市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

住民にとってはデメリットしかないマイナンバー制度のメリットを享受する官業癒着体質が露呈

2015-10-16 22:42:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■来年2016年1月からスタートするマイナンバー制度ですが、それに先立ち2015年10月5日から各住民に割り当てられた番号の配布が始まったようですが、51億円横領事件で103年ローンを支払い中の安中市からは、現時点ではまだ通知カードは送られて来ていません。これまで住基ネットで巨額の血税を浪費した上に、さらに多大な血税が投入され、ますます行政と関係業者との間の癒着による税金の無駄遣いが懸念されていましたが、案の定、とんでもない事件が発生しました。事件の舞台が、厚生労働省というのも象徴的です。

**********産経2015年10月13日 13:31
「マイナンバー」システムで収賄容疑 厚労省室長補佐を逮捕へ 警視庁

警視庁に出頭する厚労省情報政策担当参事官室の中安一幸室長補佐=13日、さいたま市(橋本昌宗撮影)
 国民一人一人に12桁の番号を割り当てる「税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度」導入に絡むシステム契約を受注できるよう便宜を図った見返りに、現金を受け取った疑いが強まったとして、警視庁捜査2課が13日、収賄容疑で、厚生労働省情報政策担当参事官室の40代の室長補佐から事情聴取を始めたことが捜査関係者への取材で分かった。容疑が固まり次第、逮捕する。
 捜査関係者によると、室長補佐は平成23年秋、マイナンバー制度の導入に絡むシステムの契約を受注できるようIT関連業者に便宜を図った見返りに、現金約100万円を受け取った疑いが持たれている。
 関係者によると、室長補佐は3年に厚生省(当時)に入省し、医療・社会保障分野の情報化を推進。マイナンバー関連のシステム構築にも関与し、24年からは厚労省の情報政策を統括する情報政策担当参事官室に所属している。
 室長補佐は日本医療情報学会に所属し、国立大客員准教授も務めるなど、医療関係者やIT業者にも幅広い人脈がある。捜査2課は、室長補佐が情報政策に影響力がある立場を悪用して業者に便宜を図ったとみている。
 マイナンバーの導入には、政府側、民間側ともに大規模な情報システムの改築や、新規システムの立ち上げが必要とされる。1兆円規模の市場になるとの見方もあり、IT関連業者による受注合戦が繰り広げられている。
 マイナンバー制度は23年6月に民主党政権が「社会保障・税番号大綱」を決定し、25年5月、マイナンバー法が成立。今年9月には預金口座への適用などマイナンバーの活用方法をより詳細に定めた改正マイナンバー法が成立し、来年1月から運用が始まる。

**********産経2015年10月13日 13:44
「マイナンバー」システムで収賄容疑 厚労省室長補佐を逮捕 警視庁

厚労省情報政策担参事官室の中安一幸室長補佐=13日午前、さいたま市大宮区(早坂洋祐撮影)
 国民一人一人に12桁の番号を割り当てる「税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度」導入に絡むシステム契約を受注できるよう便宜を図った見返りに、現金を受け取ったとして、警視庁捜査2課は13日、収賄容疑で、厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐、中安一幸容疑者(45)を逮捕した。
 捜査2課の調べによると、中安容疑者は平成23年秋、マイナンバー制度の導入に絡むシステムの契約を受注できるようIT関連業者に便宜を図った見返りとして、現金約100万円を受け取った疑いが持たれている。
 関係者によると、中安容疑者は3年に厚生省(当時)に入省し、医療・社会保障分野の情報化を推進。マイナンバー関連のシステム構築にも関与し、24年からは厚労省の情報政策を統括する情報政策担当参事官室に所属している。
 中安容疑者は日本医療情報学会に所属しており、国立大客員准教授も務めるなど、医療関係者やIT業者にも幅広い人脈を持っている。捜査2課は、中安容疑者が情報政策に影響力がある立場を悪用して業者側に便宜を図ったとみている。
マイナンバーの導入には、政府側、民間側ともに大規模な情報システムの改築や、新規システムの立ち上げが必要とされる。1兆円規模の市場になるとの見方もあり、IT関連業者による受注合戦が繰り広げられている。
 マイナンバー制度は23年6月に民主党政権が「社会保障・税番号大綱」を決定し、25年5月、マイナンバー法が成立。今年9月には預金口座への適用などマイナンバーの活用方法をより詳細に定めた改正マイナンバー法が成立し、来年1月から運用が始まる。

**********毎日新聞 2015年10月13日 13時49分(最終更新 10月13日 18時20分)
収賄容疑:厚労省室長補佐を逮捕 マイナンバー関連で便宜
 国民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度に関連した事業の受注に便宜を図る見返りに現金を受け取ったとして、警視庁捜査2課は13日、収賄容疑で厚生労働省情報政策担当参事官室長補佐の中安一幸容疑者(45)を逮捕した。現金を渡したとみられる東京都内の経営コンサルタント会社の70代の男性役員については、贈賄罪の公訴時効(3年)が成立している。【宮崎隆、黒川晋史】
 捜査関係者によると、室長補佐は、将来的なマイナンバー制度導入に備えた社会保障分野でのシステム構築事業について厚労省が2011年10月に公募した企画競争で、コンサルタント会社側に便宜を図り、現金100万円前後を受け取った疑いが持たれている。事業はコンサルタント会社が受注し、11年11月に約7400万円で契約を結んだ。
 企画競争は、受注希望業者の提出した企画書を審査し、事業の委託先を決める入札の方式。一般的には、委託元が契約額などを事前に明示し、それに応じて受注希望業者が企画書を作る。
 関係者によると、室長補佐は1991年に旧厚生省に入省し、現在は情報政策担当参事官室で社会保障分野の情報化やマイナンバー制度に関する施策を担当。国立大学の客員准教授や日本医療情報学会の評議員も務め、医療分野での情報化を推進する立場で各地のシンポジウムにも出席していた。
 民間信用調査会社などによると、コンサルタント会社は90年に設立され、厚労省の他にも、経済産業省や総務省などの公共事業でコンサルタント業務などを受注している。厚労省の事業では09年1月〜15年6月に少なくとも6件を受注。受注総額は計13億円を超えている。
 ◇厚労省、汚職止まらず
 マイナンバー制度導入に備えたシステム構築事業の発注を巡り、警視庁が厚生労働省職員の捜査に乗り出したが、同省や外局の旧社会保険庁などでは職員による汚職事件が過去にもたびたび摘発されてきた。
 東京地検特捜部は89年、「リクルート事件」で未公開株を譲り受けたとして、元労働省(当時)事務次官を収賄容疑で逮捕。警視庁捜査2課は96年、特養ホーム建設の補助金交付に便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、元厚生省(同)事務次官を収賄容疑で逮捕した。
 中央省庁の再編で厚労省となった01年以降では、雇用対策助成金の申請を巡り、元愛知労働局の課長補佐が03年にあっせん収賄容疑で愛知県警に逮捕された。翌04年には、兵庫労働局の物品納入を巡り、神戸公共職業安定所の雇用指導官が収賄容疑で兵庫県警に逮捕された。
 09年に廃止された旧社会保険庁では、テレビCM発注を巡る収賄容疑で石川社会保険事務局元課長を逮捕(04年6月)▽保険料徴収に使う機器発注を巡る収賄容疑で社保庁課長を逮捕(同年9月)▽歯科医への診療報酬を巡る収賄容疑で社保庁指導医療官を逮捕(07年5月)--と事件が相次ぎ、批判を浴びた。
 10年9月には、眼科診療所への指導・監査を巡る収賄容疑で厚労省課長補佐が逮捕された。同年12月には、年金給付手続きを教えた見返りに女性から謝礼を受け取ったとして、厚労省所管の特殊法人・日本年金機構職員が収賄容疑で逮捕された。【黒川晋史】

**********読売2015年10月13日 14時32分
マイナンバー巡り収賄容疑、厚労省室長補佐逮捕

 今月5日に始まった共通番号(マイナンバー)制度を巡り、厚生労働省の室長補佐が、システム関連業務を受注したIT関連会社に便宜を図った見返りに現金を受け取っていた疑いが強まり、警視庁は13日、収賄容疑で室長補佐を逮捕した。
 贈賄側のIT関連会社はマイナンバー導入が決まった2011年以降、少なくとも5件、総額約12億円の業務を同省から受注していた。同庁は癒着の実態を調べる。
 逮捕されたのは、厚労省でITシステムの発注などを担当する政策統括官付情報政策担当参事官室の室長補佐の中安一幸容疑者(45)。
 捜査関係者によると、中安容疑者は11年秋、年金や医療など社会保障分野の番号制度(現在のマイナンバー)のシステム整備に関する2事業を東京都内のIT関連会社が受注できるよう便宜を図った見返りに、同社社長(当時)から現金約100万円を受け取った疑いが持たれている。

***********日テレニュース2015年10月14日 12:07
室長補佐“仕様書原案”贈賄側に作成させる
 マイナンバー制度に関連する贈収賄事件で、厚生労働省の室長補佐の男が、入札予定のシステムについて、厚労省で作成すべき「仕様書」の原案を、贈賄側のIT会社に作成させる便宜を図っていたことが分かった。
 警視庁は14日朝から、厚生労働省の家宅捜索を行っている。
 捜査関係者への取材で、14日朝に送検された厚労省の室長補佐・中安一幸容疑者(45)が、入札予定のシステムについて、厚労省で作成すべき発注の要望などを記載した「仕様書」の原案を、贈賄側のIT会社に作成させていたことが分かった。
 警視庁は、仕様書を作らせることで、入札で高い評価が得られる便宜を図ったとみている。
 厚労省によると、贈賄側の会社は今年度までに、逮捕容疑の2つを含む6つの事業で総額14億円以上を受注していた。
 逮捕容疑について、中安容疑者は自ら賄賂を要求した趣旨の供述をし、贈賄側の会社も同様の供述をしているという。

**********東京新聞2015年10月14日朝刊
マイナンバーで癒着 厚労省室長補佐を逮捕 100万円収賄容疑

 住民一人一人に番号を割り当てる「マイナンバー制度」に絡み、厚生労働省発注の関連事業を受注した業者に便宜を図り、その見返りに百万円を受け取ったとして警視庁は十三日、収賄の疑いで、同省情報政策担当参事官室の室長補佐、中安一幸(かずゆき)容疑者(45)=さいたま市大宮区=を逮捕した。中安容疑者は、来年一月に利用が始まる制度のシステム構築に準備段階から関わっていた。国のシステムそのものへの信頼が大きく問われることになりそうだ。
 逮捕容疑では、二〇一一年十月、マイナンバー制度の準備段階として厚労省が発注した事業の入札で、東京都千代田区のIT関連会社に有利な取り計らいをした見返りに、同年十一月上旬、同社の前社長から一度に百万円を受け取ったとされる。
 捜査二課によると、中安容疑者は容疑を認めており、自ら賄賂を要求したとみられる。現金を手渡したとされる前社長は贈賄罪の公訴時効(三年)が成立している。
 この事業は、マイナンバー制度を導入する前段階で、年金や健康保険などの社会保障制度の情報連携を推進するためのシステム設計と、そのシミュレーションを行う内容だった。
 入札は、計六社の参加業者の計画書が省側の仕様書にいかに沿っているかを点数で評価する「企画競争入札」で行われた。
 中安容疑者は贈賄側業者だけに、本来国が作るべき仕様書の原案をひそかに作らせる便宜を図り、業者は原案に基づく計画書を提出し、高評価を得て契約が決まった。
 業者は、システム設計が約一億四千万円、シミュレーションが約七千万円の計約二億一千万円で受注した。
 中安容疑者の逮捕を受け、同省の田中誠二人事課長は会見し「事実であれば極めて遺憾な事態。国民の皆さまに深くおわびします」と謝罪した。
<マイナンバー制度> 赤ちゃんからお年寄りまで国内に住民票がある人に12桁の番号を割り当て、税と社会保障、災害関連などの行政事務を効率化する制度。社会保障関係の申請の際には住民票が不要になるなど、手続きが簡素化されるメリットがある一方、住民への監視強化や個人情報流出を懸念する声もある。

★マイナンバー発送開始直後 揺らぐ信頼 情報政策の第一人者
 「マイナンバー制度には多大な税金が投入され、一部業者と行政側との癒着につながる構造があり、心配だった。収賄容疑が事実なら行政側がマイナンバーを利権にしており、制度そのものへの不信感を持たざるを得ない」
 今月五日、マイナンバーの番号を知らせる「通知カード」の発送が始まった直後に発覚した今回の汚職事件。市民団体「共通番号いらないネット」事務局の宮崎俊郎さん(54)=横浜市南区=は取材に語気を強めた。
 厚生労働省によると、収賄容疑で逮捕された中安容疑者は兵庫県の高校を卒業後、一九九一年に国立療養所(現国立病院機構)兵庫中央病院の事務職に就職。二〇〇五年以降は厚労省の情報政策部門に籍を置き、情報技術(IT)に詳しい人材と評価されていた。三つの大学で無報酬の非常勤講師も兼務し、昨年度は週の半分足らずしか厚労省に出勤していなかったという。
 マイナンバー法が成立した一三年五月の二カ月前には、複数の大学でつくる研究会の場でマイナンバー制度について「社会保障給付の申請、届け出などの負担が軽くなる」などとメリットを強調するなど、学会や専門家の研修会などでたびたび講演していた。
 今回の事件とは無関係のIT関連会社「ハミングヘッズ」(東京都中央区)のインタビューでも、国が国民一人一人の年金や健康保険などの社会保障費を一括管理する重要性を強調し、ホームページ(HP)で紹介されていた。
 中安容疑者を知る東海地方の大学病院の関係者は「この分野では第一人者。法律も分かっていて政策を知っている。民間を指導する能力もあった」と話す。
 国民らを番号で管理するシステム構築の準備が、専門的な知識を持つ一部の役人に委ねられ、そこにまた専門性を売り物にする業者が金を渡した上で進められてきたとされる闇は深い。中安容疑者は本体システムづくりにも深く携わってきた。
 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「マイナンバー制度で国民は何の利益も得られず、企業も番号管理に悩んでいる。(容疑が事実なら)国民に負担を強いておきながら、国が利便性を得て役人が金をもらったり、新しい仕事ができたりするという、この国の政策の姿が図らずも露呈した」と指摘している。

**********産経2015年10月14日14:00
【マイナンバー汚職】医療&ITに精通した「異能のノンキャリ」 派手なブランド服で身を固め…
 
警視庁に出頭する厚労省情報政策担当参事官室の中安一幸室長補佐=13日、さいたま市(橋本昌宗撮影)
 収賄容疑で逮捕された中安一幸容疑者は、ノンキャリアながら民間の医療関係者やIT関係者に太いパイプを持ち、その服装や言動などから「異能の官僚」とも呼ばれた。
 13日朝、ウエーブのかかった髪に鼻まで下がった眼鏡。白いジャケットで警視庁に出頭する中安容疑者の姿は、およそ一般的な官僚のイメージとはかけはなれた姿だった。
 中安容疑者は高校卒業後の平成3年、国立病院の事務官として採用され、17年に係長として厚生労働省の本省に転任。19年以降は部署間を大きく異動することはなく、システムの導入や企画立案を担当した。医療分野のIT化の旗振り役として、政府の医療情報政策を主導してきた。
 「情報を電子化することで将来の医療の質は間違いなく高まるはず」。雑誌のインタビューにもこう持論を展開した。大学の客員准教授を務めるほか、贈賄側のIT関連会社なども入っていた産官学による研究団体にも所属していた。
 中安容疑者と一緒にシンポジウムのパネリストを務めたことがあるIT業界の関係者は「自分の考えを持って明快に説明していくことから業界内にファンも多かった」と振り返り、「厚労省の中でも医療とITに関する一番の専門家と聞いていたが、まさかこんなことになるとは」と話す。
 だが、省内では別の側面も見せていたようだ。
 ある厚労省職員は、中安容疑者がワインレッドのシャツに黒のネクタイ、くるぶしまでの長いトレンチコートと高級ブランドで身を固めた姿で省内を歩いていたことを覚えている。「金回りがいい人だな」。この職員はそう感じたという。
 「外にもパイプがあるので、いつでも役所は辞められる」「自分に近い国会議員もたくさんいるし、人脈は持っている」。同省の中堅官僚によると、中安容疑者は口癖のように周囲にそう吹聴。「勉強家だが、野心家でもあった」と振り返る。
 情報技術にも詳しく、マイナンバー制度に消極的な上司に対しても、積極活用を強く主張していた中安容疑者。一緒に数回、仕事をしたことがあるという厚労省職員は「能力が高く、代わりの人材がいないからずっと同じ部署に置かれていたのだろう。上司も彼があまりにベテランで、逆らえない雰囲気があったのではないか」と推測している。

