市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

勤務中エロ動画三昧の県職員に係る住民監査請求に関する監査結果で“案の定”の却下通知が届く

2015-05-31 23:05:00 | 県内の税金無駄使い実態
■公務員の仕事の「ズサンぶり」や「楽さ加減」は、民間にはつとに知られるところですが、管理の不行き届きのために、内部の実態が外部に漏れてしまうことがたまに起きます。東日本大震災の4周年目となる平成27年3月10日に群馬県が公表した勤務中の半年間にわたるエロ画像編集作業による補佐級職員の停職15日間の懲戒処分について、2年半前にも同じような問題で企業局の次長級職員が停職2か月の懲戒処分をうけていたことから、群馬県による再発防止策が不徹底であることが判明したため、市民オンブズマン群馬では、一罰百戒の意味を込めて平成27年3月23日に住民監査請求を群馬県監査委員に提出しました。その監査結果が、同5月28日付で同29日に簡易書留で送られてきました。


**********送り状**********

20150528_adultgazouhenshu_juminkansakekka.pdf
                    群監第202-12号
                    平成27年5月28日
小 川  賢  様

               群馬県監査委員 横 田 秀 治
               同       丸 山 幸 男
               同       久保田 順一郎
               同       狩 野 浩 志

        住民監査請求に係る監査結果について
平成27年3月23日付けで収受した標記請求に係る監査結果は、別紙のとおりです。

                 群馬県監査委員事務局
                  特定監査係
                  T E L : 027-226-2767

**********住民監査結果**********
         群馬県職員措置請求監査結果
第1 請求人
 安中市野殿980番地
 小川 賢
 前橋市文京町一丁目15番10号
 鈴木庸
第2 請求書の提出
 平成27年3月23日
 なお、請求人に対し、同年4月3日に補正を求め、同月8日に補正が行われた。さらに、同月10日に再補正を求め、同月15日に再補正が行われた。
第3 請求の内容
1 請求書の内容(原文をそのまま掲載)
 マスコミ報道によると、平成27年3月10日付で群馬県は、県庁内の行政事務用パソコンでアダルト動画などのファイルの編集作業をしたとして、会計局の50代の課長補佐(係長)の男性職員を停職15日の懲戒処分とした、県は同職員を近く移動させる方針。
 群馬県人事課によると、同職員は昨年4月末~12月10日ごろ、自宅のパソコンからダウンロードした動画をUSBメモリーなどの記録媒体に保存し、それを職場に持ち込み、事務用の卓上パソコンに接続し、ファイル名の編集作業などを行った。「アダルト動画の編集作業だったため、アダルト画像の閲覧はしていない」というが、それが本人の供述なのか、人事課の独自の調査結果なのか、あるいは独自判断なのかは不明である。
 また、群馬県人事課によれば、同職員は、勤務日の勤務時間中に、ほぼ毎日、平均して約30分間、アダルト動画ファイルのタイトル名の編集や、再生時間、映像の解析度等の情報書き込み編集をしていたという。また、事件発覚の経緯について人事課によれば、昨年12月10日、会計局(会計課若しくは審査課か)にある
 職場のパソコンが、アダルト動画とは別の理由でウイルスに感染した疑いが生じた際に、過去のフアイル操作の履歴からアダルト動画などの編集作業が発覚したという。
 報道によれば、群馬県人事課の情報として、同職員は「自宅のパソコンは家族共有のため、作業を職場でやった。猛省している」と話しているという。また、群馬県は、パソコンの業務外使用、私物の記録媒体との接続などを禁じているとしているが、この事件発覚により、平成27年3月10日に、パソコンの適正使用を徹底するよう各部署に通知して、「今後このようなことが生じないよう指導を徹底する」と話しているという。
 人事課によると、「(この同職員のアダルト動画などの編集作業にかかる」一連の操作で、コンピューターウイルスに感染したことなどはなく、県庁のネットワークヘの影響は出ていない」という。その一方で、群馬県は3月10日、各部署に対して「パソコンの適正使用を徹底すること」を通知し、「今後このようなことが生じないように指導を徹底する」とマスコミに向けて話したという。
 このように、群馬県は同職員を地方公務員法第30条及び34条に該当すると思しき、職務専念義務に違反したとして、わざわざ、東日本大震災から4周年目にあたる3.11の前日にあたる平成27年3月10日というタイミングを狙って、マスコミ発表に踏み切った。
 群馬県では、2012年夏に勤務時間中にもかかわらず大勢の職員がソフトボール大会に興じていたことが市民オンブズマン群馬の指摘で発覚したり、同年5月から6月19日までの出勤日の勤務時聞中、企業局の男性次長(当時)が、ほぼ毎日約2時間半にわたり職場でアダルト画像などを閲覧したりして給与30万円を自主的に返納し降格を申し出て停職2か月の懲戒処分を行ったりしたことがあり、今回2年半で再び類似の不祥事が発生したことになる。
 この不祥事の詳細について、請求人らは群馬県に対して直ちに公文書開示請求を行い、事実関係を正確に把握するための方策を取る所存であるが、群馬県は情報開示に消極的な姿勢をとることが懸念されるため、取り急ぎ住民監査請求を行うものである。
 同職員の職務専念義務違反行為により、群馬県が被った損害としては、職務とは無関係のアダルト動画などの編集作業に費やした時間と、公務以外の目的で使用した行政事務用のパソコン使用に伴う発生費用(減耗償却ないし損耗減価償却、消費電気代など)が想定される。
 請求人らは、損害額の算定に必要な情報についても上記公文書開示請求により、群馬県から入手することを考えているが、無用な時間の経過を強いられる可能性が高いため、敢えてここに住民監査請求を行うものである。
 よって、監査委員は、知事に対し次のように勧告するよう求める。
 「同職員に対し、請求の要旨に記した行為による金額の全額を群馬県に対し返還させること」
 なお、今回の不祥事では、同職員の懲戒処分を「停職15日」としているが、停職15日間の処遇について不明である。一般論でいえば、停職中の給与は不支給となるのであろうが、この間、同職員を自宅で無為に自由時間を過ごさせるのではなく、公務員としての自覚を、身をもって認識させるために、社会福祉施設での介護補助作業、あるいは公園などの公共施設での清掃作業など、社会貢献に役立つボランティア作業に従事させること、そしてそうした義務を職員就業規則等の内規に明記することが、再発防止の観点から有効であると思料する。
2 請求内容の解釈
 請求人から提出された上記措置請求書及び添付の資料並びに補正書の記述から、本件措置請求の内容を次のとおりと解した。
 群馬県知事は、職務専念義務に違反して、勤務時間中に行政事務用パソコンを不適正に使用し、アダルト動画のファイル名の編集等を行っていた職員(以下「本件職員」という。)に対して、当該行為を行っていた時間分に相当する金額を減額することなく、不当に給料を支払い、群馬県に損害を与えた。
 よって、群馬県知事に対し、本件職員に支払われた給料のうち、本件職員が当該パソコンの不適正使用を行っていた時間分に相当する金額を本件職員から群馬県に返還させるよう、監査委員が勧告することを求める。
3 請求人が主張する違法性・不当性
 本件職員は、勤務時間中に行政事務用パソコンを不適正に使用し、アダルト動画のファイル名の編集等を行っていた(以下「本件不適正使用」という。)。これは、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「地公法」という。)に規定する職務専念義務に違反する行為であり、勤務した時間とは認められないものであるから、本件職員に対して支払われた給料のうち、本件不適正使用を行っていた時間分に相当する金額は、減額されなければならないものである。
 群馬県知事がこれを減額することなく、本件職員に対して、適正な勤務があった場合に支払われるべき給料額を支払ったことは、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「地自法」という。)第242条第1項に規定する不当な公金の支出に当たる。
4 事実証明書等について
 請求人から提出された事実証明書等は、次のとおりである。
(1)事実証明書
 平成27年3月11日付け東京新聞記事
(2)群馬県職員措置請求書の補正書(平成27年4月8日提出)
(3)群馬県職貝措置請求書の再補正書(平成27年4月15日提出)
 ア 添付資料1 平成27年3月31日付け市民オンブズマン群馬代表宛て公文書部分開示決定通知書
 イ 添付資料2 ■■課職員行政事務用パソコン不適正使用事案概要
 ウ 添付資料3 群馬県総務部人事課起案文書「職員の懲戒処分について」一式
 工 添付資料4 平成27年3月10日付け各所属長(各情報セキュリティ責任者)宛て企画部長(情報統括管理者)通知「パソコン及びインターネットの適正使用について(通知)」
 オ 添付資料5 平成27年4月15日付け市民オンプズマン群馬代表及び事務局長宛て群馬県総務部人事課長通知「事実確認依頼への回答について」
(4)意見書(平成27年4月22口請求人陳述時に追加提出)
5 補正書及び再補正書の内容(当委員が補正を求めた事項に対する請求人の回答を要約したもの。)
(1)群馬県職員措置請求書の補正書(平成27年4月8日提出)
 ア 本件措置請求は、「知事に対して」、「懲戒処分のあった職員に群馬県が被った損害を返還するよう義務づけを求める」ものと解釈してよい。
 イ 本件措置請求の対象とする財務会計上の行為は、懲戒処分を受けた職員に対して支払われた給料のうち、当該職員が勤務時間中にアダルト動画編集作業を行っていた時間分に相当する金額の支出である。
 ウ イで挙げた財務会計上の行為は、地公法に規定する職務専念義務違反に当たるものであり、群馬県知事が本件職員にその時間分に相当する給料を支払ったことは、余計な人件費を無駄に費消したことになるから、群馬県に損害が発生している。
 エ 本件措置請求の対象とした財務会計上の行為があったことを示す事実証明書の提出はなかった。
(2)群馬県職員措置請求書の再補正書(平成27年4月15日提出)
 ア 本件措置請求の対象とした財務会計上の行為があったことを示す事実証明書として、添付資料1から5までが追加提出された。
第4 請求の受理
 本件措置請求は、地自法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成27年4月17日に受理を決定した。
第5 監査の実施
1 監査対象事項
 本件請求に係る措置請求書及び事実証明書から判断し、監査対象事項は次のとおりとした。
 職務専念義務に違反する行為を行った職員に対する給料等の支出
2 監査対象機関
 総務部人事課(以下「人事課」という。)
 会計局会計課(以下「会計課」という。)
3 請求人の証拠の提出及び陳述
(1)証拠の提出及び陳述の機会の付与
 平成27年4月22日、地自法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人は意見書を追加提出し、陳述を行った。
(2)請求人陳述の要旨
 ア 請求対象事案の態様
 本件職員は、平成26年4月29日頃から同年12月10日までの間、行政事務用パソコンを不適正に使用し、アダルト動画のファイル名の編集等を行った。1日平均の不適正使用回数は70回程度、不適正使用時間は30分程度とされている。
イ 不正行為に対する公金の支出
 本件不適正使用は、法令、条例等に示された公務員の職務専念義務の免除に含まれないことは明白であり、地公法第35条に規定する職務専念義務に違反している。
 ウ 損害金額
 本件職員は、50代で補佐級の職員であるから、その年収は700万円を超えるものとみられるが、仮に700万円として、損害金額を算出してみる。
 年収700万円を月収に計算すると、58万円を超えることになり、1日当たりの勤務時間を7.75時間と仮定して、週5日で38.75時間、月20日で155時間勤務するとした場合、1日当たり2万9,166円66銭、1時間当たり3,763円44銭となる。
 本件職員の自己申告が正しいと仮定した場合、本件不適正使用を始めた平成26年4月29日から同年12月10日まで、毎日約30分程度、アダルト動画の編集作業をしていたとすれば、7か月と10日で150日間となり、職務専念義務に違反していた勤務時間数は、75時間と試算できる。
 これに先ほど算出した1時間当たりの金額3,763円44銭を掛けると、28万2,258円となる。
 以上は、あくまでも本件職員の自己申告によるものであり、実際にはもっと多くの時間を本件不適正使用に費やしていたと考えられる。県が行った1日平均70回程度・30分程度との集計は、到底、信用できない。1日2時間程度はアダルト動画の編集に費やしていたと考えられ、この場合、損害金額は100万円近くとなる。
 群馬県監査委員においては、不当な公金の支出を是正し、損害を回復するよう、切に願うものである。
4 監査委員による対面監査の実施
 平成27年5月7日、人事課及び会計課に対し、監査委員による対面監査を行った。
5 関係人調査の実施
