市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

12年前にオープンした談合焼却場・・・大丈夫かダイオキシン対策(当時の当会会報から)

2010-11-30 23:40:00 | オンブズマン活動

■当会では、タクマのゴミ焼却施設について、かつて当会が毎月発行していた安中市民通信「まど」1998年3月20日第27号8ページで、平成10年4月からのゴミ焼却施設稼動を前にして、「環境特集 新型ゴミ処理施設オープンによせて」と題して、ダイオキシン次の特集記事を掲載したことがあります。


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<大丈夫か、ダイオキシン対策>
 ダイオキシンは、塩素と炭素、水素と酸素の化合物で自然界には存在せず、農薬工場から生じ、食物連鎖を経て人間の体内脂肪に蓄積する猛毒です。不完全燃焼の場合に出易く、焼却炉の排ガスの冷却過程で再合成されてしまう厄介な代物です。排ガスや、焼却残さ(主灰)のほか、飛灰にいちばん多く合まれます。厚生省の報告によると日本のダイオキシンの八〇%が全国一七〇〇ヶ所のゴミ焼却場から排出されています。

■ゴミ焼却とダイオキシン
 ゴミ焼却炉とダイオキシンの関係が、日本で初めて注目されたのは一九九三年です、西日本の九ケ所の焼却炉の灰から、高濃度のダイ才キシンを検出したと愛媛大が発表しました。
 だが翌八四年に、厚生省研究址は「健康への影響はない」という報告を発表。環境庁も全国の河川.海を調査し「影響なし」との見解を出しました。
 九〇年に厚生省は「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン(旧ガイドライン)を策定しましたが、依然として取り組みは消極的で、既設の焼却炉に関する数値日程等は定めませんでした。
 ところが九七年二月、世界保健機構(WHO)が、ダイオキシンを「発癌性の疑いがある」から「発癌物質だ」と評価変えした途端、全国でダイオキシンヘの関心が高まりました。
 最近になって、ダイオキシンは極微量でもヒトの生殖機能に著しい悪影響を及ぼすことも分かり、日本のゴミ行政を根幹から揺さぶっていることはご承知の通りです。九七年一二月から群馬県でも学校の小型焼却炉の使用が全面禁止になりました。
 焼却炉のダイオキシン規制を狙いとした大気汚染防止法と廃棄物処理法の改正政省令が九七年一二月から施行されました。これは清掃工場の焼却炉ばかりでなく、民間事業者の保有する焼却施設や製鋼用電気炉など焼却施設以外の炉も発生源対策を必要とさせるものです。

■原市の焼却場は安全か?
 昨年厚生省が全国の焼却炉のダイオキシン排出値測定結果を発表しましたが、安中市の現有焼却場では排ガス一立方メートル当たり五・六ナノグラム(一ナノグラムは一〇億分の一グラム)でした。
 既設炉の緊急対策値である同八〇ナノグラムは下回っていますが、欧米の基準値〇・一ナノグラムと較べると数十倍の濃度、一九九九年四月から稼働開始の新しいゴミ焼却炉では、いったいいくらになるのでしょうか。
 前述の九七年一二月からの法律改正で、毎年一回排ガス中のダイオキシン濃度の測定が義務付けられます。ところが、排ガスより焼却灰、とりわけ飛灰と呼ばれる回収粉塵の中にダイオキシンは多く含まれます。
 従って、現在では焼却灰や飛灰は、ダイ才キシンが分解する高温で溶融し、ダイオキシンが再合成されないように急冷し、固い石のような塊にして、路盤材やコンクリート骨材に再利用する方法が全国的に注目されており、一部の自治体では既に実用化されています。
 原市の焼却炉では、灰に未然焼物が沢山含まれ、灰溶融施設などダイ才キシン対策が充実されていないことから、稼働後のダイオキシンの排出値が気にかかります。旧ガイドライン適用炉なので、ダイオキシン恒久対策として、〇・五ナノグラム以下の基準が適用されます。
 できたばかりの「最市ネイ」施設なのに、運転結果次第ではさっそく削減対策や追加予算も必要になりかねません。

■ダイオキシン排出ゼロに向け
 なお、民間事業所の焼却灰についても、廃棄物処理法の改正政省令で構造基準が強化されたので、安中市としても解説パンフレットを作成し指導する必要があります。事業所への説明や立入調査への対応準備も求められます。旧式化した設備更新には「公害防止資金融資」や「中小企業制度融資」を活用して、更新を促進する手もあります。
 そして、ダイオキシン発生の原因のひとつとされる塩化ビニールや塩素系の添加物を含むプラスチックなどが混入しているゴミは、なるべく燃やさないよンに、あらかじめ分別できるよう、市民らへの啓発とPRも欠かせません。

■環境モニタリングの充実を
 こうした発生抑制策と共に、市民の無用な不安を解消するために、焼却炉からのダイオキシン排出量を逐次測定し、自主監視を徹底し、その報告は逐一市民に公表する必要があります。
 大気中に放出されたダイオキシンは土壌に染み込んで地下水を経由して河川や海洋に広がります。その過程で魚介類に蓄積され、人休にも蓄積されるなど長期的な影響は無視できません
 安中市でも、早急に市内一〇個所程度の大気についてダイオキシンの濃度を夏冬の二回計測してはどうでしょうか。測定地点の数は年々増やし、頻度も年四回の計測とするほか、土壌、地下水についても、調査したいものです。
 さらに最近、ダイオキシン汚染の問題が表面化している母乳についても、新年度から調査を開始し、以後継続して調査を実施していくことが望まれます。
 こうした施策は、今後三年の期間内に、市が取り組むべき総合的な対淑としてぜひ必要です。そして調査結果については、四月一日施行予定の安中市情報開示条例により積極的に市民に公表して行くことが望まれます。
【政策部・情報部】

※参考データ(1997年当時)
【県内ゴミ焼却施設の排ガス中ダイオキシン類濃度】
一般事務組合名/施    設    名/炉形式/設置年/濃度
館林市    /館林市清掃センター   /准連/1986/124.50
水上月夜野新治/ごみ焼却処理施設  /機バ/1978/92.00
新町     /新町清掃センター    /機バ/1979/80.00
境町     /境町清掃センター    /機バ/1990/71.00
草津町    /草津町クリーンセンター   /機バ/1991/57.00
甘楽西部   /ごみ焼却炉     /機バ/1986/56.00
富岡市    /富岡市清掃センター   /准連/1992/54.00
吉井町    /吉井町クリーンセンター   /機バ/1992/49.00
藤岡市    /藤岡市清掃センター   /機バ/1986/45.00
利根東部   /衛生施設組合    /機バ/1978/26.00
吾妻東部   /可燃ごみ処理施設  /機バ/1991/14.00
西吾妻    /ごみ焼却処理施設  /機バ/1992/14.00
渋川広域   /渋川広域圏清掃センター /准連/1993/14.00
大胡町    /大胡町他3村クリーンセンター/機バ/1990/12.00
伊勢崎市   /伊勢埼ダストセンター   /全連/1981/6.60
安中・松井田 /ごみ焼却炉     /機バ/1974/5.60
東村     /東村ダストセンター    /機バ/1993/4.86
万場町    /万場町塵芥処理場  /機バ/1980/3.90
玉村町    /玉村町クリーンセンター   /機バ/1990/3.50
大泉町外2町 /大泉町外2町清掃センター/准連/1991/3.02
鬼石町    /鬼石町焼却炉    /機バ/1978/2.70
太田市    /太田市清掃センター   /全連/1992/0.20
太田市    /太田市清掃センター   /全連/1997/0.20
桐生市外6町村/桐生広域清掃センター  /全連/1996/0.12
※濃度の単位:ナノグラム―TEQ/Nm3
※炉形式:[全連]全連続式、[准連]准連続式、[機バ]機械バッチ式
(出典・厚生省1997年4月11日発表)
【注】この測定結果は、発表後全国各地で改ざんの実態が明らかになりました。館林市では、施設改造のための補助金目当てに数値を水増しした経緯が発覚。また、ダイオキシン濃度自体、測定方法や条件でバラツキが出るため、継続的な計測データが不可欠です。
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■このように、当会では、タクマが受注して建設したこのゴミ処理施設に関するダイオキシン発生濃度についても、きちんと精査する必要があると当時から主張してきました。結局、灰溶融施設や発電施設など、環境面に配慮した対応は取られず、その後、ダイオキシン低減対策のために、さらに追加の税金が投入されたのでした。

【ひらく会情報部】

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12年前にオープンした談合焼却場・・・65億円をめぐる利権の産物(当時の当会会報から)

2010-11-29 23:29:00 | オンブズマン活動
■当会では、タクマが作った、このゴミ処理施設について、当会がかつて毎月発行していた安中市民通信「まど」1998年3月20日第27号9~10ページで、平成10年4月からの稼動を前にして、「環境特集 新型ゴミ処理施設オープンによせて」と題して、「65億円をめぐる利権の産物」という特集記事を掲載したことがあります。
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六五億円をめぐる利権の産物 懸念されるズサン計画のツケ
公社事件・51億円事件を上回る巨額プロジェクトの後遺症とは

 安中・松井田衛生施設組合(管理者・中島博範市長)は平成七年一〇月から、旧し尿処理施設跡地に、新しいゴミ施設(処理能力九〇トン)と、粗大ゴミ処理施設能力二〇トン)の建設を三ヵ年計画で行ってきました。平成九年一二月からの試運転を経て、平成一〇年四月からいよいよ稼働を開始します。今回は、私たちの暮らしに密接な関係を持つ、ゴミ処理施設について、さまざまな観点から考えてみました。

 今までのゴミ焼却炉は一九七四年にクボタが作った機械バッチ炉(一回毎にまとめてゴミを入れて燃やす形式で、学校の焼却炉を大型化したもの)で、一日五〇トン強のゴミを能力一五トンの炉四基で処理していました。建設後、二〇年以上経過して老朽化したため、今回の新しいゴミ焼却施設の計画が建てられたものです。
 新しい「碓氷川クリーンセンター」は、現在のごみ処理能力の約一・五倍で、約六五億円に上る総事業費は、国からの助成金や起債などで賄われます。処理施設棟の床面積は約五六〇〇平方メートルで、二〇〇四年の安中市、松井田町の想定人口約八万二〇〇〇人をベースに処理能力が計画されました。(計画内容は別項の資料参照)

■ストーカ型と流動床型の争い
 ゴミ焼却には「ストーカ炉」と「流動床」の二種類の炉があります。
 ストーカ型と呼ばれる炉は、火格子(ストーカ)の上にゴミを乗せて、下から空気を送り込んで燃やします。階段状のストーカはベルトコンベアになっていて、燃えたゴミは順々に炉の奥に運ばれ、最後に灰になって下に落ちる仕掛です。原理は薪ストーブと同じようです。灰が火格子の隙聞から落ちるため、未燃物が多く含まれ、灰の量が多くなります。
 流動床型というのは、高温に熟した砂に下から空気を吹き上げ、ゴミは砂に撹拝されるうちに完全燃焼するため、灰がきれいです。また、運転の開始や停止が簡単にできるため、准連続運転と呼ばれる一日一六時間運転に適しています。
 ストーカ型も流動床型も、性能、コスト、操作性は大同小異です。ダイオキシン対策は飛灰の少ないストーカ型の方が容易だとされていますが、流動床型も燃焼制御や飛灰処理を工夫しており、両方共、技術的には厚生省の暫定規制値八〇ナノグラムは充分クリアできています。
 固形ゴミ処理施設は焼却と破砕から構成されます。この施設の設置には厚生省が管轄しています。発注は下水道のような図面発注ではないため、性能保証が必要です。

■なぜかストーカ型一辺倒
 計画は一九九二年頃から本格的に動きだし、コンサルタントにより計画案が九四年六月頃作られました。
 計画案の縦覧に先立ち同年一月一日付おしらせ版「あんなか」に、住民への縦覧公告が載りました。
 それによると、この縦覧は、安中・松井田衛生施設組合のゴミ焼却場整備計直に伴い、既存の都市計画汚物処理場を廃止し、新たにゴミ焼却場と併せて「その他の処理施設」として都市計画決定をするためのむので、この計画案についてご意見をお持ちの人は、縦覧期間中に市長に意見書を提出することができることが分かりました。
【概要】
◆所在 市内原市宇悪途久保東地内
◆面積 20,189平米
◆施設(1)ゴミ焼却場(処理能力90t/日)
   (2)汚物処理場(処理能力90kl/日)
【縦覧期間】11月8日(火)~21日(月)(土・日曜日を除く執務時間内)
【縦覧場所】市建設部都市計画課(西庁舎2階)
 さっそく同一八日に計画案を見に行った市民は、その内容に疑問を持ち、次のような意見書を同二一日付けで小川勝寿市長(当時)に提出しました。
 尚、縦覧当時、都市計画課には公社事件で有名になった多胡邦夫が公社併任職員として在籍していましたが、ちょうど同年一〇月から一二月にかけて、小川前市長の「特命」で東京の広尾にある自治大学校で研修のため不在でした。その頃タゴは財布を膨らまし、毎晩のように赤坂や銀座に繰り出して、時には安中から「激励」に駆けつけた市議会議員らを連れて、夜の研修にも励んでいたことは周知のとおりです。

