市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

メガソーラー施設内の土砂崩れの情報開示に消極的な世界最大の都市ガス事業者…東京ガス

2022-12-25 23:48:31 | 東京ガス高圧パイプライン問題

■「挑戦は、始まった『CO2ネット・ゼロ』へ」「私たち東京ガスグループは、世界最大の都市ガス事業者であるとともに、電気の販売、国内外にエネルギーソリューションを提供するエネルギー企業グループです。2030年までに1,000万トンのCO2削減に貢献し、人と地球に最も配慮したエネルギー企業グループを目指しています」と誇らしげに統合報告書2021の冒頭に記している東京ガス。そのためのアクションとして、2020年1月に群馬県安中市岩野谷地区で稼働したばかりの関東最大級のメガソーラー施設「安中市太陽光発電所」を同年2月12日にタックスヘイブンの外資ペーパー会社から買い取ってからほぼ2年が経過していますが、相変わらず、自社に都合の悪い情報の開示には消極的であることが判明しました。2021年3月から6月にかけて、大量の土砂を積んだダンプが施設内に搬入されたことが地元住民により目撃されたのが発端です。

 何か土砂崩れが発生したのではないか、と直感した当会はさっそく地元関係者からヒヤリングするなどして調査を行いました。その結果は以下のブログを参照ください。
〇2022年7月27日:関東最大級のメガソーラー・・・東京ガスの安中合同ソーラー安中市太陽光発電所で土砂崩れか
https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/d/20220721

 ちなみに2022年3月の群馬県内の各地の降水量は以下のとおりです。

 これを見ると、3月18日に30ミリ前後の雨が降ったことがわかります。当日の気象概況を調べると「前線を伴った低気圧が九州北部を通過後、本州の南を東進。雨雲が西から次第に東へ。局地的に雨雲が発達し、1時間降水量の日最大値は沖縄県名護で61.0ミリ、宮崎県延岡38.5ミリなど、所々で3月1位の値を更新。九州南部や奄美は南風が強まり、春一番」とあります。

 それまでほとんど降雨の無い日が続いたあと、日量30ミリ程度の雨が降った3月18日ですが、この雨で東京ガスのメガソーラー施設敷地内で土砂崩れが発生したことになります。このメガソーラー開発計画時の地元説明会で、施工業者の東芝プラントは、土砂崩れが絶対に起きないように万全の対策をとると明言していましたが、実際には造成中も、そして今回、造成後にも土砂崩れが発生したことになります。

■こうした土砂崩れなどが発生した場合、東京ガスは協定書に基づき、地元自治体および地元住民に遅滞なく報告しなければならないはずです。しかし、実際には地元住民には何も情報が伝えられませんでした。そのため、当会は独自に調べた土砂流出(洗堀)事故について、当事者の東京ガスに確認してみることにしました。

 なお、現時点で稼働中のメガソーラーではおそらく関東圏では最大級のこの大規模太陽光発電施設の2020年1月以降の経緯は次の通りです。
○2020年1月5日:関東最大級の安中ソーラー合同会社のメガソーラーがついに1月3日から送電開始!
https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/2caca58c20d911700f17248e5974fef1
○2020年3月1日:1月3日に送電開始したばかりの関東最大級の安中ソーラーが早くも東ガスに身売り!
https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/0414916f97f76180dd181f7665835e69
〇2020年8月19日:関東最大級メガソーラーを2月12日に買い取った東京ガスに出した質問状の回答に滲む上から目線体質
https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/ae5933ff737a149f72dc388111f64541

■それでは当会が東京ガスに宛てた質問書を見てみましょう。

*****10/28東京ガスあての質問書*****
                         2022年10月28日
〒105-8527
東京都港区海岸1-5-20
東京ガス株式会社 エネルギー需給本部
再生可能エネルギー事業部
再エネ第一グループ 御中

                質問者:〒379-0114
                    群馬県安中市野殿980
                    小川 賢
                    電話090-5302-8312
                    FAX027-381-0364

   件名:安中市岩野谷地区の貴社メガソーラー施設にかかるご質問

前略 平素より、地元での再生可能エネルギー事業に取り組んでいただき厚く御礼申し上げます。
 さて、貴社が2020年2月12日に取得した安中市太陽光発電所」(以下「本発電所」)について、以下の情報をお伝えしますので、できる限り詳しく教えてください。

【質問者が得ている情報内容】
 本発電所の稼働から2年が経過した2022年の3月ごろから、地元東野殿と水境地区にある農免道路を20トン以上もある大型トラックが何台も通行するのを地元の住民らが目撃しました。農業振興用の道路なので、路盤がさほど強くないため、大型トラックの通行により路面が損傷し、クラックが多数発生したり、路面が沈下したりする現象が発生しました。
 住民の皆さんからの情報によると、これらのトラックは、本発電所に出入りしていたとのことです。
 事実関係を確認するために、7月20日に東京ガスから委託を受けてメガソーラー施設を管理する会社の関係者に確認したところ、降雨により施設内の管理道路などが洗堀されたため、埋め戻したり補強したりするために、外部からコンクリートを混ぜた砕石や砂などを大量に搬入して補修工事を「佐田道路株式会社」が請け負って施工したことがわかりました。
 他方、地元住民の皆さんからの情報では、地元の生活道路である農免道路を頻繁に走っていた20トン以上の大型トラックには「浅川商事」というロゴマークが目撃されたとのことです。
 こうした大型トラックは、本来、県道前橋・安中・富岡線から、大谷地区の西谷津に15年前に作られたサイボウ環境株式会社の一般廃棄物最終処分場の搬入用道路として業者の資金で完成後、安中市に寄付されて認定道路になった市道を使って、サイボウ環境の最終処分場の南側にある東京ガスのメガソーラー施設に出入りしなければならず、それ以外のルートの走行は禁止されているはずです。
 事実関係を確認すべく、さっそく佐田道路(電話027-268-6022)に電話をしました。受付の女性職員に、用事を伝えると30分後に、同社の本件工事を担当したという深津氏から電話がありました。
 同氏の話によると、依頼者(東京ガスもしくは管理委託会社の鹿島建物(株)かは不詳)から要請を受けて、2022年3月29日から6月10日まで工事を行ったとのことです。そして、砕石など補修用の土木資材を満載したトラックは、県道前橋・安中・富岡線からサイボウ環境の処分場の搬入道路を経て、処分場の周辺に沿って上り、一番高い場所から東京ガスのメガソーラーの入り口まで鉄板を敷いて施設内に入り、土木資材を下した後、同じルートを戻って県道に出るようにチェックをしていたとのことでした。
 そのため、本当にトラックが往復ともに指定のルートを通行していたのかどうか、再度念を押して確認を求めました。すると、同氏は「搬入する場合のみ確認したが、トラックが戻るルートについては確認していたわけではない」ことを認めました。
 質問者は、地元住民の皆さんが、実際に、サイボウ環境の最終処分場の入り口前から、水境地区にある司ラーメン店脇の信号機のある県道との交差点に至る農免道路で、「浅川商事」とロゴを付けたトラックが何度も通行しているとの目撃情報を得ていることを佐田道路の深津氏に告げるとともに、「事実関係を確認してほしい」と要請しました。すると深津氏は「確かめて、結果を報告する」と言いました。
 すると1時間半後の午後5時半ごろ、深津氏から連絡がありました。それによると浅川商事に確認したところ、「復路で指定されたルートを通らずに、近道となる農免道路を2回程度利用した」ことを認めたそうです。そのため、実際に浅川商事のトラックが農免道路を走っている様子を目撃した地元住民らにこのことを伝えると、「2回なんてものじゃない」と述べていました。
 そして午後6時に再び深津氏に電話し、「2回どころじゃないという目撃談を得た。いずれにしても、大型トラックが路盤強度の無い農免道路を通行するとたちまちアスファルト舗装が痛み、クラックや沈下が起きて、そこから雨水が入り込み路盤や路肩を洗堀したり、雑草が生えて道路管理上も支障をきたすことで、結局その補修費用や補修作業は地元住民にもしわ寄せがくるので、二度とそうしたルール違反が起きないように徹底してほしい」と申し入れました。
 質問者としては、かねてから大規模な造成に伴う土砂の洗堀や土砂崩れのリスクを懸念していましたが、早くもメガソーラー施設内のあちこちで実際に土砂の流出が発生し、その補修作業に2か月半近く要したことを重視し、このままだと今後も同様な事象が起きると考えています。
 そのため、今後も継続的に工事を請け負うと思われる佐田道路に対して、再発防止を強く申し入れたものです。深津氏によると、浅川商事のほかにも資材運搬業務に携わった会社のトラックが出入りしていたということで、同氏は質問者に対して「今後は出入りするすべてのトラックについて、往路も復路も指定ルートを必ず通行するよう徹底します」と約束しました。
 つきましては、次の質問があります。

【質問1】
 上記の情報について、どの程度ご存じでしたでしょうか?

【質問2】
 上記の情報で、誤っている部分がありますでしょうか?もしあれば、ご指摘ください。

【質問3】
 貴社が把握されている施設内で発生した上記の洗堀状況は、どの程度の規模で、原因は何だったのでしょうか?修復前の写真などあればお願いします。

【質問4】
 修復のための対策工事の内容について教えていただけますでしょうか?工事の場所、期間、費用もお願いします。また、工事後の写真などあればお願いします。

【質問5】
 この洗堀が事実とすれば、その原因は何だったとお考えでしょうか?

