市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【岩井市長の裏切り】安中市長選の争点だったはずの市庁舎移転建替え問題が、事実上、なかったことに?

2022-08-31 17:46:49 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題

■あれほど安中市長選で熱気を帯びた争点の市庁舎移転建替え問題。市幹部職員らの言うなりに、安中高校跡地に、防災センター機能併設の1点集中型の新市庁舎を建設すべく、しゃにむに突っ走った茂木前市長でした。それに待ったをかけて、予断なく精査することを公約に掲げた岩井候補に、多くの有権者市民は期待を込めて票を投じました。

 ところが、その後、岩井市長が監修をしたとする「安中市新庁舎建設基本構想」が改訂版として8月15日頃安中市のHPに掲載されました。
※改訂版「安中市新庁舎建設基本構想
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/kikaku_keiei/files/kihonkousou_kaitei.pdf

 これを見ると、相変わらず、安中高校跡地を建替え先の候補地として選定したままとなっており、延床面積も8000㎡以下としているだけで、松井田庁舎にある一部市役所機能も全部集めた1点集中型の新市庁舎を目指しています。7月26日と27日に、開催された市民説明会で、あれほど多数の市民から、現在の庁舎の位置で建替えるべきだとする意見が噴出したのに、いったい岩井市長はどういうふうに考えているのでしょうか。

 そうした中、安中高校跡地周辺の住民らの間で、「岩井市長には裏切られた」とする聞き捨てならない声があがっています。いったい、どういうことなのでしょうか。

■安中高校跡地周辺でも、とくに南側では、住宅に混じって、明治、大正時代から続く建物がいまだに残っており、老舗の店舗も営業しており、閑静な道路の両側ではレトロな雰囲気が醸し出されています。

 この地区の住民の間では、市役所の新庁舎が安中高校跡地に移転した場合、アクセスの便宜を向上させるために、現在の道路を拡幅することになるのではないか、そうすると、道路の両側で居住したり、営業したりする住民の敷地が削られてしまうのではないか、あるいは、曳家(ひきや)や立ち退きを余儀なくされてしまうのではないか、など不安が募っていました。

 そこで、たまたま安中市によるアンケート調査もあり、安高跡地周辺の住民のかたがたは、市庁舎移転建替えについて反対の意見を送ったとのことです。そうした中で4月に執行された安中市長選において、市民の声に耳を傾けようとしないし、安中市の幹部職員の言うなり同然の茂木候補ではなく、市庁舎建設計画の見直しを掲げた岩井候補に期待する声が票として投じられました。市長選の結果、多くの市民の期待を背負って、岩井新市長が実現しました。

 ところが、その後の市庁舎建て替えに関する動きをみると、茂木前市長と同じく、安高跡地での立地計画のままとなっており、周辺住民の不満と心配はふたたび現実のものになりつつあり、「岩井市長には失望した」「岩井市長に裏切られた」などの声が、周辺の地元で高まっています。

■このことで、周辺住民が、市役所建替え計画を担当する資産活用課にヒヤリングしたところ、以下の説明がありました。

(1)市庁舎移転建替え先候補地の安中高校跡地において、新庁舎は、現在のグランドのある南側の敷地境界側に近い位置で、建設することになる。

(2)したがって、現在の校舎建物を取り壊した後は、更地になり、ここを駐車場や広場にする予定。

(3)安高跡地の北側の現在2車線の道路は、上毛広幹道となる道との交差点から150mほど、道路の両側をそれぞれ3mずつ拡幅することになろう。

(4)安高跡地の南側の現在1車線の道路は、まだ計画が煮詰まっていないので何とも言えないが、今のところ、有田屋の煙突など構造物もあり、道路を拡幅する予定はない。ただし、以前の校門に、旧中山道の2車線の市道から通じる道路は、拡幅する可能性がある。

(5)安高跡地の東側の現在1車線(軽自動車がやっと通れる程度)の道路は、安高跡地の法を削って拡幅することになろう。その場合、現在の道路幅の3倍程度となる。

 以上のとおり、安高跡地に新庁舎を移転して建てる場合、アクセスの利便性の観点から、ほんとうに跡地の南側にある1車線の道路を現状のままにしておくのでしょうか?市長選で岩井候補の市庁舎建替え見直しの公約に期待していた安高跡地周辺の住民は、岩井市長になってからも、引き続き精査の結果、安高跡地を移転先候補地としている状況に不安を募らせています。

 とくに旧中山道(旧国道18号)と、安高跡地の南側を東西に走る市道に挟まれた住民は、既に旧中山道と西毛広幹道の交差部分から150mの間は、1車線増えるため3m敷地を削られ、さらに市役所移転に伴い、安高跡地前の市道を拡幅となれば、こちらも3m敷地が削られかねず、前後3mずつ、トータル6mも敷地を減らすことになります。しかし、安中市からの説明は何もありません。一体なぜなのでしょうか?

■こうした市側の説明は、これまでしっかりと関係する周辺住民のかたがたに為されたのでしょうか。すくなくとも当会は、初めて知る情報です。

 そのため、当会では、8月1日付で、岩井市長が自身のSNS(FB)に「部長連絡会議、政策調整会議、そして市の最高意思決定機関である庁議を開きました。部長連絡会議では佐久弁の豪雨のこと、JR東日本が発表した不採算の地域路線のこと、係長と市長との懇談会のことを取り上げました。誠意策調整会議では9月市議会への提出議案の調整。そして、庁議は『安中市新庁舎建設基本構想の改訂(案)』を示し、決定しました。今後基本計画の策定作業に入りますが、随時、市民の皆様のご意見をお聞きしながら、手続きを進めていきたいと存じます」と記したことから、さっそく、初めに安中市に行政文書開示請求書を提出し、当該庁議の会議録の開示請求を行いました。

 8月9日に開示された会議録を見ると、7月26日、27日に実施した市民説明会のことは一言も触れられていません。
 そこで、情報開示に併せて、市資産活用課の大溝課長に、新庁舎の計画延床面積と建築費用について、新聞報道が報告書類と食い違っているのではないか、と指摘して、質問してみました。

 なぜなら最初に上毛新聞に7200㎡、49億8千万円と報道されましたが、朝日と読売では8000㎡以下と書かれており、8月9日の朝日新聞では8000㎡(「以下」は書いてない)と書かれているからです。

 かたや、市側の精査報告書や説明会資料では、「8000㎡以下を目指します」と書いてあります。ということは、7200㎡をなし崩しにして8000㎡を目指しているということになります。

 この800㎡の違いは少なくありません。費用で4億円以上もアップするのはもとより、松井田庁舎から行政機能を引き上げて支所機能だけにしてしまうということで、茂木前市長の構想と変わらなくなってしまいます。何のために岩井候補を支援したのかわからなくなってしまいます。

 大溝課長は、岩井市長は7200㎡に近づけるようにとする意向を示していている、としながらも、あくまで現状では8000㎡以下ということで、検討中という見解を示しています。仮に、7200㎡で妥結するなら松井田庁舎に教育委員会と産業環境部は残るので、現状と同じになると思います。

■安中市の言うことは、昔から信用できないため、今後も注意深く見守り、その本音を探りつつ、我々の税金を有効に使わせるよう、誘導してまいりたいと思います。また、市民に対してウソをつくようなことは許してはならないと考えております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【スラグ】夏休み恒例のスラグ調査①

2022-08-30 23:14:15 | スラグ不法投棄問題

当会副代表がリットン調査団のメンバーらと待ち合わせた東吾妻町萩生の農産物直売場の前の様子

 有害スラグの県内投棄の実態解明にこれまで多大な成果を上げてきた「リットン調査団」(別名を徘徊老人軍団とも称します)の活動は、当会のブログでこれまで詳しく取り上げてきました。また、当会渋川支部であるオンブズマン渋川のブログ(http://blog.livedoor.jp/lytton_cyousadan/)でも詳しく報告が載っております。

 

 さてこの度、報告が遅くなりましたが、昨年夏、農村開発事業の陰に紛れて大量の有害スラグが投棄された現場である東吾妻町萩生川西地区のその後の状況について、の農産物直売場の前で当会副代表が、リットン調査団の皆さんと待ち合わせてスラグ調査を行いましたので、以下のとおり報告いたします。


*****夏休み恒例のスラグ調査レポート*****
スラグ特別調査チーム「リットン調査団」集合(^^)/

団長Aの訓示:2022年夏休み恒例のスラグ調査を始めます。
とその前に、昨年2021年に市民オンブズマン群馬・副代表と萩生を調査したがそのレポートはどうなった。

団員B:あ!申し訳ありません、2021年夏にオンブズマン会員だった故・鈴木様と大量の不法投棄を調査したのが衝撃的で、その反動で雨の中、副代表とスラグ調査したのを、レポートし忘れていました。3歩歩くとすべて忘れてしまう老人そのものですね。申し訳ありません。

団長A:副代表にせめてものお詫びで、大河原副代表のブログを紹介しながら、昨年の調査レポートから、夏休み調査を始めよう!