■無視された住民意見書
<意見その1>
焼却方式について、基本計画報告書はストーカ式採用を正当化するような記述内容なのがたいへん気にかかる。再度慎重に検討すべきだ。

 九四年六月付の(株)総合エンジニアリング作成の「基本計画報告書」に基本計画が示されている。同社は環境分野で著名なコンサルタント会社だが、同社の報告書における焼却炉方式(ストーカ式と流動床式)の比較表を見る限り、とても公平中立な立場の記述ではない。
 結論として、明らかにストーカ式に既に決まっている感じ。コンサルタントは顧客の同組合や安中市に対して最適な方式を選定すべきだが、流動式のマイナス面ばかり強調している。
 一方、ストーカ式のマイナス面は示していない,流動床式は多様なゴミ質に対応でき、発熱量の大きなブラスチック類にも適し、運転の立ち上げも容易だ。
 本件では当初、ストーカ式と流動床式のメーカー同士が、熾烈な売り込みをしていたが、コンサルタントが報告書を書き上げる前に、既にストーカ式に決まるという噂が出ていた。やはりウラで決まっていたらしい。
<意見その2>
計画では処理フローとして焼却灰の予想最終処分量(平成一六年ベース)が日量10・21トンと記されているが、環境影響評価書には焼却灰をどのように処分するのか何も書いてない。今後の焼却灰排出量と最終処分場の残余容量の相関を明らかにし、どのような問題があるのか、その対策について慎重な検討が事前に必要だ。

 今までの老朽化したゴミ焼却施設では、平成五年度の実績値として焼却残さ(灰)は一日平均五・二三トン。これが新型のストーカ炉に更新されると、ゴミ焼却量が一・五倍に増えるとはいえ、焼却灰がそれ以上に増えるのは納得が行かない。
 組合の既存の最終処分場は、あと二年で満杯になると言われる。満杯後は新たな処分場を設置しなければならない。既存の処分場の拡張は、周辺をゴルフ場に買収されてしまい、困難になった。まして処分場を新規に設置するにはさらに困難を伴う。
 ゴミ焼却施設計画で最も大切なのは、いかに焼却灰を少なくできるか、また、焼却灰の安全性(重金属やダイオキシン等有害物質溶出防止対策)をどこまで追及できるかの二点に尽きる。
 それなのに、基本計画ではストーカ式を礼賛する記述ばかりで、環境影響評価書には、焼却灰の安全性格補対策はおろか、最終処分方法をどうするかについても全く記述がない。実効性のない環境影響評価書を書いたコンサルタントに、再度書き直しを命じられたい。
<意見その3>
流動床式では飛灰が主灰より多いのでストーカ式より劣るかのような記述がある。また主灰の熟灼減量に至っては、報告書にはストーカ式の主灰は熟灼減量が大きいので燃焼方式として優れているかのような記述もある。いずれもストーカ式を正当化するための強い意向を持って書いたとしか思えないムチャクチャな説明だ。中立的調査を求める。

<意見その4>
重金属の溶出に関する基本計画報告書の記述は、余りにも無神経で矛盾を含む内容となっている。このような認識で焼却灰を最終処分するのであれば、環境への悪影響は避けられない。流動床式の特徴を見直した上で、再検討すべきだ。

<意見その5>
ゴミ焼却による排ガスの性状については、それが大気中に放出されるため、事前によく検討する必要がある。排ガス処理対策を施すため、最終的な排ガス性状は、排ガス処理設備の方式や性能に大きく左右される。燃焼方式も、詳しく検討し評価すべきだ。報告書には流釣床式のイメージを悪くする意図があり問題だ。改めて中立的調査が必要だ。

<意見その6>
報告書にはストーカ式と流動床式の双方の納入実績が示してあるが並べ方が不自然だ。組合が導入する施設は四五トン炉二基だが、これと同程度の規模のゴミ焼却施設に限って納入実績比較をすべきだ。

<意見その7>
ストーカ炉採用の理由が「現在のゴミ焼却炉がストーカ式」であり、新型の流動床式になると、組合職員が新方式に習熟し難い。昔から馴染んだストーカ炉が無難で安心だ」として、組合職員を過小評価している、今の技術は自動化されており、新技術に挑戦する気概において、組合職員がよそより劣る筈がない。誇れる施設導入のためにも、再度、流動床式を検討されたい。

 このように市民からの意見書には、基本計画報告書がストーカ式一辺倒の記述に関する疑問が意見として列挙されましたが、結局これらの意見はことごとく無視されました。
 とくに焼却灰の処分と安全性の問題は、当時しっかり検討していれば、灰溶融設備のついた施設を作れたかもしれません。
 市が、今ごろになって最終処分場の問題を市民に訴えても、今さらの感があります,問題を先送りして、よけい複雑化させる安中流の手法はここにも見られます。
 公正を欠く計画案に疑問を抱いた市民の不安は的中しました。

■案の定、ストーカ式
 九五年六月二六日、五一億円事件発覚直後のドサクサのさなかに開催された組合の議会で、ゴミ処理施設(日量九〇トンの焼却炉及び日量二〇トンの破砕機など)の入札結果が承認されました。
 その結果、一番札だった(株)タクマが、税込六四億八五九一万円(税抜六二億九九〇〇万円)に発注が決まりました。
 二番札は三機工業で税込六四億八七九七万円(税抜六二億九九〇〇万円)で僅か二〇〇万円の差です。
 三位以下は川崎重工(六七・八億円)、日立造船(六七・九億円)。富岡市のストーカ式ゴミ焼却場を受注したNKKは、八九・三億円。碓氷川クリーンセンターのし尿処理施設を受注した久保田鉄工は七〇・一億円。ユニチカ(七〇・三億円)、荏原製作所(七〇・七億円)、三菱重工(七〇・九億円)となっています。
 ユニチカを除き、すべてストーカ型のメーカーが入札参加しています。どうやら指名競争入札だったようです。
 ストーカ炉は大手五社と呼ばれる三菱重工、日立造船、川崎重工、NKK、タクマが全国市場の八割を占めています。三機工業は参入は早かったのですが、波に乗り損ねました、荏原もクボタも水処理関係で培った官庁営業力を発揮して、近年ゴミ処理分野にも積極的です。ユニチカは流動床分野が得意ですが、なぜ今回のストーカ炉の入札に参加したのか分かりません。
 最近は、ストーカ炉のメーカーも流動床炉を開発し、両方の焼却炉を作っています。入札でも、焼却炉の形式にはこだわらない自治体が増えています。

■利権が絡み、競争原理働かず
 ところで、ゴミ処理施設の導入に際しては、巨額プロジェクトになるためどこの自治体でも必ず利権が絡みます。業者にとっては、首長や議会への.食い込み次第で勝敗が決まります。
 そのため、自治体から計画内容を任されるコンサルタント、首長の人脈やフィクサー、助役、議会、その取り巻き連中を事前によく把握して、効率よく営業をしなければなりません。
 最近はゴミ処理計画が減り、よほど発注者側の意向が強くない限り、値段の勝負になるケースがグンと増え、予定価格を大きく下回り、納税者にとっては好ましい傾向です。反面、利権のうま味が減ったとぼやく声も政治関係者の間で出ています。
 九七年度を例にとると、熊本県天草の日量九三トン流動床炉が五〇億円、同じく熊本県有明の七〇トン・ストーカ炉が三三億円です(いずれも破砕処理など全部含む)。
 厚生省の指導もあり、自治体の指名競争入札では、初めから徹底したコストダウンを要求するようになりました。一〇%程度の値下がりは当たり前で、自治体によっては数十%も値下がりする例も出ています(新潟県新津市や茨城県牛久市)。
 事実、九四年度はトン当たり平均五〇〇〇万円程度とされていた焼却炉の受注相場が、九七年度では四〇〇〇万円を大きく割り込み、三五〇〇万円というケースも出ています。

■六五億円は適正支出か
 原市のゴミ焼却炉には、粗大ゴミ破砕機を含め、総額約六五億円が投じられました。だが、九〇トンのストーカ炉が破砕機込みで六五億円(税技で六三億円)というのは、どう見ても高過ぎます。
 三年前の相場、一トン当たり五〇〇〇万円としても、九〇トンで四五億円、破砕設備はせいぜい数億円ですから、全部で五〇億円あれば、メーカーも充分儲かったはずです。
 ところがそれよりも一〇億円以上も高い買物です。しかも発電装置や、灰溶融設備は付いていません。当初は余熱を利用して、市民に役立つ施設を作ろうとアイデアも出ましたが、結局何の変哲もないゴミ焼却場になりました。もしゴミ焼却場計画を二年ほど遅らせていれば、もっと良い施設が、もっと安くできたかもしれません。

■利権一〇億のツケは後払い
 各地のゴミ処理施設の工事でも、地元の関係業者の起用が絶対条件となり、受注予定企業は、首長や議会などから、そうした圧力が加わるのは定説となっています。同じ様なゴミ処理施設を外国で建設する場合、日本の半分以下です、公害や環境規制レベルなど、一概に比較はできませんが、高価格の理由が政治利権との絡みであることは否定できません。
 小川前市長が熱心に取り組んだこのゴミ処分場計画については、市民の間でいろいろな噂が取りざたされてきました。実際に前市長の人脈スジから、そうした流れが読み取れます。前記のように、一〇億円程度のカネ(当会試算)が還流されている可能性もあります。
 高い買物でも、それに見合う施設ができれば浮かばれますが、事業費は税金や借金(地方債)で賄われており、結局我々納税者に転嫁されます,これは市民として見逃せないことです。

■最後にひとこと
 もうひとつ見逃せないことがあります。平成七年一〇月二日付で公社不祥事件の関係者に対する人事異動が行われた際に、犯人タゴの直属の元上司(当会注:現在、安中市商工会事務局長)は、安中・松井田衛生施設組合に移りました。
 この人事異動を知った市民は、当初はゴミ処理業務というイメージから、元直属上司は左遷されたと感じていました。ところが、よその自治体の場合、衛生施設組合で勤務する職員に、ゴミ処理業務というイメージを配慮して、通常の業務に較べて二〇%程度の手当を加算している例があることが分かりました。
 同組合の給与の実態は定かでありませんが、もし他の自治体のような優遇措置があるとすれば、元直属上司は「左遷」どころか「論功ごくろうさん人事」となるわけです。
 タゴを「俺の舎弟」と呼んでいた元直属上司は、役所内でのウラ人事権を牛耳っているとされ、小川前市長の残した巨額プロジェクトの後始末をする必要があり、事件を口実に自ら同組合に出向したのではないか、という疑惑が払拭できていません。
 安中市はゴミ収集の有料化も視野に入れていますが、高い買い物のツケ払いにならないことを祈らずにはいられません。
【情報部・特別取材班】

※1998年当時の資料データ
■安中松井田一般ゴミ最終処分場
【名称】安串・松井田一般廃棄物最終処分場(年金積立金還元融資施設)(管理型処分場)
【所在地】松井田町大字松井田字百八地内
【敷地面積】三〇、〇八四平米
【理立処分地】埋立面積  五、一六〇平米
       埋立容量 二二、六〇〇立米
【浸出液処理施設】一日平均浸出流量 二〇立米
         一日最大浸出流量 八〇立米
【着工】昭和六一年九月二五日
【竣工】昭和六二年三月一五日
【総事業費】三億九〇八七万三千円
【財源内訳】国庫補助 四七、三九一千円
      組合債 二九九、五〇〇千円
      一般財源 四三、九九二千円
■安中・松井田衛生施設組合
【設立背景】
 昭和三五年一二月設立。安中市・松井田町の事務の一部を処理するため地方自治法第二八四条に規定されている一部事務組合として発足した。
【処理業務】
 安中市・松井田町の両市町のし尿及びゴミ処理(一般廃棄物とその事務処理(収集・運搬を除く)。
【組織】管理者(市長)
     ↓
    助役(町長)
     ↓
    収入役(市収入役)
     ↓
    事務局長
     総務課
     庶務係(6)
     業務課
     管理係(3)
     業務1係(ゴミ処理)(10)
     業務2係(し尿処理)(9)
【議会の組織】
    議長
     ↓
    副議長
     ↓
    議員(市議会から八名)
    議員(町議会から七名)
【予算規模】
 平成九年度当初予算一二億七一九七万円のうち五億一五六二万円を安中市及び松井田町の負担金により運営している。負担金分担方法は一〇%を平等割、九〇%を世帯割として按分。
【設備能力】
し尿関係 一日九五キロリットル
ゴミ関係 一日六〇キロリットル
その他 ガラス類、金物類、使用済乾電池
【敷地・建物面積】
し尿・ゴミ処理
 敷地  九五六七平方M
 建物  六〇一七平方M
最終処分場
 敷地 二九九〇六平方M
 水処理  一一六平方M
**********

