市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

オンラインで9月20~21日に開催された第27回全国市民オンブズマン大会報告

2020-09-26 22:14:00 | オンブズマン活動
■恒例のオンブズマンの全国大会は当初、鳥取県の米子市で開催される予定でした。しかし新型コロナの感染拡大により、全国的な蔓延が止まらない状況で、これまでのような全国から多くの人が集まる大会の開催は困難だと、連絡会議事務局で7月に判断されました。しかし同時に、来年以降の市民オンブズマン活動の活発化と全国大会へのつながりを考えたとき、全国大会を中止するのではなく、いまの状況に合った新しい形の全国大会の開催とし、具体的には、主催者側のごく一部の人を除いて、参加者全員が地元からネットで参加し、意見交換はネットを介して行うことになりました。こうして、1994年に発足した我が国のオンブズマン活動で初めて、全国大会をオンラインで開催することになり、予定通り9月20日~21日にかけて、実施されました。9月30日まで、録画を見ることが出来ますので以下のリンクをクリックし、パスコードを入力してください。





オンライン大会開催の経緯を説明する、新海聡事務局長


基調報告を行う、土橋実代表幹事


「コロナであれはどうなった」を発表する、新海聡事務局長


政務活動費情報公開度ランキング・執行率調4査を発表する、児嶋研二代表幹事


領収書のネット公開。昨年は62議会がネット公開。今年度から、秋田県、福井県、さいたま市、熊本市、山形市、宇都宮市、前橋市、枚方市、東大阪市、倉敷市がネット公開


政務活動費 富山はどうなった?を発表する、青島明生氏


包括外部監査の表彰と説明を行う、浅井亮代表幹事


包括外部監査 市民オンブズ千葉 改善申込と成果を発表する、村越啓雄氏


かながわ IR住民訴訟の発表を行う、大川隆司氏


山形 私立学校財務書類公開の発表を行う、長岡昇氏


大分県教委 求償権訴訟勝訴の発表を行う、永井敬三氏


尼崎市政務活動費返還勧告拒否の発表を行う、丸尾牧氏


住民訴訟潰しに抗議する-高槻訴訟費用請求の発表を行う、北岡隆浩氏


持続化給付金 情報公開請求の発表を行う、井上博夫氏


「会計検査院に是正措置要請」提案を行う、宇部雄介氏


消防デジタル無線談合の発表を行う、内田隆氏


消防デジタル 千葉県催告書送付後の状況の発表を行う、吉村りよみ氏


活性炭談合の発表を行う、土橋実氏

●20/9/20 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 全体会録画 32分10秒~
 URL ⇒https://us02web.zoom.us/rec/share/E5FRzBRQ8JvNe-zZD-eB2dL8bltEdYyO0tCp_kQhqZ3uaTCZaoaCSiy93PINiwqU.goTsGjIb1VDQHL6Z
 パスコード ombuds2020!

●20/9/21 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 手口分科会 30分00 秒~ 全体会録画 3時間00分30秒~
 URL ⇒ https://us02web.zoom.us/rec/share/1OU9RXEeIK8raeUBd5ZlCTG09M4OgnUBkRuB_ginqzzQ_8vdjY-gsCceTBOxIzM.yCU4JY5h3NB4T54u
 パスコード ombuds2020!
 配付資料 http://www.ombudsman.jp/taikai/2020teguchi.pdf

●20/9/21 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 政務活動費分科会録画  27分35秒~
 URL ⇒ https://us02web.zoom.us/rec/share/iZWqA5bqlFIynZcIQHe9vRQ51LeR_2p2fhVxU0kuJjsovC9xJNSM6MG9utoPRweU.Y7ZwlE6k91Jd8u1M
 パスコード ombuds2020!
 配付資料 http://www.ombudsman.jp/taikai/2020seimu.pdf

●20/9/21 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 情報公開分科会録画  40分50秒~
 URL ⇒ https://us02web.zoom.us/rec/share/rPM3s2Y4UoL-Lr3ikI29ohGLFWR3Vc13MaqndAlh1JSmB_1PcNRpjU5sZgyFPDxi.TzyNBROZOjaxj2J3
 パスコード ombuds2020!
 配付資料 http://www.ombudsman.jp/taikai/2020jouhou.pdf

●第27回全国市民オンブズマン・オンライン大会 資料集 ダウンロード可能 (20/10/17まで)
 http://dtbn.jp/2drP8eC
 ・全体報告資料 184ページ
 ・地域活動報告 135ページ(※当会注:市民オンブズマン群馬の報告は10~15頁をご覧ください)

●追加資料
 ・尼崎市 政務活動費返還勧告拒否 
  https://www.ombudsman.jp/taikai/2020amagasaki.pdf
 ・大分県教委 求償権訴訟勝訴
  https://www.ombudsman.jp/taikai/2020oita.pdf
 ・「会計検査院に是正措置要請」提案
  http://www.ombudsman.jp/taikai/2020sendai.pdf
 ・活性炭談合事件に取り組もう
  http://www.ombudsman.jp/ taikai/2020kasseitan.pdf

●大会プログラム
 http://www.ombudsman.jp/taikai/200920-21.pdf

●「大会のまとめ報告」を発表しました。
 https://www.ombudsman.jp/taikai/200921.pdf
*****大会のまとめ報告*****ZIP ⇒
1 はじめに
 今年の全国市民オンブズマン連絡会議の全国大会は、世界中を巻き込んだコロナ禍の影響を受けて初のオンライン対会となりました。
  コロナ禍は、世界中の人のこれまでの社会生活のあり様を一変させました。市民オンブズマンがこれまで監視して来た自治体の運用はどうでしょうか。今回のメインテーマは「コロナで広報はどうなった?」と「コロナで議会はどうなった?」とし、アベノマスクの配布に絡んだ不透明な発注によって注文された随意契約の問題点を取り上げ「随意契約の闇」として報告するなど、内容面でもコロナの影響を色濃く反映したものにしました。コロナ禍対策は緊急性を要するものですが、首長の専決処分と随意契約がセットになったとき、巨額の不正取引が行われる危険が極めて高くなります。このようなときこそ、オンブズマン的視点から情報の透明性や支出の妥当性の検討が必要です。
2 「コロナで広報どうなった?」
 「コロナで広報どうなった?」では、コロナ禍に関連する記者会見が連日報道で取り上げられたことに着目し、都道府県知事の記者会見について調査しました。本来パンデミック対策として人々の社会生活に重要な影響を与える一定の規制や自粛等の要請を行うにあたり、行政機関としては丁寧な説明の周知徹底が不可欠です。その手法として自治体のホームページで説明が行われていますが、記者会見はそれがテレビで生放送されるなどすることから、記者会見による周知効果は極めて高いものと思われます。知事の記者会見が頻繁に報道される自治体は目立ちますが、報道されない知事はどう情報を発信しているのか。この点について実情調査を行ったところ、記者会見に積極的な知事と消極的な知事の人数は拮抗していました。積極的な知事はより積極的に、消極的な知事はより消極的になった印象を受けます。これは知事の住民に対する平時からの姿勢の反映と言えるかもしれません。
 定例記者会見から質疑応答について発信しないという知事やコロナ関連での会見では質疑応答は発信しないという知事も見受けられました。答えにくい質問もあるかもしれませんが、そうした質問への回答から、知事の姿勢を県民は判断するのではないでしょうか。
 いずれにしても、コロナ禍で首長の情報発信に注目が集まったことを契機として、市民、住民の側からもその情報発信の透明性について引き続きチェックをしていかなければなりません。
3 「コロナで議会はどうなった?」
 首長の存在がクローズアップされたのとは対極的に、地方議会では自粛ムードが蔓延し存在感は一層薄くなりました。
 今回の調査では、議会の期間の短縮や質問時間の制限、なかには議員の出席人数の制限をしている自治体もあることがわかりました。地方議会の開催においてもクラスター発生を防止するためのコロナ禍対応に万全を期するのは当然のことですが、議会活動の質を落とす方向での対応は議会自らの存在価値を大きく損なうものとなりかねず、執行機関のチェック役を果たせているとはいえません。
 本会議の傍聴についてもソーシャルディスタンスの確保を理由に傍聴者数を制限する議会が多数あり、傍聴の自粛を求める議会も多数ありました。傍聴の自粛の呼びかけは市民を議会活動への関心から遠ざけることになりかねず、上記のような議会の存在価値の減退と相まってより一層存在価値を損なう状況が生まれつつあります。
 一方で、コロナ禍での私たちの経験は、ポスト・コロナの議会の可能性への気づきを与えるきっかけも生じさせました。それはインターネットを活用した議会参加です。これまで議場という場に集まって議論をすることを当然の前提としてされてきましたが、オンラインでの議会参加の検討が本格化すると思われます。
 過疎自治体を中心に、議員のなり手が少なくなっていくなかで、オンラインによる議会参加は、日常生活との両立や移動時間の問題を解消することで、より多様な人々に議員として活躍する可能性を実感させるところですし、市民との関係でも傍聴の代替手段に止まらず議会活動への市民参加をよりリアルにする、市民の双方向での対話を可能にする方向性を期待したいところです。
4 市民オンブズマンとコロナ禍
 コロナ禍の影響は、私たちオンブズマンの活動にも大きな影響を与えました。
 普段の活動でも集まっての議論をすることができない状況が続き活動が停滞した団体も多かったと思います。また、この全国大会開催のための準備や包括外部監査班の検討のための会議なども開催できず、当初予定していた鳥取での全国大会についても中止を決断せざるを得なくなるなど、全国市民オンブズマン連絡会議の活動についても危機的な状況に陥りました。
 しかし、ポスト・コロナの議会と同様、Zoom会議などインターネットを活用した新たなコミュニケーションの方法を利用したことによって、これまで以上に頻繁に準備会議を開くことができ、会議の回を追うごとに議論が深まり、初めてのオンライン大会の開催に漕ぎつけました。
 このような開催形態は、例年全国大会の会場にお出でいただいている皆さんの中から、実際の集まったときの熱気に接することができない物足りなさやオンライン参加の技術的な困難さへの不安などの声をいただきました。また、多数の人々の参加によって例年行っている大会宣言や決議なども見送ることとなり、全国のオンブズマンの一体的な活動や方向性の確認なども十分行うことができなかったことは、今後の反省点としなければならないと考えています。
 他方で、オンライン開催であるからこそ初めて参加したという方々がいますし、遠方での参加に二の足を踏んでいた市民オンブズマンの方々に参加の可能性を広げることもできます。このような面からみると、オンライン開催は私たちの市民オンブズマン活動をさらに広げ活発にするよい機会になったといえるのではないでしょうか。
 来年の全国大会の時期にコロナ禍が収束しているかどうかはわかりませんが、全国大会は開催します。状況に応じて現地開催かオンライン開催かを考えなければならないでしょう。いずれにせよ、両方のメリットを生かした全国大会を模索していきたいと考えています。
 今回のオンライン大会に参加いただいた皆様、参加していただき、ありがとうございました。開催手法その他について意見・感想をお聞かせてください。
                             以上
**********

■このように、次回、来年の全国大会は、新型コロナ禍が終息したり、ワクチン接種などによる安全確保が為された場合には、鳥取県米子市で集って開催の予定ですが、それが困難な事態が続く場合は、今年と同様にオンライン方式で開催されることになりそうです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連報道記事
**********日経2020年9月17日16:34
外部監査、4県市に優秀賞 129自治体の「通信簿」
 全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)は17日、都道府県と政令市、中核市に義務付けられた包括外部監査の内容を評価した2019年度の「通信簿」で、山梨県、岐阜県、沖縄県、堺市の監査を「優秀賞」に選んだと発表した。最優秀の「オンブズマン大賞」は該当なしとした。
 山梨県は住宅事業、岐阜県は県立の高校と特別支援学校、沖縄県は観光施策、堺市は文化事業などを監査のテーマにしていた。報告書が分かりやすく担当部署が改善のために活用しやすい点や、問題点を厳しく指摘していることを評価した。
 優秀賞に次ぐ「活用賞」には青森県など24自治体の監査を選び、秋田県など17自治体の監査は欠点が目立つとして「改善要望」を出した。
 包括外部監査は、自治体の行財政を公認会計士らがチェックする制度。弁護士らで構成する連絡会議の評価班が、19年度に実施された129自治体の報告書を調査した。
 オンラインで記者会見した同班の浜島将周弁護士は「報告書は自治体の問題が分かる貴重な資料。市民や地元議会でもフル活用してほしい」と呼び掛けた。
 17年度の監査報告を受けて各自治体がどう対応したかも調べ、埼玉県など24自治体を最も高い「A」評価とした。最低の「E」評価はなかった。
 連絡会議は全国の市民オンブズマンが情報交換のため結成。現在は42都道府県の69団体からなり、通信簿は包括外部監査が義務付けられた1999年度分から毎年発表している。〔共同〕

**********東京新聞2020年9月21日 17:05
コロナ禍こそ情報の透明性検討を 市民オンブズマン全国大会が閉幕
 新型コロナの影響で初めてオンラインで開かれていた全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)の全国大会は21日「コロナ禍でこそ(行政を監視する)オンブズマン的視点から情報の透明性や支出の妥当性を検討する必要がある」との報告をまとめ、2日間の日程を終えて閉幕した。
 この日は政務活動費のチェック方法や情報公開請求の手法などをテーマに三つの分科会を開催。会議の新海聡事務局長は「市民オンブズマンの手口全部教えます」と題し、これまで調査してきたテーマや、情報の入手方法などを紹介した。
 会議事務局によると、大会には各地から150人以上が参加した。
(共同)
**********

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前橋市職員勤務不正申告損害回収住民訴訟…半年ぶりに9.23第12回弁論準備が前橋地裁で非公開で開廷

2020-09-25 23:10:00 | 前橋市の行政問題
■公務員のズサンな勤怠管理で多額の血税が失われていることは各地の事例で明らかですが、不祥事件が多発する前橋市の場合、やはりきちんとした職員管理ができていないことが大きな要因の一つと思われます。そこで、当会では不倫相手の職員の時間外手当を不正に認めていた前橋市役所の実態を正すべく、2018年7月2日付で、住民監査請求に踏み切りました。その後、同30日に前橋市監査委員事務局から監査結果通知が送られてきて、さらに9月8日に同じく監査委員事務局から、「住民監査結果に対する措置通知」が届きました。内容を精査した結果、当会としては、ぬるま湯体質の前橋市役所を正すためには、やはり住民訴訟を提起するしかないとの結論に達し、2018年9月28日訴状を提出しました。その後、12月12日の第1回、2019年1月30日の第2回、3月13日の第3回、4月24日の第4回、7月3日の第5回、8月28日の第6回、そして場所を31号ラウンドテーブル法廷に移して10月16日の第7回、10月31日の第8回、11月28日の第9回、2020年2月19日の第10回、そして2020年3月26日(木)13時30分から第11回弁論準備が前橋地裁3階31号法廷(ランドテーブル法廷)で開かれました。その後、第12回弁論準備は、5月27日(水)15時30分から開廷される予定でしたが、新型コロナの感染拡大により、中止となっていました。そして、この度半年ぶりに、9月23日(水)14時から再開されたのです。さっそく報告いたします。

降りしきる雨の中に佇む前橋地裁。今日は21号法廷での民事事件は1件のみ。あとは刑事事件数件。当会が原告の午後2時からの事件は弁論準備の為、開廷表には掲載されない。

