市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラをしぶしぶ認めたものの具体的な文書はあくまで不開示とする群馬高専の隠ぺい体質

2016-04-30 23:39:00 | 群馬高専アカハラ問題
■4月30日の朝、市民オンブズマン群馬事務局に、簡易書留で国立高等専門学校機構から書類が届きました。開封してみると、なんとまあ、不開示決定通知書と決定書が一緒に同封されていました。

※PDF ⇒ sj2.pdf

*****不開示決定通知*****
様式3
                            群高専総総第105号
                            平成28年4月27日
            法人文書不開示決定通知書
  市民オンブズマン群馬
   代表者  小 川   賢  様
                        独立行政法人国立高等専門学校機構
 平成27年6月26日付けで請求のありました法人文書の開示について,下記のとおり不開示とすることを決定しましたので通知します。
                  記
1 不開示と決定した法人文書について
(1)平成26年(2014年)4月1日以降,現在に至るまでの間に,貴学内の関係者(教職員,学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生,同窓生,保護者を含む)に対して,学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書
(2)平成26年(2014年)4月1日以降,現在に至るまでの間に,学内のハラスメント行為に関して,学校長ら貴学幹部,あるいは総務課や学生相談室,カウンセラーあてに,貴学内(教職員学生を含む)或いは貴学外の関係者。(卒業生,同窓生,保護者を含む)から寄せられた申立や相談などの一切の文書。
(3)上記②の受付後,貴学内において対応等を協議した場合は,その起案書や議事録などのー切の関連文書。

2 不開示とした理由
 開示請求のあった(1)~(3)に該当する文書について,(2)については,平成26年4月1日以降,ハラスメント行為に関して寄せられた文書が2件ある。(3)については,寄せられた文書を受けて事実関係を確認しとりまとめた文書が1件ある。さらに,(1)については,寄せられた文書を受けての学校の対応等について発信した文書が3件ある。これらの文書については,個人情報を含み,公にすることによって,個人の権利・利益を害するおそれがあることから,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第5条第1号の規定に基づき不開示とする。

※ この決定に不服がある場合は,行政不服審査法(平成26年法律第68号)の規定により,この決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に,独立行政法人国立高等専門学校機構に対して審査請求をすることができます(なお,決定があったことを知った日から起算して3か月以内であっても,決定があった日の翌日から起算して1年を経過した場合には審査請求をすることができなくなります。)。
 また,この決定の取消しを求める訴訟を提起する場合は,行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定により,この決定があったことを知った日から6か月以内に,独立行政法人国立高等専門学校機構を被告として,同法第12条に規定する裁判所に処分の取消しの訴えを提起することができます。(なお,決定があったことを知った日から6か月以内であっても,決定の日から1年を経過した場合には処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)

            担当窓口
              独立行政法人国立工業高等専門学校機構
              (学校名) 群馬工業高等専門学校
              (担当課・係名)総務課課長補佐
              (住所) 〒371-8510群馬県前橋市鳥羽町580番地
              (TEL) 027-254-9012
              (FAX) 027-254-9022

*****決定書謄本の送付について*****PDF ⇒ t.jpg
                       28高機総 第20号
                       平成28年4月27日
市民オンプズマン群馬
 代表者 小 川  賢 殿

              独立行政法人国立高等専門学校機構理事長
                      谷 口   功

           決定書謄本の送付について
 平成27年8月31日付けで貴殿から提起された、平成27年7月23日付け群高専総総第184号により独立行政法人国立高等専門学校機構が行った独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号.)第5条第1項第1号の規定に基づく不開示決定処分に係る異議申立てについて、次のとおり決定いたしましたので下記によりお知らせいたします.
               記
○添付資料
  (1) 決定書謄本                    1部
  (2) 答申書(写)                   1部

*****決定書*****PDF ⇒ 201704271_ketteisho_oyobi_ketteinoriyuu.pdf
201704272_toushinsho1.pdf
201704272_toushinsho2.pdf

           決   定   書
             住   所  群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
             異議申立人  市民オンブズマン群馬 代表 小川 賢
 上記異議申立人から平成27年8月31日付け(平成27年8月31日受付)をもって提起された,平成27年7月23日付け群高専総総第184号により独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「機構」という。)が行った独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号。以下「法」という。)第5条第1項第1号の規定に基づく不開示処分(以下「原処分」という。)に係る異議申立てについては,次のとおり決定する。
             主  文
 本件について,情報公開・個人情報保護審査会の答申(平成28年3月2日付け平成27年(独情)答申第73号)を受けて;平成27年7月23日付け群高専総総第184号により機構が行った決定を取り消す。
 新たな裁定については,決定次第改めて通知する。

           異議申立ての要旨
 異議申立人は,法第3条の規定に基づき平成27年6月26日付けで提出された法人文書開示請求書において,以下に掲げる文舎(以下「本件対象文書」という。)について開示請求を行った。
 文書1 平成26年(2014年)4月1日以降,現在に至るまでの間に,貴学(群馬工業高等専門学校)内の関係者(教職員,学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む)に対して,学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書
 文書2 平成26年(2014年)4月1日以降,現在に至るまでの間に,学内のハラスメント行為に関して,学校長ら貴学幹部,あるいは総務課や学生相談室,カウンセラーあてに,貴学内(教職員,学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む)から寄せられた申立てや相談などのー切の文書。
 文書3 文書2の受付後,貴学内において対応等を協議した場合は,その起案書や議事録などの一切の関連文書。

 これに対し,機構は,文書1~3について,平成27年7月23日付け群高専総総第184号により法第5条第1項第1号の規定に基づく不開示決定処分を行ったところであるが,異議申立人は原処分について以下に掲げる項目を理由に,本件異議申立てに及んだものである。
ア 異議申立人は目本国民として法人文書の開示を求める権利を有している。
イ 機構は,法第5条に基づく開示義務を有している。
ウ 機構は,本件処分理由として,文書1ないし文書3については,その存否を応えることにより,ハラスメント行為に寄せられた申立や相談などがあったという事実の有無を示すこととなり,したがって,その事案の性質に鑑みプライバシー保護の観点から,法第8条の規定により,その存否を明らかにすることはできない旨述べている。しかし機構は,法第8条の法人文書の存否に関する情報に定める「法人文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開示情報を開示することとなるとき」の理由を,「事案の性質に鑑みプライバシー保護の観点から」としているだけで,誰のプライバシーを指すのかよくわからない。被害者のプライバシーであれば申立てがあった事実は公表すべきであろうし,加害者のプライバシーであれば貴学が加害者に配慮しているという見方ができる。いずれにしても機構には,プライバシー保護の対象が誰なのかを特定する責任があると考える。
 エ 法第5条に記載の開示除外理由,あるいはただし書に照らして,なぜ機構が当該法人文書の存否を明らかにしないまま,当該法人文書の開示請求を拒否できるのか,異議申立人として判断できない状況におかれている。
オ よって,本件処分は,原則開示をうたった法の目的に違背している。
カ 異議申立人は,今回の事案の性質に鑑み,当該法人文書は,ハラスメントを受けた被害者である学生,卒業生,職員らの立場から,法第5条第1項第1号のただし書である「口 人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に該当すると考える。
キ 異議申立人は,ハラスメントを起こした加害者が公務員であるとの観点から,法第5条第1項第1号のただし書である「八 当該個人が公務員等である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」に該当すると考える。
ク 機構は,プライバシー保護を理由に当該法人文書の存否を明らかにしたくない,として本件処分を行った。機構が,加害者個人の権利利益を害するおそれがある情報のほうが,ただし書にある被害者の生命,健康,生活を保護するために公にすることが必要である情報よりも大切だと判断したのであれば,それは失当である。
ケ 機構は,当該法人情報が法第5条第1項第2号のFイ公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の権利その他正当な利益を害するおそれのあるもの」に該当すると判断している可能性も考えられる。もしこの場合であっても,異議申立人は,事案の性質に鑑み,当該法人情報を開示することにより,機構の正当な利益を害するおそれはないと考える。
コ 法第5条第1項第2号のただし書には,「ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報を除く」と明記されている。異議申立人は,事案の性質に鑑み/当該法入情報はただし書に該当すると考える。
サ よって,群馬工業高等専門学校の開かれた教育環境の実態を広く世間に知らしめるためにも,本件処分を取り消し,当該法人情報に含まれる加害者及び被害者らハラスメント関係者の情報のうち,学生と卒業生(もし中途退学者,行方不明者がいればそれらの者も含む)の住所,氏名,年齢及び生年月日,性別を除くすべての情報の開示を求める。