■このように、当会では、タクマが受注して建設したこのゴミ処理施設については、計画段階から資料を閲覧して、利権の腐臭を感じ取っていました。異常に高い落札額についても、疑問を呈していましたが、やはり裏で談合が行われていたのだということが、当時の当会会報の記事からよく分かります。



【ひらく会情報部】


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ごみ焼却施設談合問題で試される岡田市長の説明責任とタクマを相手取る訴訟の本気度

2010-11-28 23:31:00 | オンブズマン活動
■11月23日の上毛新聞に、安中市が1998年に入札したごみ焼却施設をめぐり、談合により不当に価格を吊り上げたとする公正取引委員会の審決を受けて、受注して建設を請負った株式会社タクマ(大阪市北区堂島浜)に対して、損害賠償を求めて提訴する方針を固めたことが報じられました。

**********
ごみ焼却施設受注のタクマ 談合か 安中市提訴 公取委が排除措置 6億4800万 賠償
 安中市原市のごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」(1998年完成)を建設したタクマ(兵庫県尼崎市、手島肇社長)が公正取引委員会による談合行為の排除措置を受けた問題で、安中市は11月22日までに、同センター建設の入札で談合の疑いがあるとして、同社に約6億4800万円の損害賠償を求める訴えを起こす方針を固めた。30日開会の市議会11月定例会に、提訴について議決を求める議案を提出する。
 問題をめぐっては、タクマを含む大手5社が94~98年に全国のごみ焼却施設の建設工事で談合を繰り返したとして、公取委が2006年、談合を認定する審決を出した。5社は審決取り消しを求めて東京高裁に提訴。高裁は請求を棄却し、最高裁も昨年10月に上告を退けて談合を認定した。
 安中市の焼却施設は指名競争入札で行われ、タクマなど大手5社を含む9社が応札した。予定価格は約65億円で、タクマが約64億8600万円で落札。予定価格を下回ったのはタクマともう1社だけで、落札率は99.8%と極めて高かった。
 公取委の審決では、大手5社がかかわらなかったごみ焼却施設の平均落札率(94~98年)が89.8%とされ、安中市との差は10ポイント。市は談合がなければ10%安く契約できたとして、落札価格の10%に当たる約6億4800万円を損害賠償額として求めることにした。岡田義弘市長は「市民に対する説明責任を果たすため、提訴する必要があると判断した」と話している。
 この問題を巡っては、10月5日に同市の住民11人が市に損害賠償請求するよう勧告することを求め、市監査委員事務局に監査請求書を提出している。
**********


■これまで岡田市長は、タゴ51億円事件の責任追及と損害賠償請求のため当会が提訴した住民訴訟を始め、最近では安中市フリマ中止をめぐり市広報を私物化してイメージダウンさせられた市民団体が提訴した名誉毀損による損害賠償請求訴訟や、廃棄物処分場をめぐり業者から提訴された処分取消し訴訟など、自分が被告として関与してきた裁判では積極的に応訴してきました。

 そして、法廷では原則として弁護士を使わない方針のもとに、ルール無視の無手勝流で、連戦連勝を誇り、無敗神話を築き上げてきました。

 その岡田市長が、今回は、なぜか重い腰を上げて、初めて原告として大手企業を相手取って、提訴するつもりのようです。

■実は、この件で、当会は10月12日付で住民監査請求を提出しておりました。ところが企業名や応札金額など幾つかの訂正箇所の指摘を受けたので、あらためて補正したものを安中市監査委員事務局に、10月18日直接提出しました。

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安中市職員措置請求書
安中市長に関する措置請求の要旨
1.対象行為
 平成7年(1995年)6月22日に開かれた安中・松井田衛生施設組合(当時)によるゴミ処理施設(日量90トンの焼却炉及び日量20トンの破砕機など)の入札で、税込み総額64億8591万円でタクマが一番札となり、続いて、三機工業64億8797万円、川崎重工67.8億円、日立造船67.9億円、日本鋼管(現在のJFEエンジニアリング)69.4億円、クボタ70.1億円、ユニチカ70.3億円、荏原製作所70.8億円、三菱重工業70.9億円という入札額の順位であった。当時、ストーカ式ゴミ焼却炉の相場は、ゴミ処理量1トン当りせいぜい5000万円といわれており、破砕機10トンのコストが数億円として、およそ50億円強が相場であり、65億円近い受注額は異常に高いので大変驚かされた記憶がある。
 その後、タクマをはじめ、日立造船、JFEエンジニアリング、三菱重工業、川崎重工業が、全国各地の衛生施設組合が発注したごみ焼却施設建設の入札において、談合を繰り返した結果、建設価格が高騰し、自治体が多額の損害を受けている問題が浮き彫りにされた。
2.違法・不当の理由
 そのため、公正取引委員会は平成11年(1999年)8月、安中・松井田衛生施設組合の案件を含む地方公共団体が発注するごみ処理施設建設の入札において、談合行為を繰り返していたとして、当該5社に排除勧告を行った。その後、この5社は、談合行為の排除措置を命じた、公正取引委員会の審決取り消しを求めて提訴したが、最高裁判所が平成21年(2009年)10月6日、5社の上告を棄却した。この結果、談合を認定した公正取引委員会の審決が確定した。
3.回復不能な損害額の発生
 この最高裁の上告棄却によって、談合行為の認定が確定したことを受けて、安中市長は、直ちに損害額の算定をしたうえで、株式会社タクマに対して、速やかに損害賠償の支払いを請求しなければならない。請求額の目安としては、当時の落札率を計算し、公正取引委員会審決で示された、談合行為を繰り返していたタクマほか4社以外の業者が受注した平均落札率89.76%(要確認)との差が損害金であると断定し得るので、それを損害額として算出することが可能である。こうした手続きを踏まえ、もし、安中市からの損害賠償の支払い請求に対して、株式会社タクマが支払いを拒否した場合には、速やかに訴訟における法理を構築したうえで、訴訟を視野に入れた対応をとらなければならない。
4.監査委員に求める措置
 以上のように、既に安中市に回復困難な損害が発生しているので、監査委員が以下の勧告をすることを求める。
「市長は、談合によって高値につり上げられた、工事費に使われた市民の血税を、きちんと取り戻すよう万全の手段を講じなければならない」
 請求者
  住所 安中市野殿980番地
  職業 会社員(自署)
  氏名 小川 賢(自署) 印
 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。
        平成22年(2010年)10月12日
 安中市監査委員あて
事実証明書:別紙のとおり

【別紙】事実証明書
・公取委の審決
・[別紙1]審査官の主張に係る5者が受注予定者を決定した工事一覧
・[別紙2]審査官の首長に係る査第107号証・1枚目の後に発注された工事の積み上げ状況
・[別紙3]ストーカ炉の建設工事一覧(平成6年度から平成10年度)
**********



■補正した職員措置請求書=住民監査請求書は、直ちに受理され、同日付で安中市監査委員から受理通知が発行されました。あわせて、10月27日(金)午後3時30分から、市役所監査委員室で、本件住民監査請求についての陳述と、追加の証拠があれば提出するように、案内通知が、10月20日(金)に届きました。



 27日当日は、ぜひ陳述したかったのですが、どうしても仕事の関係で時間がとれず、当日の朝、書面による陳述書を監査委員事務局に提出しました。

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    平成22年10月27日
安中市監査委員
安藤忠善様
中里 稔様
       請求人 小川 賢
住民監査請求に係る陳述
 この度は、平成22年10月12日付けで提出した住民監査請求書を同10月20日に受理賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、平成22年10月18日付け安監発第15444号で、貴殿らから「住民監査請求に係る陳述及び証拠の提出」について書面で通知をいただきました。私は陳述の意志がありますが、地方自治法第242条第6項による陳述の指定日である10月27日(水)午後3時30分は、どうしても仕事の都合がつかず、指定場所である安中市役所に出頭することができません。そのため、ここに書面にて陳述を行うことをご容赦賜わりたくお願い申し上げます。
 私は、市民オンブズマン群馬の代表を平成15年からやっておりますが、談合問題については、犯罪であり、巨大な税金の無駄遣いだとして、市民オンブズマン群馬が所属する全国市民オンブズマン連絡会議においても、積極的に住民訴訟を奨励し、各地で談合が発覚した自治体発注の公共工事に対して、数多くの住民訴訟を起こし、多額の税金を自治体に返却させてきました。
 ご案内のとおり、今回、私が提出した住民監査請求は、ゴミ焼却施設をめぐる談合問題に関連した事案であります。
 平成11年8月13日に公正取引委員会は、ゴミ焼却炉メーカー大手5社(日立造船株式会社、JFEエンジニアリング〈日本鋼管〉株式会社、株式会社タクマ、三菱重工業株式会社)に対して、自治体のストーカ式焼却炉建設に際し、長年にわたり入札談合を行っており、独占禁止法に違反するとして排除勧告文を出しました。その要旨は「大手5社は、遅くとも平成6年4月から平成10年9月まで行っていた、受注予定者を受注させるようにしていた行為を、それ以降は行っていないことを確認すること。この期間に行われた87件の入札のうち少なくとも60件は不正談合が行われており、総額270億円の課徴金の納付を命じる。」というものです。
 これら大手5社は、地方自治体関係者、ゴミ処理基本計画などを委託しているコンサルタント会社、建設計画に影響力のある政治家や地元の有力者等からより詳細な情報を把握していました。談合の手順は、まず大手5社間で受注予定者を決定します。価格は受注予定者が決め、受注予定者以外はその価格で受注できるように協力し、ときには協力の代償として、アウトサイダー(荏原、クボタなど16社)にも受注させるというものです。
 これはまさに独占禁止法第2条6項に規定する不当な取引制限に該当し、独占禁止法第3条の規定に反していますが、大手5社は、この勧告を受け入れず異議申し立てをしました。
 このため、公正取引委員会は再審査をしましたが、その結果、平成18年6月28日に、審決文を出しました。それによると、平成6年4月から平成10年9月17日までの4年間5か月余の間に、地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注した全連続式及び準連続式ストーカ炉の工事件数は87件(発注金額は約1兆1031億円)であるが、この内5社が受注した件数は66件(約9601億円)で、談合が成功した工事は60件で、その中に、安中・松井田衛生施設組合(当時)のゴミ処理施設(日量90トンの焼却炉及び日量20トンの破砕機)工事が含まれていました。
 審決書ではさらに、「平成10年9月17日から平成16年7月31日までの発注件数54件、発注金額6,863億円のうち、大手5社の受注率は7割と依然として高い受注実績を有しており、勧告以降も大手5社に談合行為を改める対応が見られない。」「大手5社は、昭和54年12月13日、他のプラントメーカー2社とともに、公正取引委員会から警告を受けている。このとき、今後行わないとの確認書を提出した。にもかかわらず、本件違反に及んだものである。以上の諸事情からすれば、大手5社が同様の行為を行うおそれがあると認められる。大手5社の間には強固な強調的関係が確立しており、競争秩序が十分に回復していないことを示すものと認められる。」と指摘しました。
 大手5社は、この審決も受け入れず、東京高裁に上告しましたが、東京高裁も平成20年9月26日、大手5社の「審決取り消しの訴え」を棄却しました。
 大手5社は、さらに最高裁に上告していましたが、平成21年10月6日付で「本件上告を棄却する。本件を上告審として受理しない」とする最高裁判決が出されました。
 これを契機に、全国各地でゴミ焼却施設の談合問題で住民訴訟が活発化しました。オンブズマンの査定では、入札談合により平均で落札額の約20%程度が損害として認められるとしています。実際の住民訴訟では10%前後の損害賠償請求が提起されることが多いようです。
 これらの談合が蔓延してきた背景には、地方自治体の談合に対する極めて甘い体質があると言われています。全国のオンブズマンや住民の努力によって、最高裁での勝訴判決は平成22年1月末時点で、8件(勝訴率88%)にのぼり、東京都4工場中3工場での和解(約75億3770万円)や高裁段階での賠償金額を合わせると246億円を下らない賠償金が談合メーカーに課せられています。ゴミ焼却炉談合事件という、談合犯罪企業集団との闘いで住民側が勝利し、談合という犯罪を許さない住民の意思が示されています。
 本来、このような入札談合問題による自治体への損害の回復は、自治体が自ら率先して行わなくてはなりません。事実、積極的に大手5社に対して談合で不当に吊りあげられた落札額の返還を求めて、支払い請求を出す自治体が続出しています。
 しかし、問題は多額の税金を投入する事業において、談合による損失に極めて鈍感であり、構造的な談合を容認する姿勢をとる自治体がまだたくさんあるのも事実です。公正取引委員会からの度重なる立ち入り検査、警告、排除勧告、審決等の情報がありながら、債権管理の責務を果たさず、損害賠償請求を行うこともなく、裁判の推移を見守るだけという傍観者的姿勢を、安中市だけはぜひとらないでもらいたいと思います。
 また、安中市のその他の契約においても談合が行われていないかを再検討し、談合を許さない毅然とした自治体行政が行われるよう要望します。
 安中市の場合は、そうでなくても、15年前に発覚した安中市土地開発公社をめぐる巨額詐欺横領事件が発生しており、いまでも元職員に杜撰な融資をした群馬銀行に対して、安中市・公社は103年ローンを払い続けており、その残高は依然として19億円を超えています。そのため、この事件は財政面でも安中市政に今でも影を落としており、住民へのさまざまなサービスが停滞して、他の自治体に比べて後進的な面があることは否めません。
 そこで勝訴の確立の高いこのゴミ焼却施設建設に関する入札談合問題に対して、市長自ら積極的に訴訟指揮を念頭に、損害賠償交渉に取り組むよう、監査委員に置かれては、市長に対して強く勧告をするようお願い申し上げます。
     以上
**********