 

  • 先日逝去された当会会員がリットン調査団とともに実施した2021年調査レポートはこちらです。↓↓

※2021年09月25日:2021年夏・恒例の徘徊調査レポート

http://blog.livedoor.jp/lytton_cyousadan/archives/36019202.html

 なお、この場をお借りして、当会会員として多大な功績を遺され、今後のさらなるオンブズマン活動が期待されていた最中に突然ご逝去されました故・鈴木会員のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

*****2022年夏休みスラグ調査*****
 2021年夏、市民オンブズマン群馬・大河原副代表のお出ましをいただき、東吾妻町萩生地区のスラグ使用農道を調査しました。

 今回の調査場所はこちらです。↓↓


 衛星写真はこちらです。↓↓


まずは萩生地区に象徴的にそびえる一本松にご挨拶。「今年は副代表と共に、スラグを使用した道路調査にやってまいりまいた」とご挨拶。農道にも情け容赦なく無慈悲に毒入りスラグ混合砕石を投棄した(株)佐藤建設工業と異なり、どこまでも礼儀正しい大河原副代表とリットン調査団であった。ところでちょうど台形にアスファルトが隆起して亀裂が入りそこに雑草が生えていないか?

あいにくの雨の調査になったが、道路が平らかどうか分かりやすいね。なんだか凸凹していないか?

とその時、大河原副代表が「ちょっと盛り上がってアスファルトがバックリ割れているぞ!」と走り出した。スラグの隆起パワーだ!まだアスファルト舗装したばっかりだぞ~~~

その先もアスファルト隆起してますね。バックリ割れてそこに夏草が生い茂っていますね・「夏草やスラグの上にもたくましく~~」さすが副代表・名調子!

雨脚が強くなってきました。ここの農道はスラグ使用を隠すために、アスファルトでフタをされました。アスファルトでフタをしても今でも毛細管現象でスラグに水が染み込み、スラグからフッ素が染み出すことでしょう。またスラグ上のアスファルトは、スラグの膨張する性質により、あと何年かするとこの農道は亀裂だらけになってしまうことでしょう。スラグのフッ素毒がますます流れ出しやすくなることでしょう。


市民オンブズマン群馬・大河原副代表は、萩生の隣町のご出身で、少年時代に自転車でよく萩生に遊びに来ていたそうです。この先に釣り堀があり、その釣り堀は量り売りで釣った魚を買わなければならず、たまに大魚を釣り上げると、” うれしい” やら ”お小遣いが無くなる” やらで 、少年自体のジレンマを懐かしく語っておられました。
*********2022年夏休みスラグ調査に続く

■以下、リットン調査団の感想コメントです。

 

**********

 大河原副代表におかれましては、お忙しい中、リットン調査団のスラグ調査にご同行いただきありがとうございました。また1年も掲載が遅れましたこと、誠に申し訳ありませんでした。お詫び申し上げます。
 今レポートしながら、少年自体の思い出の地がスラグだらけにされたことを悔しく思われていた大河原副代表のお顔が印象的に思い出されます。
 スラグ調査も始めてから早10年近く時が流れました。我々リットン調査団も足腰が弱くなってまいりましたが、粘り強く調査を続けてまいります。

**********

 

■当会の誇るリットン調査団の活動を今後とも、市民オンブズマン群馬として全面支援してまいります。

 

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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非鉄スラグ使用場所を情報提供しても調査を拒否する東邦亜鉛・・・安中市にHP修正求めるも梨の礫

2022-08-27 22:37:52 | スラグ不法投棄問題

↑東邦亜鉛非鉄スラグの使用についての問い合わせ先を記している安中市のHP↑

■東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグについて、群馬県は令和2年9月10日に廃棄物処理法に基づく調査結果及び関係者への行政処分等を公表しました。これを契機として、東邦亜鉛はもとより、行政側である群馬県、前橋市、高崎市、富岡市、安中市が「東邦亜鉛株式会社安中製錬所(群馬県安中市)が過去に出荷した一部の非鉄スラグにおいて、土壌汚染対策法の土壌環境基準を超過していることについて発表がありました。当該非鉄スラグの使用についてお心当たりのある方は、東邦亜鉛株式会社又は高崎市(産業廃棄物対策課又は環境政策課)までお問い合わせください。」とする趣旨のメッセージをそれぞれのHPに掲載しました。それから2年が経過しようとしています。既に、群馬県と富岡市はこのメッセージを引っ込めましたが、現在もなお、東邦亜鉛のほか、前橋市、高崎市、そして地元の安中市のHPに依然として掲載中です。

 当会は、東邦亜鉛が、鉛、ヒ素など重金属を高濃度に含有する非鉄スラグを不法投棄している証拠を初めて掴み、これが端緒となり、その後、冒頭にある通り、群馬県がこの非鉄スラグを鉱さいとして産業廃棄物に認定しましたが、県は東邦亜鉛を廃棄物処理法違反できちんと罰しようとせず、運搬業務に限り限定的に中止させただけでした。

 当会は、粘り強い調査の結果、県内各地で非鉄スラグと思しき物質が使用されている実態を把握し、これらの情報を東邦亜鉛に通報し、事実関係を調べるよう令和3年7月7日付で文書にて要請しました。しかし、東邦亜鉛からきちんとした回答は得られず、極めて失望させられる結果となりました。

■こうした経緯を文書にしたためて、当会では令和3年9月10日付で以下の確認文書を東邦亜鉛に提出しました。

*****R3.9.10東邦亜鉛あて回答内容確認書*****
                                                              令和3年9月10日
〒100-8207東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 鉄鋼ビルディング
東邦亜鉛株式会社
総務本部 総務部 御中
電話 03-6212-1722 Eメール Honsha_Soumubu@toho-zinc.co.jp

                   〒379-0114群馬県安中市野殿980
                   北野殿公害対策委員会
                   委員長 小川 賢
                   電話 090-5302-8312
                   FAX 027-381-0364
                   E-mail ogawakenpg@aol.com