             決定の理由
 異議申立人の本件異議申立ては,法第3条の規定に基づく本件対象文書の開示請求について,機構が行った法第5条第1項第1号の規定に基づく処分の決定について提起されたものである。
 本件異議申立てに係る諮問については,情報公開・個人情報保護審査会より以下のとおり答申(平成28年3月2日付け平成27年(独情)答申第73号)が示されたところである。
 以下,情報公開・個人情報保護審査会答申文から引用する。なお,文中で「特定高等専門学校」とあるのは,「群馬工業高等専門学校」のことである。

1 本件対象文書について
 本件開示請求は,文書1ないし文書3(本件対象文書)の開示を求めるものである。
諮間庁は,本件対象文書については,その存否を答えるだけで法5条1号により不開示とすべき情報を開示することになるため,法8条の規定によりその存否を明らかにしないで開示請求を拒否した原処分は妥当である旨説明しているので,以下,本件対象文書の存否応答拒否の妥当性について検討する。
2 本件対象文書の存否応答拒否の妥当性について
(1)当審査会において本件開示請求書の記載を確認すると,「請求する法人文書の名称等」欄には別紙に掲げる内容が記載されているのみであって,文書の内容等に関する具体的な情報(例を挙げれば,文書1についてはその発信時期や発信者,記載内容等,文書2については申立てや相談の内容等,文書3については協議を行った者や協議内容等)は何ら記載されていないことが認められる。
 このような開示請求において,該当する文書が存在するか否かを答えることによって明らかになるのは,文書1については,特定高等専門学校が平成26年(2014年)4月1日以降に学内のハラ不メント行為に関して学内外の関係者に文書を発出したという事実の有無,文書2については,特定高等専門学校が同日以降に学内のハラスメント行為に関して申立てや相談を受けたという事実の有無,そして文書3については,文書2の受付後にその対応等について協議が行われたという事実の有無(以下,各文書に係る「事実の有無」を併せて「本件存否情報」という。)のみであると認められる。
(2)諮問庁は,本件対象文書の存否を答えることは,ハラスメント行為について申立てや相談等があったという事実の有無を明らかにすることとなる旨説明した上で,申立て等がなされたことで直ちにハラスメントに該当する行為の存在が断定されるわけではないが,仮に申立て等があったことが明らかになるような事態となれば,これらの点は,十分には考慮されず,また。個人名が示されないとしても,様々な憶測等を呼ぶことで,結果として当該個人の権利利益の侵害につながるおそれは大きい等と説明する。
 また,当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ,平成26年4月1日以降,特定高等専門学校に係るハラスメント事案に関して公表が行われたという事実はないとのことである。
(3)ハラスメントに関する認知や関心が一定の水準に達している昨今,特定高等専門学校の規模等を勘案しても,1年を超える期間内(平成26年4月1日以降)にハラスメン卜行為に関する申立てや相談等がなされること自体は特段奇異なことではないと考えられ,「申立てや相談等があったという事実の有無」が,公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがある情報であるといえるのは,当該情報が公にされたことによって現に存在するハラスメント申立て又は相談に係る事案の当事者が特定又は推測されるおそれがある場合,あるいはそれを契機として学生を始め関係者が内外からその意に反する働き掛けを受けたり好奇の目にさらされたりするといった事態が生じる蓋然性が高まる場合などに限られると思料される。
 そこで,本件存否情報について検討すると,特定高等専門学校において申立てや相談等がない場合はもとより,申立てや相談等があった場合においても,本件存否情報はいずれも申立て又は相談の内容やその処理に関する具体的な情報を含まないのであるから,これを公にすることにより当該事案の当事者が特定又は推測されるおそれは認められず,また,存否応答拒否とした場合に比べて内外からの働き掛け等の蓋然性が高まるとも認め難い。
(4)したがって,本件存否情報は,いずれも法5条1号の不開示情報に該当せず,本件対象文書の存否を明らかにしても不開示情報を開示することになるとは認められないので,本件開示請求については本件対象文書の存否を明らかにしで開示決定等をすることが相当であり,原処分は取り消すべきである。
3 本件不開示決定の妥当性について
 以上のことから,本件対象文書につき,その存否を答えるだけで開示することとなる情報は法応条1号に該当するとして,その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定については,当該情報は同号に該当せず,本件対象文書の存否を明らかにして開示決定等をすべきであることから,取り消すべきであると判断した。

 したがって,本件異議申立てについては,情報公開・個人情報保護審査会の答申を踏まえて判断し,主文のとおり決定する。

※ この決定の取消しを求める訴訟を提起する場合は,行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定により,この決定があったことを知った日から6ヶ月以内に,独立行政法人国立高等専門学校機構を被告として,同法第12条に規定する裁判所に処分の取消しの訴えを提起することができます。(なお,決定があったことを知った日から6か月以内であっても,決定の日から1年を経過した場合には処分の取消しの訴えを提起できなくなります
                       平成28年4月27日
               独立行政法人国立高等専門学校機構
                      理事長 谷 口  功

     この謄本は,原本と相違ないことを証明する。
          平成28年4月27日

               独立行政法人国立高等専門学校機構
                      理事長 谷 口  功
**********

■結局、アカハラに関する文書の開示請求は1年間にわたる時間をかけた結果、存否について、群馬高専は、文書1について3件、文書2について2件、文書3について1件存在することを認めました。

 ちなみに文書1、2、3はそれぞれ次の内容でした。

●文書1 平成26年(2014年)4月1日以降,現在に至るまでの間に,貴学(群馬工業高等専門学校)内の関係者(教職員,学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む)に対して,学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書
●文書2 平成26年(2014年)4月1日以降,現在に至るまでの間に,学内のハラスメント行為に関して,学校長ら貴学幹部,あるいは総務課や学生相談室,カウンセラーあてに,貴学内(教職員,学生を含む)或いは貴学外の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む)から寄せられた申立てや相談などのー切の文書。
●文書3 文書2の受付後,貴学内において対応等を協議した場合は,その起案書や議事録などの一切の関連文書。

 一方、当会が平成27年12月1日付で内開府情報公開・個人情保護審査会事務局あてに提出した意見書では、次の点を指摘していました。

*****【文書2相当】*****
③西尾典眞学校長への相談、申立等について、異議申立人が把握している限りでは少なくとも次の6回はあるはずである。
 a)2014 年11 月に学生に実施したアンケートに基づき、学生会(いわゆる生徒会にあたる)より
 b)2014 年11 月下旬に、■■■■工学科学生からのハラスメントに関する相談が激増したことに関して、学生相談室長より
➡c)2014 年12 月下旬に■■■■工学科教員より、ハラスメントに関する申立書として
 d)2015 年1 月中旬に、■■■■工学科4 年生が校長室に直接
 e)2015 年1 月下旬に、■■教授の問題行動で紛糾した理事会と、その直後に救済を訴えてきた■■■■工学科4 年生を受けて、後援会(いわゆるPTAにあたる)会長が校長室に直接
➡f)2015 年2 月下旬に、■■教授のハラスメント行為に遭った学生を中心にした13 名の学生への聴取記録をもとにした「人権・被害救済の申し立て」として
*****【文書1相当】*****
● 2015 年4 月の、■■■■工学科5 年生保護者に向けた西尾校長名の説明文書
**********

