俺の明日はどっちだ

50歳を迎えてなお、クルマ、映画、小説、コンサート、酒、興味は尽きない。そんな日常をほぼ日替わりで描写

「無意識の証人」ジャンリーコ・カロフィーリオ

2006年08月10日 00時53分26秒 | 時系列でご覧ください
北西の風で一掃された人気のない海岸沿いの町を通り過ぎる間、ブルース・スプリングスティーンがスピーカーと僕の頭の中で鳴っていた。
トラニのカテドラルの前に車を停めて、僕は海を見ながら煙草に火をつけた。ハーモニーは耳と魂の中できしんだ音をたてていた。
“ The River ”  by   Bruse Springsteen


肉団子をキッチンタオルで包み、バルサミコ酢を使ってサラダを作った。それからテーブル・クロスをしいて、本当のお皿と本当のフォークセットを置いて、食べ始める前にCDを換えに行った。
僕は最終節まで全部立ったまま聴いた。僕の好きな曲。
“ The Boxer ”  by Simon & Garfunkel
その晩、僕はもう悲しくなかった。



旅してそこで飲むビールは現地のものに限ると思っている。
そしてそれに加えて、例えばその国の作家の本を読むのはどうだろうかとふと思いつき、今回鞄の中に紛れ込ませ旅行中に読んだのが、かのジェフリー・ディーヴァーが「最良のスリラー」と評したこの本。

作者は刑事訴訟法の専門家で本職はプーリア州バーリの凶悪組織犯罪を扱う現役のマフィア担当検事なんだそうだ。

言われればなるほど法廷での事細かな描写など思い当たるところは大いにあったけれど、如何せんストーリー展開そのものがいささか稚拙で、旅行中にともに読んでいたロブ・ライアンの「暁の疾走」やデイヴィッド・ハンドラーの「ブルー・ブラッド」といった作品に比べ、残念ながら小説としての面白みには大いに欠けていた。

ただ、最初に引用した途中途中に登場するいくつかの曲の登場のさせ方、あるいは「ビッグウェンズデー」の好きな主人公はジャック・ケルアックの「路上」も好きだったり、あるいはそんな彼のかつての恋人は「ブレードランナー」や「マンハッタン」、そしてレナード・コーエンやパティ・スミス、さらにはサリンジャーが好きだったり、壁にはホッパーの絵が登場してきたりと、あまりにわかりやすい嗜好で、イタリアにおけるアメリカンポップカルチュアの浸透度を知るといった意味で興味深かったりもした。(ちなみに作者のジャンリーコ・カロフィーリオは1961年生まれ)

加えて、作品の中で登場する出稼ぎアフリカ人の姿は、確かにどんな街でも見かけたし、バールでの描写も納得いくところが多く、現地で現地を描いた本を読むことはこれはこれで楽しい試みであったのではないかと(きっと誰も褒めてくれないだろうから)自画自賛したりするのだ。



今日の1曲 “ Romeo and Juliet ” : Dire Straits

ダイアー・ストレイツといえば全世界で2000万枚以上売れた『 Brothers In Arms 』(「マネー・フォー・ナッシング」が入っているやつです)が有名ですが、コアなファンの間ではこれが最高傑作との評価の高い80年リリースのサードアルバムからこの曲を。
派手さはないけれど粒ぞろいの楽曲が揃っているこのアルバムが恋人に去られ傷心の主人公が心惹かれ始めた女性とはじめて食事をするシーンで登場させるセンスの良さにはちょっと感心してしまいました。
アルバム試聴はコチラ
10分近くあるライヴ動画はこっちで!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