市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

多胡運輸タンクローリーの首都高5号線横転炎上事故から3年経過で8月3日に時効か

2011-07-31 23:47:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■もともとマスコミの注目度も低かったため、既に忘れ去られてしまった感がありますが、安中市土地開発公社51億円事件の犯人とされた元職員の実弟が経営する多胡運輸が運行していたアポロマークの大型タンクローリーが、平成20年8月3日(日)、午前5時52分、首都高速道路5号池袋線下り熊野町ジャンクションにおいて、カーブを曲がり切れず横転・炎上しました。
http://www.shutoko.jp/company/press/h20/0804.html
この事故から、あと3日で3年が経過します。
 
 当会では、この首都高史上最大の物損事故に関して、首都高になんども多胡運輸への損害賠償請求を促してきました。しかし、現在に至るまでその確認ができていません。民事での損害賠償請求の時効である3年間をまもなく迎えるため、当会では去る7月27日(水)午後3時に次の情報開示請求書を首都高に提出しました。
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1.開示を求める保有情報の内容と開示を求める理由
<開示を求める内容>(お求めの情報が特定できるよう、具体的にご記入ください)
平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸所有の大型タンクローリーによる横転炎上事故で動燃10月14日に記者会見した佐々木克己社長(当時)は「損害が経営に与える影響は小さくない。賠償請求をきちんとやりたい」と述べた件に関して、これまでに首都高が多胡運輸やその元請、或はガソリン等の運搬を依頼した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報。
<開示を求める理由>(お求めの理由から情報が特定できる場合がありますので、できるだけご記入ください)
当会は多胡運輸の経営者の実兄が関与した1998年5月18日に安中市土地開発公社を舞台にした地方自治体としては史上最大の51億円横領事件の真相追及と再発防止に取組んでいます。多胡運輸の経営者もこの事件に関わっていることからこの大事故の推移を見守ってきました。あと1週間で3年が経過しますが、もしもまだ賠償請求されていない場合、民事の時効を懸念するものです。ぜひ請求下さい。
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■この事故について、首都高のホームページで現在でもいくつか記述が残されています。それらはこの記事の最後に紹介しますが、このなかで首都高は「ちなみに、これらの工事でかかった費用や通行料金の減収額は最大45億円程度と見込まれていますが、この費用はみなさんの通行料で補填することはいたしません。今後金額を精査し、原因者に請求していきます」と力強く宣言しています。

 昨年、事故から2周年目の8月3日にも首都高に同様な開示請求をしていますが、その時は、存在も不存在も明らかに出来ないという理由で不開示とされました。

 今回は、時効という重大な節目にあたるため、首都高が多胡運輸やその関係先への賠償請求をギブアップしたのか、それとも請求をしようとした過程があったのかどうか、確認する必要があると考えて、最後の機会として開示請求を行ったものです。

 当会では早い段階から、タゴ一族の生活のよりどころとして、多胡運輸が存続しているという背景から、多胡運輸に仕事を出している同じく地元の高崎市に本社を有するホクブトランスポート㈱と地元の大物政治家との関係、さらにホクブトランスポートが請け負っている石油製品の製造販売元の出光興産と大物政治家の関係などを考慮すると、首都高が多胡運輸やその関係先に請求することが果たして可能なのかどうか、大きな関心をもって見守ってきました。

 きちんと損害額を確定するためのリードタイムを約1年と考えて、毎年情報公開を行ってきましたが、最初の1年前には不存在ということで、損害賠償請求の実行がなされていないことが確認できました。しかし、前述の通り、2周年目には存否も明らかにできないという首都高の回答から、やはり大物政治家の存在が賠償請求のネックになっているのではないかと感じていました。

■今回の首都高の対応次第で、時効の可能性もあり得ますが、もし賠償請求権を放棄した場合、「ちなみに、これらの工事でかかった費用や通行料金の減収額は最大45億円程度と見込まれていますが、この費用はみなさんの通行料で補填することはいたしません。今後金額を精査し、原因者に請求していきます」と力強く宣言した首都高の方針と矛盾します。

 これまでの首都高の年次報告書等を見ると、早くも事故後、2年目の報告書では多胡運輸のローリーの横転炎上事故について、記載が見当たりません。この頃、民主党政権に代わりましたが、やはり地元高崎出身の超大物政治家の影響力を排除出来なかったものと当会では見ています。そして、民主党政権の打ち出した高速道路無料化などの施策により、国庫への返納分の減額などで、本来損害賠償で原因者の多胡運輸及びその関係先に請求すべき金額をひねり出し、多胡運輸らへの請求をギブアップしたのではないか、というのが当会の推測でした。

 いずれにしても、今回の事故から3周年を目前とした開示請求により、首都高の対応がはっきりすると思われます。すなわち、きちんと多胡運輸らに請求していることを勿論願っていますが、今回も存否を明らかに出来ないという不開示回答が為された場合は、当会の推測が正しかったことを裏付けることになると考えているからです。

■このような経過の中で、象徴的な出来事として、多胡運輸に出光興産の石油製品の配送業務を下請けさせているホクブトランスポートが、多胡運輸のローリーによる首都高横転炎上事故直後に消去していたホームページを、昨年、2010年9月10日にリニューアルして再開していたことです。

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【ホクブトランスポートのHP(新)】
http://www.hkb-trp.com/
2010年9月10日リニューアル
社会とともに歩む 信念こそ総ての完遂につながる
【同社社長の挨拶】
 弊社は昭和32年「高崎市北部運送有限会社」として誕生し、昭和44年「北部運送株式会社」と改め、現在に至っております。
 今日まで、社訓「信念こそ総ての完遂につながる」を旨とし、お客様から「信頼・信用」を得られるよう、経営理念である「安全・安心・安定」したサービスの提供に取り組んでまいりました。
 現在、経済のグーロバル化が進み物流統合やより一層の効率化が求められる中、弊社と致しましても新しい流れに対応すべく北部グループとして協力会社35社と共に総拠点数50を超える広域ネットワークを構築致しました。
 またお客様からの「信頼・信用」を得るのに不可欠な安全に対する取り組みについても、お客様からの多様なニーズに応えられる安全レベルを達成・維持すべく日々様々な活動に取り組んでおります。
 2004年2月にはISO9001:2000を本社並びに群馬支店にて認証取得、2010年2月にはISO9001:2008に移行し、サービス提供の品質向上を図るとともに、企業ブランドとしての「ホクブブランド」の構築を目標として掲げ、お客様からの「ホクブブランド」としての「信頼・信用」が得られる活動が出来ればと思っております。
 平成19年2月には創立50年の節目となりました。
 これからも危険物輸送の社会的使命に徹し、自らが先頭に立ちお客様からの要望に応えられる総合物流会社として更なる品質向上を目指し、全社員が一丸となり進んで参る所存であります。
 今後とも皆様の変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
【ホクブトランスポートのデータ】
社名:ホクブトランスポート株式会社
本社所在地:〒370-0803 群馬県高崎市大橋町51番地
TEL:027-361-3977(代)
FAX:027-361-7697
MAIL:info@hkb-trp.com
創立:1957(昭和32)年2月
代表取締役社長:梅山立之(うめやまたつゆき)
資本金:6千万円
従業員数:グループ総員数 1,100人超
車両台数:グループ総台数 1,000台超
営業所:
 関東事業本部:群馬支店、埼玉支店、栃木支店、北東京支店、千葉営業所
 東北事業本部:仙台支店、宮城野営業所、小名浜営業所、青森営業所
協力会社:50社(関東32社、東北10社、中部5社、北海道3社)
営業品目:一般貨物事業者運送事業
     事業者運送取扱事業
役員:代表取締役社長   梅山立之
   代表取締役相談役  友野 亘
   常務取締役     山本 哲
   常務取締役     正木一光
   取締役       田邊秀司
主要顧客先:アストモスエネルギー株式会社・出光興産株式会社
      伊藤忠エネクス株式会社・株式会社ジャパンガスエナジー
      株式会社エネサンスホールディングス・兼松ペトロ株式会社
      三愛石油オブリガス東日本㈱会社・シナネン株式会社
      大陽日酸株式会社・日通商事株式会社・橋本産業株式会社
      マルハ産業株式会社・ENECSグローブ株式会社
      株式会社ミツウロコ 他 燃料油・液化石油ガス販売各社
取引銀行:群馬銀行・みずほ銀行・三井住友銀行・東和銀行・商工中金
     八十二銀行・足利銀行・りそな銀行
沿革:昭和32年 2月 高崎北部運送有限会社を創立
   昭和40年 2月 石油類及び液化ガスの輸送を開始
   昭和44年 7月 組織変更し、社名をホクブ運送株式会社に改称
   昭和45年 5月 仙台支店を宮城県多賀城市に開設
   昭和48年 4月 液化石油ガスバルク輸送を開始。(東北地区)
   昭和50年10月 青森営業所を青森県八戸市に開設。
   昭和56年 8月 群馬支店を群馬県佐波郡玉村町に開設
   昭和57年 4月 高圧ガス貯蔵所設置許可
   昭和58年 3月 青森営業所を三戸郡五戸町に移転
   昭和58年 4月 埼玉支店を埼玉県北葛飾郡杉戸町に開設
   昭和58年11月 小名浜営業所を福島県いわき市泉町に開設
   昭和60年 6月 青森出張所を青森県青森市に開設
   昭和61年 4月 千葉支店を千葉県市原市に開設
   昭和61年12月 埼玉支店を埼玉県春日部市に移転
   平成元年6月 仙台支店を宮城県黒川郡大衡村奥田に移転
   平成元年11月 長野支店を長野県小県郡東部町に開設
   平成2年12月 栃木支店を栃木県佐野市に開設
   平成4年11月 南信営業所を長野市塩尻市に開設
   平成5年1月 横浜営業所を神奈川県横浜市に開設
   平成6年3月 横浜営業所を厚木に移転、名称を神奈川営業所に変更
   平成6年7月 鹿島営業所を茨城県鹿島郡神栖町に開設
   平成6年9月 保有車両500台を突破
   平成8年7月 名古屋営業所を愛知県安城市に開設
   平成9年7月 関連会社サンヨーコーポレーションを設立
   平成10年8月 南信営業所を廃止
   平成12年4月 鹿島営業所を業務提携により譲渡
   平成12年5月 名古屋営業所を業務提携により譲渡
   平成12年8月 埼玉支店を埼玉県杉戸町へ移転
   平成12年10月 神奈川営業所を業務提携により譲渡
   平成14年4月 青森営業所を八戸営業所、青森出張所を青森営業所へ名称変更
   平成16年2月 ISO9001:2000を本社ならびに群馬支店にて認証取得
   平成16年9月 北東京支店を埼玉県所沢市に開設
   平成17年10月 資本金を3千万円から6千万円に増資
   平成19年5月 保安機関認定取得
   平成19年9月 社名を「ホクブトランスポート株式会社」に改称
   平成21年1月 宮城野営業所を仙台市宮城野区に開設
   平成21年1月 青森営業所を青森県青森市大字野内字浦島に移転
   平成21年12月 青森営業所を青森県青森市大字油川字岡田に移転、八戸営業所を廃止
   平成22年9月 長野営業所を廃止
本部・支店営業所
 本社    〒370-0803 群馬県高崎市大橋町51番地  TEL027-361-3977
 統括本部  〒981-3607 宮城県黒川郡大衡村奥田66-2 TEL0222-345-5531
 経営管理本部〒370-0803 群馬県高崎市大橋町51番地  TEL027-361-3977
 営業本部  〒370-0803 群馬県高崎市大橋町51番地  TEL027-361-3977
 関東事業本部〒370-1117 群馬県佐波郡玉村町川井23番地4 TEL0270-65-6881
 群馬支店  〒370-1117 群馬県佐波郡玉村町川井23番地4 TEL0270-65-6881
 栃木支店  〒327-0042 栃木県佐野市上羽田町深田402番地 TEL0283-21-1691
 埼玉支店  〒370-1117 埼玉県北葛飾郡杉戸町本郷605番地 TEL0480-37-0781
 千葉営業所 〒299-0023 千葉県市原市今津朝山605番地 TEL0436-63-1031
 北東京支店 〒359-0011 埼玉県所沢市南永井223番地2 TEL04-2944-2121
 東北事業本部〒981-3607 宮城県黒川郡大衡村奥田66-2 TEL022-345-5531
 仙台支店  〒981-3607 宮城県黒川郡大衡村奥田66-2 TEL022-345-5531
 宮城野営業所〒983-0034 宮城県仙台市宮城野区扇町3丁目6番地34 TEL022-236-3566
 小名浜営業所〒971-8183 福島県いわき市泉町下川字川向53番地7 TEL0246-56-6155
 青森営業所 〒038-0059 青森県青森市油川字岡田146番地4 TEL017-788-3415
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■後述に掲載した多胡運輸横転炎上事故直後に消去した同社のホームページと比較すると、事業規模が若干拡大していることがわかります。首都高からの請求が来ないと判明した時点で、ホームページを再開したという可能性もありますが、首都高が、大物政治家の息のかかった多胡運輸及びそれを取り巻く関連会社に対して、もし、損害賠償請求ができないということになりますと、あの大事故で迷惑を被った大勢の個人・法人にとって、結局通行料や税金でしりぬぐいさせられたことになるわけです。首都高からの回答内容に注目したいと思います。