      貴社安中製錬所非鉄スラグ製品に係る質問への貴ご回答内容の確認

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、表件に関して、弊職から本年7月7日付書面にて質問状をお送りしたところ、同7月20日に弊職が安中製錬所を訪れた際、中島次長ほか2名の皆様と地元の公害対策について情報共有する機会がありました。その面談の際に、中島次長から、上記質問状への回答について、「文書ではなく口頭のかたちで行いたい」との意向表明があり、回答内容を拝聴しました。
 つきましては、その際、聴取した内容を下記のとおりまとめてみました。弊職の聞き取り内容に間違いがないかどうか、ご確認くださるようお願い申し上げます。
 ところで、7月7日付の質問状は貴社のホームページにも記載のある次の記者発表の内容に基づいて、別紙のとおり、貴社安中製錬所由来と思しき非鉄スラグの使用場所に係る情報をお伝えして、その出所由来や汚染物質の状況等の確認をお願いするためのものでした。
     <東邦亜鉛のHP>
http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20190809_2.pdf
2019年8月9日付「当社の非鉄スラグ製品の調査・回収について」
下記のようなK砕製品が使用された可能性がある箇所を発見された場合には、お問い合わせ窓口へご連絡ください。
当社スタッフが現地を訪問し、判別調査をいたします。
     ==========
 さらに、貴社の上記の記者発表を受けて、地元安中市や、非鉄スラグの不法投棄の現場が発見された高崎市や前橋市においても、非鉄スラグの使用場所について心当たりがある場合には、貴社総務本部総務部あてに問い合わせることができると明記しています。
     <安中市のHP>
https://www.city.annaka.lg.jp/seikatsu_kankyou/hitetsu_joho.html
非鉄スラグ製品に関する情報について
 東邦亜鉛株式会社より、過去に安中製錬所から出荷した非鉄スラグ製品の一部における、土壌環境基準を超過した製品について発表がありました。
 当該非鉄スラグ製品の使用についてお心当たりのある方は、東邦亜鉛株式会社または安中市環境政策課までお問い合わせください。
 なお、本件を調査しております群馬県の報告によりますと、建設資材として県内で使用され、土壌環境基準を超過する有害物質が検出される箇所はありましたが、土壌汚染は確認されておりません。
東邦亜鉛株式会社のお問い合わせ先
東邦亜鉛株式会社 総務本部 総務部
電話番号:03-6212-1722
メール:Honsha_Soumubu@toho-zinc.co.jp
受付時間:平日(月曜日から金曜日まで)午前9時から午後5時30分まで
     <高崎市のHP>
https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2020092400050/
東邦亜鉛株式会社の非鉄スラグに関する情報について
東邦亜鉛株式会社安中製錬所(群馬県安中市)が過去に出荷した一部の非鉄スラグにおいて、土壌汚染対策法の土壌環境基準を超過していることについて発表がありました。
当該非鉄スラグの使用についてお心当たりのある方は、東邦亜鉛株式会社又は高崎市(産業廃棄物対策課又は環境政策課)までお問い合わせください。
東邦亜鉛株式会社の問い合わせ先
東邦亜鉛株式会社 総務本部総務部
電話番号:03-6212-1722
メール:Honsha_Soumubu@toho-zinc.co.jp
受付時間:平日(月曜日~金曜日)午前9時~午後5時30分
     <前橋市のHP>
https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/kankyo/haikibutsutaisaku/oshirase/24816.html
市民の皆様へお願い
スラグの使用にお心当たりのある方は、東邦亜鉛株式会社または前橋市廃棄物対策課までお問い合わせください。
なお、当該スラグにお心当たりのある方は、スラグの取扱いにご注意いただくとともに、添付の資料をご確認ください。
東邦亜鉛株式会社のお問い合わせ先
東邦亜鉛株式会社総務本部総務部
電話:03-6212-1722
メール:Honsha_Soumubu@toho-zinc.co.jp
受付時間:平日(月曜日から金曜日)9:00から17:30
ホームページ:http://www.toho-zinc.co.jp
     ==========
 7月20日の面談時に事務部次長である中島様から拝聴した下記内容については、上記に示した貴社ならびに行政が示している非鉄スラグの不適切な使用場所について、住民が問い合わせた結果として、貴社の組織としての正式な対応結果として認識しても構わないと見なせるのか、念のためご確認ください。
 なお、ご返事は明日9月11日開催予定の安中製錬所工場視察会後の質疑応答の場で、お聞かせ願えれば幸いです。
                                           敬具

                        記

1 貴社由来の非鉄スラグの使用箇所について
 当会が入手した別紙(1)~(35)に示す調査情報によりますと、貴社の非鉄スラグは群馬県内の各所で、公共工事や民間工事を問わず、大量に使用されていることがうかがえます。

1-1 大変お手数ですが、別紙の記事に記載されている当該箇所における非鉄スラグの使用について、貴社でそれぞれの箇所に関する事情を把握しているかどうか、検証したいので、行政に提出した当該箇所に関係するとおぼしき報告書を開示していただけますでしょうか?

【東邦亜鉛の回答】
 文書では回答できないとの本社からの指示で、口頭で回答させていただきます。回答内容は本社の了承を得ています。さて、ご質問の1-1についてですが、非鉄スラグの使用箇所の現状について質問されていると思います。非鉄スラグの使用箇所については地権者の意向、及び財産権の毀損、風評被害の防止の為、開示は出来かねます。

1-2 それぞれの当該箇所における非鉄スラグの使用について、現在どのような措置が為されているのか否か、ご教示いただけますでしょうか?

【東邦亜鉛の回答】
 その次、1-2の非鉄スラグ使用、さっき1-1は行政に提出した報告書の開示についてでしたが、1-2が非鉄スラグの使用箇所の現状についてでしたね。現在どのような措置がされているか、また、されていないのか、というご質問かと思いますが、これは先ほど申し上げた1-1の回答と重なるような部分があるが、個別の使用箇所の現状について開示はできないということで、これはさきほど1-1で申し上げた通り、地権者の意向、財産の毀損、風評被害の防止の為開示はできないということです。群馬県のほうで、今年の4月末時点ということで報告をしております。6月7日に県のHPに出ています。113箇所です。そのうち、措置ということになるが、撤去済みが92件、撤去予定が21件ということです。これ以上のものは出せません。

2 貴社由来の非鉄スラグの搬送先について
 貴社は、2020年10月2日付「令和2年9月15日付け弊社非鉄スラグについてのご質問についての回答書」の「8.大型トラックが伊勢崎工業団地に向かっている。目的、量は」で、弊会の質問「8.貴社は2016年4月以降は、非鉄スラグを出荷していないと説明していますが、それ以降にも、貴社のスラグ置場から大量のスラグが運び出されています。そのなかで、『UCHIKI UNYU』(打木運輸) と荷台に描かれた大型の深底のあおりを付けたトラックが伊剪崎工業団地へ入るのが目撃されています。貴社はこの打木運輸に、いつ?何回?どの出荷先が?何の目的で?使用するために非鉄スラグを運ばせていたのか、記録を調べて結果を教えてください。」に対して、「質問の内容の車両は、調査しましたが、該当する車両は不明です。」と回答しました。このことについて、あらためて確認したいことがあります。
 弊会による調査によれば、2018年12月7日(金)午後3時ごろ、貴社の非鉄スラグ置場で、スラグを積み込むトラック2台を確認しました。
 ひとつは下の2枚の写真にある車で、荷台の両側面にアルファベットのデコ文字で「UCHIKI UNYU」(打木運輸)と明記されております。
 

 

 また、ナンバーは「熊谷130あ3211」とあります。写真をよく見ると、後部に「コダイラ」と書かれており、廃棄物運搬車両の届け出はしていない車両でした。赤色のスラグを積み込んでいました。
 もう一台は、太田市の産業廃棄物業者「佐々木商事」のトラックで、HPにあるコンテナフルトレーラーで間違いありません。
 

※出典:佐々木商事のHP http ://www.sasaki·shouji.co.jp/
 ナンバーは「群馬130う1024」で、こちらは廃棄物運搬車両の届け出をしていました。黒色のスラグを積んでいました。
 佐々木商事のトレーラーを追尾したところ、国道18~17号に入り、埼玉県本庄市から伊勢崎方面に北上し、伊勢崎市八斗島町の工業団地に入りました。
 つきましては次の質問があります。

2·1 2018年12月7日に貴社安中製錬所に入出門する打木運輸のトラックを何台も目撃しました。スラグ置き場に進入したのは、このうちの1台でしたが、打木運輸の他のトラックは安中製錬所で別の用途の輸送にも関わって いるものとみられます。伊勢崎に向かったのは打木運輸のトラックではあり ませんが、打木運輸のトラックが、非鉄スラグを当日どこに運搬していたのかご教示ください。

【東邦亜鉛の回答】
 次に2は非鉄スラグの搬送先についてだと思います。2-1については、打木運輸のトラックが、どこに運搬していたのかということですね。回答としては、産業廃棄物処分業者への運搬を打木運輸に依頼しました。具体的な処分業者については、個別取引の為開示は差し控えさせていただきたい。処分業の認可については大丈夫です。打木運輸とはきちんと契約を交わしてお願いをしています。打木運輸は運搬業に関する免許は持っているのは確認しています。
(「打木運輸のトラックは『産業廃棄物運搬車』と書いてないが?」との質問に対して)書いてあるのかどうかは、私の知識がそこまで及んでいないためわからない。収集運搬用の車両で業に携わる車自体に表示がしてあるのが義務なのかどうかは知見がないのでわからない。自社運搬の車に関しては表示をしなさいという決まりがあるのは理解しています。
(「以前、K砕は有価物だからということでサンパイではないと言っていたではないか?」との問いに)それはそうだが、この時点での打木運輸のトラックに関しては、収集運搬の契約の中でやっていただいたということです。
(「それは最終処分場にもっていったのか?その場所は言わないつもりだろうけど?」との問いに)そうです。

2·2 当時、打木運輸は、貴社安中製錬所内で、非鉄スラグ以外にどのような製 品の搬出をしていたのでしょうか?それは現在でも継続していますか?