■すなわち、文書2について群馬高専側が2件存在すると言っているのは、上記はc)とf)のようです、

 また、文書1について群馬高専側が3件存在すると言っているなかに、上記の2015年4月付で電子情報工学科5年生保護者に向けた西尾校長名の説明文書があるようですが、その他2件は不明です。

 さらに、文書3については、群馬高専側は「(校長に)寄せられた文書を受けて事実関係を確認しとりまとめた文書が1件ある」としていますが、当会では確認できていません。

■それにしても、決定書の謄本と一緒に、あらためて不開示決定通知書を送ってくるところを見ると、当初から方針を決めていた可能性があります。

 今回の決定書の内容を踏まえて、2カ月前に、機構から送られてきた決定書(実際には、群馬高専の意見を取り入れて機構が作成したもの)をもういちど見直してみると、国の機関に対するこの種の異議申し立てに対する内閣府情報公開・個人情報保護審査会の答申のやりかたが解ってきます。

 すなわち、国民に知られたくない情報は、最初に不開示とする際に「存否応答拒否」という理由を付けるのです。当然、国の機関の情報を知りたいと思っている国民は、異議申立てをします。

 すると、国の機関(=諮問庁)の情報不開示を審査する立場にある内閣府情報公開・個人情報保護審査会は、「存否応答拒否」のみを捉えて、それについて審査をして「せめて情報の有無くらいは教えてやれ」と諮問庁に答申をするのです。

 当会は、審査会の結論である「本件存否情報は法5条1号の不開示情報に該当しないので、本件対象文書の存否を明らかにして開示決定等をすべきであることから、取り消すべきであると判断した」とする判断理由について、『存否を明らかにすると同時に個人情報を除く情報を開示してくれるのではないか』と誤った想定をしてしまいました。

 なぜなら、当会の異議申立てを受けて行われた内閣府審査会での検討作業の結果、存否にかかる独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(=法)8条に関する点を最も重視しつつも、法5条1号に関連する判断として「『申立てや相談等があったという事実の有無』が、公にすることにより個人の権利利益を害するおそれがある情報であるといえるのは、当該情報が公にされたことによって現に存在するハラスメント申立て又は相談に係る事案の当事者が特定又は推測される恐れがある場合、あるいはそれを契機として学生を始め関係者が内外からその意に反する働きかけを受けたり好奇の目にさらされたりすると言った事態が生じる蓋然性が高まる場合などに限られると思料される」としていることから、文書2については、不開示になることはありえても、文書1と文書3については、開示対象として群馬高専側に再考を求めている、と考えたからでした。

 ところが、機構=群馬高専側は、上記のとおり不開示決定通知書と決定書を一緒に送り付けてきました。

■今後の対応について、当会では行政訴訟も視野に入れて検討する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(抜粋)
**********
(法人文書の開示義務)
第五条  独立行政法人等は、開示請求があったときは、開示請求に係る法人文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該法人文書を開示しなければならない。
 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
イ 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項 に規定する国家公務員(独立行政法人通則法第二条第四項 に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条 に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
二  法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 独立行政法人等の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
三  国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
四  国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
ロ 犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
ハ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
ニ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ホ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
ヘ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ト 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

(部分開示)
第六条  独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。
2  開示請求に係る法人文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。

(公益上の理由による裁量的開示)
第七条  独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該法人文書を開示することができる。

(法人文書の存否に関する情報)
第八条  開示請求に対し、当該開示請求に係る法人文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、独立行政法人等は、当該法人文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。
**********

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タゴ51億円事件の刑事判決から20年・・・公訴時効が徒過してから届いた安中市長からの回答書

2016-04-29 23:16:00 | 土地開発公社51億円横領事件

■安中市土地開発公社を舞台にした史上空前の巨額詐欺横領事件、通称「タゴ51億円事件」は、平成8年4月8日に前橋地裁で元職員に対する懲役14年、未決拘留200日の有罪判決が下され、2週間後の4月22日に確定しました。したがって、現在はもういかなる手段をもってしても、事件関係者を訴追することはできなくなってしまいました。

2016年4月16日付回答書が同封された安中市からの封筒。

 当会はタゴ事件の公訴時効20年の節目と、まもなく迫るタゴ51億円事件発覚21周年“忌”祈念日の5月17日を前に、2016年4月5日付で緊急要請書を提出していました。
○2016年4月5日:タゴ51億円事件の刑事判決から20年・・・迫る公訴時効20年を前に安中市長に緊急要請
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1949.html

 公訴時効確定のタイミングを見越してなのかどうかわかりませんが、安中市長から4月26日付で回答が郵送されてきました。内容は次のとおりです。

**********

                      ( 公 印 省 略 )
                      平成28年 4月26日
 小 川  賢  様

                    安中市長 茂木 英子
                     (総務部企画課)

         緊急要請書に対する回答について

 貴殿より平成28年4月5日付けで送付のありました「緊急要請書」に
つきまして、下記のとおり考え方を申し述べ、回答とさせていただきます。

                記

 ご要請いただきました、当該刑事事件に関する裁判関係記録は、安中市
土地開発公社において保管されております。
ご指摘をいただいたとおり、本事件の事実を安中市としての教訓とし、
二度とこのような不祥事が起こらないよう、再発防止に万全を期す覚悟で
ございますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
**********

■当会からの緊急要請書に対しては、4月14日に情報開示の件で安中市役所を訪問した際、秘書課で、今年4月に就任したばかりの粟野好英・総務部長と面談した際、「現在、市長から言われて企画課と調整中だ」というコメントをもらっていました。ようやく調整が終えたと見えて、今回封書で回答を寄せて来たものです。

 内容からすれば、当該刑事事件に関する裁判関係記録は、安中市土地開発公社において保管されていることになっています。

 しかし、この巨額詐欺横領事件は、群馬銀行に当時開設されていた安中市土地開発公社(茂木一義・理事長)の特別会計口座のみならず、安中市や公社の正式な口座からも億単位に金額が“堂々と”公金横領されていました。したがって、本来であれば市と公社で協働して保管されていなければなりません。

■いずれにせよ、裁判関係記録がどうやらキチンと市役所のどこかに保存されているらしいことは確認できました。

 だからといって、公社が保管しているタゴ51億円の刑事事件に関する裁判関係記録が、行政文書公開請求書にもとづいて、公社が全面開示することにはならないのが実情なのです。なぜなら当会はこれまで何度も刑事確定記録の全面的な入手と開示を、直接、前橋地検に要請したり、あるいは間接的に安中市長経由で前橋地検に要請したりしてきましたが、いずれも事件関係者の平穏な生活を乱す恐れがあるとして、実現できませんでした。

 いよいよ公訴時効20年が過ぎたことで、こうした制約はもはやないと思われますが、当会としては、タゴ51億円事件が一般市民の間に実質的に公表された6月3日を目途に、あらためて、前橋地検と安中市・公社に対して、刑事確定記録よび裁判関係記録の開示請求をしてみたいと考えております。

【ひらく会情報部】

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大同有害スラグ問題を斬る!・・・大同様ら発行「スラグ混合砕石パンフレットはデタラメだらけ③」の巻

2016-04-28 23:39:00 | スラグ不法投棄問題
■シリーズでお伝えしております大同スラグ・パンフレットの内容検証ですが、今回から2ページ目に突入です。2ページ目の表題は「品質管理 安定供給・高品質を保証する」とキッパリ宣言をしています。「RC40」を名乗れるのは、建設副産物のコンクリートやアスファルト等をリサイクルした建設資材のみです。その点を考慮しながら、毒入り砕石をどう保証するのか見ていきましょう。

*****リットン調査団の検証レポート*****
 リットン調査団、検証レポートを続けます(^^)/。


冒頭に、2ページ目の流れが前説明されています。

 「スラグ混合再生路盤材(RC40)の品質を完全保証します。」と説明は熱を帯びてきました。有害スラグに「保証」という言葉が馴染むのか?・・・と思っているところに「完全」を加えてきたのです。なかなかの力のこもりようです。

