写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

電動シェーバー

2014年10月10日 | 生活・ニュース

 私の顔のひげは濃い方ではないが、口の周りと頬、そしてあごの下と、人並みに生えている。毎日剃らないと翌日には無精ひげとなって見苦しいばかりか、手を顔に当てた時ざらざらしていて気持ちが悪い。そんなこともあって、若いころから入浴時に毎晩、ひげを剃ってきた。

 道具としてはカミソリ派である。この頃は選ぶに困るほどのいろいろなカミソリが店頭に並んでいるが、今は3枚刃のシャープな切れ味のものを使っている。その昔、電動の回転式や往復式のシェーバーを買ったことがあるが、刃の切れが悪かったせいか、剃ったあとの肌のカサカサとした感触がいやで、直ぐに使うのを止めた。それ以来、ひげはカミソリで剃ることでやってきた。

 ひげを剃るときにはシェービングフォームを使っている。入浴時「今日はひげを剃るのがめんどくさいな」と思う日も時にある。そんな翌朝、新聞を読みながらでもひげを剃ることのできるいい電動シェーバーがないものかと、最近のものを買いに出かけてみた。

 あるはあるは、一体どれを選べばよいのか判断に迷うほど多くの種類がある。置いてあるカタログを開いて選び方のにわか勉強。まずはひげの濃さ、つまり剛毛かどうかを問うている。次は、切れ味の違いだろうか、刃の枚数が2、3、4、5枚と多くなるほど高い。そのつぎは、剃ったあとに水洗いできる構造かどうか。こんなところで価格の差が出ているようである。

 あごを撫でながら剛毛ではないと判断し、それであれば刃の数は3枚当たりで良かろうと適当に決め、水洗いできるタイプのものを買って帰った。フル充電した後早速試してみた。ブーンと高周波の甲高いが静かな音を聞きながら剃っていった。新品だからだろう、まったく痛くなんかない。顔面マッサージをしているような心地よい感覚だ。昔のガシャガシャと刃が往復している感じなど全くない。見事に進化している。

 旅行などで出かけた時、これがあれば朝の洗顔時にでも、短時間で簡単にひげを剃ることが出来る。20年も前のイメージを引きずって「電気シェーバーは剃り心地が悪いもの」と決めつけていたが、技術は日進月歩「馬には乗ってみよ 人には添うてみよ」を痛感する。剃ったあと思わず「う~ん、マンダム」。このセリフ、場違いな上に、ちょっと古過ぎますかねぇ。


anger(アンガー)

2014年10月09日 | 生活・ニュース

 2014年のノーベル物理学賞が、次世代照明に使われる青色の発光ダイオード(LED)を開発した中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)、赤崎勇・名城大終身教授(85)、天野浩・名古屋大教授(54)の3人に授与されることが発表された。赤崎氏と天野氏が大学で基礎研究、中村氏が実用化と量産化を成功させたことが評価された。

 3人の中でも、ひと際中村氏の喜びの発言に興味を引かれた。アメリカでのインタビューで「一番有名な賞ですから非常にうれしい」と喜びの声を上げた一方で「ここまで自分を突き動かしてきた原動力はanger(アンガー・怒り)だ」と、早口の英語で何度も「anger」という単語を発していた。

  中村氏が青色LEDを発明したのは、徳島県にある日亜化学工業の「サラリーマン研究者」時代である。徳島大の修士課程を出て、日亜化学に1979年に入社。以来10年間、半導体の開発に携わった。世界を驚かせた発明を支えたのは日亜の自由な研究環境だった。本当は論文発表禁止だったが、中村さんは特許申請の一方で論文を書き続け、会社はそれを黙認した。

 退社後の01年、東京地裁に偉大な発明による対価を求めて提訴。05年、日亜が遅延損害金を含めて約8億4000万円を支払うことで和解が成立したが、会社相手に一研究者が研究成果の対価に関して会社と裁判で争ったことは、大きな話題となった。 

 中村氏はこの対価訴訟の件に止まらず、日本の研究論文の受付基準や審査のやり方についての権威主義、また、LEDを交通信号に採用するに際して、既得権益を持つ公的機関の圧力で中々実用化が困難であったことなど、日本でのいろいろなことに対して怒っている。一個人では容易に突破出来がたいことに対しての「anger」こそがエネルギー源であったことは、彼の学歴や社会に出てからの置かれた立場を見れば想像するに難くない。

 人があることに向かって頑張ろうとしている時のエネルギーの源には、どんなものがあるだろう。劣等感、負けず嫌い、競争心、成功報酬、名誉、社会的地位、社会貢献、単にそれが好きだから、など色々考えられる。「おい、お前はどんなことが頑張るエネルギーなのか」と聞かれれば「間違った権力に楯突く心、すなわち怒り(アンガー)」や「負けず嫌い」だったろうか。中村氏のように、世界的な発明にまで持って行けるほどのアンガーはなかったようである。今は単にどこにでもいる好々爺であるが、毎日怒るネタには困っていない。


皆既月食

2014年10月08日 | 生活・ニュース

 秋の夜長、自然はいろいろな出し物を用意して見せてくれる。今宵10月8日は、今年2度目の皆既月食だという。小学生のとき「月食とは、満月の夜、地球が太陽と月の間に入り、地球の影が月にかかることによって月が欠けて見えること」と習った。

