俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「ぼくを葬(おく)る」 Le Temps qui reste

2006年08月09日 00時45分10秒 | 時系列でご覧ください
不治の病で余命3ヶ月を宣告された、若きフォトグラファーのロマン。彼が選んだ道とは、化学療法を拒み、たった一人で死とまっすぐ向き合うことだった。死を意識して初めて彼は何を知り、何を残そうとしたのか…。

実は決して相性の良くないオゾン作品。これまた春先に観ようと思いつつ叶わず先週ようやく鑑賞。

主人公ロマン同様「死」に対して身近にいる祖母ローラに扮するジャンヌ・モローの存在感が他を圧倒。
「どうして私だけに?」と訊ねて「もうすぐ死ぬから」とロマンから説明されるローラ。
そんな誰にもことの次第を話さず孤独なうちに死を迎えようとしているロマンに「お情けや同情も悪くはないわ」と言いつつ「今夜、一緒に死にたい」と懇願するわけではないけれど、思わず口走ってしまうジャンヌ・モロー、それだけで充分な作品だったかもしれない。

それ以外のシーン、例えば恋人との切ない別れ、理由を定かにされないがままに描かれる姉との葛藤と和解、ひょんなきっかけから出会った夫婦を巻き込んでの種を残す行為などなど、決して納得いくものではなかったし、観ていて気恥ずかしさすら感じてしまった。

とにかく人間の死という重いテーマのもと、余命わずかと告知された主人公の死ぬまでの(意図的な)孤独な心の在り様は確かに淡々とながらちゃんと描かれていたし、そこには決して涙涙な悲しみがあるわけではないところにもかなり共感したのも事実だった。

そういった意味では脚本をもう少し練りこんでくれれば、悶々と葛藤する主人公の姿にもにもっともっと感情移入できたはずなのになあと思ったりもしたのだけど、ウーム。



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1 コメント

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こんにちは♪ (ミチ)
2006-08-09 17:49:37
ジャンヌ・モローとのシーンが一番印象的でしたね~。

オゾン監督は年をとった女優さんも美しく撮ってくれるのでいいですわ。っていうかフランスの女優さんは年老いても独特の美しさがあるのでしょうか。

余命いくばくもない青年を描いても、韓国映画じゃこうはいかないだろうな~、きっと涙で攻めてくるだろうな~なんて思ってしまいました。
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