 “カ~ン!”さぁ、ゴングが鳴らされ「大日本インチキヘビー級、有害スラグ保証対決3本勝負の始まりで~す」。↑


1本目。ここでは「蒸気エージング設備」について説明されています。

 スラグは水を含むと膨張する性質があり、通常、数ヶ月、大気にサラしスラグを安定させるところ、大同の場合、通常ではなく、無理を押し通して、蒸気によって「膨張崩壊性の安定」を図るのだそうです。

 「※残存膨張率<1.50%保証」とまさかの「0%保証」ではありません。つまり、少しは膨張することにしておいて、問題が起こったとき誤差の範囲内と主張する余地を残すやり方のようです。どこが「完全保証」なのでしょうか?「膨張崩壊性の安定」というのは、「安定的に膨張崩壊します」という意味なのでしょうか?その結果、リットン調査団の調査結果にあるように、あちこちの道路で隆起やひび割れを誘発しています。

 ブラック企業の「保証」は、ブラックジョークなのかもしれません。いずれにしても、ブラック企業の言うことほど当てにならないものは、ありませんね。


2016年4月5日の上武鳥取信号付近の様子です。

 この現場状況のどこが「1.50%未満の残存膨張率保証」なのでしょうか?それもただの保証ではありません。大同様の場合は「完全保証」をうたっているのです。歩道のアスファルトを凸凹にしているばかりか、コンクリートを破壊し10cm以上隆起させています。このような状況でも1.50%以内なのでしょうか?この破壊状況が1.50%以内なら、とてもじゃないが危なくて建設資材として使用できません。

 ところで国土交通省は、この危険な状態を直すことはしないのでしょうか?↑


2本目。これは「蒸気膨張試験機」の説明です。

 ここの説明はかなり問題です。「本試験機は、蒸気エージングの発想を元に開発したもので」とあり、記述から大同様が試験機を開発したと推測することができます。通常は大気に長期間曝して膨張崩壊性を安定させるところを、大同様の都合で蒸気エージングという発想を元に、この試験機にかけて、強引に“安定した”ことにしているのです。

 その安定性を計測する重要な試験機が、大同様自ら開発した機械というのでは、いわゆるお手盛りで、自分に都合よく試験結果を操作できてしまうのではないでしょうか?三菱自動車の燃費偽装事件を思い出させますね。

 まさに、この蒸気膨張試験機は「大同様の(of the Daido)、大同様による(by the Daido)、大同様のための(for the Daido)、蒸気エージング試験機」なのです。↑

 説明は更に続きます。「短期間にスラグの最終膨張値を判定することができます」という説明については、かなり疑問が湧いてきます。あちこちの道路を凸凹にした佐藤建設工業の建設資材納入先から考えると、最終膨張値を判定できないのではないか?と思われます。

 百聞は一見に如かず・・・実際に納入された現場の被害が真実を語っています。


2015年10月5日渋川市半田信号付近の歩道の様子。アスファルトが隆起し、亀裂が入ってしまいました。

 次の、「この技術は現在、広く普及し路盤材の品質保証に貢献しています」という説明にも疑問があります。

 路盤材には、「再生砕石」「天然砕石」それに「道路用鉄鋼スラグ」がありますが、再生砕石や天然砕石に「この蒸気膨張試験機の技術」は必要ありません。したがって路盤材の品質保証にほとんど貢献していません。鉄鋼スラグ協会・会員の「スラグ路盤材の品質保証のみ」に貢献しているのです。

 ここで読者の皆様と考えたいのは、もしかしたら鐵鋼スラグ協会のメンバーがこの蒸気膨張試験機の技術=ゴマカシ技術?を使っているんではないか、ということです。そうだとすれば、鉄鋼スラグ協会が推奨する路盤材は、膨張の危険を含んだ疑わしい路盤材となってしまうのではないでしょうか?

 事実、群馬だけでなく愛知県の水道工事現場でもアスファルト破壊がありました。


中日新聞2014年10月31日 水道工事ミスで道路亀裂 名古屋など220カ所の様子。


3本目は、「天然砕石 破砕分級、混合処理」の説明です。

 ブラック佐藤建設工業が天然砕石を供給しています。まず天然砕石を適切な粒度に破砕分級するそうですが、佐藤建設工業が納入した30ミリサイズ・40ミリサイズ・100ミリサイズなどの全ての種類の建設資材に有害スラグが混入しています。天然石自体、適切な管理がされていたのか大変疑問です。

 大同エコメットから遠路はるばる運ばれてきた有害スラグは、「スラグ路盤材原料」と名を改め天然砕石と「均一混合」するそうです。上のパンフレット写真のように、文字通り山積みとなっている材料置き場で、天然石と有害スラグをどう「均一」に混ぜるのでしょうか?

 しかも混合場所の運営は、スラグ運搬車の運転手(運び屋)の勝手気ままに任されていた状態でした。つまり、放任状態だったのです。パンフレットの写真のようにスラグ混合場所がいっぱいになってくると、スラグ運搬車が横付けしやすい場所に勝手に有害スラグを荷卸ししていたのです。混合場所のどこに有害スラグがあるかわからない状態で、出荷するときにはスラグ運搬車が、またしても勝手に積み込みし易い所からスラグ運搬車に積み込み不法投棄へと向かったのでした。


有害スラグ混合場所の様子。ミキシングマシンなど無く積み込み用の大型重機があるのみ。

 混合場所の設備に目を向けると、「均一混合」とパンフレットに高らかに宣言しながら、ミキシングマシンらしき設備は見当たりません。どのように均一?に混ぜるのでしょうか。この混合設備には鐵鋼スラグ協会の監査が度々行われていますが、「均一」についてどのように考えていたのでしょうか。パンフレットに宣言しているのですから、「均一」について検証が行われているはずです。この「均一」なる言葉は、鉄鋼業界全体に影響を及ぼしかねないキーワードなのではないでしょうか。

 遮断型最終処分場以外に有毒スラグをまき散らす極悪非道の犯罪事業計画ですから、ミキシングマシンなどで手数をかけて処理することは、もとより予定していなかったのでしょう。そればかりか、この混合所に運ばずに現場に直接100%生一本有害スラグを現場に投棄しているケースも多々あるのです。もともとズサンな混合の仕方だっただけに、次第にそれさえ面倒になって、混合は見せかけだけで、故意に有害スラグを不法投棄したことが分かります。なりふり構わず不法投棄に邁進した様子がうかがえます。

■“カン・カン・カン!”これにて「大日本インチキヘビー級、有害スラグ保証対決3本勝負」終了で~す。

 “完全保証”は勝利することができたのでしょうか。さすがにブラック企業です。有害スラグに「保証」という言葉が馴染まないばかりか、「完全」をも目指したこの勝負、所詮は不法投棄なので、毒を食らわば皿までとばかりに暴走を限りを続けたことが見て取れるのです。
**********続く**********

■大同スラグ・パンフレットの2ページ目をご覧いただきました。1ページ目だけでも驚愕のダマしっぷりでしたが、2ページ目に至ると更にエスカレートしている有様です。これほどまでの嘘ツキが日本にいられるのかと思うと、悲しく・空恐ろしくさえ思えてなりません。

 一部上場企業の優秀な頭脳も、タッグを組む相手をひとたび間違えるとあらぬ方向に舵を切ってしまうのでしょうか?あるいは毒入りスラグのホコリや蒸気を吸い込んでいるうちにおかしくなったのでしょうか?それともこの企業がもともと持つ文化が具現化した結果なのでしょうか?

