写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

デジカメ故障

2007年05月20日 | 生活・ニュース
 5年前にインターネットオークションで自分の作った木工品を売るためにデジカメを買った。IXY300である。

 当時のものとしては、こんなものだと思って使っていたが、新しい機種が出てくると、大きさといい、シャッター応答速度といい、裏面の液晶画面のサイズも小さくて不満が出てきた。

 特にシャッター応答速度が遅いため、何度もシャッターチャンスを逃し、残念な思いをしたことがあった。

 そんなこともあって、2年前に新しい機種のIXY50というものに買い換えた。液晶画面も大きくて使いやすく、満足していたが、トラブルが起きた。

 撮影や再生のモードを切り替えるスイッチが故障して、うまく切り変わらないことがたびたび起きるようになった。

 静止画を撮りたいのに動画モードのままとなっているようなことが起きた。これでは使えない。

 インターネットで調べてみると、この機種を使っていてこのようなトラブルを経験している人が結構いることが分かった。

 広島のキャノンお客様窓口に持って行き、ごく普通の使い方をしていて、たった2年で基本的なところが壊れたことを説明した。

 保証期間は過ぎているが、無償で修理した後自宅へ送り返してくれるという。直ぐに納得をし、自分でも現金なやつだと思いながら、笑顔で丁重に頭を下げて店を出た。

 1週間後、修理内容を書いた紙と共にデジカメが戻ってきた。ちゃんと直っている。メーカーの対応に満足をした。

 それにしても、デジカメというものは、各社次々と新型を出してきている。どこがどう新しくなったのかの判別は難しい。

 今使っているものとそれほど大差はないように思っているが、マクロ撮影が1cm迄、望遠が15倍以上の小型デジカメが売り出されたら、直ぐ買いに行く用意はしている。

 技術的に無理なのか、待てど暮らせど来ぬ人である。
 (写真は、いまや役目を終え眠っている「IXY300」)

2000本安打

2007年05月19日 | スポーツ・山登り・釣り・遊び
 プロ野球・日本ハムの田中幸雄選手が17日、プロ野球35人目の通算2000安打を達成した。プロ22年目での達成はもっとも遅く、2290試合目の達成は2番目に遅いという。

 「日本ハム一筋の生え抜き初 22年目の金字塔」と、今朝の新聞に大きな見出しで載っている。時間を要する偉大な業績を心から称えたい。

 その新聞記事のなかに、今までに通算2000安打を達成した35人の選手の名前が、通算安打の多い順に所要した試合数と共に一覧表として書いてある。

 1位は張本3085本、2位野村2901本、3位王2786本、7位長嶋2471本、10位落合2371本、11位川上2351本……と有名で実績ある選手の名前がずらりと並んでいる。

 この表を眺めながら、違う見方をしてみることにした。安打の絶対数の順位ではなく、1試合あたりの安打数の順位を調べてみた。

 この数値が1.0以上の選手は35人中17人いる。1位は川上1.188、2位長嶋1.130、3位1.121張本、世界の王は0.984で1.0未満であった。

 これを見ると、安打の絶対数は少ないが、川上・長嶋は突出している。張本だけは、1試合あたりの安打数も安打の絶対数も群を抜いている。

 その張本は、日曜日の朝のテレビ番組のスポーツコーナーで、その1週間のプロ野球を初めとしたスポーツのコメンテーターを務めているが、その中での発言は、実績があるだけに厳しくもやさしく、核心を突いた面白いコメントを出している。

 プロ野球の選手の実績の評価方法はいろいろあろうが、安打数も、2000本として評価するもよし、このようにまた違う角度から見てみても面白い。

 立場を変えて我々の人生の評価方法もいろいろであろう。親孝行度・社会貢献度・皆を楽しませてくれた度・長生き年齢・愛犬度・人生充実度と…。

 いやいや、人生なんて他人から評価してもらう必要はない。自分自身が「いい人生だった」と一つでも思えるようなことのあるよう、頑張ることだ。評価って、所詮は第3者の冷やかしごとだろうから。
  (写真は、2000安打達成した「田中選手」)

ミラクルフルーツ

2007年05月18日 | 食事・食べ物・飲み物
 バラと生活をしている友人宅に、用事があって立ち寄った。ガーデンチェアーに座り、庭いっぱいの色とりどりのバラを見ながらコーヒーをよばれた。

 短い滞在で帰ろうとした時、部屋の中から透明なプラスチックケースに入った1個の大きなレモンを持ってきた。

 「これを試してみてください」と言って渡された。レモンと一緒に2個の小さな赤い実と1枚の紙切れが入っていた。

 「ミラクル・レモンの食べ方  ミラクルフルーツの赤い実を口に含み、舌の上で2~3分なめていると黒い種だけが残ります。その種を口から出してレモンを食べると、甘くておいしいレモンに変わります」と書いてある。
 
 ミラクルフルーツ? 初めて聞く名前であった。帰ってすぐに調べてみた。

「ミラクルフルーツとは、西アフリカ原産の熱帯地域に育つ低木で小さな赤い実がなる。果肉には少し甘みがあり、その実を食べてレモンを食べると、レモンが劇的に甘く感じるようになるなど、酸味を甘みに変える性質を持っている。」と書いてある。

 早速試してみることにした。赤いミラクルフルーツを、妻と一粒ずつを口に入れた。舌の上で転がしていると、表面の赤い皮がくるりとむけた。やわらかい実を舌の上全体に満遍なく移動させた。

 2分が経った頃、実の割には少し大きめの種だけとなったので、口から出した。やおら、縦割りしておいたレモンを恐る恐るかじってみた。

 何と言うことか、あの酸っぱいレモンが、甘くおいしい果物に大変身をしている。甘いといっても、少し複雑な甘さではある。

 「これは果肉中のミラクリンと言う糖たんぱく質によるもので、ミラクリンと酸味が一緒になると、味覚の甘み受容部を刺激し、脳に甘味信号を送るためと言う。この作用は約2時間続く。」とも書いてあった。

 そうしてみると、ミラクルフルーツをなめたことにより、脳がミラクリンにだまされてしまったということになる。

 舌が詐欺にあったような面白い体験をしたが、強い酸味がうそのように甘く変わるというこのミラクルフルーツ、名前通りのミラクルな出来事であった。
  (写真は、友からもらった「ミラクルフルーツ」)

月間賞

2007年05月17日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画
 昼過ぎ、小さな郵便小包が届いた。依頼主欄に「毎日新聞山口支局」と書いてある。思い当たることもなく、箱を開けてみた。

 1枚の紙に「『はがき随筆』への投稿ありがとうございました。月間賞にあなたの作品が選ばれました」と書いてあり、賞状と盾が入っていた。

 先月投稿し掲載された「最後の見送り」と題したエッセイに対して贈られてきたものである。

 今まで、佳作の賞状は2度もらったことはあるが、入選の賞状は今回初めてであった。あんなものでこんなものを頂くとは、恥ずかしさ半分、うれしさ半分というところである。

 今回は、立派なゴールドの盾も副賞で頂いた。私は久しくこのようなものを頂いたことはなく、素直に喜んで眺めている。

 人間の喜びというものには各種のものがあろうが、努力をした結果、お金で買えないものを得た時の喜びは、特に大きい。努力の大きさが大きければ大きいほど、その喜びは大きくなる。

 このたび、私はその種の喜びを与えて頂き、小さな喜びと感激に浸ることが出来た。これを励みにまた書き続け、いつかまた私見合いの小さな喜びに出会いたい。
  (写真は、贈って頂いた入選の「盾」)

カフスボタン

2007年05月16日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画
 15年前に亡くなった母は旅行が好きで、ある時仲間と北海道旅行に出かけた。お土産にカフスボタンを買ってきてくれた。「紅十勝石」と書いてあった。

 その後、私は転勤となり、服装が作業服から着慣れぬ背広に替わった。毎朝パンをくわえ、時間に追われながらカッターシャツに着替える。小さなボタンを、いくつも留めなければいけない。特に袖ボタンは、片手でやるので留めにくい。      
 ある朝ふと思いついた。「そうだ、カフスボタンにしてみよう」。引き出しの奥を探した。見覚えのある箱が出てきた。長い間放っておいた母の土産の品である。

 高価なものではなさそうだが、使ってみると思いのほか留めやすい。黒い半球状の石の表面に、紅色の縞模様が水の上に油を流したように美しく流れている。

 出勤する時にはいつもこの紅十勝石を着けて出た。重要な会議で緊張するような場面では、袖口のカフスボタンにそっと触れる。すると不思議と心が落ち着く感じがした。

 サラリーマン時代、朝の身支度の時間短縮の積りで身に着けるようになった紅十勝石は、私に心の平静をもたらしてくれる縁起の良い母からのエールであったように今懐かしく思い出している。
  (2007.05.16 朝日新聞「声」欄; 特集「ジンクス」掲載)  
  (写真は、母のお土産の「紅十勝石」)