【東邦亜鉛の回答】
 そうしましたら2-2。今度は打木運輸が非鉄スラグ以外のものを運搬しているかという質問だが、打木運輸には各種原材料の運搬をお願いしている。これは現在も継続しているかということだが、継続中です。
 (「原材料もやっているの?」との問いに)はい。
 (「東邦キャリアではないのか?打木運輸は秩父の山奥に拠点がある。それなのに、ここにやらせているのか?原材料も?」との質問に)すいません。個別にそういう何をというのは勘弁してほしい。
 (「原材料と言うと、小名浜から運搬しているということか?」との質問に)いいえ、そうは言っていません。いろいろな原材料があるということです。種々原材料というふうに言っただけで、各種原材料と言っているのであり、小名浜から来る原料とは言っていません。
 (「他に何があるのか?」との問いに)…。

2·3 一方、黒色のスラグを積んで伊勢崎の工業団地に入った佐々木商事のトラックは、どのような性状の非鉄スラグ製品を運んでいたのでしょうか?

【東邦亜鉛の回答】
 2-3について、佐々木商事が運搬していたもので、黒色のスラグを積んで、ということで、どのような性状の非鉄スラグ製品を運んでいたのかという問いだが、非鉄スラグは、経時変化で、表面の色が変化します。こういう場合があります。
(「鉄分だからね?」との問いに)錆びるわけです。非鉄スラグは表面の色が変化しても他の性状に変化はありません。非鉄スラグは現在全量を産業廃棄物として処分しています。

2·4 伊勢崎工業団地には株式会社国分伊勢崎市長沼町2777-3)という会社がありますが、貴社はこれまでにそこと取引をしたことがありますか?

【東邦亜鉛の回答】
 (「佐々木商事との取引は当時も今も続いているのか?」との問いに)佐々木商事に収集運搬もしてもらっています。現在もそうです。佐々木商事は太田市にあります。なので、多分通過しただけかなというふうに思っています。
 (「石井商事にはまだ(非鉄スラグを)出しているのか?」との問いに)いや、ここ最近はたぶん取引がないのではと思うが、すいません。取引の内容は、質問に名前がなかったので用意していません。
(「石井商事は静穏剤のゴムシートの中に御社の製品スラグを入れており、質量を持たせて静音効果を上げていて、そのため有価物だが鉛が多いので、御社としても、今後、鉛の含有量が問題となった場合、大変になるかもしれないという懸念は持っていたようだが、今は出していないという。本当か?」との問いに)今はK砕は全量産業廃棄物として処理しています。
 (「マニフェストで管理していると思うが、安定型に?それと管理型?どっちの処分場に持って行っているのか?」との問いに)なので、個別な案件には答えられません。
 (「だって、御社は行政指導をうけているはずだけど?」との問いに)はい。
 (「それは、今後とも、住民に対しては、企業の事業内容については一切明らかにしない、と日頃宣言している御社として、(行政指導を受けている本件についても)それと同じスタンスか?」との問いに)そうです。

                                         以上

別紙
(1) 2018年07月29日:【速報】高崎渋川線バイパスにスラグ汚染報道・・鉄鋼スラグに続いて非鉄スラグの不法投棄か!
(2) 2018年08月12日:鉛・ヒ素入りスラグ不法投棄問題!…群馬県中にばら撒かれているかも?
(3) 2018年08月19日:鉛・ヒ素入りスラグ不法投棄問題!…群馬県中にばら撒かれているかも? (その2)
(4) 2018年08月21日:鉛・ヒ素入りスラグ不法投棄問題!…大同スラグと異なり早くも撤去工事に着手する県土整備部の胸中は?
(5) 2018年08月21日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素だらけでも「土壌に影響なし」宣言した群馬県の重金属汚染思考マヒ
(6) 2018年08月26日:【緊急レポート】鉛・ヒ素入りスラグ問題・・・なんと早業!撤去始まる!
(7) 2018年08月30日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…鉛・ヒ素入り資材を猛スピードで撤去中の群馬県に経緯と根拠を開示請求
(8) 2018年09月02日:【緊急レポート】鉛・ヒ素入りスラグ問題…高崎市に続き榛東村にも飛び火!しかも大同スラグと無法コラボ!
(9) 2018年09月10日:【ついでにレポート】鉛・ヒ素入りスラグ問題…飛び火した榛東村を更に調査!
(10) 2018年09月18日:【速報】公園にも鉛スラグ報道…やはり高崎渋川線バイパスだけでなかった非鉄スラグ投棄問題!
(11) 2018年09月10日:[続報】公園にも鉛スラグ報道…やはり高崎渋川線バイパスだけでなかった非鉄スラグ投棄問題!
(12) 2018年09月20日:鉛・ヒ素入りスラグ間題!…高渋バイパスどころか箕郷町の県道脇ソーラー発電造成地にもスラグ捨て放題!
(13) 2018年10月13日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…みさと芝桜公園周辺をさらに調査!
(14) 2018年10月21日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高崎市野水道施設前はスラグだらけだった!
(15) 2018年10月26日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…高崎市内の多数の公益施設に投棄された非鉄スラグの早期撤去を高崎市長に要請!
(16) 2018年10月26日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…梅花見物は恐ろしい!(その1)
(17) 2018年11月10日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…梅花見物は恐ろしい!(その2)
(18) 2018年11月18日:【緊急報告】鉛・ヒ素入りスラグ問題!…今この時も、鉛とヒ素の不法投棄は着々と続いている!
(19) 2018年11月20日:公園にも鉛スラグ報道…高崎・箕郷の公園の非鉄スラグ撤去決定で問われるその根拠!
(20) 2018年11月25日:【緊急報告】鉛・ヒ素入りスラグ問題!…読者投稿・なんと地域の集会場まで鉛・ヒ素入りスラグ汚染!
(21) 2018年12月03日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…戦国武将も怒っているぞ!(松風騒ぐ風雲箕輪城その1)
(22) 2018年12月08日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…戦国武将も怒っているぞ!(松風騒ぐ風雲箕輪城その2)
(23) 2018年12月16日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…戦国武将も怒っているぞ!(松風騒ぐ風雲箕輪城その3)
(24) 2019年02月10日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…♪スラグ街道冬景色♪その1
(25) 2019年02月24日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…♪スラグ街道冬景色♪その2 
(26) 2019年02月26日:【速報】ソーラー発電所の非鉄スラグ報道…鉛やヒ素が危険なのにいまだに調査中を繰り返す群馬県
(27) 2019年03月14日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…箕郷梅林を鉛中毒の恐怖に晒す非鉄スラグを表向き撤去させた高崎市が抱える憂鬱
(28) 2019年03月17日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…箕郷町の松之沢にある岡田興業のスラグ置場の実態と群馬県の節穴検査
(29) 2019年05月06日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…GW特別調査・他にもあった岡田ソーラー①
(30) 2019年06月03日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…GW特別調査・他にもあった岡田ソーラー②
(31) 2019年06月30日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…GW特別調査・他にもあった岡田ソーラー③
(32) 2019年08月04日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…GW特別調査・他にもあった岡田ソーラー④岡田工務店関連施設に怪しい場所続々!
(33) 2019年09月29日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…今も元気に活動中のスラグ販売施設。なぜ、すぐに営業を止められないのか!
(34) 2019年10月06日:鉛・ヒ素入りスラグ問題!…今も元気に活動中のスラグ販売施設。なぜ、すぐに営業を止められないのか!(2)
(35) 2019年12月07日:【速報:鉛・ヒ素入りスラグ問題】群馬県は公共工事ではたった1か所と発表!
(36) 2020年1月11日:有毒スラグ問題を斬る!…新春スラグ調査「儲かる鷹(狸)は爪を隠さず」その2
**********

■このように、非鉄スラグの使用について心当たりがあり、東邦亜鉛株式会社に問い合わせても、東邦亜鉛からは何の回答もないので、問い合わせをすること自体時間とコストの無駄であることが確認できました。そのため、当会では地元の安中市に対して、こうした事実を踏まえて、市のHPの記載内容を、訂正するように、令和4年7月25日に、安中市長宛に以下の文書で作成し、環境政策課を訪れて、担当職員に直接手渡して、早急に善処するよう要請しました。

*****R4.7.25 安中市長あて上申書*****
                              令和4年7月25日
安中市長 岩井均 様
(産業環境部環境政策課)

                   〒379-0114
                   安中市野殿980
                   北野殿公害対策委員会
                   委員長 小川 賢
                   電話 090-5302-8312
                   Email ogawakenpg@gmail.co

             上 申 書
 件名:安中市HPの「非鉄スラグ製品に関する情報について」の訂正(お願い)

