市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ住民訴訟…東吾妻町萩生地区スラグ農道工事に係る住民監査請求結果を現場検証してみよう!

2015-09-01 23:46:00 | スラグ不法投棄問題

■食の安全が最も重要な要素である農業地帯の圃場整備で、大量の有毒スラグ入りの資材が敷き砂利として投入されてしまった東吾妻町萩生地区ですが、せめて有毒スラグ入り「再生砕石」だけは、原因者に除去させるべきだとして、市民オンブズマン群馬では再三に亘り群馬県農村整備課を通じて吾妻農業事務所に、撤去してから舗装するように要請していましたが、群馬県の役人はこれを無視して、敷き砂利の上に舗装でフタをしてしまいました。そこで、この責任の所在を明確化する意味も込めて、当会では現在、損害賠償請求事件として住民訴訟を前橋地裁に提起中です。来る10月2日には第2回口頭弁論が予定されています。

 ところで、今回の住民訴訟の前段として、当会は、偽装再生砕石を使用した現場を隠ぺいする行為は財務会計上の違法・不当行為だとして、地方自治法に基づく住民監査請求を平成27年1月30日付で群馬県監査委員宛に提出しました。その結果、同3月30日付で監査結果が同31日に当会事務局に届きました。

 この住民監査では、吾妻農業事務所が当時、監査委員に対して主張していた内容について、監査委員が事実関係を誤認識していました。1か月後に住民訴訟の第2回口頭弁論をひかえたこの時期に、あらためてこの件を検証してみましょう。当会の次のブログを参照ください。
○2015年4月1日:大同有毒スラグ問題を斬る!…県監査委員から届いた東吾妻町スラグ農道工事に係る監査結果に仰天!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1569.html

 群馬県職員措置請求監査結果を見ると、監査委員は、「監査をして次の事実関係を確認した」と述べていました。

**********
第5 監査の実施
3 事実関係の確認
(3)本件舗装工事について
エ 本件舗装工事において舗装した5路線の舗装理由について
  農村整備課及び吾妻農業事務所は、本件舗装工事において舗装した5つの路線は、それぞれ舗装する必要性があって実施したものであるとしているため、それぞれの舗装理由を確認したころ、次のとおりであった。
  (ア)支道6号、耕道7号及び耕道8号(道路が急勾配であることによるもの。)
   圃場整備事業において、農道の縦断勾配が8%を超える場合は、雨天時等のスリップ防止、路盤の流亡防止等のために、一般的に舗装を検討することとしているとのことであり、これを確認したところ、本件圃場整備事業についても、平成23年3月3日に開催された第1回工事委員会において、地域住民等に対して、縦断勾配が8%を超える場合は舗装を行う旨が説明されていた。
   また、支道6号、耕道7号及び耕道8号の3路線に係る縦断勾配を縦断図により確認したところ、いずれの路線も縦断勾配8%以上の地点が含まれていたほか、監査委員らによる現地調査においても、農村整備課及び吾妻農業事務所の主張する事実は概ね認められた。
  (イ)支道7号(取水施設の管理によるもの。)
   道路先に取水施設が存在することから、同施設の水を利用する周辺岡場の所有者が恒常的に同施設の管理を行うために利用しており、雨天時等にも水量の調整を行うため利用することが不可欠となる路線であることから、道路陥没、ぬかるみ等による通行不能状態等を回避するために舗装したとのことであり、監査委員らにより実施した現地調査において、農村整備課及び吾妻農業事務所の主張する事実は概ね認められた。
  (ウ)支道27号(将来の維持管理費の低減によるもの。)
   等高線が密集していることからわかるように、山際にある路線であり、敷砂利の状態では雨天時等に土砂の流入、表流水等の影響によるぬかるみ等が発生しやすいことから、舗装することにより将来の維持管理費が低減されることが明らかであったために舗装したとのことであり、監査委員らにより実施した現地調査において、農村整備課及び吾妻農業事務所の主張する事実は概ね認められた。
*******

 このように監査委員は吾妻農業事務所の主張を鵜呑みにして、事実関係を整理してしまいました。そのポイントをまとめると、次の3つになります。

1.農道の縦断勾配が8%を超える場合舗装を検討する
2. 道路先に取水施設が存在することから道路陥没、ぬかるみ等による通行不能状態等を回避するために舗装
3. 山際にある路線で、敷砂利の状態では雨天時等に土砂の流入、表流水等の影響によるぬかるみ等が発生しやすいことから、舗装することにより将来の維持管理費が低減されること(将来の維持管理費の低減によるもの。)

■それでは監査委員が現地調査したように、市民オンブズマン群馬として現地調査をしておく必要があると判断しました。当会にはスラグ投棄現地の調査に長けた特別調査チーム「リットン調査団」が待機していて、いつでも出動態勢にあるのです。

