市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

巨額使途不明金をタゴ一族から取り戻し群銀の和解金に充当させるべく岡田市長を控訴

2009-06-23 23:42:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■安中市土地開発公社の元職員タゴをはじめ、タゴ一族にたいして寛大な措置をとりたがる安中市の岡田市長ですが、巨額の使途不明金はやはりきちんとタゴ・ファミリーから取り戻して、公社の尻拭いに充てなければなりません。絶対に、埋蔵金を、タゴやタゴ一族、あるいはタゴ事件関係者のものにさせてはなりません。安中市民として、これ以上、タゴの尻拭いを103年ローンのツケ払いでさせられるのは、もうごめんです。

 当会は、安中市土地開発公社のタゴに対する損害賠償請求権の10年経過を目前にして、4月1日付で岡田市長に関する住民監査請求書を安中市監査委員に提出しておりましたが、既報のとおり、安中市監査委員は、4月22日付で門前払い同然の却下通知を当会に送ってきました。そして、当会は5月22日(金)午前10時すぎに、前橋地方裁判所に、タゴの再提訴を安中市に求めるため、安中市の岡田義弘市長を相手取り、訴状を提出しました。

■しかし、6月9日(火)に前橋地裁の松丸伸一郎裁判長は、あっさりと当会が提起した巨額横領損害金回収等請求事件(前橋地方裁判所平成21年(行ウ)第8号事件)を却下して、門前払いの判決文を当会に送りつけてきました。

 裁判書のこの非常識さに唖然としましたが、控訴すべきかどうか、検討を続けてきました。控訴しても、タゴ事件を取り巻く得体の知れないベールというかバリアーにより、裁判所も冷静な判断を失うことが分かっていますので、手数料の無駄になるかもしれませんが、このまま切歯扼腕して、なにも反論せずにいて、あとで後悔するのも、当会の方針には馴染みません。

■そこで、判決文を受け取った翌日から2週間以内に控訴する必要があるため、熟慮の上、とりあえず、6月22日(月)に、次の内容で控訴状を前橋地裁民事部に提出しました。

**********
【控 訴 状】
平成21年6月22日
東京高等裁判所民事部 御中
     控訴人 小川 賢
 〒379-0114群馬県安中市野殿980番地
     控訴人 小川 賢
 〒379-0192群馬県安中市安中一丁目23-13
     被控訴人 安中市長 岡田義弘
巨額横領損害金回収等(住民訴訟)請求控訴事件
 訴訟物の価格  160万0000円(算定不能)
 貼用印紙額     1万9500円
 予納郵券        8850円
請求の趣旨
上記当事者間の前橋地方裁判所平成21年(行ウ)第8号損害金回収等(住民訴訟)請求事件につき、平成21年6月9日判決の言渡しがあり、控訴人は、平成21年6月11日判決正本の送達を受けたが、上記判決は全部不服であるから、控訴する。
原判決の表示
1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 訴訟費用は、第1審、第2審を通じて、被控訴人の負担とする。
控訴理由
追って、提出する。
**********

■前橋地裁民事部では、「前回、却下判決だったので、貼用印紙代は、半額の9750円でよい」といい、予納郵券(切手代)も8500円でよい」といい、さらに「控訴理由書は、2、3日以内であれば、直接持参してもらえればよいが、それ以降は、東京地裁に送る手続きに入るので、提出の際にはあらかじめ前橋地裁に連絡をしてほしい」とのコメントがありました。

 当会では、数日中に、控訴理由書を提出することにしています。

【ひらく会法務部】
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タゴへの請求権を失っても群銀との和解金交渉経過を開示しない岡田市長に意見書

2009-06-21 23:53:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■平成21年6月18日、安中市土地開発公社とその債務保証人である安中市は、安中市土地開発公社の元職員タゴ邦夫に対する22億2309万2000円とこれに対する民事法定利率である年5分の割合による遅延損害金の請求権を消滅時効により失いました。

 この結果、今年9月21日(推測)に正式出所(既に平成13年ごろ仮出所したとの情報あり)する元職員タゴの出所に向けて、タゴ一族はもとより、タゴ事件で元職員にたかっていた市役所や議会の関係者、業者、友人、知人らの関心は、晴れて手中にできる14億3445万円(安中署調べ。当会の調べでは20億円以上)の使途不明金の使い道にもはや移っているものとみられます。

■当会では随分前に、巨額の使途不明金は、高崎市内の某税理士により管理されているという告発情報を入手しており、そのことを高崎税務署に連絡済みですが、これまでの関東信越国税局査察部や、群馬県税務課とのやりとりを見る限り、税務署がこの巨額の使途不明金のありかについて、某税理士やタゴ一族に説明を求めてはいないと見られます。

 なぜなら、関東信越国税局査察部(マル査)の査察官が、事件直後はたいへん元気よい発言をしていたのに、警察の捜査が進むにつれてトーンダウンし、挙句の果てに、安中市土地開発公社が元職員のタゴに、10年前の5月31日に、タゴ欠席のまま土地開発公社が勝訴した直後に、タゴの犯罪所得による不当利得への課税権を放棄したからです。

■このように、6月18日に晴れて時効が到来したため、安中市が今後、タゴに対する損害賠償請求のために、動産や不動産を強制競売にかけようとしても、タゴが「消滅時効の援用を求める」と言った途端に、すべてが水の泡に帰することになりました。このため、タゴからさまざまな形で便宜供与を受けていた親族はもとより、友人、知人、職場の同僚、上司、議員、業者、暴力団などの関係者は、事件発覚後14年目にして、ようやく枕を高くして寝ることができることになりました。いや、それどころか、少なくとも14億円以上もある埋蔵金も、晴れて合法的に使える時代がやってきたのです。とくに、タゴ一族にとっては、タゴの出所をあとちょうど3ヶ月後に控えて、絶好のグッドニュースだったことでしょう。ひょっとしたら、この週末は、ひっそりとタゴ抜きで祝宴を張ったかもしれません。

■タゴの関係者にとっては、この事件は、これでメデタシメデタシかもしれませんが、残されたのは、岡田義弘・安中市長、いや岡田義弘・安中市土地開発公社理事長が、昨年のクリスマスの翌日に群馬銀行に対して約束した今後10年間にわたる和解金の支払い継続義務です。ということは、この事件を依然として引きずらなければならないのは、安中市民だからです。
 当会では、こうした事態を避けるべくあらゆる努力をしてきました。そして、この和解金は公社だけでは返済しきれず、安中市財政にも影響するので、タゴを再提訴して、損害賠償請求権を維持すべきであり、群馬銀行への和解金の支払いも群銀との裁判のやり直しを視野に入れて即刻中止し、そもそも公社の余裕金をタゴの尻拭いに流用することが間違いなので事件関係者にきちんと損害金を支払わせるよう主張し、住民監査請求をしましたが、あえなく却下され、前橋地裁への提訴も、門前払いとされました。

■タゴへの損害賠償請求権を失ったのだから、群馬銀行への和解金の負担も失くさなければ、釣り合いがとれません。そこで、なぜ岡田市長が、群馬銀行への和解金支払いを重要視していち早く約束していたのか、その経緯を確かめるため、当会は群銀との和解交渉をつぶさに検証すべく、情報公開をしました。

 安中市によれば、広報あんなか09年2月号に掲載されたタゴ事件による群銀への今後10年間の和解金支払い交渉の経緯は、次の通りでした。

**********
平成19年11月27日  群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年1月 7日  群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年3月28日  群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年4月 9日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所市長室)
平成20年4月23日  今後の取り組みについて、顧問弁護士に相談
平成20年4月30日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年5月1日  「市の考え方について」市幹部会議を開催
平成20年6月3日  「公社保有財産等について」市幹部会議を開催
平成20年6月5日  「群馬銀行との交渉について」市幹部会議を開催
平成20年6月23日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年8月11日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所応接室)
平成20年8月12日  公社監事に群馬銀行の考え方を説明し、見解を伺う
平成20年9月2日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室).
平成20年9月3日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所旧助役室)
平成20年10月7日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年10月8日  「10月7日の話し合いの結果について」市幹部会議を開催
平成20年10月17日  安中市土地開発公社理事会、政策調整会議を開催
平成20年10月20日  安中市土地開発公社理事長名で株式会社群馬銀行取締役頭取宛「和解に関する協定書」を提出
平成20年11月4日  経過等を市議会全員協議会に報告
平成20年11月27日  群馬銀行から「和解に関する協議書」に対する回答
平成20年12月8日  安中市土地開発公社理事会を開催
平成20年12月17日  「和解10年後の対応について」市民報告会を開催(安中市文化センター)
平成20年12月19日  「和解10年後の対応について」市民報告会を開催(松井田文化会館)
平成20年12月25日  和解後10年間とした最後の債務金2千万円支払い
平成20年12月26日  合意書に関わる「証」を群馬銀行に提出
**********

■しかし、平成21年3月3日付で安中市から情報開示された資料は、昨年10月15日付に庁内で出された政策調整会議の10月17日開催通知から以降のものでした。なぜ、それ以前の資料を出さないのか、不存在なのか、忘れてしまったのか、岡田市長に確認するために、当会は4月23日付で異議申立を行いました。

