市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

国の財政難もなんのその・・・司法修習期間の生活費の前借制度にさえ反対する弁護士らの特権意識

2010-08-31 23:57:00 | 不良弁護士問題

■8月30日の東京新聞群馬版に、次の記事が掲載されました。カラー写真付きで、「日弁連の宇都宮会長(前列左から2番目)や群馬弁護士会の采女会長(左から3番目)らが給費制維持を訴えたパレード」という注釈入りです。

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「多くが学費借金 法曹の道断たれる」
司法修習生の給費制存続を 高崎で弁護士らパレード
 司法試験に合格した司法修習生が裁判所などで1年間、実習する間に給与を受ける「司法修習生給費制」が11月に廃止されるのに反対し、群馬弁護士会の弁護士らが29日、高崎市内をパレードした。廃止は国の財政難などが理由だが、学費の借金を抱える修習生が多く、弁護士らは給費制の維持を訴えている。 (中山岳)
 司法修習生は修習に専念するためにアルバイトが禁止され、修習期間中は裁判所から月額約二十万円の給与を受ける。十一月に施行される改正裁判所法は給費制を廃止し、必要な人に年間三百万円を貸す制度になる。
 パレードに先立ち、記者会見が高崎市内のホテルであり、日本弁護士連合会(日弁連)の宇都宮健児会長、群馬弁護士会の采女(うねめ)英幸会長、ハンセン病の国家賠償訴訟原告団の谺(こだま)雄二さんらが意見を述べた。
 宇都宮会長は、学費の借金を抱える修習生や若手弁護士が多い中、給費制が廃止になれば、経済的余裕のない人が法曹に入る道が断たれると主張。「弁護士の多くが、手弁当による社会的弱者のための仕事を引き受けなくなる恐れも出てくる。国民の権利が危うくなる」と指摘した。
 パレードには、弁護士ら約百二十人が参加してJR高崎駅周辺を約一キロ練り歩き、「司法予算をけちるな」などと訴えた。
 日弁連が昨年実施したアンケートによると、司法修習生千五百二十八人の約五割が、法科大学院の学費などを貸付制の奨学金や教育ローンで賄い、平均約三百二十万円の借金がある。
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 地元の上毛新聞も2面で、この話題を小さく取り上げています。

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司法修習生の給費制存続を求めてパレード 群馬弁護士会
 司法修習生に国が給与を支給する給費制が11月から、生活資金を貸し付ける制度に移行することを受け、群馬弁護士会(采女英幸会長)は8月29日、高崎市の中心街でパレードを行い、給費制の存続を訴えた。
 パレードに先立ち、日本弁護士連合会の宇都宮健児会長が市内で会見。「経済的に余裕のない人は(法曹界への)志を絶たれる。市民、国民の権利も危うくなる。給費制を維持する方向での法改正を勝ち取りたい」と語った。
(上毛新聞平成22年8月30日朝刊2面記事)
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■この記事を読むと、やはり、弁護士会のお仲間クラブぶりがうかがえます。また、パレードの写真も、ひさびさに街頭で徒党を組んで運動をする弁護士らの仲良しぶりが、読者に伝わってくるかのようです。

 社会的に合法な職業に、貴賎はあってはなりませんが、弁護士さんらの主張を読むと自分勝手なのではないか、という気がします。これでは国民の感情からさらにかい離したお仲間クラブになってゆくような気がして、先行き心配になります。

 宇都宮会長は、弁護士の合格枠である司法試験合格者を年間3千人とする政府計画に反対して「1500人程度に減らす」と明言して日弁連の会長選挙に勝利しましたが、これは既得権を持っている弁護士会の会員の独善ではないか、という批判があります。

 今回のパレードも、よく考えてみると、司法試験合格者を絞って、新たに弁護士業を開業する若者にさらなる苦難をあたえている弁護士会が、合格者を絞ったのだから、国費で司法修習期間中の生活費を賄え、という理屈になります。

 自分たちは、十分リッチな生活をしていて、国民が弁護士不足に泣かされていても、競争性の排除で、なかば寡占体制を謳歌して、世間水準をはるかに超える収入を確保しているのに、さらに弁護士への登竜門を狭くして、既得権をさらに強固にしようとしているのですから、やはりヘンです。

■宇都宮会長は、パレードに先立ち、高崎で記者会見を行い、「弁護士の多くが、手弁当による社会的弱者のための仕事を引き受けなくなる恐れも出てくる。国民の権利が危うくなる」と指摘していますが、どうにも説得力に欠ける主張です。

 まず、社会的弱者のために、群馬県弁護士会の弁護士の皆さんが、どの程度、仕事を引き受けているのか、その実態を世間に公表すべきです。

 当会の経験でも、身近で深刻な問題で困って弁護士に相談しても、なかなか弁護士が引き受けてくれないケースに遭遇します。市民オンブズマン群馬のメンバーの弁護士は、その他の弁護士に比べれば、まだよいほうですが、オンブズマン活動に理解のないその他の一般弁護士は、社会的強者の依頼のほうを重視する傾向にあります。なぜなら、報酬のおおいほうを選択するからです。

■住民運動で住民訴訟を提起せざるを得なくなり、社会正義に理解のある弁護士を探したくても、いったいだれが、頼りなるのか、普通の市民には分かりません。群馬弁護士会では、そうした相談にのっているのかどうかも疑問です。また、思い切って弁護士に住民訴訟について相談しても、弁護士側としては、「カネにならない事案など引き受けると、労多くして益なしだ」とばかりで、「勝てそうにないから、やめておいた方がいい」などとアドバイスする例も多くあります。