【ひらく会情報部】

《参考資料その1》
※首都高のホームページで3年前のローリー横転炎上事故に関して記述のある記事(2011年7月31日現在)

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安全運転のさらなる徹底について(お願い)
昨年8月の高速5号池袋線下り熊野町ジャンクション付近で発生したタンクローリーの横転・炎上事故では、10月14日の全面開通まで長期間を要し、この間社会的に多大な影響が生じました
http://www.shutoko.jp/info/h21/0928.html
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お客様の安全・快適な走行を確保するために、事故多発地点や重大事故発生地点などの交通事故分析結果に基づいた交通安全対策を実施しました。特に平成20 年度は、8 月3 日に発生した5 号池袋線タンクローリー火災事故を受け、5 号池袋線下りの熊野町付近や都心環状線銀座付近のカーブ部などで滑り止めのカラー舗装や注意喚起板の設置等を実施しました。
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【首都高の通信簿】
5号線復旧が早期に実現した理由は?
復旧は来年ともいわれた5号線の事故。しかし実際には驚異のスピードで完全復旧。その理由とは何か?舞台裏を知る人物に首都高ガールズが直撃!
『5号池袋線タンクローリー火災事故』復旧対策本部の要 長谷川和夫部長に突撃!(その1)
8月3日に発生した5号池袋線タンクローリー火災事故に伴い、皆様にはご迷惑をおかけして申しわけございませんでした。
お陰様で、10月14日12時から全面開通することができました。復旧作業に対して、ご理解ご協力をいただき、本当にありがとうございました。
今回は、復旧対策本部の要となった保全・交通部の長谷川和夫部長に突撃です!
【Q】10月14日に5号池袋線が全面開通しましたが、5号池袋線タンクローリー火災事故復旧までのお話を聞かせてください。
【A】事故がおきた8月3日は休日だったのですが、5時50分の事故発生直後に自宅へ第一報が入りました。さらに5号池袋線の上層がゆがんでいるという情報が現場から入ったので、これは大事故だということで、すぐに出社しました。8時30分に会長を本部長とした緊急対策本部を設置して情報収集をしたり、実際に事故現場に行って状況を確認して緊急応急対応にあたりました。通行止めをしたほうが復旧工事期間の短縮ができたのですが、通行止めをすることによって、渋滞が発生するなど交通影響が大きくお客様へもご迷惑がかかると判断して、1車線を暫定的に開通し、車線を切り回しながら復旧工事を行うことにしました。
【Q】施設被害が大きく大規模な復旧工事となったわけですが、事故発生から約2ヶ月半で全面開通という早期復旧ができた理由は何だとお考えですか?
【A】 様々な工種の作業工程や関係者との調整を行ってきた西東京管理局を初めとする社員の努力はもちろんですが、いろいろな方達の協力のおかげだと思っています。例えば、橋桁の復旧工事をするためには、橋桁の製作からしなければならないのですが、材料となる首都高用の鋼材の製作を最優先にしてくれたり、現場での作業を最小限にするために工場内でできる限り組み立てをしてから搬入したりと、コンクリート床版工事やあらゆる工種の方達が早期復旧のために努力してくださいました。 警視庁、国土交通省や関係する東京都、NEXCOなどの道路管理者のご協力で、交通規制や関連する道路の工事抑制が実施でき、無事に工事を終えることができました。それと、通常大きな音の出る工事は夜間にやらないのですが、近隣にお住まいの方からご理解をいただいて、2ヶ月あまりに渡って連続で24時間工事をやることができたことです。
【Q】近隣の方には、どのようにお願いしたのですか?
【A】手配りで「24時間工事を行いますがご協力をお願いします」というチラシを8000枚ほど配り、ご理解をいただけるようにお願いしました。工事に対する苦情の窓口を西東京管理局に設置したのですが、24時間工事にもかかわらず苦情がほとんどありませんでした。近隣にお住まいの皆さんのご協力、それが非常に大きかったと思っています。
【Q】 社内外の様々な連携、協力があって、早期開通が可能となったということですね。
【A】そうです。委員会の先生方も初回、2回目の審議で結論を出してくれました。
通常の委員会ですと損傷程度の把握や健全度の調査、復旧方針などに長い時間がかかってしまうことがあるのですが、緊急性をよく理解していただいていたと思います。
【Q】今回の事故で山手トンネルの安全性は大丈夫なのかと不安に思われている方もいらっしゃると思います。復旧工事を終えて、今後、日常の点検等を行っていくわけですが、10月7日に湾岸線で東京港トンネルの防災設備点検を行っていますよね。通常トンネルの点検はどのくらいのスパンで実施しているのですか?
【A】トンネルの点検にも色々あって、例えば水噴霧などの総合点検は年に1回、火災検知器、消火栓などの点検は半年に1回と、ものによって違うんですよ。東京港トンネルは対面通行規制のような交通影響の大きい方法で点検を行っているので、記者発表をしていますが、山手トンネルや多摩川トンネルなどは、首都高で開発した水噴霧用の点検車を使って、1車線規制しながら1年に1回実施しています。
【Q】今回トンネルの入り口付近で大きな火災があったわけですが、トンネルの中だったらもっと大変な事になっただろうと思うのですが・・・。
【A】そもそも、長大トンネルや水底トンネルというのは、危険物を積んだ車両は通行禁止や規制されているんですよ。今回火災にあったコンクリート橋脚は、火災のあった直近の部分はだいぶ焦げているけれど少し離れたところは大丈夫でしたし、シールドトンネルは、上部に耐熱パネルを張ったり、耐熱用の吹きつけをするなどして、鉄筋コンクリートのトンネルではある程度の火災には耐えられます。水噴霧設備や消火栓とかも設置していますしね。
【Q】確か、トンネル内は通常より消火栓などの設置の間隔が短いんですよね。
【A】そう大体50m間隔です。管制室からは24時間監視し、水噴霧などはコントロールルームでボタンを押して作動するようになっていますので、火災の大きさや種類によって適切な対応ができるようになっています。構造に対して様々な安全対策がなされているんですね。
【Q】お客様に安全にご利用していただくための施策というのはあるのですか?
【A】 ITS(高度道路交通システム)があります。ITSというのは、センサーなどで「ここのスピードが今落ちている」「渋滞している」などの情報を検知して、高速道路上にあるVICSビーコンと呼ばれる小さなアンテナのようなものから電波を出して、それを通行中の車のカーナビにリアルタイムの情報として提供するという方法です。我々は安全運転の支援といっているんですが「前方に急カーブがあります」などの前方の道路状況や交通情報を事前にお客様にお知らせして安全運転につなげていただくというのが大きな目的です。
【Q】4号新宿線(上り)参宮橋カーブ区間についているのは知っていましたが、現在、何箇所に設置されているんですか?
【A】35箇所あります。
【Q】えっ!そんなに!
【A】永福入口で先の道路状況を知らせたり、外苑付近では赤坂トンネル内のリアルタイムの映像が出たり、東池袋の入口では、車が入ってくると「左から合流の車あり注意!」表示して合流車両が来ることを事前に伝えます。
【Q】ITS設置の成果は出ているんですか?
【A】設置箇所の事故数はかなり減っているので効果は表れています。
【Q】その他に未然に事故を防ぐための安全対策はありますか?
【A】運転している方に注意をしていただくのが一番ですが、カラー舗装やゼブラ板、それからLED看板を使って「この先カーブ」「速度落とせ」などの注意喚起をしています。それから、お客様に安心安全にご利用していただくために、日々点検をしています。点検は目的や施設にあわせて、いろいろな種類があります。お客様の一番身近なところでは、ドライビングに支障がないように、首都高の黄色いパトロールカーが2時間に1回全線を回り、路面は安全な状況か、落下物はないかなどを巡回点検しています。
【Q】2時間に1回、同じ箇所を巡回、点検するということですか?
【A】そう。例えば3、4、5号線は1日13回くらい。13往復といったほうが良いのかな、ルートが決まっていて、行ってまた戻ってくる。それから、1日1回は舗装が剥がれたりしていないか、ジョイントや遮音壁などの構造物に異常がないかなど、構造物を見るという視点で点検をしています。
