市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

磯貝建材製側溝偽装事件発覚から15カ月…未だに「真相調査中」の群馬県となぜか先行気味の安中市

2024-05-11 22:24:08 | 安中市の行政問題

磯貝建材の全景。群馬県コンクリート製品協同組合のHPからは現在、削除されている。

■令和5年2月に、群馬県甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかりました。あまりにも歪んでいたので、施工業者が不審に思い、施主の群馬県に報告したと思われます。しかし、群馬県はこの経緯を含め当会の情報開示請求に対して、ホンの僅か開示しただけで、未だに「本件調査中」を理由に開示を先送りしています。

 その後、県が詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたとしていますが、その7が月後の同年9月1日に、山本知事は知事記者会見で、この事件に関して次のように述べました。



「公共工事の適正性を維持するという観点、また県民の安心安全を守るという観点からもまずは、手直し工事などによって道路の安全性の確保に県として万全を尽くしていきます。そして、今後二度とこのようなことが起きないよう厳正に対処してまいります」

■この記者会見を受けて、当会はさっそく次のブログ記事を発表しました。
〇2023年9月9日:安中市内業者による側溝の偽装品製造から透けて見える行政とメーカーとの不透明な関係

 そして。令和5年10月4日に安中市長あてに行政文書開示請求書を提出しました。

*****10/4安中市行政文書開示請求書*****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
 磯貝建材に対して発注した又は磯貝建材の製品(側溝)を使用した安中市発注の工事案件リスト(発注時期、工期、工事名、金額、側溝の型式と数量)
**********

 この結果、10月17日付けで開示決定通知があり、同月19日に開示情報を受領しました。それによると、過去5年間で、農林課分が8工事、トータル646m、都市整備課分が1工事、トータル1135.3m、土木課のうち旧安中市区域が14工事、トータル974.7m、土木課のうち旧松井田町区域が39工事、トータル2665.2mであることがわかりました。

 ところが、開示資料に当該工事を受注した施工請負業者名が含まれていないため、令和5年10月19日に追加の開示請求を安中市長に提出しました。

*****10/19安中市行政情報開示請求*****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
磯貝建材に対して発注した又は磯貝建材の製品(側溝)を使用した安中市発注の工事案件リスト(受注した施工請負業者がわかるもの)
*********

 この結果、令和5年10月24日に開示決定通知があり、同月31日に開示を受けました。それを見ると、5年間の合計工事施工数は、㈱萩原工業が3、㈲さくら工務店が4、㈱飯沼組が5、亀建工業㈱が5、萩原建設㈱が3、小板橋建設㈱が12、㈲須藤工業が5、㈱田中土木が3、㈱野口組が1、鬼形建設㈲が2、安中土建㈱が1、㈱ユーキ建設が6、峰岸土木㈱が2、土屋建設㈱が4、㈱石井造園建設が3でした。

■一方、群馬県知事に対して、令和5年11月1日に公文書開示請求を行いました。

*****11/1群馬県公文書開示請求*****
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 群馬県は9月1日、「県発注の道路工事で、規格で定めた強度に満たないコンクリート製側溝が32カ所で使われていた。建材メーカーの磯貝建材(安中市)が、製品を偽装して工事業者に納入していた。県は、工事を施工した22社に側溝の交換を指示した。調査対象は過去5年分で、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性がある。県だけではなく、市町村発注の道路工事に使われている可能性もあり、県は市町村に今回の調査結果について情報提供した。磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できた。そのため県は、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で『偽装側溝』が確認された。区間は合わせて約3キロだった」と発表した。ついては、次のことがわかる情報。
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。
⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。
⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。
⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)
⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況
**********

 そして、それから8か月が経過しましたが、未だに群馬県は当会の情報開示請求に対して、「調査中」と言い続けています。

■一方、安中市のほうも、その後のこの問題に対する対応状況について何ら情報発信がないことから、当会は令和6年3月1日に次の内容の行政文書開示請求書を安中市長に提出しました。

*****3/1安中市行政文書開示請求****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
磯貝建材社製の規格外製品を使用した工事等についての安中市の対応が分かる情報
**********