【質問6】
 この洗堀と補修について、行政や地元にはどのように通知していますでしょうか?通知していない場合、その理由を教えてください。


 つきましては、誠に恐縮ですが、2022年12月15日(木)までに上記質問へのご回答を書面で質問者の連絡先あてにお願いいたします。
                             草々
**********

■すると、当会が海外取材中の12月8日に東京ガスから電話がありました。「12月15日までに回答するのが難しい」ということでしたので、当会が「12月15日までに返事をもらっても、すぐには確認できないため、翌週でも構わない」とコメントしたところ、12月21日付で以下の内容で回答書が郵送されてました。

*****12/21東京ガスからの返事*****


         書類送付のご案内
                      2022年12月21日
小川賢様
                  東京ガス株式会社
                  再生可能エネルギー事業部
                  砂田良知

拝啓  貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記の通り書類を送付いたしますので、ご査収下さいますようよろしくお願い申し上げます。発送が遅れまして恐縮です。

                           敬具

             記

 ●「回答書」   1通
                           以上

=====12/21東京ガスからの回答書=====


                      2022年12月21日
小川賢様
                  東京ガス株式会社
                  群馬安中太陽光発電合同会社

            回答書

 平素より、弊社太陽光発電事業への格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 2022年10月28日付「安中市岩野谷地区の貴社メガソーラー施設にかかるご質問」につきまして、以下の通り回答申し上げます。今後も地区の皆様のご理解、ご協力を賜りながら安全な発電事業に努めて参りますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

【質問1】
 上記の情報について、どの程度ご存じでしたでしょうか。

 ご記載の通り、今年3月から6月にかけて洗堀対策工事を行っており、当該工事を佐田道路株式会社に発注しております。受注者が通行するルートが、農免道路でなく県道前橋安中・富岡線からサイボウ環境の脇に続く道路であることは承知しておりました。

【質問2】
 上記の情報で、誤っている部分がありますでしょうか?もしあれば、ご指摘ください。

 ご記載の通り、今年3月から6月にかけて洗堀対策工事を行っており、当該工事を佐田道路株式会社に発注しております。弊社を当事者とする情報を除いては、大変恐縮でございますが、正確性について分かりかねます。

【質問3】
 貴社が把握されている施設内で発生した上記の洗堀状況は、どの程度の規模で、原因は何だったのでしょうか?修復前の写真などあればお願いします。

 施設内の勾配のある数ヶ所に洗堀が生じております。大雨が原因と考えられます。
 
【質問4】
 修復のための対策工事の内容について教えていただけますでしょうか?工事の場所、期間、費用もお願いします。また、工事後の写真などあればお願いします。

 今後の大雨に備え、排水路の溢水対策工事や構内通路の洗堀対策工事を今年の3月から6月にかけて行っております。

【質問5】
 この洗堀が事実とすれば、その原因は何だったとお考えでしょうか?

 洗掘は大雨により生じたものと考えております。

【質問6】
 この洗堀と補修について、行政や地元にはどのように通知していますでしょうか?通知していない場合、その理由を教えてください。

 群馬県と安中市の各関係部署に通知しています。

                         以上
**********

■当会が入手した情報を詳細に提示して、どこまで事業者として把握し認識しているのか問い合わせたにも関わらず、「弊社を当事者とする情報を除いては、大変恐縮でございますが、正確性について分かりかねます」などと、ぞんざいな返事には驚かされます。

 また、土砂流出(洗堀)の発生原因について、東京ガスは「大雨」としか示しません。日量30ミリの決して激しいとは言えない雨量で、なぜ大規模な事故が発生したのか、施工に問題があったのではないか、と誰でも心配するところですが、東京ガスは、そうした地元住民の不安は他人事のように感じているとしか思えません。

 さらに東京ガスとして、地元住民への報告をした経緯が見当たりません。他方、群馬県と安中市には「各関係部署に通知しています」と言っていることから、群馬県と安中市に対してどのような報告をしたのか、情報開示請求を行う必要があります。

 ちなみに安中市環境政策課に聴取したところ、「6月に東京ガスの担当者と上席がやってきて、土砂流出の報告をしてきた記憶がある」とのことです。なお、安中市からは地元区長には何も報告していないそうで、地元軽視、大企業重視の安中市役所の姿勢がここにも垣間見ることが出来ます。

【ひらく会情報部】

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関東最大級のメガソーラー・・・東京ガスの安中合同ソーラー安中市太陽光発電所で土砂崩れか

2022-07-21 23:38:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題

■情報によると、安中市岩野谷地区のうち南部の野殿・大谷地区の丘陵地帯に日刊スポーツが朝日新聞グループのために計画した高級ゴルフ場計画跡地を、中国資本が関与する外資系のグレート・ディスカバリー・ホールディングスLLC社が主体となって設立した資本金1円の特別目的会社「安中ソーラー合同会社」が、総額140億円を三井住友信託銀行から融資を受けて、20億円で日刊スポーツから買い取り、残り120億円をかけて東芝パワーシステムズに発注し2020年1月3日に運転を開始しました。その後、僅か1か月余りしか経過しない同年2月12日に、突然、東京ガス株式会社が、自社100%出資子会社のプロミネットパワー株式会社により、「このたび、アジア・パシフィック・ランド・(ジャパン)・リミテッド社が運営を行ってきた特別目的会社である安中ソーラー合同会社を通じて『安中市太陽光発電所』を取得しました」とプレスリリースをしました。

 面積約130ヘクタールの里山のほとんどが伐採され、370万立方メートルにもおよぶ大規模な面積の里山が造成され、メガソーラー施設として稼働を始めたわけで、造成工事中に降った豪雨で、実際に土砂が下流に流れ出して、下流の水田に入り込むなど、懸念された被害が起きました。その後、調整池が完成して、その後は目立った水害は幸い発生していません。

■そう思っていたところ、稼働から2年が経過した今年2022年の3月ごろから、地元東野殿と水境地区にある農免道路を20トン以上もある大型トラックが何台も通行するのを地元の住民らが目撃しました。農業振興用の道路なので、路盤がさほど強くないため、大型トラックの通行により路面が損傷し、クラックが多数発生したり、路面が沈下したりする現象が発生しました。

 住民の皆さんからの情報によると、これらのトラックは、東京ガスが中国が絡む外資から土地以外の設備を買い取って運営しているメガソーラー「安中市太陽光発電所」に出入りしていたとのことです。

 そのため、事実関係を確認するために、7月20日に東京ガスから委託を受けてメガソーラー施設を管理する会社の関係者に確認したところ、降雨により施設内の管理道路などが洗堀されたため、埋め戻したり補強したりするために、外部からコンクリートを混ぜた砕石や砂などを大量に搬入して補修工事を「佐田道路株式会社」が請け負って施工したことがわかりました。

■他方、地元住民の皆さんからの情報では、地元の生活道路である農免道路を頻繁に走っていた20トン以上の大型トラックには「浅川商事」というロゴマークが目撃されたとのことです。

 こうした大型トラックは、本来、県道前橋・安中・富岡線から、大谷地区の西谷津に15年前に作られたサイボウ環境株式会社の一般廃棄物最終処分場の搬入用道路として業者の資金で完成後、安中市に寄付されて認定道路になった市道を使って、サイボウ環境の最終処分場の南側にある東京ガスのメガソーラー施設に出入りしなければならず、それ以外のルートの走行は禁止されているはずです。

 事実関係を確認すべく、さっそく佐田道路(電話027-268-6022)に電話をしました。受付の女性職員に、用事を伝えると30分後に、同社の本件工事を担当したという深津氏から電話がありました。

 同氏の話によると、依頼者(東京ガスもしくは管理委託会社の鹿島建物(株)かは不詳)から要請を受けて、2022年3月29日から6月10日まで工事を行ったとのことです。そして、砕石など補修用の土木資材を満載したトラックは、県道前橋・安中・富岡線からサイボウ環境の処分場の搬入道路を経て、処分場の周辺に沿って上り、一番高い場所から東京ガスのメガソーラーの入り口まで鉄板を敷いて施設内に入り、土木資材を下した後、同じルートを戻って県道に出るようにチェックをしていたとのことでした。

 そのため、本当にトラックが往復ともに指定のルートを通行していたのかどうか、再度念を押して確認を求めました。すると、同氏は「搬入する場合のみ確認したが、トラックが戻るルートについては確認していたわけではない」ことを認めました。

 当会では、地元住民の皆さんが、実際に、サイボウ環境の最終処分場の入り口前から、水境地区にある司ラーメン店脇の信号機のある県道との交差点に至る農免道路で、「浅川商事」とロゴを付けたトラックが何度も通行しているとの目撃情報を得ていることを佐田道路の深津氏に告げるとともに、「事実関係を確認してほしい」と要請しました。すると深津氏は「確かめて、結果を報告する」と言いました。

■すると1時間半後の午後5時半ごろ、深津氏から連絡がありました。それによると浅川商事に確認したところ、「復路で指定されたルートを通らずに、近道となる農免道路を2回程度利用した」ことを認めたそうです。そのため、実際に浅川商事のトラックが農免道路を走っている様子を目撃した地元住民らにこのことを伝えると、「2回なんてものじゃない」と述べていました。

■そして午後6時に再び深津氏に電話し、「2回どころじゃないという目撃談を得た。いずれにしても、大型トラックが路盤強度の無い農免道路を通行するとたちまちアスファルト舗装が痛み、クラックや沈下が起きて、そこから雨水が入り込み路盤や路肩を洗堀したり、雑草が生えて道路管理上も支障をきたすことで、結局その補修費用や補修作業は地元住民にもしわ寄せがくるので、二度とそうしたルール違反が起きないように徹底してほしい」と申し入れました。

 当会としては、かねてから大規模な造成に伴う土砂の洗堀や土砂崩れのリスクを懸念していましたが、早くもメガソーラー施設内のあちこちで実際に土砂の流出が発生し、その補修作業に2か月半近く要したことを重視し、このままだと今後も同様な事象が起きると考えています。

 そのため、今後も継続的に工事を請け負うと思われる佐田道路に対して、再発防止を強く申し入れたものです。深津氏によると、浅川商事のほかにも資材運搬業務に携わった会社のトラックが出入りしていたということで、同氏は当会に対して「今後は出入りするすべてのトラックについて、往路も復路も指定ルートを必ず通行するよう徹底します」と約束しました。

■一連の事実関係の確認の過程で、当会は最初に東京ガス本社に電話で問い合わせようとしました。ところが、同社のHPに連絡先として記載のある電話番号(03-3344-9100)に何度電話しても、合成音声で、「ただいま回線が込んでおり、しばらくお待ちくださるか、しばらくしてかけ直してください」と繰り返すだけでした。

 そのため、しびれがきれたので、今度は東京ガスの高崎支店のフリーダイヤル(0570-002-211)に電話をかけ直してみました。しかし、ココも本社とまったく同様な合成音声で同じフレーズを繰り返すだけで、一向につながる気配がありませんでした。