 したがって、報酬の低い社会的弱者救済には関心がなく、行政や企業の顧問弁護士になりたがる弁護士ばかり増えることになるのです。

 結局、行政相手の住民訴訟となると、行政ににらまれないように、市民運動などの関係の事案を引き受けたがらない弁護士が多くなり、やむなく本人訴訟に踏み切らざるを得ないケースが多くなります。裁判所も、弁護士の付かない本人訴訟の原告に対しては、最初からハンディを付けて対応しがちですので、住民訴訟における住民側の勝訴率と言うのは、いつまでたっても改善しないのです。

■世間では、よい教育を子どもに受けさせるためにと、親は教育ローンで借金してでも、子どもの教育費用を負担します。また、苦学生は、いろいろな奨学金を得て、卒業後、よりよい職業に就くことを夢見て、勉学に励みます。そして、実際に社会に出てから、十分な報酬を得ながら、奨学金を返済しています。(最近は、就職情勢が若者に決定的に不利になっていて、奨学金の未返済が激増していると言われていますが)。

 にもかかわらず、司法試験に合格して、1年間の司法修習期間を経れば、めでたく法曹界にデビューして、世間レベルを凌駕する報酬を得られる資格を得られるのですから、司法修習生の生活費は、当然、「奨学金」のように、あとで返済が義務付けられた一緒の前受け金のような、年間300万円の生活費貸与制にするのが、もっとも合理的です。

■日弁連や群馬弁護士会は、既得権を得ている弁護士らから構成されています。なかには、年間億単位の収入を上げている弁護士も少なくないようです。日産のゴーン会長の年収が公開されたように、法曹界でも、裁判官や検事の収入は公開されているのですから、高額収入を得ている弁護士の年収も当然公開すべきです。そのうえで、司法修習生の給費制存続について、既得権を持っている立場から、論理的に主張するのであれば、一般市民は、その主張の論旨を理解して、財政難にあえぐ国庫からの支出が妥当がどうかを判断できる立場に立てるわけです。

 日弁連や、群馬弁護士会は、それよりも、悪徳弁護士の排除や、酒酔い運転事故の撲滅のために、メンバーに対して、内部規律の順守を徹底させて、弁護士としての最低限の社会的モラルを徹底させることこそが先決だと思われます。

【ひらく会情報部】

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意外に蒸し暑い日が多いウラジオストクの夏(その6)

2010-08-30 23:27:00 | 国内外からのトピックス
■ウラジオストクでは、地元料理をはじめ、世界各国の料理を楽しめます。主要レストラン として、次が紹介されています。


<ロシア料理>
●「ノスタルジア」 ペルヴァヤ・モルスカーヤ通り6-25 ℡41-05-13 ボルシチ、ビーフストロガノフなど、代表的なロシア料理。


上:ノスタルジアのボルシチ、下:同じくペルメニ。

●「レスナヤ・ザイムカ」 マコーフスカヴァ通り115 ℡38-58-59 大きな山小屋の様な造りのレストラン。熊や猪など沿海地方の獣肉を使った料理。
●「アクフェス西洋」 100年大通り103 ℡31-90-00 コーカサス系のシャシリクをはじめ、魚等のロシア料理。
●「スタールィ・ゴーラド」 パグラニーチナヤ通り10 ℡20-52-94 ロシアの伝統料理が楽しめる。店内は静かで雰囲気が良い。
●「ポルト・フランコ」 スヴェトランスカヤ通り13 ℡26-78-19 内装は帆船内部風。夜はショーもある。
●「グドーク」 アレウーツカヤ通り2 ℡41-29-98 鉄道駅舎内にあったレストラン。広いので大人数で利用することができたが、昨年11月に閉店した。
●「クレストーヴィ・ペレヴァール」 ルツコヴォ通り12 ℡26-56-40,26-76-62 グルジア料理のレストラン。シャシリク、トルマ等、コーカサスの伝統料理。
●「ドゥヴァ・グルジーナ」 パグラニーチナヤ通り12  ℡26-85-80,22-53-93 「クレストーヴィ・ペレヴァール」と同経営のグルジア料理レストラン。なお、2年前から、ロシアとグルジアは南オセチア地区等の紛争のため、ロシアはグルジアワインの輸入をストップしたため、現在、これらのグルジア料理レストランでさえも、グルジアワインを楽しむことはできません。

<日本料理>
●「7人の侍」 スヴェトランスカヤ 7 ℡40-09-36 2003年オープンしたレストラン。寿司、うどん、天ぷら等。


●「エデン(寿司バー)」 アドミララ・フォーキナ通り22 ℡26-19-90 寿司、刺身等。
●「みたみ」 オケアンスキー大通り87 ℡43-79-18 寿司、刺身、うどん、ラーメン、冷やし中華等。
●「ヤポンスキー・ガラダヴォイ」マコーフスカヴァ通り58в ℡33-04-67 日本人の板前がオープンした日本食レストラン。寿司、刺身、カツ丼等。
この他にも、最近いくつかの日本食レストランが新規開店しています。