■冒頭の上毛新聞の記事によれば、安中市は、いきなり提訴に向けた対応をとるようですが、既に㈱タクマに対して賠償額支払請求をして拒否されたのかもしれません。

 また、記事によれば、落札額の1割を損害賠償相当額として請求する予定となっていますが、当会の試算では、住民監査請求書にも書いたとおり10億円程度が賠償相当と考えています。なぜならば、安中市のごみ焼却施設の入札では、予定価格と言うものが設定されていなかったからです。したがって、落札率の数値も算出できません。上毛新聞のいう落札率99.8%の根拠が確認できないためです。

 いずれにしましても、住民監査請求の結果は、60日以内に当会に通知されることになりますので、12月定例市議会の討議結を踏まえた議決結果について、12月10日頃までには何らかの通知があるものと見られます。

 当会としては、安中市が腰の引けた対応をしないように、今後の岡田市長の訴訟指揮の様子をしっかり監視してゆく所存です。

【ひらく会情報部】

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群馬県信用組合元支店長現金ネコババ事件の発表から1ヵ月目の現状報告

2010-11-25 22:06:00 | 群馬県内金融機関不祥事件

■10月22日に群馬県信用組合の松井誠理事長が、同信組の47歳の元支店長が、顧客から預かった現金2080万円を口座に入れずネコババしていたことを発表してから、1か月が経過しました。

この件で、当会は、新聞発表の内容から、不自然な対応に終始した同信組の対応の背後に組織ぐるみの何かがあると感じ、ブログでそのことを報じたところ、同信組をめぐるさまざまな情報が寄せられました。

 その過程で、実際に被害者が多数出ているにもかかわらず、同信組側が「着服問題が発覚する前に元支店長が、別の就業規則違反で依願退職し退職金を受け取った」ことや、「同信組は退職金相当額の返還を求める民事訴訟を起こしたが、顧客への被害が弁済されていることから男性の刑事告訴はしない方針」などと、顧客の信頼を失う事件を起こしながら不祥事を隠蔽しようとする体質が、以前から染みついていたことが分かってきました。

■そもそも、元支店長が、その立場を利用して、顧客が信頼して預けた現金をネコババして「パチンコや消費者ローンの返済に使った」と告白しているにもかかわらず、内部調査結果も公表せず、「弁済が済んでいるから」などと一方的に説明して、この元支店長の氏名を明らかにしないのは、明らかに事件の実態を知られたくないという組織的な意図を感じさせます。

 上毛新聞の報道では、この元支店長の47歳の男は、「着服以外にも、男性は業務で知り合った企業や個人から私的な借金を繰り返しており、今年3月時点で2者から計590万円を借りていた。それまでに返済した分も合わせると、15者から計5930万円を借りた」とあり、被害者?は15の個人や会社に上るとしています。

■上毛新聞の報道内容も、その情報源は同信組の発表ですから、実態は定かでありません。顧客から「私的な借金」をしたのか、それとも口座に入れるからと預かった現金のことを、他にも被害者が出ていたことを公表すると更なるイメージダウンになるため、このように言い換えているのかもしれません。

 15人を相手に承諾した上での金銭貸借だったのか、知らない間に使われていたということなのか、何度か読んでもよく理解できないからです。

■いずれにしても、5930万円もの大金を12人相手に動かし(一人平均なんと500万円!に相当)、3人から2080万円を騙し取ったというふうに報道記事から読み取れます。したがって、少なくとも元支店長が起こした事件でトータル15名の被害者がいたのではないかと当会は考えて、被害者の会を立ち上げたわけです。

 その後、各方面から新たな情報が寄せられました。11月23日までに寄せられた情報から判明したいくつか事項を紹介します。

(1)群馬県信用組合の本部の役割
 同信組のホームページによれば、本部として事務本部(安中市原市668-6、電話027-382-2433)と営業本部(富岡市七日市871-1、電話0274-64-1717)に分かれており、前者は「本店営業部」(電話027-382-6939)、後者は「富岡支店」(電話0274-62-4131)を兼ねています。
 では、松井誠理事長や専務理事、常務理事ら幹部はどっちにいるのでしょうか。どうやら、理事長や常務理事らは営業本部のある富岡に出勤しているようです。松井理事長は富岡市の黒岩に住んでいるので、安中の事務本部より、富岡の営業本部の方が、距離的に近いのかもしれません。
 では、なぜ本部を2か所に分散したままにしておくのでしょうか?どうやら、安中の事務本部は、今回の不祥事件の発表のように、何か起きた時に、クレーマーをまず安中に連れて行き、「富岡の営業本部に聞いてみないと分からない」だとか、「営業本部まで行って確認してくる」などとして、時間稼ぎをするために使っているようです。
 事務本部などと称して、ホームページではあたかも「本店所在地」が安中市原市の事務本部にあるかのように、装っていますが、実態は何をしているのか分かりません。営業に関する一切を富岡の営業本部で取り扱っているのであれば、本店所在地も富岡にするはずですが、なぜかそうしないのは不思議だという声が寄せられています。

(2)「事務本部」を置く理由
 ではなぜわざわざ「事務本部」を安中市に置いているのでしょうか。それは、今回のように不祥事がバレた際の緊急一時避難場所として活用し、被害にあった顧客の前から直ちに避難させて、所在をあやふやにするためだと考えられます。今回の元支店長も、おそらく、事件発覚後は事務本部付きとして、顧客から遠ざけ、顧客に直接元支店長が接触しないように顧客から遠ざけていた可能性があります。こうすれば、顧客には、社内で調査中ですと言っておき、元支店長から顧客に説明させないようにすることができるからです。

(3)松井誠・元群銀安中支店長の就任
 群馬県信用組合の松井誠理事長は、現在、群馬県信用組合協会会長や群馬県信用保証協会理事などにも就任しておりますが、平成12年6月に同信組の理事長に就任する前までは、群馬銀行にいました。平成7年6月3日に安中市土地開発公社を舞台にした地方自治体では史上最大級の51億円巨額詐欺横領事件で元職員のタゴ邦夫に杜撰な融資を行った群馬銀行の安中支店で、事件発覚当時、支店長を務めていたことで、安中市民には有名な御仁です。
 その後、事件のほとぼりが冷めるのを待って、地元の同信組に理事長として就任したことについて、同信組の組合員の間にも「なぜ、あのような男が突然群銀から天下ってきたのだろうか、理事長としての資質についても疑問があるのに不思議だ」と首をかしげる向きが多く見られます。
 もっとも、平成12年に松井誠が合併後2代目の群馬県信用組合理事長に赴任した直後も、初代理事長から会長になった大河原清一が平成14年までは、顧客の相談や対応をしていたようです。したがって、松井誠が、同信組のトップとして発言権を付与されたた時期は、大河原清一が全信組連の理事になった平成14年以降だと思われます。なお、大河原清一は全信組連の理事を1年勤めた後、理事を辞めています。
 安中市土地開発公社51億円事件では事件に関与した関係者が、その後、優遇されているという不思議な現象が明らかになっています(例:タゴと懇意だった当時の市長、職員、職員OB、政治家、業者、親族、実弟の経営する運輸会社の事業拡大、首都高横転炎上事故の賠償責任の追及免除など)。事件の真相を知る松井誠・元群銀安中支店長も当然口封じのために特典を与えられる権利の得られる立場だったはずです。
 こうして、タゴ事件で功績を残した松井誠に、地元の信組の理事長のポストをあてがう話が出てきたとしても不思議ではありません。自ら努力して射止めた初代理事長の座を、全信組連の理事の話と引き換えに、松井誠に譲らざるを得なかった大河原清一は、さぞや、なんとかトップの座を守りたかったことでしょう。

(4)金融機関と顧問弁護士の関係
 銀行で不祥事では、銀行の幹部は顔を出さず、かならず顧問弁護士という人種が代わりに対応します。タゴ51億円の時、群馬銀行は市民団体の面会要求に対して、高橋勇雄弁護士を出してきました。安中市・公社との民事裁判でも中山新三郎弁護士ら弁護団を結成して対応にあたらせました。
 今回、元支店長の着服事件を起こした群馬県信用組合では、顧客対策のために、高崎地区の組合員総代の中から、顧問弁護士として善如寺雅夫弁護士を起用していることが明らかになりました。高崎地区の組合員の総代としては、群馬県公安委員をしている渡邊明男弁護士もいますが、なぜか同信組では、善如寺雅夫ただ一人を顧問弁護士として起用しています。
 今回の不祥事件では、元職員が勝手に不祥事件を起こし、顧問弁護士がその事後対応に追われているような印象を読者らは抱きますが、実際には、そうではなく、不正が働きやすい環境づくりを支援している、悪事がばれないよう証拠隠滅を推し進めている枢軸と考えた方が分かりやすいと思います。
 従って、裁判所には弁護士の立場で顔が利きますので、裁判沙汰を一手に引き受けて、自ら組合員として所属する同信組の負の部分を顧客に見せないようにすることが期待されています。それだけに、一旦裁判となると、なりふり構わず同信組の上層部と結託し、組織のイメージや顧客との信頼などそっちのけで、訴訟に勝つためにあらゆる手段を行使します。
 同弁護士を知る人の話では、人柄や、心の正直さ、道徳という言葉とは無縁の方だそうです。経歴に大きな負の事件をもつ松井誠理事長にとっては、きっと頼もしい存在に違いないでしょう。

■折から、11月23日、山梨県の山梨信用金庫(理事長 高木眞壽、本店 山梨県甲府市、預金残高4,202億円)で不祥事件が発生しました。こちらは、男性融資係長(34歳)が、架空融資や現金自動預け払い機(ATM)に補充する現金を抜き取る手口などで、同信金から約3000万円(当初、被害金額が1000万円以上としていたが後に金額が2000万円以上へ、さらに3000万円へ変更された)を着服横領した業務上横領、詐欺事件です。山梨信用金庫は11月23日午後に会見を開いて詳しい内容を発表しました。

 それによると、山梨信用金庫は、この男性融資係長による業務上横領、詐欺事件を今年の4月に把握していたことを明らかにしたうえで、7ヶ月以上にわたり隠蔽し、公表しなかった理由について「客に影響がないと判断した」とし、今となっては公表すべきだったと説明しました。

 同信金によると、この男性融資係長は今年の4月までの約3年間、勤務していた北支店と石和支店で、ATMに現金を補充する担当である立場を悪用し、2007年12月から今年4月に現金自動預払機(ATM)から96回にわたり補充の際に計573万円を抜き盗って着服横領し、「着服横領した金は飲食代に充てた」と説明しているそうです。今年の春頃に担当者が代わり、事件が発覚しました。

 さらに、この事件を受け、同信金が内部調査をしたところ、ATMの現金着服以外にも、この男性融資係長が6年の長期にわたる、架空融資による着服横領、詐欺事件が発覚しました。手口は実在しない顧客から融資の申し込みを受けたように装い、実在する顧客の免許証のコピーを偽造して架空の名義人あてに融資する手口で書類を偽造するなどして架空口座を開設し、2004年3月から2009年3月までに20回にわたり同信金から計2340万円を不正に融資を引き出すなどして、だまし盗っていたことも判明しました。

