市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【スクープ】長野高専石原祐志前校長就任・退任の裏事情…実はあの日本中激震の大事件と連動していた!?

2019-12-31 18:57:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■2016年4月に長野高専校長に着任してからの3年間、数々の問題行動で同校とその関係者らに著しい混乱とモラル崩壊をもたらした、文科省天下り前校長・石原祐志氏。群馬高専の諸事件に対する当会の追及劇に勇気付けられた長野高専関係者らからの告発を受けて、2018年度から当会が追及調査を始めていたところ、石原氏は今年(2019年)3月末に突如校長職を辞して、理研の名ばかり部長職に流れていきました。

日本中を騒がせた有名人からこんな「友情の校長プレゼント」がなされていたかもしれない?

 その後、ひとつ大きな謎が残されました。それは、「なぜ石原氏の校長退任が成ったか?」という疑問です。

 というのも、天下り高専校長は、出世競争を降り天下り渡り鳥生活を送る文科官僚にとってひとつの終着駅であり、定年まで居座るのが常です。そして定年前の退任というのは、裏で起こっていた並々ならぬイレギュラー事案の存在を匂わせます。類例として、群馬高専の西尾前校長も同様に定年前の本省窓際への更迭(事実上)になっていますが、西尾氏の場合はアカハラに、連続自殺に、隠蔽に、と大事件を起こし続けて大炎上のあげくメディア報道までされてしまったという、あからさまな「事情」があります。

 しかし石原氏の場合、2018年度から当会による追及が始められてはいたものの、報道沙汰まではとても至っていないレベルであり、明らかに事情が異なります。オンブズマンによる追及が致命傷になったと能天気に解釈するにはどうも不自然です。

 退任直前の石原氏の様子を知る内部関係者によれば、校長の椅子に相当未練タラタラだったようです。であれば強引に定年まで居座ればよかったものを、それが許されない相当な事情が裏にあったことが伺われますが、見当もつきません。

■当会がその「裏事情」の推理に詰まっていたところ、思いもよらない衝撃的な情報提供が飛び込んできました。

 なんと、石原氏の退任劇は、2018年の夏に日本中を揺るがしたあの一大スキャンダル……文科省幹部による東京医大裏口入学問題と連動していた、というのです。

 衝撃の真相の概略は次の通りです。
●受託収賄で逮捕された文科省幹部の佐野太が、実は石原の早稲田大学での同輩かつ入省同期の「お友達」であった。
●そもそも無能極まる石原が長野高専校長の椅子を貰えていたのは、文科省のトップ級幹部まで登り詰めていた佐野太の強権と後ろ盾によるものであった。
●2018年7月の佐野太の失脚により、自動的に石原も校長の座を追われた。

……というのが、どうやら事の顛末のようです。

■当会でも当時、文科官僚の腐敗の象徴として東京医大裏口入学事件を大きくブログで取り上げていましたが、まさか日本中を揺るがせたこの事件と、目下深刻なローカルマターとして取り組んでいる長野高専の問題という2つの件が連動していたとはよもや思いもよらず、真相を知った際は仰天してしまいました。

 なお、文科省の元科学技術・学術政策局長の佐野太による東京医大裏口入学事件の顛末と発覚・逮捕当時の報道記事については、以下のブログ記事にまとめておりますので、当該事件の事実関係を把握したい読者はこちらも合わせてお読みください。
○2018年7月5日:補助金と天下りで教育行政を歪める文科省の官僚とそれに順応して教育の本質を見失った学校組織のトップ
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2686.html

 しかも、この話が本当であれば、退任はもちろんのこと、事の発端である長野高専校長就任から、佐野太のせいであったということになります。佐野太のあまりにくだらない縁故主義のゴリ押しのせいで、長野高専関係者は味わわなくてもよかった地獄を味わわされたことになります。

■それでは、実際に事実関係を検証してみましょう。手始めに、両者の経歴を見比べてみます。年表示は便宜上すべて西暦で統一します。

*****【佐野太(さのふとし)】*****
1959年 山梨県甲州市(旧塩山市)生まれ 日川高校出身
【最終学歴】早稲田大学大学院理工学研究科修了(土木専攻)
★1985年4月 科学技術庁 入庁
1991年 科学技術庁 原子力局政策課長補佐
1993年 米国スタンフォード大学 留学(経済政策研究センター)
1996年 外務省 在連合王国(英国)日本大使館一等書記官
2000年 科学技術庁 科学技術政策局企画室長
     内閣府 科学技術政策担当大臣(笹川堯、尾身幸次)秘書官
2002年 文部科学省 大臣官房評価室長
2004年 早稲田大学 客員教授(非常勤)
     高等教育局主任大学改革官(教員養成担当)
2005年 高等教育局私学部参事官(私立学校法人担当)
2006年 研究振興局 研究環境・産業連携課長
2007年 山梨大学 学長特別補佐/教授
2008年4月 山梨大学副学長に昇進
2009年7月 研究開発局宇宙開発利用課長
2010年7月 科学技術・学術政策局政策課長
2012年8月1日 官房政策課長
2012年12月14日 官房総務課長
2013年7月8日 会計課長会計課長
★2014年1月17日 官房審議官(高等教育局担当)
★2016年1月1日 総括審議官

2016年6月21日 文部科学省官房長に就任
2017年7月12日 科学技術・学術政策局長
★2018年7月4日 受託収賄の疑いで逮捕(2018年2月の息子の大学合格と引き換えに、東京医科大学に対して、官房長時代の2017年5月に私立大学研究ブランディング事業に関する便宜を図った容疑)。同月24日起訴。
**********
【参考URL↓】
https://sangakukan.jst.go.jp/journal/center_contents/author_profile/sano-f.html
https://relocation-personnel.com/?s=%E4%BD%90%E9%87%8E%E5%A4%AA



*****【石原祐志(いしはらゆうじ)】*****
昭和35年(1960年)10月22日生 聖光学院高校出身
【最終学歴】早稲田大学大学院理工学研究科博士課程(前期)修了(電気工学専攻)
★1985年4月 科学技術庁入庁
1992年12月 同 科学技術政策局調査課補佐
1994年4月 同 研究技術政策局調査課補佐
1996年1月 理化学研究所大型放射光施設計画推進部付調査役
1997年7月 科技庁原子力局研究技術科補佐
1998年6月 航空宇宙技術研究所企画室総括研究企画官
2001年1月 日本原子力研究所国際協力室課長
2001年3月 JICA専門家(科学技術政策)としてインドネシア共和国へ派遣
2003年4月 科政局原子力安全課保安管理企画官
2003年4月 内閣官房内閣情報調査室主任開発官
2005年4月 神奈川県企画部参事
2007年4月 筑波大研究事業部長
2009年4月 同 研究推進部長
2010年7月 日本学術会議事務局参事官(審議第二担当)
2013年7月31日 (独)放射線医学総合研究所総務部長
★2016年4月 長野高専校長
★2019年4月 理化学研究所科技ハブ産連本部科学技術ハブ推進部長

**********
【参考URL↓】
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/img/1561083568.jpg
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/img/1577592505.jpg

 というわけで、両名とも、早稲田大学大学院理工学研究科を修士で出て、1985年度に科学技術庁に同時入庁している同門同期の仲であることがわかります。

 このような「経歴の丸被り」というのは、どれほどの確率で起きるのでしょう。文部科学省あるいは旧科学技術庁の出身大学別の採用者数内訳について、さすがに1985年度当時のデータは見つかりませんでしたが、試しに遡れる限り古い採用データを漁ってみると、例えば平成21(2009)年度では、国I(現国家総合職)からの入省者全35名(事務系17+技術系18)のうちで、早大院出身はたった1名しかいないことがわかります。早稲田大学全体でみてもたった3名で、あとは他の旧帝大や慶應の出身です。
参考:文部科学省・文化庁「採用昇任等基本方針に基づく任用の状況(平成21年度)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/12/__icsFiles/afieldfile/2010/12/10/1300011_1.pdf

 百歩譲ってこの四半世紀前は採用傾向も多少は違ったのかもしれませんが、それでも当時は文部省と統合され文部科学省となる前の科学技術庁であり、当然採用規模もこれより小さかったはずです。とすれば、同じ早大院理工学研究科の出で、まったく同期の入庁となると、ほとんど唯一無二の存在であったはずです。当然、お互いの間に面識や繋がりが無いなどということは、まず有り得ません。

■そして、石原祐志を水面下で2016年度就任分高専校長として捻じ込んでいたとみられる2015年後半~2016年2月頃の両名の動きを見比べてみましょう。長らく本省から外れて外部機関の中間管理職や参事を渡り歩き、2015年度時点でも独法放射線医学総合研でくすぶっていた石原祐志とは対照的に、佐野太はちょうど官房審議官(高等教育局担当)から総括審議官(16年1月から)へと文科省のトップエリートへの階段を登り詰めつつあったことがわかります。

 しかもおあつらえ向きに、14年1月~15年12月末の官房審議官時代には、ズバリ高等専門学校を所掌する高等教育局(ちなみに高専は同局の専門教育課・高等専門学校係担当)を担当し、同局そして高専機構・全高専を簡単に左右できる立場にあったことがわかります。さらに、文科省職員の人事を司る大臣官房人事課も、「官房」繋がりで突っつくことができます。

 そうなると、石原の押し込み先として高専が選ばれたのは、ただ単に、「ちょうどいいタイミング」でちょうど佐野の目の前に転がってしまっていたから、という以上の意味はないように推察されます。こんな心底くだらない自分勝手と気まぐれで、長野高専とその関係者らは長い苦しみの下に置かれ続け、そして今も後遺症にあえいでいるというわけです。

 というわけで、状況証拠としてはまさにバッチリというほかありません。

■当会では、本件に関する更なる検証と事実確認をおこないたいと考えました。そのため、セオリー通り、高専機構と文科省に情報開示請求をおこなうことにしました。

 まず、高専機構に関しては、2016年度就任分高専校長の推薦・選考過程についての内部情報を求めることにしました。文部科学省については、後述のとおり、考え得るすべての関連文書をとりあえず開示請求してみることにしました。よって、2019年11月1日、高専機構と文科省に次の内容の情報開示請求書を同時提出しました。

*****11/1高専機構宛開示請求*****ZIP ⇒ ljisuyj.zip
平成28年度就任分の国立高等専門学校長の選考業務(当然平成27年度に行われたもの)について、関連機関への募集開始通知から最終的な全校長候補者内定にまでにかかる関連文書の一切(電子メール含む)。
**********

*****11/1文科省宛開示請求*****ZIP ⇒ 20191101sjisuyj.zip
2015年、貴省がその(元)職員である石原祐志氏を2016年度就任分国立高等専門学校校長候補者として独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「高専機構」)に推薦したことについて、以下の文書(電子メール等も含む)。

(1)推薦理由書等の作成日・作成部署、及びその最終チェックを行った当該部署責任者名がわかる情報。
(2)貴省または石原氏が高専機構に推薦書類等を送達した日付が分かる情報。
(3)2016年3月の内示以前に、高専機構から貴省または石原氏に対して、同氏が選考に通過した旨の通知がなされていた場合、その情報。
(4)貴省職員の佐野太氏が、2015年度内に作成した文書、および作成ないし受信した電子メールのうち、「石原」「祐志」「高専」「機構」「校長」「推薦」等の単語を1つでも用いたものの一切。
(5)旧科学技術庁の1985年4月入庁分採用者の出身大学・大学院の内訳がわかる情報(名簿や採用情報などが想定される)。
**********

 というわけで、文科省宛の情報開示請求では、2015年度に文科省が石原氏を校長に「推薦」した事実関係と佐野太の関与に関する情報(1、2、3、4)、及び石原・佐野の入庁同期の学歴構成を調査することにしました。

■すると、まずは12月9日付で高専機構からの開示通知が届きました。



*****
12/9高専機構開示通知*****ZIP ⇒ 20191209jm.zip
                           高機総第132号
                           令和元年12月9日

             法人文書開示決定通知書

市民オンブズマン群馬
  代表者  小川  賢  様

                 独立行政法人国立高等専門学校機構

 令和元年11月1日付けで請求のありました法人文書の開示について、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づき、下記のとおり開示することとしましたので通知します。

1 開示する法人文書の名称
  別紙のとおり

2 不開示とした部分とその理由
  別紙のとおり

=====別紙1 開示する法人文書の名称=====
 平成28年度就任分の国立高等専門学校長の選考業務における、募集開始通知から内定までにかかる一切の情報。

 1-1 国立高等専門学校長登用候補者の推薦について(依頼)(各高専宛)
 1-2 国立高等専門学校長候補者のご推薦について(依頼)(他機関宛①)
 1-3 国立高等専門学校長候補者のご推薦について(依頼)(他機関宛②)
 2-1 国立高等専門学校長登用候補者の推薦書(高専回答文)
 2-2 国立高等専門学校候補者の推薦について(回答)(他機関回答①)
 2-3 国立高等専門学校候補者の推薦について(回答)(他機関回答②)
 3-1 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第1回)資料
 3-2 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第2回)資料
 3-3 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第3回)資料
 3-4 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第4回)資料
 4-1 国立高等専門学校長候補者の内々定について(高専宛)
 4-2 国立高等専門学校長候補者の内々定について(他機関宛)
 4-3 国立高等専門学校長候補者の内々定の取り消しについて
 5   人事異動(国立高等専門学校長 内示)