【Q】高架下からの目視点検とかもありますよね。
【A】それは1年に1回。さらに首都高では、近くで直接触って点検する接近点検というのを全線にわたって5年でひと回りというスパンで実施しています。双眼鏡とかで見るではなくて、首都高の構造部分に本当に接近して詳細に見ます。
【Q】橋脚などに足場を設置して行うのですか?
【A】橋脚の1本1本に足場をつけたり、高所作業車で近づけるところは高所作業車を使っています。
【Q】それは、首都高速道路のすべての箇所に5年に1回は、必ず手で触れて確認しているということですよね。それで見つかった損傷箇所はどれぐらいあるのですか?
【A】平成19年で約5万件くらいありますよ。傷一つを1件と数えますからね。補修は損傷の度合いに応じて、すぐに手を入れなくてはいけないもの、1、2年の間に補修しなくてはいけないもの、もうあと5年は様子を見れるものというふうにランク分けをしているのですが、なかなか減らないんですよ。
【Q】定期的な点検で発見された箇所の補修だけでも大変なのに、今回のような事故での補修があるとほんとうに大変ですね。
【A】今回の復旧工事のために迂回をされたのに、そこでまた規制をやっているというのは、やっぱりお客様に理解していただけないだろうということで、通常の維持修繕工事を抑制しました。交通開放ができて事故の復旧も一段落したところでが、すべて終わった訳ではないんです。裏面吸音版などは残した足場の中で作業ができる状態にしてあるし、取り替えるほどではないけど少し損傷が出ている桁の補修や火災で煤けてしまったのでペンキを塗らないといけないとかね。
【Q】事故で損傷した箇所の中で、緊急性の高い部分や通行止めが必要なところの補修は完了しているけれども、それ以外の補修は今後行わなければならないと、これからもうひと頑張りということですね。
【A】でもまあみんな人間なんでね、あまり無理ばかりもできないので、可能なところで体力を回復して頑張っていかないとと思っています。今回やってきた工事期間短縮の工夫や様々な取り組みは、通常の業務の中にも生かしていけることなので、きちんと記録に残して今後の体制を強化していくために役立てていきたいと思います。最後に、復旧に向けご協力いただいたお客様、24時間の工事にご理解いただいた沿道の皆様、及び関係機関の皆様方に心よりお礼を申し上げます。
【Q】5号池袋線タンクローリー火災事故の復旧を終えて、中央環状新宿線の開通効果を体験していただけるようになりました。紅葉の美しいこの季節、秋を満喫する旅にぜひ首都高をご利用ください!
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[首都高の通信簿]コラム : 早期復旧の背景には何があったか
 8月3日に5号線で起きたタンクローリーの横転炎上事故。これほど大きな事故はかつてないほどの規模で、外部の方からは「全面復旧は来年になるのでは?」との見通しも挙がったほどでした。しかし、実際に全面復旧したのは10月14日。その期間は事故から約2カ月半です。1日でも早い復旧は絶対的な使命でもあったわけですが、今回は、なぜ早期の復旧が可能であったのか、その背景をご紹介します。
 まず第一に挙げられるのは、作業時間です。これは通常1日8時間で行われますが、今回の復旧に関しては、土日祝日関係なく、24時間3交代制の昼夜連続で作業を行い、停滞することなく作業を進めることができました。ゲリラ的な豪雨などはありましたが、長期的な雨に悩まされることがなかった点もポイントと言えるでしょう。さらに、架橋を一貫して行える会社の協力を得たことや、架設用トラス桁による橋桁等の撤去・架設、早強コンクリート等の工程短縮技術を活用したことが早期の復旧を実現できた背景です。
 右の写真を見てみると、その早さが良く分かります。8月31日の段階では橋桁しか架かっていませんが、9月4日には鉄筋が組み上げられています。鉄筋は40メートルに渡り縦横無尽に敷かれ、それらを針金で結びつける必要があります。その箇所は40,000箇所。気の遠くなるような数ですが、職人たちはこれを1箇所2秒ほどで留めていきます。そして9月6日にはコンクリートが打たれ、道路になりつつあります。このコンクリートも早強コンクリートというもので、通常のものより早く乾くものを使っています。
 これら以外にも、近隣の住民のみな様や、警視庁、関係する道路管理者の方々の協力がなければ、10月14日の復旧は不可能であったでしょう。早期の復旧は、様々な人や機関の協力があったからこそ実現できたのです。
 ちなみに、これらの工事でかかった費用や通行料金の減収額は最大45億円程度と見込まれていますが、この費用はみなさんの通行料で補填することはいたしません。今後金額を精査し、原因者に請求していきます。そして、今後このような事故が起きないよう、更なる交通安全対策の充実を図っていきます。
(2008年10月17日掲載)
http://www.shutoko.jp/special/03/index.html
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5号池袋線タンクローリー火災事故の復旧工事にかかる感謝状贈呈
5号池袋線タンクローリー火災事故による構造物の損傷については、1日も早い全面開通への社会的要請を受けて、関係者一同、組織を挙げて復旧への取組みを進めた結果、去る10月14日に全面開通の運びとなりました。
 この復旧に向けて大きな貢献をされた工事請負会社各社に対し、10月22日当社社長佐々木 克已から各社に感謝の意を込めて感謝状を贈呈いたしました。
感謝状を贈呈された会社:JFEエンジニアリング株式会社、三井住友建設株式会社、株式会社大林組、保安工業株式会社、日栄興業株式会社 (敬称略)
http://www.shutoko.jp/route5/info1023.html
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復旧工事の内容等
 これまでに、上層の橋桁2スパンの架け替え、それに隣接する橋桁の補修、鉄筋コンクリート橋脚の補修を実施しました。
 今後、交通開放をしながら、上層の橋桁の裏面吸音板の設置、下層の橋桁の補修等を実施する予定です。
 また、復旧工事費や本事故による通行料金の減収額については、今後精査の上、原因者に請求していく予定です。
http://www.shutoko.jp/route5/message.html
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《参考資料その1》
※ホクブトランスポートが首都高ローリー横転炎上事故の起きた2008年8月3日の直後に消去したHPの内容

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【同社社長の挨拶】
 弊社は昭和32年「高崎市北部運送有限会社」として誕生し、昭和44年「北部運送株式会社」と改め、現在に至っております。
 今日まで、社訓「信念こそ総ての完遂につながる」を旨とし、お客様から「信頼・信用」を得られるよう、経営理念である「安全・安心・安定」したサービスの提供に取り組んでまいりました。
 現在、経済のグーロバル化が進み物流統合やより一層の効率化が求められる中、弊社と致しましても新しい流れに対応すべく北部グループとして協力会社35社と共に総拠点数50を超える広域ネットワークを構築致しました。
 またお客様からの「信頼・信用」を得るのに不可欠な安全に対する取り組みについても、お客様からの多様なニーズに応えられる安全レベルを達成・維持すべく日々様々な活動に取り組んでおります。
 2004年2月にはISO9001:2000を本社並びに群馬支店にて認証取得し、サービス提供の品質向上を図るとともに、企業ブランドとしての「北部ブランド」の構築を目標として掲げ、今年度からは「北部ブランド」構築に向けての新プロジェクトもスタートさせており、お客様からの「北部ブランド」としての「信頼・信用」が得られる活動が出来ればと思っております。
 平成19年2月には創立50年の節目となりました。
 9月に社名も「ホクブトランスポート株式会社」に改称、今後も今までと変わらず「ホクブ」の愛称で危険物輸送の社会的使命に徹し、自らが先頭に立ちお客様からの要望に応えられる総合物流会社として更なる品質向上を目指し、全社員が一丸となり進んで参る所存であります。
 今後とも皆様の変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

