田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

アングスト 不安(Angst)

2020年08月16日 16時20分28秒 | 日記

Angst

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異常!危険!『アングスト/不安』新ポスタービジュアル・新場面写真 ...

 あまりに<異常>でほぼ「封印」されていた、途方もない傑作である。裁判の際、「女性が私のために恐怖で震えているのが大好きだ。それは中毒のようなもので、絶対に止まらない」「私は単に殺人への欲望から彼らを殺した」と語った、殺人鬼ヴェルナー・クニーセクが起こした1980年1月、オーストリアでの一家惨殺事件。約8年の刑期を終えて予定されていた釈放の1ヵ月前、就職先を探すために3日間のみ外出を許された際の凶行だった。決して世に放出してはならなかったこの狂人の異様な行動と心理状態を冷酷非情なタッチで描写した実録映画が『アングスト/不安』だ。斬新なカメラワーク、狂人のモノローグで綴る構造、そして全編徹底された冷たく陰鬱なトーン。

荒涼とした暗鬱の世界をとらえる映像はひたすらに暗く寂しく、静謐な空気のなか響く狂人の魂の囁きが異常性を際立たせる。描かれる内容もさることながら、作品自体が<異常>であり、その凄まじさは他に類を見ない映画史上に残る芸術性をも発揮、観る者の心に深い傷痕を残す。1983年公開当時、嘔吐する者や返金を求める観客が続出した本国オーストリアでは1週間で上映打切り。他のヨーロッパ全土は上映禁止、イギリスとドイツではビデオも発売禁止。アメリカではXXX指定を受けた配給会社が逃げた。ジェラルド・カーグル監督はこれが唯一の監督作。殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと全額自費で製作、全財産を失った。発狂する殺人鬼K.を熱演したのは『U・ボート』(81)のアーウィン・レダー。(作品公式ホームページより)
 
 
<参考>
 1946年、ヴェルナー・クニーセクはオーストリア・ザルツブルグに私生児として産まれる。学校を休みがちで、家出と盗みを繰り返した。
1963年、16歳の時に自分の母親をナイフで10回刺し、ドイツへと逃亡。母親は生き延び、殺人未遂で彼はハンブルグで逮捕され、2年の拘禁を処された。
何件かの強盗の後、1973年、クニーセクは73歳の女性の家を訪ね、突然に銃で撃った。彼は自身の精神の異常を訴えたが、懲役わずか8年半となる。
1980年、就職活動のために3日間の仮出所を許された彼は、55歳の母親、26歳の車椅子に乗った障害を持つ息子、24歳の娘の3人の住む家の窓を破壊して侵入。夕方に帰宅した母親と娘をロープで縛り、強盗だと思った母親はクニーセクに小切手を渡した。
しかし、彼の動機は「殺人に対する純粋な欲望」であったため、3人を7~11時間に渡る素手での拷問の末に絞殺した。一度、母親を延命させるために薬を与えたという。彼らの飼っていた猫も殺害された。クニーセクは、彼らの遺体とともに一夜を過ごした。
遺体を家族のメルセデスに詰め込んだクニーセクは、レストランを訪問。食事の際も黒い手袋を身に着け、現金を大量に所持する無口な男を不審に思った従業員は、車のナンバープレートを書き留め、憲兵に通報。
一方、3人家族の家屋の壊れた窓を発見した憲兵は、彼らが行方不明となっていたため車の所在と共に捜索を始めていた。間もなくしてクニーセクは逮捕され、トランクの中から遺体が発見された。 彼は地方裁判所の独房で自殺を試みたが、失敗に終わる。1980年7月、終身刑を宣告される。
1983年、スタイン刑務所からの脱走を試みるが失敗。 (作品公式ホームページより)
 
 
 
 
 
 こんな映画、なんで今頃公開の運びになったのでしょうね。確かにmadです、とても。でもね、当時はとても衝撃だったことは想像できるのですが、今やもっと「気のふれた」映画って、いくらでもあるじゃないですか。いやいくらでもっていうのは言い過ぎかもしれないけれど、とにかく人知を超えた行動をとる人っているし、それはそれで一般社会では迷惑以外のなにものでもなくても、本人にとっては一定の原理みたいなものがあって、筋が通ってるんだ、っていう世界観の映画。ありますよね。
 ただ、この映画に関してはそういう”価値観の押し付け”みたいなのはなかったですね。主人公は純粋にmadなんです。まぁ元来みんなそうなんでしょうけれど。もちろん、育ってきた環境が「かわいそう」だったんだという描写はありました。私生児だったうえに、母親だけではなくて祖母まで毛嫌いしていじめた、とかね。そんなこと生まれてきた子供のせいではないし、色んなことが同情に値するとは思いましたけれど、でもねぇ・・・この映画で見る限りは、見かけも悪くないし身体だって五体満足なうえ、身長だって低くない。環境は不幸としか言いようがないとは思うけれど、生まれ持って変わったところはあったのでしょうね。見かけだけで一生差別を受ける人だっているのだから。
 
 監督は、長編はこれ1作のみっていうのが不気味ですね。あまりの過激さに、興行的には大失敗だったようですけど、その後映画以外の分野で、それなりに成功しているようです。個人的には、やはり古いからか、展開がスロー過ぎた気がします。まぁ素人が殺人をするのだから、そんなものかもしれませんが。「8mm」のほうがはるかに怖かったかな。
 
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