市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

港湾都市ナホトカの過ぎゆく短い夏の日(その3)

2011-08-31 23:03:00 | 国内外からのトピックス
■既に述べたように、ナホトカ湾には、ボストチヌイ港、ナホトカ商業港、ナホトカ漁港、ナホトカ石油港の4つの港があります。なかでも1970年代にナホトカ湾内のウランゲリ湾に作られたボストチヌイ港は極東最大の港で、天然の不凍港として水深にも恵まれています。


ナホトカ湾の衛星写真。左側にあるU字型に切れ込んでいるのが古くからのナホトカ港。右側の湾の入口にあるのがコジミノ石油積出港、その上の入り江にあるのがボストチニヌイ港。
 ボストチヌイ港の貨物取扱高は2004年の時点で3650万トンにのぼり、ロシアの中では、北西部のバルチック海に面したサンクト・ペテルブルク港、黒海に面したノボロシースク港に次ぐ規模です。石炭、コンテナ、化学肥料、木材、メタノールの5ターミナルからなり、取扱量の大部分は輸出向けです。


ボストチヌイ港湾局のある建物。

 とりわけ、コンテナターミナルは、アジア・太平洋諸国と欧州諸国を結ぶシベリア・ランドブリッジの積替基地として重要です。


ボストチヌイ港のコンテナターミナル入口。

ナホトカのアメリカンカ地区にあるシベリア鉄道用コンテナ取扱クレーン。

■ナホトカ商業港はボストチヌイ港ができるまで極東の最大の港であったところで、主な取扱貨物は鉄鋼、非鉄金属です。

 ナホトカ漁港では、水産物以外にも木材や金属製品等を取り扱っている。ナホトカ石油港はロスネフチ社とアリアンス社が使用しており、アジア・太平洋諸国に輸出しているほか、マガダン州、カムチャッカ州など極北地域向けにも輸送しています。

 一方、ロシアのアジア地区のエネルギー政策の要となる大石油輸出基地としてコジミノ港の整備が着々と進められています。



パイプラインが出来るまでは、鉄道輸送が主体。100両近く続く石油タンク者を前後2連、計4連の電気機関車が牽引する。

■ナホトカには、大きな造船所や鉄構工場が存在しています。かつてソ連崩壊直後から、日本の商社と石油メジャーが主導して開発が進められたその後、ロシア政府の介入でロシア主導となったサハリン・プロジェクトでしたが、その第2期プロジェクトのため、海上プラットフォーム用採掘施設の土台建設がボストチヌイ港で2003年6月に、石油・ガスパイプラインに使用する鋼管の腐食防止のためのコーティング作業が同港のタンカー修理工場で同年10月にそれぞれ開始されました。

 2005年4月、海上プラットフォーム用採掘施設2基の土台が完成し、同年6月、進水曳航式が行われました。 筆者がボストチヌイ港を訪れた時も、巨大なプラットフォームを建造していました。ナホトカはサハリン石油・天然ガス開発の物資支援拠点となっています。


現在も、大型の浮体式石油プラットフォームがボストチヌイ港の一角で建造中。

 また、現在、ウラジオストクで来年のAPEC開催を目指して、世界最大級の斜長橋の建設が進められていますが、その橋桁もナホトカの造船所で製作され、艀(バージ)に乗せて、タグボートでウラジオストクまで毎週末運ばれています。


橋桁ブロックを製作しているナホトカ港にある造船所の岸壁。

【ひらく会情報部海外取材班・この項続く】

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港湾都市ナホトカの過ぎゆく短い夏の日(その2)

2011-08-30 23:16:00 | 国内外からのトピックス
■ナホトカは1860年まで清の領土で、当時このあたりは外満州と呼ばれていました。
もともと沿海地方には、古くからツングース系民族が居住しており、古代から中世にかけて渤海(698~926年)、金(女真族、1115~1234年)等の国家が興亡を繰り返しました。中世から近世にかけては元、明、清国等の勢力が及んだ時期もありました。


1998年にナホトカから東北に約40km離れたボエツ・クズネツォフ地区でクシリエフという学者が女真族の遺跡を発掘。その後、5年前にポターニン基金が70万ルーブル(約210万円)で公募をし、遺跡発掘活動と古代村再現、それに子ども向け自然教育をテーマに応募したグループが認められ、現在活動中。写真は、女真族をテーマにして古代村の入り口にある案内図。