**********
異議申立の年月日:平成21年4月23日
〒379-0192安中市安中一丁目23-13 (FAX:381-0503)
安中市長 岡田義弘 様 (総務部企画課)
異 議 申 立 書
平成21年1月21日付(市側受領同22日付)で請求した行政文書の開示について、平成21年3月3日付第24004号行政文書部分開示決定通知処分がなされましたので、次のとおり異議申立をします。
1.異議申立人 氏名 小川 賢   印
        住所 群馬県安中市野殿980番地(郵便番号379-0114)
2.異議申立てに係る処分:平成21年3月3日付行政文書部分開示決定通知書により、少なくとも平成21年10月14日以前の情報を含むすべての関係する公文書が不開示とされたこと。
3.異議申立てに係る処分があったことを知った日:平成21年3月4日。
4.異議申立ての趣旨及び理由
①本件請求は、安中市土地開発公社とその債務保証団体である安中市と、群馬銀行との間でいわゆる安中市土地開発公社を舞台に元職員が起こした51億円余りの巨額詐欺横領事件に絡み双方の間で10年前に締結された和解条項により、最初の10年間を経過して、次の10年間の和解金支払に関する協議にかかる情報の開示を求めるものである。
②異議申立人はもともと、安中市の元職員による土地開発公社をめぐる巨額詐欺事件に関して「市と群馬銀行は4月から協議を重ねてきた」という新聞記事をみて、「この経緯に関して現在に至るまでの一切の資料」を開示請求したが、結局開示されたのは、平成20年10月15日以降の情報だけであり、それ以前の情報はなぜか開示情報に含まれていない。
③異議申立人は、広報あんなか平成21年2月号をみて、市と群馬銀行との間の協議として、次の経緯を経ていたことを知ったが、それらは今回の開示情報に反映されていない。
平成19年11月27日 群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年1月7日 群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年3月28日 群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年4月9日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所市長室)
平成20年4月23日 今後の取り組みについて、顧問弁護士に相談
平成20年4月30日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年5月1日 「市の考え方について」市幹部会議を開催
平成20年6月3日 「公社保有財産等について」市幹部会議を開催
平成20年6月5日 「群馬銀行との交渉について」市幹部会議を開催
平成20年6月23日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年8月11日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所応接室)
平成20年8月12日 公社監事に群馬銀行の考え方を説明し、見解を伺う
平成20年9月2日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年9月3日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所旧助役室)
平成20年10月7日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年10月8日 「10月7日の話し合いの結果について」市幹部会議を開催
④したがって、上記に関する情報が存在すると思料されるので、これらを不開示とする理由が存在しない。
5.処分庁の教示の有無及びその内容:平成21年3月3日付第24004号の行政文書部分開示決定通知書で「この決定に不服がある場合は、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に市長に対して異議申立をすることができます」との教示を受けた。  以上
**********

■当会の異議申立に対して、安中市は平成21年5月27日までに、次のような理由説明書を安中市情報公開・個人情報保護審査会長宛に提出したと、同日当会に通知がありました。

**********
【情報公開に係る異議申立書に対する理由説明書】
 本件の請求に関して、平成21年1月21日付け申立人より行政文書の開示請求があり、平成21年3月3日付け部分開示を行ったところ、異議申立書のとおり行政文書の存在が思料されるとし、平成21年4月24日付けで異議の申立てが行われた。しかし、平成21年3月3日付け部分開示において、存在する行政文書については全て開示しており、異議申立書にある行政文書については不存在である。
 今回異議申立てのあった平成19年11月27日から平成20年10月8日の間に株式会社群馬銀行との一連の協議等に係る情報については、平成21年3月3日付け部分開示の内、平成20年11月4日開催の市議会全員協議会報告資料の資料2「群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯」において既に存在する公文書の全てを開示しており、改めて開示する行政文書については存在しない。それ以降の情報については、平成20年10月17日に開催された安中市土地開発公社理事会及び政策調整会議において、今までの協議経過が報告され、これにより今後の方向付けが定まったことを理由に部分開示を行った。
 また、平成20年10月8日以前の株式会社群馬銀行との協議については、交渉中の段階であり情報の外部漏洩を防ぐために安中市土地開発公社及び安中市において全て口頭処理によって行われたものである

 異議申立書で示されたその存在が思料されるとする行政文書
 ・平成19年11月27日 群馬銀行訪問(本店応接室)
 ・平成20年1月7日   群馬銀行訪問(本店応接室)
 ・平成20年3月28日  群馬銀行訪問(本店応接室)
 ・平成20年4月9日   安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所市長室)
 ・平成20年4月23日  今後の取り組みについて、顧問弁護士に相談
 ・平成20年4月30日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
 ・平成20年5月1日   「市の考え方について」市幹部会議を開催
 ・平成20年6月3日   「公社保有財産等について」市幹部会議を開催
 ・平成20年6月5日   「群馬銀行との交渉について」市幹部会議を開催
 ・平成20年6月23日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
 ・平成20年8月11日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所応接室)
 ・平成20年8月12日  公社監事に群馬銀行の考え方を説明し、見解を伺う
 ・平成20年9月2日   安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
 ・平成20年9月3日   安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所旧助役室)
 ・平成20年1O月7日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
 ・平成20年10月8日  「10月7日の話し合いの結果について」市幹部会議を開催
 以上の内容を示す行政文書については、前述のとおり平成21年3月3日付け部分開示において、既に開示済である。  以上

<資料2>←3月3日に安中氏が開示済みだとしている文書
【群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯】
※ 群馬銀行側の見解は、「株主、従業員」とあるのは、「株主、お客様」ということを申し上げた内容であるので読み替えて解釈願いたいということです。
平成10年12月9日  和解成立
平成10年12月25日 合意書を取り交わす
平成10年12月25日 債務金の一部4億円支払い
平成11年12月25日 債務金2千万円支払い(以後、毎年12月25日債務金の支払い)
平成19年11月27日 群馬銀行訪問(本店応接室)挨拶
平成20年1月7日  群馬銀行訪問(本店応接室)挨拶
平成20年3月28日 群馬銀行訪問(本店応接室)挨拶
平成20年4月9日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所市長室)
  (市)市民世論からして、本年で区切りをつけて頂きたい。
  (群)和解条項の通り実行してもらいたい。銀行として、株主、従業員に対して責任がある。

平成20年4月23日 今後の取り組みについて、渡辺顧問弁護士に相談
  ・法律論からして、裁判の和解を覆すことは出来ない。
平成20年4月30日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
  (市)市民世論は10年で終わると思っている。今後10年間は空白ということは可能か。
  (群)裁判の結果が出ている事案である。空白は背任につながる、むしろ増額をお願いする。

平成20年5月1日 「市の考え方について」市幹部会議を開催
  ・群馬銀行の姿勢は大変厳しく、和解条項の通りとのことである。
  ・市所有地を交渉の中で提案したい。→東吾妻町の山林、秋間の公社所有地

平成20年6月3日 「公社保有財産等について」市幹部会議を開催
  ・公社の保有資産
  ・債務・預金の推移
  ・20年から三ケ年の公社の収益見通し

平成20年6月5日 「群馬銀行との交渉について」市幹部会議を開催
  ・東吾妻町の山林582ヘクタールを代物弁償として提案する。
  ・市民に迷惑をかけないことが基本原則であることを確認する。

平成20年6月23日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
  (市)「三億円を支払うから本事案は終わりにして貰いたい」旨申し入れる。
  (群)市からの提案は上司に伝える。

平成20年8月11日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所応接室)
  (群)裁判所の判決(和解)からは逸脱出来ないし和解条項は重い。安中市、公社は健全経営を行っており、債務免除は出来ない。
平成20年8月12日 公社安藤監事に群馬銀行の考え方を説明し、見解を伺う。
  ・和解条項の主旨からして債権放棄は難しいのではないか。
平成20年9月2日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
  (市)市から群銀に提案する。「公社は三億円を支払い、群銀はその三億円を90年間かけて運用していただき、90年後に一括処理する」→90年間債権は活きている。
平成20年9月3日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所旧助役室)
  ・9月2日の市からの提案内容について、双方の事務方で確認する。
平成20年10月7日 安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
  ・9月2日に市から群銀に提案した内容について → 合意されず
  (市)市が最大限努力をし提案したことであり受け入れて貰いたい。
  (群)市の気持ちはわかる。銀行の回答についての詳しいことは、双方専門家を交えて話し合いを行いたい。

平成20年10月8日 「10月7日の話し合いの結果について」市幹部会議を開催
  ・10月7日の話し合いの結果について報告する。
  ・話し合いの結論を整理して公社理事会に諮る。
  ・今後、手順を踏んで取り組む(公社理事会、政策調整会議、議会等)ことが確認される。

**********

■驚くべきことに、安中市・土地開発公社は、安中市を揺るがしているこの群馬銀行との103年ローンの交渉過程について、第三者に漏洩しないように全て口頭で行い、記録を何もとっていない、と主張しました。群銀との交渉では、市幹部会議が4回開催され、顧問弁護士の渡辺明男弁護士に1度、公社の監事の安藤氏と猿谷氏に1度、相談しています。したがって、会議録が合計16件あるはずですが、記録が何もないというのです。

 群馬銀行との重要な交渉過程が不透明となると、安中市は住民に説明する手段を自ら放棄し、岡田市長の持論の説明責任を最初から放棄していたことになります。

 そのため、当会は次の内容の意見書を、本日付けで審査会長あてに提出しました。

*********
平成21年6月21日
安中市情報公開・個人情報保護審査会
会長  采女英幸 殿
     異議申立人 小川 賢
理由説明書に対する意見書の提出について
 私が、平成21年4月24日付で行った、安中市情報公開条例に基づく異議申立てについて、平成21年5月27日付で貴会から実施機関(安中市長:総務部企画課)の理由説明書の送付を受けました。
 ついては、安中市情報公開・個人情報保護審査会要領に基づき、安中市長の理由説明書に対する「意見書」を下記のとおり提出しますのでよろしくお取り計らい下さい。
     記
意見書
1)実施機関の理由説明書の要旨について
 まず、実施機関の主張を正確に把握するために、その説明内容が次のとおりであることを確認する。
a) 本件請求に係る行政文書について、存在する行政文書については全て開示している。
b) 当該申立書にある行政文書については不存在である。
c) 平成19年11月27日から平成20年10月8日の間の情報は、群馬銀行との協議等にかかるもので、これらは、既に存在する全ての文書(添付の資料2)を開示している。
d) それ(平成20年10月9日?)以降の情報は、平成20年10月17日開催の安中市土地開発公社(以下「公社」という)理事会及び政策調整会議で、今までの協議経過が報告されて、それ以後の方向付けが固まったことを理由に部分開示した。
e) 平成20年10月8日以前の群馬銀行との協議については、協議中であり、情報の外部漏洩を防ぐために、安中市土地開発公社及び安中市において全て口頭処理によって行われた。
 実施機関の上記の主張では、資料2として開示した情報、すなわち、「群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯」と題する文書【一部、付箋メモで隠されているが、そのメモをめくるとおそらく「安中市土地開発公社(平成20年10月16日現在)」と記載されているはず】が全てだとしている。これ以外に文書が存在しないのは、群馬銀行との協議内容情報の外部漏洩を防ぐため、公社及び安中市において全て口頭処理で行われたので不存在であるという説明である。

