市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

東和銀行の審査体制の“節穴”が招いた融資金10億円騙し取り事件…28年前のタゴ事件の群銀との類似点

2023-10-18 22:49:32 | 群馬県内金融機関不祥事件


■「節穴」という言葉があります。この意味を調べると、「板などの節が抜けおちたあとの穴」とともに「見る能力のない目。見えるはずのものを見落としたり、物事の意味を見抜く力のないことをあざけっていう語」とあります。先週10月13日に県庁記者クラブで記者会見をする羽目になった東和銀行ですが、なぜ10億円近くもの巨額融資金をやすやすとだまし取られたのでしょうか?

 まずは、10月13日の刀水クラブでの東和銀行の記者会見を取材したマスコミ各社の報道記事を見てみましょう。

**********テレ朝News 2023年10月13日18:56
東和銀行の融資詐欺事件 総額10億円近くだまし取られたか

 融資金の詐欺事件、総額は10億円近くにのぼるとみられています。
 田中利武容疑者(59)と生方幹樹容疑者(39)は、群馬県の東和銀行高崎支店にうその融資申込書類などを提出し、およそ1000万円をだまし取った疑いで逮捕されました。
 東和銀行は会見を開き、田中容疑者が仲介して融資金をだまし取った取引は30以上あるとみられ、被害は9億7600万円にのぼることが新たに分かりました。
 また2人の行員が、融資の申し込みに必要な書類の確認を怠っていたことも明らかになりました。

**********上毛新聞2023年10月13日21:56
融資金の詐欺被害は6億7000万円 東和銀行(群馬・前橋市)が異例の行員60人処分

会見する桜井副頭取(左から2人目)🄫上毛新聞社
 東和銀行(群馬県前橋市)が事業運転資金などの名目で融資金をだまし取られた詐欺事件で、同行は13日、県庁で会見を開き、回収の見通しが立たない被害額が総額で6億7000万円超に上ることを明らかにした。申請書類の改ざんなどを見抜けなかった理由については、融資を担当した行員らが取引先の事業実態の確認を怠ったと説明。同行は役員以下、事件に関係した約60人を減給や降格処分とすることを発表し、融資管理体制を見直す方針を示した。
 同行の調査によると、2019年3月~22年5月、詐欺容疑で逮捕された男(59)=東京都足立区=が仲介する形で、高崎支店が計32の取引先に対し、総額9億7600万円の融資を実行した。しかし昨年6月、男への資金流用や不正があったことが判明。同行は男に渡った6億7700万円を、回収の見通しが立たない被害額としている。
 これまでの調査で、同じ詐欺容疑で逮捕された別の男(39)を含め、少なくとも八つの取引先で申請書類の改ざんを確認した。同行はこのうち七つについて、担当行員2人が見積書などの原本確認を怠る不適切な取り扱いをしたことを確認した。行員の一人は「実績を上げたい気持ちを優先した」と話しているという。同行はこの行員2人が男らとの共謀や書類改ざんへ関与した事実はなかったとしている。
 同行は行内規定に基づき、江原洋頭取ら役員8人を減給3カ月(5~20%)、関係した行員約50人を減給や降格処分にした。不適切な融資を行っていた期間が3年超と長く、異動で多くの行員が関わったことなどから、処分は異例の人数に膨らんだ。
 会見した桜井裕之副頭取は改ざんを見抜けなかった原因について「形式的な書類確認にとどまり、取引先の状況把握を怠った」と説明。ルールに基づく事務が徹底されなかったとし、原本確認の厳格化や新規取引先の確認方法の見直しを再発防止策に挙げた。

**********朝日新聞デジタル2023年10月13日22:52
融資金6.7億円不正流用されたか 東和銀行、詐取容疑で逮捕の男に

会見で説明する東和銀行の桜井裕之・代表取締役副頭取=2023年10月13日、前橋市大手町1丁目、吉村駿撮影

東和銀行の本店=2021年1月、前橋市
 個人事業主を装い、東和銀行(前橋市本町2丁目)から約1千万円の融資金をだまし取った疑いで男2人が群馬県警に逮捕された事件を受け、東和銀は13日、同市内で会見した。逮捕された男1人に、東和銀の融資先から融資金が6億円以上流れていたことを明らかにした。男はこの融資先を銀行側に紹介していたといい、東和銀は「融資の管理体制が十分ではなかった」と説明した。
 12日に詐欺容疑で逮捕されていたのは、東京都足立区のアルバイトの男(59)と群馬県高崎市の会社員(39)。
 県警によると、会社員の男が個人事業主を装い、虚偽の確定申告書を出して融資金をだまし取っていたという。融資金は会社員の口座に振り込まれた後、ほとんどがアルバイトの男の口座に移っていた。会社員は「金に困っていた」と話しており、県警はアルバイトの男が融資を受けるよう持ちかけたとみている。
 東和銀によると、アルバイトの男が当時経営していた高崎市の電気工事会社と2016年から取引があり、その後たびたび顧客を紹介されていた。昨年5月、会社員とは別の人物が東和銀高崎支店に「資金を流用してしまった」と申告したことがきっかけで問題が発覚したという。
 東和銀が紹介された取引先を調べたところ、全32の取引先で流用が判明。19年3月~22年5月に融資した9億7600万円のうち、6億7700万円がアルバイトの男が管理している口座などへ移っていたという。
 32の融資に関わったのは2人の行員。通常、融資の申し込みがあれば、融資先を訪問し、売り上げなどの経営状況を確認したり、確定申告書など必要書類の原本を確認する必要があるが、2人はそれを怠っていたという。このうち1人は「融資の実績をあげたいという気持ちだった」と話しているという。東和銀は、男らとの共謀や、書類の改ざんは認められなかったと説明している。
 東和銀の桜井裕之・代表取締役副頭取は「お客様の状況把握が徹底されていなかった」「取引があったため、信用してしまったのではないか」と説明。現場の担当者任せになっていたことが今回の事案を招いたとし、「担当者や役職者などによる複数の確認を徹底するなどして、再発防止をしていく」と話した。(吉村駿)

**********東京新聞2023年10月14日
東和銀融資 仲介者に不当還流
群馬県警 詐欺容疑で男2人逮捕
 東和銀行(前橋市)は13日、取引先への融資が、3年余りにもわたって仲介者へ還流する案件があったと発表した。取引先32カ所に対して行った総額9億7600万円の融資のうち6億7700万円が不当に還流した。
 この関係で群馬県警は12日、詐欺の疑いで、東京都足立区古千谷本町、元会社経営田中利武(59)と高崎市問屋町、会社員生方幹樹(39)両容疑者を逮捕した。
 逮捕容疑では、両容疑者は2020年3月、偽った書類で申し込んだ1千万円の融資のうち、「諸経費を除いた約965万円をだましとったとされる。田中容疑者は当時、高崎市内で電気工事会社を経営していた。
 銀行の調査によると、還流案件は19年3月から22年5月までに発生。取引先32カ所のうち、26カ所は田中容疑者側に直接資金が流れ、6カ所は別の会社を通した後に還流した。
 少なくとも8カ所で必要書類の改ざんを確認した。融資金の一部は回収したものの、田中容疑者に流れた資金を中心に多くが回収不能となる可能性があるという。
 昨年5月、生方容疑者とは別の取引先から「資金を渡してしまった」と申し出があり発覚した。同年9月、両容疑者を県警に刑事告訴していた。
 同行は書類の原本確認などを怠るなど、不適切な取り扱いがあったとして、融資を担当した2人のほか、監督責任がある約50人を減給などの処分にした。頭取ら8人も報酬の一部を返上する。回収不能金は昨年度決算で引当金を計上しており、本年度決算の業績予想に影響はないという。
 内部監査を担当した桜井裕之副頭取は「担当者任せの部分があったのが一因。複数人でチェックするなど、再発防止に努めたい」と話した。
(羽物一隆)
**********

 以上の報道記事を読んでも、すぐにはどのように騙し取られたのかがピンときません。冒頭のテレ朝の解説が、最もわかりやすいように思われます。

 ところで、今回の詐欺事件のプレーヤー2名のうち、「東京都足立区のアルバイトの男」とか「仲介者」と言われている田中利武容疑者(59)について、群馬県法に次の掲載があります。

**********群馬県報第9897号(令和3年(2021年)4月30日)
■公告
 建設業法(昭和24年法律第100号)第29条第1項第7号の規定による処分をしたので、同法第29条の5第1項の規定により、次のとおり公告する。
  令和3年4月30日           群馬県知事 山 本 一 太
1 処分をした年月日 令和3年4月20日
2 被処分者
   商号又は名称:株式会社エルテック
   主たる営業所の所在地:群馬県高崎市棟高町1868番地80
   代表者氏名代表取締役 田中利武 
   許可番号:群馬県知事許可(般-1)第24762号
3 処分の内容 建設業法第29条第1項第7号の規定による建設業許可の取消処分
 (1) 取消処分の対象となる許可番号 群馬県知事許可(般-1)第24762号
 (2) 取消処分の対象となる建設業 建築工事業、電気工事業
4 処分の原因となった事実 被処分者の代表取締役は、令和元年5月22日に前橋地方裁判所高崎支部から道路交通法(昭和35年法律第105号)の規定違反により懲役7月執行猶予3年の刑の言渡しを受け、同年6月6日にその刑が確定しているにもかかわらず、同年7月3日付け及び令和2年3月2日付けで提出した建設業許可申請書に、申請者及び申請者の役員等が建設業法第8条各号に規定されている欠格要件に該当しないことを誓約する旨を記載した誓約書及び賞罰がない旨を記載した許可申請者(法人の役員等)の住所、生年月日等に関する調書を添付し、もって不正の手段により、令和元年8月2日付け及び令和2年3月27日付けで同法第3条第1項の許可を受けた。このことは、同法第29条第1項第7号に該当する。
**********

 この株式会社エルテック)は、資本金300万円建設業許可番号:群馬県知事第024762号、許可業種:一般建設業電気工事で、2017年4月12日に法人番号3070001033361で群馬県高崎市足門町788番16に所在する法人として前橋地方法務局で新規に法人登録され、2018年10月5日に、国内所在地が群馬県高崎市菅谷77-161に変更後、2020年10月22日に国内所在地が群馬県高崎市棟高町1868-80に変更されています。最終更新日は2020年11月13日で、この後、上記のとおり、2021年4月20日に建築業許可が取り消されました。この地域の労働局は群馬労働局。高崎労働基準監督署が所轄の労働基準監督署です。

■群馬県報には田中容疑者に関連して、もう1件記載があります。

**********群馬県報第9891号(令和3年(2021年)4月9日)
■公告
 建築士法(昭和25年法律第202号)第26条第1項の規定による処分をしたので、同条第4項において準用する同法第10条第5項の規定により、次のとおり公告する。
  令和3年4月9日                群馬県知事 山 本 一 太
1 処分をした日 令和3年3月19日
2 処分を受けた者等
 (1) 名称 REGALO建築士事務所
 (2) 所在地 群馬県高崎市棟高町1868-80
 (3) 開設者 株式会社エルテック 代表取締役 田中利武
 (4) 建築士事務所の別 二級建築士事務所
 (5) 登録番号 群馬県知事登録第4981号
3 処分の内容 建築士事務所登録の取消し
4 処分の原因となった事実 虚偽の事実に基づいて登録を受けた。
**********

 このREGALO建築士事務所について、地元紙が昨年6月に次の報道をしています。

**********上毛新聞社2022年6月18日
建築工事を手がけるRegalo設計(群馬県高崎市)が事業停止
 建築工事を手がけるRegalo設計(群馬県高崎市棟高町、中沢哲也社長)が事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが17日、分かった。
**********