女真族古代村の入り口。石器時代から、中世までの女真族の暮らしぶりを、実際に住居を模して作り、手作りの人形を配して再現している。




中世の再現家屋の中で、かまどの煙を床下に通して暖房していた再現オンドルの説明をする古代村の責任者イーゴリ氏。

再現された足踏み式米搗き器。

開村5周年記念のステージ。子どもたちの課外活動の発表用だという。

古代村からやぶ蚊に食われながら15分ほど山道を登ったところにある中世女真族の金帝国時代の街の発掘現場がある。現場を案内するイーゴリ氏。

オンドル跡を示す石の列。1軒あたりの床面積は46~50㎡。家族が平均6~8人住んでいたという。

夏場はオンドル用のかまどは不要なので、家の外に夏専用のかまどを設けた。

足踏み式米搗き器の石臼もそのまま残っている。

街は山の東南斜面に広がっていて、広さは27ヘクタール。周囲を城壁で囲み、2000人くらい住んでいたという。街跡の上のほうに、今でも滾々と湧き出る清水がある。飲んでみるとまろやかな味がした。

発掘現場は、夏はこのように木々が生い茂っているので見晴らしが良くないが冬季は落葉して遠くまでよく見渡せるという。女真族が打ち立てた金王朝は1115年から1234年まで続いたが、元に滅ぼされた。

■1850年代の前半、東シベリア総督ムラヴィヨフ・アムールスキーの支援でロシア海軍士官ネヴェリスコイが極東地域を探検し、アムール川流域に砦を建設して、ロシアの勢力が極東に進出しました。そして、1858年のアイグン条約でロシアはアムール川左岸とその航行権を得て、1860年の露清間の北京条約で、さらにウスリー川東岸を獲得し、現在の沿海地方がロシア領となりました。

 そのころ、現在のナホトカ湾の存在をロシア人が“発見”しました。1859年6月18日、嵐の中、ロシア海軍の軍艦「アメリカ」が避難用の入江を探している途中、波の穏やかなこの湾を見つけたのです。そのため、ロシア語で「掘り出し物」を意味するナホトカという地名が付けられました。

■当時は、ナホトカ湾は現在のナホトカ市街のある湾の西奥の細長い入江のことでした。湾全体は軍艦の名前をとって、アメリカ湾と呼ばれていました。ところが1972年の中ソ国境紛争後は、ロシア極東から中国語地名が排除されて、アメリカ湾内にあったいくつかの入江もロシア語に改名され、同時にアメリカ湾も、ナホトカ湾に修正されました。

 ウラジオストクからナホトカ市街に入る際に、湾を取り巻く山の峠を越えますが、ここはアメリカ峠と呼ばれていて、さらに峠を下って海岸通りにぶつかりますが、このT字型交差点付近の集落も「アメリカンカ」と呼ばれています。軍艦の名前から、1907年にナホトカの最初の集落の名前として命名されました。

 ソビエト連邦時代の1936年、シベリア鉄道のウラジオストク-ナホトカ支線が完成しました。1940年から港の拡張工事が始まり、第二次世界大戦による中断を挟んで1946年に第一期工事が完了しました。この工事には、シベリア抑留の日本兵捕虜も参加させられました。1950年にナホトカ市は市に昇格し、その後も拡張を続け、太平洋艦隊の軍港都市である閉鎖都市のウラジオストクに代わって、ソ連極東貿易の拠点になりました。


ロシアの沿岸警備隊に拿捕された日本漁船が多数、ナホトカ港の一番外側に近い消波ブロック波止場の脇に係留されている。

■冒頭に述べたように、シベリア鉄道を利用する日本人をはじめ外国人乗客はナホトカから入国し、ハバロフスクまで特別列車を利用し、ここでモスクワに向かうように決められていました。


日本とナホトカとの間には、飯野海運が貨物船の定期航路を維持している。日本から主に中古車や中古バイクなどが多く輸出されている。かつては横浜~ナホトカの定期旅客航路があったが、ソ連崩壊後は、一時、日本側は富山県高岡市の伏木富山港から定期旅客航路が出ていた。しかし、その後休航となり、現在は、鳥取県境港から韓国のフェリー会社が、韓国の東海市経由で毎週1便、フェリーを運航している。後ろの丘の上に見えるのはナホトカのランドマークともいえるロシア教会。↑ 

 1970年代、ナホトカ湾内の東部にあるウランゲリ湾において、ナホトカ港を凌ぎ、極東で最大規模のボストチヌイ港の建設が始まりました。ボストチヌイというのは「東方の」というロシア語の形容詞です。

 その後はソ連経済の停滞の影響で、1990年にゴルバチョフ政権がウラジオストクを開放したため、商業港としての地位は低下しましたが、同年、ナホトカは自由経済地帯の適用をうけました。そのため、ナホトカ港湾局での通関手続や船の登録的続きは、今でも官僚的な手続が残るウラジオストク港湾局よりずっと効率がよく、ロシアの極東における重要な貿易港として機能しています。

■シベリアと同様に、沿海州の人口も少しずつ減少しています。やはりロシア人にとっては、ヨーロッパに近いほうが落ち着くのかもしれません。そのため、それを保管するかのように中国人が経済や社会面で進出しています。

