■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2014)』で栗山求が推奨したレッドウィズダム(牡2歳)が日曜京都1Rの未勝利戦(ダ1800m)を勝ち上がりました。
★東京サラブレッドクラブ
父キングカメハメハ
母プレシャスラバー(ペンタイア)
牡 募集価格:3800万円
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013102190/
母の父ペンタイアは「Northern Dancer+Mill Reef+Blakeney」なので、父の母マンファスと配合構成が似ており、マンファス≒ペンタイア2×2です。「キングカメハメハ×ペンタイア」といえば、新馬戦を勝ち上がり芙蓉S(2歳OP)で2着となったイオラニがいます。同馬は気性的な問題で低迷していますが、それがなければOPでも十分やれる馬でしょう。マンファスとペンタイアの共通部分のうち、「Northern Dancer+Mill Reef」が父キングカメハメハのツボで、ファルコンSを勝ったタガノグランパはこのパターンの配合から誕生しています。短距離王ロードカナロア、ダート王ベルシャザール、ジャパンCを勝ったローズキングダムなど、父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」という構成の血を母方に入れると成功する傾向が見られますが、このパターンと「Northern Dancer+Mill Reef」は、Secretariat と Mill Reef の配合構成が似ているがゆえに親戚のようなものと考えていいでしょう。新潟記念(2回)、中京記念などを制したナリタクリスタル(父スペシャルウィーク)の半弟ですが、Mr.Prospector のクロスを持つキングカメハメハ産駒はパワーを帯びる傾向があるので、芝とダート、どちらに出る可能性もあります。いずれにしても高い能力が見込めるので、牡馬で3800万円でもコストパフォーマンス的に悪くないのでは、と思います。(栗山)
■『望田潤のPOG好配合馬リスト(2015)キングカメハメハ編』で望田潤が推奨したアットザシーサイド(牡2歳)が日曜京都4R新馬戦(芝1400m)を勝ち上がりました。
◎アットザシーサイド(牝、母ルミナスハーバー)
http://db.netkeiba.com/horse/2013105721/
ヒシアトラスの姪で、母ルミナスハーバーは芝1200~1600mで4勝。その母タックスヘイブン(クイーンC3着)がNasrullah4×4・5、そこにクロスを持たずNorthern Dancerを引かないアグネスタキオンが配され、Northern Dancer4×4・6のキングカメハメハが配された緊張と緩和のリズムが良い配合。アルバタックスとは父と母母が同じ3/4同血の関係で、KingmamboとタックスヘイブンはRaise a NativeやThong=Lt.Stevensなどが共通するニアリーな関係。アルバ以上の期待ができる配合だと思う。パワーと機動力のマイラー。
■『一口馬主好配合馬ピックアップ(2014)』で栗山求が、『望田潤のPOG好配合馬リスト(2015)重賞勝ち馬の弟妹編』で望田潤が推奨したドレッドノータス(牡2歳)が日曜京都5R新馬戦(芝2000m)を勝ち上がりました。
★キャロットクラブ
父ハービンジャー
母ディアデラノビア(サンデーサイレンス)
牡 募集価格:5000万円
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013105975/
先週、新潟の新馬戦(芝1600m)を勝ち上がったサンマルティンの全弟。兄と同じく5000万円での募集となりました。母ディアデラノビアはフローラS(G2)など3つの重賞を制覇した名牝。その母ポトリザリスはアルゼンチンダービー(G1)、アルゼンチンオークス(G1)を制した女傑。近年のアルゼンチンを代表する名牝系に属し、近親には多くの活躍馬がいます。本馬の半姉ディアデラマドレ(父キングカメハメハ)は非凡な切れ味を武器にマーメイドS(G3)を勝ちました。非主流のアルゼンチン血統だけにハービンジャーとの組み合わせは読みづらいところがあったのですが、サンマルティンの走りを見ると、ディアデラノビアの瞬発力とハービンジャーのフィジカル面の強みが相互補完的にうまくフィットしている感があります。2歳夏の新馬戦を勝ち上がった仕上がりの早さも高く評価できます。兄と同等の素質の持ち主であることを期待したいところです。(栗山)
○ドレッドノータス(牡・ハービンジャー×ディアデラノビア)
サンマルティンの全弟でディアデラマドレの半弟。ポトリザリスは南米アウトサイダー血統が強くNorthern Dancerをはじめとする流行血脈を引かないので、キングカメハメハやハービンジャーやクロフネ(Northern Dancer≒Icecapade4×3)のように Northern Dancer 血脈が強い種牡馬との配合で成功してきた。短足だがバネを感じさせる体質で、この牝系らしい力強いピッチ走法で走りそう。(望田)