**********読売2015年10月14日 14時31分
マイナンバー汚職、タクシー券も百万円超受領か
 共通番号(マイナンバー)制度を巡る贈収賄事件で、厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐の中安一幸容疑者(45)(収賄容疑で逮捕)が、贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」(東京都千代田区)側から現金だけでなく、少なくとも百数十万円分に上るタクシー券も受け取っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。
 現金やタクシー券の授受を繰り返す過程で癒着を深めていったとみられ、警視庁で詳しい経緯を調べている。
 同庁は14日朝、容疑を裏付けるため、東京・霞が関の厚生労働省に捜索に入った。
 捜査関係者によると、中安容疑者とシステムサイエンス社の元社長は約10年前に仕事を通じて知り合った。その後の2007年4月、中安容疑者はIT分野を担当する同省社会保障担当参事官室に配属されたが、この頃からタクシー券をもらうようになったという。

**********読売2015年10月14日 15時34分
厚労省ITの「頭脳」捜索…マイナンバー汚職

厚労省に捜索に入る警視庁の捜査員(14日午前、東京・霞が関で)=三浦邦彦撮影
 共通番号(マイナンバー)制度を巡る贈収賄事件の舞台となった厚生労働省に14日朝、警視庁の捜索が入った。
 収賄容疑で逮捕された同省情報政策担当参事官室室長補佐・中安一幸容疑者(45)が勤務していた同室は、省内のIT分野を取り仕切る「頭脳」。この日、室内は立ち入りが禁止され、緊迫した雰囲気に包まれた。
 捜索が行われたのは、同室などがある東京・霞が関の合同庁舎11~12階。午前8時半頃、警視庁の捜査員約20人が省内に入ると、周囲は防火戸で閉め切られ、出勤してきたばかりの同省職員らが遠巻きに様子を見つめた。
 同省によると、贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」(東京都千代田区)は2008~15年度にマイナンバー制度関連の6事業(計約14億4700万円)を受注。いずれも中安容疑者が所属する部署が発注を担当した。

**********日刊ゲンダイ2015年10月15日
マイナンバー収賄で逮捕 厚労省ノンキャリ室長補佐の“素性”

こんな状態でスタートさせて大丈夫なのか?(C)日刊ゲンダイ
 マイナンバー制度をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された厚労省情報政策担当参事官室室長補佐、中安一幸容疑者(45)。都内のITコンサル会社に入札で便宜を図った見返りに賄賂を要求、受け取った額は2011年から計数百万円に上るとみられている。
 中安容疑者は兵庫県出身。高校を卒業後、1991年に神戸市にある国立病院の事務官として採用された“ノンキャリ”だが、現在は各地で講演もしたり、北大大学院の客員准教授も務めていた。
「主に医療情報のIT化に携わり、05年に本省の係長に就任。“ITのプロ”として省内でも一目置かれ、医療関係者やIT業者など省外にも顔が広かった。高飛車な性格で、ワインレッドのシャツにごつい指輪をはめ、省内を闊歩。上司も何も言えなかったそうです。12年からマイナンバー制度のシステム構築に関わっていました」(厚労省関係者)
 贈賄側のコンサル会社社長は、そんな中安容疑者の人脈のひとりで、5年ほど前から付き合いがあった。
「贈賄についてはすでに時効ですが、コンサル会社は09年1月から今年6月までに6件、総額14億4700万円を厚労省から受注していました。昨年の売り上げが2億4000万円の会社ですから、中安サマサマでしょう。厚労省以外に経産省、総務省、内閣府とも“取引”していただけに、問題が“飛び火”する可能性もあります」(捜査事情通)
 中安容疑者の自宅はJR大宮駅から車で10分ほど。敷地面積約40坪の一戸建てで、近隣住民によると、中安容疑者はバツイチ、いまは再婚した妻と3歳の娘の3人暮らしだった。
「引っ越してきたのは十数年前ですが、3、4年前から髪を伸ばして後ろで束ね、ヒッピーみたいな派手な服装をするようになった。てっきりホストだと思っていました。まさか官僚とはねえ」(近隣住民)
 中安容疑者はワイロとして受け取ったカネをカードやローンの支払いなどに充てていたようだ。
 厚労省は昨13日の会見で「(中安容疑者は)マイナンバーの具体的なシステム設計をしているわけではなかった」などと、事件による制度への影響を否定したが、とてもうのみにはできない。
「個人情報を暗号化する優れた技術があっても、“ヒューマンエラー”があれば流出は防ぎようがない。マイナンバー制度にも“穴”があることを行政側が自ら“証明”してしまったような事件です」(ITジャーナリスト・井上トシユキ氏)
 のっけからグダグダで大丈夫なのか?

**********東京新聞2015年10月14日夕刊~15日朝刊
さらに数百万円受領か マイナンバー収賄容疑の厚労省職員
100万円超タクシー券も

マイナンバー制度導入に絡む汚職事件で、家宅捜索のため厚労省に入る捜査員ら=14日午前8時32分
 住民一人一人に番号を割り当てる「マイナンバー制度」の導入に絡んで厚生労働省が発注した関連事業をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された厚労省室長補佐、中安一幸容疑者(45)が、贈賄側のIT関連会社(東京都千代田区、時効成立)から逮捕容疑となった百万円以外にも数百万円を受け取った疑いがあることが捜査関係者への取材で分かった。警視庁は、賄賂にあたるかどうか捜査を進めている。
 さらに、中安容疑者が二〇一〇年以降、百枚以上のタクシーチケットを贈賄側から受け取っていたことも判明した。
 利用したタクシーチケットの総額は少なくとも百数十万円に上り、警視庁は中安容疑者が都内から、さいたま市大宮区の自宅に帰る際、頻繁に利用していたとみている。同庁は十四日、同省を捜索し、中安容疑者を送検した。
 中安容疑者の逮捕容疑では、二〇一一年十月、マイナンバー制度の準備段階として同省が発注した二事業の入札で、同社に有利な取り計らいをした見返りに、同社前社長から百万円を受け取ったとされる。
 捜査関係者によると、中安容疑者は容疑を認めており、受け取った金を家のローンや月々のカード支払いなどに充てていたという。
 中安容疑者の逮捕容疑では、一一年十月、マイナンバー制度の準備段階として厚労省が発注した二事業の入札で、IT関連会社に有利な取り計らいをした見返りに、同社の前社長から百万円を受け取ったとされる。
 同社がマイナンバーの導入が決まった二〇一一年以降、一二年八月~今年六月、三件の関連事業を約十億一千万円で受注しており、これらを含め、少なくとも厚労省発注の五件の業務を総額約十二億二千万円で受注していた。逮捕容疑を含めたこの五件の事業は中安容疑者が統轄していた。
 五件の入札は、参加業者の計画書が厚労省の仕様書にいかに沿っているかを点数で評価する「企画競争入札」で行われた。
 本来仕様書は、本来、厚労省側が作成して業者に提示するが、汚職の舞台となった一一年の二事業では、中安容疑者が贈賄側業者にひそかに仕様書を作成させた上で、贈賄側業者がそれに沿った計画書を提出し、入札を有利に進めたとされる。警視庁はほかの三件の入札の経緯についても調べている。
 日本システムサイエンスの担当者は本誌の電話取材に「一切答えられない」と話している。
 信用調査会社によると、贈賄側の同社は一九九〇年設立で社員十五人、資本金三千万円。取引先は厚労省のほか、経済産業省などの官公庁に特化していた。
★業者の契約解除検討
 厚生労働省発注のマイナンバー関連事業をめぐる汚職事件で、同省が、事件に関わったとされる「日本システムサイエンス」が今年六月に受注した約六億円の関連事業について、契約解除を検討していることが分かった。同省幹部が十四日、民主党に説明した。
 この事業はマイナンバー制度導入後のシステム改修に関する研究で、来年度までの二年間で行われる予定だった。
 また同社は二〇一一年以降、中安一幸容疑者が所属する部署が発注した五件の事業を総額約十二億二千万円で受注していたが、それ以前の〇八、〇九年にも二件受注していたことが判明。中安容疑者が所属する部署が発注した事業を計七件、総額約十五億円で受注していたことになる。

**********NHK NEWS Web 2015年10月15日 17時40分
厚労省汚職 ほかに数百万円受け取ったか

 マイナンバー制度の導入に向けた厚生労働省のシステム設計などの業務を巡る汚職事件で、収賄の疑いで逮捕された室長補佐が、贈賄側の会社からほかにも現金数百万円を受け取っていた疑いがあることが警視庁への取材で分かりました。警視庁は、現金の趣旨について慎重に調べるとともに、いきさつを捜査しています。
 この事件は、厚生労働省情報政策担当参事官室の室長補佐、中安一幸容疑者(45)が、平成23年、マイナンバー制度の導入に向けた医療分野のシステム設計などの業務を巡り、都内の情報関連会社に便宜を図った見返りに、現金100万円を受け取ったとして収賄の疑いで逮捕されたものです。
 これまでの調べで、中安室長補佐は、100万円をカードの支払いなどに充てていたとみられるほか、複数回、飲食の接待も受けていたことが分かっています。
 その後の調べで、中安室長補佐が、会社側からほかにも現金数百万円を受け取っていた疑いがあることが分かりました。
 さらに、タクシー券も繰り返し受け取り、帰宅する際などに使っていたとみられ、総額は100万円以上になるということです。
 警視庁は、これらの現金などについて、何らかの便宜を図ったことへの見返りかどうか、趣旨を慎重に調べるとともに、いきさつを捜査しています。

**********北海道新聞2015年10月16日08:55社説
マイナンバー 汚職が募らせた不信感
 来年から運用が始まるマイナンバー制度のシステム整備事業発注をめぐり、収賄容疑で厚生労働省の現職室長補佐が逮捕された。
 東京都内のIT関連会社の受注に便宜を図った見返りに、現金100万円を受け取った疑いだ。
 制度は、個人情報の漏えいや不正利用の疑念が拭えない上、この時期になっても国民への周知が遅れている。巨額の税金投入に反発も強い。容疑が事実ならば、国民が抱く不信感はますます強まる。
 にもかかわらず、厚労省からは危機感が伝わってこない。事件を警察任せにせず、自ら汚職の経緯や原因を徹底的に究明して、再発防止に向けて襟を正すべきだ。
 室長補佐は情報政策担当参事官室でマイナンバー制度などに関する施策を担当。省内でもずばぬけたIT知識を持っていたという。
 汚職の対象となった2事業は、受注の要件を定めた国の仕様書をもとに業者側が企画書を提出し、国がそれを審査して委託先を決める企画競争入札だった。
 室長補佐は、国が準備する仕様書をこのIT関連会社に作らせ、受注を有利にさせるなど便宜を図った疑いが持たれている。
 2事業の受注額は計2億1千万円だった。しかし、同社はこのほかにも厚労省の業務を4件計12億円余で受注している。
 いずれも室長補佐の部署が発注した事業だ。これらの業務に関連し、数百万円の賄賂や多額のタクシー券を受け取った疑惑もある。
 調べに対して「自分から金を要求した」と供述しているという。その通りであれば公務員のモラルを大きく失墜させる行為だ。
 問題なのは、長年情報政策の仕事を任せ続けた点だ。厚労省は通常、1~3年程度で人事異動を行うが、制度に精通する室長補佐は8年以上、同じ部署に所属した。
 代わりの人材がいないという理由だが、結果的にこれが癒着の温床となった。厚労省の責任は大きい。
 厚労省幹部は「事件は制度そのものと直接関係がないので、運用にはそれほど影響はないだろう」とする。大きな勘違いだ。
 国民のプライバシーを扱う制度である以上、情報管理体制の強化と慎重な制度運用は欠かせない。
 そうでなくても「見切り発車」と批判する声が強いのに、今回の汚職事件は制度に対する信頼をさらにおとしめてしまった。
 厚労省が事件のウミを出し切り厳正に対処しない限り、国民の理解は得られないだろう。

**********読売2015年10月16日
マイナンバー汚職で逮捕の厚労省職員 事業再委託を浦添市に要求
 共通番号(マイナンバー)制度を巡る汚職事件で、厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐の中安一幸容疑者(45)(収賄容疑で逮捕)が2008年、同省のモデル事業を受託した沖縄県浦添市の幹部に対し、贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」(東京)に事業を再委託するよう要求していたことが、市関係者への取材で分かった。同市は実際に事業を同社に再委託していた。中安容疑者は同社と密接だったといい、警視庁で解明を進める。
 同省などによると、モデル事業は、病院や薬局、スポーツジムなどが利用者の健康に関する情報を共有し、効果的な治療や指導を行うなどの内容。08年3~4月に公募型企画競争が行われ、浦添市が計約4億3200万円で受託し、10年度までの3年間実施した。
 中安容疑者は08年3月まで、IT分野を担当する社会保障担当参事官室と併せ、医政局研究開発振興課にも所属。同課の業務として、モデル事業の企画立案などを担当していた。
 当時の浦添市の担当者によると、市が事業を受託した直後の08年4月下旬頃、中安容疑者から電話があり、「システムサイエンス社が入ることは既に決まっている。使ってくれ」などと要求されたという。これを受け、市は同8月、公募型企画競争に唯一応募してきた同社に、受託額とほぼ同じ計約4億3000万円で事業を再委託した。

**********東京新聞2015年10月15日 朝刊
マイナンバー1兆円市場 IT特需に癒着の温床

 住民一人一人に番号を割り当てる「マイナンバー制度」導入に関連する厚生労働省の発注事業を舞台にした汚職事件は、一兆円規模とされる「マイナンバー市場」の旗振り役の官側と、そこに食い込もうとする中小のIT企業の暗部を浮き彫りにした。業界が特需に沸く中、専門家は「今後も官民の癒着の温床となる恐れがある」と指摘する。 (マイナンバー汚職事件取材班)
 厚労省情報政策担当参事官室の室長補佐中安一幸容疑者(45)=収賄容疑で逮捕=に二〇一一年十一月、百万円を贈ったとされるのは、東京・平河町にあるIT関連会社「日本システムサイエンス」。
 社員十五人、資本金三千万円の同社は、中安容疑者が統括した二件のマイナンバー導入の関連事業を計約二億一千万円で受注した。信用調査会社によると、前年まで二百万~三百万円台の利益しかなかったが、同年は五千万円超に。マイナンバー関連の厚労省からの受注額は五件、計十二億二千万円に上る。
 「マイナンバー制度の市場規模は政府の初期投資だけで三千億円、さらにセキュリティー対策などで波及効果が一兆円規模に上るとされる」。三菱総研の中村秀治政策・公共副部門長は話す。厚労省だけでも一四~一六年度の三年間で、自治体への補助金を含め千二百億円のコストがかかり、システム改修費やランニングコストなどに税金がつぎ込まれる。
 そこに参入するのがIT関連企業。通常の企業にとっては、制度は従業員のマイナンバー情報の管理などで大きな負担がかかるが、IT業界には大きな商機となる。東京商工リサーチが六~七月に行った調査では、情報通信企業の35%が「マイナンバーはビジネスチャンス」と回答した。
 また、政府が個人番号によって住民の監視を強める側面を持つ。国税当局のある職員は「(個人番号で)税金をしっかり取れるようにするのが第一のメリット」と本音を漏らす。
 行政事務の効率化という長所が強調された制度だが、政府による個人の監視が進む上、莫大(ばくだい)なコストがかかるという負の側面が、次第に浮き彫りになっている。日弁連情報問題対策委員の清水勉弁護士は「IT業界には年々多大な利益が入り、メリットのある官と民が深い仲になるのは当然。今後も癒着が深まる恐れが十分ある」と懸念した。
<マイナンバー制度> 赤ちゃんからお年寄りまで国内に住民票がある人に12桁の番号を割り当て、税と社会保障などの行政事務を効率化する制度。来年1月から運用が始まる。今月各世帯に郵送される「通知カード」には、12桁の個人番号を記載。来年1月から市区町村の窓口で希望者に配布される「個人番号カード」には住所、氏名、生年月日のデータや顔写真が付き、本人確認に使える。社会保障関係の申請で住民票が不要になるなど手続き簡素化の長所がある一方、住民の監視強化や個人情報流出を懸念する声もある。
**********