 上記記事のRegalo設計が田中容疑者の関わるREGALO建築士事務所と同一の法人とみられるRegalo設計について次の法人情報があります。

**********
法人番号 3070001030367
法人名 株式会社Regalo設計
フリガナ レガロセッケイ
住所 〒370-3521群馬県高崎市棟高町1868番地80
社長/代表者 中澤哲也
電話番号 0270-26-6021
法人番号指定日 2015/10/05以前
最終登記更新日       2021/09/01
登記の変更履歴
 2021/09/01 名称・商号変更 旧:株式会社なかざわ建設から⇒新:株式会社Regalo設計に変更
 2021/09/01 所在地変更 旧:群馬県伊勢崎市豊城町1497番地1(〒372-0012)から⇒新:群馬県高崎市棟高町1868番地80(〒370-3521)に変更

**********JC Net 2022年6月21日
群馬に拠点をおく、(株)Regalo設計が自己破産の準備に入ったことが判明した。
負債総額は約1.5億円。
以下要約。
1 破綻企業名 (株)Regalo設計
2 本社地 群馬県高崎市棟高町1868-80
3 代表 中澤哲也(※本件との関係は不明だが、同姓同名の人物として、東京の立川にあるもえぎ法律事務所の中澤哲也弁護士(東京弁護士会所属)がいる。同弁護士の略歴は群馬県高崎市出身、群馬県立高崎高等学校卒業、早稲田大学法学部卒業、同志社大学大学院司法研究科修了、最高裁判所司法研修所司法修習過程修了とある)
4 創業 1997年
5 設立 2014年12月.
6 資本金 100万円
7 業種 建築工事会社
8 売上高 2021年10月期、約5億円
9 破綻 2022年6月14日 事業停止/自己破産申請の準備中
10 委託弁護士 金澤宏尚弁護士(田中善信・二階堂慎法律事務所)電話:027-326-3038 
11 裁判所 未定
12 負債額 約1.5億円
13 破綻理由
 同社は建築工事会社、地元工務店や住宅メーカーからの下請から、最近は自社ブランドを持つ注文住宅を主に店舗や老健施設などの建築工事に展開していた。しかし、それまで1億円前後の売上高から急成長させた結果、資金繰りが付いて行かず、金融機関の支援も限界で受けられず、支払い難から信用不安を引き起こし、今回の事態に至った。
**********

 こうしてみると、田中容疑者は、2016年からRegalo設計を通じて東亜銀行と取引実績を作り、その後、㈱エルテックを作って、群馬県に建築業登録を繰り返し、それらの書類を東和銀行の融資担当の行員に提示し、実績を上げたいと思う行員らに言葉巧みに取引先を紹介し、一方で、取引先として金に困った生方幹樹容疑者に個人事業主を装わせ、ウソの融資申込書類を東和銀行に提出させ、融資金をだまし取らせて、そのうちの大半を、生方容疑者から田中容疑者に還流させたものとみられます。

 今回発覚したのは、「昨年5月、会社員とは別の人物が東和銀高崎支店に『資金を流用してしまった』と申告したことがきっかけで問題が発覚したと朝日新聞が報じていますが、同紙は田中容疑者を「アルバイトの男」と表現していたり、「アルバイトの男が当時経営していた高崎市の電気工事会社と2016年から取引があり、その後たびたび顧客を紹介されていた」と報じるなど、よくわからない部分があるのが気になります。

■さて、安中市役所を舞台にした土地開発公社のタゴが、群馬銀行安中支店に対して、ウソの融資申込書(金銭消費貸借証書)による融資金の騙し取り事件は、通称「タゴ51億円詐欺事件」と呼ばれていますが、これはタゴが安中市のずさんな公印管理を悪用しただけでなく、群馬銀行の審査部も不自然な融資申込書類に気付かないまま、どんどんタゴに融資をして、結局、51億円余りの巨額の公金が騙し取られるという失態を呈しました。

 今回の東和銀行の詐欺事件でも、安中市土地公社から舞台を民間企業に移した格好で、同様にウソの書類を用いて、あたかもまともな手続きを装って融資金の騙取が繰り返されていました。

 報道記事にあるとおり、通常、融資の申し込みがあれば、銀行は、融資先を訪問し、担当者にヒヤリングをして、その過程で必要な資料の提示を求め、売り上げなどの経営状況を確認したり、確定申告書など必要書類の原本を確認する必要があります。東和銀行の行員2人はそれを怠っていて、このうち1人は「融資の実績をあげたいという気持ちだった」と話しているといいますが、東和銀行は、実行犯らとの共謀や、書類の改ざんは認められなかったと説明しています。しかし、警察の捜査の結果、そのような事実が確認されたのかどうかは、定かでありません。

 タゴ事件では15年間同一職場にタゴを配置していたため、しかも、上司や同僚の目が「節穴」だったうえに、群馬銀行の審査部の目も「節穴」だったことから、地方自治体としては空前絶後の51億円余りの詐欺横領事件として被害が肥大化しました。

 今回の東和銀行を舞台にした詐欺事件では、2019年3月から2022年5月までの3年3か月の期間に発生したもので、そのうちの後半2年間はちょうど新型コロナの蔓延時期に重なるため、犯行が10億円に肥大化したのかもしれません。

■また、注目すべきは、この事件に関連して責任を取らされた行員が約60名に及ぶことです。東和銀行の従業員数は、単体で1287名(2023年3月時点。臨時440名を除く)なので、実に20人に一人が処分対象になったことになります。まさに東和銀行として大失態と言えます。

 社会的責任が通常の企業とは桁違いの金融機関として、信頼の失墜は、なんとしても避けなければなりません。なので、記者会見をし、組織の緩みを立て直すべく大量処分という形での自浄作用を示す必要があったわけです。

 もう一つ注目すべきは、10億円もの回収不能金、つまり、損失を出しながら、「既に昨年度決算で引当金を計上しており、本年度決算の業績予想に影響はない」という東和銀行の発表です。

 事実、東和銀行の「令和5年3月期決算概要」によれば、令和5年3月期における損益状況は、本業の収益力を示すコア業務純益が53億49百万円、経常利益は39億51百万円、当期純利益は40億70百万円となっています。

■ことほどさように、現在、銀行業界は2年前から好調を維持しています。

**********NHK News Web 2023年5月15日21:03
大手金融グループ3社 昨年度決算 増益か前年度同水準に
 大手金融グループ3社の昨年度の決算は、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴い国内外で資金需要が高まったことなどから最終的な利益が三井住友とみずほで増益となり、三菱UFJも過去最高だった前の年度とほぼ同じ水準となりました。
 発表によりますと大手金融グループの昨年度の最終的な利益は、三井住友フィナンシャルグループが8058億円と前の年度より14%増え、みずほフィナンシャルグループは5555億円と4.7%増加しました。
 また、三菱UFJフィナンシャル・グループは、前の年度より1.3%少ない1兆1164億円で過去最高だった前年度とほぼ同じ水準でした。
 大手金融グループの決算が堅調だったのは、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴って国内外で資金需要が高まり、金利収入などが増えたほか、アメリカの金利の上昇で現地での貸し出しの利ざやが改善したためです。
 3社は、今年度の業績予想について、いずれも最終的な利益がさらに増えると見込んでいますが、15日記者会見した各社のトップは、欧米でくすぶる金融不安や海外経済の減速懸念などのリスク要因が業績に及ぼす影響に警戒感を示しました。(以下略)
**********

 東和銀行は第2地方銀行として分類されますが、10億円近い回収不能金を単年度の引当金で損金処理してもなお、40億円の純利益を出しています。

■そうすると、安中市土地開発公社で平成7年5月18日に発覚した51億円余りの巨額詐欺横領事件(通称「タゴ51億円事件」により、当初38億円とも言われた巨額損失を出した群馬県を代表する金融機関である群馬銀行の最近の業績をどうなのでしょうか。

 群馬銀行の令和5年3月期の決算短信には、冒頭に次の記載があります。

*****群銀2023年3月期決算短信の添付資料から*****
1.経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
 当連結会計年度の経営成績は、次のとおりとなりました。
 経常収益は、資金運用収益やその他経常収益(株式等売却益等)が増加したことなどから前期比263億92百万円増加し1,765億89百万円となりました。経常費用は、その他業務費用(国債等債券売却損等)が増加したことなどから前期比271億87百万円増加し1,382億73百万円となりました。
 これらの結果、経常利益は、前期比7億94百万円減少し383億16百万円となりました。
 一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額の減少を主因に前期比14億96百万円増加し279億33百万円となりました。
(2)当期の財政状態の概況
 当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりとなりました。
 総資産は期中4,862億円減少し10兆6,623億円となり、負債は期中4,727億円減少し10兆1,464億円となりました。
 また、純資産は期中134億円減少し5,158億円となりました。
 主要勘定につきましては、貸出金は期中2,332億円増加し5兆9,912億円となりました。
 有価証券は期中1,162億円増加し2兆6,172億円となりました。預金は期中855億円増加し8兆448億円となりました。
**********

 このように群馬銀行も業績が絶好調であることがわかります。

■こうした状況下において、現在、安中市は、28年前に土地開発公社を舞台に発覚したタゴ51億円事件で、タゴが群銀からだまし取った合計51億円あまりのカネのうち、民事訴訟で平成10年(1998年)12月8日に和解(実質的は安中市の全面敗訴も同然)が確定した24億5000万円の損害賠償金を毎年クリスマスの12月25日に群銀にプレゼントし続けています。

 そして、安中市と市土地開発公社と安中市が連帯して債務24億5000万円のうち、4億円を平成10年(1998年)12月25日に支払い、翌平成11年(1999年)から毎年クリスマスに2000万円ずつ分割で返済しています。民法により10年ごとに安中市・公社は証文(つまり安中市の債務保証書)を群銀に提出しており、これまでに2009年と2019年に群銀に証文を提出しており、次回は2029年となる計算です。

 群銀との和解条項によれば2009年以降は安中市の債務保証のもと、同公社の財政状況や経済情勢の推移を見ながら、年間支払額が2000万円を下回らない範囲で返済するというもので、計算上は2103年まで返済が続く可能性があります。

■こうした中、当会では独自の調査に基づき、群銀が、山本一太知事の父親で参議院議員だった故・山本富雄氏に対して、2000年代に32億円もの債権を帳消しにした事実を突き止めました。

 この事実の概要は、山本富雄氏が経営していた山田屋が、1980年代後半のバブル景気の際に、リゾートホテル事業として草津の天狗山スキー場の付近にホワイトタウンというホテルを建設して事業を始めたものの、バブル崩壊のあおりで事業に失敗し、32億円ともいわれる巨額の債務を抱えて事業から撤退したのが発端です。

 この債務について、自民党県連の県議らが、群馬銀行の当時副頭取だった五十嵐哲夫(後に会長、相談役:1931年04月06日生、2008年10月29日死去)に掛け合い、債権放棄をするように強く働きかけを行いました。こうした表に出せない交渉を任されるのは、群銀の歴代の副頭取の役割となっています。そして、なんと群馬銀行は自民党県連の政治圧力を受け入れて、32億円とも言われる債権を放棄してやったのです。

■このことから、当会は、今年1月9日に、タゴ事件の単独犯とされた多胡邦夫が死去し、安中市と市土地開発公社が民事裁判でタゴに対して損害賠償請求訴訟で勝訴した22億2309万2000円のうち、未回収分の22億653万1500円が、タゴの配偶者や子弟らの全員による相続放棄の結果、永久に回収不能となったため、群馬銀行に対して、タゴの置き土産の負の遺産である、あと残り79年分に相当する15億7000万円の債務を放棄してほしいと申し入れたのでした。

 そして、安中市長と市土地開発公社の副市長に対して、早期に群馬銀行のトップと、債権放棄について話し合い、今年12月5日に迫った25回目の2000万円の支払いとそれ以上の支払いをせずに済むように交渉してほしいとお願いをしました。
〇2023年5月23日:安中市土地開発公社巨額横領事件発覚28周年…タゴ死去で市と群銀は今こそ永久モラトリアムの決断を!!