2)実施機関の意見書に対する申立人の意見
 実施機関は、安中市文書管理規程(平成18年3月18日安中市訓令第6号)の第3条(処理の原則)の第1項に定める「事務の処理は、文書、図画その他人の知覚によって認識することができる方法で作られた記録でもって行うことを原則とする。ただし、事務処理上特に支障がないと認めるときは、電磁的記録により行うことができる。」に基づいて事務事業を行わなければならない。
 同規程第3条の第2項では「文書等は、正確かつ迅速に取り扱い、事務が能率的に処理されるよう努めるとともに、その処理状況を常に明らかにし、処理後の保管及び保存を適確に行わなければならない。」と定めており、実施機関は、作成した文書等を的確に保存し管理しなければならない。
 同規程第3条の第3項では「個人情報等の安中市情報公開条例(平成18年安中市条例第18号)の規定により公開しないこととなるおそれのある情報の記録された文書等の取扱いについては、細心の注意を払い、その内容を他に漏らさないようにしなければならない。」と定めている。
 申立人は、行政とは、文書主義に基づき、適正で的確で効率的な事務事業を行う組織であると認識しているが、これについて、誤りがあれば指摘願いたい。
 この認識に基づけば、同規程第3条は第1項で「行政文書の作成義務」を、第2項で「行政文書の適正管理義務」を、そして第3項では「行政文書の守秘義務」を定めているとも考えられる。
 この認識に立てば、同規程第3条第1項および第2項により、実施機関が上記b)、c)の主張をしていることは義務違反ということになる。また、実施機関がe)の主張で「口頭処理」をしていることについては、同条第1項に定める「事務の処理は、文書、図画その他人の知覚によって認識することができる方法で作られた記録でもって行うことを原則とする」に違反していることになる。
 以上のことから、公社を舞台にした巨額詐欺横領事件に関連して、公社が群馬銀行との間で締結した和解条項に基づき、和解10年後の協議で、さらに今後も和解金の支払いを継続するという意思決定にかかわる重大な事務の処理が、口頭処理で行われるはずは無く、録音なども含め、必ず記録が存在しているというべきであり、不存在とする根拠が認められない。
 事実、添付資料2「群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯」においても、安中市の幹部・顧問弁護士ら、公社の幹部・監事ら、群馬銀行の本店・安中支店等の関係者間の、挨拶、話し合い、相談、会議、報告、諮問、議事、協議などが平成19年11月27日から平成20年10月8日の間に行われたことが示されている。
 よって、実施機関からは、存在するはずの行政文書が開示されておらず、安中市情報公開条例第7条に違反している。 
 前述の通り、安中市文書管理規程第3条の第3項では「個人情報等の安中市情報公開条例(平成18年安中市条例第18号)の規定により公開しないこととなるおそれのある情報の記録された文書等の取扱いについては、細心の注意を払い、その内容を他に漏らさないようにしなければならない。」と定められている。仮に、本件請求情報がこの条項に該当するとした場合、実施機関には、細心の注意を払う必要があり、その内容を他に漏らさないようにしなければならないが、今回、実施機関の理由説明には、本件請求情報と安中市情報公開条例の個人情報等に係る情報との関係などについて、触れられていない。
 以上のように、実施機関の理由説明書には、合理的な根拠がないので、早急に、本件請求文書の全面的な開示を、実施機関に求める次第である。
 万が一、本当に本件請求情報が不存在である場合、群馬銀行との間で交わした協議内容について、協議に立ち会った者以外には、確認するすべがないため、群馬銀行との間でいかなる約束事も無効であるから、今後の群銀への和解金支払いに係る債務の履行は違法支出になりかねない。実施機関による、きちんとした説明責任が問われている。  以上
**********

■このように、平成20年10月17日の安中市幹部による政策調整会議に至る前までの、約11ヶ月間の交渉の内容と経緯が肝心なのに、安中市も土地開発公社もこれらの情報を開示情報から意図的に除外していたことがはっきりしました。しかも、その釈明理由は、口頭で行ったからというのです。よほど住民に知られると都合の悪い情報や事情があったようです。引き続きこの件で追及を続けてまいります。

【ひらく会情報部】

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東京ガスの放散塔の情報開示を求めた住民をテロリスト呼ばわりする群馬県に意見書

2009-06-19 03:04:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■現在、東京ガスは、北野殿地区に「バルブステーション」と呼ばれる施設を建設中ですが、この施設には高さ30メートルの巨大な放散塔が既に立てられています。この煙突は、大きな地震発生時に、必要に応じて、二次災害防止のため、70気圧の超高圧ガスを大気中に放散するのが目的ですが、可燃性の高い超高圧ガスが放散された場合、どのような事態が発生するのか、住民の間には不安の声が高まっています。しかし、東京ガスは、いつになっても、この施設について地元の住民に説明をする気配がありません。

 そこで当会では、群馬県に放散塔に関する情報公開請求を平成21年1月21日付で行いました。ところが、群馬県西部県民局高崎土木事務所総務係(電話027-322-4186)は、平成21年2月2日付け高土第76-21号で、「開示請求に係る公文書の開示・非開示の審査が難しく、決定に時間を要するため」を理由に、本来平成21年2月5日までに開示決定期間のところ、平成21年3月19日までとした、決定期間延長通知書を送ってきました。

 このため、円滑な情報開示が危ぶまれましたが、案の定、平成21年2月27日付け高土第76-24号で、高崎土木事務所はわずか9ページしか開示しないとする公文書部分開示決定通知書を送りつけてきたのです。

■当会は、3月10日に、高崎土木事務所を訪れ、東京ガスに昨年11月6日付で許可を出した建設主事の佐藤雅彦氏と面談後、県庁22階の県土整備部建築住宅課審査指導係を訪れ、事情を説明し、県民の安全確保のために、ぜひ開示をお願いしたいと要請しました。審査指導係の清水氏は、「上層部と相談の上、結果を連絡する」と約束してくれたので、当会はそれを信じて期待して待っていました。

 この経緯について当会は、今年の3月12日付で、「東京ガスの利益を最優先し、県民をタリバンと同一視する群馬県行政」と題して、ブログを掲載したので、参照ください。

■ところが、その後、待てど暮らせど、さっぱり音沙汰がありません。騙されたと判断した当会は、4月13日付で、異議申立を大澤知事あてに提出しました。


安中市北野殿地区で建設中の安中バルブステーション(VS)工事現場。既に放散塔の設置と、前後の高圧ガス配管工事、および耐圧テストを終え、これから計器室棟の据え付け工事が実施される予定。放散塔は地震発生時に二次災害防止用に高圧ガスを大気中に放出するための安全施設らしいが、東京ガスも群馬県も情報開示をしたがらない。(5月30日撮影)
**********
【異議申立書】
平成21年4月13日
群馬県知事 大澤正明様
     異義申立人  郵便番号 379-0114
            住所  群馬県安中市野殿980番地
            氏名  小川賢
行政不服審査法の規定に基づき、次のとおり公文書非開示決定に対して異議申立を行います。

1.異議申立に係る処分
 大澤正明群馬県知事の平成21年2月27日付高土第76024号の群馬県情報公開条例(以下「条例」という)第18条1項の規定による公文書部分開示決定通知書において、平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認-工群馬県000092」の建築基準法の手続きにかかる一切の情報のうち次のものの非開示処分。
 ⑦放散塔全体外形図、⑧杭伏図・柱状図・敷地断面図、⑨放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書、⑩PHC杭用継手金具姿図、⑪避雷設備設置概要、⑫避雷設備設置概要図、⑬避雷突針姿図、⑭ダイヒカップリング姿図、⑮鉄骨用接続端子姿図、⑯導線取付金物姿図、⑰ビニル管取付金物姿図、⑱端子ボックス姿図、⑲接地銅板姿図、⑳基礎・地盤説明書、(21)主要構造部材特記仕様書、(22)使用構造材料一覧表、(23)放散塔構造計算書、(24)放散塔基礎構造計算書
2.異議申立に係る処分があったことを知った年月日
 平成21年3月4日(水):平成21年2月22日から3月4日(水)午後5時まで海外に滞在していたため。
3.異議申立の趣旨
 上記の非開示決定処分は、当該条例を不当に解釈し運用されたものであり、処分取消しを求めます。
4.異議申立の理由
(1)異議申立人は県民として公文書の開示を求める権利を有しています。
(2)知事は、本件非開示情報が、群馬県情報公開条例第14条第3号イ及び第4号に該当するとして非開示決定処分としましたが、異議申立人は、放散塔が設置される地元で生活しており、本件により、生命、健康、生活及び財産の安全を脅かされるので、群馬県情報公開条例第14条第3項但書きにより、本件非開示情報は公にすることが必要です。
(3)知事は、設計技術の公表によるノウハウ流出や、設計図書の公表による不法侵入・破壊活動等の懸念を非開示理由に挙げているが、異議申立人が、3月10日に建築主事佐藤雅彦氏に直接確認したところ、同氏は設計者に確認していないことが判明した。非開示処分とされた公文書のタイトルを見る限り、一般的な技術であり、ノウハウ流出とは考えられないこと。また、地元住民に対して、不法侵入・破壊活動等の恐れを指摘することなど無礼きわまりないこと。
(4)3月10日に、建築住宅課審査指導係清水氏らに上記理由を説明したところ、上層部と相談の上、結果を連絡すると約束してくれたが、その後何の連絡もないこと。
5.処分庁の教示の有無及びその内容
 平成21年2月27日付高土第76‐24号の公文書部分開示決定通知書により、「この決定に不服がある場合には、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、群馬県知事に対して異議申立をすることができます」と通知されました。  以上
**********

■当会の異議申立から、2ヵ月後の6月16日付で、群馬県公文書開示審査会・新井博会長名で、当会に対して、諮問第121号として事件名:「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」の公文書部分開示決定に対する異議申立事件について、審査会の調査審議の参考とすべく、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第1項の規定に基づき、意見書の提出要請がありました。7月17日(金)までに、公文書開示審査会長宛に意見書を出すよう、指示がありました。その際、群馬県から次の内容の理由説明書が同封されていました。