 なお、この問題の経緯等は次のブログをご覧ください。
〇2018年3月29日:再発防止になるの?…印章偽造の職員に減給10分の1(1か月間)の大甘処分を決めた前橋市
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2600.html
〇2018年5月3日:前橋市役所職員による勤務不正申告の実態について前橋市長に報告書を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2628.html
○2018年6月5日:前橋市職員による勤務不正申告の実態報告書の感想と見解を聴取すべく前橋市役所を訪問
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2659.html
○2018年7月2日:前橋市職員による勤務不正申告の実態報告をもとに前橋市に損害回収を求める住民監査請求書を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2683.html
〇2018年7月4日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求める住民監査請求書の内容を確認してきた前橋市監査委員
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2684.html
○2018年7月15日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求める住民監査請求書をようやく受理した前橋市監査委員
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2697.html
○2018年8月2日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求める住民監査請求手続のため監査委員の面前で陳述
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2718.html
○2018年9月3日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求める住民監査請求の結果通知が到来!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2741.html
〇2018年9月21日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求めた住民監査結果に対する措置通知到来!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2761.html
○2018年9月28日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求め住民訴訟を提起!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2765.html
〇2018年11月2日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求めた住民訴訟で訴状訂正申立書を地裁に提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2799.html
○2018年11月9日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収を求めた住民訴訟第1回弁論が12月12日(水)10時と決定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2806.html
○2018年12月3日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収の12.12住民訴訟に向けて被告前橋市から答弁書!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2835.html
○2019年1月23日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収住民訴訟の1.30第2回口頭弁論が迫る中被告前橋市から準備書面!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2866.html
○2019年2月4日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収住民訴訟・・・1月30日の第2回口頭弁論の模様
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2877.html
○2019年2月23日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収住民訴訟・・・被告前橋市から時間外と病欠中の支払情報が到来
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2884.html
○2019年6月26日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収住民訴訟・・・7.3第5回弁論迫り前橋市から第3準備書面が到来
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2969.html
○2019年6月27日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収住民訴訟・・・7.3第5回弁論向け被告前橋市の第3準備書面の欺瞞
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2970.html
○2019年8月23日:前橋市職員の勤務不正申告による損害回収住民訴訟・・・7.3第5回弁論後、8月5日に原告準備書面(3)提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3007.html
○2020年3月7日:前橋市職員勤務不正申告損害回収住民訴訟・・・不正時間外手当の遅延損害金突如支払われる!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3131.html

■はじめに、半年前の3月26日(水)13時30分から第11回目の口頭弁論期日の様子を見てみましょう。

 それまで本件裁判は地裁3階の31号法廷(ラウンドテーブル法廷)で開かれており、傍聴も許されていました。そのため、今回も当会会員が傍聴の為、当日待機して、開廷時間がきたので、原告、被告が集まり、裁判所の書記官が31号法廷に案内した際に、一緒に付いていこうとしたら、コロナ感染防止を理由に傍聴が許可されませんでした。

 そのため、被告訴訟代理人の弁護士である石原栄一弁護士と安カ川美貴弁護士と前橋市役所職員課の関係者はぞろぞろ法廷に入っていったのに、原告は当会事務局長のみという状態でした。

 そのため、裁判長がどのような訴訟指揮をするのかが注目されましたが、今回のラウンドテーブル法廷では、裁判長は原告側に友好的でした。

 今回の弁論準備では、人証尋問をどうするかが焦点でした。被告前橋市役所側は、同市職員で長期間病気休暇・休職をとった小島美帆の出廷は心身的な事情により不可能で、配偶者も同様に出廷できないということでした。また精神科医の中屋みな子医師も職業的立場から出廷できないということでした。

 一方、原告の方は、不倫事件が発生した当時、南橘公民館長の石田健一や正職員の小島美帆らと一緒に勤務していた嘱託職員全員が出廷して、小島美帆が提出した陳述書の虚偽部分について証人として陳述したい意向を裁判長に伝えました。

 すると裁判長が被告訴訟代理人弁護士に対していきなり切れた感じで、「小島美帆らの出廷できない理由は本当に心身的なものなのか? 単に出たくないということなのかどうなんですか。もし心身的なことで出廷でききないのであれば入院中だとかしっかりとした診断書を提出してください。出廷拒否の確かな根拠を示してください。もし、いい加減な理由で出廷しないのであれば原告の主張を全面的に認める判決を出さざるを得ません。原告から証人申請が出されれば裁判所としてはそれに従って出廷要請をしますからね。」と強い口調で訴訟代理人弁護士に対して訴訟指揮をしました。

 そして裁判長は、精神科のカルテの提出期限を4月30日、次回期日を5月27日(水)15時30分と決めました。なお、このとき、被告側からの申し入れで、小島美帆のカルテの内容は㊙扱いとされることが決まりました。被告がカルテの写しを提出した際に、原告側としてカルテを受領する際に「外部に漏らさない」旨を誓約書に署名するように訴訟指揮がなされ、原告側として承諾しました。

■そして、その後、4月1日付で、被告訴訟代理人の安カ川弁護士から次の文書が届きました。

*****4/1被告からの誓約書付き連絡書*****ZIP ⇒ 20200402jmaij.zip
                          令和2年4月1日
〒371-0801
群馬県前橋市文京町1-15-10
鈴木庸 様

           ご連絡

            〒371-0026
             前橋市大手町三丁目4番16号
             石原・関・猿谷法律事務所
             電話 027-235-2040/ FAX 027-230-9622
             前橋市代理人
             弁護士 石 原 栄 一
             弁護土 猿 谷 直 樹
             弁護士 安カ川 美 貴

前略 お世話になっております。
 前橋地裁に係属中の平成30年(行ウ)第12号の件につきまして,3月26日の期日の際にお話しさせて頂きましたとおり,秘密保持に係る誓約書の案を作成致しました。
 同封いたします秘密保持に係る誓約書の内容をご確認・ご検討いただき,当職らの上記事務所(担当:安カ川)宛てに,お手紙でもお電話でも結構ですので,ご連絡くださいますよう,お願い申し上げます。その際に,この内容でご署名 押印頂けるか等ご意見を伺えればと存じます。
 宜しくお願い申し上げます。
                            草々

【送付資料】
・本書
・秘密保持に係る誓約書

=====秘密保持に係る誓約書=====
        秘密保持に関する誓約書
 前橋地方裁判所平成30年(行ウ)第12号不倫職員時間外手当等不正支払損害賠償請求事件(以下,「本件訴訟」といいます。)において,被告から提出された乙第20号証(中屋みな子医師作成の意見書)及び被告から提出予定の乙第21号証(小島美帆氏の清王寺クリニックのカルテ)について,下記のとおり誓約します。
              記
1 乙第20号証及び乙第21号証は,本件訴訟の準備以外の目的では使用しません。
2 乙第20号証及び乙第21号証は,原告本人に限って使用するものとし,それ以外の第三者には使用させません。
3 乙第20号証及び乙第21号証の副本及びそのコピーを第三者に交付せず,かつ,ブログヘの掲載,SNSへの投稿,その他方法の如何を問わず,乙第20号証及び乙第21号証に記載されている情報を外部に開示に漏洩させません。
4 本誓約書の規定は,本件訴訟係属中のみならず,本件訴訟の終了後も厳守します。
5 第1項から第4項までの規定に違反した場合には,原告は,小島美帆氏,中屋美奈子医師への損害賠償義務があることを認めます。
                      令和  年  月  日
前 橋 市 御中

           (住所)
           (氏名)            印
**********

 そしてついに、5月21日付で裁判所から次の事務連絡が届きました。5月27日午後3時30分からの第12回弁論はコロナ感染対策のため取消しとなったのです。なお、この事務連絡とともに、被告の平成2年5月16日付第6準備書面も添付されていました。

*****5/21地裁からの事務連絡*****ZIP ⇒ 20200521a.zip
事件番号 平成30(行ウ)第12号
     不倫職員時間外手当等不正支払損害賠償請求事件
原告 鈴木庸
被告 前橋市長 山本龍
         事  務  連  絡
                      令和2年5月21日
原告 鈴木庸 様(FAX027-224-6624)
被告代理人 石原栄一 様( F A X 027-230-9622)
        〒371-8531 前橋市大手町3-1-34
              前橋地方裁判所民事第1部合議係
                 裁判所書記官 橋 本 勇 一
                   電話 027-231-4275 (内線)320
                   FAX 027-233-0901

 頭書の事件につき,コロナウイルス感染症感染拡大防止対策として,次回弁論準備手続期日(令和2年5月27日午後3時30分)は取り消しになりました。次回期日の調整については追って連絡いたします。
 なお,裁判官の指示による次回までの準備事項は以下のとおりです。
【原告】
 被告の第6準備書面(令和2年5月16日付け)に対する反論を記載した準備書面を令和2年6月30日までに提出されたい 。
【被告】
 なし
                    (本書を含め1枚送信)
                          以 上
**********

 この被告の第6準備書面と一緒に提出してきた乙21号証は小島美帆のカルテであり、乙22~27号証は投薬説明書でした。さらに、ご丁寧にも訴訟記録閲覧等の制限申立書まで付けられていました。よほど第三者に性能寺クリニックの適応障害のカルテを見せたくないようです。
※2020年4月30日:被告前橋市からの訴訟記録閲覧等の制限申立書(乙21-27号カルテ及び投薬説明書) ZIP ⇒ i2127jej.zip

 そこで、当会もこれに反論すべく、訴訟記録閲覧等の制限申立への意見書を提出しました。
※2020年5月25日:原告からの訴訟記録閲覧等の制限申立書についての意見書 ZIP ⇒ 20200525_seigenmousitatesho_no_ikensho.zip

 一方、被告から提出された小島美帆のカルテについて、上記のとおり被告から閲覧制限申立をかけられたため、第三者に見せることができないため、原告として医学的な専門用語など理解するためにネット検索を駆使して、カルテの内容において疑問点や曖昧点、矛盾点などを列挙し、それらを仔細に吟味をして、カルテの杜撰さを指摘した原告準備書面(5)を6月30日に裁判所と被告に提出しました。また甲15号証と16号証も併せて証拠として提出しました。

■すると、被告から7月15日付で、訴訟記録閲覧等の制限申立書(2)が送られてきました。これで、原告が提出した準備書面5の大部分を対象として閲覧制限を裁判所に申し立てたことが分かりました。原告はこれについてもあまりにも理不尽なので、反論のため、7月27日付で訴訟記録閲覧等の制限申立書(2)についての意見書を裁判所に提出しました。
※2020年7月15日:被告からの訴訟記録閲覧等の制限申立書(2) ZIP ⇒ iqj.zip
※2020年7月27日:訴訟記録閲覧等の制限申立書(2)についての意見書 ZIP ⇒ 2.zip

 さらに被告からは、8月11日付で、今度は、訴訟記録閲覧等の制限申立書(2)の訂正申立書が送付書と一緒に送られてきました。これについても、反論の為の意見書を8月25日付で裁判所と被告に提出しました。
※2020年8月11日:被告からの訴訟記録閲覧謄写等の制限申立書(2)の訂正申立書及び送付書 ZIP ⇒ j.zip

 被告は徹底して身内の市職員である小島美帆のカルテに関するあらゆる情報を第三者に見せたくない強い決意を原告に対して示していることが分かります。しかしこのことは、裏返せば、カルテの信ぴょう性について、自ら不安や懸念を抱いているという見方もできるわけです。

 そうした中、新型コロナ対策を条件に、裁判所も少しずつたまりにたまっていた審理中の事件を進めてゆく動きを見せ始めました。そうした中で、本件も半年ぶりに9月23日(水)午後2時から再開することになりました。

■そして、2020年9月23日(水)午後2時から前橋地裁で第12回弁論が準備手続きの形式で3回の31号法廷(ラウンドテーブル法廷)で開かれました。

 原告の鈴木事務局長と一緒に、当会関係者3名も傍聴しようとしたら、女性事務官に「当事者である原告の鈴木さん以外、傍聴できません」と言われて、傍聴を拒否されました。

 仕事を休んでまで傍聴にやってきた当会メンバーらは、納得できずに事務官に対して「誰の指示なのでしょうか。この事件はオンブズマンとして追及してきています。なんとかなりませんか」と申し入れたところ、「裁判官の指示によるもので、原告は鈴木さん個人となっている」とのこと。

 「前回は確かにコロナ感染拡大だったため、(傍聴不可は)仕方がなかったが、今回はきちんとマスクを着けており、傍聴席における離隔距離も3名であれば十分に確保できるはずです。この期に及んで急にダメと言われても困ります。もっと開かれた裁判所にできませんか」と食い下がりましたが、裁判所の事務官の対応は頑なでした。よほど裁判長にきつく言われたと見えます。次回からは事前に裁判所に問い合わせるように言われました。おそらく裁判所では、原告本人以外は、当事者として認めないことでしょう。それだけ、この事件で、行政側の置かれた立場を忖度しなければならないのかもしれません。

■そのため、当会メンバー3名は、20分ほど地裁3階のエレベーター迄で第12回目の弁論準備が終わるのを待っていました。

 被告前橋市側は、今年4月の人事異動で職員課の構成が大幅に変わった様子で、車いすを使った女性職員も含め、ぞろぞろと31号法廷(ラウンドテーブル法廷)から出てきました。

 鈴木事務局長によると、我々が提出した準備書面(5)については、渡辺裁判長から「医学的見地から、専門の医者に内容を監修してもらい、内容について医師の裏付けをとるように」と言われたそうです。それまで再三にわたり、被告の訴訟資料閲覧制限に対して、「医療関係者に見てもらうのは、守秘義務がある職業なので問題ないはず」と主張してきた当方の意見を取り入れていただけたのかもしれませんが、それならもっと早く、そのように訴訟指揮をしていただけばよかったと思う次第です。

 と言うことで、中屋みな子医師の作成したカルテは、他の医療関係者に診てもらえることになりました。しかし、同じ業界だと、なにかいろいろなしがらみがないとは言いきれません。

 ぜひ、読者の中で、医療関係者のかたがおられれば、このカルテの内容と、原告が作成し提出した原告準備書面(5)の内容について精査していただけると幸いです。

 もし、お引き受けしていただけるのであれば、当会の事務局長から直接、関連する文書を送らせていただきます。

■一方、裁判長は、被告に対しては、「乙23号証や24号証は薬の薬効などの情報で、HPから誰でもダウンロードして見られる公開された情報なのに、なぜこれも閲覧禁止にするのか、理由を示すように」と訴訟指揮をしたとのことです。

 そのうえで原告、被告ともにそれぞれ意見書、準備書面を11月18日(水)までに裁判所に提出し、次回第13回目の口頭弁論(準備手続き。非公開)は12月2日(水)16:30から地裁31号法廷で開かれることになったそうです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【働き方改革を先取り?】副業届なく10年間2億円収入公務員に退職手当1200万円?…群馬県教委の太っ腹

2020-09-22 23:51:00 | 県内の税金無駄使い実態
■安部前政権が遺したいくつかのスローガンのうち「一億総活躍社会の実現」というのがあり、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の実現に向けて、政府を挙げて取り組む、としていました。そして、この実現のため「働き方改革」という言葉が好んで使われました。この働き方改革で、「公務員の副業が解禁」という報道を聞いたことがある方も多いかと思います。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/pdf/gaiyou_h290328.pdf
 ところが、我が群馬県は逸早く公務員の副業を10年以上前から解禁していることが最近分かりました。なんと10年間で1億9千万円もの副業収入を不動産賃貸業やFIT制度活用の太陽光発電の売電で得ていた敏腕の中学校の先生がいたのです。2017年3月末に退職後、1年足らずで元先生の資産は自称5億円に達しました!

