市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

ガスパッチョ東京ガスに便宜を図りたがる岡田市政への提言

2010-01-25 03:37:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■平成21年12月4日付け安発18275号の「道路工事に伴う交通規制について(お願い)」と題して、地元回覧された文書により、市道幹131号線道路改良工事が、安中市野殿字下切通地内にて、平成21年1月12日~3月26日まで施工中です。


 一方、平成21年11月吉日で東京ガス㈱群馬幹線建設事務所作成の「岩野谷地区の皆さま」宛の「岩野谷地区におけるガス工事の予定について(お知らせ)」という文書が11月30日ごろ地元回覧されました。

 東京ガスのこの文書に添付されている「12月分」「全体予定」の図面上で、下切通地内の市道区間は、「ガス管埋設済み」を示す青線で示されています。東京ガスはガス工事後の本舗装を施工することになっているため、これに関連して、当会では、平成21年12月24日付で、次の資料について行政文書開示請求を安中市長に行いました。

①市道幹131号線道路改良工事にかかる入札調書
②同改良工事にかかる舗装工事部分の入札設計資料(舗装仕様、材料予量数値などを含む)
③安中市と東京ガスで当該区間改良工事及び本舗装工事に関して、交わされた一切の情報(協議録、打合せメモ、電話メモ、通達書、連絡書、内部稟議などを含む)

 その結果、平成22年1月15日に、次の関係資料の開示を受けました。
①入札図書
②平面図、標準横断図及び歩道・左車道数量集計
③市道幹131号線打合せ記録

■今回の情報開示請求は、岡田市長が東京ガスに便宜を図りはしないかについて確認するのが目的です。

 開示された資料を見ると、やはり次のような疑問点が浮かび上がり、東京ガスに少しでも便宜を図りたいとする岡田市長の方針が見えてきます。

■まず、公開された資料のうち、東京ガスと安中市との打合せ記録を見てみましょう。

**********
市道幹131号線打合せ記録
課長・多胡 庶務係長・滝川 工務係長・田中 維持管理係長・中山 供覧・中島、戸塚、河村、佐藤
1.日 時  平成21年8月26日(水) 11:10~
2.場 所  安中市役所 第二相談室
3.出席者  土木課3名   滝川、田中、中島
       東京ガス3名  ■■■■■■■■■■■■
4.議 題  1.ガス管埋設工事に伴う本復旧について
       資料 : 別紙
【東京ガス】今日は、幹131号線の本復旧工事について打合せをお願いしたい。
【市】その本復旧工事は、市が計画している道路工事箇所と重複している。よって、本復旧工事箇所(東側車線)が改良前と接しているため、道路工事に支障を来すことが予想される。東京ガスの本復旧工事について反対車線(西側車線)をお願いできないか?(別紙)
【東京ガス】そこについては、市の指示に従います。どちらの車線も施工規模は変わらないと思いますので。
【市】施工時期については、地元への交通制限等の負担軽減のため、当該工事の舗装と同時施工でお願いしたい。
【東京ガス】わかりました。道路工事の請負業者が決まったら、業者さんと相談させて頂きます。また、工事の周知についてですが。
【市】業者が確定次第、市において工事案内を地元回覧させて頂きます。
【東京ガス】今後、県道の本復旧についても予定しているのですが、市工事と重複しないようにしたいと思います。
【市】よろしくお願い致します。
**********

■この議事録は非常に簡単にしか書かれていませんが、この中で安中市は、本復旧工事箇所(東側車線)が道路改良(歩道設置のこと)部と接しているため、東京ガスの本復旧工事について反対車線(西側車線)をお願いしたい」と申し入れています。東京ガスは、二つ返事で「市の指示に従います。どちらの車線も施工規模は変わらないと思うので」と答えました。

 もともと、市道幹131号線は幅員が狭いため、東京ガスは高圧ガス導管を敷設する際に、道路の半分以上を作業帯として使用し、車両通行帯は乗用車がぎりぎり通れるだけの幅を確保していたため、地元住民らをはじめとする運転者は、車幅感覚に緊張させられながら片側交互通行を足掛け3年間も強いられたのです。

■これまで、東京ガスによる安中市内の市道における高圧ガス導管敷設工事箇所では、すべて市道の幅員全面にわたり、本復旧工事が行われていました。

 ところが、今回、大手組が施工中の歩道取り付けのための道路改良工事では、市道の幅員の片側だけを東京ガスが本復旧工事をするだけで、残りの片側車線は、安中市の予算を使って工事を行うというのです。

■東京ガスは、直径50センチの高圧ガス導管敷設工事の際に、油圧シャベルを使用して道路を掘削し、パイプの敷設のために長さ数十mに亘り、片側交通規制をしました。このとき、油圧シャベルの車幅だけで2.75mを占有していると見られ、さらにその外側にカラーコーンを置くため、実質的な道路占有は幅3m近いものになったと考えられます。そのため、通行車両は、側溝のふたの上を通ったり、ぎりぎりの車幅感覚に恐怖を覚え、低速での慎重な安全運転を強いられたのでした。


東京ガスが2009年11月末に地元に回覧版で配布した2009年12月の工事予定の資料。

 したがって、今回、安中市による道路改良工事と重複している東京ガスの高圧ガス導管敷設箇所は、市道の幅員全面に渡り、東京ガスの費用で工事が行われなければならないはずです。ところが、安中市は気前よく、半分でよい、と先に申し入れたのです。

■安中市の左車道舗装面積計算書によると、全幅員は区間により3.15、3.43、3.53、4.00、4.08、4.12、4.15、4.53とばらつきがありますが、少なくとも、このうち、2.75mは東京ガスが工事費を負担すべきだと考えられます。

 152.20mに対して548.0㎡の舗装面積となっていることから、平均幅員は3.60mになります。このうち2.75mが本来、東京ガスが負担すべきものだと考えられるので、舗装工事費用の76.38%がそれに該当します。

■今回、市道改良工事を受注したのは大手組です。入札調書によれば、平成21年11月20日に9社による指名競争入札が行われ、2回目で大手組が1270万円(消費税含まず)で落札したことになっています。

**********
入札調書
市長・岡田 部長・嶋田 課長・田村 係長・上原 係・萩原 供覧・?(判読不能)
入札結果は以下のとおりです。
指名競争入札
平成21年11月20日 09時30分 開札
案件名称  市道幹131号線道路改良工事
履行場所  安中市野殿字ヒヤ地内
                  単位:千円
入札者       第1回     第2回     落札通知確認印
安中土建(株)   13200   12870
井上道路(株)   13500   12850
(株)大手組    13000   12700   落札■
亀倉建設(株)   13700   12930
小板橋建設(株)  13350   12900
(株)野口組    13400   12930
萩原建設(株)   13450   12900
(株)萩原工業   13500   12870
(株)ユーキ建設  13550   12950
上記金額は、入礼者が見積もった契約希望金額の105分の100に相当する金額である。
             予定価格(105分の100)           円
**********