 かつては、中国が支配していたこの地域ですが、遠からず、中国人の進出で、いやおうなく中国への傾斜が進むと思われます。すでに、市場は、日常雑貨は中国製品の独壇場です。


中国資本が買い取ったナホトカ市内のホテル「遠東大楼」。 ↑

 その次に韓国製品が電化製品や食品で幅を利かせています。日本製品は中古の乗用車やバイク、ボートなどが目に付きますが、貿易量は、中古自動車の輸入制限で激減しました。にもかかわらず、ナホトカの人たちの日本への関心は非常に高いものがあります。また、日本の化粧品や紙おむつなどトイレタリー分野の需要があります。もっと日本が進出する余地は大きいと思います。


1991年のソ連崩壊前まではナホトカに日本総領事館があったが、ウラジオストクが閉鎖都市でなくなってからウラジオストクに移転した。写真は在ウラジオストク日本総領事館の入口にある東日本大震災の復興を祈ってロシアの人たちが折ってくれた千羽鶴。

 ちなみに、ロシア語で中国のことを、キタイと呼びます。これは、中国の10世紀頃まで、中国北部を支配していた民族ですが、当方に拡大を続けていたロシアにとって、最初に接した中国人は契丹人だったことを物語っています。英語で中国の旧名をCathay(キャセイ)というにも、この名残りです。モンゴル語でも、中国あるいは漢民族のことを、Hyatad(ヒャタドゥ)と呼ぶのも契丹に由来します。

【ひらく会情報部海外取材班・この項続く】

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港湾都市ナホトカの過ぎゆく短い夏の日(その1)

2011-08-28 23:07:00 | 国内外からのトピックス
■日本では幾分朝晩の気温が下がり気味で、秋の気配をわずかに感じ始めますが、まだまだ残暑が厳しい今日この頃です。一方、シベリアのナホトカでは、8月初めでも最高気温が22℃で最低気温が16℃という気候です。今回、ナホトカを数日間訪問する機会がありましたので、ご紹介します。


ナホトカ市内の公園にある1950年5月18日にナホトカが市に昇格した記念碑。

 北緯43度東経133度にあるナホトカは、日本の札幌市とほぼ同緯度にあります。時差は今年3月から夏時間が廃止され一年中、日本時間より2時間先となりました。海沿いのため、冬の気候はシベリア奥地ほど厳しくありませんが、1月の平均気温は氷点下13℃で、積雪は少なく乾いた北風が大陸から海に向かって強く吹き抜けます。



豊かな森がはぐくむ北の海は、海草の宝庫。立派な昆布が波打ち際に沢山打ち上げられている。

 夏は逆に南東の風が卓越します。モンスーン型気候ですが、年間降水量は約740mmとあまり多くなく、そのうち60%は7月から9月の間の降雨です。今回、7月中旬から8月上旬のナホトカ滞在中は、ほとんど曇りか雨でした。8月の平均気温は17℃です。


バフンウニも海岸の浅瀬にウヨウヨ。

いくら涼しくても夏はロシア人らにとって海水浴場で日光浴ができる希有な機会。

とはいえ、気温20度前後、水温が15度前後では水の中に入るにも気合いを要するので人影はまばら。上の写真はナホトカの郊外の海岸風景。

■ナホトカは人口約16.8万人(2009年1月1日現在)で、ロシア東部の沿海地方にあり、人口約60万人のウラジオストクに次いで2番目に大きい都市です。ウラジオストクから約180キロ離れており、車で3時間余りかかります。

 ナホトカまで、東京からの直線距離は約1000キロですが、青森や函館からは約400キロしか離れていません。津軽海峡を西に進めば15ノット(時速28キロ)の船だと14時間程度で着きます。

■大きな半円形のナホトカ湾を囲んで、いくつかの港が配置されています。中心となるのは、湾の西側のナホトカ市街地のある、懐の深い天然の良港となっているナホトカ港で、ここには商業港、漁業港、軍港、沿岸警備隊基地等があります。

ナホトカ市のメインストリートとしてナホトカ湾に沿って延びるナホトキンスキー大通りにある展望台から、ナホトカ湾と対岸の海軍基地や沿岸警備隊基地を一望できる。

 ナホトカ湾の前にはリシー島(ロシア語で「キツネ」の意味)があり、外洋の荒波から防波堤の役割を果たしています。

リシー島。

 ナホトカ湾内は冬季には氷が張ることもありますが厚さはせいぜい数センチ程度です。ナホトカ湾の東側の奥のウランゲル湾にあるボストチヌイ港は冬でも氷が張りません。

ボストチヌイ港。

 ナホトカ湾内にはこのほか、石油積出専用のコジミノ港があります。またナホトカ港には船の修理などを行う造船所や漁業加工基地、大手船会社が保有するタグボートなどの作業船の基地もあります。