■2016年4月26日群馬県警は大同・佐藤のブラック連合を書類送検しました。

 毎日新聞では、次のように報道しています。

『書類送検を受け、大同の広報室は毎日新聞の取材に県内各地のスラグ使用箇所で進められている撤去・被覆工事の費用を同社が負担している点については「スラグを含む材料の環境安全品質に不備があったため」と説明し、あくまで「不良製品」への対応だとの認識を示した。』

 大同スラグ・パンフレットで紹介されている、天然石と有害スラグの混合の仕方を見ると、およそ管理している状態ではありません。ミキシングマシンも無く、どこに何が入っているか分からない状態の山盛りストック場所で、ただ単に大型建設機械で積み込んでくるだけですので、全てが「不良製品」=管理していない有害物=廃棄物なのではないでしょうか。

 このパンフレットに書かれた内容を実践していると「完全保証」を主張するのであれば、大同・佐藤ブラック連合側は、ミキシングマシンもなくなぜ15%~20%の混合率の細かい指示が達成できるのか?混合所に人が常駐しているのか?スラグ運搬車の運転手が混合を行うのなら毎回の混合比率の指示書が存在するのか?などを立証しなければならないでしょう。

■パンフレットの説明上ブラック企業の詭弁を解説してきましたが、そもそも固体同士は混ざり合うことはないのです。有害スラグが1%でも入っていれば有害な産業廃棄物なのです。

 このような「完全保証」をうたうパンフレットまで作成し、県会議員を使い群馬県県土整備部に近づき、有害スラグの使用のお墨付きを出させ群馬県全域に不法投棄の手を広げた今回の有害スラグ事件で“きれいな群馬ちゃん”は毒まみれにされてしまいました。このパンフレットが巧みに利用され、遮断型処分場以外に投棄されたのです。有害スラグ事件は、まぎれもない不法投棄事件なのです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※当会注:パンフレット特集①②はこちらをご覧ください↓
(青いURLをクリックしてください)
○2016年4月17日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・大同様ら発行「スラグ混合砕石パンフレットはデタラメだらけ①」の巻
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1962.html
○2016年4月19日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・大同様ら発行「スラグ混合砕石パンフレットはデタラメだらけ②」の巻
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1966.html

※参考資料1:2011年11月29日大同・大同エコメット・佐藤建設工業ブラック三者会議資料

※PDFはこちら→ 3c1129.pdf
「パンフレットも作り直すべき」「県議も使う」「県訪問」「国交省へもアプローチ検討」など恐ろしい文字が並びます。今回取り上げたパンフレットを使い群馬県に働きかけた様子が分かります。
詳しくはこちらをご覧ください↓
大同スラグ問題を斬る!…スラグ不法投棄撲滅を目指すリットン調査団の目(その1)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1758.html#readmore

※参考資料2:群馬県・県土整備部のお墨付き
**********
・有害スラグ混合砕石は再生骨材と原則同様に取扱うという
・鉄鋼スラグの水浸(蒸気)膨張性試験1.5%以下
・土壌汚染対策法における鉄鋼スラグに残留のおそれのある5品目についてブレンドした後の下記の②溶出・含有試験結果を提出させる。
などパンフレットを参考にしたと思われる記述や大同様に有利な記述が見られます。

**********

                    監 第647-003号
                      平成22年6月11日
県土整備部内所属長
土木事務所長      様
関係機関の長
                    県土整備部 監理課
                    建設政策室長 倉嶋 敬明
砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)
 本県では、再生資源の利用及び再資源化施設の活用を図ることを目的とした「再生資源の利用に関する実施要領」及び「建設副産物から生産した再生材の使用に関する仕様書」を定め運用しているところであり、工事目的物に要求される品質等をし考慮したうえで、原則として再生骨材を利用することとなっております。
近年、中毛地区及び北毛地区において砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)に電気炉クラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材が流通しており、国、県、市町村が発注する公共工事での使用実績も多数あるとの報告を受けております。鉄鋼スラグの使用も再生資源の有効活用に繋がることから、下記のとおり取扱いを定めます。
 なお、土木事務所におかれましては、管内市町村への参考送付をあわせてお願いします。
          記
1.砕石骨材(クラッシャラン)にクラッシャラン鉄鋼スラグをブレンドした骨材は、積算基準(地区単価)、出来高管理基準、品質管理基準を再生骨材と原則同様に取扱う。
① 構造物の基礎工及び裏込材:C-100とCS-40のブレンドした骨材はRC-100と同様に取扱う。
② 車道用下層路盤工:C-40とCS-40のブレンドした骨材はRC-40と同様に取扱う。
③ 当初設計では構造物の基礎工及び裏込材(RC-100)、車道用下層路盤工(RC-40)で積算し、工事請負業者が実施工でブレンド材を使用した場合にも変更設計の対象としない。
2.CS-40がブレンドされていることから、ブレンドされる前のCS-40について下記の膨張性試験結果① を提出させる。(鉄鋼メーカーの試験成績表での代用も可とする。)
① 品質管理基準及び規格値(ブレンドされる前のCS-40、使用1ヶ月以内)
 下層路盤工: 鉄鋼スラグの水浸(蒸気)膨張性試験1.5%以下
       (道路用スラグの呈色判定試験は電気炉スラグの場合は必要無し)
また、土壌汚染対策法における鉄鋼スラグに残留のおそれのある5品目についてブレンドした後の下記の②溶出・含有試験結果を提出させる。(骨材プラントの試験成績表での代用も可とする。)
② 5品目の溶出・含有試験結果(ブレンドした後、使用1年以内)
5品目成分名 / 土壌環境基準値【溶出量(㎎/l)注1・含有量(㎎/㎏)注2】
六価クロム化合物   /   ≦0.05  ・ ≦250
セレン及びその化合物 /   ≦0.01  ・ ≦150
鉛及びその化合物   /   ≦0.01  ・ ≦150
ふっ素及びその化合物 /   ≦0.8   ・ ≦4,000
ほう素及びその化合物 /   ≦1     ・ ≦4,000

詳しくは↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1346.html#readmore
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1408.html#readmore

※参考資料3
**********2016年4月27日 毎日新聞 群馬
http://mainichi.jp/articles/20160427/ddl/k10/040/106000c
有害スラグ問題 鉄鋼スラグ「廃棄物」認定 不正処理容疑、大同など書類送検 県警 /群馬
 大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、県警は26日、廃棄物処理法違反容疑(委託基準違反など)で大同など法人3社と各社の役員ら計5人を前橋地検に書類送検した。取引実態などからスラグを「廃棄物」と判断したが、大同側は当初から「廃棄物ではなく製品」と主張しており、地検の判断が注目される。【山本有紀、尾崎修二、杉直樹】
===
 送検されたのは大同と元渋川工場長の役員(56)▽子会社「大同エコメット」(愛知県東海市)と社長(66)、渋川事業所長だった元従業員(68)▽建設会社「佐藤建設工業」(渋川市)と役員(72)、従業員(65)。
 送検容疑は、2011年3月〜12年3月、大同は、廃棄物処理に必要な許可を受けていない「大同エコメット」にスラグ計約2万8300トンの処分を約300回にわたって委託して処理。このうち佐藤建設工業は計約1万8500トンを1800回に分けて収集したとしている。認否については明らかにしていない。
 スラグは鉄を精製する際に発生する副産物。有害物質が含まれていないことなどを条件に建設資材に再生利用されている。
 県警が、大同のスラグを廃棄物と認定した理由は、(1)大同はスラグに環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷(2)販売額以上の金額を「販売管理費」名目で支払う「逆有償取引」で販売していた(3)流通経路が大同→大同エコメット→佐藤建設工業の一つしかない--など。
 県は環境省と協議し、昨年9月に大同ら3社を刑事告発。告発を受け、県警は大同の名古屋・東京本社や同工場など関係先を100人態勢で家宅捜索し、これまで関係者約70人から事情聴取してきた。捜査の結果、県と同様に「廃棄物」と認定。3社とも「廃棄物」との認識を持ちながら取引を続けていたとみている。書類送検の理由について「逃走や証拠隠滅の恐れがないため」としている。
 大同や佐藤は県の調査に対し「スラグは廃棄物ではなく、製品として取引してきた」と説明しており、捜査段階でも同様だったとみられる。
 書類送検を受け、大同の広報室は毎日新聞の取材に「送検容疑の『廃棄物であるスラグの処分や収集を委託した』との認識はない」と強調。現在、県内各地のスラグ使用箇所で進められている撤去・被覆工事の費用を同社が負担している点については「スラグを含む材料の環境安全品質に不備があったため」と説明し、あくまで「不良製品」への対応だとの認識を示した。
 大同エコメットは「まだ(捜査)途中段階なのでコメントできない」(総務部)、佐藤建設工業は「広報担当が決まっていないのでコメントできない」としている。
★再調査、新たな使用箇所公表へ
 県によると、2002〜14年に大同特殊鋼渋川工場から出荷されたスラグは約29万トン。昨年9月の県の集計では、長野原町の八ッ場ダム移転代替地など公共工事225カ所でスラグ使用が発覚し、93カ所で環境基準を超えるフッ素などが検出された。その後、県内市町村が過去の工事記録などを基に調査したところ、新たなスラグ使用箇所が少なくとも数十カ所発覚したため、県は近く新たな集計結果を公表する。
 昨年9月時点では、国土交通省、独立行政法人水資源機構、県、渋川市、前橋市の公共工事だけが集計対象だった。その後、榛東村でソフトバンクの子会社が村有地に設置した大規模太陽光発電所(メガソーラー)敷地内で環境基準を超える有害な鉄鋼スラグが見つかるなど、渋川市周辺を中心に新たな使用が続々と発覚。民間工事についても大同特殊鋼が使用実態を調べており、県廃棄物・リサイクル課は市町村による公共工事と合わせて発表する方針。【尾崎修二】
**********
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【速報】大同有毒スラグを斬る!・・・「大同・佐藤 書類送検へ」各報道機関の報道ぶり(続き)