■しかし、市土地開発公社の債務保証をしている安中市は、これまでのところ、何もアクションを起こしていません。

 群馬銀行にとって、タゴの負の遺産である残り15億7000万円など、簡単に引当金で損金処理ができるはずです。東和銀行ですら、約10億円の回収不能金を単年度で引当金処理したのです。

 銀行業界が業績絶好調の今を逃せば、今後、再びチャンスが巡ってくる確証はありません。タゴ亡き後、安中市がタゴ事件の負の遺産を公金で贖う正当性はもはやありません。安中市長と土地会は済公社理事長である副市長に対して、当会は微力ですが最大限の働きかけを行う所存です。

【市民オンブズマン群馬・市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

※関連情報「金融機関での融資審査の流れ」
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1.銀行融資の種類
 銀行融資は、次の3つに大別できます。
  ①プロパー融資
  ②信用保証付き融資
  ③ビジネスローン
 それぞれの特徴は次のとおりです。
■プロパー融資
  金利相場:1~3%程度
  メリット:金利が安い・信用力向上になる
  デメリット:審査に通りにくい。借入期間が短い
■信用保証付き融資
  金利相場:1.5~3%程度
  メリット:審査に通りやすい。借入期間が長い
  デメリット:保証料がかかる
■ビジネスローン
  金利相場:10~15%
  メリット:審査に通りやすい
  デメリット:金利が高い
 さらに詳しく見てみましょう。
■プロパー融資
 プロパー融資は、信用保証協会が介入せず銀行と直接取引する融資制度です。
 信用保証協会とは、信用保証協会法という法律に則って事業者の資金調達を支援する公的機関です。プロパー融資では、審査は銀行が行い、金利・融資限度額・返済期間などを決めます。
 メリットは、信用保証協会へ支払う保証料がないので金利が安いことです。また、プロパー融資は企業の実績を厳しく審査する制度であるため、審査通過の実績が信用力向上にもつながります。
 デメリットは、審査が厳しく融資を受けられる企業が限定的であることです。また、信用保証協会が介入しない融資は貸し倒れリスクが高いので借入期間が短く、月々の返済額は高くなります。
■信用保証付き融資
 信用保証付き融資とは、信用保証協会が公的な保証人として間に入る融資のことです。
 審査は銀行と信用保証協会の両方で行われます。
 メリットは、プロパー融資より審査が通りやすく、借入期間も5年から10年の長期になるため、毎月の返済額の負担が少ないことです。
 デメリットは、信用保証協会へ支払う保証料が発生することです。保証料は、融資限度額もしくは融資額に対して約2%以下の利率で産出されます。
■ビジネスローン
 ビジネスローンとは、法人や個人事業種が事業資金を借り入れるための融資のことです。
 ビジネスローンは「銀行系」と「ノンバンク」系の2種類があり、銀行系のビジネスローンのほうが3%程度低い金利で利用できます。
 メリットは原則として無担保・無保証で融資を受けられるうえに審査に通過しやすい点です。
 デメリットは、金利が高いことです。通常の事業融資の金利相場が1~3%程度であるのに対し、ビジネスローンは10~15%程度かかります。
2.銀行融資の審査の流れ
 金融機関での融資審査とは、融資を受ける人に返済能力があるかどうかを審査することです。審査の流れは以下のとおりです。
  ①銀行の選定
  ②融資の申し込み
  ③必要書類の準備
  ④面談
  ⑤審査の実施
  ⑥融資の実行
 では、どのように審査が進められるのか順を追ってみてみましょう。
■銀行の選定
 銀行は、地方銀行と都市銀行の2種類に分けられます。
<地方銀行>
 地方銀行とは、横浜銀行や群馬銀行など各都道府県で展開されている地域密着型の銀行のことです。ちなみに、相互銀行や信用金庫から普通銀行に転換した銀行を第二地方銀行と言い、東和銀行(旧・大生相互銀行)もそのひとつです。主に地方に営業基盤を置き、中小企業を顧客としています。
 信用保証協会は都道府県単位で活動しており、地方銀行と連携して融資を提供しています。そのため、地方銀行では信用保証付き融資が通りやすい傾向です。
 小口取引を取り扱っているうえに審査に柔軟性があるので、事業規模が忠程度であれば地方銀行の融資審査を受けることが推奨されます。
<都市銀行>
 都市銀行とは、大都市に本店を構えて全国展開している大手の銀行のことです。
 このうち総資産がおよそ1兆ドル以上の銀行をメガバンクと呼び、国内では三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行を指しています。
 資金が豊富なため金利が安く、巨額な融資に対応しているのが特徴です。
 大口の融資が必要で、なおかつ、大規模な事業を営んでいる場合は、都市銀行への融資の相談がお勧めです。
■申し込み
 複数の銀行に相談したうえで原稿を決めたら、融資の申し込みをします。申し込みの際のチェック事項は次のとおりです。
  ・返済方法
  ・借入期間
  ・審査にかかる期間
  ・申し込みのスケジュール感
 こうして、融資を受ける際には、返済方法と借入期間を決めることになります。
 返済方法は、一括と分割があり、返済期間は1年以内に完済する短期融資と、1年を超える長期融資があります。
 返済期間を短く設定しすぎると毎月の返済額の負担が大きくなってしまうため、収支の現状と見通しを適切に分析し洗濯することをお勧めします。
 審査に係る期間は2週間程度で、融資を受けたい日から1か月半ほど前に申し込んでおくと余裕のあるスケジュールとなります。
 銀行や融資内容で異なるため、不明な事項は融資担当者に聞いておくことです。
■必要書類の準備
 銀行融資の審査には次の書類が必要です。
  ・決算書
  ・資金繰り表
  ・事業計画書
  ・試算表
  ・借入状況
  ・登記簿謄本(法務局で入手)
  ・印鑑証明書(法務局で入手)
  ・確定申告書(税務署で入手)※確定申告書は所得税の申告書。納税証明書は、税金を納めたことを証明する書類で、国や市区町村、都道府県などが発行する。
 これらの書類をもとに融資の可否や条件が決定されます。
 いずれの書類も入念にチェックされますが、とりわけ審査への影響が大きいのは決算書と事業計画書です。
■面談
 書類を提出し、融資担当者と面談します。面談では書類だけでは把握でいない事業主の人柄なども見られます。
 一般的に面談で聞かれる質問は次のとおりです。
  ・自己資金はどの程度あるのか。
  ・融資でカネを得てどのように使う予定なのか。
  ・どうやって借りたカネを返済していくのか。
■審査の実施
 面談の内容と受け取った書類は複数の関係者を巡って最終的に権限者にわたり、融資の可否が決められます。審査期間の目安は融資の種類によって概ね次のとおりです。
  ・プロパー融資:1か月~2か月程度
  ・信用保証付き融資:1週間~1か月程度
  ・ビジネスローン:3日~5日程度
 融資の可否以外に、返済期間、金利などの融資条件も決められます。
■融資の実行
 融資審査に通過すれば、審査結果の通知と契約について連絡がきます。
 契約書が送付されるので、内容を確認して署名、捺印をします。必要書類を郵送し、契約手続きを行います。契約締結から振り込みまでに要する期間は1週間程度です。
 審査に係る期間は銀行や融資の種類で異なりますが、概ね次のとおりです。
  ・申し込み~面談:7~10日程度
  ・面談~結果連絡:2週間程度
  ・結果連絡~融資契約:7~10日程度
  ・融資契約~入金:1週間程度
 銀行融資が2回目以降であれば、申し込み~入金まで10~20日程度まで短縮されます。
**********

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今度は5000万円着服・・・2年半前に不祥事を連発した桐生信用金庫の2度あることは3度ある体質

2015-12-30 23:47:00 | 群馬県内金融機関不祥事件

■桐生信用金庫(桐生市、津久井真澄理事長)は群馬県にある7つの信用金庫のうち、しののめ信金に次いで2番目に大きな金融機関で、全国に267ある信金の2014年3月末時点の預金量ランキングでは4437億円で87位(2014年)となっています。創立は大正14年2月14日、従業員453人、店舗数34で群馬県の東毛地区及びその周辺を営業エリアとする中堅の信用金庫ですが、このほど、またまた不祥事件が報じられてしまいました。2年半前にも同様の事件を起こしており、その時の状況は次のブログを参照ください。
○2013年6月2日:1年以内に2度の不祥事を起こした桐生信用金庫の舌の根の乾く期間
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1046.html

 報道内容を見てみましょう。

**********TBS News 2015年12月19日(土) 1時42分
桐生信金職員、預金5000万円を着服
 群馬県の桐生信用金庫の男性職員が、知人や自分の家族などの口座から12年以上にわたり合わせておよそ5000万円を勝手に引き出していたことがわかりました。
 預金を着服していたのは、桐生信用金庫の営業担当主任の男性職員(43)です。桐生信用金庫によりますと、この職員は2003年2月から今年7月にかけての12年以上にわたり、親しい知人や自分の家族など担当していた顧客8人の口座から勝手に預金を引き出し、飲食費や遊興費に充てていたということです。着服額はおよそ5000万円に上ります。
 信用金庫がこの職員の顧客への対応を調査していた際に職員自ら不正を申し出たことで発覚しました。職員は信用金庫に対し、「着服した関係者には申し訳なかった。遊ぶのが楽しかった」などと話しているということです。
 着服した金は全て弁済しているということですが、信用金庫はこの職員を先月末付で懲戒解雇処分にしました。(18日19:07)

**********東京新聞2015年12月19日
【群馬】顧客8人から4995万円 桐生信金職員が着服
 桐生信用金庫(桐生市)は十八日、男性の営業主任(43)が二〇〇三年から今年七月、担当する顧客八人の預金を数十回にわたって下ろし、計約四千九百九十五万円を着服していたと発表した。
 同信金は主任を十一月末で懲戒解雇処分とした。着服金は飲食代や遊興費に使っていたといい、全額弁済した。
 同信金によると、顧客は主任の家族や知人。出金を依頼された際、少し多めの額を下ろして着服を繰り返していた。今年十月、別件で客からの苦情を受けた同信金が調査し、判明した。

**********産経新聞2015年12月19日 07:04
桐生信金職員、5000万円を着服 群馬
 桐生信用金庫(桐生市)は18日、男性営業主任(43)が平成15年2月から今年7月にかけ、担当する顧客8人の預金を数十回にわたって下ろし、計4995万円を着服していたと発表した。同信金は11月30日付で懲戒解雇処分。すべて飲食代や遊興費に使っていたといい、全額弁済したという。
 同信金によると、被害にあった顧客の大半は男性主任の家族や親族、知人。出金を依頼された際、多めの金額を下ろして着服を繰り返していた。今年10月、顧客からの別件の問い合わせで同信金が内部調査をしていて発覚、本人が認めた。