■かつてナホトカへは、ソ連時代の1961年に横浜~ナホトカ間に定期客船航路が開設され、横浜の大桟橋から毎週定期船が就航していました。ヨーロッパに安い費用で旅行する若者にとって、ナホトカからシベリア鉄道を利用するために利用されていました。筆者の学生時代の友人にも、1年間休学して、この船にのってヨーロッパに行き、アルプスの登山をした者がいます。

 現在は、閉鎖都市だったウラジオストクが開放されたため、人口ではウラジオストクにさらに水をあけられていますが、狭く密集して騒がしい印象のウラジオストクに比べると、ナホトカは大変ゆったりして時間の流れもゆっくりと感じます。

 ナホトカの街は、主にナホトカ湾の西奥の深く切れ込んだ入江の周辺に、細長く伸びていて、海岸沿いの道路から港の様子が見渡せます。

【ひらく会情報部海外取材班・この項続く】

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首都高ローリー横転炎上事故の45億円損害賠償請求権を時効にした首都高が証明する多胡運輸の恐るべき実力

2011-08-25 23:59:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■民法709条には「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と不法行為による損害賠償責任が定められています。また、同729条には「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする」とあります。


8月25日に首都高総務グループから送られてきた情報不開示通知の入った封筒。8月24日に投函され、簡易書留郵送料380円となっている。
 平成20年8月3日午前5時50分頃、首都高速道路5号池袋線で発生したタンクローリー火災事故で首都高は、同年10月14日に上下線とも全面開通させましたが、事故発生から開通に至るまでに要した費用として復旧工事費約20億円に加え、通行止めや渋滞などから発生したと推測される25億4000万円の減収分の合計の約45億円を同年10月28日に算出しました。首都高は、「燃料価格高騰による自動車の利用控えの影響も考慮して減収分を精査する。20年度末までにすべての復旧工事を終了し、全費用が確定した後に請求する」とし、事故を起こした多胡運輸に対しては、「支払い能力のある無しにかかわらず賠償請求はきっちり行う」と宣言していました。

 それから3年が経過した先日8月3日を前に、当会では首都高に対して、本当にこの件で原因者に損害賠償請求をしたのかどうかを確認するために、情報開示を請求していました。その回答が8月25日にありました。

■首都高からの回答は、次の通り「不開示」という残念な通知でした。

**********
                          総務第23号
                          平成23年8月24日
 市政をひらく安中市民の会
   事務局長 小川 賢 様
                     首都高速道路株式会社
                      代表取締役社長 橋本圭一郎(社長印)
     首都高速道路株式会社が保有する情報の開示について(通知)
 平成23年7月27日付けで受理しました開示の求めについて、下記のとおり不開示
とすることとしましたので、通知いたします。
                  記
1 開示の求めがあった情報の名称及びその件数
 平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸所有の大型タンクローリーによる横転炎上事故で、同年10月14日に記者会見した佐々木克己社長(当時)は「損害が経営に与える影響は小さくない。賠償請求をきちんとやりたい」と述べた件に関して、これまでに首都高が多胡運輸やその元請、或いはガソリン等の運搬を依頼した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報。

 以上1件。

2 不開示とした情報とその理由
(1)不開示とした情報
 上記1の情報
(2)不開示とした理由
 「首都高速道路株式会社が保有する情報の開示に関する規則」第5条第四号ニの規定に該当するため不開示とした。
(参考) 首都高速道路株式会社が保有する情報の開示に関する規則(抜粋)
第5条 会社は、開示の求めがあったときは、開示の求めに係る保有情報に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示の求めを行う者に対し、当該保有情報を開示するよう努めるものとする。
一―三 略
四 会社が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
 イ―ハ 略
 二 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれ
 ホ―ト 略

3 手数料等の額
(1)手数料等の額
 315円(消費税及び地方消費税を含みます。)
〔手数料等の内訳〕
 開示の求めに係る手数料 315円(1件。消費税及び地方消費税を含みます。)
(2)手数料のお支払い方法
 銀行振込
 <振込先> みずほコーポレート銀行 本店
       普通預金 0040193
       首都高速道路株式会社
 なお、銀行振込手数料は開示を求めた方のご負担となります。
(3)お支払い期限
 本通知をお受け取りになってから30日以内にお支払いください。
                                以 上


**********

■封筒には、ご丁寧にも社長印が押印された請求書が同封されていました。

**********
                         No.2011-323
          請  求  書
                     平成23年8月24日
市政をひらく安中市民の会事務局長 小川 賢 殿
                    千代田区霞が関1丁目4番1号
                     首都高速道路株式会
                     代表取締役社長
                        橋本圭一郎(社長印)
          下記金額を請求します。
           金額315円