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(別紙) 写 群馬県21.6.12県民生活課 収受
高土 第76-12号 平成21年6月12日
群馬県公文書開示審査会 会長 新井博 様
     群馬県知事 大澤 正明(高崎土木事務所)
「理由説明書」の提出について
 このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第6条に基づく「理由説明書」を下記により提出します。
     記
1 開示請求公文書の特定について
 「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」の開示請求に対し、建築基準法第88条第1項において準用する同法第6条第1項の規定により申請された「確認申請書(工作物)平成20年11月6日受付第110号」を対象公文書として特定したものである。
2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
 群馬県情報公開条例(平成12年6月14日群馬県条例第83号)(以下「条例」という。)第1条において、県が県政に関し、県民に説明責任を果たすために、条例に定める要件を満たした開示請求に応じる義務を負うことが定められており、条例第13条が「実施機関は、開示請求があったときは、次条に規定する場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。」と原則開示であることを規定している。
 しかしながら、情報公開によって、県民のプライバシーが侵害されたり、公共の利益が損なわれることがあってはならないことから、次条の第14条で例外としての非開示情報を規定している。
 そして、条例第14条第1号は、「法令等の定めるところ又は実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示により、公にすることができないとされている情報」と規定している。
 ここでいう法令等とは条例第2条第2項から法令及び条例のことをいう。
 次に、条例第14条第2号は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分」と規定している。
 また、条例第14条第3号は、「法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの。」と規定している。
 また、条例第14条第4号は、「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定している。
 なお、該当公文書の一部に条例第14条の各号に該当する非開示情報が含まれていて、当該非開示情報を開示情報と容易に区別して除くごとができるときは、非開示情報を除いた部分を開示することを条例第15条第1項が規定している。
 これに該当する場合、条例は、開示請求された公文書について、部分開示を行わなければならないとしている。
3 公文書を開示しない理由
(1)条例第14条第2号の該当性について
(対象部分)
①建築士免許証の写しにある個人の本籍地
②公図写しに記載された土地所有者の住所・氏名、地目、面積及び調査・製図者の氏名、印影
③付近見取り図、配置図に押印された設計者の印影
①、②、③のうち本籍地、土地所有者の住所・氏名、地Fヨ、面積及び調査・製図者の氏名、印影、設計者の印影は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの、又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある。
 以上のことから条例第14条第2号本文に該当し、ただし書のいずれにも該当しないため非開示と判断したものである。
(2)条例第14条第3号イの該当性について
(対象部分)
①確認申請書第一面に押印された建設事務所代表者の印影
②委任状に押印された建設事務所代表者の印影
③放散塔全体外形図、杭伏図・柱状図・敷地断面図、放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書、PHC杭用継手金具姿図、避雷設備設置概要、避雷設備設置概要図、避雷突針姿図、ダイヒカップリング姿図、鉄骨用接続端子姿図、導線取付金物姿図、ビニル管取付金物姿図、端子ボックス姿図、接地銅板姿図、基礎・地盤説明書、主要構造部材特記仕様書、使用構造材料一覧表、放散塔構造計算書、放散塔基礎構造計算書(以下「設計図書」という。)
①、②のうち、確認申請者(建設事務所代表者)の印影は、取引上重要なものであり、これを開示することに何人にも入手できることとなった場合に、当該法人の正当な利益を害するおそれがある。
 以上のことから、条例第14条第3号イ本文に該当し、非開示と判断したものである。
 また、③の全部非開示とした設計図書は建築主から依頼を受けた設計事務所に属する設計者が専門的知識・技術に基づき、建設地の地盤状況等を考慮して作成した設計成果品であり、設計者が工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部であることから、公にすることにより競合する同業者に参考とされるなど当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を書するおそれがある。
 以上のことから条例第14条第3号イ本文に該当し、非開示と判断したものである。
(3)条例第14条第3号ただし書の該当性について
(対象部分)
①設計図書
①の全部非開示とした設計図書について、異義申立人によれば、「異議申立人は、放散塔が設置される地元で生活しており、本件により、生命、健康、生活及び財産の安全を脅かされるので、群馬県情報公開条例第14条第3号ただし書きにより、本件非開示情報は公にすることが必要です。」と主張している。
 建築基準法は、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的としており、同法では建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めている。本件工作物の計画については、築造主が開法第88条第1項において準用する開法第6条第1項の規定により、工事着手前に群馬県建築主事の審査を受け、開法及び建築基準関係規定に適合するものとして、確認済証が交付されており、開法及び同規定に適合していることが判明している。
 また、本条例を解釈する上でその手がかりとなる、「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」(平成13年1月1日付総務部長通知)(以下「解釈及び運用の基準」という。)で、「ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」とは、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないものとするものである。
 以上のことから条例第14条第3号ただし書に該当せず、非開示と判断したものである。
(4)条例第14条第4号の該当性について
(対象部分)
①設計図書
①の全部非開示とした設計図書は、築造主(瓦斯事業者)が築造する施設(公共公益施設)で、天然ガスを安定供給するために建設するパイプラインに付帯して設けるガス放散塔であることから、設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合、当該築造物へのテロ等の不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し又は犯罪の実行を容易にする可能性があり、施設保安・管理に支障を生じるおそれがある情報である。
 また、解釈及び運用の基準で、「公にすること」とは、秘密にせず、何人にも知り得る状態におくことを意味する。本条例では、何人も開示請求ができることから、開示請求者に開示するということは、何人に対しても開示を行うことが可能であるということを意味する。したがって、非開示情報該当性の判断をする場合、「おそれ」の有無等については、「開示請求者に開示することにより」ではなく、「公にすることにより」判断することとしている。
 以上のことから条例第14条第4号本文に該当し、非開示と判断したものである。
**********

■これに対して、当会は6月18日付で次の内容の意見書を公文書開示審査会会長宛に提出しました。

**********
平成21年6月18日
群馬県公文書開示審査会会長 様
     不服申立人 住所 〒379-0114安中市野殿980
           氏名 小川 賢
「意見書」の提出について
このことについて、群馬県公文書開示審査会審議要領第7条第1項に基づく「意見書」を下記により提出します。
     記
1 開示請求公文書の特定について
 開示を請求した公文書は、「平成20年11月6日付で群馬県建築主事佐藤雅彦名にて、東京瓦斯株式会社群馬幹線建設事務所に出した「H20確認―工群馬県000092」の建築基準法の手続きに係る一切の情報」であり、県知事(高崎土木事務所)が平成21年6月12日付け高土第76-12号で貴会宛に(高崎土木事務所)が提出した「理由説明書」の「1 開示請求公文書の特定について」に記載した「建築基準法第88条第1項において準用する同法第6条第1項の規定により申請された『確認申請書(工作物)平成20年11月6日受付第110号』を対象公文書として特定した」としているが、不服申立人としては、これが請求対象の「一切の情報」であるのかどうか、確証となる根拠を持つすべはない。
2 群馬県情報公開条例における開示・非開示の解釈について
 同条例は、群馬県の保有する情報が、県民の財産であり、原則開示の精神に基づくものであると高らかに定めてあるが、往々にして、実施機関は、自分たちの都合の悪い情報について、非開示あるいは不存在という理由で、秘匿したがり、それを正当化するために同条例を捻じ曲げて解釈する場合が多いため、以前として、県民の不信感を払拭できる状況にはなっていない。
 今回も、実施機関が、原則開示という本来あるべき条例の精神をないがしろにして、条例第14条の第3号イと第4号を不当に拡大解釈したものであり、いつもの姑息な論理を今回もまた主張したことはまことに遺憾である。
3 諮問庁の公文書を開示しない理由に対する意見
 不服申立人は、実施機関が条例第14条第3号イと同条第4号を理由に、非開示とした情報のうち、次のものについて、異議申立をした。
⑦放散塔全体外形図、⑧杭伏図・柱状図・敷地断面図、⑨放散塔基礎詳細図・構造特記仕様書、⑩PHC杭用継手金具姿図、⑪避雷設備設置概要、⑫避雷設備設置概要図、⑬避雷突針姿図、⑭ダイヒカップリング姿図、⑮鉄骨用接続端子姿図、⑯導線取付金物姿図、⑰ビニル管取付金物姿図、⑱端子ボックス姿図、⑲接地銅板姿図、⑳基礎・地盤説明書、(21)主要構造部材特記仕様書、(22)使用構造材料一覧表、(23)放散塔構造計算書、(24)放散塔基礎構造計算書(以上「設計図書」という)
 実施機関は、上記の設計図書の全部を非開示とした理由について「設計図書は建築主から依頼を受けた設計事務所に属する設計者が専門的知識・技術に基づき、建設地の地盤状況等を考慮して作成した設計成果品であり、設計者が工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部であることから、公にすることにより競合する同業者に参考とされるなど当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。」と主張する。
 しかし、実施機関は重大な事実誤認をしている。
 今回、不服申立人が、情報開示請求をしたのは、放散塔の設計図書である。東京ガスによれば、放散塔は、首都圏だけでも数百箇所設置されており、これらは、大地震発生等に備えて、ガス施設の防災計画の一環として、施設の安全化対策として、ガス事業法、消防法、建築基準法、道路法等の諸法規並びに建築学会、土木学会の諸基準及び日本瓦斯協会基準に基づいているものであり、実施機関の主張するような「設計事務所に属する設計者の工作物設計に関する知識と独自の技術力を駆使した設計成果品の一部」に相当するものではない。
 このことは、東京ガスが自ら発行している防災計画でも明示されている。(添付資料1、2参照)
 東京ガスは添付資料1の防災計画の中で、放散等の設置について、「地震時のガスによる二次災害を防止するため、中圧導管の管内ガスを安全に空中放散するため、工場・整圧所・幹線ステーション等に放散等を設置している」と説明しており、防災計画における重要な施設と位置づけている。
 東京ガスは添付資料の地震対策の中で、「たとえ大地震に見舞われた場合においても『安全を確保』することは、ガス供給事業者にとっての社会的使命であると認識している」とまで大見得をきっており、その基本的な考え方や具体的対策については、予防対策、緊急対策、復旧対策に分けて、それぞれ十分な対応を講じてきたと自慢している。この中で、放散塔は、緊急対策の要のひとつとして位置づけており、図2の大地震時の緊急遮断システムにも示されているように、地震時に二次災害を防止するため、被害状況により、放散塔からガスを大気中に上空放散することができるようにするための施設である。
 添付資料では、圧力2MPa程度の「中圧導管」ネットワークを想定した二次災害防止用として放散塔の必要性を述べているが、今回、不服申立人が請求したのは、7MPaの高圧導管ネットワーク用として、東京ガスが、不服申立人の居住する安中市北野殿地区に設置するものであり、既に、放散塔は、実施機関が非開示としているうちに、据え付けられてしまった。
 実施機関は、条例第14条第3号ただし書について、不服申立人の「生命、健康、生活及び財産の安全を脅かされる」という主張に対して、呆れたことに「当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等の権利利益とを比較衡量し、前者(=人)の利益を保護することの必要性が、後者(=法人、つまり東京ガス)の利益より下回るから、開示しなくてもよいと主張している。このような認識をもつ職員が、建築基準法の認可に携わっていると思うとぞっとする。姉歯事件の教訓について、実施機関はどの程度、真剣に受け止めているのか疑問である。県民の生命、健康、生活及び財産を守るべき実施機関の職員がこのザマでは、情報公開に消極的な東京ガスをますます助長させる結果となってしまう。
 今回の非開示決定の判断を下したことになっている高崎土木事務所の建築主事佐藤雅彦に、不服申立人が平成21年3月10日に面談して確認したところによれば、同氏は設計者(=東京ガス)に情報開示の諾否について、確認していないと話し、非開示の判断は、群馬県庁にある本部にも相談した結果であると語った。そこで、不服申立人は、同日、県庁を訪れて、建築住宅課審査指導係清水氏らにも、非開示の判断を誰がしたのか、聞いてみたが、はっきりした説明がなく、不服申立人は、異議申立に記載したように、「本件情報である非開示処分とされた公文書のタイトルを見る限り、一般的な技術であり、ノウハウ流出とは考えられないこと。また、地元住民に対して、不法侵入・破壊活動等の恐れを指摘することなど無礼きわまりないこと。だから非開示決定を撤回してほしい」と申し入れたところ、清水市は「上層部と相談の上、結果を連絡する」と約束してくれた。しかし、その後何の連絡もないため、不服申立人は異議申立に踏み切った。
 このことは、実施機関の上層部そのものが、県民の生命、健康、生活、財産の安全よりも、東京ガスのような事業者の利益を重視するという考え方である事を示すものであり、到底容認できない。
 なお、実施機関は、条例第14条第4号について、さらに呆れたことに、「設計図書を公にすることによって何人にも入手できることとなった場合、当該築造物へのテロ等の不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し又は犯罪の実行を容易にする可能性があり、施設保安・管理に支障を生じるおそれがある」と断言している。東京ガスが自ら、放散塔は大地震発生時のような緊急時に二次災害を防止するための重要な防災施設の一部と位置づけているのに、実施機関は、情報開示請求をした県民であり地元関係住民が「テロリスト」化する脅威のほうを深刻だと本当に思っているらしい。これほど、県民を愚弄した言葉はない。
 放散塔など防災施設の保安管理の責任は東京ガスにあり、そうした対策は別途措置しているはずである。本件情報を開示したくらいで、保安管理に重大な支障があるとは到底思えない。普段、ひと気のない当該施設の周辺に居住する地元住民は、むしろ不審者の徘徊等に対して、施設の間接的な監視役の立場にあるといえる。それなのに、地元住民をアルカイダと同一視する実施機関は、世界に冠たる治安良好なわが国において、地域コミュニティの果たしてきた役割をまったく認識しておらず、言語道断である。実施機関のしかるべき幹部に、謝罪を求めたい。
 本件異議申立の審議に関連して、開示請求情報の取り扱いについて東京ガスに諾否の確認もせず、勝手にしかも簡単に業者寄りの比較衡量の判断をした実施機関の関係者や、納税者であり地域コミュニティに貢献しようとする県民をアルカイダよばわりした実施機関の関係者は、即刻クビにするよう、審査会からも大澤知事に答申されたい。  以上
添付資料1:ガス施設防災計画(東京ガス株式会社)
添付資料2:東京ガスの地震対策(井上忠夫)
**********