■明らかに、大手組がチャンピョンになるように仕組まれた出来レースで、落札率は予定価格1296万円?に対して1270万円と、限りなく100%に近いものだったと思われる入札結果ですが、それはさておき、1270万円の工事費のうち、東京ガスの負担分は、いったいいくらになるのでしょうか。

 標準横断図をみると、歩道部分には、幅90センチほどのL型ブロックと30センチのU字溝を敷設し、歩道の路盤に粒調砕石30-0を厚さ10センチで敷いたあと、その上に、厚さ3センチの再生密粒アスコンで舗装することになっています。

 一方、車道との間には、幅30センチ、高さ15センチ程度の逆T型ブロックを設置し、その下及び道路側約50センチほどの掘削部分には、下から、東京ガスが敷設した高圧ガス導管を意識してか、山砂修正CBR20以上を60センチ厚で敷き詰め、そのうえに再生砕石RC40を厚さ22センチ、その上に粒調砕石30-0を16センチ、最後に表面を再生密粒アスコンで5センチ厚の舗装をすることになっています。そして、さらに道路の中央まで表層工として5センチの舗装をするのですから、明らかに東京ガスが施工すべき場所も安中市の公金で行われることになります。

■一刻も早く、東京ガスが施工する部分については、大手組の請負金額から減額して取り戻す必要があります。

 もし、大手組が舗装工事に着手する前に、そうした減額協議が為されない場合には、当会として、住民監査請求を視野に入れた検討を行いたいと考えております。

【ひらく会情報部・東京ガス高圧ガス導管敷設問題研究班】

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岡田市長の選挙戦略? 突然に配布された廃棄物処分場反対チラシの目論見

2010-01-24 23:45:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■岩野谷地区では、廃棄物処分場の計画が目白押しで、これまでに7か所を超すサンパイ場の計画が持ち上がり、その殆どは取り下げられることもなく、依然として、くすぶっており、いつ焼けボックイに火がつくのか、周辺住民は戦々恐々としています。

 この背景として、地元岩野谷地区に蔓延る拝金主義があります。地元の環境保全より、目先のカネを重視する考え方の発端として、地元では中曽根派として安中市議会議長までのぼりつめ、不動産業を地元で営んでいた人物(今は故人)が、カネと脅しで地元住民を翻弄し、首都圏のサンパイ業者らの注目を集めてきた経緯があります。

 いったん、こうした拝金主義的な風土がサンパイ業者の間に知られると、またたく間に全国的な注目を集めてしまうのです。


岡田市長の牧草小屋兼選挙事務所前に駐車するサンパイ運搬トラック。所有者は埼玉県秩父市の有限会社打木運輸。
■岩野谷地区は、吉井町(現高崎市)と富岡市と接しており、市の境界の向こうに位置する吉井町の上奥平地区は、既に数多くのゴミ処分場が設置され稼働しており、計画中のものも含めると2ケタになります。富岡市側にもすぐそばに市営の最終処分場があり、周辺には不法投棄のごみが散乱しています。また、この地区に廃棄物の中間処理業者の施設も多数あり、さながら「サンパイ銀座」の観を呈しています。


1月中ごろ、地元に配布されたチラシに添付されていた安中市岩野谷地区とその周辺の廃棄物処分施設の分布図。

 全国のサンパイ業者垂涎の環境にある安中市岩野谷地区ですが、これまで、地元住民の反対運動がなかったわけではありません。しかし、前述のように、拝金主義にかられた地元の政治関係者や、その分け前にあずかろうとする一部の地元有力者らにより、反対運動は妨害され、鎮圧されてきました。

■そうした中で、「一か所でも廃棄物処分場をつくられたら地元は終わりだ」という危機感を抱き続けた僅かな住民だけが、先行していた㈱サイボウ(本社・埼玉県さいたま市)による管理型ゴミ処分場設置計画(当初は安定型サンパイ処分場計画)を必死に阻止すべく、許認可権を持つ群馬県や、意見書を県に上げる立場の安中市を相手取り、1つでも法廷闘争を十数件繰り広げましたが、すべて裁判所で敗訴させられました。

 その結果、とうとう、平成19年4月、平成2年のサンパイ処分場計画でのスタートから実に17年間の歳月を経て、サイボウ環境㈱の名義で、しかしその実態は、イー・ステージ㈱(本社・長野県小諸市)とその親会社で業界大手の㈱市川環境エンジニアリング(本社・千葉県市川市)による管理型廃棄物処分場が設置され、稼働を始めてしまいました。

 書類偽造などの刑事犯罪を告発したり、水源地域の水質や土壌、大気汚染問題を行政に問い続けて、最終的には裁判所での司法判断に活路を見出そうとして、あらゆる努力をはらった地元住民には無力感や喪失感が漂い始めましたが、それを見透かして、さらに畳みかけるように、サンパイ処分場設置の計画申請が群馬県と安中市に殺到しているのが、現在の地元の状況です。

■ところが、どういう風の吹きまわしか、先週、1月中旬に、地元の岩野谷地区全戸に対して、広報あんなかのおしらせ版など、安中市役所の印刷物と一緒に次の内容のチラシが配布されました。

**********
平成22年1月吉日
岩野谷の皆様へ
岩野谷地区に計画されているゴミ処分場について
    岩野谷地区住民 入沢幸治 高橋一夫 依田豊一 宮澤忠信
            白石 浩 岡村吉司 塚越又右ェ
 皆様、明けましておめでとうございます。ご家族おそろいで新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
 さて、私たちの住む岩野谷地区には現在一般廃棄物の最終処分場と産業廃棄物の中間処理施設がすでに2ヵ所稼働しています。そしてそのすぐ近くにあと3ヵ所の廃棄物最終処分場の計画が着々と進んでおり、設置された場合、合計5ヵ所の廃棄物処理施設は半径2km以内にすべて存在し密集することになります。
 その上、隣接する高崎市、富岡市側にもすでに廃棄物最終処分場や中間処理施設が複数存在し、また、新たな計画も持ち上がっており「産廃銀座」が懸念されています。(別紙地図をご覧ください)
 私たちはこのような現状を確認するため群馬県庁へ出向き担当者より説明を受け、この問題を地元の皆様に早急にお知らせする必要があると考えました。私たちには、私たち大人をはじめ、子どもや孫たちが安心して暮らせる地域を守る責任があります。
 「私たちの地域にこれ以上のゴミ処理施設は設置しでほしくない」という意思表明をするため、後日、署名のご協力をお願いしたいと存じます。その際は皆様のご協力をぜひ、よろしくお願い申し上げます。
**********



