栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

「2歳勝ち馬評価」10/10~12ぶんを更新&雑感

2015-10-14 22:29:45 | POG

先ほど「望田潤の2歳勝ち馬評価」10/10~12ぶんを6頭更新しました(先週もなかなか豊作でした)

日曜の東京芝は7Rまで稍重で9Rから良発表、いわゆる「内から乾くインベタ馬場」(完全に乾いた月曜は外差しも決まっていた)で、そこでミルコは出遅れては外を回して人気馬を飛ばしまくってましたが(^ ^;)、一方でこのバイアスにいち早く気づいて、8枠のベストドリームも6枠のダノンシャークも内に寄せて走らせていたのが岩田でした

◆ワークフォースのSpecialクロス

日曜東京の新馬はNureyev≒Sadler's Wells3・4×3のワークフォース産駒クィーンズベストが逃げ切り勝ち
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013106130/

これまで勝ち上がったワークフォース産駒5頭のうち4頭が牝馬で、クィーンズベスト、グローリーミスト、ゼットフーリの3頭がNureyevのクロスですね

新種牡馬ワークフォースについては

・Nureyev≒Sadler's Wells4×2を持つので、エルコンドルパサーやキングカメハメハがそうであるように、相手繁殖は非Northern Dancerクロスが望ましい
・エルコンドルパサー以上にスタミナとパワーに寄った配合でスピード面で弱点があるので、Mr.ProspectorやSpecialをクロスして機動力を増す方向(脚の回転を上げる方向)がベターだろう

というような予測を立てましたが、「母系にSpecialの血を引き、かつ母がNorthern Dancerクロスを持たないワークフォース産駒」はこれまで4頭が出走し

クィーンズベスト[1.0.0.0]
グローリーミスト[1.0.0.1]
アドルナメンテ[0.2.1.0]
ローズバーキン[0.0.0.1]

クィーンズベストは東京のスローをフワフワッと逃げ切るところがイトコのヴィルシーナと似ていて、この馬の場合は母が持つHalo≒Red God3×4・4もきいていて、ヴィルシーナを少しパワー寄りにしたイメージでいいんじゃないですかね~

◆ラブリーデイだけではない

京都大賞典は究極の高速上がりになって、KingmamboとRoberto譲りのパワーピッチ走法のラブリーデイが回転の速さで一気に抜け出しましたが、改めてこの3日間の芝レースを見返してみると、実は他のレースでもNureyev≒Sadler's WellsとRobertoを持つ馬が大活躍だったのです

この4回京都1~3日で芝レースは計16鞍行われましたが、レヴィンインパクト(母父Nureyev)、シンハライト(母父Singspiel)、ジェネラルゴジップ(母母父Kingmambo)、ベッラヴォーチェ(母父ウォーニング)、ビナイーグル(Welsh Muffin≒Number3×4)、タイセイアプローズ(母父エリシオ)、ビッグアーサー(母Nureyev≒Sadler's Wells3×2)、フィーユダムール(母Medaglia d'Oro)、バティスティーニ(父キングカメハメハ)、ラブリーデイ(父キングカメハメハ)と、うち10鞍はNureyev≒Sadler's Wells持ちが勝っています

またジェネラルゴジップ(母父Dynaformer)、ウインミレーユ(母父ブライアンズタイム)、ベッラヴォーチェ(母父ウォーニング)、アグネススターダム(母母母父Roberto)、ラブリーデイ(母母母父リアルシャダイ)と、Roberto持ちが5勝しているのも特徴的で、これが急坂コースの阪神や中山なら別に驚くべき現象ではないのですが、ふだんはHaloやBold RulerやSir Gaylordがブイブイ言わしている京都の高速馬場でのこの偏りは興味深い

これは全体にバカみたいに上がりが速いので、Special的Roberto的ピッチ走法がナスキロ的ストライド走法より優勢であるということが一つ考えられますが、もう一つは時計や上がりは速いけれど、開幕週だけにエアレーションはそれなりに効いていて、地面をシッカリつかんで走れる馬に向いた馬場でもあるのではないか…と