■土曜新潟1R障害オープン パスティ(マンカフェ・栗山)
■土曜東京11R富士S2着 サトノアラジン(ディープ・栗山)
■日曜京都11R菊花賞2着 リアルスティール(ディープ・栗山)
■日曜京都11R菊花賞3着 リアファル(一口・望田&栗山)
アットザシーサイドはあまりにも配合のイメージどおりの馬で、母をもう少しパワー体質にしたような、京都外よりは阪神内に向いた1400寄りマイラーで、今開催の京都芝はこういう地面をシッカリ掴むピッチ走法が相変わらず強いです
『パーフェクト種牡馬辞典』のPOGでも取り上げた馬ですが、アルバタックスと同じKingmambo≒タックスヘイブンのニアリークロスにまず注目できるし、アルバタックスは母父がフジキセキでナスキロ柔さも兼備しているところがちょっとどっちつかずですが、こちらのほうが機動力とパワーでまとめていて配合は上だろうという読みだったので、内回りでイメージどおりの勝ち方をしてくれたのが嬉しい
ドレッドノータスはもっとムキムキタイプに完成しそうなイメージやったんですが、パドックを見ると意外に無駄肉がなくしなやかな体質で、なるほどこれなら芝2000mでおろしたくなりますね(・∀・)
京都11R 菊花賞
◎7.スティーグリッツ
○17.リアファル
△9.アルバートドック
×5.ベルーフ
リアファルは配合パターンや母系からスタミナは保証つきだが、パワー型で京都で上がりが速くなりすぎるとどうかというところはあるだろう。リアルスティールは母方のマイラーっぽさが出た体型や加速で、だからこそ皐月賞で持ったまま4角先頭ができるのだ。スティーグリッツはキングストレイルの甥で、シンコウラブリイやコディーノでおなじみのハッピートレイルズの牝系。母サンタフェソレイユは芝1200mのフェアリーS2着がある。この牝系は牝馬は前向きな気性のマイラーが多いが、牡馬はトレジャー(目黒記念2着)やハッピールック(ダイヤモンドS2着)のようなスタミナ豊富なタイプも出る。父ハービンジャーはキングジョージの勝ち馬で、産駒もトーセンバジルやマッサビエルが2400m級に延びてパフォーマンスを上げてきた。しかも本馬はオリオール≒アルサイド7×6・7など父母のスタミナの血をクロスしていて(これはマッサビエルも同じ)、やはり距離延長とともにレース内容が良くなってきたし、燃費の良い走りで長距離は合っているはず。「父スタミナ×母スピード」の配合形なので、途中から動いていける機動力を持ち合わせているのもよく、4角では好位に取り付いているとみた。ハービンジャー3騎から◎を選ぶならば、母が最もスピード型のスティーグリッツ。今年の菊の予想はこれでいきたい。ベルーフはステイゴールドやサッカーボーイの牝系だけに押さえたいところ。アルバートドックは母系のハイペリオン的粘着力が強い体質脚質で、ひと叩きで折り合えばディープ産駒で最もスタミナを発揮する可能性がある。
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キタサンブラックは「父中距離×母父スプリンター」の配合なので機動力があって好位で自在に立ち回れるのがまず強みで、またもともと父ブラックタイドに似た中距離体型でしたが、秋になって更に体型に伸びが出てきたのはフォトパドックを見比べれば明らかでした
しかも母がPrincely Gift系×Bold Ruler系で自身はWild Riskのクロスなので前肢がしなやかにきれいに伸び、京都外回りコースをスムーズに下ってこれる走法でもあります
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102013/
4角からロスなく捌いたのは鞍上の好プレーですが(ああいうイン捌きは北宏の真骨頂ですよね)、4角~直線半ばにかけての加速はこの馬が最も速く、今年の菊も「一番前肢がきれいに伸びる馬」が叩き合いを制することとなりました
「母父サクラバクシンオーが菊花賞を勝ってしまってエエんかい!」という向きには、ホワイトマズル×ジェニュイン全妹のアサクサキングスとか、バゴ×スプリンターのビッグウィークが菊を勝ったのとまあまあ同じようなもんで(金曜のエントリでも書きました)、父が重厚なスタミナ型であればあるほど母からスピードを注入する必要があるわけで、母のスピードで先行したり好位で立ち回れるからこそ父のスタミナが100%活きるのです
私がハービンジャー3騎の中でスティーグリッツをチョイスしたのも、母が最もスピード型だからというのが主な理由で、大きく出遅れてしまいましたが勝負どころで最後方から一気に押し上げてきたあの脚、ああいう脚を使えるのは母がマイラーだからこそでしょう
だから母父サクラバクシンオーが菊花賞を勝つことに大きな驚きはなく、それよりも長距離G1を勝ちきるだけのスタミナや底力を父ブラックタイドが脈々と伝えたのだということがまず賞賛されるべきかと
もうすでに種牡馬としての優秀さは認知されていて今年は200頭近くに種付けしたようですが、この菊花賞制覇で更に人気沸騰は必至でしょう
