市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

県知事の被害届は即刻受理するのに県民が県職員の不祥事を告発しても受理しない群馬県警察の二重基準

2023-05-29 01:15:19 | オンブズマン活動

■刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めています。そのため、この要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると解されています。いわゆる公務員の告発義務の根拠とされているものです。ところが現実には、公務員は守秘義務を優先し、告発義務は殆ど忘れ去られたままです。その理由として告発義務の違反には罰則がないことが挙げられます。

 通常、民間であれば文書偽造や窃盗罪を犯したことがバレれば、直ちに告発され、さらに起訴され、有罪になれば前科が付くリスクが生じます。ところが、群馬県人事課は、群馬県職員の懲戒処分の指針に、告発義務が明記されていないことをよいことに、県職員が刑事罰を犯しても、懲戒処分をするだけで、警察に告発する必要がないと考えているようです。なぜなら当会が再三にわたり、刑事訴訟法に定める公務員の告発義務を果たしてほしいと要請しても、相変わらず馬耳東風だからです。

 この顛末は、以下のブログで報告しました。

○2023年5月28日:一般県民のツイートには直ぐに被害届を出すのに身内職員の不祥事を告発しない群馬県人事課の二重基準

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/30dc5c6d9020cf01e8a81eec67c3ddb3

 他方で、県民が県知事の悪口をTwitterに投稿すると、県職員は直ちに被害届を出したりします。そして警察も知事からの被害届を速やかに受理します。参考までに次のURLをご覧ください。

○2022年9月26日:【一太知事の独善】「安倍、竹中の次はお前だな」Twitter投稿に被害届を出した知事の思惑と今後の影響

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/2cc590ebde410757b2c779c1ebd28fc1

 

■このように県職員のコンプライアンスの元締めの人事課が、刑事罰を犯した職員を告発しようとしないため、やむなく当会は、2件の告発状を作成し、県警に提出することにしました。

 なぜならば、警察は、以下に示す平成31年3月27日付の通達に基づき、告発の受理を行う義務があるからです。

 

*****H31.3.27警察庁通達*****

                           継続

                    原議保存期間:5年(平成36年3月31日まで)

                                                 有効期間:一種(平成36年3月31日まで)

                                                 警察庁丙刑企発第41号、丙生企発第51号

                       丙組企発第41号、丙交企発第57号

                       丙備企発第86号、丙外事発第43号

                          平成31年3月27日

皇宮警察本部長 殿

各都道府県警察の長 殿

(参考送付先)

 庁内関係各局部課長

 各附属機関の長

 各地方機関の長

                   警察庁刑事局長

                                             警察庁生活安全局長

                   警察庁交通局長

                   警察庁警備局長

 

   告訴・告発の受理体制及び指導・管理の強化について

 

 警察改革において、告訴・告発への取組の強化が指示され、取扱件数、処理に要する期間、擬律判断の複雑性等から、主として知能犯事件に重点を置いて対策がとられてきたが、告訴・告発の適正な受理及び処理は、全ての事件について求められているものである。

 ところで、こうした取組の中、告訴・告発の相談をしても、疎明資料が十分にそろっていない、他の警察署が主となって捜査した方が効率的であるなどの理由により、受理を保留したり、他所属を紹介して受理を拒む例があるなどの苦情が依然として寄せられている。

 こうした状況を踏まえ、「「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について」(平成24年8月9日付け警察庁甲官発第222号ほか)においては、「告訴・告発については、告訴・告発センター等一括した専務部門の窓口で、必要に応じ聴取・検討を直ちに行った上で迅速に受理するものとし、本部事件担当課において、個別の案件ごとに指導・管理を徹底する」こととされた。

 被害に苦しみ犯人の処罰を求める国民にとって、警察は最後のよりどころであり、国民からの告訴・告発に迅速・的確に対応することは、警察に課せられた大きな責務である。

 各都道府県警察においては、告訴・告発の的確な受理・処理の重要性を再度認識した上で、下記により、告訴・告発について、被害者・国民の立場に立った迅速・的確な対応を徹底されたい。

 なお、本通達の対象となる告訴・告発は、全部門で取り扱う告訴・告発事件とする。ただし、既に、被害の届出が受理されるなど捜査中の事件に係る告訴・告発は除く。

               記

1 受理体制の整備

(1) 警察署における受理体制

  現在、告訴・告発の相談がなされ、事件担当課が明確な場合は当該事件担当課が責任をもって相談対応に当たっているが、告訴・告発がなされる事案の中には、初期段階では処理すべき部門が不明確で、告訴・告発をしようとする者がどの部門に相談すべきか判然としないものもあり得るところ、その者の立場からは、身近な窓口で当該事案に係る専門的知識を有する警察官により迅速に受理されることが最も望ましい。

  そこで、対応責任者及び対応担当者をあらかじめ指定した「警察署告訴・告発センター」等を設置することにより、告訴・告発の相談の聴取、担当課の決定、受理・不受理の判断が迅速になされる体制を構築すること。

(2) 警察本部における受理等の体制

  警察本部においても告訴・告発の相談を受けることがあることから、責任者及び対応担当者の要員を配置又は指定した「本部告訴・告発センター」、「告訴・告発対応室」等(以下「「本部告訴・告発センター」等」という。)を設置し、告訴・告発しようとする者の便宜を図ること。

  その際、告訴・告発の相談が「本部告訴・告発センター」等になされた場合には、告訴・告発の取扱件数が多い都道府県警察にあっては特に、その他の県警察においても可能な限り、「本部告訴・告発センター」等において受理することに配意すること。

  なお、迅速に受理するためには、直ちに告訴・告発の内容を聴取し、検討し、また、警察署を指導する必要があることから、配置又は指定される要員については、事件捜査の経験が豊富な警察官を充てること。

(3) 本部事件担当課との連携

  告訴・告発の相談を受けてから、受理・不受理の判断までの間については、本部事件担当課との連携を密にし、早期に対応を図ることができるよう留意すること。

 

2 本部事件担当課による指導・管理の徹底

  現在、知能犯事件については、「知能犯罪に関する告訴・告発の受理・処理の適正化について」(平成24年1月20日付け警察庁丁捜二発第6号)等により、告訴・告発の相談段階から本部捜査第二課がその内容を把握した上で、個別の案件ごとにきめ細かな指導・管理がなされているところであるが、各都道府県警察にあっては、知能犯以外についても、告訴・告発の相談段階から本部事件担当課がその内容を把握した上で、個別の案件ごとに受理の可否・処理の方針、進捗状況等をきめ細かに指導すること。

 

3 その他

  細目的事項について必要がある場合には、警察庁各事件担当課から別途指示することとする。

 

【継続措置状況】初回発出日:平成24年12月6日

        (有効期間:平成31年3月31日)

***********

 

■というわけで、「善は急げ」とばかり、当会は、令和5年2月24日に群馬県警を訪れ捜査2課の刑事と面談し、2件の事件の態様を説明するとともに、自署押印済の次の2通の告発状を提示し、受理するよう要請しました。

 

*****R5.2.24告発状【田島秀樹分】*****

             告  発  状

                       令和5年2月24日

 

群馬県警察本部長 殿

                    告発人 市民オンブズマン群馬

                        代表 小川 賢     印

 

   告発人  住  所 〒381-0801前橋市文京町1-15-10

        氏  名 市民オンブズマン群馬

             代表 小川 賢

        生年月日 昭和27年3月5日

        電話番号 090-5302-8312

 

  被告発人  住  所 不詳

        氏  名 田島秀樹

        職  業 前群馬県職員(環境森林部森林保全課課付係長)

        電話番号 不詳

 

第1 告発の趣旨

 被告発人の下記の告発事実に記載の所為は、虚偽公文書作成罪(刑法156条)および文書毀棄罪(刑法258条)に該当すると思料しますので、捜査の上、厳重に処罰されたく、告発致します。

第2 告発事実

1 被告発者は、平成29年度から令和2年度まで担当していた吾妻環境森林事務所における保安林関係事務及び林地開発許可事務に関して、起案・決裁など組織としての意思決定を経ないまま公文書19件を作成・施行(虚偽公文書作成)したほか、公文書を意図的に毀棄したり、事務処理の放置(公務員職務専念義務違反)をしたりするなど177件(不適正事務処理)を発生させた。

2 被告発者は、動機として「当時の家庭事情から精神的に不安定で、自分では事務処理を終わらせていたと思い込んでいたり、初めての業務で分からないことも多く、その場しのぎの不適切な事務処理を行ってしまった。」と所属先である群馬県の人事課の聞き取りの際に、主張しているようだが、行政は組織として事務事業を行っており、この主張は失当である。よって、組織ぐるみの犯行の疑いも否定し得ない。

第3 告発に至る経緯

1 市民オンブズマン群馬では、かねてより、公務員による不祥事件の撲滅を活動目的の大きな柱の一つとしてきた。ところが、群馬県職員の「懲戒処分に関する指針」には、「職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより告発又は告訴を行う」とする、刑事訴訟法第239条第2項に定める公務員の告発義務に関する記載が見当たらない。このため市民オンブズマン群馬は、群馬県総務部人事課に対して、他の多くの都道府県が「職員の懲戒処分に関する指針」に公務員の告発義務を明記していることを説明し、群馬県でも速やかに「職員の懲戒処分に関する指針」に公務員の告発義務に基づく条項を追加するように申し入れているが、全く耳を傾けようとしない。

2 保安林手続きを巡る群馬県の森林行政では、藤岡市内の保安林設定を巡り偽造書類を使った違法行為がまかり通っており、こうした実態が県内の他の場所でも密かに存在しているとみられる。藤岡市の場合、上日野字田本1051-1や上日野字矢掛乙1020-1及び2は筆界未定地であるにもかかわらず保安林設定されているが、山林所有者や地元区長の承諾書などが見当たらない。また、保安林設定を根拠に治山ダムや林道の設置や樹木の伐採作業が多額の補助金を投入して実施されているが、山林所有者には全く通知すらなく、本来山林所有者に支払われるべき補助金が闇に消えてしまっている。

3 上記2の保安林の件では、公文書である保安林指定調書の附属明細書において、「実測又は見込み284ha、ヒノキ12年、谷止工1基、皆伐」、「実測又は見込み1134ha、スギ36年、谷止工1基、皆伐」と記されており、森林所有者等の欄には、「承諾する。受益者同意する。平成9年6月2日:確認済」との記載があり、さらに「群馬県前橋地方法務局藤岡出張所:平成9年3月27日照合済」とあり、最後に「氏名:藤岡森林事務所:主任 佐藤淳、確認済」と明記されており、佐藤淳本人に保安林の位置の特定を要請しても、応じてもらえなかった。

4 その佐藤淳が、その後出世して吾妻環境森林事務所長に就任しており、今回,奇しくもその部下の被告発者が虚偽公文書作成等の違法行為を行っていたことに因縁を痛感する。

5 こうした保安林手続きを巡る違法行為が繰り返されないようにするには、行政内だけの調査と処分では不十分であり、群馬県人事課に刑事訴訟法第239条第2項に定める公務員の告発義務に基づく対応を再三懇願しても、全く応じるそぶりはないため、やむを得ずこの度の告発に至ったものである。

 

 被発訴人の行った違法行為は、行政に対する納税者住民の信頼をないがしろにするものであり、被告発人は懲戒処分を受けただけで、刑事訴訟法第239条第2項に定める公務員の告発義務に基づき所属先の群馬県から告発されておらず、このまま看過すると、同様の事件再発の蓋然性も高く、極めて懸念される。よって、告発人はこのようなことを断じて許すことができないので、厳重な捜査の上、被告発人を厳罰にして頂きたく、ここに告発するものである。

 なお、最後になりますが、告発人は、本件に関し、以後捜査に関して全面的な協力をすること、および、捜査機関の指示ないし許可なく取下げをしないことを、お約束致します。

                            以上

 

                証拠資料

1 令和4年11月15日群馬県総務部長決裁の回議用紙「件名:職員の懲戒処分について」

                添付書類

1 証拠資料写し  1通

                            以上

 

*****R5.2.24告発状【茂木浩徳分】*****

             告  発  状

                       令和5年2月24日

 

群馬県警察本部長 殿

                    告発人 市民オンブズマン群馬

                        代表 小川 賢     印

 

   告発人  住  所 〒381-0801前橋市文京町1-15-10

        氏  名 市民オンブズマン群馬

             代表 小川 賢

        生年月日 昭和27年3月5日

        電話番号 090-5302-8312

 

  被告発人  住  所 不詳

        氏  名 茂木浩徳

        職  業 前群馬県職員(東部農業事務所家畜保健衛生課環境衛生係長(総括))

        電話番号 不詳

 

第1 告発の趣旨

 被告発人の下記の告発事実に記載の所為は、業務上横領罪(刑法第253条)に該当すると思料しますので、捜査の上、厳重に処罰されたく、告発致します

第2 告発事実

1 被告発者は、平成30年度から令和3年度まで勤務していた畜産試験場において、予算消化のためと称して、過剰な量の物品や業務上必要性の乏しい物品を購入しており、これら物品のうち一部について、指摘に利用したり、又は自宅に持ち帰って実質的に所有するなど横領を行っていた。

2 被告発者は、「予算を使い切らなければいけない」という思い込みによって必要以上の物品購入を繰り返し、その保管場所に困って自宅に持ち帰るなどしていたと主張しているようだが、行政は告発人が開示請求した証拠資料を黒塗りで開示してきたため、この主張の信ぴょう性に疑問がある。

第3 告発に至る経緯

1 市民オンブズマン群馬では、かねてより、公務員による不祥事件の撲滅を活動目的の大きな柱の一つとしてきた。ところが、群馬県職員の「懲戒処分に関する指針」には、「職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより告発又は告訴を行う」とする、刑事訴訟法第239条第2項に定める公務員の告発義務に関する記載が見当たらない。このため市民オンブズマン群馬は、群馬県総務部人事課に対して、他の多くの都道府県が「職員の懲戒処分に関する指針」に公務員の告発義務を明記していることを説明し、群馬県でも速やかに「職員の懲戒処分に関する指針」に公務員の告発義務に基づく条項を追加するように申し入れているが、全く耳を傾けようとしない。

2 事件発覚後、未使用の状態で業務で使用可能な物品は畜産試験場に返却され、私的利用した物品及び業務に必要性の乏しい物品分の金額72万6597円相当については、被告発者から全額弁済される予定というふうに群馬県が告発人に開示した文書に記してあるが、なぜ群馬県が告発義務を果たさなかったのかについては、開示された文書が黒塗りである為、全くわからない。

3 関係者の間では、被告発人のこの犯罪態様について、一種の「万引き癖」、いわゆる「クレプトマニア」と呼ばれ、万引きなどの窃盗行為の衝動を抑止できず、反復的に窃盗行為をしてしまう精神疾患によるものかもしれない、とする見方もされているようだが、そのため告発人は、群馬県が本人の病気を斟酌して告発義務を果たさなかったのかどうか、確かめようとしたが、黒塗りだらけの証拠資料では、そうした判断も困難な状態である。

4 こうした業務上横領行為が繰り返されないようにするには、行政内だけの調査と処分では不十分であり、群馬県人事課に刑事訴訟法第239条第2項に定める公務員の告発義務に基づく対応を再三懇願しても、全く応じるそぶりはないため、やむを得ずこの度の告発に至ったものである。

 

 被発訴人の行った違法行為は、行政対する納税者住民の信頼をないがしろにするものであり、被告発人は懲戒処分を受けただけで、刑事訴訟法第239条第2項に定める公務員の告発義務に基づき所属先の群馬県から告発されておらず、このまま看過すると、同様の事件再発の蓋然性も高く、極めて懸念される。よって、告発人はこのようなことを断じて許すことができないので、厳重な捜査の上、被告発人を厳罰にして頂きたく、ここに告発するものである。

 なお、最後になりますが、告発人は、本件に関し、以後捜査に関して全面的な協力をすること、および、捜査機関の指示ないし許可なく取下げをしないことを、お約束致します。

                          以上

 

              証拠資料

1 令和4年11月15日総務部長決裁の回議用紙「件名:職員に対する懲戒処分について」

              添付書類

1 証拠資料写し  1通

                          以上

**********

 

■ところが、説明が終わると、県警捜査2課の刑事は「小川さん、申し訳ないが、直ちに受理する訳にはいかないので、とりあえず写しをとらせてほしい」と言って、2通の告発状を預かると、隣の部屋でコピーを取って戻り、当会に告発状の原本を返すのでした。

 

 当会は「今回の事案は、既に群馬県の人事課が被疑者及びその所属先の関係者を詳しく調査し、その結果、懲戒処分をくだしたものであり、開示請求した結果は残念ながら黒塗りで、内容は殆ど分からなず仕舞いだが、警察の権限をもって、人事課に行き、関係書類一式を押収すれば、事件の詳細な内容は既に調査済みなので、捜査にはほとんど労力をかけずに送検できるはずなので、ぜひ受理できるよう、特段の配慮をお願いしたい」と強くお願いしました。担当刑事は「これから検討したい」と述べました。

 

■その後2か月余り経過した5月連休明けに、県警捜査2課から電話がありました。内容は「先日の告発状2件について、統一地方選挙も終わり、手が空いてきたので本件告発事案について、具体的な検討にはいりたいと思う。ついては、先日の告発状に添付された証拠資料について、群馬県が開示したのはあれで全部なのか?」というものでした。

 

 当会は「あれが全部のはずです」と答えると、担当刑事は「情報開示請求をした結果、あのような黒塗りの資料が開示されたと思うが、開示通知になぜ黒塗りにしたのか、について、理由が記してあると思う。手数をおかけするが、その開示通知の写しももらえないだろうか?」という相談がありました。

 

 当会は「わかりました。さっそくファイルを見つけて、当該の開示通知と黒塗りにした非開示部分の理由が書かれた文書を、次回県庁を訪れる機会に、県警に持参して提出します」と答えました。

 

■そして、5月15日の午前11時半に県警本部を訪れて、捜査2課に次の2件の開示決定通知書を提示しました。黒塗りの不開示理由は開示決定通知書に記してありました。

 

*****群馬県公文書部分開示決定通知書【田島秀樹分】*****

 

*****群馬県公文書部分開示決定通知書【茂木浩徳分】*****

**********

■この日対応したのは、電話をくれたN刑事に加えて、以前顔見知りで、その後捜査2課から異動で別の部署にいったらしくしばらくご無沙汰していたK刑事もあとから現れました。聞くと「再び捜査2課に配属となった」とのこと。

 当会は、本日県警捜査2課が、当会に対して群馬県公文書部分開示決定通知書の写しの提出を要請した理由は、てっきり群馬県が非開示とした理由を知りたいのが目的で、それをもとに県警が県庁の人事課に乗り込み、黒塗りの懲戒処分にかかる文書一式を押収するための事前準備をするものと思っていました。

 しかし二人の刑事とのやりとりをするうちに、どうもそうではなさそうだということがわかりました。なぜなら、古参のK刑事いわく「県職員の懲戒処分に係る指針には、告発義務の項目がないというのであれば、県が県警に告発しないのは、その内規に基づいた行動なのではないか」という趣旨の発言があったからです。

 それを聞いて当会は、絶句しそうになりながらも、「聞いてください。昨年7月8日に県の公式Twitterに『安部、竹中、次はお前だ!』と投稿した件で、県知事が投稿した県民を脅迫と威力業務妨害で翌日被害届を出したら、県警はすぐに受理して、半月ほどで投稿者を逮捕しています。一方、群馬県は刑事罰を犯した職員をクビにはするものの、警察への告発はなぜかしようとしません。これでは、非常に不公平なので、告発に消極的な県人事課にかわって、オンブズマンとして告発したものです。ぜひ受理をおねがいします」と粘り強く要請しました。

