ザ・スイッチ（Freaky）

 

　「透明人間」「ゲット・アウト」などホラー、サスペンスの話題作やヒット作を数多手がけるジェイソン・ブラムが製作、「ハッピー・デス・デイ」シリーズのクリストファー・ランドンが監督を務め、気弱な女子高生と連続殺人鬼の身体が入れ替わってしまったことから巻き起こる恐怖を描いた異色ホラー。家でも学校でも我慢を強いられる生活を送る冴えない女子高生のミリー。ある夜、アメフトの応援後に無人のグラウンドで母の迎えを待っていた彼女に、背後から指名手配犯の連続殺人鬼ブッチャーが忍び寄る。鳴り響く雷鳴とともにブッチャーに短剣を突き立てられたミリーだったが、その時、2人の身体が入れ替わってしまう。24時間以内に入れ替わりを解かなければ、二度と元の身体に戻れない。ミリーは新たな殺戮を企てるブッチャーを相手に、自分の身体を取り戻そうとするが……。「名探偵ピカチュウ」「スリー・ビルボード」のキャスリン・ニュートンがミリーに扮し、ブッチャーと入れ替わり後は手当たり次第に殺戮を企てる殺人鬼を熱演。一方、中身は女子高生で自分の身体を取り戻そうするブッチャーをビンス・ボーンが演じた。（映画.comより）

 

 

 

＜2021年4月13日鑑賞＞

　今どき、女子高生とシリアルキラーの中身が入れ替わる話なんて！と、内心「見れなくてもいいや」と思っていました。でも、縁があったのですね。近くの映画館で、上映時間がピッタリ合って「パーム・スプリングス」と連続鑑賞することができたのです。これが、意外におもしろかった！猟奇殺人鬼がヴィンス・ヴォーンと知った時は「そんなハマりすぎな」と思っていましたが、彼が意外にチャーミング。あの顔で（笑）。女子高生のミリーもかわいかったし、ゲイの友人も素敵でした。

　冴えないミリーは、学校でもいじめられっ子。私はとってもかわいいと思うけど、今日も今日とて、マウンティング・トップの女生徒から、たらたら嫌味言われています。この子、なんでこんなに性格悪いんでしょうね、そんなこと言ってる間があったら本でも読んだらどうよ、映画見るとか勉強するとかしたらどうよ、と思いました。まぁ案外家庭事情が複雑とか、いろいろ事情があるのかもしれませんが。個人的には、この金持ちっぽい女生徒よりミリーのほうが数倍美人だと思いました。で、ミリーはいつもゲイの男の子と黒人の女の子と、3人でつるんでいます。語弊を覚悟で言うと、この辺はわかりやすくするために、わざと”負け犬チーム”にしてあるんでしょうね、典型的な殺人鬼顔のヴィンス・ヴォーンと同じく。

　ミリーは一年前に父親を亡くしました。母親はそこから立ち直れずに、アルコール依存症となってます。気丈な姉は警察官として勤務していますが、ミリーは母が不憫で、つい母親の言いなりになっています。そんないじめられっ子なミリーが、革ジャン羽織って目つきも鋭く殺人鬼になった途端、彼女をバカにしていた男の子たちが「彼女ってクールじゃない？」って見直します。アホですね～。こんな単純バカは、すぐにミリーに制裁されます。さようなら～。

　しかしながら、この映画でおもしろかったのは、かわいくなったヴィンスがチャーミングだっただけではなく、中身殺人鬼のミリーが、やっぱり女の子だから、身体能力が変わらなかったこと。今まで通りの力が出ない。だって体格女の子だもん。どんな格好で襲いかかっても、負けてばかり。気がはやるばかりで殺人鬼としてのフラストレーションは溜まる一方。この辺がおもしろかったですね。やっぱり人より立派な体格に生まれてきた人は、それだけでラッキーなんだから、親に感謝しなければなりませんね。

　さて、映画ですから、もちろん話は落ち着くところに落ち着くわけですが、ミリーも（一度ミリーを経験した）ヴィンスに叱られます。「病気の母親の言いなりにばかりなってないで、自分で考えて行動しろ」と。この辺も新鮮でした。お勧めです。