<欧州料理>
●「シンジケート」コムソモリスカヤ通り11 ℡46-94-60 アメリカ風ステーキが食べられる。ワインや前菜も豊富。
●「ロイヤルパーク」ルースカヤ通り17 ℡31-92-6 本格ステーキが食べられる高級レストラン。ワインや前菜も豊富。
●「ドン・ロマーリオ」ナロードヌイ・プラスペクト通り ℡45-21-54 ブラジル料理店。サラダや前菜のバイキングもある。ビジネスランチ有。
●「カフェ・プレスト」スヴェトランスカヤ通り15 ℡26-63-86 おいしいコーヒーが飲めるカフェ。簡単な食事もできる。
●「カフェ・ストゥーディオ」スヴェトランスカヤ通り18 ℡41-32-46 1階はカフェ、2階はレストラン。ハンバーガーやブリヌイの他日本食も楽しめる。
●「ハンス」フォーキナ通り25a ℡40-68-75 自家製ビールが飲めるドイツ風レストラン。
●「グートフ」ポシエツカヤ通り23 ℡41-48-21 自家製ビールが飲める。ソーセージ料理が好評。

●「セミ・フートフ」 レイテナンタ・シュミドゥタ通り17a ℡51-43-26 魚介類のメニューを中心とした各国料理が楽しめる。ビジネスランチ有。
●「ヴラッド・モーター・イン」 ヴァシマーヤ通り11 ℡33-13-51 自然の中にあるホテル内のレストラン。夏はテラスでの食事もできる。
●「キャプテン・クック」 ヂヴャタヤ通り14 ℡38-86-63 ホテル「アルバトロス」内レストラン
●「ピャートゥイ・オケアン」 バタレイナヤ通り2B ℡43-34-25 ウラジオストク唯一のスペイン料理レストラン。
●「デル・マール」 フセヴォロダ・シヴィリツェヴァ通り 77 ℡40-56-35 地中海料理。店内から金閣湾が一望でき雰囲気が良い。
●「モナコ」 スハーノヴァ通り1 ℡43-33-44 落ち着いた雰囲気のレストラン。フランス料理が楽しめる。
●「スカイバー」 セミョーノフスカヤ通り29 ℡40-73-50 ホテル「ヒュンダイ」の最上階12階に位置する。景色が素晴らしい。
●「ヴェルサイユ」 スヴェトランスカヤ通り10 ℡26-93-52 ホテル「ヴェルサイユ」内レストラン(3F)

<韓国料理>
●「ヘクンガン」セミョーノフスカヤ通り29 ℡40-73-10 ホテル「ヒュンダイ」内レストラン
●「コリアハウス」セミョーノフスカヤ通り7-11 ℡26-94-64 木目調のきれいな内装。ビビンバ・冷麺・焼き肉等。
●「韓国館」 クラースナヴァ・ズナーメニ大通り45 ℡45-16-87 25名ほど座れる座敷があり、「コリアハウス」とほぼ同等の価格設定。
●「フヴァロ」バシッゼ通り5 ℡43-08-73
●「ソウル」 オケアンスキー通り69 ℡42-63-51
このほか、韓国系ではありませんが、「ピョンヤン(平壌食堂)」という北朝鮮系のレストランがあるようですが詳細情報を調査中です。

<中華料理>
●「チャイヌィ・ドーム」 スヴェトランスカヤ通り69 ℡22-00-58 フセヴォロダ・シヴィリツェヴァ通り ℡22-21-65 比較的安価な中華レストラン。小部屋あり(15人位、カラオケ付等)。
なお、この他にも中華料理店は非常に多数ある。

<イタリア料理>
●「マウロ・ジャンヴァーニ」フォーキン通り1 ℡22-07-82 イタリア人のシェフがいるレストラン。酒類も豊富。
●「マウロ・ジャンヴァーニ」オケアンスキー大通り9 ℡20-57-62 フォーキン通りのレストランの姉妹店。各種カクテルが楽しめるカフェ・バー。
●「ピッツァ M」ポシェツカヤ通り20 ℡41-34-30,26-44-36 スヴェトランスカヤ通り51-a  ℡26-85-11 宅配もしてくれるピザのレストラン。各種カクテルのメニューも豊富。

<インド料理>
●「ボンベイ1」フォンタンナヤ通り15-2 ℡43-21-67 本格インドカレー店。好みに応じて辛さを調整してくれる。

■ウラジオストクでの宿泊ホテルとしては、現在のところ、三つ星クラスまでのホテルしかなく、APRC2012開催に向けて、国際レベルの五つ星ホテルの整備が急務とされており、現在2か所で建設工事が進んでいます。

 市内の現在の主要ホテルは次の通りです。シングルもしくはツインのシングルユースで、一泊一人約3万円から約7千円まで次のようなホテルがあります。いずれもバイキング形式の朝食付きです。また、ロシアや旧ソ連圏の国では、固定電話から市内の固定電話番号に電話する場合無料です。したがって、ホテルの部屋の電話から市内の固定電話にはかけ放題です。
●ヴェルサイユ  スヴェトランスカヤ通り10 ℡26-42-01
●ヒュンダイ(韓露合弁) セミョーノフスカヤ通り29 ℡40-22-33
●ヴラッド・モーター・イン(加露合弁) ヴォシマヤ通り11 ℡33-13-51
●アルバトロス  デヴァータヤ通り14  ℡33-21-12
●アクフェス西洋  100年大通り103  ℡31-90-00
●ガヴァニ(中露合弁) クルィギナ通り3 ℡49-53-62
●ウラジオストク(インツーリスト系) ナーベレジュナヤ通り10 ℡41-05-82
●ヴェネツィア(ウラジオストク空港前、アルチョム市) ポルトーヴァヤ通り39 ℡30-76-01