■こうして、本来であれば、東京ガスが、地震発生時のガス施設の安全対策として設置する放散塔の情報を開示してくれれば何の問題もありません。ですが当会は、東京ガスが開示を拒否したとしても、県民の生命、健康、生活、財産の安全を第一に考えてくれる群馬県なら、きっと情報開示してくれると期待していました。しかし、現実は、そうではなかったのです。

 群馬県は、異議申立をした当会に対して、あくまで、テロリスト呼ばわりをしたい方針のようです。群馬県公文書開示審査会の正しい判断に基づく知事への答申を、今度こそ期待したいと存じます。

【ひらく会情報部】

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あとは群銀への和解金だけ・・きょう、タゴへの損害賠償時効で事件関係者は祝杯か?

2009-06-18 23:55:00 | 土地開発公社51億円横領事件

■広報あんなか2009年2月号の8ページに、「民事訴訟の和解成立を受け、安中市土地開発公社には、24億5000万円の債務が確定し、その中の正規借入金額は2億2690万8000円でありますので、その残額である22億2309万2000円が、損害となりました。そのため安中市土地開発公社では、元職員に対して損害賠償請求を提訴し、平成11年5月31日判決、同6月18日に22億2309万2000円とこれに対する民事法定利率である年5部の割合による遅延損害金の支払いを認める判決が確定しています。これまでに、市税還付金、土地および家屋の強制競売による配当金として、1488万500円を回収し、現在残っている損害賠償請求権は22億821万1500円となっています。今後におきましても、たとえわずかな金額でも、回収できるように努力していきたいと考えています。 問合せ▼安中市土地開発公社(電話382-1111)」と書かれていました。

 上記のように、元職員タゴ邦夫に対する損害賠償請求権22億2309万2000円の判決が10年前のきょう、6月18日に確定しましたが、10年後のきょうの時点で、22億821万1500円の請求権が消滅時効となるのではないか。そのような危機感から、当会では、土地開発公社の岡田義弘理事長にタゴを再提訴するよう、安中市の岡田義弘市長に監査請求をしましたが、安中市監査委員ははやばやと請求を却下し、前橋地裁の松丸伸一郎裁判長も、当会の訴状をあっさりと却下し、きょうの6月18日がまもなく過ぎようとしています。

■隣の高崎市でも、やはり元職員が約10年前に上下水道料金の還付金同系約2400万円を着服するという事件が起きました。事件そのものの規模は、タゴ事件の220分の1ですが、高崎市は、元職員への損害賠償請求訴訟で確定した返済金のうち未払い分約1900万円の支払いを求め、前橋地裁高崎支部に再提訴する方針をかため、3月12日の高崎市議会建設水道常任委員会で報告しました。

 この事件は、高崎市の元職員が1998年末から98年6月にかけて、不正入力などで還付金を着服し、同年7月に懲戒免職処分となり、99年4月末、当時の未返済分約2100万円の支払いを命じる判決が出されました。元職員は刑事裁判でも実刑が確定しましたが、服役後の2003年から行方不明となっています。10年経過の今年の4月末に民事の時効が迫っていたため、高崎市は再提訴を決めたのでした。

■これは、明らかにタゴ事件にも当てはまるとわかり、当会は安中市に対してタゴへの再提訴を強く促してきました。安中市土地開発公社理事長を兼務する岡田市長は、判決の10年後に損害賠償請求権が失効することについて、半信半疑ながらも認識はしている様子で、公社として、法律の専門家と対応策について相談していることを市民対話での席上、当会に明らかにしました。

 しかし、その後、安中市議会の常任委員会で報告した経緯もなさそうですし、具体的なアクションをとったことが判る証を市民の前に明らかにしていません。

■民法第167条によれば、「債権は、10年間行使しないときは、消滅する」と定められています。本件のように、一定期間継続して権利が行使されないときに、その権利を消滅させる時効のことを消滅時効といいますが、「貸金」の「不当利得変換請求権」については、時効になるまでの期間は「10年」で、時効の起算点は「不当利得変換請求権の発生した日」とされています。

 となると、明日以降、安中市土地開発公社がタゴを再提訴しても、裁判において、タゴから「不法行為による損害賠償請求権の消滅時効を援用します。」と主張されたら、その時点で、訴えた公社の敗訴は免れないものとなります。

■ただし、時効が過ぎた後であっても、タゴが損害賠償債務を承認し、損害賠償債務(ないしその額を確定し得る計算方法)を確定し、(互いに譲歩して)和解契約を締結した場合は、その時点で和解契約に基づく請求債権が発生し、約定で定めたその履行期から(履行期を定めなかったときは、和解契約締結から「相当の期間」が経過してから)10年間は時効消滅する事はありません。

 まさに、群馬銀行が、安中市土地開発公社に対して、この方法で、今年から今後さらに10年間、時効消滅を防ぐための手続きを持ちかけ、岡田理事長は、これにホイホイと応じて、既に昨年12月26日までに和解契約の延長に合意しています。

 しかし、元職員のタゴは、いまさら安中市土地開発公社と和解契約を締結するはずもありません。市役所の目の前にあるタゴの自宅についても、岡田市長は、差し押さえによる強制競売にかけて、なんとか駐車場の一部に活用したいと語りましたが、これも話だけで、実効性はきわめて疑問です。

■消滅時効期間を延ばす方法としては、時効期間内に一定の手続きをとることによって、本来の消滅時効期間を延ばすことができます。これを「時効の中断」といいます。

 民法第149条に「時効期間中の訴訟の提起」というのがあります。裁判を継続している間は、時効は進行せず、判決が確定すると、いかなる債権でも、短期消滅時効が定められている債権でも、判決確定時期から10年間は時効にかからないことになっています(民法第174条の2)。当会が、タゴを再提訴するように、安中市に促しているのはこれを根拠としています。

■一方、裁判を起こさなくても、時効期間内に債権者が債務者に書面等で請求(催告)するだけでも6ヵ月間延ばすことができます(民法第153条)。ただし、時効期間を延ばす目的でする請求(催告)は、必ず配達証明付の内容証明郵便で行わなければなりません。そして、請求(催告)によって時効期間を延ばせるのは、本来の時効期間から6ヵ月間が限度であり、その間に訴訟手続きをとらなければなりません。

 もし、安中市土地開発公社が、きょうまでに催告をしていれば、とりあえずタゴ再提訴の準備に6ヶ月間は延ばせますが、もし催告をしていなければ、これによる半年間の時効延長もできないことになります。

■また時効の中断という手段もあります。民法第147条によると、時効期間内に債務者に債務の承認をさせる手続きをとると、それまでに進行してきた時効期間が帳消しになり、承認のときから新たに時効期間が進行することになる。具体的には、債務の残高確認書の取り付け、内金の受領等の事実によって承認の効果が発生します。

 タゴと親しい岡田市長なので、内密に、タゴとこのような債務の承認手続きを交わしている可能性もあります。タゴの不動産などを強制競売にかけたりして、一部の債権を回収したと自慢する岡田市長なので、もしかしたら、この手続きをとっていることで、タゴの再提訴は必要ないと考えているのかもしれません。だったらよいのですが。

■前述のように、時効期間が満了しただけでは債権は自動的には消滅しません。消滅時効の利益を受ける者(債務者=タゴ)が時効を援用(時効にかかっているから自分は支払わないという意思表示)をして初めて債権者の請求権が失われます。従って、時効期間が過ぎている債権であっても、債務者に請求することは一向に差し支えなく、債務者が異議を唱えずに支払ってくれた場合には、その支払は有効であり、後日返還する必要はないのです。