■ここで「岩野谷地区住民」として連名されている方々は、岩野谷地区の1区から7区までの区長全員です。これまでは、一部の住民が、廃棄物処分場問題に対するこのような問題提起のチラシを地元に配布することがあっても、地元区長会の区長全員の名前で、こうしたチラシが、配布されることは画期的であり、前代未聞のことです。

 この背景には、サンパイ処分場の推進派として、昨年3月まで岩野谷区長会長をしていた地元5区の赤見秀夫氏が、区長職を去ったことが一つの原因として考えられます。

 なぜなら、赤見秀夫氏は、サイボウ環境による廃棄物処分場計画において、計画地に隣接して酪農業を営む農業委員の牧場主と組んで、業者側に有利なように、処分場設置にかかる行政手続きにおいて、地元代表としてさまざまな便宜を図っていたからです。また、赤見秀夫氏も牧場主も、岡田義弘安中市長の支援者で共通しています。ちなみに、赤見氏の家族は安中市役所の職員であり、牧場主は市長と同級生です。

■今回、岩野谷地区の区長会がチラシを配布して、「私たちの地域にこれ以上のゴミ処理施設は設置してほしくない」という意思表示のための署名活動を近々開始するという動きを見せていることは、これまで到底考えられなかったことです。

 ここで、岩野谷地区の住民として、気を付けなければならないのは、なぜこの時期に、こうした署名活動が区長会主導で始まったのか、という点です。というのは、昨年3月にゴミ処分場施設の推進派だった赤見秀夫代表区長が去った時点で、なぜ処分場反対の動きがすぐに起きなかったのか、という疑問があるからです。

■安中市の岡田義弘市長は、区長会に対して非常に気を使っています。なぜなら、地元の意見として、区長が市役所に出す同意書や陳情書は、市役所が何か事務事業を行う場合、非常に都合がよいからです。それが利権にからむ案件の許認可にかかわる事業であればなおさらです。

 最近の例を見れば、東京ガスの高圧ガス導管敷設事業をめぐり、岡田市長と東京ガスの間で最初に密約が交わされ、住民不在でその約束を実現するために、赤見秀夫代表区長に同意書を出させたケースが挙げられます。

■その反省に立ち、今度は区長会を使って、ゴミ処分場計画には積極的でないとする市長のイメージを間接的に住民に伝えるために、あえてこうしたチラシを区長会に配布させたのではないか。これまでもサンパイ行政に対する岡田市長の積極姿勢を見てきた住民にとっては、そうした疑念が払しょくしきれません。

 市長選をあと2カ月半後に控えたこの時期に、反対署名をちらつかせ、ゴミ処分場の反対ムードを盛り上げて、あたかも岡田市政がゴミ処分場問題に関心があるかのようなイメージづくりとしているのではないのか…。地元住民が懸念する理由には、サイボウ環境の廃棄物処分場設置反対の署名を持ち込み、岡田市長(当時は市議)に請願のための紹介議員をお願いしたら、けんもほろろに拒否されたことから、岡田市長が廃棄物処分場に消極的であるはずはないと考えているからです。

■この点で、安中市民として気になることがあります。岡田市長が後援会発行として今年の元日に市内全戸に配布した昨年後半の「市長の一日」によると、10月8日(木)の11:00に「共和化工 吉村社長様来庁」とあることです。

 この共和化工株式会社(Kyowa Kako Co., Ltd.)は、本社が東京都品川区西五反田にあり、昭和34年1月26日に設立、資本金4億円、従業員214名(平成19年6月)、売上高98億円(平成19年6月)の中堅企業で、事業内容は水処理事業とリサイクル事業、代表取締役社長は吉村俊治氏です。

■当会の調査によると、同社は、熊本県菊池郡大津町真木のJA熊本経済連「大津牧場」跡地をめぐり、土地所有者の経済連と一緒に産業廃棄物中間処理施設を計画していましたが、2006年11月17日に、地元住民の反対を受けて計画を断念した経緯があります。この牧場は経済連が所有し、売却を検討していた27ヘクタールの土地でした。

 共和化工は、下水汚泥や家畜排せつ物などの有機性廃棄物を堆肥化する中間処理施設建設を計画し、2006年7月に事業概要書を熊本県に提出していました。これに対し、地元住民は「水資源への影響や農作物の風評被害が心配」として計画撤回を重ねて要望し、大津町議会が九月議会で反対要望書を可決したほか、大津町も反対の姿勢を明らかにしていました。このため経済連は「協議の進展が望めず、同社への売却は困難」と判断し、同社が県に事業概要書の取り下げを申し出て、同町は2006年10月下旬、熊本県から通知を受けました。

■また、2008年に宮崎県延岡市で最終処分場計画が浮上しました。その建設予定地は、北方地区総合運動公園隣接地(敷地面積約10ha)で、施設概要は埋立容量30万m3で開放型施設、概算事業費約30億円というものです。

 2009年度初旬に基本計画と環境アセスが完了し、同年度内に施設の基本設計が発注予定。実施設計を22年度、本体工事を23、24年度の2年間で行い、最終的に25年度の施設稼働を目指すが、土木工事は、既に延岡市の役人と一緒に清水建設が施工した「佐賀県鎮西最終処分場」を内緒に見学している清水建設が本命と言われ、浸出水施設では共和化工の名前が挙がっています。

■同社はまた、2008年に関東地区で計画された産廃処分場建設用地を確保するため地元金融機関から資金を借り入れましたが、その計画が頓挫してしまい、返済のために、メインバンクの「西日本シティ銀行」から支援を受けたといわれます。

 業界情報では、共和化工の企業体質はかなり衰弱しているともいわれ、なぜ、安中市の岡田市長にこの時期、同社の吉村社長自ら挨拶に来たのか、非常に気になるところです。

【ひらく会情報部】

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オサカベ自動車の開発許可をめぐる口利き問題で、安中市に意見書を提出

2010-01-18 12:39:00 | 協立精工北の市道工事の摩訶不思議
■安中市岩井地区に進出予定のオサカベ自動車のために口利き道路を作った岡田義弘市長に対し、口利きの事実を確認するために、当会では平成20年9月14日付で、口利きの事実を示す行政文書の開示請求を行っていたところ、12月15日付けで岡田市長の理由説明書が送られてきたことは、当会の平成21年12月17日のブログで報告済みです。