 県警の担当者らは、本件告発に対して慎重な対応を示唆するかのように、最後まで積極的なコメントをしませんでした。ですので、今後の県警による本件告発の取扱について、どのような協議結果になるのか、予断を許さない状況が続くかもしれません。

■それにしても、群馬県といい、群馬県警といい、一般県民を対象とした告訴・告発や被害届については、ただちに提出や受理をする反面、不祥事を起こした身内の職員については懲戒処分により依願退職を勧めるものの、告訴・告発や被害届については、よほどの社会的に注目されたり凶悪な犯罪でない限り、自ら行うことはありません。これでは、役所や警察内部でどのような不祥事件が起きたのか、起訴されて刑事事件として公判がひらかれませんので、県民は傍聴すらできず、真相は闇の中です。また、起訴されなければ、執行猶予付きの有罪判決を言い渡されることもないため、いわゆる「前科者」のレッテルを貼られる心配も皆無です。

 この背景には、公務員の「身分保障」が関係しているようです。公務員は、法律で規定されている原因以外で、本人の意向に反して降任させられたり、免職(民間企業でいう解雇)されたりしないと定められています。公正な職務を担保するため、公務員にとって上司となる政治家(大臣や都道府県知事、市町村長など)の勝手な思いつきで職を奪われないようになっているのです。

 このため、公表する際には「本人の意思による退職である」ということを明確に強調しておく必要があり、「依願退職」という言葉を使うのです。警察の場合は、不祥事件で処分の際にとくにこの「依願退職」が目につきます。この裏には「こちらが退職を強要したのではなく、本人が申し出てきたので退職を認めました」という意味が隠されており、「告訴・告発もせずに、だから前科も付かないし、退職金もきちんと払うので、退職後もずっと警察内部の知られたくない部分を公言しないでね」という事情があることを覚えておくと、ニュースの見方も少しは変わるかも。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

 

※参考情報「群馬県職員の懲戒処分の指針」

**********

            懲戒処分の指針

 

第1 基本事項

   本指針は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。

   具体的な処分量定の決定に当たっては

  ① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか

  ② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか

  ③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか

  ④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか

  ⑤ 過去に非違行為を行っているか

  等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮のうえ、判断するものとする。

   個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、

  ① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき

  ② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に商いとき

  ③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき

  ④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき

  ⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき

がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、

  ・ 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき

  がある。

 

   なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。

 

第2 懲戒処分の種類

   地方公務員法第29条及び群馬県職員の懲戒の手続及び効果に関する条例に基づき、次の懲戒処分を行う。

  (1)免職 職員たる身分を失わせる処分

  (2)停職 一定期間(1日以上6月以下)、載務に従事させない処分

  (3)減給 一定期間(1日以上6月以下)、給料の一定額(1/10以下)を減ずる処分

  (4)戒告 非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分

 

第3 標準例

 1 一般服務関係

  (1)欠勤

    ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。

    イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。

    ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。

  (2)遅刻・早退

     勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。

  (3)休暇の虚偽申諾

     病気休暇、特別休暇等について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。

  (4)勤務態度不良

     勤務時間中に職場からの離脱等により職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

  (5)職場内秩序を乱す行為

    ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。

    イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。

  (6)虚偽報告

     事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。

  (7)違法な職員団体活動

    ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は県の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。

    イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。

  (8)秘密漏えい

    ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、 自己の不正な利益を図る目的で秘密を堀らした職員は、免職とする。

    イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

  (9)政治的目的を有する文書の配布

     政治的目的を有する文雹を配布した職員は、戒告とする。

  (10)兼業の承認を得る手続きのけ怠

     営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

  (11)入札談合等に関与する行為

     県が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、専業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。

  (12)個人の秘密情報の目的外収集

     その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。

  (13)セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)

    ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。

    イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。

    ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。

  (14)パワー・ハラスメント

    ア バワー・ハラスメント(「パワー・ハラスメント防止等のための指針」(令和2年7月30日付総務部長通知)に規定するパワー・ハラスメントをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

    イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。

    ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。

    (注)(13)及び(14)に関する事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。

 

 2 公金・財産等取扱い等関係

  (1)横領

     公金又は財産を横領した職員は、免職とする。

  (2)窃取

     公金又は財産を窃取した職員は、免職とする。

  (3)詐取

     人を欺いて公金又は財産を交付させた職員は、免職とする。

  (4)紛失

     公金又は財産を紛失した職員は、戒告とする。

  (5)盗難

     重大な過失により公金又は財産の盗難に遭った職員は、戒告とする。

  (6)財産損壊

     故意に職場において財産を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

  (7)失火

     過失により職場において財産の失火を引き起こした職員は、戒告とする。

  (8)諸給与の違法支払・不適正受給

     故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。

  (9)公金・財産処理不適正

     自己保管中の公金の流用等公金又は財産の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。

  (10)コンピュータの不適正使用

     職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職貝は、減給又は戒告とする。

  (11)虚偽公文書作成

    ア その職務に関し、行使の目的で、公印を使用して、虚偽の公文書を作成し、又は公文書を変造した職員は、免職又は停職とする。

    イ 公印を使用せずに、アに規定する行為をした職員は、減給又は戒告とする。

  (12)公印偽造

     行使の目的で、公印を偽造した職員は、免職又は停職とする。

  (13)公文書等毀棄

     故意に公文書又は公務の用に供する電磁的記録を毀棄した職員は、免職又は停職とする。

  (14)不適正事務処理

     故意又は重大な過失により自己の職務を不適正に処理した職員は、減給又は戒告とする。

 

 3 倫理関係

  (1)収賄

     職務に関する行為をすること若しくは行為をしたこと若しくはしないこと若しくはしなかったことの対価若しくは請託を受けてその地位を利用して他の職員にその職務に関する行為をさせ、若しくは行為をさせないようにあっせんすること若しくはあっせんしたことの対価として供応接待若しくは財産上の利益の供与を受けた又はこれらの対価として第三者に対し供応接待若しくは財産上の利益の供与をさせた職員は免職又は停職とする。

  (2)贈与

    ア 職務に関して利害関係を有する事業者等(以下「利害関係者」という。)から、金銭、物品の贈与を受けた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

    イ 利害関係者から不動産の贈与を受けた職員は、免職又は停職とする。

  (3)貸付け

    ア 利害関係者から金銭の貸付けを受けた職員は、減給又は戒告とする。

    イ 利害関係者から又は利害関係者の負担により無債で・物品の貸付けを受けた職員は、減給又は戒告とする。

    ウ 利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で不動産の貸付けを受けた職員は、停職又は減給とする。

  (4)役務の提供

     利害関係者から又は利害関係者の負担により無償で役務の提供を受けた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

  (5)供応接待

     利害関係者から供応接待を受けた職員は、停職、減給又は戒告とする。

  (6)第三者を通じた行為

     利害関係者をして、第三者に対し、前(1)から(5)の行為をさせた職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

 

 4 公務外非行関係

  (1)傷害

     人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。

  (2)暴行・けんか

     暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。

  (3)器物損壊

     故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

  (4)横領

    ア 自己の占有する他人の物(公金及び財産を除く。)を横領した職員は免職又は停職とする。

    イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。

  (5)窃盗

     他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。

  (6)詐欺・恐喝

     人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。

  (7)賭博

    ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。

    イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。

  (8)麻薬等の所持等

     麻薬、大麻、あへん、党醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。

  (9)酩酊による粗野な言動等

     酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又、乱暴又は品性を欠く言動をした職員は、減給又は戒告とする。

  (10)淫行

     18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。

  (11)痴漢行為

     公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。

  (12)盗撮行為

     公共の楊所もしくは乗り物について他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。

 5 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係

  (1)飲酒運転

    ア 酒酔い運転をした職貝は、免職とする。

    イ 酒気帯び運転をした職員は、免職又は停職とする。

    ウ 酒気帯び運転で人を死亡させた職員は、免職とする。

    エ 酒気帯び連転で人に傷害を負わせた糀員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。

    オ 酒気帯び運転により物の損壊に係る交通事故を起こした職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。

    力 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、免職、停職、減給又は戒告とする。

  (2)悪質運転

    ア 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、人を死亡させた職員は免職とする。

    イ 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、人に傷害を負わせた職貝は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。

    ウ 無免許運転等の悪質な交通法規違反による運転で、物の損壊に係る交通事故を起こした職員は、免職又は停職とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。

    エ 無免許運転等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職とする。

  (3)その他の交通事故・交通法規違反

    ア 重大な交通事故により人を死亡させた職員は、免職、停職、減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職とする。

    イ 重大な交通耳故により人に偽害を負わせた職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。

    ウ 重大な交通事故により物を損壊させた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

    エ その他重大な交通法規違反をした職員は戒告とする。       

  (注)処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。

 

 6 監督責任関係

  (1)指導監督不適正

     部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。

  (2)非行の隠ぺい・黙認

     部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

 

   附 則

1 この指針は、平成20年7月1日から適用する。

2 平成12年7月11日付け(人)総務部長通知(「職員の綱紀の保持及び交通事故等に対する処分基準について」)は廃止する。

 

   附 則

1 この指針は、平成29年1月18日から適用する。

 

   附 則

1 この指針は、令和2年7月30日から適用する。

***********

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一般県民のツイートには直ぐに被害届を出すのに身内職員の不祥事を告発しない群馬県人事課の二重基準

2023-05-28 17:25:00 | オンブズマン活動

https://www.youtube.com/watch?v=VlveH3BeNt8

人事課業務内容紹介|人事課|群馬県 アップロード日: 2022/03/22 人事課の業務内容を紹介するものです。○問い合わせ先:人事課(027-226-2071)

■刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めています。そのため、この要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると解されています。いわゆる公務員の告発義務の根拠とされているものです。ところが現実には、公務員は守秘義務を優先して考え行動しています。

 なぜなら一般職の公務員の場合、国家公務員法では第100条第1項、地方公務員法では第34条第1項で守秘義務が課されています。違反者は、国家公務員の場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられ、地方公務員の場合は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処せられるからです。他方、告発義務の違反には罰則がありません。

 群馬県の場合も守秘義務を最優先にしており、告発義務を守る職員は見当たりません。たとえば、群馬県教育委員会の「群馬県教育委員会懲戒処分指針」(更新日:2022年3月10日)https://www.pref.gunma.jp/page/4447.html を見ると、告発義務について触れていません。

 一方、ほかの都道府県、例えば徳島県教育委員会の「教職員の懲戒処分の指針」には「第3 告発」という条項があり、「教職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより、告発又は告訴を行う場合がある。ただし、被害者が告発を望んでいない等、特別な事情があると認められるときは、告発しない場合もある。」と記されています。義務という表現ではありませんが、いちおう告発義務を示唆しています。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1412012_16.pdf

 このほかにも、東京都西多摩郡瑞穂町の「瑞穂町職員の懲戒処分に関する指針」(平成17年12月5日、訓令第12号)では「第3 内部通報及び告発関係」として、「1 非違行為の事実を内部機関に通報した職員は、通報したことにより、いかなる不利益も受けないものとする。 2 非違行為の事実を、自ら発覚前に申し出た職員に対しては、懲戒処分の量定を軽減できるものとする。 3 職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより告発又は告訴を行う。」と定めています。

■ところが群馬県の場合、告発又は告訴を行う場合は、一般県民が対象となっています。まだ記憶に新しい事件として、昨年2022年7月8日に安倍総理が銃撃を受けて死亡しましたが、その日の夕方午後5時20分ごろ、県内在住の男性が、ツイッターの県公式アカウントの投稿に対し「安倍、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信しました。すると、山本知事の速記院で固める知事戦略部メディアプロモーション課で、一太知事お気に入りの公費をふんだんにつぎ込んだ動画・放送スタジオtsulunosを運営し、県公式ツイッターやホームページ、県Line、そしてYouTubeチャンネル番組を担当するtsulunos室の職員がこの投稿に翌9日の朝に気付き、一太知事に報告してから、警察に被害届を出しました。

 当会のこれまでの経験では、警察は当事者の被害届でないと受理しないため、その場合、一太知事が被害者として届けたことになります。もちろん、県庁のすぐ隣にある県警本部には県職員がおっとり刀で被害届を持っていたはずです。

 県警は、当会からの告発状は殆ど受理したことがありませんが、一太知事の被害届はすぐに受理され、「知事に危害を加えるような内容をツイッターに書き込んだ」として、群馬県警捜査1課と前橋署などは僅か2週間後の7月26日に、早くも脅迫や異形業務妨害で、投稿した一般県民を逮捕したのでした。

 逮捕された一般県民は、一太知事の県税の私的流用に呆れて投稿しただけなのに、なぜ逮捕されなければならないのか、すぐには事情を呑み込めず、県警の調べに対し、「投稿したことは間違いないが、何かしてやろうという意図はなかった」と供述しており、冤罪も甚だしいのに、略式起訴されてしまい、罰金を支払ったため前科者扱いとされてしまい、職場から解雇されてしまいました。この顛末は以下のブログ記事をご覧ください。

○2022年9月26日:【一太知事の独善】「安倍、竹中の次はお前だな」Twitter投稿に被害届を出した知事の思惑と今後の影響

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/2cc590ebde410757b2c779c1ebd28fc1

■この事件後まもなく、2022年11月18日に、群馬県が職員2名を、非違行為を理由に懲戒免職処分にするというニュースが報じられました。

**********NHK NEWS WEB 2022年11月18日16:53

県職員2人が不適切事務処理や備品持ち帰りか 懲戒免職に

 群馬県は、環境森林事務所で不適切な事務処理を繰り返していた56歳の職員と、県畜産試験場で県費で購入した備品を自宅に持ち帰り使用するなどしていた49歳の職員を、それぞれ18日付けで懲戒免職にしました。

 このうち県の森林保全課に勤務している56歳の男性係長は、吾妻環境森林事務所に勤務していた令和2年度までの4年間に、森林開発の許可や保安林の解除の申請について、上司の決裁を受けずに無断で許可を出したり申請を放置したりする不適切な事務処理を合わせて196件、行っていたということです。

 県は、男性係長を懲戒免職にすると共に、当時の上司など7人を減給10分の1、1か月の処分などにしました。

 また、太田市にある東部農業事務所に勤務している49歳の男性係長は、昨年度まで勤務していた前橋市の県畜産試験場で、県費で購入した作業服や洗剤、家電製品など1147個の備品、合わせて204万円分を自宅に持ち帰り使用するなどしていたということです。

 県は男性係長を懲戒免職にすると共に、当時の上司など6人を戒告処分などとしました。

 県人事課の中島高志課長は「職員個人に根本の原因があるのは当然だが、いずれも4年間という長期間にわたって不適正な行為を許した所属組織の対応にも大きな課題がある。綱紀の保持を徹底したい」と述べました。

 

**********上毛新聞2022年11月18日15:15

「予算使い切るため」公費で購入した約205万円分の物品を私物化した男性係長を懲戒免職 虚偽の公文書を作成した別の男性係長も 群馬県

 群馬県は18日、信用を失わせる行為があったとして、農政部と森林環境部の職員2人を懲戒免職にしたと発表した。農政部の職員は、年度内に予算を使い切る目的で、公費で約205万円分の日用品などを購入し、自らの所有物としていたという。

 県人事課によると、農政部の職員は東部農業事務所に勤務する男性係長(49)。畜産試験場に勤務していた2018~21年度、物品購入の事務を担当する中で、家電製品や家庭用洗剤、作業服など計1147点(計204万2854円相当)を公費で購入し、自宅に持ち帰るなどして所有物としていた。多くの物品の購入額は数百~数千円で、最も高額なもので約2万5000円だった。高圧洗浄機や電子レンジ、洗濯機なども含まれていた。

 外部から県に情報提供があり調査していた。未使用だった約130万円分の購入品は職場に返却、自ら消費した分は男性係長が弁済する。県の調査に対し、男性係長は「年度内に予算を使い切るため、物品を必要以上に購入してしまった。(自宅に持ち帰ったのは)大量の物品の置き場所に困ったことがきっかけだった」と話しているという。

 環境森林部の職員は、森林保全課付の男性係長(56)。吾妻環境森林事務所に勤務していた17~20年度、保安林や林地開発に関する事務を担当する中で、起案や決裁など組織の意思決定を経ていない虚偽の公文書19件を作成して事務を進めた上、公文書の紛失や事務処理の放置などを177件発生させた。男性係長は「家庭事情もあり、悩んでいた。初めての業務で分からないことが多く、その場しのぎの不適切な事務を行ってしまった」と述べているという。

 この不適切な事務処理の影響で、県が吾妻地域で進めている上信自動車道の建設工事が8月17日から中断されていたが、林野庁との間で保安林解除の手続きが完了したため、11月2日に再開された。

 県は2人の法令違反となる行為に関係した職員計15人も減給や戒告などの処分とした。

 

**********読売新聞2022年11月19日16:10

公文書を無断作成・紛失、事務処理を放置…懲戒免職の県係長「家庭の悩みがあった」

 群馬県は18日、森林保全課の課付係長(56)と、東部農業事務所家畜保健衛生課の環境衛生係長(49)を同日付で懲戒免職にしたと発表した。

群馬県庁(当会注:今はこの「群馬県庁」と書かれたモニュメントはない)

 県人事課によると、森林保全課の係長は吾妻環境森林事務所(中之条町)に勤めていた2017~20年度、保安林関係や林地開発許可の公文書19件を無断で作成したほか、公文書を紛失したり事務処理を放置したりする行為が177件あった。この影響で東吾妻町での上信自動車道の工事が8~11月に中断した。「家庭の悩みがあった。初めての事務で分からないことも多く、その場しのぎで処理した」と話している。県は当時の所長ら7人も減給10分の1(1か月)の処分にした。

 環境衛生係長は、県畜産試験場で物品購入事務を担当していた18~21年度、県費で購入した洗濯機や電子レンジなど1147点(204万円相当)を横領した。「年度内に予算を使い切るために買ってしまった。整理に悩み、一部を自宅に持ち帰った」と述べ、弁済の意思を示しているという。

 

**********Security NEXT 2022年11月25日

組織の決裁なしに公文書施行、職員を懲戒免職 - 群馬県

 群馬県は、事務処理を怠り、同県の意思決定を経ず、勝手に公文書を施行したり、文書を紛失した職員に対して懲戒処分を行った。

 同県森林保全課における係長級の職員に対して処分を行ったもの。同職員は保安林の解除や林地開発などの業務を担当していたが、2017年度から2020年度にかけて事務手続きを怠り、組織による意思決定を経ずに公文書を作成、施行していたことがわかった。

 同県によれば、森林計画の策定にあたり、6月から7月にかけて航空写真を撮影したところ、林地開発において許可が出ていない場所に施設が建設されていることが判明。

 調査を行ったところ、同職員の業務において決裁を経ずに公文書19件を作成。また申請書など関連文書177件などを紛失していることが発覚した。

 建設中である上信自動車道の工事に関連した保安林の解除申請についても、組織としての決裁がないまま申請を許可しており、すでに工事が行われていたという。

 保安林の解除については、要件を満たしており、再び工事は再開されたものの、問題発覚後に正式な手続きが必要となり、8月17日より11月2日にかけて工事が一時停止した。

 今回の問題が発覚する契機となった、施設についても、その後安全性が確認され、許可が出ており、森林保全における直接的な影響はなかったとしている。

 職員は事態に至った経緯について、「家庭の事情で悩みがあり、仕事についてもはじめて担当する業務でやり方がわからず、ずさんな処理をしてしまった」と話しているという。

 同県では、決裁を経ることなく公印を用いて虚偽公文書を作成し、信用を失墜させた点などを踏まえ、11月18日付けで同職員を免職とする懲戒処分とした。また管理監督責任として当時の上司7人を減給、2人を戒告処分としている。

*********

 

■この2件とも刑事罰に相当する犯罪行為によるものです。ところが、当会が群馬県人事課に「告発もしくは被害届は警察に出し確認したところ、「懲戒免職処分にしたが、警察に告発ないし被害届は出していないし、出すつもりもない」というので、ビックリしました。