**********上毛新聞更2015年12月19日(土) AM 06:00
元職員が5000万円着服 親族や知人8人の預金 桐生信金
 桐生信用金庫(群馬県桐生市錦町)は18日、元営業担当主任の男性(43)が2003年2月から今年7月までの約12年半の間に、親族や知人8人の預金計4995万円余りを着服していたと発表した。
 通帳や印鑑を預かり、本人になりすまして普通預金の払戻金や定期預金の解約金を引き出していた。11月30日付で懲戒解雇とした。被害者でもあった男性の家族や親族が全額弁済しており、同信金は刑事告訴を見送った。

**********毎日新聞2015年12月19日
桐生信金職員、5000万円を着服 先月解雇に /群馬
 桐生信用金庫(桐生市)は18日、支店勤務の営業担当主任の男性職員(43)が2003年2月〜今年7月、顧客8人の定期預金や普通預金から計約5000万円を引き出して着服し、飲食や遊興に使っていたと発表した。10月6日に内部調査で発覚し、11月30日付で懲戒解雇した。家族らが全額弁済したという。告訴はしない方針。津久井真澄理事長は「コンプライアンス体制を見直し、再発防止に努める」とのコメントを出した。【高橋努】
**********

■そして、今回も桐生信金はホームページで次の内容の「お詫び」を掲載することを余儀なくされました。

**********
http://www.shinkin.co.jp/kiryu/pdf/20151218.pdf
                    平成27年12月18日
各 位
                    桐生信用金庫
                    理事長 津久井真澄
     不祥事件発生のお知らせとお詫びについて
 この度、誠に遺憾ながら、当金庫におきまして下記の通り元職員による不祥事件が発生しました。
 社会的・公共的役割を担い、高い信用を求められる金融機関でありながら、このような事態を招きましたことを厳正に受け止め、役職員一同深く反省いたしております。日頃より当金庫をご利用していただいておりますお客さまをはじめ、会員のみなさま、地域のみなさま、関係各位の方々に心から深くお詫び申し上げます。
 今後、あらためて当金庫のコンプライアンス態勢を見直し、このような事態を再び起こさないよう役職員一同努めてまいりますので、何卒ご理解と引き続きのご支援を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
          記
1.不祥事件概要
(1)事故者 当金庫の元職員(男性43才、営業担当主任)
(2)発覚日 平成27年10月6日
(3)事件の内容 平成15年2月から平成27年7月までの間、事故者が勤務していた店舗において、親族やお客さまの定期預金の解約金や普通預金の払戻金を着服していた事実が判明いたしました。
(4)事故金額 着服先 8先 着服金額 49,958千円
(内家族・親族 5先 23,308千円)
(5)発覚の経緯 事故者が以前担当していたお客さまより、ご利用いただいている住宅ローンについて相談があったことが発端となり、事故者に対して内部調査を行った結果、預金着服の事実が判明いたしました。
(6)資金使途 着服金は、すべて飲食代や遊興費に費消しておりました。
2.被害者への対応
 被害に遭われたお客さまには、当金庫代表役員から、事実関係を個別にご説明させていただいた上、心よりお詫び申し上げました。被害金額については、事故者の家族及び親族によって全額弁済いたしました。
3.監督官庁への届出等
 本件につきましては、法令等に基づき速やかに監督官庁へ届出を行っております。また、所轄警察へも報告しております。
4.関係者への処分について
 不祥事件の経営責任を明確にするため、理事長以下常勤役員8名の役員報酬を減額しました。
 また、管理責任を明確にするため、関係管理職につきましても、当金庫の規程に則り厳正な処分を行いました。
 事故者については、平成27年11月30日付で懲戒解雇処分としました。当然のことながら退職金の支給は行っておりません。
5.再発防止策など今後の対応について
 当金庫は、過去の不祥事件の発生を受けて、再発防止のため様々な取組みを実施してきましたが、この度の不祥事件の早期発見ができなかったことにつきまして、内部管理及びコンプライアンス態勢の取組みが不十分であったことを深く反省しております。今後はこのような事態を発生させないよう、職員の倫理観向上、営業店指導・内部監査機能の強化などを見直し、役職員一丸となり再発防止に取組んでまいります。
          本件に関するお問い合わせ先
          桐生信用金庫 経営管理部
          電 話 : 0277-44-8181
          受付時間 : 休業日を除く午前9時から午後5時
**********

■再発防止が徹底しなかったのは、過去の不祥事について真相究明と責任の明確化がきちんと公表されなかったことが原因として考えられます。今回の不祥事件でも、結局、着服した人物を「事故者」などと呼んでおり、家族や親族が弁済したという理由で警察に告訴・告発をしていません。

 不祥事件を中途半端に幕引きすれば、不祥事に関与してバレずに済んだ職員としては、反省どころか、うまくいった、などと逆に組織内のずさんな管理体制を再確認する結果となり、さらに犯行がエスカレートしかねません。

 実際に、前回2013年に発覚した不祥事件では11年間も横領が発覚しなかったことから桐生信用金庫は、全従業員の約1割に相当する異例の48人もの大量処分を行いました。それにもかかわらず、今回の不祥事件を再度招いたことは、前回の真相究明が不徹底だったため、漏れがあったことになります。

■安中市でも、15年間にわたり元職員による巨額詐欺横領行為が発覚しませんでした。20年前にようやく発覚した時には、51億円を超える巨額不祥事件となっていました。しかし、その後、事件の真相解明と責任の所在の明確化はまことに不徹底のまま、幕引きが行われました。あれから20年経過し、5日前にも安中市土地開発公社と安中市は連帯して群馬銀行に2000万円をクリスマスプレゼントしています。

 すっかり市役所内では風化してしまった地方自治体では史上最大級の、安中市民らが「タゴ51億円事件」と呼ぶこの巨額横領事件ですが、第2、第3の不祥事件の発生の温床が再び市役所内に醸成されているのではないかと、つよく懸念される次第です。

【ひらく会情報部】

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1年以内に2度の不祥事を起こした桐生信用金庫の舌の根の乾く期間

2013-06-02 21:34:00 | 群馬県内金融機関不祥事件
■また群馬県内の信用金庫で横領事件が起きました。今度は東毛地域を営業拠点としている桐生信用金庫です。

**********産経新聞2013.6.1 02:01
元支店長を懲戒解雇 桐生信金、4800万円横領 群馬
 桐生信用金庫(桐生市)は31日、顧客の融資金や預金計約4800万円を横領したとして、4月26日付で、元支店長の男性(55)を懲戒解雇処分にしたと発表した。これを受け、同信金は5月24日付で、役員8人の報酬を20~10%(6カ月)減俸したほか、関係する40人の職員を処分した。
 同信金によると、元支店長は、平成14年4月から今年1月までの間、勤務していた5カ所の店舗で、親族や知人などの新規顧客に対し、「融資目標達成のため一時的に個人ローンを利用してほしい」などと持ちかけ、融資金を横領。資金繰りに行き詰まると、預金の着服も行っていたという。
 信金の調べに、元支店長は「当初は生活費や遊興費に使っていた。最終的には返済が遅れないように着服を繰り返し、額が膨らんでいった」と話しているという。
 今年1月に顧客から「預金証書が来ない」と連絡があり、内部調査で着服が判明した。同信金は桐生署に連絡したが、元支店長の家族や親族が着服金を全額返済したため、「実害はない」として刑事告発は行わない方針。
 同信金では、昨年8月にも違法な貸し付けや不正融資などで計2600万円の不正取引をしたとして、支店長だった男性が、懲戒解雇処分を受けている。
**********毎日新聞 6月1日(土)13時20分配信
横領:桐生信金元支店長、4800万円 懲戒解雇処分に /群馬
桐生信用金庫の元支店長(55)が顧客の融資金や預金計約4800万円を横領していたことが31日わかった。同信金は元支店長を4月26日付で懲戒解雇したと発表した。
 同信金によると、元支店長は2002年4月~今年1月、顧客に依頼し個人ローンの名義借りで引き出した融資金を横領。返済のために毎月横領を繰り返した。資金繰りに行き詰まり、預金の着服をしたため、2月の内部調査で発覚した。元支店長は「生活費や遊興費に使った」と話している。顧客には元支店長の家族らが全額弁済しているため、同信金は刑事告訴はしないという。【井田洋行】
6月1日朝刊
**********朝日新聞デジタル2013年6月1日11時33分
横領の「連帯責任」、部下も 群馬の信金、48人を処分
 【小林誠一】桐生信用金庫(本店・群馬県桐生市)が31日、役職員の1割にあたる48人を5月24日付で減俸や譴責(けんせき)などの処分にしたことを明らかにした。11年にわたり、顧客19人の融資金と預金の計約4800万円を横領したとして男性(55)を懲戒解雇しており、監督や発覚遅れの責任を問うた。業界関係者は「1割もの処分は聞いたことがない」と話す。
 桐生信金によると、男性は2002年4月~今年1月、支店長だった5店舗で「融資目標達成のため、一時的にローンを利用して欲しい」と18人から相次いで名義を借り、融資金約3700万円を横領。資金繰りに行き詰まり、さらに預金約1100万円を横領した。今年1月下旬に顧客から「預金証書が届かない」と連絡があり、発覚した。
 処分された48人は、男性の上司8人と、融資などの手続きに当たった部下40人。信金は「融資返済が一度も遅れなかったため、誰も気づかなかった」と説明。自身も処分を受けた坂田忠男理事長は「内部管理態勢などを見直し、このような事態を決して起こさないよう努める」との談話を出した。
**********

■桐生信用金庫が、全従業員の約1割に相当する異例の48人もの大量処分を行ったのは、11年間も横領が発覚しなかったことと、約9か月前の平成24年8月にも違法な貸し付けや不正融資などで計2600万円の不正取引をしたとして、支店長だった者を懲戒解雇したからです。同社のホームページには当時の謝罪文が載っています。