 すると、同年3月12日に開示決定通知があり、同月3月21日に開示文書を受領しました。

 それによると、前年の令和5年10月5日に、安中市は、群馬県の記者発表を受けて安中市発注の請負工事及び原材料支給について調査したところ、複数の箇所で磯貝建材社製のBOU3型側溝を納入していることが判明した、として、安中市の工事入札参加資格を有していて、非破壊検査実績もある㈱中井産業(高崎市八千代町2-4-26)から見積を取り、市内鷺宮字三本木地内で令和5年10月15日から11月2日にかけて、磯貝建材製GPU3型側溝の非破壊検査業務を計画し、同社に随契で121万円で電磁レーダーを使った非破壊検査を実施しました。その結果は次の表のとおりです。



 このほかにも、以下の文書が開示されました。

*****10/6起案用紙*****
起案用紙 2023100103&
文書番号 安財第189001号
起 案 日 令和5年10月6日
決 裁 日 同日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 部長
件  名 弁護士法律相談依頼について
修補が必要と認められた工事についての受注社に対する修補請求について、法律相談を依頼したく別添のとおり行政課へ依頼してよろしいか伺います。

=====弁護士法律相談依頼書=====
                     令和5年 月 日
行政課長 様
               企画政策部 財政課 中嶋清美
顧問弁護士 弁護士事務所所在地 安中市岩井2470-3 安中法律事務所内
      弁護士氏名 小坂 景子 電話番号027-386-6667
相談希望日時 令和5年10月19日(木)
<事件等の概要>
修補が必要と認められた工事についての受注者に対する修補請求について
【群馬県の対応】
今年2月の県発注工事で、磯貝建材製品の側溝が、県の定める規格と異なる鉄筋が使用されていることが確認された。
群馬県は過去5年間の県発注の工事のうち、磯貝建材社製の側溝で施工された34件の工事について調査した結果、32件の工事で県が定める規格を満たしていないことが判明した。
磯貝建材製の側溝を使用して工事を施工した元請業者に対して契約約款に基づき(別添資料)手直し工事を依頼し、磯貝建材については、群馬県型側溝承認を取り消した。
【安中市の対応】
・磯貝建材社製の側溝で施工された工事箇所について調査。
 13事業者  54現場  3,471.2mで使用確認。
・対象工事について現場の安全確認を実施済み。危険及び損傷個所無し。
・側溝が規格を満たしているか調査予定。(準備中)
・県と同様に、修補が必要と認められた工事については受注者に修補請求を行う予定。議会へ報告済み。
<法律上の問題点>
1.契約約款契約不適合責任により、修補請求することは妥当か
 県は、契約約款第53条第5項の「受注者の故意または重過失による場合は民法の定めによる」を根拠に受注者に修補請求を行うと聞いておりますが、受注者側から見ると、県により承認を受けている(工場検査を省略できる)道路側溝を、承認事業者である磯貝建材に発注・納品を受け、市の材料使用願いにより確認を受け施工したものであり、その一連の行為が、「受注者の故意または重過失」にあたるのか、ご教示願いたい。
2.独占禁止法優越的地位の濫用
 前記内容により、受注者に修補請求することは、優先的地位の濫用にあたらないか、ご教示願いたい。
3.調査費用について
 市では、使用された側溝について、不適合製品であるかの調査を実施しますが、その費用について、磯貝建材に請求することは可能か、ご教示願いたい。
<出席予定者>
企画政策部 部長 町田博幸
企画政策部 財政課 参事 中嶋清美、主幹 室岡隆
<添付書類>
1 契約約款(抜粋)
2 群馬県型側溝承認要領

