市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同有毒スラグを斬る!…東吾妻町萩生地区の農道等への不法投棄問題の解決に向けて住民訴訟を提起

2015-04-30 22:45:00 | スラグ不法投棄問題
■群馬県東吾妻町萩生地区で、群馬県による圃場整備事業が行われましたが、あろうことか、農道の敷砂利として大量の有害スラグが不法投棄されたことが発覚した為、市民オンブズマン群馬では、早急に有害スラグを撤去して、安全・安心な営農環境を回復するように群馬県農政部農村整備課に申入れをしました。ところが、県農政部は、聞く耳を持たず、有害スラグのうえに簡易舗装工事でフタをしてしまいました。そのため、当会では、有害スラグを隠ぺいするための無駄な公金支出に当たるとして、住民監査請求を群馬県監査委員に提出しましましたが、残念ながら県監査委員は、群馬県の主張を認めて、当会の請求を棄却しました。そこで、やむなく当会は、期限ギリギリの本日午後4時に、前橋地裁に、次の訴状を提出しました。今後の群馬県の対応に注目していきたいと思います。

**********
          訴    状
                    平成27年4月30日

前橋地方裁判所 御中

         原告 〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地
                  小  川     賢
         同  〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
                  鈴  木    庸

         被告 〒371-8570 群馬県前橋市大手町一丁目1番1号
                  群馬県知事 大澤 正明

住民訴訟事件

訴訟物の価格   160万円(算定不能)
貼用印紙額    13,000円

第1 請求の要旨

1.被告 群馬県知事 大澤正明は、「工事名 萩生川西地区農道舗装工事」請負契約に係る支出6,490,800円を吾妻農業事務所長に請求せよ。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 当事者
(1)原告らは群馬県の住民であり納税者である。
(2)被告は、群馬県知事であり、群馬県が受けた損害・損失について、賠償・不当利得返還請求すべき義務を有する者である。
(3)訴外 池原工業株式会社 佐藤建設工業株式会社 大同特殊鋼株式会社

第3 住民監査請求

(1)平成27年1月30日、原告らは群馬県監査委員に、地方自治法第242条第1項により、「工事名 萩生川西地区農道舗装工事」(以下、「本件舗装工事」という。)にかかる請負契約(以下、「本件契約」という。)について措置請求(甲第1号証)を行った。
(2)平成27年2月16日、原告らは群馬県監査委員に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、意見の陳述(甲第3号証)を行った。
(3)平成27年3月31日、原告らは、請求棄却の監査結果(平成27年8→3月30日付、群監第202-25号)(甲第10号証)を受け取ったが不服である。

第4 群馬県の損失

(1)本件契約に基づいて群馬県吾妻農業事務所長が支出した6,490,800円は、群馬県の公金で負担すべき理由がなく、群馬県の損失である。

第5 本件契約の違法性

(1)本件契約は、群馬県が本件舗装工事以前に、同じ場所で不法投棄された「工事名 萩生川西地区 区画整理補完3工事」で使用された有害物質を含む路盤材を、本来、原因者の費用で撤去させるべきところ、それを怠ったうえに、有害物質に蓋をするために施工されたものであり、そもそも不要で、違法な工事であった。
(2)原告らは、東吾妻町萩生地区で、産業廃棄物として群馬県が認めた大同特殊鋼渋川工場由来の有害スラグが混入され、無許可処理された偽装再生砕石が敷砂利として使われていることを住民監査請求で指摘した。ところが、吾妻農業事務所は「下層路盤工として使用した」と反論した。
(3)しかし、監査委員は「路面敷砂利として積算しているので、農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と指摘しており、原告らは「敷砂利」ということで間違いはないと考えている。
(4)にもかかわらず、群馬県吾妻農業事務所は、この有害スラグ敷砂利に蓋をする目的で、平成26年6月11日に本件舗装工事を吾妻農業事務所で入札にかけ、翌6月12日に訴外池原工業株式会社と本件契約を5,292,000円で締結した。さらに、群馬県吾妻農業事務所は、なぜか同年7月11日になり、池原工業株式会社と、本件舗装工事にかかる変更契約を6,490,800円で締結した。
(5)だが、この有害スラグは、平成26年6月11日の入札時点で、既に廃棄物であることが、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課や、排出者である訴外大同特殊鋼株式会社自身が認めていた。
(6)吾妻農業事務所は、有害スラグが施工された道路について、舗装を急いだ理由を、「いわれなき風評被害を防ぐ」と主張している。
(7)しかしこれまでにも、平成26年2月19日の第186回国会予算委員会の場で、地元選出の石関貴史・衆議院議員が質問し、さらに、国土交通省の「半田その4改良」現場において平成26年3月の分析調査で有害物質が検出され騒ぎになっていた。
(8)従って、吾妻農政→業事務所は、農政の重要な柱のひとつである「食の安全」に配慮して、訴外大同特殊鋼株式会社の負担で有害スラグ敷砂利を撤去することを最優先とすべきであった。このことは原告らが再三、群馬県農政部農村整備課を通じて吾妻農業事務所に要請していたが、結果的に、吾妻農業事務所は、原告らの要請を無視して、本件舗装工事を強行してしまった。
(9)産業廃棄物が農道に大量に不法投棄されているにもかかわらず、それを撤去しないまま、本件舗装工事により、産業廃棄物の上部に蓋をしたことは、不法投棄という違法行為を隠ぺいする目的で為されたものであるから、本件契約にかかる支出もまた違法である。

第6 まとめ

 そもそも、本件舗装工事が必要となった原因は、平成26年1月27日に群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課が訴外大同特殊鋼株式会社渋川工場に、廃棄物処理法に基づく立入検査がきっかけで、同社が排出してきた鉄鋼スラグが産業廃棄物であることが世間に知られて、平成27年3月までに、国や県や渋川市がそれまでに施工した公共工事で、大量に使用されてきたことが判明し、さらに鉄鋼スラグには有害物資が基準値を超えて含有していることも判明したためである。
 このため、国の水資源機構は平成27→6年6月11日に群馬用水の管理道路に使用されていた鉄鋼スラグの撤去作業を決断し、平成27→6年12月26日に、大同特殊鋼株式会社の費用で全量の撤去作業を完了している。
 また、渋川市も平成8年渋川スカイランドパーク建設当時、大同特殊鋼由来の鉄鋼スラグ砕石を路盤材として使用してきたが、この路盤材の有害性が問題となり、渋川市が撤去したあと、当該撤去費用を、大同特殊鋼が負担することを渋川市に申し入れて、渋川市はこれを了承した経緯がある。
 いずれにしても、平成26年6月11日の時点では、既に大同特殊鋼渋川工場由来の鉄鋼スラグは、その有害性がひろく認識されており、群馬県自身も産業廃棄物であることを認識していたことは明らかである。
 もともと、大同特殊鋼から排出された鉄鋼スラグは「鉱さい」として分類される産業廃棄物であり、食の安全性が担保されるべき農地に隣接する農道に使用すること自体、違法である。
群馬県県土整備部は、平成22年10月15日付で監第647-003-1号として、監理課建設政策室長の倉嶋敬明により、吾妻農業事務所を含む県土整備部内所属長・土木事務所長・関係機関の長宛の、「砕石骨材(クラッシヤラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をプレンドした骨材の取扱いについて」と題する通知を、本件契約の妥当性の根拠として挙げているが、実際には、県土整備部が大同特殊鋼からの要請を受けて、リサイクル法に定めた「再生砕石」を偽装したものであり、佐藤建設工業株式会社が、自社の砕石場から切り出した天然の砕石骨材と、大同特殊鋼株式会社が排出した基準値以上の有害物質を含む有害スラグを混合して、主に群馬県内に広く不法投棄される状況を作り出した不法書類であるから、群馬県農政部農村整備課と吾妻農業事務所の主張は失当である。
 蓋をされたままの大量の鉄鋼スラグの撤去費用や復旧費用は、原因者に負担を求めるのが当然であるところ、「臭い物には蓋」という間違った判断により、本件舗装工事に係る本件契約を、訴外池原工業株式会社と締結し、公金を支出することを決定した群馬県吾妻農業事務所長は、群馬県が被った損失を賠償する責務がある。