 ただし 保有情報の開示手続きにかかる開示の求めに係る手数料として

     納入期限 開示決定通知書を受け取ってから30日以内
     振込先  みずほコーポレート銀行本店
          普通預金0040193
          口座名義首都高速道路株式会社
※なお、振込手数料は、各自ご負担願います。
 また、当方の領収証は、振込銀行が発行する送金済みを証する書面をもって代えさせていただきます。

**********

■首都高が当会の情報開示の求めに対して「不開示」とした理由は、同社の「首都高速道路㈱会社が保有する情報の開示に関する規則」に基づくとしておりますが、同社のホームページを見ても、その規則の全文はどこにも掲載されていません。ホームページに掲載されているのは、次の記述のみです。

**********
開示・不開示の検討
開示の求めがあった保有情報について、不開示情報にあたるかどうかの検討を当社で行います。
〔不開示となる情報〕
保有情報に次の情報が含まれる場合は不開示となります。
【1】特定の個人を識別できる情報や個人の権利利益を害するおそれがある情報。
ただし、次の(1)から(3)に該当する場合は開示します。
(1)法令の規定や慣行により公にされる情報。
(2)生命、身体、財産を保護するために公にすることが必要な情報。
(3)公務員、独立行政法人等の役職員の職務遂行に係る情報。
【2】当社以外の法人、団体、個人事業主の権利等を害するおそれがある情報。
ただし、生命、身体、財産を保護するために公にすることが必要な情報の場合は開示します。
【3】当社以外の法人、団体、個人事業主から公にしないとの条件で任意に提供された情報。
ただし、生命、身体、財産を保護するために公にすることが必要な情報の場合は開示します。
【4】国の機関、地方公共団体、独立行政法人等の情報で次の(1)から(3)に該当するもの。
(1)公にすると率直な意見交換や意思決定などの中立性を損なうおそれのある情報。
(2)公にすると国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報。
(3)公にすると特定の者に不当に利益や不利益を及ぼすおそれがある情報。
【5】当社が行う事務・事業に関する情報で公にすると当該事務・事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報。
**********

 今回、同封された通知書には、「参考」として、当該規則の該当条項の「第5項」のただし書きの「第四号 会社が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」の「ニ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれ」が引用されています。上記のホームページ上にある「開示・不開示の検討」の【5】に該当していることになります。

 つまり、「当該事務事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」「会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれ」が首都高の不開示の理由であることが判ります。

■まず、首都高にとって史上最大の物損事故の損害賠償に関して、利用者が「請求に係る情報」を請求したことが、「適正な事務事業の遂行に支障を及ぼすおそれがある」と判断しているのかどうか、について考えてみましょう。

 首都高自身はもとより、首都高を利用しようとした不特定多数の国民が2カ月もの間、不便を強いられたわけですから、首都高としても原因者に対して適正な損害賠償請求という事務事業を行う責務があるはずです。「利用者に原因者の多胡運輸への請求額を示すと、多胡運輸に対する損害賠償請求に支障を及ぼす」という理屈はあり得えません。

■それでは、もうひとつの理由である「ニ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害する恐れがある」と首都高が判断しているのかどうか、検討してみましょう。首都高が具体的な条項として「ニ」を示したことから、これが不開示の理由だということになるからです。

 今回、当会は、首都高が民事時効の到来以前に、多胡運輸への損害賠償をしたかどうかを確認したかどうかを知りたかったわけです。多胡運輸への損害賠償請求は「交渉」に該当すると考えられます。また、多胡運輸が支払いを拒否すれば裁判沙汰になり、この場合は「争訟」に該当することになります。

 そうすると、「会社の財産上の利益を害するおそれ」または「当事者としての地位を害するおそれ」があると首都高は主張していることになるわけですから、多胡運輸と交渉中あるいは裁判中ということになります。

 首都高がそのような状況にあると仮定すると、当会が請求した「原因者の多胡運輸や元請のホクブトランスポート、そして荷主の出光興産に対する賠償請求にかかる一切の情報」のうち、「会社の財産上の利害を害する」、つまり首都高の賠償請求が減額されたり、取はぐれたりするおそれがあるということになります。あるいは、「交渉当事者としての地位を害する」、つまり、交渉先の多胡運輸等に対して立場が弱くなるおそれがあるということになります。

■ということは、首都高の回答から推察すると、決して多胡運輸に対して損害賠償請求を放棄しているわけではないことをうかがわせます。つまり、多胡運輸に対して、何らかの形で交渉中だということになります。

 もしそうであれば、当会が請求した一切の情報を、全部「不開示」とするのも不自然です。なかには、首都高の立場に影響を与えないものもあるはずです。ましてや、開示することにより賠償請求額が減額されたり取はぐれたりする恐れのある情報というのは、もっと限られてくると思います。

 開示しても首都高の立場に影響を及ぼさないという情報は、多胡運輸など原因者への請求書或は請求書を送った証拠となる送り状ないし請求することを社内的に稟議して決めた際の起案書などが考えられます。

