写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

男の出番

2014年10月14日 | 生活・ニュース

 先日、ある女性から、岩国検定のCDが欲しいという電話がかかってきたので届けに行った。行ってみると顔見知りの高校の同級生の女性が遊びに来ていた。話を聞くともうひとりも同級生だというが、男女別学だったので面識はない。「それなら、まあ上がって下さい。お茶でも飲みましょうよ」との優しい言葉に甘え、両手に花?でコーヒーをよばれた。

 話を聞いてみると2人とも仕事一筋、根っからの独身であった。家の中を見回してみると、どの部屋もきちんと整理してあるばかりか手も行き届いている。我が家のように、ちょっとしたところが傷んだり壊れたりしてそのままになっているような所は見当たらない。「家のことは全部自分でやっているの。大きなことは業者さんに頼むけどね」と澄まし顔である。

 そんなことを聞いて帰った数日後「お父さん、居間の南側の外灯が切れているようよ」と奥さんから電球交換の依頼が舞い込んだ。スイッチを何度オンオフしても反応がない。買い置いている10ワットの短い蛍光管を持ち出し、マイナスドライバーでケースを外し、両端が薄黒く劣化していた蛍光管を新品と取り変えて復旧させた。

 さあ、試運転だ。スイッチを入れても灯りがつかない。「おっかしいな?」。ハタと気がついた。昔の蛍光灯には「点灯管」といって、蛍光灯を短時間に自動的に点灯するための小型の放電ランプというものがついている。もう一度ケースを外し、奥の隅っこの方に取り付けられている点灯管を取り出してみると、ガラスが真っ黒になっている。「はは~ん、これの寿命がきたんだな」。我が家の引き出しはドラえもんのポケットのように何でもそろっている。これも買い置きがしてあった。

 新しいものをねじ込んでケースを復旧させ、スイッチを入れると、当たり前のことであるが普通に蛍光灯が点灯した。別に大したことをしたとは思わないが、こんな類のことを、あの同級生は本当に何十年も一人でやってきたのだろうか。そんなことを思っているとき「おとうさ~ん、カーテンの吊り輪が一つ壊れて落ちているわよ~」。おっと、、また小さな修理が舞い込んだ。男というだけで、こんな仕事は我が家では私に回ってきて、家の中にいても結構忙しくしている。