※贈賄側の会社概要
商号:日本システムサイエンス株式会社 Nippon System Science. ,Ltd
設立:1990年(平成2年)6月
代表者:代表取締役 八幡秀彌
本社所在地:東京都千代田区平河町二丁目4番14号 平河町KSビル3階 〒102-0093
アクセス: TEL:03-3262-4311(代表)FAX:03-3262-4322
四国事業所:香川県高松市宮脇町一丁目1番23号 帝大ビル6階 〒760-0005
TEL:087-887-7341 FAX:087-887-7342
従業員数:20名
取引銀行:りそな銀行、みずほ銀行、三井住友銀行
沿革:
平成14年6月 本社を千代田区三番町へ移転
平成17年5月 本社を千代田区平河町へ移転
平成23年7月 四国事業所を開設
平成24年4月 日本スマートケア株式会社を設立
事業内容:
◇医療情報標準化普及促進事業
◇医療情報セキュリティ推進事業
◇情報システム構築支援サービス
◇アドバンスト・コンサルティングサービス
  ・プロジェクトマネージメント
◇情報セキュリティ関連サービス
所属団体:保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)、日本HL7協会、保健・医療・福祉情報セキュアネットワーク基盤普及促進コンソーシアム(HEASNET)、一般社団法人 日本医療介護経営研究機構

※参考情報
**********産経2015年8月22日 09:20
マイナンバー、年金連結延期 改正法成立へ
 政府・与党は21日、国民一人一人に個人番号を割り当てるマイナンバー制度と基礎年金番号との連結の開始時期を、当初予定の来年1月から延期する調整に入った。日本年金機構の情報流出問題を受け、再発防止策が図られるまで先送りする。延期期間は半年から1年の方向だ。
 民主党が年金との連結延期を求めており、今国会に提出中のマイナンバー法改正案に連結時期延期の修正を盛り込む方向。与党は修正を受け入れる方針で、法案は今国会で成立する見通しとなった。法案は衆院通過後に年金情報流出問題が起き、参院での審議が止まっていた。
 年金番号と連結すれば、年金機構内部でマイナンバーが使えるようになり、利用者の相談に応じやすくなる。
 平成29年1月からはマイナンバーを労災保険など他の制度と連携させ、給付調整などに使う予定だったが、この時期も延期する方向だ。
 改正案は、国民全員に割り当てる個人番号を、30年から金融機関の預金口座にも適用するとの内容。マイナンバー制度では、年金受給に必要な書類が簡略化できるようになる。

**********NHK 2015年09月03日 (木) 午前0:00~
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/226730.html
時論公論  「マイナンバー 改正法 成立へ」 竹田 忠 解説委員
 国民一人一人に一生かわらない番号を割り振るマイナンバー制度。あとひと月余りで、番号の通知が始まります。このマイナンバー制度の改正法案が、日付が変わってきょう3日にも国会で可決・成立する見通しです。改正法案は、番号の使い道を、新たに銀行の預金口座などに拡大します。
 その一方で、制度の中核的な分野である、年金への適用を当面、延期します。これは、年金情報の大量流出問題を受けたものです。
しかし、もともと政府は、消えた年金問題などを防ぐために、マイナンバーの導入が必要だと説明をしてきたわけでして、その年金への適用を先送りすることは、制度の大きな軌道修正を迫られた形です。
 サイバー攻撃が相次ぐ中、マイナンバー導入に伴う情報漏えいへの不安は払しょくできるのか?きょうは、この点を中心に考えます。


▼改正法案とは?
 まず、今回の改正法案を整理します。マイナンバーは、国民全員に割り振られる、一生変わらない12桁の番号です。
 今年10月中旬以降、簡易書留を使って、世帯単位で、国民に番号が届きます。
 そして来年1月からは、主に社会保障と税の分野で各役所が別々に管理している個人情報を、番号を使って結び付け、事務作業を効率化します。
 ここまでは、既におととし(2013年)成立したもともとのマイナンバー法で決まっていることです。


 今回の改正法案は、どう違うのかいうと、この番号の使い道をさらに広げて、金融機関の預金口座に結び付けます。これによって税務当局や自治体が、国民の資産を把握しやすくなり、脱税の防止や税の徴収がしやすくなります。
 口座への番号の適用が始まるのは2018年からで、これは、あくまで”任意”です。
 つまり、預金者本人が同意して、自分の番号を銀行に教えれば、口座に番号が振られるというものです。政府は、その3年後に、義務化も含めて検討することになっていまして、今後の議論が焦点となりそうです。


 この改正法案が、5月に衆議院を通過し、参議院に送られたところで、年金情報の大量流出事件が発覚したわけです。
 このため、情報管理に不安のある日本年金機構がマイナンバーを扱うことは、当面、延期する、つまり、年金を、番号の適用対象から、事実上、当面外す、というふうに法案が修正されて、きょうにも可決・成立する見通しとなったわけです。
 制度の大きな軌道修正です。


▼無防備だった年金
 今回、問題となった、年金の大量流出事件では、年金を受けている人の氏名や住所、生年月日など、125万件、人数にして101万人分もの個人情報が外部に流出しました。直接の原因は、何者かが業務を装った大量のウイルスメールを送りつけたことにあります。
 しかし、結果として、情報が漏れた背景には、日本年金機構の日頃のずさんな情報管理がありました。といいますのも、機構では、本来、年金の個人情報というのは外部とはいっさい遮断された、基幹ネットワークの中に保管されています。厚い壁に守られているようなものでシステム的には頑丈な仕組みです。
 なのに、なぜ、流出したのか?問題は運用にありました。
 基幹ネットワクークの中にある個人情報をCDやDVDにコピーして、それを、外部のインターネットとつながっているパソコンに入れて、作業していたためです。このため、サイバー攻撃を受けて情報が漏れてしまったわけです。


 セキュリティーの専門家は、こういう重要な情報を外に出して扱う場合は、外部のネットとは全くつながっていない、スタンドアローンと呼ばれる端末を使うべきであって、ここに安全管理上、大きな落ち度があったと指摘しています。


 また、機構の内規では、そもそもこういう使い方をする場合は、情報が漏れにくいように、パスワードを設定したり、アクセス制限をかけたりすることになっていましたが、それも、充分に守られていませんでした。機構自身が行った内部調査の報告書は「ルールは有名無実化していた」と指摘しています。
▼変わらない ずさんな体質
 では、なぜ、このようなずさんなことが許されていたのか?
 内部調査の報告書は、旧社会保険庁時代から指摘されてきた問題、いわば“社保庁体質”が、問題の根底にあるといいます。
 それは、具体的に言えば、ガバナンス(組織統治)の脆弱さ、組織としての一体感の不足そして、ルールの不徹底、だと、報告書は言います。


 かつて、旧社会保険庁は、年金業務を巡って様々な問題を起こしたあげく、ついには、合わせて5千万件もの年金記録が誰のものかわからなくなっていることが大問題となり、組織が解体され、日本年金機構に生まれ変わりました。
 この時に、組織の体質として指摘されたのが、ガバナンス(組織統治)のなさや、組織としての一体感の不足という、まさに同じ問題でした。
 つまり、同じことが繰り変えされているわけです。


 さらに、日本年金機構を管理する厚生労働省の対応にも問題がありました。
 年金機構がサイバー攻撃を受ける2週間ほど前、実は、厚生労働省も同じような手口のサイバー攻撃を受けていました。


 専門家は、この時の情報をただちに機構側に伝えていれば被害は少なくてすんだ可能性があると見ていますが、厚生労働省は連絡しませんでした。
 これについて、厚生労働省の第三者検証委員会の報告書は、厚生労働省と日本年金機構は、お互いに情報や危機感の共有がなく、組織が一体として危機にあたる体制になっていないと結論づけています。
 年金業務をあつかう現場が、ここまで、サイバー攻撃への危機意識がなく、無防備である以上、当面、マイナンバーという重要な情報を任せるわけにはいかにない、それが改正法案の趣旨です。


▼連結延期とは?
 では、マイナンバーと年金の連結延期で、今後どうなるのか?
 法案では、延期する期間は、最長で1年5カ月となっています。本来は、マイナンバーの運用開始の来年1月から、日本年金機構では、年金相談にマイナンバーを利用したり、内部の事務手続きで基礎年金番号とマイナンバーを連結させて、事務作業を効率化する予定でしたが、そういうことがすべて凍結されます。
 今後、政府は、年金機構と厚生労働省による情報管理の強化策を見極めた上で連結時期を改めて決めることになりますが、抜本的な対策には、組織改編も必要になり、時間がかかることになります。
 そこで焦点となるのは、さ来年・2017年の1月です。自宅のパソコンで、年金の納付状況などが確認できるマイナポータルという仕組みがこの時期から開始されます。
 もし、これまでに年金との連結が間に合わなければ、マイナンバーの柱である、このマイナポータルそのものに影響が出かねません。


▼自治体への懸念
 最後に、こうやって、年金だけを切り離して、それで情報漏えいへの不安は払しょくされるのでしょうか?
 実は今、多くの専門家がセキュリティー対策で懸念を指摘しているのは、実は、自治体です。というのもマイナンバーで結び付く、社会保障と税の実際の業務の大半を担っているのは、全国およそ1800の自治体です。
 しかし規模の小さな自治体の場合は、セキュリティー対策にあてるヒト、モノ、カネに限度があります。税や福祉などの重要な住民情報をあつかう基幹ネットワークがインターネットから、完全に分離されていない所も、まだ残っているとみられます。
 先日の参議院の質疑では、IT政策を担当する山口 沖縄・北方担当大臣が自治体のセキュリティー対策について聞かれ、「正直って心配もある」と答弁しています。
そして、「サイバー攻撃への対策が不十分な自治体でも制度に加えるのか」と問われたのに対し、「出来ていない自治体は制度に入れない」と答弁しました。
 つまり、それだけ、政府内部でも不安が残っているわけです。
 番号通知まで、あと一月あまり。政府は、日本年金機構と、自治体のセキュリティー対策について支援策を急ぐ必要があります。(竹田 忠 解説委員)

※当会注:このように、日本年金機構の情報漏えい問題で、マイナンバー制度実施開始を最大1年5カ月ほど延期しようというのが改正法です。即ち、マイナンバー制度は年金情報や税収などの管理が主目的ですから、マイナンバーとのヒモ付けができなければ意味が有りません。しかし、それでマイナンバー制度を延期すると、主目的がバレてしまうため、予定通り2016年1月から始めるというのが本音のようです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

河内長野市生活保護費2億6千万着服事件と安中市タゴ51億円着服事件

2013-12-03 22:39:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件

■大阪府河内長野市は大阪府南部にあり、和泉山脈を隔てて奈良県と和歌山県に接している大阪府内で3番目に広い面積(109.61km²)を有する人口109,559人(平成25年10月1日現在)の自治体です。平成25年10月20日、同市に勤務する40代の職員が、業務上横領容疑で大阪府警捜査2課に事情聴取を受け、同市役所などが家宅捜索されたあと、同職員は10月21日に逮捕されました。

**********読売新聞2013年10月21日(月)23時18分配信
生活保護費2億6千万円不明、元福祉課職員逮捕
 大阪府河内長野市で生活保護費約2億6600万円が使途不明になり、内部犯行との見方が強まっていた疑惑で、府警捜査2課と河内長野署は10月21日夜、不明金のうち4百数十万円を着服したとして、市まちづくり推進室主査・宮本昌浩容疑者(43)(大阪府富田林市高辺台)を業務上横領容疑で逮捕した」
宮本容疑者は調べに容疑を認め、「株など金融商品の購入のほか、預貯金に充てたり自宅で保管したりしていた」などと供述。自宅からは数千万円がかばんやビニール袋などに入れた状態で見つかり、府警が押収した。
 発表では、宮本容疑者は生活保護業務を所管する生活福祉課で保護費の出入金などを担当していた2010年5月中旬~同11月上旬、十数回にわたり、保護費を管理する同課課長名義の口座から、計4百数十万円を庁舎内の現金自動預け払い機(ATM)で引き出して着服した疑い。
 着服総額については「考えて整理しないと分からない」と言っているという。府警は、市からの告訴を受け、20日に市役所などを捜索。宮本容疑者については、同日に続き、21日も朝から事情を聞いていた。
市市によると、宮本容疑者は1993年4月採用。仕事熱心との評判で、後輩を厳しく指導することも多く、ある同僚職員は「金に絡むトラブルは聞いたことがない」と驚く。職場では夜遅くまで残業したり休日出勤したりする姿が度々目撃されており、この職員は「頑張っているなと労をねぎらったこともある。不正が本当なら許せない」と憤った。
 宮本容疑者は2001年から生活福祉課で勤務し、保護費の支給額を決定する「電算システム」担当を務めていたが、保護費を現金で引き出せる「経理」担当の女性職員が出産休暇に入った09年1月以降、この業務も兼務することになった。
市によると、保護費はシステム担当らが入力したデータを基に支給額などが決定され、多くは受給者の口座に振り込み入金されるが、市の窓口で支払う場合は、経理担当が現金を引き出す仕組み。二つの担当は本来、分離されていたが、宮本容疑者は異例の兼務となったことで、保護費の支給事務を独占管理することができるようになった。
 宮本容疑者は、システム担当の立場を悪用し、受給額を水増しするなど架空の支出を捏造し、さらに支給方法を窓口としたうえで、経理担当の立場も悪用。支給を装って庁舎内のATMから引き出すなどして着服していたとみられる。
 窓口払いの場合は、職員が受給者に保護費を渡した証明として領収書を上司に提出する必要があるが、宮本容疑者は、同僚らに「書き損じに備えて受給者からもらっておいて」と依頼して金額を抜いた状態のものを集めておき、後で金額を入れて提出していたという。
市は「大きな権限を与えたことが、不正を許す結果につながってしまった」とし、管理体制の甘さなどを詳しく調べたうえで、関係者を処分する方針。

**********日経2013年10月22日 2:00
河内長野市職員を逮捕 生活保護費着服の疑いで大阪府警
 大阪府河内長野市の職員が生活保護費の支給を装って公金を着服したとされる事件で、大阪府警捜査2課は21日、約400万円を着服したとして、同市まちづくり推進室職員、宮本昌浩容疑者(43)=同府富田林市高辺台3=を業務上横領の疑いで逮捕した。市によると、2009年以降の2年間で生活保護費計約2億6千万円が使途不明になっており、同課は捜査している。
 捜査2課によると、宮本容疑者は容疑を認めている。横領した金は株式の購入や預貯金に充てたほか、現金数千万円を自宅で保管していた。
 市によると、宮本容疑者は09年1月~11年3月まで生活福祉課で生活保護費の支給業務を担当。同容疑者が異動後、市の保護費は前年度より約7500万円減少。市内の受給世帯数は増加しており、市は同容疑者が担当を外れたことで着服が止まったとみている。
 逮捕容疑は、10年5~11月、保管していた同市生活福祉課長名義の口座から十数回にわたり、現金計約400万円を引き出し、着服した疑い。横領した現金はすべて市役所に設置されたATMで出金していた。
 市によると、同容疑者が異動後の11年4月、元受給者の男性に1度に約5千万円を支給した記録が判明。不審に思った別の職員が上司に報告したが、上司はエラーと思い込み放置。12年8月のシステム更新時にもエラーが確認され、内部調査をしたところ不明朗な支出が発覚した。
 市は昨年10月に府警に相談、今月上旬に刑事告訴していた。

**********毎日新聞 2013年10月21日 23時21分
河内長野市:市職員を逮捕 生活保護費着服の疑い
 大阪府河内長野市の生活保護費の不正支出問題で、大阪府警は21日、生活保護費約400万円を着服したとして、市まちづくり推進室主査、宮本昌浩容疑者(43)=同府富田林市高辺台3=を業務上横領の疑いで逮捕した。府警は宮本容疑者の自宅から、カバンやビニール袋に小分けされた現金数千万円を押収した。不正支出の総額は約2億6600万円に上る可能性があり、府警は余罪や使途を追及する。【津久井達、遠藤浩二、近藤諭】
 逮捕容疑は、生活保護を担当する生活福祉課にいた2010年5月〜11月、市の口座から生活保護費として約400万円を不正に引き出して着服したとしている。
 捜査2課によると、宮本容疑者の複数の口座に多額の入金があった。また、不正支出した金は株などの金融商品の購入費にも充てていたとみられる。
 宮本容疑者は容疑を認めた上で、「どれくらい着服したのか、整理しなければ自分でも分からない」などと供述しているという。
 宮本容疑者は、生活保護費の加算分の申請書類や受給者の領収書を偽造して不正支出し、市役所内の現金自動受払機(ATM)から現金を引き出していたとみられる。市によると、09年1月〜11年3月、計約2億6600万円が約1300件に分けて不正支出されていた。
 宮本容疑者の逮捕を受け、芝田啓治市長は「信頼を失墜させ、心からおわびします」とのコメントを出した。