 また、時効が完成した後であっても、僅かな内金を支払って欲しいとか、残高確認のみをして欲しいと依頼し、債務者がそれに応じてもらえることもあります。最高裁判例によれば、債務者が時効完成後に内金を支払ったり、残高確認をしたりしたような場合には、債務者は時効利益を喪失したものと看倣し、その時点から新たに時効期間が開始するとしています。

■しかし、これらの手段が可能になるためには、いずれもタゴの自発的な行動が頼りです。公社でタゴと一緒に安中市内の土地情報を共有していた岡田市長に対して、タゴもいろいろ恩義もあるでしょうから、こうしたタゴ頼みの手段もあながち荒唐無稽ではないかもしれませんが、「二人とも、同じ穴のムジナ」という見方をすると、やはり、公社を隠れ蓑にして、あとは群銀への和解金の支払いだけ続ければ、世紀の巨悪詐欺横領事件もメデタシメデタシ、と幕引きを図ろうとするでしょう。

 このように、元職員のタゴに対する債権回収について、きょうという日が過ぎてしまえば、非常に難しくなりそうなことは確かです。果たして、岡田市長兼公社理事長がタゴから本気で債権回収をする気があるのかどうか、当会では住民監査請求から住民訴訟を通じて確かめようとしていますが、残念ながら裁判所の松丸伸一郎裁判長が、当会の訴状を門前払いするなどして、前途多難な様相を作り出しています。当会として、残された方法は、とりあえず、東京高裁への控訴しかありません。控訴期限は、判決文が届いた翌日から数えて14日以内なので、来週水曜日の前までに、そろそろ控訴状を作成すべきかどうかの決断を迫られています。

【ひらく会情報部】

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役所に厚く、住民に薄いガスパッチョ東京ガスの情報開示と薄っぺらな説明責任意識

2009-06-17 20:16:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■東京ガスのホームページを見ると、真っ先に飛び込んでくるCSRというのは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)を意味する略称です。東京ガスの場合、いかにもCSRに熱心な企業であるかのように振舞っていますが、実際には、CSRとかコンプライアンスを担当する部署はありません。ウソだと思う方は、当該部署名御中で文書を送って返事を求めてみてください。同社の広報部でさえ、導管事業にかかる相談事で、関係住民から書面で回答を求められても平気で無視をします。返事をしてくるのは、いつでも、出先の工事現場の渉外担当者からです。

 世界的企業なのに、このような表と裏の二重構造を持っていること自体、不思議でなりませんが、嘆いていても仕方が無いので、あらゆる手段を講じて、東京ガスの群馬幹線第Ⅰ期工事の詳細について情報収集を試みています。

 そのひとつの手段として、東京ガスの高圧ガス導管敷設に際して、公道を占用するにあたっての許認可手続きのため、東京ガスが行政に提出した文書について、道路管理者である自治体に対して情報公開条例に基づき、閲覧或いは写しの交付を求めることです。時間と費用がかかりますが、この方法ですと、かなり詳しい情報が入手できます。

 その結果、東京ガスが渋々行った地元説明会では得られなかった情報が、いろいろと明らかになりました。

■先日、群馬県安中市土木事務所から開示された資料の中に、次の2件の小冊子がありました。ひとつは、「クリーンエネルギー 天然ガスを皆さまへ 高圧ガス輸送導管の維持管理/エネルギー・フロンティアTOKYO GAS導管部・幹線グループ」というパンフレットで、もうひとつは、「ガス供給施設の概要/平成20年5月 東京ガス株式会社」という小冊子です。それぞれの内容は次のとおりでした。いずれも、平成19年10月頃、安中市岩野谷地区のパイプライン計画ルート沿線の各地区で行われた地元説明会では見たことの無い資料です。パンフレットのほうはフルカラーで6ページ綴りです。


役所から入手できたパンフレット表紙


東京ガスが平成19年10月に住民説明会で配布したパンフレット
**********
≪クリーンエネルギー 天然ガスを皆さまへ 高圧ガス輸送導管の維持管理≫
エネルギー・フロンティア TOKYO GAS 導管部・幹線グループ

1 高圧ガス輸送導管網
 東京ガスでは年々増大するガスの需要に対応するため、クリーンエネルギー天然ガスの輸送導管を着々と建設しており、現在約700kmに達しております。これら高圧ガス輸送導管の維持管理は地域別に設置されている5つの導管ネットワークセンターが行っています。
・東部導管ネットワークセンター管理
・千葉導管ネットワークセンター管理
・埼玉導管ネットワークセンター管理
・西部導管ネットワークセンター管理
・神奈川導管ネットワークセンター管理
・今泉幹線
2005年9月現在
【導管ネットワークセンター名】幹線名/起点~終点/口径(mm)/仕様圧力(MPa)
【千葉導管ネットワークセンター】
・第2千葉幹線/柚ケ浦工場~生実BS/600/6.86
・港町分岐ライン/生実BS~港町GS/400/6.86
・成田ライン/大佐倉GS~江弁須VS/150/2.94
・第2成田ライン/鹿放ヶ丘GS~大佐倉GS/200/1.77
・南袖ライン/長浦BS~川重MS/300/6.86
【東部導管ネットワークセンター】
・千葉幹線/柚ケ浦工場~江戸川左岸/600/6.86
・海底幹線/柚ケ浦工場~陸揚GS/600/6.86
・湾環幹線/陸揚GS~豊洲GS~大丼GS/850(750)/1.96
・京浜幹線/大#GS~羽田分岐~多摩川左岸/750/2.94 or 1.96
・京浜幹線羽田分岐線/羽田分岐~羽田GS/400/1.96
・葛西ライン/陸揚GS~葛西GS/600/6.86
・舞浜ライン/葛西GS~江戸川左岸/400/1.96
・常総幹線/白丼GS~干葉ニュータウンVS~牛久GS/400(300)/1.77
・第2常総幹線/印旛BS~電ケ崎GS/400/6.86
・干葉ニュータウン受入管/干葉ニュータウンVS~干葉ニュータウンGS/300/1.77
・圧力逃し装置連絡管/干葉ニュータウン受入管~印西DS/300/1.77
・埼玉幹線/江戸側左岸~朝霧GS/600/6.86
【埼玉導管ネットワークセンター】
・埼玉幹線/八潮BVS~草加GS/600/6.86
・埼北幹線/安行GS~上之GS/600(400)/6.86
・熊谷~佐野幹線/上之GS~犬伏BS/400/6.86
【今泉幹線出張所】
・熊谷~佐野幹線/上之GS~犬伏BS/400/6.86
・栃木ライン/佐野GS~真岡GS/400/6.86
・宇都宮幹線/佐野VS~鶴田GS/250/1.77
【西部導管ネットワークセンター】
・東京幹線/朝霞GS~下麻生GS/650/1.96
・第1根岸幹線/根岸工場~下麻生GS~保谷GB/750(600)/1.96
【神奈川導管ネットワークセンター】
・第1根岸幹線/根岸工場~下麻生GS~保谷GB/750(600)/1.96
・第2根岸幹線/根岸工場~下麻生GS/(750)650/1.96
・根岸分岐ライン/市ケ尾GS~梶ケ谷GS/650/1.96
・富岡ライン/磯子~金沢GS/600/1.91
・京浜幹線/根岸工場~根岸拡張地区送出管 or 多摩川左岸~根岸工場/750/1.96
・川崎縦貫ライン/浮島分岐~浮島GS/750(400)/1.96
・横浜幹線/東神奈川分岐~荏田BS/900/1.96
・横浜湘南ライン/新橋BS~下土棚GS/600/1.96

東京ガスの首都圏の高圧ガス導管ネットワーク

2 私たちが守っているガス供給施設
<導管材料>
 高圧ガス輸送導管の材料として、世界的に広く使用されている米国石油協会(API)高圧ラインパイプ(5L)規格のX-42、X-52、X-60、X-65等の鋼管を使用しており、これらの材料は引張り強度、耐力が大きく強靭で、かつ伸びも大きく可撓性のある優れたものです。
 なお、導管の外面には腐食防止のためポリエチレン、コールタール、エナメル等の塗覆装が施されています。
<導管の接合>
 高圧導管の接合は、高品質な溶接接合を採用しております。この溶接接合部は、全数について厳重な非破壊検査を実施し、十分な品質であることを確認しています。
<道路埋設部>
 高圧導管は、主に道路下に埋設されており、その標準的な断面は下図のようになっています。
<河川等横断部>
●専用橋梁
 大きな河川等での横断には、ガス管専用の橋梁を設けています。
大きな橋梁としては
1.江戸川専用橋(560m)
2.養老川専用橋(350m)
3.中川専用橋(265m)
等があります。
●洞道(トンネル)
 荒川の横断(1,437m)、草加市内の東武鉄道・国道4号線・綾瀬川(665m)及び旭運河・京浜運河の横断(2,111 m)には、ガス管専用の洞道を設けています。
<ガバナステーション(略称:GS)>
 高圧導管から各地区にガスを供給するため、ガスの圧力を下げる機器(ガバナ)を設けています。
<バルブステーション(略称:VS)>
 大地震等の緊急時に備え、ガスを遮断する遮断バルブを設けています。
<電気防食施設>
 高圧導管の腐食を防止するため、電気防食用外部電源装置と排流器を設置しています。
<維持管理用路上施設>
 高圧導管を埋設した路面上には、
1.防食状況を測定するためのターミナルボックス
2.高圧導管の沈下を測定するための沈下棒ボックス
3.高圧導管の曲がり部の埋設位置を明確にするための目印ボックス
等を設けています。

3 私達が行っている維持管理業務
<路線巡回>
 高圧導管路線上で、事前に照会のない他企業者工事の発見、ならびに施設の異常の有無、路線状況の変化を発見するため、24時間体制でパトロールを行っています。
<照会工事対応>
 他企業者が行う工事の際に、高圧導管の保安を確保するため、事前に十分な打合せを行うとともに、現場での立会い・確認を実施しています。
<施設保全>
 各種施設の点検・検査、機器類の機能検査を定期的に行い、施設が正常に作動していることを確認しています。
<沈下管理>
 地盤の不等沈下等により高圧導管に発生する応力を把握するため、定期的に高圧導管のレベルを測量しています。
<電気防食管理>
 高圧導管の腐食防止のために電気防食が適正な状態にあるかどうかを定期的に測定しています。
<特別点検>
 地震、大雨等があった場合には、施設を特別に点検し、異常がないことを確認しています。
<埋設位置図の整備>
 高圧導管の埋設されている位置を正確に把握するため、地形の変化にあわせ、随時図面を修正整備しています。
<遠隔監視>
 高圧導管網の減圧設備、遮断設備は、本社の防災・供給センターで、テレメーター、テレコン
トロールシステムにより常時監視および遠隔操作出来るようになっています。なお、停電時には、自動的に備え付けの予備電源に切換ります。
 また、各導管ネットワークでも地震の大きさやガスの漏洩などの情報を24時間監視しています。