 請求の内訳の細部にわたっては、多胡運輸との交渉で、値切られる恐れがあるかもしれませんが、全体として例えば45億円という賠償請求額を利用者に開示してもなんら問題にはならないはずです。45億円のうち、たとえば通行止めによる通行料の減収分をあきらめて20億円の復旧工事費だけを請求したという情報を開示しても、開示規則に反することはないはずです。

■むしろ、多胡運輸などに対して損害賠償請求をしていることを公表したほうが、利用者への信頼の観点から、メリットが大きいはすです。いや、むしろそうすることが、利用者に対する責務ではないでしょうか。

 首都高のホームページには、「ETC利用照会・残高照会 / 通行料金が「未払い」となってしまったお客様へ」と題して、首都高の利用者が料金所を通過する際、 ETCカードを挿入し忘れた状態で通行したり、または誤って一般レーンを通過してしまった等により、通行料金が「未払い」となった場合は、そのまま目的地まで走行後、あとで事後申告したうえでETCカードもしくは現金で、未払い分の通行料金の支払いを利用者に求める手順が詳しく掲載されています。

 そして、未払いのまま連絡のない場合には、不正通行として取り扱い、レーンに設置してある不正通行対策監視カメラ等を活用し、割増金も含めた通行料金を請求させていただくことがある、と警告しています。

 このように首都高は利用者に対しては、数百円単位の未払いについて、利用者の責任の自覚にうったえて、もし責任の自覚がない場合には、厳しく取り立てるとしています。

■しかし、3年前の事故は首都高史上最大の物損事故で、十億円単位という損害額は、ETCの取り扱いミスという故意又は過失とは比べ物にならない桁違いのケースです。

 本来であれば、事故を起こした多胡運輸からの自己申告による連絡、つまり事故に関する通知なり謝罪なり、なんらかのコンタクトが首都高に対して行われるはずです。もし、それが一定の期間、ない場合には、今度は首都高から事故による損害について、請求をする旨の意思表示があってしかるべきです。

 当会は、そのようなやり取りを示す情報もあると考えて、今回の情報開示の求めに踏み切りました。

 ところが、全面的に「不開示」とされたことから、なんらかの対応を検討する必要があると考えています。

【ひらく会事務局】

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51億円事件の巨額使途不明金のカギとなるタゴお宝絵画等6点を死蔵する岡田市長を支持した前橋地裁

2011-08-21 09:58:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■タゴ51億円事件発覚から既に16年が経過しています。ところが、昨年の平成22年4月、一昨年9月に千葉刑務所を公式に出所したタゴの妻が、元安中市土地開発公社理事監事として夫と親しかった現安中市長の岡田義弘・同公社理事長に対して、「真贋は不明だが、夫所有と思われる」絵画6点を損害賠償の債務履行の一部にしたいと提供し、岡田理事長が同年5月に受け入れていたことが、安中市の平成22年6月21日の市議会全員協議会で報告されました。


8月19日に前橋地裁から特別送達で送られてきたタゴお宝絵画等6点の図柄の不開示処分取消請求の棄却判決文の入った封筒。

 そこで、当会では、さっそく同年6月25日付で関連する行政文書開示請求を安中市に行なったところ、7月8日で一部の情報が非開示あるいは不開示とされたため、同年7月27日付で異議申立てを行いましたが、同年11月29日に安中市情報公開・個人情報保護審査会(当時の会長:采女英幸氏)の答申を受けた岡田義弘市長は、同年12月15日に当会に対して異議申立て棄却通知を送りつけてきました。

 その後、広報あんなか平成23年3月1日号で、安中市にテレビ東京の人気番組「なんでも鑑定団」がやってくるという記事が掲載された為、真贋不明のタゴお宝絵画等6点をプロにただで鑑定してもらえる絶好の機会と考えた当会は、3月10日付で岡田市長に、「ぜひ、この機会に、安中市土地開発公社が保有しているお宝絵画等6点を鑑定して、真贋を確かめていただきたい」と要請書を提出し、応募の要請をしました。

 ところが一向に岡田市長は応募する気がないので、やむを得ず当会が応募しようとしましたが、応募用紙を見ると、鑑定してもらいたい出品物の写真を添付する欄がありました。そのため、市長対話の日に岡田市長に写真の提供を再度要請しましたが、またもや拒否されたため、異議申立て棄却通知から半年が経過する直前の6月13日に、岡田市長を相手取り、前橋地裁に公文書不公開処分取消請求を行いました。

 そして、平成23年7月20日に前橋地裁で第1回口頭弁論が行われましたが、内藤裁判長は双方の主張が出尽くしたとして、即日結審し、8月17日に判決文を郵送すると明言しました。そして、8月18日に判決文が届くと思いきや、実際には8月19日に特別送達郵便で届けられました。切手1050円の消印を見ると「前橋 23.8.18 18-24」とあるので、実際には判決の翌日の夕方に投函されたことがわかります。

