写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

射貫き

2009年05月06日 | 旅・スポット・行事
 5月5日、子どもの日。米軍岩国基地は恒例の「日米親善デー」で基地を一般開放した。今年は久しぶりに出かけてみることにした。

 足は自転車。岩国駅から基地まで2.5kmの歩道はぞろぞろと人で一杯。小さな子が跳ねるようにして急ぎ足だ。

 手荷物も多い。クーラーボックスに椅子や敷物、テントやパラソル、キャリアーカーを引っ張っている者もいる。大変な出で立ちだ。

 今朝の新聞を見ると27万5千人、過去最高の人出であったと報じている。5時間も芝生の上に日傘を差し座り込んで見物した。

 落下傘降下実演、ジェット機が目の前を音速での低空飛行・宙返り・急上昇・急降下、ハリアー戦闘機の垂直離着陸・停止飛行・横移動と多彩な演技だ。

 最後が航空自衛隊の「ブルーインパルス」によるアクロバット飛行であった。6機のブルーに彩られた機体が自由自在に連携をとりながら整然と大空で演技をする。

 最後の演技は3機で空にハートのマークを描くというアナウンスが流れた。見ていると、2機が急上昇をしたと思うと白煙を出しながら左右に分かれ急降下を始めた。

 下の最後のところでぶつかると思いきや、そこはうまく交差してまずはハートマークの完成だ。そう思っているとき、左から一直線に1機がハートの真ん中に突進してきた。矢が放たれたようだ。

 白煙は一瞬途切れたがハートの裏から再び出てきた。矢が突き抜けたことを表現している。まるで机上に置いた青い紙に白鉛筆で絵を描いたように正確である。

 子どもの日、多くの幼い子どもとともに1日空を見上げて過ごしたが。こんなに「上」ばかり眺めて過ごしたことは、サラリーマンを卒業して以降ないことだ。

 どうも最近は下ばかりを見つめていることが多い。「上を見ればきりがない。下を見れば後がない」。そんなことを忘れて、童心に帰っていい1日を過ごすことができたように思えた。空よ、わたしの空よ~。
  (写真は、射抜かれた「大空のハート」)