 平成27年5月1日、地自法第199条第8項の規定に基づき、本件措置請求に係る事実関係の確認のため、企画部情報政策課長(以下「情報政策課長」という。)に対し、文書による調査を行い、同月8日に回答を得た。
6 監査委員の交代
 本件措置請求書が提出された時点における地自法第196条第1項の規定により議員のうちから選任された監査委員は、星野寛及び福重隆浩であったところ、平成27年5月11日付けで、久保田順一郎及び狩野浩志が新たに選任された。
 本件事案については、旧委員から新委員に引継ぎを行ったほか、事務局から新委員に対して、本件措置請求の概要、経過等について、説明が行われた。
第6 監査の結果
 関係書類の調査、監査対象機関への聴取等により確認した事実は、次のとおりである。
1 関連する法令等(各法令等の記載は、該当部分の抜粋である。)
(1)地公法
 (服務の根本基準)
 第30条すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の執行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
 (職務に専念する義務)
 第35条職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
(2)群馬県職員の給与に関する条例(昭和26年群馬県条例第55号。以下「給与条例」という。)
 (給料)
 第3条 給料は、群馬県職員の勤務時間、休暇等に関する条例(平成6年群馬県条例第35号。以下「勤務時間条例」という。)第8条に規定する正規の勤務時間(以下単に「正規の勤務時間」という。)による勤務に対する報酬であって、この条例に定める管理職手当、初任給調整手当、扶養手当、地域手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、災害派遣手当、武力攻撃災害等派遣手当、新型インフルエンザ等緊急事態派遣手当、特殊勤務手当、特地勤務手当(第13条の3の規定による手当を含む。)、時間外勤務手当、夜間勤務手当、休日勤務手当、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、期末手当、勤勉手当及び農林漁業普及指導手当を除いたものとする。
2(略)
 (給与の減額)
 第10条 職員が勤務しないときは、・・(略)・・その勤務しない時間1時間につき、給料の月額及びこれに対する地域手当の月額の合計額に12を乗じ、その額を一週間当たりの勤務時間に52を乗じて得た数で除して得た額を減額して給与を支給する。
2 人事課及び会計課の見解
(1)本件不適正使用等について
 ア 本件不適正使用の概要について
 本件職員は、自宅パソコンでダウンロードしたアダルト動画をUSBメモリに保存して職場に持ち込み、長期間にわたって、勤務時間中に行政事務用パソコンを使用して、その動画のファイル名を編集するなどの行為を行っていた。
 編集内容は、インターネット検索で得た動画情報(女優名、作品名、配信日、商品番号等)やSMプレーヤー(動画再生ソフト)で得た動画ファイルの構成情報(再生時間、解像度等)を動画のフアイル名に書き込んでいたものである。
 当該編集作業は、1件の動画フアイルにつき1回で終わるものではなく、本件職員は作業途中でファイルを保存するなどして、業務の合間で繰り返し行っていた。
 イ 本件不適正使用の発覚の端緒及び経緯について
 平成26年12月9日、県庁ネットワーク運用委託事業者から、企画部情報政策課(以下「情報政策課」という。)に、本件職員の行政事務用パソコンにおいて、「コンピュータ・ウイルスによる通信が行われたことを検知した記録がある」との連絡があったため、情報政策課が本件職員の行政事務用パソコンの操作履歴を確認したところ、この通信記録は誤報だったことが判明したが、別途、アダルト動画と思われるフアイルの操作履歴や女優名等のインターネット検索が行われた履歴が多数あることが分かった。
 その情報は、翌10日に情報政策課から会計課に伝えられ、同日、会計課長及び会計課次長が本件職員に事実を確認したところ、本人が本件不適正使用を認めたものである。
 ウ 本件不適正使用をしていた期間について
 会計課では、本件職員が「平成26年4月29日頃から本件不適正使用を開始した」と主張したことから、情報政策課に対して、同月以後における本件職員の行政事務用パソコンに係るログ履歴(以下「本件ログ履歴」という。)の提供を依頼し、同年10月1日から同年12月10日までの分の提供を受けた。
 エ 本件不適正使用をしていた時間等の特定について
 会計課では、本件不適正使用の内容を詳細に把握するため、情報政策課から提供された平成26年10月1日から同年12月10日までの本件ログ履歴について、1件ずつ本件職員に操作内容の確認を求め、これを集計した。
 その結果、1日平均の不適正使用回数は69件、使用時間は32分であった。
オ 本件ログ履歴から特定した本件不適正使用の時間等について
 上記エで算定した集計結果は、本件ログ履歴において、本件不適正使用が疑われる個々の操作の開始時刻に着目して、当該操作の次の操作の開始時刻から当該操作の開始時刻を差し引いて、その時間を算定し、そこに本件ログ履歴に記録された操作内容や本件職員の申立てに基づく操作内容を当てはめ、これを集計したものであって、不適正な目的でインターネット検索を行いつつ、これと並行して本来の業務を行っていた時間等も含まれていることなどから、本件職員が実際に本件不適正使用を行っていた時間を正確に特定したものではない。
 カ アダルト動画の閲覧について
 本件職員は、本件不適正使用については認めているが、動画自体は閲覧していないと主張している。また、本件ログ履歴からも、動画を閲覧した事実は認められなかった。
 キ 本件職員の勤務態度等について
 本件職員は、本件不適正使用をしていた期間及びその前後において、勤務態度に変化はなく、特異なものは見受けられなかった。
 本件職員は、業務によく精通し、係員の信頼も厚かった。平成26年度は、有給休暇もわずかな日数しか取得しておらず、遅刻、欠勤、長時間の無断離席、電話に対応しないなどの事実もなかった。
 ク 本件不適正使用を現認できなかったことについて
 会計課では、管理職員を含め、本件不適正使用に気が付いた者はいなかった。本件職員は、アダルト動画そのものを閲覧していたのではないことに加え、本件職員が行っていたフアイル名の編集作業を行う画面は、本件職員が業務として行っているであろうと判断される文字や数宇やアルファベットが表示された画面と、外見上、大きく異なるものではないため、極めて分かりづらい状態だった。
 また、職員が勤務時間中に不適正な行為をしているはずがないという認識もあり、監視するような行為はしていなかった。
(2)職務専念義務違反について
 ア 職務専念義務違反について
 職務専念義務違反は、地公法第35条において、「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」と規定されている。
 この「勤務時間」とは、条例等に基づき割り振られた正規の勤務時間に加え、時間外勤務、週休日の勤務等を命じられて、これに服する時間も当然含まれる。
 また、「職務上の注意力のすべて」とは、常識的にみてその者の有する能力を最大限に発揮せよということであって、勤務時間及び注意力の全てを物理的に職場や職務に拘束する意味ではない。
 イ 本件職員の職務専念義務違反について
 本件事案は、本件職員が行政事務用パソコンを業務外の目的で不適正に使用していたものであり、常識的にみて本件職員の有する能力が最大限に発揮されていないことから、職務専念義務に違反すると判断した。
(3)給与の減額等について
 ア 給与条例上の給与の減額に関する規定について
 職員の給与の減額に関する規定は、給与条例第10条において、「職員が勤務しないときは、・・(略)・・その勤務しない時間1時間につき、給料の月額及びこれに対する地域手当の月額の合計額に12を乗じ、その額を一週間当たりの勤務時間に52を乗じて得た数で除して得た額を減額して給与を支給する」と規定されている。
 イ「勤務しないとき」について
 給与条例第10条に規定する「勤務しないとき」とは、人事課の取扱いとして、事前の承認手続を欠く遅刻、欠勤、勤務時間中の無断離席の繰り返し、長時間離席の場合等で、所属長がこれを現認する等により明確に特定して「勤務しないとき」と判断した場合をいうこととしている。
 ウ 本件不適正使用をしていた時間の「勤務時間」の認定について
 本件不適正使用は、地公法第35条に規定する職務専念義務に違反する行為であると認められるものの、自らの席において行政事務用パソコンを不適正に使用していたものであり、上司の指揮命令下から離れるなどの事実があったものではないことから、勤務時間に該当すると判断した。
 なお、労働時間(勤務時間)に関して、最高裁は、「労働基準法第32条の労働時間・・(略)・・とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるもの・・(略)・・と解するのが相当である」(最小判平成12年3月9日)としている。
(4)その他請求人の主張に対する見解について
 ア 本件措置請求書の記載事項について
(ア)本件不適正使用の事実認定について
  請求人は、本件措置請求書等において、本件職員が「アダルト動画などの編集作業」をしていたと主張しているが、本件職員は、動画そのものの編集ではなく、動画のフアイル名の編集を行っていたものである。
 (イ)本件懲戒処分の公表時期について
  請求人は、本件措置請求書等において、本件職員の懲戒処分について、「わざわざ、東日本大震災から4周年目にあたる3.11の前日にあたる平成27年3月10日というタイミングを狙って、マスコミ発表に踏み切った」としているが、本件懲戒処分については、同年1月15日に会計課から事件報告書が提出された後、人事課において正確な事実認定を行うための追加調査を同年3月5日まで実施し、これらの結果を踏まえて、同月9日に意思決定を行い、翌10日付けで懲戒処分を行ったものである。
イ 本件職員の申告内容等の信憑性について
 請求人は、陳述時において、「本件職員が本件不適正使用を開始したと申告している平成26年4月29日は祝日であり、その申告の信憑性は疑われる」としているが、人事課では、本件職員の「4月半ば頃に自宅パソコンを購入した」という申告内容と「4月29日頃から行政事務用パソコンの不適正使用を始めた」という申告内容には整合性があり、そのように事実認定するに足りると判断した。
 また、請求人は、陳述時において、「職場でアダルト画像サイトにアクセスしており、“いずれにおいても鑑賞は行っていない”などということは到底信じられない」としているが、会計課の周囲の職員は、本件職員が動画を鑑賞していた様子は把握しておらず、所属の座席配置状況等を総合的に勘案しても、「鑑賞していない」という申告内容により事実認定することが適当であると判断した。
3 事実関係の確認
(1)関係人調査の結果について
 情報政策課長に対して関係人調査を行った結果、本件ログ履歴のうち、データが保存されているのは、平成26年10月1日から同年12月10日までのもののみであり、同年9月30日以前のデータについては既に廃棄されており、存在しないことが確認された。
(2)本件不適正使用の事実認定等について
 平成26年10月1日から同年12月10日までの本件ログ履歴の内容を調査したところ、本件職員による本件不適正使用については、その事実があったことが確認され、その件数、時間等についても、会計課が特定し、集計したとおりの件数、時間等が確認された。
 また、本件不適正使用の作業を再現したところ、本件職員が行っていた編集作業は、インターネット検索で得た動画に関する情報や動画再生ソフトで得た動画ファイルの構成情報を動画のファイル名に書き込む作業であり、1回当たりの所要時間は数秒から数十秒であることが確認された。
(3)本件職員への給料の支払いについて
 人事課は、本件不適正使用について、地公法第35条に規定する職務専念義務に違反する行為であると認められるものの、自らの席において行政事務用パソコンを不適正に使用していたものであり、上司の指揮命令下から離れるなどの事実があったものではないとして、本件職員が本件不適正使用をしていた期間におけるその時間分に相当する給料額を減額しておらず、又は返還を請求していなかった。
(4)本件職員による自主返納
 本件職員は、平成27年5月8日付けで、群馬県知事に対して、本件職員が職務専念義務に違反して本件不適正使用をしていた期間におけるその時間分の給与相当額として、現金50万円を自主的に返還する旨の上申書を提出し、同日、同額が群馬県に納付されていた。
 この金額は、本件措置請求において、請求人が本件不適正使用に関し県が被った損害であると主張する金額28万2、258円を上回るものであった。
第7 監査委員の判断
1 判断                                ’
 上記事実認定のとおり、本件不適正使用に係る本件職員の給料相当額については、既に本件職員から群馬県に自主的に返還されており、その納付された金額は、本件措置請求において、請求人が本件不適正使用に関し県が被った損害であると主張する金額を上回るものであることから、本件措置請求における請求人が主張する損害については、既に補填されていると認められる。
2 結論
 したがって、本件措置請求は、監査を実施する理由がなくなっているものと判断し、これを却下する。
                   以上
********************