【ホクブトランスポートのデータ】
社名:ホクブトランスポート株式会社
本社所在地:〒370-0803 群馬県高崎市大橋町51番地
TEL:027-361-3977(代)
FAX:027-361-7697
MAIL:info@hkb-trp.com
創立:昭和32年2月
代表取締役社長:梅山立之(うめやま・たつゆき)
資本金:6千万円
従業員数:グループ総員数 1,100人超
車両台数:グループ総台数 1,000台超
営業所:
 関東事業本部:北関東エリア:群馬支店、栃木支店、長野営業所※
        南関東エリア:埼玉支店、北東京支店、千葉営業所※
 東北事業本部:仙台支店、小名浜営業所、青森営業所、八戸営業所
協力会社:47社(関東32社、東北10社、中部5社)
営業品目:一般貨物事業者運送事業
     事業者運送取扱事業
役員:代表取締役会長   梅山立夫
   代表取締役副会長  友野 亘
   代表取締役社長   梅山立之
   常務取締役     大森定七
   常務取締役     塩野入純也
   常務取締役     山本 哲
   常務取締役     正木一光
   取締役       後藤清久
   取締役       阿部義行
主要顧客先:アストモスエネルギー株式会社・出光興産株式会社
      伊藤忠エネクス株式会社・岩谷物流株式会社
      兼松ペトロ株式会社・三愛石油株式会社
      シナネン株式会社・大陽日酸株式会社
      橋本産業株式会社・マルハ産業株式会社
      丸紅ガスエナジー株式会社・丸紅エネルギー株式会社
      三井液化ガス株式会社 他 燃料油・液化石油ガス販売各社
取引銀行:群馬銀行・みずほ銀行・三井住友銀行・東和銀行・商工中金
     八十二銀行・足利銀行・りそな銀行
沿革:昭和32年 2月 高崎北部運送有限会社を創立
   昭和40年 2月 石油類及び液化ガスの輸送を開始
   昭和44年 7月 組織変更し、社名をホクブ運送株式会社に改称
   昭和45年 5月 仙台支店を宮城県多賀城市に開設
   昭和48年 4月 液化石油ガスバルク輸送を開始。(東北地区)
   昭和50年10月 青森営業所を青森県八戸市に開設。
   昭和56年 8月 群馬支店を群馬県佐波郡玉村町に開設
   昭和57年 4月 高圧ガス貯蔵所設置許可
   昭和58年 3月 青森営業所を三戸郡五戸町に移転
   昭和58年 4月 埼玉支店を埼玉県北葛飾郡杉戸町に開設
   昭和58年11月 小名浜営業所を福島県いわき市泉町に開設
   昭和60年 6月 青森出張所を青森県青森市に開設
   昭和61年 4月 千葉支店を千葉県市原市に開設
   昭和61年12月 埼玉支店を埼玉県春日部市に移転
   平成元年6月 仙台支店を宮城県黒川郡大衡村奥田に移転
   平成元年11月 長野支店を長野県小県郡東部町に開設
   平成2年12月 栃木支店を栃木県佐野市に開設
   平成4年11月 南信営業所を長野市塩尻市に開設
   平成5年1月 横浜営業所を神奈川県横浜市に開設
   平成6年3月 横浜営業所を厚木に移転、名称を神奈川営業所に変更
   平成6年7月 鹿島営業所を茨城県鹿島郡神栖町に開設
   平成6年9月 保有車両500台を突破
   平成8年7月 名古屋営業所を愛知県安城市に開設
   平成9年7月 関連会社サンヨーコーポレーションを設立
   平成10年8月 南信営業所を廃止
   平成12年4月 鹿島営業所を業務提携により譲渡
   平成12年5月 名古屋営業所を業務提携により譲渡
   平成12年8月 埼玉支店を埼玉県杉戸町へ移転
   平成12年10月 神奈川営業所を業務提携により譲渡
   平成14年4月 青森営業所を八戸営業所へ、青森出張所を青森営業所へ名称変更
   平成16年9月 北東京支店を埼玉県所沢市に開設
   平成17年10月 資本金を3千万円から6千万円に増資
   平成19年2月 創立50年
   平成19年9月 社名を「ホクブトランスポート株式会社」に改称
   平成20年3月 関東地区を南北エリアに分け、エリアマネジャーをおく
   平成20年3月 千葉支店を千葉営業所とする野支店を長野営業所へ名称変更
**********

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週に1、2回しか使わない知事公舎の県民視察会を拒否した大沢知事【30・31日の知事公舎見学会は中止】

2011-07-30 07:13:00 | 県内の税金無駄使い実態

■知事公舎に愛人を宿泊させたと週刊新潮7月21日号で報じられた我らが群馬県の大沢正明知事に、週に1、2回使用していて、そのうち月に1度は公務外の私的理由で女性と面会し、公舎管理規則に違反使用していた知事公舎を、県民に特別公開するよう、市民オンブズマン群馬では、7月25日(月)の午前11時に依頼書を秘書課を通じて大澤正明知事に提出していましたが、昨日、大沢知事から次の回答がありましたので、お知らせします。従って、本日と明日に計画していた知事公舎の特別見学会は中止しますのでご容赦ください。


 7月29日(金)午前10時24分に、市民オンブズマン群馬の事務局あてに送付されたFAXの内容は次の通りです。

**********
          (公印省略)管第279-1号 平成23年7月29日
市民オンブズマン群馬
 代表 小川賢 様
                  群馬県知事 大澤正明
                  (総務部管財課)
知事公舎特別見学会開催にかかる依頼について(回答)
 表記について平成23年7月25日付けで依頼のあったところですが、知事公舎に関しては、警備上の問題があることから、見学会を実施することはできません。
   担当:総務部管財課財産管理係
   電話:027-226-2112(直通)
**********


■ほとんど使用していないのに、なぜ警備上の問題を盾に断ってきたのか不思議です。報道では、来月から知事が引っ越し、住人不在になります。その期間だったら見学させてくれるのでしょうか。

 なんとか県民に開かれた県政の実現を実行させたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの情報】

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東京高裁で未来塾に敗訴した岡田市長の言うことを聞き16対6の大差で上告に向けて肩をおした安中市議会

2011-07-28 23:58:00 | 安中フリマ中止騒動

■7月27日の午前9時から、安中市役所3階の安中市議会の議場で、平成23年第4回安中市議会臨時会が開かれました。傍聴者に配布された資料には、次のような会議手順が書かれてありました。

平成23年第4回安中市議会臨時会議事日程(第1号)
                    平成23年7月27日午前9時開議
第1 会期の決定
第2 会議録署名議員の指名
第3 承認第 3号 専決処分の承認を求めることについて
   ①安中市市税条例の一部を改正する条例について
   ②安中市都市計画税条例の一部を改正する条例について
第4 議案第47号 上告の提起及び上告受理の申立てについて

会期日程(予定表)
            会期 1日間
日次/月/日/曜/開議/摘要
第1日/7月/27日/水曜/午前9時/○開会○会期の決定○会議録署名議員の指名○議案の上程○提案者の説明○議案に対する質疑・討論・採決○閉会



■9時から始まった臨時会では、市議24名全員是認出席の中、冒頭、奥原議長から挨拶がありました。「7月21日に本日理事会開催の告示がされたこと、案件は緊急を要すること、慎重な審議と妥当な議決をお願いしたい」と原稿を棒読みしました。

 次に、岡田市長が「開会に当たり、議員各位にはご多用のなかご出席を賜り誠にありがたく、心から御礼申し上げたい。さて、本日の提案は、6月30日の専決処分の市税条例の改正の承認と、7月13日の控訴事件判決に対する上告の提起及び上告受理申立ての2件なので、よろしくご審議願いたい」と挨拶しました。

 次に、議会運営委員長の斎藤盛久議員が議会運営について「議会運営委員会について7月21日と本日の開催前に召集し、それぞれ協議決定事項を報告。臨時会会期は本日1日。第1日目は7月27日で、開会、会期の決定、議案の上程、説明、議案に対する質疑等の採決を予定。承認第3号については専決処分の承認を求めるので委員会付託を省略し、即決願いたい。次の日程第4議案47号についても本議会は臨時会なので、委員会付託を省略し即決で願いたい。なお本会議閉会後全員協議会、その後に会派連絡協議会開催したいと議長から申し入れあった」と説明しました。

■そして、奥原議長が「これより開催。出席議員24名で成立」を宣言し、本日の会議の議題や、会期が1日間について諮り、事前に打ち合わせているのか、言い終わらないうちに「異議なし」の声がでる始末。「よって会期は1日とし、会議録署名は会議規則80条により7番今井敏博、8番吉岡完司,9番武者葉子を議長権限で指名する」と宣言しました。

 その後、審議は日程第3号の安中市市税条例改正の専決処分の承認について、財務部長が棒読みの説明。聞いている議員は手元にある配布資料に目を落としながら聞けますが、傍聴席を占めた30人ほどの市民には、地方税法や地方自治法の条項が立て続けに引用されるので、余計さっぱり分かりません。

 そんなことにはお構いなしに、財務部長は読み続けます。「2ページをみてください。厳しい経済雇用情勢に対応して、税制整備を図るための地方税法等の一部改正によって、6月30日交付で本市の市税条例も所要改正を必要とし・・・」などと続き、「地方自治法179第1項で6月30日専決処分により同条第3号で報告するものだ。3ページでは、改正の主な内容について。地方税法一部改正で市税条例該当条項、項ずれの修正、高齢者の居住の安定確保に関する法律改正。4月28日に公布6か月以内の施行で改正するもの」などと、メモをとる暇もなく細かい法律の条項の引用が続きました。

■これでは、きちんとしたメモがとれません。議員と同じ資料の配布も傍聴市民にはありませんから、正確な情報把握は不可能となりました。そこで、ルール違反とは知りつつ、持っていた携帯の録音スイッチを入れて、議場を見下ろす傍聴席のひじ掛けにおいておきました。これで、細かい法令の引用は正確に把握できると思いつつ、メモを取り続けました。

 財務部長の説明が終わると、議長が「これより質疑に入る」と宣言しました。議場から「異議なし」などと言う声が出るやいなや、語調は「これをもって質疑をおわり」と宣言しました。

 次に安中市都市計画税条例の一部を改正する条例について、同様に、議長に指名され、財務部長が説明しました。「6ページをみてください。本専決処分については、厳しい掲載状況云々で・・・」と説明が始まり、「7ページに改正の主な内容、地方税法の改正。専決による項ずれの修正。地方税法改正の旧第何項がどうのこうの・・・」と3分程度、配布資料に関する棒読み説明が続き、傍聴席にはチンプンカンプンのまま、財務部長が「以上説明に代えさせていただきよろしくご審議願います」と言い放って終わりました。

