今年は10月13日の月曜日が「体育の日」だという。以前は1964年、東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を記念して「体育の日」として祝日に定められていた。
週休2日制が、公務員や中規模以上の企業を中心に広まった今日、月曜日を休日とすることによって3連休にし、余暇を過ごしてもらおうという趣旨で「ハッピーマンデー制」という法律が2000年に制定された。これにより成人の日、体育の日、海の日及び敬老の日の4祝日が意味のあった特定の日から月曜日に移動した。
元日や建国記念日、春分の日や昭和の日などのように特定の日を変えることが難しい12の祝日は、そのままにしてある。変えることが難しくないと判断された前記4つの祝日はいずれも、「体育の日」のように何らかの意味のある日に決めていたものである。そんな背景を無視して3連休にするために、単に第○月曜日を祝日にするなんて、本末転倒のような気がしてならない。
今は私が現役のころとは違って社会や会社の意識も変わり、有給休暇も誰はばからずにとって休めるようになっている。会社としても有給休暇を完全に消化するように指導する時代にもなりつつある。そうであれば、3連休を取りたければ、きちんと準備しておけば周りに気兼ねすることなくとれるだろう。
ハッピーマンデー制なんてものがなかったころを思い出している。手帳を開いて、翌月の祝日を確認する。週の半ばに祝日がある。飛び石連休のどこで有給休暇をとれば自分に都合のよい連休を過ごすことが出来るかをいろいろ考えることも楽しかった。今ではそんなことは必要ない。お上が無条件に3連休や5連休を作ってくれる。
そのぶん、ハッピーマンデーの祝日の特定の日の意味は薄れてきた。「10月10日は東京オリンピックが開催された日。それが今日だったのだ」と思って休んでいた「体育の日」が、今年は10月13日。「一体今日は何の日? えっ、体育の日?」なんて会話があちこちで聞こえるような気さえする。
何でもかんでも生きるに都合がいいように変えればよいものではない。その意味をしっかりと感じながら、その趣旨にあった休日として過ごしたいと思う。