 知り合いの県職員にこの懲戒免職事件の感想をヒヤリングしたところ、「横領を働いた職員は業務面では有能だったと言われており、いわゆる窃盗や万引きを止められずに繰り返してしまう窃盗症もしくは病的盗癖があったのかもしれないが、もう一人の虚偽公文書作成罪を犯した職員の方が何十倍も悪質だと思う」とコメントをいただきました。

 そこで、当会では、今回の2つの懲戒免職事件について、群馬県知事(総務部人事課人事係)に対して、以下のとおり公文書開示請求を令和4年12月23日付、同28日付でそれぞれ行いました。

 

*****12/23情報開示請求(虚偽公文書作成等事件)*****

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

 令和4年1月18日付「職員に対する懲戒処分について」で免職とされた田島秀樹職員の処分事由とされた内容(公文書19件+関連177件)がわかる情報。免職処分と判断された理由、決定に至る過程がわかる情報。管理下訓徳責任の対象者とその処分理由がわかる情報。

*****12/28情報開示請求(横領事件)******

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

①県職員の懲戒処分について指針が分かる情報

②令和4年11月18日付で元職員茂木浩徳に対して行った懲戒処分の詳しい処分事由(時期、場所、盗品リスト、被害額など含む)

③刑事訴追をしない理由や判断過程がわかる情報

④管理監督責任を判断した経緯と結果が分かる情報

**********

 

■すると、年明けの令和5年1月6日付で、虚偽公文書作成等事件の情報開示については、決定期間延長通知(人第1362-4号)として、横領事件についても決定期間延長通知(人第1362-5号)として、2つの事件とも「令和5年4月1日付人事異動に向けた業務が集中しており、通常の期間内に決定を行うことが困難であるため」を延長理由に「本来1月6日までに開示決定すべきところ、2月3日まで延長してきました。

 そして、待望の開示通知の連絡が2月3日に当会代表宛にあり、2月6日(月)午前9時に2件の開示を受けに県庁2階を訪れました。

 ところが、人事課人事係から開示されたのは、いずれも黒塗りだらけの文書でした。4週間も開示期間を延長したのは、開示文書を黒塗りするための時間が必要だったことになります。

*****ノリ弁状態で開示された情報【田島秀樹分】*****

*****同じくノリ弁状態で開示された情報【茂木浩徳分】*****

 当会は、横領事件については、業務面では有能であった職員がひょっとして魔が差して持病の盗癖に逆らえず、横領をしてしまい、事件発覚後は盗品を返還したり、費消した分は金銭で支払ったから、警察への告発は見送ったのかと思い、そうした本人からの聞き取り内容を踏まえて人事課で懲戒免職処分を決定した過程を検証しようと思っていました。しかし、黒塗りの開示資料を見せられて、そうした気持ちもうせてしまいました。

■当会は、今回の懲戒免職事件で、群馬県人事課がなぜ刑事訴訟法で定めている公務員の告発義務を行使しないのか、いろいろ調べてみました。その結果、群馬県のホームページに「群馬県教育委員会懲戒処分指針」が掲載されていることがわかりました。

※URL「群馬県教育委員会懲戒処分指針」(更新日:2022年3月10日)↓

https://www.pref.gunma.jp/page/4447.html

 これを見ると、他の都道府県の教育委員会が定めている懲戒処分指針には「公務員の告発義務」についての項目があるのに、群馬県教育委員会の懲戒処分指針には、告発義務についてどこにも見当たらないのです。

 そこで、2022年12月28日付の公文書開示請求では、「①県職員の懲戒処分について指針が分かる情報」について、含めました。

■これら2件の開示請求の結果、群馬県は2023年2月3日付で公文書部分開示決定通知を出してきたので、当会は同2月6日午前9時に県庁2階で開示情報の閲覧と写しの交付を受けました。

 

 

 部分開示情報と言っても、懲戒免職となった田島直樹・元職員と茂木浩徳・元職員の懲戒処分の理由がおそらく記載してあっただろう箇所は、個人情報ということで、ほとんどが真っ黒気に塗られたシロモノです。これでは、一帯どのような理由で両名がクビになったのか、その詳らかな経緯がさっぱりわかりません。

 とりわけ、なぜ刑事告発をしなかったのか、その背景や理由についてどのような討議が果たして為されたのか否か、これについても全く把握する術がありません。なにしろ「ノリ弁当」同然の状態なのですから。

■こうしたノリ弁状態で開示された公文書を見て、さらに呆れたのは、不祥事の発生を防げなかった上司らの職位と氏名が黒塗りされていることです。そのため、令和5年3月3日付けで群馬県知事あてに2件の審査請求書を提出しました。

*****3/3田島直樹に係る情報不開示についての審査請求*****

             審 査 請 求 書

                             令和5年3月3日

群馬県知事 山本一太 様

   審査請求人 住所又は居所 〒371-0801群馬県前橋市文京町1丁目15−10

                (電話番号090-5302-8312)

         ふりがな しみんおんぶずまんぐんま だいひょう おがわまさる

         氏  名 市民オンブズマン群馬 代表 小川賢

対象となる処分:以下の処分について不服があるので審査請求をします。

・処 分 庁 群馬県知事 通知日 令和5年2月3日

・処分の内容 「令和4年11月18日付『職員に対する懲戒処分について』で免職とされた田島秀樹元職員の処分事由とされた内容がわかる情報。免職処分と判断された理由、決定に至る経緯がわかる情報。管理監督責任に対象者とその処分理由が分かる情報」にかかる公文書部分開示決定に関する処分

・文書番号等 人第1362-7号

処分があったことを知った日:令和5年2月6日

審査請求の趣旨:「対象となる処分を取り消す。」との裁決を求めます。

審査請求の理由:以下の点から、対象となる処分は違法・不当であるため、処分の取消しを求めます。

1.処分庁は「①職員の氏名、所属、職、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第2号に基づくとし、但し書きの同号ハに規定する公務員と認めながら、「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

2.人事院事務総長が発した「懲戒処分の公表指針について」(平成15年11月10日総参―786)によれば、「次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分 (2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分」と明示しており、本事案は(1)に該当する。

3.そのうえで「事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」と明示しており、個人が識別される氏名を除く「所属、役職段階等」の属性に関する情報は公表するものとする、と解される。事実、公務員の不祥事件では管理監督責任が問われることから、報道でも「所属先の部長を減給10%1ケ月」などと報じることは珍しくない。

4.ちなみに神奈川県の場合、懲戒処分等の公表基準によれば、公表する内容は次のとおりである。

 <3 公表する内容>

  職務に関する事案の場合において、公表する内容は、原則として次に掲げる事項とする。

    ア 事案の概要

    イ 該当職員の所属する所属名(被害者に対して特に慎重な配慮を要する場合は部局名とする。)

    ウ 該当職員の職名

    エ 該当職員の年齢及び性別(監督責任の場合を除く。)

    オ 処分の内容

    カ 処分年月日

  このように他県では所属名と職位を公表している。

5.次に処分庁は「②処分理由、人事記録カード、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第6号に基づくとし、「人事管理に関する事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

6.本事案では刑事上の罰が問われており、本来、刑事訴訟法第239条第2項により 「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定められていることから、知事は警察もしくは検察に告発するのが本筋である。

7.ところが群馬県の「職員の懲戒処分に関する指針」において、上記6に示した告発義務についての記載がない。実際、本事案について、未だに知事による告発が為されたという報道も見あたらない。

8.知事は、昨年7月8日に県公式ツイッターに「安部、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信した県民の行為を脅迫罪及び偽計業務妨害罪だとして、翌9日に県警や前橋署に、被害届を出すことにより告発した。職員でない納税者県民に対して告発し、知事部局所属の、いわば身内である職員に対して告発を躊躇うことがあってはならない。

9.そのため、審査請求人は納税者県民として知事にかわって告発することを余儀なくされているため、処分理由、人事記録カード、報告書等の黒塗りされた情報の開示が不可欠である。

10.よって、今回の処分を取り消すことがぜひ求められる。

教示:○有 ・ 無

(内容)

 なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の被の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)

 また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

添付書類等:・対象となる処分の通知書の写し

 

*****3/3茂木浩徳に係る情報不開示についての審査請求*****

            審 査 請 求 書

                             令和5年3月3日

群馬県知事 山本一太 様

  審査請求人 住所又は居所 〒371-0801群馬県前橋市文京町1丁目15−10

                    (電話番号090-5302-8312)

                 ふりがな                 しみんおんぶずまんぐんま   だいひょう おがわまさる

                 氏 名    市民オンブズマン群馬  代表  小川賢

対象となる処分:以下の処分について不服があるので審査請求をします。

・処分庁   群馬県知事 通知日 令和5年2月3日

・処分の内容 「③刑事訴追をしない理由や判断過程がわかる情報 ④管理監督責任を判断した経緯と結果がわかる情報」にかかる公文書部分開示決定に関する処分

・文書番号等 人第1362-8号

処分があったことを知った日:令和5年2月6日

審査請求の趣旨:「対象となる処分を取り消す。」との裁決を求めます。

審査請求の理由:以下の点から、対象となる処分は違法・不当であるため、処分の取消しを求めます。

1.処分庁は「①職員の氏名、所属、職、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第2号に基づくとし、但し書きの同号ハに規定する公務員と認めながら、「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

2.人事院事務総長が発した「懲戒処分の公表指針について」(平成15年11月10日総参―786)によれば、「次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分 (2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分」と明示しており、本事案は(1)に該当する。

3.そのうえで「事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」と明示しており、個人が識別される氏名を除く「所属、役職段階等」の属性に関する情報は公表するものとする、と解される。事実、公務員の不祥事件では管理監督責任が問われることから、報道でも「所属先の部長を減給10%1ケ月」などと報じることは珍しくない。

4.ちなみに神奈川県の場合、懲戒処分等の公表基準によれば、公表する内容は次のとおりである。

 <3 公表する内容>

  職務に関する事案の場合において、公表する内容は、原則として次に掲げる事項とする。

    ア 事案の概要

    イ 該当職員の所属する所属名(被害者に対して特に慎重な配慮を要する場合は部局名とする。)

    ウ 該当職員の職名

    エ 該当職員の年齢及び性別(監督責任の場合を除く。)

    オ 処分の内容

    カ 処分年月日

  このように他県では所属名と職位を公表している。

5.次に処分庁は「②処分理由、人事記録カード、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第6号に基づくとし、「人事管理に関する事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

6.本事案では刑事上の罰が問われており、本来、刑事訴訟法第239条第2項により 「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定められていることから、知事は警察もしくは検察に告発するのが本筋である。

7.ところが群馬県の「職員の懲戒処分に関する指針」において、上記6に示した告発義務についての記載がない。実際、本事案について、未だに知事による告発が為されたという報道も見あたらない。

8.知事は、昨年7月8日に県公式ツイッターに「安部、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信した県民の行為を脅迫罪及び偽計業務妨害罪だとして、翌9日に県警や前橋署に、被害届を出すことにより告発した。職員でない納税者県民に対して告発し、知事部局所属の、いわば身内である職員に対して告発を躊躇うことがあってはならない。

9.ただし、本事案では、該当職員が職務においてそれなりの実績を挙げており、職場関係者からも「とてもあのような非違行為を起こすことは考えられない。なにか、窃盗癖のような病的な原因があったのかもしれない」とするコメントもあり、「畜産試験場職員 横領事案 処分理由」を記した黒塗りの報告書の最後の8ページ目にも「以上のことを総合的に考慮し、本事案については刑事告発を見送ることとする。」と結論付けている。審査請求人は本事案について刑事訴追をしない理由や判断過程を考慮したうえで、処分庁の処分決定の適否を吟味したいと考えていたが、これほど迄に黒塗りされた開示情報に接し、審査請求人は納税者県民として知事にかわって告発することを余儀なくされている。

10.よって、今回の処分を取り消すことがぜひ求められる。

教示:○有 ・ 無

(内容)なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の被の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)

 また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

添付書類等:・対象となる処分の通知書の写し

**********

 

■3月3日に審査請求書を群馬県知事に提出してから、来週末で3か月が経過しようとしていますが、県からは今のところなにもこの件について何も反応がありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンパイ110番の看板が泣く…桐生市新里町産廃問題で不明点等を知事に公開質問と情報開示追加請求!!

2023-05-24 08:11:54 | 全国のサンパイ業者が注目!

 


令和5年5月22日午後3時半から桐生市記者クラブで行われた記者会見の様子

■桐生市の私有地に大量の廃棄物が投棄され、周辺住民の皆さんの生活に影響が出ている問題で、桐生市と群馬県から開示された情報を分析した結果について、5月12日に当会は桐生市役所で記者会見を開き、廃棄物の早急な処分が緊急に必要であることを訴えました。その際、開示された情報を照らし合わせても整合性に欠ける点や、必要な情報がいまだに不足していること、そして新たに浮かび上がった不明点や疑問点を確認する必要があることをコメントしました。

 

 すると、メディア関係者から、そうした分析結果を踏まえて、次の活動方針として、どのようなアクションを検討しているのか、方針案について質問が出されました。当会は公開質問や追加の情報開示請求のかたちで群馬県の見解や、未開示の保有情報の公表を求めていきたいと答えていました。

 

 その後、1週間をかけて県知事宛の公開質問状と公文書開示請求書をとりまとめ、5月22日午後1時に県庁6階の秘書課と同2階の県民サービスセンターに、それぞれ提出しました。提出した文書は以下のとおりです。

 

*****5/22知事あて公開質問状*****

                      令和5年5月22日

〒371-8570 群馬県前橋市大手町1−1-1

群馬県知事 山本 一太 様

TEL:027-223-1111 

          〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号

          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢

          〒376-0052 桐生市天神町3丁目14番36号

               副代表/桐生支部長  長澤健二

          TEL: 090-5302-8312(代表・小川)/

             090-7197-6449(副代表・長澤)

          FAX: 027-224-6624(事務局)

 

 桐生市新里町の廃棄物不法投棄等の対応に関する公開質問

 

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。その活動方法としては、行政事件に関わる住民監査請求や住民訴訟にまで及ぶことがあり、そのための情報の入手手段としては、住民等からの情報提供のほか、行政への公開質問や情報開示請求等を活用しております。

 さて、貴殿におかれましてもマスコミ、テレビ報道により、御存じとおもいますが、桐生市新里町に大量の産業廃棄物が不法に投棄された挙句、土地所有者が、母国に帰国してしまい、周辺住民の安心・安全な生活環境が脅かされています。住民の皆様方からの意向を踏まえて、我々市民オンブズマン群馬として、この問題の経緯を各方面から調査し、問題点を検証した結果、「一刻も早く産業廃棄物を撤去すること」が最も必要であると考えております。

 産業廃棄物の不法投棄を巡る問題は古くからあります。その最たる事案のひとつに、香川県の豊島(てしま)を舞台にした産廃不法投棄事件があります。これは豊島総合観光開発(豊島開発)が1975年から16年間にわたり、豊島の西端の海岸近くに産業廃棄物を大量に不法投棄し続けていた問題で、1990年に発覚し、当時は戦後最大級の不法投棄事件と言われました。これを受け、翌1991年には廃棄物処理施設の設置が届出制から許可制となるなど規制が強化されましたが、1999年に発覚し国内最大規模と言われた青森県・岩手県境の不法投棄事件を防ぐことができませんでした。

 豊島事件では産業廃棄物の撤去等に総額820億円(毎日新聞資料)もの税金が使われました。しかし、まだ、土壌汚染問題が残っているそうです。

 群馬県にも県内各地で産業廃棄物を巡る問題が多々発生しています。地元桐生市の新里町で今回発生した表記の産廃不法投棄事件を検証することにより、群馬県における産廃問題の実態を貴殿にぜひご承知いただくとともに、そして、何にもまして、県民と共にこの産業廃棄物問題を住民の目線で考えて、群馬県から産業廃棄物の不法投棄を根絶したいと願っております。

 貴殿におかれましてはご承知のことと存じますが、令和4年9月26日の一般質問において、環境森林部長が「産業廃棄物の問題は“早期発見”が重要である」と答弁されております。今回、桐生市新里町に持ち込まれた産業廃棄物においては、令和3年4月21日にさいたま市より御庁に情報提供があり、翌日御庁から群馬県警生活安全課に情報提供をしたとの記録があります。しかしながら、当該現場はすでに、2年以上経過した挙句、産業廃棄物が放置されたままであることは誠に遺憾です。

 令和5年5月11日の知事の定例会見において、記者より、桐生市新里の産業廃棄物について現状認識と今後の見通しに関する質問がありましたが、貴殿に代わって答弁した環境森林部長は「引き続きどういった状況かを確認し、必要があればたような行政代執行や、その前提となる措置命令といったものについても必要があれば選択肢としては排除しないで検討したい」と他人事のような答弁に終始しまいた。このことは、群馬県の環境行政を預かる実務トップの発言として不適切です。

 同部長は、令和4年9月26日の県議会の一般質問に対する答弁で「早期発見が重要である」との見解を示しました。ところが、不法投棄が発覚して2年以上経過するにもかかわらず、大量の産廃が放置されたままなのに、この期に及んで「土地所有者と連絡が取れない。鋭意努力して、コンタクトを試みているところだ」などと居直っている始末です。

 しかし、産業廃棄物の適正な処理については、排出業者にも大きな責任を課しています。これは、平成29年3月21日付環廃対発第1703212号・環廃産発第1703211号の「廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)」に明示されています。群馬県が、この通知を知らないわけはありません。その中に「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と、排出事業者の責任が明確に規定されています。

 このことから我々市民オンブズマン群馬のみならず、広く県民の皆様は「群馬県は、排出事業者を特定してその責任を明確にしつつ、行政代執行をすればよかろう」と思うことでしょう。釈迦に説法で恐縮ですが、産業廃棄物の排出事業者は元請け業者であります。このような、何もしない、また、しようとしない環境森林部長の任命責任は貴殿にあることを肝に銘じていただきたいのです。

 つきましては、公務多忙な折り誠に恐縮ですが、下記の質問事項に対して、群馬県知事である貴殿の見解をお示しいただけますと幸いです。回答の程、よろしくお願い致します。

【質問1】

 群馬県には県民の生命、財産を守る義務があると思います。桐生市新里町の産業廃棄物の不法投棄、不適正保管事件は、これに該当する事案であると当会は考えておりますが、貴殿はどう思いますか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問2】

 地方自治法第1条は「この法律は、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営にかんする事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体の民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする」と明示しており、第1条の2第1項では「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と定められています。表記事件では、地元民から、ごみの散乱、悪臭、景観等の苦情が御庁や桐生市に出されています。地自法の総則に照らして、「新里の廃棄物」の問題を貴殿はどう考えますか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問3】

 産業廃棄物110番受付簿によると令和3年4月30日に不法投棄の通報があり、令和3年5月11日から調査記録の記載が始まりました。しかし、調査記録には、土壌検査で調査に行った際、当該検査会社の事務長から情報提供を受け発覚した事案であると記載されています。同年6月2日の調査記録には、令和3年4月21日にさいたま市から情報提供があったと記されています。このように、表記事件の初動対応について混乱が見受けられます。環境森林部廃棄物・リサイクル課(「廃リ課」)の職員は、速やかに情報共有していたのでしょうか?情報共有をしていればこのような対処になりません。貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問4】

 冒頭に記したように、令和4年9月26日の県議会の一般質問で環境森林部長は「早期発見が重要である」と答弁しています。令和3年4月30日の産業廃棄物110番受付簿によれば、令和3年4月21日にさいたま市より情報提供があり、「4月頃からフェンスを建て廃棄物を搬入している」との通報があった、と記されています。すなわち、令和3年4月初旬には産業廃棄物が桐生市新里町鶴ケ谷に搬入されていたとする情報を、廃リ課は同4月21日に覚知していたことになります。ところが、令和3年5月11日まで廃リ課は現地調査をしておらず、同日に土壌調査に行った際、当該検査会社の事務長より情報提供があり、初めて現地調査を行っています。その際、廃リ課は、産業廃棄物処分業の取得、収集運搬業の許可を取得するよう行為者に指導しました。この時点で、御庁は産業廃棄物処理法違反の事実を認識していたことになります。この一連の行動をどう解釈するのかご説明をお願いします。併せて、県議会の一般質問で環境森林部長の「早期発見が重要である」との答弁がありましたが、「早期発見」の観点からすれば、さいたま市からの情報提供により、直ちに現地確認することが必須だと、普通、考えるのではないでしょうか?環境森林部長が重要視する「早期発見」を担保するには、どうしたらよいのでしょうか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問5】

 環境森林部廃リ課は、表記事件行為者らによる産業廃棄物の無許可営業、収集運搬業の無許可営業を結果的に認めているも同然です。刑事訴訟法第239条第2項には「官吏または公吏はその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と明記されています。すなわち、公務員には告発義務が課せられているのです。表記事件において、御庁は何故これまで告発してこなかったのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

 

【質問6】

 産業廃棄物の適正処理に際して、排出業者にも大きな責任が課せられています。これは、平成29年3月21日付環廃対発第1703212号・環廃産発第1703211号の「廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)」に明示されています。群馬県がまさかこの通知を知らないはずはないでしょう。その通知の中に「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と排出事業者の責任が規定されています。排出事業者の責任に関する環境省の通知は、「平成28年1月、建設廃棄物において、下請け業者に処理の委託を無責任に繰り返し、最終的に処理能力の低い無許可解体業者によって不法投棄がなされた不適正処理事案が判明したことがきっかけです。」と記しています。正に、桐生市新里の産業廃棄物不適正保管事案と同じ構図を念頭に通知されたものと言えます。令和3年6月2日に行為者が判明したため、来課させた当該行為者に「解体現場から排出された廃棄物は無許可で収集運搬し、収集した廃棄物を分別したり、その廃棄物を埋めることは廃棄物処理法違反に抵触すること。現地に保管している廃棄物は許可業者に依頼し、適正に処理すること等を指導した」と記録にありますが、当該行為者は令和3年5月11日に現地で作業していた人物です。同じ人物に同じ指導を繰り返しても改善されないのでは意味がありません。この時に、指導を繰り返すのではなく業務改善命令等を出すべきではなかったでしょうか?