■この間、市議らは配布資料に目を落としていましたが、一番後ろの列に陣取る古参議員を見ていると、一番右奥の柳沢健一市議などは、椅子にどっかりと座り身じろぎもせず、配布資料をめくることもなく聞いていたのか居眠りをしていたのか分からず仕舞いでした。他にも古参市議で似たりよったりのがいました。

 全体で数分間の財務部長の説明が終わり、奥原議長が「これで説明を終わります」と宣言があり、議場からは「異議なし」の声がしたかと思うと、議長はすかさず「承認第3号の専決処分の委員会付託を省略する」と宣言。「これより討論にはいります」と言うや否や、議場からは「なし」の声が出て、議長が「これより採決に入ります。報告の通り承認することに賛成の議員は挙手願います」というと、議場で一斉に手が挙げられるや否や、数を数えることもなく、議長は下を向いたまま「挙手全員であります。よって翻案は可決されました」と宣言しました。あらかじめ、各会派から意見の確認をとっていたようです。

■次に議長は「議案第47号。上告提起と上告受理申立てについて議題する。地方自治法117条の規定により高橋議員の退席を求める」と宣言しました。どうやら、岡田市長を提訴した未来塾の原告に高橋市議が名を連ねていることから、当事者として討論や採決に参加できないようです。

 議長が「本議案について説明を求める」というと、岡田市長が挙手をしました。議長に「市長」と指名された岡田市長がおもむろに登壇し「議案第47号についてご説明します。議案書9ページごらんください。本件は、東京高裁の損害賠償請求控訴事件で、平成23年7月13日判決に一部不服があるので最高裁に上告提起と受理申立てするものです。判決は、広報誌に掲載した記事の一部が市民団体の社会的評価を低下させたとして、5万円の賠償金支払いを命じられました。これは一審判決と一部異なる判断で、一審では安中市の主張が認められ、二審で一部変更する判決となっているため、最高裁の判断が必要と考えるので審議と議決を願いたい。以上で、提案説明とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします」と説明しました。

 議長が「説明が終わりました。これより質疑に入ります」というと、議場から数人の議員の挙手がありました。議長はなぜか1番の共産党の金井議員から指し示しました。

■金井市議の発言の要旨は次の通りでした。
「議案47号について、2点うかがいたい。1点目は、提案説明をきくと、これまでの裁判の経過の中で一審と二審の判断が異なるので、我が国の三審制度に基づき最高裁に上告したいという趣旨は分かるが、最高裁に上告してまで勝訴できる見通しと根拠についてどう考えているのか。2点目として、本件について、日ごろから市長の言う説明責任が我々の議会に対して為されてこなかった。この訴訟の発端は市長談話だった。高裁判決は名誉棄損を一部認めたものと受けとれる。この結果の受け止め方と、判決受け入れの気持ちについてあらためてお聞きしたい」

 すると、なぜか岡田市長は答弁せず総務部長が立って、あらかじめ用意してきた原稿のような、メモ書きのような紙に目を落としながら次のようにしどろもどろでしゃべりました。
「それでは、今の金井議員の質問に対して答弁させていただきます。1点目の上告受理申立の理由は、一審と二審の判断が違うので再度最高裁の判断を仰ぎたい。安中市への信頼関係のために理解願いたい。一審、二審の判断の違いについては、えーと、一審担当の地裁高崎支部の裁判長が、地裁に来る前まで東京高裁の判事をしていて、群馬県に赴任する直前の平成21年3月にも名誉棄損に関する裁判判決を担当していた。このため一審、二審の判決の重みには違いがなく、違いがあったとしても紙一重なので、最高裁の判断を仰ぎたいと思っている。2点目は、おしらせ版の市長の談話については一審判決の中に、『好ましい条件とは言えないが、名誉棄損になるとまでは言えない』とあり、名誉棄損という形での二審の判断を踏まえて、公正・公平な最高裁の判断を仰ぎたいと考えている」

 総務部長の説明に対して、金井市議から次の質問がありました。
「総務部長もいうとおり確かに三審制度というものがあるが、最高裁に上告するには、それなりの裁判に勝てるという根拠が必要であり、それがないと勝てない。自分の拙い知識でも、最高裁では細かい事実確認などはしなくて、法律や憲法に基づいての基本的な判断をするものだと思う。その観点から争うことになれば、東京高裁の判決をもとにして棄却されると思われる。もう1点として名誉棄損が争点だが、名誉棄損の裁判は、そのことが事実であってもなくても、それを公開して、広く多数の人に知らしめるという行為を対象に名誉棄損が判断されるものだと理解している。その観点で、一部不適切な表現云々があったということだが、そもそも市民団体に対して市が広報を使って批判をして、冷水を浴びせるということに結果的になったのが今回の市長の談話。そのため名誉棄損に一部該当したのだと思うが、その点の判断はどのように受け止めているのか」

 議員の話もそっちのけで、岡田市長は相変わらず、総務部長の持っているメモの一部を指で指示し、ここだここだとばかりに、反論すべき個所を指示しています。案の定、総務部長がまた答弁に立ちました。
「それでは再質問に対して答弁申し上げます。上告受理理由について、詳しいことは、訴訟代理人の弁護士と十分協議が必要だが、本件は市民団体への名誉棄損、憲法的には表現の自由を内包し、法令の判断についての重大事項を含むことであり、訴訟の遂行に影響を及ぼしかねないので、個々の具体的な事項については答弁を控えたい」

 金井議員からは次の追加コメントが出ました。
「二審の判断は重要だと思う。この事件がきっかけで安中市内ではフリーマーケットというイベントが中断されたままになっており、市民感情も考慮すべきだ。そういったことで、市の活性化に貢献してきた市民団体にけんかを売るというのでは、市の運営や市民活動はうまくいかないのではないか、と市民は見ている。この点どう考えているのか」

 そしてまた、総務部長が答弁しました。
「同じ市内の団体だが、提訴されたためこういう形で裁判となった。そういうことで第3者の公平な判断を仰ぐのが妥当と考えている」

■次に奥原議長が指し示したのは、平成の会の伊藤議員でした。珍しく挙手をして発言を求められた伊藤議員は質問をしました。
「何点か質問したい。まず、市議会にこれまで報告がされてこなかった。また今回、市民団体には多数の弁護士が付いている。一方、市側の弁護士は1人だけだ。今後上訴するに当たり相手方弁護士は相当数の弁護士が付いているわけで、はたして上告して勝てる要素的なものを考えても、実際のところ市は弁護士1人だけでよいのか。それから、今後、上告して審議となると、今後の弁護士費用について当局はどう考えているのか。また、本件訴訟を依頼している市の顧問弁護士が、市の関係で委ねている係争中の案件は幾つあるのか」

 またまた、総務部長が立ち上がり答弁を始めました。まるで岡田市長のロボットです。
「それでは質問のあった3点について答弁する。1点目は裁判結果について市として、協議させていただいてきたところだ。また、弁護士についてはもう1人弁護士起用を考えている。訴訟費用は2人合わせて約30万年と考えている。さらに裁判に関連して職員の出張旅費を含めると約40万円で対応できると考えている。今回は、緊急的に2週間以内に上告申立をしなければならないということで、時間的に間に合わないため、予備費から支出させていただきたい。担当弁護士がかかえている訴訟の件数については、具体的な数字は把握していません」

 これに対して伊藤議員から、次の追加質問が出されました。
「後段の自分の質問の意味は、弁護士自身が幾つ案件を抱えているかでなく、安中市関係の事案として幾つあるのか、という意味だ。実際にタクマの談合問題など、安中市が顧問弁護士に依頼している係争案件がいくつあるのかということ。顧問弁護士が個人的にいくつかかえているのかを聞いているのではない。また、もうひとつとして、これだけの係争をしてきた結果が敗訴となったわけだが、それだけの結果を受けて、当然皆が内部協議をしているのかということ。僅か40万円の弁護士等の費用だと言う表現だが、事の重大性から本来なら補正を付けてやるべきこと。急いでいるからと、訴訟ありきで、予備費で間に合わそうというのではなく、これはやはり補正予算をきちんと付けるべきだ」

 自分で事実を捻じ曲げた市長談話を広報に掲載させておきながら岡田市長は一向に登壇して説明責任を果たそうとする風情はなく、またまた総務部長が答弁にたちました。
「答弁漏れがあり失礼した。市の顧問弁護士である渡辺弁護士がかかえるのは、タクマの談合と公社を巡る情報公開の裁判の2件。あと、予算の関係だが、2週間で判断しなければいけないので、予備費的な形態として40万円ぐらいという話で今も検討中。その中でまだ、概略的な話であって、また弁護士と契約で具体的な話をしなければんらないので、今の時点では、こういう対応しかとれない」

 伊藤議員から再度次の追加質問が出ました。
「今後、来月も臨時会もあるのだし、今回議案が通ればの話だが、しっかりと明確に方針を出してもらいたい。あと、もう1人の弁護士も雇用するということだが、これもはっきりしないといけない。また、司直に何もかも任せるという対応でよいのか。何でもかんでも司直に行ってしまうということでなく、市民感情から、議会も立法府であり、執行部でもまだまだ協議しなければならないことがあり、極力協議を尽くしていただきたい」

■次に、議長は大野貞義議員を指名しました。大野市議の発言趣旨は次の通りです。
「この件は2008年3月議会で、陳情書で『お知らせ版第14号の事実確認と経過について』で討議したのが発端だった。この件については議会では審議未了となっており、陳情者は公正な判断を仰ぐ道を歩み、一審、二審と係争してきた。この中で東京高裁での控訴審での口頭弁論はいったい何回あったのか。或はこの間、証人尋問もあったのか。どういう訴訟行為がなされてきたのか。この判決主文の第4項(1)は仮執行することができるということで、損害賠償ということで5万円プラス年5分の金利を支払えということが書いてある。この行為がなされているのかどうか。また、控訴審で断罪されたわけで広い意味で言えば控訴審での結果が広く認められるべきだと思うがどうなのか」