●プリモーリエ  ポシエツカヤ通り20  ℡41-14-22


 もちろん、この他にも、無数のホテルがありますが、日本人観光団やビジネス客がよく利用するのはプリモーリエ・ホテルです。ウラジオストク・ホテルやその姉妹ホテルで、すぐ下の海岸にあるアムールスキー・ザリフ・ホテルには、中国人観光団が大挙して押し寄せており、中国語の専属ガイドまで雇っています。

■ウラジオストクと日本との時差は、ウラジオストクが、西に位置しているにも拘わらず、1時間も進んでいます。しかも、ヨーロッパ諸国と同様に、夏時間実施中(3月末~10月末)は、ウラジオストクが2時間進みます。なお、ウラジオストクとモスクワとの時差は年間を通して7時間です。

 商店の営業時間については、最近、24時間営業の食料品店が増えており、事情は刻々と変わっていますが、一般的には商店の営業時間は 10~20時頃です。


 また、カフェ(喫茶だけでなく食事もできる)やレストランの営業は、だいたい夜中の12時までですが、なかには翌日の午前1時ないし2時までやっているところが多く、若者らがにぎやかに歌って踊っています。


■ロシアに限らず、旧社会主義国では、いずれも治安の良さが持ち味でした。一方、ロシアは昔からマフィアの存在が知られています。ウラジオストクの治安についても、日本国領事館のホームページには詳しく解説してあります。

 沿海地方における2006年の犯罪認知件数は、前年より20,613件多い82,461件で、ウラジオストクでも10,469件増の33,569件と、一昨年から急激に増加しており、今後も犯罪件数は増加傾向にあると考えられます。ウラジオストク市の犯罪認知件数は、沿海地方における全犯罪認知件数の約40パーセントを占めています。発生している犯罪の特徴として、窃盗が最も多く、街頭犯罪と呼ばれる路上強盗やひったくり・略奪襲撃等が発生の大半を占めています。窃盗の多くは自動車泥棒のようです。

■2006年中にウラジオストク市で発生した強盗事件の件数は4,032件で、昨年と比較すると1,182件も増加しています。被害品で最も多かったのは、携帯電話機、続いてカメラ、音楽プレーヤー、コート、上着類でした。

 当地の犯罪発生件数は、2004年に一度減少傾向を見せたものの、2005年からは2年連続で急激な増加を見せており、当地の治安は悪化の一途をたどっていると言えます。

■当地における犯罪の特徴として、麻薬の生産国として懸念されている中国及び北朝鮮と国境を接しているという地理的状況、郊外に大量に自生する大麻草の存在などから、麻薬関連犯罪が蔓延する土壌を有しており、これら麻薬の密輸に係る犯罪、麻薬中毒者による各種犯罪の多さが挙げられます。

 一方、2004年以降、連邦保安局、オペレーション税関、内務局など各取締機関により積極的な取り締まり活動が行われ、検挙件数が毎年増加しています。

■当地の一般的な対日感情は良好な状態を維持しています。これまでに反日感情を理由とした特段の行動は見られず、民族的・人種的理由で日本人が狙われた事件は発生していません。ただし、外国人が抱く共通認識としての「日本人は金持ちである」との認識があることから、窃盗、すり、引ったくり及び強盗等財産犯罪に遭遇する危険性は十分に認められます。

 ロシア連邦の欧州地域では、極右派の民族過激若者集団が外国人排斥運動を展開してきていますが、2005年頃よりシベリア・極東地域でもそのような動きが見られるようになっており、警戒が必要です。既に当地では、若者グループによる中国人や北朝鮮人に対する襲撃事件が度々発生しており、2005年12月には北朝鮮出身労働者3名が若者グループに路上で暴行を受け2名が死亡する事件が発生しています。

■日本国総領事館のHPには、安全対策上の留意事項も詳説しています。

 当地では様々な民族と勢力(マフィアと呼ばれる者等)が入り混じる特色があることから、それらの対立・抗争に巻き込まれないよう十分注意することが必要です。また、極右派の民族過激若者集団が異様な出で立ち(スキンヘッドで黒皮のジャンパー、ブーツなどを着用)で徒党を組み、中国人や北朝鮮人に対する襲撃事件を起こしていることから、こうした集団を見かけた場合、興味本位などから不用意に近付くようなことは避けるべきです。

 日本人が被害に遭う事件としては、これまで窃盗、暴行、強盗、恐喝、スリ、置き引き等が多くみられる。2006年8月には日本人被害の強盗事件が連続して2件発生。なお、1999年と2002年には在留邦人が殺害される事件が発生しています。

 また、ウラジオストク市内における写真撮影に特段の問題はありませんが、郊外には軍事施設が散在していることから、これらを被写体とすることは避けたほうがよい、ということです。

■日本での生活と比較して、冬場はとくに寒冷地でもあり「かかり易い病気」として特に挙げるべきものはないと思われますが、上水道の問題(当地の水道水は配管サビ等によるさんそい飲料に適していないので飲料水として用いる場合は浄水器を使用し、念のため煮沸することが望ましい)、食品管理の問題などから、夏季には食中毒などの消化管疾患に注意する必要があります。

 冬季には、風邪などの呼吸器疾患に注意することが必要です。暖房のため屋内と屋外の温度差が大きく、また屋内がたいへん乾燥するためか、「風邪」は治りにくいといわれています。冬季は屋外での活動がほとんど出来ないため、屋内で過ごす時間が多くなり、飲酒の機会の増えることが多いが、過度の飲酒にならないよう注意が必要です。

【ひらく会情報部・海外取材班・この項おわり】

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意外に蒸し暑い日が多いウラジオストクの夏(その5)