 それとも、廃リ課は令和3年6月2日までに現地確認をして、状況が改善されたと判断したのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。また、どうして、行為者に廃棄物の処理を依頼した排出事業者に関する情報(契約書、マニュフェスト等の有無とそれらの内容)を調査しないのでしょうか?この点についても貴殿からのご説明をお願い致します。

 

【質問7】

 令和3年5月11日から6月2日まで現地調査した記録が見当たりません。どうなっているのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。そもそも、同5月11日の調査記録には、今後の対応として「監視指導を続ける」と記してあります。これがきちんと実行されていれば、早期発見して、早期対応し、その後の廃棄物の搬入をくい止められたのではないでしょうか?これについても、貴殿からのご説明をお願い致します。

 

【質問8】

 令和3年6月7日の調査記録には、行為者(解体業社長カラハン・メメト)に指導書を渡した、と記してあります。ところが、その後の調査記録は令和3年8月5日まで見当たりません。しかも、同8月5日は、行為者から産廃処理の依頼を受けた者(株式会社ジュマ工業)が来庁してから、調査記録が記録されています。

 令和3年6月8日には通報記録が記され、同6月17日には地元の方が来庁し、同6月18日に通話記録が記され、同7月6日には地元民の記録によると「桐生市に対して県担当課に転送するように依頼したところ、県の廃棄物・リサイクル課から電話連絡があった」ことが記されていますが、県の開示資料には見当たりません。廃リ課は、1度指導票を発行するとそれで業務を終了したとして、その後フォローはしないのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

 指導票を発行した後は、通報を受けたり、地元民の来庁があったりしても、なぜ現場調査をして確認しないのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

 また、桐生市の記録によれば、「県の廃リ課の調査で土地所有者が帰国した」旨、記されています。御庁は土地所有者が帰国した事実をいつ、どのように知ったのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

 さらに、同6月18日の通話記録には「県は相手に指導していますが、今後も引き続き相手方に繰り返し指導する予定です」と記されています。そして、同8月5日になって、行為者から産廃処理を依頼された者が来庁した際に指導したわけですが、この48日間における御庁の対応について、貴殿からのご説明をお願い致します。

 すなわち、御庁は「相手方に繰り返し指導する」と通報者に説明したわけですから、いつ、誰に、どのように指導したのか、貴殿からのご説明をお願い致します。

 以上についてご説明できないのであれば、通報者に嘘をついたことになるのではないでしょうか?

 

【質問9】

 令和3年10月20日の調査記録によると、「通報があり、現場に向かったが作業員と接触出来ず、行為者に依頼を受けた者に、電話聴取した」と記してあります。また、「現場には廃棄物が2トン車で10台分運び込まれていた」と記録されており、同年10月22日には作業者が「解体業(株式会社ARIN代表取締役)」に変わっています。これは明らかに行為者が意図的に作業者を変更して、廃棄物処理法違反の摘発を逃れる目的を意図していると考えられます。それ以降も作業者が替わっています。この流れをくい止めるには、早急に排出事業者を特定して、改善命令を出し、行政代執行をする必要があると思われます。県知事として貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問10】

 令和3年10月25日の通話記録には「群馬県は取締機関でないため、事件化などの理由については、回答できないが、この状況については桐生警察署へ情報提供して、協力して対応している。」と記録されています。上記【質問5】で触れたように公務員には告発の義務があります。「警察への情報提供」とは、具体的にどのようなものだったのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

 

【質問11】

 令和3年11月2日の調査記録には「行為者から廃棄物の撤去が完了した旨の連絡があり、行為者を立会人として確認を行った。調査場所に置かれた廃棄物は撤去されていた」と記録されています。しかし、この記載内容は非常に曖昧であると言わざるを得ません。令和3年10月26日の調査記録には行為者(運搬者)は「RAMO工業社員」と記録されており、11月2日の立会人として、「RAMO工業の社長」との記載があります。記録は、事実関係を証拠づけるものですから、正確に記録して頂かねばなりません。開示資料には訂正箇所がいくつもあります。これでは、果たして、記録が正確に記述されているかどうか、疑問を払拭できません。次に、「通報があって現地調査した」とありますが、通報記録が見当たりません。これでは、「他にも通報記録があったのではないか」と県民が疑問を持つことでしょう。

 次に、令和3年10月26日の記録にダンプの荷台の廃棄物の写真が載っていますが、この廃棄物はこの後ヤードから排出させたのだろうと想像されます。ところで、ここでいう行為者は誰を指すのでしょうか?

 また、「行為者が搬入した廃棄物は撤去した」とあり、「別の行為者の廃棄物はそのままである」と記録されていますが。行為者の搬入した廃棄物と別の行為者が遺した廃棄物の区分はどうなっているのでしょうか?貴殿からのご説明をお願い致します。

 さらに、搬入者が廃棄物収集運搬業の許可を所持しているのかどうか、確認したことについての記載が見当たりません。このことからも、御庁は排出事業者の資格すら特定する意向もないと思われます。

 廃棄物の排出事業者は、マニフェストを5年間保管する義務があります。そして、罰則もある。御庁は「捜査機関でない」と主張するのであれば、せめて、告発の義務を守って頂きたく存じます。貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問12】

 御庁は、令和3年11月2日以降の調査記録として、令和3年12月7日まで現地調査の記録はなく、電話対応のみとなっています。御庁は、現地調査もやらず、法的対応もやらなくても、産業廃棄物の不法投棄が自ずと解消するとでも思っているのでしょうか?

 令和3年12月22日になって、廃リ課は、初めて行為者(RAMO工業社長)に「廃棄物の撤去を令和4年1月22日」と記載した指導票を交付しました。指導票には罰則についても記載されています。ところが、令和4年1月22日になっても、是正措置命令を発することもなく、再度、令和4年2月8日に指導票を交付しています。すなわち、令和4年2月8日に行うべきは指導票ではなく、業務改善命令等の法的拘束力のある行政処分が適正であると考えられるのではないでしょうか?何故なら、令和3年5月11日に指導して以降、現場の違法投棄状態が改善される見通しがないどころか、持ち込まれ続けた産業廃棄物の量がさらに増加しているからです。

 また、令和4年2月8日の調査記録として、黒塗りされた5ページにわたる開示資料があります。これは明らかに、御庁が、県民の知る権利に背を向けて、情報を隠している証拠だと言えるのではないでしょうか?なぜなら、群馬県の情報公開条例では、個人情報や、当該法人の不利益な情報は開示しなくてよいことになっていますが、それは、書いてある内容のことだからです。例えば、最初の黒塗り箇所は、その大きさから、免許証のようなものと考えられますが、「免許証」の文字そのものは個人情報ではありません。「○○免許証」は公開情報として扱われるべきです。次の4ページの黒塗り部分は、何の情報なのかさっぱりわかりません。仮に、事情聴取に関するものであれば、タイトルにあろうかと思われる「事情聴取」の文字は個人情報ではありません。貴殿は、知事部局によるこの行為について、どう思いますか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問13】

 上記【質問8】に示した原因者への指導書の手交以降、御庁は指導の繰り返しをするだけであり、一向に産業廃棄物がなくならないどころか、搬入の通報があることから、逆に産業廃棄物が増加していると考えられます。何故、廃リ課は、指導だけでなにもしないのでしょうか?理解に苦しむのは我々だけではないと思います。

 現に令和4年2月10日の調査記録には、「近隣住民から重機で穴を掘って埋めているとの通報で現地調査を実施した」と記されていて、同年2月19日の調査記録では、「RAMO工業従業員がマニュフェストを持参したので確認し、指導した」と記されていますが、どのように確認したのでしょうか?ついては、貴殿からのご説明をお願い致したい疑問点として、以下の事項があります。

 ①RAMO工業が排出事業者であるとしていますが、本当に元請け業者であると確認するため、マニフェストA票の産業廃棄物発生場所を確認したのでしょうか?

 ②中間処理業者と契約を交わしているのでしょうか?

 ③中間処理業者がマニフェストを返送しているのでしょうか?

 ④マニフェストA票によると運搬車両が4枚とも同じナンバーであるのに、調査記録には、2回現場から搬送したと記録されています。同じナンバーであるなら、4回搬送したことになるのでしょうか?

 ⑤マニフェストの流れで言えば、収集運搬業者はマニュフェストB1、B2、C1、C2、D、E票を中間処理業者に渡し、中間処理業者はB1、B2、C1、C2、D、E票の「運搬の受託(1)」欄に運搬終了日を記入し、廃棄物とともに中間処理業者の担当者に渡します。中間処理業者は、廃棄物を受領した際、B1、B2、C1、C2、D、E票の「処分の受託(受領)」欄に受領日及び処分受託者(会社名)を記入の上、受領担当者がサイン又は押印し、B1、B2票を収集運搬事業者に渡します。中間処理業者は、廃棄物の処分を終了した際、C1、C2、D、E票の「処分の受託(処分)」欄に処分終了日及び処分受託者(会社名)を記入の上、処分担当者がサイン又は押印し、処分終了後10日以内に収集運搬業者に返送します。また、中間処分業者は、D票は廃棄物の処分が終了した際、10日以内、E票は最後の最終処分終了の報告を受けとき、10日以内に返送します。ということは、令和4年2月19日には、B1、B2票も無ければなりません。明らかにマニフェスト違反ではないでしょうか?

 上記①から⑤までの疑問点について、わかりやすく、貴殿からのご説明をお願い致します。

 

【質問14】

 桐生市が開示した資料によると、「令和4年9月14日、地元自治会の○○さんより説明会を開いてほしいとの要望あり。県産リ課は出せる情報がないとのことで断る。市では更に説明できるものがないことを説明し、納得していただいた」とのことです。しかし、我々市民オンブズマン群馬が、令和2月17日に情報開示請求を行い、同4月17日に貴殿から開示を受けた情報を見る限り、当時令和4年9月14日時点で廃リ課が集めていた情報は有り余る程の量と思えます。群馬県のこうした対応について、「情報隠しではないか」という疑念を払拭できせん。貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問15】

 令和5年5月11日の知事の定例会見において、環境森林部長はまるで他人事のように「行政代執行を検討する」と答弁し、「土地所有者とは現時点でまだ連絡は取れていないが、鋭意努力して、コンタクトを試みているところだ」と、照れ笑いを交えながら主張しています。これは、明らかに、県の対応ミスではないでしょうか?香川県豊島のごみ問題では、香川県は対応ミスを認めています。このような環境森林部長の対応ぶりをすぐそばで見て聞いていた貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問16】

 令和5年5月14日現在、地元民は悪臭等により、窓を閉めており、洗濯物も外に干せない状況と聞いております。周辺住民の安全・安心な生活環境の保全を担保するために、生活環境調査をする予定はありますでしょうか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

【質問17】

 今後の対応について、どうしたら良いと思われるでしょうか?貴殿の見解を御教示いただきたくお願いします。

 

 

 以上、よろしくお願いします。なお、ご回答については、大変勝手ながら、2週間後の2023年6月7日(火)までに書面で郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。

 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先まで、書面にてお伝えいただきたく存じます。

 なお、この公開質問と回答の内容は、マスコミにも情報提供致します。

                                 敬具

 

*****5/22県知事宛公文書開示請求書*****

<開示を請求する公文書の内容又は件名>

1.当会が今年2月17日付で開示請求をして先日4月17日付で開示いただいた資料を拝読したところ、以下の情報が見当たりませんでした。よって今回改めて開示請求します。

①産業廃棄物110番受付簿等に令和3年4月21日に「さいたま市産業廃棄物指導課監視係より、情報提供があり、同年4月22日に群馬県警生活安全課に情報提供した」とあります。さいたま市からのこの情報提供関係書類一式と群馬県警への情報提供関係書類一式。

②桐生市新里町の当該土地に関し、群馬県環境森林部環境保全課➔廃棄物・リサイクル課不法投棄対策係(当会注:5月24日16:11に県廃・リ課不法投棄対策係の担当者から「正しくは廃棄物・リサイクル課不法投棄対策係だ」との指摘があり修正)に土砂条例に基づき申請された特定事業許可に係る関係書類一式。

2.桐生市新里町の産業廃棄物不適正保管に関して、桐生市より開示された資料と地元民が記録した資料を県が開示した資料を比べると上記(2点)のような資料が見当たりません。従って、情報公開請求書類の解釈が違っているように思われます。よって、改めて次のような関係書類一式を情報公開請求致します。

③令和1年4月1日から情報公開請求日までの桐生市新里町の産業廃棄物の不適正保管に関係する書類一式。(不適正保管者、土地所有者、建築廃棄物の排出事業者、産業廃棄物運搬業者及び運搬人、マニュフェスト一式、すべての指導書、警察等への情報提供、さいたま市、川口市等への照会などを含む。なお、すでに開示された書類を除く)

④県は環境調査の結果、「周辺の生活環境に支障はきたしていないとしている」が、その判断の根拠となった調査の内容(何時、どのように調査して、どのような結果であったのか等を含む)を示す関係書類一式。

⑤上記④に関連し、「生活環境に支障があるレベル」とはいかなる条件を指すのか、その根拠となる具体的な数値が示されている関係書類一式。

⑥さいたま市より県に、千代田町と桐生市における不法投棄の情報提供がなされた際に、県は桐生市の現場にはすぐに確認に行くことをしなかったが、千代田町の現場には確かに産業廃棄物がその土地に置かれていることを確認したという。千代田町のこの現場では、その土地の持ち主である町内の業者が「合法的な形で保管していたことを県が確認したため、町にも連絡しなかった」と説明しているそうだが、県は何時、どのように確認(例えば一時保管、中間施設等の表示等、排出事業者のマニュフェスト)したのかが分かる関係書類一式

**********

 

 この後、県庁5階の記者クラブ(刀水クラブ)で記者発表をするつもりでしたが、会見予約を今月の幹事社である毎日新聞社の田所記者に打診したところ「この問題は桐生市で起きており、個人的には前回5月12日に桐生市役所記者クラブで会見を開いていることから、桐生支局の記者が詳しいので、今回も桐生市役所で開いた方が都合よいと思う」とのコメントでした。

 

 そこで当会から「知事に対する質問と開示請求なので、お膝元の県庁で記者発表するのがスジではないかと考えました。すいませんが他社にも意見を聞いてもらえませんか」とお願いしたところ、数分後に「やはり他社さんも当方と同じ意見です」と回答がありました。そのため、2件の県知事宛文書を提出後、午後1時40分に県庁を出発して県道50号線を桐生市に向けて車を走らせました。

 

 幸い1時間余りで桐生市役所に到着し、午後3時20分ごろ2階の記者クラブを訪れました。当会からは、地元桐生支部で本件をフォローしている副代表と、元警察官の同じく副代表、そして桐生支部の会員が一緒に記者クラブ室に入りました。

 

■午後3時半からの記者発表で、上記の2件の知事あて文書を提出して、確かに受理されたこと、2件の文書の内容の説明、公開質問への回答と情報開示の結果が2週間後に判明する可能性があることや、先日当会代表がさいたま市産業廃棄物指導課監視係を訊ねて、トルコ人による解体業の実態についてヒヤリングした結果の報告などを行いました。詳しくは次のYouTubeをご覧ください。

 

*****5/22YouTube*****

令和5年5月22日桐生市記者クラブ会見

https://youtu.be/ijx5b62C5pY

リットン調査団(オンブズマン渋川)

**********

 

■この会見の模様は、取材に参加したメディア各社が以下のとおり報じました。

**********読売新聞2023年5月23日
桐生市廃棄物放置、県へ質問状 市民オンブズ「初期対応に誤り」
 桐生市新里町鶴ヶ谷の私有地に建設資材などの廃棄物が大量に積み重なっている問題で、「市民オンブズマン群馬」は22日、「廃棄物が放置されたのは県が初期対応を誤ったためだ」として、山本知事あての公開質問状を県に提出した。
 質問は17項目にわたり、市民オンブズマン群馬が県に行った情報開示請求に対して県が4月に公開した公文書などを基に作成した。
 県が開示した文書では、廃棄物の投棄が始まった2021年4月、さいたま市環境局から県に「トルコ人が桐生市などで不法投棄を行っている」という内容の通報が寄せられたが、県が現地調査するまでに約20日かかっていた。この間に搬入が本格化していたという。
 回答期限は6月7日とした。小川賢代表は「県は警察への告発もしておらず、責任は重大だ。知事には納得できる回答をお願いしたい」と話している。
***********

**********上毛新聞 2023年5月23日
桐生・新里の廃棄物 知事に質問状提出 オンブズマン
  桐生市新里町鶴ケ谷の私有地に廃棄物が山積している問題への県の対応について、市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は22日、山本一太知事に対して公開質問状を提出した。
  無許可で産業廃棄物の処分や運搬をした可能性がある業者告発しなかったことや、今後の県の対応などについて質問している。回答期限を6月7日とした。
  小川代表は「まずは廃棄物の処理に動いてもらいたい。その後、しっかり責任を追及して欲しい」と話した。
**********

■今回、群馬県が果たして14日以内に開示決定と回答をするかどうか、前回は60日も要したので、注目したいと思います。開示資料や回答内容については追って報告します。

【6月1日追記】

 
 
 群馬県廃棄物・リサイクル課不法投棄対策第一係から5月26日付で開示期間延長通知が5月31日に当会事務局に郵送で届きました。基本的には開示請求から14日後の6月5日に開示通知のところ、条例で目一杯の60日間まで延長できることから7月20日に開示予定日を設定しています。
 その理由は「本件開示請求に係る公文書の量が著しく多く、非開示情報該当性の判断に時間を要するため」と記してあります。つまり、県民に対して、自分たちのやってきたことを堂々と説明する自信がなく、やはり、後ろめたいと考えているため、都合の悪い情報を黒塗りしたり、あるいは存在すら明かさないようにしたりすることを最優先していることがうかがえます。

【6月6日追記】
 6月6日(火)18:42に、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課不法投棄対策第一係の濱野係長から私の携帯に電話がありました。
 内容は「回答に際して、時間がかかっており、期限までに回答できないので、回答を延期したい」というもの。当方から「6月7日とあるので、明日でもかまわない」というと、「それも無理だ」というので「可及的速やかに回答をお願いする。いつまでに回答すると期限を示してほしい」と申し入れると、「回答には庁内の確認が必要なので、いつまでとは言えない」とのこと。濱野係長には、「オンブズマンとして、とにかく早期の対応を強く要請する」と伝えました。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安中市土地開発公社巨額横領事件発覚28周年…タゴ死去で市と群銀は今こそ永久モラトリアムの決断を!!