 市長の理由説明書についての反論を、「意見書」と言う形で1月15日(金)までに提出するように、安中市情報公開・個人情報保護審査会(采女英幸会長)から指示があったので、今回、期限日の1月15日に次の意見書を提出しました。

**********
平成22年1月15日
安中市情報公開・個人情報保護審査会 会長 采女英幸殿
     異議申立人 小 川  賢
理由説明書に対する意見書の提出について
 私が、平成21年10月13日付で行った、安中市情報公開条例に基づく異議申立てについて、平成21年12月15日付で貴会から安中市長の理由説明書の送付を受けました。
 ついては、安中市情報公開・個人情報保護審査会要領に基づき、安中市長の理由説明書に対する「意見書」を下記のとおり提出しますのでよろしくお取り計らい下さい。
    記
意 見 書
1)当該工事の非正当性
 市道岩35号線の道路改良工事について、安中市長の理由説明書によると、次の理由により正当性を主張しているようである。
①通り抜けできるように道路を整備することで利便性が向上する。
②周辺の土地利用が進み地域の活性化が図られる。
③企業進出等による雇用の創出や税収確保も期待される。
 これらについてそれぞれ次のように反論する。
①について
 添付資料1の公図をみると、もともと、協立精工やオサカベ自動車の土地と、東邦亜鉛の間には、道路があり、異議申立人が居住する野殿地区から中宿に通り抜ける道路がある。
 したがって、オサカベ自動車の敷地にアクセスするには、農免道路と、上述の野殿と中宿に通り抜けできる道路との2通りがある。
 よって、オサカベ自動車のためならともかく、地域の利便性向上のために、協立精工とオサカベ自動車の間の道路を拡幅する必要性は無い。
②について
 周辺の土地利用というのが何を示しているのか定かでないが、オサカベ自動車と同じように上術の2つの道路に接していて、そのうち農免道路から進入できるように正門を設けている協立精工が既に操業しており、オサカベ自動車が自分の所有地に整備工場を建てて操業を計画していることから、既に土地利用が図られていることから、何も、今回の道路改良工事を行う必要は無く、オサカベ自動車は、隣の協立精工と同様に、農免道路に5m以上面しているので、そこから進入すれば問題ない。
 したがって、地域の活性化を図るために、協立精工とオサカベ自動車の間の道路を拡幅する必然性は無い。
③について
 オサカベ自動車は既に自分の所有地を持っており、そこに整備工場などの施設を建設する計画があるのだから、雇用の創出や税収確保のために、協立精工とオサカベ自動車の間の道路を拡幅する必要性は無い。
2.手続きの違法不当性について
(1)寄付採納と受納の食い違い
 添付資料3をみると、オサカベ自動車の所有地は、農免道路から近い順に、岩井字西ノ平874-1、同879-1、同882-2、同885、同888の地番の土地で構成されている。
 しかし、寄付受納書を見ると、このうち874-1と879-1の2筆のみであり、その他の土地は、寄付受納されていない。にもかかわらず、882-2、885、888の3筆の土地の一部が寄付採納されたことになっている。市は虚偽の寄付受納書により、道路を拡幅しており、オサカベ自動車の所有地に公費を勝手に投じたことは違法である。
(2)費用対効果や必要性、必然性が皆無
 当該道路の改良工事後、既に2年近く経過しようとしているが、通行車両数は皆無といえるほど少ない。したがって、市の主張する「道路改良工事により、利便性が向上する」というのは、根拠が無く、公費をムダに費消したことは、最小限の費用で最大限の効果を義務付ける地方自治法に違反している。
(3)市長公印でなく土木課の公印を使用
 本来、寄付受納書には、市長印が押されるべきところ、土木課専用印が押印されている。このことは、市長が違法性を認識して、土木課長に押印させ、自分は責任をとりたくないという意図が感じられる。権限の無い職員に押印させたことは、違法不当である。
(4)市の寄付の基準と乖離
市への市道寄附の場合には、寄付者が土地の提供のみならず、道路工事や舗装工事をしたあと、市の基準の工事結果になっているかどうか、市の完成検査を受けてから市が寄付を受理するはずだが、庁議さえ行われずに、勝手に寄附を受理して、道路工事費を市が負担したことは違法である。
(5)この道路工事は議会の議決を経ていない
 工事費は市議会の議決を経なければならないが、この工事は庁議さえ経ずに、土木課の費用で勝手に行われており、違法である。
(6)3000㎡以上の開発の場合、県の手続きでやればよいはず
 オサカベ自動車の保有する1ヘクタール近くの土地は農免道路に5m以上接しており、市道岩35号線の道路改良工事を行わなくても、4m以上の幅の農免道路から直接進入できるようになっている。にもかかわらず、群馬県への申請を必要とする3000㎡以上の開発にならないように、安中市単独で開発手続きが可能にするため、一番奥の3000㎡に満たない土地だけを開発するように画策されたことは、一私企業への優遇策であり、行政の公平性、公正性、透明性に違反する。
(7)地元の要望の欺瞞性
 添付資料4のとおり地元岩井地区の加部区長による要望書が提出されているが、要望書に添付されている同意書には、何を同意するかについて記載が無く、しかも、住民の署名のあとに、オサカベ自動車と協立精工の署名がある。通常は、道路に面するオサカベ自動車と協立精工が同意書の最初に並び、住民はその後にくるはずである。不自然な要望書は加部区長と、オサカベ自動車と、協立精工の3者ででっち上げた可能性が伺われ、要望書としての公共性、有効性に極めて重大な疑義がある。
(8)市長の説明と開示資料の不一致
 市長は、オサカベ自動車所有地脇の道路工事は、平成18年から話があったと、今年元旦の地元新年会の席上、発言したが、添付資料2でわかるように開示資料には平成19年6月以降のものしかなく、真実が覆い隠されていることは、不正な背景が存在していたことをうかがわせるものである。
3.口利き関係情報の存在の蓋然性
 以上のように、極めて異常な手続きの背景には、「口利き」の存在が指摘できる。
 異議申立人が入手した情報によると、この件で関わった市の職員らの中には、市長の強引なやり方に疑問を持ち、市長や、その取り巻きの幹部に「やれ」と言われて、やらざるをえないにしても、もし後日問題になった場合には全部証拠として提出できるように、「何月何日に市長室で、市長とどういう会話をした」とか、「市長がどういう回答をよこした」というように、職員らは、毎日この問題について、メモやノートに書き付けていたとされる。
 したがって、市の職員らが作成したこうしたメモやノートなどの記録が存在しなければならない。
 こうした異常な事態は、口利きの存在以外に考えられず、市長にここまで強引にこの工事を進めさせたのは、政治関係者を通じて、オサカベ自動車に便宜を図るよう口利きがあったとするのが妥当である。
 安中市は、議員等からの口利きに関しては、全国では、条例や要領、規則等を定めて対応している自治体(群馬県では、平成21年4月1日から「職務に関する働きかけに対する対応要綱」を施行したところです。)もあるが、「安中市にはこうした条例等は現在制定されていない」からとして、「本件の口利きに関して市が作成した記録は、一切存在しない」と主張するが、実際には、この件で関係した職員らが、違法性を認識していて、証拠記録を残しているのである。
 また、安中市は、「当該事業の実施は、道路管理者である市長の判断によるもので、異議申立人が、政治関係者あるいは政党関係者の口利きがあったとする見方がされているという主張は、伝聞証拠又は根拠のない情報に基づくものだ」と断定しているが、これは間違いである。
 市長に口利きをした関係者について、異議申立人が確認済みであるのは、自民党群馬県連事務局長を26年にわたってつとめた、戸塚一二(とつか・いちじ)という人であり、これは伝聞ではなく、確かな根拠に基づくものである。
 戸塚一二氏は、1932年、群馬県安中市生まれで、1964年自民党本部に奉職、1966年本部駐在員として群馬県連に着任、1978年群馬県連事務局長就任、2004年に72歳で退職し、今年78歳になる。一方、その直後の2004年6月に、生協設立に向けて準備組合が設立され、2007年7月に生命衣料共済事業が任意共済として始まり、2005年12月に生活協同組合創立総会が開かれ、2006年1月に事務局が大友町の現住所に移転され、2006年8月に群馬県庁から生活協同組合として認可され、2006年9月に上毛共済生活協同組合として創立し、戸塚一二氏が理事長に就任した。このように40年間自民党本部にいて、そのうち26年間を群馬県連の事務局長として、群馬県の保守政界を牛耳ってきたことにより、退職後も、政界に厳然とした力を有している。
 現市長と、戸塚一二氏との関係は、安中市民の間では、つとに有名であり、戸塚一二氏がこの工事について口利きをしたため、市長は上記のような違法不当な手続きを容認したものである。
 口利きは、公平、公正、公明、透明性のある行政の実現に反する行為であり、こうした口利きが横行しないように努力しなければならない。なのに、安中市は口利きの存在を否定したうえに、関係情報も無いなどと、事実と反する主張をしているのは、誠に嘆かわしいことであり、こうした体質を未だに有していることは、1995年に発覚した安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件を起した安中市の負の特性であると言わざるを得ない。
 安中市のそうした秘密体質を一刻も早く是正するため、異議申立人は市民納税者として、早急に体質を健全化させる義務があり、安中市は異議申立人が請求した重要な情報を直ちに開示する必要がある。以上
添付資料1:公図
同   2:オサカベ自動車向けの市道改良工事について(経緯等)
同   3:土地の表示
同   4:要望書
**********