久多特別では母父ウォーニング(In Reality系でSadler's WellsとRoberto持ち)譲りの小汚いパワーピッチ走法で走るベッラヴォーチェが大外一気を決め、りんどう賞ではメジェルダが逃げ切ろうとするところをより完歩が小さいウインミレーユが高速ピッチで差し切りと、内回りはもちろん外回りのレースでもピッチがストライドを制しまくった3日間でした

これ前エントリと合わせると、秋華賞を特定の馬にフォーカスしようとしているようにも見えますが、別にそういう意図はなくて、さっき先週の競馬を見直していて気づいただけですので念のため(・∀・)

まあ土曜の競馬では、そのあたりを引きつづきチェックしておきたいところです

そろそろ種牡馬ワークフォースについて(3)
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/db79b794c3422b91a91f403431a47124

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レッツゴードンキもトーセンビクトリーも、ユタカもイワタも、ForliのFair Trialに支配されている

2015-10-14 11:42:05 | 配合論

土曜東京新馬はPOG推奨レイアンドキスの応援馬券(単勝)を買っていたのでガックリでしたが、でも血統表を見て選んだときに頭に描いたイメージとかなり近い走りだったので、「う~ん負けたけど思ったとおりの馬や…レッツゴードンキみたいなピッチや(・∀・)」と嬉しくなりました

レイアンドキスはキングカメハメハ×アグネスタキオン×ジェイドロバリー、レッツゴードンキはキングカメハメハ×マーベラスサンデー×ジェイドロバリー、どちらもクロスはKingmambo≒ジェイドロバリーの3/4同血クロス2×3
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102095/

この3/4同血クロスは、Nashua≒Nantallah的パワー(キンカメ×ブライアンズタイムやブライアンズタイム×ジェイドロバリーでダートの鬼が出る根拠)とForli的Fair Trial的前向きピッチ走法がONになりやすいので、キンカメ産駒としてはパワー&機動力特化になりやすい

┌Mr.Prospector
││┌Nashua
│└△
Kingmambo
│ ┌Northern Dancer
│┌Nureyev
│││┌Forli
└△└Special
   │┌Nantallah
   └△

┌Mr.Prospector
ジェイドロバリー
│ ┌Northern Dancer
│┌○
└△
 └Special

だからレイアンドキスとレッツゴードンキに共通する掻き込みの強いピッチ走法は、本来は外回りより内回りに向くというべきで、でもいつも言うように外マイルでも上がりだけの競馬になると、こういうピッチ走法で一気に加速できるほうが有利で、レイアンドキスもレッツゴードンキも、平均ペースで流れた場合は中山内1800mがベストパフォーマンスを出せる舞台でしょう

SpecialはHyperionとNasrullahとFair Trialを持つオールラウンドな名血ですが、父ForliがRiot≒Fair Trial3×3なので、たとえばHyperionが砂糖でNasrullahが醤油でFair Trialが塩だとするならば、配合的には塩味が一番勝っていて、エルコンドルパサー(Special=Lisadell4×4・3)の世界を制したピッチ走法を見てのとおり、砂糖と醤油と塩の中では塩味を主張しやすい血といえるでしょう
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a001d7e/

┌○
│└△┌Colorado(Phalaris×Chaucer)
│ └Riot
│  └Lady Juror
Forli
│  ┌Fairway(Phalaris×Chaucer)
│ ┌Fair Trial
│ │└Lady Juror
│┌○
└△

下図のようにNasrullahとFair Trialは父系と母系が同じですが、母母父にThe Tetrarchの柔らかさが入ってストライドで走るのがNasrullahで、Fair Trialはメインクロスが配合史でおなじみSainfoin=Sierraの全きょうだいクロス4×4で、Lady Josephine譲りの加速力、Sundridge+米血(母父AmericusがNorfork=The Nun2×2)の加速力が強く、「ストライドのNasrullah」に対し「ピッチのFair Trial」という色分けができます