 そのため、近日中に直接東京ガスの関係先にコンタクトするなり、文書であらためて土砂流出状況と補修工事の内容について問い合わせる所存です。

【ひらく会情報部】
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危機対応における東京電力と東京ガスの類似性

2019-09-24 22:27:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題

■台風15号と台風17号に立て続けに見舞われた我が国ですが、明らかに台風の勢力が以前よりも増している感じです。とりわけ台風15号の場合は、千葉市付近に上陸するときの勢力は中心気圧960hPa、最大風速40m/sの「強い」勢力でしたが、上陸時の勢力は関東としては過去最強クラスとなりました。この台風15号による災害では、暴風により地上の構造物に甚大な被害が広範囲に生じました。なかでも、初動の遅れが問題になり、これは停電によって、電話やインターネットなど通信手段が途絶えたことも要因でした。東日本大震災でも想定外の被害により、これまでの技術的対応や解決のための対策の限界をまざまざと見せつけられましたが、今回の台風15号では、電力や通信インフラの脆弱性が露呈した感があります。東電はまたもや想定が甘かったなどとしています。安全神話で国民を騙した結果、未曽有の惨事を許した福島第一原発事故の反省が全く為されていないことが分かります。それでは東京電力と東京ガスの場合、今回の台風15号の被害はどうだったのでしょうか。

東京ガス群馬支社(高崎市東町)

 経産省が台風15号が関東地方を通り抜けていった直後の9月9日(月)午後9時時点で発表した被害状況は次の通りです。

*********経済産業省2019年9月9日
令和元年台風第15号による被害・対応状況について(9月9日(月曜日)21時時点)
 経済産業省関連の被害状況は、現時点で把握している限りでは以下のとおりとなります。
Twitter「経済産業省@meti_NIPPON」でも、最新状況を発信しています。
1. 電力(停電戸数)
○東京電力 約689,200戸
  茨城県:約43,400戸
  千葉県:約597,300戸
  神奈川県:約32,800戸
  静岡県:約15,500戸
 ※最大供給支障戸数 約934,900戸(9月9日 7時50分時点)
 ※停電の主な原因は、暴風雨・飛来物による配電設備の故障。
 ※千葉県、茨城県、神奈川県、静岡県については、9月9日夜に停電の復旧計画を東京電力HPで公開。
 ※栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、山梨県は、停電復旧済み。
 ※千葉県君津市で送電線鉄塔2基が倒壊。詳細調査中。
 ※東京電力では、9月8日 22時00分に災害対策本部を設置し約2,300名体制で対応中。
 ※他電力会社からの応援体制は、発電機車81台、復旧要員約1,300人。
 ※現時点で、役所施設や拠点病院等の重要施設における停電情報はなし。
 ※東京電力からはTwitter等で停電情報を発信。
 ※千葉県市原市の山倉水上メガソーラー太陽光発電所において、パネル破損及び火災が発生。
 ※千葉県旭市の飯岡風力発電所において、風力発電設備のブレード1本が破損。人的被害は無し。
○東北電力
  停電復旧済み

2. 都市ガス
 現時点で被害情報なし
 ※千葉県:東京ガス佐倉支社が都市ガスを供給している、四街道地区において、停電の影響で他社からのガスの受け入れができない状況。現在は、タンク貯蓄分(ガスホルダー2基)の消費で、ガスの使用はできているものの、現在の使用状況を勘案すると、16時半頃に需要家15,000戸で供給支障となる可能性あり。(9月9日 13時00分)
 ※ガス供給のバックアップをお願いしているその他の事業者からの供給が可能となり、供給支障は回避。(9月9日 16時00分)
 ※当該エリアのガスグループは12A

3. 高圧ガス・火薬類
 高圧ガス工業(株)横浜営業所が浸水し、高圧ガスボンベが容器置場から敷地外へ流出した。現在、流出ボンベはすべて回収済。ガス漏洩はなし。

4. 石油・コンビナート
(1)製油所・油槽所
  JXTGエネルギー(株)の2製油所(根岸製油所及び川崎製油所)、コスモ石油の1製油所(千葉製油所)について、一部精製装置が停止中。(出荷機能には影響なし)
いずれの装置も数日中に復旧見込みであり、在庫も十分にあるため、地域の安定供給には支障がない見込み。
(2)コンビナート
  JXTGエネルギー(株)袖ケ浦事業所で、倉庫内の製品缶から潤滑油50リットルが漏洩したが、既に回収済。なお、海上流出及び人的被害はなし。
古河電気工業(株)千葉事業所で、野外危険物ヤード内にある試験用変圧器の分圧器が落下し、内部の絶縁油が約100リットル(PCBを含む)が漏洩し、排水桝まで流れたもの。海上流出なし。現在、詳細を確認中。
  JFEスチール(株)東日本製鉄所千葉地区で、塩酸が海洋流出したもの。現在、流出は止まっている。流出量及び範囲は確認中。
(3)石油パイプライン
  成田国際空港(株)の千葉港頭石油ターミナル(東京湾に位置)で、4、5号桟橋に隣接する消火ポンプ室が浸水。
  航空燃料を荷揚げするためには、消火機能確保が必要であり、現在、消火機能を確認中。それに伴い、4、5号桟橋の揚油は停止中。現在、他の消化ポンプ室からのバックアップを確認中だが、復帰時期は未定。
  内陸にある燃料タンクに8.2日間分(16時00分時点)の貯蔵があるため、運航への支障はなし。

5. SS
 設備被害により、千葉県内で5か所、神奈川県内で9か所、茨城県内で2か所のSSにおいて、営業停止を確認。また、停電により、千葉県内で14か所、神奈川県内で1か所、茨城県内で7か所、東京都内で5か所のSSにおいて、営業停止を確認。引き続き情報収集中。

6. LPガス備蓄基地、充填所
 現時点で被害情報なし

7. 工業用水
○茨城県(鹿島3期工業用水道事業 鰐川浄水場)供給再開
 ※06時38分 給水停止⇒12時55分 給水再開:停電解消
○福島県(小名浜工業用水道事業) 供給再開
 ※10時31分 給水停止⇒11時30分 給水再開:ポンプ不具合解消
○福島県(勿来(なこそ)工業用水道事業)供給停止(取水門ゴミ詰まり)
 ※供給再開等は確認中

8. コンビニ・スーパー
 茨城県、神奈川県等の一部店舗で一時営業停止中

9. 工場等の被害状況
 一部、企業で物流拠点(横浜)が浸水、生産活動への影響は軽備な見込みだが、引き続き調査中。

【担当】
大臣官房 広報室長 野澤
太刀川、藤井、内田
電話:03-3501-1511(内線2276)
03-3501-2857(直通)
03-3501-6942(FAX)
**********

 これをみると、東京ガスなど都市ガス関連では、9月9日時点で今回の台風による被害情報はありませんでした。電線が地中化されず電柱で配電されている現状では、台風による暴風の被害により電線切断、鉄塔・電柱の倒壊など地表の構造物が大いに影響を受けやすく、もっぱら地下埋設のガス管などでは、台風の影響はきわめて限定的でした。

 一方、ガス設備・機器の運転には電気を必要とするものもたくさんありますが、停電でガスの供給が止まっても、配管に問題がなければ、ガスの圧力でしばらく供給されるため、マッチで着火すればとりあえず使えるわけです。

 しかし地震となれば、今度は地盤の変動でガス管にも大きな被害が出ます。とりわけ、可燃性の高い天然ガスが漏れて引火などすれば、大惨事になりかねません。

 そのため当会では、こうした災害時における安心・安全のため、地震や豪雨による土砂崩れなどの災害発生時に、地中に埋設された高圧ガス導管の異常の有無を東京ガスに問い合わせる場合の問い合わせ先を確認しておくことが、防災の基本の一つと考えました。

■そこで、さっそく東京ガスのお客様センター(027-322-2523)に電話をしてみました。すると自動音声で「お電話ありがとうございます。東京ガスお客様センターでございます。ガス、電気、そのほかお客様のご契約状況に応じた各種サービスをご案内します。
音声案内に従いご用件をお選びください。音声の途中でも操作は可能です。お引越しで使用開始や中止のご用件は1を、現在のお住まいでガスや電気の東京ガスへの切り替え、又は契約プランの変更をご検討の方は2を、お客様情報やお支払いに関するご用件は3を、ガス機器の修理・購入・工事や撤去のご用件は4を、ガス漏れのご連絡は5を、停電のお問い合わせは6を、そのほかのご用件や先着番号がご不明の場合は7を押してください」というので、さっそく7を押すと、コール音の後、「大変お待たせいたしました。受付の後藤でございます」という声がしました。

 「東京ガスの群馬支社ですか」と訊くと「こちらはお客様センターなので群馬支社様ではないんです」とのこと。「では今、これ、東京のほうなのね」「そうですね、こちらは関東県内でのコールセンターにつながっております」というので、さっそく事情を説明しました。

 「群馬県の安中地区在住の者ですが、東京ガスの高圧導管が村の生活道路の真下に付設されているんですが、地区の防災委員として災害時、とくに地震等、あるいは土砂崩れ等で万が一、市道の真下に埋まっているガス導管や、地区内に設置されている放散搭に関して、災害時に安全状況を問い合わせるホットライン用の連絡先としてはどこに連絡すればよいのでしょうか」と質問しました。

 受付嬢は「はい、ありがとうございます。只今確認いたします。少々お待ちくださいますか」というと、しばらく1分15秒ほどチャイム音を聞かされた挙句、「お客様、大変お待たせしました。申し訳ございません。こちら災害時にですね、なにかですね、地中などに埋めてあるガス管などが漏れたりとか、ガス漏れとかの緊急のお電話番号でよろしいでしょうか」と言うので、「はい、そうです」と答えると「ではこちらですね、電話番号をお伝えしますので、メモなどよろしいでしょうか」というので「はい」と言うと、「では申し上げます。0570-002299でございます。こちらも繋がらない際は、03-6735-8899でございます」とのこと。