***********
http://www.shinkin.co.jp/kiryu/pdf/osirase_owabi(20120913).pdf
                    平成24年9月13日
各 位
          不祥事件発生のお知らせとお詫びについて
                    桐生信用金庫
                    理事長 坂田忠男
 この度、誠に遺憾ながら、当金庫におきまして下記の不祥事件が発生いたしました。
 当金庫では「コンプライアンス(法令等の遵守)」を業務活動の重要課題として対応してまいりましたが、このような事態を招いたことに対しまして、日頃より当金庫をご利用いただいておりますお客様をはじめ、地域及び会員の皆様に対しまして多大なご迷惑、ご心配をおかけいたしましたことを、心から深くお詫び申し上げます。
 当金庫といたしましては、かかる事態を招いたことを厳粛に受け止め、役職員一同深く反省するとともに、お客様の信頼回復に向けて、職員への指導・教育の徹底、法令等遵守の充実・強化に全力で取り組んでまいります。
          記
1.不祥事件概要
(1) 発覚の経緯
 平成 24 年6 月19 日に、支店職員から本部に対して、支店長の融資取り組み姿勢に疑問があるとの報告がなされたことから、本部担当部による内部調査を行ったところ、支店長による下記のような事実が判明いたしました。
(2)事故者
 前支店長(男性41才)
(3)発生期間及び内容
 事故項目/発生期間・期日/内容/件数・事故金額等
①浮き貸し/平成23年11月~平成24年3月迄/a)取引先A社から個人的に資金を借り受け、別の取引先B社に資金を一部用立てた行為、b)個人的に借り入れを行った資金を取引先A社に用立てた行為、c)知人Cに対してA社への融資斡旋を行った行為(未遂)/a)+b)2件5,500,000 円、c)1件10,000,000 円(未遂)
②迂回融資/平成22年6月~平成24年6月/取引先A社に融資する目的で同社代表者の知人名義にて融資した行為他/4件16,500,000 円、2件6,000,000 円(未遂)
③重要印鑑の不正使用/平成24年3月/個人的に知人 Cから借り入れをする目的で、支店長印を使用し借用証を作成交付した行為/1件4,000,000 円(事故者により返済済み)
※事故金額の総額は、26,000,000 円(未遂を除く)ですが、現時点での当庫損失額はありません。
※「浮き貸し」とは、金融機関の役職員がその地位を利用し、自己又は当該金融機関以外の第三者の利益を図るために、金銭の貸付や金銭の貸借の媒介、又は債務の保証をすることをいいます。これは金融機関の信用を著しく損なう行為であり、出資法により禁止されています。
※「迂回融資」とは不正融資の一つです。金融機関が資金を融資する際、正規な融資が困難なため、第三者に融資して、そのものから本来の債務者へ資金が供与された場合が該当します。
2.監督官庁への届出および警察への通報
 本件につきましては、法令等に基づき監督官庁へ届出済みです。また、警察へは不祥事件発生の事実を報告しております。尚、現時点では損害額の発生が無く、事故者も懲戒解雇により社会的制裁を受けている事から、刑事告発は行わない方針です。
3.人事処分
(1)事故者である前任支店長を、平成 24 年8 月30 日付で懲戒解雇処分といたしました。
(2)不祥事件の経営責任を明確にするため、理事長以下常勤役員の報酬を減俸いたしました。
4.再発防止策等今後の対応
 当金庫は、このたびの不祥事件発生を踏まえて、これまでのコンプライアンス態勢充実の取組みが不十分であったことを深く反省いたしております。今後このような事態を二度と起こさないよう、再発防止に向けて、融資審査や内部監査の機能強化など内部管理態勢の一層の充実・強化・徹底を図り、役職員全員で取り組んでまいります。
5.本件に関するお問い合わせ先
     経営管理部
  0277-44-8181
  (土・日・祝日を除く午前9時から午後5時)
                 以上
**********

■そして、この度の横領事件についても、再度謝罪文を載せる羽目になってしまいました。

**********
http://www.shinkin.co.jp/kiryu/pdf/osirase_owabi(20130531).pdf
                    平成25 年5 月31 日
各 位
          不祥事件発生のお知らせとお詫びについて
                    桐生信用金庫
                    理事長 坂田忠男
 この度、誠に遺憾ながら、当金庫におきまして下記の通り元職員による不祥事件が発生していたことが判明しましたので、謹んでご報告申し上げます。
 当金庫では平成24 年6 月にも不祥事件が発生し、多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたが、再びこのような事態を招いたことに対しまして、日頃より当金庫をご利用いただいておりますお客様をはじめ、会員の皆様、地域の皆様、関係各位の方々に、心から深くお詫び申し上げます。
 従来よりコンプライアンス(法令等の遵守)を業務活動の最重要課題として位置付け、さらなる態勢強化を図ってまいりました。その過程で不祥事件を再度発生させてしまいましたことを役職員一同深く反省しております。
 今後、改めて当金庫の内部管理態勢及びコンプライアンス態勢を見直し、このような事態を決して起こさないよう健全な業務運営に役職員一同努めてまいりますので、引き続きご支援、ご指導いただきますよう、重ねてお願い申し上げます。
          記
1.不祥事件概要
(1) 発覚の経緯
取引先から営業担当者あてに、事故者に定期預金として現金を預けたが預金証書が届かない、との相談がなされたことから本部担当部による内部調査を行ったところ、平成25 年2月12 日に事故者による横領着服行為の事実が判明いたしました。
(2)事故者 前支店長(男性55 才)
(3)発生期間及び内容
事故者は、平成14 年4 月以降平成25 年1 月までに勤務していた店舗で、親族や友人など親しい顧客に依頼し、「融資目標達成のため一時的に個人ローンを利用してほしい、来月には全額返済するので心配ない」と説明し、名義借りを行い実行した融資金を横領着服していました。
 その後、融資金の返済を行うために更に融資金横領を繰り返し、ついには資金繰りに行き詰って預金の着服を行うに至り、今回の発覚となりました。その間、融資金の返済が一度も遅れることは無かったため、発覚が遅れました。
 事故者は、横領着服した金員を、生活費や遊興費等に流用しておりました。
 事故金額は48,093,758 円で内訳は融資金横領が37,093,758 円、預金横領は11,000,000 円です。なお、事故金額は事故者の保証人である家族及び親族によって弁済されており、現時点でのお客様の被害額及び当金庫の実損額はありません。
2.監督官庁への届出および警察への通報
 本件につきましては、法令等に基づき監督官庁への届出を行っています。また、所轄警察へは事件発生の事実を通報しています。
3.被害を受けられたお客様への対応
 融資金を横領されたお客様、および預金を横領されたお客様には、当金庫代表役員から、
事件の顛末を個別にご説明させていただき、ご理解とご了承を賜わり、お詫びを申し上げました。
4.人事処分
(1)事故者である前支店長を、平成25 年4 月26 日付で懲戒解雇処分といたしました。
(2)不祥事件の経営責任を明確にするため、理事長以下常勤役員の報酬を減俸いたしました。
(3)関係職員について、金庫内規程に基づいて懲戒処分を実施いたしました。
5.再発防止策等今後の対応
 当金庫は、昨年6月の不祥事件の発生を受けて、再発防止のための取り組みを実施していましたが、このたびの不祥事件発生を防止できなかったことにつきまして、内部管理態勢およびコンプライアンス態勢の取組みが不十分であったことを深く反省しております。今後はこのような事態を発生させないよう、役職員教育、営業店指導の強化、融資審査や内部監査の機能強化など内部管理態勢を見直し、実効性のある再発防止策を策定して、役職員全員が一丸となって、取り組んでまいります。
6.本件に関するお問い合わせ先
          経営管理部
       0277-44-8181
   (土・日・祝日を除く午前9時から午後5時)
                    以上
**********

■多額のカネを扱う金融機関では、横領事件等の不祥事は日常茶飯事です。とくに、信用金庫や信用組合などは地元密着型であり、人的な関係も密着型となるため、よけいに不祥事が発生した場合、桐生信金のように、刑事事件としての告訴を見送る傾向にあります。

 きちんと警察に告訴をして、犯罪の発生原因を第3者機関によって捜査してもらい、真相解明と再発防止に努める必要があります。いつも不祥事件が起きるたびに内々で処理することになると、どうしてもタガが緩み、不祥事を根絶することが難しくなるからです。

【ひらく会情報部】

※参考情報
【桐生信用金庫】
創立;大正14年2月14日
代表者:理事長 坂田忠男
本社所在地:群馬県桐生市錦町2丁目15番21号
出資金:13億円
会員数:34,452先
貸出金:2,949億円
預積金:4,219億円
預かり資産:683億円 683億円 ※国債・投資信託・個人年金保険(一括払い)の残高

自己資本比率:12.33%
役職員数:466人
店舗数:35店舗48店外ATMコーナー
営業地域:群馬県桐生市、太田市、みどり市、伊勢崎市、前橋市、館林市、高崎市(旧箕郷町、旧倉渕村、旧榛名町、旧吉井町を除く)、藤岡市(旧鬼石町を除く)、玉村町、吉岡町、邑楽町、明和町、大泉町、千代田町、板倉町 栃木県足利市、佐野市、埼玉県本庄市(旧児玉町を除く)、熊谷市(旧妻沼町に限る)、上里町
(平成24年3月31日現在)

※参考情報
ニッキン人事異動情報信金 2011年11月18日号
桐生信用金庫(11月14日付)
◆西兼務(本店営業部長)理事生方弘也◆融資Ⅱ部長(太田)青木清勝◆経営管理部長(相生)森利明◆資金証券部長(本町)益子泰之◆玉村東兼務(玉村)信沢一男◆本町兼東兼梅田(新桐生)岩下順一◆新桐生(川内)大塚雄二◆太田(前橋)荒川喜一◆相生(広沢)大川博行◆広沢(西)小幡一郎◆前橋(高林)正木恵一◆川内(東)斉藤仁◆国定(梅田)山洞康久◆大泉(館林)中村康浩◆新田(大泉)多田敏◆高林(伊勢崎南)倉林保之◆伊勢崎西(伊勢崎東次長)村田泰之◆伊勢崎南(太田次長)大前雅弘◆総務部副部長(国定)松島修◆玉村エリア・玉村東副エリア長(玉村東)小島浩幸◆監査部調査役(新田)高橋貞夫◆経営管理部調査役(伊勢崎西)堀内俊一

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不祥事件の疑惑払拭に消極的な群馬県信用金庫と元支店長との民事裁判の行方

2011-05-22 08:42:00 | 群馬県内金融機関不祥事件
<群馬県信用組合支店長による現金ネコババ事件「被害者の会」>
事務局:市政をひらく安中市民の会
情報提供・連絡先
  ↓
郵送先:〒379-0114安中市野殿980番地
FAX:027-381-0364
Eメール:ogawakenpg@aol.com

※秘密は厳守します。


■先月10月22日、群馬県安中市原市に事務本部を置く群馬県信用組合(県信)が公表した元支店長が顧客の口座から2080万円を横領した事件について、もういちどマスコミ各社の報道内容をチェックしました。

10月22日夜7時半のNHK群馬ニュース
 安中市に本店がある「群馬県信用組合」で47歳の元支店長の男が、顧客の口座から、あわせて2000万円あまりを不正に引き出して着服していたことが分かりました。
 群馬県信用組合によりますと着服をしていたのは、群馬県信用組合の47歳の元支店長の男です。
 組合によりますと、この元職員は下仁田町内の支店の支店長などを務めていた去年1月からことし4月にかけて顧客が口座から預金を引き出す際、実際の金額よりも多く引き出すなどの手口で、3つの口座からあわせて2080万円を着服したということです。
 元職員は組合に対し、「パチンコをはじめ遊ぶ金などのために借金があり返済に困ってやった」などと話し、着服した金は全額返済したということです。
 組合は告訴はしない方針ですが、元職員はことし5月に依願退職して退職金を受け取っているため、退職金の相当額を損害賠償として求める訴えを前橋地方裁判所高崎支部に起こしたということです。
 またこの元職員は、3年ほど前から就業規則に違反して、取引先や知人から金を借りたり、正式な手続きを経ないで顧客に融資をしていたことも分かり、組合は理事長ら常勤役員7人の役員報酬を最大で10%、1か月間の減給処分としました。
 群馬県信用組合の松井誠理事長は「多大なご心配とご迷惑をかけ、心より深くお詫びします。
 今後は再発防止に務め、信頼回復に全力をあげる所存です」というコメントを出しました。

10月23日朝日新聞朝刊群馬版
信組職員2000万円着服 県信組 発覚前に依願退職
 県信用組合(安中市原市)は、10月22日、同組合の元職員の男性(47)が顧客の預金から約2千万年を着服したほか、就業規則に違反し取引先から約6千万円を借り入れしていたと発表した。男性は不正行為の大半が発覚する前の5月31日付で依願退職しており、組合は9月下旬、前橋地裁高崎支部に退職金相当額1300万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。
 組合によると、男性は2007年8月~今年4月、富岡市と下仁田町の3支店に勤務。この間、顧客3人の預金払い戻し請求書を増額して改ざんし、水増し分計2080万円を着服したほか、就業規則に違反して取引先15人から計5930万円を借りたうえ、取引先3人に自己資金から740万円を貸し出したという。男性は顧客からの着服金と借入金を返還済みという。
 今年3月、男性が富岡市内の支店の支店長代理から別の職場に異動後、取引先から300万円を借りていた就業規則違反が発覚。組合は出勤停止7日間の処分をしたうえで内部調査を続けたが、男性は不正が明らかになる前の5月、「組合にいづらい」として依願退職した。その後の調査に対し、一連の不正を認め「パチンコが好きで多重債務があった」と話したという。