2010-08-29 23:52:00 | 国内外からのトピックス
■ウラジオストク市について、当地にある在ウラジオストク日本国総領事館(住所:46, ULITSA VERKHNEPORTOVAYA, VLADIVOSTOK, PRIMORSKIY KRAI,690950, RUSSIA。電話26-74-81、26-75-02、26-75-13。FAX:26-75-41、26-75-78。E-MAIL:jpconvl@jpn.gin.ru。開館時間:9:00~18:00(土日、祝日は閉館)のホームページhttp://www.vladivostok.ru.emb-japan.go.jp/jap/index.htmlに、よくまとまった情報がされているので、それを引用しつつ、市内を見物してみましょう。



上:ウラジオストクのダウンタウン地図。下:先日「鶴瓶の家族に乾杯」というNHKの番組で紹介されたケーキ屋さん。
 ウラジオストク市内には公共交通機関として、地下鉄はありませんが、バス、トロリーバス、路面電車があります。坂の多いまちなので、こうした公共交通機関の利用は欠かせません。

 バスの乗車賃は11ルーブルです。日本と同様に降車時に支払います。トロリーバスと路面電車には乗ったことがないのでわかりません。

■タクシーは駅前や中央広場(革命記念の銅像のある場所)にはいつもたむろしていますが、そのへんの通りで拾うのは非常に困難です。まちのなかでタクシーを拾おうとして、手を上げてサインをおくると、とまるのはほとんど白タクです。料金メーターは付いていないため、乗車する前には料金について運転手と必ず交渉します。1キロ程度なら200ルーブル(約600円)で行ってくれるでしょう。

 事前に運転手つきの車を借り上げておくことも可能で、その場合は、1時間500ルーブル程度。郊外に出る場合はその倍になります。

 日本総領事館では、「白タクの利用は、法外な料金を請求されたり、犯罪に巻き込まれる虞があるので、差し控えるべきである」と注意喚起をしています。

■なぜかウラジオストクの道路には、陥没箇所や蓋のないマンホールが多いため、運転には注意が必要です。横断歩道や信号が日本ほど整備されていないため、横断歩道以外での歩行者の横断や飛び出しはしょっちゅうです。

 一方、歩行者としても、横断歩道を渡る場合には、どうどうと渡りましょう。躊躇していると、遠慮なく車が突っ込んでくるからです。



■ウラジオストク市内のメインストリートは、金角湾の奥に向かって東西に伸びるスヴェトランスカヤ通り(旧レーニン通り)、中央広場から極東大学・日本センターに向かって上がるオケアンスキー通り、駅前広場から南北に走るアレウーツカヤ通りです。

 スヴェトランスカヤ通りには、アルセーニエフ博物館、地方行政府、中央広場、デパート「グム」(当市最古の建築物で1885年の建築と言われている。)のほか、各種商店、文化施設が建ち並び、買物客等で賑わっています。


沿海州博物館の3階から見たスヴェトランスカヤ通り。

■オケアンスキー通りは、以前キタイスカヤ通り(中国通り)と呼ばれ、旧日本帝国総領事館をはじめ帝政時代の建造物が残っています。この通りと、セメノフスカヤ通りの交差点付近に、先々週、8月15日(月)にNHKで放送された「鶴瓶の家族に乾杯」という番組で紹介されたケーキ屋のアーニャさんがいる店があります。


正面の緑色のビルの左手奥の平屋の店がアーニャさんのいる洋菓子店「トルトニーヤ(Tortoniya)」www.tortoniya.ru

 当会取材班もアーニャさんのいる店に突撃取材を敢行しました。中に入ると一番窓際にアーニャが佇んでいました。NHKの番組で放送されたから一躍有名になったことを告げると、テレビで見せたのと同じ笑顔を返してくれました。



一躍日本男性の間でチョー有名になったアーニャさん。8月22日現在、まだNHKから約束の放映ビデオはまだ送られてこないという。

 この店のケーキ類は市内でも評判で、ほとんどの人が店の名前をしっていますが、アーニャさんのことを記憶している人はほとんどいません。なぜなら、NHKの番組で現地留学中の日本の若者がいみじくも言ったように、ここウラジオストクでは「きれいな人と、チョーきれいな人しかいない」ので、アーニャさんさえも目立たないのです。


110ルーブルのチーズケーキを買いました。パティシェが日本で修業したとあって味は日本のものとそん色ありませんでした。

■ウラジオストク市の中心に聳える「オルリーノエ・グネズドー(鷲の巣)」山の頂上付近に展望台があり、その近くまでケーブルカー(フニクリョール)で上ることができます(ただし、8月いっぱいまでは修理のため運航中)。



上:圧倒的に多いのが中国人観光団。下:ロシア語で使われるキリル文字を“発明”したギリシャの高僧キリルとその弟子の銅像

 展望台からは、金角湾の全景のみならず、市中心部や対岸のチュルキン岬を一望できます。また、市中心部から南に延びるシコト半島(エゲルシェリド)の突端にある「チグローヴァヤ・ガラー(虎の山)」展望台からはルースキー島を一望できます。

■海に囲まれたウラジオストク市では、市民の間でも海が身近な存在になっています。市街中心部に近いスポーツ湾周辺は「ナーベレジュナヤ(海岸通り)」と呼ばれ、水族館、遊園地やビアガーデン(夏季)が並ぶ市民の憩いの場となっています。