■今回、当会が使っている「口利き」という言葉をお聞きになった記憶があると思います。例えば一昨年、大分県の教員採用汚職事件で、口利きという言葉が頻繁に出回りました。

 国語辞典を引くと、「口利き」は「仲介・斡旋・紹介などをすること。とりもつこと。」とあります。「間に立って紹介や世話をすること。また、その人」という意味です。

 何か業者が利権を得たい場合→業者が議員に政治献金する→議員が官僚に頼む→官僚はその業者に「箇所付け」(何にいくら予算をつけたか具体的な数字で示すこと。つまり予算をつけてやること)をします。この場合、議員が口利き役です。

 あるいは、官僚が業界に天下る→業界は天下り官僚を優遇する→天下り官僚が元居た役所に口利きする→役所はその業界に有利に取り計らいます。この場合、天下り官僚が口利き役です。

 口利きは、効率よい行政の敵です。口利きを無くさないと公的機関の無駄は撲滅できません。

■議員等と官僚の接触禁止について、英国では官僚と議員の接触は原則禁止されていると聞いています。民主党が目指す官僚主導政治の打破というのは、口利きの撲滅でもあります。

 そこで、日本でも先進的な自治体では、議員(業界関係者)と面会(談笑、電話)等接触があった場合や上司からの口頭での命令指示の場合、官僚に「接触等記録」を作成保存することを義務付けることを条例で定めたところが出てきています。

■この度の異議申し立てで、岡田市長は理由説明として「全国では、条例や要領、規則等を定めて対応している自治体(群馬県では、平成21年4月1日から「職務に関する働きかけに対する対応要綱」を施行したところです。)もありますが、安中市においては、このような条例等は現在制定されておりません。したがいまして、本件の口利きに関して市が作成した記録は、一切存在いたしません」と回答してきました。

 国の場合、議員等(上司の指示命令を含む)と面談(電話)した官僚は日時、面談場所、面談(指示命令)の案件、面談(指示命令)の要旨(内容の正確さについて相手の確認を得る)面談後面談を確認している同僚等が事実確認を行い最終的に上司に報告の後に記録を保存することになっています。

■これがあれば、例えば厚生労働省のあの村木局長(当時課長)が誰と面談したのかどうか、塩田元部長が指示したのか、塩田元部長はどの政治家から依頼を受けたのかがはっきりするというわけです。族議員等の跋扈や口利きを防ぐために、こうした口利き記録の作成をどの自治体でも義務付けて、効果的な口利き撲滅の実現を図ってほしいものです。

 ちなみに、鳥取県では片山知事の在職時、議員の反発を受けながらも実施したところ議員の口利きが殆んどなくなったそうで、効果は絶大のようです。

 ところが、安中市の岡田市長の場合、「市に条例がないから口利きに関して市(職員?)は記録を作成する義務がないから、そうした記録文書は一切存在しません」と居直っています。これが、岡田市長の口癖の公約である「情報公開」「説明責任」の実態なのです。

■本来、役所に対する口利きは無意味であるはずです。なぜなら、一般には、口利きで法律を曲げることは無理だからです。口利きを期待して政治献金するとすれば、カネの無駄です。

 口利きが有効なのは、せいぜい、道路改良事業があったとして、市長や市会議員に口利きをしてもらって、自分の家の前の市道工事を他の家の前の工事よりも優先させる、ということぐらいでしょう。

