写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

腹部エコー

2009年05月22日 | 生活・ニュース
 持病の状態を管理するため、6か月ごとに広島に出かけて腹部エコー検査を受けている。

 エコー検査は超音波検査ともいうが、肝臓、胆のう、すい臓、腎臓などの臓器の腫瘍や炎症の有無、状態や形の異常が分かるものである。

 暗い部屋に入り上半身の衣類を脱いで、ベッドで仰向けになる。腹部に検査用のゼリーを塗り、プローブと呼ばれる超音波発信機を押し当てながら検査を進めていく。

 「はい、お腹を膨らませて~」「はい、そのまま息を止めて」「……」「はい、楽にして~」と、これを何回も繰り返す。

 検査自体は痛くも痒くもないが、以前に比べて最近はなぜか息をとめておく時間が長くなり、苦しくなることが多くなってきた。

 よく見てもらうためそこは頑張っているが、「はい、楽にして~」と言われた時にしばらく大きな息をするので、次の「はい、お腹を膨らませて~」に即座に対応が出来ないことがある。

 ただ単に息をとめておくだけなら1分間くらいは頑張ることが出来るが、お腹を膨らませたまま息を止めるという技術は、やってみれば分かるが頭の血圧が上がるように感じて大変な重労働である。

 それも10分くらいで終わり、「はい、お疲れさまでした」の声で検査終了となる。その後主治医からエコー写真を見ながら検査結果を聞くが、どう見ればその写真から異常の有無が分かるのかと思われるようないい加減な写りである。

 安いデジカメまでが1000万画素だの、ISO1000だのと写真移りの鮮明さを競っている中、エコー写真はまさにすりガラスの向こうに立っている美女を見ているようではっきり見えずもどかしい。

 そんな写真を見て「はい、異常ありません」と言われても、「ほんとかいな」と思う反面、素直に信じてしまう患者心理の矛盾。ともあれ、今回も無罪放免。また半年、あまり悩まず生きていけそうだ。
  (写真は、写りの悪い「腹部エコー写真」)