写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

やさしい町

2009年05月21日 | 生活・ニュース
 定期健康診断で広島の日赤病院へ行った。異常のないことを確認して病院を出たのは11時だった。家を出る時、車のトランクに折りたたみ自転車を乗せておいた。

 駐車場で組み立て、八丁堀に向かって走り出した。真夏日の日差しで汗がじわっとにじんでくる。車輪のサイズが17インチと小さいので、ハンドル操作の安定性は普通自転車にはやや劣る。

 それ以上に大きな不満が一つ見つかった。車道から歩道に移るところに、大きくはないが段差がある。

 普通自転車の車輪のようにサイズが大きければ問題ないが、小さなサイズだと車輪が段差をすべて拾い、それによる振動が思いのほか大きく体に響く。

 これは、自転車に乗って走った人でないと分からないが、最近おしゃれな小型の自転車に乗っている人も多く、その人たちも不快に感じていることと思う。

 この段差は、足の弱った高齢者にとっても危険極まりない。そんな感想を持って車に戻り、自転車をたたんで帰路についたとき、赤信号で横断歩道の手前で止まった。

 目の前を1歳くらいの赤ちゃんを乗せたベビーカーを押してお母さんが横切っていった。歩道に移ろうとしたとき、茶碗くらいの小さな車輪が段差につまづいてガクンと前のめりなった。赤ちゃんが大きく揺れて落ちそうだった。

 小型自転車だけの問題ではない。小さな車輪のベビーカーも同じように困っているのを目の前で目撃した。

 車優先の道づくりを脱却し、自転車や人に「やさしい町」づくりに向け、もう少し細やかな配慮がいることを強く感じた。

 ♪ 時計台の下で逢って 私の恋は始まりました …… どこかちがうのこの町だけは なぜか私にやさしくするの~ ♪ 

 「やさしい町」と書いただけで、思わず裕次郎の「恋の町札幌」を口ずさんでいた。
  (写真は、何でもないような小さな「歩道の段差」)