 政治的圧力が法律を上回るシーンがよくドラマに描かれたりしますが、あれは、強力な政治力を持った者同士のレベルの話を面白くする為の仕掛けであって、行政機関に口利きをしたら法律がしょっちゅうねじ曲げられるというのでは、口利きのコネを持たない一般市民や納税者はたまりません。民主主義国家を標榜する日本国では、どこかの国のように、政治が法律を上回ることは、決してあってはなりません。

■今回口利きを岡田市長に行った戸塚一二氏は、15年前、タゴ51億円事件発覚後の出直し市長選で、市民団体が擁立した候補者に接触してきたことがあり、当会の事務局長も面識があるそうです。

 そのような重要な立場にある人物だからこそ、慎重な対応が求められるし、いくら自民党県連を通じて、いろいろな場面でこれまで、あるいはこれからも世話になるとはいえ、首長である岡田市長としては、口利きを依頼されても、毅然たる態度をとることが、公人或いは選良として求められるのではないでしょうか。

【ひらく会情報部】

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小寺弘之前知事を参院選で担がざるを得ない民主党と群馬県政のかかえる魑魅魍魎

2010-01-17 09:58:00 | 政治とカネ
■1月12日の民主党のホームページに次の記事がトップニュースとして掲載されました。いよいよ、群馬県政の特別な事情により、我々有権者が思ってもみないような政治ドラマがこれから展開されそうな予感です。

**********
小沢幹事長、小寺前群馬県知事の参院選比例代表出馬を正式発表
 小沢一郎幹事長は12日午後、群馬県高崎市で小寺弘之・前群馬県知事と会談し、党群馬県連役員との懇談などを経て記者会見に揃って臨み、来る参議院選挙の比例代表に民主党公認としての立候補を要請し、快諾を得たと発表した。
 会見は群馬県連代表代行の中島政希衆院議員の司会進行で進められ、同県連代表の富岡由紀夫参院議員のほか、宮崎岳志(同県第1区)、石関貴史(同2区)、柿沼正明(同3区)、三宅雪子(同4区)各衆院議員らが同席した。
 会見で小沢幹事長は、かねてより県連および石井一選挙対策委員長から立候補要請を行っていたと経緯を明かしたうえで、「本日改めて私から、ぜひ群馬県のために、そして民主党の政権と『国民の生活が第一。』の政治行政を実現するために、戦列に同志として加わっていただきたい、ぜひ立候補の決断をとお願いしたところ、快くお引き受けいただいた」と表明。「県連はもちろんのこと、私ども民主党としても、また民主党政権としても非常に心強い味方を得ることができたと喜んでいる」と語った。
 そのうえで小沢幹事長は、昨年の衆院選において、国民の皆様から政権を任せていただいたが、国民の皆さんのためにという気持ちは全員が強くもって力を尽くしているが、現実の政治行政を担った経験があるものは少ないというのが偽らざる現状だと指摘。その点において豊富な知識と経験、ノウハウ、そして、群馬県で直接県民みなさんと意見交換し、人間関係を作り上げてこられた、その両方の知識と経験をもっておられる存在だと小寺前知事を改めて紹介。「そういう方なので、県民みなさんのご理解とご支持を得て、政権与党の有力な、そして指導的な役割を国会において果たしていただきたいと心から期待したい」とエールを送った。同時に、「群馬県連、本部においても重要な候補者として、できる限りの支援の体制を組みたいと考えている」と、支援体制を強化する考えを示した。
 小寺前知事は「昨年12月8日、群馬県選出の民主党国会議員の皆さんから全員一致でこの夏の参議院選挙の比例に出馬するよう要請を受け、その後、石井選対委員長からも同様の熱い要請があり、年末年始熟慮し、そして今日、決断するに至った」と述べた。
 さらに続けて「今日はわざわざ党本部から小沢幹事長がお越しになり、3度目の私に対する出馬要請があり、直接幹事長にお目にかかり、その真意を再確認し、群馬県のために、日本のためにお役に立つならばと決意を固め、その瞬間に小沢幹事長に対して出馬をお引き受けしますと申し上げた」と語った。「いま日本は大きな政治的な転換期にあり、そのために私にできることがあるかどうかを真剣に考えてきた。(そして)地方の声を、国政に反映していくのが大事なことであると思い、出馬する決意をした」と語った。
 会見ではまた、富岡県連代表も交えて、小沢幹事長、小寺前知事と3人で熱い握手を交わした。
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■昨年8月の衆院選で民主党が政権政党となりましたが、依然として、自民党が権力を掌握している群馬県では、捻じれ現象を呈しています。

 霞が関の自治省(現在の総務省)官僚だった小寺弘之は、自民党の中曽根康弘元首相の眼鏡にかない、入省わずか5年後の1968年、27歳のときに群馬県庁に出向し、その後、医務課長、企画課長、財政課長、秘書課長を歴任し、10年後、37歳で早くも総務部長に抜擢され、1982年10月、42歳で副知事に就任し、1991年7月28日に、51歳で群馬県知事に当選しました。以降4期にわたり、県政に君臨し、八ッ場ダムをはじめ、昆虫の森などのハコモノなど、巨額の無駄な公共投資に邁進し、自民党の利権に大きく貢献してきました。また、海外視察や映画製作など、公費を浪費し、県政を私物化してきたことでも知られています。

 ところが、小寺弘之の後ろ盾である自民党の重鎮の中曽根康弘が、高齢にもかかわらずリタイヤしないため、後継者である息子の中曽根弘文のうだつがあがらないまま、1990年2月に中曽根派会長の座を渡辺美智雄に移譲しました。そして1996年7月、自民党総裁裁定で比例北関東ブロックの終身1位に祭り上げられ、さらに、翌1997年(平成9年)4月29日に大勲位菊花大綬章を受章するに至り、自民党の飾り物的な存在にさせられていったのです。

 一方、ライバルの福田派は、いち早く福田赳夫の息子の福田康夫に世襲させ、衆院選で当選を重ねるうちに、6年ごとの参院選に甘んじている中曽根弘文に差をつけ、福田派が県政でも中曽根派を圧倒するようになるのは必然でした。

■その後、中曽根康弘は、2000年(平成12)年、衆院比例区で20回目の当選を果たしましたが、2003年10月23日に、当時の小泉純一郎首相から73歳定年制を根拠に引退を要請され、同年10月27日に比例代表名簿から外されたため、メンツにこだわった中曽根康弘は、衆院選に出馬せず引退を表明したのでした。

 これと並行するように中曽根派は、群馬県政でも福田派の勢いにおされ、小渕派にも脅かされるようになり、ついに2006年、群馬県議会に君臨した二大派閥は、中曽根派が福田派に吸収される形で一本化され、長年の対立は終結を迎えたかに見えました。この動きを決定づけたのには、参議院選挙で、群馬県が2議席から1議席に減らされたことが最大の背景要因だとされています。