デビューから武豊とコンビを組みつづけ、新馬と若駒Sを4角2番手で勝ってエリートコースに乗ったブラックタイドは、スプリングSでは一転した後方一気、いわゆるノリのポツンで、鮮やかに追い込みを決めてクラシックの最有力候補に浮上しました
しかし2番人気で出た皐月賞は後方のまま惨敗、そこからまる2年の長い休養に入ってしまい、復帰後はずっとオープンで走って[0.3.3.10]と3歳時の輝きを取り戻せないまま競走生活を終えました
当時から「サンデー×Lyphard×ハイインローは、前で受けてこそ粘着力が最大限に活きる」説を唱えていた筆者としては、ブラックタイドもBurghclereの重厚なスタミナを活かすにはもっと前で受けるべきではないかと予想のたびに書いていて、エイシンデピュティの逃げ切りを和田が番手で追いかけたオーストラリアT2着、復帰後ではあれが最も輝いたレースといえるかも
そもそもサンデーサイレンス×ウインドインハーヘアという配合は、キレッキレのディープインパクトよりも粘着型ブラックタイドのような馬のほうが出やすい配合というべきで(それは全弟オンファイアや近親のゴルトブリッツやリルダヴァルを見ても明らか)、ハーツクライやバブルガムフェローのような脚質に完成するはずだった中距離馬が、ヘンタイプレーで最後方から追い込んでスプリングSを勝ってしまい、実はあそこから歯車が狂いはじめたのかもしれません
全弟ディープインパクトがスーパースターとして一世を風靡した後も、こんなはずではなかったという思いを引きずりながらオープン特別を彷徨いつづけ、引退後は半ば弟の威光でひっそりと種牡馬入りしたブラックタイドは、しかし毎年重賞勝ち馬を送り出して着実に評価を上げていきます
Halo≒Sir Ivor譲りのしなやかな体質と鋭敏な斬れ味、そしてSir Ivorのフィリーサイアーとしての資質も受け継いだディープインパクトが牝駒に抜群の斬れ味を伝えて大成功しているのに対し、ブラックタイドは種牡馬としても「サンデー×Lyphard×ハイインロー(Burghclere)」の粘着力持続力を主に伝えていて、「しなやかで女性的なディープ」「泥臭く男性的なブラックタイド」と、全兄弟でもキャラが真逆なのが面白い
これまで輩出した重賞勝ち馬4頭は全て牡で、全7勝のうち4角先頭が三つに4角3番手が一つ、活躍産駒の母父がサクラバクシンオー、キングカメハメハ、グラスワンダー、アフリート、Danzig、Distant View、スウェプトオーヴァーボード、「母のスピードで先行し、父のスタミナで泥臭く粘る牡駒」が活躍しているのです
ブラックタイドが前で受けて、ディープインパクトの追い込みを封じる
Burghclereのスタミナを振り絞って、Halo≒Sir Ivorの斬れ味を封じる
サンデーサイレンス×ウインドインハーヘアの血統表はどこから見ても美しく、発現の仕方は違えども、その美点はディープインパクトにもディープインパクトの産駒にも、ブラックタイドにもブラックタイドの産駒にも伝わっているのだということを、ライヴで体感することができた今年の菊花賞でした
リアルスティールは今日もカベをつくって折り合うことができたし、福永祐一としてはまずは思惑どおりのレース運びだったと思いますが、キタサンが上がり35.0でリアルが35.1、スプリングSも皐月賞も上がり3Fでは上回っていたのにここで伸び負けたのは、京都外回り適性だけでなく長距離適性でもキタサンが上回ったからと考えるべきでしょう
でもこの2着は、エアシャカールの1着やドリームパスポートの2着やネオユニヴァースの3着なんかと匹敵するもので、母系のマイラーっぽい加速が表現されたピッチ走法はジェンティルドンナを思わせると書いてきましたが、1800~2000mならばドゥラメンテに次ぐ能力の持ち主であることを改めて証明したといえるし、2400mでもスローならばジェンティルのようなパフォーマンスを発揮できる可能性をも示した内容だったのではないかと
神戸新聞杯もマレーシアCもゴール前の上がりは11.7で、今日が11.6ですからリアファルは同じぐらいの脚で上がっているとも言え、最後も決して止まったわけではなく斬れ負け鋭さ負けという3着で、ゴール板をすぎてからの勢いや脚色はキタサンよりもリアルよりもリアファルのほうが良かった
配合や母系から3000mのスタミナに不安ないと書きましたが、一方でラトロ肩で掻き込んで走るこの馬が高速馬場の菊花賞を勝ちきるには、(やはりラトロ肩で掻き込んで走っていた)ザッツザプレンティが斬れ味不足をカバーするために、通過順位8-9-3-1、上がり4F11.8-11.5-12.0-12.3というロンスパで2000mベストのネオユニヴァースやゼンノロブロイに脚を使わせたような、ああいう発想も必要ではないかと考えられました
だから康太がレースを動かしてノリがハナに立ったときにインのポケットにおさまってしまい、直線まで追い出しを待たされることになったのが誤算といえば誤算で、あれが外3ならばルメールはもう少し長く脚を使うようなスパートで、神戸新聞(12.0-11.0-11.4-11.7)と同じようなスパートできたんじゃないかと
スティーグリッツは残念なレースでしたが、4角ではこの馬もマッサビエルも大外にいて、あれはやっぱりAureole魂を感じさせるレース運びでもあったかもしれません