 同信金の幹部は、業務上横領、詐欺事件が防げなかった原因について「現金の管理¬体制に甘さがあった、ずさんと言われても言い訳はできない」と話しています。同信金は、男性融資係長を今年の4月30日付で懲戒解雇するとともに役員や上司およそ30人も減給や降格の処分にしました。また、監督庁である金融庁には所定の届出¬を行ったとしています。

 一方、着服横領した行為は明らかな犯罪事件(業務上横領罪、詐欺罪、有印私文書偽造同-行使罪)ですが、着服横領した金額を既に家族が弁済していることを理由に、同信金は男性融資係長の氏名を公表せず秘密とし、警察への被害届けや刑事告訴もしないこ¬とを決定していますが、今回の山梨信用金庫の事件対応について、利用者からは「金額も大きく犯罪の悪質性が高いのに納得できない、ずさんで身内に甘すぎると」疑問の声が広がっています。

 山梨県内の金融機関を巡る不祥事事件では、甲府地方裁判所の公判で、山梨県民信用組合(理事長 坂井 俊次 、本店 山梨県甲府市、預金残高4,082億円)の元支店営業主任、 三浦正紀(みうら まさのり)被告(36歳)が現金約1億5000万円を着服横領したとして、業務上横領¬などの罪に問われ、2008年7月1日に懲役5年(求刑・懲役7年)の実刑判決を受け¬たほか、同信用組合元本部調査役の飯島浩(いいじま ひろし)被告(53歳)が現金約400万円をだまし盗ったとして、詐欺罪に問われ、2010年11月1日に懲役2年6月(求刑・懲役3年)の実刑判決を受け確定しています。

■このように山梨の事件も非常に群馬県信用組合の事件と共通性があります。事件を巡り金融機関が氏名を公表しない場合は、背後に後ろめたい事情があることがうかがえます。

 元支店長の氏名を公表せず、警察にも告訴したがらない群馬県信用組合の対応についても同様なことが言えるでしょう。

■群馬県信用組合への意見、苦情、相談の連絡先は、同信組のHPによれば、次のとおりとなっています。近いうちに、被害者の会として、今回の事件について相談に行くことも検討中です。

【当組合へのお申し出先】
「お取引先店舗」又は「コンプライアンス室」にお願いしたします。
コンプライアンス室
住所:群馬県富岡市七日市871-1
電話番号:フリーダイヤル0800-800-4333

受付時間:午後8時30分~午後5時30分(土日・祝日及び金融機関の休日を除く』
※苦情とのお申し出は当組合のほか、筑しんくみ苦情相談書・しんくみ苦情等相談書をはじめとする他の期間でも受け付けています(詳しくは、当組合コンプライアンス室へ土蔵談ください)。
<群馬地区しんくみ苦情等相談所>
住所:〒371-0026前橋市大手町3-3-1(群馬県中小企業会館2階)
電話番号:027-232-3120
受付日:毎週、月~金(祝日及び金融機関休業日を除く)
受付時間;9;00~17:00
<しんくみ苦情等相談所>
住所:〒104-0031東京都中央区京橋1-9-1
電話番号:03-3567-2456
受付日:毎週、月~金(祝日及び金融機関休業日を除く)
受付時間;9;00~17:00
相談所は、公平・中立な立場でお申し出を伺い、お申し出のお客様の了解を得たうえ、当該の信用組合に対して迅速な解決を要請します。
東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会が設置畝いする仲裁センター等で紛争の解決を図ることも可能ですので、「当組合、コンプライアンス室」または「しんくみ苦情等相談所」へお申し出ください。また、お客様が直接、仲裁センター等へ申し出ることも可能です。

【群馬県信用組合元支店長現金ネコババ事件被害者の会】

※参考資料
群馬県信用組合のHPから
■概要
設立:昭和63年4月1日(合併)
本店所在地:安中市原市668-6
出資金:6⑥7百万円
代表者:理事長 松井誠
預金高:1,903億円
貸出金:826億円
役職員数:279名(男200名、女79名)
事業内容:預金業務、貸出業務、為替業務、国・地方公共団体・会社等の金銭の収納業務、各種業務の代理または媒介業務
国債・投資信託・保険商品の窓口販売業務

■役員
理事長: 松井  誠
専務理事: 新野 正行
常務理事: 黛 一夫
常務理事: 新井 敏正
常勤理事営業推進部長: 五十嵐 公
常勤理事総務部長: 高間  勉
常勤理事監査部長: 石川 隆司
理事: 小林 徹
理事: 松井 徹郎
理事: 吉田  毅
理事: 武井  宏
理事: 清水 邦宏
常勤監事: 高橋 正夫
監事: 市川 悦老



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阿久根市役所内部の実態と改革に向けた阿久根市長/副市長の不退転の決意

2010-11-21 23:15:00 | 警察裏金問題
■11月5日の大河原裁判と同7日の裁判支援集会に、はるばる鹿児島県阿久根市から竹原信一市長と仙波敏郎副市長が、群馬県前橋市と安中市を訪れました。ちょうど、裁判と支援集会の中日の11月6日(土)午後2時から5時まで、安中市郷原の「かんぽの宿 磯部」の会議室において、新潟県魚沼市議会議員の大桃聡氏主催の「阿久根市政の報告会」が行われました。

 阿久根市のことは、普段、マスコミによる報道を通じて、「阿久根市長は、議会制民主主義の根幹である議会の存在を無視して独断と偏見で専決処分を乱発しているとんでもない独裁市長だ」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

 そこで、阿久根市長と副市長が、当会の根拠地である安中市に来訪した機会を捉えて、直接、阿久根市のこれまでの経緯と現状、そして問題点の実態、今後の対応策等を聞きに出かけました。以下は、その時の模様です。

■報告会は、魚沼市議の大桃氏の司会により、11月6日(土)午後2時から開催されました。事前の開催情報が寸前だったため、地元関係者は当会関係者を含め5名、他に他県からの支援者やマスコミ(上毛、東京)など含めても20名程度のこじんまりとした会議でした。それだけに、竹原市長も仙波副市長も、参加者との距離が小さいため、忌憚のない質疑が出来たと思います。

1.阿久根市の竹原市長の紹介

●主催者:新潟県魚沼市議の大桃といいます。今回責任者ということで一言挨拶させていただきます。皆様、お忙しい中突然のご案内にもかかわらず、大勢お越しくださり有難うございました。当初は桐生でやる予定でしたが、いろいろな都合で今回安中のほうで、阿久根市長竹原信一、副市長仙波俊郎の講演会を行うことになりました。仙波さんと私が始めてお会いしたのは、この7月の大河原さんの裁判の時、その後の懇親会、翌日の講演会に出させていただきました。その夜の食事会のときに竹原さんから副市長のオファーがあるということをきかされて、その時私は仙波さんに「阿久根に是非行っていただくよう」強くお願いした経緯があります。そんな関係で先月、阿久根までうちのほうから約1500キロあります。車で32時間かけていってまいりました。議会が終わったので心配でしたので、行ってきたということなんですが、市長派の4人の議員の方達だとか、あと市民懇談会にも出させていただきました。そういった中でいろいろ見させてもらったり、市民の方にもお話を聞いた中では、仙波効果というか、非常にいい雰囲気になっているなあと、私は感じてこの分であれば大丈夫だろうと、安心して戻ってきたところです。それから私ごとですが、私も、新潟県の魚沼市で発生しました新潟県中越大震災復興基金の井戸掘り事件ということで、これは平成19年から20年の間に起きたのですけども、それで魚沼市長と県知事を被告に住民訴訟を2件抱えております。これから12月9日に2回目の口頭弁論が開かれるということで、私も楽しみにしている。それと、去年この件にかかわって、業者と市の職員を刑事告発をしたんですが、この夏に検察庁のほうから不起訴の通知が来たので、審査会のほうに申立をしています。今後の予定は、市長と県知事を刑事告発をまたあらたにしたいということで、今準備を進めている段階です。今回は、市長のほうの委任状は持ってきませんでしたが、県知事を訴える委任状を持ってきましたのでご賛同いただける方がいらっしゃればありがたいです。先ほども話したとおり、ちょうど6日が竹原さんと仙波さんがおいでになったので、6日の日が空いたということで急遽こちらで、大勢の方に聞いていただきたくて、この会を設けさせていただきました。質問の時間もたっぷりとってありますので、疑問の点がありましたら、質問いただけますようによろしくお願いします。では最初に、鹿児島の阿久根市長の竹原さんからよろしくお願いします。


◆竹原市長:こんちは、どうも、竹原信一です。私自身はもともと建設会社。まあ、自衛官やっていて、防大出て、28で辞めて帰ってきて、やっては壊しということで、達成感というか自分が世の中の役に立っているという感覚が得られないので、これが非常につらい。仲間どうしでやってね、そういうものが納得いかないんですね。結局辞めて、会社、鹿児島の阿久根で建設会社を親父がやっていましたから、そこで始めたわけです。28で仕事を始めて、土木。子供の頃から見ているので、感覚はあったんですけども、それから始めてもすぐ一人前になりました。コンピュータなんかを使ったりして、一人で2つも3つも現場をできるようになったんです。4千万円くらいの仕事です。それで、ものすごく儲かりました。ひとりで何人分もやるわけですから。仕事も、ミリ単位のレベルの精度で仕事をやっているわけです。順番も、普通の土木の仕事のやり方と異なり、非常に順番に正確にできていくわけです。だけどそういう仕事をしてゆく中で、役所のレベルの低さというか責任感のなさについて本当に腹が立ちました。でも、建設業ですから談合もあるわけですね。談合にも行かなければいけない。それが嫌で嫌でしょうがない。仕舞いには会長でもある父親に「もうやめさせてくれ。誰か雇ってくれ」といった。そういうこともあり、役所の対応の無責任ぶりに腹が立って、知り合いの市議会議員、元議員らとの話の中で、議会や市長が全く無能でデタラメをやっているんです。そして職員も市民を騙して、NPO法人を作らせて、取り上げたり、天下り先にするためですね。議員や市長がそれらを結託している。職員の窓口での対応もでたらめで、そんなこんなで、本当に腹が立ってですね、ビラ配りを始めました。この酷さを市民が知ったら暴動が起こっても当たり前だと思ったんですよ。それで、その実態を書いたチラシを配り続けたわけです。建設会社の社長がそういうことをやると、非常にまずいんで、途中から親父にもバレて、「お前はもうクビだ。会社に出てくるな」という状態だったんです。私は子供が5人いる。そのころ一人がお腹にあって、今小学校1年ですけど、うちの嫁さんは「産んでいいのか」と言ったり、あるいは、私にかける保険を、ものすごく高いものに変えていたしていて。それでも止められなかったですね。


2.阿久根市政に対する疑問の芽生えから市議選に出馬

◆竹原市長:毎日毎日、会社のコピーを使ってこっそり書いて毎日やっていた。2年半も続いてしまったんですよ、これが。だいたい阿久根の人口は2万4千。1万2千戸くらいです。全部は配りきれないんですけど、だいたい7、8千部毎回書いては配っていました。バイクで・・・。ずっと続くとは思っていなかったんですけども、どうしようもなくて、自分が止められず。2年半続く頃に市議会議員選挙があり、議員の一人が「議員選挙に出てくれ」と言ってきたんですね。その、腐れきった議員の中のひとりに入ってもどうにもならないから、「とんでもない」と。その出てくれといった議員が「議員になってあがって来い」というんですね。「上がって来い、ではなく、落ちて来い、だろう」と大喧嘩をしました。「サル山に落ちて来い」という感じですね。でも、考えて見れば2年半こういうことを続けて、議員選挙に出て、まあ当選する気などないわけですから、落選すれば自分が止める気持ちになるかも知れないということ。それと、もうひとつは、このことを選挙公報に書けるわけですね。そういうこともいいかな、と思って、「まあいいや。一応届け出は出しましょう」ということで。で、もう一人知り合いに、「あんたも一緒に出ようよ」って、「このくだらない世の中を、ね」と。「供託金を出すから、運動などしなくてもいいから」ということで。付き合いのいい男ですから、まあ付き合ってくれたんです。選挙事務所はあんたの会社の倉庫を使うんだよといって、そうしてやったところがそっちの家族や親戚なんかが運動を始めちゃたんです。「うちの身内からも選挙に出たなら、落選させるわけにはいかん」と。「やあこれ大変だな、あんた」と言っていたら、そっちの奥さんが、私がいくと、「(あんたが)自分で火を点けたのに、(選挙)運動もしないとは何事か」と。自分で自分の選挙の応援をさせられるはめになる。タスキも付けろ、車も準備しろ、ウグイス嬢付きでやれ、などというんで、そこそこにやった。早く(選挙事務所に)帰ると叱られるわけですよ。選対長に。仕方がないので、人目につかないところで時間をつぶしたりした。でもどういうわけが、私が当選してしまったんです。16人のうちの7番目ぐらいで。そっちの方は落選してしまったんですが。当選しても、腐った議会ですから、どうしようもないんです。また、全部反対で、何を言ってももう、市長も職員も議員も結託し放題ですから、議論もへったくれも何もないわけです。それはもう酷い状態です。これでは議会などいらないというので、とにかく皆さんに知らせようと。