10月23日読売新聞朝刊群馬版
県信組元支店長2080万円着服 顧客から借金も 依願退職、全額弁済
 県信用組合(安中市原市、松井誠理事長)は11月22日、元支店長の男性職員(47)が顧客からの預かり金等計6670万円を貸し借りし、職業規則に違反していたと発表した。男性は依願退職し、既に全額を本人や家族が弁済しており、県信組は刑事告訴は見送った。
 県信組によると、男性は富岡市内の2店舗の支店長代理と下仁田庁内の店舗の支店長を務めていた2007年8月から今年4月までの間、依頼された普通預金の引き出し額を改ざんして差額を引き出すなどして顧客3人から着服したほか、顧客15人から個人的に借金したり、依頼を受けた融資を放置し、穴埋めに自身で用立てるなどして3人に貸し付けた。顧客からの借金は、別の顧客からの借金で埋め合わせるなどしていた。
 今年3月に顧客の苦情をきっかけに客から300万円を借りていたことが発覚。5月末に依願退職したが、その後の調査で着服など一連の不正が判明した。男性は「趣味のパチンコ代がかさみ、クレジットやローンの支払いが苦しくなったため、埋め合わせのために着服や借金をした」などと説明しているという。
 県信組は、松井誠理事長ら常勤役員7人の6月分の報酬を3~10%減額した。
 県信組は「お客様を裏切ることになった。内部管理体制を見直し、再発防止に努めたい」としている。

10月23日毎日新聞朝刊群馬版
県信組元支店長が預金2080万円着服
 県信用組合(安中市原市、松井誠理事長)は10月22日、元支店長の男性(47)が顧客の預金計2080万円を不正に引き出し、着服したと発表した。元支店長は「カネはパチンコに使った。多重債務状態だった」などと話しているという。被害額は家族や親族が弁済したため刑事告訴は見送った。既に退職済みだが、退職金約1300万円は訴訟で返還を求めているという。
 同信組によると、元支店長は富岡市や甘楽郡内の支店に勤務していた09年1月から今年4月、顧客3人の預金を不正に引き出した。
 今年3月、取引先からの申告で調査を始めたが、元支店長は結果が出る前に依願退職した。同信組は「本来なら懲戒解雇にすべきだったが、調査が間に合わず、退職金を支払ってしまった。今後の裁判で取り戻したい」と話している。【奥山はるな】

10月23日産経新聞朝刊群馬版
信組職員が顧客の2080万円着服
 県信用組合(事務本部・安中市)の支店長だった男性職員(47)が顧客の口座から計2千万円以上を着服していたことが10月22日、分かった。県信組が同日、発表した。
 さらに職員は別の顧客から個人的に借金もしていた。職員は県信組の調査に対し、「パチンコなどの遊興費や借金の返済に充てた」と話しているという。
 県信組によると、職員は富岡市や下仁田町の信組で支店長などを務めていた平成21年1月~22年4月、顧客の3口座から計2080嗎年を不正に引き出すなどして着服。19年以降、顧客から個人的に計5930万円を借り入れていたほか、独断で取引先に計740万円の貸し付けを行っていた。
 今年3月、顧客が県信組に相談したため着服が発覚。県信組で調査を進めていた5月に男性は依願退職し、退職金約1300万円が支払われた。
 男性は退職金などで被害金額を弁済したが、県信組では近く男性を相手取り、損害賠償を求めて提訴する方針。

10月23日上毛新聞朝刊群馬版
県信用組合 支店長 2080万円着服 別件で依願退職 すでに弁済、告訴せず
 群馬県信用組合(安中市原市、松井誠理事長)の支店長だった元男性職員(47)が、顧客の口座に入れるために預かるなどした現金計2080万円を着服していたことが、10月22日明らかになった。男性は着服の問題が発覚する前に別の就業規則違反で依願退職し、退職金を受け取っている。同信組は退職金相当額の返還を求める民事訴訟を近く起こすが、顧客への被害が弁済されていることから男性の刑事告訴はしない方針。
 同信組によると、男性は2007年9月から今年4月まで、富岡市と下仁田町の3支店に支店長や支店長代理として勤めた間、営業で訪問した企業と個人合わせて3者から預かるなどして現金を着服した。
 このうち2者からは、苦情を受けた後に「手続きを間違えた」などと説明して返還した。もう1者に対して、預金の払戻伝票の金額を書き換える手口で差額1010万円を着服しており、信組側の内部調査で発覚するまで顧客は被害に気付いていなかった。発覚後に男性や親族が弁済した。
 調査に対して、男性は「パチンコなどの遊興費や消費者ローンの返済に使った」と答えている。
 着服以外にも、男性は業務で知り合った企業や個人から私的な借金を繰り返しており、今年3月時点で2者から計590万円を借りていた。それまでに返済した分も合わせると、15者から計5930万円を借りた。
 取引先からの融資の申し込みを放置し、期日が迫ったため自らの金を貸し付けたことも3者に対して計740万円あった。個人での借り入れと貸し付けはともに就業規則違反に当たる。
 顧客からの指摘を受けて調査した結果、今年3月に就業規則違反である金の貸借が判明し、男性を本部人事部付に異動。男性が5月末に依願退職をした後、着服の問題が新たに分かった。
 今年6月の1カ月分、理事長の報酬を10%、ほかの常勤理事6人を3~7%減額した。
 同信組は「管理監督が不十分だった。原因をよく把握し、対策を立て、信頼される体制作りにまい進したい」と話している。

10月23日東京新聞朝刊群馬版
県信用組合元職員 預金2080万円を着服 引き出し額を水増し記入
 県信用組合(本店・安中市)は10月22日、元職員の男性(47)が顧客の口座から不正に預金を引き出す手口で、三人から計2080万円を着服していたと発表した。
 男性は5月末で依願退職したが、組合の内部調査で着服が発覚。就業規則で禁じられている個人的な借り入れや貸し付けも行っていたことが分かった。
 組合の調査によると、男性は昨年1月~今年4月、富岡市内の支店で支店長代理などを務めていた立場を利用し着服を繰り返した。現金自動預払機(ATM)を使用しない顧客が口座から現金を引き出す際、実際の引き出し額よりも多い額を手続き書類に記入する手口で不正に現金を払い戻していた。取引先から計5930万円を個人的に借り入れ、740万円の貸し付けも行っていた。
 男性は動機について「パチンコなどで借金がかさみ、多重債務に陥っていた」と話しているという。同組合は「被害金は全額弁済された。男性は懲戒解雇に相当する事案を起こしており、退職金の返還などを求めている。」とした。【中根政人】

■これらの情報を整理してみました。
①元職員は、47歳の元支店長の男で、顧客3人の3つの口座から不正に合計2080万円の預金を引き出して着服していた。(朝日新聞の報道;預金払い戻し請求書を増額して改ざんし水増し分計2080万円を着服した)
②元職員が着服していたのは、下仁田町内にある支店長などを務めていた2009年1月~2010年4月の間だった。(※朝日新聞の報道:2007年8月~2010年4月、富岡市と下仁田町の3支店に勤務、2010年3月に富岡市内の支店の支店長代理から別の職場に異動。読売新聞:男性は2007年8月~2010年4月までの間、富岡市内の2店舗の支店長代理と下仁田庁内の店舗の支店長を務めていた)
③手口は、顧客が口座から預金を引き出す際に、払戻し請求書を水増しして実際の金額よりも多く引き出すなどの方法をとっていた。(※上毛新聞:2007年9月~2010年4月まで、富岡市と下仁田町の3支店に支店長や支店長代理として勤めた間、営業で訪問した企業と個人合わせて3者から預かるなどして現金を着服した。このうち2者からは、苦情を受けた後に「手続きを間違えた」などと説明して返還した。もう1者に対して、預金の払戻伝票の金額を書き換える手口で差額1010万円を着服しており、信組側の内部調査で発覚するまで顧客は被害に気付いていなかった。発覚後に男性や親族が弁済した。東京新聞:現金自動預払機(ATM)を使用しない顧客が口座から現金を引き出す際、実際の引き出し額よりも多い額を手続き書類に記入する手口で不正に現金を払い戻していた)
④元職員は、3年ほど前(2007年から)から就業規則に違反して、取引先や知人など15人から計5930万円のカネを借りたり、顧客である取引先3人に自己資金から740万円を正式な手続きを経ないで独断で融資をしていた。(※読売新聞の報道:顧客からの預かり金等6670万円を貸し借りしていた。顧客15人から個人的に借金したり、依頼を受けた融資を放置し、穴埋めに自身で用立てるなどして3人に貸し付けた。顧客からの借金は、別の顧客からの借金で埋め合わせるなどしていた。上毛新聞:元職員は業務で知り合った企業や個人から私的な借金を繰り返しており、今年3月時点で2者から計590万円を借りていた。それまでに返済した分も合わせると、15者から計5930万円を借りた。取引先からの融資の申し込みを放置し、期日が迫ったため自らの金を貸し付けたことも3者に対して計740万円あった。個人での借り入れと貸し付けはともに就業規則違反に当たる)
⑤2010年3月の異動で、元職員が取引先から300万円を借りていたことが、顧客の相談から発覚したので、県信は出勤停止7日間の処分をしたうえで、県信は内部調査を続けた。(※読売新聞の報道:今年3月に顧客の苦情をきっかけに客から300万円を借りていたことが発覚)
⑥元職員は、県信の調査に対し、「パチンコをはじめ遊ぶ金のため借金の返済に困ってやった。多重債務があった」と一連の不正を認めた。(※読売新聞の報道:「趣味のパチンコ代がかさみ、クレジットやローンの支払いが苦しくなったため、埋め合わせのために着服や借金をした」などと説明しているという)
⑦元職員は、2010年3月に就業規則違反であるカネの貸借が判明後、本部人事部付だったが、調査の結果が出る前、つまり不正が明らかになる前の5月31日付で「組合にいづらい」として、着服の問題が発覚する前に別の就業規則違反で依願退職した際に、県信は元職員に退職金相当額1300万円を支払った。
⑧男性の依願退職後、既に全額を本人や家族が弁済しており、県信は、「着服した金は全額返済したので、刑事告訴はしない」という方針を決めた。(※産経新聞の報道:男性は退職金などで被害金額を弁済した)
⑨事件の責任をとり、県信は松井誠理事長ら常勤役人7人の6月分の役員報酬を最大10%、1ヶ月間の減給処分をした。
⑩松井誠理事長は記者発表時に、「多大な心配と迷惑をかけ、心より深くお詫びする。今後は再発防止に努め、信頼回復に全力を挙げる」とコメントした。(※読売新聞の報道:「お客様を裏切ることになった。内部管理体制を見直し、再発防止に努めたい」としている。毎日新聞:「本来なら懲戒解雇にすべきだったが、調査が間に合わず、退職金を支払ってしまった。今後の裁判で取り戻したい」と話している。上毛新聞:「管理監督が不十分だった。原因をよく把握し、対策を立て、信頼される体制作りにまい進したい」と話している)
⑪県信は、9月下旬、前橋地裁高崎支部に退職金相当額約1300万円(実際には後述の通り約1130万円が訴額となっている)の損害賠償請求訴訟を起こした。(※東京新聞:「被害金は全額弁済された。男性は懲戒解雇に相当する事案を起こしており、退職金の返還などを求めている」とした)