2023-05-23 23:28:35 | 土地開発公社51億円横領事件

前橋市元総社町の国道17号線沿いにある群馬銀行本店営業部

■安中市土地開発公社を巡る史上空前絶後の巨額詐欺横領事件が安中市役所の内部で密かに発覚した平成7年(1995年)5月18日から28周年を迎える前日の5月17日、当会は、これまでの取り組んできたこの「タゴ51億円事件」と安中市民の間で称される事件の大きな節目と捉えて、安中市の岩井均市長、そして安中市土地開発公社理事長を兼務する清水昭芳副市長、および群馬銀行の会長と頭取あてに次の申入書を提出しました。

 

*****5/17申入書*****

                   令和5年(2023年)5月17日

〒371-8611群馬県前橋市元総社町194番地

株式会社群馬銀行

 代表取締役会長  堀江 信之 様

 代表取締役頭取  深井 彰彦 様

〒379-0192群馬県安中市安中1丁目23番13号

安中市土地開発公社

 理  事  長  清水 昭芳 様

〒379-0192群馬県安中市安中1丁目23番13号

安中市

 市     長  岩井  均 様

 

                     〒379-0114安中市野殿980番地

                     小川 賢

                     電話090-5302-8312

                     FAX 027-381-0364

                     E-mail ogawakenpg@gmail.com

 

               申 入 書

   件名:安中市土地開発公社不祥事件にかかる元職員の死亡に伴う

         和解条項の即時解消について(要請)

 

 標記事件につきましては、平成を象徴する大事件であるにもかかわらず、真相究明、責任の明確化が十分に行われたとはいえないまま、元職員の単独犯行とされました。しかし、この大事件の発生の背景には、当事者によって抱えられていた様々な要因が存在していたこと、そして、この事件の刑事裁判や民事裁判の過程でそれらが浮き彫りになったことは言うまでもありません。

 民事裁判の結果、当事者間では、裁判所の和解条項に基づき、平成10年12月25日に4億円が市の連帯保証のもとに、公社から群銀に支払われ、残り20億5千万円が、毎年2千万円ずつ、計算上では103年かけて支払われることになっており、これまでに25回計5億円が市の連帯保証のもとに、公社から群銀に支払われてきました。

 しかし、和解後25年目を迎えて、今後も同様にこのような支払いが行われるべきなのかどうか、少子化、高齢化、過疎化、温暖化などとともに、安中市民の皆さんは、地元の将来に影を落とし続けるこの事件の行く末を憂慮しております。とりわけ、本年1月9日に、標記事件の単独犯とされた元職員が死亡し、遺族全員が相続放棄をしたことにより、その時点で債権元金残額22億653万1500円と遅延損害金26億6162万7292円の合計48億6815万8792円が安中市債権総額であり、この金額の回収が困難な状況になったことを、公社を設立した安中市も認識している状況にあります。

 つきましては、これ以上、表記事件の負の遺産を行政が抱えることによる次世代へのいわれなき負担を回避するために、直ちに、群馬銀行と安中市・土地開発公社との3者で、和解条項で定めた和解金の支払いを解消するための協議を、速やかに開始するよう、ここに強く要請いたします。

 なお、この協議が必要な背景や合意が可能な理由等を下記に示します。3者協議に向けた情報として資すれば幸いです。

 

                   記

 

1.標記事件にかかる和解条項による群銀への和解金の支払いについて、安中市・公社は元職員からの返済がまがりなりにも継続していたことで、市民・納税者への説明としていましたが、これ以上債権の回収が不能と判断していることから、群銀への和解金支払いについて市民・納税者への説明も厳しくなることを認識されたい。

 

2.事件が発覚した平成7年6月から28年が経過しようとしており、群銀の当時の関係者は既に全員リタイヤしており、市・公社の当時の関係者も誰も責任を取らずに退職してのうのうと余生を過ごしています。また、安中市民はもとより国民の約3分の1が当時まだ生まれていなかった世代となっており、不祥事件とは無関係の住民の存在は無視できない状況にあることを認識されたい。

 

3.和解条項に基づき、群銀は、市・公社に対し、 借入金元金9億3618万2425円及び利息損害金全額相当額の支払いを免除し、市・公社はこれまでの25年間で、当初一括返済の4億円及び25年間の和解金計5億円の総計9億円を群銀に支払いました。ほぼ拮抗する金額を、この事件により双方が負担してきた状態であることを認識されたい。

 

4.群馬銀行が和解金支払いを受ける権利を放棄する場合、それなりの重要な決定を求められるわけですが、これまでにも群銀は、いわゆる「超法規的」措置で、債権放棄をした経緯があるはずです。たとえば、山本一太知事の父親の山本富雄氏が、バブルの頃、地元草津のリゾート開発でホテル「ホワイトタウン」事業を始めた当時、群馬銀行から多額の借り入れをしましたが、事業がうまくゆかず、多額の負債が遺りました。これについて、自民党県議団が群馬銀行に政治的に交渉を続け、当時の副頭取の五十嵐哲夫氏(後に会長)がこれを担当していましたが、結局31億円とも32億円とも言われる負債を群馬銀行は大局的判断から帳消しにした経緯があります。

  幸い、昨年4月に就任した安中市長は長年県議として自民党に所属してきた政治家です。この機会にぜひ3者で協議をして、元職員が遺したこのいわれなき不祥事件の負の遺産を解消するよう、今こそ互いの英知を結集して取り組むことが求められています。よって、当事者全員におかれましては、この負の遺産を次の世代に引き継がせることのないよう、特段の配慮の必要性を認識されたい。

                                以上

**********

 

■当会では、上記の申入書にも記載したとおり、今年1月9日に急逝したタゴ51億円事件で単独犯とされた元職員が急逝したことから、これ以上この事件を当事者間で引きずることは、いずれも行政機関と金融機関にとって最も重視される要素である「信用」の観点から、好ましくないと判断し、事件発覚から28年目、安中市・土地開発公社と群馬銀行との民事裁判和解から25年目のこの機会に、安中市が連帯保証をしている安中市土地開発公社と群銀との間で継続中の和解条項に基づく103年ローンの支払いを解消するよう、関係者に申し入れることにしたものです。

 

 このため、土地開発公社を管理する安中市を5月2日に訪れた際に、上記の申入書案を示し、群銀にもこれを提出するとともに、安中市長と公社理事長にも併せて提出する意向を、公社の管理監督を担当する企画政策部の政策・デジタル推進課の大溝泰彦課長らに伝えました。そして、その場で、市・公社から103年かけて返済を受ける側の群馬銀行の担当部署であるリスク総括部コンプライアンス室のKシニア・エキスパートに電話をし、面談日時の申し入れをしました。その際、5月連休明け早々でのアポイントを希望したところ、群銀側から「連休明けは多忙なので、5月15日の週が好都合」ということで、最終的に5月17日(水)午前10時で面談の約束を取り付けました。

 

群馬銀行リスク統括部組織図(2020年9月改定)

 

 このため、安中市側に対しても、5月17日の午後に岩井市長と清水副市長(市土地開発公社理事長兼務)との面談を申し入れたのですが、生憎5月17日の午後は岩井市長は全国市長会の関係で東京方面に出張するということと、清水副市長も都合で不在となるということなので、応対に出た公社を管轄する政策・デジタル推進課の大溝課長が当日午後、市長・副市長の名代として申入書を受領していただくことになりました。

 

■5月17日当日、午前10時前に前橋市元総社町の国道17号線沿いにある群馬銀行本店営業部を訪問しました。

そして同行リスク総括部のKシニア・エキスパート(前・同部コンプライアンス統括室長)と同部お客様サポート室のQ室長とおよそ50分にわたり面談しました。

 内容は当方から事件のこれまでの経緯、最近の安中市政の状況、1月9日に死去した安中市元職員に関する雑情報、そして、この未曽有の事件に関わった安中市の関係者のその後の動向など、当会がこれまでに収集・分析した情報を説明しました。

 

 群銀側からは、元職員の死亡について既に確認して知っているとのコメントがありました。当会からは、安中市から開示された情報を提示し、元職員死亡確認後に開かれた安中市土地開発公社理事会の会議録についても、事前に安中市側から群銀への開示について承諾を受けていたので、それについても、提示し、安中市側の対応状況について、当会の見解を説明しました。

 

 当会の説明の間、群銀側は真剣に耳を傾けていただいていることが感じられました。なぜなら、応対したリスク総括部のシニア・エキスパートらは「最終決断はトップが判断するため、我々実務担当者としては、その決定権限は持ち合わせていないが、いただいた申入書と今日の説明いただいた内容については、上層部と審査部に、これまで同様、しっかりと報告させていただく」旨、述べたからです。

 

 当会は「本件は、最終的にはトップ同士の判断であり、その端緒は安中市側から交渉の申し入れをすることになると思う。したがって、安中市長が当会の申し入れ内容の趣旨を理解し、公社理事長である副市長に貴行との交渉の必要性を指示し、併せて市長の政治力を駆使して、貴行との交渉を進めるためのプロセスを決断することが要件となるので、安中市側の動きを待っていただく形になろうかと考えている」という趣旨のコメントをしました。

 

■当会は、これまでにも何度もタゴ事件の件で、群馬銀行に足を運んだことが有ります。最近では、「和解後20年目の対応」ということで、2018年9月13日と2019年7月5日に群銀の本店営業部を訪問したことがあり、今回は約4年ぶりの訪問ということになります。2018年から2019年当時の当会のブログ記事を時系列下記します。

○2018年7月11日:【速報】タゴ51億円事件から23年目・・・安中市長に103年ローン解消に向けた動きの有無を情報開示請求

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/3ff00ed94371259cd01975866f449458

○2018年7月13日:平成の負の遺産は平成で終わらせよう!…タゴ51億円事件103年ローンの20回目支払い迄あと165日

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/d19df4d3fdda6d6bd5a72863b8791c92

○2018年7月21日:平成の負の遺産は平成で終わらせよう!…群銀の103年ローン見直し交渉未着手の安中市長と市民への説明責任

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/13a7c32ac4f362316450a38d9b23f5ba

〇2018年8月2日:平成の負の遺産は平成で御終いに!…群銀103年ローン20年で公社の連帯保証を返上しよう!

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/014f77c3256113242731e8ced69dcb4f

〇2018年9月13日:「タゴ51億円事件」の103年ローン解消に向けて群銀や安中市トップらに申入書を提出

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/76bbc5a6901c495c1a62cdf2bb0f4777

○2018年12月22日:安中市土地開発公社巨額詐欺事件・・・103年ローン解消に暗雲!

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/0b2a27324a60ed22e18f2965e78b3cdb

○2018年12月25日:ついに平成最後のクリスマス・・・安中市公社タゴ51億円事件の103年ローンの行方が決まる節目の日

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/b77e87cf7411c8d053965ac967658d9f

〇2019年1月7日:平成の負の遺産は平成で終わらせよう!…群銀と103年ローン交渉中の安中市・公社が20回目の和解金支払い

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/5218c2ad76bd1f7a2a5b255de7e97d33

〇2019年6月2日:平成の負の遺産「タゴ103年ローン」16億5千万円を令和に引き継いだ安中市の無責任体制

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/97ee506b4314804a4b0be8792cacd005

○2019年7月12日:平成の負の遺産「タゴ103年ローン」20年後の対応情報開示で第3者意見照会に及び腰の安中市の問題先送り体質

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/446d6a7eb10694e9aea5cca6ef400ed9

 

■ところで、5月17日午後4時に当会は安中市の岩井市長と市土地開発公社理事長の清水副市長の名代として政策・デジタル課長に上記の申入書を渡し、群銀との面談の様子を報告するとともに、申入書を必ず市長と副市長に渡し、当会の説明内容を伝えてほしいと要請しました。しかし、直接、市長と副市長に当会の要請を伝えることができておりませんでした。そのため、安中市が、新庁舎建設基本計画に基づき検討を行っていた「安中市新庁舎建設基本設計」の内容について、5月22日午後6時から安中市文化センター大ホールで全市民を対象とした住民説明会を開催する際に、市長と副市長が出席するはずなので、その場で直接この件を申し入れることにしました。

 

 なぜなら、新庁舎建設に向けて約58億円もの巨費を調達するためには財政負担を少しでも軽くする必要があるからです。しかも、安中市が連帯保証をする土地開発公社が、元職員タゴに対して保有していた48億6815万8792円もの虎の子の債権が、タゴの死去と遺族の財産放棄により回収不能の危機に直面しているのです。

 

 そのため、この事件でタゴの豪遊の尻拭いのかたちとなっている群馬銀行への和解金の103年ローンの残り79年分を群馬銀行と交渉して、帳消しにしてもらうことは、安中市の今後の安心・安全な財政運営にとって不可欠だ、と当会は考えました。

 

■そこで、当日の説明会に参加を予定していましたが、別件で桐生市におけるトルコ人による解体ゴミの不法投棄事件で、午後3時半から桐生市役所で記者会見をしなければならなくなり、結局午後4時半に会見を終えて桐生市役所を出発し、安中市に向かいました。

 

 ところが、高崎市内に入ったころ、ゲリラ雷雨に襲われ、そうでなくでも夕刻のラッシュアワーの渋滞に巻き込まれ、新幹線の高架下を通過するころには午後6時を過ぎていました。結局、安中市文化センターの会場に到着したのは午後6時40分でした。入場の手続きを済ませて会場内に入るとすでに市側によるプロジェクターを使っての説明は最終段階でしたが、いつものように前列2列目辺りに座ろうとすると、3列目のところにテープが張ってあり、それ以上前に行けませんでした。今回はじめての設営方法です。そのため、前から4列目に座らざるを得ませんでした。

 

 説明会の様子は安中市HPに掲載中のYouTubeをご覧ください。ちなみに当会が、説明会に出席された市側の執行部や岩井市長、清水副市長兼公社理事長に直訴したくだりは2:14:30~2:21:50にかけてのタイムラインです。

 

**********安中市HP

https://www.youtube.com/watch?v=j1E5jnaL2zY&list=PL82s0iLzdn5PwKZzXJCMtUxrwuFp_5YiB&index=3

安中市新庁舎建設基本設計 住民説明会

限定公開

安中市

**********

 

■当会が市長と副市長に、ぜひ群馬銀行に対してタゴ事件の総決算として、和解金の支払いについて永久的に休止するための交渉をしてほしいと、強く要請した際に、市長は心なしか僅かに頷いたように感じました。

 

 会場内で、思わぬ出会いがありました。後ろから、白髪で血色の良い男性に声を掛けられました。聞くと、なんと1995年11月の出直し市長選挙で、市長の座を巡って選挙戦を戦った候補者の伊藤成氏ではありませんか。なんと28年ぶりということになります。伊藤氏は当会の発言を聞いて、「いい提案だと思う。岩井市長ならきっとやってくれる」という趣旨のコメントをくれました。また、伊藤氏があの時選挙戦に出馬したのは、「タゴは当時自分の部下だったので、自分の育てた部下があのような事件を起こしたため、自分は責任を痛感して、いてもたってもいられず立候補した」と動機を語ってくれました。

 

 また、説明会に参加して発言もしたという若い男性からは「タゴ事件のことを常々知りたいと思っていたので、さきほどの質問でこの事件に触れていたことから、いくつか聞きたいことがあります」として、タゴ事件の不可思議な出来事をなるべくわかりやすく説明しました。その男性は、「自分の二級下にタゴの息子がいて、同じ学校なので知っていたが、それまで秋間にいたのに、事件のあと、学校で見かけなくなってしまった」と話してくれました。タゴの息子の件では、当時、日本から出て留学したという噂もあり、今は高崎で外車の商売をやっているという話も聞きますが、確かなことはわかりません。

 

 これまで当会は、1995年5月下旬に安中市役所内でなにやらトンデモナイ不祥事件が起きたらしいとの情報に接して以来、28年間にわたり、タゴ事件の真相究明と責任所在の明確化、再発防止に向けて、多大なエネルギーを投入してきました。

 

 しかし、安中市役所では事件発覚後の混乱ぶりを肌で覚えている職員は28年を経て、ほぼ全員が退職しました。群馬銀行でも同様に、事件の背景を知る行員は殆どいなくなり、安中市が連帯保証人となっている市土地開発公社との和解条項の履行のみが、事件の痕跡として継続しているだけとなっています。そして、原因者の元職員タゴが1月9日にこの世を去り、27年前にタゴの刑事裁判の法廷で裁判長の前で「一生をかけて償います」と証言した配偶者も、その息子とともにタゴの遺産相続の放棄を前橋家裁に申述したことがうかがえます。

 

■群馬銀行では、当会の調べによると、草津町のホテル「ホワイトタウン」事業への融資が焦げ付き、31億円とも32億円とも言われる債権を帳消しにした実績があります。その時の債務者は、現在の群馬県知事の父親でした。

 

 一方、タゴ事件の場合、群銀との間で25年前の民事訴訟の和解条項で、債務者の立場となっているのは安中市土地開発公社とその連帯保証人である安中市です。安中市民は納税者でもあり、全員ではないかもしれませんが、多くの住民は群銀の利用者でもあります。群銀の立場にしてみれば、政治的決断をするにしても、債務免除という観点では、政治家個人がメリットをうけた「ホワイトタウン」事業より、タゴ事件とは無縁な安中市民全体が裨益対象となるわけで、はるかに決断を下し易いのではないでしょうか。

 

 タゴ事件の真相が依然としてベールに包まれたまま、事件に絡んだ関係者は全員責任らしい責任を取らないまま、事件後20年がとうに経過した今、民事責任を問われることはありません。単独犯とされた元職員タゴも、千葉刑務所で14年間の刑に服し、使途不明金14億円余りはもはや合法的に元職員のものとなりました。

 

 そうした状況下で、71歳の誕生日まであと2か月半を残し田今年1月9日に、元職員タゴは鬼籍に入ってしまいました。併せて事件の真相も、自身の中に抱えたまま、冥土に旅立ちました。

 

 これ以上、タゴ事件の尻拭いの影響を、事件とは全く無関係の市民が被る必要があるのでしょうか。仮に安中市が市民に対して「必要がある」と考えているのであれば、それこそ「安中の恥」です。

 

 なので、岩井市長には、長年自民党県議団で培った政治力を駆使して、忌まわしいタゴ事件から安中市民を開放していただくよう、ご尽力いただきたいのです。

 

■これは、合併後の初代市長だったかつて自民党県議だった岡田義弘氏では果たせなかったことです。なぜなら、この事件で元職員と余りにも深くかかわりすぎたため、事件の真相究明や責任所在の明確化など、自らの首を絞めることになる為、言語道断だったからです。その後、群馬県初の女性市長として、茂木英子氏は、市民団体をバックに市政を司りました。しかし、この市民団体は、タゴ事件発覚直後の出直し選挙で、その半年前の事件発覚直前に行われた県議選で、岡田義弘氏に敗れて県議の座を失った中島博範氏を以前から支援しており、同氏が首尾よく市長に当選後、松井田町との合併後の新安中市長選で岡田義弘氏に敗れ、旧安中市の最後の市長だった中島博範氏と同様、茂木英子氏もタゴ事件への関心はほとんど皆無でした。