 「そうですか、これ、前から課題だったのですけど、ここに電話をして、たとえば導管のネットワークで広範囲に東京ガスが管理していると思います。安中市で私の居住する地区には、放散搭も一箇所あるのですが、その地区内、あるいは安中市の東側の高崎市に近い地区における導管の安全性と言うのは常にモニターしていて、そこに訊けば最新情報がすぐ分かるというふうに理解してもよろしいのでしょうか」と質問すると、「えー、こちらのお電話番号は、ガス漏れ通報専用電話となっておりまして、ガス臭いなど緊急のご用件のみをうけたまわっております」と東京ガスが言うので、当方から「ガス漏れと言っても当方はカスタマーではありません。大量にガスを輸送している導管で、圧力も高くて直径も60センチもある大きなパイプなので、地震など地面に圧力がかかった万が一破損してガス漏れをした場合には通常のカスタマーの場合とは桁違いなリスクが生じますが、この場合でも対応できるのでしょうか」と質問しました。

 これに対して東京ガスは「もしそのような場合に弊社で対応できるのかということでしょうか」というので、当方からは「はい。その時に的確に瞬時に答えて対応できていただけるところがあるのかどうか。以前はパイプを敷設したとき、東京ガスの工事チームである導管事業部のほうから東京ガス群馬支社の高崎にいて、担当者の電話番号もあったのですが、今は工事が完成し、撤退してしまいました。どこで、パイプラインの管理をしているのか全く分からず仕舞いで、地元との協定書も全く結ばずに、締結を拒否されてしまいました。だから一朝有事には、安中市行政には聞いてみますが、行政が実際に施設を管理しているわけではありません。だからホットラインで、実際に住民が地区内に埋設されている東京ガスの施設の状況について、大丈夫でしょうか。漏れもないでしょうかと確認できれば安心だと思います」と説明しました。

 東京ガスは「大災害時に安全が瞬時に判断されたいということですね」と言うので、当方は「もちろんガス漏れがあってはいけないと思いますが、そのような緊急時には放散搭を開放してガスを空中に放出する措置も取られるかもしれません。そういう措置について周辺の住民に対して、そうした情報説明がないと不安を煽りかねません。だから今、どのような状態になっているのかについてホットラインで互いに意思疎通を図ってもらえたり、対処方針を伝えてもらえたりする手段を知りたいので、電話をした次第です。ホットラインとして、今の番号で大丈夫でしょうか」と念押しをしました。

 すると「ちょっと私のほうでお調べするのに時間がかかるのでお調べしてから的確なお答えをしたいとおもいますのでよろしいでしょうか」というので、当方からはそのように依頼しました。

■その後、1時間半後に東京ガスから電話がありました。

 同社群馬支社設備グループ幹線供給チーム所属のタケダ氏から。「弊社のお客様センターにお問い合わせをいただきまして、高圧ガス管についての安全性だとか、あと、緊急時の連絡先等を教えてほしいというお問い合わせというふうに引き継いでいますがそれで合っていますでしょうか」と訊かれたので、「はいそうです」と答えました。

 「まず緊急時の連絡先ですが、まずお客様のほうでガス漏れ等で、ガス臭いというようなご判断があって、連絡をしたいという緊急時の話だと認識しています」と東京ガスが言うので、当方は「それもありますが、窓口の女性にも説明したとおり、当方は東京ガスのユーザーではなく、導管の敷設を地域の生活道路の下に埋設されている立場であり、また放散搭も地区の中心部に設置されているため、今回の台風とか、あるいは地震とか、土砂崩れとか、ここは山間部なのでそうした時に、ガス管について異常があるのかないのか、何ともないように見えても地中に埋まっているのでよく分かりません。圧力が下がっているのか、亀裂があるのか、モニターを東京ガスでしているのではないかと思います」とコメントしたところ、東京ガスは「そうですね」と言いました。

 当方は続いて「今回の台風15号では、東電による停電と、それに伴う断水で千葉県では40万戸以上の方がいまだに大変な目に遭っています。そういうのを見ていると、自分は地域の自主防災委員に任命されたので、地域として災害時のリスクはどのようなものがあるか洗い出したときに、やはり東京ガスの超高圧ガス導管施設の安全性と言うのは非常に重要な対象物となってきます。そのため、それは今どうなっているのか、安心ですと言ってもらえれば良いのですが、ホットライン的なものを窓口として常に当方の公共施設に掲示しておくなり、あるいは回覧板で共有しておけば、そのぶん安心度が高いわけですよ」と説明しました。

 すると東京ガスは「ありがとうございます。なるほど。今回の災害においては、高圧ガス管に異常は見られていないということです。それは弊社のほうでちゃんと施設をモニタリングできる設備を十分整えており、それで異常がないという判断をしております」と述べました。

 そこで当方からは「今回の場合は、こちらのほうは台風の被害はほとんどなかったのですが、かつて緊急時に放散搭でガスを放出されたときは、我々住民が分からないうちに、地元住民に知らせずに、行われたことがあります。地元からは当時、東京ガスとのホットラインとか、情報共有のための協定書を結びたいと言いましたが、東京ガスは拒否しました。だからこういう場合に、改めて問題になるリスクがあり、こうやって問い合わせ先を教えてもらいたいのです」とあらためて申し入れました。

 東京ガスは「なるほどそういう意味ですと、もしお客様のほうでなにかそういう災害とかがあったときに、もしガス漏れ、ガスの臭いがするというときにご連絡をいただく電話番号からまずお伝えしたいと思います。まずガス漏れ、ガス臭いという感じがあった場合は、
保安指令センター
というところがございまして、番号が
03-5403-7485
になります」と言いました。


東京ガス本社(東京都港区)の緊急保安部の保安指令センター


保安指令センター内のモニター画面

 当方は「03というから本社にあるのでしょうか」と尋ねると、東京ガスは「本社のほうで一括でそういうガス臭いというお問い合わせを集中して受け持っている部署がございます」というのです。当方から「高崎の群馬支社ではないんですね」と念押しすると、「はい」と東京ガスが言うので、当方からは「大丈夫でしょうか。もし何かあった際の対応としては」と質問しました。

 すると、東京ガスは「はい。こちらの保安センターが24時間職場になっておりますのでそこで連絡があった場合は即座に群馬支社のしかるべき部署に24時間体制で連絡するというかたちになっておりますので、全く問題なくご安心いただければと思います」と自信満々で答えました。

■当方からは「あと、不安なのは、もし何か漏れたりしてガスの緊急遮断をするときに、電気が来ていないときには電気が使えないと思いますが、その辺の対策は自家発電とか蓄電池とか、何かありますか」と質問しました。すると東京ガスでは「はい、バッテリーを備えています」と答えました。

 当方から「どの施設もだいじょうぶですね」と確認を求めると、東京ガスでは「どの施設もバッテリーを備えておりますので、東電からの電気がなくても十分に安心して我々もモニタリングできますし、緊急時であれば設備も遠くから操作できる設備は全部ついているのでご安心いただければと思います」とこれまた自信満々の答えでした。

■当方から「ちなみに今回の台風25号では特段、東京ガスの場合は、被害は無かったということでしょうか」と質したところ、東京ガスは「はい、大丈夫です」と胸を張りました。「ガス漏れとか、ユーザーからの通報は特段いつもどおりで、殆どなかったわけですね」と当方から持ち掛けたところ、東京ガスは「今回の台風に関して群馬支社のエリア内ではまったくなかったです」と断言しました。

 ということは群馬県内ではトラブルはなかったが、千葉県内でのガス施設関連の被害は多少あったことがうかがえます。

 このように幸い東京ガスでは台風15号に対する被害はほぼ皆無だったにもかかわらず、東京ガスではガス漏れ検査の手抜きをやっていたことが報じられました。

**********産経新聞2019年6月12日20:22
ガス管検査漏れ6800件 着火事故なし、東京ガス
 東京ガスは12日、住宅解体後の更地などに残されたガス管のうち、関東1都6県の計約6800本について、法律で4年に1回以上の実施が義務付けられたガス漏れ検査を行っていなかったと発表した。
 最長で16年間未実施のガス管がある可能性もあり、今月中に全て点検する方針。これまでに千葉県内で微量のガス漏れが1件確認されたが、記録が残る過去10年間、着火事故などは起きていないという。
 同社によると、平成15年に使っていないガス管の情報を管理するシステムを導入した際、一部の管が登録されず、原因不明のデータ消失も見つかった。

**********朝日新聞2017年10月31日17時59分
ガス栓交換で検査省略し火災 東京ガス、16万件調査へ
 東京ガスは31日、ガス栓を交換する工事の際に必要なガス漏れ検査を作業員が省略したことで、実際に火災が起きていたと発表した。経済産業省は同日、東京ガスに厳重注意処分を出すとともに、同じガス栓の交換工事をした約16万件について、不正がなかったかを調べるよう指示した。
 東京ガスは昨年12月以降、空気穴があるタイプのガス栓約45万件について、空気穴のないタイプに付け替える工事をしてきた。このうち、東京都練馬区内で今年10月12日、交換工事をした日にガス漏れが原因とみられる火事が起き、ガスコンロなどが焼けた。
 調査の結果、工事を請け負ったグループ販売店「東京ガスライフバルTAKEUCHI」(練馬区)の作業員が、ガス漏れ検査を省略し、検査をしたかのように記録用紙を書き換えていたことが分かった。
 その後の調査で、この作業員が「検査がしにくい」といった理由で、記録用紙を書き換えたり別の検査結果を転用したりして、86件で検査を省いていたことが分かった。さらに、別の作業員2人が実施したガス漏れ検査2件についても、記録用紙を転用していたことが判明したという。
 経産省は不正のあった計88件について1週間以内に巡回して安全を確認することや、交換工事済みの16万件について不正がなかったかを3週間以内に報告すること、原因究明・再発防止策を1カ月以内にまとめることなどを求めた。(斎藤徳彦)
*********

■また、最近の電力・ガス自由化に伴い、東京ガスと東電との縄張り争いが激しさを増しています。次の記事のように現在のところ、圧倒的に東京ガスの優勢が続いているようです。