2016-04-27 23:46:00 | スラグ不法投棄問題

■群馬県の告発で県警が強制捜査に踏み切ってから7か月半後、ようやく大同・佐藤ブラック連合が検挙されたというニュースから一夜明けた2016年4月27日も、新聞各社でスラグ報道がありました。
**********2016年4月27日上毛新聞



スラグは「廃棄物」 大同など3社書類送検 県警
 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグが県内の公共工事で使われ、一部で環境基準値を超すフッ素や六価クロムが検出された事件で、県警生活環境課と渋川署は26日、廃棄物処理法違反(委託基準違反など)の疑いで、同社を含む3社と、その役員ら5人を前橋地検に書類送検した。県警は県が告発した内容を捜査でほぼ裏付け、同工場から一時期に出たスラグを「廃棄物」と判断した。
===
 スラグの不正処理を巡る事件の立件は全国初とみられる。
 県警はスラグを廃棄物と認定した経緯を「控えたい」と明らかにしていないが、取引形態などから総合的に判断したもようだ。捜査段階での認否も明らかにしていないが、3社は県の聞き取りに「廃棄物でなく、製品として取引していた」などと説明していた。今後は前橋地検の判断が注目される。
 ほかに送検されたのは同社の子会社の大同エコメット(愛知県)、佐藤建設工業(渋川市)、各社の役員の男性ら計5人。「契約などで中心的な役割を担った人物を立件した」という。県警は任意事件として容疑者名を公表していない。
 送検容疑は、大同特殊鋼は2011年3月~12年3月、県の許可を受けていなかった大同エコメットに、計約2万8300トンのスラグの処理を約300回にわたって委託した疑い。同社はこれを請け負い、中間処理した疑い。佐藤建設工業は大同特殊鋼から、県の許可を受けずにスラグ計約1万8500トンを収集した疑い。
 県警は15年9月に3社の関係先を家宅捜索した。約70人の事情聴取を重ねる一方、スラグの運搬記録を精査、分析して、立件可能なスラグの排出時期や量を特定した。県警は「証拠品が膨大なことなどから相当に時間がかかったが、捜査は一区切りした。補充捜査の必要があれば対応する」としている。
 大同特殊鋼総務部広報課は「送検された事実を真摯に受け止め、今後の地検の捜査にも全面的に協力したい」とコメントした。

**********2016年4月27日朝日新聞 群馬

http://www.asahi.com/articles/DA3S12329937.html
「役員ら中心的役割」 県警、大同特殊鋼など書類送検 /群馬県
 大手鉄鋼メーカーの大同特殊鋼(本社・名古屋市)の渋川工場から有害物質を含む鉄鋼スラグ=キーワード=が排出された問題で、県警は26日、同社など3社と各社役員ら5人を廃棄物処理法違反の疑いで書類送検し、「おおむね捜査に区切りがついた」との見解を示した。一方、県や自治体は、排出されたスラグが使われた工事現場の調査を進めている。
===
 県警が書類送検したのは、大同特殊鋼、子会社の大同エコメット(愛知県東海市)、佐藤建設工業(渋川市)の計3社と、当時の渋川工場長で、現在大同特殊鋼の役員(56)の男性ら計5人。県警は、5人が契約や業務の指示などで中心的な役割を果たしたとみている。捜査関係者によると、認否について「知らなかった」などと話しているという。
 発表によると、大同特殊鋼は2011年3月〜12年3月、約300回にわたって、産業廃棄物処理業の許可を得ていない大同エコメットに、スラグ計約2万8300トンの処理を依頼した疑いが持たれている。エコメットは県知事の許可を受けずに、依頼を受けたスラグを中間処理し、佐藤建設工業がそのうち約1万8500トンをトラックなどで計1800回、収集や運搬した疑いがある。
 県警は、関係先を家宅捜索して段ボール箱100箱以上の資料を押収したり、関係者約70人から任意で事情を聴いたりしたという。
 県のこれまでの調査で、大同特殊鋼は「スラグは廃棄物ではなく、商品として取引していた」と説明する一方、2社に対し、スラグの購入代金を上回る金額を支払っていた。県警はこうした不自然な取引実態に着目。取引価格や占有者の意思などから、おからを産業廃棄物と認定した1999年の最高裁判例を参考に、スラグを廃棄物と認定したという。
 大同特殊鋼の広報担当者は取材に「調べには真摯(しんし)に対応したい。地域の方々には迷惑をかけ、申し訳ない」と話した。
★スラグの使用状況、県など解明進める
 県によると、大同特殊鋼渋川工場は、操業を始めた1930年代後半から鉄鋼スラグを土地造成材などとして再利用してきた。
 鉄鋼業界では環境への影響を考慮し、フッ化物(蛍石)を使用しない操業への移行が進んだが、渋川工場では不純物を取り除くために使い続け、環境基準を超えるフッ素が出た。同社は内部調査の結果として「基準超過品を把握し、出荷を防ぐための品質管理が不十分だった」と結論づけた。
 3社間の取引形態について排出側が処理側に支払う代金が、処理側が購入する代金を上回る「逆有償取引」との指摘については、「(廃棄物ではなく、製品を)当社に代わり、生産・販売してもらう対価の趣旨だった」と説明している。
 県の調査では、2002〜14年に渋川工場から出荷された鉄鋼スラグは約29万トン。路盤材を購入した建設業者はスラグの性状を知らされていなかった。建設業界関係者は「工事で使う材料は元請けの指示で決まるため見抜くのは困難だ」と話す。
 県のまとめ(昨年9月)では、渋川工場の鉄鋼スラグは県内の公共工事計225カ所で使われ、93カ所で基準を上回るスラグが確認された。県は自治体や民間に調査を求め、使用状況の全容解明を進めている。
 国や県、自治体はスラグや周辺土壌を撤去したり、盛り土や舗装で覆ったりする対応を取り、大同側に費用負担を求める方針だ。県は「ただちに健康への影響はない」としている。
■業界は指針順守を
 <産廃実務に詳しい行政書士・尾上雅典さんの話> 「会社の利益確保」のために行われた行為ならば、企業として法令順守に対する認識が欠落していたと言える。環境基準を超えるスラグが出回ることで、安全で適切に管理されたスラグの信用性を損ねる結果にもなった。行政が個別企業の取引実態を把握するのは非常に困難だ。業界全体としてガイドラインの順守徹底や会計監査人に対する廃棄物取引の知識を普及させる取り組みが必要と考える。
◆キーワード
 <鉄鋼スラグ> 鉄をつくるときにできる副産物。鉄1トンに対し約400キロの鉄鋼スラグができる。国内で年間の発生量は約4千万トン。環境基準を満たしている物はセメント原料や道路の路盤材として利用できる。生成量の9割以上が再利用され、「リサイクルの優等生」とも呼ばれる。再利用されないスラグは産業廃棄物の「鉱さい」にあたる。