■こうして、福田派に吸収された形の中曽根派としては、群馬県知事の小寺弘之が派閥の象徴でした。そして、小寺弘之は2007年7月に5期目を目指して知事選に挑戦したのでした。しかし、この時、初めて衆議院議員の福田康夫に近いグループが対立候補を擁立し、結果的に、福田派で当時県議会議長だった大澤正明が勝利しました。

 小寺弘之を群馬県政のトップに育て上げた元総理の中曽根康弘が率いる中曽根派としては、面白いはずがありません。もともと中曽根派に担がれた小寺弘之は福田派と距離がありました。その溝が一層深まったのは4選を目指す前からでした。

■2003年7月の4期目をめざす知事選に際して、小寺弘之は、福田派の当時の重鎮だった松沢睦県議と当時の自民党県連会長だった笹川尭から、推薦を受ける条件として、当時の高山昇副知事の続投などを突きつけられましたが、それを突っぱねたのでした。

 それでも、結局、自民党県連の推薦が得られた小寺弘之は4選を果たしました。そして自分と同じく自治省(現総務省)の官僚出身で、県の出納長だった後藤新(現県議、民主党系のリベラル群馬に所属)を副知事に昇格しようとする人事案を議会に提出したのです。ところが、福田派の反対により、県議会で否決されたため、知事の小寺弘之と県議会の主流の福田派との対立は決定的になっていきました。

■福田派と中曽根派のせめぎ合いは、さらに尾を引きます。2008年2月17日の前橋市長選では、中曽根派の現職で元県議会議長だった高木政夫が、福田派の支援する金子泰造を破って再選しました。

 金子泰造は、中曽根派に属しながらも、県政の福中一本化の立役者となり、自民党県連幹事長になった人物だったため、同市長選は「知事選の揺り戻し」と言われました。

■群馬県では「福中対立」といわれる因縁の対立は、さらに、昨年8月の衆議院選で、激化しました。そのため、福中の対立により、旧中曽根派のなかには、民主党支持に相当数まわる動きがありました。県都前橋市を擁する群馬1区では、前橋市長選の影響を反映して、民主党の宮崎岳志が12893票を獲得して、自民党の尾身幸次に1万3千票近い大差をつけて当選したのです。

■群馬2区では、民主党の石関貴史が114622票で、自民党の笹川尭に2万4千票近い大差をつけて当選しました。この背景として、旧2区の自民党の旧長谷川派の存在があります。1967年から86年まで19年間、自民党県連会長を務めて、福中の接着剤と呼ばれていた長谷川四郎(故人)が最後に挑んだ1983年の総選挙で、田中・中曽根が笹川を擁立しましたが、結果は長谷川が勝ちました。

 その後、笹川は田中派として福中から距離を置いています。しかし、旧長谷川派には笹川への遺恨が残っていて、2005年9月11日の衆院選でも笹川の対抗馬だった民主の石関貴史に相当数の票が流れており、昨年の衆院選の伏線になりました。この流れは群馬3区でも同様で、民主党の柿沼正明が109173票で、自民党の谷津義男に約2万票の大差で当選しました。

■自民党元総理の福田康夫の牙城である群馬4区では、当初、民主党幹部の中島政希が逸早く出馬を表明していましたが、民主党群馬県連の内部抗争のためゴタゴタしていたところ、衆院選間際になり、急遽、中央から落下傘候補として小沢ガールズの三宅雪子が民主党公認となり、中島政希は比例区にまわることになりました。

 極めて短期間の選挙運動期間でしたが、民主党の三宅雪子が91904票を獲得し、自民党の福田康夫の103852票に、わずか1万2千票たらずまで肉薄したことは記憶に新しいところです。福田康夫の心胆を寒からしめた原因として、中曽根派の票がかなり民主党に流れたことは容易に想像がつきます。

■群馬5区では、旧3区時代に福田と中曽根のビルの谷間のラーメン屋を自称していた小渕恵三(故人)元首相の次女の小渕優子が、独占的な地盤、看板、カバンを築いており、全体の4分の3近い152708票を獲得しました。

■こうして2勝3敗と民主党に敗れた結果、党総務会長だった笹川尭や、元財務相の尾身幸次、元農水相の谷津義男が落選した自民党群馬県連は、2009年11月上旬、落選で会長を辞任した笹川尭の後任に、中曽根弘文を選出しました。この人事をめぐり、前会長の笹川尭はそれまでの慣例により、比例区で当選した佐田玄一郎を後任に推しましたが、国会議員主導の密室での人選に若手県議らが反発して、スッタモンダしていました。

 このため、元首相の福田康夫に裁定が委ねられましたが、若手県議らが「選挙で決めるべきだ」と主張し、参院議員の山本一太が右往左往して調整にあたりました。が、結局、事態の打開には至らず、10月中旬に、福田康夫が、中曽根弘文に会長を打診し内諾を得たのでした。

■しかし、前述の通り、自民党公認で福田派の大澤正明知事が初当選した2007年の知事選で、中曽根派の後援会幹部が小寺弘之を支援したため、自民党県連内部には「中曽根アレルギー」が根強く残っているはずです。一方で、福田派に牛耳られている中曽根派としても権力の味は忘れられず、「敵の敵は味方」と考えて、自民党出身者の多い民主党と組むことに特段の抵抗はなさそうです。

 こう考えてゆきますと、2009年11月上旬に、自民党県連の会長に選出された中曽根派の求心力ともいえる中曽根弘文が、本気で自民党の県連の一体感の構築に邁進するつもりなのかどうか、大変関心が持たれます。

■中曽根派の県政のシンボルだった小寺弘之が、民主党からの参院比例区出馬要請に、熟慮を重ねた挙句、「自分の政治感覚に一番近い党は民主党だ」などと言い始めて、出馬の意向を発表した背景には、当然、中曽根派幹部らとの協議を踏まえての決断があったと見るべきでしょう。

 となると、今夏の参院選群馬選挙区では、定員1名の改選数をめぐり、民主党現職の富岡由紀夫と自民党現職中曽根弘文が出馬することになり、中曽根派の選挙協力が勝利に不可欠な民主党現職の富岡由紀夫が当選するためには、新たな課題が生じます。

■しかし、この課題についても、当然、民主党と中曽根派との間で、調整がなされたものと見られます。

 小寺弘之が参院選出馬を表明した1月13日、高崎駅にあるホテルメトロポリタン高崎では、JAなど自民党を支持してきた団体の幹部ら、小寺知事時代の熱心な支持者ら30数人が小寺弘之の要請で集まり、支援の意思を示したからです。