ガス会社を変えなくても、東京ガス以外も・プロパンガスでも・集合住宅でもOK!電気代が3か月分10%OFFで攻勢をかける東京ガス。

*********選択出版2019年8月14日7:07配信
東京ガスが原発事故処理の妨げに? 顧客奪われた東京電力の恨み節
 東京ガスの収益が膨らむ裏側で、東京電力ホールディングス(HD)がその割を食い、福島第一原子力発電所事故の処理にも影響する恐れがあるという。東電HDの利益が原発事故の処理費用に回される仕組みになっているからだ。
 六月末までの東ガスの電力契約申込件数は二百二十万件。東電HDの顧客の一割ほどが奪われた計算だが、利益はそれ以上に減っている。小売会社の経常利益は、二〇一六年度は七百四十七億円、一七年度は一千百五十九億円だったが、一八年度は七百二十七億円と落ち込んだ。電力業界関係者は「東ガスが利益率の高い客を奪っている。東電HDはガス自由化で逆に東ガスの客も取っているが、ガスの利益率が悪く、電力顧客の流出をカバーできない」と分析する。
 東ガスは一九年度中に契約件数二百四十万件の目標を完遂したい考え。東電HDからは「福島復興に悪影響を及ぼす。中部電力と東邦ガスのように、どこかで手打ちすべきだ」との愁訴が聞こえてくるが、東ガスは耳を貸さない。利益を福島に還元させることを条件に存続が許された東電HDが、肝心の利益を上げられない状況だ。
*********

 こうなると当然ガスメーターもスマート化されてきます。東京ガスでは2019年3月から一部の導管エリアで、ガスメーターの定期取替に際し、無線機付きマイコンメーターを順次設置していく予定を打ち出しました。無線機付きマイコンメーターへの取替費用は無料で、作業予定日の1週間程度前と作業完了日に東京ガス指定工事店より、お知らせ用紙を投函するだけで施工しているようです。

■こうして今回、災害発生時のホットラインとして東京ガスのコンタクト先が判明したので、今後、地元の自主防災会にも周知徹底させていく所存です。

【ひらく会情報部】

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豊洲の土壌汚染原因者の東京ガス=有毒スラグ汚染原因者の大同特殊鋼=赤城バイオマス発電の関電工の相関性

2016-09-22 00:45:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■もともと東京ガスの石炭乾溜方式のガス製造工場があった跡地に首都東京都民の食材を扱う市場を移転すること自体、常識ではありえないことですが、それを平然とやってしまうのが我が国の行政です。案の定、築地市場の豊洲移転で連日、大揺れの報道が飛び交う始末になっています。前述の通り豊洲新市場は東京ガスの工場跡地で、土壌には有毒物質がたっぷり含まれていました。2008年の調査では、発がん性物質のベンゼンが基準値の4万3000倍という、日本の土壌汚染史上最大の高濃度を検出するなど、“我が国最悪”とも呼べる汚染地帯でした。
※東京ガスの行状と本性については当会のブログ集を参照ください。
http://pink.ap.teacup.com/applet/ogawaken/msgcate11/archive

 ここに手狭で老朽化したということで築地市場を移転させて「豊洲新市場」の看板を掛けること自体、無理難題でしたが、東京都は「土壌汚染対策として、敷地全体の汚染土を削ってきれいな土で“盛り土”をした」と説明してきました。しかし実際には建物の地下では行われておらず、嘘っぱちだったことが明らかになったのでした。

 自ら汚染対策として「盛り土」方式に決めておきながら、実際には東京都は、建物地下に“盛り土”をしないで、高さ約5mの不可解な“地下空間”を作ってしまいました。この「地下空間」は、東京都が2007年の専門家会議で、市場で使われる荷台付き小型三輪車(通称「ターレ」)の置き場や、配管メンテナンス用の地下ピットとして提案したもの。しかし専門家から、「(ベンゼンなどの)揮発性のものは、隙間や亀裂から室内に入り込んでたまってしまう可能性がある」との指摘を受けました。

 その後、東京都からは、「やはり建物地下には盛り土はせずに地下空間を作ります」などという説明が一切なされないまま、858億円もの巨額な土壌汚染対策費用が投入されたのでした。当然責任追及が為されなければなりませんが、現在の報道を見る限り、関係者による責任のなすり合いが続いている感があります。

 当然のことながら、納税者としては、巨額の公金が投入されたこの汚染対策事業について「いつ、誰が、どのように、このような判断を下したのか」を徹底的に明らかにしない限り、納得できないわけで、まずは当時の都政の最高責任者である石原慎太郎元都知事にその説明責任を果たす義務があるわけです。なぜなら、この築地の豊洲移転は、石原氏の現職期間中(1999年~2012年)に発案され、推進され、予算案が可決されたからです。

■この豊洲新市場の騒動に接している群馬県民としては、群馬県内で起きている有害スラグによる土壌汚染問題や、赤城南麓の木質バイオマス発電による木質チップの放射能を含む搾汁の地下浸透による土壌汚染問題を思い起こしてしまいます。

 大同特殊鋼も、東電グループの関電工も土壌汚染の原因者となる(あるいはなり得る)にもかかわらず、行政からの手厚い支援を受けて、超法規的措置で保護されている感があります。

 そうしたなか、環境とCSRに焦点を合わせた日本唯一のビジネス情報誌を標榜する「オルタナ」マガジンが、豊洲新市場にかかる土壌汚染問題で興味深い記事を掲載しています。さっそく見てみましょう。

**********オルタナ 9月21日(水)11時59分配信
http://www.alterna.co.jp/18894
豊洲の土壌を汚染した東京ガスの社会的責任は
 築地市場の豊洲移転を巡っては、土壌汚染対策として「あるはずだった盛り土」が無かったことで、紛糾の度合いが一気に高まった。メディアは石原慎太郎・元都知事や元市場長らに矛先を向け始めたが、そもそも土壌を汚染した東京ガスの責任を問うメディアは意外に少ない。(オルタナ編集長・森 摂)

 同社は、汚染対策工事費用100億円と追加の78億円を東京都に支払い、これで決着を付けたようだ。しかし、こうした「経済的責任」以前の「法的責任」、そして「社会的責任」に対して同社はどう向き合ってきたのだろうか。

 そう考えていた最中に、一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)の藤井良広・代表理事(元日本経済新聞編集委員、元上智大学大学院教授)が9月18日、「東京都・豊洲市場 土壌汚染問題。汚染地を売却した東京ガスの責任はどうなのか?」と題した記事をRIEFのサイトにアップした。
 藤井氏は次のように記事をまとめた。「長年にわたって土壌汚染を積み重ねてきたのが東ガスであることは否定できない事実である。少なくとも企業の社会的責任(CSR)の観点からの対応責任は今も、東ガスにもあるとみるべきだろう。しかし、東ガス自体は、今回の問題再燃に対して、臆病なほど発言を控えているようにみえる」
 確かにメディアで連日、豊洲の問題が取り上げられているにも関わらず、同社が改めて土壌汚染問題で説明したという話は聞かない。都庁関係者や市場関係者が大混乱になる中で、汚染源の発生者としての社会的責任は改めて問われないのだろうか。
 藤井氏は電話で「買ったのが民間企業なら必ず訴訟になっていた案件。東京ガスは汚染対策費を負担したとしても、それでも説明責任はある。CSRこそ本業の価値に影響する。さまざまなリスクがちらついている中で、株価に影響する可能性もある」とのコメントを寄せてくれた。
 東京ガス豊洲工場は1956年、当時の最新鋭の技術を集めて完成した(1976年まで20年間操業)。当時の都市ガスは、現在の天然ガス(LNG)と違い、石炭を蒸し焼き(乾留)にして作られた。石炭を炉に投入し高温で乾留すると、ガスが20-24%取れる。その過程でコールタールやベンゾールなどが発生し、最後にコークスが残る。コークスは製鉄や蒸気機関車の燃料になった。
 このガス製造の副産物が、いま問題になっているベンゼン、シアン、鉛、ヒ素、六価クロム、水銀など。豊洲工場の跡地からはベンゼンが環境基準の43000倍、シアン化合物も同860倍も検出されている。
 これらの苛烈な土壌汚染について、東京ガスはその法的責任に向き合ってきたのだろうか。
 まず公害対策基本法(1967年)と、その後を継いだ環境基本法(1993年)。さらには土壌汚染防止法、水質汚濁防止法などの法令もある。これらについてオルタナ編集部は、環境省の担当者に今回の豊洲の土壌汚染についての見解を聞いた。
 では、同社の社会的責任はどう果たされるべきなのだろうか。近年のCSRでは、直接的に法令(ハードロー)に違反しないと思われる事例(ソフトローの範囲)においても、ステークホルダーとの対話を通じて説明責任を果たすべきという考え方が主流だ。
 同社のステークホルダーの第一は住民だろう。住民は工場の土壌に今も残る苛烈な汚染の影響を直接的・間接的に受ける可能性があるとともに、ガスの直接的なユーザー(顧客)でもある。その次に、従業員とその家族だ。すでに40年前に操業を停止したものの、これだけの汚染を出し続けてきた工場で働いた人たちに健康被害はなかったのだろうか。
 株主への説明責任も当然ある。コーポレート・ガバナンス・コードの「基本原則3」には「上場会社は(中略)リスクやガバナンスに係る情報などの非財務情報について、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである」との記述がある。
 何よりISO26000は、企業(組織)の社会的責任を「組織の決定および活動が社会および環境に及ぼす影響に対して、透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任」と定義している。そこには「健康及び社会の繁栄を含む持続可能な発展への貢献」が含まれる。今回の豊洲の土壌汚染は、まさに「組織の決定及び活動が社会および環境に及ぼす影響」に該当する事例であろう。
 その上で、オルタナ編集部は、東京ガス広報部に下記の三つの質問をした。
 1)なぜ豊洲工場でのガス製造過程において土壌を汚染してしまったのか。土壌汚染への対策は取っていなかったのか。
 2)2007年3月、貴社が豊洲工場敷地の土壌対策を完了した後、なぜ東京都がさらなる土壌汚染対策をしなければならなかったのか。
 3)豊洲工場の土壌汚染について、社会的責任に基づき、ステークホルダー(顧客である都民、従業員、株主など)への説明はどのようにしてきたか。(東京ガス広報部の回答は末尾記事を参照ください)。
 ところで、東京ガスのホームページには、これまでの土壌汚染の事例と経過の説明があった。そこには豊洲だけではなく、実に14カ所(※)の同社所有地で、「部分的に環境基準を上回る汚染物質(主にシアン、ベンゼン、砒素)が検出された」ことを明らかにしている。(※大森用地、千住用地、相模原用地、日立用地、宇都宮用地、平塚用地、甲府支社用地、甲府工場用地、鶴見事業所、末広工場跡地、横浜工場跡地、平沼用地、江東区の深川用地、熊谷用地)
 同社は土壌汚染について「操業開始の時期が古いため、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷等による漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます」と回答した
 だが、これほど多くのガス製造工場で、一様にシアンやベンゼンが検出されたということは「石炭の乾留技術は土壌汚染を前提に成り立っていた」と結論付けざるを得ない。この点については、引き続き東京ガスに回答を求める予定だ。