 またまた総務部長が答弁に立ちました。
「大野議員の質問について答弁したい。まず二審での口頭弁論については3回行われた。承認尋問については無し。準備書面を交わしただけだった。2点目の賠償5万円の金利については、上告する方針なのでまだ支払いをしていない。それから3点目の・・・(と言いかけた途端沈黙して)・・・以上です」

 大野議員から再度次の質問が出されました。
「二審の裁判の過程で、互いに主張し合ったわけだが、この過程で市側の主張はどのようにかわっていったのか。どのように判断されて、この間裁判所の判断が変化したのか」

 総務部長は岡田市長のかわりに答弁に立ち続けます。
「二審は渡辺弁護士に任せっきりにしいるので詳しい内容は分からない。二審は準備書面の文書のやり取りで行ったという話だ」

 大野市議からは次の追加コメントがありました。
「他の市議からも話が出た通り、第一審、第二審とこの間、議会のほうにはほとんど報告がない。その点でから、どういう裁判での関係だったのかを確認したい。もうひとつは控訴審で断罪されているから、控訴審つまり第二審の判断というものを順守すべきだと考える。このことは市民の立場から見ても強い関心があるだろう。文字通り説明の機会がなかった。判決に処することを強く求めたい」

 またまた総務部長が答弁しました。
「再度の質問に答える。市に関わる裁判については、裁判の結果が出た段階で議会に話をしてきている。二審についてはさきほど金井市議へ答えた通りでございます。ご理解を賜りたいと存じます」

■次に奥原議長が指し示したのは川崎議員です。川崎議員は次の質問をしました。
「これまでの3名の市議の質問でほぼ出尽くしたが、角度を変えて質問したい。この裁判ではやはり市長と市民団体との係争は成立せず、市民団体と安中市との間で裁判が進められている一面がある。裁判を傍聴したが、両方とも大きなエネルギーを使ってきていたことを感じている。そして高裁での判断が出た。一面で敗訴と言えるかもしれない。三審制の最高裁に上告したいのは理解できるが、多分、上告棄却になりかねない。そもそも、この裁判が何だったのかということを考えたい。言論の自由なのか、それとも個人的なさまざまな思いがあったのか。我々議会としては今日が判断できる初めての機会だ。法に定められた判断というものを、市民の間で意見の分かれている議案について、議会で判断しなければならないが、それ以前に、執行部の判断をどうなのか。市長だけが判断して、執行部は判断できないのか。市民に権限を付託された議員はもちろんだが、公僕として働いているみなさんの判断はどうなのか。執行権というものが皆さんにはあるはず。高裁判決から上告期限までの時間が短いというが、皆さんは話し合いをしたのか。話し合いというものが行われてきたのか。それとも、市長の判断だけで進んで来たのか。もう時間がないというので、市長の判断だけでこれまできたのか」最高裁で上告棄却があることは十分あり得る。高裁でも書面審査だけで判断されたわけで、最高裁になればなおさらそうなる。高裁の判断に重きを置くべきなのかどうか、私は分からないが、議会も判断が分かれれば、市民もまたこの件で意見が分かれるが、はたしてそれでいいのか、まず執行部で議論があったのかその点確認したい」

 今度もまた総務部長が市長の前で矢面に立ちました。もう、何を言っているのかよくわかりませんが、たぶん次のようなことを言いたかったのでしょう。
「ご覧の通り裁判というかたちで、進んできており、法廷で審議される話なので、弁護士がやるもとなので、その内容そのものを答弁で議論するのはふさわしくないと考えている、三審制で上告の受理の観点についてだが、先ほども言ったが二審の判決内容が、一審の判決が一部変更されたのでこれについて第3者の公正な判断を仰ぐということなのでどうかご理解賜りたい」

 川崎市議からも追加質問が出されました。
「執行部はこれまで時間があった。我々議会はいま判断を求められている。高裁の判決の後、どうして執行部は話をしてこなかったのか。高裁の判断の中で、市民団体との話し合いに同席した元市職員の証人としての位置付けがある。話し合いの結果、その後の市長の談話の記事を作成する過程で、「この談話で、これは、こういう表現では内容としてきついのでは」というとらえ方が元職員の証言として、それが高裁の判断になったと思う。執行部の判断が重視されている。我々議会では、高裁の判断が細やかな所を良く見ているという印象がある。弁護士にまかせっきりでよいのか。さきほど裁判費用も含めて、きちんと討議したうえで提起するのがあるべき姿ではないのか」

 これに対して、相変わらず答えるのは総務部長でした。
「再度答弁する。元職員の証言等との関係だが、このことについても含めた形で三審制のもとで、最高裁の判断を仰ぐということでご理解をいただきたい」

 川崎市議からはさらにコメントが出ました。
「そうすると議会は一つの通過点でしかない。高裁での判断があってからも、こっちに話がないし、やはり安中市民の負託を得て、公僕として、市職員として執行権を与えられているのだから、集めた情報を分析して議会に臨むのがあるべき姿なのではないか」

 総務部長の答弁はもうよれよれです。
「先程の二審の判断で、一審の判決の中身が一部変更されたということ。安中市の名誉のために、上告することにしたい。この点お願いしたいのでぜひご理解を賜りたい」

■ここまで来て、時間が午前9時45分になっていました。新人議員の佐藤貴雄市議は、最初から質問すべく挙手をしてきたのにも関わらず、奥原議長は古参議員ばかり指名してきましたが、なぜか川崎市議に対する総務部長の3回目の答弁が終わるや否や、奥原議長は「ここで暫時休憩。再開は10時30分」と唐突に宣言しました。どうやら、最初からのそういうシナリオになっていたようです。

 議場では、議員や執行部が退席してすっかりもぬけのからとなり、傍聴席にいた市民の間では、あまりの執行部の体たらくについて、いろいろ感想が飛び交っていました。

■そして、10時半になり、議事が再開されましたが、途端に議長がふたたび暫時休憩を発し、10時45分から再開となりました。どうやら、市側からの各会派への説得に時間がかかっているようです。

 10時45分になり、最大会派の平成の会の所属議員がそろって一番最後に遅れて議場に入場してきました。全員が着席すると、いよいよ採決です。

 傍聴席にいた市民らに、それぞれのグループごとに誰が挙手をするのかしないのか、分担してチェックするようにあらかじめ相談していました。

 採択の前に、共産党の櫻井市議が反対討論を行いました。それが終わると、議長が「本件に賛成する諸君の挙手を求めます」という声のあと、一瞬の間にチェックする必要があります。国連のように押しボタン式であれば問題ないのですが、安中市議会の場合には、そういう設備もあるようですが、活用されたためしがありません。

■ほとんどの議員が挙手をしました。それをきちんと確認する風情もなく、奥原議長は「賛成多数と認めます。よって本案は提案通り可決されました」と宣言し、あっと言う間に臨時議会が終了しました。

 傍聴席から、市民らがチェックした結果では、挙手した議員、挙手しなかった議員は次の通りです。

議席番号/氏名/所属会派/挙手した議員○挙手しなかった議員×
1 金井 久男 日本共産党安中市議団 ×
2 櫻井ひろえ 日本共産党安中市議団 ×
3 柳沢 浩之 清風クラブ      ○
4 佐藤 貴雄 民声クラブ      ×
5 吉岡  登 民声クラブ      ○
6 小林 訂史 民政クラブ      ○
7 今井 敏博 平成の会       ○
8 吉岡 完司 平成の会       ○
9 武者 葉子 公明党        ○
10 上原富士雄 公明党        ○
11 川崎 文雄 民主・社民クラブ   ○
12 小宮ふみ子 民主・社民クラブ   ×
13 大野 貞義 民主・社民クラブ   ×
14 奥原 賢一 平成の会       -(議長)
15 齊藤 盛久 平成の会       ○
16 中島 徳造 平成の会       ○
17 土屋  弘 清風クラブ      ×(ただし判然としないとの意見もあり)
18 高橋 由信 無所属(フォレスト) -(原告として当事者のため退席)
19 柳沢 吉保 平成の会       ○
20 上原 和明 平成の会       ○
21 田中 信一 平成の会       ○
22 廣瀬  晃 平成の会       ○
23 伊藤  清 平成の会       ○
24 柳沢 健一 平成の会       ○

臨時議会を終え、全員協議会の会場に入る市議ら。

■このように、暫時休憩の時間、岡田市長の意向を受けて、職員がいろいろと水面下で各会派と折衝し、最終的に賛成する方向に誘導します。

 したがって、質疑の際に、厳しく市側にコメントを出した議員も、裁決の場合には賛成に回ることはよくあることです。おそらく、議員として市側に要求している事項について、ギブアンドテイクで市側から譲歩を求め懐柔されるというパターンが想像されます。

 この結果、質疑では一様に鋭いコメントを発した4名の議員(金井、伊藤、大野、川崎)のうち、伊藤議員と川崎議員が賛成、金井議員と大野議員が反対の意思表示をしました。毎回挙手したにもかかわらず、奥原議長から指名されなかった新人の佐藤議員は反対の意思表示をしました。

■こうしてみると、市議会で過半数を占める平成の会が、岡田市長や執行部に対して、ギブアンドテイクで議案に対する意思表示をすることで、過半数という民主主義の多数決原理により、安中市の課題と方針が決まることがよくわかります。これでは、まともな議論と結果は望むべくもありません。

 また、新人議員が熱心に挙手したにもかかわらず、最後まで無視した平成の会所属の奥原議長の采配にも問題があります。

■さらに、たしかに議場では傍聴者のこころえとして、静かに傍聴すること、私語をつつしむこと、録音・録画をしてはならないことなど、細かい注意書きが壁に貼られています。