■判決結果は予想されたとおり、「原告の当会の請求を棄却する」とあり、安中市の岡田市長の主張を100%勘案し、当会の主張は100%無視した結果となっています。全文を見てみましょう。

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平成23年8月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 継田美貴
平成23年(行ウ)第10号 公文書不公開処分取消請求事件
口頭弁論終結日 平成23年7月20日
            判           決
   群馬県安中市野殿980番地
        原      告    小  川     賢
   群馬県安中市安中一丁目23番13号
        被         告    安   中    市
        同 代 表 者 市 長    岡  田  義  弘
        同訴訟代理人弁護士      渡  辺  明  男
        同指定代理人         田  中     毅
        同              富  田  千  尋
        同              須  藤  陽  一
            主        文
           1 原告の請求を棄却する。
           2 訴訟費用は,原告の負担とする。
            事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 安中市長が原告に対し平成22年7月8日付けでした公文書の一部不開示処分のうち,絵画等6点に関するビジュアル情報を不開示とした部分を取り消す。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
第2 事案の概要
1 本件は,原告が,処分行政庁である安中市長に対し,平成22年6月25日付けで絵画等6点に開するビジュアル情報(以下F本件文書)という。)を含む公文書(行政文書)の開示を請求したところ,安中市長が同年7月8日付けで本件文書を含む行政文書の一部不開示処分(以下「原処分」という。ただし,

原処分のうち,本件文書を不開示とした部分を,特に「本件処分」という。)をしたため,本件処分の取消しを求めた事案である。
2 本件の前提事実(当事者間に争いのない事実及び当裁判所に顕著な事実)
(1)安中市情報公開条例(以下「本条例」という。)の規定
1条 この条例は,行政文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに,市の保有する情報の一層の公開を図り,もって市政に対する理解と信頼を深め,市の説明責務が全うされるようにするとともに,公正で民主的な市政の推進に資することを目的とする。
2条1項 この条例において「実施機関」とは,市長,教育委員会,選挙管理委員会,公平委員会,監査委員,農業委員会,固定資産評価審査委員会及び議会をいう。
2条2項 この条例において「行政文書」とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているものをいう。以下略
4条1項 実施機関は,行政文書の開示を請求する権利が十分に尊重されるようこの条例を解釈し,及び運用するとともに,行政文書の適切な保存及び迅速な検索をするために,行政文書の適正な管理に努めなければならない。
5条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。
6条1項 前条の規定による開示の請求は,実施機関に対し,次に掲げる事項を記載した請求書を提出してしなければならない。以下略
18条 開示決定等について行政不服審査法による不服申立てがあったときは,当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき実施機関は,次の各号のいずれかに該当する揚合を除き,安中市情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。以下略
24条2項 実施機関は,法人の設立に当たり,市が2分の1以上を出資している法人の保有する情報であって,実施機関が保有していないものについて,当該情報の公開の申し出があったときは,当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる。
(2)原告は,本条例6条1項の規定により,平成22年6月25日付け行政文書開示請求書をもって,安中市長に対し,本件文書のほか,新聞記事で報じられた安中市の元職員の妻が安中市土地開発公社(以下「公社」という。)に提出したという絵画等6点に関する一切の情報を開示するよう請求した。
(3)安中市長は,原告の上記開示請求に対し,平成22年7月8日付けをもって,本件文書の不開示などを内容とする行政文書部分開示決定をし(原処分),そのころ,原告に対して通知した。
(4)原告は,行政不服審査法の規定に基づき,平成22年7月28日,安中市長に対し,本件文書のほか,原処分で不開示とされた文書等の開示を求めて異議申立てをした。安中市長は,原告の異議申立てについて,安中市情報公関・個人債権保護審査会に諮問した。
(5)安中市長は,平成22年12月15日,上記の諮問を受けて,原処分の一部を取り消したが,本件文書を不開示とした処分(本件処分)に対する異議申立てを棄却し,そのころ,原告に対し,異議申立てに係る決定書の謄本を送付した。なお,本件処分に対する異議申立てを棄却した理由は,本件文書は公社に写真及び画像データとして存在している情報であるが,その真贋が不明なうちにこれら情報が公になった場合,公社の経営に予期せぬ支障を及ばすおそれも否めず,また,公になった情報の影響で適正な価格での換価処分ができなかった場合には,公社に損失を与える可能性も考えられることから,公社から実施機関の安中市長に対する情報の提供は現在も行われていないので,実施機関には本件文書は存在しておらず,不存在のため開示することはできないというものである。
(6)原告は,平成23年6月13日,本件訴えを提起した。
3 原告の主張
(1)本件文書が情報として示す絵画等6点は,公社の経理を兼務していた被告の元職員が巨額の詐欺横領事件を起こし,その損害賠償の支払として,元職員の妻が公社に差し入れたとされるものである。この事件に関しては,元職員に編されて融資を実行した群馬銀行が,公社とその経営母体の被告に対し民事訴訟を提起したところ,平成10年12月に和解が成立したが,公社と被告が巨額の和解金を最長103年の期間にわたって支払うという内容になっている。
(2)元職員は懲戒免職前に上記の絵画等6点を取得したから,その情報を示した本件文書は,本条例2条2項が定める文書,図画及び電磁的記録に該当する。そして,上記のとおり,最長103年の期間にわたって和解金を支払う債務を負った被告が,本件文書を保有していないはずはなく,また,本条例の趣旨からして非公開事由は厳格に解釈されなければならないから,本件文書は開示されなければならない。被告について,本件文書が不存在であるという根拠は見当たらない。
(3)したがって,本件処分は違法である。
4 被告の主張
(1)元職員が絵画等6点を取得した行為は,公務員として行った行為,すなわち,職務行為に当たらないことは明らかであるから,本条例2条2項が定める文書等に該当しない。
(2)本件文書は,被告とは別法人の公社に記録用として存在しているものであり,公社が保有する情報のすべてを被告が保有しているわけではなく,被告(安中市長)に存在しないのは確固たる事実である。
(3)したがって,本件処分について違法性はない。

