■大同スラグが農道の敷砂利として大量に使われた東吾妻町萩生地区で、有毒スラグを撤去するどころか、舗装で蓋をした群馬県の責任を明確化し、再発防止を図るために市民オンブズマン群馬では住民監査請求から住民訴訟に踏み切りました。その第2回口頭弁論が来る10月2日に予定されていますが、1か月前の本日、群馬県側から被告として最初の第1準備書面が郵送されてきました。
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↑本日、被告群馬県の訴訟代理人の弁護士から郵送されてきた封筒の表。↑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/af/1f67647952029012dad242f9b955a6d2.jpg)
↑封筒の裏。↑
**********被告第1準備書面**********
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平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
第1準備書面
平成27年8月31日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
同 指定代理人 福 島 計 之
同 指定代理人 播 磨 幸 三
同 指定代理人 吉 田 輝 彦
同 指定代理人 篠 原 孝 幸
同 指定代理人 石 澤 隆 之
同 指定代理人 安 藤 敏
第1 原告らの平成27年7月8日付け準備書面(1)4項についての認否・反論
1 第1段落については争う。
なお,原告らの主張する「地方自治法第2条第1項14号,16号及び17号」は,それぞれ地方自治法2条14項,16項及び17項の誤りである。
2 第2段落については,本件工事の工事代金の支払に財務行為として違法性がないことは認め,その余は争う。
一般に,先行する行政行為に違法性が認められるときに,それを前提とする財務会計上の行為が違法となる場合はあるが(最判平成4年12月15日民集46巻9号2753頁など),当然に違法となるというのは原告らの独自の見解である。
3 第3段落については,本件工事において株式会社佐藤建設工業(以下,「佐藤建設工業」という。)から納入された鉄鋼スラグをブレンドした骨材が路盤材等として使用されたこと,大同特殊鋼株式会社(以下,「大同特殊鋼」という。)が産業廃棄物処理業の許可を有していないこと,佐藤建設工業が「鉱さい」に係る産業廃棄物処理業の許可を有していないこと(なお,廃棄物処理法上,産業廃棄物処理業は,産業廃棄物収集運搬業及び産業廃棄物処分業の2分類とされており,「中間処理業」という類型はない(廃棄物処理法14条1項及び6項)。)の範囲で認め,その余は否認する。
4 第4段落については,被告環境森林部が平成26年1月27日に大同特殊鋼渋川工場に対して立入検査を行い,平成26年4月22日付けで同社に対して廃棄物処理に関する指示書(甲4)を発出したことは認め,その余は否認ないし争う。
5 第5段落については,原告らから吾妻農業事務所に対して本件工事で使用された鉄鋼スラグ混合砕石を撤去すべきである旨の申し出があったことは認め,その余は否認する。
舗装工事は,地元の意向に沿って前倒しして施工したに過ぎず,強行したものではない。
6 第6段落については争う。
なお,原告らは,「廃棄物処理法違反に該当する行政行為を知りつつ,有害スラグに蓋をするべく,群馬県が舗装工事のために業者に公金を支払った。」と主張するが,被告のいかなる行為が廃棄物処理法違反の行政行為であるのか具体的な主張は見当たらない。
7 第7段落については争う。
第2 原告らの前記準備書面(1)第5項についての認否・反論
1 原告らの主張を争う。
2 原告らは,損害賠償請求権の根拠として,いわゆる賠償命令を定めた地方自治法243条の2第3項を指摘する。これは,同1項に規定する職員が同項に規定する行為によって普通地方公共団体に損害を与えたときに,賠償を命じることとされている制度である。
3 この点,吾妻農業事務所長が本件舗装工事に関して地方自治法243条の2第1項の「権限を有する職員」に該当し,同3項の賠償命令の対象となることは,被告も争わない。すなわち,吾妻農業事務所長は,群馬県財務規則第3条及び群馬県事務委任規則第5条,別表4により,「契約(設計金額一億円以上の工事費の支出に係るものを除く。)に関すること」及び「支出負担行為(設計金額一億円以上の工事費の支出に係るものを除く。)」について権限を委任されており(甲10・5~7頁),本件舗装工事に関し,地方自治法243条の2第1項後段1号の「支出負担行為」にかかる「権限を有する職員」であるといえる。
4 そして,賠償命令の対象となる職員について住民訴訟を提起する場合,住民は,損害賠償や不当利得返還の請求をすることを求めることはできず,賠償の命令をすることを求めることができるのみである(地方自治法242条の2第1項4号ただし書)。
しかるに,原告らは,本訴が損害賠償請求をすることを求める請求であるとしている(原告らの前記準備書面(1)第1項)。
5 したがって,地方自治法243条の2第1項,3項により賠償命令の対象となり得る吾妻農業事務所長に対して,賠償命令ではなく損害賠償請求を求める原告らの請求は失当である。
以 上
**********送付書・受領書**********
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前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
ご担当 近 藤 書記官殿
原 告
小 川 賢 殿
平成27年9月1日
前橋市大手町3丁目4番16号