【別紙2 「不開示とした部分とその理由」は省略(併載ファイルで各自ご確認ください)】
**********

 というわけで、募集・推薦・選考のプロセスに関する文書がそれなりの量開示されることはわかりました。相も変わらず不開示のり弁部分がやたら多いことは開示通知から悟りましたが、特に該当文書で佐野太の関与を直接示唆しているとも思われないので、今回は文書日付から当時のプロセスの時系列的なことが知れれば十分と考え、あえて目をつぶることにしました。

■これに遅れること数日、今度は文科省から12月11日付の開示通知が届きました。しかし、当会の情報開示請求では(1)~(5)で5点も請求したにもかかわらず、たった2点しか開示文書がありません。


*****12/11文科省開示通知*****ZIP ⇒ 20191214jmsm.zip
                        元受文科人第186号
                        令和元年12月11日

             行政文書開示決定通知書

市民オンブズマン群馬
 代表  小川 賢 様

                    文部科学大臣臨時代理
                     国務大臣 竹本 直一

 令和元年11月1日付け(令和元年11月6日受付)で請求のありました行政文書の開示について,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)第9条第1項の規定に基づき,下記のとおり,開示することとしましたので通知します。

             記

1 開示する行政文書の名称
  国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)、
  昭和59年度上級職職員採用内定者名簿

2 不開示とした部分とその理由
  請求する行政文書(3)及び(4)については、文書を保有していないため、不開示としました。
  昭和59年度上級職職員採用内定者名簿について、本省課長級以上の職位にない職員の試験区分、生年月日、学歴については、慣行として公にしていない個人に関する情報であり、また、職務の遂行に係る情報に当たらないことから、法第5条第1号に該当するため不開示としました。また、旧科学技術庁所管の航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、無機材質研究所の採用職員については、当該機関の独立行政法人化により、既に国家公務員の身分を有しておらず、資料に記載の情報は個人に関する情報となることから、法第5条第1号に該当するため不開示としました。
**********

 開示通知の書き方があいまいで、当会の開示請求の各項目に開示文書がきっちり対応しているのか、これではよくわかりません。また、1985年当時の採用者で、のちに課長級以上に一度でも在職した人物は、学歴情報を開示されるようです。とはいえ当会としてはできれば採用者全員分の学歴を内訳表にしたものが欲しかったので、開示の実施方法等申出書に次の要請書をつけて文科省に提出しました。

*****12/16要請書*****ZIP ⇒ ov.zip
           文書開示に際しての要請
                    令和元年12月16日
文部科学省 大臣官房人事課任用班 御中
            〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
              市民オンブズマン群馬  代表 小川 賢
              TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
                 090-5302-8312(代表・小川直通)
                 FAX: 027-224-6624

 開示請求人(市民オンブズマン群馬)がおこなった令和元年11月1日付(同6日受付)の開示請求(以下「本開示請求」)に対し、令和元年12月11日付・元受文科人第186号により文書開示通知(以下「開示通知」)がなされたことについて、大変失礼ながら、開示請求人の同請求意図と貴省の開示通知との間に大幅な齟齬が見られます。
したがってお手数ながら、文書の受け取りにあたって、以下要請2点へのご対応を行っていただくようよろしくお願い申し上げます。これは決定内容への異議申立ではなく、開示請求人の実際の請求意図と貴省の理解にずれが生じてしまい、決定内容及び通知に内容・説明不備が見られることから、その補填となる説明を文書受領までに用意しておいていただきたいという趣旨です。

【要請1】:以下質問への回答をご準備ください。
〇質問:貴省の認識として、開示対象文書のうち、「国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)」が、本開示請求の(1)及び(2)の両方に該当する文書であり(すなわち両項にかかる情報の記載がある文書であり)、かつ、これ以外に両項への該当保有文書は存在しないという理解でよろしいでしょうか。

【要請2】:以下の補填情報のご準備をお願いします。
〇要請:本開示請求の(5)において、「採用者の出身大学・大学院の内訳がわかる情報」と書きましたが、これは採用者個々人の出自情報を求めたものではなく、採用者全体としての任用内訳数情報を求めたものです。しかるに、「昭和59年度上級職職員採用内定者名簿」の学歴情報すべてをたんに不開示とされてしまうと、開示請求人はこの情報を知ることができません。貴省は開示請求人の意図と希望に可能な限り添う義務があると考えます。よって、「『昭和59年度上級職職員採用内定者名簿』に記載のある者のうち、各大学・大学院からそれぞれ何名採用されているかの単純な内訳数情報」を、計上のうえ、最悪メモの形で構いませんので説明可能な状態にしておいていただくようよろしくお願いいたします。
     なお、貴省では(開示請求人が確認できる限りで)平成21年度分から「採用昇任等基本方針に基づく任用の状況」をHP上でも公表しており、任用者の全体人数、および出身別内訳数に関する情報が慣行として公表されていることが明らかなことから、当該情報は個人情報または貴省の円滑な人事の阻害にあたらないものであり、貴省がかかる情報を準備し開示請求人に伝えることを拒否する合理的理由はないものと思料します。


 開示方法等申出書に記載のとおり、開示請求人として12月27日17時ごろに貴省に開示文書の受領に参りますので、貴省におかれましては、それまでに以上要請1、2についてのご回答をご準備いただくようお願いいたします。ご回答については、回答文書を作成し開示文書とともに開示請求人に渡していただくほか、メモを開示文書に挟んでいただく、または開示担当者によって回答を口頭でお伝えいただくといった方法でも構いません。

 開示請求人からの本要請に関して伝達事項・調整事項等がございました場合は、上記連絡先までお伝えいただくようよろしくお願いいたします。
**********

 上記要請書をご覧いただけばわかるとおり、文科省に関しては12月27日の夕方に、窓口まで直接開示文書を受領しにいき、その際上記要請への回答も聴取することにしました。ついでに、業務をまとめたいので、高専機構からの開示文書の受領も同日行うことにしました。すなわち、12月27日の午前に八王子の高専機構本部で開示文書を受領し、返す刀で同日午後に霞が関の文科省で開示文書の受領と回答聴取を行うことにしました。高専機構本部、文科省共に、これが2019年内の見納めとなります。

■当日は朝6:50高崎発のあさま600号に乗車し、7:40に東京駅に到着し、7:48発の中央線快速で9:02高尾駅に到着し、9:13に京王線高尾駅から普通電車に乗車し、1つ目の狭間駅に09:15に到着しました。そして、ゆっくり歩いて3分で高専機構本部につきました。










敷地に入ってから1階ロビーに入るまで、実に3つも立入禁止の看板が訪問者を出迎える。


さらに1階ロビーの天井に、玄関に向けて監視カメラが出迎える。



 さっそく3階の総務課に向けて階段を上ろうとしたら、1階に受付の電話機があるのに気づきました。「あれっ、こんなもの、以前あったかな」と思い、電話機の脇に置いてある各部署の電話番号リストを見ましたが、字が小さいため、携帯電話で総務課総務係に電話をしたところ、担当の橋本職員が電話口に出ました。







 まもなく橋本職員が開示資料の入った封筒を抱えて降りてきました。1階ロビーのテーブルに封筒を置いて、中から取り出された開示文書をざっとめくってみると、ほとんど黒塗りでした。相変わらず情報秘匿体質なことが瞬時に分かりました。

 細かいところまで見ている時間がないため、さっそく手数料を支払うことにしました。真っ黒けな文書にカネを払う価値はありませんが、326枚分の3,260円を支払いました。

 橋本職員が経理係で領収書を準備してもらうまで、10分ほど時間がかかりました。領収書をもらったあと、ひとことアドバイスをしました。それは先日の東京地裁における情報不開示取消訴訟事件の第1回口頭弁論についてです。高専機構本部が起用した訴訟代理人が作成した答弁書について、裁判長がもう一度出しなおすように訴訟指揮をしたことを例示し、「人選を再考したほうがよいのではないか」とコメントしました。上層部に伝えるよう進言しました。橋本職員は「分かりました」と言いましたが、上層部が決断したかどうかは次回期日に判明します。



 09:50に高専本部を退出し、09:54に狭間駅に着きました。新宿方面に行くか、それとも高尾駅に戻りJRで新宿方面に行くか迷いましたが、結局もと来たルートをたどることにしました。







 その後、東京駅に向かい、師走の八重洲界隈を私用で午後4時半まで過ごした後、銀座線で虎ノ門に行きました。16:42に虎ノ門駅到着後、2007年に竣工した霞が関コモンゲート東館(通称「官庁棟」)の下層階(3階から18階)に入居している文部科学省を訪れました。



 受付で申請書に記入し提出してから、1階ロビーで3分ほど待っていると、2名の担当者がやってきました。いつもの情報開示室に案内され、2枚の開示資料を受け取りました。その際、申出書と一緒に送った質問票について、回答を促しました。

 質問票の要請1と2に対する文科省の回答は、 同省大臣官房人事課任用班の高橋職員の説明によれば次の通りです 。

【要請1】その理解の通りです。
【要請2】開示できるものは今回開示している。なお、 指摘の通り、平成21年3月に閣議決定事項として、 任用者の全体人数、 および出身別内訳数に関する情報が公開されることになったが、 それ以前については、そのような情報は公開されておらず、したがって、そのような情報も作成していない。

 今回文科省職員2名が対応したのですが、回答した官僚は、終始緊張したままでした。当会から冒頭に年末の挨拶を声掛けしたのですが、応答もないまま、資料2枚の開示を受けたあと、「先日お出しした質問についてはどのように答えていただけるのですか」と、こちらから持ち掛けて初めて口を開く始末でした。回答を準備していたのですから、その旨文書で寄こせばよいものを、口頭での説明に終わりました。

 ……それにしても、「資料が存在しないのなら、採用者などせいぜい十数名規模なのだから、そのような内訳資料を正の字のメモ書きでもよいので自分たちで計上して片手間で作ってください」と頼んでいるのに、「そのような情報は公開されていないし、作成していない」と官僚答弁を繰り返す様は、さすが何度不祥事を繰り返しても懲りない文科省クオリティといったところです。

■というわけで、開示された資料を以下に示します。

★高専機構開示資料 ZIP ⇒ 201912270to2.zip
201912273to5.zip
【高専機構からの2015年度校長選考過程に関する資料については、今回文字起こし割愛。確認は上記ファイルをダウンロードのうえ各自でお願いします】

★文科省開示資料 ZIP ⇒ 20191227ja42.zip
 文字起こしは以下のとおり。

*****国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)*****
                       27受文科人第310号
                       平成28年1月15日

独立行政法人国立高等専門学校機構
  理事長   小 畑 秀 文  殿

              文部科学省大臣官房人事課長
                     藤 江  陽 子

           国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)

 平成27年12月2日付27高機人第87号で依頼のありました標記の件につきまして、関連書類を添付して下記の者を推薦させていただきますので、お願い申し上げます。

              記

           新 保 幸 一
           石 原 祐 志
**********

*****昭和59年度 上級職職員採用内定者名簿*****
                        59.11.6
                        長官官房秘書課

採用内定部局 試験区分  氏  名  生年月日  学       歴

 内  局   法律   菱山 豊  35.10.17  東大・医・保健
  〃     ■■   ■■■■  ■■■■  ■■■■■■■
  〃     電気   石原祐志  35.10.22  早大(院)修士・理・電気工・高電圧・エネルギー
  〃     土木   佐伯浩治  38.3.22  東大・工・都市工・都市計画
  〃     〃    佐野 太  34.7.21   早大(院)修士・理工・土木工・都市計画
  〃     化学   深井 宏  37.6.8   京大・工・石油化・量子化
  〃     原子力  板倉周一郎 38.1.9   東大・工・原子力工学
  〃     〃    中川建朗  35.8.9   東大(院)修士・工・原子力工学
  〃     ■■   佐藤真輔  ■■■■  ■■■■■■■
  〃     ■■   石坂佐知子 ■■■■  ■■■■■■■

【当会注:昭和59年度科学技術庁内局上級職職員採用内定者・以上(他部局は全面黒塗りであり、また本件と関係が無いので割愛)】
**********

 文科省からの開示資料は以上のとおりです。

■まずは、科学技術庁の1985年当時の採用内定者名簿から検討してみましょう。

 当時、科学技術庁内局に採用された職員は全部で10名で、開示された資料ではうち3名が学歴黒塗り(更にこのうち一名が氏名も含め完全黒塗り)とされています。そこで、名前が判明していて学歴が不明の「佐藤真輔」氏と「石坂佐知子」氏についてウェブ検索をしてみると、あっけなく出身大学が判明しました。佐藤真輔氏については東京大学大学院理学系研究科修士課程生物化学専攻卒、石坂佐知子氏については東京大学理学部生物学科卒で、いずれも東大出身でした。
※参考URL
http://www.keibundo.co.jp/search/detail/0100000000000033473868
https://www3.chubu.ac.jp/international/news/24485/