=====弁護士法律相談報告書=====
                      令和5年11月9日
行政課長 様
                      財政課長
相談日時  令和5年10月30日(月)9時30分~10時20分
相談弁護士 弁護士 小坂景子
相談場所  安中市岩井2470-3戸田ビル1階西 安中法律事務所
出席職員  企画政策部長町田 財政課長中嶋 契約検査係長室岡
●相談した事件等の要旨
※相談を行った項目ごとになるべく箇条書きで記入してください。
1. 契約約款に基づき、契約不適合責任により、工事受注業者へ修補請求することは妥当か
2. 前記内容により受注者に修補請求することは、優先的地位の濫用にあたらないか
3. 市では、使用された側溝について、不適合製品であるかの調査を実施しますが、その費用について、磯貝建材に請求することは可能か
■回答の要旨談
※先の相談を行った項目ごとに弁護士からの回答の要旨を箇条書きで記入してください。
1. 5年である民法の「故意または重過失」にあたるかどうかの判断は定型的なものがあるわけではなく一概には言えない。重過失については諸事情を考慮する必要がある。受注者にどんな義務があったか。受注者がどんな注意を払っていれば十分だったか。まず側溝製品の外見では判断できない。今まで県内で側溝の仕様を偽装した事件が明るみに出たことは無かった。県の承認を受けていても工場へたまには検査へ行くべきだったか。磯貝建材が粗雑な製品を納入しているという認識は市内業者に無くはなかった。発注者としては明確な原因者が受注者の先にいる以上請求することにはなる。(請求すればここで争ってもと考えて受注者としては請求に応じるかもしれない。実際に県工事では応じる業者がいる。)ただ2年以内は確実に契約不適合で請求できる。
(とはいえ県が5年で請求しているのに市が2年というわけにもいかないだろう。)
2. 独占禁止法における優越的地位の濫用とは、商取引上優位な立場にある者が商慣習に照らして不当な要求を行うことを指すが、今回の場合は既に締結されている契約に基づいての請求であり、優越的地位の濫用には当たらないと考えられるとのこと。
3. 契約不適合製品かどうか調査する費用を磯貝建材に請求できるかについては、
(契約不適合責任では)請求できないだろうとのこと。もう一つの請求根拠である不法行為は市の方に証明する責任が生じるが立証は難しいだろう。
  今後は県の対応も見ながら市長とも相談して決めていくことになる。類似の案件があるか、調べて知らせていただけるとのこと。
<今後の相談の有無>有り( 年 月 日)・〇無し

*****1/15起案用紙******
起案用紙 20240101661
文書番号 安財第290003号
起 案 日 令和6年1月15日
決 裁 日 令和6年1月16日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 部長
件  名 磯貝建材製群馬県型側溝使用業者への現地パトロール依頼について
 磯貝建材(株)が納入した群馬県型側溝の中に規格を満たさない製品が含まれていたとの群馬県の発表を受け、職員によるパトロールを行った上で安中市が発注した請負工事及び原材料支給につき非破壊検査を実施したところですが、今後群馬県に倣い破壊検査や修補請求を行う場合でも安全性について一定の結論が得られるまでは現地における安全を確保するためパトロールが必要と考えられることから、受注業者に対し下記の通りパトロールを依頼してよろしいか伺います。

1 対象工事  平成30年度から令和4年度に本市が発注し、磯貝建材株式会社製の群馬県型道路側溝(GPU3型、同横断型、同消音型)が納品された工事
2 パトロールの頻度  おおむね3か月に1回
3 期間  当面の間
4 報告の方法  ・別添様式のとおり
         ・なお、1回1現場あたり3枚以上の写真を添付、内訳としては遠景を1枚、近景を2枚以上
         ・提出先は財政課契約検査係、提出方法は紙又は電子データ

=====受注業者宛依頼状=====
受注業者各位
                           令和6年 月 日
                         安中市長 岩井 均

      磯貝建材製品が納品された工事箇所のパトロールについて(依頼)

 日頃、市行政にあたりましては、深いご埋解ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて過日、本市定例記者発表で報告されました磯貝建材製群馬県型道路側溝の仕様偽装につきまして、現在調査中でございますが当面の間下記のとおり受注業者様による現地パトロールを依頼します。
 なお今回の依頼は当該側溝に起因する事故等の発生を未然に防ぐことが目的であり、ご多忙のところ恐縮ですが意図をお汲み取りいただいた上でご協力をお願いするものです。

                  記

1.対象工事  ・平成30年度から令和4年度に本市が発注し、磯貝建材株式会社製の群馬県型道路側溝(GPU3型、同横断型、同消音型)が納品された工事
2.パトロールの頻度  ・おおむね3か月に1回
3.報告書  ・別添様式のとおリ
      ・ なお、1回1現場あたり3枚以上の写真添付をお願いします。内訳としては遠景を1枚、近景を2枚以上です。
      ・提出先は財政課契約検査係(本庁3階)、提出方法は紙または電子データでお願いします。