**********2016年4月27日 毎日新聞 群馬県

http://mainichi.jp/articles/20160427/ddl/k10/040/106000c
有害スラグ問題 鉄鋼スラグ「廃棄物」認定 不正処理容疑、大同など書類送検 県警 /群馬
 大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、県警は26日、廃棄物処理法違反容疑(委託基準違反など)で大同など法人3社と各社の役員ら計5人を前橋地検に書類送検した。取引実態などからスラグを「廃棄物」と判断したが、大同側は当初から「廃棄物ではなく製品」と主張しており、地検の判断が注目される。【山本有紀、尾崎修二、杉直樹】
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 送検されたのは大同と元渋川工場長の役員(56)▽子会社「大同エコメット」(愛知県東海市)と社長(66)、渋川事業所長だった元従業員(68)▽建設会社「佐藤建設工業」(渋川市)と役員(72)、従業員(65)。
 送検容疑は、2011年3月〜12年3月、大同は、廃棄物処理に必要な許可を受けていない「大同エコメット」にスラグ計約2万8300トンの処分を約300回にわたって委託して処理。このうち佐藤建設工業は計約1万8500トンを1800回に分けて収集したとしている。認否については明らかにしていない。
 スラグは鉄を精製する際に発生する副産物。有害物質が含まれていないことなどを条件に建設資材に再生利用されている。
 県警が、大同のスラグを廃棄物と認定した理由は、(1)大同はスラグに環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷(2)販売額以上の金額を「販売管理費」名目で支払う「逆有償取引」で販売していた(3)流通経路が大同→大同エコメット→佐藤建設工業の一つしかない--など。
 県は環境省と協議し、昨年9月に大同ら3社を刑事告発。告発を受け、県警は大同の名古屋・東京本社や同工場など関係先を100人態勢で家宅捜索し、これまで関係者約70人から事情聴取してきた。捜査の結果、県と同様に「廃棄物」と認定。3社とも「廃棄物」との認識を持ちながら取引を続けていたとみている。書類送検の理由について「逃走や証拠隠滅の恐れがないため」としている。
 大同や佐藤は県の調査に対し「スラグは廃棄物ではなく、製品として取引してきた」と説明しており、捜査段階でも同様だったとみられる。
 書類送検を受け、大同の広報室は毎日新聞の取材に「送検容疑の『廃棄物であるスラグの処分や収集を委託した』との認識はない」と強調。現在、県内各地のスラグ使用箇所で進められている撤去・被覆工事の費用を同社が負担している点については「スラグを含む材料の環境安全品質に不備があったため」と説明し、あくまで「不良製品」への対応だとの認識を示した。
 大同エコメットは「まだ(捜査)途中段階なのでコメントできない」(総務部)、佐藤建設工業は「広報担当が決まっていないのでコメントできない」としている。
★再調査、新たな使用箇所公表へ
 県によると、2002〜14年に大同特殊鋼渋川工場から出荷されたスラグは約29万トン。昨年9月の県の集計では、長野原町の八ッ場ダム移転代替地など公共工事225カ所でスラグ使用が発覚し、93カ所で環境基準を超えるフッ素などが検出された。その後、県内市町村が過去の工事記録などを基に調査したところ、新たなスラグ使用箇所が少なくとも数十カ所発覚したため、県は近く新たな集計結果を公表する。
 昨年9月時点では、国土交通省、独立行政法人水資源機構、県、渋川市、前橋市の公共工事だけが集計対象だった。その後、榛東村でソフトバンクの子会社が村有地に設置した大規模太陽光発電所(メガソーラー)敷地内で環境基準を超える有害な鉄鋼スラグが見つかるなど、渋川市周辺を中心に新たな使用が続々と発覚。民間工事についても大同特殊鋼が使用実態を調べており、県廃棄物・リサイクル課は市町村による公共工事と合わせて発表する方針。【尾崎修二】
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■昨日に続き、ほとんどの新聞報道でスラグが取り上げられました。環境問題として注目されていることが分かります。報道では「廃棄物でなく製品として取引していた」と主張していることが紹介されています、しかし県警も群馬県の判断を支持し、「スラグは廃棄物」と認定したことが大きく報道されています。廃棄物であれば許可を得た業者に処分を委託しなければならない、というのが報道の主眼であるとの考えが、これらの報道記事から推察できます。

「廃棄物」と認定されれば、処分の手続きもさることながら、ルールに則り処分されたかどうか、が問題となってくるでしょう。環境基準値を超えたフッ素という有毒物質が含まれたスラグは、遮断型処分場に処分するのがルールです。そのルールを破って、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」のです(廃棄物処理法第16条)。

 当会ではこの事件が、委託基準違反などの容疑から不法投棄の容疑へと捜査が発展することを信じつつ、今後ともこの事件を注視してまいります。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
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【速報】大同有毒スラグを斬る!・・・「大同・佐藤 書類送検へ」各報道機関の報道ぶり

2016-04-26 22:20:00 | スラグ不法投棄問題
■本日夕方のNHKのニュースで、大同特殊鋼・佐藤建設工業のブラック連合が書類送検されたことについて報じられました。

**********2016年4月26日NHKほっとぐんま640
廃棄物処理違反疑いで書類送検

 大手鉄鋼メーカーの大同特殊鋼が、県内の工場から出た有害物質を含む廃棄物の鉄鋼スラグの処分を許可をもたない業者に委託したとして廃棄物処理法違反の疑いで書類送検されました。

 書類送検されたのは名古屋市に本社がある大手鉄鋼メーカー、大同特殊鋼と関連会社など2社、それにそれぞれの会社の役員ら合わせて5人です。(当会注:書類送検されたのは、大同特殊鋼、その子会社の大同エコメット、建材メーカーの佐藤建設工業の3社、及びそれぞれの会社の役員です)

 警察によりますと、大同特殊鋼やその役員らは平成23年3月からおよそ1年間にわたって、渋川市にある工場から出た有害物質を含む廃棄物の鉄鋼スラグおよそ2万8300トンの処分を廃棄物を処理する許可をもたない関連会社に委託したとして廃棄物処理法違反の疑いがもたれています。

 大同特殊鋼の鉄鋼スラグを巡っては、県内の道路の舗装などに使われ環境基準を超えるフッ素や六価クロムが検出されました。

 警察は「鉄鋼スラグは建築資材ではなく廃棄物にあたる」などとする県からの刑事告発を受けて大同特殊鋼の本社や渋川市にある工場などを捜索するなど捜査を進めた結果、容疑が固まったとして書類を前橋地方検察庁に送りました。

 警察は大同特殊鋼の役員らの認否を明らかにしていません。

 大同特殊鋼は「鉄鋼スラグをめぐる処理について書類送検されたことを真摯に受け止めたい。関係する各方面に迷惑をおかけし深くおわびするとともに、今後検察の捜査に全面的に協力したい」と話しています。
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■上記のNHKのニュースでは言及していませんが、今朝の上毛新聞の報道では、大同・佐藤のブラック連合は「スラグは廃棄物ではなく、製品として取引していた」などと口裏を合わせて説明していたようです。これは、東邦亜鉛が「鉱滓などは工業製品だ」として、平然と深アオリのダンプトラックを使って、外側から見えないようにしながら、本来は深アオリのダンプで運んではいけないはずの鉱滓を運搬している行為を「合法だ」と主張しているのと、そっくりです。

 また、「警察は大同特殊鋼らの役員の認否を明らかにしていません」とあることから、ブラック連合は未だに、冤罪を主張している可能性もあります。末尾の朝日新聞デジタルの記事では「認否について『知らない』などと話しているという」と報じられています。したがって、これから検察で、会社の顧問弁護士らをフル稼働させて、実質的な影響を最小限に食い止めようとする可能性は十分想定されます。