3.市議に当選後も、議会や市政の内情を暴露したチラシ配布を継続

◆竹原市長:作業は変わらないんですよ。以前配っていたチラシを「阿久根時報」、議員に当選してからは「議会報告」という名前に変えて、やることは一緒ですね。議会は年30日間もないですね。年4回といったって殆ど仕事などなくて。皆さん、変な話、議会というところは議論をするところなどと思っていません?議会は、“議論をしてはいけないところ”なんですね。これは凄いことなんですけども、日本は、この国では議会制民主主義だから議会で議論をしているはずだと思ったら、とんでもない間違いです。議会というものは、市長が召集します。召集するというのは「議会を開いてください」ということなんです。それをやると、議長が開く。議長が「今回議会を開くけど、ついては(市長に)聞きたいことがあるので出てきてください」という出席要請が、議長から市長にあるんです。それがあって始めて、議会に出席できるんです。出席といっても質問に答えるだけですけれども。そこに行くと、議長は、もう議員の中から選ばれているんですね。その方が、「議員の皆さん一人3回まで質問していいから」などとやるわけです。すると議員が「はーい」と言って質問する。それに対して、何を答えるかというと、余計なことは言ってはいけないんです。市長は質問なんかしちゃいけない。3回だけ。質問に対する答えだけ。議員どうし議論してはいけないんですよ。議論はないんです。「はい質問終わりましたか。はい賛成のひと!」・・・これで終わりなんです。どこに議論がありますか?これが日本中の議会で行われていること。議員の皆さんは、そこで質問の答えを聞いて物事を決めるかというと、そんなことはしない。議案は予め分かっている。だから、多数決で決めるのであるから、多数派で前もって決めて、集まって決めておくわけですよ。これには賛成、これには反対。だから議会には質問など本当は必要ない。でも議員だから、なにかしゃべっておかないとアリバイが、格好がつかない。反対することに決めている場合は、反対の理由になりそうなことを言わせるために、口を開く。賛成と決めている場合には、あれを芝居といいますか、「ああいいことしているね」と、質問というか、前もって、なかには職員が質問と解答を作ってくれたりします。芝居です。芝居さえ必要無いんです、本当は。でもなにもしないでカネをもらっている議員。時給は今、東京だと8百何十円だという報道がありましたが、最低賃金で。だいたい議員だと時給1万から10万です。時給ですよ。そんなレベルの世界ですから、何か格好をつけなければならない、だから格好をつけて、そして「賛成、反対、終わり」となる。そういう、とんでもなく楽にして儲かるような商売、それが最高権力。議員だけで決めるんですよ。しかも、ひとがいないところで、仲間だけで決めた過半数をとることのできる人たちが談合して決めたことが、全てを決めます。税金も、給料も、条例も全部密室で決められる。決める儀式だけを皆さんの前でやる。判断は密室。そして責任者は?その議員には何の責任もない。一切ない。その議員たちが密室で決めたことを儀式として議会で多数決で決めて、それを20日以内に市長はハンコを押さなければならない。「決まりましたね」と。それが執行することになるわけです。違法であるかどうかは関係ない。議員たちには何の責任も無いから。もし、それで執行したことが違法なこと、あるいは損害を与えることで、オンブズマンなどから裁判になって、被害を与えた」ということになったら、市長が個人の責任でそれを払わなくてはならい。大阪の池田市長がそういうことで、1千万円以上も自分のカネで払わなければならない。とんでもないことです。問題が起きないように、普通の市長は、あまり市民にはそういうことを、事実を知られたくない。オンブズマンには損害がないほうがいい。そして議員に反対されるようなことも無い方がいいし、いろいろな仕事を実際にするのは職員ですよね。職員と議員と市長は仲良くしていなければいかんわけですよ。私みたいに、職員のためにならないことをしたり、議員に嫌われるようなことをすると、たちまち悪者扱いです

4.日本中で蔓延する役所と議員の慣れ合いの挙句、天井知らずの役人の給料

◆竹原市長:新聞、とくに甚だしいのは新聞、報道機関です。そのアナウンサーが言うんです。私が生放送で南日本放送の取材を受けた時、そのアナウンサーが言うんですよ。「職員と結局、反発する関係、職員や議員と反発する関係があったら、結局損するのは市民の皆さんです。仲良くして波風立たない状態が望ましいんじゃないんですか?」と、こういうことですね。その結果、どういうことが起こっているか。議会のとんでもない状態、それから、私が日本で初めて公務員の給料を公開した、といわれていますけれど、あれが実際開けてみたら、職員の過半数が年収700万円以上、退職金は2、3千万円、甚だしいのでは52歳の女性が退職する時3830万円ももらっていた。こういうことがやられてきて、本当に市民の実態は、せいぜい2、300万円。7割以上が300万円以下。中心は1百万から2百万円。こういう事実をひた隠しにしている。これがおそらく、日本中でやられていることなんですよ。公務員の給料なんか知っていて当たり前ですよ。とにかく、そういったことで、竹原が居ることが邪魔だ、という職員組合は、日常的に記者クラブ系列みたいなものと手を結んでいます。本当の権力者は何かと言ったら、公務員なんです。自分たちで自分たちの給料を決めることができる。今年22年度の公務員の給料は人事院の発表では、月給が40万ほど。民間はそれと7~8百円くらいしか違わないと言う。(これは)ウソなんですね。ということなんです。裁判になったものもありますが、本当の話し、結局全部仕組んで、私のところの場合は、組合が得に強くて、選挙管理委員会、公平委員会、その他住民が関わるものが全て則られています。徹底的に。市民には何も知らされないで一部の利権団体と、それとそれにつながる人たちばかりが関わる。マスコミも完全に一体になって、とにかく竹原を落とそうと、今回竹原市長に対するリコール運動と言うのも、組合及び組合が雇っている弁護士、及びそこには一体になってこれを成功させようと狙っている。これは、地方議会は、私はまあ7年間もチラシを配っている間に、大体いろいろなことを調べてきているんで、それでだんだんそれになって、最初の時は議員の中で問題になる場面。市長選挙にしかたなく、議員を辞めるつもりで市長選に出たら当選した。8ヶ月してから不信任を2度出されて失職して、再選の時にはまた過半数を取ってきてしまう。どんどん市民が本当のことを知って、何とかしなければいけないという状況は広がっています。で、それにあわせて、マスコミは悪者扱いするんですけども、その波にのって本当のことを知る人が増えている。日本中から或いは外国からも応援メッセージが来たりしております。だから、多分この現象というのは、ますます大きくなって行って、この国を変えてしまうことにつながるんではないか。そういう気がしています。


5.談合制金権主義へと堕落した日本の役所と議会

◆竹原市長:今の社会の現実、皆さんが知っている議会制民主主義などは、全くなくて談合制金権主義。もう間違いないですよ。一番まずい状態。結局人間というのは、自分の収入を得る方法、そこのところを最大化させようとする努力。努力なんだけど、そのために本当のことを知らせまいと、その力がいつも働いてしまい、結局は全体をダメにする。まあ仙波さんの話もあるかと思うんですけども、国民に隠して裏金を作る。そして自分たちを繁栄、発展させようと、どこでもそれをやるおかげで、お互いを裏切ってダメになってしまう。この国は、例えば、税収は35兆円なのに公務員給与が35兆円も食っている。いつ破綻してもおかしくない状況にある。でもそれを止められない。本当の責任者である、権利者であるはずの国民は、代表を選ぶときに、議員を選ぶ時に、だから、自分が好きか嫌いか、或いは自分の言うことを聞くか聞かないか、社会に対する責任感というものを考えなくてもいいんだ、と。結局、競争することで社会がよくなるんだ、ということを学校でも教えちゃっているんですよね。そういう形で選ばれた議員たちが、何をするかというと、議員なったときに同じことをするんです。この市長は、俺が、自分が好きか嫌いか、自分の言うことを聞くか聞かないかで判断する。皆さん、全体のことは考えない。同じ精神状態です。社会の仕組みを担う人たちが、投票する人たちと同じ精神状態。これを変える方法は投票する人たちの精神状態、モノの考え方を、あるいは仕組みに対する知識を、これを変えないといけないと思いますよ。本当に、根本に立ち返るには、遠回りのように見えますけど、それが一番近道だと思います。学校では議会の仕組みをシミュレーションすべきです。儀式だと言うことがわかる。そして、本当に、議会というのは儀式なんだと言うことをよくわかってほしい。そしたら投票する時は、皆さんも、自分のことではなく、とにかく社会のために働く人を選んで、つくって、それを当選させると言う気持ちにならないと変わらない。そこのところを本当の腹の底で分からないと。本当に絶望です。今、絶望状態ですよ。市民が知って変わらなければ、この国は変わることができません。頑張りましょう(大拍手)

●主催者:ありがとうございました。本当に短い時間で申し訳ありませんが、後も押していますので・・・。竹原さんが発信する阿久根の状況について、私もブログとかで前に見た時は、「なんだこれは?」と思いましたが、私も去年の春に市議会議員に入りますと、同じことが起きています。桐生に傍聴に行きますと、桐生でも同じことが行われています。日本中で同じ議会の状況だと思います。それと、そういうような話しも出ましたが、私も今ブログに、職員の給料と退職金を竹原さんに倣って載せてあります。これは市役所で調べたんですけども、なかなか出しません。1年間かかってやって、今出している額が出ています。べラボーな額です。うち(魚沼市)は平均で786万円、一人当たり。退職金は2900万円、去年。今年の春退職したかたの最高額です。非常に高いです。そういったことで、実際に市民の方が中に入って見ていただかないと、本当のところは分からない。竹原さんがおやりになっていることが、これから大きなうねりになってくるんではないかと、私も期待していますので、ぜひとも皆さんも、この地元の安中であれば、市役所なり議員なりを見ていただきたいと思います。有難うございました。では次、仙波さん、お願いします。

6.大河原宗平氏が接点の竹原市長と仙波元警察官の出会い

▲仙波副市長:はい、なんか、竹原市長が奇人変人であり、こう全く取り付く島も無いという感覚で、お越しの方も沢山おられると思いますが、実は、いま私、阿久根に行って3ヶ月経ちました。いま、市内を回っています。このように少ない人数は初めてです。まあ、急なことですしいろいろあると思いますが。ですから私がなぜ阿久根に行ったかといろいろ珍しがられまして、いろいろな方から取材がありました。まあ、比較的東京新聞さんというのは理解力のある新聞社ですね。ですから、私のことも告発後取り上げていただきましたし、そして現在も、東京新聞というのが、大河原さんの事件も含めて取り上げていただいております。ですが、全国のマスコミ、メディアは竹原市長に対して全てノーの発信をしています。ではなぜ、日本で25万人の警官のなかで、そして退職した警官が、現在私を含めて15万位いますが。40万人の警官の中で、ただ一人裏金に手を染めずに、たった一人定年退職した私が、なぜ法を守らない阿久根に行ったのかということで非常に違和感を持っている人が多いようです。それは、私の生き様を知らない方とか、そして、竹原市長のやろうとしていることが分からない方のいう言葉です。今年の5月に、大河原さんが、警察の裏金を私より先に、テレビで告発をして、その結果、デッチアゲで逮捕されて懲戒免職になった、という事件が6年前にありました。群馬県の方はこのことを誰も関心示さない。群馬県警は愛媛県警より多いですから、大体年間5億円くらいの裏金を、所長以上の管理職は懐に入れていました。今、大体私の計算では半分になっています。そういう実態を告発した大河原さんを群馬県警は全力で彼を抹殺しようとした。成功しました。その後、私が現職で顔を出して告発しました。その生き様を竹原氏は私の本を見て、会いたいということを、群馬の市会議員を通じて言ってきたのが今年の5月です。私はヤクザだろうと、右翼だろうと、調べていましたから、どんな側の人間だと報道されても、私もいいよと、その時は大河原さんも立ち会いをしてくれました。そして初めて会った桐生の喫茶店で、竹原市長は、今はネクタイを格好よくしていますが、当時はネクタイをこういうふうに曲げてタイピンを付けている。で私はそれを見て、私はネクタイはバーバリーで、彼は無印ですよね?まあ多分1個せいぜい3千円くらい?【竹原市長:100円!】ああ、100円。そのくらいのネクタイだったんですね。その時、いったんです。そこに大河原さんもいたんですが。あった瞬間なんです。私はその時言ったんです。あなたは市長だろう、人前に出るのが仕事だろう、そのネクタイはないだろう、と。すると、なんと喫茶店でぱっとネクタイをはずしまして、私の前で掛け直したんです。これでいいですか、と。現在、こんなことが、現職市長が今日本に880少しいますが、(他に)誰もいませんよ。みんなね、黒塗り車で家に迎えに来てもらって、最低でも70、80万の給料をもらって、議会と仲良くして、職員の言いなりメクラ判を押して、そして年俸100万もらって、そしてまた次の選挙に備える。そういう市長だけでしょう。そういう市長が私が行ってネクタイ変えますか?彼は変えました。それから4時間話しましてね。私は42年警察で飯を食ってきました。だから、ある程度人を見る目があります。女性を見る目はないんです。ところが、彼は本物でしたよ。たった4時間でしたけど。本物ですよ。それは自分の骨を切って、肉を切って、血を流して、一番生活の貧しい方。言い方がちょっと私も悪いんですけど、生活の苦しいかたを助けよう。そのためには職員のボーナスをカットする、自分の給料を半分にする、議員の報酬も日額1万円ずつ。自ら骨を切っているわけです。そして、先決でしか、彼は選挙公約を実現できない。ということに行き着いて専決した。専決したことに対して法的な処罰はありません、あるのは政治的責任だけです。彼はどんな責任もとるという覚悟で専決をしました。唯一つだけ失敗したのは、議会で不承認になっても専決が優先するということを竹原市長は知りませんでした。だから、ああいうことになった。で、私と会って、本物だと分かったから。しかし私は四国松山の元警官。大河原さんの復職を誰よりもそうあるべきだということを理解している男です。ですから何も竹原市長に対して、エールこそ送れる可能性はあるにしても、心配して7月を迎えました。7月3日に突然携帯が鳴りました。で、市長が「仙波さん、阿久根に来てくれませんか?」。私は当然、阿久根で決めたことで電話があったと思ってました。ですから「なあに」と。「副市長で来てくれませんか」と。たった1回会っただけですよ。それでそんな話がありましたから、待てよ、そんな話はないよ、ということで、また、大河原さんの裁判があったりして、群馬に行くことが直前ちょうどありましたから、じゃあ、群馬で会おうということで、竹原市長は自分でチケットを買って、群馬で、そして3日3晩。その時に大桃さんも証人ですね。その時同席してくれました。大河原さんも。それで3日3晩話して出した結論は、この竹原市長は、このままでは絶対につぶされる。「国家権力」ということを確信しました。大河原の二の舞です。ですから私は行くことに決めました。


7.名実ともに無給(タダ働き)のボランティア副市長

▲仙波副市長:そのかわり条件として「給料は要らない、無給で」。ところが法的な問題があってできない。「じゃあカットしてもらって、残りは供託しよう」ということで、現在も無給です、私は。ちょっと失敗して、専決で10万円くらいまで下げていただいたら、私は年金をもらっていまして、満額もらっていましたから、警察というのは60歳で満額ですから、もらっていまして。で、10万円ぐらいまで下げてもらえば、年金もらえましたが、カットしても、皆さん、借金100億円あるようなちっちゃな町の市の副市長の給料、本棒63万円ですよ。市長が80万円から半分引く。私も半分近くにしてもらったけど、残りが30数万残る。それを供託する。形の上では私の懐に入った形。ですから、年金が全額カットになって、8月からは年金もカット、給料も出ないし、私は完全に無給で8月から、阿久根で4万円のアパートに住んでいる。だからそれもマスコミが余り報道しない。竹原市長と私のいうのは殆ど報道しない。どうせ高いポジションと高い給料がほしくて仙波が行ったんだろう。警察ではそういう名声がなかったから。どうせそういう名声と高い金と権力が欲しくて行ったんだろうという方が99%いました。まあ群馬でも大河原さんを支援する方でも、私が阿久根に行くことで、賛成してくれたのは大河原さんだけでしたね。あとは全部反対です。とくに労働組合の関係の方々は私のことを鬼子のように非難していました。でも、私は女房が亡くなって10年ですし、5年前に警察の裏カネを告発して5年経ちますし。告発することによって、年間400億円あった警察の裏金が、予算が減って今では200億円になりました。アメリカのキーダム法と言う訴訟の法律では、国の税金が告発によって損害が免れた額の3分の1は告発者のものです。私はそうなると、(告発で)200億円(が節約)しましたから、60億円が私の懐に入って、そういうことの実績を残しましたから、誰一人裏金で懲役になったものは居ません。約25万人の警官、約6千人の管理職、誰も責任を取らない。ですから、大河原さんの復職は、私の自分の今の人生の最大の目的です。ですが、全国を講演をするだけでは大河原さんの事件を全国に広げることはできない。阿久根に行って、竹原市長が国家権力から、潰されることを、私ができればそれを阻止することによって、大河原さんのことも発信できる。そういう私の心は大河原さんしか分からなかった。

8.元警察官の想像を超えた市役所内部の酷さ

▲仙波副市長:ところが阿久根に行って、大きな失敗は、市役所の中がこれほど酷いとは、私は初めて知りました。230人職員がいます。今2万人ですから、だいたい1%が職員ですね。阿久根は高速道路も無い。鉄道も、列車も特急列車も通らない。新幹線も通らない。陸の孤島です。鹿児島のほうへ出て行くのに、高速道路に乗るまでに1時間かかります。下道を走ります。そういう市で、税収入は18億。人件費が23億。それだけで5億円の赤字です。で、補助金やら交付金をもらって100億円近くの市の活動をしています。そういう中で230人の職員が、市長が公募で選んだ課長以外は。230分の僅か3名だけですよ、信用できる人。その3名と、市長は2年間立った一人で、今までのことをやってきました。実態を知らないメディアや、ジャーナリストが私のことを、また市長のことを、悪く言います。江川詔子などはその最たるものです。私は、2回目、竹原市長と会うので、群馬で会う前、東京で、喫茶ルームで、1時間半くらい大喧嘩しました。仙波さんが行くのはダメみたいな。竹原さんは法律を守らない。私はあなたを取材をして本も出しているのに、絶版にしたい」という、そこまで言い切りました。「では、あなたは竹原市長を知っているのか?」「いや、会ったことが無い」「じゃあ、今から会うから紹介するよ」「会いたくない」「じゃあ、あなたは張本と、日曜日の番組でトラブルになって2ヶ月くらい降板されている。おかしいだろう?そのものを知ってから判断しろよ」と。で、私は言ってはいけないことを言いました。そんなこというから、まあ、いわゆる、彼女のバツイチですからね。そのことを察して、嫌われちゃった。そんなことで大喧嘩しましたけれど、彼女は素晴らしいんですね。感覚的には。大河原さんの裁判で電話をしたら直ぐ来てくれましてね。この事件は検察が、今こう、人気、と言いますか、悪名高い検察が、警察の言葉だけで捜査をして、彼を逮捕している。何の客観的証拠も無い。江川さんは、たった1回の口頭弁論で元検事の証言を聞いて、分かりました、と。それだけできる方ですら、竹原市長のことは報道どおり信じている。ですから3ヶ月たって、今から1ヶ月半前に電話もらったんですが、私が心配しているのが分からんですか、と。誰が心配してくれといったんですか、と。それっきり、これから縁もないと思います。ただ、今回、検察の不祥事で検察のあり方の協議会が開かれてメンバーになっておりまして。ですから15人のメンバーの中で江川さんだけが、今の検察の実態を知っています。そういう意味では期待をしています。だけど、私を入れない会議など、そんなもの絵に描いた餅であります。元最高裁判所の判事であるとか、裁判官であるとか、酷いのになると検事総長とかですね。警察庁長官、佐藤といいましたが、全員裏金にどっぷり浸かった人です。そういう者が検察の在り方?何を言っているのかと。私を入れないような警察の刷新会議とか、検察の刷新会議などは無意味です。ですが、私は、現在、阿久根に居りまして、7時半から夜の11時まで休み無しです。昼間トイレ、小さいトイレに行く時間もありません。昼ご飯を食べたのも回数は数回くらいです。それくらい塞がってますし、メディアの対応を含めてそれは一人でやっています。メディアの対応、それは一人でやっています。で、無給なんです。人に後ろ指、指されたくないんです。私のことを言うなら、お前がやってみろ、と言いたいんです。勿論、土・日休み無し。だから今回の群馬に二人で来てますけど、本当に3ヶ月ぶりの息抜きです。ですから今日お集まりの方が、非常にまあ少ないですし、発信してもなかなか変わりませんけど、彼(竹原市長)のマインドは見事ですよ。

9.弱者への想いを実現するには専決手段しかない阿久根市政の現状

▲仙波副市長:彼がもし、一口には、これなんでかっこよくいいことでなく、一番生活の苦しいかたを、少しでも幸せにしようと。この気持ちが彼の原点なんです。もし、その気持ちがなくなったら、私は阿久根にいる必要はない。ただ、そのためには専決という手段しかない。そして、さっき市長が言いました公平委員会とか、県で言うと人事委員会ですね。選挙管理委員会とか、そういう委員会は、議会の同意を得て委員を任命します。市長が出した人事案件は全件否定です。ですから、全て職員労組出身者が占めています。市長がした降格処分、所員が・・・職員が公平委員会に訴える。100%市長が悪くなります。大河原さんのこと。大河原さんはまともな方です。正義の方です。その人に対してデッチアゲで逮捕したことで、(群馬県の)人事委員会に訴えたら、彼が負けるんです。当然ですよね。人事委員長はヤメ検ですから。ところが、2万4千人の阿久根市役所では、職員の、労組出身の職員が公平委員になっているんです。そんなもの、決定が、どういう決定か分からないんです。ところが、その決定に従わなければ、皆さん、地方公務員法で彼は1年間懲役ですよ。数少ない地方公務員法の罰則のあるペナルティなんです。まもなく彼は逮捕されますよ、鹿児島地方検察庁に・・・。それが現実です。私はそういう仕事をしていましたから、どういう公文書が来たら、責任対応だと、ガサが来るのか分かります。既に3回公文書が検察庁から来ています。私はそれを1件1件つぶして今回っています。一応、昨日の段階で全件クリアをしました。クリアをしても今までの数ヶ月や1年数ヶ月の事実というのは消えません。僅か1年以下の懲役というのは、汚い言葉ですが、元警官であるションベン刑と言います。ションベン刑の事件を、三席の検事が扱うなんて、考えられない。そんなものも知っているんです。司法試験に上っていない検事が、取り扱いする事件を、なんと三席の刑事が取り扱っていますよ。私は電話しました。「国策か?」と。向こうはうろたえていましてね。「いや、たまたまです」と、「たまたまリコールの推進の時期なのか?」と、いうことで言いまして、向こうも言いました。「仙波さんの経歴は存じ上げています。しかしこの事件のことについては検察庁が捜査をします」と。「ま、それはそうだろう。大阪の二の舞をするんかい?」と僕は言いました。大阪の大坪という特捜部長、そして、佐賀という副部長、本人の前田検事。三人とも懲戒免職ね。ところが大坪さんは非常に大きな爆弾を持っています。検察法がひっくり返るくらいの彼は資料を持っています。私の推測では裏金の資料です。私は愛媛県警ですから、大坪元部長が広島地検にいた時に、担当した部下が、ある検事からそういうことを聞きました。「彼は隠蔽工作の達人である」と。それは既に何年も前から積み重ねてきました。で、今回、そのたまたま聞いた大坪という検事が、大阪特捜の部長で、今回のメインだということを報道で聞いて、なにかこう因縁というのを知りました。ですから、警察のやり方も知っているし検察のやり方も勿論知っています。ですから、竹原市長が今回身柄を取られるという可能性も残っていますけれど、私の経験則では、なんとかクリアできるだろうと、なんとか任意ではありますけれども、任意捜査はありますけれども。ところが阿久根で竹原市長は、なんと言って市民の皆さんから言われているか、当然誰にも分からないでしょう。生活の苦しいかたからは「神様」と言われています。そして、既得権益を守ろうとする議員だとか、会社の社長級は、彼を「全く敵」と言っています。

10.竹原市長のリコールの住民投票を取り仕切る選挙管理委員は自治労メンバーの市職員

▲仙波副市長:私が行ったことによって、今、大桃さんから「仙波効果」と言われましたが、そんなものはたいしたことではないんです。彼(竹原市長)のやってきた実績に対して、地元の市民の方は、心からですよ。尊敬をしてですね、支持をしている。ですから住民投票が12月5日にあります。住民投票は1万を超えている。選挙人名簿にあるのが今1万8千・・・2万ちょっとありますから1万で過半数。投票率が85%くらいですから、大体1万8千から1万7千くらいの投票数が見込まれます。ですから当然、過半数1万で軽く落ちるだろうと思われています。私の見た範囲で、この1万人の署名のうち3千人は無効です。ところが選挙管理委員会は、今言いましたように、全員です。職員労組出身者もしくは関係者ですから。それを調べる選挙管理委員会の委員、委員じゃなくて職員、市役所の職員ですね。彼らも全ては自治労の労働組合員です。そういうものが一緒になって不正をしている。ですから、それでも7000くらいの署名が集まりますから、6700で有効ですから、署名が集まったということは私はそんなに否定をしていない。だから動かないんです。問題は、住民投票で8500の、市長を支持する方がいるか、という、その方が投票に行くか行かないかが勝負です。8000人の反竹原の票は全員行きます。

11.リコール賛成派に加担するマスメディア

▲仙波副市長:ですから、「竹原市長を支持するかたは、私たちは信用しているから、指示しているから行かなくてもいいんだよね」ということを、メディアがウソを言うんです。メディアは「反対者だけが行けばいい」ということを言っています。ということは投票総数の過半数はやはり反対派、いわゆるリコール賛成派で占められる可能性が高い。それがマスコミが言うんですよ、阿久根では。ですからそういうふうな状況が今の阿久根であります。そして阿久根の法律というのは勝手に彼らがやっています。6年間。皆さんご存知ですよね。住所を転出したときは、3ヶ月前に住所を提出すれば選挙権がありますよね。転出届。阿久根では半年ですよ。阿久根方式というんですけど。そんなウソが堂々と通るんですよ、阿久根では。私が居なければ、この公文書の訂正はなかったです。私を相手に、そんなウソの公文書を出すんですよ。選挙管理委員会の名前で職員が。だから呼びつけて「調査しろ」と言ったら、「いや、こういう規定があるんです」と言った。「間違っていたらどうする?」と言ったら1週間かけて弁明の材料をズラーッと洗い出して、そして訂正した。3ヶ月にした。だから、週一回の朝会で、月曜日なら8時からやりますが、今週の月曜日、市長と私がやりました。その席上で18人の課長を前に言いました。選挙管理委員会の係長ですが、「こういう不正がある。これは故意もしくは重大な過失であって、懲罰委員会でこの人たちが書いたことについて、最高懲戒免職を含む懲戒処分をする」ということを係長に伝えました。市長が選んだ3人の公募の課長以外、全員が下を向きました。で、懲戒免職というふうに断定をせずに言った。最高は懲戒免職と。そういうことで、その職員は当然懲戒処分です。捜査のプロの私を騙そうとするんですね。

12.投票用紙の増し刷りや不在者投票箱の鍵の管理も自治労メンバーの市職員

▲仙波副市長:もう、とにもかくにも、こんなんですね。で私がその職員をなぜ処分するのかと言うと、彼は投票箱さえも管理するんですから。投票用紙でさえも不正が高いんです。彼が鍵を持っているんですから。不在者投票は市役所でやります。それを彼が鍵を持っているんです。入場券ならいざしらず、投票用紙を彼らが余分に刷っていることも、当然そういう情報が入ってきます。竹原信一市長のリコール賛成と書いてあると彼は失職しますが、「反対」と書いてあれば彼は取り替えることも可能なんです。東南アジアのフィリピン以下ですよ。その中でたった一人ですよ。そんなこんなで、3ヶ月経ちましたけども、本当に行政の中の異常事が彼は許せないということで、本当に素晴らしい改革をやっています。当然、総務大臣の片山さんにも、ちょっと行き過ぎた発言があったので、私はコメントしました。今年1月15日に鹿児島で、(片山氏が)慶応の教授の時に、鹿児島に来て、議員の中の研修で、「地方自治の問題については地方によって百人百様だと。どれが正しいかは地方自治については分からない。最後は最高裁判所の判断に従うべきだ」と言った男が、「損害金の負担に、阿久根の市長のやった専決は違法だ」と言った。それを言っておきながら最後に「これは総務大臣としてではなく、地方自治に関心のある者の発言だ」とトーンダウンしましたが、私はそのことで、「あまりにも軽率過ぎる。職権乱用である。越権行為である。自分のことばを忘れては困る」と発言すると、そのことが、読売新聞に載りました。そのため彼は阿久根の問題を何一つしゃべらない。そして今の総務省の見解は、「竹原市長のした専決が違法であるか適法があるかは、今はわからない」という対応になっている。私は言っている。「違法の疑いがある」と言うならいいけども、「違法だ」と断定するなら裁判をして白黒をつければよい。判決が確定したら従えばよい。そんなこんなしてもですね。

13.高給の歳費や給与に連綿とする議員や自治労メンバーの職員が、日本の地方自治をダメにする

▲仙波副市長:この地方自治が根本的にいい社会をつくることが現実的に竹原市長以外では不可能なんです。彼は市長の座に連綿と全くしていません。1日も早く市長を辞めたいんです。私も彼が辞めてくれると、辞められますから、年金もくれますし愛媛に帰れますし、私もそのほうが本当は嬉しいんです。だけども、これほどの人間が自分の全てをかけて、阿久根の生活に苦しんでいる人を助けようとしている。そういうわけです。12月5日に住民投票で負ける可能性は高い。だけど100%負けるわけではありません。ですから最悪でも1月の本選挙では彼は再選されますけども、できれば12月5日の住民投票でクリアしたい。それで、議会リコールも今始まっています。今月25日に議会リコールの署名数を集めて提示します。これも成立しています。そうなるとメディアが、議員に対して、議会に対して、8000以上の署名が集まったら、6700で有効ですから、「8000以上の署名が集まったら自由解散したほうがいいですよ」と、メディア自身が煽っています。ですからそういう点も含めて、いろいろなものが阿久根ではまだまだ起こります。だけど、竹原市長が、市長を続けて、議会もいい方向になり、そして、市役所の春の市会議員の選挙も竹原派が押さえて、阿久根が、公益の独裁と言いますか、正義の独裁ができた時には、私はもう家に帰って、大河原さんの身分回復に全力で残った時間を過ごしたいと、送りたいとこう思います。ですから私の職員労組に対する発言が誤解を招いて、いろいろ大きくなっていますが、しかし誤解するものは誤解すればいいんです。

14.竹原市長と仙波副市長を支える阿久根市民の温かいエピソード

▲仙波副市長:ですが、そういう気持ちで阿久根に行っておりますので、皆さんにカンパしていただいて、4万円くらい家賃を、と言いません。私は本を書いていますから、月に1本月刊誌も書いているので何とかそのお金でアパート代くらいは出ます。ですからまあ何とか。それと、私は夏に行きましたから、布団の夏布団とですね、そして夏のスーツ5着と、茶碗一つそして靴3足、車に乗る分しか持っていません。でも秋が来て、冬がもすぐ来ますが、どうしようかなと思いましたら、何と市長の支持者から、私はバーバリーのネクタイに拘っていますが、布団がですよ、バーバリーなんですよ(拍手)。それも羽毛ですよ(爆笑)。それが、来るんですから。洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機。阿久根市長の支持者から、全部用意してあります。見事な市民の皆さんですね。一時期は玄関にいつもご飯がズラーッとならんでいるんですよ。しかし、これ警察に毒もられてるかもしれないというので、残念ながら辞退することにして、それから紙を張って、「不在の時はよこさないでいただけますか」ということで、何回か繰り返した今は、そのようなのはありません。ですから、帰る時間になりますとね。今日は私の家に食事に来ていただきたい。今日はここですと。餓死しない程度に市長の支援者からそういう食料のカンパをいただいています。ですから、そういう意味で、私の人生で、これほど忙しく7時半から23時までやっていますが、私の印鑑一つで年間100億の予算が動くんですよ。私の印鑑一つです。それで、私のところで3億、4億のカネを止めています。余りにも酷い使われ方をしますから。で、そういう状態で居てもストレス全くありません。肩こりも全くありません。非常に楽しくやっています。どうかそういうことでご理解をしていただきたいと思います。(拍手)

●主催者:仙波さんは、たいしたことは無いと言うことですが、竹原さんがやったことは私共充分分かったすごいことですが、仙波さんが言ったことによって竹原さんがまるくなったという話もいただいております。第一に、竹原さんの妹さんが非常に喜んでおりましたので報告しておきます。

◆竹原市長:えっ、ほんと。

●主催者:仙波効果は絶大です。

◆竹原市長:そうかなあ。

●主催者:賛成派の議員に聞きましたところ、投票箱の管理が大変だと。見張っていなければダメだと。それと不在者投票箱の鍵も、それが不正のある可能性もあると。投票以前の問題があるということを聞いて、私もびっくりして帰ってきたんですけど。ここで5分間の休憩を入れたいと思います・・・。


■竹原市長の話を聞いていた当会の事務局長である私は、15年前の安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件の発覚で、当時の安中市長が市長の座を投げ出し、急遽告示された出直し市長選で、市民団体代表として初めて出馬した当時を回想していました。

 おそらく、タゴ51億円事件を起こした安中市役所の実態も阿久根市と同じか、それ以上酷い状況だったと思います。数多くの市の幹部、OB、職員がタゴを巡るカネの恩恵に関係していました。しかし、その関係を市民にバラされることは決して避けなければなりません。だから、出直し市長選挙期間中の市役所は連日、夜遅くまで煌々と明かりが灯っていました。

 市民団体代表の候補がもし市長に当選して市役所に入り込んできて、事件の真相を調査されたら、それまで営々と築き上げてきた役人としての利権が全部パーになります。同じことが、タゴにたかっていた議員らにも言えます。だから、彼らは必死で自分らの利権を擁護して、巨額詐欺横領事件の真相を隠蔽するために、市民団体候補の当選阻止を図ったのでした。

■私は、竹原市長の話を聞いて、まさに、もし15年前の出直し市長選挙で当選していたならば、同じようなことを考えて実行したに違いない、と思い、休憩時間にそのように竹原市長に伝えました。そして、私は「このような阿久根市政の報告会を、史上最大級の巨額詐欺横領事件を15年前に起こした自治体である安中市で開催していただいたことに対して、最大の謝辞を贈りたい」と竹原市長らと主催者に伝えました。

 投票箱の管理や投票用紙の増し刷り疑惑は、日本の自治体では常にどこでも付きまとっています。内乱や腐敗のために公平、公正、公明な民主主義政権が育たない途上国に対して、公正な選挙管理の実現のために国連が主導して、先進国から選挙監視団が派遣されることがありますが、実は「灯台もと暗し」だったのです。しかし、肝心の我が国の地方自治体が、途上国以下の地方自治の実態にあることを、マスコミは誰も市民に知らせようとしません。それどころか、問題の根源を隠そうとする自治体側に加担するのです。

■阿久根市で起きている出来事は、新しい地方自治の実現に向けた萌芽だと、私は考えています。ここまで住民の力を得て実現できたのは、権力に連綿とせず、常に弱者の立場を考えて行動できる竹原市長の資質と、それを十分に理解している阿久根市住民の先見性と真理探求性の賜物だと思います。竹原市長にはなにより、信頼のおける参謀が付いていることが強みです。

 日本の警察官は間違いなく世界で最も優秀なレベルにありますが、その優秀性を歪めてきたのは、社会常識に欠けたキャリヤ組がこれまでに築き上げてきた裏金捻出手口に象徴される、異常な組織忠誠心の醸成であり、自分の都合のよい組織にしようと努力した結果招いた「組織の変質」だったのでした。

 だから、本体の警察組織では、鼻つまみ者扱いされた元警察官が、自治体の副市長という権限を与えられたとき、その能力は遺憾なく開花し発揮されることが証明されたということができます。その能力に着目した竹原市長の審美眼は、やはり驚嘆に値すると思います。

■その竹原、仙波コンビに、明日から群馬県警の元警察官が加わります。検察やマスコミにどんなに妨害されようと、公正な住民投票の実現を果たすためには、これほど強力な布陣は無いと思われます。地元群馬県の誇る最も警察官らしい警察官である大河原氏が阿久根市の改革に一役買う機会を与えられたことは、彼を支援している地元のオンブズマン組織の代表として、また、15年前に初めて首長選に挑戦し、その後も引き続き3回挑戦したことのある者として、名誉であり、誇りに思う次第です。大河原氏には、今度は行政の中で、その卓越した正義感と分析力と行動力で、活躍されることを祈念いたします。

【ひらく会事務局】

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