 市街中心部とスポーツ湾を結ぶフォーキン通りは2002年冬に改修され、噴水のある歩行者天国の遊歩道として整備されました。



 通りに面して日本語の通じる土産物店や、日本語の商品名を掲げた化粧品店などもあります。



 フォーキン通りの先端にある桟橋からは、2時間ごとにアムール湾の遊覧船が出ています。



■金角湾沿いの「カラベリナヤ・ナーベレジュナヤ」通りには太平洋艦隊基地があり、潜水艦「S-56」や記念艦「クラスヌィ・ヴィンペル」が保存されています。

 シベリア鉄道の終着点となるウラジオストク鉄道駅では、モスクワからの距離(9288㎞)が記された記念碑や、シベリア鉄道で使用された蒸気機関車を見ることができます。

■この他、1860年に建設されたウラジオストクと、1855年にロシアと外交関係を開いた日本との間には、19世紀後半以降、政治・経済・文化等各分野で長い交流の歴史があり、現在も市内には日本にゆかりのある建物や史跡が残っています。まだ、訪問したことがありませんが、次のようなものがあります。

●旧日本総領事館:1876年に開設された日本国政府貿易事務所は、1907年に領事館、1909年に総領事館に昇格しました。現存する建物(フォーキナ通り20)は1916年に建設され、1945年まで総領事館として使用されました。現在は沿海地方裁判所として使用されています。
●浦潮本願寺跡:1886年、西本願寺がウラジオストクで布教活動を開始し、1914年にはアレウーツカヤ通り(極東大学南隣)に「浦潮本願寺」が建立され、1937年まで存続していました。所在地跡に記念碑が建てられています。
●与謝野晶子歌碑:1912年、歌人・与謝野晶子はパリ在住の夫・鉄幹に会うためシベリア鉄道経由で渡欧する途上当地に立ち寄りました。極東大学構内には、この際に晶子が詠んだ歌の記念碑が建てられています。
●日本人街:日本人のウラジオストクへの移住は明治初期に始まり、1920年頃には6千人近くの日本人が居住していた。特に、現在のショッピングセンター「クローバーハウス」(「セミョーノフスカヤ」バス停留所横)東側の街区には、当時多くの日本人が居住しており、日本人住居や布教場として使用されていた建物が現存しています。この他にも、アレウツカヤ通り、オケアンスキー通り、スヴェトランスカヤ通りなど市街中心部には、日本人経営の商店等として使用されていた建物が多く残っています。
●セダンカ駅:ウラジオストク郊外の海岸にあるシベリア鉄道の小駅。1922年、シベリア出兵部隊撤退の合意文書がこの駅で署名されました。駅舎の壁にはこれを記したプレートが掲げられています。ウラジオストクから郊外電車(各駅停車)で5つめ、所要約25分だとか。

■娯楽施設としてはドラマ劇場、コンサート劇場、サーカス、映画館、ボーリング場、テニスコート等があります。年に数回、モスクワ、サンクトペテルブルグ等の有名なバレエ団や有名アーティストの公演があるそうです。市民にとっては、魚釣り、郊外の別荘(ダーチャ)での野菜作り、海水浴、キャンプ等、豊かな自然の中で過ごすことが主な娯楽となっています。

 主要な美術館や劇場等は以下のとおりです。
●アルセーニエフ博物館 (09:30-17:00) スヴェトランスカヤ通り20 ℡41-11-73
●沿海地方絵画ギャラリー (10:00-18:00) (現在、修理のため閉館中) アレウーツカヤ通り2 ℡41-11-44
●沿海地方絵画ギャラリー別館 (10:00-18:00) パルチザンスキー大通り12 ℡42-77-89
●潜水艦「C-56」博物館 (10:00-20:00) コラベリナヤ・ナベレジュナヤ通り℡21-67-57
●水族館 (10:00-19:30) バタレイナヤ通り4 ℡20-50-13
●イルカ大水槽 バタレイナヤ通り4(スポーツ湾地区)
●ウラジオストク要塞 (10:00-18:00) バタレイナヤ通り4-a ℡40-08-96
●ゴーリキー劇場 スヴェトランスカヤ通り49 ℡26-05-20 (チケット)℡22-01-36
●プーシキン劇場 プーシキンスカヤ通り27 ℡22-98-50
●人形劇場 ピョートル・ヴェリーキー通り8 ℡22-13-44
●青年ドラマ劇場 スヴェトランスカヤ通り15-a ℡22-52-16
●サーカス スヴェトランスカヤ通り103 ℡26-60-67
●沿海地方フィルハーモニー スヴェトランスカヤ通り15 ℡41-18-39
●映画館「オケアン」 ナーベレジナヤ通り ℡41-42-92 41-35-39
●映画館「イリュージョン」 100年大通り103 ℡31-47-06 31-82-65
●ビリヤード「クラシック」 (11:00-05:00) ニジュネパルトーヴァヤ通り1 ℡49-50-20
●ボーリング「ステルス ボーリング」 スヴェトランスカヤ通り83  ℡26-81-26
●囲碁「碁会所」 (火・木18:00-) ヴェルフネ・パルトーヴァヤ通り50a(海洋国立大学東アジア大学内) ℡49-77-40

■ショッピングとして、ウラジオストク市内には、ソ連時代の中央百貨店である「グム」の他、「イグナット」、「ツェントラリヌィ」などの新しいデパートや、「スフェラ・マーケット」、「ギペル・マーケット」、「パルス」など多くのスーパーマーケットがあります。また、ペールヴァヤ・レーチカ、フタラヤ・レーチカ、スポルチーヴナヤ等、市内各地にある市場でも、雑貨品や食料品を購入することができます。

 日本への土産として喜ばれるのはカニ缶、酒類、琥珀、ロシア民芸品等ですが、これらは、市内の土産店、食料品店及び空港で購入できます。キャビア、カニ缶、酒・たばこ類等の海外持ち出しは数量制限(キャビア:約250グラムまで、カニ缶:約5キログラムまで、酒類:約2リットルまで、たばこ:約2カートンまで)があるので注意が必要です。

【ひらく会情報部・海外取材班・この項つづく】

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意外に蒸し暑い日が多いウラジオストクの夏(その4)

2010-08-28 23:46:00 | 国内外からのトピックス
■今年の夏、ロシア西部を襲った干ばつと熱波は、ロシアの農産物、とりわけ小麦の減収を引き起こし、国際穀物市場に影響を及ぼしています。また、モスクワにおける気温35度を超える記録的な長期連続の猛暑日は、夏でも涼しいというロシアのイメージを一変させました。

 ロシア極東のウラジオストクでも、今年の夏は暑い日が多く、また雨も多いため、意外に蒸し暑い日が多いと感じさせます。


上:ウラジオストクの夏はアイスクリームが欠かせない。下:ロシア人が夏に好んで飲む飲料「クワス」は、黒砂糖入りサイダーのような味。

■一般に、ウラジオストクのホテルには冷房設備がありません。もちろん、厳しい冬に備えて暖房設備は完備しています。ところが、ほとんどのホテルはエアコンを備えておらず、気温の高い日の夜は、扇風機を回しても寝苦しく感じます。やはり温暖化の影響なのでしょうが、ウラジオストクの市民によると、そうした寝苦しい日の続く天気が最近増えてきているそうです。


暖房は申し分ないが、夏場の暑さ対策がそろそろ必要なホテル。写真は日本人がよく利用するプリモーリエ・ホテル。

 長い冬の厳しい気温環境を思えば、ロシア国民が、夏場の限られた期間をできる限りエンジョイしたいという気持ちがよくわかります。そのため、ロシア人は夏休みとして長期休暇をとってダーチャとよばれる自分の別荘や、キャンプ場、海外旅行などに出かけます。また、海水浴場は、どこも賑わっています。


ウラジオストク市郊外の北東部にあるシャマーラ地区はウスリー湾に面した遠浅で砂浜の海水浴場。市の中心から自動車で40分程度で行けるので、このように夏は連日の人だかり。かといって、湘南海岸ほどの込み具合ではない。

■夏のバカンスの過ごし方について、現地通信社が今年6月に行った沿海州地方の住民へのアンケートによると、34%の回答者が「夏期休暇を取らない」と答えています。言い換えれば、3分の2の住民は、夏の長期休暇をとっていることになります。

 一方、24%の回答者が、沿海州地方内のビーチで夏期休暇を過ごすと答えています。ついで11%の回答者が自己所有の小別荘(ダーチャ)で過ごす計画を持っており、欧米に海外旅行すると答えた人は7%に上りました。現地通信社は、これは毎年、「沿海州地方の学生のために低予算で米国に行ける“Work & Travel”プログラムの効果によるものかもしれない、と分析しています。

 その他、ハルビン、北京、大連など中国の大都市や、綏芬河などのロシアと国境を接する都市への旅行を計画人はともに6%。また、東南アジアのタイ、ベトナム、シンガポール、韓国のいずれかに旅行を計画している人は5%弱でした。日本は、円高のせいかバカンス先としてはまだ認知度が低いのが現状です。

 一般にロシア国民全体の間ではエジプトとトルコが旅行先として人気が高いのですが、沿海地方の住民では、さすがに距離が遠いため、これらの国への旅行を計画している人は2%に過ぎません。

■また、現地通信社が、ロシア沿海州地方の住民に、「北東アジア諸国の中で、どの国に最も好感を持っているか」という質問アンケートに対して、回答者の40%が「日本」と答えたそうです。

 今年5月16日にウラジオストクの街頭でランダムに360名に、「中国・韓国・日本・北朝鮮の4カ国のうち、どの国に最も好感を持っているか」と質問した結果、40%の回答者が「日本」を選び、次いで「中国」(30.6%)、「韓国」(23.1%)が続き、「北朝鮮」を選んだのは回答者の0.3%でした。

 沿海州地方には北朝鮮からの労働者が多数派遣されていて、同地方と北朝鮮の間には一定の経済交流がありますが、住民の間には、核やミサイルの実験を繰り返している北朝鮮に対する好感度が非常に低いことがわかります。

■日本に好感を持つ理由としては、「日本製の自動車が好きだから」が最も多く、「日本は戦略的な脅威ではないから」という意見も多かったそうです。


ウラジオストクが姉妹都市提携している都市名を付けたゲートの並んだ公園。日本の新潟、秋田、函館の名前がある。

 北方領土問題をめぐり、かたくなな態度をとるロシアという国に対して日本人が抱いているイメージとは裏腹に、沿海州の一般市民は意外にも非常にフレンドリーなことは、ウラジオストクの街を歩いていても感じることですが、この統計結果をみても頷けます。

【ひらく会・海外取材班・この項つづく】


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意外に蒸し暑い日が多いウラジオストクの夏(その3)

2010-08-27 23:53:00 | 国内外からのトピックス
■ウラジオストクの市民によると、「日本車は金を払ってでも手に入れたい」「韓国車はタダでくれると言われても、もらいたくない」「ロシア製の車は金をもらってもいらない」のだそうです。それほど、日本車の人気はものすごく、市内を走る自動車の9割は右ハンドルの日本車です。

 ロシアの極東地区の中古車ビジネスの過熱ぶりは非常に有名で、この10数年来、大量の日本の中古車が輸入されたため、ウラジオストクを走る車の9割以上は右ハンドルの日本車で、ロシアでも、とりわけウラジオストクのモータリゼーションは群を抜いています。



■ところが2009年1月に中古車の輸入関税が大幅に引き上げられたため、中古車ビジネスから沢山の業者が離れて行きました。

 実際にも、2009年1月~9月のロシア極東の税関を通じた日本及び韓国からの中古自動車輸入台数は前年同期比で8分の1以下に減少しました。

 しかし、日本車の品質にすっかり惚れ込んだウラジオストクの市民は、簡単には中古日本車をあきらめまきれません。依然として根強い日本の中古車需要があり、最近、ウラジオストクの中古車市場に、そうした業者が戻ってきています。また、ウラジオストクの市内を走る新車とおぼしき日本車を積んだ大型運搬車や、荷台に無造作に中古日本車を積んだトラックをよく見かけます。


輸入された大量の中古車は、後方の専用立体駐車倉庫ビルに保管され、通関手続きの後、市内のディーラーに引き取られる。また、APEC2012のための工事用重機の輸入も多い。

■ロシアの極東税関局によると、2010年1月1日から5月23日までに極東地区の税関を通して輸入された乗用車は2万4000台で、昨年同期の1.5倍です。また、この税関統計に反映されないグレーな通関による中古車輸入も再び増えています。


大量の中古車を陸揚げ中の韓国籍の貨物船。

 この背景には、今年9月に予定されている新たな技術規定導入を前にした駆け込み需要があるとの見方があります。この新ルールが施行されると、右ハンドルの自動車の輸入を禁止する可能性があるのでは、と懸念されているためです。

■以前は、関税を逃れたり、軽減したりするために、車体をはずして部品として通関し、後で再度組み立てる方法で、輸入経費を下げていました。しかし、その後、車体に対する関税が引き上げられたことで採算が合わなくなっています。

 そこで今後は、車体を切断して持ち込み、後で、継ぎ合わせることで車体に対する関税を回避する方法が編み出されました。現在は、この方法で車体に対する回避する輸入形態が主流です。




 このように、あからさまな関税回避のうらには、税関職員への賄賂も一役買っているという見方もあります。

■これまで、ロシア極東は中古日本車市場として注目されてきましたが、2009年1月に、ロシア政府が、経年後3~4の中古車の輸入関税を25%から35%に引き上げ、経年後数年以上になると排気量1cc当たり2.5ユーロ乃至5.8ユーロにと、大幅に引き上げるとともに、一方では、さまざまな支援策により国産新車(外国メーカーの現地生産車も含む)の需要を喚起しようと、努めています。ローン補助や廃車処理プログラムを通じた自動車買い替え支援などがそれです。

 しかし、政府が飴と鞭を使い分けて国産車の購入を促進しようと、いくら努力しても、これまで中古日本車を好んできた極東の市民の嗜好は根強いものがあります。このため、いろいろな分野で社会的な影響が出ています。


ウラジオストク中央駅前の駐車場に駐車中の中古日本車。

■その筆頭は、日本車の人気が根強いため、これらの日本車の部品に対する一定の需要があり、盗難車を分解して部品を売る事件が多発していることです。沿海州地方で盗難にあう自動車の多くはカローラやランドクルーザーなどの日本車が圧倒的に多く、また、盗難に遭った自動車の多くは中国製の盗難防止用警報装置を付けていました。

 また、ロシア極東では日本車を含む外国製の新車の輸入台数が、前年同期比で増加しています。極東における2009年の新車登録台数では、ロシア大手メーカーAvtoVAZのLADAがついにトヨタを超えてトップになったという情報もあります。

■実際に、2010年1~2月に極東で、外国メーカーの公式ディーラーにより販売された新車台数は375台で、前年同期比66%となりました。同時期の極東地域における外国産新車販売台数の7割は沿海州地方に集中していて、この地方ではトヨタ、三菱、日産、スズキ等の日本メーカーのディーラーが活動しています。これは、ロシアの全国的な傾向を反映しています。同じく、2010年1月から2月にかけて日本からロシアへの新車輸入台数は前年同期の1万3195台から2万3740台と、前年同期比で8割増加したからです。

■ちなみに、2009年全体の日本からロシアへの輸入台数は6万8327台で、前年比の約8分の1まで減少していました。2009年1月に中古車輸入関税が大幅に引き上げられたことから、経年数の多い、特に5年以上の中古車を輸入することが割高になりました。

 このため、新車や経年数が小さく、排気量の小さな車に対する関税は比較的低く設定されているため、比較的新しい小型車に需要が移る傾向が出ています。実際にも、トヨタのヴィッツなどピカピカの小型車が走っているのをよく見かけます。


沿海州民族博物館の3階から見たウラジオストクの沿海州政府ビル前の交差点の様子。

■ウラジオストクでタクシーを拾おうと、通りで手を上げると、タクシーと書いていない、ごく普通の車が止まってくれます。いわゆる白タクです。乗り込むと、若い運転手が言いました。アー・ユー・ジャパン?。そうだ、というと、自慢の愛車のハンドルをポンと叩いて、いわく「ジャパニーズカー・イズ・ベスト」。

 なお、こうした白タクはもちろんのこと、正規のタクシーにも走行メーターは全く付いていません。乗車前には必ず、行き先と金額を告げて、運転手と交渉してから乗りましょう。

【ひらく会情報部・海外取材班・この項つづく】
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