 しかし、あまりにもひどい執行部の答弁に対して傍聴席から野次がとぶのは、民主主義として健全な現象だと思います。ところが、執行部への批判のヤジに対して、議場の一番後ろに座っていて、上にある傍聴席からは見えにくい17番から24番議員らのうち、柳沢吉保議員と廣瀬晃議員が、市民から執行部に対して発せられたヤジに対して、「うるせえな」「議場から出ていけ」と声をあらげていたことは象徴的でした。

 選挙期間中は猫なで声だった議員も、当選すれば上から目線で、しかも、執行部の擁護をする始末ですから、こういう発言をしたがる議員の実態は、実際に議会で傍聴しないとわかりません。


■また、録音・録画の禁止についても、課題が残ります。今回の臨時議会でも、傍聴席の右側にある記者席には、上毛新聞と読売新聞がいて取材をしていました。東京新聞もいたようですが、上毛新聞記者によると、暫時休憩の前にいなくなったとのことでした。

 暫時休憩中に傍聴席で市民が歓談しているとまもなく、議会事務局員が2、3人、どやどやと上がってくるなり、当会の事務局長に向かって「小川さんというかたはどこにいる?」と強い調子で声をかけてきました。「ここにいますよ」と事務局長が答えると、「議場では録音禁止となっている。さきほど傍聴席で録音しているという情報があったが、録音機をチェックさせたもらい」と、一気にまくしたてました。そこで、ひじ掛けの上に置いてある携帯電話を示して、「これのことですか。議場でのやり取りの内容を正確に判断するためにさせてもらっている。ところで、録音しているという情報はだれから連絡を受けたのですか」と、議会事務局の職員に逆質問したところ、職員はそれには答えずに、「そこに議会傍聴の規則が書いてある。直ちに録音を消去してもらいたい」と詰め寄ってきました。

 さっそく携帯の録音終了ボタンを押して、録音がされていたのかどうか、確認しようとしたところ、どこに録音データがあるのか確認に手間取り、業を煮やした事務局長は、携帯電話を市職員に差出し、「どこにデータが残っているのか確認できないので、自分でチェックしてほしい」と言いました。職員は「こういうのはどうやって確認してよいかわからないので」というので、事務局長がデータファイルの画像を出して、音声データをクリックすると、7月27日の録音データは見当たらないことが判りました。市職員が、「確かに消去しましたよね」としつこく確認を求めてくるので、事務局からは「先程携帯電話のスイッチを押した際に自動的に消去されたのか、それとも、最初から録音できていなかったのか、どうもよくわからない」と答えました。そして「ところで、なぜ録音していることが分かったのでしょうか」と再度質問しましたが、市職員らは「それは言えません」と黙ったままでした。

 さっそく、当会が調査したところ、さきほど姿を消した東京新聞の記者が、1階にいた議会事務局の市職員に通報していたことが分かりました。

■議会の議事の様子については、議会事務局がすべて録音し、それを文字に起こして、議事録の綴りとして製本して保存しています。4年ほど前からは、安中市のホームぺージで市議会の項目にすべて議事録が掲載されています。ただし、録音してからホームページ上で市民に公開されるまでには3カ月以上かかります。従って、市民が議場のようすをリアルタイムで知ることは不可能な状況です。

 当会は議事のやりとりの正確で迅速な市民への公表が、開かれた市政にとって重要であると判断して、敢えて録音により、メモの内容をより正確にすべく補正しようとしましたが、東京新聞記者がうしろから、携帯電話の録音スイッチを入れる様子を目撃しており、それを市職員に通報したため、議事のメモの正確性を担保する手段が失われてしまいました。

 前述の議会でのやりとりで、もし不正確な点があれば、それは、報道の正確性、公正性を順守すべきはずの東京新聞記者により棄損されたことが理由ですので、ご容赦賜りたいと思います。

 なお、臨時議会開催前に、当会では秘書行政課をおとずれ、未来塾と安中市の控訴審に関する一切の情報開示の請求を行いました。8月10日以降開示される見通しなので、開示されたらおってご報告します。

【ひらく会情報部】

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7月30日(土)と31日(日)の朝9時~11時まで知事公舎の特別見学会開催を大沢知事に依頼

2011-07-26 23:51:00 | 県内の税金無駄使い実態
7月30日(土)と31日(日)の朝8時45分に、前橋市立図書館の隣の知事公舎の正面玄関前に集合して、内部見学をしよう!!(まだ未確定ですが)

 いまや全国的に有名になった群馬県知事公舎ですが、市民オンブズマン群馬では、昨日7月25日(月)の午前11時に、次の依頼書を、秘書課を通じて大澤正明知事に提出しました。今度の週末の土曜と日曜の朝、知事公舎を県民に開放して特別見学会をしてほしい、という依頼書です。回答は、7月29日(金)正午までとしておりますが、ぜひ、大澤知事、じきじきにご説明していただけるかもしれません。期待して、知事の回答を待ちたいと思います。
 なお、公舎見学の依頼書を秘書課に提出後、記者クラブにも依頼書の写しを提出したところ、産経、毎日、上毛の三社から電話が市民オンブズマン群馬の事務局にありました。マスコミ関係者にも関心をもっていただいたようです。

■大澤知事に提出した公舎見学依頼書は次のとおりです。

**********
                  2011年7月25日
群馬県知事 大澤正明様
      市民オンブズマン群馬
              代表 小川  賢
知事公舎特別見学会開催にかかる依頼書
 貴職におかれましては、日夜、知事公舎を舞台に群馬県行政に取り組まれ、そのご精力に対して、群馬県民として謹んで敬意を表します。
 さて、貴殿が利活用している前橋市大手町2丁目13にある知事公舎内での、公務の実情について、県民としてたいへん関心があります。当会にも、県民の皆さまから、公舎内部の様子を見学したいという希望が寄せられています。
 報道によれば、貴殿は、7月20日の記者会見で、今月中に知事公舎を退去されるとの発言をされたとのことですが、開かれた県政の観点から、ぜひ、貴殿の公舎使用期間中に、下記の予定で、知事公舎を開放し、県民向けの特別見学会の機会を与えてくださるよう、よろしくお願い申し上げます。
     記
知 事 公 舎 特 別 見 学 会 開 催 要 領
1.希望日時: 平成23年7月30日(土)09:00~11:00 及び
        平成23年7月31日(日)09:00~11:00 の2日間
2.希望事項: 
  (1)すべての内部施設の開放と見学の許可
  (2)写真撮影の許可
  (3)貴殿の当日の立ち会いと県民からの質問に対するご説明
以上
なお、本依頼書に対するご回答は、平成23年7月29日(金)正午必着で、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
    記
市民オンブズマン群馬 事務局長 鈴木 庸
群馬県前橋市文京町1-15-10電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
**********

■また、市民オンブズマン群馬の事務局には、次のような県民の声が寄せられています。

▼市民オンブズマン  さま
群馬県内在住の者です。
知事の「女性・公邸」問題について意見が有ります。
「7月分の給料変換  そして 知事公邸の退去」この程度のみそぎにてけじめをつけて 自体の収集を図ろうと知事本人は思っているかもしれませんが・・・とんでもないことです。
このような大問題を起こしながら、この程度のけじめで手うちにし、もしこのまま大沢知事でいられたら「群馬県民」は全国の笑いものです。
県民の良識・見識を疑われると思います。
このような知事は、即刻辞任していただくべきと考えます。

▼お世話さまでございます。
私思うにこのまま「人のうわさも・・・・」でこの事件もうやむやに消滅してしまいそうな気がしております。
県議会には、野党は存在しないのでしょうか?
保守王国の群馬には期待はあまり出来ないのでしょうか?
この前、災害復興大臣の松本なにがしが、訪問先の知事への発言を追及され辞任いたしました。
公人である県政のトップが公舎を私的に使うこの問題は上記の発言問題以上の大問題で有ります。
女性が愛人かそうでないかなどは問題ではなく、公舎をホテル代わりのように私的に使っていることそのことが大問題であります。
このまま知事が居座るようなことが有れば県民は他県から馬鹿にされます。
「1ヶ月の給料返納」何とも馬鹿にしたこの知事の態度呆れてしまいます。
はい、「しっかりと血税の多額の退職金は頂きますよ」と言っているこのようなところからでも市民と感覚がずれていると思われます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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自らの虚偽公文書作成行使のせいで未来塾から提訴され敗訴して議会に上告議決を求める岡田市長の非常識度

2011-07-26 15:48:00 | 安中フリマ中止騒動

■明日、7月27日水曜日、午前9時から臨時市議会が開催され、岡田市長が未来塾に敗訴した事件で、上告するための議決が行われるそうです。傍聴可能とのことですので、市民のみなさんは、ぜひ、明日の朝、臨時市議会を傍聴しに市役所に行きましょう!

