写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

秋の虫退治

2014年10月13日 | 季節・自然・植物

 10月に入り秋の夜長を過ごしている時、ブーンと羽根をならしながら目の前を蚊が通り過ぎて行った。こんな季節になっても部屋の中に蚊が飛んでいる。夕方、裏庭に出て用を済ませ家に入るとき、人間と一緒に入ってきたに違いない。

 蚊というやつは、思った以上にすばしこい。腕や足にとまったときには叩きやすいが、飛んでいるときには容易に手のひらで叩くことはできない。蚊取り線香は有効だが、部屋の中で焚く煙は、のどや目に刺激的で好ましいものではない。

 そんな小さな悩みがある中、ホームセンターで買い物をしていた時、レジの近くでいいものを見つけた。「必殺電撃殺虫ラケット 安心して使える安全設計」と目立つように大きく書いた小型のテニスラケットのようなものが置いてあった。

 説明書きを読んでみた。「グリップ部分のスイッチを押しながら虫に向かって軽くラケットを振るだけで、金網部分に蚊やハエが触れると、バチッという音とともに火花が散り、電撃で害虫を撃退する。殺虫剤や蚊取り線香とは違い、無煙無臭、薬を使わないので手軽で簡単。屋外でも使える。三層構造のネットになっていて、両側のネットは安全カバーで中央のネットにのみ電流が流れる構造」と書いてある。

 500円で買って帰った。単3の電池を2個入れて蚊が飛んでくるのを待っていた。ここ数日間、部屋で飼っていた件の蚊が何の警戒心もなく飛んできた。「今だっ!」。ラケットを手に持ち、グリップ部分についているスイッチを親指で押しながら、飛んでいる蚊に向かって軽く振った時、「バチッ!」と小さな蚊をとったにしては大きな音がした。

 ラケットを手元に寄せて観察してみると、一部が焦げた蚊がネットに引っかかっていた。補虫作戦大成功。この電撃殺虫ラケット、値段の割には優れものだ。以来、部屋の中に蚊であれ何であれ、虫が飛んでくるのが楽しくなっている。定年になって数年間、テニスラケットを振って友と遊んでいたが、今では電撃殺虫ラケットを室内で振り回し、秋の虫に遊んでもらっている。また楽しからずや。