 ┌Pharos(=Fairway)
┌○
Nasrullah
└△┌The Tetrarch
 └△
  └Lady Josephine

┌Fairway
Fair Trial
└Lady Juror
 └Lady Josephine

それとFair Trialのほうが性格が前向きというか生真面目というか一生懸命走るところがあって、「Nasrullahはね~、道中抜いて走ってズルをするんよ」と笠シショーは言ってましたが、たとえばシンコウラブリイでおなじみハッピートレイルズの牝系なんて、特に牝馬はみんなマジメで前向きすぎるぐらいで、あの性格は間違いなくForli譲りで、藤沢和厩舎がブイブイ言わしていた頃はああいうSpecialやForliがいっぱいいて、岡部さんが乗るとみんな3番手でハミを噛んでうなってました

トゥザワールド=トゥザグローリー=トーセンビクトリー全きょうだいはキングカメハメハ産駒でNureyev4×3、母母フェアリードールはHyperion4・4×4・5・5・7・7・7とHyperionの塊で、全体としてはHyperionを増幅した配合といえますが、母系にSharpen Upを通じてTudor Minstrel(Lady Jurorの孫)の血が入るので、Hyperion的粘着力とLady Juror的ピッチで走るような脚質になりがちで、だから中山内回りでベストパフォーマンスを出しやすいのだということは長男から書いてきました
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104733/

ダービーでピッチ走法で行きたがったリアルスティールのレースぶりはレッツゴードンキのオークスと通じるものがありましたが、これもSpecialのFair Trial的側面が強い走法と気性で、母母がKingmamboの全妹でそこにディープインパクトを通じてFair Trial3×3のQueen's Hussarが入るから…という説明もできます(ただしラングレーやプロヴィガルサンは、リアルほどFair Trial的ピッチの効いた走りではないですね)

他にもヴィルシーナやミッキーアイルやディープブリランテなど、母系にNureyevの血を引くディープ産駒は前向きな先行馬に出ることが多いし、デニムアンドルビー(母がNureyev4×2)の斬れ味もディープらしいしなやかさとはまた違って、もっと頑強に一気にグイグイッと加速するような差しで、だからデニムの追い込みは意外にスローのほうが決まりやすく、しなやかさで惰性で伸びつづける差しという感じでもない

母がDanzig系×Lyphard系のジェンティルドンナもこれぞFair Trialというピッチで走る馬でしたが、ハープスターも母がFairy King×トニービンですから、ナスペリオン的斬れとFair Trial的ピッチの両方で加速しているところはあります

スピルバーグはピッチ走法なのに伸び方は持続的でストレッチランナーという何ともややこしい馬ですが、これも母がSadler's WellsとLyphardですから、Fair Trial的な何かが表現された走りには違いない

3着トーセンビクトリー(武豊騎手)
「3着でしたが、トライアルとしてはいいレースができました。小回りになる方がいいと思いますし、次が楽しみになりました」
4着レッツゴードンキ(岩田康誠騎手)
「馬とケンカをしないで、ストレスのたまらないレースをしました。本番となる京都の2000mはいい条件だと思います」

これはローズS後のコメント(ラジオNIKKEI)ですが、こうしてみるとトーセンビクトリーもレッツゴードンキも、ユタカも岩田も、Fair Trialに支配されている

Fair Trialの遺伝力ってやっぱり凄いんです、Lady Josephineは偉大すぎます

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10/13発売『サラブレ』『UMAJIN』11月号

2015-10-14 09:53:52 | お知らせ

昨日10/13発売『サラブレ』11月号、特集は「2015 混迷の秋 抜け出すのはどの馬だ!」
私も秋華賞や秋天やJCや朝日杯の注目馬を取り上げて解説していますので、ご一読いただければ幸いです
http://www.enterbrain.co.jp/sarabure/book/

同じく10/13発売『UMAJIN』11月号、特集は「藤田伸二元騎手電撃引退、真相のすべて」「京都芝、高速馬場のトリックを暴く!」など
私は連載「血統・駆け込み寺」にて例によって読者の皆さまからの質問にお答えしていますが、メインテーマは菊花賞展望ですかね、こちらもよろしくお願いします
http://www.uma-jin.jp/

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