楽天ブックス「高家賃でも空室ゼロ! これからの不動産投資は地方の新築デザイナーズアパートが狙い目です」大城幸重著。2018年1月29日頃発売。1,650円(税込)。送料無料。


ペンネーム大城幸重。元ロンドン日本人学校教諭。J-SHINE小学校英語指導者。ファイナンシャルプランナー。群馬県出身。教師歴25年の中で、公立小学校・中学校・特別支援学校・海外日本人学校などの教育現場で子ども達を育ててきた。出典:3分で読める知育マガジンChiik! https://chiik.jp/authors/f8Vdc
※大城幸重プロフィール ZIP ⇒ kdxtwyhqfbashic.zip

 さて、政府は、働き方改革によって副業・兼業を普及させようとしていますが、公務員の副業については原則として禁止されています。

 これまで国家公務員については、国家公務員法によって原則として禁止されており、職員の所轄長などの許可を得れば不可能ではありませんが、実質的には難しい状況です。但し、家業の農業の手伝いや一定規模以下の不動産賃貸業、駐車場経営などは許される場合があります。

 地方公務員についても地方公務員法において国家公務員とほぼ同様の制限があります。しかしながら、地方公務員、国家公務員のそれぞれに副業解禁に向けた動きはあります。

 例えば、他の自治体に先駆けて、2017年4月に兵庫県の神戸市が、公益性の高い地域貢献活動(NPO法人などでの活動)としての副業を認めており、2017年8月には、奈良県の生駒市が、公共性のある組織での副業を認めています。やはり公務員であるため、両市とも公益性や地域貢献などが前提とされてはいるものの、副業解禁の流れを見せ始めていると言えます。

 なお、副業というわけではありませんが、2019年3月末まで埼玉県庁職員だった川内優輝(かわうち・ゆうき)氏は、当時、専門競技は主に中距離走・長距離走・マラソン等の陸上競技選手で、当初は埼玉陸上競技協会に所属していましたが、後に埼玉県庁走友会が陸協登録をして「埼玉県庁」の名称で所属し、地方公務員かつ非実業団の「市民ランナー」として活躍していました(県庁退職後、プロに転向)。この場合は、埼玉県庁公認ですから問題とはなりませんでした。

 一方民間では、兼業・副業を就業規則で禁止している会社が主ですが、副業や兼業について就業規則における対応パターンは、主に次のように整理できます。

①完全禁止
 文字どおり副業を完全に禁止しているパターンです。ただし、社員は就業規則を遵守する義務はあるものの、そもそも、勤務時間外に本業に支障がない範囲で行う副業については法的にも規制できないという問題もあります。

②許可制(原則禁止)
 厚労省の「モデル就業規則」改定前は、副業について「労働者の遵守事項」として「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」のみ規定するケースが多いようです。その他「会社の許可なく、他の会社の役員や社員になったり、または、営利を目的とする業務を行ったりしないこと」なども多いものの、いずれのケースも、許可を得れば副業を認める可能性を残しつつ、実態としては原則禁止の意味合いが強いと言えます。

③届出制(原則許可)
 改定後の「モデル就業規則」では、副業を始める前に事前に届出を行わせ、労務提供上の支障があるケースなど一定の場合には禁止又は制限できるようになりましたが、「モデル就業規則」の改定前からこの整理にしている会社も多くあります。この場合には届出書にどのような副業をするのかを記入させられ、本業に影響がないのかなどについて審査されることが一般的です。

④完全許可
 就業規則に副業について規定がない、或いは特に届出の必要なしなどとされているケースでは、自由に副業を行えます。しかしながら、副業によって欠勤や遅刻が増えたり、会社の情報を漏えいさせて損害を与えたりした場合には、懲戒事由に該当して処分される可能性もあります。この場合でも、本業に支障のない範囲で行わなければならないことに違いはありません。

■さて、群馬県で公務員在職中、不動産投資に明け暮れて、現在「5億円の資産を持つ大家」などと世間ではもてはやされている元中学校の英語の先生について見てみましょう。

 地方公務員の場合、地方公務員法が適用されますが、同法第38条は「営利企業等の従事制限」を定めています。

*****地方公務員法38条*****
(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。

**********

 このように、学校の先生であっても、任命権者の許可を受ければ営利企業等の役員や経営者、或いは報酬を得て営利目的の事務・事業に従事(いわゆる副業従事)してもよいとあります。

■今年5月下旬に当会会員のかたからの情報提供をきっかけに、この不動産投資にも専念していた中学校の先生の在職中の様子を調べてみました。

 その結果、冒頭に示した通り、2007(平成19)年7月に中古購入の賃貸アパート経営スタートから2017(平成29)年3月に中学校の教諭を退職するまでの10年間に約1億9千万円に上る副収入を得ていたこと、退職間際の平成28年12月23日に不動産業等を扱う会社を設立し役員に就任したこと、退職前の2016(平成28)年7月ごろから長期休暇を取得し、退職した翌年3月まで休暇・休職をしていたこと、などが判明しました。

 しかし、肝心の営利企業等の役員就任や副業従事について、任命権者の許可を受けたのかどうかについては、確認できませんでした。
※2020年07月10日:公文書部分開示通知書と開示資料(対象元公務員の勤務校情報)ZIP ⇒ 20200710jmjiszj.zip

 そのため、この不動産投資家の元先生に支払われた公務員退職手当について、果たして適切だったのかどうかの判断がつかないため、当会では事務局で検討した結果、住民監査請求に踏み切ることにして、8月6日付で群馬県監査員事務局に次の群馬県職員措置請求書を提出しました。

*****8/6住民監査請求書*****ZIP ⇒ 20200807qneuij.zip
            群馬県職員措置請求書

 群馬県知事および群馬県教育委員会に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨
(1)誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)
   群馬県知事および群馬県教育委員会
(2)いつ、どのような財務会計上の行為をしたか(又はしなかったか)
   元教員である大木茂行(住所:群馬県高崎市倉賀野町1807番地6、生年月日:昭和43年7月10日)は、平成29年3月31日付けで地方公務員(県費負担教職員:群馬県藤岡市立東中学校)を依願退職しているが、在職中の平成19年ころから不動産賃貸業を営んでいた。これは地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限「所謂副業禁止」)に抵触するものであるが、副業として内容的にも、後述の通り、人事院規則14-8に列挙されている項目を遙かに凌駕する悪質なものとなっている。
   ところが、群馬県教育委員会は、大木茂行がこのような悪質な内容の副業にいそしんでいたにもかかわらず、平成29年3月末までに大木茂行に退職金約62万円(金額については部分開示情報から推計:事実証明書9)を支払った。
(3)それはどのような理由で違法又は不当であるのか
   地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)には次の定めがある。
    第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
   このように副業を禁止している理由は、次の3つの条項によるとされている。
    ○信用失墜行為の禁止(国公法第99条)
本人は勿論、所属する職場、公務員自体のイメージを壊さない、信用をなくさない為
    ○守秘義務(国公法第100条)
      本業の秘密が副業などを通して外部に漏れないようにする為
    ○職務専念の義務(国公法第101条)
      精神的・肉体的な疲労などにより、本業に支障が出ないようにする為
   ただし、この場合、人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)に例示されるように例外的に認められているものとして、「職員は、所轄庁の長等の承認があった場合は、マンション・アパートや土地の賃貸などを行うことができる」とある。
   この趣旨は、「マンション・アパートや土地の賃貸など」は承認を得れば認められると解釈されるが、承認の基準としては「入居者の募集や賃貸料の集金、不動産の維持管理等の管理業務を事業者に委ねることなどにより、職務遂行に支障が生じないようにすること。」と理解されている。
   だが、大木茂行の場合、その副業の内容は次の通り、人事院規則14-8を遥かに凌駕する者であることは明らかである。その副業内容を以下に列挙する。
    ①平成19年6月、中古アパート「αNEXT倉賀野」を購入し、平成19年7月より平成27年9月に売却するまで、毎月家賃43万円を得る。(事実証明書6) 
    ②平成19年12月、中古アパート「ワイズコート」を購入し、平成20年1月より、毎月21万6千円を得る。(事実証明書7)
    ③平成22年6月8日、自宅である高崎市倉賀野町1807番地6敷地内に、4世帯のアパートを建立し、平成22年10月より毎月家賃44万円の収入を得る。(事実証明書3)
    ④平成23年1月4日、高崎市貝沢町地内にアパート2棟(合計8世帯)を建立、平成23年5月より毎月家賃60万円の収入を得る。(事実証明書4および5)
    ⑤平成27年4月16日、高崎市中室田地内に1000KW超えの太陽光発電施設を建立し、平成27年8月より毎月売電価格200万円の収入を得る。(事実証明書8)
   すなわち、
    ・平成19年(7~12月)副収入   258万円
    ・平成20年(1~12月)副収入   775万2千円
    ・平成21年(1~12月)副収入   775万2千円
    ・平成22年(1~12月)副収入   907万2千円
    ・平成23年(1~12月)副収入  1783万2千円
    ・平成24年(1~12月)副収入  2023万2千円
    ・平成25年(1~12月)副収入  2023万2千円
    ・平成26年(1~12月)副収入  2023万2千円
    ・平成27年(1~12月)副収入  2894万2千円
    ・平成28年(1~12月)副収入  3907万2千円
    ・平成29年(1~3月) 副収入   976万8千円
    ・上記の期間の売却損益        500万円
     退職までの総副収入額     1億8846万6千円(事実証明書1)
   上記の通り、この高額所得は、地方公務員にも準用される国家公務員法第104条に示された社会通念上相当と認められる程度を超えない額を遙かに超えているもので、これが一般人の知るところとなれば、当然公務員の信用を失墜させる行為であり、決して許されるべきものではない。
   さらに大木茂行は、前述の通り、公務員在職中の平成19年7月からアパート経営の副業を始め、その後副業の規模を拡大させ、平成28年12月23日には不動産業等を目的に株式会社クレセールを設立し、取締役に就任していた(事実証明書2)にもかかわらず、この期間内にしかるべき副業ないし兼業許可申請やそれに対する所轄庁の長等の承認を得た形跡が見当たらない(事実証明書10~12)、これは地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限「所謂副業禁止」)に抵触する。
   なお、大木茂行にあっては、株式会社クレセールを設立した平成28年度は、長期間にわたり休職ないし長期休暇をしていたとみられる。一説には1年間とも言われるが、情報公開請求をしても不開示のため具体的な休職ないし休暇期間は不詳(事実証明書12・13)。
   さらに、大木茂行にあっては、公務員を退職した後も、その身分を偽り、公務員(教員)であると金融機関に申告し、合計1億円以上の不正な融資を受けていることを申し添える。
   詳述すると、大木茂行は、平成29年3月末日に地方公務員(教職員:群馬県藤岡市立東中学校)を依願退職しているが、同人は公務員退職による与信低下を怖れ、公務員を退職した旨を秘して、投資用不動産を購入することを目論見、スルガ銀行との間において、平成29年4月19日付け金2710万円、平成29年6月30日付け金2430万円の金銭消費貸借契約を締結し、その借り受けた金員(合計5140万円)を、京都市内の投資用不動産の購入資金に充当した。
   しかも大木茂行は、上記スルガ銀行からの不正受給に味を占め、平成29年7月31日付け独立行政法人住宅支援機構から「セカンドハウス」を購入する虚偽の名目で合計金6380万円を借り受け、東京都世田谷区に投資用不動産(一戸建て)を購入している。
   退職後の大木茂行の一連の行動は、各金融機関からすると「期限の利益の喪失」事由に該当し、更に刑法第159条「有印私文書偽造・同行使罪」にも該当するものである。公務員を詐称した違法行為は、道徳的にも社会正義的にも、決して許されるものではなく、刑事罰に値することは明らかである。
   この大木茂行の違法不当行為について、群馬県教育委員会として「知らなかった」では済まされず、まして所轄庁の長として「承認していた」とすれば言語道断であり、そのような人物(県費負担教職員)を任命したとあれば、教育行政における重要事項や基本方針の決定にかかわる組織の権威の失墜は甚だしい。
(4)その結果、群馬県にどのような損害が生じたのか
   上記(2)のとおり、群馬県教育委員会ないし群馬県は、大木茂行が、許可申請もしないまま、このような悪質な内容の副業にいそしんでいたにもかかわらず、平成29年3月末までに大木茂行に違法不当にも退職手当(現在金額については情報開示請求をしたが黒塗りのため不詳)を支払ったことによる、退職手当相当および退職手当支払いから現在に至るまで年5分相当の遅延損害金。
(5)監査委員にどのような措置を講じることを求めるのか
   群馬県知事および群馬県教育委員会は連帯して、大木茂行に支払った退職手当および遅延損害金を回収するためのあらゆる手段をとるよう勧告を求める。
   また、退職金および遅延損害金の回収を怠る場合、群馬県知事をして、大木茂行を県費負担教職員として任命してきた歴代の群馬県教育委員に対し、連帯して退職金および遅延損害金を回収せしめるよう勧告を求める。

2 請求者
 ・ 住所 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
 ・ 氏名 市民オンブズマン群馬
      代表 小川 賢  (自署・押印)
(・ 連絡先(電話番号等)090-5302-8312)

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。

令和2年8月7日

 群馬県監査委員(あて)

=====別紙 事実証明書=====

1 公務員在職中のアパート賃料および売却損益一覧表
  ZIP ⇒ p.zip
2 株式会社クレセール登記記録
  ZIP ⇒ qnzoll.zip
3 高崎市倉賀野町1807番地の賃貸アパート情報
  ZIP ⇒ rq1807apg.zip
4 高崎市東貝沢町3-2-13の賃貸アパート「ridge.West」情報
  ZIP ⇒ sl3213apgiridge.westj.zip
5 高崎市東貝沢町3-2-13の賃貸アパート「ridge.East」情報
  ZIP ⇒ tl321apgiridge.eastj.zip
6 高崎市倉賀野町4529-3番地の賃貸アパート情報「アルファネクスト倉賀野」(平成27年9月30日売却)
  ZIP ⇒ up1.zip
7 伊勢崎市除ヶ町407-9番地の賃貸アパート情報「ワーズコート」(平成29年3月31日売却)
  ZIP ⇒ vp2.zip
8 高崎市中室田町2627-2番地の太陽光発電施設の課税台帳
  ZIP ⇒ wc26272zd.zip
9 公文書部分開示決定通知書(副第30094-1号令和2年6月12日)および大木茂行の退職手当に関する部分開示情報
  ZIP ⇒ x20200612se.zip
10 公文書不存在決定通知書(学人第1427-4号令和2年7月20日)
  ZIP ⇒ po20200720ih1721soj.zip
11 公文書不存在決定通知書(学人第1222-1号令和2年6月12日)
  ZIP ⇒ pp20200612misxerj.zip
12 藤岡市情報任意的公開回答書(藤教学第133号令和2年7月29日)
  ZIP ⇒ pq20200728isossj.zip
13 公文書の存否を明らかにしない決定通知書(学人第1222-1号令和2年6月12日)
  ZIP ⇒ pr20200612misxerj.zip
**********

 その後、群馬県監査委員事務局から8月19日付で補正指示があり、8月25日に補正書を提出したところ、9月11日(金)に監査委員に対する陳述と追加証拠の提出の機会が設けられました。

9月19日付の監査委員事務局からの補正命令の入った切手だらけの封筒。
※県監査委員からの補正指示 ZIP ⇒ 20200819.zip
※県監査委員あてに提出した補正書と附属書(事実証明書・添付書類)
 ZIP ⇒ 20200825zisj.zip
abse.zip
yt13siuyqnzee.zip

 そして9月11日金曜日の午後3時半から予定通り県庁26階の群馬県監査委員事務局隣の会議室で、今回の大木茂行の退職金の違法不当支出に関する住民監査請求の陳述と追加証拠提出を行ってきました。

2020年9月11日(金)15時30分から16時にかけて開催された住民監査請求に係る請求者の陳述と追加証拠提出の様子。窓際に着席の4名が監査委員。右から林章委員(公認会計士)、丸山幸男代表委員(弁護士)、井田泉委員(議会選出県議)、臂泰雄委員(議会選出県議)。

 冒頭、先週発覚した群馬県教育委の学校上司による残業時間の制限指示など、教育委の杜撰な人事管理について批判してから本題に入ろうとしましたが、代表監査委員の丸山弁護士に「本題だけに絞って陳述するように」といきなり釘を刺されてしまいました。

 そのため、陳述の内容を次の2点に絞りました。すなわち、退職の経緯について情報開示請求で確認しようとしたが、いずれも個人情報とされ、また、情報保存期間期限切れを理由に何一つ関係情報の開示が受けられなかったため、①退職金がいくら支払われたのか、②なぜ休職中に会社を設立できたのか、については依然として不明であること。この2点について、次の通り、これまでの調査結果を報告し、裏付け調査を要請した次第です。

(1)退職手当について

 退職手当計算書(試算)という書類を見ると、その書類の一番下段に「手当額」の欄があり、確かに「黒塗り」となっていますが、データを拡大すると、「金額のカンマ」が2か所確認できます。




 これは、対象元公務員の退職金が少なくとも百万円単位であることが推測されます。ちなみに開示された書類の中から同一フォント同一サイズの数字を上記「黒塗り」部分に当てはめてみたところ、1000万円台の数字がきちんとあてはまります。その上で推測値として、退職手当額を1200万円に修正しました。

 退職手当については、当初、退職手当額、県教委が開示した情報(事実証明書)の4頁目のリストで、「中学校職員」のところの自己都合の「普通退職」者数6名と退職金総額366万円から単純に一人当たりの金額約60万円を算出したのですが、対象元公務員の退職金が1200万円と仮定すると、県教委が当会に開示した情報から推計した数値とまるで異なることになります。

 県教委は、個人情報を理由として、退職手当について、全く開示する姿勢を示しません。したがって、財務会計上の行為として最も重要な要素の情報を、住民として知りえていないので、その理不尽な事情を監査委員に詳述しました。

(2)退職前の休職期間と理由

 対象元公務員は、藤岡市立東中学校勤務当時の平成28年12月22日に株式会社クレセールを設立し、役員に就任していた際に、兼業の届出をしていたかどうかを藤岡市教育委員会に確認したところ、不存在の通知がきたました。「株式会社クレセール」の第1期、第2期の決算書によれば、対象元公務員が当初からクレセール社の役員並びに筆頭株主であることが分かります。