          担当:安中市役所企画政策部財政課契約検査係 室岡
          電話:027-382-1111 内線1091
          電子メールアドレス:keiyaku@city.annaka.lg.jp


=====磯貝建材製群馬県型道路側溝使用工事に係る現地パトロール報告書=====
No./調査年月日/業者名/調査した者/発注年度/工事名/箇所名/側点名/結果
(例)
1/R6.2.3/○○(株)/安中太郎/令和〇年/□□号線道路改良工事/安中一丁目/No.20+2.0/問題なし

*****2/13起案用紙*****
起案用紙 20240201747
文書番号 安財第319002号
起 案 日 令和6年2月13日
決 裁 日 \\同日
完 結 日 令和6年3月31日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 課長
件  名 磯貝建材製GPU3型側溝破壊検査について
 磯貝建材(株)が納入した群馬県型側溝の中に規格を満たさない製品が含まれていたとの群馬県の発表を受け、安中市が発注した請負工事及び原材料支給につき非破壊検査を実施したところ、複数の箇所で磯貝建材(株)がGPU3型側溝を納入していることが判明したことから事故の未然防止のため非破壊検査を実施したところですが、引き続き下記の通り破壊検査を実施してよいか、また決裁後は安中市の工事入札参加資格を有志群馬県発注による破壊検査の実績もある安中土建(株)から見積書を徴収してよろしいか併せて伺います。なお、根拠法令として次の規則が該当します。
  ・政令第167条の2第1項第5号(緊急の必要により協働に付することができないとき。)

1 案 件 名    磯貝建材製GPU3型側溝破壊検査
2 履行場所    安中市鷺宮字三本木地内外
3 履行期間    令和6年2月19日~3月18日
4 設 計 額     1,887,600円(税込み)
5 予算科目    2-1-5-3-1-14節 工事請負費 (予備費から充当予定)
6 工事の概要   GPU3型側溝の破壊検査実施に必要な作業 一式 全5路線
7 前払い金の有無 無
8 部分払いの有無 無
9 契約保証金   無
10 見積依頼者   安中土建(株) 安中市安中三丁目15-17

=====磯貝建材GPU3型側溝(非)破壊検査 仕様書=====
1 案 件 名      磯貝建材製GPU3型側溝(非)破壊検査
2 履行場所      安中市鷺宮字三本木地内外
3 履行期間      令和6年2月19日~3月18日
4 業務等の概要   ・訴外建材製GPU3型側溝の破壊検査
           ・検査対象は別紙位置図に記載された路線とする。
           ・検査箇所はH30~R4年度、各1カ所とする
           ・各検査箇所における検査対象は側溝及び溝蓋各1個とし、配筋の径を調査できるようにするものとする。
           ・作業に際しては交通等の安全に十分配慮すること。

=====別紙位置図=====















**********

■こうして、安中市が、令和5年9月1日の県知事の記者発表のあと、当会が同月4日にこの問題で安中市内での偽装された道路側溝を使用した市発注工事リストを情報開示請求した直後に、該当工事で使用されている偽装側溝の状況を調査するため、安中市が非破壊検査業務として133万1000円を設計費として計上していたことがわかりました。

 しかし、こうした検査業務は、本来、群馬県が既に実施していたはずであり、安中市は県の検査結果を踏まえてから対応すべきです。そう考えると、なぜ、安中市が唐突に133万1000円をかけて非破壊検査業務を手金で実施したのか、背景と理由を調べる必要があると当会は考えました。その結果、やはり、群馬県からの意向を受けて、こうした非破壊業務を実施したのではないか、という疑問がわいてきたので、これはきちんと検証する必要があると判断し、令和6年4月16日付で監査請求を行うことにしました。

*****4/16住民監査請求*****
             安中市職員措置請求書

1 安中市長に関する措置請求の要旨
 2023年9月6日付の上毛新聞記事によると、「地元業者が規格外の側溝使用した問題受け、工事場所の調査に乗り出す 群馬・安中市」との見出しで「群馬県発注の道路工事で、規格外の側溝が使われていた問題を受け、安中市の岩井均市長は5日、過去に市が発注した工事について、該当する側溝の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにした。側溝を納入した建材業者が地元業者のため、実態を把握する調査が必要と判断した。同日開かれた市議会決算審査特別委員会で報告した。今回の調査は、工事関係の書類が保存されている期間(国庫補助事業10年、市単独事業5年)が対象。工事した場所を把握した上で、現場で破損などがないかを確認する。同時に側溝が規格を満たしているかどうかも確認。規格を満たしていない場合には、契約約款に基づき、受注者に対し、再度工事を指示する方針。同業者の側溝をめぐっては、鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない側溝が、県発注の道路工事で少なくとも32カ所(計約3キロ)で使われていたことが判明している。(宮崎秀貴)」とする報道が為された。
 このため、請求人は、規格外の側溝を納入した地元業者の製品が、どのようなかたちで安中市発注の道路工事に使用されたのかを確認すべく、2023年10月4日、同19日および2024年3月1日の3度にわたり、安中市長に対して条例に基づき関連情報の開示請求を行った。その結果、不当な財務会計上の行為又は怠る事実を以下のとおり確認したので、これを是正することにより市民全体の利益と安全を守るべく、住民監査請求を行う。
⑴ だれが(請求の対象となる職員等)。
  安中市長。
⑵ いつ、どのような財務会計上の行為を行ったのか
  規格外の製品を製造・納入した地元業者である磯貝建材㈱の製品「GPU3型側溝」が、安中市発注の公共工事に使用されたことに関連して、それらの製品が規格を満たしているかどうか、事故の未然防止のため確認する必要があるとして、安中市が2023年10月16日から同11月2日にかけて非破壊検査業務を実施した。
  そして、安中市はその費用1,331,000円(税込み)を安中市の一般会計「2-1-5-3-1-12節 委託費(予備費から充当)」から支出した。
⑶ その行為は、どのような理由で、違法又は不当なのか
  本件は、本来、GPU3型側溝の規格を定めた群馬県が、製造者に対して、規格に合致した製品を製造・納入するよう検査・指導・監督すべきであり、今回、磯貝建材製の規格外の側溝が2023年2月に甘楽町での県営の林道工事で使用が発覚したことを端緒に、群馬県知事が2023年9月1日の記者会見で公表したものであるから、当然に、群馬県に費用負担を申し入れるべき事案である。
  にもかかわらず、そうした手続きを怠り、安中市の一般会計から支出し、しかも現在に至るまで、群馬県に費用負担の申し入れの相談すら行っていない。
⑷ その結果、どのような損害が市に生じているのか
  すでに、令和5年度の決算が閉められており、この支出が損害として確定してしまった。
⑸ どのような措置を求めるのか(是正等措置を求める内容及び対象者)
  監査委員会は、安中市長に対して、市長が、以下の事項を速やかに実行するよう、勧告する。
  ①群馬県に対して、至急、安中市が支出した1,331,000円と相当な経費(人件費その他、金利も含む)の弁済を求める。
  ②なぜ、磯貝建材製の規格外の側溝が市内の公共事業で使われたのか、第三者委員会を設置し、経緯と影響を調査し、真相究明と責任の所在の明確化を通じて再発防止をはかる。
⑹ 財務会計上の行為から1年を経過している場合は、その正当な理由
  該当しない。

2 請求人
  住  所 安中市野殿980
  電話番号 090-5302-8312
  氏  名 小川 賢(自署)

 地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

令和6年(2024年)4月16日

安中市監査委員 殿

別紙:事実証明書
1 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月17日安財第193004号)
2 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月24日安財第206004号)
3 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年3月12日安財第346003号)
**********

■ところが、その2日後の4月18日に監査委員事務局から電話があり、財務会計上の支出額は133万1000円ではなく、121万円であり、監査請求書を訂正するように指示がありました。

 さっそく、監査委員事務局で指示通り修正しましたが、事務局から「証拠を示してもらう必要がある」と言われました。当会は仰天し、「それは、監査委員の権限でお願いします。121万円という数字の根拠は、事務局で調べたのだから、それを監査結果として裁決書の中で、説明すればよいのではないでしょうか」と説明しました。事務局はいぶかしげな様子でしたが、粘り強く説明するとようやく納得してもらいました。

 住民監査請求の結果は60日以内が原則ですから、予定では6月15日が土曜日ですから、6月14日までに結果通知があることになります。

■そうしたなかで、5月10日に当会に「安中市が偽装側溝問題で記者発表を行った」という情報が14時から16時過ぎにかけて複数寄せられました。翌11日の新聞記事を見ると、確かに安中市が発表したことがわかりました。

**********朝日新聞デジタル2024年5月11日14:37
強度偽装の側溝は40カ所に 群馬県安中市、工事やり直し命令を検討

破壊検査した磯貝建材製のコンクリート側溝=群馬県安中市提供
 群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、安中市は10日、市発注工事で同じ製造業者の側溝を検査したところ40カ所で偽装製品を確認したと発表した。工事請負業者に工事のやり直しを命じるか検討する。
 偽装側溝を製造したのは磯貝建材(安中市)。過去5年間に同社製側溝が使われた市道は約3・1キロで、ここから99カ所を抽出して県の規格に適合するか調べた。非破壊検査では35カ所、破壊検査では5カ所で規格で定めた強度を満たさない偽装製品が確認された。破壊検査では、鉄筋が県の規格6・35ミリに対し偽装製品は4ミリだった。
 破壊検査した場所は正規品に交換しているが、非破壊検査は偽装製品が設置された状態で、定期的にパトロールして点検する方針。市は今後、県の動きもみながら工事請負事業者への対応を検討していく。(角津栄一)

**********東京新聞2024年5月11日
側溝の部材偽装 少なくとも40カ所 市発注工事で確認 /安中
 群馬県発注の道路工事で県の規格に満たない側溝が使われていた問題で、安中市は10日、市が2018年~22年度に発注した工事で同様の部材偽装を少なくとも40カ所確認したと発表した。いずれも磯貝建材(安中)の製品で、県企画より細い鉄骨が使われていた。
 市によると、非破壊検査で県規格に満たない部材を35カ所で確認。各年度1ヶ所を抽出した計5件の破壊検査では、全て県規格に適合しなかった。
 市財政課は「抽出した箇所以外でも、同じ年度の同様の工事であれば部材が偽装された疑いがある。対応は先行している県の対応を踏まえて検討する」としている。
(石井宏昌)
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■当会は、この情報に接し、令和6年3月21日の時点で、非破壊検査結果の報告書は4月末までに出来上がると、安中市企画政策部財政課から聞かされていたので、ビックリしました。5月1日の時点でも、担当者からは、実際に破壊検査を行ったという説明は一切ありませんでした。

 しかし、3月21日に開示された公文書を改めてよく読んでみると、2月13日に安中市が地元の安中土建株式会社に随契で磯貝建材の規格外側溝の破壊検査を依頼しようとしていたことが分かりました。

 市側から非破壊検査について主に説明されたため、うっかり破壊検査のほうまで意識が回りませんでしたが、当会はこの「2月13日」という起案・決裁日について注目しています。なぜなら、この日は、この側溝偽造事件において、極めて重要なマイルストーンだからです。

 安中市側が破壊検査について、当会への説明が消極的だったのは、当会が積極的に質問をしなかったことが理由かもしれませんが、恣意的にそうしたのであれば、安中市特有の情報隠ぺい体質によるものかもしれません。近日中にあらためて、情報開示請求を通じて確認するとともに、現在進行中の住民監査請求にも、必要であればこの破壊検査にかかる公金の支出についても、関連付けを検討してみたいと考えています。

■本記事の末尾にもうひとつ指摘しておきたいことがあります。それは、群馬県が管理する県道や農林道なども同じですが、安中市が管理する市道や農林道などで、いったいどの場所に磯貝建材の不正な側溝が使用されているのか、住民に全く知らされていないことです。

 安中市は、受注業者に3か月に1度の頻度でパトロールするように要請していますが、群馬県は、32カ所で不正に作られた側溝を使用した工事が施工されたと記者発表しただけで、いまだに当該箇所を特定できる情報を公表していません。

 事故が起きてからでは遅すぎます。一刻も早く安中市は、磯貝建材の不正な側溝を使用した場所を地元の自治会長を通じて回覧板で住民に周知するとともに、当該現場に「危険個所」であることを示す目印を設置すべきです。群馬県も同様な対応を直ちに実施する必要があると思いますが、まずは当会の情報開示請求に対して、いつまでも「調査中」と言わずに、即刻、関係情報を開示することが先決です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】



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