 2007年10月28日に安中市の未来塾が開催を計画していた「フリーマーケットinあんなか」が中止されてから、もうすぐ4年目になります。この催しは、毎年2回、初夏と秋に安中市内の米山公園と市スポーツセンターで開催され、市民が衣類や農産物などを持ち寄って販売するもので、16年間で、当時の出店数は400店に達し、「北関東最大のフリマ」とも呼ばれるまでに発展しました。毎回1万人以上の市民らが集まるイベントだったため、突然の中止で、市民への影響は多大なものがありました。
■中止の原因は、未来塾の勢力が伸びるのを嫌う岡田義弘安中市長が、参加費徴収や会場の管理方法などにイチャモンをつけて、わざと許可を出し渋ったのが原因と見られていますが、なんとか開催に持ち込もうと、予定通りの開催がギリギリ可能だった9月10日に岡田市長と交渉しましたが、ノラリクラリの時間稼ぎをする岡田市長のせいで、結局、開催中止に追い込まれたのでした。

 ところが、岡田市長が2007年12月21日付の安中市広報誌で、9月10日の未来塾との交渉の様子を、「未来塾が冒頭から暴言を浴びせてきた」などと、デマ記事を掲載したため、未来塾が岡田市長と安中市を相手取り、名誉毀損による損害賠償請求の訴えを起こしたのでした。

 驚くべきことに、きちんと録音をしていた未来塾の主張を退け、前橋地裁は、岡田市長が見つけてきた得体の知れない音声検査会社の鑑定書を信用して、未来塾の請求を棄却しました。そこで、未来塾が東京高裁に控訴していたものです。

■その控訴審の判決が、7月13日にありました。それを報じた東京新聞と毎日新聞の記事を見てみましょう。

**********
安中市に賠償命令 フリマ訴訟で高裁
 安中市の広報誌に掲載された記事で名誉を傷つけられたとして、市民団体「地域づくり団体未来塾」側が市側に計八百万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の大竹たかし裁判長は十三日、請求棄却の一審前橋地裁高崎支部判決を変更、五万円の支払いを命じた。
 判決によると、未来塾と市は二〇〇七年九月にフリーマーケット開催をめぐり市長室で意見交換、同年十二月二十一日付の広報誌に内容が掲載された。
 大竹裁判長は、記事のうち、未来塾側が冒頭から「目を見て話をしろ」と怒鳴り、市側が「静かに話をしましょう」と応じた、との部分について「真実とは認められず、未来塾の社会的評価を低下させた」と指摘。名誉毀損(きそん)の程度などから認容額は五万円とした。
(2011年7月14日東京新聞)
**********
安中市報損賠訴訟:控訴審 安中市に支払い命令--東京高裁判決 /群馬
 ◇広報誌内容めぐり
 安中市の市民団体「未来塾」(松本立家代表)が、同市の広報誌に掲載された虚偽の内容で名誉を傷つけられたとして、同市と岡田義弘市長を相手取り、計800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(大竹たかし裁判長)は13日、市側に5万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を言い渡した。
 判決によると、未来塾主催のフリーマーケット会場の使用許可などを巡り、未来塾と市が開いた意見交換会の内容を市が市長談話として広報誌に掲載。談話は、塾側が市側を怒鳴ったなどの内容が記載されていたが、塾側はこれを事実ではないと主張していた。
 2審判決は、塾側の訴えを棄却した前橋地裁高崎支部の1審判決を一部覆し、塾側が証拠提出した録音記録から「(談話)内容の正確性に疑問があると言わざるを得ない」として市内全戸に配布した一部違法性を認めたが「他の部分の記載から冷静な協議がなされたことが読み取れる。社会的評価が大きく低下したとは認められない」として5万円の損害賠償が妥当とした。
 判決について、岡田市長は「反論が一部認められなかったことは残念。談話は、事実に基づき、公正な立場で執筆・編集した。相手の社会的評価を低下させる内容ではないと考える。今後の対応について弁護士と協議する」とのコメントを出した。【塩田彩、増田勝彦】
**********

■裁判で負けたことがなかった岡田市長のことですから、当会では、どうせ上告するだろうと見ていました。高等裁判所が出した判決に不服がある場合には、最高裁判所に上告手続をすることが出来るからです。

 上告は判決文が届いた日から14日(2週間)以内に所定の手続をする必要があります。とりあえず、上告状あるいは上告申立書というものを、判決宣言をした高裁(今回の場合は東京高裁)に出しておく必要があるのです。ということは、7月28日に東京高裁に上告状あるいは上告申立書を提出しなければなりません。

 ただし、上告はやみくもには出来ません。憲法違反又は法律に定められた訴訟手続に重大な違反があった場合(民事訴訟法312条「上告の提起」)と、高等裁判所の判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある場合や.その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる場合(民事訴訟法318条「上告受理の申立て」)にしか、出来ないことになっています。

 そして、上述のとおり、「上告の提起」又は「上告受理の申立て」は、判決を受け取った日の翌日から起算して2週間以内に判決をした高等裁判所(支部)に書面でしなければなりません。

■したがって、とりあえず上告状あるいは上告受理申立書を提出しておけば、判決宣言を出した高等裁判所において、記載事項の不備、手数料の納付など形式的な審査を行ったのち、上告等が提起された旨の通知書が送られてきます。「上告状」等に上告理由を記載しなかった場合には、この通知書を受け取った日の翌日から起算して50日以内に理由を記載した書面(理由書)を提出すればよいのです。

 はじめて裁判で敗訴して地団太踏んでいる岡田市長のことだから、とっくに上告したのだろうとばかり思っていましたが、なんと、明日7月27日に安中市議会を臨時召集して、臨時議会を開催するのだそうです。

 これにはびっくりしました。これまで、当会が行ってきた行政訴訟では、議会の議決を経たケースは皆無でした。

■いろいろ調べてみると、次のことが分かりました。

 当会がこれまで安中市や安中市長を相手取って行政訴訟を起こしてきたのは、法律に基づいて行政が行った処分の取消請求訴訟が主なものです。その場合には、議会の議決を必要としません。市長が行政事件訴訟特例法3条の処分庁として当事者になっている場合には、「公法人」に該当せず、議会とは無関係に提訴したり、控訴したり、上告したりできるようです。

 市長が訴訟当事者となる場合として、今回のように、市長が個人的な意向で、デタラメな記事を公的なメディアに掲載して、当事者から名誉毀損で訴えられた場合には、市長が「訴訟当事者」として、「地方自治法第96条第1項第12号の規定」による議会の議決が必要とされています。

■また、安中市という地方公共団体が当事者となっている場合、「訴えを提起する」に際して、議会の議決を経ていれば、その後、安中市が敗訴して上訴する場合、あらためて議会の議決を得る必要はないようです。もっとも、最初に裁判を提起するときに、議会で「敗訴して上訴する場合にはあらためて議決を得るべし」と議決していれば、再度議決を必要とします。また、この場合は、被告として応訴する場合には、議会の議決は必要としません。「訴えの提起」には「応訴」即ち「被告」になる場合は含まれないと解釈されているためです。

 したがって、今回のように、安中市が被告として裁判に負けた場合、当然、これまでには議会の議決は得ていませんから、上訴する場合には、はじめて議会の議決を要する、ということが、考えられます。

 この解釈については、
 ①一般的には「判決に不服ありとして地方公共団体が上訴する場合には議会の議決を得なければならない」と考えられているようです。
 ②しかし、議決不要とする考え方によれば、「三審制訴訟のでは、議決を経て始められた訴訟でも応訴によって始められた訴訟でも、一旦判決が出たとはいえ訴訟は依然として係属しているため上訴の議決は必要ない」という考え方もあるようです。
 ③さらに、「訴えの提起」に際して、議会の議決を必要とする理由として「原告でも被告でも、訴訟が地方公共団体の権利義務に影響を及ぼすおそれがある以上、単に出訴なり応訴なりについて決定するというだけでなく、その事件に関する団体の意見なり方針を決定すべきだ」という考えもあるようです。
 ④また、「地方公共団体に係る紛争解決には、多額の財政支出を伴う場合も予想されるので、その紛争方法の採用や内容については地方公共団体の団体意思の確認の観点から、議会の議決を得ることが必要」とする考えもあるようです。

 実際の裁判では、裁判所から議決証明を求められることはありませんが、議会議決の有無が「適法要件」や「有効要件」として争われるという場面も有り得るので、安中市では上訴の議決を得ておいたほうがいいのでは、と考えているようです。

■実際にそうした考え方で市役所内で議論したのかどうか、というと、岡田市長自身はそんなことはしらなかったでしょうから、秘書行政課あたりの法律に詳しい職員らが、法律書をめくったり、弁護士に確認してうえで、判断したものとみられます。

 ということで、明日の7月27日に、臨時市議会で、フリマ中止をめぐり岡田市長と安中市が敗訴した事件の上告に関する議決が行われるようです。

 しかし、冷静に考えてみると、そもそも、岡田市長が勝手に虚偽の公文書を作成して、それを行使したことから発生した事件です。岡田市長は、市民から告発を受ければ、刑事罰を受けかねない状況に依然としてあります(虚偽の公文書の作成及び行使は刑が重く、たしか時効は5年以上、あるいは7年くらいのはず)。

■岡田市長は警察や検察に顔が利くことから、岡田市長としては「いくら市民が告発状を出しても、どうせ警察が不受理扱いにしてくれるし、もし警察が告発を受理して、自分が事情聴取を受けて送検されたとしても、今度は検察が『不起訴処分』にしてくれる」などと思っているかもしれません。

 そうした背景はともかく、民事的な観点からしても、岡田市長が撒いたタネで、市民が名誉を傷つけられて、費用と長い時間をかけて係争して、ようやく勝訴を勝ち取ったのですから、本来は岡田市長だけがその責任を取るべきであり、議会がそんな人物の肩を持つような議決をすることは許されないと思います。

■明日の臨時議会で、誰が議決に賛成するか、反対するか、注目したいと思います。キャスチングボートとなるのは、これまで細かい会派に分かれていた保守系会派が、「平成の会」に一本化されており、ここが賛成すれば、過半数を超えることになります。「平成の会」が岡田市長に賛成して貸しを作ろうとするのか、あるいは、今後の議会の緊張感を保持するために、岡田市長の誘惑にめげずに、市民本意の立場で反対に回るのか、予断を許しません。

 議会事務局に確認したところ、臨時市議会は明日(7月27日水曜日)午前9時から開会され、傍聴可能とのことです。ぜひ、明日の朝は、臨時市議会を傍聴しに市役所に行きましょう!

【ひらく会情報部】


<参考>
第96条
普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
一 条例を設け又は改廃すること。
二 予算を定めること。
三 決算を認定すること。
四 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
七 不動産を信託すること。
八 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
九 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
十 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
十一 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
十二 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第3条第2項 に規定する処分又は同条第3項 に規定する裁決をいう。以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において同じ。)に係る同法第11条第1項 (同法第38条第1項 (同法第43条第2項 において準用する場合を含む。)又は同法第43条第1項 において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第三項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。十三 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。




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