 それであれば、月が地球を1回転する周期の28日に1回は必ず月食が起きても不思議ではないのにと、この年になって初めて疑問に思い調べてみた。「満月になるたびに月食が起こるわけではない。これは、月の公転軌道が地球の公転軌道に対して5度ほど傾いているからである。この傾きのために、満月はたいてい地球の公転軌道に対して地球の影の上下にずれている。ちょうどいい位置で満月になったときだけ、地球の影と重なり月食となって見える」と解説してある。

 これで納得がいった。月と地球の公転軌道が5度傾いているなんて、初めて知った。そういえば、地球の地軸も23度ばかり傾いている。この傾きがあるからこそ日本には四季が巡ってくる。月や地球の公転面や地軸のちょっとした生まれながらの傾きが、自然のいろいろなショーを見せてくれている。

 今宵の皆既月食は、18時14分から満月がしだいに欠け始め、19時24分には満月が地球の影の中に完全に入り込む皆既月食の状態となる。皆既月食の状態は60分続き、20時24分に皆既月食が終了して部分月食の状態となり、21時34分に部分月食が終了するという。

 皆既月食で、月が地球の影に隠れて、夜空に全く見えなくなるというわけではない。皆既月食中でも「赤銅色」の月がはっきりと見える。これは、地球に空気があるからで、太陽の光が地球の大気を屈折しながら進んで月をほのかに照らし「赤銅色」という月食特有の神秘的な輝きになる。

 こんな予備知識を持って、早めに夕食を済ませた後、缶ビールを持ってデッキに座り、2時間ばかりじっくりと澄んだ秋の空の皆既月食を鑑賞しよう。一旦消えてしまったかに思えたものが、またぞろまん丸い元気な顔を見せるなんぞ、月食の満月はどこかの誰かの様子に似ていなくもなく、他人事とは思えない。 


似てる?

2014年10月07日 | 生活・ニュース

 天高く晴れあがった午後4時、久しぶりに吉香公園に出かけてみた。観光客は団体が1組、そのほかは夫婦連れや若いカップルが三々五々。時折、はっと我に返ったようにロープウエイが前ぶれなく動き出す。降りてくる客も5、6人。静かな静かな秋の公園である。

 ロープウエイ乗り場に車を止めて降りた時、目の前に今まで見なかったものが目に入った。高さ1mくらいの石で作った朝礼台のようなものの上に、銅像が立っている。新聞の記事で読んだ岩国出身の電気博士・「日本のエジソン」と呼ばれている「藤岡市助」であることは直ぐに分かった。藤岡市助は、白熱舎という電球製造会社を創設し、この会社は発展し、のちに現在の東芝となった。

 後手に手を組んで頭を高く掲げ、何やら考えているように見える。立像の高さは、実物大だろうか、私の背丈と同じくらいに見えた。奥さんに頼んで、同じようなポーズをとって写真を撮ってもらった。立ち姿だけは、この偉大な博士と同じように写っている。いい記念写真になったとほくそ笑む。

 錦帯橋の近くには、郷土が生んだ偉大な政治家・重宗雄三の像がある。これは実物よりもはるかに大きく作ってあるようだ。像の高さは2mをゆうに越しているに違いない。どこから見ても立派な立像である。これに比べると、藤岡市助の像はとても小さくかわいく見える。

 そんなことを思いながら公園を一周していたら、錦帯橋を架橋した第3代岩国藩主・吉川広嘉の立像の前に出た。これも実物大か? 小さく見える。像の大きさが、その偉人の業績や人としての大きさだとは思わないが、像の大きさを決める時は、一体どういう根拠で決めているのだろうか。大きいのあり、小さいのあり、銅像もいろいろである。


見合い結婚

2014年10月06日 | 生活・ニュース

 30年前には約30%もあった見合い結婚が、現在では約5%になっているという。90%弱が恋愛結婚である。私の世代から見れば隔世の感がするが、羨ましさの半面、恋愛結婚のマイナス面を表した数字もある。恋愛結婚の離婚率は40%、見合い結婚の離婚率は10%といわれている。見合い結婚は離婚率が低いが、これには少し訳があるようだ。

 ある結婚相談所の話によれば、大きく5つの理由があるという。
 (1)見合い結婚では理性的に相手を観察できる。よく「恋は盲目」というが、恋愛結婚では結婚前に気持ちが燃え上がり、そのままの勢いで結婚するが、見合い結婚ではまず条件から入るので、理性的に相手を観察することができる。
 (2)見合いはそもそも結婚が目的であるから、出会った直後から「結婚」についての価値観や、実際に結婚生活が上手くいくかどうかを話し合うことができる。結婚したあとに考え方の違いに気づいて「しまった!」ということになりにくい。

 (3)見合い結婚のカップルは年齢が高めが多い。大人同士のお見合いカップルは慎重に、穏やかに結婚を決めていく。
 (4)見合い結婚は第3者の意見が取り入れられやすい。恋愛中のカップルは「2人の世界」を構築してしまい、周りの意見が一切聞こえなくなってしまうこともある。見合いでは親や仲人など第三者の意見を聞く機会を得られ、それが冷静さを保つための一助になる。
 (5)見合い結婚は、相手のことを深く知らずに結婚するので過剰な期待を抱くことがない。良い意味であきらめて、共同作業の中で違いを埋めていくことができる。
 
 このように見合い結婚の特徴は、お互いが「冷静」「慎重」「理性的」に相手を品定めして結婚に至るので「穏やかに温める愛」を育むことになるという。さて我が見合い結婚の夫婦はこれ如何に。今もって奥さんのことはよく分らないことだらけ。「穏やかに温める愛」って、なんだろう? そんなことを思いながら、昨日、45回目の結婚記念日を迎えた。