被告訴訟代理人
弁護士 関 夕 三 郎
TEL027-235-2040/FAX027-230-9622
送 付 書
事件の表示 : 御 庁 平成27年(行ウ)第7号
当 事 者 : 原 告 小 川 賢 外1名
被 告 群 馬 県
次回期日 : 平成27年10月2日午前10時30分
下記書類を送付致します。
1 第1準備書面 1通
以 上
-------------------切らずにこのままでお送り下さい-----------
受 領 書
上記書類、本日受領致しました。
平成27年9月2日
原 告 小川 賢
前橋地方裁判所民事2部合議係(近藤書記官殿)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所(弁護士 関 夕三郎)御中:FAX 027-230-9622
*******************
■さっそく、9月2日付で受領確認をFAXで裁判所と被告訴訟代理人に通知しました。被告群馬県からの準備書面には、無許可で加工された有害スラグを農業地帯にまき散らしたまま撤去しようとしない自らの行為について、全く反省が見られません。
そのくせ、「廃棄物処理法では、サンパイ処理業は、サンパイの収集運搬業と処分業の2分類とされており、中間処理業という類型はない」とか、「対象職員に対して、自治体は賠償命令は出せるが、住民は損害賠償や不当利得返還請求をすることはできない」などとして、「法令をきちんと解釈すれば、住民であるオンブズマンの今回の提訴における主張は失当だ」と、あたかも自らは法令順守をしているかのように、ふるまっています。
しかし、いくら群馬県が詭弁を弄しても、サンパイは、収集運搬→中間処理→最終処分という工程を経ているのであり。中間処理と最終処分の工程をまとめて処分業と呼んでいますが、だからといって「中間処理が存在しない」という意味ではありません。
また、住民訴訟は、かつては直接、住民として、自治体に損害を与えた職員に対して損害賠償請求ができましたが、その後、法律が改悪されて、住民が直接損賠請求することができなくなりました。だから、当該職員に対して、住民になりかわって、自治体が損害賠償請求をするのですが、当然、組織として損賠請求を職員に求めるのですから、命令という言い方をすることもあるのでしょう。
全国オンブズマンでは、この地方自治法の改悪について、当時、強く反対したことがありましたが、結局、行政側の都合のよいようにされてしまいました。住民からの直接の損害賠償請求を封じておきながら、自治体に損害を与えた職員に損賠の命令をしたがらないというのでは、行政関係者同士のお仲間意識や、お役人共通意識というのが、法律に優先してしまっているのではないでしょうか。
それにしても、この程度の反論しかできないところを見ると、群馬県側としては、前橋地裁の裁判長の「門前払い判決」に期待するしかない、と思っているのかもしれません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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↑本日、被告群馬県の訴訟代理人の弁護士から郵送されてきた封筒の表。↑
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↑封筒の裏。↑
**********被告第1準備書面**********
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平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告 小川賢,外1名
被 告 群馬県知事 大澤正明
第1準備書面
平成27年8月31日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
被告訴訟代理人弁護士 関 夕 三 郎
同 弁護士 笠 本 秀 一
同 指定代理人 福 島 計 之
同 指定代理人 播 磨 幸 三
同 指定代理人 吉 田 輝 彦
同 指定代理人 篠 原 孝 幸
同 指定代理人 石 澤 隆 之
同 指定代理人 安 藤 敏
第1 原告らの平成27年7月8日付け準備書面(1)4項についての認否・反論
1 第1段落については争う。
なお,原告らの主張する「地方自治法第2条第1項14号,16号及び17号」は,それぞれ地方自治法2条14項,16項及び17項の誤りである。
2 第2段落については,本件工事の工事代金の支払に財務行為として違法性がないことは認め,その余は争う。
一般に,先行する行政行為に違法性が認められるときに,それを前提とする財務会計上の行為が違法となる場合はあるが(最判平成4年12月15日民集46巻9号2753頁など),当然に違法となるというのは原告らの独自の見解である。
3 第3段落については,本件工事において株式会社佐藤建設工業(以下,「佐藤建設工業」という。)から納入された鉄鋼スラグをブレンドした骨材が路盤材等として使用されたこと,大同特殊鋼株式会社(以下,「大同特殊鋼」という。)が産業廃棄物処理業の許可を有していないこと,佐藤建設工業が「鉱さい」に係る産業廃棄物処理業の許可を有していないこと(なお,廃棄物処理法上,産業廃棄物処理業は,産業廃棄物収集運搬業及び産業廃棄物処分業の2分類とされており,「中間処理業」という類型はない(廃棄物処理法14条1項及び6項)。)の範囲で認め,その余は否認する。
4 第4段落については,被告環境森林部が平成26年1月27日に大同特殊鋼渋川工場に対して立入検査を行い,平成26年4月22日付けで同社に対して廃棄物処理に関する指示書(甲4)を発出したことは認め,その余は否認ないし争う。
5 第5段落については,原告らから吾妻農業事務所に対して本件工事で使用された鉄鋼スラグ混合砕石を撤去すべきである旨の申し出があったことは認め,その余は否認する。
舗装工事は,地元の意向に沿って前倒しして施工したに過ぎず,強行したものではない。
6 第6段落については争う。
なお,原告らは,「廃棄物処理法違反に該当する行政行為を知りつつ,有害スラグに蓋をするべく,群馬県が舗装工事のために業者に公金を支払った。」と主張するが,被告のいかなる行為が廃棄物処理法違反の行政行為であるのか具体的な主張は見当たらない。
7 第7段落については争う。
第2 原告らの前記準備書面(1)第5項についての認否・反論
1 原告らの主張を争う。
2 原告らは,損害賠償請求権の根拠として,いわゆる賠償命令を定めた地方自治法243条の2第3項を指摘する。これは,同1項に規定する職員が同項に規定する行為によって普通地方公共団体に損害を与えたときに,賠償を命じることとされている制度である。
3 この点,吾妻農業事務所長が本件舗装工事に関して地方自治法243条の2第1項の「権限を有する職員」に該当し,同3項の賠償命令の対象となることは,被告も争わない。すなわち,吾妻農業事務所長は,群馬県財務規則第3条及び群馬県事務委任規則第5条,別表4により,「契約(設計金額一億円以上の工事費の支出に係るものを除く。)に関すること」及び「支出負担行為(設計金額一億円以上の工事費の支出に係るものを除く。)」について権限を委任されており(甲10・5~7頁),本件舗装工事に関し,地方自治法243条の2第1項後段1号の「支出負担行為」にかかる「権限を有する職員」であるといえる。
4 そして,賠償命令の対象となる職員について住民訴訟を提起する場合,住民は,損害賠償や不当利得返還の請求をすることを求めることはできず,賠償の命令をすることを求めることができるのみである(地方自治法242条の2第1項4号ただし書)。
しかるに,原告らは,本訴が損害賠償請求をすることを求める請求であるとしている(原告らの前記準備書面(1)第1項)。
5 したがって,地方自治法243条の2第1項,3項により賠償命令の対象となり得る吾妻農業事務所長に対して,賠償命令ではなく損害賠償請求を求める原告らの請求は失当である。
以 上
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前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
ご担当 近 藤 書記官殿
原 告
小 川 賢 殿
平成27年9月1日
前橋市大手町3丁目4番16号
被告訴訟代理人
弁護士 関 夕 三 郎
TEL027-235-2040/FAX027-230-9622
送 付 書
事件の表示 : 御 庁 平成27年(行ウ)第7号
当 事 者 : 原 告 小 川 賢 外1名
被 告 群 馬 県
次回期日 : 平成27年10月2日午前10時30分
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1 第1準備書面 1通
以 上
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受 領 書
上記書類、本日受領致しました。
平成27年9月2日
原 告 小川 賢
前橋地方裁判所民事2部合議係(近藤書記官殿)御中 :FAX 027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所(弁護士 関 夕三郎)御中:FAX 027-230-9622
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■さっそく、9月2日付で受領確認をFAXで裁判所と被告訴訟代理人に通知しました。被告群馬県からの準備書面には、無許可で加工された有害スラグを農業地帯にまき散らしたまま撤去しようとしない自らの行為について、全く反省が見られません。
そのくせ、「廃棄物処理法では、サンパイ処理業は、サンパイの収集運搬業と処分業の2分類とされており、中間処理業という類型はない」とか、「対象職員に対して、自治体は賠償命令は出せるが、住民は損害賠償や不当利得返還請求をすることはできない」などとして、「法令をきちんと解釈すれば、住民であるオンブズマンの今回の提訴における主張は失当だ」と、あたかも自らは法令順守をしているかのように、ふるまっています。
しかし、いくら群馬県が詭弁を弄しても、サンパイは、収集運搬→中間処理→最終処分という工程を経ているのであり。中間処理と最終処分の工程をまとめて処分業と呼んでいますが、だからといって「中間処理が存在しない」という意味ではありません。
また、住民訴訟は、かつては直接、住民として、自治体に損害を与えた職員に対して損害賠償請求ができましたが、その後、法律が改悪されて、住民が直接損賠請求することができなくなりました。だから、当該職員に対して、住民になりかわって、自治体が損害賠償請求をするのですが、当然、組織として損賠請求を職員に求めるのですから、命令という言い方をすることもあるのでしょう。
全国オンブズマンでは、この地方自治法の改悪について、当時、強く反対したことがありましたが、結局、行政側の都合のよいようにされてしまいました。住民からの直接の損害賠償請求を封じておきながら、自治体に損害を与えた職員に損賠の命令をしたがらないというのでは、行政関係者同士のお仲間意識や、お役人共通意識というのが、法律に優先してしまっているのではないでしょうか。
それにしても、この程度の反論しかできないところを見ると、群馬県側としては、前橋地裁の裁判長の「門前払い判決」に期待するしかない、と思っているのかもしれません。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】