**********http://www.alterna.co.jp/18895
豊洲の土壌汚染問題について環境省の見解
 豊洲の土壌汚染問題について環境省の見解は次の通り。
(2016年9月20日、オルタナ編集部が電話取材)

1)環境基本法に違反していないか。
 環境基準の値を守ることが望ましいが、守らなければいけないものでもない。環境省としては指導できるものではない。
●環境省 水・大気環境局 土壌環境課 中村 功 係長

2)土壌汚染防止法に違反していないか。
 掘削工事を行う場合に届出の義務がある「形質変更時要届出区域」に該当する。土壌汚染の人への摂取経路がなく、人が立ち入らない場所で、対策はしなくても措置が必要となる
●環境省 水・大気環境局 土壌環境課 中村 功 係長

3)水質汚濁防止法に違反していないか。
 工業用水など流すことを禁止した「特定施設」に該当する。東京都に届け出の義務がある。違反している・していないの判断はできない。
●環境省 水・大気環境局 土壌環境課 地下水・地盤環境室 遠藤 祐太郎 係員

**********http://www.alterna.co.jp/18896
豊洲の土壌汚染について東京ガス広報部の回答
 豊洲の土壌汚染について、オルタナ編集部からの質問に対する東京ガス広報部報道グループ・府川浩明氏からの回答は下記の通り。

1)なぜ豊洲工場でのガス製造過程において土壌を汚染してしまったのでしょうか。土壌汚染への対策は取っていなかったのでしょうか。

回答: 豊洲工場では、昭和31年から昭和51年まで、石炭を主原料として都市ガスを製造しており、その製造の過程で、ベンゼン・シアン化合物等の物質が生成されていました。それが何らかの理由で土壌に浸透したものと思われます。操業開始の時期が古いため、正確に原因を特定することは困難ですが、装置の損傷等による漏洩があり、土壌に浸透したものと推定されます。
 工場操業時には、昭和34年(1959年)に施行された下水道法、昭和42年(1967年)に施行された公害対策基本法、昭和43年(1968年)に施行された大気汚染防止法、昭和44年(1969年)に施行された東京都公害防止条例、昭和46年(1971年)に施行された水質汚濁防止法などがございましたが、稼働中は常にその当時の環境規制法規を順守しておりました。


2)2007年3月、貴社が豊洲工場敷地の土壌対策を完了した後、なぜ東京都がさらなる土壌汚染対策をしなければならなかったのでしょうか。

回答: 弊社は豊洲地区用地について、平成10年7月から土壌調査を実施し、平成13年1月にその調査結果を公表の上、東京都の「環境確保条例」並びに東京都との合意に基づいて対策工事を実施し、平成19年4月に「汚染拡散防止措置完了届出書」を東京都に提出して確認をいただき、対策工事を完了しました。これにより、東京都との合意事項を履行し、法的な手続きを完了いたしました。
その後、東京都が「食の安全」のために実施しました詳細調査において、新たな汚染が確認されたため東京都が土壌汚染対策を実施したものです。東京都は市場施設建設に伴い土壌汚染対策を実施しておりますが、自然由来を除いた土壌汚染は弊社の工場操業に由来するものと考えられ、市場が公益性の高い施設であることから、これまでの経緯を踏まえ、東京都との協議の結果、東京都が実施する土壌汚染対策費の一部を負担することといたしました。


3)豊洲工場の土壌汚染について、社会的責任に基づき、ステークホルダー(顧客である都民、従業員、株主など)への説明はどのようにしてきたのでしょうか。

回答: 豊洲工場の土壌汚染に関しては、以下の内容をプレスリリースおよび「CSRレポート」等にて情報開示するとともに、株主様向けに適時開示を実施しております。
(プレスリリース)
・平成13年1月25日「社有地の土壌調査結果と今後の対応について」
(CSRレポート)

http://www.tokyo-gas.co.jp/csr/report_j/5_environment/management02_01.html
**********

■小池新知事が果たしてどこまで苛斂誅求を極めて真相を暴き出せるかが注目されます。それに比べると我らが群馬県においては、まさに汚染原因者にとってのタックスヘイブンみたいな行政による手厚い保護環境が整えられているとしかいいようのない状況が繰り広げられています。

 これからも大同スラグによる土壌汚染問題や、関電工らによる放射能汚染木材の大量搬入とチップを高圧の圧縮プレスで水分を絞り出し、放射能汚染された水を地下浸透させることによる土壌汚染問題について、粘り強く追及していきます。

【市民オンブズマン事務局からの報告】

※参考情報
*********週刊文春2016年9月29日号(9月21日発売)
総力取材 豊洲の「戦犯」 石原慎太郎とドン内田
▲石原単独直撃「豊洲は専門じゃない。浜渦副知事に一任していた」
▲ベンゼンまみれの豊洲が1859億円 浜渦がサインした疑惑の覚書
▲土壌汚染対策工事を全区画受注 鹿島専務は石原知事元秘書
▲民主党議員を寝返らせ1票差で豊洲移転を可決させた内田茂
▲小池知事が空けたパンドラの箱「落とし所は決まっていない」


盛り土問題をきっかけに混迷を深める豊洲新市場問題。誰が、いつ豊洲への移転を決めたのか。なぜ、豊洲でなければならなかったのか。その経緯を検証すると、二人の「戦犯」が浮かび上がる。そして、暗躍した副知事の存在。すべては石原都政時代に始まった――。

 九月十八日夕方、閑静な高級住宅街にある石原慎太郎元都知事(83)の自宅前は、多くのテレビカメラと記者に囲まれていた。玄関に姿を見せるや「あなた方に話をする必要はない。邪魔だ、帰りなさい」と言い残し、足早にウォーキングに出掛けていく石原氏。小誌記者は一人その後を追いかけ、声をかけた。
 なぜ汚染された豊洲の土地を買ったのか。
「何も知らない。あれは福永(正通副知事)から引き継いで浜渦(武生副知事)がやったんでしょ。僕はね、横田(基地)とか、大江戸線とか、尖閣諸島を守ることに必死だったから」
――つまり豊洲は専門ではない?
「まあ、彼は一緒に使命感を持ってやっていたけどね、僕は人から聞いたんだけど、浜渦が胸張って『俺が実質的知事』と言ってた(笑)」
 築地市場の移転先となる豊洲新市場。だが、その主要建物の地下で、都が土壌汚染対策に実施したとしていた「盛り土」がされていなかったことが明るみに出ると、移転を推進してきた石原氏の関与が注目を集めるようになった。
「当初、石原氏は『これは僕、騙されたんですね。手を抜いて、していない仕事をしたことにし、予算措置をした。都の役人は腐敗している』と“被害者”であると説明していた。ところが、二〇〇八年五月の知事会見で建物下にコンクリートの箱を埋める案に言及していたと報じられると、『市場長から(地下空間案の)報告を受けた』と言い出したのです。これに対し、当時の中央卸売市場長の比留間英人氏は『知事から提案がありました』と否定しました」(都庁担当記者)
 二転三転する石原氏の説明。小誌に対しても、石原氏は「比留間君には僕のほうから言ったんだ」と前言を翻してこう続けた。
「比留間から(報告が)上がってきたんじゃない。この話はね、週一回の副知事もいる幹部会で『こういう話もあるよ、やってみたらどうだ』と言ったら、なるほどとなって、その後の記者会見で僕は披露したんだよ。あれ(地下空間案)は悪いわけじゃない。あそこに本当に二階、三階の駐車場を作って建物を造ったほうが支えになると聞いて、なるほどと思って、比留間君に言ったんだよ。
 その後、ふぁーっと物事が進んでね、後は全く何の報告もない。(特別秘書だった)兵藤(茂)も『あの話の後、不思議なことに何の報告もなかったです』と言っていた。(彼は)克明に時系列でメモしていたみたいだからね」
 そして「足腰弱っちゃうから。野垂れ死ぬのは嫌だから」と言って、一定のリズムで腕を振り、ウォーキングを続けたのだった。
 混迷する豊洲移転問題。
 もともと移転を巡っては、「築地」ブランドが失われる、豊洲の交通・物流アクセスの悪さ、土壌汚染の危険性などから反対論が根強かった。にもかかわらず、なぜ豊洲だったのか。

