フラメンコを芸術の域まで高めた不世出のフラメンコダンサーで、映画「バルセロナ物語」(1963)の中でみせた華麗なステップでも知られるカルメン・アマジャが、63年に50歳の若さで亡くなってから50年。カルメンの姪で舞踏家のメルセデス・アマジャ・ラ・ウィニーを母にもつバイラオーラ(女性の踊り手)のカリメ・アマジャが、フラメンコとルンバの伝統を融合させた舞台を創出していく過程や、病気を抱えながらもいつか舞台で踊ることを夢見る5歳のフアニート少年の姿を通し、バルセロナの社会の底辺にあっても、フラメンコを自身のルーツとして誇りを持って生きる人々や、その中でフラメンコという芸術がどのように次代へ継承されていくのかを描き出したドキュメンタリー。2013年・山形国際ドキュメンタリー映画祭2013インターナショナル・コンペティション部門では、「ジプシー・バルセロナ」のタイトルで上映された。(映画.comより)
朝イチ、9:50からのみの一回上映でした。でも、結構入ってましたね。小さな劇場でしたが。
冒頭、まだ幼い男の子が父親と一緒に、リバイバル上映でしょうか、古い白黒映画を見ています。これがフラメンコの名手、カルメン・アマジャの「バルセロナ物語」ですね。その早くて美しいステップに、少年は「すごいなぁ、早いなぁ」と目を輝かせています。そのうち朗々と歌い始めたカルメン。少年は「歌も上手なんだ!」と感心しきりです。
映画は、女性監督が手掛けるドキュメンタリーで、ジプシー・コミューニティーの中で受け継がれてゆくフラメンコと、それに憧れる少年との二つの物語が並行して描かれてゆきます。
ジプシーも、今では定住している人々が多いのは周知の事実ですが、特にスペイン、バレセロナは、カルメンの一族が故郷と決め、住みついたところです。ここでの彼女の名前は特に重みが違います。
今回の主人公、カリメ・アマジャはメキシコで踊っていましたが、「バルセロナで踊らないか」とあるバンドに誘われるのです。彼女の力強いステップに魅了された音楽家たちは、「同じくダンサーである母親も一緒に」という条件を快諾し、新たな一歩を踏み出します。
そして共演する彼ら。
素晴らしい!実に素晴らしい!まさに魂の叫び。体全体から発する色気と妖気。そして、ステップを踏む時の独特の表情。笑っているわけでもなく、悲壮というのでもなく、体の中から何かを吐きだすかのような形相。そして、目にも止まらぬほどの早いステップ。豊満だけれどもメリハリのついたそのボディ。思わず見入ってしまう表現力でした。
年齢を重ねても、その人独特の味を出しながら表現してゆける、その文化の厚み。これは、タンゴを見ても思うのですが、年輩の女性が得も言われぬ色気を発して魅力的に踊っている・・・。何につけても「若さ」至上主義の日本文化の稚拙さを感じる瞬間ですね。奥の深い文化だと思います。
そして、男達の歌!楽器の演奏もさることながら、あの声量!いったい何を食べて何を心がければあれほどの声が出るのかと思うほどの声量です。素晴らしい!
興味のあるなしで評価は分かれるところとは思いますが、少しでも興味がある方なら、是非。お勧めです。
少し仕事を減らしてでもフラメンコを習おうかしらんと思った浅はかな私でした(笑)。
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