 よって、氏名不明の1名を除くと、1985年科技庁内局採用者10名のうち、東大(院)出身が6名、京大出身が1名、そして早大院出身が2名(すなわち佐野、石原)となります。採用者の出身校がたった3大学で占められるという当時の恐ろしい学歴主義の強さがわかるとともに、官僚界における東大閥の圧倒的な強さが一目瞭然です。というわけで、佐野と石原がお互いを知らなかったなどということはまず有り得ませんし、東大閥の凄まじい圧迫感に対して唯一手を組んで力を合わせられる早大院出身の貴重な同窓として、下積み時代にはお互いに手を貸しあい、かけがえのない友人関係を築いたことでしょう。そうしなかった訳はありません。

 そして、共に支え合った下積み時代の大きな恩があったからこそ、早々に出世レースに敗れて外郭団体の中間管理職を渡り歩いていた石原に目をかけてやり、当時の高等教育局担当の官房審議官としての権力を最大限利用して、用意できる限りで最高の席である高専校長の椅子を用意してあげた、ということでしょう。

 これだけ聞けばたいへん美しい友情の物語ですが、こんな2人だけの世界の自己満足に振り回されて疲弊した長野高専関係者らにとってみれば、心底いい迷惑です。

■次に、平成28年度就任分の国立高専校長の過程を検討してみます。すでに、同年度就任分の校長のうち文科省天下りは新保幸一氏と石原祐志氏の2名のみであることが当会の別途調査により判明しています(参考⇒https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2676.html)。また、文科省が「推薦」を出した人物については100%がフリーパスで高専校長に就けることも判明しています。

 というわけで、時系列としては、2015年12月2日に高専機構が「国立高等専門学校校長候補者の推薦について」という推薦お願いを文科省に発出し、それに答えるかたちで、翌年1月15日に石原祐志を含む文科官僚が「推薦」されたということになります。

 そうなるとやはり、高専機構から推薦お願いが発出されてきた時点で佐野太は高等教育局担当の官房審議官の位にあり、ちょうどいいとばかりに所管の高専機構に圧力をかけ、官房繋がりで官房人事課に口利きをして推薦書等を書かせ、ついでに自分は16年1月1日付で統括審議官へと更に昇進したということになります。

■ところで、高専機構からの開示文書に「国立高等専門学校長候補者の内々定の取り消しについて」(機構開示資料4-3)が含まれていることがわかります。当会では当初その文書が持つ重い意味に気付かず読み飛ばしてしまっていたのですが、重要性について関係者からの指摘を受け改めて精査したところ、石原長野高専校長就任に関する更なる闇が見えてきました。

 同文書によれば、2015年12月24日に校長内々定の通知を貰っていたはずの大学ないし高専教員出身の校長候補者が、翌年1月20日に突如「内々定の取り消し」を高専機構から告げられてしまっていることがわかります。普通、内々定の通知を出す時点で内定者数と来年度に空く校長の椅子の数の擦り合わせは厳密になされるはずで、文科省と高専機構の人事間でも裏でそのあたりの調整はなされているはずです。あぶれるくらいなら最初から内々定を出さないはずです。

 そこで、この内々定取り消しの時系列に、12月2日に高専機構から文科省への「推薦」依頼が出され、それに対して1月15日に文科省から石原祐志含む2名の「推薦」が返された時系列を合わせて考えると、当時の呆れた経緯が浮き彫りになります。

 恐らく、もともと高専機構としては1人分の空き席を用意していたところ、佐野太が強権でむりやり石原を捻じ込んできたために2名を文科省から推薦することになってしまったのではないでしょうか。高専機構としては文科官僚(まして権勢を誇る佐野太の後ろ盾付き)を落とす訳にいかないので、1月15日に文科省からの「推薦」を受け取ってから、大慌てで同20日に既に内々定していた校長候補を1名落とし、帳尻を合わせたものと推察されます。

 しかしこれでは、ワリを食って幸せの絶頂から突如失意のどん底に叩き落されてしまった教員出身校長候補があまりにも悲惨すぎます。普通に考えれば、年末に内々定を貰ってから、家族や友人、所属機関に伝えて、赴任の準備をしつつ新年度からの夢見た校長生活に思いを馳せていたことでしょう。それを突然、文科官僚の身勝手な事情で「やっぱやめた」と理不尽に潰されなければならないのですから、心中は察するに余りあるものです。実にどこまでも迷惑で自分勝手な男たちです。

■更に、石原祐志の長野高専校長退任の経緯も検証してみましょう。

 佐野太が突然の逮捕と起訴により失脚したのは18年7月のことでした。そして、石原祐志が水面下で文科省人事課に呼び出されて「退任か?」と騒がれたのが同年11月のことでした。そうなると、時期的にピタリ一致することになります。

 実は、これに加えて、更に核心的なエピソードがあります。18年10月~11月頃に、文科省からの天下りで来ていた高専機構の高橋雅之執行調整役に対して、石原祐志氏が突如として異常なほど気を遣って……すなわち媚びへつらい始めていたというのです。明らかに、佐野太という超強力な後ろ盾を失って、保身のため新たな寄生先の確保に奔走していたようすが見て取れます。しかし、その高橋執行調整役も、無情にも今年4月に高専機構を去って内閣府に異動していってしまいました(参考 https://relocation-personnel.com/2019/4/1/%E3%80%90%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E3%80%91%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C2019%E5%B9%B44%E6%9C%881%E6%97%A5)。余談ですが、石原氏は、熊本大学プロパーである高専機構の現・谷口理事長のことを始終見下していたようです。

 虎の威を借る狐が、背後の虎を失えばどうなるか。あとは読者の皆様もご存知のとおり、高専校長の椅子をあっさり失い、異動先も伝えられぬまま高専機構と文科省から一方的に異動の辞令を出され、部下13人の左遷部署に飛ばされることになってしまいました。高専機構側としても、いくら文科省からのお客様とはいえ、海外出張と題して高専機構の金で旅行を繰り返すなど放漫に明け暮れる石原氏にいい思いをしておらず、文科省内での佐野派閥崩壊という壮絶な揺り戻しの影響もあって、容赦なく首をハネられたことになります。

■しかし、それでも勧善懲悪の「めでたしめでたし」で片付かない事情があります。石原が飛ばされたのはあくまで「お上」のパワーゲームの産物であり、文科省・高専機構の腐敗体質については何も改善されたわけではないこと、石原も未だに理研・産総研に寄生し、長野高専からは名誉教授をもぎ取ってしぶとく生き残り続けていること、そして石原が長野高専につけた傷が癒えるまでには相当な時間がかかりそうだからです。

 あわせて問題なのは、とっくの昔に「権威」が吹き飛んで落ちぶれ、もはや本省にすら愛想を尽かされている石原祐志という男の幻影になおも媚び続けている、長野高専の土居信数新校長や鈴木宏副校長です。

 なお、長野高専現幹部らにより水面下で石原祐志への名誉教授称号授与が強行された一部始終については、次の記事とその関連リンクもご覧下さい。
○2019年12月29日:【長野高専】天下り石原名誉教授問題…同校と産総研の開示文書で「授与」と「活用」の経緯を暴く!(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3099.html

 石原祐志に関しては、もはや本省も守る気がさらさらないのは明らかで、足蹴にしても問題がないはずです。本省に何のプレゼンスもない石原に媚びたところでなんのメリットもないはずです。少なくとも、以上のような経緯を知っていれば、名誉教授を送ろうなどという気は普通、跡形もなく消え失せるはずです。

 ところが、長野高専現幹部らは、長野高専教職員や学生らの声を完全無視して、頑固に石原への臣従を誓い続けて、もはや媚びることに何の意味もない石原の靴をペロペロと舐めてしまいました。すでに教育者としても研究者としても失格ですが、情勢に関する空気を読む能力が皆無な時点で「政治家」としての才能すらもゼロ、というよりマイナス無限大であると評さざるをえません。

■ところで、石原祐志の長野高専校長就任に深く関わり、そして18年7月4日に東京医大裏口入学問題で東京地検特捜部に電撃逮捕された佐野太についてですが、19年1月を境にパタリと報道が途絶え、その後の動向が一切不明となっています。各種報道から判明している逮捕後の流れは次の通りです。

●18/07/24 佐野太起訴(受託収賄罪)
https://www.asahi.com/articles/ASL7S4R5JL7SUTIL031.html
**********朝日新聞デジタル2018年7月24日14:46
文科省の前局長を収賄罪で起訴 東京医科大入学巡る汚職
 文部科学省の私学支援事業をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は24日、前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(59)を受託収賄罪で起訴し、発表した。特捜部は、賄賂として前局長の息子を不正に合格させたとして任意での調べを続けていた東京医科大学の臼井正彦・前理事長(77)と鈴木衛・前学長(69)も贈賄罪で在宅起訴した。
 特捜部はまた、医療コンサル会社元役員の谷口浩司容疑者(47)も受託収賄幇助(ほうじょ)の罪で起訴した。
 特捜部の発表などでは、佐野前局長は2017年5月、都内の飲食店で臼井前理事長から、同大を文科省の「私立大学研究ブランディング事業」の対象校に選ぶよう頼まれ、その見返りと知りながら今年2月の入試で自分の息子の点数を加算してもらい、不正に合格させてもらったとされる。
**********

●18/12/21 佐野太保釈(保証金500万円)
https://www.asahi.com/articles/ASLDP5QKCLDPUTIL04G.html
**********朝日新聞デジタル2018年12月21日22:17
文科省前局長の保釈決定 保証金500万円、即日納付
 東京地裁は21日、文部科学省の私立大学支援事業をめぐって受託収賄罪で起訴された、同省前局長の佐野太被告(59)の保釈を認める決定を出した。検察側は不服として準抗告したが、これも棄却した。佐野前局長は保釈保証金500万円を即日納付し、近く保釈される見通し。
 佐野前局長は、東京医科大学前理事長の臼井正彦被告(77)=贈賄罪で在宅起訴=から便宜を依頼された見返りに、息子を不正に合格させてもらったとして起訴された。起訴内容を否認しており、7月に東京地検特捜部に逮捕されて以降、勾留が続いていた。
**********

 ところが、逮捕・起訴から1年数か月が経つ2019年の秋過ぎになっても、判決はおろか初公判が開かれたという報道がひとつも見当たりません。単に公私混同で便宜を図り息子を裏口入学させただけのわりあいシンプルな汚職なのに、東京地検特捜部をもってしてよほど捜査が難航しているのでしょうか。おかしな話です。

 そこで、本件に関する調査を開始していた9月24日、関係各所に佐野太の現況に関する質問をしてみることにしました。

■まず、佐野太の起訴先となっている東京地方裁判所の刑事部刑事訟廷事務室事件係(03-3581-3304)に電話をして聞き取りをおこないました。やり取りは以下の通りです。

当会:受託収賄罪で2018年7月24日に東京地検が起訴した佐野太氏について、初公判の日程を教えてもらいたい。既に開かれていればこれまでの公判の日付、未定であれば、その理由と、最低で向こう何か月間初公判まで間があるかお教え願いたい。

東京地裁:(おそらくPCで事件一覧を見ながら)当該事件のことはまだ初公判は未定だというふうにきいているが、この事件について詳しいことをお聞きになりたい場合は、刑事16部(電話03-3581-3214)に電話をしてみてほしい。

当会:ところで現在、新天皇即位に伴う恩赦が取りざたされていますが、本件のように、起訴された事案についても適用になるのでしょうか。

東京地裁:(なにやら法律書を取り出してパラパラめくりながら)審査会で審査対象となった事案について審議をして、恩赦かどうか決めるみたいですね。

当会:昨日の夜、NHKの番組(時論公論)を見ていたら、一律恩赦とする場合もあるようですが。

東京地裁:自分としてはよくわからないが、裁判所の扱いというより、判決が出た事案についての判断だと思います。

【担当先である東京地裁刑事第16部に電話を繋ぎなおす】

東京地裁:本事件はまだ、初公判の期日は未定となっています。理由は調整中としか申し上げられません。したがって、いつ頃初公判になるのかも分かりません。

■なんと、起訴から1年2か月が経った2019年9月下旬時点ですら「初公判未定」というのです。当会が12月末現在あらためてネット検索等でニュースを探してみても、初公判が開かれたというニュースはひとつも見当たりません。どうやら、国民が事件のことをすっかり忘れてしまっている裏で、恐ろしい後日談が駆動しつつあるようです。

【20/01/16追記】
本日2020年1月16日、追確認として東京地裁に問い合わせをおこなった読者の方から、情報提供が寄せられましたので、追記の形で報告します。