■各社の報道内容を突き合わせれば突き合わせるほど、次の疑問点が浮かんできます。

【疑問その1】なぜ、元支店長は顧客の預金払戻し請求書を自由に改ざんできたのか?
 おそらく元職員は支店長或いは支店長代理という立場を利用して、顧客を信用させ、いちいち信組の支店のATMに足を運ばなくても済むように、印鑑と通帳を顧客から預かっていたと思われます。だから、預金払戻し請求書を自由に水増しして着服していたものと思われます。この手口は、安中市土地開発公社51億円巨額横領事件で、タゴ邦夫が、群銀安中支店に対して使った手口ですが、当時、群銀安中支店にいた松井誠支店長は、タゴを支店長室に入れて、手続きを全部やってやった経緯があります。この場合は、印鑑と通帳はタゴが保有していましたが、借入残高などはすべて群銀側で作成していました。
 おそらく、2010年3月に異動することになって、印鑑と通帳を顧客に戻した際に、預けたり受け取ってたりしていたカネの流れと残高との食い違いを指摘された元支店長が、いろいろ釈明したが、不審感を抱いた顧客らが県信本部にクレームして発覚したものと思われます。
 このうちの1者の顧客は、預金払戻伝票の金額を書き換える手口で差額1010万円をネコババされても、信組側の内部調査で発覚するまで被害に気付いていなかったというのですから、非常に問題です。
 となると、県信を信頼して印鑑や通帳を預けっぱなしの顧客の中には、同じような被害に遭っている人が他にもかなり存在するはずです。
 また、元支店長が改ざんし偽変造した預金払戻し請求書を、そのまま正として処理した県信の組織自体にも疑問があります。果たして県信は、組織ぐるみの犯罪と言われても、きちんと反論できるでしょうか。
 安中のタゴ事件でも、群馬銀行は支店長や支店長代理が安中市元職員のタゴをちやほやして、入出金処理は全て幹部が窓口の行員に指示して、あれこれ世話を焼いていました。松井誠元安中支店長が、群銀のこの悪しきしきたりを、理事長として県信に乗り込む時に持ち込んだのではないかと心配です。

【疑問その2】なぜ、元支店長は、勝手に顧客とカネの貸し借りをしていたのか?
 横領犯はとかく横領したあぶく銭を使ってカネ儲けの方法を考えようとします。安中のタゴ51億円事件の元職員は、パチンコはやりませんでしたが、競馬や賭けマーシャンや賭けゴルフに精を出していて、趣味が高じて役所内で競馬のノミ行為をする始末でした。タゴの競馬や麻雀に付き合っていた市職員らの名前が捜査資料にも明記してあります。
 おそらく県信の元支店長も、何かの名目でカネを集めていた可能性があります。新聞では、「顧客15人から個人的に借金したり」などと書いてありますが、これは県信側の記者発表を鵜呑みにして記事にしただけなので、それ以上詳しい背景や理由は県信に質していないと思われるためです。
 顧客から金を「個人的」に借りていた目的が、ギャンブルだったのか、それとも、高利回りの金融商品などと銘打って、県信の支店長の立場を利用した一種のノミ行為をやっていたのか、定かではありませんが、たとえ県信の調査で真相が明らかになっていても、県信がそれをそのまま記者発表するはずはないでしょう。
 いずれにしても、県信の管理監督責任は免れません。

【疑問その3】なぜ、県信は内部調査にそんなに長い時間をかけたのか?
 今年3月の異動で、顧客らからのクレームを受けて初めて県信は内部調査を始めたと言っています。異動はおそらく3月末でしょうから、県信が、元支店長の私的ノミ行為か何かに参加していた顧客らからのクレームを受けて、調査を開始たのは、4月になってからであり、調べを進めるうちに、元支店長が県信に無断で顧客から300万円を借りて(あるいは預かって)いたことが分かり、就業規則違反で出勤停止7日間の処分を下したのは、4月も半ば過ぎだったかもしれません。県信は、この時点で、元支店長を安中市原市にある事務本部にある人事部付として、富岡や下仁田町の顧客らから遠ざけ、時間を稼いで、ほとぼりを冷まそうとしたに違いありません。しかし、元支店長は、毎日、安中市原市の事務本部の人事部付として隔離されている状態に我慢が出来ず、「こんなところは早くやめるに限る」という気持ちが募っていたことでしょう。
 しかし、県信が、いろいろ調査をしたところ、沢山の顧客らからクレームが相次いでいたことから、この事件の真相を調べれば調べるほど、組織ぐるみではないか、という疑問を世間に知られることを心配して、あれこれ対応策を練っていた可能性があります。
 だから、元支店長から辞表が出されたので、5月31日付で退職させるかどうか躊躇したかもしれません。通常であれば、直ぐに懲戒解雇にすべきところでしょうが、このネコババ事件をはじめ、県信の組織自体の欠点や不祥事の事例についても熟知している元支店長から辞表を出された県信は、5月31日付で依願退職にしたのでした。

【疑問その4】なぜ、県信は元支店長に退職金を支払ったのか?
 この点について、産経新聞は、元支店長は「退職金などで被害金額を弁済した」と報じています。つまり、警察に被害届を出して、刑事事件として捜査されるよりは、一旦、元支店長に依願退職という形で辞めてもらい、退職金を支払うことで、顧客への損害を弁償させたうえで、民事でそれを取り戻そうとしたのだと思われます。そうすれば、横領や背任などの容疑で、たとえ県信が組織ぐるみの違法不当な体質であっても、刑事事件として警察の捜査を受けたり、立件されたりせずに済むため、都合の悪い証拠を提出する義務はなく、真相をもみ消しすることができるからです。
 民事では、元支店長を相手に裁判することになりますが、民事事件としてなら、密室で顧問弁護士と裁判所とで、関係者の間でナアナアに事を処理することができます。

【疑問その5】なぜ、県信は、元支店長の行為を横領だと認めて、警察に被害届や告訴状をだそうとしないのか?
 これは、1995年5月18日に安中市土地開発公社を舞台に発覚した51億円巨額詐欺横領事件、通称タゴ51億円事件のように、警察の家宅捜査を受けて、証拠書類を押収されると、今回の不祥事件のみならず、他にも隠れた都合の悪い事件に関連する資料を警察の目に触れさせる恐れがあるため、群馬銀行の元支店長として針のむしろを味わった松井誠理事長にとっては、悪夢の再来となるため、絶対に回避しなければなりません。
 タゴ51億円事件では、幸い、超大物政治家の威光により、タゴ一人だけの仕業として、処理してもらったため、安堵できましたが、松井理事長としては、2度とあのような目に遭うのはコリゴリのはずです。
 しかし、それではコンプライアンスやガバナンスの観点から、顧客の信頼は到底得られません。早急に、刑事事件として告訴するよう、当会としても県信やそれを統括する全国組織、そして金融庁に対して働きかけを行うつもりです。

■ちなみにこの不祥事件では、その後、11月17日付の上毛新聞が次のように報じています。

**********
2000万着服支店長に退職金返還求める 県信組損賠請求で地裁高崎支部弁論
 群馬県信用組合(安中市原市)の支店長だったもと男性職員(47)が顧客から預かった現金約2千万円を着服していた問題で、虚偽の申告をして退職金を受け取ったとして、組合が男性らに対して退職金相当額約1130万円の損害賠償を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が11月16日までに、前橋地裁高崎支部(間部泰裁判官)であった。被告の男性側は請求棄却を求める答弁書を提出し、全面的に争う構えを示した。
 訴状によると、男性は今年5月、顧客から借金したとして就業規則違反で依願退職した。「ほかの個人的貸し付けや借り入れ、預金の横領は一切ない」とする年初を提出して退職金を受け取ったが、その後の内部調査で別の顧客から預かった現金を着服していたことが分かった。
 組合側は、男性の一連の行為は懲戒解雇事由に該当し、払う必要のない退職金を虚偽の申告によって支給させたとして、男性の不法行為を主張している。
**********

 この裁判が茶番なのか、それともガチンコなのかは、そのうちハッキリするでしょう。なお、上記の疑問について、いずれ監督の立場にある組織や官庁に確認することも検討中です、

【群馬県信用組合元支店長現金ネコババ事件被害者の会】



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群馬県信用組合元支店長現金ネコババ事件の発表から1ヵ月目の現状報告

2010-11-25 22:06:00 | 群馬県内金融機関不祥事件

■10月22日に群馬県信用組合の松井誠理事長が、同信組の47歳の元支店長が、顧客から預かった現金2080万円を口座に入れずネコババしていたことを発表してから、1か月が経過しました。

この件で、当会は、新聞発表の内容から、不自然な対応に終始した同信組の対応の背後に組織ぐるみの何かがあると感じ、ブログでそのことを報じたところ、同信組をめぐるさまざまな情報が寄せられました。

 その過程で、実際に被害者が多数出ているにもかかわらず、同信組側が「着服問題が発覚する前に元支店長が、別の就業規則違反で依願退職し退職金を受け取った」ことや、「同信組は退職金相当額の返還を求める民事訴訟を起こしたが、顧客への被害が弁済されていることから男性の刑事告訴はしない方針」などと、顧客の信頼を失う事件を起こしながら不祥事を隠蔽しようとする体質が、以前から染みついていたことが分かってきました。

■そもそも、元支店長が、その立場を利用して、顧客が信頼して預けた現金をネコババして「パチンコや消費者ローンの返済に使った」と告白しているにもかかわらず、内部調査結果も公表せず、「弁済が済んでいるから」などと一方的に説明して、この元支店長の氏名を明らかにしないのは、明らかに事件の実態を知られたくないという組織的な意図を感じさせます。

 上毛新聞の報道では、この元支店長の47歳の男は、「着服以外にも、男性は業務で知り合った企業や個人から私的な借金を繰り返しており、今年3月時点で2者から計590万円を借りていた。それまでに返済した分も合わせると、15者から計5930万円を借りた」とあり、被害者?は15の個人や会社に上るとしています。

■上毛新聞の報道内容も、その情報源は同信組の発表ですから、実態は定かでありません。顧客から「私的な借金」をしたのか、それとも口座に入れるからと預かった現金のことを、他にも被害者が出ていたことを公表すると更なるイメージダウンになるため、このように言い換えているのかもしれません。

 15人を相手に承諾した上での金銭貸借だったのか、知らない間に使われていたということなのか、何度か読んでもよく理解できないからです。

■いずれにしても、5930万円もの大金を12人相手に動かし(一人平均なんと500万円!に相当)、3人から2080万円を騙し取ったというふうに報道記事から読み取れます。したがって、少なくとも元支店長が起こした事件でトータル15名の被害者がいたのではないかと当会は考えて、被害者の会を立ち上げたわけです。