■1月13日の上毛新聞によると、「小寺弘之は、小沢一郎幹事長との会談後、支持者に出馬を決断したこと報告。大きな拍車がおくられた。小沢幹事長は支持者一人一人に名刺を配り、県内での20万票の獲得を目標に掲げ、選挙戦への協力を要請した」と報じています。

 となると、今夏に予定されている参院選の群馬選挙区で、民主党現職の富岡由紀夫は、中曽根派の支援が得られなくなることになります。

■おそらく、今回の小寺弘之の民主党での比例出馬表明で、中曽根弘文は自民党県連会長としても、福田派の支援が得られにくくなり、富岡由紀夫も中曽根派の支援が得られにくくなり、ともに当選の確率に不安定要素を抱えながら、夏の参院選を迎えることになります。

 当然、それまでには水面下で調整が付けられるのでしょうが、もし、調整が付かない場合、中曽根弘文が当選すれば、富岡由紀夫は落選します。もともと富岡由紀夫は、民主党を二分する勢力の角田派(旧社会党、労組系)が公募で担いだ候補であり、落選しても、それなりのポストが民主党内であてがわれるものと見られます。

 他方、もし中曽根弘文が落選した場合、今回の衆院選での笹川尭と同様に、県連会長の座を降ろされることになりますが、落選の原因は、福田派の協力が得られなかったためだとして、福中の対立はさらに決定的なものになるかもしれません。そして、中曽根弘文は、これを契機に自民党を離れて、民主党から念願の衆院選に出馬できることになる・・・そんなシナリオさえ描けます。

■いずれにしても、民主党政権になっても、ここ群馬県の政界では上州戦争と呼ばれてきた福中の対立が形を変えて継続されるという見方が濃厚です。中曽根派と晴れて手を組むことになった民主党としては、八ッ場ダムの建設に邁進してきた小寺弘之にどのように懺悔をさせることができるのか。また、選挙協力を約した中曽根派としては、八ッ場ダム建設に伴う利権をどこまで確保できるのか。互いに、魑魅魍魎の思惑が渦巻いているに違いありません。

【ひらく会情報部】

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岡田市長の選挙戦略?市営墓地候補として、いつのまにか松井田の桑園跡地に白矢

2010-01-12 23:29:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■岡田義弘市長就任後、安中市の北野殿地区で騒がしくなっていた市営墓地計画は、東邦亜鉛安中精練所に隣接した約5ヘクタールの土地を候補地としていました。なぜ、国内でも有数のカドミウム等の重大汚染土壌でしられる東邦亜鉛周辺の土地に公営墓地なのか…当会はこれまで、この不可思議なテーマについて調査や分析を行ってきました。

 その結果、この事業の目的として、東邦亜鉛から長年にわたり政治献金を受けてきた岡田市長が、その見返りに、カドミウム等による汚染土壌を除去して、安全な山土に入れ替える畑地改良事業を、あれやこれやといろいろな手段を用いて進ませないようにして、事業費の3分の1程度を負担しなければならない東邦亜鉛に塩を送ろうとする施策の一環の可能性が地元で指摘されています。

■それよりもなによりも、いくらなんでも、東邦亜鉛による重金属汚染のもっともひどい場所に、大切な御先祖様を埋葬するなど、もってのほかであり、まず汚染土壌の浄化が先決であるとの地元の声を背景に、当会では、御先祖の尊厳を無視した市営墓地計画の問題点を、これまでいろいろな観点から抽出してきました。

 幸い、当会の主張が理解され、昨年3月に岩野谷地区の総意として、東邦亜鉛に隣接した予定地に市営墓地を計画するのは撤回してほしい、と、岡田市長に申し入れがなされました。

 その後、岡田市長は市営墓地計画について、ギブアップしたと思われていましたが、1月10日(日)に、市議会の保守系の会派の「安政の会」発行のチラシと、民主・社民クラブ所属の小宮市議発行のチラシが新聞折り込みをされており、その中で、市営墓地の候補地が松井田に予定されていることが触れられていました。

■情報によると、岡田市長が選んだ市営墓地の新たな候補地は、松井田町五料の小竹地区であることが判明しました。

 この場所は、妙義山の裾野にあり、具体的な場所として、岡田市長の思惑では、「小竹協業養蚕の桑園跡地にどうだろうか」という話のようです。実際に、今週末の、1月16日に小竹地区で説明会がある予定で、その後、周辺他地区でも説明が予定されているようです。

 このあたりは、数年前からサンパイ業者が目をつけており、色々と騒ぎがあった場所ですが、市営墓地であれば、サンパイで土壌や水質、大気などが極度に汚染される心配もなくなるわけで、地元では受け入れられやすいと思います。また、桑園跡地であれば、東邦亜鉛から遥か遠くに位置しているため、重金属を含む降下煤塵による今後の汚染の心配もなく、眺望も良いため、御先祖様も安心して、良好な環境で永眠することができるというわけです。

■ところで、この「小竹協業養蚕」というのは、1966年から地元の11農家によって運営されていた農事組合法人「小竹協業養蚕組合」のことです。国から払い下げを受けて、国有林10ヘクタールを集団桑園として開墾し、組合員の労働量にしたがって賃金を支払う形式を確立させるなど、当時としては先進的な運営が行われていました。しかし、組合設立から、半世紀を過ぎて、養蚕の衰退とともに、桑園跡地を持て余していた同組合にとっては、市営墓地の話は渡りに船かもしれません。碓氷製糸を通じて、こうした話が岡田市長に持ち込まれた可能性もあります。

 これも、岡田市長のたぐいまれな地元情報の収集力の成果であり、4月に迫った市長選を睨んでの戦略の一環と思われますが、あれほどご衷心だった東邦亜鉛周辺での市営墓地計画を簡単にあきらめたとは、どうも考えにくいところがあり、まだしっくりしません。市営墓地による地元雇用や地元経済への波及効果は、それほどインパクトがあるとは思えないからです。一方、当初の候補地だった北野殿地区の場合には、東邦亜鉛にとって多大なメリットがあると考えられます。

 というのは、市長選を有利に進めるためには、公約違反など意に介さない岡田市長のことですから、財政難などお構いなしに、合併特例債を振りかざして、票がいただけそうなら、なりふりかまわず計画を打ち出すのは、得意中の得意だからです。

■選挙まであと3カ月たらず。今後も、岡田市長により、どんな計画をぶち上げるか、市民の関心が集まりそうです。でも、裏でサンパイ業者との密約だけはご免です。

【ひらく会情報部】

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