 特別調査チームが今回レポートするのは、萩生地区内の施工時期が古すぎたのか、上記3つのポイントを全てカバーできているのに、未だ舗装してもらえない敷砂利現場です。言わば、有害スラグ現場に、舗装工事で先を越されてしまった可哀そうな再生砕石・敷砂利の現場なのです。

 場所はこのあたりです。↓
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有害スラグの利活用に長けた池原工業の、カラーコーンが置いてある再生砕石の敷砂利現場です。念のために申し上げますが、こちらも萩生地内です。

 この未舗装の現場で、吾妻農業事務所の説明を鵜呑みにした監査委員が注目した3つのポイントを念頭に、あらためて検証してみます。

ポイントその1:勾配が8%以上の急勾配であること


それではこの地点で、勾配を計測してみましょう。


このように二つのメジャー(物差し)を使い、水平器で確認して高さを図ります。


ご覧のとおり、13cm下がっています。概ね13%の勾配であることが分かります。多少の誤差はあるでしょう。しかし有害スラグを舗装で蓋をした現場の8%より急勾配であることは確かです。こちらの舗装も住民と約束しているのですから、すぐに舗装をしてください。監査委員が約束を見届けています。

ポイントその2:「道路先に取水施設が存在」すること

 萩生地区内のこの現場には、取水施設も存在しています。


どうでしょう。立派な取水施設です。カラーコーンが萩生地区の当該現場である証です。急勾配に加え、取水設備に沿った敷砂利現場です。監査委員の認定付ですので、住民との約束を果たすために、有害スラグ敷砂利現場と同様に、今すぐ舗装くださるよう、お願いいたします。

ポイントその3:山際にある路線であること


同じく敷砂利の路線です。ご覧のとおり、かなり山際の現場です。支道27号と遜色ありません。敷砂利の状態では雨天時等に土砂の流入、表流水等の影響によるぬかるみ等が発生しやすいことから、舗装することにより、将来の維持管理費を低減してください。

 敷砂利ですから大雨でぬかるむのは当たり前です。なんでも理由を後付けするのは、もう止めませんか?これが県のお役人様の思考回路だと思うと、群馬県民であることが“惨め”に思えてきてなりません。

■今回の当会の特別調査チームがレポートした現場は、吾妻農業事務所が主張し、監査委員が認定した「舗装を急いだ理由」の3つのポイントをすべて網羅している場所になります。これらに加えて吾妻農業事務所は、「いわれなき風評被害を防ぐ」と本末転倒な理由まで付け加えています、有害スラグを撤去してから舗装すればそんなことは起きません。萩生地区には敷砂利道路が多数存在し8%超える現場や取水施設など多数存在します。


支道6号の山砕盛土部に、再生砕石を敷砂利してある場所です。取水施設も見えます。


水平器で確認してみると15cm下がっています。概ね15%勾配です。取水施設もあります。2つのポイントが重なっています。すぐ舗装しなければならないはずです。

■もうここまでくれば、吾妻農業事務所の主張を真に受けた監査委員の事実関係確認など、誰も信用しないのではないのでしょうか?

 試しに失礼して、耕道8号の舗装脇を掘削して、砕石がどのくらい施工されているか確認してみました。


耕道8号の脇を掘って見ました。後で元通りに復元するのは言うまでもありません。


下の土まで12cmでした。アスファルト舗装厚が3cmですから、砕石の厚みは9cmです。舗装構成をみると、アスファルト厚が3cmの場所は15cmの厚みで下層路盤材が施工されるはずです。したがって、こちらでは約10cmの敷砂利のうえに無理やりアスファルト舗装で蓋をした可能性が高くなります。

 舗装構成についてはこちらをご覧ください。↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1535.html#readmore
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/html/5v.pdf
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1598.html#readmore


敷砂利の厚みは10cmです。


アスファルト舗装厚3cmの下層路盤材は15cmです。

 ■最後に支道27号を訪れました。


水たまりの横が盛り上がっています。


メジャーを当ててみると、隆起しているのが一目瞭然です。隆起を伴うスラグは不良建設資材です。補修前に、吾妻農業事務所のお役人様の個人負担でアスファルトを撤去し、有害不良建設資材を、原因者である佐藤建設工業の負担で撤去してくださいますよう、お願い申し上げます。


支道27号入口の道祖神様に、有害スラグを撤去せずに蓋をした不逞の輩に天罰を下すことを誓いつつ、一旦お別れのご挨拶をしました。

 以上で、今回の補完調査を終了し、報告とさせていただきます。

PS 上記写真のように草に覆われたままの状態で放置されてしまっている道祖神様、どうかお許しください。道具を整えて、あらためてご挨拶に伺いますので、しばしお待ちください。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
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