 その後、各方面から新たな情報が寄せられました。11月23日までに寄せられた情報から判明したいくつか事項を紹介します。

(1)群馬県信用組合の本部の役割
 同信組のホームページによれば、本部として事務本部(安中市原市668-6、電話027-382-2433)と営業本部(富岡市七日市871-1、電話0274-64-1717)に分かれており、前者は「本店営業部」(電話027-382-6939)、後者は「富岡支店」(電話0274-62-4131)を兼ねています。
 では、松井誠理事長や専務理事、常務理事ら幹部はどっちにいるのでしょうか。どうやら、理事長や常務理事らは営業本部のある富岡に出勤しているようです。松井理事長は富岡市の黒岩に住んでいるので、安中の事務本部より、富岡の営業本部の方が、距離的に近いのかもしれません。
 では、なぜ本部を2か所に分散したままにしておくのでしょうか?どうやら、安中の事務本部は、今回の不祥事件の発表のように、何か起きた時に、クレーマーをまず安中に連れて行き、「富岡の営業本部に聞いてみないと分からない」だとか、「営業本部まで行って確認してくる」などとして、時間稼ぎをするために使っているようです。
 事務本部などと称して、ホームページではあたかも「本店所在地」が安中市原市の事務本部にあるかのように、装っていますが、実態は何をしているのか分かりません。営業に関する一切を富岡の営業本部で取り扱っているのであれば、本店所在地も富岡にするはずですが、なぜかそうしないのは不思議だという声が寄せられています。

(2)「事務本部」を置く理由
 ではなぜわざわざ「事務本部」を安中市に置いているのでしょうか。それは、今回のように不祥事がバレた際の緊急一時避難場所として活用し、被害にあった顧客の前から直ちに避難させて、所在をあやふやにするためだと考えられます。今回の元支店長も、おそらく、事件発覚後は事務本部付きとして、顧客から遠ざけ、顧客に直接元支店長が接触しないように顧客から遠ざけていた可能性があります。こうすれば、顧客には、社内で調査中ですと言っておき、元支店長から顧客に説明させないようにすることができるからです。

(3)松井誠・元群銀安中支店長の就任
 群馬県信用組合の松井誠理事長は、現在、群馬県信用組合協会会長や群馬県信用保証協会理事などにも就任しておりますが、平成12年6月に同信組の理事長に就任する前までは、群馬銀行にいました。平成7年6月3日に安中市土地開発公社を舞台にした地方自治体では史上最大級の51億円巨額詐欺横領事件で元職員のタゴ邦夫に杜撰な融資を行った群馬銀行の安中支店で、事件発覚当時、支店長を務めていたことで、安中市民には有名な御仁です。
 その後、事件のほとぼりが冷めるのを待って、地元の同信組に理事長として就任したことについて、同信組の組合員の間にも「なぜ、あのような男が突然群銀から天下ってきたのだろうか、理事長としての資質についても疑問があるのに不思議だ」と首をかしげる向きが多く見られます。
 もっとも、平成12年に松井誠が合併後2代目の群馬県信用組合理事長に赴任した直後も、初代理事長から会長になった大河原清一が平成14年までは、顧客の相談や対応をしていたようです。したがって、松井誠が、同信組のトップとして発言権を付与されたた時期は、大河原清一が全信組連の理事になった平成14年以降だと思われます。なお、大河原清一は全信組連の理事を1年勤めた後、理事を辞めています。
 安中市土地開発公社51億円事件では事件に関与した関係者が、その後、優遇されているという不思議な現象が明らかになっています(例:タゴと懇意だった当時の市長、職員、職員OB、政治家、業者、親族、実弟の経営する運輸会社の事業拡大、首都高横転炎上事故の賠償責任の追及免除など)。事件の真相を知る松井誠・元群銀安中支店長も当然口封じのために特典を与えられる権利の得られる立場だったはずです。
 こうして、タゴ事件で功績を残した松井誠に、地元の信組の理事長のポストをあてがう話が出てきたとしても不思議ではありません。自ら努力して射止めた初代理事長の座を、全信組連の理事の話と引き換えに、松井誠に譲らざるを得なかった大河原清一は、さぞや、なんとかトップの座を守りたかったことでしょう。

(4)金融機関と顧問弁護士の関係
 銀行で不祥事では、銀行の幹部は顔を出さず、かならず顧問弁護士という人種が代わりに対応します。タゴ51億円の時、群馬銀行は市民団体の面会要求に対して、高橋勇雄弁護士を出してきました。安中市・公社との民事裁判でも中山新三郎弁護士ら弁護団を結成して対応にあたらせました。
 今回、元支店長の着服事件を起こした群馬県信用組合では、顧客対策のために、高崎地区の組合員総代の中から、顧問弁護士として善如寺雅夫弁護士を起用していることが明らかになりました。高崎地区の組合員の総代としては、群馬県公安委員をしている渡邊明男弁護士もいますが、なぜか同信組では、善如寺雅夫ただ一人を顧問弁護士として起用しています。
 今回の不祥事件では、元職員が勝手に不祥事件を起こし、顧問弁護士がその事後対応に追われているような印象を読者らは抱きますが、実際には、そうではなく、不正が働きやすい環境づくりを支援している、悪事がばれないよう証拠隠滅を推し進めている枢軸と考えた方が分かりやすいと思います。
 従って、裁判所には弁護士の立場で顔が利きますので、裁判沙汰を一手に引き受けて、自ら組合員として所属する同信組の負の部分を顧客に見せないようにすることが期待されています。それだけに、一旦裁判となると、なりふり構わず同信組の上層部と結託し、組織のイメージや顧客との信頼などそっちのけで、訴訟に勝つためにあらゆる手段を行使します。
 同弁護士を知る人の話では、人柄や、心の正直さ、道徳という言葉とは無縁の方だそうです。経歴に大きな負の事件をもつ松井誠理事長にとっては、きっと頼もしい存在に違いないでしょう。

■折から、11月23日、山梨県の山梨信用金庫(理事長 高木眞壽、本店 山梨県甲府市、預金残高4,202億円)で不祥事件が発生しました。こちらは、男性融資係長(34歳)が、架空融資や現金自動預け払い機(ATM)に補充する現金を抜き取る手口などで、同信金から約3000万円(当初、被害金額が1000万円以上としていたが後に金額が2000万円以上へ、さらに3000万円へ変更された)を着服横領した業務上横領、詐欺事件です。山梨信用金庫は11月23日午後に会見を開いて詳しい内容を発表しました。

 それによると、山梨信用金庫は、この男性融資係長による業務上横領、詐欺事件を今年の4月に把握していたことを明らかにしたうえで、7ヶ月以上にわたり隠蔽し、公表しなかった理由について「客に影響がないと判断した」とし、今となっては公表すべきだったと説明しました。

 同信金によると、この男性融資係長は今年の4月までの約3年間、勤務していた北支店と石和支店で、ATMに現金を補充する担当である立場を悪用し、2007年12月から今年4月に現金自動預払機(ATM)から96回にわたり補充の際に計573万円を抜き盗って着服横領し、「着服横領した金は飲食代に充てた」と説明しているそうです。今年の春頃に担当者が代わり、事件が発覚しました。

 さらに、この事件を受け、同信金が内部調査をしたところ、ATMの現金着服以外にも、この男性融資係長が6年の長期にわたる、架空融資による着服横領、詐欺事件が発覚しました。手口は実在しない顧客から融資の申し込みを受けたように装い、実在する顧客の免許証のコピーを偽造して架空の名義人あてに融資する手口で書類を偽造するなどして架空口座を開設し、2004年3月から2009年3月までに20回にわたり同信金から計2340万円を不正に融資を引き出すなどして、だまし盗っていたことも判明しました。

 同信金の幹部は、業務上横領、詐欺事件が防げなかった原因について「現金の管理¬体制に甘さがあった、ずさんと言われても言い訳はできない」と話しています。同信金は、男性融資係長を今年の4月30日付で懲戒解雇するとともに役員や上司およそ30人も減給や降格の処分にしました。また、監督庁である金融庁には所定の届出¬を行ったとしています。

 一方、着服横領した行為は明らかな犯罪事件(業務上横領罪、詐欺罪、有印私文書偽造同-行使罪)ですが、着服横領した金額を既に家族が弁済していることを理由に、同信金は男性融資係長の氏名を公表せず秘密とし、警察への被害届けや刑事告訴もしないこ¬とを決定していますが、今回の山梨信用金庫の事件対応について、利用者からは「金額も大きく犯罪の悪質性が高いのに納得できない、ずさんで身内に甘すぎると」疑問の声が広がっています。

 山梨県内の金融機関を巡る不祥事事件では、甲府地方裁判所の公判で、山梨県民信用組合(理事長 坂井 俊次 、本店 山梨県甲府市、預金残高4,082億円)の元支店営業主任、 三浦正紀(みうら まさのり)被告(36歳)が現金約1億5000万円を着服横領したとして、業務上横領¬などの罪に問われ、2008年7月1日に懲役5年(求刑・懲役7年)の実刑判決を受け¬たほか、同信用組合元本部調査役の飯島浩(いいじま ひろし)被告(53歳)が現金約400万円をだまし盗ったとして、詐欺罪に問われ、2010年11月1日に懲役2年6月(求刑・懲役3年)の実刑判決を受け確定しています。

■このように山梨の事件も非常に群馬県信用組合の事件と共通性があります。事件を巡り金融機関が氏名を公表しない場合は、背後に後ろめたい事情があることがうかがえます。

 元支店長の氏名を公表せず、警察にも告訴したがらない群馬県信用組合の対応についても同様なことが言えるでしょう。

■群馬県信用組合への意見、苦情、相談の連絡先は、同信組のHPによれば、次のとおりとなっています。近いうちに、被害者の会として、今回の事件について相談に行くことも検討中です。

【当組合へのお申し出先】
「お取引先店舗」又は「コンプライアンス室」にお願いしたします。
コンプライアンス室
住所:群馬県富岡市七日市871-1
電話番号:フリーダイヤル0800-800-4333

受付時間:午後8時30分~午後5時30分(土日・祝日及び金融機関の休日を除く』
※苦情とのお申し出は当組合のほか、筑しんくみ苦情相談書・しんくみ苦情等相談書をはじめとする他の期間でも受け付けています(詳しくは、当組合コンプライアンス室へ土蔵談ください)。
<群馬地区しんくみ苦情等相談所>
住所:〒371-0026前橋市大手町3-3-1(群馬県中小企業会館2階)
電話番号:027-232-3120
受付日:毎週、月~金(祝日及び金融機関休業日を除く)
受付時間;9;00~17:00
<しんくみ苦情等相談所>
住所:〒104-0031東京都中央区京橋1-9-1
電話番号:03-3567-2456
受付日:毎週、月~金(祝日及び金融機関休業日を除く)
受付時間;9;00~17:00
相談所は、公平・中立な立場でお申し出を伺い、お申し出のお客様の了解を得たうえ、当該の信用組合に対して迅速な解決を要請します。
東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会が設置畝いする仲裁センター等で紛争の解決を図ることも可能ですので、「当組合、コンプライアンス室」または「しんくみ苦情等相談所」へお申し出ください。また、お客様が直接、仲裁センター等へ申し出ることも可能です。

【群馬県信用組合元支店長現金ネコババ事件被害者の会】

※参考資料
群馬県信用組合のHPから
■概要
設立:昭和63年4月1日(合併)
本店所在地:安中市原市668-6
出資金:6⑥7百万円
代表者:理事長 松井誠
預金高:1,903億円
貸出金:826億円
役職員数:279名(男200名、女79名)
事業内容:預金業務、貸出業務、為替業務、国・地方公共団体・会社等の金銭の収納業務、各種業務の代理または媒介業務
国債・投資信託・保険商品の窓口販売業務

■役員
理事長: 松井  誠
専務理事: 新野 正行
常務理事: 黛 一夫
常務理事: 新井 敏正
常勤理事営業推進部長: 五十嵐 公
常勤理事総務部長: 高間  勉
常勤理事監査部長: 石川 隆司
理事: 小林 徹
理事: 松井 徹郎
理事: 吉田  毅
理事: 武井  宏
理事: 清水 邦宏
常勤監事: 高橋 正夫
監事: 市川 悦老



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