 

 こうしてタゴ事件から苦節27年の昨年4月に、満を持して市長に就任したのが岩井均氏です。群銀との交渉に際して、学歴、職歴などの経歴、政治的人脈や実行力など、どれをとっても最強・最適なスペックを持つ政治家が安中市のトップになったのです。安中市の安心・安定な将来の為に、今こそその実力を示していただかねばなりません。

 

■最後に、タゴ事件が発覚した1995年5月から4年余り経過した1999年7月に発刊された「政界往来」同月号に掲載されたタゴ事件に関するレポートをこの記事の末尾に掲げました。タゴ事件の概要を改めて思い起こす際の参考になれば幸いです。

 

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

 

※参考情報1「群馬銀行歴代頭取と現在のトップのプロフィール」

**********

(群馬県金融社長)

  01代 1932年-1932年 平田健太郎

(群馬大同銀行頭取)

  01代 1932年-1932年 平田健太郎

  02代 1932年-1936年 斎藤虎五郎

  03代 1936年-1941年 平田健太郎

  04代 1941年-1944年 小島友治郎

  05代 1944年-1948年 松井敬造

  06代 1948年-1955年 横山太喜夫

(群馬銀行頭取)

  06代 1955年-1968年 横山太喜夫

  07代 1968年-1971年 玉尾光次

  08代 1971年-1977年 諸田幸一

  09代 1977年-1984年 小関博

  10代 1984年-1990年 荒井政雄

  11代 1990年-1997年 土金琢治 (※1995年5月18日タゴ事件発覚

  12代 1997年-2003年 吉田恭三 (※1998年12月9日民事裁判和解

  13代 2003年-2011年 四方浩

  14代 2011年-2019年 斎藤一雄

  15代 2019年-       深井彰彦

深井彰彦(株式会社群馬銀行 代表取締役頭取)

<経歴>

1960年11月3日生れ

1979年3月 高崎高校卒業

1984年3月 早稲田大学政経学部卒業

1984年4月 群馬銀行入行

1992年頃  米国ニューヨーク支店勤務時にスタンフォード大学Graduate School of Business(経営大学院)に留学

2003年6月 大阪支店長

2005年6月 桐生支店長

2007年6月 太田支店長

2009年6月 リスク統括部長

2011年6月 総合企画部長

2013年6月 取締役総合企画部長

2014年6月 常務取締役営業統括部長

2015年6月 常務取締役

2017年6月 専務取締役

2019年6月 代表取締役頭取(現職)

堀江信之(株式会社群馬銀行 代表取締役会長)

<経歴>

1956年1月10日生れ 群馬県出身

1978年3月 慶応大学卒業

1978年4月 群馬銀行入行

2000年2月 深谷上柴支店長

2002年3月 人事部主任人事役

2004年6月 人事部副部長

2005年6月 熊谷支店長

2007年6月 法人部長

2009年6月 執行役員宇都宮支店長

2011年6月 執行役員人事部長

2012年6月 取締役兼執行役員人事部長

2013年6月 取締役人事部長

2014年6月 常務取締役コンプライアンス部長

2015年6月 常務取締役

2017年6月 専務取締役

2019年6月 取締役副頭取

2022年6月 代表取締役会長(現職)

**********

 

※参考情報2「タゴ事件発覚の4年後の評論記事」

 当時この評論記事を掲載した月刊誌「政界往来」は政界往来社という出版社が発行していました。ところが、80年の伝統を誇ったこの政治情報月刊誌「政界往来」は2011年1月14日発売の2月号以降、突然発行されなくなりました。その後、別の出版社が「新政界往来」という名称で同様の政治情報誌を発行しているようです。

*****「政界往来」1999年7月号*****https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/d19df4d3fdda6d6bd5a72863b8791c92

問題レポート                       小田勉

安中市土地開発公社を舞台にした巨額公金詐取事件の顛末

 

▼群馬・安中市土地開発公社で起こった職員による公金詐取事件は、どこの自治体にでも起こりうる事件なだけに改めて問題点を浮き彫りにし、警鐘とする▲

 

  • 土地開発公社の職員はなぜ巨額を詐取できたのか?

「質問― 市土地開発公社五十一億円不祥事件について

(一)民事裁判での和解提案受諾に於ける市の心境と七月十七日の和解打診で議会に報告がなかった理由。

(二)真相解明について市民は不十分と多くの人が感じているが、市の真相解明プロジェクト報告を市民の前に公表を。

(三)損害賠償請求について、時効の時期はいつか、また、前市長、前理事長の責任は辞職をもって全て免責になったのか。

(四)市民負担を求めない方法、市長は税を使わず、公社で処理するとの見解ですが、財源もなく無理だと思いますが考えを伺います。

答弁―

(一)七月七日に打診があり、八月十一日に正式に受け入れ議会に報告致しました。

(二)和解交渉に影響を与えるので今後慎重に検討してまいります。

(三)損害賠償請求は金額が決定していないので、時効の起算に至っていません。また、前市長、前理事長の免責についての答弁は差し控えさせていただきます。

(四)市民に負担を求めず公社で処理していく考えに変わりありません」

 これは、安中市議会平成十年九月定例会の質疑内容である。

 そして、同年十一月に中島博範市長は、市民に対し次のようなコメントを発表した。

「土地開発公社不祥事件にかかわる民事訴訟の和解成立に伴い、この和解に至った経過とその内容について、ご報告させていただきます。

 平成七年の五月に公社不祥事件が発党して以来、市民の皆様には、大変なご迷惑とご心配をおかけいたしましたが、お陰様を持ちまして、十二月九日和解が成立いたしました。

 和解の内容につきましては、主債務者は公社となり、市についてはその連帯保証人という立場で和解条項に沿った対応が成される訳でございます。

 これを教訓に二度とこのような事態が生じないよう十分配意し、公社に対し、一層適切な指導・監督をしてまいります。また、この和解成立を契機として、安中市の発展に向け、新たな気持ちで努力するとともに信頼回復に努めてまいりたいと存じますのでご理解とご協力をお願い申し上げます」

 群馬県安中市は、中仙道の宿場町として栄えた城下町である。市街地は、碓氷川に沿って細長く碓氷峠へと続く。市内の秋間梅林ゴルフ場はよく知られている。念願だった長野新幹線「安中榛名駅」も開設、昨年は市政四十周年を迎えた。

 人口約四万八千人。平成十年度の一般会計予算は約百八十億円。平成九年度の市税収入決算額は約七十三億円だった。

 この市税収入額に匹敵する公金を「市土地開発公社」の一職員が詐取した。前代未間の不祥事である。この事件経過は、詳しく報道されていないが、全国の自治体に警鐘を鳴らす大事件だ。つまり〝職員の不祥事〟に対する「自治体の管理責任」が問われる重要な問題を示唆している。

 ところで「土地開発公社」という組織について、住民はどれほどの知識があるだろうか。まず馴染みの薄い存在だろう。公社は「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて、地方自治体が全額出資で設立する法人である。大半の自治体が設立しているが、その業務内容は次のとおりだ。

(1)公共、公用施設用地.公営企業用地の取得、造成及びその他の管理処分。

(2)住宅用地の造成事業

(3)関連公共施設整備事業

 こうした業務内容だが、業務は日常的に発生するものでないため、専従職員は一人か二人という〝閑職的な部署〟だ。問題は土地買収の必要性が発生した場合、その事業資金は、市の一般会計予算でカバーするのではなく、民間金融機関からの融資(借入)で運用されることだろう。ここに落とし穴があった。

 公社の借入額に対しては、自治体が「保証」をする。金融機関にとって、取りはぐれのない安心な融資先だろう。まず貸し渋りはせず融資依頼があれば、厳しい審査などフリーパスで実行する。こうした盲点を巧妙に利用して長期間にわたって詐取を続けていた。

 さらに問題なのは、公社の役職者は、首長など行政役職者が兼務していることだ。主要部署でない〝土地開発公社〟に対する関心は極度に低い。したがって提出される書類の決裁はほとんど無審査状態だったという。埼玉県A市の元公社専従職員は、次のように告白する。

「かねてから危惧していた不祥事が起きてしまった。公社には疑惑を生む危険性を内在し ている。業務は少数の担当者にまかされ、行政の中では〝離れ小島〟のような存在だ。そこへ土地絡みの〝売買操作〟で、地元有力者や議員が介入してくる。疑惑も少なくない」

 さらに同職員は当初、安中事件を知った時、売買操作の贈収賄の不祥事かと思ったという。ありうることだからだ。しかし、まさか〝融資操作〟による巨額詐取とは驚いたが、決して難しい操作ではない。

 公社が〝離れ小島〟とはいえ、庁舎内の片隅でもデスクがあれば、外部者は全面的に信頼する。この信頼を巧妙に利用した悪質な手口だった。

  • 借用証書を偽造して〝特命口座〟に振り込ませる手口

 安中事件の発覚は、平成七年五月だった。純朴な市民性、そして小都市特有の〝身内意識〟による信頼感が長期にわたる犯行を隠蔽する結果となった。つまり〝信頼性〟が犯行を可能にする死角となってしまったのではないか。

 職員T(43)が許取に手を染めたのは平成二年四月のことである。Tは「市長の特命」という文書を偽造して「群馬銀行」に「安中市土地開発公社特別会計口座」を開設している。この「特命口座」を舞台にしてTは泥沼にはまり込んでいく。

 平成二年五月の市長選で現市長が当選したが、Tは〝理事長(現市長)名義〟に口座変更をしている。

 銀行側は、まったく不信を抱かず変更に応じ〝特命口座〟は存続した。Tの融資操作は「借用証書(金銭貸借契約証書)」を偽造し、金額を上乗せし〝特命口座〟に振り込ませて いる。

 現金の引き出しは〝理事長印〟を盗用して実行した。会社の正規の借入残高は約十億二千万円。銀行の融資残高は約四十七億六千万円という異常さである。

 さすがに銀行も不審を抱いたのか。平成七年三月末に「借入残高」の照会を行なっている。

 公社は平成六年度の決算委員会をひかえ他の職員が、その照会を疑問に思い、逆に銀行に対し「借入金残高証明書」を請求した。

 その結果、袈空の〝特命口座〟の存在が明らかとなった。Tは、事実関係を認め「有印公文書偽造」及び「同行使」で逮捕されている。

 平成七年七月から前橋地裁で公判が始まった。一職員による前代未聞の巨額詐欺事件である。市の財政基盤をゆるがせかねない不祥事だ。

 Tは、昭和五十四年から「都市計画課」に在籍し、公社設立事務にかかわった。そして、公社経理を任される。すでにこの時点から、公金の流用を思いたったと供述したという。本格的な詐取に着手したのは、前述のとおり〝特命口座〟の開設以降である。

 不正借入分の返済期限が迫ると、Tは、どのような隠蔽工作をしたのか。水増し融資による〝自転車操作〟による処理だ。どこまで続くぬかるみぞである。こうして事件が発覚する平成七年五月までに総額約四十八億円を詐取した。Tは、この巨額をどのように使ったのか。

 明らかになったのはギャンブルをはじめ、自宅や喫茶店、倉庫などの建築費、骨董品、株券、ゴルフ会員券、リゾートマンション利用券、高級外車、貴金属類など〝欲望〟の命ずるままに使っている。

 それにしても、これほどの派手な生活ぶりに、同僚や付近の住民たちは不思議に思わなかったのか。Tの実家は資産家ではない。しかも〝地方公務員〟という身分だ。Tは、派手な生活を送る一方で、借入金の返済期限に追われ、日常業務は犯行の発覚防止対策に専念する。予定のない事業用地取得資金としてせっせと〝特命口座〟に振り込ませるという手口だ。

 Tは犯行が発覚するんではないかと危険を感じた時があった。平成六年九月に新規借入依頼をした際、銀行は「借入依頼申込書」に市の「債務保証限度額」を明記するよう求めている。Tは「疑われているのではないか」と不安を覚えたという。

 Tは、不安を感じながらも、その後の借入額は約二十三億円である。すでに正常な感覚は失われていた。そして、平成七年五月の犯行発覚となる。

 平成八年二月の公判で、Tに対する論告求刑が行われた。求刑は〝懲役十五年〟だったが、検察側は、

「公務員の地位を悪用し、公文書の持つ信用力を低下させるなど犯行は悪質である。その手口も巧妙で上司や銀行担当者の信頼を逆手にとった。犯行の動機は〝派手な生活〟をしたいという金銭欲からだ」

 と厳しい論告だった。何しろ五年間で二百四十九回にわたって詐取を続けていたのである。

 一方、群馬銀行は平成七年十月、安中市を相手に「貸金保証債務履行請求」訴訟に踏み切った。請求金額は、Tが弁済した六億円を差し引いた約四十億円である。どのような公判が展開するのだろうか。

  • 公判でも指摘された公社および市側の問題点

 平成八年四月、Tに対する刑事事件の判決が言い渡された。判決内容は、全国の公社関係者にとって多くの示唆を含んでいる。詳しい報道がされていないので要旨を取り上げてみよう。

① 犯罪事実

 被告人は、安中市職員で、安中市土地開発公社の職員に併任され、同公社の用地取得事業資金借入などの事務を担当していたが、同公社の群馬銀行安中支店からの資金借り入れに際し、正規借入額に水増しして、その水増し分をだまし取ろうと企て、処理を偽造し、普通預金口座を無断で開設した上、借り入れにかかる借入依頼書、あるいは、金銭消費貸借契約証書および連帯保証契約書などを偽造・変造し、また、「安中市土地開発公社の公有地取得事業資金として、一億四千五百九十八万一千円の借入手続きをしていただきたい。そのうち一億円を特別会計の普通預金口座に入金して欲しい」などと嘘を言い、同二年四月から同七年三月までの間、十一回にわたり、被告人が同支店に特別会計用の名目で開設した同公社名義の普通預金口座に約三十二億三千万円を振込入金させて、これらをだまし取った。

② 犯行までの経過

 被告人は、昭和五十七年ころから事務費の一部を使い込むようになり、昭和六十年ころまでに四~五千万円を着服して競馬や麻雀などのギャンブル資金、生活費などに充てていた。被告人は、その不正行為が発覚しないように金銭を調達する必要に迫られ、正規の借入額を水増しして、同公社名義の正規の普通預金口座に振込入金を受け、その水増し分を払い戻して使い込むようになり、平成二年四月ころまでに、その総額は十一億円余りに達した。

 その後、被告人は、自己の不正行為の発覚を恐れ、密かに特別会計用の名目で普通預金口座を新規に開設し、ここから水増し分を振り込ませて本件各犯行に及んだ。

③ 犯行の動機など

 被告人は、派手な生活をしたいとか見栄を張りたいなどと考えて、事務費の一部を自己のギャンブル代等に充て、入金された土地代金にも手をつけ、その発覚を免れるための資金繰りとさらに自己の用途に費消するため、借入額の水増しをする方法で犯罪を重ねた。本件各犯行の動機は、公務員の身分を弁えない誠に身勝手なものであり、酌量の余地が全くない。

 本件起訴にかかる被害額は合計三十二億三千万円であるが、そのうち二十二億円余りを被告人は自己の用途に費消している。その余を被告人は、それまでの借入金の返済等に充てているが、その費消状況を見ると、被告人が公判廷で述べる「犯行の発覚を免れるため」というにはかけ離れたものであり、見栄を張るというには常軌を逸している。

 また、本件犯行は、被告人が、同公社および同市役所の上司や群馬銀行融資担当者から信用・信頼を得ていたことを利用し、長期間にわたり功妙かつ計画的に反復したものである。

④ 犯行の結果など

 被告人は、公務員としての職責を放棄したばかりか、その地位を濫用して巨額の私利を貪っていたのであり、これにより公務員に対する信頼を大きく失墜させるとともに、公文書の信用性を著しく損ねた。

 群馬銀行に対して莫大な損害を与えたところ、結局、群馬銀行と安中市土地開発公社・安中市との間でその損害の解決を図らざるを得ないことから、群馬銀行は安中市土地開発公社および安中市を被告として、約四十憶円の返済を求める民事訴訟を提起した。

 本件犯行は、安中市政に対する市民の不信を募らせて、市長、助役、収入役が辞職し、市役所関係職員が懲戒処分を受けるなどの事態に発展し、安中市政に重大な混乱を生じさせた。

 被告人は、公判廷において、内心では自己の不正が発覚してもらいたいとの思いがあったなどと供述しているが、被告人は長期間にわたり、次第に発展させながら犯行を重ねていき、本件各犯行に及んでこれを反復していたこと、平成七年四月に人事異動で転出を余儀なくされるや、公社理事長印を冒捺した預金払戻請求書を作成して以降の犯行に供え、融資担当行員に対しては、「教育委員会に移った後も市長の特命を受けて公社の仕事を手伝うことになっている。」などと嘘を言い、同年五月にも払い戻しを受けていること、不正が発覚してからも、虚言を弄し、また、特別会計口座の預金通帳や預金払戻請求書を焼却して証拠の隠滅を図っていることなどからすれば、被告人の犯行継続の意思はかなり強いものであったといわざるを得ず、犯行継続中はもちろん、犯行発覚後の行状も芳しくない。

⑤ 公社および市側の問題点

 もっとも、被告人の犯行がここまで拡大した背景には、安中市土地開発公社の監査方法などに問題点があったことも否定できない。

 監査に際して決算書類とその預金通帳の入出金出状況を照合してさえおれば、容易に被告人の使い込みを発見でき、その後の犯行を防止できたはずである。

 公社理事長の公印管理については、被告人のような部内者が故意に密かに公印を冒捺することを防止することには困難を伴うとはいえ、被告人が極めて多数回にわたって公印を暴捺していたところをみると、その管理が杜撰であったとの謗りを免れない。

 次に、市長公印についても、厳密な点検をして問題点を見逃さないという姿勢に欠けていたとの非難を免れない。

 また、被告人を公社設立当初から十五年も同じ職場に配置しておいたことは、被告人が本件犯行を反復する土壌となったものであり、人事管理の観点からも問題があったといわざるを得ない。

⑥ 群馬銀行の問題点

 一方、群馬銀行にも問題点が少なくない。すなわち、融資金と用途について十分な調査もせず、一職員にすぎない被告人の「公社の窓口は自分だけである。融資の話は必ず自分を通して欲しい」などと言う言葉を真に受け、特別会計用口座も併設して借入金を振り分けて管理している点、特別会計用口座については預金残高証明書の発行を求めない点、借入金残高証明書の発行を求めない点、通常、地権者の銀行口座に振込入金されるべきところ、被告人一人が銀行窓口を訪れ、約二百五十回もの多数回にわたって現金でこれを引き下ろしている点など、容易に疑問を抱いて然るべきところが多々あったにもかかわらず、これらを不審に思って調査した様子もなく、却って被告人をゴルフに接待していることなどからすれば、被告人が安中市および安中市土地開発公社の職員であることに気を許し、安中市の債務保証も得られていると即断し、安易に巨額の融資を継続してきた点で、銀行としてあるべき対応に欠けるところがあったとの謗りを免れない。

⑦ 結論

 本件各犯行がそれぞれに悪質極まりなく、他に例を見ない巨額な被害を発生させ、社会の多方面にわたって大変深刻な影響を及ぼしていること、被告人の得た額が莫大であることに鑑みれば、被告人の刑事責任は誠に重く、被告人が本件各犯行を素直に認めて反省の情を示していること、現在まで六億円を超える被害弁償をし、さらに今後もある程度の被害弁償が見込まれること、被告人は懲戒免職処分となり、家族を含めて社会的な制裁を受けていることなどの事情を十二分に考慮しても、懲役十四年の実刑は免れないものというほかはない。