          証 拠 方 法

甲第1号証 群馬県職員措置請求書
甲第2号証 事実証明書
甲第3号証 意見書(陳述時の読み上げ用原稿)
甲第4号証 陳述資料1 県から大同特殊鋼に対する廃棄物に関する指示書
甲第5号証 陳述資料2 県から大同エコメットに対する廃棄物に関する指示書
甲第6号証 陳述資料3 県から丸太運輸に対する廃棄物に関する指示書
甲第7号証 陳述資料4 国交省による記者発表資料(2,014年12月26日)
甲第8号証 陳述資料5 東吾妻町圃場整備事業計画図
甲第9号証 陳述資料6 県土整備部から吾妻農業事務所等関係先への通知
甲第10号証 群馬県職員措置請求にかかる監査結果について
        (群監第202-25号)

       各号証とも写し

          添 付 書 類

       訴状(副本)     1通
       甲各号証       2通
**********

■群馬県の安全な営農環境の保全を第一に考えなければならない農政部が、果たしてどのような主張をしてくるのか、その実態を逐次ご報告しますので、今後の住民訴訟の展開にぜひご注目ください。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【速報】昨年10月31日にオンブズマンからの告発を受理した東京地検特捜部に求められる告発者への連絡配慮

2015-04-30 16:15:00 | 政治とカネ
■あれほど上州の政界を揺るがせた群馬5区の「姫」と「国家老」による一大政治スキャンダルも、半年を経過して急転直下、幕引きに向けて加速しています。そうした中、本日12時過ぎに、市民オンブズマン群馬の代表と事務局長あてに東京地検から4月28日付の処分通知書が、郵送で届きました。さっそくご報告します。



**********【「姫」の処分通知書】


様式第97号(刑訴法第260条、規程第60条)
      処 分 通 知 書
                    平成27年4月28日
告発人 小 川   賢 殿 / 鈴 木   庸 殿
          東京地方検察庁
           検察官検事 小 嶋 英 夫
 貴殿から平成26年10月31日付けで告発のあった次の被疑事件は、下記のとおり処分したので通知します。
          記
1 被疑者   小 渕 優 子
2 罪名    政治資金規正法違反、公職選挙法違反
3 事件番号  平成27年検第12716号
4 処分年月日 平成27年4月28日
5 処分区分  不起訴

**********【「国家老」の処分通知書】


様式第97号(刑訴法第260条、規程第60条)
      処 分 通 知 書
                    平成27年4月28日
告発人 小 川   賢 殿 / 鈴 木   庸 殿
          東京地方検察庁
           検察官検事 小 嶋 英 夫
 貴殿から平成26年10月31日付けで告発のあった次の被疑事件は、下記のとおり処分したので通知します。
          記
1 被疑者   折田謙一郎
2 罪名    ①②政治資金規正法違反
3 事件番号  平成27年検第12717号
4 処分年月日 平成27年4月28日
5 処分区分  ①(小渕優子後援会及び自民党群馬県ふるさと振興支部に関する収支報告書の虚偽記載)につき起訴
        ②(被疑者の政治団体に関する収支報告書の虚偽記載)につき不起訴
**********

■処分通知の内容を読むと、当会の告発状は、昨年(2014年)10月31日付で受理したことが分かります。これは、当初同10月20日に東京地検特捜部を訪れて提出した告発状をさらに吟味して差替え用に提出した告発状の日付と一致しますので、東京地検ではこちらの告発状を正式に受理したかたちになっていることが分かります。この時の告発状の内容や提出状況については当会の次のブログを参照ください↓
◆2014年10月31日
 小渕優子政治資金問題でオンブズマンが既提出の2件の告発状の差替えバージョンを東京地検に送付
 http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1443.html#readmore

 それにしても、当会にひとこと「受理した」旨を伝えてほしかったのが率直な感想です。

 また、報道では、「姫」の不起訴処分は、公選法と政治資金規正法に照らして今回の一連の行為が「嫌疑不十分」とされていますが、このことを確かめるべく、当会では近日中に、刑事訴訟法第261条に基づき、不起訴処分理由の告知を東京地検に対して請求することにしています。

 さらに、当会では、「姫」が旅行業法の資格がないのに、明治座への観劇会ツアーなど、後援会のメンバーを対象に企画、実施し、利益を得ていたことについても2014年11月21日付で東京地検に告発をしており、こちらのほうがどうなったのかについても、公開質問状等を通じて、東京地検に説明を求めていく所存です。この旅行業法違反容疑で当会が告発した様子は次のブログ参照ください↓
◆2014年11月21日
 市民オンブズマン群馬が代議士・小渕優子を旅行業法違反で本日新たに告発!
 http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1466.html#readmore

 当会では引き続き、この問題について粘り強く取り組んでまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの連絡】

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「大山鳴動して鼠二匹」公選法と政治資金規正法の形骸化を証明した「姫」の政治資金の結末と東京地検特捜部

2015-04-29 23:35:00 | 政治とカネ
■今回の上州騒動の現場である群馬県5区でも、統一地方選挙が滞りなく終わり、5月連休に突入せんとする直前の4月27日に、東京地検特捜部の動きを報じたマスコミですが、その翌日に小渕優子代議士の元秘書の「国家老」と会計担当責任者の2名を在宅起訴処分の報道がありました。多くの人は「何でもかんでも、最後は秘書のせいにして終わりだ」と思った事でしょう。

4月29日付東京新聞社会面記事。取材記者らに笑みを見せる「姫」の表情が印象的だ。

 この突然の報道経緯を見ると、マスコミはいずれも「関係者によると」あるいは「関係者への取材によると」というふうに、情報源を曖昧に示していました。この「関係者」というのが、「東京地検特捜部」なのか「与党系の代議士」なのか、地元の「自民党県連所属の人物」を指しているのか、まったく分かりません。いずれにおいても、政府与党あたりから小出しにされるマスコミ向けの情報提供がうかがえます。

 この中で、最初に小渕優子の政治資金問題についてスクープしたのは、2014年10月16日発売の週刊新潮でした。しかし、その当時、すでに一部の新聞社もこの情報を察知していたようです。次のブログ参照↓
小渕氏政治資金疑惑:週刊誌の特報を明記した新聞、しなかった新聞
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20141023-00040182/

■このように、「姫」の政治資金のインチキ収支報告事件をすっぱ抜いた週刊新潮ですが、昨日発売のGW特大号では、事件の結末を予想する記事を、わずか1ページで報じました。この記事の内容も、新聞社よりわずかに先行した感があります。さっそく見てみましょう。

**********週刊新潮2015年5月7・14日ゴールデンウィーク特大号(4月28日発行)
「小渕優子」政治資金で裏金造りを解明した「地検特捜部」の情けない結末
――――――――――
 山には新緑が映え、足元には花々が色とりどりに咲きほこる。GWは人々の心華やぐ季節だが、今、この人の胸中はどのような色人染められているのか。小渕優子代議士(41)。昨秋に発覚した「デタラメ政治資金」問題は決着がつかないままだが、特捜部は裏金のしくみを解明していた。
――――――――――
 未だに国会では、事実上の活動自粛状態である小渕議員。一方で自らの地盤固めには精力的で、この統一地方選でも、地元・群馬5区の候補者の元を広く応援に回っていたという。
 後援会幹部の話。
「県議の候補者の出陣式にはだいたい出向いていました。ただ、挨拶では“ご迷惑をおかけして申し訳ありません”という、総選挙の時と同じセリフを繰り返すだけで、政治資金については、相変わらず、細かい説明は何もないままでした」
 昨年10月、経産相を辞任する際、小渕氏は「説明責任を果たす」とカメラの前で声を詰まらせて誓った。あの涙は、記者の追及から逃げるための武器だったのか、と疑いたくもなるけれど、では、肝心の検察の動きはどうなのか。
「捜査は既にほぼ終わっています」
 と言うのは、社会部記者である。
「あとは、いつ処分が行われるかだけの問題で、各社は当局への夜回りを増やしたり、群馬へ記者を出し、後援会関係者の取材を進めたりと、Xデーに向け“臨戦態勢”に入っています。GW前後にいつ、“大番頭”で、政治資金収支報告書の実際の作成者だった、折田謙一郎・中之条町前町長の刑事処分が下されてもおかしくはありません」
★裏山の手入れ
 しかし、そうした報道陣の盛り上がりの一方で、実際の処分は腰砕けになりそうだ。地検の関係者によれば、
「小渕議員はお咎めなし。折田氏も略式起訴での罰金刑か、在宅起訴に留まりそうです」
 最大の焦点である明治座での観劇会の収支の食い違いは合計で5000万円以上。巨額の金が闇に消えたのにその程度の処分で済むとは到底、納得できないが、
「この“裏金”がわいろに遣われていたり、誰かが私腹を肥やしたりしていれば、さらに重い罰に発展する可能性もあった。しかし、その形跡はなく、実際には、支援者の飲食費や、子飼いの地方議員へのモチ代といった、領収書の取れない出費に使われたと見られています。これだけでも十分悪質ですが、実はこうした“使い道”はこれまで何人もの政治家が当たり前のようにしてきたこと。公平性の観点から見て、小渕議員のケースだけ厳しい処分を下すというのは難しい、という結論なのです。
 小渕氏サイドが検察の強制捜査の前に、パソコンにドリルで穴を開けて、“証拠隠滅”を図ったのは、周知の通り。それだけの工作をして一人の逮捕者もなしでは、「秋霜烈日」などという言葉もお題目に過ぎないのだ。
 実際、こうした動きも知ってか、当の折田氏は。
「毎日家にいて、裏山の花の手入れに忙しい。“もう少ししたら、地域の仕事にも戻りますから”と周囲には語っています」(知人)
 と余裕の言動。天下の特捜部も舐められたものである。
**********

■記事を読むと、週刊新潮の記者らの口惜しさが行間からにじみ出てくるようです。でも、この記事の内容が、まさか発売当日の4月28日に実行されるとは、同誌の編集長も、最終編集会議の時点では予想できなかったことでしょう。

 今回の一連の出来事からハッキリしてきたことは、政治とカネの問題をチェックするための制度である公選法と政治資金規正法が全くザル法であり、それを取り締まる機関である検察組織がきちんと機能しないという実態です。

■もう一つ不可思議なのは、当会の「姫」と「国家老」に対する複数件の告発が、いずれも「預かり」という形のままで、東京地検特捜部から、「受理」という連絡がこないまま、「姫」は不起訴、「国家老」が在宅起訴という形での処分とされてしまっていることです。

 一方、マスコミ報道によれば、「小渕氏をめぐっては群馬県の市民団体が昨年10月、同法違反罪などで小渕氏らを東京地検に刑事告発。特捜部が折田氏の自宅などを家宅捜索して調べていた」(2015年4月28日15:58産経。下記URL参照)などとして、「告発」を受けた形で捜査を行った、と受け取れる形で報じています。↓
http://www.sankei.com/affairs/news/150428/afr1504280022-n1.html

 しかし、東京地検特捜部からは、未だに告発状に関する「正式受理」の通知は全くありません。今回、「姫」と「国家老」に対する処分が確定し、この事件に関して終結宣言が出たらしいことから、近日中に何らかの説明が当会にあるかもしれません。

■前述の通り、週刊新潮最新号では、東京地検関係者からの情報として「小渕議員はお咎めなし。折田氏も略式起訴での罰金刑か、在宅起訴に留まりそうです」と報じられています。

 まさに「姫」はお咎めなしの不起訴処分となりました。一方、「国家老」は、在宅起訴ということになりました。

 不起訴処分というのは、検察官が「今回の事件を起訴しない」と決める処分のことです。不起訴処分になれば、刑事裁判が行われることも、有罪判決が下されることもありません。したがって、仮に罪を認め、逮捕や勾留されたとしても、不起訴になれば前科は付きません。冒頭の新聞記事写真に示されているとおり、小渕優子・代議士が不起訴処分となり、4月28日午後の国会で、報道陣に質問された際に、「姫」が思わず笑みをこぼしたのも、前科の付く心配がなくなったからだと思われます。

 また、報道によれば、「姫」の不起訴処分理由は、「嫌疑不十分」とされています。本来、このことは、告発者に対して最初に通知されるはずです。しかし、当会は特捜部から処分結果についてさえ、何も連絡がありません。これは、当会の告発が、未だに受理された形になっていないことを物語っています。

 「嫌疑不十分」というのは、「不起訴処分」の3つの理由である「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」のうちのひとつです。捜査の結果、裁判において有罪の証明をするのが困難と考えられる場合や、証拠が十分に集められないといった場合です。今回、当会が告発したことで、折田元秘書や小渕後援会は、自民党群馬県連を介して、慌てて警察や検察に顔の利く群馬県内で著名な弁護士事務所に駆けつけました。実際に当会も、高崎市内にある当該弁護士事務所の駐車場に多数の県連関係者の車が駐車したという目撃情報を得ていました。

 こうして、「姫」について、検察に嫌疑不十分と判断してもらうために、おそらく県連は総力を挙げて当該弁護士と相談の上、捜査機関側が持っている証拠の量や内容を調査し、捜査機関側と交渉したに違いありません。その甲斐あって、首尾よく結果が引き出せたことになります。

■一方、「国家老」については「在宅起訴」処分となりました。これも、週刊新潮が「略式起訴での罰金刑か、在宅起訴に留まりそうです」と、最新号で報じた通りとなりました。

 在宅起訴は、被疑者が捜査段階で身柄を拘束されていなかった場合に、その状態のまま起訴されることを意味します。また、事件が起訴されると、「被疑者」は「被告人」という立場に変わります。

 在宅起訴の場合、起訴の種類としては、「略式起訴」と「公判請求」との二通りが想定されます。た、

 「略式起訴」は、後半を開かずに書面での審理だけで、100万円以下の罰金か、または科料を求める形での起訴のことです。略式起訴の場合、罰金を科する命令が送達され、罰金を納付すれば終結するので、当然、起訴後も身柄拘束はされません。他方、「公判請求」は、公判を開き、証拠調べをして判決を出すことを求めるかたちでの起訴のことです。このどちらかになるのか、4月29日現在の報道ではハッキリしません。

 週刊新潮の取材に答えた東京地検関係者によれば、「国家老」の場合は、略式起訴となる可能性についても示唆しています。おそらく、近日中に、どっちになるのか、方向が見えてくることでしょう。

■検察官によって事件が起訴されると、「被疑者」は「被告人」という立場になります。「国家老」は、在宅起訴であっても、これから「被告人」として記事に報じられるわけで、既にこの記事の末尾に掲げた東京新聞の4月29日付記事では、さっそく「折田被告」と表現しています。

 しかし、公判請求の場合であっても、起訴前に身柄を拘束されていなかった以上、起訴後も身柄拘束はされないのが通常です。週刊新潮の最新記事にあるように、当の折田被告が、毎日家にいて、裏山の花の手入れに余念がなく、「もう少ししたら、地域の仕事に戻りますから」と余裕しゃくしゃくの風情なのも、頷けます。

 昨年10月20日の当会の告発直後に、自らマスコミの取材に答えて、「責任は全て自分にある」と公言し、見事にその描いたシナリオどおりに自ら身代わりとなって、「姫」を窮地から救った「国家老」としては、さぞ満足のゆく結果に終わったことでしょう。

■それにしても、我が国で事件を起訴することができるのは、原則的に検察官だけです。今回は、政治家が関与した事件のため、警察ではなく、東京地検特捜部という、起訴独占権限を持つ組織が自ら捜査をしたわけで、それだけ政治関係者へのプレッシャーとしても、また政治とカネの問題で政治不信に陥りかけている国民へのメッセージとしても、非常に重要な事件でした。

 しかし、最終的には、当会が懸念していたとおり、「大山鳴動して鼠がたった二匹」という結果に終わったのでした。

 いずれにしましても、もしも、このまま当会の告発状に対して、東京地検から未通知の状態が続くようであれば、市民オンブズマン群馬としては、地検特捜部に対して公開質問状のような形で、事実関係を確認する必要があると考えています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報
【4月28日夜からのマスコミ報道の様子(一例)】
**********NHK NEWSweb 4月28日 18時48分
小渕氏元秘書2人在宅起訴 本人は不起訴
 小渕前経済産業大臣の政治資金を巡る事件で、東京地検特捜部はいずれも小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長ら2人が、収支報告書にうその記載をしたなどとして、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴しました。うその記載の総額は3億円を超えるとしています。
 一方、小渕氏本人については嫌疑不十分で不起訴にしました。
 在宅起訴されたのは、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の前町長、折田謙一郎被告(66)と小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の会計責任者を務めていた元政策秘書の加邉守喜被告(62)の2人です。
 東京地検特捜部の調べによりますと、折田前町長は加邉元秘書と共謀するなどして、小渕氏の資金管理団体が実際には小渕優子後援会などに寄付をしていないのに、平成21年から25年にかけて収支報告書に5600万円を寄付したとするうその記載をしたとして、政治資金規正法違反の罪に問われています。
 また、折田前町長は小渕優子後援会などが開催した「観劇会」などを巡り、後援会など3つの政治団体で収入や支出を少なく記載するなどして2億6000万円余りのうその記載をしたとしています。
 虚偽記載の総額は3億2000万円余りに上るとしています。
 関係者によりますと、折田前町長は調べに対し「収支報告書に記載していない簿外の支出によって、報告書の記載と実際の資金の残高にずれが出たことを隠すため事実と違う記載をした」などと供述したということです。
 一方、小渕氏本人については嫌疑不十分で不起訴にしました。
★小渕氏「一からやり直す覚悟」
 自民党の小渕・前経済産業大臣は「事務所関係者2人が在宅起訴されたことを重く受け止めており、政治的、道義的責任を痛感している。去年12月の衆議院選挙では、もう一度、地元・群馬のために働けとの結果をいただいており、この温情に応えるべく、一からやり直す覚悟だ」というコメントを出しました。
 また、小渕氏はコメントの中で「捜査に支障を来してはいけないとの考えから、これまでは、事件の詳細などについて事務所関係者に尋ねることは控えてきた。今後は、捜査や裁判の結果なども踏まえ、専門家の方々の意見を聞きながら、二度と今回のような事態が生じないよう、努めてまいりたい」としています。
★繰り返されてきた簿外支出
 関係者によりますと小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」では収支報告書に記載されていない簿外の支出が以前から繰り返されていたということです。このため資金の残高が減り、収支報告書の記載を大きく下回る状態が続いていたということです。
 関係者によりますと記載とのずれを解消するため、折田前町長ら元秘書2人は「未来産業研究会」から「小渕優子後援会」や小渕氏が代表を務める「自由民主党群馬県第五選挙区支部」に寄付をしたように見せかけて支出を増やしたとみられています。
 特捜部によりますと収支報告書の記載では平成21年から平成25年にかけて寄付の額は合わせて5600万円に上りましたが、すべて架空だったとしています。
 一方、特捜部によりますと「小渕優子後援会」など3つの政治団体では毎年開催していた後援会の観劇会について、収支報告書の収入や支出を実際より少なく記載するなどしていたということです。
 「未来産業研究会」からの架空の寄付による収入と合わせると虚偽の記載は2億6000万円余りに上るとしています。特捜部は折田前町長が観劇会の収支の記載を操作し、帳尻を合わせようとしていたとみています。
★事件の経緯と折田前町長
 小渕前経済産業大臣の政治資金を巡る問題は、去年10月に明らかになりました。
 問題となったのは「小渕優子後援会」が主催した観劇会の収支です。
 小渕氏の説明などによりますと観劇会は毎年、東京の劇場で開催され1回あたりおよそ1000人の支援者が参加し、1人あたり1万2000円の会費を集めていました。
 ところが、収支報告書に記載された収支が大きく食い違っていました。中には収入支出とも全く記載されていない年もありました。
 また、群馬県内の小渕氏の選挙区に住む男性に小渕氏の事務所からワインが贈られていたことなども明らかになりました。
 一連の問題を受け小渕氏は大臣就任から1か月半で辞任しました。
 小渕氏は会見で「信頼するスタッフのもとでお金の管理をしていただいていました。私自身が分からないことが多すぎます。何でこうなっているのかという疑念を持っています」と述べていました。
 問題の収支報告書を作成したと名乗り出たのが小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長でした。
 折田前町長は取材に対し「私が収支報告書の総責任者なので、疑惑に問われている問題の説明責任を果たしたい。辞表を提出したことで町民の期待に背くことになってしまったことをおわびするとともにしっかりと調査を進めたい」と話していました。
 特捜部は大臣辞任の10日後、折田前町長の自宅や小渕氏の後援会事務所など10か所以上の関係先を一斉に捜索しました。折田前町長ら小渕氏の元秘書や後援会の関係者、それに小渕氏本人からも任意で事情を聞いていました。

*********東京新聞2015年4月29日全国版一面
小渕氏元秘書2人 在宅起訴
東京地検 規制方位は、小渕氏は不起訴
 小渕優子元経済産業相(41)の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部は二八日、政治資金収支報告書に虚偽の記入をしたとして、いずれも小渕氏元秘書の折田謙一郎・群馬県中之条町元町長(66)と、会社員加辺守喜・元会計責任者(62)=千葉県柏市=の二人を同法違反(虚偽記入)の罪で、在宅起訴した。特捜部によると、虚偽記入の総額は約三億二千万円。小渕氏については「刑事責任を問える証拠がない」として、嫌疑不十分で不起訴とした。
 起訴状などによると、折田被告らは二〇〇九~一三年、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」(東京都千代田区)が簿外処理していた飲食費などの経費をごまかそうと、未来研から小渕氏の地元・群馬県の関連政治団体に計五千六百万円を寄付したように偽装した。
 さらに、この滑空の寄付を受けた関連政治団体の帳尻を合わせるために、東京・明治座で開いた支援者向けの観劇会に関し、実際よりも少なく収入を記載するなどして全体の収入額を調整し、各政治団体の収支報告書に虚偽の記入をしたとされる。
 小渕氏は、有権者にワインなどを配ったとして公選法違反(買収)容疑でも告発されたが、特捜部は嫌疑不十分で不起訴とした。

*********東京新聞2015年4月29日全国版社会面
収支報告書虚偽記入 複数団体で資金操作
小渕氏「大番頭」立件で幕
 小渕優子氏の関連政治団体をめぐる東京地検特捜部の操作は、小渕氏の父・恵三元首相(個人)と小渕氏の秘書を計三十年以上努めた「大番頭」の折田謙一郎・群馬中之条町元町長(66)らの在宅起訴で週けうつぃた。収支報告書の虚偽記入の総額はけいさんけいさん億二千万円に上ったが、小渕氏本人は昨年十月の経済産業相辞任以降、説明責任を果たしていない。
 今回の事件で明らかになったのは、恵三元首相から引き継いだ未来産業研究会が会計外で処理していた飲食費などの経費の発覚を免れようと、小渕氏関連の四つの政治団体を使った違法な政治資金の処理だった。
 関係者によると、未来産業研究会では長年、会計帳簿に計上されない簿外支出を作ってきた。折田被告は二〇〇八年ごろから、観劇会の収支の不適切な捜査を繰り返していたとみられる。ある検察幹部は「複数の政治団体で極めていいかげんな会計処理をしていた」と指摘した。
 小渕氏は昨年十月の会見で、弁護士らでつくる第三者委員会に調査を依頼し、調査結果を公表する意向を示したが、昨年十二月の衆院選で当選後も明確な説明を避けている。
 特捜部は、小渕氏の関与についても慎重に捜査したが、刑事責任を問えないと判断した。政治資金規正法で政治団体の代表者である政治家の刑事責任が問えるのは、会計責任者の選任と監督の両方に相当の注意を怠った場合と規定しており、立件のハードルは高いためだ。
 政治資金の問題に詳しい東京大法学部の谷口将紀(まさき)教授(現代日本政治論)は「複数の政治団体を都合よく使い分け、収支の全体像を分かりにくくしていることが問題」と指摘。「政治家の関連政治団体が複数ある場合には各団体の収支をまとめて一目で分かるような連結決算として示す仕組みを導入すべきだ」と訴えている。
★「納得いく説明ない」 地元からも批判の声
 小渕氏の地元・群馬県では二十八日、元秘書二人の在宅起訴に、小渕氏本人からの説明を求めるなど批判の声が上がった。一方、小渕氏の不起訴に胸をなで下ろす関係者もいた。
 衆院・群馬5区で小渕氏の牙城である中之条町。元町議(64)は「これだけ大騒ぎして本人はおとがめなしでは、有権者は納得しない。検察は政治家に甘い」と厳しい見方を示した。
 小渕氏は昨年十二月にあった衆院選で当選した際、疑惑を「説明していきたい」と話した。元町議は「納得のいく説明はしておらず、小渕さんも知らなかったでは済まされない」と批判する。町内の二十代後半の女性会社員は「折田被告は捜査に真実を語ってもらいた」と強調した。
 一方、後援会女性部の元幹部は「小渕さんは折田被告を信頼しており、今回の件は知らなかったと思う」と言葉少な。この日、町内にある折田被告の自宅は静まり返ったまま。小渕氏の後援会事務所も夕方には明かりが消えておりインターホンにも応答がなかった。
<小渕氏のコメント>
 政治資金をめぐる問題で事務所関係者二人が起訴されたことについては重く受け止めており、政治的、道義的責任を痛感しています。関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をかけたことについては大変申し訳なく、深く反省しています。二度と今回のような事態が生じないよう努めます。

**********東京新聞2015年4月29日群馬版
政治資金規正法違反 「小渕氏、説明責任を」
元秘書在宅起訴 地元町民の指摘も
 元秘書二人が東京地検に在宅起訴された小渕優子前経済産業相の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件。地元・中之条町では、小渕氏も説明責任を果たすべきだとの声も聞かれた。
 元中之条町長でもあった折田謙一郎元秘書(66)らが在宅起訴されたことに、同町の中心商店街で六十代の自営業男性は「早くすっきりしてもらいたい。折田さんは最初から自分に責任があると言っているのだから在宅起訴は仕方ない。小渕さんは十分に説明していないので、国会などで説明責任を果たしてほしい」と指摘した。
 折田被告の辞職に伴い後任に就任した伊能正夫町長は、在宅起訴について「町政と直接かかわりがあるわけではないのでコメントは差し控えたい」と説明。町役場では職員が通常通り業務にあたっていた。 (山岸隆)
**********

小渕経産相辞任を報じる2014年10月20日付上毛新聞号外。 ↑

加辺守喜・元秘書が会計責任者の平成24年未来産業研究会収支報告書。h24miraisangyokenkyukaishushihoukokusho.pdf
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大同有毒スラグを斬る!…不法投棄実行犯を刑事告発せよ!「追及第10弾」敷砂利を下層路盤と呼ぶ県ノー政

2015-04-28 23:29:00 | スラグ不法投棄問題
■市民オンブズマン群馬は、東吾妻町萩生地区で、サンパイの有害スラグが混入され無許可処理された偽装再生砕石が敷砂利として使われていることを住民監査請求で指摘しました。吾妻農業事務所は「下層路盤工として使用した」と苦し紛れに説明していますが、監査委員から「路面敷砂利として積算しているので、農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と指摘されており、当会では「敷砂利」ということで間違いはないと考えています。

 この有害スラグ敷砂利に蓋をする目的で、舗装工事が平成26年6月に吾妻農業事務所で入札にかけられました。ところが、この有害スラグは、平成26年6月11日の入札時点で、既に産業廃棄物であるとして、排出者である大同特殊鋼自身が認めていた代物だったのです。

 当会が、平成26年6月14日にこのことを指摘しておいたにもかかわらず、吾妻農業事務所は舗装工事を強行してしまいました。

■吾妻農業事務所は、有害スラグが施工された道路について、舗装を急いだ理由を、最後には「いわれなき風評被害を防ぐ」と言い放っています。詳しくはこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1569.html

 平成26年2月19日の第186回国会予算委員会の場で、地元選出の衆議院議員が質問し、さらに、国土交通省の「半田その4改良」現場において平成26年3月の分析調査で有害物質が検出され騒ぎになっていたのですから、吾妻農政事務所は、農政の重要な柱のひとつである「食の安全」に配慮して、大同特殊鋼の負担で有害スラグ敷砂利を撤去すればよかったのです。

 ところが、何を血迷ったのか、群馬県農村整備課と吾妻農業事務所は、当会の指摘を無視して舗装を強行してしまいました。そのため「風評被害」の発生は、吾妻農業事務所による無思慮が原因で起きてしまうのです。

 あまりにも無知なお役人様の本末転倒な説明にこれ以上係るのはバカバカしいので、今回は敷砂利と下層路盤工はどう違うのか、勉強して行きましょう。群馬県の関係者の皆さんも、ノートと鉛筆の用意はよろしいでしょうか?

■当会が住民監査請求をした際に参考とした図面を、縦長にして見やすくしたので、早速見ていきましょう。ちなみに、元資料はこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1535.html#readmore

敷砂利について図解した「道路工」をご覧ください。↓


(図1 道路工

 「敷砂利」とは何なのでしょうか?上の図解にある表を見るとよくわかります。

 まず、「掘削」という文字がどこにも見当たりません。そこに並んでいる言葉は「不陸整正」「路面転圧」「敷砂利」「RC-40 t=10cm」「敷均し」となっています。これらの用語について、吟味をしてみます。

*「不陸整正」:これは、「地面を平に整地すること」だそうです。(注)1.を読むと「路床は~~」と書いてあり、「道の床となる部分を平に整地すること」と読みとれます。

*「路面転圧」:これは、「平に整地した路床を一定の値がでるまで固めること」を意味するそうです。(注)1.を読むと「路床は、~測定値160以上に転圧すること。」となっています。

*「敷砂利」「RC40 t=10cm」「敷均し」:これらの言葉は、「再生砕石RC40を厚み10㎝で、敷き均すこと」を意味しているのだそうです。中でも「敷均し」とはダンプトラックで納入した砕石を、文字通り、重機を使い、道に均一に敷くこと」を意味します。そこでは「転圧」、つまり「重機で踏んで圧力をかけて締め固めること」は想定されていません。

■上の図解を見ると、路床を平らに整地し、重機で転圧し、そこから盛り上がるように再生砕石を10㎝の厚さで敷均す様子が描かれています。路床は転圧しますが、砕石は転圧しないのです。

 簡単に説明すれば、地面を平らにしたままでは、雨が降るとぬかってしまい、農耕車が走行できないので、砕石を敷いておくのが「敷砂利」なのだそうです。いわば舗装をする予算がないので、簡易的に道を整地するのが敷砂利です。仮設なので、舗装をする場合は、敷砂利部分を下の土と一緒に掘削撤去してから舗装を行います。

 「敷砂利」の場合、転圧を行わないので、砕石の試験表は、砕石のサイズを示す「ふるい分け試験」のみで足りるということだそうです。完成検査においては、「敷砂利」については、姿確認のみを行う、ということです。

■これに対して、「下層路盤工」とは、舗装工事において下層・上層・表層と施工する計画の場合に、下層路盤工という呼び名が登場するそうです。次に示す「舗装工標準図」を見ていきましょう。こちらです。↓


(図2 舗装工標準図

 上図を見ると、当初の地面(計画面)から掘削を行い、下層路盤工・上層路盤工・表層工となっているのが理解できると思います。掘削をせずに路床を固め、盛り上げるように砕石を敷き均す「敷砂利」とは対照的です。

 (注)2をみると「下層路盤工は再生砕石RC40(修正CBR≧30PI≦6)とし、1層仕上厚さは20cm以下とする。」と、敷砂利とは異なり、事細かく指定されているのが見て取れます。

 「修正CBR」という言葉の定義を工事関係者に尋ねると、「どの位の密度で締め固まっているのかを示す数字で、砕石にも転圧をかけて締め固めることを指す」のだそうです。この点、敷均すだけの敷砂利と比べると、こちらも対照的な違いを見せています。

 したがって、砕石の試験表は「ふるい分け試験」というものだけでは足りず、「修正CBR試験」「PI試験」他が必要になるそうです。この点、敷砂利だろうが、下層路盤工だろうが、同じ試験表を提出するのが一般的だそうですが、完成検査については敷砂利とは異なり、砕石の転圧がキチンとなされているかどうかデータが示されていなければならない、ということです。

 また、敷砂利道の場合でも、道の取り付け部は舗装をかけることがあり「取付舗装」と呼ばれるそうです。念のため、こちらも勉強しておきましょう。「取付舗装工」の図解はこちらをご覧ください。↓


図3 取付舗装工

 上図を見ると、地面(計画面)を掘削して下げておいて、路盤工に砕石を施工して、その上に表層工を施工する図が示されています。

 また、下の表にはアスファルト舗装とコンクリート舗装、それぞれの場合の砕石の厚みや「土工」のやり方が示されています。「土工」とは、地面を掘削して土をダンプカーに積み込み、他の場所に運搬することを指しているのだそうです。

 「取付舗装工」の場合でも掘削を伴い、路床を転圧し、更に砕石も転圧してから舗装を施工するのだそうです。

■吾妻農業事務所は「下層路盤工として使用した」と苦し紛れに説明していますが、「敷砂利」と「下層路盤工」は全く異なる工事種類です。例えば、完成工事検査がどの様に行われているのかを見ても、「敷砂利」と「下層路盤工」は全く異なるはずです。

 この点を心配したのか、いつもは極めて県職員寄りの監査委員でさえもが「路面敷砂利として積算しているので、農村整備課及び吾妻農業事務所の説明は一貫性の低いものである」と指摘せざるを得ない始末です。監査委員も、さすがに、土木施工の基本中の基本については、県職員のウソの言い訳を追認するわけにはいかなかったのでしょう。県議出身者2名はともかく、会計士と会計士から構成される学識経験者2名の監査委員としては、この点は捻じ曲げて解釈したら自分たちの沽券を下げてしまうと思ったのでしょう。

 吾妻農業事務所は、有害スラグ生一本状態の6路線について、当会の制止を振り切って、急遽舗装を強行してしまいました。もし、有害スラグを「敷砂利」として施工しているのであれば、舗装を施す場合、取付舗装工と同じように土工が指定され、有害スラグ敷砂利と地面を一緒に掘削し、トラックに積み込み、運び出してから、路面転圧・砕石転圧・表層工と続かなければなりません。

■吾妻農業事務所は、舗装について、かなり知識に乏しく、かなりいい加減な技術しかもっていないと考えられます。もしかしたら、「下層路盤工」と言い張るために、後出しジャンケン的に、完成検査資料の作り変えを業者に指示したりすることがお得意なのかもしれません。

 水資源機構・群馬用水のように有害スラグを大同特殊鋼に撤去させていれば、吾妻農業事務所の説明にあるような「いわれなき風評被害」などは起きません。また、敷砂利を「下層路盤工」と言い張り、監査委員に指摘されることもなかったのです。

 群馬県行政による、「食の安全」に対する配慮は地に堕ちた観があります。もともと、ホコリがたつ敷砂利に、コンクリートやアスファルトをリサイクルした再生砕石RC材を平気で使用するのは、いかがなものでしょう?循環型社会であっても、「食の安全」に配慮し、敷砂利には天然石を指定するような筋の通った県行政であって欲しいものです。

 しかし現実には、「食の安全」を憂える良識ある県民の声より、佐藤建設工業と組んで、有害スラグを田畑に不法投棄しまくった“ブラック”建設業者の声しか届かないのかもしれません。

 群馬県は、行政への信頼回復のためにも、一刻も早く佐藤建設工業を刑事告発し、この悪質な不法投棄事件の全容を解明しなければなりません。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
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【速報】トカゲ尻尾切りで不起訴…小渕優子・前経産相の政治資金問題を幕引く東京地検特捜部

2015-04-28 17:07:00 | 政治とカネ
■さきほどから、「小渕優子、不起訴。元秘書、在宅起訴」のニュース報道が駆け回っています。当会にもマスコミから数社コンタクトがありましたが、昨年10月20日の東京地検への告発の時に較べると、実に静かです。

 この動きは、きのうからマスコミ報道でわかりましたが、案の定、シナリオ通りに本日、正式な動きとして表面化しました。時系列的に報道内容を検証してみました。

**********読売新聞 4月28日(火)3時4分配信
小渕氏の元秘書、在宅起訴へ…収入操作し穴埋め
 小渕優子・前経済産業相(41)の関連政治団体による「観劇会」を巡る政治資金規正法違反事件で、元秘書の折田謙一郎・前群馬県中之条町長(66)が東京地検特捜部の事情聴取に対し、「各団体の簿外支出を穴埋めするため、観劇会の収支を操作するなどして虚偽記入した」と供述していることが関係者の話で分かった。
 特捜部は近く、同法違反で折田氏を在宅起訴する見通し。小渕氏は不起訴になるとみられる。
 関係者によると、小渕氏の関連各団体では、父親の小渕恵三・元首相の代から、選挙の陣中見舞いなどを簿外で支出。会計処理を担当した折田氏は2009~13年、簿外支出で生じた収支のずれを解消するため、資金管理団体「未来産業研究会」が、「小渕優子後援会」と「自民党群馬県第5選挙区支部」の両団体に寄付したように装ったという。

**********TBS News 2015年4月28日15時23分
収支報告書虚偽記載 小渕氏は不起訴、元秘書は在宅起訴へ
 小渕優子前経済産業大臣の政治資金をめぐる事件で、小渕氏の政治団体が飲食などの簿外支出を穴埋めするために、「観劇会」などの収入を収支報告書に少なく記載した疑いがあることがわかりました。東京地検特捜部は近く、元秘書を在宅起訴する方針で、小渕氏は不起訴となる見通しです。
 小渕氏が関連する複数の政治団体をめぐっては、収支報告書で支援者らが参加した「観劇会」の収支が大幅に食い違うなどの不自然な記載が明らかになっています。
 こうした会計処理は、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長が主導したとみられていますが、関係者の話で「観劇会」の収入を少なく記載して、飲食などの簿外支出を穴埋めしていた疑いがあることが新たにわかりました。
 簿外支出は小渕氏の父親の恵三氏の時代から行われていたとみられ、特捜部は近く、政治資金規正法違反の疑いで折田前町長を在宅起訴する方針です。
 一方、小渕氏は任意の事情聴取に、「こうした資金処理は把握していない」などと関与を否定していて、不起訴となる見通しです。(28日11:28)

**********NHK NEWS Web 4月28日 15時23分
小渕氏元秘書2人在宅起訴 本人は不起訴
 小渕前経済産業大臣の政治資金を巡る事件で東京地検特捜部は、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長ら元秘書2人が収支報告書にうその記載をしたなどとして政治資金規正法違反の罪で在宅起訴しました。一方、小渕氏本人については関与が認められないとして嫌疑不十分で不起訴にしました。
 在宅起訴されたのは、小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の前町長、折田謙一郎被告(66)と小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の会計責任者を務めていた元政策秘書の加邉守喜被告(62)の2人です。
 東京地検特捜部の調べによりますと、折田前町長は加邉元秘書と共謀するなどして、小渕氏の資金管理団体が、実際には小渕優子後援会などに寄付をしていないのに、収支報告書に平成21年から25年までの間に5600万円余りを寄付したとうその記載をしたとして政治資金規正法違反の罪に問われています。
 また、折田前町長は、小渕優子後援会などが開催した「観劇会」などを巡り、後援会など3つの政治団体で収入を少なく記載したり、架空の寄付を収入として記載したりしたなどとしています。一方、小渕氏本人については関与は認められないとして嫌疑不十分で不起訴にしました。

**********日経2015/4/28 15:23
小渕氏の元秘書を在宅起訴、小渕氏は不起訴
 小渕優子・前経済産業相(41)の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は28日、支援者向けの観劇会の収支などをめぐり政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたなどとして、元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長(66)ら2人を同法違反(政治資金収支報告書の虚偽記入)の罪で在宅起訴した。
 小渕氏は嫌疑不十分で不起訴処分とした

**********読売2015年04月28日 15時34分
規正法違反、元秘書ら在宅起訴…小渕氏は不起訴
 小渕優子・前経済産業相(41)の関連政治団体による「観劇会」を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は28日、関連政治団体の事務を統括していた元秘書の前群馬県中之条町長・折田謙一郎(66)、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の会計責任者だった加辺(かべ)守喜(62)両容疑者を政治資金規正法違反(虚偽記入)で東京地裁に在宅起訴した。
 同法違反で告発されていた小渕氏については、不起訴(嫌疑不十分)とした。

**********毎日新聞 2015年4月28日(火)15時45分配信
<小渕優子前経産相>元秘書の前中之条町長ら2人を在宅起訴
 小渕優子前経済産業相(41)の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は28日、小渕氏の元秘書の折田謙一郎・前群馬県中之条町長(66)と、資金管理団体の加辺守喜・元会計責任者(62)の2人を政治資金規正法違反(虚偽記載)で在宅起訴した。小渕氏本人は不起訴処分とした。

**********朝日新聞デジタル 4月28日(火)15時54分配信
小渕優子氏の元秘書2人を在宅起訴 東京地検特捜部

 小渕優子・前経済産業相の政治団体をめぐる不明朗な資金処理事件で、東京地検特捜部は28日、群馬県中之条町の折田謙一郎・前町長(66)ら小渕氏の元秘書2人を政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で在宅起訴し、発表した。小渕氏は不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
 在宅起訴されたのは、折田前町長と、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の加辺守喜・元会計責任者(62)の2人。
 発表によると、折田前町長らは2009年以降の未来研など小渕氏の四つの関連政治団体の収支報告書において、実際にはなかった政治団体間の寄付を、あったかのように装って記載したとされる。また、支援者が群馬から東京・明治座を大型バスで訪れる観劇会の収支においても、虚偽の記載をしたとされる。

**********産経新聞 4月28日(火)16時2分配信
小渕氏元秘書2人を在宅起訴 小渕氏本人は不起訴 政治資金問題で東京地検特捜部
↑衆院本会議を終え、記者に囲まれる小渕優子前経済産業相=28日午後、国会(酒巻俊介撮影)(写真:産経新聞)↑
 小渕優子前経済産業相(41)の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、問題となった政治資金収支報告書の実質的作成者で小渕氏の元秘書、折田謙一郎・前群馬県中之条町長(66)について、東京地検特捜部は28日、別の元秘書の男性とともに同法違反(虚偽記載)罪で在宅起訴した。同罪で告発されていた小渕氏については、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
 在宅起訴されたのは折田氏のほか、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の元会計責任者、加辺守喜元秘書(62)=千葉県柏市。起訴状によると、折田被告らは未来産業研究会など4団体の平成21~25年分の政治資金収支報告書について、実際には資金移動のない架空の寄付金を団体間で計上したり、関連団体が開いた「観劇会」の収入を少なく申告したりして、虚偽の記載をしたとしている。
 小渕氏をめぐっては群馬県の市民団体が昨年10月、同法違反罪などで小渕氏らを東京地検に刑事告発。特捜部が折田氏の自宅などを家宅捜索して調べていた。 ←(当会注:東京地検特捜部では、当会の告発状は未だに受理しておらず、「預かり」という扱いのままです)

**********フジテレビ系(FNN)最終更新:4月28日(火)16時17分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20150428-00000277-fnn-soci
小渕前経産相政治資金問題 小渕氏不起訴処分、元秘書ら在宅起訴
 小渕優子前経済産業相の政治資金問題で、東京地検特捜部は28日午後、小渕前経産相について立件を見送る不起訴処分とし、元秘書ら2人を在宅起訴した。
 この問題は、小渕前経産相の政治団体が、地元の有権者を招いて開催した「観劇会」について、政治資金収支報告書の収支が大きく食い違うなどしていたもの。
 特捜部は28日午後、小渕前経産相について嫌疑不十分の不起訴処分とし、問題の収支報告書作を作成した折田 謙一郎元秘書と、資金管理団体の会計責任者だった加辺守喜氏について在宅起訴した。
 特捜部はこれまで、折田元秘書から事情を聴いていて、27日までに、小渕前経産相本人からも複数回事情聴取をしているが、小渕前経産相は自身の関与を否定したとみられる。
**********

■既に今年の1月15日の時点で、この動きを予測していたマスコミもありました。

**********日刊ゲンダイ2015年1月15日
渡辺氏も松島氏も不起訴…安倍政権に屈した東京地検特捜部
 昨年あれだけ世間を騒がせた「政治とカネ」の問題は、結局、渡辺喜美氏も松島みどり氏もおとがめナシだ。東京地検特捜部は14日、告発されていた2人をいずれも不起訴処分とした。8億円のウラ金を受け取ってもOKなら、もう日本に特捜部はいらないのではないか。
 渡辺喜美・みんなの党元代表は、化粧品会社ディーエイチシーの会長から借りた合計8億円を収支報告書に記載していなかった問題で、市民団体から政治資金規正法違反(虚偽記入)などの疑いで刑事告発されていた。これについて特捜部は、「起訴するに足りる証拠はない」として、嫌疑不十分で不起訴にした。
 特捜部はこの告発容疑とは別に、喜美氏が代表を務める政治団体「渡辺美智雄政治経済研究所」の関連口座から借り入れた1億7000万円についても捜査。収支報告書に記載されていなかったことについて、この団体の経理担当者の男性を起訴猶予としたが、喜美氏については捜査対象ではないとして処分の判断を見送った。
 松島みどり前法相については、選挙区内でうちわを配り、公選法違反容疑で告発されていたが、特捜部はうちわの配布は寄付行為に当たるとしながらも、選挙に関連して配布されたとは言えないとして、同法違反には問えないとした。
●小渕優子前経産相も不問の方針
 この特捜部の判断について、喜美氏を告発していた市民団体の共同代表でもある神戸学院大大学院の上脇博之教授はこう憤る。
「代理人弁護士によれば、私どもの告発は本日受理され、本日不起訴処分が出されたそうです。告発は何カ月間も放置された形。で、本日不起訴ですよ。通知書が届いたら検察審査会に申し立てるかどうか検討します。検察が独自に調べた1億7000万円の借り入れの件で渡辺さんを処分対象にしなかったことについても納得できません。政治団体のお金であるとして不記載罪が成立するから、経理担当者を『起訴猶予』にしたわけでしょう。渡辺さんの意向を聞かずに担当者が政治団体のお金を勝手に動かせるはずありません。渡辺さんは共犯の可能性があるのになぜ処分対象にしないのか。担当者同様に起訴猶予か起訴すべきですよ。検察は政治家に厳しくあるべきなのに腰が引けています」
 喜美氏は安倍首相に近く、松島氏は事実上の安倍派だ。検察は安倍政権に“配慮”して甘い判断をしたんじゃないのか。
 この2人が不起訴じゃ、望月環境相や江渡前防衛相らの疑惑も不問にされるのは確実だ。電動ドリルでPCを破壊する仰天の“証拠隠滅”まで図った小渕前経産相の捜査も肩すかしに終わる可能性が高い。これでは政治家はやりたい放題だ。
 最近の特捜部についてジャーナリストの溝口敦氏は本紙コラムで<地検特捜部は小沢一郎と村木厚子に懲りて、政界を手掛けず、今や「特捜など要らない」と廃止論まで出ている>と書いていた。
「政治とカネの問題がクローズアップされ、検察の厳しい捜査に期待していた国民も多かったと思います。しかし、1人起訴すれば、ドミノ倒しで他の政治家にも波及しかねない。安倍政権の力が強いだけに行政も司法もできるだけ波風を立てないように動く。そんな政治の流れになっているように感じます」(政治評論家・山口朝雄氏)
 司法まで腰砕けじゃ、安倍政権はますます増長するばかりだ。
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■現在、マスコミ陣は、中之条町の元秘書らに取材を試みるべく、群馬県に向かっており、今晩のニュースでは、一斉にその状況を報じる事でしょう。しかし、すでにシナリオ通りに事は動いており、今回の事件の真相が解明されることは期待できないと思われます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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