写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

似てる?

2014年10月07日 | 生活・ニュース

 天高く晴れあがった午後4時、久しぶりに吉香公園に出かけてみた。観光客は団体が1組、そのほかは夫婦連れや若いカップルが三々五々。時折、はっと我に返ったようにロープウエイが前ぶれなく動き出す。降りてくる客も5、6人。静かな静かな秋の公園である。

 ロープウエイ乗り場に車を止めて降りた時、目の前に今まで見なかったものが目に入った。高さ1mくらいの石で作った朝礼台のようなものの上に、銅像が立っている。新聞の記事で読んだ岩国出身の電気博士・「日本のエジソン」と呼ばれている「藤岡市助」であることは直ぐに分かった。藤岡市助は、白熱舎という電球製造会社を創設し、この会社は発展し、のちに現在の東芝となった。

 後手に手を組んで頭を高く掲げ、何やら考えているように見える。立像の高さは、実物大だろうか、私の背丈と同じくらいに見えた。奥さんに頼んで、同じようなポーズをとって写真を撮ってもらった。立ち姿だけは、この偉大な博士と同じように写っている。いい記念写真になったとほくそ笑む。

 錦帯橋の近くには、郷土が生んだ偉大な政治家・重宗雄三の像がある。これは実物よりもはるかに大きく作ってあるようだ。像の高さは2mをゆうに越しているに違いない。どこから見ても立派な立像である。これに比べると、藤岡市助の像はとても小さくかわいく見える。

 そんなことを思いながら公園を一周していたら、錦帯橋を架橋した第3代岩国藩主・吉川広嘉の立像の前に出た。これも実物大か? 小さく見える。像の大きさが、その偉人の業績や人としての大きさだとは思わないが、像の大きさを決める時は、一体どういう根拠で決めているのだろうか。大きいのあり、小さいのあり、銅像もいろいろである。