写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

「佛蘭西屋」

2009年05月08日 | 旅・スポット・行事
 ETCを取り付けたがどこにも出かけていない。「せっかく取り付けたことだし、どこかへ出かけてみましょうよ」との誘いに乗って連休の前、東広島の西条に向かった。

 西条といえば言わずと知れた酒処である。岩国からわずか75kmしかないのに、他県ということでなじみが薄く今まで出かけたことがない。

 駅前の観光案内所に飛び込むと、親切なおじさんが「酒都西条 酒蔵通り」と書いたパンフレットを広げ「車はここへ止めると無料。歩いてこことここを巡りなさい」とルートをマジックで示してくれる。

 「ここの酒蔵は自分が注いで試飲できるよ」と飲み放題の酒蔵まで教えてくれる。いくら飲み放題でも車があるので残念ながら香りをかぐだけだ。

 「お昼食はここがええよ」と丸印をつけてくれた。賀茂鶴が経営する「佛蘭西屋」という評判のレストランである。

 駅の周辺には8社の酒造所が建ち並んでいる。灘・伏見と並ぶ日本有数の酒処だけあって酒造所の杉玉や白壁、どの通りからも眺められる赤煉瓦の煙突が目につく。由緒ありそうな門構えや商家の並ぶ町並みは長い歴史を感じさせるいい風景だ。

 酒蔵も、酒はもちろんのことグッズの販売や試飲をさせたり、カフェではケーキやアイスクリームにお酒をかけて出すなど趣向を凝らし、客の目と足を止めさせる工夫をしている。

 「岩国の街もこんな工夫をすればいいのに」など話しながら見て歩く。回っているうちに吟醸酒の小瓶を両手に5本もぶら下げていた。

 お昼食は言われたとおり「佛蘭西屋」へ。満員で待つこと30分。お勧めは美酒煮込みのコースで、メインディッシュは峠下牛ホホ肉の煮込み料理。お値段はリーズナブルな1,800円。佇まいも味も満足の佛蘭西料理であった。雰囲気よし、サービスも良し、今度行った時も多分またここへ入るだろうと思わせるお店であった。
  (写真は、お昼食をとった「佛蘭西屋」)