 同地裁の刑事16部の担当者曰く、「まだ現在争点整理中で、争点も多いので整理している段階です。そのため日程はまだ決まっていない状態です。もう少ししたら決まるかもしれません」とのことで、2020年になってもやはり未だに初公判の目途は立っていないようです。

 ただし情報提供者の主観的な感触としては、「どうもそろそろ決まりそうな空気にも取れた」とのことです。また、「傍聴の際にはくじ引きになるのか」と聞いたところ、「何とも言えないけれども、事件が大きいのでその可能性はあります」とのことのようです。
【追記終】

■更に同日、佐野太の現在の文科省における扱いについて調べるべく、文科省人事課計画調整班服務係に電話をしました。

当会:前年に汚職で逮捕・起訴された佐野太について、逮捕日の18年7月4日には学術政策局長を解任され大臣官房付となっていることが報道で確認できるが、結局文科省を辞したのかどうかにかかる報道が見当たらない。単刀直入に聞くが、佐野太は現在文科省にまだ所属しているのか、それとも退職済か。

文科省:現在、佐野太職員は文科省に所属しており、大臣官房付きで刑事休職扱いとなっています。時期は昨年8月の起訴の時点から、刑事休職扱いです。

当会:佐野は現在59歳だが、もし判決が出ないまま60歳を迎えた場合、定年退職扱いとなり退職金が出てしまうのか。

文科省:今後、裁判の進展具合にもよりますが、なんらかの処分を行ったりする可能性があります。また退職金について、ご指摘の通り判決がでないまま定年退職となる場合でも、ただちに退職金を支給することはなく、省内のしかるべき手続きで、結論を出したうえでの対応になるかと思います。

■というわけで、佐野太はまだ文科省に「刑事休職」扱いで籍を置いていることが判明しました。したがって、まだ、退職金が完全にパーになったわけでもなく、宙ぶらりんの状態にあるようです。

 また、起訴による「刑事休職」という扱いも気になりました。例えば、国家公務員一般職の場合、刑事休職は国家公務員法第79条2号に規定があり、起訴となった場合は国が強制的に休職とすることができます。しかし、一般職の給与に関する法律第23条第4項の定めによって、刑事休職期間中でも本来に対して最大6割の俸給を貰えることになっています。
※参考URL:「一般職の給与に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000095

 そうなると、今この瞬間にも、まったく働いてもいない佐野太に延々給与が支払われてしまっている可能性が極めて高いことになります。すでに文科省の最高級幹部の1人まで登り詰めた佐野太ですから、6割でも相当な額に達するはずです。

■というわけで、国民がすっかりこの事件を忘れてしまった裏で、起訴から1年半近くが経過しても未だに初公判すら開けず、佐野太は文科省に「刑事休職」でしがみついたまま延々と労働ゼロで給与が支払われており、退職金も保留状態という深刻な事態に陥っていることがわかります。

 東京地検特捜部と東京地裁はいったい何をしているのでしょう。一刻もはやく公判を開いて判決を言い渡さなければ、ただ泥棒に追い銭をあげるだけになってしまいます。この惨状をマスコミが一切報道していないことも、大問題です。

 どうも、佐野太の周りには相当なヤブヘビが潜んでおり、逮捕・起訴まではできたもののそれ以上を踏み出せないというキナ臭さを感じます。

 考えられる説を挙げていくと、東京医科大学の裏口入学ルートは、佐野の子息だけでなく、さる国会議員らも御用達のルートであったことから、実態を暴くことが困難である事情が考えられます。あるいは、殊更に佐野を責めると、何らかの形で政治的に都合の悪い事態が巻き起こってしまう可能性を危惧しているということも考えられます。例えば、トップ幹部級の文科官僚ですから、所謂「森友・加計マター」や前川喜平とも繋がりがあった可能性もありますし、既に一部でそれが指摘されています。

 前述の通り、お粗末な開示通知内容とあわせて、12月27日に当会が開示資料を受領しに行った際の文科省職員の対応のおかしさは尋常ではありませんでした。「重鎮・佐野太は既に失脚しているし、悪事も丸裸にされているのに何を亡霊におびえて忖度する必要があろうか」と訝しく思いましたが、それでもやはりこれ以上、手を出させる訳にはいかないという強い隠蔽の意向を職員の目から感じ取りました。

 いずれにせよ、2018年の夏にあれほど国民を焚きつけたメディアの方々は、この問題まみれの後日談にもキチンと目を向けるべきです。

■ところで一部報道では、佐野太の逮捕に結びついたのは「東京医科大学の理事長らの体制と運営手法に不満をもった部下によるリーク」とされています。そうなると皮肉にも、学校の独裁強権運営に対するクーデターが、バタフライ効果で、遠く長野の学校の独裁強権運営にも終止符を打ったことになります。

 当会では今後、今回判明した石原祐志と佐野太との黒い繋がりも踏まえて、自分で自分に授与した名誉教授称号を握り締めて理研に遁走していった石原への追撃態勢を強めるとともに、私欲のために長野高専を我が物扱いする土居信数校長以下の幹部らにも、お灸を据えていくことにしています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次提訴に対する高専機構からの答弁書と第一回口頭弁論の様子

2019-12-30 00:14:00 | 群馬高専アカハラ問題
■高専組織の悪辣極まる情報隠蔽体質……当会ではその是正を狙って、2019年の10月に第一次・第二次の二度にわたり、各種情報不開示処分の取消を求め高専機構を提訴いたしましたことは既報の通りです。

2019年12月12日午前10時52分の東京高等地方簡易裁判所合同庁舎前。

【第一次提訴のいきさつ及び訴状提出の模様について】
○2019年10月19日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3055.html

【第一次提訴の訴状内容について】
○2019年10月19日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3056.html

【第二次提訴のいきさつと訴状内容について】
○2019年10月20日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3057.html

 当会ではこの2つの訴訟をまとめて「高専過剰不開示体質是正訴訟」と呼称し、訴状の行方を見守っていたところ、第一次訴訟について2019年12月12日、第二次訴訟について2020年2月4日にそれぞれ第一回口頭弁論期日が設定されました。

■よって、もっとも早く火蓋が切られる第一次訴訟について、原告当会の訴状への高専機構としての反論をしたためた答弁書の来着を待っていたところ、初回口頭弁論のきっかり1週間前となる12月5日付の答弁書が、同8日に当会事務局に送達されてきました。高専機構の訴訟代理人を引き受ける弁護士事務所は案の定、前回の群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟と同じく、銀座の「田中・木村法律事務所」でした。

 被告高専機構の第一次訴訟訴状に対する答弁書の内容は以下のとおりです。

*****答弁書送り状*****ZIP ⇒ 20191208t.zip
           準備書面等の送付書
                        令和元年12月5日
下記のとおり書類をご送付いたします。
受領書欄に記名・押印のうえ,この書面を当職及び裁判所宛FAX等でお送り下さい。

送 付 先 東京地方裁判所民事第2部Bc係 御中
     FAX 03-3581-5443
 原 告  市民オンブズマン群馬 御中
     FAX 027-224-6624
発 信 者 〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
           被告訴訟代理人弁護士  木 村 美 隆
     TEL:03-3573-7041 FAX:03-3572-4559
事件番号 令和元年(ウ)第515号
当事者名 原 告 市民オンブズマン群馬
     被 告 独立行政法人 国立高等専門学校機構
次回期日 令和元年12月12日(木)午前11時30分
文 書 名 答弁書,証拠説明書 (R元. 12.5付),乙第1~3号証
送信枚数    枚(送信書を除く)
相手方への送達の有無 有

   受領書
東京地方裁判所民事第3部B2係 御中 (FAX:03-3580-5706)
被告訴訟代理人 弁護士 木村美隆 宛 (FAX:03-3572-4559)

  上記書類を受領しました。
   令和  年  月  日
      原 告
通信欄
**********

*****答弁書*****ZIP ⇒ 20191208_tobensho.zip
令和元年(行ウ)第515号 法人文書不開示処分取消請求事件
 原 告  市民オンプズマン群馬
 被 告  独立行政法人国立高等専門学校機構

               答  弁  書

                         令和元年12月5日

東京地方裁判所民事第2部Bc係 御中

          (送達場所)
           〒104-0061
            東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
             田中・木村法律事務所
              電 話  03(3573)7041番
              FAX  03(3572)4559番
            被告訴訟代理人弁護士  木  村  美  隆
                 同      藍  澤  幸  弘
                 同      角  谷  千  佳

                記

            請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求をいずれも棄却する 。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
との判決を求める。

            請求の原因に対する答弁
1 1項について
 原告が,平成29年8月から平成30年7月にかけて,被告に対して法人文書の開示請求を行ったこと,これに対して被告が原告に文書の一部を開示したこと,被告の部分開示の措置の一部に対して原告が情報公開・個人情報保護審査会(以下「審査会」という)に審査請求を行い,その答申を受けて被告が不開示部分の一部を開示したこと,原告が被告に対し,平成31年3月11日付であらためて被告に対し甲第1号証の法人文書の開示請求を行い,被告が甲第2号証記載のとおり文書開示決定をしたこと,はいずれも認め,被告の開示決定において極めて根拠不明瞭ないし明白に失当な不開示措置がなされたとの主張は,争う。

2 2項について
(1) 被告が毎年行っている校長候補者選考について,原告が候補者一覧に関する開示請求(甲1,1項(1) )を行い,被告が部分開示を決定(甲2) したうえで原告に甲第3号証を開示したこと, 被告が全51校の高等専門学校を運営しており,必要に応じて新校長の募集及び選考を行っていること,その仕組みについて被告が原告に甲第8号証の回答書を交付して説明したこと,はいずれも認める。
  これに対し,各候補者の推薦機関が不開示情報にあたらないとの点, ①各候補者の推薦機関,②当該年の全候補者数が分かる情報,③個別の項目名,の各事項を被告が明らかにした後,各項目について不開示の妥当性を判断すべきとの点,判決における認容度合いにかかわらず,被告が訴訟費用のすべてを負担すべきとの点は,いずれも争う。

(2) 原告が被告に開示請求した「国立高等専門学校長候補者一覧」(甲1,1項(1) ) は,被告において各国立高等専門学校の校長を選考する際に用いている資料であり,不開示部分には候補者の氏名等候補者を特定する要素や,校長としての適格性を検討するために必要な経歴等が記載されている。
  この各事項の記載項目やその詳細は,被告における各学校の校長選考という人事管理に関する事務に必要となる事項である。これらの事項が外部に明らかになると,選考基準や考慮する要素の詳細が外部から推測できることとなり,選考過程における被告内の自由な議論や判断を阻害するおそれがある。このため,甲第3号証の不開示部分は,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとして,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)5条4号ヘに該当する。また,上記各不開示部分が,法令の規定により又は慣行上公にされている,といった事情はない。このため,甲第3号証の部分開示に対する原告の不開示処分取消請求には理由がない。

3 3項について
(1) 群馬工業高等専門学校(以下「群馬高専」という)の元校長である西尾典眞氏(以下「西尾氏」という)の辞職願を対象とする原告の開示請求(甲1,1項 (2))に対し,被告が辞職理由と印影を不開示としたうえで,西尾氏の辞職願を開示したこと(甲2,4),西尾氏が文部科学省からの出向により群馬高専校長に就任したこと,原告担当者が平成29年6月6日,群馬高専の山崎誠学校長ら幹部と面談し,同校の運営に関する事項をヒアリングしたこと,甲第9 号証に原告の指摘する記載があること,はいずれも認める。
  これに対し,西尾氏の人事異動が文科省の要請に基づき,文科省の要請による職務の一貫として行われたものであり,法5条1号但書ハの「公務員等,独立行政法人の役員及び職務の遂行に係る情報」に該当する,との点は,争う。

(2) 原告が甲第1号証1項(2)で開示を求めたのは西尾氏作成の辞職願であり,被告は甲第4 号証のとおり,辞職理由と西尾氏の印影を除き,当該辞職願を部分開示した。
  原告は,要旨,西尾氏の人事異動は文科省の要請に基づく以上,西尾氏の職務行為としての性質を有しており,不開示部分についても公務員等の職務の遂行に係る情報(法5条1号但書ハ)と主張するようである。
  しかし,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という)における不開示情報としての「職務の遂行に係る情報」(同法5条1号但書ハ)とは,公務員等が国の機関,独立行政法人等の一員として,その担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味するとされ,たとえば行政処分その他の公権力の行使に係る情報,職務としての会議への出席,発言,その他の事実行為に関する情報等が含まれる,とされている(乙1)。本件において被告が指摘する法5条1号但書ハも,情報公開法5条1号但書ハと同趣旨の規定であり,上記解釈が法5条1号但書ハにも同様に当てはまるのであって,被告においても同様の基準により開示の可否を判断している。独立行政法人としての被告の教員や職員の辞職,はその理由いかんにかかわらず,自身の身分を喪失させる意思表示であり,公務員等がその組織の一員として担任する職務を遂行する行為ではないことは明らかである。
  西尾氏が辞職したこと自体は,被告がホームページ等で公開した情報であるため,辞職願のうち,西尾氏の氏名や作成日等の情報は「慣行として公にされ」た情報(法5条1号但書イ)に該当するものとして開示したが,辞職理由や西尾氏の印影は,個人識別情報のうち例外的に開示される事項に該当しない。
  原告の不開示処分取消請求には理由がない。

4 4項について
(1) 4項のうち,原告の群馬高専「校報」の「人事関係」欄に関する情報の開示請求(甲1,1項(3))に対し, 被告がその一部について法5条1号に該当するとして不開示とし,甲第5号証のとおり部分開示したこと,被告が不開示とした氏名と異動前後の職名等の情報の内訳,個数が,原告の指摘するとおり全40カ所であること,は認め,被告が不開示とした欄が,法5条1号に該当せず,ないし法5条1号但書ハに該当する,との主張は争う。

(2) 原告の前記「校報」の「人事関係」欄に関する開示請求(甲1,1項(3))のうち,被告が不開示とした項目は,被告の慣行上人事異動を開示していない職員の氏名,退職前の職名等,及び退職理由である。これらの不開示とした対象者は一番多い場合でも7カ所(甲5, 「校報」13 1 号,退職欄)であり,上位の役職者で異動が公開されているものの氏名は開示されているのであるから,対象職員の氏名を不開示としても,退職前の職名等を開示するだけで,群馬高専の関係者等少なからぬ者が不開示とした対象者を特定することが可能である。
  このため,甲第5号証において被告が不開示とした項目は,法5条1号の個人識別情報に該当する。

① 原告は,論点①として,各不開示対象者の氏名を除く所属,職名を開示しても,当該人物を特定することはできず,所属,職名等情報は,法5条1号の個人識別情報に該当しないと主張する。しかし,群馬高専における人事異動の開示の対象とならない職員のうち,実際に異動するのは「退職」,「採用」等項目ごとに数名であり(甲5 ),所属,職名等情報を開示した場合に容易に個人を特定することが可能である。

② また,原告は論点②として,技術職員氏名が部署及び役職ごとに,採用,退職者の挨拶という形で公開されており(甲10,11),各人の在籍情報,職位に加え,採用,退職,異動,昇任等の状況が容易に把握可能である以上,不開示部分は慣行として公にされている情報として法5条1号但書イに該当すると主張する。しかし,原告の指摘する「教育研究支援センターメンバー構成」(甲10) や「年報」(甲11) には,群馬高専において退職,異動等をした対象職員が全員掲載されているわけではない。慣行として氏名が公開されている管理職の教職員以外は,異動を年報等で明示しておらず,本件で不開示とした対象職員も, この年報等で明示されていない職員である。訴状請求の原因第1項で指摘のとおり,原告は審査会に対して審査請求を行い,これを受けた審査会の答申書(乙2)の内容に合わせ,被告は同答申書別紙1から9の不開示事項を追加で開示した。甲第5号証で不開示となっている項目は,同答申書で不開示としたことが妥当と判断された項目である。
 甲第5号証の不開示部分について,事実上他の資料でその内容が明示されているといった事情はなく,不開示部分が慣行として公にされている情報に該当するとの原告の指摘は,あたらない。

③ さらに原告は,論点③において,「配置換」,「配置換(学内)」及び「兼務」は,配置換及び兼務という行為そのものが,被告職員としての職務に包括されると見るべきであり, 職務遂行情報(法5条1号但書ハ)に該当すると指摘する。しかし,職務遂行情報の内容は前記3項 (2) で指摘したとおりであり,「配置換」等は当該職員の担任する職務を遂行する場合における当該活動に関する情報には該当しない以上,「配置換」等の不開示部分は職務遂行情報に該当しない。
 以上のとおり,甲第5号証の不開示部分について,保有個人情報の不開示の例外に当たるとの原告の主張は,いずれも理由がない。

5 5項について
(1) 5項のうち,被告の校報(甲5 ) に関する原告の個人情報示開請求に対し,被告が「退職」欄のうち「退職理由」の部分について個人識別情報を不開示としたこと,甲第5号証に記載のある教職員が,すべて被告の職員であり,規定上の取り扱いとしては,被告の就業規則上,被告理事長が採用することとなっていること,原告の情報開示請求に応じて,甲第14ないし16号証が開示されたことは認め,その余の主張については争う。

(2) 原告は,甲第14ないし16号証に,退職理由等が明示されていることを指摘のうえ,甲第5号証についても同種情報は開示されるべきである,と主張する。
  甲第14ないし16号証は,弓削商船高等専門学校,津山工業高等専門学校,有明工業高等専門学校の校報であり, これらの学校では,人事事項を含めて校報をホームページで公開している。ホームページでどのような情報を公開するかは各高専の自主的な判断に委ねられており,ホームページで掲示すべき事項について被告では基準を設けていない。上記各高専では校報のうち人事関係事項もホームページで公開していたため,原告の開示請求に対し,被告は人事関係事項のうち退職理由についても,慣行上公とされている事項として, 校報を全部開示している(甲1 4 から1 6 号証)。
  これに対して群馬高専では,ホームページ上,人事関係事項は公開されておらず,甲第5号証で不開示とされている教職員については,公とする慣行もない。他の高専で公開されているからといって,群馬高専でも退職理由を公にする慣行があるということができないことは明らかであり,甲第5号証の不開示部分について,法5条1号但書イの例外事由に該当するとの被告の主張は,失当である。

6 6項について
(1) 6項のうち,被告の訴訟代理人への報酬支払に関する原告の開示請求(甲1,1項(4))に対して,被告が支払決議書のうち支払先と金額を不開示として部分開示したこと(甲2及び6),同項記載の答申例,裁判例が存在すること,は認める。
  これに対し,被告が弁護士事務所に支払った弁護士費用の総額から訴訟業務の内情を推察することは不可能であり,費用の情報を開示しても弁護士事務所の権利又は競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがないとの点,弁護士費用について法第5条2号イに該当すると認められるのであり,被告が法5条1号但書及び2号但書に該当するとはいえず,不開示とすることが相当と処分したことが失当であるとの点は,いずれも争う。

(2) 原告は,弁護士の報酬について開示を妥当とする答申例が多数ある(甲17から26) ことを指摘する。
  しかし,原告が指摘する答申例は,いずれも国や地方公共団体を当事者(なお甲第17号証は国民生活金融公庫が当事者であるが,資金のすべてを政府が賄っている点で国や地方公共団体に準じると解される)とするものであり,独立行政法人のものとは異なる。
  独立行政法人制度は,各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し,これを担当する機関に独立の法人格を与えて,業務の質の向上や活性化,効率性の向上,自律的な運営,透明性の向上を図ることを目的とする制度であり(総務省ホームページより),自立的な運営も目的のひとつとなっている。予算についても被告は授業料等一部自主財源を有しており,国や地方公共団体と同列に論じることはできない。
  弁護士の報酬は,報酬基準についてはそれぞれの法律事務所ごとに報酬に関する基準を作成することとされ(弁護士の報酬に関する規定3条),経済的利益や事案の難易等事案の性質に応じて適正かつ妥当な報酬としなければならない(同規定2条)。法律事務所ごとの報酬基準は必ずしも一般に公開されているものでない以上,報酬の基準は弁護上が事業を行ううえでの内部管理情報であり,具体的な報酬額は個別具体の業務に対する評価が反映されたものとなっている。これらの内部管理情報や評価は,通常公にすることが予定されておらず,これを公にすることにより当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある(乙3 )。
  以上のとおり,甲第6号証の支払決議書のうち,合計金額,支払先口座と支払金額は,法5条2号イに該当するのであり,原告の不開示決定取消の請求には理由がない。

7 7項について
(1) 7項のうち,原告が,長野工業高等専門学校(以下「長野高専」という)において平成21年以降に発生した同校学生の自殺案件に関する「事件・事故等発生状況報告書」またはそれに類する文書の開示請求(甲1,1項(5))をしたこと,これに対して被告が甲第7号証のとおり一部を不開示としたうえで部分開示を行ったことは認め,被告の保有する事件報告書等文書の同種年月日等情報は,何人も容易に入手可能な情報であるとの点,事件報告書等の文書に記載のある年月日等の情報を明らかにしても,新たに不利益が生じることは考えがたいとの点は,いずれも争う。

(2) 被告が甲第7号証で開示した文書は,自殺案件に関する事件・事故等発生状況報告書 及び故■君に関する報告書であり,不開示部分は対象者の氏名,発生日時,場所,事件・事故の経緯・内容や,関係者から事情聴取した内容である。
  原告は,これらの事項のうち,年月日等情報についてはそれを開示しても当該学生を識別,特定することは不可能であると指摘する。しかし,甲第7号証は,事件・事故等発生状況報告書であり,事件の発生経緯が時系列で記載されていることは,甲 第7号証の体裁から一見して明らかである。本件の開示請求の対象は自殺という稀にしか発生しないであろう案件に関する報告書であり,記載された年月日等の時系列の情報を開示することにより,事件・事故を受けて関係者がどのように対応したのか,といった状況が明らかとなる。
  長野高専では,遺族の意向をふまえ,学校の内外を問わず当該案件が発生したことを公表しておらず,年月日の情報を開示した場合,対象者のクラスメートといった極めて濃厚な関係を有する者以外にも,報告書の対象者を特定することが可能となったり,対象者や事件関係者の権利利益を侵害するおそれがある。甲第7号証の報告書が自殺案件に関するものであることからすれば,対象者や関係者のプライバシー等の利益は極めて重要なものであり,権利利益を侵害するおそれは慎重に考慮すべきであり,安易に個人識別可能性,権利利益の 侵害のおそれがないと判断すべきではない。
  なお原告は,開示請求の対象文書の作成時期を個別に区切ることにより,開示される文害に違いが生じることを指摘して,年月日等情報は公衆が知りうる状態に置かれているものとして法5条1号イに該当する,と主張する。
  しかし,原告が甲第27号証で指摘する部分開示された文書(「4 故■君に関する報告」)でも,年月日や時間は不開示となっており,原告が開示請求した内容と合わせてでなければ, 当該文書の作成日を推定することはできない。このように,文書自体や,被告が開示した他の情報から日時を特定することができない以上,原告の指摘する方法により文書の作成日時を事実上推定することができたとしても,それをもって当該文書の作成年月日が慣行として公にされている情報(法 5 条1 号但書イ)ということはできない。
  甲第7号証のうち年月日等の情報を開示すべきであるとの原告の主張にもまた,理由はない。

8 結語
  以上のように,被告の部分開示について,法5条1号但書に該当するとの原告の主張にはいずれも理由がなく,原告の請求は,棄却されるべきである。

                            以上


添 付 書 類
1 訴訟委任状 1通
**********

証拠説明書 ZIP ⇒ 20191208.zip
乙1号証 ZIP ⇒ 201912081.zip
乙2号証 ZIP ⇒ 201912082.zip
乙3号証 ZIP ⇒ 201912083.zip

■以上のように、当たり前ながらオンブズマン側の主張にひたすら噛み付く内容となっています。しかし軽く読んだだけでも相当に詭弁や強弁のたぐいが散見される答弁書です。

 特に当会が失笑したのは、国や地方公共団体の答申例等を示した当会の主張に対し、6項の(2)で「予算についても被告は授業料等一部自主財源を有しており,国や地方公共団体と同列に論じることはできない」などと世にも凄まじい超解釈を放ってきたことです。それではなぜ、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の補完に、ほぼ同一条文の「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」がわざわざ制定されているのでしょう?自分たちの組織名である「独立行政法人国立高等専門学校機構」の「国立」の二文字が何を指すと思っているのでしょう?まさに、今回も期待していた「田中・木村節」の爆裂です。

 さて、現時点では、答弁書の主張に対するこれ以上の早急な分析とコメントは差し控えさせていただきます。そして、答弁書の内容を追ってじっくりと分析し、詳細な反論を準備書面という形で示したいと考えております。

■ところで、訴訟代理人弁護士の欄を見て、重要な変更に気が付きました。というのも、前回のアカハラ情報不開示取消訴訟(提訴2016.10~判決2018.4)では、木村美隆・藍澤幸弘弁護士のみが訴訟代理人弁護士として名前を連ねていましたが、今回はその下に、第3の弁護士として、「角谷千佳(かくたに ちか)」なる名前が加わっているからです。

参考:前回の群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟の答弁書内容
○2017年1月26日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・2.3東京地裁第1回口頭弁論日を前に群馬高専から届いた答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2220.html

 早速日弁連のデータベースなどで角谷弁護士の素性を調べてみると、登録番号49315(司法修習66期、H25.12登録)で、中央大ロースクールで実務講師をしている女性弁護士であることがわかりました。事務所代表である木村弁護士が司法修習38期、藍澤弁護士が58期である(参考⇒https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2230.html)ことを考えると、角谷弁護士は事務所の中でも一回り若い新米弁護士として、本件に回されていることがわかります。この3名のプロフィールを見比べると、全員とも法律の名門として知られる中央法と何かしらの強い繋がりがあることは明らかで、やはり田中・木村法律事務所のメンバーは中央大コネクションで揃えられているようです。

 なぜ前回訴訟と陣容を変えてきたのか思料してみましたが、法律のアマチュアであるオンブズマン相手にはペーペーで十分という侮りの表れかもしれませんし、丁度いい実践の場だと角谷弁護士に(藍澤の負担軽減も兼ねて)あてがっているのかもしれませんし、あるいは、角谷弁護士を充てておくことで、もし敗訴しても「新米のやった事だから」と高専機構側に言い訳をする算段かもしれません。

■さらに、答弁書の内容を見ると、前回アカハラ訴訟の時の答弁書や準備書面とだいぶ構成・文体・文面の印象が違って見えます。例えば、この答弁書では各項では毎回「理由がない」という結びが用いられていますが、前回訴訟では「該当する」「あたらない」「失当というほかない」等の結びが大多数で、上記の決まり文句は用いられていませんでした。おそらく、弁護士ごとの文体のクセが隠し切れず出ているものと考えられます。

 という訳で、今回訴訟において弁護士事務所側は、長大な答弁書や準備書面の作成といった負担のかかる業務は基本的に新米の角谷弁護士にやらせ、藍澤は「先輩」として方針の指示と文書チェック、ハンコ役に回ってふんぞり返っている様子が見てとれます。

 そうなると、注目されるのは、「口頭弁論に出廷してくるのは果たして誰か」ということです。藍澤弁護士がまた出て来るのか、それともまだ見ぬ角谷弁護士と相まみえることになるのか……注目される出方のひとつとして捉えながら、12月12日の第一回口頭弁論当日を迎えました。

■当日は朝9時34分に高崎発の「とき」310号で東京に向かいました。10時28分に到着後10時40分に丸ノ内線に乗り換えて、10時45分に霞ヶ関駅に着きました。







 裁判所の前には不当判決に抗議を続けている方々のプラカードや立て看板がいつものとおり並べられていました。当会もこれまでに会員の皆様が住民訴訟を百何十件も行いましたが、完全勝訴はありません。一審で勝訴しても二審でひっくり返されたりするなど、行政の側に立つ現在の我が国の司法の現実を痛感させられます。

 それでもめげずに当会としては、行政の横暴や暴走を抑止するため、最後の手段として法廷の場での決着に持ち込むことをいとわない方針で、行政の無法状態の是正に取り組んでいます。

 さて、入り口でいつものように手荷物検査と、金属探知機による身体チェックを受けた後、開廷30分前の午前11時に7階の703号法廷に着くと、次の開廷表が壁に貼り付けてありました。



*****開廷表*****
日時:2019年12月12日(木)11:30~
場所:東京地裁7階703号法廷
裁判官:民事第2部Bc係
    裁判長 森 英明
    裁判官 小川弘持
    裁判官 三貫納有子
    書記官 山下京子
**********

 第703号法廷にはまだ開廷中のランプが点灯していたので、奥の待合室で待機していました。開廷7分前に法廷に行ってみると、いつの間にか被告席に、見慣れた姿の訴訟代理人弁護士が着席していました。答弁書の書きぶりから、今回は、角谷弁護士が本事件を扱うのかと思いましたが、被告席にいたのは藍澤弁護士だったのです。

 書記官に促される前に、出頭簿の原告欄に指名を記し、法廷に入り、原告席に着座しました。

 開廷に先立ち、書記官から次の2点の指示伝達事項がありました。いずれも訴訟への影響はない手続き上の些細な障害と対応です。

(1)被告の答弁書等の受領書兼送付書について、裁判所と被告に出すのを原告が失念していたため、その場で答弁書、証拠説明書、乙号証の原本への受領確認サインを求められました。
(2)原告が提出した甲9号証(群馬高専での面談録音のテープ起こし)中の訴状内主張該当箇所について、裁判所提出分と被告送達分のそれぞれをマーカー手書きでマーキングしていたのですが、その色がそれぞれ違ってしまっていました。同一性の担保のため、裁判所では原本をもとにカラーコピーをとったものを被告に送付したことから、甲9号証の副本を返却されました。

■定刻に書記官が事件番号を読み上げ、第一回口頭弁論が始まりました。やり取りは以下の通りです。

書記官:令和元年(行ウ)第515号。

裁判長:本件は第1回期日でございます。原告は、訴状を陳述しますか。

原告:はい、陳述します。

裁判長:それから被告は答弁書を。

被告(藍澤弁護士):はい。

裁判長:はい。それから書証として、甲1号証から28号証。これいずれも写しということですね。

原告:そうです。写しです。

裁判長:被告のほうも、乙1号証から3号証。これらを提出ということにします。それで、被告のほうから答弁書でご主張をされていますので、原告からそれに対する反論ということになるのですが、その前に被告のほうの答弁書を拝見すると、必ずしも開示請求の指摘をしている文書について、それぞれ不開示事由と根拠が全部網羅されていないような気がしました。そこをまずちょっと見ていただきたいと思うんですけれども、訴状の22ページ目に別紙請求の趣旨というのがございまして、それでいくと1から5まで、不開示処分取消請求箇所というのが書かれています。これでいくと、1番から5番まであるが、たとえば2番とか、3番の(2)とか、5番とかが、不開示事由になぜあたるのか、というのが、かならずしも今回の答弁書では明確とは言えない。それで、今の数字を申し上げた部分に限らず、別紙請求の趣旨の1から5まで、それぞれ条文としてどの条項の不開示事由だと、そしてその根拠について、いちおう簡単で結構ですので整理したものを用意していただければと思います。それがないとちょっと反論といっても、そういうことにならないと思う。それが出てから今度は原告のほうで反論を主張されるということで。

原告:わかりました。

裁判長:被告のほうはどれくらい時間がかかりますか。

被告:実はこれとは別件で、追加で同じ趣旨の不開示処分取消請求を起こされていまして、当事者は同じなんですが、その期日が2月4日に入っています。その手続きの関係で、併合措置をお願いしようかと今検討していまして、その後であれば(注:併合措置申請の後であれば)、この期日にいれていただければと思います。

裁判長:ちょっとその併合になるかどうかも何とも言えないので……2月4日に期日が入っているのね。これ?

被告:はい。そうです。

裁判長:わかりました。はい。……(といって陪席とちょっと相談して)その日になるかどうかわかりませんが、むしろ先に、そんなにかからないご主張だということで、ご主張になってから、さらに、原告のご主張をいただいて、期日としては、かなり急かなとおもっていましたので、むしろそれを併合したら(注:仮に第一次と第二次の口頭弁論期日をまとめられたなら)、そちらのほうを加える(注:第二次の期日を第一次にまとめる)という意味で、よろしゅうございますか。

被告:はい、わかりました。

裁判長:それで、書類についてはどれくらい?

被告:えーと、そうですね。年末年始が挟むので、一応1か月ほどで。

裁判長:1月、例えば15日くらいでよろしいですか。

被告:はい、結構です。

裁判長:それを前提にして、まあ、どのくらいかかるかといことは、まあ、詳細を見ないと、というところもあるかもしれませんが、だいたい原告の方ではご主張をまとめるのにどのくらいかかりますか。

原告:今の話では1月15日にいただける、というわけですよね。

裁判長:はい。そこからどのくらいかかるかということです。

原告:えーと、1月15日は日本にいない可能性があるので、被告の補充の主張を読めるのが1月25日になりますが、そこからやれば、いまおっしゃった2月4日迄ならまとめられるとおもうので、こちらとしては10日もあれば大丈夫です。

裁判長:ああそうですか。

原告:もう、反論を書き進めておきたいと思いますので、いま裁判長がおっしゃった、2月4日迄にはなんとかまとめられると思います。

裁判長:では、2月4日そのものでは併合は難しいので、次の期日となると、翌週の2月13日の午前中とか大丈夫ですか。

原告:ええ、わたしのほうは構いません。

被告:えーと、午後であれば。

裁判長:午後はちょっと入っておりまして問題があって、では、2月18日はどうですか。11時からで。

被告:はい、大丈夫です。

原告:私のほうは問題ありません。

裁判長:原告の反論の書面提出は本廷では8日前にお願いしていまして。そうすると、休みに挟まれますが、2月10日まででお願いできますか。

原告:はい、2月10日を目指して、なるべく早くお出しできるようにいたします。

裁判長:被告のほうは1月15日でお願いします。

被告:はい。

裁判長:では、今回はこれで。

【第一回口頭弁論以上・都合8分間】

■というわけで、今回の裁判は、なんと初っ端から高専機構側が裁判長直々に答弁書の杜撰なことを指摘され、何をどう反論したいのかの補充答弁を要請されるという異例の事態で幕を開けました。相変わらずの温室お笑い弁護士ぶりに先が思いやられます。

 普通に考えれば、しっかり反論を作ってこないこと自体が、(いい悪いは別として)開示したくないという依頼者(高専機構)の利益にも反する行為であり、弁護士業の使命にも背くものです。反論するのが役割なのに何を反論したいかわからないという惨状では、もはや依頼人の高専機構すらも、何のために大枚をはたいてわざわざ銀座の弁護士を雇っているのかわからず、頭を抱えていることでしょう。

 しかし、この「補充答弁」により、期日がまた伸びてしまったことは事実です。そこまで計算のうえ、時間稼ぎのため、あえて答弁書を杜撰に作ってきたのだとすれば、百手先を読む銀座弁護士トリオの能力に舌を巻くしかありません。

■口頭弁論の様子について付記すると、前回の群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟では、傍聴席にはあまり人が来ず、閑古鳥が鳴く風情だったのですが、嬉しいことに今回は比較的にぎやかでした。中年の男性(高専機構関係者?)と、若い青年3人組(高専関係者?)が、傍聴席に座ってくれていました。

 3人組には「傍聴に来てくれてありがとう」とこちらから声をかけたのですが、遠慮したのか緊張したのか、7階から1階までエレベーターが一緒だったのですが反応がありませんでした。当会出廷者が1階でエレベーターを降りたところ、彼らはそのまま地下1階に降りていきました。おそらくB1にある食堂か、「すき家」に昼食をとりにいったのかもしれません。

■ところで、今回の第一次訴訟を担当することになる森英明裁判長ですが、かなり頭の切れそうな印象です。あくまでも第一印象ですが、もしかすると、きちんと審理をしてくれるかもしれないと期待が抱けます。

 試しにネットで経歴を検索してみると、割合画期的な判決をだしたこともあるようです。

参考⇒https://www.sn-hoki.co.jp/judge/judge2821/
参考⇒https://yamanaka-bengoshi.jp/2018/01/02/mori42/
森英明裁判官(42期)の経歴
生年月日 S39.10.6
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R11.10.6
H30.10.31 ~ 東京地裁2民部総括(行政部)
H27.5.20 ~ H30.10.30 最高裁民事上席調査官
H26.4.1 ~ H27.5.19 東京地裁41民部総括
H25.8.1 ~ H26.3.31 東京高裁17民判事
H20.8.1 ~ H25.7.31 内閣法制局第二部参事官
H16.4.1 ~ H20.7.31 最高裁調査官
H14.6.25 ~ H16.3.31 東京地裁判事
H13.4.1 ~ H14.6.24 東京地裁判事補
H10.6.19 ~ H13.3.31 福岡地家裁判事補
H10.6.16 ~ H10.6.18 東京地裁判事補
H10.4.1 ~ H10.6.15 在ウィーン国際機関日本政府代表部一等書記官
H8.4.1 ~ H10.3.31 在ウィーン国際機関日本政府代表部二等書記官
H7.4.1 ~ H8.3.31 外務省総合外交政策局国連政策課国際平和協力室事務官
H7.2.1 ~ H7.3.31 最高裁民事局付
H2.4.10 ~ H7.1.31 東京地裁判事補

参考⇒http://www.yuhikaku.co.jp/writers/recent/154819
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【特集2】 国籍法違憲訴訟最高裁大法廷判決 国籍法違憲訴訟最高裁大法廷判決の解説と全文

■さて、法廷での上記やり取りのとおり、答弁書の補充が2020年1月15日までに被告高専機構側から寄せられることになっておりますので、当会では今回答弁書とその補充を吟味のうえ、反論準備書面を2月10日までに提出することになります。そして、これらを踏まえて、この第一次訴訟(令和元年(行ウ)第549号)の第二回口頭弁論が、同じく東京地裁7階703号法廷で、2月18日午前11時から開かれるはこびとなります。

 また、既報の通り、第二次訴訟(令和元年(行ウ)第549号)の第一回口頭弁論が、2020年2月4日の午後1時半から、同地裁4階419法廷にて開かれる予定となっています。

 このように、書面の作成と出廷の波状攻撃への対応で当会もしばらくはフル稼働となります。全身全霊をもって、高専組織の情報隠蔽体質の是正の一助となれるよう努めてまいりますので、読者の皆様におかれましてはぜひとも本件推移についてご注目のほどお願いいたします。また、もしたまたま東京にいてお暇がございましたら、特にこれといった山場や見どころもありませんが、ぜひ裁判の傍聴にもお越しください。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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安中公社51億円事件…タゴのタゴによるタゴの為の和解20年後の市民向け報告会一部始終(その2)

2019-12-29 23:23:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■タゴ事件発覚から24年半が経過した今年の年の瀬、2019年12月25日(水)午後7時から、安中市役所3階305号会議室で、住民を対象にした報告会が開催されたのに引き続き、翌12月26日(木)午後7時から、安中市役所松井田庁舎の基幹集落センター1階研修室で、住民ら約17名が集う中、開かれました。その一部始終を、市民オンブズマン群馬の会員の協力により録画で記録しました。とりわけ、旧松井田町の住民の皆様は、2006年の安中市との合併により、この理不尽な巨額横領事件の尻拭いをさせられており、報告会の参加者数は前日の半分以下でしたが、報告会の中で痛烈な批判が相次いで出され、予定時間を15分ほどオーバーするほどでした。ぜひ、この史上空前、そしておそらく絶後の51億円巨額横領事件について、安中市民の皆さんはもとより、ひろく内外のかたがたに一人でも多く、知っていただけるよう、この動画を見ていただきたいと思います。なお、冒頭の市・公社側の説明は前日25日の安中市役所での報告会と同様なので省略し、参加者との質疑応答の部分のみを動画に記録しました。

安中土地開発公社51億円横領事件の群馬銀行との和解20年後の報告会 (松井田庁舎)
https://www.youtube.com/watch?v=EefyFKU6vnQ

 12月25日の安中市役所での報告会には、上毛新聞の記者が取材を兼ねて参加していました。27日の社会面に次の記事が掲載されました。


**********上毛新聞2019年12月27日
安中市元職員の巨額詐欺 経緯、支払い方報告 公社と市
 安中市元職員による市土地開発公社を巡る巨額詐欺事件で、公社と市は25、26の両日、市役所などで報告会を開いた。群馬銀行との和解から20年が経過し、これまでの経過や今後の支払い方法などを報告した。
 事件は1998年、公社と市が連帯して同行に24億5千万円を支払う和解が成立。初回に4億円、それ以降は毎年2千万円ずつ支払い、10年ごとに再協議して支払い方法や金額を決めることになっている。
 市役所での法国会には市民約20名が出席。和解以降の経緯のほか、今後10年もこれまでと同様に毎年2千万円を支払う内容で合意した事などが報告された。公社の事業が順調に進めば、将来的には早めの完済を視野に入れるとの方針も示された。
 質疑では出席者から「元職員からしっかり回収すべきだ」「若い人の負担にならないように早期の返済に向けて協議して」などの声が上がった。
 報告会は松井田庁舎基幹集落センターでも開かれた。
**********

 なお、当会では、26日の松井田庁舎での報告会終了間際に、次の内容の行政文書開示請求書を茂木英子・安中市長に直接手渡しました。これは、タゴ51億円事件に関連して、毎年当会が行っている恒例の情報開示請求手続きの一環です。


*****行政文書開示請求書*****
<開示を請求する行政文書の内容又は件名
(1) 安中市土地開発公社を巡る巨額詐欺横領事件により、安中市が同公社の保証人として、令和元年12月25日に群馬銀行に対して支払った民事訴訟の和解条項に基づく2000万円の支出にかかわる一切の情報。
(2) 市が保証人として、同公社が元職員に対して平成11年に損害賠償請求を起こし、同年5月に勝訴した判決に基づき、元職員及びその親族からこれまでに財産差押や寄贈等を通じて損害金を回収してきた経緯のうち、平成30年12月27日以降、現在に至るまでに為された損害金回収に関わる一切の情報。
(3) 今回の和解後20年目の対応に関連して、相談を依頼した弁護士に実際に支払った弁護料及びその内訳がわかる情報
**********

 年明けの1月下旬までには、何らかの情報開示が行われるでしょうから、おって開示情報はこのブログでご報告します。

【市政をひらく安中市民の会事務局】

※配布資料一式:ZIP ⇒2019122526ynjsa20n.zip

※参考資料
〇2006年4月13日:安中市巨額詐欺事件の詳細情報
https://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm

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【長野高専】天下り石原名誉教授問題…同校と産総研の開示文書で「授与」と「活用」の経緯を暴く!(1)

2019-12-28 23:42:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■数々の問題行動で長野高専とその関係者らに著しい損害とモラル崩壊をもたらした、同校の文科省天下り前校長・石原祐志氏。ところが、たった3年間の天下り在職にそぐわぬその凄まじく不名誉な負の実績にも関わらず、彼の跡を継いだ土居新校長ら長野高専幹部は、有無を言わさず同氏への名誉教授称号授与を強行してしまいました。

産総研(AIST)ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアムのHPより。

 長野高専校長を辞した石原氏は、理研の名ばかり窓際部長との兼職で、経産省所管の産業技術総合研究所(AIST)にある事業体の役員に就いており、その役員紹介ページ上で誇らしく「長野高専名誉教授」の肩書を掲載していることが調査で分かりました。しかし、その掲載日と実際の称号授与検討過程の辻褄がどうも合わず、同氏が授与内定もしないうちから勝手に同校名誉教授を名乗っていた、換言すれば詐称していた疑惑までが浮上していました。しかし、この問題について産総研のコンプライアンス推進室に問い合わせ状を送ったところ、滅茶苦茶な揉み消し回答が寄せられてきました。

 そこで、長野高専内部で石原祐志への名誉教授授与がどのようなプロセスで決定されたか、石原祐志がその称号をどういう経緯で「活用」したかを検証するため、当会では10月8日に長野高専・産総研双方に情報開示請求を提出していました。
○2019年10月10日:【出張!オンブズマン】石原名誉教授問題…キリのない杜撰体質の産総研・二枚舌の長野高専に開示請求!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3047.html

■すると、まずは産総研からの11月6日付け法人文書開示決定通知書が11月7日に届きました。



*****産総研開示通知*****ZIP ⇒ 20191106yljmt.zip
                     元産総研(情公)11
                     令和元年11月6日

          法人文書開示決定通知書

市民オンブズマン群馬
 代表  小川 賢 様

                国立研究開発法人 産業技術総合研究所

 令和元年10月8日付けで提出のありました法人文書開示請求について、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)(以下、「法」といいます。)第9条第1項の規定に基づき、下記のとおり、開示することとしましたので通知します。

            記

1 開示する法人文書の名称
 開示請求者は、「貴法人の「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム」の役員である石原祐志氏の経歴・肩書(長野高専名誉教授等)が、同コンソーシアムHPの役員紹介ページ(https://unit.aist.go.jp/waterfront/ebhw/officer.html)に掲載されていることに関し、次の情報。(1) 貴法人が石原氏からその経歴及び肩書にかかる申告を受けた際の文書あるいは申告があったことを示す文書(電子メール含む)。 (2)貴法人が上記HPの当該ページに初めて石原氏の経歴及び肩書を掲載した日時がわかる情報。」としておりますので、本件に該当する文書について調査した結果、次の文書が確認できましたので開示します。

① 文書1
  電子メール(「RE:EbHW事務局よりお願い」(2019/06/07(金)16:02)
  (※上記1の(1)に該当する文書)
② 文書2
  石原祐志氏の氏名、所属/役職、プロフィール(500文字以内)及びコンソーシアム活動への思い(300文字以内)を記載した文書
③ 文書3
  正面写真 (※上記1の(1)に該当する文書)
④ 文書4
  文書1の「電子メール」の受信日時「2019/06/07(金)16:02」から、石原祐志氏の経歴及び肩書を「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム」のホームページに掲載した日時として推測される2019年6月10日の「ログ・データ」
  (ただし、該当するHTMLファイルに係るログ情報を印刷したもの)
  (※上記1の(2)に該当する文書)


2 不開示とした部分とその理由
 (1)文書1のうち、下記の箇所は不開示とする。
    電子メール(「RE:EbHW事務局よりお願い」(2019/06/07(金)16:02)

該当頁:1頁
不開示とした箇所:
・4行目の4文字目から8文字目まで、
 ・4行目の10文字目から34文字目まで、
 ・8行目9文字目から10文字目まで、
 ・22行目6文字目から10文字目まで、
 ・22行目12文字目から36文字目まで、
 ・29行目21文字目から22文字目まで
 不開示とした理由:当該情報は、特定の個人を識別することができることから法第5条第1号本文前段に該当するため不開示とします。

 該当頁:1頁
 不開示とした箇所:
 ・2行目14文字目から35文字目まで、
 ・19行目「TEL」、「内線」及び「FAX」欄に記載された情報
 ・20行目1文字目から末尾まで
 不開示とした理由:当該情報は理化学研究所の職員等が利用する業務連絡用のメールアドレス、電話番号又はFAX番号であり、これを公にすること悪用されるなど同研究所の事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから法第5条第4号柱書に該当するため、不開示とします。

 該当頁:2頁
 不開示とした箇所:
 ・13行目1文字目から5文字目まで、
 ・13行目7文字目から31文字目まで
 不開示とした理由:当該情報は、特定の個人を識別することができることから法第5条第1号本文前段に該当するため不開示とします。

 (2)文書4のうち、下記の箇所は不開示とする。
    文書1の「電子メール」の受信日時「2019/06/07(金)16:02」から、石原祐志氏の経歴及び肩書を「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム」のホームページに掲載した日時として推測される2019年6月10日の「ログ・データ」

 該当頁:1頁
 不開示とした箇所:
 ・1行目の57文字目から69文字目まで、
 ・3行目の57文字目から69文字目まで、
 ・5行目の56文字目から68文字目まで
 不開示とした理由:当該情報は職員が使用するパソコンのIPアドレスが記録されており、これを公にすることにより、外部からのインターネット等を通じた不正アクセスを容易にし、産業技術総合研究所の情報セキュリティに支障を及ぼすおそれがあるなど、研究所の事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから法第5条4号柱書に該当するため、不開示とします。
**********

 というわけで、石原氏が産総研に対し経歴を申告した前後の情報が一応存在し、開示されることはわかりました。

 ところで、この通知書が届いた11月7日の夕方に産総研情報開示担当の関根職員から電話があり、「昨日簡易書留で開示通知等を送ったが、その送り状に誤りがあったので、昨日夜、訂正差し替えを速達で送った。申し訳ないが、後から送ったものに差し替えてほしい」とのことでした。受け取ると、開示手数料の算出方法の記載に誤りがあったという細かいミスでした(訂正送り状 ZIP ⇒ 20191106y.zip)。



 開示される文書そのものには一切影響がない点なので、当会でも特に気にしておらず、むしろ速達で至急の訂正を受けて恐縮なほどでした。しかし、ここまで些細なミスにも目を配らせる力があるのなら、存在自体が超巨大ミスである石原祐志にもちゃんと目を向けてほしいものです。

■一方、産総研に遅れること約1週間で、長野高専から11月12日付けの法人文書開示決定通知書が届きました。



*****11/12長野高専開示通知***** ZIP ⇒ 20191113ljm.zip
                      長野高専庶第51号
                      令和元年11月12日

             法人文書開示決定通知書

 市民オンブズマン群馬 小川 賢 様

                 独立行政法人国立高等専門学校機構

 令和元年10月8日付けで請求のありました法人文書の開示について、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づき、下記のとおり開示することとしましたので通知します。

            記

1 開示する法人文書の名称
  前校長の石原祐志氏に対して、本校がその名誉教授を授与したことに関し、本校内部において、同氏への同称号授与にかかる検討及びその決定を行った過程に関する文書

 1 平成30年度運営会議議事概要
 2 平成30年度執行会議議事概要
 3 令和元年度運営会議議事概要
 4 令和元年度執行会議議事概要
 5 平成25年度~令和元年度名誉教授称号授与関係


2 不開示とした部分とその理由

 1 平成30年度運営会議議事概要
 不開示部分:名誉教授推薦に係る提案
 理   由:法第5条第四号ヘに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

 3 令和元年度運営会議議事概要
 不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
 理   由:法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
 不開示部分:功績に関する部分
 理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号ヘに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

 4 令和元年度執行会議議事概要
 不開示部分:個人に関する情報が記載されている部分
 理   由:法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
 不開示部分:名誉教授授与に係る回答
 理   由:法第5条第四号ヘに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
 不開示部分:功績に関する部分
 理   由:法第5条第一号及び法第5条第四号ヘに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当

 5平成25年度~令和元年度名誉教授称号授与関係
 不開示部分:氏名及び印影、連絡先
 理   由:法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
 不開示部分:メールアドレス
 理   由:法第5条第四号柱書きに該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当
**********

■長野高専からの開示通知が届いた段階で、オヤッと思わされる点にいくつか気が付きました。

 まず、なぜか名誉教授授与理由となる「功績」を不開示としていることです。常識的に考えて、国民の血税で運営される公機関である長野高専が、規則に基づいた審査のうえ公的称号である名誉教授を授与するのですから、それに値する「功績」もおおっぴらにして差し支えないもののはずで。しかし長野高専はなぜか、「功績」を「個人情報」や「開示すると業務に支障をきたす情報」に該当するという支離滅裂なことをしてきました。

 さらに、開示資料になぜか「平成30年度」のものがあることです。平成30年度といえば、名誉教授を授与される当の本人である石原氏は、まだ校長として在職中であったはずです。なぜ、校長本人が在職中のうちから、校長本人への名誉教授称号授与の話が出ているのでしょう。

■疑問を脇に置いて、とりあえず両関係先からの開示通知が出揃ったので、文書の開示方法を指定することにしました。まず、残念ながら長野に直接赴く時間が取れそうになかったので、長野高専からの開示資料は郵送で受け取ることにし、そのように申し出ました。

 そうして待っていると、11月23日、開示資料一式が郵送されてきました。長野高専からの実際の開示資料掲載とそれへの当会の分析については、後段にて産総研のものとあわせておこないます。

 一方で、産総研からの開示文書の受領については、なんとか千代田区の産総研東京本部に足を運ぶことが可能そうだったので、時間の取れた12月6日の昼過ぎに文書受領を行いたいと申し出ました。せっかく担当者と顔を突き合わせにいくのですから、「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム」とはどのような組織なのかや、現在の石原氏の待遇についての質問も携えていくことにしました。

■12月6日13時半、東京都千代田区の産総研東京本部(経済産業省別館10階)に向かいました。


 高崎から新幹線で東京駅に向かい、到着後丸ノ内線に乗り換えて、2つ目の霞ヶ関駅の日比谷公園側で降車し、地上に出ました。そして、紅葉に染まる日比谷公園を左手にみて、厚労省と環境省のある中央合同庁舎第5号館の前の通りを経て、経産省別館まで徒歩5分ほどで着きました。


中央合同庁舎第5号館。




前方が経産省別館。右手の建物が経産省本館。



道路わきの案内板。


経産省別館前の歩道。


経産省別館前。


経産省別館玄関。正面の改札に入る前に左手の受付で、あらかじめ通告された入門番号を告げて身分証明書(運転免許)を提示し、入門カードを受け取る。


1階の玄関ロビーにある本館と別館の案内板。


エレベーター内にある別館の各階案内板。


別館10階のAIST部屋配置図。

 産総研からは、総務本部総務企画部情報公開・個人情報保護推進室の関根氏と大竹氏が対応くださりました。わざわざ、定刻の13時30分に、エレベーターホール迄出迎えていただき、また開示場所として、すでに会議室を準備していただいていました。

 文書を手渡しながら産総研側が説明するところによれば、文書1が石原氏からのメールの写しで、文書2と3がその添付資料であり、文書2の石原氏のプロフィールと全く同じものがHPに掲載してあるとのこと。さらに文書3が掲載顔写真であると説明したので、すかさず当方から、長野高専校長時代の写真の使いまわしであることを指摘しました。そして文書4がHPのログ情報とのことです。開示通知から読み取れること以上の新情報は、特に説明の中にはありませんでした。

■続けて、産総研側に当会から質疑応答を行うことにしました。当会からの質問と産総研開示担当者からの回答は以下のとおりです。

【質問1】「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム」というのは、貴法人においてどのような位置付けの組織で、どのような指揮・命令・予算系統のもとに置かれているのか。
【産総研の説明1】
 基本は会費制。下記の運営会則参照のこと。
https://unit.aist.go.jp/waterfront/ebhw/pdf/rules2018R.pdf
 この第15条で、本コンソーシアムの運営費は、一般会員B(注:同第5条によれば、「企業またはそこに所属している個人」の会員種別)が、産総研に収める会費、臨海副都心センターの運営費の一部を充てるとなっている。臨海副都心センターというのは産総研の組織であり、その一部を充てるとあるのは、本コンソーシアムの事務局が産総研の副都心センターの産学官連携室に置かれているということ。
 となると当然、その事務局職員が事務局の業務を行うことから、コピーを取ったりする費用が発生するので、このように記載がある。本コンソーシアムの総会で事業計画と収支予算が決定される。
 なので、産総研の意思決定とは別の意思決定となる。石原氏は本コンソーシアムの委員なので、総会のメンバーであることは確か。総会での議決権はたぶんあると思う。会則には、本コンソーシアムは役員として会長1名、副会長若干名、監事1名、運営委員若干名及び顧問を若干名置く。石原氏は運営委員に入っていると思う。
 会長1名はじめ運営委員のかたがたが運営委員会を構成する。そして、事業計画や予算、各種報告事項、特にどんなことが成果として上がったかという報告、それと収支決算、その他運営に係る事項、といったものがこの運営委員会でいろいろ議論されて議決されるという形になっていると、会則には書いてある。総会は会員の過半数で議題を可決する。すべて総会で決められて計画と決算で運営されている。

【質問2】なぜ、貴法人において、役員の経歴等申告の際に、実際の証書や称号記を確認するなどしてファクトチェックを行っていないのか。これでは故意または過失による虚偽申告を防ぎ得ないが、発生してしまった場合どう対応を行うのか。事後対応すらマトモに行わないのであれば好き勝手詐称し放題ではないか。
【産総研の説明2】
 我々は当事者ではないので、なんとも言えないのだが、一般論でよければ。
 コンソーシアムというのは、産総研の産学官連携にかかる事業として、立ち上げることができるとされている。その「連携」の中でも、理研のそうした幹部のポストに就かれている方から出されている情報ということであれば……しかも、産総研が組織としてお願いして、組織としての理研が、このかたを組織の一員だとして答えを返しているわけで、それはもう組織と組織との信頼関係に基づいて事務が行われているのではないかと思われる。

【質問3】石原氏が同コンソーシアムの役員に就任することになったのは、どこの推薦あるいは誰の招聘によるものか。また、石原氏は正式な待遇としてどのような扱いなのか(正式な職員としての扱い? ただの外部委員扱い? 運営に関与する権限があるのか?)。
【産総研の説明3】
 これは実際に担当したのが本コンソーシアムの事務局でないとわからないので、そちらのほうに問い合わせてほしい。
(当会から、ではどこに聞けば分かるのか、と聞くと)
 実はこのコンソーシアムHPに載っている。この入会申込書で問い合わせ先になっている。公開情報になっている。実は産総研は組織が大きいので、担当部署はすごく分割されているため、所掌外の事は分からないことが多い。工業技術院を核として16くらいの組織が一緒になったこともある。

【質問4】現在、石原氏には産総研ないし同コンソーシアムとして、給与あるいは謝礼は支払われているのか。
【産総研の説明4】コンソーシアムの委員に支払われている給与ないし報酬は、少なくとも産総研は関与していない。会則にも書いていないので、コンソーシアムの事務局でないと分からないと思う。

■というわけで、特に「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム」と石原氏の繋がりについてはあまり収穫が無く、同コンソーシアムの事務局に直接問い合わせてくれ、と言われるばかりだったので、その場で同コンソーシアム事務局(臨海副都心センター:電話03-3599-8006)に電話を掛けました。

 当会から、「任命の経緯として、理研に対して組織として適任者を任命してほしいと要請したのか、それとも、人物のスペックを見てコンソーシアム側から特定者を指名したのか」と聞くと、コンソーシアム事務局の電話番からは、「担当者が不在です。担当の長浜でないとわからないので、戻ったら伝えておきます」と返事がありました。

 そこで当会から、「もう週末なので、来週あらためて電話をしたいので今の質問についてメモを残してもらいたい」と依頼しました。更に、「運営委員になったのは誰が推薦したのか、あるいはどこが推薦したのか、又は招聘したのか。それと正式職員扱いなのか、外部委員扱いなのか、また運営に関する権限は会則を見せてもらったので分かったが、要するに誰が、あるいは組織で推薦あるいは、個人を名指ししたのか、どういう経緯で役員に抜擢・選定されたのかを聞きたい」と質問のディテールを加えて伝えたところ、「戻ったら本人から連絡させます」と再度返事がありました。

 ついでに、「石原氏へのコンソーシアムとして給与ないし謝礼が支払われていると思うが、長浜氏にこのことも聞けるか。あと金額についても教えてほしい。支払いの規定があるはずなので、それも含めて長浜さんにお聞きしたい」と依頼したところ、「それについても、あとで本人が戻ったら伝えておきます」というので、「では先程のお願い事項メモ欄に書き足してください」と告げたところ、「ではそれら3点の事項について本人から回答させる」と約束されました。

 そのように質問事項を片端から伝えたうえで、当会からは「また来週前半あたりにでも、タイミングを見計らって電話します。それでもしおられなければ再度電話をかけなおすので、よろしく長浜氏に伝えてください」と最後に依頼したところ、コンソーシアムの電話番の方からは「わかりました」と返事がありました。

■そんなわけで、「担当の長浜氏」からの回答を心待ちにしていたのですが、その矢先に、あまりに衝撃の結末が待ち受けていました。

 産総研での文書受領を終えた2時間半後の午後5時前に、突然同コンソーシアムから電話がかかってきました。「担当の長浜職員」かと思い電話を取ると、電話をかけてきたのは「小笠原」なる職員でした。

 小笠原氏曰く、「質問事項はすべて文書にて、次の宛先にFAXで問い合わせてほしい」とのこと。事務局のFAX番号を伝えてくれるのかと思い、先方の告げるFAX送達先を聞いて、耳を疑いました。……「産総研コンプライアンス推進室御中 FAX 029-862-6841」とだけ告げて、小笠原職員は電話を切ってしまいました。

 産総研コンプライアンス推進室といえば、幾度も当ブログでご報告しているとおり、本件に関する当会からの幾度の問い合わせに対してまったく回答になっていない回答を送り付けてきている、「コンプライアンス推進」に何の意味もない最低部署です。つまり、コンソーシアム事務局側は、既にその意味を「理解している」上で、確信犯的に、ここを窓口にしろと指定してきたと考えるほかありません。

 そもそも、「産総研ではわからないからコンソーシアム事務局に直接問い合わせてほしい」ということで連絡をしているのに、なぜ事務局では一切対応せず、また産総研のコンプライアンス推進室にたらい回しにされなければならないのでしょう。こんな簡単な質問への回答すら自前でできないのであれば、事務局を置く意味がありません。あまりに支離滅裂というほかありません。

 結局、約束したはずの「長浜職員」の声も、求めていた質問への回答も、聞けることはありませんでした。最初に電話を掛けてからたった2時間台で、担当のはずの「長浜職員」を差し置いて、小笠原なる謎の人物が事実上の回答拒否を言い放ってきたことから推察するに、コンソーシアム自体が恐ろしく真っ黒、というより、「そのような目的」にしか使われない組織であることが完全に判明したのが、収穫といえば収穫でした。

■さて、とりあえず本題である石原氏の名誉教授「授与」と「活用」に関する経緯のことに話を戻しましょう。

 このような経緯を経て、開示請求により各種経緯に関する内部文書は入手できたことから、さっそく開示文書に目を通して分析を行っていきましょう。次の記事に続きます。

○続き・開示文書の内容と分析記事 ⇒URL: https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3099.html

【市民オンブズマン群馬からの報告・この項続く】

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安中公社51億円事件…タゴのタゴによるタゴの為の和解20年後の市民向け報告会一部始終(その1)

2019-12-26 23:58:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■今年、広報あんなか6月1日号にタゴ51億円事件の和解20年後の対応と題する小さな囲み記事が掲載されました。その中に「現在、安中市土地開発公社の事業および経営は順調に推移しており、返済を続けていくための資金が十分ありますので、安中市が債務保証による弁済をする必要はありません。」という一文がありました。その理由について、果たしてどのような説明がなされたのでしょうか。タゴ事件発覚から24年半が経過した2019年12月25日(水)午後7時から、安中市役所3階305号会議室で、住民を対象にした報告会が開催されました。住民ら約40名が参加しました。その一部始終を、市民オンブズマン群馬の会員の協力により録画で記録しました。ぜひこの史上空前の51億円巨額横領事件の103年ローンのことをあらためて見つめなおしたいと思います。

安中土地開発公社51億円横領事件の群馬銀行との和解20年後の報告会
https://www.youtube.com/watch?v=3nqECnwg31Q

※配布資料一式:ZIP ⇒ 2019122526ynjsa20n.zip

※参考情報〇2006年4月13日:安中市巨額詐欺横領事件の詳細情報
https://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm

 なお、この日の安中市役所での報告会には群馬銀行の現役職員が1名、私服で来ておりました。社命で、報告会に出席した住民の反応をチェックするように言われてきたものと思われます。

【市政をひらく安中市民の会】

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