【高圧ガス輸送導管付近で工事を行う際の連絡先】
<維持管理体制>
 東京ガスでは、高圧ガス輸送導管の維持管理に万全を期すとともに、管轄の道路管理者、消防署及び警察署と密接な連絡体制を確保するため、各地区を管理する導管ネットワーク内に専門の維持管理組織を設けています。
 各導管ネットワークセンターの所在地及び管理区域は次の通りです。
<首都圏関東導管事業部 東部ネットワークセンター幹線管理グループ>
荒川区南千住3-13-1 TEL 03-3802-7613
江東区、江戸川区、品川区、大田区、港区、東京湾、足立区、三郷市、八潮市、草加市、白井市、沼南町、柏市、印西市、我孫子市、松戸市、流山市、利根町、竜ケ崎市、牛久市
<首都圏関東導管事業部 千葉導管ネットワーク幹線管理グループ>
千葉市中央区港町20-1 TEL 043-25-5339
袖ケ浦市、市原市、千葉市、四街道市、佐倉市、八千代市、酒々井町、成田市
<首都圏関東導管事業部 埼玉ネットワークセンター幹線管理グループ>
さいたま市浦和区北浦和5-16-20 TEL 048-832-9774
川□市、さいたま市、戸田市、酒田市、伊奈町、桶川市、鴻巣市、川里町、吹上町、行田市、熊谷市、羽生市、館林市、邑楽町
<今泉幹線出張所>
宇都宮市今泉4-15-16
TEL 028-622-7020
佐野市、岩舟町、大平町、小山市、南河内町、上三川町、真岡市、宇都宮市、鹿沼市、壬生町、都賀町、栃木市
<首都圏西導管事業部西部導管ネットワークセンター幹線管理グループ>
西東京市柳沢2-18-46 TEL 0424-64-2300
朝露市、新座市、清瀬市、東村山市、東久留米市、小平市、小金井市、府中市、多摩市、稲城市、国分寺市、調布市、三鷹市、武蔵野市、西東京市、川崎市、横浜市
<神奈川導管事業部神奈川導管ネットワークセンター幹線管理グループ>
横浜市西区平沼5-55 TEL 045-313-8006
川崎市、横浜市、藤沢市
**********

■もうひとつは、A4版5ページにA3版のルート地図がついているモノクロのコピー資料ですが、目次のページと、実際のページが食い違っているヘンな資料です。

**********
【ガス供給施設の概要】 平成20年5月 東京ガス株式会社

目 次
1.ガス供給施設の種類及び設置経路‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1
2.ガスの圧力、供給能力及び供給方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1
3.ガスの供給施設の設置位置及び設置方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1
4.ガスの供給施設の構造‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1
5.ガス導管等の耐圧試験及び気密試験の方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
6.ガス漏洩検知装置、感震装置、緊急遮断装置等の保安施設及び消火施設の設置状況‥2
7.ガス漏洩防止及び放散の方法‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
8.素意時に'おける緊急遮断装置等の作動方法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
9.緊急時における連絡通報設備の設置状況及び道路管理者等への連絡体制‥‥3
10.自衛消防組織等の保安管理体制の状況‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3
資料 1. 経路図

(1)ガスの供給施設の種類及び設営経路
(a)供給施設の種類
(i)導管
 名称:群馬幹線Ⅰ期
 管径:呼径500 mm
 延長:16.4km
(ii)ステーション
 名 称/住 所(予定地)
 磯部ブロックバルブステーション/群馬県安中市中野谷
 安中バルブステーション/群馬県安中市野殿
 下小塙ガバナステーション/群馬県高崎市下小塙町
(b)設置経路   資料.1参照
(2)ガスの圧力、供給能力及び供給方法
 最高使用圧力:7MPa
 供給能力:15.0万Nm3/h
 供給方法:ガバナステーションのガバナ(整圧器〉にて所定圧力に減圧して供給します。
(3)ガスの供給施設の設置位置及び股置方法
(a)設置位置
(i)設営位置
 道路管理者殿及び関係各所と調整を行い、車道もしくは歩道に設置します。
(ii)他埋設物との離隔距離
 原則として60cm以上とします。
(iii)埋設深度
 1.2m以上とします。
(b)設置方法
(i)掘削
 山留を施す等、安全な方法により掘削を行います。
(ii)埋戻し
 管の周囲は良質な砂等に入れ替え、管床及び管の周囲を十分に突き固めます。
(iii)標示および防護
 道路法施行令に基づき導管明示テープを設置し、導管の上部に標識シート及び防護鉄板を設置します。
(4)ガスの供給施設の構造
(a)導管
(i)強度
 ガス工作物等の技術上の基準を定める技省令{以下「技省令」という。)第14条及びガス工作物技術基準の解釈例(以下「解釈例」という。)第14条に基づき、ガス導管の材料は下記のものを使用します。強度計算は、解釈例第41条に基づき行っています。
 材料/外径/肉厚
 API 5L X60/508.0mm/11.9mm
(ii)防食
 技省令第47条及び解釈例第103条に基づき、次のような防食措置を講じます。
(イ)工場塗覆装
 プラスチック(ポリエチレン)による外面被覆を行います。
(ロ)現地溶接部の塗覆装
 ポリエチレン熱収縮チュープ、ポリエチレン熟収縮シート又はポリエチレン防食テープにより被覆を行います。
(ハ)電気防食
 放電陽極法または外部電源法により電気防食を行います。
(ニ)他の構造物とは電気的に絶翁します。
(iii)接合の方法
(イ)技省令第15条及び解釈例第41条第2項に基づき、溶接により接合します。
(ロ)技省令第16条及び解釈例第58条に基づき、溶接部の検査を行います。
(b)ガバナステーション設備
 ガバナステーションにはガバナ、緊急遮断装置等のバルブ及び保安施設等の設備を備えています。
(5)ガス導管等の耐圧試験及び気密試験の方法
(a)耐圧試験
 技省令第15条及び解釈例第50条に基づき、耐圧性能の確認を行います。
(b)気密試験
 技省令第15条及び解釈例第51条に基づき、気密性能の確認を行います。
(6)ガス漏洩検知装置、感震装置、緊急遮断装置等の保安施設及び消火施設の設置状況
(a)保安施設
(i)ガス漏洩検知装置
 ガスの圧力変化を各ガバナステーションからテレメーターにより本社防災・供給センターに常時電送し、それらの変化を24時間監視します。
(ii)感震装置
 必要に応じて感震装置をガバナステーションに設置します。
(iii)緊急遮断装置
 緊急遮断装置を、各ガバナステーションに設置します。
(b)消火施設
 各ガバナステーション、群馬支社及びパトロール車には消火器を配置します。
(7)ガス漏洩防止及び放散の方法
(a)ガスの漏洩防止
 導管の強度、防食及び設置方法については、前述のように設計・施工するとともに、耐圧・気密試験によって安全性を確認しガスの漏洩を防止しますが、さらに維持管理上次のような対策をとり、ガスの漏洩を防止します。
(i)定期検査
 ガス事業法第36条の2の4及びガス事業法施行規則第56条、第57条に基づき、定期自主検査を行います。
(ii)漏洩検査
 技省令第51条及び解釈例第113条に基づき、漏洩検査を行います。
(iii)路線パトロール
 定期的に路線上を巡回し、他工事の有無、道路状況、橋架管、ステーションについて点検を行います。
(iv)他工事対策
 路線上の他企業者の工事による損傷を防止するため事前協議を行い、必要に応じて立会及び防護を行います。
(v)その他
 ガス導管の沈下測定と電位測定を定期的に行います。
(b)放散の方法
 万一ガス漏洩を生じた場合には、緊急遮断装置を閉止するとともに、放散設備により、ガスを大気中に放散します。
(8)緊急時における緊急遮新装置等の作動方法
 緊急遮断装置は遠隔操作で作動するとともに、現地でも作動できるようにします。また、停電時には予備電源による開閉を可能にします。
(9)緊急時における連絡通報設備の設置状況及び道路管理者等への連絡体制
 群馬支社及び各ガバナステーションには加入電話、専用電話又は無線通信機を設置します。また、路線パトロール車及び群馬支社には無線通信機を設置し、相互に連絡がとれるようにします。連絡体制は現在検討中であり、決まり次第報告致します。
(10)自衛消防組織等の保安管理体制の状況
 ガス事業法第30条の規定により定めた保安規定に基づく保安管理体制により、保安の確保に万全を期します。
**********

■この資料に書かれていることは、地元説明会をはじめ、これまで東京ガスに疑問点として質問してきた事項への回答となるものが多数ありました。東京ガスは、道路管理者である群馬県や安中市にはこうした資料を提出していますが、道路沿線・周辺に住む住民や地権者には見せようとしません。高圧ガス導管の実態を庶民に知られるのがよほど嫌いのようです。

 これらの資料を見ているうちに、地元説明会での東京ガスの説明や、実際に地元で施工している状況などと、食い違いのあることに気付きました。そこで、本日、次の内容の公開質問状を、高崎市にある東京ガスの群馬幹線建設事務所の鹿沼所長宛に提出しました。