 対象元公務員が、退職前に長期休暇を取得してことについて、関係筋からの情報によれば、当時女子テニス部の顧問をしていた対象元公務員が、中体連(7月頃)の際、テニス部の部員に対して、何らかの「不適切な対応」をした可能性があり、保護者会からクレームが出されたため、それを苦にして、「鬱」となり夏休み以降も学校に行けなくなったする見方もあるようです。

 しかし、この経緯を勤務先だった中学校を管理する藤岡市に情報開示請求をしたところ、平成26年度と27年度に対象元公務員は兼業届の提出をしていないことが確認できましたが、平成27年7月から同年度末までの長期休暇・休職については個人情報を理由に藤岡市教委が非開示としたため、7月下旬から「鬱」を理由に休職し、そのまま3月末で退職した経緯や、女子テニス部の生徒への「不適切な対応」がどのようなものであったのかについては、結局不詳のままとなりました。
※2020年7月28日藤岡市任意的情報開示通知(対象元公務員兼業届出書不存在)ZIP ⇒ 20200728scijmisosj.zip

 監査請求人である当会の見解として、対象元公務員が、うつ病や適応障害などを理由に医者の診断書を取り付けて提出することで、長期休暇・休職を取得した可能性があること、また、長期休暇・休職の期間中に会社を立ち上げて役員に就任していたこと、これらの事実の裏付けを行ったうえで、地方副業の届出を怠っていたとなれば、地方公務員法違反に加えて、職務専念義務違反が甚だしいので、しかるべき監査結果を出すよう要請しました。

■以上のとおり、不完全な調査結果をもとに行った今回の住民監査請求であることを、4名の監査委員に報告し、監査委員の権限を十二分に行使をして厳正な調査の実施を念押しして、30分間の陳述を終えました。

 結局、監査委員4名のうち、丸山代表委員だけが冒頭に「この場は請求人の意見を聞く場だから」と発言したのみで、当会の陳述後もなんら質問はなく、さっさと退場していきました。唯一丸山委員だけが挨拶の言葉を最後に当会に掛けたのみです。

 というわけで、監査結果についていつものとおり過度な期待は禁物ですが、仮に副業届が為されていれば、群馬県は公務員の働き方改革において、我が国でも先進的な取り組みと実績を挙げたことになります。

 監査結果が通知されるのは、遅くとも10月12日前後だと思われます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「報道記事」
**********上毛新聞2020年8月30日06:04
勤務時間を過少記録か 群馬県教委が調査へ 県立の特別支援学校 数分の一に抑制のケースも
 群馬県内にある県立の特別支援学校で、同校の教員の勤務時間が実態より過少に記録されていた可能性があることが29日、複数の関係者への取材で分かった。本来は群馬県の時間外労働の基準である月45時間を大きく上回っていたのに、数分の一まで抑制して基準以下とした例もあった。複数人の複数カ月分で認められた。群馬県教委は関係者の指摘を受け、近く調査に乗り出す。
◎県教委「改変 働き方改革につながらない」
 県教委によると、県立学校ではパソコン上に表計算ソフトを使った「在校等時間記録ファイル」がある。出退勤時刻は、各教員に貸与されたパソコンの起動・終了時刻が自動的に入力される。
 同校の場合、基本の勤務は午前8時半~午後5時で、休憩時間を除いた7時間45分が正規の勤務時間となり、それ以外は時間外労働(いわゆる残業)とみなされる。
 上毛新聞が入手した複数の資料や関係者への取材によると、教員の一人は、本年度のある月に、本来なら1日に4時間近く残業したが、記録上は1時間程度とされていた。別の教員も、5時間近く残業したのに1時間程度となっていた。こうした過少記録が、連日のように確認された。
 記録には「除外する時間」という欄がある。学校にいながら業務外のことをしていた時間などを示すもので、入力した分が在校した時間から差し引かれる。過少記録は、この仕組みを使って行われた模様だ。
 しかし、関係者によると当事者たちは「実際はずっと仕事をしていた。『除外する時間』はなかった」などと証言している。
 同校の男性校長は上毛新聞の取材に、「最近の職員アンケートでそのような指摘があったが、私から指示はしていない。驚いている」とした。パソコン上のトラブルの可能性などを挙げ、人為的な書き換えについて「管理職を含む職員は、時間外労働が短いことだけで高評価にはならない。書き換えるメリットがない」と話した。
 県教委学校人事課は「もし数字を改変してしまうと実態を隠すことになり、働き方改革につながらない」と正確に記録することの意義を説明し、近く事実確認に着手する。
◎時間外上限は月45時間 指針目安
 「働き方改革」で県教委は情報通信技術(ICT)を活用し、2018年度から勤務時間を記録している。把握していない学校が多かったとされる職員の勤務実態をつかむため、県立学校で統一の仕組みを導入。集計したものを県教委に報告させている。
 県立学校教員の勤務時間に関するガイドラインの運用を今年4月に開始。国指針に沿い、原則として時間外労働の上限の目安を月45時間、年360時間とした。県教委と連携し、各校長が勤務の実態を把握して業務を適正化すると定めており「目安の順守が目的化し、実際より短い虚偽の在校時間を記録に残し、残させることがあってはならない」と明記した。
 県教委によると、県立学校の教員にいわゆる「残業代」はない。教職員給与特措法は、時間外勤務手当は支給せず、時間外労働の有無にかかわらず都道府県ごとに定める給与の数%を教職調整額として支給すると定めている。
**********

※参考情報「群馬県教育委員会懲戒処分指針」
*****群馬県教委HP*****
URL ⇒ https://www.pref.gunma.jp/03/x0110050.html
第1 基本事項
 本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものであり、群馬県教育委員会の事務局及び学校以外の教育機関等に勤務する職員、県立学校に勤務する職員並びに県費負担教職員(以下「教職員」という。)に適用するものである。
 具体的な処分量定の決定に当たっては、下記の5項目等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ、判断するものとする。
 1.非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか。
 2.故意又は過失の度合いはどの程度であったか。
 3.非違行為を行った教職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか。
 4.児童生徒、保護者、他の教職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか。
 5.過去に非違行為を行っているか。
 個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、下記の5項目がある。
 1.非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき。
 2.非違行為を行った教職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき。
 3.非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき。
 4.過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき。
 5.処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき。
 また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるときがある。

 なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。

第2 懲戒処分の種類
 地方公務員法第29条並びに群馬県職員の懲戒の手続及び効果に関する条例及び群馬県市町村立学校職員の分限及び懲戒に関する条例に基づき、次の懲戒処分を行う。
 1.免職教職員たる身分を失わせる処分
 2.停職一定期間(1日以上6月以下)、職務に従事させない処分
 3.減給一定期間(1日以上6月以下)、給料の一定額(1/10以下)を減ずる処分
 4.戒告非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分

第3 標準例
1 一般服務関係
(1)欠勤
 ・ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた教職員は、減給又は戒告とする。
 ・イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた教職員は、停職又は減給とする。
 ・ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた教職員は、免職又は停職とする。
(2)遅刻・早退
 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた教職員は、戒告とする。
(3)休暇の虚偽申請
 病気休暇、特別休暇等について虚偽の申請をした教職員は、減給又は戒告とする。
(4)勤務態度不良
 勤務時間中に職場からの離脱等により職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた教職員は、減給又は戒告とする。
(5)職場内秩序を乱す行為
 ・ア 他の教職員に対する暴行により職場の秩序を乱した教職員は、停職又は減給とする。
 ・イ 他の教職員に対する暴言により職場の秩序を乱した教職員は、減給又は戒告とする。
(6)虚偽報告
 事実をねつ造して虚偽の報告を行った教職員は、減給又は戒告とする。
(7)違法な職員団体活動
 ・ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は県若しくは市町村の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした教職員は、減給又は戒告とする。
 ・イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった教職員は、免職又は停職とする。
(8)秘密漏えい
 ・ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた教職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした教職員は、免職とする。
 ・イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。
(9)個人情報の紛失、盗難
 児童生徒等に係る重要な個人情報を、重大な過失により紛失し、又は盗難に遭った教職員は、減給又は戒告とする。
(10)個人の秘密情報の目的外収集
 その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した教職員は、減給又は戒告とする。
(11)政治的目的を有する文書の配布
 政治的目的を有する文書を配布した教職員は、戒告とする。
(12)兼業の承認を得る手続のけ怠
 営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った教職員は、減給又は戒告とする。

(13)入札談合等に関与する行為
 県等が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った教職員は、免職又は停職とする。
(14) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の教職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
 ・ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした教職員は、免職又は停職とする。
 ・イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した教職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該教職員は免職又は停職とする。
 ・ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った教職員は、減給又は戒告とする。
(15) パワー・ハラスメント
 ・ア パワー・ハラスメント(事務局及び学校以外の教育機関にあっては「パワー・ハラスメント防止等のための指針」(令和2年9月1日付教育長通知)、県立学校及び市町村立学校にあっては「学校におけるハラスメントの防止に関する指針」(令和2年9月1日付教育長通知)に規定するパワー・ハラスメントをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。
 ・イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した教職員は、停職又は減給とする。
 ・ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた教職員は、免職、停職又は減給とする。
(注)(14)及び(15)に関する事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。

2 公金・財産等取扱い等関係
(1)横領
 公金又は財産を横領した教職員は、免職とする。
(2)窃取
 公金又は財産を窃取した教職員は、免職とする。
(3)詐取
 人を欺いて公金又は財産を交付させた教職員は、免職とする。
(4)紛失
 公金又は財産を紛失した教職員は、戒告とする。
(5)盗難
 重大な過失により公金又は財産の盗難に遭った教職員は、戒告とする。
(6)財産損壊
 故意に職場において財産を損壊した教職員は、減給又は戒告とする。
(7)失火
 過失により職場において財産の出火を引き起こした教職員は、戒告とする。
(8)諸給与の違法支払・不適正受給
 故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した教職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した教職員は、減給又は戒告とする。
(9)公金・財産処理不適正
 自己保管中の公金の流用等公金又は財産の不適正な処理をした教職員は、減給又は戒告とする。
(10)コンピュータの不適正使用
 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた教職員は、減給又は戒告とする。
(11)虚偽公文書作成
 ・ア その職務に関し、行使の目的で、公印を使用して、虚偽の公文書を作成し、又は公文書を変造した教職員は、免職又は停職とする。
 ・イ 公印を使用せずに、アに規定する行為をした教職員は、減給又は戒告とする。
(12)公印偽造
 行使の目的で、公印を偽造した教職員は、免職又は停職とする。
(13)公文書等毀棄
 故意に公文書又は公務の用に供する電磁的記録を毀棄した教職員は、免職又は停職とする。
(14)不適正事務処理
 故意又は重大な過失により自己の職務を不適正に処理した教職員は、減給又は戒告とする。

3 倫理関係
(1)収賄
 職務に関する行為をすること若しくは行為をしたこと若しくはしないこと若しくはしなかったことの対価若しくは請託を受けてその地位を利用して他の教職員にその職務に関する行為をさせ、若しくは行為をさせないようにあっせんすること若しくはあっせんしたことの対価として供応接待若しくは財産上の利益の供与を受けた又はこれらの対価として第三者に対し供応接待若しくは財産上の利益の供与をさせた教職員は、免職又は停職とする。
(2)贈与
 ・ア 職務に関して利害関係を有する事業者等(以下「利害関係者」という。)から、金銭、物品の贈与を受けた教職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。
 ・イ 利害関係者から不動産の贈与を受けた教職員は、免職又は停職とする。
(3)貸付け
 ・ア 利害関係者から金銭の貸付けを受けた教職員は、減給又は戒告とする。
 ・イ 利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で物品の貸付けを受けた教職員は、減給又は戒告とする。
 ・ウ 利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で不動産の貸付けを受けた教職員は、停職又は減給とする。
(4)役務の提供
 利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で役務の提供を受けた教職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。
(5)供応接待
 利害関係者から供応接待を受けた教職員は、停職、減給又は戒告とする。
(6)第三者を通じた行為
 利害関係者をして、第三者に対し、前(1)から(5)の行為をさせた教職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

4 公務外非行関係
(1)傷害
 人の身体を傷害した教職員は、停職又は減給とする。
(2)暴行・けんか
 暴行を加え、又はけんかをした教職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(3)器物損壊
 故意に他人の物を損壊した教職員は、減給又は戒告とする。
(4)横領

 ・ア 自己の占有する他人の物(公金及び財産を除く。)を横領した教職員は免職又は停職とする。
 ・イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した教職員は、減給又は戒告とする。
(5)窃盗
 他人の財物を窃取した教職員は、免職又は停職とする。
(6)詐欺・恐喝
 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた教職員は、免職又は停職とする。
(7)賭博
 ・ア 賭博をした教職員は、減給又は戒告とする。
 ・イ 常習として賭博をした教職員は、停職とする。
(8)麻薬等の所持等
 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした教職員は、免職とする。
(9)酩酊による粗野な言動等
 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野、乱暴又は品性を欠く言動をした教職員は、減給又は戒告とする。
(10)淫行
 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした教職員は、免職とする。
(11)痴漢行為
 公共の乗物等において痴漢行為をした教職員は、免職又は停職とする。
(12)盗撮行為等
 公共の場所もしくは乗り物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮及びのぞき等の行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮及びのぞき等の行為をした教職員は、免職又は停職とする。

5 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(1)飲酒運転
 ・ア 酒酔い運転をした教職員は、免職とする。
 ・イ 酒気帯び運転をした教職員は、免職又は停職とする。
 ・ウ 酒気帯び運転で人を死亡させた教職員は、免職とする。
 ・エ 酒気帯び運転で人に傷害を負わせた教職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした教職員は、免職とする。
 ・オ 酒気帯び運転により物の損壊に係る交通事故を起こした教職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした教職員は、免職とする。
 ・カ 飲酒運転をした教職員等に対し、車両若しくは酒類を提供し若しくは飲酒をすすめた教職員又は教職員等の飲酒を知りながら当該教職員等が運転する車両に同乗した教職員は、飲酒運転をした教職員等に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。
(2)悪質運転
 ・ア 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、人を死亡させた教職員は、免職とする。
 ・イ 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、人に傷害を負わせた教職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした教職員は、免職とする。
 ・ウ 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、物の損壊に係る交通事故を起こした教職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした教職員は、免職とする。
 ・エ 無免許運転等の悪質な交通法規違反をした教職員は、停職とする。
(3)その他の交通事故・交通法規違反
 ・ア 重大な交通事故により人を死亡させた教職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした教職員は、免職とする。
 ・イ 重大な交通事故により人に傷害を負わせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした教職員は、免職又は停職とする。
 ・ウ 重大な交通事故により物を損壊させた教職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした教職員は、停職又は減給とする。
 ・エ その他重大な交通法規違反をした教職員は、戒告とする。
(注)処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。

6 児童生徒に対する非違行為関係
(1)体罰等
 ・ア 体罰により児童生徒を死亡させ、又は児童生徒に重大な後遺症が残る傷害を負わせた教職員は、免職又は停職とする。
 ・イ 体罰により児童生徒に重傷を負わせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、体罰を常習的に行っていたとき、又は体罰の態様が特に悪質なときは、免職又は停職とする。
 ・ウ 侮蔑的な言動等により児童生徒に著しい精神的な苦痛を負わせるなどの行為を行った教職員は、ア又はイに準じて取り扱う。
(2)わいせつな行為等
 ・ア 児童生徒にわいせつな行為を行った教職員は、免職とする。
 ・イ 児童生徒にわいせつな言辞等の性的な言動等を行った教職員は、停職、減給又は戒告とする。特に悪質な場合は、免職とする。

7 監督責任関係
(1)指導監督不適正
 部下教職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた教職員は、減給又は戒告とする。
(2)非行の隠ぺい・黙認
 部下教職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した教職員は、停職又は減給とする。

附則
この指針は、平成20年7月1日から適用する。
平成17年5月25日制定の「交通違反、事故に対する処分等基準」は廃止する。
附則
この指針は、平成29年4月1日から適用する。
附則
この指針は、令和2年9月1日から適用する。
<このページについてのお問い合わせ>
教育委員会事務局総務課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-4521
FAX 027-243-7786
E-mail kisoumuka@pref.gunma.lg.jp
**********

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八木田恭介県議と萩原渉県議の政務活動費及び旅費の二重請求について住民監査請求

