写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

小便小僧

2019年02月11日 | 木工・細工・DIY

 私が通った小学校には、校門をくぐったところに小さな池があり、そこには校舎を背にして「二宮金次郎」の像が高い台の上に立っていた。背負子に、一抱えもある小木の束を背負い、歩きながら本を読んでいる姿は今も記憶に残っている。

 当時の小学校には、二宮金次郎の像が建てられているところが沢山あったように思う。今の世の中、二宮金次郎を児童の手本として見せることにやや抵抗感があるせいか、すっかり姿を消してしまっている。そればかりか、本を読みながら歩くのは、スマホを見ながら歩くのと同様に、してはならない行動だと教えられている。

 像といえば、世界の町では思いつくだけでも有名なものがいくつか浮かんでくる。ニューヨークの自由の女神・コペンハーゲンの人魚姫を始めとするが、大変愛らしいものが一つある。ベルギーの首都ブリュッセルにある、放尿する少年を模した「小便小僧」である。

 1619年、彫刻家ジェローム=デュケノワが製作したもので、2度の盗難に遭っている。由来には諸説あるが、ブリュッセルを包囲した敵軍が城壁を爆破しようとした際、少年が導火線に小便をかけて火を消し、町を救ったという伝説が知られている。

 小学校にこの「小便小僧」を立てているところはなかろうが、小便を噴水として見立て、街角に建てているところはあるようだ。膝を曲げておなかを突き出し、小便が足にかからないようにしている姿は、見ていてほほえましい。我が家に小便小僧の像を立てることはできないが、暇つぶしに小さな木像を久しぶりに電動糸ノコを使って切り出してみた。由来から「火の用心」のおまじないにはなるかもしれないと思い、玄関の飾り台の上に置いてみた。 


2 コメント

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元気な (tatu_no_ko)
2019-02-11 18:16:43
糸ノコだけとは、大傑作です。
元気な子どもの様子に思わず微笑みました。
次はロダンの考える人をお願いします。
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tatu_no_koさん (ロードスター)
2019-02-11 22:06:14
全てが糸ノコではありません。放物線の部分はひもを使っています。でも可愛い像ですね。
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