***********
平成21年6月17日
〒370-0045高崎市東町134-6東京ガス群馬ビル
群馬幹線建設事務所所長 鹿沼 正広 様(FAX:027-324-5442)
    質問者 〒379-0114安中市野殿980番地  小川 賢
群馬幹線Ⅰ期工事岩野谷地区内のガス工事の説明と実際の相違等について(公開質問状)
 拝啓 初夏の候、貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます。
 さて、表記工事に関しては、平成19年10月に地元説明会で、事前に工事概要を説明いただいた経緯がありますが、その後、さらに詳しい工事情報や、放散塔、バルブステーションなどの施設情報、そしてシールド或は推進などの工法情報、さらに路面陥没事故原因情報等について、情報開示をしてきましたが、きわめて消極的な貴社の対応はまことに残念でなりません。地元説明会からもうじき2年を経過し、この大工事も大詰めに近づいているこの時点で、依然としていろいろな疑問点があります。
 つきましては、文書にて6月30日(火)必着で、下記項目についてご回答下さるようお願い申し上げます。 敬具
     記
1)地元説明会で貴社が配布した「天然ガスが運ぶ環境にやさしくより豊かな暮らし -群馬県線Ⅰ期計画概要-平成19年10月 東京ガス株式会社」というパンフレットでは、標準断面図として、地表から「路面表示器」「埋土砂」「標識シート」「「土被1.2m以上」「ガス管」「砂袋」「掘削幅1.1m以上」とあります。一方、貴社が平成20年5月ごろ、群馬県安中土木事務所に提出した「クリーンエネルギー 天然ガスを皆さまへ 高圧ガス輸送導管の維持管理 エネルギー・フロンティア TOKYO GAS 導管部・幹線グループ」によれば、標準的な断面として、地表から「路面ボックス」「集気管」「標識シート」「砂」「防護鉄板」「1.5m~1.8m」「漏洩検知ケーブル」「ガス管」「砂袋」「掘削幅」とあります。両者にはなぜこのような違いがあるのでしょうか。具体的にわかりやすく説明してください。とくに、ガス導管の埋設深度(土被?)の違い、集気管、防護鉄板、漏洩検知ケーブルなどの有無の違いは、なぜなのか。現在、安中市岩野谷地区で施工中の標準断面は、どちらなのか、など、疑問点にお答えください。

地元説明会での説明資料

東京ガスが行政に出した資料

2)後者のパンフレットの3ページ目に「2 私達が守っているガス供給施設」として「導管材料」の説明があります。このなかで貴社は「なお、導管の外面には腐食防止のためポリエチレン、コールタール・エナメル等の塗覆装が施されています」と記していますが、コールタールのような有害物質を本当に使用しても大丈夫なのでしょうか。既に、コールタール系やタールエポキシ系の塗料は、産業界では使用禁止となっているはずですが、再度、ご確認ください。
3)貴社は、安中市野殿地区で、当初ガバナーステーションを計画し、その後バルブステーションに変更しているようですが、一方で、貴社は地元説明会で、東邦亜鉛へのガス供給について営業をかけている事を示唆しました。また、実際に測量も実施済みのようです。しかし、その後、一部の地元住民に対して、「東邦亜鉛のような企業に対しては、帝国石油しか営業できない。東京ガスは一般家庭にしか供給できない」と説明しています。つきましては、東邦亜鉛へのガス供給のためのルート計画はどのようになっていますか。また、東邦亜鉛への天然ガスの営業は実際に貴社がしているのですか。それとも企業へのガス供給は帝国石油しかできないのですか。そして、貴社は一般家庭にしかガスを供給できないのですか。
4)貴社は、安中市野殿地区でバルブステーションを建設中ですが、その資材置き場は、農地を借りて使用しているようです。となると、農地法による転用許可を受けているはずですが、見やすいところにそのような標識は表示していないようです。実際にどのような転用許可を受けたのでしょうか。その場合、見やすいところに標識を張り出しておかないのは何故でしょうか。理由を教えてください。もし、農地転用許可を受けなくてもよいのであれば、その旨、理由を教えてください。

安中市野殿にあるバルブステーション建設用資材置き場

工事施工安全標識はあるが、農地転用許可標識は見当たらない(いずれも4月18日撮影)

5)次に、貴社が平成20年5月に群馬県安中土木事務所に提出した資料で「ガス供給施設の概要」という表紙を含めてA4版5ページとA3版の資料があります。このうちページ2で「(2)ガスの圧力、供給能力および供給方法」として、最高使用圧力:7MPa、供給能力:15.0万Nm3/h、供給方法:ガバナステーションのガバナ(整圧器〉にて所定圧力に減圧して供給します、とあります。貴社は、地元説明会で、最高使用圧力は説明しましたが、供給能力については質問に答えませんでした。ここで質問です。供給能力が毎時15万ノルマル立米の場合、ガス導管を流れるガスのスピードはどれくらいになりますか。
6)ページ2の「(3)ガスの供給施設の設置位置及び設置方法」で、「(a)設置位置(ii)他埋設物との離隔距離 原則として60cm以上とします」としていますが、地元説明会のとき、貴殿は1m以上離隔距離をとらなければならないので、地元住民が提唱した碓東小学校の北側の道路へのガス導管埋設は、東邦亜鉛の重金属処理水の放流用ヒューム管と十分な離隔距離が取れないことを理由に、不可能であると主張しました。離隔距離の根拠と、正しい数値を教えてください。
7)「(a)設置位置(iii)埋設深度 1.2m以上とします」とありますが、前述のように、1.5m~1.8mという数値も存在します。埋設深度の違いと理由についてわかりやすく説明してください。
8)「(b)設置方法(iii)標示および防護 道路法施行令に基づき導管明示テープを設置し、導管の上部に標識シート及び防護鉄板を設置します」とありますが、「導管明示テープ」というものはいったいどのようなものですか。どこにも説明がないため、教えてください。また地元説明会では説明のなかった「防護鉄板」というものは、実際に設置してあるのかどうか、あるいは部分的に設置されているのか、ならばどの場所に設置している、あるいは設置していないのでしょうか。
9)ページ3において、「(4)ガスの供給施設の構造(a)導管(ii)防食 技省令第47条及び解釈例第103条に基づき、次のような防食措置を講じます。(ハ)電気防食 放電陽極法または外部電源法により電気防食を行います」とありますが、「技省令」「解釈例」というのは、どういう基準、あるいはルールなのでしょうか。また「放電陽極法」「外部電源法」の違いを含めてそれぞれの防食メカニズムを教えてください。
10)また、「(ニ)他の構造物とは電気的に絶縁します」というのは、どういう意味ですか。貴社は、地元説明会で、信越線の敷地沿いに埋設してはどうかという地元住民の提案に対して、「鉄道の信号電流が、防食面等で好ましくない影響を受ける」と見解を述べ、線路沿いの敷設を拒否しました。電気的に絶縁されれば、信号電流に対しても、絶縁可能と思われますが、なぜ、地元説明会では、線路付近は防食上好ましくないといったのか、その理由をご説明ください。
11)「(b)ガバナステーション設備 ガバナステーションにはガバナ、緊急遮断装置等のバルブ及び保安施設等の設備を備えています」と記載していますが、野殿にあるバルブステーションはどうなっていますか。
12)「(6)ガス漏洩検知装置、感震装置、緊急遮断装置等の保安施設及び消火施設の設置状況(a)保安施設(i)ガス漏洩検知装置 ガスの圧力変化を各ガバナステーションからテレメーターにより本社防災・供給センターに常時電送し、それらの変化を24時間監視します」と記していますが、野殿にあるバルブステーションはどうなっていますか。
13)「(ii)感震装置 必要に応じて感震装置をガバナステーションに設置します」とありますが、野殿に設置するバルブステーションはどうなっていますか。
14)「(iii)緊急遮断装置 緊急遮断装置を、各ガバナステーションに設置します」とありますが、野殿のバルブステーションはどうなっていますか。
15)「(b)消火施設 各ガバナステーション、群馬支社及びパトロール車には消火器を配置します」とありますが、野殿のバルブステーションはどうなっていますか。
16)ページ4で、「(7)ガス漏洩防止及び放散の方法(a)ガスの漏洩防止(iii)路線パトロール 定期的に路線上を巡回し、他工事の有無、道路状況、橋架管、ステーションについて点検を行います」と記載していますが、住民説明会では毎日路線パトロールを行うと説明しています。「定期的」というのは、「毎日」という意味でしょうか。
17)「(v)その他 ガス導管の沈下測定と電位測定を定期的に行います」とありますが、ガス導管の沈下測定はどの箇所を、どの範囲で、どういう方法により、どんな頻度で行うのでしょうか。また、電位測定のやりかたも教えてください。その場合、どの箇所を、どの範囲で、どんな頻度で実施しますか。
18)「(b)放散の方法 万一ガス漏洩を生じた場合には、緊急遮断装置を閉止するとともに、放散設備により、ガスを大気中に放散します」と記していますが、地元説明会では、こうした操作はすべて中央制御室から遠隔操作で行うという説明でした。ところが、地元の一部の住民に対して、貴社は、緊急遮断装置とガス放散のための一連の操作は、現場に巡回のため訪れて、周辺の様子をみて、人力で操作すると説明しました。いったい、どっちが正しいのですか。
19)「(8)緊急時における緊急遮新装置等の作動方法 緊急遮断装置は遠隔操作で作動するとともに、現地でも作動できるようにします」と記しています。前項の質問とも関連しますが、いったいどういう運用方法を採るつもりでしょうか。「また、停電時には予備電源による開閉を可能にします」とありますが、遠隔操作の場合、停電時にどうやって予備電源を起動させるのでしょうか。
20)「(9)緊急時における連絡通報設備の設置状況及び道路管理者等への連絡体制 群馬支社及び各ガバナステーションには加入電話、専用電話又は無線通信機を設置します。また、路線パトロール車及び群馬支社には無線通信機を設置し、相互に連絡がとれるようにします。連絡体制は現在検討中であり、決まり次第報告致します」とありますが、4月16日未明の国道陥没事故では、初動は高崎警察で、貴社は対応が遅れたと、聞いています。その後、どのように連絡体制を改善しましたか。また、野殿のバルブステーションにおける連絡通報設備や連絡体制はどうなっていますか。
21)「(10)自衛消防組織等の保安管理体制の状況 ガス事業法第30条の規定により定めた保安規定に基づく保安管理体制により、保安の確保に万全を期します」と記していますが、貴社の自衛消防組織について、詳しくご教示ください。また、緊急時の連絡通報体制や保安管理体制の関連で、地元との災害防止協定の締結についてはどうお考えでしょうか。
22)添付図にある地図で、BVS(ブロックバルブステーション)とVS(バルブステーション)、それにGS(ガバナーステーション)の違いを、とくにBVSとVSとの相違を判りやすくご教示ください。
23)最後に、なぜこのような素晴らしい情報があるのに、関係住民に開示せず、役所だけに提出するのでしょうか。ワケを教えてください。 以上
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ひらく会情報部】

群馬幹線建設工事の概念図。今後、高崎市の東に向けて、帝国石油と交互に敷設してゆくらしい
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