■このような身内の不祥事が発覚した場合、外部になるべく詳細を知らせないまま内部処理をするのが役所の傾向です。今回の不祥事でも群馬県は、当該職員への半月間の停職処分と他部署への配置換えで、済ますつもりだったのでしょう。そこに市民オンブズマン群馬から「ちょっと待った」を掛けたわけです。

 しかし群馬県は、地方自治法第2条第14項「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という義務を軽視し、当会のような納税者による市民団体からの忠告に対して、常に上から目線で対応してきます。

 今回の住民監査請求に対しても、監査委員の判断は「棄却」という結果に終わりました。それも、当該職員から自主的に50万円が返納されたのだから、オンブズマンの監査請求を監査する理由が消滅したのだから、監査請求そのものが不要だ、というものです。

 これでは、再発防止が図れないわけです。納税者からの監査請求に対して、真摯に対応すべきなのに、結局、役所の目線で対応するのが群馬県監査委員の実態です。

 しかも今回の監査では、4月12日の県議選を受けて、当会が県庁23階の監査委員事務局で陳述した際に、県議会選出の監査委員だった星野寛と福重隆浩はともに当選を果たしたのに、5月11日付で、久保田順一郎と狩野浩志に交替されてしまいました。

 このうち狩野浩志は、大沢正明・群馬県知事の愛人連込みによる知事公舎妾宅化問題でも、当会の監査請求を棄却したことがあります。本人もその後認知したものの、当時、愛人との間にトラブルを抱えており、当会では、狩野浩志の監査委員としての忌避を監査委員事務局に申し立てましたが、認められませんでした。

■さて5月29日に届いた監査結果の内容を検証してみましょう。

 最初に全体の感想としては、群馬県のいい加減な職員管理の実態です。

 今回の群馬県監査委員の監査結果は、「エロ動画編集をしていた当該職員が自主的に50万円を返納したから、オンブズマンの言う損害額をはるかに上回っており、文句はあるまい」というものですが、オンブズマンが住民監査請求を提起しなければ、職員が自席で上司の管理下でパソコンに向かっていたのだから、時間的に拘束されていたわけなので、給与の減額は行う必要がなかったと判断していたのです。

 このような考え方なので、今後とも、類似の事件が発生した場合、オンブズマンとしてその都度住民監査請求をしないと、公金の無駄遣いの是正措置が取られないことになります。

 やはり、公務員同士で仲間意識に染まっているため、きちんとルールが徹底せず、曖昧な状態で判断されてしまうのです。県庁内に市民オンブズマンの監視の目を行き届かせるために、監査委員だけではなく、当会のような外部の第三者による監視を恒常的に行う体制への改善が不可避です。

■続いて、監査委員の判断の中で、首をかしげざるを得ない項目を挙げてみます。

<2度も補正を求めるなど嫌がらせ>
 今回、3月23日に住民監査請求を提出後、監査委員事務局は、4月3日と4月10日に2度も当会に補正を求めてきました。こんな単純な事件なのに、明らかに時間稼ぎです。当会は、このような嫌がらせにもめげずに、迅速に補正指示に対応し、出来る限り早期に決定通知が出されるよう、終始、最善の努力を傾注しました。その結果、監査委員事務局では4月17日に受理をしましたが、結局監査請求から決定通知まで60日以上を掛けさせられてしまったのでした。

<正確な給与の減額査定根拠が示されていない>
 今回の問題で、当会は当該職員(50代、補佐級)の年収を仮に700万円として、当該職員が没頭していたエロ動画編集時間を本人の申告通りの時間数と仮定して損害金額を算出した結果、28万2258円という数字を得ました。ところが、当該職員から返納された金額は2倍近い金額でした。ということは群馬県では、50代で補佐級の職員ともなると、年収が1240万円となるわけです。こんなに高給取りが、勤務中パソコンでエロ動画編集三昧できるほど暇だというのですから、公務員という職業は正に濡れ手で粟の人生が送れることを示しています。
 それにつけても遺憾なのは、公務員のこうしたバブリィな給与支給の実態を、納税者である県民にきちんと公表しようとしない体質です。

本当にエロ動画を閲覧せずに編集ができるのか>
 監査結果によれば「本件職員は、自宅パソコンでダウンロードしたアダルト動画をUSBメモリに保存して職場に持ち込み、長期間にわたって、勤務時間中に行政事務用パソコンを使用して、その動画のファイル名を編集するなどの行為を行っていた。編集内容は、インターネット検索で得た動画情報(女優名、作品名、配信日、商品番号等)やSMプレーヤー(動画再生ソフト)で得た動画ファイルの構成情報(再生時間、解像度等)を動画のフアイル名に書き込んでいたものである。当該編集作業は、1件の動画フアイルにつき1回で終わるものではなく、本件職員は作業途中でファイルを保存するなどして、業務の合間で繰り返し行っていた」と記してあります。
 また、「平成26年12月9日、県庁ネットワーク運用委託事業者から、企画部情報政策課(以下「情報政策課」という。)に、本件職員の行政事務用パソコンにおいて、「コンピュータ・ウイルスによる通信が行われたことを検知した記録がある」との連絡があったため、情報政策課が本件職員の行政事務用パソコンの操作履歴を確認したところ、この通信記録は誤報だったことが判明したが、別途、アダルト動画と思われるフアイルの操作履歴や女優名等のインターネット検索が行われた履歴が多数あることが分かった」とも記しています。
 すなわち、当該職員は恒常的にエロ動画関連情報の収集のため、インターネットで検索をしており、ウイルス感染の疑いのあるサイトにアクセスをしていたのも一度や二度ではなかったと見られます。
 にもかかわらず、「この通信記録は誤報だった」などとして、大きな原因ではないかのように取り繕っています。

 この他にも、さまざまな疑義があります。

 こうした中途半端な監査結果のため、さらに内容を精査したうえで、今後の対応策について、当会の例会で討議をしたうえで、方針を決定したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・10数年にわたり酒2升配布し続けた元議長を告発

2015-05-30 23:09:00 | 政治とカネ
■安中市の保守系大物市会議員で議長も務めたことのある現職市議が、今年2月、地元地区5カ所で開かれた集会で、清酒2本セットを熨斗紙付きて配布した問題について、当会は一罰百戒と再発防止の意味を込めて、平成27年5月29日(金)午後4時に、次の内容の告発状を持参して安中署の刑事課を訪れました。

安中警察署。刑事課は2階の右手にある。


**********
          告 発 状
      告発人
         住所  群馬県安中市野殿980番地
         職業  会社員
         氏名  小川 賢(昭和27年3月5日生) 自署押印
         電話  090-5302-8312
         FAX  027-381-0364
       被告発人
         住所  群馬県安中市内
         職業  安中市議会議員(元・同市議会議長経験者)
         氏名  不詳
平成27年5月26日
群馬県警察本部長殿

一 告発の趣旨
 被告発人の以下の所為は、公職選挙法第199条の2第1項及び第2項(政治家の寄付の禁止)、および、選挙運動の事前運動として公職選挙法第139条(飲食物の提供の禁止)に該当すると考えるので、被告発人を厳罰に処することを求め告発します。

二 告訴事実
 添付書類によれば、被告発人は、平成27年2月、地元およそ5か所で開催された各地区住民の集会に、自分の名前を記載した熨斗紙を付けた日本酒(1升ビン)二本セットを無償配布=寄附しました。また、それ以前にも毎年二月に、いわゆる「春契約」と呼ばれる地元各自治会の役員などを決めるために地区ごとに数十人ずつが参加して開かれる集会に、同様の寄付をしていたといわれています。総務省によると、選挙区内の人に対する寄付行為は、選挙前か否かにかかわらずに禁じられており、群馬県選管によると、選挙運動の事前運動として飲食物の提供は禁じられており、いずれも公職選挙法に抵触する禁止行為に該当します。このように、被告発人の前記所為は公職選挙法第199条の2第1項および第2項及び同第139条に定める違反行為に該当すると思われるので、被告発人の厳重な処罰を求めるため、ここに告発します。

三 立証方法
  1  新聞報道記事(2015年5月22日付東京新聞群馬版より)
四  添付書類
    上記記事写し
**********

■安中署では、高柳課長が在籍中でしたが、公務多忙で手が離せない様子で、同課の若手刑事ら二人が隣接の面接室で告発の相談に応じてくれました。

 30分間にわたる当会からの説明の中で強調したのは、昨年4月13日の安中市長選の投票日に発生したなりすまし投票事件のことです。

 この事件は、平成26年4月13日に行われた安中市長選で、他人の投票所入場券を使って男女各1人ずつ計2人が詐偽投票(なりすまし投票)した疑いで、市選管が安中署に翌14日に情報提供したものです。

 なぜ不正な投票行為が発覚したかというと、市内の某投票所で投票した男女各1人について、投票後に立会人の地元年配者が「普段見かけない人物だ」と不審に思い、入場券で氏名を確認したところ、本人でないことに気づいて、同席していた市職員に指摘し、市職員が市選管に連絡し、市選管が14日に調査したところ、やはり本人でないことが確認されたのです。

 そのため、市選管は4月13日に選管確定として発表した投票者数を2人減らし、投票率を55・26%から55・25%に訂正する羽目になりました。しかし、投じられた票は有効とされ、候補者2人の得票数は変わらないという措置がとられ、不受理・持ち帰りを「マイナス2」として投票者数との差をつじつま合わせしたのでした。

 なりすまし投票は公職選挙法の違反行為で最高刑は2年以下の禁錮または30万円以下の罰金という犯罪です。ところが、安中市選管は、目の前で不正行為があったら告訴又は告発をしなければならないという義務を行使しようとせず、単に選挙違反行為を警察に連絡しただけでした。本来であれば、自ら「被疑者を厳罰に処してもらいたい」とする告発を捜査機関に行わなければならないのです。

 これまで何度も選挙違反に遭遇してきた当会では、市選管のこのような対応を苦々しく思っていたため、市選管に代わって告発状を提出する必要があると痛感し、市選管に告発状案を見せて、選管の代わりに警察に告発することを告げた上で、安中署に告発状を提出したのでした。

 安中署は、当会の告発状の写しを取っただけで、原本をすぐには受理しようとしませんでした。すぐに受理すると、この事件を立件し、結果を告発者に伝える義務が発生するからです。しかしその後安中署は、このなりすまし投票事件をしっかりと捜査し、容疑者3名(なりすまし投票をした男女1人ずつのほかに共犯と思しき1名の計3名)を前橋地検に送検したのでした。群馬県警捜査2課の担当者も当会の告発については承知しており、きちんと捜査している旨、説明がありました。

 ところがいつになっても、通報した市選管に安中署はもちろん、前橋地検からもその後の捜査結果や容疑者の措置についての連絡が全然来ないというので、当会が、市選管に代わって安中署を訪れました。安中署では「既に送検済みなので、前橋地検に行ってみて話を聞いてくれ」というので、すぐに前橋地検に行きました。ところが、応対に出た若い男女の検察官は「告発状は受理されていないので、告発者を自称する者に捜査結果や処分結果などを説明する義務や責任はありません」と言われてしまいました。この一件の経緯は当会の次のブログを参照ください。↓
○2015年2月25日:2014年4月の安中市長選のなりすまし投票事件の被疑者らが不起訴処分となった経緯と背景に関する一考察↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1542.html

■当会は、このなりすまし投票事件の二の舞にされないように、安中署の刑事の皆さんには十分留意するように要請しました。幸い、受理するかどうかを含め、内容の検討状況と結果については、適宜必要に応じて連絡をしてくれるそうなので、当会の携帯電話番号を改めて伝えてあります。いずれにしても、前回のような前橋地検の酷い対応は二度と味わいたくありません。

 なお、今回の告発状提出に先立ち、当会は群馬県選挙管理委員会を訪ねました。県選管に今回のような日本酒を有権者らに配布する行為は、一般的に言うと、公職選挙法の第何条に抵触する可能性があるのか、聞いてみました。


20150529_kensenkan_kifukinshinorule_1.pdf

20150529_kensenkan_kifukinshinorule_2.pdf
県庁9階の群馬県選管と、相談コーナーの机の上に貼ってある「明るい選挙キャンペーン」のチラシ2種類。

 県選管の担当者のコメントは、「公選法第199条の2に定めた寄付の禁止に加えて、選挙運動の事前運動としての飲食物の提供の禁止をうたった公選法139条に該当する可能性がある」というものでした。

 県選管いわく「公選法違反については判例で示されているのみで、選挙運動の定義に関しては昭和52年2月24日に最高裁で示された判例が踏襲されている」とのことです。
○ 昭和49(あ)1709 公職選挙法違反: 昭和52年2月24日 最高裁判所第一小法廷↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51083
判決文↓
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/083/051083_hanrei.pdf

 また県選管の説明によれば、政治家の活動として、政治活動と選挙運動がありますが、選挙運動期間以外は政治活動の期間と言われながらも、いわゆる事前運動を帯びる政治活動があります。つまり、政治活動を仮装しながら選挙運動性を帯びる要素が有る場合は、それは選挙運動の前に、選挙運動の事前運動とみなされるというのです。

 しかし、こうした公選法の取り扱いに詳しい選管ですが、選管いわく「選管とはその名の通り選挙の管理であり、政治活動の規制をすることではなく、選管はあくまで選挙の管理だけであって、取締りについては公選法の中で警察が行うことが明確に規定してあるため、我々選管には取り締まり権限がない」のだそうです。

 そして、選管の説明によれば、「公選法は政治資金規正法というものは、国民の皆さんの不断の関心に委ねるというのが基本的な考え方」だということです。「そして、その観点から、県選管では、例えば、政治資金収支報告は全部インターネットで閲覧可能にしてある」のだそうです。

 選管曰く「飲食物の提供ということだと公選法139条に抵触する可能性がある。これは選挙運動に関して、ということに限定されているので、これも関係するかどうか、事前運動性に抵触するかどうかがポイントとなるため、これも参考までに伝えておく」ということです。

■続いて、当会は告発状案を携えて、安中市選挙管理委員会を訪れ、副書記長に意見を聞きました。

 副書記長を務める吉田法制課長に、「本来、告発というものは選管が行うべきものではないのでしょうか?」と当会の持論を申し上げたところ、「選管としてはあくまでも捜査権がないので管理するだけであり、選挙の執行の管理ということで公選法ではそういうことになっている。せいぜい、違反文書の撤去と、投票日における投票所から300m以内の選挙事務所の閉鎖の指示くらい。権限はその2つしかない。違反事項については全て警察の権限になる」ということで、やはり公務員による告発義務については、忘れているかのようです。

 それでも当会からは「公費を使って公正な選挙キャンペーンをPRするのだから、きちんと何が違反で、どこまでが違反でないということを率先して示すには、告発という形で警察に捜査を委ねる必要があるのではないでしょうか」と、しつこく持論を説明しました。

 その結果、当会の告発状案の前段に、「被告発人ら」という記載が2か所あり、後段では「被告発人」と記されている点を指摘していただけました。今回の日本酒配布問題では、元議長が、「名刺と共に干し大根を配布したことについては、自らの運動員が行ったのかもしれない」という趣旨のことを取材記者に語っているようですが、その場合であっても、やはり候補者自らの名前が書かれた名刺が使われていることから、元議長にきちんと事実関係を確認する必要があるので、被告発人は単数形にすることにし、その場で修正しました。

 最後に、安中市役所3階の議会事務局を訪れました。隣の正副議長室では、なにやら人声がしていました。ちょうど副議長が議会事務局に入ってきたので、声をかけて挨拶をしました。


 生憎、議会事務局長は不在でしたが、先日電話で話したことのある猿谷次長が議場で6月議会の準備をしているとのことで、わざわざ仕事の手を休んで、応対していただきました。

 先日の電話では、当会が「告発も視野に入れています」と語ったところ、「ちょっとそんな・・・」と口走った次長ですが、すぐに撤回して「(当会が)告発を行うことについて特に問題は無い」ことを確認していただいた経緯があります。そのため、安中署に告発する前に、ぜひ告発状案について、見ていただく必要がありました。

 当会から今回の告発の必要性と意義について詳しく説明し、告発状案の写しを渡したところ、猿谷次長は、「一応、議長とかに見せる」ということで、特に内容についてコメントはなさそうでした。

 議会事務局では、今回の日本酒配布問題で元議長の発言に違和感を持った点として、元議長が「悪気はなかった。長年習慣化していて、票の依頼をしたつもりはない。誰からも指摘されなかったので知らなかった」という趣旨の発言がありました。なぜなら、議会事務局では再三再四にわたり、公選法について議員に冊子を配ったり、立候補者説明会で安中署から刑事担当者に来てもらい公選法違反行為について詳しく説明したりしたはずであり、「これまで指導がなかった、ということは有り得ないと思う。先日の小渕優子事件のあと、こういったことの寄付行為は安中市の広報に掲載させてもらっている。また、市議選の立候補者を対象にした事前説明会ではいろいろな例を挙げて、これはよくないということを説明している。公選法は議員活動の根本的なルールだ」からです。同じ見解を選管でも聞きました。

 議会事務局でのヒヤリングを終えて廊下を進むと、各会派の控室の表札を目にしました。そこには元議長が所属する「平成の会」という文字は見当たりませんでした。あるのは、かつての会派名の「新政会」や「創政会」でした。不思議に思って、再度議会事務局に確認してみたところ、4月26日の選挙で新しく選ばれた議員による議長選出の際に、新しく会派構成が届け出られたのだそうです。







 なぜか「平成の会」は「新政会」という名前に戻されました。この背景については、よくわかりません。ワンマン市政を敷いていた岡田義弘・前市長から、茂木英子・現市長に変わったため、議会の勢力図として、前市長派と現市長派の確執が背景にあるのかもしれません。この点は、後でもう少し詳しく検証する必要があるかもしれません。

 議会事務局に新しい会派構成を訪ねたところ、既に、ホームページに掲載済みだということで、さっそく確認したところ、次の構成になっていることが分かりました。敬称略。

○新政会(8人):吉岡完司(議長)、今井敏博(副議長)、田中伸一、奥原賢一、斉藤盛久、遠間大和、罍次雄、巽久男、
○民声クラブ(3人):佐藤貴雄、吉岡登、小林克行
○朋の会(2人):高橋由信、太田進一
○日本共産党安中市議団(2人):金井久男、櫻井ひろ江
○公明党(2人):武者葉子、上原富士雄
○清風クラブ(2人);小川剛、柳沢浩之
○創政会(2人):柳沢吉保、廣瀬晃
○無所属(1人);櫻井喜久江


大忙しの議員。議会事務局の壁に掲示されている半月分の市内イベント日程表。


4月に新しく選出された市議らによる初めての6月定例議会を今や遅しと待つ安中市議会議場の入口。

■安中署では、当会の告発状はやはり受理しませんでしたが、「内容の確認のために、写しをとらせてほしい」と言われたので、快諾しました。小渕優子事件の際に東京地検特捜部から言われたように「連絡先をおしてほしい。必要な場合、こちらから連絡を取らせてほしい」というので、告発状に書いた携帯電話番号が正しいことを示しました。

 おそらく警察ではきちんと今回の問題について捜査をするはずですが、問題は検察の対応です。小渕優子事件で、「姫」を不起訴にした東京地検の元特捜部長が現在の前橋地検の検事正をしているため、おそらく政治的な面を考慮して同じような処分結果を出す可能性があります。その場合、もし「起訴猶予」ではなく「嫌疑不十分」などと的外れな処分理由を告発者に示してきた場合は、公選法が完全に骨抜きになっていることを示す証左として、重要な指標となることでしょう。

 他方、安中市議会の動静も注目されます。安中市議会の自浄作用がどの程度機能しているのかを占う意味で重要だからです。

【ひらく会情報部】

※参考情報
平成27年5月29日に群馬県選管に公選法の解釈について相談したところ、次の資料を小冊子として参考用に渡されました。群馬県のHP↓
http://www.pref.gunma.jp/07/u0100024.html
にも掲載されているので今後の参考のために紹介します。
【やさしい公職選挙法】
 (公財)群馬県市町村振興協会が発行している、「やさしい公職選挙法(平成26年度版)」を掲載しています。
 公職選挙法の基本的なところをまとめておりますので、「選挙のしくみ」に掲載している各ページとあわせてご覧ください。
0 表紙、目次、奥付等
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304561.pdf
1 私たちの政治
・暮らしと政治の関係、民主主義などについて解説しています。
 (1)暮らしと政治
 (2)民主政治と明るい選挙
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304564.pdf
2 選挙制度のあらまし
・選挙制度の理念、選挙権、立候補の手続き、選挙区、選挙人名簿などについて解説しています。
 (1)3つの柱
 (2)どんな種類の選挙があるか
 (3)公正な選挙を行う機関 選挙管理委員会
 (4)選挙権はいつから与えられるか
 (5)誰でも立候補できます
 (6)立候補のルール
 (7)選挙区の区域と定数
 (8)選挙人名簿はどのようにして作られるか
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304565.pdf
3 投票に参加するために
・期日前投票、不在者投票などについて解説しています。
 (1)投票の秘密はどのようにして守られるか
 (2)こんなときにはどうしたら投票できるか
 (3)簡単にできる期日前投票と不在者投票
 (4)郵便等による不在者投票制度
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304709.pdf
4 選挙運動のルール
・選挙運動期間、戸別訪問の禁止、連呼行為、街頭演説に係る制限、禁止される寄附に係る制限などについて解説しています。
 (1)選挙運動とは
 (2)選挙運動期間とは
 (3)選挙終了後の挨拶は
 (4)選挙事務所は
 (5)選挙運動を禁止される者は
 (6)地位を利用しての選挙運動は
 (7)戸別訪問は
 (8)飲食物の提供は
 (9)気勢を張る行為は
 (10)連呼行為は
 (11)署名運動は
 (12)選挙運動用自動車・スピーカーは
 (13)文書、図画については
 (14)街頭演説は
 (15)演説会は
 (16)公職の候補者等の寄附は
 (17)後援団体の寄附は
 (18)年賀状の挨拶状は
 (19)挨拶を目的とする有料広告は
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304567.pdf
5 公営による選挙運動
・選挙公営(国や地方公共団体が公費により各候補者の選挙運動に便宜を与える制度)について解説しています。
 (1)投票記載所の氏名等の掲示
 (2)選挙公報
 (3)個人演説会の公営施設使用
 (4)新聞広告
 (5)政見放送、経歴放送
 (6)通常葉書
 (7)特殊乗車券
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304568.pdf
6~8 誰でもできる選挙運動・選挙運動に使ってもよいお金・選挙浄化の徹底
・候補者以外の方もできる選挙運動、選挙運動費用の制限額、連座制などについて解説しています。
 6 誰でもできる選挙運動
 (1)個々面接
 (2)電話の利用
 (3)選挙運動用「葉書」の利用
 (4)幕間演説
 (5)個人演説会
 (6)労務提供
 (7)選挙運動資金の寄附
 7 選挙運動に使ってもよいお金
 8 選挙浄化の徹底
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304569.pdf
参考資料
 (1)群馬県における国・県の選挙別投票率
 (2)群馬県の参議院議員通常選挙年代別投票率の推移
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304570.pdf
 (3)選挙区及び定数
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304571.pdf
 (4)寄附の制限
http://www.pref.gunma.jp/contents/000304572.pdf


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大同スラグ不法投棄情報不開示異議申立で審査会から知事への答申内容について読者からのご質問に回答します

2015-05-29 01:21:00 | スラグ不法投棄問題
■平素より市民オンブズマン群馬のブログを愛読していただき厚く御礼申し上げます。さて、この度、当会のブログをいつも見て下さっている読者のかたから、「『大同スラグ不法投棄に係る情報不開示異議申立てで県公文書開示審査会が13か月要して知事に答申(その1)』の記事を読んだところ、答申内容に違和感がある」として、とりわけ実施機関である群馬県の主張の中で「グリーン購入法」に関するご質問をいただきました。その質問内容と、当会の回答をここにご紹介いたします。

*****お寄せいただいた質問メール*****
前略 いつも貴ブログを読んでいます。質問したいのですが、本来なら群馬県に聞かなければならないのでしょうが、的外れで申し訳ないのですが差支えなかったら教えてください。

質問:グリーン購入法について
貴ブログの「大同スラグ不法投棄に係る情報不開示異議申立てで県公文書開示審査会が13か月要して知事に答申(その1)」http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1615.html の中で

2 本件処分に係る実施機関の主張要旨
(2)本件通知について
ア グリーン購入法における特定調達品目の指定について
 鉄鋼スラグ混入路盤材については、平成14年度に国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号。以下「グリーン購入法」という。)が定める特定調達品目に指定され、環境負荷を減らす資材という認識がなされていたものである。なお、このグリーン購入法とは、国や地方公共団体等による環境物品等の調達の推進、環境物品等に関する情報の提供及び需要の転換を促進するため必要な事項が定められたものであり、鉄鋼スラグ混入路盤材についても、こうした観点から指定されているものである。
イ JIS規定について
(略)
ウ 独自の安全基準の設定について
 本県では、上記法令等の制定及び市場において鉄鋼スラグ混入路盤材が多数使用されるようになった状況を背景に、受注者が使用するにあたり環境省等による品質基準や環境基準を準用し取扱いを定め、関係所属に通知したものが本件通知1である。」

とあり、グリーン購入法により本件通知1が通知され、つまり再生砕石と毒入り鉄鋼スラグ混入砕石を同様に取り扱うと規定されています。

そこで、私もネットで環境省のホームページを訪ねてみました。

循環型社会形成推進基本法の概要
http://www.env.go.jp/recycle/circul/kihonho/gaiyo.html
1.形成すべき「循環型社会」の姿を明確に提示
 「循環型社会」とは、[1]廃棄物等の発生抑制、[2]循環資源の循環的な利用及び[3]適正な処分が確保されることによって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会

とか

循環型社会形成推進基本法の趣旨
http://www.env.go.jp/recycle/circul/kihonho/shushi.html

のなかで
【参考】本法は、5月26日に成立し、6月2日に公布された。
  なお、今国会で本法律と一体的に整備された法律は、以下のとおり
○ 廃棄物処理関係:
[1]廃棄物処理法等の改正
○ リサイクル関係:
[2]再生資源利用促進法の改正
[3]建設資材リサイクル法
[4]食品リサイクル法
[5]グリーン購入法
とありました。

グリーン購入法とは
https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/
循環型社会の形成のためには、「再生品等の供給面の取組」に加え、「需要面からの取組が重要である」という観点から、平成12年5月に循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとして「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」が制定されました。
同法は、国等の公的機関が率先して環境物品等(環境負荷低減に資する製品・サービス)の調達を推進するとともに、環境物品等に関する適切な情報提供を促進することにより、需要の転換を図り, 持続的発展が可能な社会の構築を推進することを目指しています。また、国等の各機関の取組に関することのほか、地方公共団体、事業者及び国民の責務などについても定めています。
となっています。

グリーン購入法も循環型社会形成推進基本法と一体的に整備された法律であることがわかります。であるならば「天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減」することが目的のはずです。

****************
そこで質問なのですが、群馬県の監理課通知は、毒入りスラグを再生砕石と同等とみなしています。グリーン購入法が趣旨であれば、天然資源と同等とみなし、もって天然資源の消費を抑制しなければならないと思うのですがいかかでしょうか?
また貴ブログを読むと再生砕石と同等とみなされたことにより、正規の再生砕石の流通を阻害していますね。天然資源の消費を抑制することが目的なのに、なにか違うような気がするのですがいかがでしょうか?

監理課通達のはじめには、
「本県では、再生資源の利用及び再資源化施設の活用を図ることを目的とした「再生資
源の利用に関する実施要領」及び「建設副産物から生産した再生材の使用に関する仕様
書」を定め運用しているところであり、工事目的物に要求される品質等を考慮したうえで、原則として再生骨材を利用することとなっております。」
とあり、「再生品等の供給面の取組」が説明されています、建設資材リサイクル法を念頭においた説明と思われる反面、グリーン購入法の「需要面からの取組」の説明は全く見当たらないと思うのですが私の考えは間違えでしょうか?

まさか群馬県のお役人様があとから取ってつけたような説明のためにグリーン購入法を持ち出した、なんてことがあるのでしょうか?まったく信じがたいお話ですが・・・

どうやら、「本件通知の伺い文、起案説明及び本件通知自体は改めて特定して開示することとする。」とあるので新たに起案説明等が開示されるようですが、まさか今、遡って作成されているなんて事にならないことを祈ります。
********************

■このように、読者からいただいた質問の内容は、有害スラグ問題で迷走中の群馬県の対応を鋭く指摘していると感じました。そこで、いずれ近いうちにこの情報不開示についても司法の場で決着をつける必要がある場合を想定して、しっかりと調べておくことが大切だと判断し、次の調査及び分析結果を回答としてまとめてみました。ご質問いただいた読者のかたにも、ぜひ参考に資すれば幸いに存じます。

********当会の回答*******
 グリーン購入法には「環境物品等」の定義が示されています
○ 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律
(平成十二年五月三十一日法律第百号)改正 平成十五年七月十六日法律第百十九号
(定義)
第二条 この法律において「環境物品等」とは、次の各号のいずれかに該当する物品又は
役務をいう。
一 再生資源その他の環境への負荷(環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条第一
項に規定する環境への負荷をいう。以下同じ。)の低減に資する原材料又は部品

 さらに、次の法律を見ますと、
○環境基本法(平成五年法律第九十一号)
(定義)
第二条  この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2  この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

 となっています。要約すれば、グリーン購入法とは「地球環境」への負荷の低減に資する原材料の調達を推進する法律、ということになります。今回の有害スラグ問題に関して言えば、天然石を砕いた天然骨材の消費低減に資する材料の調達を図ることを推進する法律になります。また、貴殿のご指摘のとおり、環境省のホームページを見ると循環型社会の形成のためには、「再生品等の供給面の取組」に加え、「需要面からの取組が重要である」という観点からグリーン購入法が制定されたと説明されており、建設資材リサイクル法などを補完する観点で制定されたものであり、再生品等の供給面の取り組みを阻害することは許されません。

 貴ご指摘のとおり、監理課通達にはグリーン購入法の説明は見当たりません、この通達は「再生品等の供給面の取組」の観点から通達されたとしか読めません。まさに、貴殿のおっしゃるように、「実施機関の主張は後出しジャンケンだ」ということができるでしょう。

 監理課通達の結論は、
「砕石骨材( クラッシャラン)にクラッシャラン鉄鋼スラグをブレンドした骨材は、積算基準( 地区単価)、出来高管理基準、品質管理基準を再生骨材と原則同様に取扱う。」
となっていますが貴ご指摘のとおり、グリーン購入法を通達の根拠とするなら、自然環境保護のため、「天然骨材と原則同様に取扱う。」とすべきであったかもしれません。

 しかしこの通達は、大同特殊鋼や佐藤建設工業の一部の利益誘導で作製されたものであり、グリーン購入法などの法的根拠は無いと当会では考えています。すべてがデタラメなのです。
********************

■今回指摘いただいた読者からの質問により、次のことがはっきりと浮き彫りにされました。

 実施機関である群馬県は、グリーン購入法の趣旨や目的などを正確に理解することなしに、「鉄鋼スラグ混入路盤材の使用が法律により使用可」とされている事のみを取り上げ、これを「公共工事に無制限に使用できると判断するのは当然である」と、官業癒着(もちろんその仲介役としての“政”も関与していると当会では見ています)を棚に上げて、自分たちに与えられた権限の上に、胡坐をかいているだけでなく、ふんぞり返っているのです。

 群馬県知事からこの問題について、県情報開示審査会からの答申を受けて最終決定通知が近いうちに出される可能性がありますが、審査会自体も事務局は群馬県職員で構成されているので、知事の諮問から1年以上かけた審査会での討議の結果としての答申も、すべて実施機関を慮った“茶番劇”であると、当会は考えています。

 最後に、貴重な質問をお寄せいただいた当会ブログの読者には、この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。

 なお、大同有害スラグ不法投棄問題については東吾妻町萩生地区農道のスラグを舗装で蓋をして不正を隠ぺいする事件の住民訴訟の第1回口頭弁論が7月前半の金曜日に開催される可能性が高まっております。引き続き、こちらの住民訴訟の行方についてもご注目くださるようお願い申し上げます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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八ッ場ダム建設工事の土地収用に関する公述の申出書を国交省に提出

2015-05-28 01:24:00 | 八ッ場ダム問題
■巨額の血税を投入して、一部の業者、政治家、官僚、役人、そして地元有力者らを利権漁りに駆り出している八ッ場ダム建設工事に関して、国土交通省関東地方整備局は八ッ場ダム建設工事に関する事業認定申請を4月10日に発表しました。この申請を国土交通大臣が認定し、事業認定の告示が行われると、八ッ場ダムの水没予定地などの事業用地の強制収用が可能になります。そのため、八ッ場ダムの建設中止を求めて来た市民オンブズマン群馬では、この事業認定に関する意見書を、同4月27日の締切日に群馬県に提出しました。すると国交省は、次の段階として、さっそく同5月15日付で土地収用法第23条第1項の規定に基づき、公聴会の開催を公告しました。

************
<土地収用>
一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に係る公聴会の開催について
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/land_expropriation/sosei_land_fr_000345.html
                    平成27年5月15日
下記の事業について、土地収用法第23条第1項の規定に基づき公聴会を開催するためお知らせします。

1.起業者の名称
国土交通大臣(関東地方整備局長)
2.事業の種類
一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事
3.起業地
収用の部分:
群馬県吾妻郡長野原町大字川原畑字八ッ場、字二社平、字東宮、字石畑、字西宮、字上ノ平、字三平、字戸倉沢、字久森及び字宇知山、大字川原湯字北入、字東久保、字中原、字前原、字石川原、字西之上、字新井門、字上打越、字勝沼、字金花山、字下湯原及び字下打越、大字横壁字西久保、字勝沼、字山根及び字観音堂、大字林字楡木、字立馬、字東原、字中棚、字中原、字勝沼、字宮原、字久森及び字下原、大字長野原字尾坂、字道木平、字東貝瀬、字嶋木、字町、字打越、字幸神、字向原、字古城跡、字橋場、字久々戸、字貝瀬及び字遠西並びに大字与喜屋字荻之平地内
使用の部分:なし

期日等をお知らせするための公聴会開催公告、公述の申出書様式及び公述の方法その他公述の詳細を以下に添付します。
また、公述人等が遵守すべき事項及び傍聴人が遵守すべき事項については、今後、公聴会開催期日までに以下に添付します。

○公聴会開催公告↓
http://www.mlit.go.jp/common/001089635.pdf
○公述の申出書様式(PDF形式)↓
http://www.mlit.go.jp/common/001089636.pdf
○公述の申出書様式(Word形式)↓
(略)
○公述の方法その他公述の詳細↓
http://www.mlit.go.jp/common/001089639.pdf

■公聴会での公述の申出書の締切日が同5月26日(月)となっていたことから、市民オンブズマン群馬として、次の内容の公述の申出書を締切日当日に国交省宛に電子メールで提出しました。

**********
一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事に係る公聴会における公述の申出書

国土交通大臣 殿
標記の公聴会において、公述を希望しますので、土地収用法施行規則(昭和26年建設省令第33号)第7条第1項の規定により、下記のとおり申し出ます。
                    平成27年5月26日
(意見の要旨記載欄)

① 土地の収用は、公共の利益となる事業において、民法上の手段だけではその事業の目的を達成するのが困難な場合に、私人の財産権を強制的に取得するためのものですが、国土交通省が起業している一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事事業は、公共の利益に反するものです。
② 八ッ場ダムに関しては、平成17年当時、萩原昭朗・水没関係5地区連合対策委員長の誕生日を祝うため、「丸岩会」という行政関係者と業者が一堂に会してゴルフ大会や宴会を毎年開催していたこともあり、当時の県知事・小寺弘之や八ッ場ダム工事事務所所長・安田吾郎も出席して、業者との癒着ぶりを見せつけていました。
③ さらに、平成18年には斉藤烈事件が発覚しました。この刑事事件は、国交省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所に勤務していた用地第一課長だった斉藤烈が、同事務所が発注する用地調査業務などをめぐり、便宜を図った見返りに無利子、無担保で、業者から710万円を借りていた収賄事件のことです。
④ このように公金を長年にわたり投入しながら、その実態は政官業民の癒着のみならず、貴殿が所管する国交省の職員らにとっても、公金をふんだんに扱える利権の場に化していました。
⑤ これまでのこうした不祥事に加えて、さらに平成26年初頭から大同特殊鋼渋川工場由来の有害スラグが大量に八ッ場ダムの現場及びその周辺に不法投棄されていた実態が明らかになりました。
⑥ しかも、環境基準値を超えるこの有害スラグは、この計画に協力をした地元住民の代替地の造成にも不法投棄されております。この結果、一般住民の居住する敷地内にも不法投棄されている実態が判明しました。これにより、住居の直下にも不法投棄されている可能性が強く指摘されています。
⑦ にもかかわらず、国交省は一部の場所だけを調査しただけで、有害スラグを使った盛土材による造成場所については、まったく調査しようとしませんでした。
⑧ こうしたルール無視の違法状態を放置したまま、八ッ場ダムの本体工事を着工することは、断じて容認できません。
⑨ 行政の信頼を取り戻すには、有害スラグを完全に撤去することが、最優先課題です。
⑩ この有害スラグの不法投棄について、排出者の大同特殊鋼も、有害スラグを一手に引き受けてスラグ混合砕石という代物を独占的に製造・出荷していた佐藤建設工業も、産業廃棄物中間処理業の許可が必要なのに、無許可で大量の産廃を八ッ場ダム工事現場等で使い続けてきました。
⑪ これらの工事は、全て国交省土木工事標準積算基準書(いわゆる「赤本」)に基づき積算され、リサイクルの観点から「再生砕石」の使用を前提に、工事予定価格として設定されたものです。
⑫ ところが、落札した業者は、好んでこの違法な有害スラグ混合砕石を佐藤建設工業から仕入れて、あるいは佐藤建設工業自身が工事請負業者として使用していました。
⑬ にもかかわらず、国土交通省は、無許可で違法な有害スラグ混合砕石を大量に出荷したり直接工事に使っていた佐藤建設工業や、違法な有害スラグ混合砕石を大量に佐藤建設工業から仕入れて使用していた地元の土建業者(池原工業や沼田土建など多数)を、毎年度、優良工事等事務所長表彰として表彰してきました。
⑭ 本来、建設リサイクル法に基づく再生砕石を使用すべきところ、産廃を原料とし大東特殊鋼から運搬費等多額の補填を受けて無許可で製造された有害スラグ混合砕石の原価はタダ同然であり、この違法資材を使用すればするほど、佐藤建設工業を始め、その他の請負業者は巨額の利益を得ることができました。
⑮ そうした不当利得の一部は、八ッ場ダム工事請負業者らから、ドリル事件で名を馳せた地元の女性代議士に政治資金として還流されてきました。
⑯ もはや、八ッ場ダムの建設工事事業は、国交省を始め群馬県、地元自治体などの「官」と、地元代議士を中核とする「政」と、有害スラグを好んで使い国交省から毎年度表彰対象となっている「業」との間の利権の草刈り場としての意義しかありません。
⑰ さらに、前述の地元住民の代表として八ッ場ダム利権を享受してきた萩原昭郎などの一部の「民」も絡んで、「政官業民」として、多額の税金をむさぼっています。
⑱ こうした実態を放置したまま、土地収用などという強制力を伴う公権力の発動で、さらに血税を無駄遣いすることは許されません。
⑲ 国交省は、行政の信頼よりも八ッ場ダムの本体工事を優先してはなりません。このまま、土地収用を強行する場合には、当会は、国交省が、住民の安全や行政の信頼よりも、八ッ場ダム工事を優先すると見なさざるを得ません。このことを指摘し、土地収用が強行された場合、強く抗議します。
⑳ 併せて、税金をこれ以上、無駄な事業につぎ込むことも直ちに再考するよう、強く要請します。

【国交省への質問】
① 八ッ場ダム工事で、路盤材、盛土材、埋土材などで中間処理業の許可を得ずに製造・出荷されてきた有害スラグの所在と量を把握していますか?
② これまで、中間処理業の許可を得ずに使用されてきた有害スラグにより、本来、使用されるべき再生砕石の積算基準金額との差額により、血税が何年間にいくら、不当に佐藤建設工業をはじめ、八ッ場ダム工事に関与した請負業者に費消されたのでしょうか。
③ なぜ、無許可で有害なスラグの大量使用をしてきた請負業者に対して、国交省は毎年、優良工事等事務所長表彰の対象としてきたのでしょうか。
④ 八ッ場ダム工事事務所長が、なぜ地元対策委員長の誕生日に、知事や請負業者が集う宴会場に顔を出して八ッ場ダムの事業説明をする必要が有ったのでしょうか。
⑤ スラグ問題について、今後の対応策を聞かせてください。
⑥ 政官業民の癒着問題について見解を聞かせてください。
**********

■6月27日(土)の公聴会に出席できることになれば、当会はとくに有害スラグにこだわって、起業者である国交省に対して意見表明と質問を行う予定にしています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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安中市慣例の政治家による有権者への金品配布・・・元議長による酒2升配布のその後の経過

2015-05-27 23:38:00 | 政治とカネ

■安中市の保守系大物市会議員で元議長も務めたことのある重鎮が、今年2月、地元地区5カ所で開かれた集会で、清酒2本セットを熨斗紙付きて配布した問題が平成27年5月22日(金)の東京新聞朝刊でスクープされました。その後、週が明けて同5月26日昼過ぎに、もう一度関係部署に電話で状況を確認してみました。

<選挙管理委員会>
 安中市選挙管理委員会の副書記長で法制課長の吉田氏に電話インタビューをしたところ、「選管には新聞報道以上の情報は入っていない。既に警察には関係者から情報提供されているので、それなりの対応がとられているのではないか。なお、選管としては、捜査権限もないし、本件については静観するしかない」という見解でした。
 そこで、当会からは「昨年4月の安中市長選では成りすまし投票事件があり、その時は安中市選管から警察に通報をしてもらったが、いわゆる被告発人に対して厳罰に処してほしい、という意思表示が無かったため、警察では送検したものの、捜査結果について遺憾ながら、安中市選管になんの連絡もなかったとききます。当会は、選管に代わって安中署に告発状を提出したつもりでしたが、結局警察は写しだけ取って、捜査をして送検しましたが、捜査結果を聞こうと前橋地検を訪れたところ、検察官らから“小川さんの告発状は受理されていないのだから、捜査結果を教える義務はない”として、門前払いされました。今回も、もし選管で告発状を準備して警察に提出する意向がないのであれば、かわりに当会がもう一度、ひと肌脱いでもよいと考えています」と申し上げたところ、吉田課長からは特段ダメというコメントはありませんでした。
 これで、先週金曜日の選管書記長の真下・総務部長も、当会が告発状を安中市選管に代わって安中署に提出することについて、「ノー」という意見はなかったことから、近々、告発状を出すべきかどうか最終判断をしたいと考えております。

<議会事務局>
 その後、今度は、議会事務局の猿谷次長に電話で現況についてヒヤリングをしました。次長いわく「昨日(4月26日月曜日)、各会派の代表者を招集して、会派連絡協議会を開催した。その結果、この公選法に抵触しかねない問題については、5月22日付朝刊記事に掛かれていた内容がよくわからないので、これからこの記事を報じた新聞社に、報道内容が間違いないのかどうか、確認をする必要が有るという結論になった。それを踏まえてその後の対応を決めると見られる」とのことでした。
 そのため、当会からも、念のため当該新聞社である東京新聞に電話をして、「きのう、安中市議会の各派連絡協議会で、先週金曜日朝刊の群馬版の元市議会議長の清酒2本配布問題で、新聞社に記事の信憑性を確認するという決議がなされたそうですが、きのう(5月25日)からきょう(5月26日)にかけて、安中市議会の各会派の代表者の誰か、もしくは議会事務局の誰か、つまり安中市の関係者から、この記事の件で連絡がありましたか?」と質問したところ、当該新聞社からは「誰からも連絡は受けていません。なお、当該記事の内容については、絶対間違いのないことを確信しています」という趣旨の発言がありました。

■当会は、安中市議会の自浄作用がどの程度機能しているのかを、注意深く監視していきたいと思います。

【ひらく会情報部】

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