写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

棚、棚作り

2014年01月24日 | 木工・細工・DIY

 階段の下は、広さが畳1畳ほどの収納庫になっている。階段下という宿命があるので高さが低い上、側面から見ると三角形をしていて奥にいくほど低くなっている。使い勝手は悪いが、ほんの少しの空間でも有効に使ってほしいという設計者の意思の表れである。

 住み始めて間もなく奥さんの希望で、この収納庫の中にDIYで棚を2段取り付けた。家の1階で収納できる場所はここしかなく、時に応じて使うあらゆる物を押しこんでいる。物があふれて扉が開き、中のものがあふれ出てくるようなこともあった。

 何とかしなければ。奥さんとの意見が珍しく一致し、朝から収納庫のものを全部出し、断捨離をすることにした。お宝のようなものが出てくる反面、およそこれからも使わないような不用品も沢山出てきた。何を収納していたかも分からない状態になっていた。掃除や洗濯、風呂、洗面、トイレ用品が思いのほか沢山あった。

 「よしっ、洗面所の頭上に棚を作って、見えるようにきちんと整理して並べよう」。直ぐにホームセンターに走り、幅30cm、長さ180cmの板とL字型棚受けを買って帰った。壁紙が張ってあるので、一見しただけではどこに柱があるのか分からない。治具を使ってそれを的確に見極め、ドリルで棚受けを取り付けた。もちろん、奥さんを先手とした2人作業である。

 ものの30分で完成した。上出来だ。これで収納庫のものは大幅に減ったが、隅の方の空間に1段、小さな棚を作って欲しいと追加注文が出た。急きょ、手持ちの材料を使って何とか要望に応えた。収納庫の扉を開けると、こぼれんばかりにあった品々の内、1/3は廃棄し、1/3は洗面所の棚に、残る1/3が元の収納庫に収まった。見違えるように使いやすくなった収納庫を眺めて顔を見合わせてにんまりする。

 仕事を終え大工道具を片付けているとき、奥さんが大きな声で「お父さん、大変! 今作ってもらった棚が壊れたわ!」「なにっ? 何か棚に乗せたんだろう!」っていうのは、落語の世界の小話。この私めに限って、そんなことは絶対ありません。ないと思う。ないだろう。今のところは……。