拝啓 平素より安中市民の安心・安全な生活環境の保全の維持・向上に向けてご尽力賜り厚く御礼申し上げます。弊職は、安中公害により長年周辺住民として被害を被った立場で、地元で長年にわたり活動している北野殿公害対策委員会を主宰しております。
 さて、現在、安中市のホームページで表件に関する記事が掲載されています。これによれば「当該非鉄スラグ製品の使用についてお心当たりのある方は、東邦亜鉛株式会社または安中市環境政策課までお問い合わせください。」と記されています。
 この件に関して、当委員会は「東邦亜鉛株式会社のお問い合わせ先」として紹介されている連絡先に別紙の書状を令和3年7月7日付で提出しましたところ、同7月20日に同社安中製錬所の関係者と面談することになりました。そして、同日、同所で、同社関係者から口頭での説明を受けた結果、別紙の書状に赤字で記した通り、問い合わせについては一切説明しないという趣旨の回答が為されました。
 つきましては、この事実をぜひホームページに直ちに反映していただきますよう、申し上げる次第です。
 具体的には、現在のホームページ上の適当な箇所に、以下の文章を追記して掲載していただけると幸いです。

※この件で市民の方が実際に東邦亜鉛株式会社の総務本部総務課にメールで当該非鉄スラグ製品と思しき物質の使用について、情報提供を行い、それが東邦亜鉛安中製錬所由来の非鉄スラグなのか、また、どのような対策が現在までにとられているのか問い合わせたところ、後日、同社安中製錬所から、本社の了解を得たうえで、「非鉄スラグの使用箇所については地権者の意向、及び財産権の棄損、風評被害の防止の為、開示は出来かねます。」として、一切の説明を拒否されたという報告が寄せられました。したがいまして、実際に東邦亜鉛株式会社に問い合わせても、期待される返事は得られません。市民の皆様は、非鉄スラグに関して、安中市内外で使用されているかもしれないと心配でしょうが、東邦亜鉛株式会社に連絡を取ってみても、情報だけ取られて、それに対する回答は拒否されるのは必至です。ぜひ、このことを肝に銘じてください。
                                       草々
**********

■ところが既に1ヶ月が経過したにもかかわらず、相変わらず安中市のHPは修正されていません。市情報戦略課の齊藤課長によると、「市環境政策課の新井課長には、北野殿公害対策委員長から複数回、検討状況について問い合わせがあったことを伝えた」そうですが、やはり、なんらかの思惑があるためか、一般市民の意見よりも、安中市は東邦亜鉛のほうを忖度するようです。

 なお、群馬県廃棄物・リサイクル課に、東邦亜鉛の非常識な対応を報告し、その旨県のHPに記載するように依頼しましたが、「県としてそのような情報はHPに掲載する義務はない。気が済まないのであれば、直接東邦亜鉛に申し入れたらどうか」という、およそ県民の安全・安心な生活環境の保全について、無思慮な回答しかよこしませんでした。

 その他、前橋市や高崎市も、非鉄スラグ問題について、少なくとも行政内では風化しつつあるようです。

前橋市のHP

高崎市のHP

 引き続き、せめて地元の安中市だけでもHPで、東邦亜鉛の非常識な対応ぶりを、正確に市民に伝えてもらうよう、要請してまいる所存です。

【10月3日追記】
 安中市は本件にかかるHPの記事の修正について「検討する」といいつつも、いまだに放置したままとなっています。昔から続く東邦亜鉛への忖度が今でもなお根強く存在する実態を痛感させられます。引き続き、安中市に対して善処を強く申し入れます。


【市民オンブズマン群馬事務局および北野殿公害対策委員会からの報告】

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前橋地裁におかれている地方裁判所委員会について、地裁総務課にヒヤリング

2022-08-27 01:16:08 | オンブズマン活動

前橋地裁本館。総務課はこの5階。

■当会会員がネットで調べものをしていたら、地方裁判所には地方裁判所委員会というものが存在することが判りました。同委員会には規則があり、第1条として「地方裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるため、地方裁判所委員会を置く。」とあります。第4条を見てみると、委員は学識経験者、弁護士、検察官、裁判官しかなれません。

 当会会員は、これで果たして「国民の意見」を反映される布陣なのか、という疑問を呈しています。当会の他の会員の皆さんにこのことを伝えたところ、とりわけ、行政相手に本人訴訟をしている方々は、口をそろえて、「これでは地裁の運営は、広く国民の声とは縁遠いはずだ」と妙に納得されています。

 筆者も、迂闊ながら、この情報を知るまで、地裁に委員会が設置されていることすら知りませんでした。さっそく8月26日の午後4時過ぎに前橋地裁5階の総務課を訪れてヒヤリングを試みました。

■ちなみに、地方裁判所委員会規則は以下のとおりです。原文は縦書きとなっています。

**********平成十五年四月二日最高裁判所規則第九号
          地方裁判所委員会規則
 (設置)
第一条 地方裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるため、地方裁判所に地方裁判所委員会(以下「委員会」という。)を置く。
 (所掌事務)
第二条 委員会は、当該委員会を置く地方裁判所の運営(その管轄区域内の簡易裁判所の運営を含む。)に関し、当該地方裁判所の諮問に応ずるとともに、当該地方裁判所に対して意見を述べるものとする。
 (組織)
第三条 委員会は、委員十五人以内で組織する。ただし、最高裁判所が必要と認める場合には、二十五人に達するまで委員の数を増加することができる。
 (委員の任命)
第四条 委員は、次に掲げる者のうちから、第二条に規定する地方裁判所が任命する。
一 当該地方裁判所の管轄区域内において居住し、又は執務する学識経験者
二 当該地方裁判所を設立の基準とする弁護士会に所属する弁護士
三 当該地方裁判所に対応する地方検察庁又は当該地方裁判所の管轄区域内の簡易裁判所に対応する区検察庁の検察官
四 当該地方裁判所又はその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官
 (委員の任期等)
第五条 委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 委員は、非常勤とする。
 (委員長)
第六条 委員会に委員長を置き、当該委員会の委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
 (部会)
第七条 委員会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。
2 部会に属すべき委員は、委員長が指名する。
3 部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する。
4 部会長は、当該部会の事務を掌理する。
5 部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。
6 委員会は、その定めるところにより、部会の議決をもって委員会の議決とすることができる。
 (庶務)
第八条 委員会の庶務は、第二条に規定する地方裁判所の事務局総務課において処理する。
 (雑則)
第九条 この規則に定めるもののほか、議事の手続その他委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。
附則
この規則は、平成十五年八月一日から施行する。
**********

 また、現在の前橋地方裁判所委員会の委員は次の14名の方々です。 

*****委員(五十音順,敬称略)***** 
①青柳 恵一:群馬テレビ株式会社報道局長
②岩﨑 泰人:株式会社群馬旅行(群馬バスグループ)代表取締役社長
③小渕紀久男:株式会社上毛新聞社編集局長
④釘島 伸博:弁護士法人釘島総合法律事務所弁護士・公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター理事長
⑤小磯 正康:小磯正康法律事務所弁護士
⑥齊藤 啓昭:前橋地方裁判所所長
⑦佐藤 裕子:群馬県生活文化スポーツ部人権男女共同参画課課長
⑧杉山 順一:前橋地裁部総括判事・前橋家裁部総括判事・前橋簡裁判事
⑨田口 智彦:群馬県立伊勢崎東高等学校校長
⑩田尻 洋子:一般社団法人群馬県女性薬剤師会会長・群馬県社会福祉審議会委員・群馬県女性団体連絡協議会(群馬県ぐんま男女共同参画センター気付)
⑪樋口  努:群馬県商工会連合会専務理事・公益財団法人群馬県暴力追放運動推進センター評議員・群馬県商工政治連盟会計責任者・自由民主党群馬県商工政治鮮明支部会計責任者・群馬県商工会連合会専務理事・(元)群馬県立農林大学校長・(元)群馬県交通政策課課長
⑫三澤紘一郎:群馬大学教育学部准教授
⑬山口 英幸:前橋地方検察庁検事正
⑭山崎  威:前橋地裁部総括判事・前橋家裁部総括判事・前橋簡裁判事
**********

 以上のように15人以内の14名で構成されている前橋地裁委員会のメンバーですが、内訳をみると、学識経験者として7名、弁護士関係として2名、検察関係が1名、裁判官が4名となっていて、一見、学識経験者が半数を占めているように見えます。

