ものすごい人でした。立ち見が何人も。人気なんですねぇ。皆さん、水曜日(レディースデー)に人気があると思われる作品を見られる時は、前もってネットでチケット買っときましょう(笑)。
さて、お話は簡単で、要するにお弁当が行き違った、というだけのものなんですが、インドのお弁当配達システムが圧巻でした。すごい数のお弁当を集め、前後左右に竿などで目一杯持って自転車を漕ぐ→駅に着く→凄まじい数のお弁当と配達人が電車に乗って移動する→目的地(主にムンバイと思われる)で配達人が蜘蛛の子を散らすように降りる→指定されたビルに入り、一つづつデスクに置いて回る。
これで間違いは600万分の一だというのですから、驚きです。「ハーバード大の教授もこのシステムに驚いた」と配達人が言ってましたが、そうなんでしょうね。
ともかく、微小な確率ながら、主人公の主婦イラと定年前の勤め人サージャンは交流することになったのです。近頃のインドは経済成長も著しく、若い人たちは日々の暮らしに忙殺されています。サージャンも、早くに妻を亡くしているため、弁当屋に注文しているわけですが、若い人の中には昼食はバナナ2本とか、リンゴとバナナなんていうのも一般的なようです。
イラの作るお弁当は、何段にも重ねた愛情弁当で、スパイスの分量など、叔母のアドバイスに従って毎日精力を込めて作っています。
しかしながら、愛情が冷めてしまった(?)夫は、平気でお弁当を残すだけではなく、帰宅しても口もききません。イラの目を見ることすらないのです(しかし、これはうちもそうかも・・・)。そんな中、突然残さず平らげて来るようになったことから、行き違いがわかった二人。大人なサージャンに、イラも悩みを打ち明けるようになります。サージャンのオドバイスを受けながら、夫を振り向かせようと努力するイラ。しかし、ついに洗濯物(シャツ)に覚えのないパヒュームの香りが・・・。
この二人の周りに、厳しい現実もまぶしていある本作。例えば、定年が近いサージャンには見習いの青年が付きますが、彼は孤児で、サウジアラビアなどを放浪しつつ独学ですべてを学んできたという設定ですし、経済成長著しい国によくある「親の期待」のための若者(主に男性)の自殺問題なども絡めています。イラの弟も暗にそうだと示されるのですが、なお母親などは「嫁にやったお前には頼れない。あ~息子がいれば頼れるのに」などと言い放ちます。悲しいですね、息子にとっても娘にとっても。
今回ばかりは歌も踊りもないけれど、後味のよい良品にまとまっています。是非に。
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