写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

人 目

2005年05月23日 | 生活・ニュース
 ある朝、通勤でいつもの新橋駅に降りた。改札を出た雑踏の中で、ばったりと故郷の顔見知りの女性に出会った。

 それから数年が経った。ある日曜日、上野のアメ横に出張用のアタッシュケースを買いに行った。かばん屋を回って歩いていた時に、再びその人と出会った。

 東京のど真ん中で、2度も同じ人と偶然に出会った。とてつもなく低い確率と思うが、あの大都会の中でさえこんなこともある。

 今の生活はどうだろう。人口11万人の田舎の町では、出かけるたび、スーパーに入るたび、焼肉を食べに行くたび、必ずといっていいほど誰か顔見知りに出会う。

 それをいいと思うか、いやだと思うかは人それぞれだろうが、私は今でも「都会の中の孤独」の方を好む。

 会いたい時には会い、ひとりでいたい時にはひとりに徹する。まったく無防備に、周りの目を気にすることなく、でれーとして生きることが好きだからだろう。

 いや、本当の所は、知人に見られるとまずいこと、恥ずかしいことを、人目を気にせず平気でやってみたいだけかもしれない。

 この忙しい世の中、他人のことに深く関心を持つような人は、周りの何処にもいやしない。存分に自由に生きていけばいい。

 自分が「自分の目」に縛られているだけである。誰かが見ているとは、実は自分が自分を見ていることである。

「人目」とは「自分の目」のことであることに気がついた。じゃぁ、世間の皆さんはみんな老眼?ってな訳ありませんね。
  (写真は、人目ならぬ我が「ロードスターの目」)