 当会では小渕優子・元経産相の政治資金不正会計問題で、同代議士を告発しましたが、東京地検は、政治資金規正法や公職選挙法での容疑を共に不起訴処分にしてしまいました。今回も罪の有無と軽重を決めるのは検察なので、前橋地検による本告発事件の判断の行方が、ことのほか注目されます。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※その他のマスコミ報道
**********産経新聞2016.4.26 10:21
大同特殊鋼を書類送検へ 鉄鋼スラグ不正処理の疑い
 鉄鋼メーカー、大同特殊鋼(名古屋市)が渋川工場(群馬県渋川市)から出た有害物質を含む廃棄物「鉄鋼スラグ」を不正に処理したとして、群馬県警が26日に、廃棄物処理法違反の疑いで同社などを書類送検する方針を固めたことが、県警への取材で分かった。
 捜査関係者によると同社は、県の許可を受けていない子会社や業者と鉄鋼スラグを取引した疑いが持たれている。
 県によると、鉄鋼スラグは鉄鋼の製造過程で出る副産物。平成26年1月に群馬県が立ち入り検査を行うまでに計約29万トンが処理された。同県では公共工事225カ所で道路の舗装などに同社のスラグが使われ、うち93カ所で環境基準を上回る有害物質が検出された。
 県警は県からの刑事告発を受けて昨年9月、同社や子会社を家宅捜索していた。

**********毎日新聞2016年4月26日 11時24分(最終更新 4月26日 15時44分)
鉄鋼スラグ 大同など3社書類送検 廃棄物処理法違反容疑
 大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、群馬県警は26日、廃棄物処理法違反容疑(委託基準違反など)で、大同など法人3社と各社の役員ら計5人を前橋地検に書類送検した。県の刑事告発を受け、県警は昨年9月に大同など関係先を家宅捜索し、実態解明を進めていた。
 送検されたのは大同と同社役員(56)のほか、子会社「大同エコメット」(愛知県東海市)と役員(66)、元従業員(68)▽建設会社「佐藤建設工業」(渋川市)と役員(72)、従業員(65)。
 送検容疑は、2011年3月〜12年3月、大同は、廃棄物処理に必要な許可を受けていない「大同エコメット」にスラグ計約2万8300トンの処分を約300回にわたって委託して処理。佐藤建設工業が一部収集したとしている。認否については明らかにしていない。
 スラグは鉄を精製する際に発生する副産物。県によると、大同はスラグに環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷。販売額以上の金額を「販売管理費」名目で支払う「逆有償取引」で販売していた。県は環境省と協議し、こうした取引が建設資材を装った廃棄物処理に当たり、大同が排出したスラグは「廃棄物」と認定。昨年9月に大同ら3社を刑事告発していた。
 県警はこれまで関係者約70人から事情聴取し、県と同様、スラグを「廃棄物」と認定した。書類送検の理由について「逃走や証拠隠滅の恐れがないため」としている。
 大同や佐藤建設工業は県の調査に対し「スラグは廃棄物ではなく、製品として取引してきた」と説明していた。
 スラグは有害物質が含まれていないことなどを条件に建設資材に再生利用されている。
 02〜14年に同工場から出荷されたスラグは約29万トン。県内では群馬県長野原町の八ッ場ダム移転代替地や国道など公共工事225カ所でスラグ使用が発覚し、93カ所で環境基準を超えるフッ素などが検出された。【山本有紀、尾崎修二】

**********朝日新聞デジタル2016年4月26日13時03分
大同特殊鋼を書類送検 無許可の廃棄物処理に関与の疑い
 大手鉄鋼メーカー、大同特殊鋼(本社・名古屋市)の群馬県渋川市の工場から、基準値を超える有害物質を含む鉄鋼スラグが出荷された問題で、県警は26日、廃棄物処理の許可を持たない子会社などにスラグ処理を委託したなどとして、大同特殊鋼や関連企業など計3社と、当時の工場長で現在、大同特殊鋼役員の男性ら5人を廃棄物処理法違反(委託基準違反など)の疑いで書類送検し、発表した。認否について「知らない」などと話しているという。
 書類送検された会社は、大同特殊鋼、子会社の大同エコメット(愛知県東海市)、佐藤建設工業(渋川市)。発表によると、大同特殊鋼は2011年3月~12年3月、大同エコメットが産業廃棄物の中間処理業の許可を得ていないことを知りながら、スラグ約2万8300トンの処理を依頼した疑いが持たれている。エコメットは県知事の許可がないのにスラグを処理した疑いがある。
 県が15年9月、刑事告発していた。県によると、大同特殊鋼は02年11月から14年1月、スラグ約29万トンを排出。スラグは県や渋川市、国土交通省などが発注した公共工事225カ所で使われ、うち93カ所で有害物質が基準値を超えていた。3社は県の調査に「(出荷したスラグは)廃棄物ではなく商品として取引していた」などと説明したという。
 大同特殊鋼の広報担当者は取材に「調べには真摯(しんし)に対応したい。地域の方々には迷惑をかけ、申し訳ない」と話した。

**********時事通信2016/04/26-13:39
大同特殊鋼を書類送検=鉄鋼スラグ不正処理容疑-群馬県警
 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の群馬県内の工場から排出された有害物質を含む鉄鋼スラグが公共工事で使用された問題で、県警は26日、廃棄物処分許可のない子会社にスラグ処理を委託したとして、廃棄物処理法違反容疑で、法人としての大同特殊鋼など計3社と、同社役員の男(56)=名古屋市=ら5人を書類送検した。
 県警は認否を明らかにしていないが、県によると、3社はスラグを廃棄物と認識していなかったと主張していた。
 大同特殊鋼と役員の男の送検容疑は、2011年3月~12年3月ごろ、産業廃棄物処分業の許可を持たない子会社(愛知県東海市)に、産業廃棄物である鉄鋼スラグ計約2万8300トンの処理を委託した疑い。

**********日テレNEWS24 2016年4月26日 13:45
大同特殊鋼が書類送検 廃棄物処理法違反か
 工場から出た有害物質を含む産業廃棄物の処分を、許可を持たない関係会社に委託したとして、群馬県警は、大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」などを書類送検した。
 廃棄物処理法違反の疑いで書類送検されたのは、愛知県名古屋市に本社を置く鉄鋼メーカー大同特殊鋼とその関係会社2社とそれぞれの会社の役員や従業員など計5人。
 警察によると大同特殊鋼などは、2011年3月から1年間に、産業廃棄物処分業の許可を持たない関連会社に対し、フッ素や六価クロムといった有害物質を含む「鉄鋼スラグ」と呼ばれる廃棄物、約2万8000トンの処理を委託した疑いなどがもたれている。群馬県警は、大同特殊鋼や役員らの認否を明らかにしていない。
 この問題を巡っては、有害物質を含む「鉄鋼スラグ」が、群馬県内の道路などの公共工事に使われていたため県が、大同特殊鋼などを群馬県警に告発していた。

**********TBS2016年4月26日13:59
大同特殊鋼など書類送検、廃棄物処理法違反の疑い

 大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」が有害物質を含む廃棄物「鉄鋼スラグ」の処分を、許可を持たない業者に委託していたとして、書類送検されました。
 廃棄物処理法違反の疑いで書類送検されたのは、大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」など3社と、それぞれの会社役員ら5人です。
 警察によりますと、大同特殊鋼は2011年3月ごろからおよそ1年にわたり、群馬県渋川市の工場から出た有害物質を含む廃棄物「鉄鋼スラグ」およそ2万8300トンの処分を、許可を持たない業者に委託していたなどの疑いが持たれています。去年9月、群馬県からの刑事告発を受けて、警察が本社や工場を捜索するなど捜査していました。
 警察は役員らの認否を明らかにしていません。大同特殊鋼は「真摯に受け止め、今後の捜査にしっかりと協力していきたい」としています。
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