第3 当裁判所の判断
1 証拠(甲7,9)及び弁論の全趣旨によれば,
①公社の代表者理事長は安中市長の岡田義弘であるが,公社は,公有地の拡大の推進に関する法律に基づき,群馬県知事の認可を得て設立された法人であり,被告とは別個に独立した法人であること,
②本件文書が情報として示す絵画等6点は,公社の経理を担当していた被告の元職員が公社を舞台に巨額の詐欺横領事件を起こし,その損害賠償の支払に充てるため,元職員の妻が公社に差し入れたものであり,公社は,その写真及び画像データとして本件文書を保有していること,
③公社は,本条例2条1項所定の実施機関に含まれていないから,公社の保有する文書は,本条例に基づく開示請求の対象にならないこと,
④安中市長は,原告の本件開示請求や原処分に対する異議申立てを受け,公社について被告が2分の1以上を出資している法人であることから,本条例24条2項により,公社に対して本件文書を提出するよう求めたところ,公社は,経営に支障を及ぼすおそれがあるなどの理由で,その提出を拒否したこと,
 以上の事実が認められる。
2 上記認定にかんがみれば,安中市長が本件文書を保有していないことは明らかであって,被告(安中市長)について本件文書は不存在であるといわざるを得ない。
 本条例24条2項は,実施機関(安中市長)が保有していないものの,一定の条件を満たす法人が保有する情報について,当該法人に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができるとしているが,この規定は,当該法人に対して情報提出に関し任意の協力を求めることができる旨を定めたものであって,情報の提供について強制力はないから,当該法人の任意の協力が得られない以上,実施機関について文書(情報)が存在しないのは,やむを得ないところである。
3 以上のとおり,本件文書を不開示とした本件処分について,違法な点はない。
第4 結論
 よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。

前橋地方裁判所民事第1部
         裁判長裁判官    内   藤   正   之
            裁判官    城   内   和   昭
            裁判官    和 久 井   智   子

これは正本である。
平成23年8月17日
 前橋地方裁判所民事第1部
 裁判所書記官 継田美貴
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■前橋地裁の内藤裁判長は、安中市土地開発公社の岡田義弘理事長が保有しているタゴお宝絵画等6点の情報を、安中市の岡田義弘市長が岡田義弘公社理事長に開示を求めても、岡田義弘理事長が開示を拒否しているので、安中市には情報が不存在なので開示できないという詭弁を追認しました。

 このように、公社の元職員で単独犯とされたタゴ邦夫とは平成54年の安中市土地開発公社説理事前後からずっと懇意だった当時市会議員だった岡田義弘市長の詭弁をそのまま認めた裁判所の姿勢は、16年前に安中市を揺るがせた51億円事件当時の、「臭いものにはフタ」という、この事件に対する司直や司法の対応が未だに少しも変わっていないことをはっきりと安中市民に示しました。

■当会が主張した、安中市情報公開条例第2条2項で定めた「この条例において『行政文書』とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているものをいう。」に則った判断は、今回裁判所で完全に無視されました。

 今回、タゴからお宝の絵画等6点を預かっていた富岡市在住のタゴの親友から返却された絵画等6点は、タゴが安中市職員として在職中、「美術館を作る計画があるので、購入したい」として、親友を通じて県内外の骨董商から購入していたもので、明らかに「実施機関の職員が職務上作成し取得した図画」です。

 このことを無視した判決は明らかに不当ですから、当会は近日中に東京高裁に控訴の手続をとることにします。

【ひらく会事務局】

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