**********時事2013年10月21日 22:37)
河内長野市職員を逮捕=生活保護費横領疑い-大阪府警
 大阪府河内長野市の職員が生活保護費を横領したとされる事件で、府警捜査2課などは21日、業務上横領容疑で同市都市建設部主査、宮本昌浩容疑者(43)=同府富田林市高辺台=を逮捕した。市によると、総額約2億6600万円を横領した疑いがある。
 同課によると、「株などに使った」と容疑を認め、自宅から現金数千万円を押収したという。
 逮捕容疑は、生活福祉課在籍の2010年5~11月、生活保護費約四百数十万円を横領した疑い。
 市によると、同容疑者は09年1月~11年3月、支給状況を記録する電算システムの管理と経理事務を担当し、着服は1326回に及んだ。この間、上司のチェックは一切なかったという。
**********

■その後、警察が同職員を送検し、平成25年11月11日、大阪地検堺支部は、市まちづくり推進室の元主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=を生活保護費の不正支出による業務上横領罪で大阪地裁堺支部に起訴しました。

 その後、取調べが進むに連れて、事件の概要が次第に明らかになってきました。
 同市関係者は、市の調査で判明した被害総額は約2億6千万円に上るとしており、業務上横領の疑いで逮捕されたのは、同市まちづくり推進室の元主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=でした。逮捕容疑は、生活保護費の支給担当をしていた2009年からの約2年間に着服した疑いがあるというものです。

 平成25年11月6~11日のマスコミ報道です。

**********産経2013.11.6 02:05
河内長野市職員の生活保護費着服 市側答弁 大阪
■「2.6億円返済の資力ある」
河内長野市職員による生活保護費着服事件で、原因究明と再発防止に向けた市議会特別委員会が5日開かれ、市は、約2億6千万円を着服したとされる元市主査の宮本昌浩容疑者(43)について、全額を返すことができる可能性があることを明らかにした。
 田中満副市長が 「相手方の弁護人から(宮本容疑者に)2億6千万円を返す資力はあるように聞いているが、はっきりした額は教えてもらっていない」と述べた。また、市は、宮本容疑者名義の可能性がある金融機関口座の預金仮差し押さえについて、新たに約3千万円を確保し計約5千万円になったことを示した。
 一方、委員からは、市のチェック態勢への批判が相次ぎ、市側は、当時の上司2人に聞き取りを行ったとしたうえで、生活保護費などを決定する査察指導員が宮本容疑者に決定行為を任せていたほか、支出の決裁を行う課長がほとんどノーチェックで押印していたことを明らかにした。

**********スポニチ 2013年11月11日 12:45
大阪・河内長野市 生活保護費横領の元市主査の資産4億円超
 大阪府河内長野市の生活保護費着服事件で、業務上横領の疑いで逮捕された元市主査宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=が、4億円以上の資産を保有していたことが11月11日、大阪府警への取材で分かった。河内長野市は着服の総額を約2億6000万円としている。
 府警捜査2課によると、着服の動機を「小さいころから裕福ではなく、お金に対する強い執着心を持っていた」と供述。同課は、宮本容疑者が着服金だけでなく給与の多くを貯蓄に充てていたとみている。
 同課によると、宮本容疑者の自宅からは8000万円を超える現金が見つかっており、1億円以上の預貯金や2億円を超える株式や投資信託などの金融商品も保有していた。
 大阪地検堺支部は11月11日、保護費約400万円を着服したとして宮本容疑者を業務上横領罪で起訴した。

**********産経2013.11.11 13:03
「金に強い執着」業務上横領罪で元河内長野市主査起訴 4億円超蓄財も

↑業務上横領罪で起訴された元河内長野市主査の宮本昌浩被告(今年3月撮影) ↑
 大阪府河内長野市の生活保護費着服事件で、業務上横領容疑で府警に逮捕された元同市主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=が「小さいころに家庭が裕福でなかったため、金に強い執着を持つようになった」と供述していたことが11月11日、府警への取材で分かった。
 府警によると、宮本容疑者は不正のきっかけを「ミスを隠したらばれなかったことがあり、横領してもばれないと思った」と説明したという。
 宮本容疑者には4億円超の資産があることも判明。自宅から約8千万円の現金が見つかったほか、約1億2千万円の預貯金や、約2億円にのぼる投資信託などの金融商品を保有していた。
 一方、大阪地検堺支部は11月11日、約420万円の業務上横領罪で宮本容疑者を起訴した。起訴状によると、平成22年5月~11月、11回にわたり、河内長野市役所内のATM(現金自動預払機)で、生活保護費を管理する口座から計418万5933円を引き出し、着服したとしている。

**********毎日2013年11月11日 12時10分(最終更新11月11日12時30分)
生活保護費着服:河内長野市の元職員を起訴
 大阪府河内長野市の生活保護費の不正支出事件で、大阪地検堺支部は11日、市まちづくり推進室の元主査、宮本昌浩容疑者(43)=懲戒免職=を業務上横領罪で大阪地裁堺支部に起訴した。捜査関係者によると、宮本被告は着服を認めているという。
 起訴状によると、宮本被告は2010年5月18日~11月2日の計11回、業務で保管していた生活保護費約419万円を市役所内の現金自動受払機(ATM)から引き出したとされる。
市の調査では、宮本被告は領収書を偽造するなどの手口で、09年1月~11年3月の間に約2億6600万円を不正に引き出したとされる。
 一方、宮本被告は府警の調べに、「幼い頃、裕福でなく、欲しいものが買えず我慢していた。お金があれば困らないと思い、ためられるだけためようと思った」と動機を説明。 自宅に8000万円以上の現金があったほか、預金や株などの投資分を含めると、宮本被告の資産は4億円を超えるという。 不正に手を染めるきっかけについては、「ミスを隠そうと虚偽の手続きをしたが発覚しなかった。同様の不正をしてもばれないと思った」と話しているという。 【高瀬浩平】
**********

■そして、最近のマスコミ報道では、さらに河内長野市のデタラメ行政ぶりが明らかにされています。

**********産経2013年11月26日 07:00
生活保護横領で資産4億円超、銭ゲバ公務員「昔が貧乏だったから」のドケチぶり…犯行許した大阪・河内長野市のデタラメぶり
 4億円を超え、自宅の廊下には無造作に8千万円の札束が置かれていたという(平成25年3月撮影) ↑
「横領しても、絶対にばれない」。大阪府河内長野市の元職員が狙いを定めたのは、ずさんな管理下にあった巨額の税金だった。市の口座から生活保護費約2億6600万円を不正に引き出し、うち約400万円を着服したとして大阪府警に逮捕された元職員。ところが、手にした大金は散財することなく、大半を貯蓄に回したり、投資運用していた。そして、低家賃の団地で質素な生活を続けた。逮捕時に貯め込んでいた金融資産は4億円超。カネに強い執着心を持つ“銭ゲバ”というべきで、元職員は犯行動機についてこう供述したという。「お金があれば困らない。貯められるだけ貯めたかった」
■自宅廊下に8千万円「札束」
10月20日、大阪府富田林市の団地の一室を捜索した府警の捜査員は、思わず目を疑った。2DKの室内にあったのは現金約8千万円分の札束。リュックサックやポリ袋などに小分けして詰め込まれ、家族が頻繁に行き来する廊下の片隅に無造作に放置されていた。
 部屋の主は元河内長野市職員の宮本昌浩被告(43)=業務上横領罪で起訴、懲戒免職。平成13(2001)年から約10年間、生活保護を主管する部署で働き、同僚から保護行政のエキスパートとして一目置かれる存在だった。
 府警は札束を押収。翌21日、自ら管理していた市の口座から約400万円の保護費を着服したとして、宮本被告を業務上横領容疑で逮捕した。
 妻は大金が廊下に置かれていることに気づいていたが、「家計のことで旦那に口を出すと怒られる」という理由で追及しなかった。一方、宮本被告は府警の調べに「本当は銀行に預けたかったが、あまりに金額が多いと不審に思われる恐れがあり、怖くてやめた」と話したという。
■金に執着、交通費二重請求も
 府警によると、宮本被告は逮捕時、4億円を超える金融資産を保有していた。内訳は、自宅にあった現金8千万円のほかにも預貯金が1億2千万円、投資信託などの金融資産が2億円以上。投資の損失はなく、着服したとされる約2億6600万円はほぼ手つかずで残っていた計算になる。
 一般的に大金を手にした横領犯は、住居や車、遊興費などに派手に使い込む傾向がある。ところが、共働きの妻と子供2人との4人暮らしの宮本被告は、家賃5万円程度の団地から引っ越さず、車も軽乗用車のままだった。
 質素倹約を貫いたのは金への強い執着心があったから。府警の調べに、「幼いころに裕福でなく、ほしいものが買えずに我慢していた。金があれば困らないと思い、貯められるだけ貯めるという考えを持つようになった」と明かしている。
 ある同僚も「とにかくケチ。細かい出費にもうるさかった」と打ち明ける。例えば経費精算。南海電鉄の株主として得た無料乗車証で通勤しながらも、市に交通費を請求し、却下されたことがあったという。
■ミス隠蔽ばれず、着服を計画
 「金さえあれば安心」。そうは思っても、普通はそう簡単に他人の金を着服できない。ところが、宮本被告は思わぬ偶然から犯行を思いついた。
 あるとき生活保護費を二重支給するミスをしてしまった。それを隠蔽するために虚偽の手続きを取ったところ、内部で問題にならなかったのだ。
 「ミスのつじつまを合わせようとしても発覚しないのなら、横領してもばれない」
 そう考えると、平成21年1月~23年3月、計1326回にわたって市の口座から現金約10万~40万円を繰り返し出金。総額は約2億6600万円にまで膨れあがった。
 思惑通り、市はその間、全く犯行に気づかなかった。その背景には、保護費の支給事務を宮本被告に独占させていたという、市のずさんすぎる公金管理の実態があった。
■筆跡酷似の領収証、見抜けず
 市の支給事務ではまず、受給者の申請を「ケースワーカー(CW)」が審査し、保護費の支給の可否や支給額を決定。端末に入力したそれらの情報を「電算システム担当」が管理し、最後に「経理担当」が受給者の口座に現金を振り込んだり、CWを通じて窓口で直接現金を支給したりする流れになる。
 これらの担当は本来分離されるべきものだが、宮本被告は21年1月以後、出産休暇に入った経理担当の女性職員の代理を任され、一人三役を兼務していた。
 この状況を利用し、元受給者や架空の受給者への支給をでっち上げるなどの方法で端末にでたらめな金額を入力し、庁内のATMから保護費を次々に引き出した。
 さらに、経理担当が保護費を渡した証明としてCWを通じて受給者から受け取る領収書について、白紙の領収書を同僚CWらに催促。自ら印鑑を用意するなどして偽造していた。
 このような「大胆かつ稚拙(ちせつ)」(市幹部)なやり口にもかかわらず、上司らは決裁をスルーし続けた。偽造された領収書には似たような筆跡が並んでいたにもかかわらず、だ。
 市幹部は「誰かが領収書の束を見ていれば犯行に気づけた。ずさんなチェック態勢だったと言わざるを得ない」とうなだれた。
■府監査に「兼務解消」とウソ
 「行政の信頼を根幹から揺るがす。本当に遺憾だ」
 宮本被告の逮捕後、市は世間の猛烈な批判にさらされ、ついには閣議後の記者会見で田村憲久厚生労働相から名指しで糾弾された。
 しかしその後も、市の信じられない保護行政の実態は次々と明るみに出た。
 実は市では、宮本被告の着服が始まったとされる21年以前にも、保護費の申請と支出の業務を宮本被告に兼務させていた。府は不正につながる恐れがあるとして、定期監査で2度にわたって「不適切」と指摘。宮本被告はいったん兼務を外れたが、市は23年1月に再び元の状態に戻し、府には「兼務を解消した」と嘘の報告をしていた。
 職員が金を貯め込んでいたため、着服したとされる約2億6600万円の保護費は全額弁済される見込みだが、市の保護行政への信用は地に落ちた。市議会はすでに議員全員が参加する特別委員会を設置し、原因究明と再発防止に向けた議論を進めている。
 ある府警の捜査関係者は「上司のずさんな決裁を狙い撃ちにした元職員も、それに気づかず元職員に業務を任せきりにしていた役所も、結局どっちもどっち。情けない行政の尻拭いをさせられた気分だ」と切り捨てた。

↑大阪府河内長野市の生活保護費と受給者数の推移。宮本昌浩被告が担当していた時期をみれば、担当を外れた年に保護費、受給者数ともに減っていることがわかる。 ↑
**********

■51億円巨額横領事件で名を馳せた安中市に負けずとも劣らない河内長野市の生活保護費を巡る担当職員による横領事件ですが、両者には共通する部分が多々あります。

●共通点その1<管理監督面のズサンさ>
 使途不明となった約2億6千万円が平成21年1月~23年3月までのわずか2年2カ月の間に、死亡や転出などで生活保護費の支給対象者が市内に存在しないにもかかわらず、1326件もの虚偽公文書が作成され、それが誰にも見破れなかったということ。おなじ生活福祉課にいる同僚や上司は一体何をしていたのでしょうか。
 安中市のタゴ51億円事件では、本人が横領金で金満生活をしていて、80万円もするスーツや骨董品の古伊万里の湯飲み茶碗を得意げに披露したり、さらには、市役所内で競馬のノミ行為をして、多くの職員が関与し、さらには高崎競馬場でタゴと一緒に馬券を買ったり、徹夜マージャンに興じたり、果てはタゴから横領金で購入した骨董品をプレゼントされていた職員らもいました。しかも、タゴのことを真面目で仕事熱心で有能な職員だとして、15年間も同一職場に配置していたのです。当時タゴが作った公社の決算書から繰越金500万円が消えていても公社監事として承認印を押したのが当時市議会議員だった岡田義弘市長ですが、岡田市長はこの件で未だに説明責任を何も果たしていないのです。

●共通点その2<偽造書類のオンパレード>
 本来、役所で作成される公文書は性善説にもとずくため、例えば法務局などでも登記する場合、嘱託登記といって、極めて簡単な手続で済みます。役人が申請書や領収書などを勝手に偽造しても、金融機関や公的機関はそのまま鵜呑みにします。役人が作成したり受け取ったりしたあとの文書というのはそれくらい信用があるのです。だから、詐欺師や横領犯が役人になると、何でもやり放題なのです。
 河内長野市の場合、領収書の偽造から始まって、死亡者や実在しない人物を受給者に仕立て上げて、5千万円もの偽装振込み等、不正件数が1326件にのぼっても、誰も何も築かない、というのが役所の実態なのです。民間ではクロスチェックが常識なので、こんなに酷いズサンな会計処理は考えられません。河内長野市では、今回の着服事件が始まったとされる平成21年以前にも、生活保護費の申請と支払いの両方の業務を同一職員に兼務されていたというのです。役所ではいったいどんな仕事のやりかたをしているのでしょうか。
 安中市のタゴ51億円事件の場合には、公社が土地買収をする際に、銀行振り込みをせずに、タゴが群馬銀行から現金を1千万円単位でおろして、それを関係者に支払っていたのに、同僚も上司もだれも一緒に銀行に行かずに、また群馬銀行もそのことを異常に思わず、平気で長期間、タゴのやることについてチェックしないままでした。現金取引ですから、領収書も簡単に偽造できます。他の自治体の公社や、他の金融機関ではきちんと口座振替で支払いを行っていたのに、安中市の場合は、横領犯を長年野放しにしていたおかげで、51億円もの大金が簡単に職員のものになりました。しかも、事件発覚の何年か前に、タゴの行状が不審だということで配置換えの提案が出されましたが、当時市議だった岡田現市長がその提案を握りつぶしたこともありました。勿論、岡田市長はこのことについて事件発覚後18年も経過するのに、一言も説明責任を果たしていません。

