響をきたすとは解されない。例えば、「何月何日から何月何日まで、教員X名、学生Y名に~といった方法で聞き取りを行った」という情報は、開示により特定個人を識別可能にする情報あるいは特定個人の権利・利益を害する情報とは認められず、また、聞き取り対象者がその開示の可否について主導権を有する性質の情報ではないことは明らかである。
 「調査に至った経緯」も、要約すれば「開示請求②にかかる文書が何月何日に被告ないしは群馬高専に提出されたことにより告発がなされたから」という以上の情報ではないと考えられ、該当文書が提出された事実についてはすでに存否応答で明らかにされており、残る該当文書の提出日時については特定個人を識別可能にする情報あるいは特定個人の権利・利益を害する情報、あるいは人事に関わる情報であるとはもちろん認められない。
 また、「調査結果」に関しては、具体的な聴取内容のほかに、被告ないしは群馬高専が導き出した結論があるはずであり、その箇所については開示されなければならない。つまり、被告ないし群馬高専は聴取内容という個々の資料を踏まえて、「個々の聴取内容を離れた総合的な判断理由」および「アカデミックハラスメントが存在したかどうかの、存在したとしてどれほど悪質かの判断」をかかる文書に記しているはずであり、これらの箇所については、前項(1)において分析したのと同じく、氏名・所属(つまり学科)・職位等といった情報を伏せれば特定個人を識別可能にする情報あるいは特定個人の権利・利益を害する情報であるとは認められないし、また開示することによって調査協力者との約束が履行されなくなることもないから、人事に関わる情報であるとは解されない。
 最後に、具体的な提供情報の開示の可否に関してであるが、この提供情報については、提供者および当該情報により言及される人物にプライバシーが帰属すると解するのが妥当であり、(1)によって説示したことに準じて、まず提供者に開示の意志を確認し、許諾した場合、次いでかかる人物に開示の意志を確認するという2段階の手順を踏めば開示可能であると解されるから、関係者の意志を一切確認していない現段階では、被告はその開示の可否を断言する立場にはないはずである。
 さらに言えば、準備書面(1)において示した通り、開示請求②にかかる文書は平成26年12月下旬と平成27年2月下旬に、2か月の間隔をあけて被害者側から被告に提出されている。一方で、開示請求③にかかる文書は1通しかないのであるから、これは暗に、被告がどちらかの告発に対しては調査すら行わなかったということを示唆している。この意味では、開示請求③にかかる文書は、たとえその作成日時や調査の実行期間だけでもハラスメントに関する被告ないしは群馬高専の対応を推し量ることができるのであり、原告にとっては重要な情報のひとつである。
 また、調査担当者に関わる個人情報の開示については原告の開示請求の趣旨にないため、その不開示の妥当性の検討は割愛する。

(3)開示請求①に係る文書についての全面不開示処分についての妥当性の検討
 被告は、「他方、開示請求①にかかる文書には、ハラスメントの加害者及び被害者とされる者の属性(所属)や、群馬高専において行った調査の機関及び概要と、学校としての対象者への対応状況が明記されているが、他に一般論として、学校としてのハラスメントに対する対応方針が記載された部分もある。後者については、個人に関する情報に関わらないものと解されるものの、『アカデミックハラスメント事件の存在及び経緯に関する情報』に関する情報公開という、原告の開示請求の趣旨からすれば、上記の後者の部分のみの開示で有意性(法6条1項但書)があるか疑問であるが、念のため不開示情報に該当する部分を抹消して、書証として提出する(乙5の1から3)。」と主張する。

 原告はこの項について、4月14日の第3回口頭弁論で裁判所によって留保となった被告の「予備的に請求の却下を求める」として部分に関連して、被告からの「予備的に請求の却下を求める」との主張を援用する追加説明を踏まえたうえで、反論することとしたい。ただし、審理の参考として、追加説明を踏まえない状態での反論を二重線処理のうえ以下に示しておく。

 被告は開示請求①に係る文書の内容を分析したうえで、不開示情報となるべき情報とそうでない情報を恣意的に区分し、さらに書証として提出することでその分類を既成事実としようとしている。しかし、まず、「群馬高専において行った調査の期間及び概要」が特定個人のプライバシーに関わるとは解されないのは明らかである。そもそも、アカデミックハラスメントないしはそうと見做され得る行為が被告ないしは群馬高専内にて行われ、それに対しての何らかの告発がなされたという事実はすでに存否応答から公的に明らかであり、何らかの調査が行われたという事実の存在も当然そこから判明し得るものであり、実際に被告ないしは群馬高専が「調査」と認識している行為が行われた事実自体は存否応答より公的に明らかである。そして具体的な聞き取り内容、聞き取り対象者の具体的氏名や所属はともかく、まず調査がいつからいつまで行われたかという情報は誰のプライバシーでもないし、さらに調査の概要についても、教員・学生何名に聞き取りを行ったか、どのような手法で聞き取りを行ったかという情報は本事件に対する極めて一般的な話であり、特定個人のプライバシーであるとは到底解されない。
 さらに、「学校としての対象者への対応状況」についても同様に不開示情報とは解されない。「対象者」が加害教員と被害者のどちらを指しているのか、あるいは両方を指しているのかについては判然としないため、以下両方の場合について検討を加えることとする。
 まず、加害教員への対応についてであるが、被告自身が説明した通り、これまでに懲戒処分は一切行われていないことから、かかる文書には人事にかかる重要情報は特に記載などされていないことになる。とすればそれ以外の非公式な形で対応がなされたことになるが、その対応の内容自体から特定の個人を識別することなど不可能であり、そもそも対応の内容自体が被告ないしは群馬高専に通う学生およびその保護者にはすでに認知されているのだから、その対応の内容を開示したところで、かかる人物に特段の不利益が生じるとは認められない。
 また、被害者についての対応についても、例えば「被害者らに学生相談室を用いたメンタルケアを行った」程度の内容であれば、本事件について行われた学校の対応の中でも極めて一般的な話をしているに過ぎず、開示することにより特定個人を識別可能にしたり、あるいは特定個人に特段の不利益が生じる性質の情報であるとは解されない。あるいは、特定人物に対し特別な対応が行われ、それが開示請求①対象文書に記載されているのであれば話は別であるのかもしれないが、原告が認知している限りでは、準備書面(1)に示した通り特定個人のプライバシーと見做され得るほどの特別な対応が行われたという事実はないし、ましてそのことが保護者に通知されたという事実もない。
 このように、被告が一方的かつ恣意的に行った開示請求①対象文書についての分析は明らかに当を得ておらず、したがって被告の「この乙5号証の1から3により、原告が開示請求①について部分開示を請求する点については、原告は訴えの利益を喪失すると考えられるので、原告の訴状、請求の趣旨1項①に関して、予備的に請求の却下を求める。」という主張は失当であるというほかない。
 また、原告の請求の趣旨は原告が提出した訴状あるいは準備書面(1)によって示されたものであり、甲1に示す情報公開請求によってはもちろん原告の請求の趣旨は示されていないわけだから、つまりそもそもの全面不開示処分に原告の請求の趣旨は加味されていないのであり、そこに今回被告が自ら乙5号証1から3を提出したことで、少なくとも情報公開請求に対し「全面」不開示が妥当であるとした被告の判断は失当であったことがすでに被告自らの手によって証明されたのである。一方で、原告は第一に全面不開示処分自体が不服であるとしていたのだから、この時点で原告がその訴えを提起したことに対して全面的に被告に対して責任を負わなければならない可能性は無くなったのであり、よって原告が被告の訴訟費用を負担せねばならない理由はすでに無くなっているとみることができる。よって、被告の答弁書における「請求の趣旨に対する答弁」の2について、却下を求める。

                     以上

*****証拠説明書*****PDF ⇒ ib813jq.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第499号 法人文書不開示処分取消請求事件
原告  市民オンブズマン群馬
被告  独立行政法人国立高等専門学校機構
 
                      平成29年4月21日
東京地方裁判所民事第3部B2係 御中

         証 拠 説 明 書(甲8~13)

                  原告  市民オンブズマン群馬
                      代表 小 川  賢  ㊞

●号証:甲8
○標目:独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(抜粋)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成28年5月27日
○作成者:国
○立証趣旨:開示の可否は被害者本人の同意の有無の確認が前提であること(第9条)。
●号証:甲9
○標目:義務違反防止ハンドブック―服務規律の保持のために―(抜粋)
○現本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年3月
○作成者:国(人事院)
○立証趣旨:職場内秩序を乱す行為として、他の者に不適切な言動等を行ったり、セクハラやパワハラなどを行ったりした場合に与えられる懲戒処分について詳説しているもの。
●号証:甲10
○標目:公文書不開示処分取消請求事件の判決文
○原本:写しの別:写し
○作成年月日:平成18年2月21日
○作成者:長崎地方裁判所民事部
○立証趣旨:同種の事件で不開示が認められた判例においては、被害者の開示に対する同意の有無が最大の判決理由になっており、被告が被害者へ開示に対する意思の確認連絡を行う必要性を示すもの。
●号証:甲11
○標目:ハラスメントに関する申立書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成26年12月24日
○作成者:被害職員
○立証趣旨:原告が入手した告発文書のひとつで、加害教師からハラスメントを受けた職員が、群馬高専の校長ら幹部及び担当部署にあてた申立書。加害教員が懲戒処分に相当する行為を行っていた事実関係、および被告がハラスメント事案に実効的な対応を一切取らなかった事実関係を示すもの。
●号証:甲12
○標目:人権・被害救済の申し立て
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成27年2月25日
○作成者:被害学生一同
○立証趣旨:原告が入手した告発文書のひとつで、加害教員からハラスメントを受けた学生らが校長あてに勇気を奮って提出した申し立て文書。加害教師が大勢の学生に対して懲戒処分に相当する行為を行っていた事実関係を示すもの。
●号証:甲13
○標目:個人情報の適正な取扱いに関するQ&A
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年4月12日以前
○作成者:総務省
○立証趣旨:行政機関個人情報保護法第8条第2項第1号あるいは独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律第9条第2項第1号に規定される本人同意の確認は、本人が当該保有個人情報の利用目的以外の利用・提供の内容について認識することができるよう適切に行われるのであれば口頭で行ってもよいことを示すもの。
                         以上

*****甲8*****
PDF ⇒ b8llij.pdf

*****甲9*****
PDF ⇒ b9hnhubnijrev1.pdf

*****甲10*****
PDF ⇒ b10.pdf

*****甲11*****
PDF ⇒ b111.pdf
b112.pdf

*****甲12*****
PDF ⇒ b121.pdf
b122.pdf

*****甲13*****
PDF ⇒ b13lk.pdf
**********

■注目の第4回口頭弁論は平成29年5月26日(金)午後1時45分に東京地裁5階第522号法廷で開かれます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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