 ところが、実際には、学識経験者7名のうち、地元メディア関係者が2名、行政関係者(OBを含む)が3名おり、純然たる民間人は2名しかいません。

 これでは、前橋地裁委員会が民主的に運営されているというのは、単なるポーズでしかありません。また、委員会の開催は、規則によれば、1年に2回程度ですが、令和2年はコロナ感染拡大の為か、一度も開催されませんでした。

 このため、委員の人選や、議題の選定は、いったい誰が決めているのかも疑問です

■地裁本館5階で、総務課に入り、「地裁に委員会が設置されていると思うのですが、このことについてお聞きしたいのでどなたかお願いします」と伝えると、ちょうど、目の前にいた女性職員の方が、「私が担当しています」ということで、話を聞くことが出来ました。

 最初に当会から「このような委員を選考しているのは誰ですか」と質問したところ、担当職員は「第2条の規定により裁判所が決めます」と答えました。当会は「裁判所のどなたですか。総務課ですか」と再度確認を求めたところ、「裁判所のトップです」というので、「では、裁判所の所長さんということですね」と念を押したところ、軽く頷いたので、所長が人選することが判りました。

 各委員の任期は2年ですが、再任は妨げないということで、理論的には最長無制限ということも言えます。当会から「任期は2年ということですが、いつからいつまで、つまり、後継や補充のための委員人事は、いつ行うのでしょうか。たとえば、各年度末ないし年度初めなのでしょうか」と質問したところ、「とくにそういう決まりはありません」との回答でした。つまり、4月1日をもって、任期がスタートするのかどうかすら、わからないとのことです。実に、アバウトな組織だということがうかがえます。

 いずれにしても、委員の選考がこのようなありさまですので、委員会の開催時期も、議題もどのようにして決めるのか、さっぱりわかりません。おそらく総務課がいきあたりばったりでやっているのでしょうが、民主的に運営されているというポーズをとっていれば、それに越したことはないと思っているのかもしれません。

■最後に、一番気になっていた委員の内訳で、偏りが見られることについてオンブズマンとして以下のコメントを差し上げました。すなわち

「メディア関係者や行政関係者を学識経験者に含めているのは、国民の理解が得られないと思います。ですので、報道関係の①③及び行政関係の⑦⑨⑪、さらに既に行政の審議会などのメンバーである⑩の方々は、今の任期が切れたら再任せず、後任は、学識経験者の定義にもどり、各専門分野の学問的業績に対し、相当程度以上の評価を得、かつ社会的にも見識を認められるような経験豊かな人のなかから、慎重に選考するよう、所長さんによく伝えてください」と申入れをしました。

 これに対して、地裁総務課の担当者は「オンブズマンさんの考えに基づくご提案として承っておきます」として、前橋地裁の齊藤所長に伝える姿勢を示しました。

■このところ、当会が提起した行政訴訟や住民訴訟の事案について、立て続けに門前払いの却下もしくは棄却判決を、当会関係者に言い渡している前橋地裁の裁判長裁判官ですが、行政の不正はきちんと公平、公正に裁いてもらう姿勢を裁判所が示さない限り、行政による不当・不正・不法行為はいつまでたっても根絶されず、納税者住民にそのしわ寄せが押し付けられることになります。

 引き続き微力ですが全力で公正・公平・透明な司法実現に向けて取り組んでまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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仰天報道!…地に堕ち腐り果てた群馬県森林行政のコンプライアンス

2022-08-26 23:02:51 | 藤岡市内保安林を巡る行政犯罪

■8月22日の夜、地元紙のネット記事で、「群馬県職員の不適切な事務処理」に関する記事が掲載されました。うかつにも見逃していたところ、24日の夜、当会副代表と、藤岡支部会員から連絡があり、さっそくアクセスしたのが以下の記事です。

**********上毛新聞2022年8月22日(月)18:02
建設中の上信自動車道の工事がストップ、再開時期は未定 群馬県職員の不適切な事務処理が原因


↑群馬県職員の不適切な事務処理で、上信自動車道の工事が中断している↑
 建設中の上信自動車道について、群馬県は22日、不適切な事務処理を確認したため、工事を中断していると発表した。東吾妻町内などの工事で、林野庁に対して保安林を解除する申請を行っていなかった。工事の再開時期は未定で、少なくとも2カ月は中断する見込みという。
 県によると、上信道に絡む申請を4件放置していた。このうち3件に当たる東吾妻町内の工事は今月17日から中断している。もう1件の工事は申請を行わないまま完了し、2020年に開通している。
 今後、県は林野庁に速やかに解除申請を行うとしている。不適切な事務処理は別件も含め、17~20年度に計22件あったことを確認。県吾妻環境森林事務所が事務を担い、当時、担当していた50代男性職員の法令順守の意識が極めて低かったことなどが原因としている。詳細な事実確認を行った上で、職員の処分を検討するという。
 上信道は、関越道渋川伊香保インターチェンジから吾妻地域を経由して、長野県側の上信越道に接続する計画の約80キロの道路。都市部と農村部の連携強化や、既存の国道の災害時のバイパス機能などを目的として、群馬県などが建設している。これまでに渋川市北部や八ツ場ダム周辺などで開通している
**********

 この記事の内容を見ると、2017(平成29)年度~2020(令和2)年度に吾妻環境森林事務所で勤務していた県職員が、どうやら、林野庁に対して保安林解除申請をしないまま上信自動車道の工事が済んでしまった事例が1件と、工事に着手してしまった事例が3件あったため、これから林野庁に保安林解除申請をすることになったが、工事の再開まで少なくとも2か月要するということがわかります。

 その後、他の新聞社もこの事件を報じました。

**********産経新聞2022年8月22日21:05
林地開発などで不適切処理 群馬県が職員の処分検討

 
群馬県庁=前橋市(柳原一哉撮影)
 群馬県は22日、吾妻環境森林事務所で平成29年度~令和2年度に、林地開発許可や保安林解除について担当職員による不適切な事務処理があったと発表した。
 県は6月、航空写真による森林調査を行い、林地開発許可がされていない場所で2カ所の太陽光発電施設の設置を発見した。
 県が調べたところ、同事務所の担当者が林地開発許可の起案・決裁を適切に行わないままになっており、こうした不適切事案が計7件見つかった。
 また同じ担当者が、保安林解除で提出された申請書を放置し、起案・決裁を経ないで公印を無断使用するなどして保安林内の作業許可を出すケースも10件確認された。
 県は担当職員の法令順守意識の低さや業務に不慣れだったことが原因とみており、今後、処分を検討する。また、部内研修の実施などの再発防止策を講じるという。

**********毎日新聞2022年8月23日
県、不適切手続き22件 森林法規定の申請 上信道工事など /群馬
 県は22日、地域高規格道路の上信自動車道路などの工事で、森林法で定められた林地開発許可や国による保安林の解除手続きがなかったと発表した。職員が申請を怠ったためで、手続きが不備のまま4件の工事は完了し、進行中だった3件の工事は中断した。
 県によると、2017年度から20年度にかけて、当時の吾妻環境森林事務所の50代男性職員が、保安林内で公共工事をするための申請を放置。一方で、上司の決裁がないまま、公印を無断使用して作業許可の文書を出したケースもあった。
 職員による不適切な手続きは計22件で、上信道の1件、県道1件、太陽光発電施設2件は許可なく工事が完了し、運用も始まっている。県はいずれも災害発生の危険性が低いと見ているが、追加で安全性を調査し、開発が適当かを事後的に調べる。県森林局が6月上旬、開発許可のない太陽光発電施設を発見し、わかった。県森林安(ママ:保)全課は「職員の法令順守と再発防止に努める」としている。【川地隆史】

**********読売新聞2022年8月23日

不適切処理 上信道工事 一時中断

 県は22日、男性技術職員(50歳代)が林地開発許可や保安林解除で不適切な事務処理をしていたと発表し、謝罪した。保安林解除の手続きを改めて行う必要があり、東吾妻町内で行われている地域耕起かk道路・上信自動車道の工事が一部で中断しているという。
 県によると、職員は吾妻環境森林事務所(中之条町)に所属していた2017~20年度、事業者から提出された保安林解除の申請書を放置したり、公印を無断使用して勝手に作業の許可を出したりしていた。太陽光発電施設の建設に必要な林地開発許可なども不適切に処理し、問題があった事務処理は計22件に及ぶという。
 職員は県の調査に対し、一部で不適切な事務処理を意図的に行ったと話しているものの、動機は明らかにしていないという。職員は21年度から西部環境森林事務所(高崎市)で係長を務めており、県は処分を検討する。

**********東京新聞2022年8月24日
群馬県が不適切処理22件発表 上信道の工事も中断 決裁なく
 群馬県は、吾妻環境森林事務所(中之条町)で計二十二件の不適切な事務処理があったと発表した。建設中の上信自動車道に関する事務も含まれ、三か所の工事が十七日から中断している。県は「速やかに処理を進め、供用開始に影響がでないようにしたい」としている。
 不適切処理は二〇一七~二〇二〇年度にかけて、林地開発許可七件と保安林解除に関する十五件。林地開発許可では太陽光発電や砕石場に関し、起案と決裁を行わずに許可した。保安林解除では、上信自動車道四か所と県道一カ所について、国への解除申請書五件を放置し、同じ五か所に関して起案や決裁なしに作業許可を計十件出した。いずれも五十代男性職員が担当し、作業許可のうち四件は公印を担当者が押していた。
 県によるといずれも防災措置はなされており、安全面の問題はない。再衣鉢防止策として、複数人で担当することやチェック体制の強化に取り組む。
(羽物一隆)
**********

■そのため、たまたま、この記事の情報を知った当会の副代表から8月24日夜、連絡が会員の間に伝えられたため、さっそく8月26日の午後、群馬県庁に赴きました。事前に、情報開示請求をするつもりで、以下の内容について、行政文書開示請求書を準備しました。

*****開示を求める項目内容*****
2022年8月22日付ネット記事によれば、群馬県は「建設中の上信自動車道について、不適切な事務処理を確認したため、工事を中断していると発表した。東吾妻町内などの工事で、林野庁に対して保安林を解除する申請を行っていなかった。工事の再開時期は未定で、少なくとも2カ月は中断する見込みという」と発表した。ついてはこれに関する以下の情報。
①8月22日の記者発表の内容全て。
②上信道に絡む申請として放置されていた4件のうち今月17日から中断している3件に当たる東吾妻町内の工事の内容。
③同じく放置されていた4件のうち、申請を行わないまま完了し、2020年に開通した1件の工事の内容。
④林野庁に対して怠っていた保安林解除手続の内容。
⑤2017年から2020年度に計22件あったという不適切な事務処理の内容。
⑥現時点における県吾妻環境森林事務所で当時、担当していた50代男性職員の法令順守の意識が極めて低かったとする原因の究明結果と責任明確化結果の内容。
⑦現時点における上記⑥に関する再発防止対策の内容。
**********

■ちなみに、上信自動車道(略して「上信道」)とは、群馬県のほぼ中央に位置する渋川市の関越道・渋川伊香保IC近くを起点とし、長野県東御市の上信越道・東部湯の丸IC付近に至る長さ約80kmの地域高規格道路のことです。

 国道145号(現道)や吾妻川、JR吾妻線と並行しながら群馬県の東吾妻町・長野原町を西へ進み、嬬恋村で進路を南に変えて上信越道につながります。

 上信道は、すでに3区間合計約20kmが飛び石状に開通しており、さらに約30kmで整備が進行中です。しかし一方で嬬恋村から上信越道までの約30kmは、調査区間となっていて詳細は決まっていません。

 整備中の区間のなかでは、上信道を構成する国道17号「渋川西バイパス」の未開通区間1.9kmが、2025年度に開通する見込みです。

 また、上信道(渋川西バイパス)の起点で、渋川伊香保ICからすぐの中村交差点では、渋滞緩和を目的とした立体交差化が、2022年度に新規事業化されています。

 中村交差点の改良時期は未定ですが、これらの事業が完成すると渋川伊香保ICから上信道の箱島IC(東吾妻町)までのアクセスが向上し、さらにその先の区間も、2023年度から2027年度にかけて順次開通する見通しで、これにより長野原町までがつながるようになります。

 上信道の整備により、吾妻地域の観光地や温泉地へのアクセスが向上。群馬県によると、渋川伊香保ICから草津温泉・万座温泉までのクルマの所要時間は、30分ほど短縮されるといいます。

 また、緊急搬送時間の短縮や災害時の代替路確保、「嬬恋キャベツ」の即日販売圏域拡大といった農業活性化なども期待できるとしています。

※上信自動車道概略図↓
https://www.pref.gunma.jp/contents/100010158.pdf

■県庁に到着し、はじめに上信自動車道の事業推進に携わっている21階の県土整備部の建設企画課を訪れました。なぜなら「上信自動車道は、県土整備部が実施している事業なので、ここが記者発表したのかもしれない」と考えたからでした。

 しかし、県土整備部の職員は、「林野庁への保安林解除申請がされていなかったため、工事中止の憂き目にあったので、うちは被害者だ」というのです。そして「記者発表したのはうちではなく、環境森林部だ」とやや口惜しさを滲ませる口調で当会に教えました。すると、保安林に関する業務をしている部署の名前が脳裏に浮かんだため、県土整備部に「環境森林部のどの部署でしょうか」と尋ねると、「森林保全課だ」というのです。やはり想像通り、デタラメな森林行政で知られる森林保全課が今回の記者発表をした部署だったのです。

■さっそく16階の森林保全課に行き、保安林の指定・解除・管理、林地開発の審査、森林保全管理を担当している森林管理係で「ちょっとすいませんが」と声を掛けました。

 すると在席していた職員の一人がやってきて、「すいませんがどなたで、どのような要件でしょうか」と聞いてきました。「いつもお世話になっております市民オンブズマン群馬の代表の小川と申します。22日に記者会見をした上信道のことで色々聞きたいのですが」と要件を伝えると、その職員は顔色が変わり、「ちょっとお待ちください」というなり、窓際の幹部職員らのところに行き、ひそひそ話をし始めました。どうやら、重大なテーマのようです。

 戻ってきた職員は、「それでは、場所をとりますので、こちらにどうぞ」と言い、当会を案内しました。応対に来られた職員の方は2名で、森林保全課の佐藤高彰次長(技)と同課森林管理係長の下山慎二補佐(技)です。さっそく、用意してきた上毛新聞記事を示し、「この記事の内容について、オンブズマンとして関心があります。ぜひ、この記事にあるそれぞれの情報について、詳しい事情を知りたいのですが、まずは、この記事のもととなった、記者発表の内容を教えてください」と、お願いしました。

 ふたりとも、冒頭から当会の顔色をうかがう姿勢が強く、当方が発言するたびに一生懸命メモしていましたが、当方が「記者発表の内容について教えてください」とお願いすると、下山係長が席を外し、資料を取りに行きました。まもなく戻った下山係長から、1枚の紙を渡されました。聞くと、これは8月22日に記者発表した内容で、県HPにも掲載しているとのことです。さっそく中身を読みました。内容は以下のとおりです。

**********令和4年8月11日(月)環境森林部森林局森林保全課 電話:027-226-3250 内線:3250
林地開発許可及び保安林解除に係る不適切な事務処理について
 吾妻環境森林事務所において、平成29年度から令和2年度にかけて林地開発許可及び保安林解除手続きに係る不適切な事務処理がありました。
 今後、同様な事案が発生しないよう、職員の法令遵守と再発防止を徹底してまいります。

1 経緯
 県が航空写真から林地開発許可が確認できない太陽光発電施設(2箇所)を6月上旬に発見。調査により不適切な事務処理を確認。
2 内容
 【林地開発許可】
  起案・決裁が適切に行われていないもの 7件(新規許可箇所 2件、継続箇所 5件)

 【保安林解除】
  ①保安林解除申請書の放置 5件(上信自動車道 4件、県道 1件)
②起案・決裁を経ない保安林内作業許可の発出10件(公印を無断使用4件、通知なし(口頭)6件)
3 原因
  ①当時の担当者(1名)の法令遵守意識が極めて低かった。
  ②許認可事務に係る職場の指導・監督体制及び公印・文書管理が不十分であった。
4 現地の状況
  すべての現地について、災害発生の危険性は低い。(林地開発事案は目視により防災施設の設置を確認。保安林解除事案は代替施設の設置で対応)
5 今後の対応
 【林地開発許可】
  事業者の協力を得て詳細な現地調査を実施し、安全性及び法への適合性を再確認
 【保安林解除】
  解除権限者である林野庁へ速やかな申請書の提出(上信自動車道工事は中断済み)
6 再発防止の取組
  ①職員の法令遵守の徹底及び再発防止策の実施(8月22日に環境森林部長名通知を発出し、所属長会議を開催)
  ②今後の取組(部内研修の充実、許可申請の電子申請化等)
※報道提供資料(pdfファイル:629KB)↓
https://www.pref.gunma.jp/contents/100255183.pdf
**********

■渡されたA4番1枚の文書を読み進めていくうちに、これは群馬県の森林行政のずさんさを象徴する不祥事件であることを強く感じました。これほどまでに酷い実態なのか、とつくづく考えさせられました。これでは県土整備部が「うちは被害者だ」というのは当然です。

 はじめに、このような行政の基本的かつ重大な事務事業を怠った職員について「いったい誰なのか教えてほしい」と、お願いしました。すると、二人は顔を見合わせたあと、佐藤次長が「それは職員の個別の情報なので教えることはできない」と言いました。当会は「記事にあるように、2017年から2020年にかけて吾妻環境森林部にいた保安林業務担当で、50台男性職員と思われますので、必然的に特定が可能ですので、教えてもらっても構わないのではないでしょうか」と再度強くお願いしました。しかし、頑なに拒むので「それではこのあと、人事課で聞いてみます」と言って、この件は後回しにして、いろいろ事情を尋ねました(注:この後県庁8階の人事課の高橋智之次長(事)に打診したところ「現在当該部署で調査中とのことで、まだ当方に情報が来ていない」とのこと)。しかし、一向に職員らからはコメントが聞けず、もっぱら当会の推測を一方的にお話しするにとどまりました。

 当会が特に衝撃を受けたのは、次の点です。

 ●林地開発許可が不適切のまま2か所の太陽光発電施設が設置されたこと。
 ●これを契機に調べたら林地開発許可手続に瑕疵のある事案が上記を含め計7件見つかったこと。
 ●さらに、保安林解除のため必要な林野庁への申請手続5件が行われないまま、県営事業の上信道と県道の工事が着手され、このうち1件はすでに工事が完了したこと。
 ●起案・決裁がされないまま保安林内での作業許可が10件発覚し、このうち4件が公印を無断使用したもので、あとの6件が書面での通知をせずに、業者に口頭で許可を伝えたこと。
 ●これらの不正を行ったのは、吾妻環境森林事務所の森林係の一人の職員によるもので、同職員のコンプライアンス意識の欠如と、当該職員に対する職場の指導監督体制や公印・文書管理の不徹底が、現時点で結論付けられる原因分析の結果であること。
 ●今後の対応として、太陽光発電装置の適合性をこれから確認したり、上信道など県営事業にともなう保安林解除については、これから林野庁に後出しで申請することで、この重大事件が片付けられようとしていること。
 ●加えて、再発防止に向けた取り組みとして、8月22日付で環境森林部長名で、所属署員らにコンプライアンスの徹底と再発防止の通知を出し、所属長会議を同日開き、今後は部内研修と許可申請の電子化の促進を掲げているだけで、真相の究明と責任の明確化が全く見えてこないこと。

■以上の一連の概要をヒヤリングした結果、群馬県の森林行政の闇の部分がはっきりと見えてきました。すなわち、群馬県の森林行政において、藤岡市内の保安林を巡る数々の不正行為に見られるとおり、公文書の変偽造が長年にわたり常態化しており、組織ぐるみで不法行為に手を染めている実態です。

 今回は、保安林の解除申請という、国がらみの手続において不法行為が発覚してしまい、国への報告が必要となったことから、内部でもみ消すわけにゆかず、こうした目立たない形で、しかも、「当時の担当者(1名)の法令順守意識が極めて低かった」などとする、いわゆる「トカゲのしっぽ切り」のかたちで、事件を封印しようとしている様子が見て取れます。

■官民を問わず、業務の基本として、「ホウレンソウ」の重要性が挙げられています。この「ホウレンソウ」とは、「報・連・相」、つまり、「報告」・「連絡」・「相談」を略した言葉で、職場において基本となる3つのコミュニケーションを表しています。もちろん、野菜のほうれん草のことではありません。

 それぞれの意味は以下のとおりです。

●報告とは
 取り掛かっている仕事の進捗と経緯、結果など職員一人ひとりの現在の状況を伝えること。そして、次に行動するべき方向性や、自らの意思を伝えること。

●連絡とは
 成約や顧客(行政の場合は許認可や住民)からのクレーム、会議での決定事項など、発生した事実を正確に伝えること。

●相談とは
 個人では決定に自信が持てないときや判断に迷うとき、上司や同僚にアドバイスをもらうこと。

 今回、県の環境森林部で起きた不正行為は、いくらなんでも、一人の職員だけで行えるはずがありません。なぜなら、保安林は森林法によって定められた森林の種類のひとつであり、木材の生産のためではなく、水源の保持・土砂災害の防止・生活環境の向上などの森林が持つ公益的機能を重視し、機能を発揮することを一般の森林以上に期待された特別な森林だからです。

 こうした 特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定されるのが保安林です。 保安林では、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等が規制されるのです。
※保安林制度の体系↓
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tisan/tisan/attach/pdf/con_2-2.pdf

 これを見ると、保安林の手続において不正があった場合は、罰則として森林法206条から210条が適用になると記されています。

 ちなみに、森林法には保安林に関する以下の条項があります。
  ・25条 指定
  ・26条 解除
  ・27条 指定の申請
  ・28条 解除の申請
  ・29・30条 保安林予定森林又は解除予定保安林に関する通知等
  ・31条 保安林予定森林における制限
  ・32条 意見書の提出(公開による意見の聴取)
  ・33条 指定又は解除の通知

■こうして森林法に定められた保安林手続を巡る厳格なルールを、あろうことか行政自らが踏みにじったわけで、こうした実態は、当会の藤岡支部の会員がこれまで再三にわたり群馬県知事に文書で是正措置を訴えてきました。しかし、群馬県は代理人として弁護士の関夕三郎を起用し、環境森林部森林保全課など(藤岡森林事務所を含む)行政職員の説明責任をすべて放棄させたのでした。

 今回、吾妻環境森林事務所で発覚した保安林等を巡る不法行為は、群馬県森林行政内で組織ぐるみで不正や隠蔽が行われてきた実態をさらけ出したと言えます。当会では、この問題を徹底的に追及し、腐りきった群馬県新会陰行政にメスを入れ、膿を出し終えるまで引き続き取り組んでまいります。

■そのために、まずは、あらためて群馬県知事あてに公文書開示請求を通じて、以下の情報の開示を求める考えです。

① 本年6月上旬に県が発見した林地開発許可が確認できない太陽光発電施設とその調査の悔過不適切な事務処理が確認されるまでの経緯が分かる情報。
② 上記①の調査の結果、林地開発許可において、起案・決裁が適切に行われていなかった7件の事案の内容が分かる情報。
③ 上記①の調査の結果、保安林解除手続において、森林法に定める解除申請や通知、意見の聴取等、必要な業務を放置していた5件の事案の内容が分かる情報。
④ 上記①の調査の結果、保安林内作業許可において、起案・決裁が適切に行われなかった事案10件の内容がわかる情報。
⑤ 今回の不正事件において、当時の担当者1名の法令順守意識が極めて低かったと判断した根拠が分かる情報。
⑥ 今回の不正事件において、同僚や上司とのコミュニケーション(指導・監督、公印・文書管理を含む)が不足していたと判断した根拠が分かる情報。
⑦ 全ての現地について、災害発生の危険性が低い(林地開発事案は目視により防災施設の設置確認、保安林解除事業は代替施設の設置対応確認)と判断した根拠が分かる情報。
⑧ 再発防止として職員の法令順守の徹底及び際×防止策の実施について、8月22日に環境森林部長名で発出した通知、および所属長会議を開催した際の議事録等(それ以外にも本件に関連して発出した文書や、開催した会議等の記録。

■それにしても不可思議なのは、これほどの大事件なのに、群馬県が記者会見すらひらかず、記者発表資料として、A4判資料1枚のみを報道各社に送っただけで、県民に公表したと言っていることです。他方、メディア側も、地元の上毛新聞と産経、毎日新聞だけが、小さく取り上げただけで、その他の新聞社は掲載したかどうか未確認です。本来、全国版ニュースとして報じてもおかしくない重大事件のはずですが、こうした報道する側の消極性は行政の意向を敏感に感じ取ったためなのかもしれません。

 なお、今回の行政における不正行為事件について、森林環境部以外の職員の方々に聞いてみると、一様に関心が高く、今後の推移について注目していることが判ります。それだけに、行政の信頼喪失のとばっちりを心配する声もいただきました。オンブズマンへの期待度の高まりを痛感した次第です。

↑不正の温床?↑

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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