●共通点その3<自宅廊下に札束ゴロゴロ>
河内長野市の場合、職員は大阪府富田林市の団地に住んでいました。ここを捜索した警察の捜査員によれば、2DKの室内に現金約8千万円分の札束がリュックやポリ袋などに小分けして詰め込まれ、家族が頻繁に行き来する廊下の片隅に無造作に放置されていたということです。当然、家人が不審に思うはずですが、公務員の家族というのは、なぜか巨額のカネに対して感覚が鈍いようです。妻は大金が無造作に廊下にあることに気づいていたのに「家計のことで旦那に口を出すと怒られる」という理由で追及しなかったそうです。一方、横領職員は警察に対して「本当は銀行に預けたかったが、あまりに金額が多いと不審に思われる恐れがあり、怖くてやめた」と話しています。こうした家族ぐるみでの犯罪というのが公務員の横領事件の一つの特徴だとも言えます。公務員の家族は「横領金だとはしらなかった」と言えば、お咎めがないと指導されているのかもしれません。
 安中市のタゴ51億円事件の場合、家の中に高価な骨董品がゴロゴロしており、さらに、記念硬貨が数百万円分も引き出しにしまってありました。群馬銀行には合計すると1億円を遥かに超える預金が家族名義でも預けられておりました。もちろん、正月には銀座の三越から特別仕様のおせち料理を取り寄せ、100万円もする大島紬の和服を着て、地元の新年会に顔を出していました。妻は毎月100万円以上の小遣いをもらい、総額1億5千万円をもらって贅沢三昧をしていても、警察での事情聴取では、「まさか横領金とはしらず、夫が“ギャンブルでもうけた”という話を信じきっていた」と平然と言えば、共同正犯には問われないのです。

●共通点その4<金に執着、交通費二重請求>
 河内長野市の事件では、警察によると、元職員は逮捕時に4億円を超える金融資産を保有していたそうです。内訳は、自宅の廊下に無造作に放置してあった現金8千万円のほかにも銀行での預貯金が1億2千万円、投資信託などの金融資産2億円以上だったとか。タゴと異なり、豪遊による散剤はあまりせず、着服したとされる約2億6600万円はほぼ手つかずで残していたようです。
 一方、安中市のタゴ51億円事件の元職員は、まだ横領金がさほど多くならない昭和50年代には、市営住宅に入居していました。当時、どんな手を使ったのかわかりませんが、母子家庭ということで入居し、地区の区長や隣保班班長が回覧板を届けに行くと、母子家庭のはずのタゴ宅に元職員が同居していて驚いたというエピソードがあります。
 このことから、おそらく河内長野市の元職員の場合も、初めの2、3年間で横領額が2、3億円の段階ではまだ“銭ゲバ”状態であったかもしれませんが、さらに横領額が拡大すれば、安中市のタゴ51億円事件のように、住居や車、遊興費などに派手に使い込む傾向に変化していく可能性があります。
 なお、安中市の場合、タゴが金満家だということを同僚や上司も知っており、市の職員が市内のスナックで飲み食いしたあと、市役所の直ぐ前に済んでいるタゴを呼び出し、代わりに支払わせていたというエピソードは市民の間ではつとに有名です。
 もっともこのエピソードを市の職員に聞かせると、「そんな話は長年勤務して来たが、一度も聞いたことがない」と口を揃えて言い張るのも興味深いことです。

●共通点その5<市の口座から毎週10回以上現金で引き下ろし>
河内長野市の事件では、元職員が、平成21年1月~23年3月の27ヶ月間に計1326回にわたって市の口座から現金約10万~40万円を繰り返し出金し、総額は約2億6600万円に上りました。ということは、27ヶ月間=810日間で1326回ですから、平日にすれば578日間となり、1日平均2回以上、現金を口座から庁内のATMで下ろしていたことになります。
一方、安中市のタゴ51億円事件の場合は、元職員タゴは毎週1回のペースで平均1千万円前後の現金を群馬銀行安中支店の窓口で、持参した黒い布袋に入れてもらって堂々と同支店を出ていました。しかも、現金を窓口で準備する間、元職員は支店長室に呼び込まれ、支店長からチヤホヤされていたのでした。そのチヤホヤしても都職員の機嫌をとっていたのが、現在、群馬県信用組合(けんしん)の理事長をしている当時群銀安中支店の松井誠・元支店長でした。
市の公金管理のズサンさはもとより、金融機関の役人に対する対応のズサンさも問題です。

●共通点その6<偽造領収証が見抜けない>
 河内長野市の事件では、同市の生活保護の支給事務において、①まず、受給者からの申請を「ケースワーカー(CW)」が審査し保護費の支給の可否や支給額を決定し、端末にそれらの情報を入力する。②それらの情報を「電算システム担当」が管理する。③最後に「経理担当」が受給者の口座に現金を振り込んだり、CWを通じて窓口で直接現金を支給したりする。というプロセスになるようです。これを元職員が2年3ヶ月の間、一人三役で兼務して、存在しない受給者を仕立てて偽造書類をでっち上げ、庁内のATMから打ち出の小槌同然で現金を引き出していました。さらに保護費を渡した証明となる領収書は、白紙の領収書を顔なじみのCWからもらって、適当に三文判を勝手押印していたというのです。さらに偽造された領収書には同じような筆跡が並んでいましたが、同僚や上司は誰もその領収書の束を見ようともしませんでした。
 安中市のタゴ51億円事件の場合はさらにズサンです。元職員タゴが、群馬銀行から金銭消費貸借証書や払い戻し請求書を大量にもらい、偽造書類を作成して公社の理事長印を自由自在に押印しまくり、さらに秘書課で市長印を管理している係長に、偽造書類に市長印をバンバン押してもらっていました。その当時係長だった横田係長は、市内に途方もない豪邸を建てて、今も悠々自適の暮らしをしています。共同正犯には問われなかったためです。

●共通点その7<府の監査に「兼務解消」と平気でウソをつく>
 河内長野市の事件では、元職員の着服が始まった平成21年以前にも、保護費の申請と支出の業務を宮本被告に兼務させていたとのことです。ということは通常は2年で異動させるところを、さらに長期間同一配置させていたことになります。「兼務」というのは不正の温床ですから、民法でも「双方代理の禁止」という取引の権限が同一人物に帰することを認めていません。しかし、同市では、不正の温床を大阪府の監査で指摘されて、一旦兼務を解除したのに23年1月に再び元の状態に戻したうでに、大阪府には「兼務を解消した」とウソをついていました。
 安中市のタゴ51億円事件の場合、既に述べたように、あまりにも長期同一配置による弊害を懸念した公社理事らが、タゴの配置転換を提案しましたが、当時の小川勝寿市長や、当時市議で公社監事・理事の経験者だった岡田義弘・現市長が配置展開の提案を握りつぶしたのでした。しかも、18年前にタゴ事件が発覚した後、事件の再発防止のため、それまで市長が公社理事長も兼務していた体制をあらため、別法人としての形を外部に示す為に、ずっと市長と理事長は別々の人物が就いていました。しかし、平成19年6月から、市長就任2年目の岡田市長が、突然安中市土地開発公社の理事長を兼務し、公社の理事から議員や農業委員会長らを排除し、すべて自分の息のかかる市役所の部長クラスで公社理事を固めたのでした。

■このように河内長野市の2.6億横領と、安中市の51億横領の、2つの横領事件には共通点が多々あります。

 河内長野市の場合は幸いなことに、犯人の元職員が豪遊する前に捕まり、横領金は自宅の廊下にころがったまま、無事だったことです。とりあえず市への直接の損害は回避されそうです。

 ところが、安中市のタゴ51億円事件は様相を大きく異にします。公社の理事監事をはじめ、安中市の幹部など関係者が誰一人として責任をとらず、我々市民の財産である公社をタゴ51億円事件の尻拭いの為の和解金捻出機関として、我々の血税で雇用している市職員をタダで兼務させて、あと89年間、群馬銀行への和解金支払いのために存続させようとしているのです。

■我々市民は、病気で働けなくなろうが、リストラでクビにされようが、失職して収入を失おうが、税金や固定資産税など死ぬまで払い続けなくてはなりません。そこに住んでるだけで、高額な市民税も取り立てられます。必死で稼いだ血税が行政の手に渡ると、このようなズサンな公金の扱われ方をされてしまうのです。

 安中市長をはじめ行政関係者は「血税」と言う言葉をよく使いますが、実際には「あぶく銭」としか思っていないようです。楽して金持ちになるには、行政マンになって公金を横領して溜め込むのがもっとも効率の良い方法かもしれません。安中市のタゴ51億円事件は、まさにそのことを証明していると言えます。

 きたる12月25日(水)のクリスマスの日は、毎年恒例のタゴ豪遊の尻拭いである群馬銀行への和解金20億5000万円の103年ローンの一部である2000万円の支払日です。平成11年から毎年2千万円ずつ支払っている103年ローンですが、今回の支払いが15回目となります。あと88年間、我々安中市民の苦難が続くことについて、元職員タゴをよく知る岡田市長は、どのように思っているのでしょう。、

【ひらく会情報部・タゴ事件18周年記念調査班】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

容疑者帰国で真相解明が始動する長野県サカモト24億円事件と真相が闇のままの安中タゴ51億円事件

2013-11-15 01:01:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■隣の長野県で2010年9月12日に公表された約23億8700万円の巨額横領事件で、その3日前に「東京にいく」と言って姿をくらまし、タイに逃亡していた長野県建設業厚生年金基金の元事務長が今月1日に滞在先のバンコクで逮捕され、本日14日朝6時40分頃、成田空港に移送され、機内で逮捕されました。そして、長野県警の車両で午後0時半に、3年2カ月ぶりに長野市に着きました。さっそく、長野中央署による取調べが開始されたはずです。


 当会では、長野県建設業厚生年金基金を舞台に発生した24億円巨額横領事件と、18年前に安中市土地開発公社を舞台に発生した51億円巨額横領事件とを対比させつつ、事件の真相をいろいろな角度から分析を試みてきました。今後は、元事務長の逮捕で、具体的な犯行形態が明らかにされることが期待される為、都度、安中市タゴ51億円事件の犯行形態を比較しつつ、両方の事件の真相、責任所在、再発防止策の観点から解析してゆきたいと考えています。

■それでは、3年2ヶ月ぶりにふるさとの土を踏んだ元事務長の帰国にともなう13日晩から14日にかけてのマスコミ報道を時系列的に見てみましょう。

**********FNN2013年11月13日18:20(長野放送)
巨額横領事件 坂本芳信容疑者、タイで移送直前に元愛人と面会
巨額横領事件をめぐる追及が、いよいよ本格化しようとしている。
タイ・バンコクで逮捕された男の身柄が、13日夜、日本に送られることになった。
現地での別れの場面を、FNNのカメラがとらえた。
日本時間13日午後1時半ごろ、タイ・バンコクの入国管理局本部を訪れたのは、日本の警察庁の担当者らだった。
警視庁の担当者は「この度は、逃亡者の身柄確保にご協力いただき、ありがとうございます」と話した。
タイ側の関係者に礼を述べ、手土産の梅酒を手渡した捜査員。
その目的は、およそ24億円が不明となっている、長野県建設業厚生年金基金の横領事件で国際手配されていた、坂本芳信容疑者(56)の身柄引き渡しについてだった。
坂本容疑者は事件発覚後、基金の口座から、6,000万円余りを引き出し、およそ3年間、バンコクに潜伏していたが、11月1日、不法滞在の疑いで逮捕された。
まもなく、身柄が日本に引き渡される坂本容疑者。
そうした中、12日、坂本容疑者のもとを訪れたのは、元交際相手の女性だった。
坂本容疑者は、元交際相手の女性と面会中、時折、手を大きく動かすなど、感情的な表情も見られた。
女性は、坂本容疑者の元交際相手で、およそ2年間にわたって、現地でつきあいがあったという。
しかし、坂本容疑者が金を使い果たし、女性に借金を求めるようになったことから、2人の関係は終わった。
その後、女性は警察に通報し、今回の逮捕となった。
元交際相手のタイ人女性は「きょうは、彼がこの国で過ごす、最後の日です。彼はあす、日本に帰ってしまいます」と話した。
タイで過ごす最後の日なので、面会に来たという女性。
面会中、坂本容疑者は、取材カメラを意識してか、右手で顔を覆うようなしぐさをしていたが、その左手は、しっかりと女性に握り締められていた。
最後に、2人は涙を流しながら、抱き合って別れたという。
面会を終えて、部屋を出る坂本容疑者。
その手には、女性から手渡されたスニーカーがあった。
2人で一緒に暮らしていた時に使っていたものだという。
面会後、坂本容疑者に何を話したのか尋ねたが、何も語らなかった。
一方、取材に応じた元交際相手のタイ人女性は「わたしは、彼に『自分がしたことを償ってください、耐えてください』と言いました。そして、『体に気をつけてください』と言いました。彼は泣いていました」と話した。
坂本容疑者は「あなたに会えてうれしい。でも、悲しい」と話し、涙を流したという。
女性は、自らが警察に通報したことについては、「彼には、申し訳ないことをしたと思いました。でも彼は、日本へ帰れて幸せだと思います。(彼は)怒っていない。涙」と話した。
13日、タイ警察のパーヌ・グラーポン捜査部長は「いつも坂本容疑者の状態を気にしていましたが、報告によると、最初にここへ来た時より、状態は良く、精神的にも良好です」と話した。
坂本容疑者は、現地時間13日夜、バンコクをたち、日本に向かうという。
長野県警は14日、成田空港で、坂本容疑者の身柄を、タイ当局から引き渡されたあと、業務上横領の疑いで逮捕する方針。

**********読売新聞2013年11月14日08時58分
交際女性、面倒みきれず通報?元事務長タイ潜伏
 長野県建設業厚生年金基金(長野市)の横領事件で、長野県警は14日、基金の口座から約6400万円を着服したとして、国際手配していた基金の元事務長、坂本芳信容疑者(56)を業務上横領容疑で逮捕した。
 坂本容疑者は今月1日、逃亡先のタイ・バンコクで、不法滞在容疑でタイの入国管理局に逮捕された。
       ◇
 【バンコク=石崎伸生】坂本芳信容疑者は、タイの首都バンコクで逮捕された当時、交際するタイ人女性に頼って生活していた。
 一時期は、羽振りのいい生活をし、女性に金をつぎ込んでいたという。
 タイ捜査当局の関係者によると、坂本容疑者は2010年9月に入国して以来、複数のタイ人女性と交際。女性の知人によると、交際を始めた頃には、高級腕時計や現金約60万バーツ(約190万円)を贈るなどしていたという。別の女性とは、タイのリゾート地で高級ホテルに宿泊するなどしており、交際女性の知人は「ぜいたくな生活をしていたようだ」と話した。
 タイ当局に逮捕された当時は、日本人が多く住む地域から離れた、バンコク西部の路地裏にある築約30年の6階建てマンションに潜んでいた。部屋は2階。30平方メートル程度で、エアコンはない。月々の家賃2500バーツ(約7900円)は交際女性が払っていた。マンションの男性オーナー(64)によると、部屋は原則、タイ人にしか貸していないが、交際女性の友人名義で借りられていた。
 来客もなく、ほとんど外出しなかったという坂本容疑者。着古したポロシャツや短パン姿で、1食30バーツ(約95円)の近くの食堂をよく利用していた。
 オーナーは「礼儀正しく、物静かな人だった。ただ、大金を持っているようには見えなかった」と振り返る。
 捜査関係者によると、潜伏先を通報したのは交際女性だったという。オーナーは「面倒をみきれなくなったのだろう」と話した。

**********朝日新聞デジタル2013年11月14日10時17分
厚年基金元事務長、横領容疑で逮捕 24億円不明事件
 長野県建設業厚生年金基金(長野市)で会員企業から集めた掛け金23億8700万円が不明になった事件で、長野県警は14日、業務上横領容疑で指名手配していた元事務長坂本芳信容疑者(56)を成田空港の機内で逮捕した。逃亡先のタイで身柄を拘束され、日本に移送されていた。容疑を認めているという。
 午前7時過ぎ、捜査員に囲まれた坂本容疑者は、空港の通路をうつむきがちに歩いて捜査車両に乗り込み、午後0時40分すぎ、長野市の長野中央署に到着した。
 県警によると、逮捕容疑は、坂本容疑者が2010年7月、基金の口座から引き出した掛け金約1億3千万円のうち約6400万円を着服した疑いがあるというもの。同年9月、掛け金の不明が発覚した直後に坂本容疑者の行方が分からなくなり、今月1日、バンコクでタイ当局に不法滞在容疑で拘束されていた。
 同基金では掛け金の不明事件のほか、AIJ投資顧問(現・MARU)から約65億円の詐欺被害に遭い、未公開株を巡る別の資金運用でも約46億円の損失が出たことが金融庁の検査で判明。一連の資金運用は坂本容疑者が事務長時代に始まっていた。

**********朝日新聞2013年11月14日11時00分
社長称し豪遊、女性にはロレックス 元事務長の逃亡生活
 【バンコク=軽部理人】坂本芳信容疑者(56)は、どのような逃亡生活を送っていたのか。タイ入管警察によると、坂本容疑者は10年9月10日に入国。バンコク中心部のホテルが併設される高級マンションに住み始めた。家賃月4万バーツ(約12万円)。大卒の初任給が1万5千バーツほどのタイでは高額だ。当時、部屋の手配などをした女性(47)にはベンツを贈った。
厚年基金元事務長、横領容疑で逮捕
 翌年3月ごろ、繁華街の「タニヤ通り」の飲食店に通うようになり、1人のタイ人女性(37)と出会って交際するようになった。店の関係者によると、多い時には月に約10万バーツを女性に渡し、約20万バーツのロレックスといった高級時計を贈っていた。その後、月2万バーツほどの部屋に移り住み、同居していたという。
 交際していた女性によると、坂本容疑者は自らのことを「社長」と称していた。タイ入管警察の調べでは、同時期、タイ中部のリゾート地ホアヒンを訪れ、1泊5万バーツほどのスイートルームに宿泊、ゴルフをしたことが確認されている。

**********毎日新聞 11月14日(木)8時3分配信
<長野基金横領>元事務長、逃亡先タイから帰国 空港で逮捕

↑逃亡先のバンコクから帰国した長野県建設業厚生年金基金元事務長の坂本芳信容疑者=成田空港で2013年11月14日午前7時14分、中村藍撮影↑
 長野県建設業厚生年金基金(長野市)で掛け金23億8700万円が使途不明になり、このうち6000万円超を着服したとして長野県警から業務上横領容疑で指名手配されていた同基金の元事務長、坂本芳信容疑者(56)が14日朝、逃亡先のタイから帰国した。県警は到着した成田空港の機内で、坂本容疑者を逮捕した。
 坂本容疑者はバンコクで不法滞在の疑いで現地当局に逮捕された。罰金刑を受け、身柄引き渡しを受けた警察庁職員が同行して帰国した。
 容疑は2010年7月、加入者から徴収した年金掛け金を運用委託先の生命保険会社に送金する名目で基金名義の口座から約1億3000万円引き出し、うち約6400万円を着服したとされる。容疑を認めている。
 同基金は10年8月、生命保険会社から「掛け金が不自然に少ない」との指摘を受け、厚生労働省が監査を実施。その後24億円近くが使途不明となっていることが判明した。
 県警などの調べでは、坂本容疑者は「一部の企業から独自で資金を運用したいと申し出があり、別の口座に振り込んでいる」などと説明していたが、同9月、妻に「東京に行く」と言い残して所在不明となった。県警は着服した資金の使途や使途不明金の所在などについて追及する方針。
 基金は使途不明金とは別に、資産の大半を消失させたAIJ投資顧問(現MARU)に約65億円を委託し、多額の損失を出した。資金管理は実質的に坂本容疑者が1人で行っていたとされ、県警は不透明な経理の実態解明も進める。
 同基金は坂本容疑者を相手取って損害賠償請求訴訟を長野地裁に2回起こし、いずれも本人が出廷しないまま計約2億5500万円の支払いを命じる判決が出ている。
 坂本容疑者は帰国時、黒色のジャンパーにベージュのズボン姿。野球帽を深くかぶり白いマスクをつけ、表情を変えずうつむきながら空港内を歩いた。同容疑者を乗せた捜査車両は午前7時半過ぎ空港を出発。午後0時半過ぎ長野中央署に到着した。【巽賢司、野口麗子、味澤由妃】

**********J-CASTニュース2013年11月14日 12:32
ラモス、長野年金基金24億円不明男と飲み友達だった 「ハワイ旅行」「高級店で食事」と交際明かす
長野県建設業厚生年金基金で約24億円が不明になっている問題に関連し、約6000万円の業務上横領容疑で長野県警に指名手配されていた同基金の元事務長、坂本芳信容疑者(56)が逃亡先のタイから移送され、2013年11月14日早朝、成田空港に到着した航空機内で同県警に逮捕された。
消えた約24億円の行方に注目が集まる中、交際があったというビーチサッカー日本代表監督のラモス瑠偉氏(56)が坂本容疑者のお金で「ハワイ旅行に行ったことがある」と明かし、その豪遊ぶりの一端を証言した。
坂本容疑者は「お茶ばかり飲んでいた」
11月13日の夜、「朝ズバッ!」(TBS系)の独占取材に応じたラモス氏は、坂本容疑者の写真を見せられると「間違いない。めちゃくちゃ老けていますけど、彼です」と答えた。ラモス氏と坂本容疑者の出会いは今から約5年前のことだ。坂本容疑者がラモス氏のファンだと知り、知人が六本木のクラブで引き合わせた。当時は「社長」として紹介されたようだ。その後、銀座や六本木の高級店に行って酒を飲み交わすようになったが、坂本容疑者はあまり酒を飲まず、お茶ばかり飲んでいたという。支払いはすべて坂本容疑者持ちだった。
交際は高級店での食事にとどまらない。ラモス氏はハワイ旅行に連れて行ってもらったこともあると話した。スケジュールがなかなか合わず3回目に誘われた際にようやく都合がつき、5~7日のうち最後の3日間で合流したという。「寿司屋の職人まで連れて行って。やっぱりすごい金持っているなと・・・何をやっている社長なのかなと・・・」と驚いたようだ。

下ネタに怒るほど「上品な人」だった
坂本容疑者の印象については「本当に品があって、まさかこういうことをやる人だとは思わなかった。言葉も丁寧だし、本当に礼儀正しくて気さくで上品」と語る。ラモス氏が下ネタを使うと「ラモちゃんのイメージがよくない」と怒られることもあったそうだ。
坂本容疑者の贅沢な暮らしぶりに付き合っていたラモス氏だが、横領については全く知らず、報道が出た際には一瞬パニックになったと振り返る。「ありえない。そういう人に見えなかった」と強調し、知っていたら付き合っていなかったと思うとも話していた。ただ、亡くなった妻・初音さんは不審に思う部分があったのか、今後の付き合いについてラモス氏に「気をつけた方がいいよ」と忠告したことがあったという。
なお、ラモス氏のブログには放送後(14日)に「本日放送されました『TBS 朝ズバッ!』での証言を以てコメントを差し控えさせていただきます」とスタッフからのお知らせが掲載され、今後は取材に応じない姿勢を示している。
坂本容疑者は、横領については「日本で話す」としており、警察は横領事件の全容解明を急ぐ。
**********

■この横領事件は、今のところ犯行総額が24億円とされていますが、AIJ等の投資による損失が数十億円と言われており、ひょっとしたら犯行総額がさらに膨れ上がり、安中タゴ51億円事件を越える可能性もあります。

 当会は、タゴ51億円事件の教訓をもとに、この事件についても今後の展開を注目していく所存です。

【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】

**********週刊新潮2013年11月21日
[特集]ラモス瑠偉と親しかった「24億円横領男」黄金の日々
銀座クラブ経営で大赤字 定宿は「リッツ・カールトン」
「久兵衛」職人帯同でホステス5人とハワイ旅行
 24億円の使途不明金が発覚し、海外に高飛びした年金基金元事務長の坂本芳信(56)がタイで捕まった。所持金わずか1万円少々。実は大金はほとんど蕩尽した。銀座・六本木の愛人ホステス達に貢ぎ、高級クラブまで経営するという“黄金の日々”だったのである。
 「しょっちゅう喧嘩したし、冷たい男だったけど、痩せ細った彼を見ると、驚くばかりで何と言ったらいいか」
 色褪せた青のポロシヤツと白髪混じりの頭……テレビに映された姿を見て、銀座のクラブの雇われママ、エリさん(仮名)はため息をついた。
 その男、坂本芳信は今月1日、タイ・バンコクで不法滞在により逮捕された。
 この一見しょぼくれた男がマスコミを騒然とさせたのは、彼が事務長を務めていた長野県建設業厚生年金基金で約23億8700万円の使途不明金が発覚し、業務上横領容疑で国際手配されていたからだ。
 逮捕時の所持金は1万円ちょい。外国人がほとんどいない郊外の家賃8000円のワンルームのアパートに住み、その家賃も2ヵ月滞納していた。
「坂本さんは毎朝タクシーで出勤していました」
 そう語るのは、長野市郊外にある坂本の自宅近所の住人である。
「そのエンジン音がうるさくて、事件後は、一家で夜逃げしたようにいなくなりましたけど」
家賃5万5000円の3DKの借家住まい。タクシーだけで到底、億単位の金は使えまい。いったい300社超がこつこつ貯めた24億円はどこに消えたのか。
 謎を解く鍵は、冒頭に登場したエリママにあった。
「彼と初めて会ったのは8年前、六本木で当時、私が勤めていたクラブに来たのがきっかけだったわね」
 とママが重い口を開く。
「常連だった保険外交員の方と一緒に来たのが始まり。彼はその後も一人や接待で月に1、2階のペースで顔を見せるようになったの」
 エリママの知る限りでは、坂本は新橋にある投資ファンド会社の社長。長野にある自宅から東京まで新幹線で通っていて、定宿は赤坂のANAインターコンチネンタルや、東京ミッドタウンのザ・リッツ・カールトンなど5ツ星の超高級ホテルを渡り歩いていた。
 「一度も名剌をくれなかったけど、話に信憑性があったので疑うことはなかったの。移動は黒塗りの高級車のハイヤーを貸し切っていたし、本当にお金持ちなんだなあと信じちゃったのよ。実際は、長野で仕事をしていたのに、そんなこと一切言わなかったわね。平日もお店に来ていたので、本当に束京に会社があって仕事をしていると思ってた」
 実際は高卒ながら、早稲田大学卒業と称していた。
「息子も早大に人学、高校時代からパソコンで株の売り買いを覚えて1000万円くらい儲けているとか、受験の際はリッツに泊まらせたとか言っていました」
 ママが続ける。
「詐欺師や嘘つきは訊いてもいないのに自分のことをよく喋るけど、彼はこちらから訊かない限り自分のことは喋らない。よく“オレは年商2000億円だ”とか言う社長さんがいるけど、彼は自分の会社の年商とかも言ったことがないし、自慢話もしないので、疑うよりも逆に信用してしまったところがありました」
 200万~300万円もするオーダースーツを着こなし、時計は1500万円の海外ブランド品だった。
「事件後、銀座の仏高級ブランド店に数十着、何千万円分かの洋服を預けているとも聞いたわね。今となっては警察に差し押さえられているのでしょうけど」
 逮捕された際のみすぼらしさからは想像もつかない“紳士”だったようだ。
「でもね、私の知る彼は泡銭をパーッと使うとか、派手な遊び方はしなかった」
 エリママの述懐は続く。
「飲み方もいたって普通。ウィスキーのボトルから水割りをチビチビ飲む程度で、成金やITベンチャーの人たちみたいに、女の子のために高いお酒を入れるなんてことはなかった。店内で女の子とイチャイチヤしたり、大騒ぎして派手に飲むのではなく、ボソボソッと話すタイプ。おっとりとした猫なで声で“僕ねぇ”と言うのが口癖だったわ。″`
の子が席につくと、私に“お酒を作ってあげてよぉ”と女々しい感じで言う、そんな具合よ。乱暴な言葉は一切使わない。温厚で線の細い、どこにでもいるような中年の男でした」
 ところが、彼女が坂本と知り合ってから半年も経たないうちに、男の別の一面を知ることになったという。

★貢ぐ額が一桁違う★

「彼はお店で気に入った子がいるとデートに誘い出し、すぐにいい仲になってしまう。店の外で女の子に会っては“突っ込む”わけよ。いきなりというわけではなく、何度か会ってからいい仲に持ち込んでいた様子でしたけど。でも、一度でもセックスさせてくれた女の子には、途方もないお金を貢いでいた」
 店外デートで行く店は、決まって一人2万4000円の高級鉄板焼店もしくは寿司屋の「久兵衛」。なお後者については後述する。
「例えば“車が欲しい”と言われればポンと買ってあげる。“家具が欲しい”と言うには、平気で海外の800万円もする家具一式を買ってあげたりとかね。今は閉店してるけど、六本木にカウンターバーのお店をオープンさせてあげたこともあったそうよ。女に貢ぐ額が一桁違うの。一度でもセックスできると、一人当たり軽く1000万円は貢いでいたと思う。そういう具合で、好きな女の子一人に入れ込むタイプではなく、常時3、4人の女の子と付き合っていて、私が知る限り二十数人の子と関係を持っていた」
 20人の女に1000万円ずつ貢いだら……それだけで2億円が消えた計算だ。
「それでも飽き足らず、VIP専門の斡旋所にはまって数百万円使ったとも聞いたわね。登録すればすぐにカワイイ女の子を紹介してくれて“突っ込める”とでも言えばいいのかしら。香港やタイにも愛人がいたとか、人づてに聞いたこともあったわ」
 意外にも、家やマンションを買い与えて囲うということはしなかった。
「同じお店の女の子数人と常時付き合っていたので、一人でもそういうことをしてバレると嫌われるとでも思ったんじゃないかしら。
 一度、私が“そんなに女の子にお金を使うのなら、ピルの一つでも買ったら”と言ったら、彼は、“ビルとか買うと奥さんに取られちゃう。もうすぐ離婚するから”と。奥さんとは上手くいってなかったみたい」
 齢50を過ぎ、金に飽かして両手でも足りない数の若い女性と付き合う、その“性豪”ぶりには目をみはるが、「全員に騙されていたのが彼のバカなところね。大抵は2、3ヵ月で女の子にフラれて、長く続いても1年程度。何でも彼は普段は大人しそうなくせに一度、関係を持った相手には急に束縛しだして、すぐに“オレの女だ”という態度に出て勘違いしてしまうタイプらしいのよ。今何しているとかメールを頻繁に送ってしまう。最近の若い子は本当にサバサバしているからね。いくらカネ払いはよくても、そういう男はウザったい。だから、欲しいものを貰えるだけ貰ったら、すぐにポイ捨てされてしまった」
 先に述べた車を貢いだ女の子。哀しいかな、翌日には本命の彼氏がその車を駆っていたのだとか。
「よっぽどセックスがねちっこくて変態だったから嫌われたのかもね。私はヤったことないからわかんないわよ。基本的に私みたいな年増は相手にしないもの。好きなタイプは21歳から25歳くらいまでの“可愛らしい”というか、夜の世界で右も左も分からないような子ね。大人しそうな素人っぽさが残る娘さんが好みだったわ。だから、決して水商売のプロに見える、派手な玄人タイプの女の子には手を出さなかった。そのくせ、結局騙されていたのだ
から彼もお人よしなのよ」
 当時、店の女の子が坂本に“妊娠した”と中絶費用や慰謝料など300万円を要求したことがあった。だが実は、赤ん坊の父親は坂本ではなく本命の彼。そこでママが間に入って女の子に言い含め、尻拭いをして
やったこともあったという。
「聞けば、私と出会う以前にも、5年ほど付き合っていた韓国人ホステスがいたみたい。町田の店で知り合ったとかで、デザイン学校に勉強に行くのでその学費や、脳の病気を患っているからと手術費用3000万円を出してあげたとか言っていた。その後、連絡がとれなくなったそうだけど」
 そんな坂本に対し、ママは“あんた、騙されてるのよ。そんな女とは関係を絶ちなさい”と、口酸っぱく叱り飛ばしていたのだとか。
「でも、叱ると彼はお坊ちゃんタイプから豹変して、私を睨み付けて本当に恐ろしい顔で“そんなこと言われたくないッ!”“お前には関係ないだろ!”と怒り出すのよ。すぐにヘソを曲げて、むくれて怒り出す。そうなると2、3ヵ月も口を利いてくれないことなんてザラにありました」
 そんな坂本とエリママに大きな転機が訪れる。

★1億円でポルシェビルに★

08年、ママが六本木の店を辞め、銀座8丁目のポルシェビル2階に「ピノ」というクラブを開業するのだ。出資者は坂本だった。
「元々入っていた店が潰れて、居抜きでオープンすることになったの。私のお客で、大阪に本社があるフランチャイズのたこ焼き屋を経営している男がいてね。そのつてで話が来たの」
 ポルシェビルと言えば、眩しいスポーツカーがショールームに鎮座する銀座の名物ビル。「グレ」「サードフロア」「O(オー)」といった超高級クラブが軒を連ね、政治家や財界人、芸能人が足繁く通う一等地だ。
“私は月給を貰うだけで、経営には一切タッチしていない”というママに代わって、某銀座通が解説する。
「開店は08年11月。30坪ほどで、女の子は20~30人いました。開店する際の保証金は約6000万円、内装やスタッフの支度金などで約4000万円、計1億円かかったと聞いています」
 もちろん坂本も店に頻繁に顔を出した。ママ日く、
「彼はまったくオーナー然とするところがありませんでした。お客として席に座り、店の女の子と話すだけ。要は“突っ込める”女の子を物色していただけで、店の運営に口を挟んでくることはありませんでした」
 あくまでも、“たこ焼き屋”とその知人が店を運営していたという。
「彼からすれば、自分好みの女の子を自由に選べる拠点が欲しかっただけで、クラブ経営をして儲けようとか、そういうことは頭になかったみたいね」
 店のホームページには、坂本の趣味か、銀座のホステスらしからぬメイクの若い女性たちがズラリ並んでいた。
「開店当初は“たこ焼き屋”の人脈や前の店の常連で賑わっていたけど、銀座も不景気だし、私も銀座に不慣れだったのよ。だから、開店して1年くらい経つと赤字になってしまったの」
 先の銀座通によると、毎月平均500万円の赤字が出ていたとか。
「けれど、坂本はそんなことはお構いなしで、社貝旅行と称して「ワイに行くことを楽しみにしていたわ」
 坂本は、「ピノ」があった22ヵ月間に、約1週間のハワイ旅行を6回も敢行元Jリーガーのラモス瑠偉氏が加わる大名旅行になったこともあった。
 ラモス氏が坂本と知り合ったのは08年頃。六本木の店でエリママに紹介されたのがきっかけだった。
「長野のお金持ちの社長さんがいて自分のファンだという。野球だと松井秀喜が好きで、わざわざニューヨークに2度観戦に行くくらいの大ファン。物凄いお金持ちだけど、偉ぶらず、礼儀正しくいい人だってね」
 とラモス氏が明かす。
「それからは毎月I回くらいのペースで、僕がプロデュースするプラジル料理店とか、焼肉屋さんで食事をした。その都度、お金は全部、社長(=坂本)が持ってくれました。僕が辛い物好きだと覚えてくれていて、わざわざ旅先の韓国からキムチや韓国海苔、辛いカップ麺などを何箱も段ボールの箱に詰めて送ってくれたこともあった」
 ラモス氏は9月までビーチサッカー日本代表監督を務めていた。
「09年、チームがW杯ベスト8に入った時、社長から“お祝いをしましょう”と言われて、僕の店でパーティーをすることになった。でも選手は十数人、沖縄に2人、九州にI人と全国各地に散らばっている。けれど、社長は全員分の交通費まで負担してくれると。お店の貸切料金も20万円くらいかかったかな。そんな無茶なことしなくていい、と何度も断ったんだけどね」
 事件発覚後、ラモス氏は今は亡き妻に“これからは交際相手のことをちゃんと調べないと”と注意された。
「ハートでの付き合いを心掛けてきたのに悲しいです。でも、そもそもどうやって調べればいいのか……」

★王族級の寿司パーティー★

 話をハワイに戻そう。
“たこ焼き屋”とその知人、店の女の子5~6人の計10人程度を引き連れ、宿は1泊4万5000円の有名ホテル「ハレクラニ」。
 エリママが振り返る。
「坂本はゴルフとか海水浴とかショッピングには興味がなくて、朝食をとると、ホテルのプールサイドで一日中、女の子たちと日焼けをしながらのんびりするだけ。メインは夜の7時頃からみんなで食事をして遊ぶというスタイルだったわ。坂本は悪趣味で、久兵衛の社長と若社長を呼び、寿司がなくて、朝食をとると、ホテルのプールサイドで一日中、女の子たちと日焼けをしながらのんびりするだけ。メインは夜の7時頃からみんなで食事をして遊ぶというスタイルだったわ。坂本は悪趣味で、久兵衛の社長と若社長を呼び、寿司職人をハワイまで同行させ“寿司パーティー”開いたこともありました。なんでも久兵衛には、サウジアラビアとかアラブの王族に呼ばれて海外へ出張に行く職員さんのチームみたいなものがあるらしいの」
「久兵衛」といえば、安倍首相の“クールジャパン”政策の一環で海外随行団に同行することもある、銀座いや日本を代表する寿司屋だ。
「坂本さんとは、お客さんと店という関係でしかない。来店は月に2、3回で、支払いは現金だった。うちはマイルの特約店だからカード支払いが多いんだけどね」
 とは久兵衛の社長氏。
「私や息子は(客として)『ピノ』に行ったことは一度もないよ。店のI周年のときに、そこで寿司を握ったことはあるけど。ハワイも頼まれて行った“出張”なんだ。必要経費約100万円以外は貰っていません。
 冷凍マグロやウニなどをスーツケースに入れて日本から持って行きました。我々が滞在していたのは貸し別荘のようなところで、坂本さんが1ヵ月単位で借りていたようです。ご本人たちはホテルに泊まっていましたが。プールがあって、そばにせり出す形のオープンエアーのダイニングキッチン。我々が握ったのは2回で、皆さんはプールサイドにテーブルを置いて食事をされていました」
 そんな絵に描いたような優雅な光景も終焉を迎える。
「開店から1年半、お客さんがつきはじめ、経営も上向きかけた10年8月、坂本が急に“お店をやめたい”と言い出したの」
 と再びママ。
「理由はわかりませんが、坂本がそう言うなら仕方がないし、私もこれを機にスポンサーが替わってもいいかなと思ったのよね。それで“たこ焼き屋”に頼んで新しいスポンサーを見つけてもらった。これで『ピノ』も何とかやっていけると思った矢先……」
 9月、事件が発覚。同時に坂本は音信不通となった。
「“たこ焼き屋”と私はもうびっくりしてね。坂本がこんな大それたことをしていたと、知らなかったとはいえ、このままお店を続けていては、私たちまであらぬ疑いをかけられるかもしれないし、いろいろな人に迷惑がかかる。そう思って泣く泣く『ピノ』を閉店することにしたのです」
 一方、坂本はタイに逃亡。
「バンコクの風俗街・パッポン通りで彼をよく見かけました。いつも現地の若い女の子と一緒でした」
 と、バンコク在住のジャーナリストは明かす。
「“カラオケ”と呼ばれる女の子をお持ち帰りできる店や、日本で言うソープに出入りして女に貢いでいました」
 坂本は家賃を払うために、元交際相手のタイ人女性に無心。その彼女が警察に夕レ込んで御用となった。
「もう、何をそんなに生き急いでいるんだろうと思うくらいのお金の使い方をしていた。末期ガンかなにかで、死ぬことを悟っているのかなと。そんな妙なお金の使い方でした」
 と、遠い日でエリママが深くため息をつく。
「でも、要は人様のお金でとんでもないことをしていたわけね。本当にびっくり」
 地方の高卒事務員に訪れた黄金のごとく輝ける日々。だが、その落日はあまりに哀しく滑稽なものだった。
**********

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海外逃亡3年余りで捕まった長野県建設業厚生年金基金の元事務長と24億円使途不明金の行方

2013-11-02 12:21:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■週末の夜、海外から思わぬニュースが飛び込みました。2010年9月11日に長野県建設業厚生年金基金を舞台にした総額23億8700万円の巨額横領事件で指名手配されていた同基金の元事務長が潜伏先のタイのバンコクで逮捕されたという知らせです。

**********NHK11月1日 23時56分
20億円余使途不明 年金基金元事務長をタイで逮捕
 長野県の建設業者で作る厚生年金基金の掛金の一部20億円余りが使途不明になっている問題で、数千万円を着服したとして国際手配されていた元事務長の男が、1日、不法滞在の疑いでタイの入国管理局に逮捕されました。
 逮捕されたのは「長野県建設業厚生年金基金」で経理を担当していた坂本芳信容疑者(55)で、基金の掛金の一部、数千万円を着服したとして業務上横領の疑いで国際手配されていました。
 タイの入国管理局によりますと、坂本容疑者は1日午後、滞在先のバンコクで、不法滞在の疑いで逮捕されたということです。
 坂本容疑者は問題の発覚直前から行方が分からなくなり、警察は国内と海外に指名手配をして行方を追っていましたが、3年前にタイに入国した記録があったことから、タイの警察でも行方を調べていました。
 タイの入国管理局によりますと、坂本容疑者は不法滞在の容疑を認めているものの、国際手配されている業務上横領の容疑については供述を拒んでいるということです。この基金を巡ってはおよそ24億円が使途不明になっています。
 関係者によりますと、坂本容疑者は今後、タイで不法滞在の処分が決定したあと、日本の警察に身柄を引き渡される見通しです。

**********スポーツ報知2013年11月1日22時31分
元事務長をタイで逮捕、長野厚生年金基金横領の疑い
 AIJ投資顧問(現MARU)の年金資産消失事件で被害に遭った長野県建設業厚生年金基金(長野市)の資金を着服したとして、長野県警から業務上横領の疑いで指名手配されていた同基金元事務長坂本芳信容疑者(55)が、潜伏先のタイの首都バンコクで1日午後(日本時間同)、地元入国管理当局に不法滞在の疑いで逮捕された。捜査当局者が明らかにした。
 同基金は、資産1458億円の大半を消失させたAIJに約65億円を委託。これとは別に2005~10年に23億円超が使途不明となっている。
 坂本容疑者は使途不明金の一部を着服した疑いが持たれており、長野県警は今後、業務上横領容疑で逮捕する方針。他にも未公開株への投資による損失が判明。坂本容疑者は経理を一手に引き受けていたとされ、県警は不透明な資金の流れの解明を進める。
 調べによると、坂本容疑者は2010年9月にタイに入国。逮捕時にはバンコク西部のマンションで1人暮らしだった。逮捕時の所持金は数千バーツ(1万円前後)程度だったという。
 今後は、不法滞在容疑に関する司法手続きがタイ国内で行われた後、日本に身柄が移送される見通し。タイでの司法手続きは、早ければ一両日で終わる可能性もあるとみられる。
 同基金は長野県警に被害届を提出。県警は11年1月に坂本容疑者を指名手配していた。(共同)

**********時事通信 11月1日(金)21時19分配信
手配の元事務長、タイで逮捕=長野県年金基金横領事件
 【バンコク時事】タイ警察は1日、長野県建設業厚生年金基金(長野市)で2010年に約23億8700万円の使途不明金が発覚した事件に絡み、業務上横領容疑で長野県警が指名手配していた同基金の元事務長坂本芳信容疑者(55)を不法入国の疑いで逮捕したと発表した。
 タイ警察によると、坂本容疑者は9月10日にタイに違法に入国した疑い。1日にバンコクの自宅アパートで逮捕したという。
 同容疑者は長野県警に指名手配されたまま行方不明となっていた。近く日本側に身柄が引き渡される見通し。 

**********フジテレビ系(FNN)11月1日(金)20時39分配信
長野県建設業厚生年金基金不明金問題 タイで元事務長の身柄確保
 長野県建設業厚生年金基金で、23億円余りの不明金が出ている問題で、業務上横領の疑いで国際手配されていた基金の元事務長の男が、潜伏先のタイで、現地当局に身柄を確保された。


 坂本芳信容疑者(55)は「(横領した事実については認めるか?)そうですね、はい。(被害者に対してどう思うか?)大変申し訳ないと。すみませんと。(現在の所持金は?)あと数万円...」と話した。



 身柄を確保されたのは、長野県建設業厚生年金基金の元事務長・坂本芳信容疑者で、1日午後、潜伏先のタイの首都バンコクで、不法滞在の疑いで現地当局に身柄を確保された。
 基金の掛け金の23億8,700万円の行方がわからなくなっていることが発覚したあと、坂本容疑者は、国外に逃亡していた。
Before
After
 長野県警は2011年、基金の口座を1人で管理していた坂本容疑者が、基金の金の一部を着服した疑いが強まったとして、国際刑事警察機構を通じて国際手配していた。
**********

■この事件の発覚当時の出来事を時系列的に並べてみました。

2010年8月19日 運用委託先の生命保険会社が掛金入金額の不自然な減少を基金に指摘。
同8月23日 元事務長が理事長に、掛金を南信地区の組合員に返還していたとウソの説明。
同8月25日 理事長と元事務長の2人で監督官庁の厚労省関東信越厚生局に事情説明。
同9月2・7日 基金が同局からの特別監査を受け調査委員会設置を求められる。
同9月9日 午後、元事務長が姿をくらます。
同9月10日 第一回調査委員会開催。
同9月11日 基金が長野県警長野中央署に被害届を提出。
同9月12日 基金の理事長が2006年7月~2010年9月までの4年余りで約21.9億円(その後の調査で約23.87億円と判明)の不明金発生を発表。
同9月16日 長野中央署が捜査を本格化。関係書類入手。
同9月17日 第二回調査委員会開催。
同9月24日 第三回調整員会開催。
同9月25日 長野中央署捜査員10名が基金の事務所等に入り捜査。
同11月 基金が元事務長を相手取り総額5500万円余りの損害賠償請求を提訴。
2011年2月 長野地裁が基金の請求通りの支払いを元事務長に命じる判決。その後、5500円の財産差押えと、追加の損害賠償を提訴。
2011年6月 長野県警が元事務長を国際手配。
2011年9月6日 長野地裁が、元事務長欠席のまま2億10万円の支払いを命ずる判決。
2012年1月~6月 AIJ投資顧問詐欺で、基金が約65億円の損失を被る。
2013年10月 基金が未公開株の投資で得たはずの70億円の価値が、20億円に目減りしていることが判明。
2012年8月24日 昌栄土建興業が基金からの脱退を求めた訴訟で、長野地裁が脱退を認める判決。
同9月4日 基金が東京高裁に控訴。
2013年9月19日 基金が東京高裁の和解を受け入れる議決。
2013年11月1日 元事務長がバンコクで身柄確保され、不法滞在の容疑でタイ入国管理局に逮捕される。

■ニュースで報じられた元事務長の坂本芳信容疑者の様子を見ると、随分やつれて見えます。到底、24億円を持ってタイで潜伏していた人物とは思えません。おそらく横領金は誰かに預けていたか、あるいは預けざるを得なかったのではないかと思われます。

 まもなく帰国するでしょうが、その際、ぜひ高崎駅で下車して、安中市に立ち寄っていただきたいものです。最初に、現在、高崎市西部に住んでいるといわれている安中市土地開発公社元職員タゴと会い、ぜひ、互いの境遇について語り合ってもらいたいものです。

 元職員タゴは、総額51億円を横領しましたが、使途不明金が14億円余りもあるのに、警察の追及をかわすことができたからです。そのノウハウを坂本芳信容疑者はタゴから伝授してもらいたいはずです。

 その後、坂本容疑者には安中市役所に来てもらい、人口6万人余りの安中市民が毎年納める税金を使って運営されている土地開発公社が、あと89年間かけて横領されたカネを横領した者に代わって、群馬銀行に返済している状況をよく見てもらいます。こういう世にも不思議な尻拭いの方法が存在することを認識してもらえることでしょう。それから、坂本容疑者には、安中榛名駅で再び長野新幹線に乗って長野市に行き、今後長野中央署で待っているきつい事情聴取に臨めば、使途不明金のありかをどうやって言わずに済むか、元事務長にとって少しくらいは自信がつくかもしれません。

■長野県建設業厚生年金基金を巡る巨額横領事件では、これまではなぜかフジテレビのFNNニュースが熱心に報道しています。今回、タイで逮捕されたニュースも同様です。

 安中のタゴ事件とは類似点とそうでない点があります。類似点としては、横領金の使いっぷりで、海外に出かけていることです。タゴの場合は骨董品の買い付けや、サイパン島のリゾートマンション利用権を購入していたことです。前者は友人らと、後者は家族で何回か出かけていました。坂本容疑者の場合は、東南アジアに頻繁にでかけていました。その為、海外の逃亡先に土地勘のあるタイを選んだようです。

 横領金の使い道では、両名とも車が好きだった模様です。タゴは外車、それもドイツ車が好みでした。坂本容疑者は、シルバーのレクサスや、その前はシーマの新車で、国産の高級車の買い替えが好きだったようです。

 タゴの場合には、本人の供述が得たうえで、ギャンブルと骨董品で巨額横領金の使途の辻褄合わせが行なわれましたが、それでも14億円余りの使途不明金が出ており、これらは未だに闇の中です。坂本容疑者の場合、本人の供述はこれからなので、殆ど横領金の使途は不明です。本人逮捕で今後どこまで明らかになるのか注目されます。

 両事件とも、親族にかなりつぎ込んでいるようです。タゴの場合は、配偶者に1億円(警察の捜査では1億50000万円)、母親にも300万円(警察捜査では140万円)を渡し、実弟には運送会社を立上げさせました。その後、首都高5号線の横転事故で一躍有名になった例の多胡運輸です。坂本容疑者の場合には、事件発覚の半年前の2010年3月ごろ坂本容疑者が実家に金をわたし、農機具など全部新調したりして2,000~3,000万円くらい使ったという近所の噂話がありましたが、本人が逃亡中だったのでまだまだ使途不明なことばかりです。

 タゴの場合、逮捕時に群馬銀行に親族名義で億単位の預金があり、とりあえずこれらが回収の原資とされました。また、千点近い骨董品はオークションに掛けられ現金化されて回収の原資とされましたが、全体の1割程度に留まりました。坂本容疑者の場合には、生命保険など、資産5000万円余りを差し押さえたようですが、全体の5%程度に留まっています。

 そして横領金のつけは、タゴ事件の場合には、安中市民(7年前からは松井田地区の住民も巻き添え)6万人あまりが103年間かけて返済しています。サカモト事件の場合は、基金に加入している381社6889人の組合員らの掛け金209億円のうち1割以上が横領され、さらに3割がAIJ投資詐欺で消滅し、未公開株への投資で2割が目減りしており、それらが組合員らにツケがまわされてくることになります。

 坂本容疑者が来週にでも長野に戻ってくれば、長野中央署は再び忙しくなることでしょう。安中市の場合は、あと1年半で51億円事件の民事の時効が到来するため、タゴが既に隣接の高崎市西部に居を構えて、きたるべき凱旋の時を待っていることは既にお伝えしたとおりです。

【ひらく会情報部】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

椿本興業中日本営業本部を巡る不正会計事件と安中市タゴ51億円事件から見える横領の連鎖(その6)

2013-05-15 22:30:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■5月にはいり、平成24年度の決算発表の時期になったため、椿本興業では、不正会計事件の真相究明を急いだ上に、訂正した決算報告を5年前に遡ってしておく必要に迫られました。5月8日の特別損失による業績予想の修正や、不正事件の決算訂正、そして社内外の調査委員会による調査報告の公表に引き続き、5月10日には、責任明確化を示すための役員の異動と、真相解明の結果を踏まえた訂正版の決算短信、そして再発防止のための改善措置について発表しました。

**********
2013年5月10日
役員の異動に関するお知らせを掲載。
http://www.tsubaki.co.jp/ir/pdf/release/13/13051001.pdf
                    平成25年5月10日
各 位
               会 社 名 椿本興業株式会社
               代表者名 取締役社長 椿本哲也
                 (コード番号8052 東証・大証第1部)
               問合せ先 取締役常務執行役員 岡本 正風
                 (TEL.06-4795-8806)
     役員の異動に関するお知らせ
 当社は平成25年5月10日の取締役会において、下記の通り役員の異動について内定致しましたのでお知らせいたします。なお、本件は、平成25年6月27日開催予定の第110回定時株主総会で選任のうえ、正式決定する予定です。
          記
取締役の異動(平成25年6月27日付)
(1)新任取締役候補者
  山村純一郎 (現 上席執行役員 開発戦略本部 テクノマテ担当GM)
  梅澤  博 (現 執行役員 開発戦略本部 SRS 担当GM)
(2)退任予定取締役
  西田 昭一 (現 取締役専務執行役員
         営業総括 兼 開発戦略本部 副本部長(テクノマテ担当))
  濱本 和義 (現 取締役常務執行役員 中日本営業本部長)
※ 両名は取締役を退任し、非常勤執行役員に就任いたします。
                    以 上
*************
2013年5月10日
平成25年 3月期決算短信を掲載。
http://www.tsubaki.co.jp/ir/pdf/tanshin/110tanshin.pdf
平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
 この中で不正取引に関する記載は次の通り。

※業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
・平成25年5月8日付け「当社元従業員による不正行為に係る決算訂正について」において公表しましたとおり、当社元従業員が特定の仕入先と共謀し、平成10年秋ごろより実在取引に関連して仕入の水増し発注や架空工事代金の追加発注を開始し、その後平成17年頃より複数の関係取引先の協力を得て、実態のない取引の売上計上及び仕入計上(以下「架空・循環取引」という。)が行われていたことが判明いたしました。
仕入代金の水増しや架空工事代金の発注金額のうち元従業員の現金着服部分として特定できた金額は、「売上原価」から「長期未収入金」に振り替えるとともに、回収不能な債権に対して「貸倒引当金」を計上いたしました。架空・循環取引は、商品の移動を伴わない単なる資金移動にすぎないと判断し、関連する売上高や売上原価、債権債務等について取り消し訂正を行っております。
平成25年3月期の第1四半期、第2四半期及び第3四半期についても訂正を行い、平成25年3月期の数値は当該訂正を反映した数値となっております。また、不正取引に関連した取引先等から当社へ損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性があるため、将来の損失負担見込み額に対して、平成25年3月期末において偶発損失引当金を計上しております。
なお、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書については、平成25年5月10日に、訂正後の過年度決算短信等については、平成25年5月17日に提出する予定であります。

○添付資料
1.経営成績・財政状況に関する分析
(1)経営成績に関する分析
 当社は、平成25年3月18日付け「当社従業員による不正行為について」にて公表いたしました当社元従業員による不正行為に対して、外部の独立機関として第三者委員会を設置し調査を実施するとともに社内調査委員会による調査を進めてまいりました。
その結果、平成25年5月8日付けで開示いたしました「第三者委員会の報告書受領と当社の対応方針について」及び「当社元従業員による不正行為に係る決算訂正について」の通り、過去に行われた取引の一部に不正取引及び不適切な会計処理が行われていたことが判明いたしました。
当社の過去に提出いたしました決算短信に記載されております不適切な会計処理を訂正し、訂正決算短信を提出する予定です。
過年度の決算を訂正する結果となり、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
株主様をはじめ市場関係者の皆様の信頼を損ねた責任を重く受け止め、再発防止と信頼回復に向けて、管理体制の見直し、ガバナンスの強化等の実効性のある施策を速やかに実施する所存であります。
なお、当決算短信における当連結会計年度決算につきましては、過年度決算の訂正後の財務諸表等との比較に基づいております。
①当期の経営成績
 当連結会計年度における日本経済は、東日本大震災復興に向けた需要、消費刺激策により緩やかな回復の動きは見られたものの、長引く円高や近隣諸国との関係悪化で輸出の回復が見られない状況で推移いたしました。
 平成24年12月の新政権誕生を期に円高の是正と株高基調に転じたことで日本経済に対する回復への期待が高まりましたが回復にはいたらず、総じて厳しい状況が続きました。
世界経済は、欧州経済の長期停滞、これまで高い成長を維持してきた中国をはじめとする新興国の景気減速により厳しい状況で推移しました。
 このような状況下において、当企業グループでは、国内での厳しい設備投資状況の中、比較的好調な自動車関連、新エネルギー関連、環境関連、食品関連、医療・医薬関連業界に対して、国内外で営業協業体制を強化し積極的営業展開を行った結果、売上高、営業利益、経常利益で前年同期を上回りましたが、不正取引に関する将来の損失負担見込額を偶発損失引当金として6億7百万円を特別損失として計上いたしましたために、当期純利益は5億4百万円にとどまりました。
   連結売上高  814億  8百万円 (前期比 101.6%)
   連結営業利益  19億  5百万円 (前期比 102.5%)
   連結経常利益  20億 51百万円 (前期比 105.1%)
   連結当期純利益  5億  4百万円 (前期比 91.0%)
となりました。

(4)事業等のリスク
⑥ 不正取引に伴う損失の発生について
 平成25年3月18日付け「当社従業員による不正行為について」にて公表しました当社元従業員による不正取引に係り、不正取引に関連した取引先等から損害賠償請求等の訴訟を起こされる可能性があるため、当企業グループの損失負担見込額を偶発損失引当金として計上しております。しかしながら、今後の訴訟の状況次第では、当企業グループの損失負担見込額が変動し、当企業グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

2.経営方針
① 内部統制の再整備及び運用の強化
 当社は、平成25年3月期以前に不適切な取引が行われたことが発覚し、その反省を踏まえ、企業の社会的責任や公共的使命を履行するために、以下の事項を再整備して事業活動を遂行してまいります。
ア)コンプライアンス意識の徹底とコンプライアンス規定の新設
イ)内部通報制度の改善
ウ)定期的人事異動の実施
エ)営業部門より発注業務の分離と営業事務の見直し
オ)各種規定の見直しと実務運用の徹底
カ)内部監査体制の充実
キ)取締役会及び監査役会の更なる活性化

(連結損益計算書関係)
※4 偶発損失引当金計上額
 長期未収入金に対して計上している貸倒引当金の戻入額33百万円と偶発損失引当金繰入額640百万円は、不正取引に関連するものであるため、両者を相殺して「偶発損失引当金計上額」として表示しております。
**********
2013年5月10日
東京証券取引所による「公表措置」の実施及び「改善報告書」の提出請求についてを掲載。
http://www.tsubaki.co.jp/ir/pdf/release/13/13051002.pdf
                    平成25年5月10日
各 位
               会 社 名 椿本興業株式会社
               代表者名 取締役社長 椿本 哲也
                 (コード番号8052 東証・大証第1部)
               問合せ先 取締役 執行役員 大河原 治
                 (TEL.06-4795-8805)
東京証券取引所による「公表措置」の実施及び「改善報告書」の提出請求について
 当社は、株式会社東京証券取引所より、平成25年5月10日に有価証券上場規程第508条第1項に基づき「公表措置」が実施され、同規程第502条第1項に基づき「改善報告書」を提出するよう求められましたので、お知らせいたします。
 当社は、株式会社東京証券取引所からの当該措置に対して、真摯に対応していく所存です。
          記
 当社は、平成25年5月8日に、不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査結果並びに過年度の決算短信等を訂正する予定である旨及びその概要を開示し、本日、過年度の訂正有価証券報告書等を提出した旨及び平成25年5月17日に訂正決算短信等を開示する予定である旨を開示しました。これらにより、当社において、複数の取引先会社との間において架空売上と架空仕入を伴う不正取引が行われていたこと等により、平成20年3月期から平成25年3月期第3四半期まで、重要な訂正を要する決算内容を開示していたことが判明しました。
 本件は、一部の従業員が関与した不正行為により、不適切な会計処理が行われたものであり、当社においてそれをチェックするための有効な体制が講じられていなかった状況が認められました。
 以上を踏まえると、本件は、適時開示に係る遵守事項に違反し、かつ、投資者の投資判断に相当な影響を与えるものであり、公表を要するものと認められることから、公表措置が行われることになりました。
 また、本件は、当社の適時開示を適切に行うための体制の不備に起因する不適切な開示であり、当社の適時開示体制について改善の必要性が高いと認められることから、その経緯及び改善措置を記載した報告書の提出を求められることになりました。
                    以 上
**********

■調査報告書には関係者の指名や関係会社の名前については全てアルファベットで伏字となっています。報告書に記載のある元SD長とはいったい誰なのでしょう。やはり関心はどうしてもそこに集まります。報告書では「元SD長は、中日本営業本部長に次ぐ立場で、東海東部SDを統括していた」とあります。

 そこで、椿本興業の人事に関して検索してみると次の情報をヒットしました。

**********
人事、椿本興業 2011/3/25 20:27
中日本営業本部〕営業開発室長(名古屋支店営業開発プロジェクトチーム)藤田旺之▽副本部長(同システム営業)籾井新一郎▽副本部長(同動伝第二営業)中江嘉久▽東部動伝営業、伊藤正▽東部システム営業、河合雅彦▽西部動伝営業、石川英生▽西部システム営業、東条誠二
 海外事業SRS技術、中野勧
**********
人事、椿本興業  2011/9/29 18:38
(10月1日)開発戦略本部長(海外事業総括)社長椿本哲也▽営業総括本部長兼開発戦略本部副本部長(営業総括)取締役兼専務執行役員西田昭一▽管理本部長(管理総括兼人事・総務担当兼秘書室長)同兼常務執行役員岡本正風▽経営戦略本部長兼広報室長(経営企画・営業企画・コンプライアンス担当兼経営企画管理センター長)同兼執行役員経営企画室長大河原治▽管理本部副本部長(財経担当兼情報管理)同兼執行役員春日部博▽経営戦略本部東京経営戦略室長(東京総務人事室長)三代進▽コンプライアンス室長、三好秀樹
 〔開発戦略本部〕SRSBD長(SRS海外グループ海外動伝営業)竹井和久▽SRSBD海外装置営業、田辺哲夫▽同海外動伝営業、永山公一▽テクノマテBD長(テクノマテ事業部長)辻義之
 〔営業総括本部〕東日本営業本部システム第二事業部プラント営業、服部真章
 〈中日本営業本部東海東部SD長(副本部長)籾井新一郎▽同SD第一営業(東部動伝営業)伊藤正▽同第二営業(東部システム営業)河合雅彦▽東海西部SD長(副本部長)中江嘉久▽同SD第一営業(西部動伝営業)石川英生▽同第二営業(西部システム営業)東条誠二
 〔管理本部〕副本部長(人事総務担当補佐兼人事)執行役員本倉章男▽財経、藤井誠人▽人事総務、金山忠雄▽秘書室長(総務)十倉進
**********
人事、椿本興業(平成25年4月1日、日経)
(4月1日)
▽開発戦略本部テクノマテBD東日本第一営業、佐野亨
▽同東日本第二営業(東日本営業)比留間国彦
〔営業総括本部〕
中日本営業本部東海東部SD長(装置営業)河合雅彦
▽同SD装置営業、茶谷博昭
▽〈西日本営業本部〉京滋北陸SD動伝営業、井関和宏
▽関西九州SDルート営業、竹田佳弘
▽中四国SD動伝営業(京滋北陸SD動伝営業)橋本房生
▽管理本部人事総務部総務グループ長、宮本茂生
**********

■以上のように、民間企業の場合、不正取引や不適切会計=不正会計に関する事件が発覚すれば、直ぐにその真相解明、責任所在、再発防止について徹底的な調査と分析を迅速に実施する必要があります。そしてそれをきちんと世間に公表する義務が伴います。さもないと投資家の信頼を失い、企業活動に重大な影響を被りかねないためです。

 今回の椿本興業における不正取引による不適切会計事件では、同社の監査法人であるあずさ監査法人が事前に同社の体質を指摘してこうした不正の発生について懸念を表明していました。にもかかわらず適切な対応が取れなかったと第三者委員会は調査報告の中で分析をしています。監査法人にたいして、もっと継続的に指摘をすべきだった、という指摘は、第三者委員会が、椿本興業とは全く取引関係のない、完全なる第三者だから、このような指摘ができたわけです。

■ひるがえって、安中市土地開発公社で18年前に発覚したタゴ51億円事件と市民が呼ぶ巨額詐欺横領事件では、市職員で構成される内部の調査委員会による調査がなされ、簡単な調査報告書が公表されましたが、騙し取られた金額のことしか記載しておらず、なぜ騙し取られたのか、騙し取られた公金はどのように費消され、誰がその恩恵にあずかったのか、責任は誰にあるのか、どうしたら再発を防止できるのか、などについてはほとんど記載がありませんでした。

 今週の金曜日、5月18日は安中市土地開発公社を舞台にしたわが国地方自治体史上空前の巨額詐欺横領事件の18周年です。今回の椿本興業における不正行為事件を対岸の火事とせず、安中市はタゴ事件の再発防止にあらためてチェック機能を再点検しなければなりません。しかし、安中市のトップには、タゴ事件の深部を知る立場にあったにもかかわらず一言もタゴ事件について説明責任を果たしてこなかった御仁が居座っています。したがって、安中市民として、第二のタゴ事件が起きないように、安中市政を再点検すべく当会も尽力してゆく所存です。

【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班・この項おわり】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする