写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

皆既月食

2014年10月08日 | 生活・ニュース

 秋の夜長、自然はいろいろな出し物を用意して見せてくれる。今宵10月8日は、今年2度目の皆既月食だという。小学生のとき「月食とは、満月の夜、地球が太陽と月の間に入り、地球の影が月にかかることによって月が欠けて見えること」と習った。

 それであれば、月が地球を1回転する周期の28日に1回は必ず月食が起きても不思議ではないのにと、この年になって初めて疑問に思い調べてみた。「満月になるたびに月食が起こるわけではない。これは、月の公転軌道が地球の公転軌道に対して5度ほど傾いているからである。この傾きのために、満月はたいてい地球の公転軌道に対して地球の影の上下にずれている。ちょうどいい位置で満月になったときだけ、地球の影と重なり月食となって見える」と解説してある。

 これで納得がいった。月と地球の公転軌道が5度傾いているなんて、初めて知った。そういえば、地球の地軸も23度ばかり傾いている。この傾きがあるからこそ日本には四季が巡ってくる。月や地球の公転面や地軸のちょっとした生まれながらの傾きが、自然のいろいろなショーを見せてくれている。

 今宵の皆既月食は、18時14分から満月がしだいに欠け始め、19時24分には満月が地球の影の中に完全に入り込む皆既月食の状態となる。皆既月食の状態は60分続き、20時24分に皆既月食が終了して部分月食の状態となり、21時34分に部分月食が終了するという。

 皆既月食で、月が地球の影に隠れて、夜空に全く見えなくなるというわけではない。皆既月食中でも「赤銅色」の月がはっきりと見える。これは、地球に空気があるからで、太陽の光が地球の大気を屈折しながら進んで月をほのかに照らし「赤銅色」という月食特有の神秘的な輝きになる。

 こんな予備知識を持って、早めに夕食を済ませた後、缶ビールを持ってデッキに座り、2時間ばかりじっくりと澄んだ秋の空の皆既月食を鑑賞しよう。一旦消えてしまったかに思えたものが、またぞろまん丸い元気な顔を見せるなんぞ、月食の満月はどこかの誰かの様子に似ていなくもなく、他人事とは思えない。