元泥棒の老人と介護用ロボットが織りなす交流を描いたヒューマンドラマ。元宝石泥棒で70歳のフランクは物忘れが激しくなり、心配した息子たちはそんな父親に超高性能な介護型ロボットをプレゼントする。ロボットは自立歩行や会話も可能で、雇い主の健康を管理するだけでなく、やる気を出させて生きがいを見つけさせるようにプログラムされており、おかげでフランクの体調も日々すぐれていく。当初はロボットを気に入らなかったフランクも、元気になったことで野心を取り戻し、自分の“趣味”にロボットを巻き込もうとするが……。主演は「フロスト×ニクソン」「グッドナイト&グッドラック」の名優フランク・ランジェラ。(映画.comより)
予告を見て「おもしろそう!」と単純に考えていたのですが、いやいやなかなかシリアスな映画でした。
フランクじいさんは元宝石泥棒で、刑務所にも随分いたようです。それで、妻と離婚していたり、子供たちとも疎遠だったりもするのですが、とにかく、見当識障害(認知症の症状の一つ)を患うようになったため、食事や部屋の片づけなど、日々の暮らしに支障が出るようになってきます。
息子のジェームズ・マーズディン(成功しているのか、超高価な車でやって来る)は、父親を心配して週一で見に来てはくれますが、彼も小さな子供や家庭を持つ身。往復10時間は厳しいのです。
そこで息子が父にプレゼントしたのが高性能ロボット。これが実に素晴らしい!高いんだろうなぁ。
最初はロボットなんて、とイヤがっていたフランクですが、施設に入れられるよりはマシだと腹をくくり、ロボットと暮らすことにします。
常に懇切丁寧、親切で礼儀正しく、雇い主(つまりフランク)の健康管理とやる気・生きがいを見いだせるようプログラムされ、したがって料理も上手。また、決して一方的ではなく、フランクとも対等に会話もできます。頑固なフランクも、徐々にこのロボットと仲良くなってゆきます。
しかし、こんなに完璧なロボットに、法つまり物事の善悪がプログラムされていないことに、フランクはある日、気付くのです。
つまり、自分の得意なこと・・・「盗み」・・・を共に楽しむことができるのですね。
生き生きし始めたフランクを止めることなど、誰にもできません。綿密に計画を練り、高性能ロボットを引き連れ、手際良く事を進めてしまいます。
しかし、悲しいかな、どこかで「見当識障害」が出てるんでしょうね。首尾よく行ったようで、実は簡単に追い詰められてゆきます。
見取り図なんかは簡単に燃やすことができます。しかし、高性能ロボットにはメモリー機能が・・・。
認知症と言っても、ムラはありますし、感情もあります。いっそ、なにもわからないほうが幸せなのかもしれませんね。フランクが思いを寄せている、近所の図書館司書さんの話も絡めて、最後はしんみり考えさせられました。記憶を失くしてゆく・・・そのつらさは人でもロボットでも同じじゃないのか・・・そんなこともフランクは考えたのでしょうか。
ともかく、もっと笑える話かな、と思ってたので、意外にシリアスで心に響きました。
さて、このオリジナリティ溢れる作品の監督は、本作が長編映画監督デビュー作となるジェイク・シュライヤー。短編作品のほか、ミュージックビデオ、CMなどを手掛けてきた人だそうです。脚本を担当したクリストファー・D・フォードも本作が長編映画初挑戦となり、監督と同級生なんだそうです。
これからが楽しみなコンビですね。
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