2020-09-22 23:25:00 | 県内の税金無駄使い実態

■8月5日に当会事務局に太田市在住の県民のかたから1通の投書がありました。開封しますと、宛先に「市民オンブズマン群馬御中、報道機関御中、県監査委員会委員長様」とあります。件名は「八木田恭之県議会議員及び萩原渉県議会議員の政務活動費及び旅費の二重請求について」とあり、大変しっかりした内容であり、事実証明となり得る証拠もきちんと整理されて添付されています。当初は、当会以外にも、マスコミや、直接こうした血税の無駄遣いを監査する責務を負う群馬県監査委員会あてにも提出されている様子なので、1か月ほど様子を見ておりました。

 しかし、とくにマスコミ報道や群馬県HPで取り上げられた風情もないため、9月7日に別件で県庁を訪れた際、県監査委員事務局で本件情報提供レターについて、届いているかどうかを確認したところ、「届いている」との返事がありました。そこで「どのように対応していますか?」と尋ねたところ、「住民監査請求の様式を満たしていないため、特に対応はしていない」とのことでした。

 監査委員事務局から「議会事務局に問い合わせてみてはどうか?」と言われたので、さっそく議会棟1階の総務課で聞いてみたところ、「記者クラブに加盟しているところから問い合わせがあり、現在調べているところです」との回答がありました。


2020年9月7日、議会事務局で政務活動費報告書を閲覧。

 かつては、市民オンブズマン群馬としても、議会事務局総務課にしつらえられた政務活動費の報告書の綴りを閲覧したものですが、最近はすっかりご無沙汰しております。議会事務局を訪れた機会に、今回提供された情報内容と、報告書に綴られた資料と照らし合わせてみようと、閲覧の申し込みをしました。閲覧申請用紙に必要な事項を記入して提出し、昼休みを利用して1時間ほど4分冊になった報告書の綴りを手に取ってみました。

 総務課の閲覧担当者に訊くと、「今ではこうして綴りの閲覧を申し込む人は皆無です」とのことでした。今回の情報提供者のように、ホームページで全部、資料や領収書のチェックが可能になったからです。

■1時間にわたり提供いただいた資料と報告書の綴りを照らし合せたところ、相違が無かったため、あらためて、提供情報を見直したところ、分析もしっかりしており、これはやはり、宛先の筆頭に挙げていただいたこともあり、当会としても期待に答える必要があると判断しました。そこで、当会事務局で検討した結果、住民監査請求をすることが望ましいという結論となり、9月14日に提出しました。提出時に手違いがあり修正前の文書と修正後の原稿をとり違えた為、9月17日までに正しい文書に差し替えました。最終的に次の内容で住民監査請求書を提出しました。

*****9/14住民監査請求書*****ZIP ⇒ 20200914r1zic2dfj.zip
群馬県職員措置請求書

群馬県知事に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨
 (1) 誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)
   八木田恭之県議会議員(太田市区選出、リベラル群馬所属、1期)及び萩原渉県議会議員(吾妻選挙区、自由民主党所属、4期)
 (2) いつ、どのような財務会計上の行為をしたか
   「県識会議員の議員報酬等支給条例」第5条により、議会の開会中、県議会議員に対して旅費として、一日につき6,200円が支給されている。これは、「調整日」や「議案調査日」などの行事がない日でも、議会に登庁するだけで支給される。
   ところが、八木田議員と萩原議員は、議会開会中の旅費の支給日と同日に「県庁に行った」、「前橋に行った」として、政務活動費の支払いを受けている。
   例えば、八木田議員は「令和2年3月25日に『会派打合せ』のために県庁に行った」として政務活動費の支払いを受けている(事実証明書8:添付No.113)。ところが、県議会ホームページの「議会議事日程」によれば、この日は令和2年第1回定例会で議会運営委員会が開かれており、旅費も支給されている。八木田議員は議会運営委員会には出席しませんが、登庁すれば旅費は支給されるので、政務活動費と旅費の二重請求の可能性がある。
   また、令和元年5月16日、21日、22日などは、県庁ではないが、いずれも「前橋で行事があった」として、前橋までの交通費を満額で請求し、政務活動費の支払いを受けている(事実証明書12:添付No.093)。これらは、令和元年第2回定例会開会中であり、前橋市までの旅費が既に支払われており、1日に2回自宅から前橋市に往復したのであればともかく、二重請求の可能性がある。
   萩原議員についても、「令和元年9月30日に『中小企業の支援』のために県庁に行った」として政務活動費の支払いを受けている(事実証明書9:添付No.859)。だが、この日は第3回定例会の開会中で、二重請求の可能性がある。なぜなら、記述のとおり、議会開会中の旅費は「議案調査日」でも支給されるからである。
   この他にも多数の二重請求の可能性がある。議会の議事日程とインターネットで公開されている両議員の政務活動費の自動車使用記録簿を事実証明書として提出するので、これらを議会開会期間と照らし合わせれば、二重請求の可能性があることがわかる。なお、分かり易いように該当項目をマーカーで色付けをした。
   政務活動費の交通費の自動車使用記録簿は、八木田議員の所属するリベラル群馬も、萩原議員の所属する自民党も、公開されたPDFファイルの最後のファイルの最後に掲載されており、これらはどちらも県議会のホームページからダウンロードしたものである。
   八木田議員の場合、7月分の「政務活動費支払証明書(交通費)」(事実証明書2):添付No.096)とその「内訳明細書」(事実証明書3:添付No.097)の走行距離数が一致していない。添付No.096 では政務活動走行距離(A)が1,200Kmであるのに、No.097では 1,020キロとなっている。1Km当たりの政務活動走行距離の金額は37円とされており、仮に1,200Km分が政務活動費として支払われたとすれば、44,400円-37,740円=6,660円の過大請求であることが分かる。
   以上のことから、八木田議員の場合、次の通り二重請求・過大請求の可能性がある。
   1)令和元年5月分(事実証明書1:添付No.093)220Km×@37円 =8,140円
   2)令和元年7月分(事実証明書2:添付No.096)
           (事実証明書3:添付No.097)過大請求分 =6,660円
   3)令和元年8月分(事実証明書4:添付No.099)85Km×@37円 =3,145円
   4)令和元年9月分(事実証明書5:添付No.101)250Km×@37円 =9,250円
   5)令和元年10月分(事実証明書6:添付No.103)240Km×@37円=8,880円
   6)令和元年12月分(事実証明書7:添付No.107)230Km×@37円=8,510円
   7)令和2年3月分(事実証明書8:添付No.113)320Km×@37円 =11,840円
                             合計 =56,425円
   また、萩原議員の場合、次の通り二重請求・過大請求の可能性がある。
   1) 令和元年9月分(事実証明書9:添付No.859)150Km×@37円 =5,550円
   2) 令和元年10月分(事実証明書10:添付No.869)600Km×@37円=22,200円
   3) 令和元年11月分(事実証明書11:添付No.879)150Km×@37円 =6,660円
   4) 令和元年12月分(事実証明書12:添付No.888)450Km×@37円=16,650円
   5) 令和2年2月分(事実証明書13:添付No.900)450Km×@37円 =16,650円
   6) 令和2年3月分(事実証明書14:添付No.910)450Km×@37円 =16,650円
                              合計 =67,710円
 (3) それはどのような理由で違法又は不当であるのか
   当日2往復したのであればともかく、仮にそうでなかった場合、選良たる県議会議員がこのような杜撰なことをしてよいのであろうか。二重請求や過大請求は、いくら特権のある議員であるとはいえ、許されるのであろうか。そもそも、政務活動費は県民から徴収した税金を源資としているのではないだろうか。
   また、選良たる議員にとって、これらの二重請求や過大請求が単なるうっかりミスによるものとはおよそ考えにくく、とりわけ4期目の萩原議員の場合、今までにも同様な二重請求を繰り返してきた可能性もあり、選良たる責任感の欠如に加え、故意に行った可能性も指摘される。
   なので、上記(2)に示す金額は違法不当な支出であると認められる。
   さらに指摘するとすれば、「自動車使用記録簿」に記された行先や使用目的はいずれも自己申告であり、政務活動との因果関係についても、復命書等、第三者に対して疎明し得る証拠がない限り、不信感を禁じ得ない。
 (4) その結果、群馬県にどのような損害が生じたのか
   県民が日々汗水垂らしてまじめに働き、納税義務を果たして納付した血税のうち、上記(2)に示した相当額が、二重ないし過大に掠め取られたことにより、群馬県が本来果たせるべき行政事務事業が、両議員により、その分無効にさせられたことが損害として生じる。
   さらに、金額以上の損害として、まじめに働いて納税義務を果たしている我々県民の納税意欲が削がれ、選良たる議員に対する県民の信頼が失われたことの重大性も看過し得ない。
 (5) 監査委員にどのような措置を講じることを求めるのか
   八木田議員に違法不当に支出された政務活動費56,425円及び支払いから返還までの法定利息を加えた金額と、萩原議員に違法不当に支出された政務活動費67,710円及び支払から返還までの法定利息を加えた金額につき、両議員に各支出額を返還させるなど、必要な措置を講じるように勧告することを求める。

2 請求者
  ・ 住所  群馬県安中市野殿980
  ・ 氏名(自署・押印)
 (・ 連絡先(電話番号等)) 090-5302-8312

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。

令和2年9月14日

 群馬県監査委員(あて)

=====別紙 事実証明書=====ZIP ⇒ 20200914118icvcj.zip
202009142914icj.zip
2020091431418icj.zip
別紙               事実証明書

1 No.093 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年5月分】

P095。令和元年6月分。
2 No.096 八木田議員 政務活動費支払証明書(交通費)【令和元年7月】
3 No.097 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年7月分】
4 No.099 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年8月分】
5 No.101 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年9月分】
6 No.103 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年10月分】

P105。令和元年6月分。
7 No.107 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年12月分】

P109。令和2年1月分。結婚式場、ホテル、レストランでの会合が目立つ。

P111。令和2年2月分。「いっちょう飯塚店」で会合とあるが、何のための政務活動なのか不詳。
8 No.113 八木田議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和2年3月分】
  ZIP ⇒ 20200914118icvcj.zip

P837。令和元年7月分。南波県議辞職で繰上げ当選後、最初の月。さっそくこの月、8回遠出。。

P848。令和元年8月分。この月、9回遠出。
9 No.859 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年9月】
10 No.869 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年10月】
11 No.879 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年11月】
12 No.888 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和元年12月】

P895。令和2年1月分。この月、11回遠出。
13 No.900 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和2年2月】

P907。令和2年3月分の集計表。車で1098㎞移動。1㎞当り37円。計4万626円。高速代8820円。
14 No.910 萩原議員 政務活動費自動車使用記録簿【令和2年3月】
  ZIP ⇒ 202009142914icj.zip
15 令和元年第2回定例会議事日程
16 令和元年第1回臨時会議事日程
17 令和元年第3回定例会議事日程
18 令和2年第1回定例会議事日程
  ZIP ⇒ 2020091431418icj.zip
                           以上
**********
※2020年9月16日:訂正依頼書と訂正した群馬県職員措置請求書 ZIP ⇒ 20200916yqneu.zip

■その後、9月18日に補正命令が届いたので、9月21日に補正書を監査委員事務局に送付しました。
※2020年9月18日:県監査委員からの補正命令 ZIP ⇒ 20200918qnz.zip
※2020年9月21日:県監査委員あての補正書 ZIP ⇒ 20200921qnzisj.zip

 今後、陳述と追加証拠提出の機会を経て、11月20日前後までに監査結果が通知されるものとみられます。

■そもそも、「政務調査費」なる制度は、2000年(平成12年)の地方自治法改正により創設されました。その後、多くの地方自治体では、地方自治法第 100 条第 13 項の規定に基づき、地方議会の議員や会派に対し、調査研究に必要な経費の一部として政務調査費を交付するようになりました。なぜなら、この制度が、地方議会の活性化を図ることをねらいとしていたからです。

 しかしその後、政務調査費の不適切な使用が全国各地の議会で次々に発覚し、住民の間から批判の声が上がるようになりました。こうした経緯を受けて、各地の地方議会では、その適切な使用と透明化を図るための取組みを進めており、使途基準の明確化や、政務調査費に係る収支報告書への領収書等の添付を義務付ける動きなどがみられました。

 こうした動きの一方で、もっと自由に公費を使いたいとする議員らの要望を背景に、2012年(平成24年)の地方自治法改正により、「政務調査費」から「政務活動費」 に改正することで、使途の範囲がさらに広げられてしまいました。

 本来、議員活動を公費で賄う趣旨で、議員立法によってできた制度ですから、議員ら自ら適正に運用する責任がありますが、多くの議員にとって、もはや「第2の給与」という位置づけでしか、捉えられていないようです。

■我らが群馬県議会の場合、政務活動費の杜撰な使途の実態においては、これまでに多くの「実績」を誇っています。かつて世界遺産登録ブーム華やかなりし頃、それに便乗して世界遺産巡りを画策した「ローマの休日」(当会の通報によりテレビ局が密かに隠密取材して全国ネットで放映され、大反響を呼んだ事件)や、オゾン層破壊等の環境問題に絡めてとうとう南極大陸まで足を延ばした「南極探検」と揶揄される観光旅行と紛らわしい海外視察を決行し、マスコミの格好のネタにされたことがあります。

 この後、県議の皆さんは、さすがに自粛の姿勢を見せて、2、3年ほどおとなしくしていましたが、やがて世間が鎮まるころ、再び「既得権だ」とばかりに海外旅行に精出す県議が横行するようになりました。

 当会でも以前は頻繁に議会の政務調査費の乱用問題に取り組みましたが、2012年の政務活動費への呼称変更後は、次のブログ記事以外、正直なところあまりこの問題に対して時間を割いてきませんでした。
○2008年7月5日:群馬県議会の政務調査費の使われ方(研修費編)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/114.html
○2012年8月2日:消費税法案のウラ取引として今週半ばにも可決されそうな政務調査費野放し法案を注視
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/840.html
○2012年9月2日:地方議員の政務調査費を政務活動費にして第2の給与として使い放題にした我国政治家の品位
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/848.html
○2014年7月24日:政務調査費を巡る不祥事件と群馬県議や前橋市議の対応の実態について
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1347.html
○2014年8月4日:前橋市議会議員の政務調査費問題について刑事告発状をオンブズマンが県警に提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1355.html
○2014年9月24日:前橋市議会議員の政務調査費問題についてオンブズマンの刑事告発状を警察が受理
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1406.html
○2015年3月21日:前橋市議会議員の政務調査費問題に関するオンブズマンからの刑事告発状に対して前橋地検が不起訴通知
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1561.html
○2015年3月24日:前橋市議会の政務調査費問題に係る被疑者告発で前橋地検の不起訴処分通知にオンブズマンが理由確認請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1564.html
○2015年3月27日:前橋市議会の政務調査費問題に係る被疑者不起訴理由確認請求について前橋地検から嫌疑不十分との回答
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1566.html
○2016年2月1日:1泊2日の親学議員連盟の政務活動で2泊3日分を請求した星野寛・県議について住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1877.html
○2016年10月17日:政務活動費が中核市で全国3位の前橋市議会の領収書いらずの乱脈ぶりを一面で報じた東京新聞
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2145.html
○2016年10月28日:高崎市議会議員に適用される無質問期間の長さと政務活動費不正支出金額との間の相似法則
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2157.html

■今回、久しぶりに政務活動費絡みで住民監査請求を行いましたが、くしくも保守王国群馬県にあって、自治労を支援母体に持ち野党のリベラル群馬所属で活躍中のホープと、与党自民党所属で昨年4月の統一地方選で落選したものの当選した南波和憲氏の親族の公選法違反で連座制により当選無効となった南波和憲氏に代わってこの4月に県議会議長に就任した政策通、このお二人による政務活動費を巡る二重取り疑惑は、有権者県民としても大変興味深いテーマです。

 今回は、県民のかたからの情報提供に便乗する形で住民監査請求を行いましたが、そろそろ群馬県議会のDNAである「物見遊山」的視察体質が、緩み切った議会モラルのなかで、蔓延している状況にあると思われるため、今回の県民のかたからの情報提供を契機に、再び政務活動費に本格的にメスを入れる必要がありそうです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報「群馬県議と政務活動費ほか」
**********NHK政治マガジン2019年6月25日
群馬県議 政務活動費で海外渡航 報告書なし

 群馬県議会の議員が海外に渡航する際の公費の支出について、NHKが情報公開請求などを行ったところ、事前審査や報告書の提出の必要がない「政務活動費」による支出が、平成29年度までの3年間に総額で3200万円にのぼることがわかりました。専門家は「説明責任の観点からも報告書の提出などが必要だ」と指摘しています。
 議員が海外に渡航する際の公費の支出について、群馬県議会にはその必要性を事前に審査し、帰国後に報告書の提出を求める「議員派遣制度」があり、この制度を使った渡航はアジア地域に限られるほか、期間は4日以内とされていています。
 NHKが県議会に情報公開請求をするなどして調べたところ、平成29年度までの3年間でこの制度を利用した海外渡航は、平成27年度に11人の議員が台湾を訪れた観光調査の1件で、費用の総額は260万円でした。
 その一方で、事前審査や報告書の提出の必要がない「政務活動費」を使った海外への渡航は、平成29年度までの3年間で20回以上行われ、延べおよそ120人の議員に総額およそ3200万円が支払われていました。
 渡航先は、イタリアやデンマークなどヨーロッパの国が多く含まれ、期間が1週間というケースもありました。
 これについて「全国市民オンブズマン連絡会議」の事務局長で、政務活動費の問題に詳しい新海聡弁護士は「多額の公費を使った視察であり、納税者への説明責任の観点から報告書などの提出が必要だ」と指摘しています。
 政務活動費で海外に渡航した経験がある県議会の狩野浩志議長は、NHKの取材に対して「現状では義務がないので報告書は提出していないが、それぞれの議員が責任を持って対応しているので、政務活動費は適切に使われていると考えている。しかし、今後は県民の理解が得られるよう報告書の提出を検討する必要がある」としています。

**********東京新聞2020年9月24日07:11
旧国民県連 会長と幹事長、新立民へ いずれも県議 支持母体配慮し決断
 旧立憲民主と旧国民民主両党などが合流した新「立憲民主党」に、旧国民に所属した県内の県議二人と市議六人の計八人のうち、後藤克己県議(高崎市区)や八木田恭之県議(太田市区)らが参加することが二十三日、分かった。近く正式決定する見通し。新立民は来月の県連設立を目指す。
 旧国民県連幹事長の八木田県議は二十三日、前橋市の連合群馬を訪れ、報道陣に新立民への合流について「(自身の支持母体が新立民に合流した国会議員らが多い)自治労であることなどから判断した」と述べた。後藤県議も自治労が支持母体で、同県連の会長を務めている。
 旧立民と旧国民の支援組織だった連合群馬は、新立民を軸に支持する基本方針を決定している。
 旧立憲と旧国民の合流を巡っては、新立民が綱領に盛り込んだ「原発ゼロ社会の実現」などの目標に対し、旧国民の支持母体の電力や電機、自動車などの産業別組織(産別)が異論を唱えた。
 このため、これらの産別から支援を受ける国会議員らは新立民への移行を見送るなどしており、県内の旧国民の議員たちの去就が注目されている。(池田知之)

**********群馬県議会HP
【議員の紹介】群馬県議会議員 八木田恭之

氏名 八木田 恭之(やぎた やすゆき)
生年月日 昭和37年1月1日
選挙区 太田市 当選1回
所属会派 リベラル群馬
郵便番号 373-0022
現住所 (事務所)太田市東金井町917 大堂ビル1階D号室
電話番号 (事務所)0276-55-5661
FAX (事務所)0276-55-5561
【現所属委員会】
総務企画常任委員会、外国人との共生・共創に関する特別委員会、議会基本条例推進委員会
【略歴】
昭和55年 群馬県立太田高等学校卒業
昭和59年 東洋大学卒業
昭和60年 太田市役所入職
平成27年 太田市議会議員(平成31年2月まで)
平成31年 群馬県議会議員
太田市役所職員労働組合特別執行委員
太田市ラグビー協会会長
<モットー>
One for all. All for one.
<活動報告>
太田市ファミリーサポートセンターを運営するNPO法人すずらん社員として、子育てを応援するとともに、東毛ラグビースクールコーチとして、少年ラグビーの指導を通して、青少年の健全育成に取り組んでいる。
<連絡先>
議会事務局政策広報課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-897-2892
FAX 027-243-4211
E-mail giseisaku@pref.gunma.lg.jp

**********山本一太ブログ2020年5月22日
萩原渉県議会議長が誕生〜就任挨拶で感じた群馬県議会の新しい風
 午前11時。本日1回目の県議会本会議(第2回定例会)を終え、知事室に戻って来た。議会の再開まで約1時間ある。熱いお茶を飲みながら、本日最初のブログを書き始めた。
 本日は午前7時30分に自宅を出発。午前9時からの議会運営委員会に出席。続けて、午前10時からの本会議に臨んだ。本会議では、新しい議長と副議長の選挙が行われ、萩原渉県議が議長に、岸善一郎県議が副議長に選任された。
 萩原議長の就任挨拶は、素晴らしかった。さすがは、県議会でも有数の政策通。全てが、自分の言葉だった。県庁のあるベテラン幹部が、「議長就任挨拶で、ここまで長く喋ったひとはいなかった気がします」と話していた。
 議会のあるべき姿、目指すべき役割等について、明確なビジョンと哲学がある。このひととなら、議会改革や危機管理のあり方等に関して、腹を割った議論が出来そうだ。
 前回の選挙で一気に世代交代が進んだ県議会。新しい感覚の県議が増える中で、実力派の新執行部が発足。政策通の新議長も誕生した。いよいよ新しい風が吹き始めている。
 昼12時頃(?)からの2度目の本会議で、知事の提案説明を行う。その後も、関係部局との重要な協議が続く。宇留賀副知事と森原政策アドバイザーには、ひとつ大事なことをお願いする。
 この10ヶ月間、じっくりエネルギーを蓄積していた。そろそろ外に打って出る時期だ。

**********群馬県議会HP
【議員の紹介】群馬県議会議員 萩原 渉

氏名 萩原 渉(はぎわら わたる)
生年月日 昭和28年10月20日
選挙区 吾妻郡 当選4回
所属会派 自由民主党
郵便番号 377-1711
現住所 群馬県吾妻郡草津町草津464-887
電話番号 0279-88-5977,027-223-5232(前橋事務所)
FAX 0279-88-5977,027-243-0206(前橋事務所)
議長
【略歴】
昭和28年10月20日 草津温泉湯畑「源泉閣」に生まれる
昭和51年3月31日 明治大学工学部建築学科卒業
昭和63年6月10日 東京、前橋の設計事務所勤務後独立
(株)ビュー環境計画研究所を設立
(株)白根草津パークランド代表取締役(草津カントリークラブ母体会社)
(有)西吾妻自動車教習所代表取締役
草津温泉配湯(株)代表取締役
団体委員等(社団法人理想の都市建設研究会、社団法人日本建築家協会(JIA)、NPO法人景観建築研究機構、日本都市計画学会、群馬県ゴルフ協会)
資格 一級建築士
<モットー>
戦後時代の変遷の中で、人々の美意識も社会経済構造も大きく変化し、パラダイム転換とイノベーションの時であり、このことは地方にとってより顕著であり、まさに「地方創生」のビジョンをしっかりつくり、地方社会全体で人口減少や地域再生に取り組まねばならない。群馬県政発展のために粉骨砕身頑張ります!
<活動報告>
八ッ場ダム建設事業や上信自動車道整備では、多くの方々にお世話になり確実に事業が進んでいる。上信自動車道を一日も早く完成させるために、今後とも努力してまいります。また、好循環な経済発展が出来る地域づくりを目指し活動してまいります。
<連絡先>
議会事務局政策広報課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-897-2892
FAX 027-243-4211
E-mail giseisaku@pref.gunma.lg.jp
**********

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連座制適用の南波元県議…二百万円選挙公営費返還請求の住民訴訟9.30第1回弁論を前に県から答弁書

2020-09-21 23:55:00 | 政治とカネ
■公営選挙費用を使って2019年4月7日投開票の県議選に当選した自民党の南波和憲県議は、その後突然5月24日に辞職しました。以後約7カ月が経過しようとする12月18日に、南波和憲に対する連座制適用に基づく群馬県議選への立候補を今後5年禁止する判決が、東京高裁で言い渡されました。
 このため、当会は、12月23日、群馬県監査委員に対して、群馬県選挙委員会が南波和憲のために支出した選挙公営費を本人から返還させるよう求める住民監査請求を郵送で提出しました。ところが、県の監査委員らは2020年2月18日に「本件措置請求を棄却する」という結果通知を送り付けてきました。
 選挙違反で連座制により当選無効が裁判所から宣告されたのですから、公平・公正な選挙の実施のために投入された血税による選挙公営費は回収されて損害を回避するのが妥当だと考えて、同3月19日に前橋地裁に訴状を提出しました。
 その後、コロナ禍で手続きに時間がかかりましたが、ようやく9月30日(水)午前10時から前橋地裁21号法廷で第1回口頭弁論が開かれることになりました。そして先週、被告群馬県訴訟代理人から答弁書がFAXで送られてきました。

群馬県代理人もしている関夕三郎弁護士から送られてきた答弁書の送付書。

 この事件に関する当会のブログ記事は次のとおりですので、ご参照ください。
○2019年7月24日:妻が公選法違反で起訴!・・・4.7県議選で南波前県議が血税で使った選挙公営費用158万円の落とし前
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2989.html
○2019年8月23日:公選法違反で妻が起訴!・・・4.7県議選後5月に辞任の南波前県議の妻に求刑1年
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3008.html
○2019年9月23日:公選法違反で妻が起訴!・・・妻が執行猶予付き有罪判決を受けた南波元県議が一時県議会臨時議長に!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3034.html
○2019年12月24日:妻の公選法違反で連座制適用の南波元県議・・・200万円余の選挙公営費の返還を求め住民監査請求!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3095.html
○2020年2月22日:妻の公選法違反で連座制適用の南波元県議…二百万円選挙公営費返還の住民監査請求を県監査委員が棄却!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3121.html
○2020年3月20日:妻の公選法違反で連座制適用の南波元県議…二百万円選挙公営費返還請求のための住民訴訟を提起!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3139.html

 訴状提出後、5月27日に前橋地裁から補正命令が届いたので、6月8日に訴状訂正申立書を提出し、7月28日に地裁から第1回口頭弁論期日について事務連絡が届き、9月30日午前10時から地裁に出頭する旨、8月1日に期日請書を地裁に提出しました。
※提訴後、5月27日の補正命令から8月1日の期日請書までの地裁とのやりとり ZIP ⇒ 0728a0801.zip

■それでは、9月16日に被告群馬県訴訟代理人からFAXで送られてきた答弁書を見てみましょう。

*****送付書*****ZIP ⇒ 20200916tiicja2isej3.zip
2020年9月16日12時14分  石原・関・猿谷法律事務所  No.2115 P.1
前橋地方裁判所民事第1部合謙係 御中
ご担当 橋本 書記官 殿
原 告
小 川  賢  殿
(FAX:027-381-0364)
                           令和2年9月16日
                      前橋市大手町3丁目4番16号
                      被告訴訟代理人
                       弁護土  関  夕 三 郎
                      電話027-235-2040

              送  付  書

事件の表示:御庁 令和2年(行ウ)第3号
      選挙公営費不正支払損害賠償請求事件
当 事 者:原 告 小 川   賢
      被 告 群馬県知事 山本 一太
次回期日:令和2年9月30日午前10時00分

下記書類を送付致します。ご査収の程,宜しくお願い申し上げます。
      1 答弁書         1通(9枚)
                              以 上

----------------------切らずにこのままでお送り下さい-------------------
          受  領  書
上記書類、本日受領致しました。
                      令和2年9月  日
               原 告
                              印

前橋地方裁判所民事1部合議係 御中(橋本書記官殿):FAX027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所(弁譲士 関夕三郎)行  :FAX027-230-9622

*****答弁書*****ZIP ⇒ 20200916iicja2isej3.zip

<P1>
2020年9月16日12時14分  石原・関・猿谷法律事務所  No.2115 P,2

令和2年(行ウ)第3号 選挙公営費不正支払損害賠償請求事件
原 告  小川賢
被 告  群馬県知事 山本一太
             答  弁  書
                           令和2年9月16日
前橋地方裁判所 民事第1部合議係 御中

        〒371-0026
         群馬県前橋市大手町3丁目4番16号
         石原・関・猿谷法律事務所(送達場所)
         TEL 027-286-2040 /FAX 027-280-0622
         被告訴訟代理人弁護士  関   夕三郎
             同指定代理人  笠 木 淳 司(市町村課次長(事))
             同指定代理人  清 水 直 之(同課選挙・政治団体係
                        補佐(事))(選挙・政治団体係長)
             同指定代理人  千 明 祐 介(同課同係主事(併))
                           (選挙管理委員会書記)
             同指定代理人  中 澤 優 友(同課同係主事(併)
                           (選挙管理委員会書記)

第1 原告の令和2年6月8日付け訴状訂正申立書の1項で訂正された後の請求の趣旨に対する答弁
 1 原告の請求をいずれも棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。

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第2 請求の原因に対する認否
 1 1項について
  (1) (1)について
    原告が群馬県の住民であることは認め、その余は認否の必要を認めない。
  (2)(2)について
    おおむね認める。
    正確を期すのであれば、被告は、群馬県の予算を調製し及びこれを執行することを担任する者であり(地方自治法149条2号)、その権限のうち、群馬県選挙管理委員会の事務に関するものを群馬県選挙管理委員会書記長に委任している(群馬県財務規則3条)。そして、被告は、群馬県を統括し及び代表し(地方自治法147条)、並びに群馬県の事務を管理し及び執行する者である(同法148条)。
 2 2項について
  (1) (1)について
    原告が、群馬県職貝措置請求書(甲1。以下、「本件措置請求書」という。)を群馬県監査委貝に令和元年12月24日に提出し、住民監査請求を行ったことは認め、その余は不知。
    原告は,木件措置請求書(甲1 ) の提出日を令和元年12月23日であると主張し、本件措置請求書にも作成日としてその日付の記載があるが、実際に群馬県監査委員に提出されたのは同月24日であった(甲2の本文冒頭部分参照)。
  (2) (2)について
    認める。
  (3) (3)について
    認める。
  (4) (4)について

<P3>
    認否を保留する。
  (5) (5)について
    不知。

第3 請求の内容に対する認否
 1 1項について
  (1) 1(1) 請求の端緒となる事件」について
   ア 1) について
     平成31年4月7日に群馬県議会議貝選挙(以下、「本件選挙」という。)が執行されたこと、及び南波和憲氏が令和元年12月18日に束京高等裁判所において判決確定日から5年間は群馬県議会議員選挙の候補者となり、又は候補者であることができない旨の判決(以下.「本件連座判決」という。公職選挙法(以下、「法」という)251条の2第1項参照。)を受けたことは認め、その余は不知。
     なお、本件連座判決は、令和2年1月7日に確定した。
   イ 2) について
     認める。
   ウ 3) について
     令和元年9月6日に南波和憲氏の妻が前橋地方裁判所において法221条1項3号、1号に該当する罪により懲役1年、4年間執行猶予の判決を受けたこと、及びこの判決が確定したことは認め、その余は不知。
     この判決の確定日は、原告の主張する令和元年9月6日ではなく、同月21日である。
   エ 4) について
     不知。
   オ 5) について
     本件選挙で南波和憲氏が当選したこと、南波和憲氏から群馬県議会に辞

<P4>
職顧が栖出された後の令和元牛5月24日に南波和憲氏が群馬県議会議員を辞職したことは認め、その余は不知。
  (2) 「1(2) いつ、どのような財務会計上の行為をしたか(又はしなかったか)」について
    認める。
  (3) 「(3) 違法又は不当である理由」について
   ア 1) について
     否認ないし争う。
     まず、原告は、「選挙達反で連座制の適用を受けた南波和憲は当選無効となる」と主張する。しかし、総括主幸者等の買収等に対する刑事裁判の判決があっても、直ちに当該公職の候補者等であった者の当選が無効となるものでなく.連座訴訟(法211条)の結果により初めてその当選が無効とされるものとされている(安田充/荒川敦編著「逐条解税公職撰挙法 下」1702頁参照)。そして、本件連座判決は、内波和憲氏の立候補制限を命じているが、その当選を無効とはしていない。したがって、原告の上記主張は、前提を誤っており、理由がない。
     なお、原告は、連座制により当選無効となった場合、「当然に得票数はゼロとみなされることになる」と主張するが.連座制による当選無効に原告が主張するような法的効力を認める法令上の規定は見当たらず、原告の上記主張は独自の見解である。
   イ 2) について
     おおむね認める。
   ウ 3) について
     令和元年7月24日に,原告から群馬県選挙管理委員会に電話があり、群馬県選学管逮委員会の清水書記から選挙公営制度の説明を行ったことは認め、その余は不知。
   エ 4) について

<P5>
     漬水書記の説明の要約のニュアンスが岩千異なるため、否認する。
     令和元年7月24日の電話において、清水書記は、原告に対し、連座制適用者に対して選挙公営費の返還請求ができる旨を定めた法令上の規定がないこと、群馬県選挙管理委員会として法的根拠のない返還請求を行うことは困難であること及び返還のルールを法の中でどのように定めるかは立法上の問題であることを説明したとのことである。
   オ 5) について
     南波和憲氏に対して選挙公営費の返遠を求める予定がないことは認め、その余は否認する。
     原古の主張は、被告に対して法令上の根拠がない諸求を強いるものであり、合理性がない。
   カ 6) について
     原告の主張は独自の見解であり、認否の必要を認めない。
   キ 7) について
     認否の必要を認めない。
  (4) 「(5) 結果として群馬県が被っている損害」について
   ア 1) について
     群馬県選挙管速委員会が令和元年7月11日付けで本件選挙に係る以下の選挙公営費の支出に関する情報を開示決定したことは認め、その余は不知。
      ・自動車の借入れ(群馬県議会議員及び群馬県知事の遠挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第4条第2号イ)
      ・燃料供給(群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第4条第2号ロ)
      ・運転手の雇用(群馬県謙会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公公営に関する条例第4条第2号ハ)
      ・ポスター作成公営費(群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における

<P6>
選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第7条)
      ・ビラ作成公営費(群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第7条)
    イ 2)について
      本件選挙における南波和憲氏の選挙遅動に係る費用について、選挙公営費として次の支出を令和元年6月12日に行ったことは認め、その余は否認する。
       ①選挙運動用自動車の使用[自動者車] 金137,700円
        支払先;株式会社八洲(代表取締役 南波和憲)
       ➁選挙運動用日動車の使用[燃料]    金66,781円
        支払先:吾妻総業株式会社(代表取締役 南波将彦)
       ➂選挙運動用自動車の使用[運転手]  金112,500円
       ➃ポスターの作成         金1,153,152円
        支払先:宮下印刷所(代表 宮下良夫)
       ⑤ビラの作成             金120,160円
        支払先:宮下印刷所(代表 宮下良夫)
      原告は、内波和憲氏個人に対して直接支払われた選挙公営費があるかのような主張をするが、南波和憲氏個人に対して直接支払われたものはない。また、原告は、南液和憲氏が選挙運動用通常業書の使用上限8,000枚(法142条1項4号)全てを使用したと推定した上で、ハガキ代として496,000円が文払われた旨主張するが、南波和憲氏が実際に使用枚した数は不明である。
    ウ 3) について
      認める。
    エ 4) について
      おおむね認める。
      選挙運動用通常葉書の使用に係る費用は、供託物没収の有無にかかわら

<P7>
ず選挙公営の対象とされている(法142条5項)。すなわち、この費用については、その余の費用と異なり、供託物を没収された候補者にも支払われることになっている。
    オ 5) について
      おおむね認める。
    カ 6) について
      群馬県選挙管理委員会が令和元年5月27日に日本郵便株式会社に対して選挙運動用通常葉書431,707枚分の取扱費用合計26,766,834円を支出したこと及び群馬県選挙管理委員会が各供補者の葉書の使用枚数を把握していないことは認め、その余は不知。
    キ 7) について
      否認ないし争う。
   (5) 「(6)被告の群馬県選管職員の重過失」について
    ア 1) について
      認める。
    イ 2) について
      南波和憲氏の辞職が令和元年5月24日付けで効力が生じたことは認め、その余は不知。
    ウ 3) について
      南波和憲氏の辞職の効力が令和元年5月24日に生じたこと、その3日後の同月27日に群馬県選挙管理委貝会が日本郵便株式会社に対して選挙運動用通常葉書の取扱費用を支出したことは認め、その余は否認する。
    エ 4) について
      認否の必要を認めない。
   (6) 「(7)総務省自治行政局選挙課へのヒヤリング結果」について
     不知。

<P8>
第4 訴状訂正申立書に対する認否
 1 2項(1)について
   各文出区分の上限に関する説明はおおむね認め、南波和憲氏の選挙運動用通常葉書の使用枚数は不知、その余は否認する。
 2 2項(2)について
   否認する。
   元本債権が発生しないので、その遅延損害金の起算日の議論は前提を欠くが、一般論として、不法行為に基づく損害賠償請求権の遅延損害金の起算日は不法行為日であるところ、本件選挙の投開票日における南波和憲氏のいずれの行為が違法な不法行為となるのか不明である。

第5 被告の主張
 1 選挙公営について
   原告の請求は、いわゆる「選挙公営」に係るものである。
   選挙公営とは、国又は地方公共団体がその費用を負担して候補者の選挙運動を行い若しくは選挙を行うにあたり便宜を供与し、又は候補者の選挙運動の費用を負担する制度である。
   これは、金のかからない選挙を実現するとともに候補者間の選挙運動の機会均等等を図るための手段として採用され、その拡充・合理化が進められてきた制度である。
   現在の公職選挙法で採用されている具体的な選挙公営について、選挙の種類によって制度が複雑に異なっているので県議会議貝選挙に限定して幾つか見ておくと、選挙運動用自動車の使用(法141条8項)、通常葉書の交付(法142条5項)、ビラの作成(法142条11項)、ポスターの作成(法143条15項)等について選学公嘗制度が採用されている。なお、公職選挙法上、個々の費目によっては、遮挙公営を採用するか否か、要するに、それらの曹用を公費から支出するか否かについて、条例に委任されているものもあり、群馬県におい

<P9>
ては、この法律による委任を受け、「群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例」(以下、「条例」という。) を制定し、広く選挙公営が採用されている。
   そして、この選挙公営費は、通常葉書の交付など一定の選挙公営を除き、供託物が没収とならない候補者に限って支払われるものとされている(条例2条など).そのため、その支出時期は、選挙会において得票の計算が終わり、供託物が没収されない候補者が確定した後に支出される。
   支出の手続としては、候補者と各支出について契約を締結した業者等から群馬県に対して請求してもらい、これに基づいてその業者等に支払われる(条例4条など)。もとより、供託物を没収される候補者に係る費用にあっては、業者等から請求があっても、選挙公営費の支出は行わない"
 2 原告の主張には理由がないこと
   原告の主張は、南波和憲氏の得票数が本件連座判決により「ゼロとみなされることになる」という意見を大前提とするものと解されるが、上述のとおり、連座制は、当選を無効とすることはあっても、有権者の投票の効力を無効とする効力があるわけではないから、「得票数がゼロとみなされることになる」とする原告の主張には、無理があると言わざるを得ない。
   その他、南波和憲氏については、選挙公営費の支出が認められない理由が何ら見当たらないから、被告が南波和憲氏に対して選挙公営費の返還を求めることには法令上の根拠がない。
   したがって、原告の主張には理由がなく、本訴請求は速やかに菜却されなければならない。

第6 擬制陳述
   令和2年9月30日午前10時に指定されている第1回口頭弁論期日は差し支えるため、擬制陳述でお願い致します。
                            以 上
**********

■上記の認否では、訴状に対してどのように被告が答弁しているのか分かり辛いので、項目ごとに対比させてみました。

**********
第2 請求の原因
1 当事者
(1)原告は群馬県の住民であり納税者である。
   ⇒原告が群馬県の住民であることは認め、その余は認否の必要を認めない。
(2)被告は、群馬県知事であり、選挙公営費を扱う群馬県選管を管理・監督する者である。
   ⇒おおむね認める。正確を期すのであれば、被告は、群馬県の予算を調製し及びこれを執行することを担任する者であり(地方自治法149条2号)、その権限のうち、群馬県選挙管理委員会の事務に関するものを群馬県選挙管理委員会書記長に委任している(群馬県財務規則3条)。そして、被告は、群馬県を統括し及び代表し(地方自治法147条)、並びに群馬県の事務を管理し及び執行する者である(同法148条)。

2 住民監査請求
(1)令和元年12月23日、原告は群馬県監査委員に、地方自治法第242条第1項により、妻の公選法違反が発覚し議員を突然辞職した南波和憲が、その後、妻の有罪判決や自身の連座制適用判決を経てもなお、群馬県選管が選挙公営費の返還を南波和憲に請求しようとせず、南波和憲に公金を不当支出したままにしていること(以下、「本件損害」という。)について措置請求(甲第1号証)を行った。
   ⇒原告が、群馬県職貝措置請求書(甲1。以下、「本件措置請求書」という。)を群馬県監査委貝に令和元年12月24日に提出し、住民監査請求を行ったことは認め、その余は不知。原告は,木件措置請求書(甲1 ) の提出日を令和元年12月23日であると主張し、本件措置請求書にも作成日としてその日付の記載があるが、実際に群馬県監査委員に提出されたのは同月24日であった(甲2の本文冒頭部分参照)。
(2)令和2年1月8日、群馬県監査委員は原告に対して住民監査請求を受理する旨の通知をした(甲第2号証)。
   ⇒認める。
(3)令和2年1月27日、原告は群馬県監査委員に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、意見の陳述を行った。
   ⇒認める。
(4)令和2年2月17日、原告は、群馬県監査委員から「本件措置請求を棄却する」旨の監査結果(令和2年2月17日付、群監第202-31号)(甲第3号証)を受け取った。
   ⇒認否を保留する。
(5)原告はこの監査結果に対して不服である。
   ⇒不知。

第3 請求の内容
1 請求の要旨
(1)請求の端緒となる事件
 1)2019年4月7日投開票の群馬県議選を巡り、公選法違反の罪で、南波建設㈱代表取締役で妻の南波久美子の有罪が確定した元群馬県議の南波和憲に対し、東京地裁が連座制の適用を求めた訴訟で東京高裁(近藤昌昭裁判長)が2019年12月18日、請求通り、群馬県議選への立候補を5年間禁止する判決を言い渡した。報道によれば、南波和憲は弁論に出廷せず、争う意思を示さなかった。
   ⇒平成31年4月7日に群馬県議会議貝選挙(以下、「本件選挙」という。)が執行されたこと、及び南波和憲氏が令和元年12月18日に束京高等裁判所において判決確定日から5年間は群馬県議会議員選挙の候補者となり、又は候補者であることができない旨の判決(以下.「本件連座判決」という。公職選挙法(以下、「法」という)251条の2第1項参照。)を受けたことは認め、その余は不知。なお、本件連座判決は、令和2年1月7日に確定した。
 2)同判決によると、南波和憲の妻の南波久美子は2019年4月9~10日ごろ、南波和憲の運動員9人に報酬として、1箱6千円相当のようかんを配ったり、うち8人には計80万円の現金を渡したりするなどした。
   ⇒認める。
 3)妻は6月21日に公選法違反(事後買収)の疑いで群馬県警から前橋地検に書類送検され、7月22日に在宅で起訴されたあと、9月6日公選法違反(買収)の罪で、懲役1年、執行猶予4年(求刑懲役1年)を言い渡した9月6日前橋地裁の判決が確定した。
   ⇒令和元年9月6日に南波和憲氏の妻が前橋地方裁判所において法221条1項3号、1号に該当する罪により懲役1年、4年間執行猶予の判決を受けたこと、及びこの判決が確定したことは認め、その余は不知。この判決の確定日は、原告の主張する令和元年9月6日ではなく、同月21日である。
 4)判決理由で国井恒志(こうし)裁判長は「選挙運動の謝礼として渡した和菓子や渡そうとした現金は高額で、相手方も9人と少なくない」と指摘し、「県議の妻としての経験と知識を踏まえれば誠に軽率で、民主主義の根幹である選挙の公正さを害する犯行」と非難した。一方、南波和憲が既に県議を辞職しているなどとして、刑の執行猶予が妥当と判断した。
   ⇒不知。
 5)南波和憲は2019年4月の群馬県議選で当選したが、その後5月23日に群馬県議会の狩野議長宛てに辞職願を提出し自由民主党群馬県支部連合会(県連)の星野建市幹事長に辞職理由を記した書面を手渡した。この書面で南波和憲は、「4月の県議選を巡って関係者が県警の取り調べを受けているため、「知事選や参院選を前に、県連に多大な迷惑を掛ける懸念がある」と説明していた。
   ⇒本件選挙で南波和憲氏が当選したこと、南波和憲氏から群馬県議会に辞職顧が栖出された後の令和元牛5月24日に南波和憲氏が群馬県議会議員を辞職したことは認め、その余は不知。
(2)いつ、どのような財務会計上の行為をしたか(又はしなかったか)
   2019年4月7日執行の群馬県議会議員選挙において、南波和憲の親族の公選法違反(事後買収)が確定したにもかかわらず、南波和憲の選挙公営のために支出した公費の返還を南波和憲に求めようとしていない。
   ⇒否認ないし争う。まず、原告は、「選挙達反で連座制の適用を受けた南波和憲は当選無効となる」と主張する。しかし、総括主幸者等の買収等に対する刑事裁判の判決があっても、直ちに当該公職の候補者等であった者の当選が無効となるものでなく.連座訴訟(法211条)の結果により初めてその当選が無効とされるものとされている(安田充/荒川敦編著「逐条解税公職撰挙法 下」1702頁参照)。そして、本件連座判決は、内波和憲氏の立候補制限を命じているが、その当選を無効とはしていない。したがって、原告の上記主張は、前提を誤っており、理由がない。なお、原告は、連座制により当選無効となった場合、「当然に得票数はゼロとみなされることになる」と主張するが.連座制による当選無効に原告が主張するような法的効力を認める法令上の規定は見当たらず、原告の上記主張は独自の見解である。
(3)違法又は不当である理由
 1)選挙違反で連座制の適用を受けた南波和憲は当選無効となるため、当然に得票数はゼロとみなされることになる。よって、法定得票数に満たないため、選挙公営の適用外となる。ところが、群馬県選管は、返還請求の必要性を認めようとしておらず、法令順守の義務を放棄している。
   ⇒おおむね認める。
 2)そもそも、この公費負担制度は、供託物没収点以上の得票が得られた時にのみ受けることができるものなので、供託物没収点以上の得票を得られなかった場合は、選挙運動費用の全額が候補者の負担となる。
   ⇒令和元年7月24日に,原告から群馬県選挙管理委員会に電話があり、群馬県選学管逮委員会の清水書記から選挙公営制度の説明を行ったことは認め、その余は不知。
 3)今年4月の統一地方選の群馬県議選の選挙違反発覚により、もしかしたら、南波和憲本人から選挙公営費分の金額が群馬県選挙管理委員会に返還されているのかもしれないと思い、また、公選法違反で、親族が逮捕された場合、連座制適用で当然本人の選挙のために血税から支出された選挙公営費用は、群馬県として返還を求めるべきである、と考えて、原告は2019年7月24日10時過ぎに群馬県選管の清水担当に電話をした。
   ⇒令和元年7月24日に,原告から群馬県選挙管理委員会に電話があり、群馬県選学管逮委員会の清水書記から選挙公営制度の説明を行ったことは認め、その余は不知。
 4)その結果、県選管は次の見解を原告に示した。
   ①公選法に、選挙違反の場合の選挙公営費の取り扱いについて、どこにも記載がない。
   ②法律に記載がないのだから、公営費を本人から返してもらう必要性が見当たらない。
   ⇒漬水書記の説明の要約のニュアンスが岩千異なるため、否認する。令和元年7月24日の電話において、清水書記は、原告に対し、連座制適用者に対して選挙公営費の返還請求ができる旨を定めた法令上の規定がないこと、群馬県選挙管理委員会として法的根拠のない返還請求を行うことは困難であること及び返還のルールを法の中でどのように定めるかは立法上の問題であることを説明したとのことである。
 5)ということで、カネのかからない選挙を実現するために血税から候補者に支出された選挙公営費を南波和憲から取り戻そうという考えは微塵もないことが明らかになった。
   ⇒南波和憲氏に対して選挙公営費の返遠を求める予定がないことは認め、その余は否認する。原古の主張は、被告に対して法令上の根拠がない諸求を強いるものであり、合理性がない。
 6)本来であれば、選挙違反を犯した候補は、供託金も没収されるべきだと原告は考えるが、群馬県選管はなぜか、選挙公営費も気前よく、選挙違反者にくれたままで、なんにも道義的責任など感じていない。
   ⇒原告の主張は独自の見解であり、認否の必要を認めない。
 7)これでは、有権者・納税者として納得できないため、県選管の清水担当には、住民監査請求で、この理不尽な事件をきちんと精査する必要がある旨、請求者から同氏に伝えておいた。原告にとって、今回の住民監査請求は、そうした経緯に基づく措置であった。
   ⇒認否の必要を認めない。
(5)結果として群馬県が被っている損害
 1)このため、請求者は、2019年4月7日執行の群馬県議会議員選挙の公費負担の詳細について、群馬県に開示請求をした。その結果、「選挙運動用通常はがきの交付」を除く、①選挙運動用自動車の借入(甲第4号証)、②同自動車の燃料供給(甲第5号証)、③同自動車運転手の雇用(甲第6号証)、④選挙運動用ポスターの使用(甲第7号証)、⑤選挙運動用ビラの作成(甲第8号証)について、情報が開示された。
   ⇒群馬県選挙管速委員会が令和元年7月11日付けで本件選挙に係る以下の選挙公営費の支出に関する情報を開示決定したことは認め、その余は不知。
      ・自動車の借入れ(群馬県議会議員及び群馬県知事の遠挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第4条第2号イ)
      ・燃料供給(群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第4条第2号ロ)
      ・運転手の雇用(群馬県謙会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公公営に関する条例第4条第2号ハ)
      ・ポスター作成公営費(群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第7条)
      ・ビラ作成公営費(群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例第7条)

 2)その結果、公選法違反の疑惑が発覚したあと辞職した南波和憲はしっかり選挙公営費を受け取っていることが判明した。なお、自動車使用料と燃料代は南波和憲自身や同族が関わる会社に支払われていた。
     **********集計値**********
     【候補者名:南波和憲】
     区分    支払額(円)   支払先     代表者
     自動車    137,700    ㈱八洲     南波 和憲
     燃料代     56,781    吾妻総業㈱   南波 将彦
     運転手    112,500    個人のため非開示
     ポスター  1,153,152    宮下印刷所   宮下 良夫
     ビラ     120,160    宮下印刷所   宮下 良夫
     ハガキ    496,000    8,000枚の選挙ハガキを発送
      合計   2,076,293
***********************
   ⇒本件選挙における南波和憲氏の選挙遅動に係る費用について、選挙公営費として次の支出を令和元年6月12日に行ったことは認め、その余は否認する。
       ➀選挙運動用自動車の使用[自動者車] 金137,700円
        支払先;株式会社八洲(代表取締役 南波和憲)
       ➁選挙運動用日動車の使用[燃料]    金66,781円
        支払先:吾妻総業株式会社(代表取締役 南波将彦)
       ➂選挙運動用自動車の使用[運転手]  金112,500円
       ➃ポスターの作成         金1,153,152円
        支払先:宮下印刷所(代表 宮下良夫)
       ➄ビラの作成             金120,160円
        支払先:宮下印刷所(代表 宮下良夫)
      原告は、内波和憲氏個人に対して直接支払われた選挙公営費があるかのような主張をするが、南波和憲氏個人に対して直接支払われたものはない。また、原告は、南液和憲氏が選挙運動用通常業書の使用上限8,000枚(法142条1項4号)全てを使用したと推定した上で、ハガキ代として496,000円が文払われた旨主張するが、南波和憲氏が実際に使用枚した数は不明である。

 3)このうち、選挙ハガキ(発送代)は他のものと同様公費負担となるが、日本郵便が県選管に合計額で請求するため、県選管では候補者それぞれの枚数・金額は把握していないとのことである。
   ⇒認める。
 4)そのため原告が「供託金を没収された候補者にもハガキ代金(発送)は選管が負担するのか」と質問したところ、「その通りです」との回答があった。
   ⇒おおむね認める。選挙運動用通常葉書の使用に係る費用は、供託物没収の有無にかかわらず選挙公営の対象とされている(法142条5項)。すなわち、この費用については、その余の費用と異なり、供託物を没収された候補者にも支払われることになっている。
 5)県議選では候補者1人につき上限8,000枚までのハガキ代金を県選管が負担している。ハガキが1枚62円だったので、1人496,000円まで負担されることになる。
   ⇒おおむね認める。
 6)なお、2019年4月の県議選で日本郵便へ支払われたハガキ代金総額は26,765,834円、枚数は431,707枚だという。この数字は何人がハガキを利用したかは全くわからないそうで、選管にはあくまでも合計額しか請求されないそうだが、原告としては「そんなことは無いだろう」と考えている。
   ⇒群馬県選挙管理委員会が令和元年5月27日に日本郵便株式会社に対して選挙運動用通常葉書431,707枚分の取扱費用合計26,766,834円を支出したこと及び群馬県選挙管理委員会が各供補者の葉書の使用枚数を把握していないことは認め、その余は不知。
 7)上記の通り、南波和憲の選挙公営に係る支出を巡り群馬県には計207万6293円の損害が発生している。
   ⇒否認ないし争う。
(6)被告の群馬県選管職員の重過失
 1)監査結果通知(甲第3号証)の3ページ目に本事件にかかる経緯が時系列で表になっている。これを見ると、5月24日に南波和憲元県議の辞職(県議会による承認)の後、同27日に本件選挙に係るはがき郵送料金を支出したことがわかる。さらに6月12日には、はがき郵送料金以外の選挙公営費を支出したことがわかる。
   ⇒認める。
 2)南波和憲元県議が辞職願を県議会議長に届けたのは同5月23日であり、翌24日に新聞報道がなされており、関係者が公職選挙法違反の疑いで県警から任意で事情聴取を受けていることを理由に辞職したことは被告の職員らも当然承知していたはずである。
   ⇒南波和憲氏の辞職が令和元年5月24日付けで効力が生じたことは認め、その余は不知。
 3)にもかかわらず、南波和憲に事情聴取もしないまま、その3日後にはがき郵送料金を支出し、19日後にはがき郵送料金以外の選挙公営費を支出したことは、公正・公平かつ適正に行われなければならない選挙を管理する立場の群馬県選管が重大な過失を犯したことになる。
   ⇒南波和憲氏の辞職の効力が令和元年5月24日に生じたこと、その3日後の同月27日に群馬県選挙管理委貝会が日本郵便株式会社に対して選挙運動用通常葉書の取扱費用を支出したことは認め、その余は否認する。
 4)また、南波和憲も、選良として選挙公営費の全額返還を自主的に申し出なければならないのにそれを怠ったことも重過失にあたる。
   ⇒認否の必要を認めない。
(7)総務省自治行政局選挙課へのヒヤリング結果
 1)原告は、この問題について国の考え方を聴取すべく今年に入り何度か総務省自治行政局選挙課に電話をしたが、後日返答するとのことで、なかなか返事をもらえなかった。
   ⇒不知。
 2)そうしたなか、令和2年2月4日の午後1時過ぎに、別件で東京地裁を訪れた際に、向かい側にある総務省選挙課に電話をしてみた。すると選挙課の「サカイ」と名乗る職員が電話口に出た。選挙課の同職員との電話のやりとりは概ね次のとおり。
    選挙課「先週、電話をしたが番号違いか何かでつながらなかった。回答というか規程の説明になってしまうが、例えば選挙事務所、でなく、選挙カー、自動車については公選法141条の7項に規定はされている。例えば衆議院や参議院の選挙で政令により無料で使用することができるというふうにされているなかで、そこで但し、ということで、供託物が国庫に帰属されることにならない場合に限るとされている。なので、あのう、そこはまあ供託金が国庫のほうに帰属されることになる場合については、無料で使用することはできないというような形になるんですけれども」
    原告「法定得票数に足りなかった場合は、というときですね」
    選挙課「そうですね。その供託金が国庫に寄贈されるということになるケースが、法定得票数に達しなかった場合ですとか、あとは、候補者の届出が取り下げられて、その候補者たることを辞した場合、そういったケースがあるのかなあと思うんですけれども、あとは司法の判断のなかで、選挙における得票が無効であるという場合について、供託物が返還されなくて没収となるというケースもあるかとおもう。その辺は、司法の判断になってくるかと思うので、得票が無効となるかいなか、というのはその個々のケースに応じて違うのかな、という気もいたします」
   原告「わかりました。そんな感じですね」
   選挙課「そんなかたちでの規定のご説明になりますので…」
   原告「まあ、いずれにしても地方分権法で、選挙の主体はそれぞれの自治体の判断ということで私も承っているので、だから今回のケースもおっしゃるように司法の判断ということだと究極的にはそう思います」
   選挙課「最終的には司法の判断ですね」
   原告「そうですよね。だから住民訴訟で白黒つけてみたいと思います。いろいろありがとうございます」
   選挙課「いや、とんでもないです」
   ⇒不知。

<訴状訂正申立書>
2 上記1にかかる補充説明
(1)被告が請求すべき金額207万6293円について、群馬県が被った損害又は損失の額の算定根拠
   訴状の6/10ページに示した次の表を参照されたい。
     **********集計値**********
     【候補者名:南波和憲】
     区分    支払額(円)   支払先     代表者
     自動車    137,700    ㈱八洲     南波 和憲
     燃料代     56,781    吾妻総業㈱   南波 将彦
     運転手    112,500    個人のため非開示
     ポスター   1,153,152    宮下印刷所   宮下 良夫
     ビラ     120,160    宮下印刷所   宮下 良夫
     ハガキ    496,000    8,000枚の選挙ハガキを発送
      合計   2,076,293
   上記の「区分」に示す項目は、選挙運動費用に関する公費負担制度の種類を表す。即ち「自動車」は、選挙運動用自動車の使用(レンタカー契約の場合)の自動車の借入(1日1台に限る)のことであり、上限額が1日あたり15,800円と定められている。したがって、上限の総額は@15,800円×9日=142,200円だが、南波和憲が経営する㈱八洲から@15,300円×9日=137,700円が請求され、選管は全額支出した。
   次に「燃料代」は、選挙運動用自動車の使用(レンタカー契約の場合)の燃料代のことであり、上限額が7,560円×選挙運動日数と定められている。したがって、上限の総額は68,040円だが、南波和憲の親族が経営する吾妻総業㈱から56,781円が請求され、選管は全額支出した。
   「運転手」は、選挙運動用自動車の使用(レンタカー契約の場合)の運転手の雇用(1日1人に限る)のことであり、上限額が1日あたり12,500円と定められている。よって、@12,500円×9日=112,500円の上限満額が選管から運転手に全額支出された。
   「ポスター」は、選挙運動用ポスターの作成のことであり、選挙区のポスター掲示場数の2倍の定めがあり、作成単価の上限額は選挙区のポスター掲示場数から算出される。宮下印刷所から1,153,152円が請求され、選管は全額を支出した。
   「ビラ」は、選挙運動用ビラの作成のことであり、作成枚数の上限数は公選法142条に定めがあり、作成単価の上限額はビラ作成枚数から産出される。宮下印刷所から120,160円が請求され、選管は全額を支出した。
   「ハガキ」は、選挙運動用通常葉書の作成であり、公選法142条により作成枚数の上限数は県議選の場合8,000枚とあることから、@62円×8,000枚=496,000円である。南波和憲は上限数の葉書を作成したと推測されるため、選管は日本郵政㈱(JP)に496,000円を支出したと推測できる。ちなみに、「ハガキ」については、法定得票数に満たない候補者の場合でも、選挙公営費は選管が負担していると聞く。
   よって、南波和憲への連座制適用で同人の得票数が無効になったことにより、群馬県が被った損害ないし損失額2,076,293円は、上記各区分の総額に相当する。
   ⇒ 各文出区分の上限に関する説明はおおむね認め、南波和憲氏の選挙運動用通常葉書の使用枚数は不知、その余は否認する。
(2)遅延損害金にかかる起算日を2019年4月7日とする理由
   南波和憲の連座制適用は、妻の事後買収による公選法違反の不法行為に基づくものだが、事後買収であっても、公正、公平な制度運用を前提に実施された県議選の投開票日がその違反の端緒となったことは明らかである。よって、当該不法行為の日として、県議選の投開票日である2019年4月7日を起算日とする。
   ⇒否認する。元本債権が発生しないので、その遅延損害金の起算日の議論は前提を欠くが、一般論として、不法行為に基づく損害賠償請求権の遅延損害金の起算日は不法行為日であるところ、本件選挙の投開票日における南波和憲氏のいずれの行為が違法な不法行為となるのか不明である。

第3 むすび
 以上のとおり、公選法違反(事後買収)による連座制が適用された南波和憲の当選は無効である。無効であることは、得票数がゼロになるわけで、選挙違反の場合も供託金が没収されることから、当選無効により、選挙公営費は支出されてはならないことは明らかである。
 よって被告は、南波和憲に支出された選挙公営費207万6293円を南波本人をして返還させるか、もしくは南波本人に返還させようとしない群馬県選管の責任者に返還を請求しなければならない。
⇒第5 被告の主張
 1 選挙公営について
   原告の請求は、いわゆる「選挙公営」に係るものである。
   選挙公営とは、国又は地方公共団体がその費用を負担して候補者の選挙運動を行い若しくは選挙を行うにあたり便宜を供与し、又は候補者の選挙運動の費用を負担する制度である。
   これは、金のかからない選挙を実現するとともに候補者間の選挙運動の機会均等等を図るための手段として採用され、その拡充・合理化が進められてきた制度である。
   現在の公職選挙法で採用されている具体的な選挙公営について、選挙の種類によって制度が複雑に異なっているので県議会議貝選挙に限定して幾つか見ておくと、選挙運動用自動車の使用(法141条8項)、通常葉書の交付(法142条5項)、ビラの作成(法142条11項)、ポスターの作成(法143条15項)等について選学公嘗制度が採用されている。なお、公職選挙法上、個々の費目によっては、遮挙公営を採用するか否か、要するに、それらの曹用を公費から支出するか否かについて、条例に委任されているものもあり、群馬県においては、この法律による委任を受け、「群馬県議会議員及び群馬県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例」(以下、「条例」という。) を制定し、広く選挙公営が採用されている。
   そして、この選挙公営費は、通常葉書の交付など一定の選挙公営を除き、供託物が没収とならない候補者に限って支払われるものとされている(条例2条など).そのため、その支出時期は、選挙会において得票の計算が終わり、供託物が没収されない候補者が確定した後に支出される。
   支出の手続としては、候補者と各支出について契約を締結した業者等から群馬県に対して請求してもらい、これに基づいてその業者等に支払われる(条例4条など)。もとより、供託物を没収される候補者に係る費用にあっては、業者等から請求があっても、選挙公営費の支出は行わない"
 2 原告の主張には理由がないこと
   原告の主張は、南波和憲氏の得票数が本件連座判決により「ゼロとみなされることになる」という意見を大前提とするものと解されるが、上述のとおり、連座制は、当選を無効とすることはあっても、有権者の投票の効力を無効とする効力があるわけではないから、「得票数がゼロとみなされることになる」とする原告の主張には、無理があると言わざるを得ない。
   その他、南波和憲氏については、選挙公営費の支出が認められない理由が何ら見当たらないから、被告が南波和憲氏に対して選挙公営費の返還を求めることには法令上の根拠がない。
   したがって、原告の主張には理由がなく、本訴請求は速やかに菜却されなければならない。

**********

■以上のとおり、被告群馬県は、候補者が秘書や親族の選挙違反がバレて連座制の適用を受けて当選無効となっても、血税で賄われている選挙公営費の返還は求めないことをハッキリと主張しています。

 この理屈で行くと、選挙期間中、候補者本人が選挙違反をしてでもなお当選さえしてしまえば、選挙後、違反がバレて当選無効になっても、供託金も没収されずに済むし、選挙公営費の返還をする必要がないということなります。

 だとすれば、まじめに選挙期間中、選挙運動をルールに基づいて行った候補者が、法定得票数に届かないという理由で、供託金は没収され、選挙公営費も自腹で支払わなくてはならないというのは、あまりにも理不尽なのではないでしょうか。バレなければ、選挙違反をしてもなお、当選はもとより、法定得票数を超えたほうが、懐が痛まないことになり、金権政治の温床を放置することになりかねません。

 このように、現在の公選法の不備を、常に意識し、改善しようとする気概は群馬県選挙管理委員会を司る群馬県市町村課には毛頭存在していないようです。

 当会は、こうした不合理な実態を、この訴訟を通じて、あぶり出し、少しでも公平、公正、透明な選挙ルールに近づけるよう、微力ながら全力で取り組みたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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