★大赤字を消すための移転

「一九六〇年代から築地の移転計画はありましたが、反対論が根強く、八六年に築地での再整備が決定しました。一旦工事が始まったものの、二十年という工期の長さや整備費用が問題視され、九六年に工事はストップ。そこで都が移転候補地を調査したところ、東京ガスの工場跡地で広大な土地がある豊洲が浮上したのです」(元都庁幹部)
 九九年四月、石原都知事氏が誕生すると、豊洲への移転構想が一気に動き出した。その背景にあったのが、都が抱えてきた“ブラックボックス”だ。
「それは、都が推し進めてきた台場、青海、有明などの臨海副都心開発です。豊洲もこの再開発地区に含まれ、駅が開業するなど整備が進められた。しかし、バブル崩壊で開発は失敗に終わり、その特別会計は、累積五千億円超の大赤字を抱えていました。まず、石原氏はこれを黒宇の羽田沖埋立事業会計などと統合させ、赤宇を見えにくくした。そして、築地市場を豊洲に移転させて、超一等地の市場跡地を民間に高値で売却し、赤宇削減と臨海再開発の一挙両得を狙ったのです」(同前)
 だが、移転は簡単ではなかった。土地の所有者である東京ガスとの交渉が難航したのである。
 交渉は当初、福永副知事担当でしたが、なかなか前に進まなかった。東京ガスは、芝浦工業大を誘致するなど独自に豊洲の再開発計画を立てており、土地の売却を渋っていたのです。
 また、東京ガスは〇一年一月、環境基準値を大きく上回るベンゼンなどが検出されたと公表した」(同前)
 ただ、石原氏は諦めておらず、交渉担当を浜渦副知事に交代させていた。
「浜渦氏は、石原氏が国会議員時代から公設秘書を務めてきた側近中の側近。庁内で人事権を振り回し、浜渦氏に近い人間が市場長にも就任していました」(当時、知事本部に勤務していた都庁職員)
 “実質的知事”を自任していたという浜渦氏に改めて経緯を尋ねると、
「私、(豊洲移転は)タッチしましたよ。担当の副知事がいたけど、話が進まなかったので。ダメだったから私が引き取ったんです」
 浜渦氏は、持ち前の“豪腕”で、渋る東京ガスとの交渉を進めていく。
 二〇〇一年二月二十一日には、浜渦氏は東京ガス副社長と〈覚書〉を交わし、十月を目途に地権者との最終合意を得るとした。
 そして、七月六日には、ついに基本合意に達する。
 これにより、築地市場の豊洲移転は大きく動き出すことになった。
 前出・元都庁幹部の解説。
「もともと防潮護岸の整備費は東京ガスも相当程度負担する予定でした。ところが合意文書では、東京ガスの負担をゼロにするという条件が盛り込まれたのです」
 当時、東京ガス副社長として文書にサインした伊藤春野氏は「十年以上前で全部忘れています」と答えた。
 東京ガスの広報部は、
「築地市場は都民をはじめ多くの人々の生活を支える重要な公益施設であることから、基本合意に達しました」と回答した。
 さらに都と東京ガスとの契約では、都の保有地と、工場跡地の五、六、七街区の一部を交換した上で、残りの土地代金を東京ガスなどに支払うことになった。その額は一五年三月現在、千八百五十九億円にのぽる。
 この土地購入を巡って公金支出金返還請求訴訟を起こした水谷和子氏が語る。
「きれいな土地と、汚染された土地を等価で交換していることが、まずおかしいのです。さらに、都は○六年に約七百二十億円で予定地の一部の約十三ヘクタールを東京ガスなどから購入しましたが、この土地の評価額は、汚染なしの土地とほぼ同じです。その理由として、都の財産価格審議会は『東京ガスが○六年三月までに掘削除去することになっているため、土壌汚染対策に関わる要因を考慮外とした』と説明していました。ところが、東京ガスは汚染の“封じ込め”をしただけで、すべての汚染の“掘削除去”までは行っていなかった。この事実は、東京ガスが都に提出した汚染処理の報告書にも明記されています」
 豊洲移転の目算をつけた都は、〇七年以降、予定地全体の土壌や地下水の調査を実施した。その結果、ベンゼンが最大で環境基準の四万三千倍、シアンが九百三十倍も検出される。
 都は専門家会議(座長=平田健正和歌山大教授)を設置。同会議は○八年七月に「敷地全体に盛り土を実施するべき」と提言した。

★「石原には全部言っている」

「『新たな土壌汚染対策を徹底的にやる』と言っていた比留間市場長に対し、石原氏は『時間もかかる。カネもかかる。そこまでやることないだろ』と不満を滲ませていた。平田氏にも『いつまでも四角四面のやり方のままだ』と怒ったことがありました。そこで会見でコンクリ箱案を披露するのです。石原氏の頭にあったのは、早く安く市場を豊洲に移転させることだけでした」(元市場部門幹部)
 紆余曲折をへて進んできた豊洲移転が、最大の危機を迎えたのは、二〇〇九年だった。
 七月の都議選で、移転反対を掲げる民主党(当時)が第一党を占めたのだ。都議会で関連予算が成立しなければ、土壌汚染対策工事も進められず、移転はストップする。
 ここで登場したのが、“都議会のドン”こと内田茂氏(77)である。当時の内田氏は、前出の都議選で落選したものの、自民党東京都連幹事長に留任。都議会に部屋と車が用意され、都政に大きな影響を持っていた。
 そもそも内田氏が“ドン”としての地位を揺るぎないものにしたきっかけは、浜鍋氏だった。
「当初、石原氏と内田氏の関係は険悪でした。九九年に初当選した石原氏が挨拶回りをした際、都議会自民党の控え室には誰もいなかった。内田氏の指示で石原氏と対決姿勢を取ったのです」(都連幹部)
 そして○五年、内田氏主導で都議会に百条委員会が設置され、石原氏の右腕だった浜渦氏はやらせ質問を巡る答弁偽証で副知事辞任に追い込まれる。
「公明党や民主党と太いパイプを持つ内田氏は都議会の意向をバックに、石原氏に『浜渦氏を辞任させるべき』と引導を渡したのです。
 一方で、内田氏はこの後、伸晃氏を都連会長に担ぎ、石原氏に恩を売ることも忘れませんでした」(同前)
 以降、石原氏は内田氏との関係を深めていく。
「〇八年の新銀行東京問題では、自民党が議会で追及しないよう内田氏側に根回しをしていた。内田氏も国会議員や都庁幹部に対し、『石原には全部言っているからよお』と言い放っていました」(同前)
 豊洲移転の最大のピンチに、石原氏はやはりドンを頼った。内田氏は落選中にもかかわらず、民主党との交渉を水面下で指揮する。

★次々民主党都議を寝返らせる

「当時、知事与党対野党の勢力図は六十二対六十三で劣勢だった。そこで内田氏は、築地に関する特別委員会の委員長だった民主党の花輪智史都議を寝返らせたのです。東日本大震災当日に行われた移転関連予算案の採決は、一票差で可決しました。内田氏は、世田谷区長選への出馬を狙っていた花輪氏に『石原知事を応援に行かせるから』と約束していた。実際、石原氏は応援に行きました。花輪氏は区長選に落選しますが、その後の就職の世話も内田氏がしていたといいます。後に内田氏は『花輪への義理は果たせた』と言っていました」(民主党都議)
 その後、花輪氏は石原氏率いる日本維新の会から、都議選や衆院選に出馬したが、落選した。今回、小誌の取材に「築地と区長選は絡んでいない。内田氏は関係ない。就職の世話も受けてない」と回答した。
 だが、議会運営はその後も綱渡りだった。一一年七月には〈内田、許さない〉と綴った遺書を残して樺山卓司自民党都議が自殺したのだ。すると内田氏は再び民主党を切り崩した。
「民主党の相川博都議が離党届を出し、再び与党会派が上回ります。翌一二年三月、移転関連予算案は賛成多数で可決された。内田氏は、この相川氏を一五年に都議会自民党幹事長に就任させます。借りを返すことで求心力を高めるのがドンのやり方なのでず」(自民党都議)
 相川氏はこう語る。
「佐藤広副知事(当時)が高校の後輩で、内田先生に一度会ってくれないか、と言われて会った。(幹事長は)お断りしたんだけど、義理人情だと思いますよ」
 地方自治は、議会と知事が、相互の牽制と調和によって公正な行政を確保する二元代表制をとる。しかし、知事の石原氏と都議会のドン・内田氏が手を結ぶことで、豊洲移転はチェツク・アンド・バランスが働かないまま、今日を迎えたのだ。
 その結果、総事業費は○九年二月時点の約四千三百億円から約五干九百億円と大幅に膨らんでいる。そうした事業費はどこに流れているのか。
 一一年八月にはまず豊洲新市場の青果棟(五街区)、水産仲卸売場棟(六街区)、水産卸売場棟(七街区)の土壌汚染対策工事という三件の競争入札が実施された。
五街区=鹿島ほか六社JV(落札額=約百十四億円)
六街区=清水建設ほか十社JV(約三百十八億円)
七街区=大成建設ほか五社JV(約八十五億円)
「いずれも九五%前後の落札率でした。この土壌汚染工事を巡っては、都は入札の四日前に談合情報を入手していたことを認めています」(ゼネコン関係者)
 しかもJVの筆頭幹事として落札しつつ、他街区でもJVに加わり、結果、五~七街区全てで工事を落札した社がある。鹿島だ。
 鹿島は一四年二月、豊洲新市場(五街区)の建設工事も、JVの筆頭幹事として落札している。落札率は九九・九六%だった。
「入札直前に都幹部がゼネコン側にヒアリングを行っていたことを朝日新聞がスクープし、官製談合疑惑が取り沙汰されています」(社会部記者)
 実は、鹿島と石原氏には太いパイプがある。鹿島の栗原俊記専務執行役員が石原氏の元公設秘書なのだ。
「栗原氏は鹿島に入社後、すぐに休職して石原氏の秘書になります。石原氏と同じ一橋大学卒で信頼も厚かった。事務所内では総務関係の仕事をしていました。約十五年間秘書として働いた後、鹿島に復帰するのです。それだけブランクがあったにもかかわらず、営業畑であっという間に出世し、いまや専務です。石原都政下では、秋葉原の再開発事業で鹿島に有利にコンぺが行われていたと報じられたこともありました」(石原氏の元秘書)
 栗原氏が社用車に乗って帰宅したところを直撃したが、「私の口からお話しすることは何もありませんので」と語るのみだった。
 鹿島は「栗原氏は(土壌汚染対策工事の)担当ではありません」と回答。都財務局も「一般競争入札の手続きにより適正に行われたものです」と回答した。
 豊洲市場工事を巡っては、内田氏の親密企業も受注したことは、小誌既報の通りだ。豊洲新市場の管理施設棟の電気工事を一三年十二月に約三十八億円で落札したのが、東光電気工事が中心のJVである。
「内田氏は落選中の一〇年から東光の監査役を務めています。報酬は年三百五十万円程度。東光には娘婿まで入社させています」(東光元幹部)
 東光は小誌に「個別の営業は(内田氏に)相談していない」と回答している。
 巨額の税金が投入される中、数々の“闇”が付きまとう豊洲への移転。渦中の石原氏は、小池氏に「徹底してやってもらいたい」とエールを送るが、小池氏の心境は複雑だという。
 「都知事選の最中には、石原氏が都連の大会で小池氏を『大年増の厚化粧で嘘つき』と罵倒していましたから」(政治部デスク)
 小池氏は都知事選出馬前、小誌の取材に石原氏との因縁をこう明かしていた。
「父が石原さんの後援活動をしていた関係で、猪瀬(直樹)さんが辞めた年末、石原さんから電話がかかってきた。事務所でお会すると、『知事選に出ないか。必要なカネも出す。お父さんへの恩返しだ』と言われて。ところが、いつの間にか田母神(俊雄)さんを支援していた。私もビックリしましたよ」
 一部では小池氏と浜渦氏の連携も囁かれるが、「浜渦氏は小池氏の初登庁時に勝手に都庁に姿を見せていました。ただ、小池氏は『浜渦さんは学生時代、我が家に居候していたけど、今は全然関係ない。近いと言われて本当に迷惑している』と言っていた」(小池氏周辺)

★石原氏「強く反省しています」

 石原氏は書面での事実関係の確認に対して、改めて次のように回答した。
「(浜渦氏の交渉経緯について)このような重要な案件を任せたことで、浜渦氏が過剰な権限を行使するに至ったのであれば、強く反省しています。質問内容が事実であるなら、当時の知事としての責任を感じています。経緯等は浜渦氏自身に聞いてもらいたい。
(鹿島の土壌汚染工事について)これら複雑な事情に関しては、一切関知しておりません。(内田氏に頭を下げたことなどは)すべて事実と異なります」
 一方、内田氏が取り仕切ってきた自民党都連に対しても小池氏は引き続き対決姿勢を取っている。
「内田氏の地元、千代田区の区長選が来年二月に行われます。現区長の石川雅己氏は内田氏と対立していますが、小池氏は石川氏を推薦する方向。政治塾の立ち上げも、小池氏を支援した地元区議七人に離党勧告を行った都連への牽制球でした」(前出・小池氏周辺)
 その都連は九月十六日の会合で新執行部を決定。内田氏の顔色を窺う都議からは「小池知事から豊洲移転について都議会に何ら報告がない。マスコミに流れている嘘の情報も含めて、議会で問い質していきたい」との声まで上がっていた。
「都職員の虚偽説明を批判する声も聞こえてきますが、安全対策は万全だと強調して、チェック機能を果たしてこなかったのは、内田氏率いる都議会自民党自身です」(前出・デスク)
 この日、正式に幹事長を辞任した内田氏を直撃した。
――週刊文春です。
「(否定的な)いいよ~」
――豊洲移転について。
「知らないよ~。聞いているだけ」
 徹底した情報公開を掲げて“伏魔殿”に斬り込む小池氏。豊洲移転問題をどう決着させるのか。
「小池氏はリオから一日何回も側近に電話し、盛り土問題について指示をしていました。都幹部には全然相談していない。市場担当の中西充副知事はげっそりしています。ただ、当初の想像以上に様々な疑惑が噴出しているのが実情で、落とし所は決まっていません」(前出・小池氏周辺)
 パンドラの箱を開けて見つかったコンクリの箱。都民にとっての希望はどこにあるのだろうか。
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高圧ガス導管敷設を住民に内緒で許可した安中市が、東京ガス災害防止協定に係る公開質問状に回答

2015-03-31 23:46:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■東京電力と同様に、上から目線体質で知られる東京ガスですが、安中市には、直径50センチ、圧力70気圧もの天然ガスの高圧導管が東西に敷設されています。とくに岩野谷丘陵地の上にある北野殿地区には、「安中バルブステーション」という施設があり、ここに高さ30mの「放散塔」と呼ばれるタワー設備が聳え立っています。この設備は有事の際、高圧の天然ガスを緊急に大気中に放出するための施設ですが、実際には有事でもないのに、自社の従業員の作業手順ミスで、臭いを付け忘れた未付臭ガスの処分に困り果て、周辺住民に内緒で、数万立方メートルもの可燃性の温暖化ガスを大気中に放出しました。

 東京ガスでは、この未付臭ガス供給事件について、同社HPでプレスリリースしていますが、そこには都市ガスの利用もさせてもらえず、当時の市長が東京ガスと密約して住民の知らないうちに村の通学路や生活道路の直下に高圧ガス導管敷設を決定されてしまった住民への謝罪の言葉は全く見当たりません。
※東京ガスのプレスリリース記事(平成25年10月9日)
@「9月19日に判明した群馬地区における臭いの付いていないガス送出の原因ならびに再発防止策について」↓
http://www.tokyo-gas.co.jp/important/20131009-01.html

 東京ガスの住民無視の横暴ぶりは、これに留まりませんでした。最初の事件から1年後の平成26年10月10日午前10時10分ごろ、東京ガスは、再び、北野殿にある安中バルブステーションで、住民に事前の連絡もなく、大きな噴出音や異臭、そして作業者らの慌てぶりを近隣にまき散らし、周辺住民に大きな不安を感じさせたのでした。

 にもかかわらず、東京ガスは、事情を尋ねた住民に対して「バルブの定期点検だから問題ではない」などと言い張る始末でした。

■やはり、地元住民としては、東京ガスとのガス災害防止協定を締結して、常に同社の体質を監視する必要を痛感しました。そこで、地元の集会で、東京ガスとの協定締結を提案したところ満場一致で賛同を受けました。以前、東京ガスでは、「自治体からの後押しもあれば、地元との協定締結をしてもよい」とする意向を示していたことから、当会は安中市に協定締結について支援を求めたいと考えて「要望書」のかたちで、文書で提出しました。

 その後、別の地元住民からも東京ガスや安中市に対して、高圧ガス導管施設管理面での安全を担保するために、協定の締結を促した経緯もあるようです。このなかで、安中市では、協定の締結に向けて検討を進めたいとする意向を示していることがわかりました。

■そこで、安中市の対応姿勢を質す必要が有ると考えた当会では、平成27年3月18日、公開質問状を安中市長あてに提出しました。
※参考ブログ↓
高圧ガス導管が生活道路の真下を通る安中市に東京ガスとの災害防止協定締結を促す公開質問状を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1557.html#readmore

 しかし「1週間の猶予では稟議の時間が足りない」として、安中市から回答遅延通知が届きました。

**********

安中市役所 法制課 Fax 027-381-0503  2015年3月25日(水) 15:31 P001/001

事務連絡
平成 27年 3月25日(水)
あて先:安中市野殿980番地
    小川 賢   様
     FAX 027-381-0364
件名:公開質間状(東京ガスとの災害防止協定について)についての回答について

送付:本書・別紙( )枚=計  枚

内容:日頃より、大変お世話になります。
   標記について、現在、回答の準備が整いましたが、決裁までに時間を要する状況となっております。ご指定頂いた本日中の回答送付となりませんが、手続き終了後送付させていただくこととなりますので、まずはご連絡申し上げます。よろしくご了承お願い申し上げます。

安中市 市民部 安全安心課(危機管理室)担当:水澤祝彦
 〒379-0192 群馬県安中市安中一丁目23番13号
         電話 027-382-1111 内線1130
         FAX 027-381-7020(直通)
**********

■その後、年度末の最終日となり、ようやく安中市長(市民部安全安心課)から次の内容で、回答のFAXが届きました。

**********
安中市役所 法制課 Fax 027-381-0503  2015年3月31日(火) 17:25 P002&003/003

事務連絡
平成 27年 3月31日(火)
あて先:  安中市野殿980番地
      小川 賢   様
       FAX 027-381-0364
件名:公開質間状(東京ガスとの災害防止協定について)についての回答について 2
送付:本書・別紙(2)枚=計3枚
内容:日頃より、大変お世話になります。
   標記について、先にご連絡させていただきました、回答の準備が整いましたので送信いたします。
   ご指定の期日後となり、申し訳ございません。まずは、ご査収いただきますようお願い申し上げます。

安中市 市民部 安全安心課(危機管理室)担当:水澤祝彦
 〒379-0192 群馬県安中市安中一丁目23番13号
         電話 027-382-1111 内線1130
         FAX 027-381-7020(直通)

**********
replyfaxfrommayorofannakaretokyogasdisasterprevention.pdf


安中市役所 法制課 Fax 027-381-0503  2015年3月31日(火) 17:25 P002&003/003
                    安安発第3292号
                    平成27年3月31日
 小川 賢 様
                    安中市長 茂木 芙子
                    (市民部安全安心課)
   「公開質問状(東京ガスとの災害防止協定について)」について(回答)
 貴殿より、平成27年3月18日付けで提出のありましたご質閤につきまして、下記のとおり回答いたします。
          記
質問1
 私が要請した地元地区と東京ガスとの間の「災害防止協定」について、現在、どのように検討されていますか。それとも、全く検討していませんか。

回答1
 検討しておりません。


質問2
 検討されている場合、災害防£協定の提案内容について、どのようにお考えでしようか。

回答2
 回答なし


質間3
 検討されている揚合、モの概略スケジュールを軟えてください。

回答3
 回答なし


質問4
 検討していない暑合、その理由を教えてください。

回答4
 現在、安中市と東京ガス株式会社との間で、緊急時における情報発信や災害防止の対応について、協鏃、検討を行っているためでございます。


質問5
 近隣の住民に答えた内容を見ると、安中市では東京ガスとの災害防止協定の締結について「検討をしています」と述べているようですが、そのスケジュールはどのように考えていますか。

回答6
 安中市では東京ガス株式会社と緊急時における情報発信や災害防止への対応について、協議を進めたい意向を、東京ガス株式会社へは伝えております。


質問6
 近隣の住民に答えた内容を見ると、安中市と東京ガスとの緊急時における情報発信に関する協定の締結について「検討を進めている」と述べているようですが、そのスケジュ-ルはどのように考えていますか。

回答6
 現在、東京ガス株式会社と協定の内容について協議を進めております。

**********

■どうやら、安中市は直接東京ガスとの協定の協議に乗り出した様子がうかがえます。しかし、肝心の「安中バルブステーション」を前市長との密約で東京ガスに設置されてしまった北野殿地区住民と東京ガスとの災害防止協定締結に向けた住民支援には、回答文を見る限り関心がないようです。

 やはり、東京ガスと直接交渉をしなければならないのかもしれません。

※参考:東京ガスと千葉市とのガス災害防止対策の業務に関する協定書(平成8年4月1日)↓
http://www.city.chiba.jp/somu/kikikanri/documents/2-11-63gasusaigaiboshi-kyotei.pdf

【ひらく会情報部】


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