  • 民事で対立した安中市と群馬銀行の言い分

 こうしてTの犯行については結審した。しかし〝債務保証〟を行っている安中市に対する民事訴訟は、両者の言い分は平行線をたどった。

 ある市幹部は、

「群銀の主張を全面的に容認することは、安中市だけの問題ではない。二度とこのような事件が再発しないと信じるが、安易な妥協は前例となってしまう。たしかにTの判決で市や公社の問題点を指摘されている。謙虚に事実関係は受け止めるが、群銀の責任も回避できない」

 と苦渋の弁明だった。

 安中市側は、刑事事件の判決で、事実関係が明らかになった。原告は、その判決を踏まえ請求原因人(貸金、保証債務履行請求)を変更する考えがあるのかないのか。そして〝偽造〟の事実をあくまで否認するのか、または認めて新たな主張をするのかと反論した。

 原告側は「表見代理(民法第一一〇条)を類推適用、さらに「使用者責任(民法第七一五条)」を主張し対立した。安中市は「偽造や変造」というTの行為は「業務遂行上」で実行された原告の〝重大な過失〟については次のように陳述している。

① 犯行行為の受け皿となった特別会計口座の開設について、市長の特命が存在したとのことであるが、これにかかわる意思確認が行われるべきところ、なされていない。市長が変わった経過もある。

② 証拠として提出されている借入にかかわる変更契約関係の書類を見ると、記名押印の不足しているもの、あるいは意思確認の押印欠如のものなどが見受けられるが、一般の借入手続きでは考えられないことである。

③ 融資額はその借入目的によりおのずと決まってくるはずであるが、借入目的に対する融資金額が、通常では考えられない過大なものもある。

④ 土地代金については事故防止のため、通常口座振替であるが、多数回に及ぶ現金払戻しは理解しがたい。

⑤ 偽造および変造の態様は、漢数字が加筆されていることがわかる形でなされているが、原告は何故疑念を抱かなかったのか。

 安中市の主張に対し原告は、次のように反論した。

① 特別会計口座開設理由が、市長の特命であるとの主張は、事実に反する。

② 元となる借入契約における書類には全ての意思確認の押印があり、これが変更の場合の意思確認欄の押印は原告内部の手続き上省略を許されたものである。

③ 被告公社は、原告にとって極めて新余生の高い得意先であり、通常行われる不動産取得資金の貸付に伴う担保権の設定もしておらず、原告において借入目的を深く斟酌、詮索をすることは必要としない取引である。

④ 土地代金の支払いについては口座振替もあれば、現金払いによる場合もあると承知している。

⑤ 偽造・詐欺事件の詳細が明らかとなった現在、疑惑の目をもって検証すればいざ知らず、平常の取引下においては、むしろ「誰も」加筆されていることに気づくものはいないと言っても過言ではない。

 これに対し安中市はさらに反論する。

① 被告公社の借入決定手続きおよび被告安中市の債務保証手続きについて、Tが各法令、規則などの規定上関与する場面はなく、原告の主張は適当でないこと。

② 原告が事実を誤認している点は、前記のTの権限の他にも多々あること。

③ 本訴請求における原告の表見代理の主張および使用者責任は各貸付について事情が異なるのであるから、それぞれ別個にその類推の基礎や職務執行性を主張すべきであること。

 また、その中で、公社および市の指摘する「原告の重大な過失」については、原告は再反論する。

① 保証債務の意思確認については特に厳重な手続きが取られるべきであることが、原告の事務取扱細則に規定されているが被告安中市に対する保証債務意思確認手続が、この事務取扱規則に定める方法で行われていることは明白であること。

② 同様に、この事務取扱細則において、借入金に係る債務保証限度額の確認は必須の要件とされているが、安中市の債務保証限度額を超えての融資が行われている。

  • 裁判長の勧告で和解したものの結局ツケは市民に・・・

 こうして平成十年十二月、裁判長の和解勧告を受け入れ、別掲内容で和解が成立した。簡単に要旨をまとめると、

一、よりよい地域社会づくりの実現に向けて努力することを目的に、互譲の精神を持って和解を行なう。

二、土地開発公社が主債務者、安中市については連帯保証人と位置付けた上で、原告に対して、原告請求の借入元金三十三億八千六百十八万二千四百二十五円及び和解成立期日までに発生した利息損害金全額、それぞれの相当額の支払い義務の存在を認める。

三、二項でその存在を認めた債務のうち、元金相当額部分の九億三千六百十八万二千四百二十五円及び利息損害金全額相当額(約五億円)の支払いについて、原告は免除する。

四、三項において免除された後の残債務金二十四億五千万円にかかる具体的な支払い方法を示しているが、この中で、残務債権については、利息を付さない。

五、支払い期日及び額が特定された支払いが、一回でも、一月以上遅れた場合には、残額及び遅延損害金を一括して支払う。

六、訴訟開始以降公社が償還義務を履行するため、法務局に供託を行ってきたものがあり、この供託金について、公社がこれを取り戻すものとし、また、原告はこれに異議なく了承する。

七、これまでの各項に明示された内容以外の請求について、原告はこれを放棄する。

八、本訴訟に関して、この和解条項に定められた事項以外に、何も債権や債務はないことを、互いに確認する。

 和解に伴って生じる負担については、公社で対応するという。和解条項第四項第一号及び二号において、平成十年十二月二十五日に四億円を、平成十一年から十年間は年二千万円を毎年十二月二十五日に支払うことになった。

 平成九年度決算時における公社の準備金は四億二千万円余りで、今回の和解成立により群馬銀行に対し債務が消滅することとなる訴訟対象になっていた公社の正規の借入金の残二億二千万円等があるので、これらを合計すれば、六億円を超えることになる。この額及び支払い期日が特定された部分については、対応が可能となるものだ。ただ、準備金について、全額が現金・預金というものではなく、今後の事業活動により現金化される部分も含まれている。

 今後とも適切な事業の執行が求められることになり、容易なことではない。

 残債務については、両者で協議して支払い方法を定めることになっている。今後において求められる事項については十分な協議を行ない、誠実に対応するという。

 それにしても、Tが詐取した確定金額は三十三億八千六百万円という巨額である。これに利息と遅延損害金などを合わせると十数億円と推定されるが、和解で免除ということになった。

 しかし、平成十年十二月に四億円を支払い、十一年から毎年二千万円を分割で返済。

 その後は同公社の財政状況などを見ながら、年間支払額が二千万円を下らない範囲で、十年ごとに返済額を双方で協議して決めるとされており、計算上では〝百年返済〟も可能だ。

「市長は、借金の返済は公社で処理するので、市民は理解してくれると言っているが、公社で処理しようと、しまいと公金ではないか。市民の負担であることは間違いない。市が〝管理責任〟を問われるのは当然だ。管理者が多少でも金銭的弁済が不可能ならば〝引責辞任〟すべきではないか」

 と厳しく責任追及する市民の声はいまも出ている。

 

=====和解条項=====

一 原告と被告らは、友好的且つ健全な金融取引得を通じて、よりよい地域社会の実現に向け努力することを目的とし、本件事実の特殊性及び被告らの財務負担の軽減ひいては住民福祉に配慮した裁判所の和解勧告を尊重し、互譲の精神をもって、以下のとおり和解する。

二 被告安中市土地開発公社は主債務者として、被告安中市は連帯保証人として、原告に対し、連帯して、原告請求にかかる本件借入金元金三十三億八千六百十八万二千四百二十五円及び本日までに発生した利息損害金全額相当額の支払義務あることを認める。

三 原告は、被告らに対し、本日、前項の債務のうち借入金元金九億三千六百三十八万円及び前項の利息損害金全額相当額の支払いを免除する。

四 被告らは、連帯して、原告に対し、前項の免除後の残債務金二十四億五千万円を、次のとおり分割して、原告安中支店における群馬銀行安中支店長名義別段預金口座番号○○○○○○○に振り込んで支払う。但し、残債務金には利息を付さない。

1 平成十年十二月二十五日限り金四億円

2 平成十一年から十年間は、毎年十二月二十五日限り金二千万円宛

3 前号後の十年間の残金支払方法については、原告と被告らが前号の最終支払期日までに、その時の被告らの財務状況並びに一般経済情勢等を勘案のうえ、前号の年間支払額を下回らない範囲で協議して定め、以降も残金支払済まで同様とする。

五 被告らが前項1及び2の各分割金の支払いを一回でも一か月以上遅滞したときは、被告らは当然に期限の利益を失い、残額及びこれに対する期限の利益喪失の日の翌日から支払い済みまで年十四パーセントの割合による損害金を一括して直ちに支払う。

六 被告安中市土地開発公社は、別紙供託金一覧表記載の供託金を取り戻すものとし、原告はこれに異議はない。

七 原告はその余の請求を放棄する。

八 原告と被告らは、本件に関し、本和解事項に定める他には何ら債権債務のないことを相互に確認する。

九 訴訟費用は、各自の負担とする。

**********

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンパイ110番の看板が泣く…新里産廃問題の関連情報(桐生市の開示情報と原因者についての考察)

2023-05-14 21:24:55 | 全国のサンパイ業者が注目!

※YouTube:「桐生市役所記者会見全編」(フルバージョン54分58秒
リットン調査団(オンブズマン渋川支部)↓
https://youtu.be/zgSANXnLXnk

■当会は、今年2月17日に群馬県知事に対して当会代表名義で、この不法投棄問題に関する情報開示請求をしましたが、それに続いて2月24日付で、桐生在住の当会副代表名義で、桐生市長あてにも以下の内容で公文書公開請求書を提出しました。

*****請求しようとする公文書の名称又は内容*****
群馬県桐生市新里町鶴ケ谷の住宅街の向かい側に位置する私有地約4400㎡に県外から運び込まれた木板やプラスチックなどが混ざった塊や、畳、じゅうたんなど廃棄物が山積みされ、地元で問題となっている件で、地元住民によると「今から、2年以上前に山林の造成が始まり、そのうち、産廃が搬入されるようになった。最初隣のソーラーパネルの地権者が騒ぎ出した。造成も許可がなかったようだ」という。ついては関連する次の情報。
①この山林の造成が始まってから、廃棄物が持ち込まれる事態に至るまでに、市に対して業者からどのような届出或いは申請が出されたのか否か、
②その届出や申請に関して業者からどのような相談があったのか否か、
③それに対して市がどのように対応したのか否か、④同上私有地に対して、市民からどのような苦情や相談等が寄せられたか、が分かる情報
**********

 この結果、3月16日に以下の情報が開示されました。

*****資料1*****

          現状と対応について

〇現状

 令和3年4月頃より新里町鶴ケ谷154-1、154-2の計4566㎡に大量の産業廃棄物と思われる廃棄物が搬入され積み上げられています。一部は崖下にまで及んでいます。

 群馬県廃棄物リサイクル課(■■■■■■■■■)によると、この土地は令和2年頃に太陽光発電施設を設置する予定で整地され、令和3年5月に■■■■■■■■(■■■■■■)が取得。その少し前から外国人による産業廃棄物と思われる廃棄物の搬入が始まったとの事であります。本件については解体業の許可を持っている者が解体廃棄物を一時的に保管するために行っている行為であり、廃棄物処理施設設置許可等の申請は必要なく、一時保管行為には届出が必要でありますが提出されておりません。群馬県廃棄物リサイクル課の見解では、現時点では、この届出(300㎡以上)が無いことから不適正保管(フェンスが無いなど)が違法性であると捉えているとの事です。

現場付近図

公図

①東側から(R4.3.23)

②西側(崖下)から(R4.12.22)

現場内部の様子(R4.7.19)

上空から見た写真(R3-R4頃 google mapより)

〇これまでの対応

 県廃棄物リサイクル課は令和3年4月末に実態を把握、同5月11日に廃掃法第19条の立ち入り調査を実施し、廃畳、コンクリートくず、瓦くず、鉄バイプ等を収集し一旦この場所に置いて仕訳けて、搬出するため仮置場として使用していると判明。以降定期的に立ち入り調査で、適正保管及び搬出指導を行っています。

 市においては令和3年5月11日に投書が寄せられ、環境課が現地を確認しました。

 以降、現在まで県、警察、市(環境課、新里支所)が連携して現場を監視し、廃棄物を持ち込まないことと、早急に撤去するよう指導を行っています。

 しかし現場の外国人作業員は日本語があまり通じす、かつ頻繁に実行行為■■■■■■■■→■■■■■■■■■■■→■■■■■■■■■■■など)や作業員が巧妙に入れ変わるため現場での指導はほとんど効果がなく、廃棄物の量も増加してしまっているのが実情です。今年度に入り県や市環境課、新里支所に対する地域住民からの通報や問い合わせも増えてきており、地元の自治会の会議等でも議論になっているとのことです。

〇行政処分等について

 産業廃棄物に関する許認可は都道府県知事であるため、改善命令や事業の停止・許可の取り消し等の行政処分については県の所管となり、現在までは改善指導を行っていますが改善措置命令等の行政処分は行われておりません。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 市独自に行政指導が可能かを調べましたが、市は一般廃棄物に関しては廃掃法を根拠法令として行政命令が行えますが、本案件のような産業廃棄物は都道府県の所管のため市は独自に行政命令を行うことはできない状況であり、口頭による指導を行っています。

〇今後の対応について

 県、警察、市(環境課、新里支所)によりパトロールや住民からの通報があった場合は、現地にて作業員がいる時は指導をおこなっておりますが、現場作業員は頼まれて行っているだけとの言い訳で逃げられてしまっております。なお、職員が現場にいる時に搬入が疑われるトラックが現れても素通りをしてしまうことから、パトロールについては一定の効果はあるものと考えられます。しかしながら夜間に搬入する事も増えており24時間体制で監視することは困難であるため、桐生警察に夜間パトロールや付近住民からの通報に対応するように依頼をしております。

 現在、桐生市としてできることは、県や警察と協力してパトロールの強化と指導強化を粘り強く行っていくことであります。

〇令和5年1月30日現在の報道機関情報

・令和5年1月19日 上毛新聞
・令和5年1月27日 フジテレビめざまし8
・令和5年1月28日 桐生タイムス

*****資料2*****

          経緯について(時系列)

H30.9.7
新里支所地域振興整備課に新里町鶴ケ谷154-1、-2(山林4566㎡)の伐採届が提出された。目的は太陽光発電。

伐採等届出受理通知書(桐新地発第30-号平成30年9月日)

R1.8.16
県環境保全課に土砂条例に係る特定事業許可申請あり。
・埋立目的 太陽光発電施設
・許可日       R1.10.15
・特記事項  R2.11.16完了確認済

R1-R2
先の特定事業許可に基づき士砂が搬入され整地された。

R3.4.16
土地所有者が当該地を売却。

R3.4月末
群馬県廃棄物リサイクル課(県廃リ課)に外国人が産廃を運んでいるとの通報あり。

R3.5.10
4月16日の土地売買を取消。理由は不明。

R3.5.11
当該地を現在の所有者である外国人(■■■■■■■■)が取得。

R3.5.11
県廃リ課が廃掃法第19条の立ち入り調査を実施。現場にいた所有者の■■■■■■■■にも接触。

R3.5.11
市民相談情報課に「外国人風の人たちが鉄板で囲いをし、産業廃棄物を処理しているようだ」と投書あり。

R3.5.12
市環境課が現地を確認。

R3.7月頃
県廃リ課の調査で■■■在住の所有者が■■■に帰ってしまったことが判明。

R3.8.6
県廃リ課に■■■■■■(■■■:代表者■■■■■■■■■■■)から現地の整理作業を行うとの連絡あり。その後は■■■■■■によって内部が整理されていく状態が続いた。

R3.10月頃
県廃リ課巡回時、■■■■(代表者■■■■■■■■■■■  法人格なし)が現地で作業を行っていた。■■■■■■■■との■■■■■■■■■■.gfd
県廃リ課は■■■■に対し産業廃棄物が明らかに増えているため片付けるよう指導した。
■■■■■■は県廃リ課が問い合せたところ、手を引いたとの返答。

R4.3.4
■■■■代表は■■■に帰国。■■■■のアルバイトと称する■■■■■■■■■■■■■■が作業を行っている。県廃リ課はマニュフェストの写しを提出させた。

R4.3月頃
環境課、新里支所、県廃リ課にも地域住民からの通報や問い合わせが増加。地元自治会の会議等でも議論に。

R4.3.28
県廃リ課に囲いの鉄板が廃棄物で膨れていて危険との通報あり。
→指導のうえ是正させた(R4.4.28)。

R4.3.31
近隣住民から現場に産廃を積んだトラックが来ているとの通報あり。
県廃リ課ほか市環境課職員及び桐生警察署員も現地に行きトラックを追い返した。

R4.4.6
市環境課、県廃リ課、新里支所、県警が合同で現場調査。■■■■■■■■■■■■■
現場にいたのは外国人の■■■■■■■■■で、自分は■■■■から頼まれて作業しているとのこと。■■■■■■■■■■■■■

R4.4.19
近隣に住む方から県廃リ課に通報あり。怪しいトラックが通行している。環境課職員が現地にて指導。この日廃リ課は現地に来られず。

R4.4.22
近隣に住む方から、ここ何日か夜19時~2時くらいの間にダンプが現場に入って産廃を降ろし谷のほうに捨てているとの通報あり。

R4.4.28
仕切板が改善されていることを確認。

R4.5.6
環境課職員によるパトロールを実施。

R4.5.18
県廃リ課■■■■■■■が新里支所に来庁。現地調査も行った。

R4.5.20
環境課がパトロールでトラックが現地へ入っていくのを目撃。作業員はトラックに荷物を積んで出て行っただけと主張。

R4.5.24
県廃リ課■■■■■■■が環境課に来課。■■■■■■■■■

R4.5.27
県廃リ課に近隣住民から通報。谷側に廃棄物を落としているとのこと。環境課も現地へ赴き、谷側へ落とさないよう指導を行った。

R4.5.30
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■さんが環境課の窓口に来課。
市環境課も現状を把握しており、県廃リ課、県警、新里支所と共同で監視、指導していることを伝え、協力をお願いした。

R4.6.2 13:10
環境課による現地パトロール。不在。

R4.6.9
夜7時、■■■■■■■■がトラックの侵入を確認。石膏ボードのようなものを積んでいた。通報を受け県警のパトカーが県境まで連れて行った。

R4.6.15 13:20
環境課による現地パトロール。外国人2名。軽自動車のみ認められ作業員と思われる。

R4.6.17
■■■■が県廃リ課にトラックが侵入したと通報。環境課と新里支所市民生活課、県警も対応。現場の■■■■によれば、トラックは現場で必要になるポールを持ってきたもの。

R4.6.30 13:40
環境課による現地パトロール。作業はしていない。廃棄物を寄せたのか南側の山が高くなっていた。

R4.7.15 15:40
トラックが入っていったと通報あり。環境課も現場に行ったがトラックは確認できず。

R4.7.19 16:45
トラックが入っていったとの通報あり。警察が投棄する前に止めたと。

R4.7.20
■■■■と打ち合わせ。通報があった場合、県廃リ課が来られないとしても警察と廃リ課に連絡の上で、支所と環境課が現地に向かうことで合意した。

R4.7.20
■■■■が昨日付で会社を辞めたとの電話が新里支所にあり。県廃リ課にも伝えた。

R4.7.20
県廃リ課に■■■■の■■■■■■■■■■■が来課。「■■■■は辞めたため、今後は自分が管理者となる。」旨の説明をした。

R4.7.21
トラックが入って廃棄物を降ろしていったとの通報が県廃リ課にあり。沖縄ナンバーだった。

R4.7.28 12:30
環境課による現地パトロール。作業はしておらず無人。

R4.8.9
川ロナンバーのダンプトラックが侵入。市職員が来たことから一度はスルーしたものの同じダンプが再度入ってきて産廃を捨ててしまった。

R4.8.10 13:05
環境課による現地パトロール。現場には誰もおらず鍵も閉まっていた。しかし南にある三睛霊園脇の道路に銀色プリウス(春日部ナンバー)が止まっていて中に外国人男性がいた。

R4.8.16
新里支所に近隣住民より砂ぼこりの苦情あり。新里支所市民生活課、環境課対応。現場の外国人に注意した。

R4.9.13
県廃リ課に■■■■■■■■(所有者)の弟を名乗る電話あり。兄が(不適正保管事案を)やらかしたが自分は関係ないとのこと。

R4.9.14
地元自治会の■■さんより説明会をしてほしいとの要望あり。県廃リ課は出せる情報がないとのことで断る。市では更に説明できるものがないことを説明し、納得していただいた。

R4.9.14
新里支所に近隣住民からトラック侵入の通報あり。作業員に聞いたところ、畳50枚を搬出したものだとのこと。

R4.9.20
桐生警察署より現場の外側にトラック一台分程度の産廃が捨てられていたとの情報あり。

R4.9.29
不審なトラックがいるとの連絡あり。現場の外国人は分別したら処分場に持って行くとのこと。一時的であっても廃棄物を搬入してはいけないことを強く指導した。

R4.10.6 9:50
環境課による現地パトロール。不在。

R4.10.21
春日部ナンバーのトラック侵入。現場の外国人はここから搬出した廃棄物が処理場に搬入を断られたため持ち帰っただけだと主張。

R4.11.4 12:20
環境課による現地パトロール。不在。

R4.11.24 12:10
環境課による現地パトロール。作業員3名。場内にトラックあり。外に搬出するところだと主張。斜面に落としている産廃も片づけているとのこと。

R4.12.1 12:30
環境課による現地パトロール。
現場に■■■■■ほか作業員2名。トラック2台ありいずれもレンタカー。
トラックは足場資材を積んでいて、谷に落ちた産廃を持ち上げるために使用するとのこと。

R4.12.9
新里市民生活課の■■■■に状況を聞く。最近は閉まっていることが多くユンボが入口に置かれている。近所からの通報もない。搬入はストップしている様子。

R5.1.6
上毛新聞の記者が来課。市は三者(市、県、警察)連携し対応している旨を答えた。

R5.1.12
県廃リ課の■■■■、■■■主幹来課。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
+
R5.1.12
市が土地を差し押さえ(登記より)

R5.1.16 午後10:30
新里支所職員がトラック2台の搬入を目撃。通報を受け警察も到着。現場にいた■■■■を尋問するも搬入を否定。しかし朝確認したら、真新しい産廃の山があった。

R5.1.17 11:00
環境課、新里支所市民生活課、桐生署生活安全課が現地調査。作業員がいれば夜間の作業をしないよう指導する予定だったが誰もいない。通りかかった近所の女性から「夜の10時ごろダンプが来ていました」と情報提供あり。

R5.1.19
上毛新聞に掲載された。1/6に取材があったもの。web版も掲載。
・県や桐生署によると県外の建設業者が管理。
・廃リ課に60件以上の連絡。
・廃リ課は周辺の生活環境に支障をきたしていないと判断。
・必要な分だけ除去する可能性はある。

R5.1.19
新里支所市民生活課より連絡。今日現場に新しい作業員「■■■■」がいて、現場で作業を行っていた。単発での手伝い程度とのこと。

R5.1.22
先の上毛新聞の記事がyahoo newsに転載される。

R5.1.24
テレビ朝日及びフジテレビから電話で問い合わせあり。所管する県廃リ課に問い合わせるよう回答した。

R5.1.25 9:20
県廃リ課から現場の門扉が風で道路側に倒れ、警察官が指導し是正させたとの電話あり。
同日10:00。環境課。新里支所市民生活課、県廃リ課到着。しかし現場にはもう誰もいなかった。

R5.1.26 12:15
定期パトロール。作業員等は誰もいなかった。

R5.1.27
フジテレビめざまし8で放送された。内容は上毛新聞の記事と同じ程度。県が現時点で影響ないとしている点を批判していた。
ドローンによる空撮と裏から見た映像もあり。また■■■■■■■■と思われる「所有者」の自宅へ取材していたが不在だった。

R5.1.27
県廃リ課、市環境課、新里支所市民生活課が現地に行き、■■■■■と■■■■に対しこれ以上の搬入はしないように、下の道路にまで被害が及ばないよう厳しく指導した。
■■■■■は搬入については何も知らないと主張。頼まれて管理を行うが必要な喪用が払われておらず搬出もできない。崩落した廃棄物の引き上げもできなかった。もう現場から手を引き、ユンボも片づけるとのこと。

R5.1.28
桐生タイムスに記事が掲載された。県廃リ課が取材対応したと思われる。
・所有者と連絡の取れた時期はあるが現在は連絡がつかない。
・現場の作業員に搬入しないよう、山が崩れないよう指導を行っている。
・現場作業員は「雇われているだけ」と主張。
・雇い主と連絡が取りたいと伝えても「こちらから連絡する」で連絡がつかない。
・住民からは60件以上の苦情が寄せられている。
・所有者と連絡がつかず「産業廃棄物」と断定できない。
・私有地内なので措置命令や行政代執行はハードルが高い。
**********

■このように桐生市は、一部の重要箇所を黒塗りにしているものの、この問題が地元で発生して市民の生活環境に多大な影響を及ぼしているという認識は強く、他人事のように捉えている群馬県とは異なり、当会の開示請求から20日後に情報開示を行いました。

 上記開示文書の資料1「行政処分等について」に記されているとおり、桐生市は一般廃棄物に関しては廃掃法を根拠法令として行政命令が行えるが、本案件のような産業廃棄物は群馬県の所管のため、市として独自に行政命令を行うことはできない立場です。しかし、その頼みの綱の群馬県が、このような体たらくでは、住民の安心・安全な生活環境の保全は、まったく担保されていない状況であることがわかります。

■ところで、今回の産廃不法投棄事件で群馬県が情報開示した資料を見ると、不法行為者として複数の人物の名前があります。このうち1名の住所を見ると川口市であることがわかります。また、名前を検索するとトルコ人によくみられる名前で、クルド系の可能性もあるようです。

 川口市や蕨市などは荒川を隔てて東京に隣接しており、東京に近い一方で家賃が安くため、ここはいま、日本で一番外国人が多く暮らす街として知られています。とりわけ中国人が多く、新型コロナが流行する前の2019年には、既に「本場の中国料理が味わえる」として、横浜の中華街を凌ぐチャイナタウン化が進んでいました。

 その他にも、ベトナム人やトルコ人、とりわけクルド人が集まっているという報道もあります。(末尾参考記事参照)

 それによると川口市を中心に、戸田市、さいたま市等、埼玉県南部には約2,000人のクルド系住民が暮らしています。主にトルコから弾圧や抑圧を逃れ、1990年代に数人が住み始めたことがきっかけで、その後、親戚や知人を頼って来日した人たちで、1990年代から少しずつその数は増え、2010年代に急増し、いまに至っています。

 単身で日本に来るに留まらず、家族単位で日本に移住してくるケースが多く、子供から高齢者まで幅広い世代のクルド人が、故郷から遠く離れた日本の地で、暮らしを営んでいて、とくに解体工事など、日本人が忌避しがちな危険な労働現場で報酬を得て、家族の生計を立てているケースが一般的だということです。

 本国を離れ、日本に入国した後、難民申請をしている人が大半だといいますが、日本では難民認定やそれに準ずる在留資格取得のハードルが高く、難民として認定されたクルド人は一人もおらず。特定活動や仮滞在という在留資格を得るか、人によってはその資格を得られず仮放免というさらに厳しい状況で不安定な生活を余儀なくされているようです。

■当会が桐生市新里町の産廃不法投棄問題を今年2月からフォローするようになってから、次のメッセージが寄せられています。

*****メッセージその1*****
 桐生市の産廃放置問題ですが、おそらく川口市在住のトルコ籍クルド人の解体業関係者による悪質な産廃スキームだと思います。
 現在、川口市在住のトルコ籍クルド人たちがさまざまな犯罪、問題行動を起こしており、川口市民たちが脅威を感じ、怯えて暮らしています。川口市議会員の奥富誠一さんが、やっと川口市のクルド人問題について声を上げてくださっています。川口市のクルド人たちは永住権をもつクルド人が営む解体業に不法就労し、難民申請を繰り返して住み続けています。
 群馬県桐生市にトルコ籍クルド人の解体関係者が土地を買い、産廃を投棄している可能性が高いです。 ぜひ、奥富精一議員と情報連携していただき、実態解明をして頂けますと幸いです。

*****メッセージその2*****
 桐生市の産廃の山が問題になってるけど土地を調達した主犯のクルド人は別件で捕まる直前にトルコに逃げた。そのあとに同じグループ内の別のクルド人がかわるがわるそこを仕切ってる。
 超安価で産廃を身内のクルド人解体業者から受け入れて荒稼ぎして金持って帰国してバトンタッチ、それを繰り返してる。
 こいつらはもともと産廃を不法投棄しまくってた不良クルド人グループだからモラルはゼロ。でも仮放免中だと就労が認められてないから汚れ仕事するしかないクルド人が出てくるんであって、外国人への規制強化と外国人の素行の問題は卵が先かひよこが先かって話でもある。
 ってか関東の山奥にはこんなのたくさんあるよ。ただ今回は住宅の目の前でやってるからバレたってだけ。
 ぶっちゃけ県によってはこういう狼藉への行政指導が全然出来ない(やるノウハウも気概もない)とこも結構あるから一度舐められたらやりたい放題にされる。
**********

 また、川口市の住宅地にクルド人が資材・残土置き場と称して、産廃の集積及び積み替えヤードとして、周辺住民の生活環境などお構いなしに操業しているケースも報道されています。

**********テレビ朝日News 2022年6月21日
住民困惑・・・住宅街の「資材・残土置き場」(2022年6月21日)

https://www.youtube.com/watch?v=ISlRgI4o_TQ&t=288s

埼玉県川口市の住宅街に数年前から巨大な資材置き場が増え始めています。騒音や振動に困惑する住民。果たして業者の言い分は?トラブルの現場を追跡しました。
**********

■こうしたことから、群馬県から開示された違法行為者に関する情報にもとづき、ネットで検索したところ、次のことがわかります。

*****原因者に係る情報*****
■株式会社泰安興業

本店所在地 埼玉県川口市大字伊刈313番地
社長 カラハン・メメト(mehmet karahan)
※国税庁の管理する法人番号データベースにおける変更履歴です(登記履歴ではありません)。
○設   立  2019-07-17 新規
 商   号  株式会社泰安興業
 本店所在地 埼玉県越谷市大字長島127-1
  ↓  
○国内所在地の変更  2020-09-29
 商            号  株式会社泰安興業
 本店所在地  埼玉県川口市大字伊刈313番地 B-105
  ↓
○現在に至る

■株式会社ジュマ工業
所在地    〒343-0853埼玉県越谷市長島171-9
代表者名   クズイエル・ムスタファ(KIZILYER MUSTAFA)
営業日・時間 月曜日~土曜日 9:00~18:00(日・祝休み)
電話番号   090-4549-3737、080-5645-2727
E-mail     jumakogyo@gmail.com
資本金    500万円
設立年月日  2019年09月17日
従業員数   5名
保有重機   ZX30 1台、ZX40 1台、ZX75 1台(※いずれも日立建機製油圧シャベル)

■株式会社ARIN
所在地    〒331-0077さいたま市西区大字中釘字久保1962-28(資材置き場も同じ場所)
代表者    タクマズ・ケマル・ファティ(Takmaz Kemal Fatih)
解体登録   東京(登-1)第3987
       埼玉 (登-2) 第2534
収集運搬   東京220406号
       埼玉01100220406号
設立     2020年1月
資本金    500万円

■RAMO工業
所在地    黒塗りの為不詳
社長     ラマザン・ボンジュク(BONCUK RAMAZAN)(※株式会社ARIN代表取締役のタクマズ・ケマル・ファティとは友人)
※その他詳細も黒塗りの為不詳
**********

 RAMO工業については検索しても情報が見当たりませんでしたが、泰安興業については、上記の住所を調べたところ、2019年7月から2020年9月まで所在していた越谷市大字長島127-1は、AKCALI㈱というトルコ人らしい人物が経営する解体工事会社の所在地と同じであることがわかります。

**********AKCALI株式会社

https://alcaliakcali-group.com/information

<会社概要>
会社名    AKCALI(アクチャル)株式会社
代表者名   AKCALI SINAN
創業・設立     平成29年4月7日
電話番号/携帯番号 070-3195-1995
FAX       048-971-8667
住所        〒343-0853埼玉県越谷市大字長島127-1
営業時間      8:00~17:00
定休日       日曜日・祝日
メールアドレス   info@akcali-group.com
サイトURL    https://akcali-group.com
建設許可書/免許・資格

【解体工事業許可】
埼玉県知事(登-30)第2217号
神奈川県知事(登-30)第2000号
千葉県知事(登-2)第1831号
東京都知事(登-30)第3638号

【産業廃棄物収集運搬業許可証】
埼玉県 許可番号:01100204037 
神奈川県 許可番号:01400204027
東京都 許可番号:1300204027

業務内容      解体工事
対応エリア     1都3県
**********

 つまり、㈱泰安興業は、2019年7月の設立時は、上記AKCALI㈱と同じ住所で登記していましたが、2020年9月に現在の川口市伊刈313の「サンシティ岩本」に移り、それから間もなくして、桐生市新里町のヤードに関与し始めたものと見られます。

カラハン・メメトが泰安興業の本店所在地としていた川口市伊刈313にあるアパート「サンシティ岩本」付近の様子

 ちなみに、このサンシティ岩本については、2019年9月29日の未明にC棟で火災が発生しており、2022年10月23日には、カラハン・メメトの居住するB棟で火事があり、このときはアパートの1室が全焼し男性1名が死亡しました。いずれにしても、いわくつきのアパートのようです。

●2019年9月29日火災発生
アパートで火災、木造2階建ての2階部分を焼く 1人暮らしの住民を救急搬送、顔などにけが/川口
https://www.saitama-np.co.jp/articles/836

●2022年10月23日火災発生
遺体発見…男性住むアパートの一室、全焼して焼け跡から 別アパートの住民、煙に気付く 男性は行方不明
https://www.saitama-np.co.jp/articles/13974
埼玉 川口 アパートの1室が全焼し1人死亡
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saitama/20221023/1100015420.html

■当会は、なぜ群馬県が不法行為者を特定しながら、野放しにしてきたのか、また、なぜ、埼玉県やさいたま市、そして埼玉県警と連携して、今回の事件の関係者を徹底して調べ上げ、追及しようとしなかったのか、きちんと検証する必要があると思っております。そして、そのことが、本件の事件の真相解明と、責任の所在の明確化、そして再発防止に欠かせないと考えます。

 また、安住の地を持たないクルド人の境遇には同情の念を禁じ得ませんが、まずはその国に住もうとするのであれば、その国のルールは守ることは基本中の基本です。それを無視して「どうせ、これ以上失うものはないのだから、破れかぶれでカネになるなら何でもやる」というのであれば、その国には決して受け入れられないことを肝に銘じなければなりません。

 その意味でも、日本に居住するクルド人の実態について、もう少し情報が必要なのは事実です。加えて、当会では「泰安興業」という社名について、トルコらしくない中国的な名称なのが気になります。また、産廃というブラックな利権の絡み易い業界なので、背景には反社勢力などとのつながりも懸念されるところです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

 

※参考情報

**********NHK首都圏ナビ2022年5月26日
日本一外国人が多い街・川口市 “ホーム”に選ばれる理由とは
土地所有者が当該地を売却。
https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20220526a.html

*****一部抜粋して引用*****
★民族こえて支え合う 蕨のクルド人★

 川口市に隣接するJR蕨駅に降り立つと、トルコ語のアナウンスが聞こえてきました。

 この蕨駅周辺に数多く暮らしているのがクルド人です。

 クルド人は、「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれ、もともとトルコやシリアなどに居住している民族です。トルコでは、政府がクルド人の分離独立運動を厳しく取り締まってきた結果、弾圧から逃れて世界中に難民として亡命するクルド人が続出しました。

 日本にも1990年代にやってくるようになり、川口市をはじめとする埼玉県南部を中心に2000人以上が暮らしているとされています。

 建物を取り壊す解体現場で働く男性たち…。この街でよく見かける風景です。

 川口で暮らすクルド人男性の大半が、こうした解体業の仕事をしているといいます。

 解体現場を指揮していたトルコ国籍のクルド人、佐藤ムスタファさん(32)に話を聞きました。

 16歳のとき、難民申請をするために川口市にやってきたムスタファさんは、先に移り住んでいた親戚の紹介で、解体の仕事を始めたといいます。

 ムスタファさんによれば、日本にやってくるクルド人に仕事の選択肢は少なく、多くが人づてに解体の仕事を紹介してもらっているといいます。

 ムスタファさんは日本人の妻と結婚し、永住権を取得。解体業の会社を起業して、自身も多くのクルド人たちに仕事を紹介しています。

 トルコでは、クルド人というだけで差別や迫害を受けるなど、民族同士が対立するといわれています。しかし、ムスタファさんの解体現場では、クルド人だけでなく、トルコ人も一緒に働いていました。

佐藤ムスタファさん「自分が差別的な事にあってきたからこそ、どこの国の人だとかそういうことを一切気にしたことはないです。この街にはいろんな人がいろんな事情でやってきています。どんな民族でも、同じ人間なのだから、生きるために仕事があるべきだと思っています

 「どんな人間でも助け合う」。こうした支え合いの結果、蕨駅周辺に生まれたコミュニティ。トルコにいるクルド人の間では、こんな合言葉があるそうです。

「日本に着いたらワラビへ行け!」★

 トルコ国籍のクルド人夫婦、メメットさん(40・仮名)とヒュリアさん(31・仮名)は、その合言葉を頼りに、8年前にトルコを逃れてきました。

 蕨駅周辺にたどり着いたメメットさん夫婦は、親戚や友人とつながり、住まいや仕事を紹介してもらいながら、少しずつ自分たちの生活を築いていったといいます。

メメットさん・ヒュリアさん夫婦「なんでかはわからないけど、クルド人はみんな『とにかくワラビに行け』って言っているんだよね。たとえ日本に親戚も友人もいなくても、ワラビに来ればクルド人の誰かが世話してくれる。なんとか生きていけるように支えあっているんです」

 話を聞く中で、メメットさんがいったことばが印象的でした。

 「日本ほど、自分の言いたいことが言える自由な国はない。この街で家族と安心してずっと暮らしたいと思っています」

 一方で、日本で暮らしている2000人以上のトルコから来たクルド人のなかで、難民として認められた人はこれまで1人もいません。川口で、必死で自分たちの生活を築こうとしているクルド人たちは、いつ強制退去を命じられるか分からない不安と背中合わせで暮らしています。

■クルド人とは…国持たぬ民族、差別・迫害受け

 トルコやシリア、イラン、イラクの国境地帯に住む民族で、総人口は推定3000万人。大部分は穏健なイスラム教徒だが、国を持たない少数民族として差別され、それぞれの居住国で迫害を受けている。トルコでは1978年、分離独立を目指す「クルド労働者党」(PKK)が組織され、同国政府と対立している。ペルシャ語に近いクルド語を話すが、トルコ出身者は同化政策の影響でトルコ語も使えることが多い。

■仮放免とは

 入管難民法上の規定で、国外退去や入管施設への収容を命じられた外国人のうち、病気や子育てなどを理由に入管施設外での一時的な生活を認める制度。保証金や身元保証人が必要で、出頭義務や就労禁止などの条件に違反すると取り消され、施設に収容される。

**********

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする