栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2019-2020」

「血統クリニック」有馬記念再掲

2014-12-28 15:24:56 | 血統クリニック

ジャスタウェイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106461/
スカイノダンの半弟で、母母シャロンはCCAオークス(米G1・ダ10F)勝ち馬。その母Double Wiggleの子孫にトーヨーレインボーやフォーエバーモアがいる。牝祖Blue Burstが持つBlue Gay≒Revoked1×2がこの牝系の活力源だ。Northern Dancer≒Icecapade5×3、Revoked≒Nothirdchance5・6×7、そしてトニービンとBushel-N-Peckを通じるHyperionとNasrullah的な組み合わせのクロスで、ジャスタウェイ自身は緩い父母相似配合になっている。Hyperionベースの配合で母がNorthern Dancerの強いクロスを持たないので、ハーツクライ産駒としても晩成の成長曲線を描いてきた。Wild Again(Hyperion4×3)とトニービン(Hyperion5×3・5)からHyperion的な粘着力と持続力と成長力を受け継いだ中距離馬で、古馬になって後駆に力がついて本格化。体型やストライドに伸びはないが同じフォームで長く走りつづける実にHyperion的な脚質で、一瞬の鋭い脚こそないが長くいい脚を持続できるのが最大の長所。ドバイや秋天の圧勝を見てのとおり、Hペースにおける末脚の持続力勝負は世界でも屈指りのものがある。
Wild Againは1984年の第1回BCクラシックを逃げ切って大穴をあけた馬だが、今年のBCクラシックをWild Againの孫Bayernがしぶとい二枚腰で逃げ切ったのはまだ記憶に新しい。ワイルドラッシュ(父Wild Again)×トニービンのトランセンドやジャングルポケット(父トニービン)×Wild Againのフィロパトールが、先行してずっと同じフォームで走りつづけて粘り強いのも明らかにHyperion的で、だからジャスタウェイももうちょっと前々で運んで持続力を活かすのがベストな戦法ではないだろうかと書いてきたし、ノリが気合いを付けて出していって先行し、上がり1位で後続を更に突き放した中山記念こそがベストパフォだと思っている。JCもレース運びそのものは全くミスはなかったといえるが、鞍上の手はスタート直後は全く動いていなかった。出していったのではなく馬ナリで中団に付けたのだ。JCはフランス帰りで万全の体調とまではいかなかったようだが、あれを叩いて体つきにはメリハリが出てきたように見える。追い切りの動きもこの馬としては最高に近い。あとはおそらく前にいるであろうエピファを、追いかける勇気が福永祐一にあるかどうか。今年の有馬の最大の見どころはそこだろう。

ゴールドシップ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102739/
ステイゴールド×メジロマックイーンはオルフェーヴルと同じだが、こちらはPrincely Gift5×5の影響で脚長で直飛節で、柔らかく大きく緩慢な全身運動でストライドを伸ばして走る。だから急激な加速ではなく緩やかにスピードに乗っていく形が理想で、今年の宝塚の後半4Fのレースラップが11.8-11.7-11.8-12.1。「メジロマックイーンに似ている」という人もいるが、マックは燃費のいいフォームで長距離を機械のように走るまさにステイヤーだった。本馬は全身運動で走るのでそのあたりはちょっと違う。Princely Gift的な体質を活かした持続的ストライドという意味では、メイショウサムソンとかコルモバルクなんかに近いイメージか。「バテないステイヤー」というよりは「長くいい脚を使う中距離馬」というべきだろう。「柔らかく大きく、かつ強く」動けるが、「速く」動けないのが唯一の弱点。
宝塚に滅法強いのは、時期的に時計がかかる馬場になり持続ストライドで外々を捲る競馬がハマりやすいバイアスになっていること、そして動きが緩慢なのでスタート後に二の脚がつかないこの馬にとって、ポケットスタートで2角までが長いコース形態も合っているからだろう。今年の宝塚もホームストレッチの後半でスピードに乗りはじめて好位に押し上げている。中山内2500mはスタートすぐコーナーなので、昨年や一昨年のように、前半は後ろから外々を捲り上げていく競馬になるだろう。先週の中山芝は外を回った馬がストライドで追い込むシーンも目についた。今年もこの馬が好走できる条件は揃っているといえる。ペースや展開を野性で感じとりながら、岩田はどこから動かしてくるか。これも当然見どころの一つ。

エピファネイア
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104155/
母シーザリオは6戦5勝のオークス馬。シンボリクリスエスとスペシャルウィーク譲りの胴長脚長で、Kris S.≒Habitatのニアリークロス2×4をもつので体質は非常にナスキロ柔い。母譲りの俊敏さもあるので内回りのコーナー加速力にも秀でているが、この体型体質から生まれるストライドが最も活きるのは東京と外回りで、ベストコースは京都外回りだろうと書いてきた。
シーザリオの唯一の敗戦は旧コース(内回り)の桜花賞だったが、スペシャルウィークもJCやダービーや秋天は勝ったが有馬と宝塚は2着で皐月賞は3着、ブエナビスタもJCや秋天やオークスやヴィクトリアマイルは勝ったが有馬や宝塚や秋華賞は惜敗つづきだった。JCは開いた口が塞がらないほどの圧倒的なパフォーマンスだったが、これまで急坂内回りでは[1.1.1.1]、東京と外回りでは[4.1.0.1]。デビュー当初よりはかなり後駆に力がついてきたとはいえ、今でも前駆の駆動の良さで走っているところはあり(JCにしても坂を上がってからのストライドが圧巻)、たとえ川田が巧く折り合わせたとしても、気分よく走らせることができたとしても、中山内2500mでは東京2400mと同等のパフォーマンスまでは期待できないのでは...というのが私の考え。よく言うことだが、いつでもどこでも同じぐらい強いスーパーホースなんてなかなかいない。

ジェンティルドンナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106253/
血統配合は秋天を参照。
JC連覇を見てのとおりスローの上がりの競馬に強いが、それは母譲りのスプリントで一気に加速できる能力に秀でているからで、本質は2000m前後がベストの機動力と加速力に富む中距離馬だと思っている。2000mよりも2400m戦のほうがスローの上がりの競馬になりやすいのでJCやドバイでベストパフォーマンスを叩き出してきた。「父中距離×母マイラー」の配合形で、2400mのスローをビュンと加速して抜け出してしまえる女傑、という点ではTreveとジェンティルは似たキャラだと思う。今年のJCは持続戦になったので最後苦しくなったが、それでも沈まずに差のない4着に踏ん張ったのは立派で、"スローの女王"の看板がダテではないところを見せてくれたレースだったと思う。Burghclereのニアリークロスを持たないのでディープ産駒としても成長力に富む配合とは言えず、衰えが忍び寄ってきているのはたしかだろう。ピッチ走法なので右回りや内回り自体は割り引く必要はないと思うが、牝馬にとっては中山2500mはタフな舞台だし、昨年今年と冬の中山芝でのディープ産駒の不振も大いに気がかり。ただしタマモベストプレイが除外となるとおそらくヴィルシーナの単騎逃げ、もちろんエピファが行きたがって川田が追っぱなす可能性はあるのだが、スミヨン効果でエピファが番手で我慢がきいた場合は、ヴィルシーナはいくらでもペースを落とせる馬なのでかなり中だるみになるだろう。得意の上がりだけの競馬になれば、引退レースで意地を見せてくれるかもしれない。

ワンアンドオンリー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105072/
血統配合は菊花賞を参照。
母はタイキシャトル×Danzigらしいマイラーだったが、本馬は父を更にNijinsky的に胴長にしたような体型で細身で脚も長い。ダービーはノリが勝負を賭けて引っかかるのを覚悟で出していって、実際かかり気味ではあったが前で受けたぶんと距離適性のぶん、そして東京で伸び伸びとストライドを伸ばして走れたぶん、イスラボニータについに雪辱したという勝利だった。JCは2400mで持続戦になったのでイスラとの差はダービーよりも開いたが、一方で層の厚い5歳勢にちょっと歯が立たず...という7着。現5歳世代は3歳時に古馬との混合重賞を実に9勝しており(ちなみに3歳世代は4勝、4歳世代は3勝、6歳世代は5勝)、3歳世代が低レベルというよりは、5歳世代が分厚すぎるというべきかもしれない。いずれにしてもベストコースの東京2400mで完敗に近い内容だっただけに、乗り方が難しい中山では、ルーラーシップのように捨て身で追い込んでも掲示板までという見立てが妥当なところか。ただこの枠順だと、ノリは出して行ってヴィルシーナの後ろを取りにくるかもしれない。それぐらいのギャンブルに打って出れる立場ではある。

フェノーメノ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106599/
血統配合は秋天を参照。
秋天はスタートは良かったが二の脚で見劣り、左右から来られて引かざるをえずポジションが下がってしまった。JCも外枠から出して行ったが中団までで、外を回りすぎないようけっきょく下げることに。ただしJCでは直線半ばからジワジワ詰めてきており、秋天よりレース内容は良かったし、追い切りの動きからも出来は上向いていたと考えたい。もともと素早く好位に付けるダッシュ力があるほうではないが、最近は長距離のペースに慣れてしまったせいか若いころほど行けなくなっているし、年のせいか叩き良化型になってもいるようだ。折り合いはつくのでゆったりしたペースならばどこからでも動いていけるし、ビュンと斬れる脚はないが抜け出してからもHyperion的に粘っこく踏ん張れる。主戦の蛯名は当然そこは理解しているし、淀の長丁場の勝負どころを熟知しているベテランでもあるから、戦略と立ち回りと粘り強さによる春天連覇だったといえるだろう。ナカヤマフェスタとは配合パターンがよく似ているが、ナカヤマがステイゴールド的な体型に見えてデインヒル的なパワー体質なのに対し、フェノーメノはデインヒル的な体型だが体質はステイゴールドに近い。どちらもステイゴールドの"柔"とデインヒルの"剛"が巧く噛み合った一流馬だが、ナカヤマがタフな馬場になればなるほど光り輝くのに対し、フェノーメノは意外に軽い馬場速い馬場を好むところはある。ここはエアレーション馬場で鞍上はテン乗りの田辺、さすがにベストパフォーマンスまでは出せないとみるべきか。ベストパフォーマンスを出せないと勝ち負けにはならないと思うので、この順番で。

トゥザワールド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103975/
血統配合は菊花賞を参照。キングカメハメハ×サンデーサイレンスは配合に素直で、本馬はNureyev4×3のクロスにSharpen Up内Tudor Minstrel(HyperionとLady Juror)も絡むので、「HyperionとLady Juror」的な粘着力と機動力に富む脚質だ。
父似の伸びのある体型だが、体質や脚質は母方が強いので体型のわりにストライドは伸びない。だからコーナー加速力に優れるが、長い直線を惰性で伸びつづけなければならないレースにはあまり向いておらず、皐月とセントライトは◎にしたがダービーと菊では評価を落とした。全兄トゥザグローリーは11年有馬で3着(筆者は◎オルフェーヴルの▲だった)、菊の大敗で人気ガタ落ちのここは手を出したいタイミングだが、内回りでの立ち回りの巧さで食い込みたいタイプだから、乗り慣れた川田だったら...というトーンダウンはある。ビュイックはイギリスの騎手(国籍はノルウェー)らしく騎乗に繊細さは感じない。兄ほど重い印は打てないというのが結論。

ラストインパクト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104439/
ナリタブライアンやビワハヤヒデの甥で、キズナとは父ディープインパクトと母方のNorthern Dancer+Pacific Princessが共通する。母父ティンバーカントリーはスーパー名繁殖Fall Aspenの息子でプリークネス勝ち馬。パワーが勝ちすぎて力馬ばかりを出したが、母父としてはコパノリッキーやプレイアンドリアルなどの活躍で見直されている。母母パシフィカスがDamascusを1/4異系とする「3/4欧,1/4米」、そこに「1/2米,1/2欧」のティンバーカントリーが配された母スペリオルパールはやはり「3/4欧,1/4米」で、そこに「1/2米,1/2欧」のディープインパクトが配されたラストインパクトもサンデーサイレンスを1/4異系とする「3/4欧,1/4米」の配合形で、クロスの緊張と緩和のリズムでみても、パシフィカスがNearctic≒Mossborough2×4、ティンバーカントリーがSwpas4×3、ディープインパクトがHalo≒Sir Ivor2×4。自身は「サンデー×ミスプロ×War Admiral×La Troienne」の配合形で、キズナと同じBurghclere≒Fijiのニアリークロス。名血良血をオーソドックスに積み上げてきた、間違いのない好配合と言っていい。
Burghclereのニアリークロスをもつディープ牡駒だけに、古馬になって着実な成長曲線を描き、今年は8戦4勝で重賞3勝、G2を2勝し、トップクラスの仲間入りを果たした。小倉大賞典では向正スパートで3角先頭、新潟記念では後方一気、京都大賞典では好位差し、そして金鯱賞では中団でジックリ構えて自信満々の差し切り、川田も着実に手の内に入れてきている。「サンデー×ミスプロ」の組み合わせらしい脚長体型だが、体質はわりとHyperion的でそれほどしなやかさは感じさせず、追って柔らかくしなやかに斬れるというよりはシッカリ実直に伸びるから"Hyperion体質のゼンノロブロイ"というイメージで書いてきた。ストライド走法なので中京や外回りのほうが乗りやすい馬ではあるだろうが、タフな馬場は歓迎のタイプだし、今の中山はこういうパワーストライドの外差しも決まる馬場だ。ただし菱田くんは将来有望な若手だが、この馬に実戦で跨るのも、中山コースで乗るのも初めてとなると越えるべきハードルは決して低くない。川田とのコンビでここまできた馬だけに、なおさらそこは気になる。

サトノノブレス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010103602/
血統配合は天皇賞秋を参照。
母母父Always Run Luckyの母Big PuddlesがAlibhai2×3で力馬っぽさを伝えるので、ディープ×トニービン×Riverman×アンティックヴァリューのイメージとはかなり違うパワー体質で、雨の小倉記念を力強く捲りきったり、雨の菊で最内をジワジワ追い上げてきたり、インベタ1京Aでルメールが絶妙なペースで逃がしてギリギリ粘り込んだりと、むしろパワーと粘り強さと機動力を要求されるレースで好走してきた。金鯱賞も上がり11.9-11.6-11.9を早めに動く形で2着に踏ん張っており、一方で上がり11.4-11.3-11.9の秋天は好位伸びず、12.0-11.4-11.6のオールカマーでは16着大敗。何度も書くが、この上がり12秒専用機の力馬を京都外2400mのスローでギリギリ勝たせてしまったルメールが達人なのであって、この馬自身は上がり12秒では好走し11秒5では凡走しを繰り返しているにすぎない。そんな脚質だからJCよりは有馬向きなのは間違いないし、好走の可能性もあると思うが、順番を付けると印が回るところまではいかなかった。

オーシャンブルー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102978/
母プアプーはイエルバブエナBCH(米G3・芝11F)勝ち、3代母Prairie Venusは独G3を2勝。母父Dashing BladeはデューハーストS(英G1・芝7F)勝ち馬で98年の独リーディングサイアー。
母系の奥にスパイス程度にドイツ血脈が入っており、ステイゴールドにMill ReefとSir Gaylordとナスキロ血脈を重ねて柔らかくなりすぎそうな配合だが、母が持つTudor Minstrel(HyperionとSwynfordの組み合わせ)の薄いクロスが効いているのか、ノーザンテーストを胴長にしたような体型体質で坂コースに強いパワー型中距離馬に出た。一昨年の有馬2着で、今年も中山金杯に勝ち冬の中山には実績がある。昨年は金鯱賞大敗から金杯で一変しており、鞍上蛯名込みで侮れないところはあるのだが、機動力で巧く立ち回りたいタイプではあるのでこの大外が...。

トーセンラー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102985/
血統配合はマイルCSを参照。
全弟スピルバーグは母系のサドラーやLyphardが表現された体型体質で、"バブルガムフェロー+Sadler's Wells"というイメージの重厚な中距離馬に完成したが、本馬は母父Lycius(2000ギニー2着のマイラー)の影響が強い体型で、体質の柔らかさや手先のバネは弟より上。マイルCSに勝ち春天2着だから距離的な守備範囲は広いが、最も斬れるのは1800mだと思っている。今年のマイルCS後に「ちょっと時計が速すぎる」とユタカが嘆いていたように、あそこまでHペースで流れてしまうとピュアマイラーではないだけに対応しきれなかった部分はあったか。京都に実績が集中しているのはコース適性というよりは高速馬場適性というべきで、タフな馬場の2500mとなるとスローでも京都外ほどは斬れないだろう。

デニムアンドルビー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104
血統配合は天皇賞秋を参照。
Alzao≒ラストタイクーンのニアリークロスのナスキロ的斬れを母系の豊富なハイインロー血脈が支える配合で、牝馬にしては野太い斬れ味を武器とする。ただしJCでは大外に持ち出して追い込んだもののゴール前は手前を替えて伸びあぐみ気味で、持続力のあるナタの斬れが武器だが、2400mで牡馬一線級を相手にするとなるとスローがベターなのかなあ...という11着だったか。ここはスローの可能性も高いメンツだが、宝塚4着はインが残る馬場展開で巧く立ち回ったにもかかわらず、カレンミロティックに伸び負けてヴィルシーナを捕えきれず。秋華賞4着もだが、内回りではG1通用といえるほどのパフォーマンスは出せていない。

ラキシス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104304/
血統配合はエリザベス女王杯を参照。ディープ×Storm CatはSir Gaylord≒Secretariat的な柔さ緩さがONになりすぎるきらいもある配合だが、この姉弟の場合は母がStorm Bird≒Nijinsky2×3で母母父Fappianoがミスプロ系でもパワーに定評がある血なので、ここからパワーの要素を補ってバランスがとれている。
母系に入るNijinskyの影響もあって牝馬ながら胴も脚も長く、その体躯を活かしたストライドを武器に外2200mのエリ女で2年連続好走。実績どおり東京や外回り向きのストレッチランナーで、こういう馬をシッカリ全身運動で走れるように育て上げ完成させる手腕にかけては、今も角居厩舎の右に出るものはいない。ここは中山内回りで男馬が相手となると、先行の利が活かせたとしても掲示板までだろう。

ヴィルシーナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106264/
血統配合はエリザベス女王杯を参照。
This is Haloという柔らかく無駄のないフォームで走る馬で、センスと機動力が抜群で鞍上の意のままに操れるタイプ。距離適性的には1800mがベストだと思うが、センスの良さでスローのマイル戦でもスローの中距離戦でも最高に立ち回ってチャンスをモノにしてきた。ここは逃げ馬不在でこの馬が押し出される格好になりそうで、スローに落とすだけ落として流れ込みを狙いたいが、あまりスローにしすぎるとエピファが引っかかってしまうかもしれない。いずれにしてもタフな馬場の2500mは少し長いだろう。

メイショウマンボ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010102094/
血統配合はエリザベス女王杯を参照。
エリ女は追い切りやパドックは良く見せたのに、そして快勝した昨年と同じようなスローで同じようなレース運びだったのに、呆気にとられるほど無抵抗のまま沈んでいった。このスランプは多分に精神的なものだろうと言わざるをえないが、Kingmamboとジェイドロバリーのマイラー資質も受けているだけに、距離も長いところよりは1800mぐらいがベストなのかもしれない...という疑惑も。スーパーニアリークロスの復活を待ちたいが、それはここではないだろう。

ウインバリアシオン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103206/
米2歳女王Countess Dianaなどが出る牝系で、Battle Joined、Wise Exchange、Dancing Count、Time for a Change、Storm Birdと、比較的地味だがあまり悪い影響は及ぼさない北米血脈が代々重ねられてきて、母母カウントオンアチェンジはDancing Countの欧血を1/4異系とする「3/4米,1/4欧」、母スーパーバレリーナはNorthern Dancerを1/4異系とする「3/4米,1/4欧」で、そこに「1/2米,1/2欧」のハーツクライが配されて、自身は「3/4米,1/4欧」となり、クロスがNorthern Dancer5×3・5(LyphardとDancing Countを通じるNorthern DancerとCourt Martialのクロス)。Promised Land5×6やNothirdchance≒Revokedの薄いクロスなどもあり、母方からNorthern Dancerと米血を重ねて開花を早めようとした配合で、晩成のハーツクライ産駒ながらダービーで2着したのも納得。
若いころはまだ非力なところもあったのでオルフェーヴルの後ろから追い込む競馬で2着を重ねていたが、ハーツクライ産駒らしい成長曲線で古馬になって全体に力がついて、昨年の有馬や今年の日経賞を見てのとおり「母の米血スピードで捲り、父のスタミナで踏ん張る」というレースができるようになり、血統どおりの脚質の中距離馬に完成してきた。完調ならば昨年と同じぐらいのパフォーマンスも期待できるのだが、金鯱賞が見せ場もない大敗だっただけに一変するかどうか。今週のフォトパドックを見ると、前後駆の筋肉量や張りがあまりにも春と違いすぎて...。

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公開枠順抽せんの結果は人気3頭が外枠に集結することとなったが、ヴィルシーナが行くのは見えているだけにこの枠順だとワンアンドオンリーは出していってその直後に付けてくるかもしれない。それぐらいのバクチは打てる立場だ。

一方でヴィルシーナがあまりにスローに落としてしまうと、川田は押さえきれずにエピファネイアを追っぱなしてしまう可能性は多分にある。

秋天の1000m通過は60.7でJCは59.6、たしかにスミヨンだから引っ張らずに我慢させることができたのだろうが、ペースそのものもJCのほうが速かった。ヴィルシーナは宝塚を62.4で逃げているようにもっとペースを落とせる馬だ。

緩んだペースがなかなか上がらず、2011年のような上がり3Fの競馬になれば"スローの女王"が意地を見せるシーンも一考したいが、エピファネイアが外枠を引いただけにペースダウンしたときに我慢しきれるかどうか。

川田はスミヨンのように騙し騙し乗れないことはわかっているから、行きたがったらケンカは避けて追っぱなしてしまうと思うので、そうなると途中からペースアップしてのロンスパ戦になるはず。

ゴールドシップは前半スローでも中団より後ろになると思うが、レースがどこから動くか、そこでこの馬はどこから動くべきか、岩田の野性の勘に賭けてみるのも一興だろう。

昨年のエプソムCで一年ぶりにジャスタウェイの手綱をとった福永祐一は、「トモがパンとして本格化した」というコメントを残しているが、そこからフリーハンデ世界一に駆け上がる快進撃は始まった。

エプソムC、関屋記念、毎日王冠、凱旋門賞、スローペースのときは[0.3.0.1]だが、秋天、中山記念、安田記念、そしてJCと、Hペースのときは[4.1.0.0]、ジェンティルが"スローの女王"ならばこちらは"Hペースの帝王"。

JCもスピルバーグが伸びてきたところから同じ脚色で最後まで抜かさなかったから、2400mが長いとは思えないし、あとは福永祐一が、中山内回りで、おそらく前にいるであろうエピファネイアを見ながら、どこから動いていけるか。

そこで中山記念のノリの騎乗を重ね合わせることができれば、帝王のHyperionは最後の一滴まで絞り出されるだろう。

◎ジャスタウェイ
○ゴールドシップ
▲エピファネイア
☆ジェンティルドンナ
△ワンアンドオンリー

先週の朝日杯もデビュー戦からコンビを組みつづけてきた蛯名ダノンプラチナが完勝し、ほんとにお手馬コンビが強い今期のG1だが、福永祐一とジャスタウェイはここまでの全21戦のうち10戦でコンビを組んできた。

新潟外マイルを4角2番手から5馬身ちぎったデビュー戦、本格化を辿りはじめたエプソムC、初G1勝ちの秋天、世界を制したドバイ、そして不完全燃焼に終わった凱旋門。

節目節目は必ず福永祐一が手綱をとってきた。

自他ともに認めるジャスタウェイの主戦ジョッキーが、この引退レースでどう乗ってくるのか、どんな答えを出してくるのか。

それを最後にもう一度問うてみたい。

2014年の最後は、そして「血統クリニック」の大トリは、そんな予想で締めくくりたいと思います。

一年間ありがとうございました。

コメント

「血統クリニック」有馬記念をアップ&今週の新馬戦

2014-12-25 17:07:54 | 血統クリニック

先ほど「血統クリニック」有馬記念をアップしましたので、オーラスもよろしくお願いします
天気はもちそうで良でやれそうですね(・∀・)

今週の新馬戦は
日曜中山2Rハタノソルプレーザ(パ)
日曜中山4Rジーニアル(キ)、スティンライクビー(ク)、ダイワガーランド(パ)
キ…「望田潤のPOG好配合リスト キングカメハメハ編」ク…「一口クラブ好配合ピック」パ…「パーフェクト種牡馬辞典」POG推奨

ハタノソルプレーザはブライアンズタイムにKingmamboの男馬ですからダ1800mデビューは順当、スティンライクビーはクロスのうるさい牝馬に5代アウトのキンシャサをもってきた私の好きなパターン、ダイワガーランドはあれ?クロフネは栗山さんの担当だったんじゃ…と思ったら、フジキセキ産駒がいないので母父フジキセキで選んだやつでした(^ ^;)いちおうクロペリオンかつDeputy Minister×フジキセキの黄金配合

しかし12/29に有馬が終わって、明けて1/4日曜に金杯ですから、我々にとっちゃ通常営業そのままの勤務態勢、年末年始の実感なんて大してないまま新年を迎えるんやろうなあ…

コメント (10)

「血統クリニック」朝日杯再掲

2014-12-21 15:39:26 | 血統クリニック

アッシュゴールド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104061/
オルフェーヴルやドリームジャーニーやリヤンドファミユの全弟で、ステイゴールド×メジロマックイーンはゴールドシップと同じ。ステイゴールド産駒はノーザンテースト的な頑強さを増幅する配合で大物を出すが、この兄弟の場合はノーザンテースト4×3にメジロマックイーンに入るAlycidonとBarley Cornが絡むことで、Lady Angelaの「Hyperion,Swynford,Desmond,Pretty Polly」組み合わせを増幅している。
全兄たちと比較してもノーザンテーストが強いマイラーっぽい体型と肉付きをしているが、肉質は柔らかくて「柔らかく大きく、強く速く」動けるのはさすがと言うしかない。オルフェーヴルかドリームジャーニーかというとオルフェーヴルに似ていると言うべきか。デイリー杯は上がり11.2-11.4だから、最後は同じ脚色だったとはいえこの馬もよく伸びている。まだ緩さは感じるが、パワーそのものはあるので阪神の急坂はOKだろう。

ダノンプラチナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103193/
母は不出走だが、母母Magical AllureはラブレアS(米G1・ダ7F)勝ち馬。新馬戦のパドックを見たときに「外回りで斬れそうだが今日は札幌1500mだから取りこぼしもある」と書いたが、その後東京マイルで2連勝は順当というか納得。「サンデー×ミスプロ×Seattle Slew」という配合形はサダムパテックやリーチザクラウンなどと同じで、脚長でストライドで走るストレッチランナーが出る配合だが、ベゴニア賞の勝ちっぷりなどは東スポ杯で弾けていた頃のサダムパテックと重なるものがある。
サダムパテックが東スポ杯をぶっこ抜いて朝日杯で1人気になりそうなときに、「ストライドで差す馬だから中山マイルでは信用できない」と書いたが、今年から阪神外回りになったのはこの馬にとっては歓迎。ベゴニア賞ではいちょうS上位組(ミッキーユニバース,オープンザウェイ,ニシノクラッチ)にクラリティスカイ以上の着差で圧勝しており、ここでも格的には何ら見劣らない。

クラリティスカイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012106160/
クラリティシチーの半弟で、母母タイキダイヤは京都牝馬Sと阪神牝馬Sで2着。ダイキダイヤの兄弟にはタイキフォーチュンやタイキリオンがいる。タイキクラリティはスペシャルウィーク(マルゼンスキー)、オジジアン、Miswakiという母系に入っていい種牡馬を通じてのBuckpasser5×5、Busanda≒Blue Eyed Momo6×5・6で、繁殖牝馬として非常に魅力的な配合をしていて、キンカメとクロフネ相手に走る仔を産んだということは、今後の産駒にも大いに期待できるし注目したい。本馬は「3/4Northern Dancerクロス」の配合形になっているのもいい。
スペシャルウィーク譲りの胴長で、ナスキロ柔くストライドを伸ばす東京や外回り向きのストレッチランナー。いちょうSは完勝だったが距離はもう少し延びたほうがいい。外1800mならば◎もあったが、ベスト距離ではないマイルでG1を勝ちきってしまうほどの、キングカメハメハのような怪物的な強さはないだろう…というところでこの順番に。ちなみに単純比較だと、いちょうSで2馬身ちぎった3~5着はベゴニア賞でダノンプラチナに3馬身ちぎられている。

ナヴィオン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101775/
母ユキノスイトピーは6勝をあげたオープン馬で(フィリーズレビュー4着)、3代母ゼンギゴーストの産駒に小倉大賞典とカブトヤマ記念に勝ったワンモアラブウエイがいる。母が欧血中心のNorthern Dancer3×4で、自身はNorthern Dancer5×4・5にHornbeam5×5にBusanda≒Mr.Busher6×6・7だから、字面は重々しいがハーツクライ産駒としては比較的完成が早めの配合と言っていい。
ラストタイクーンとノーザンテーストが強い伸びのないマイラーっぽい体型だが、わりとスリムな体質で実直に伸びつづける脚質。Hyperion的な持続力で走っているマイラーというべきで、デイリー杯は京都外回りのスローで上がり11.4-11.2-11.4、1着2着馬には斬れ負けという格好だったが、阪神でもう少し流れて上がりがかかればあの着差は詰まってくるのではないか…という読みで。

ブライトエンブレム
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104799/
母ブラックエンブレムは秋華賞馬。大物が出ないヘクタープロテクター肌ながら大レースを勝った稀有な例で、Our Emblem≒ヘクタープロテクター2×2(Mr.Prospector,Numbered Account=プレイメイト、Damascusが共通)のニアリークロスという大技によって、ヘクターを持つ弱点を克服した名配合といえる。メイショウマンボがスプリングマンボ≒ジェイドロバリーのニアリークロスでジェイドロバリーの血を引きながらG1を勝ちまくったのと同じだ。これだけ強力なニアリークロスを持つと繁殖牝馬としても自己主張が強く、だからあまり強いクロスを持たない種牡馬との配合がベターで、だから米血×欧血のアウトブリードのネオユニヴァースとの組み合わせは良い。父側からみても母系にミスプロとSir Ivorが入るのはロジユニヴァースやガンジスなどと同じで、ネオユニ産駒の成功パターンにちゃんとはまっている。
兄テスタメントがディープのしなやかさがONになった体質でややどっちつかずなタイプに出ているのに対し、こちらはネオユニヴァース×ブラックエンブレムだからパワーと粘りでまとまっているのが好感。札幌2歳Sでは大外を捲り上げてくるときの脚は圧巻で、あれをみると平坦高速馬場よりは急坂や洋芝向きで、外回りよりは内回り向きの中距離馬というのが筆者の見立て。ここは距離短縮と外回りが割り引き材料だが、渋化が残るようなら印は上げたい。

タガノエスプレッソ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100517/
ヘッドライナーの近親で、フェアリードールと同牝系で代々かけられてきた種牡馬も似ていて、そのためデニムアンドルビーとは7/8同血ぐらいの間柄になる(父ブラックタイド=ディープインパクト、母父キングカメハメハ、あと母母に入るNureyevとLikely Exchangeが共通)。半兄タガノトネールが準オープンで頑張っているように、成長力と粘着力に富む牝系だ。
ブラックタイドはディープインパクトの全兄だが、弟ほどHalo≒Sir Ivor的なしなやかさや斬れ味はONになっておらず、「サンデー×Lyphard×ハイインロー」的な粘着力で走る中距離馬だった。そこに母タガノレヴェントンから濃厚なHyperionが注入されて、前受けしぶとい中距離馬に出たのは順当。これまで1400mや1600mでは後方追走で、デイリー杯も最初の200mでは後ろから2番目だったが、そこからペースが中だるみしたときに押し上げていった岩田の好判断が光った。あそこで押し上げて前で受けたからこそアッシュゴールドの追撃を封じることができたわけで、これまでは1400mや1600mで行けなかったからこそ取りこぼしていたともいえるだろう。ここも前受けならしぶとさを発揮しそうだが、デイリー杯みたいに中だるみの中距離戦のような流れにはならないだろうから、となるとデイリー杯のようには運べない可能性が高い。

ネオルミエール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104649/
フラムドクロワールやグランプリブラッドの3/4弟で、母シルクプリマドンナはオークス馬。ネオユニヴァース×ブライアンズタイムでHail to Reason4×4にAlmahmoud5×5にWar Relic≒Eight Thirtyの継続クロスで、パワーと粘りに長けた緩い父母相似配合。フワムドクロワール同様、競走能力の高い両親だからある程度成功が約束された相似配合といえる。
ブライアンズタイムとネオユニヴァースが強い体型と走りで、東京マイルで追い込むよりは中山1800mで捲って強いタイプに見えるが、それでいて2ターンのマイル戦でクラリティスカイやクラージュシチーといい競馬をするのだから能力は確か。とはいえ上のグランプリブラッドやアドマイヤコリン(ともに父ディープ)も外回りよりは内回りでパフォーマンスを上げているように、大きく狙えるのは中山や内回りの中距離戦だろう。ここは善戦までとみたい。

セカンドテーブル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101184/
近親にこれといった活躍馬はおらず、トワイニング×サンデーサイレンス×クリミナルタイプでRaise a Native4×5とBe Faithful=Bimletteの全姉妹クロス5×6。父がNasrullah5・5×3で母は5代アウト。トワイニング×サンデーサイレンスはロールオブザダイスやフサイチアソートやセイリオスやドリームガードナーなどと同じ。オーソドックスで手堅いマイラー配合だ。
フォーティナイナー系のマイラー体型だが、「サンデー系×ミスプロ系」特有の細身でしなやかな体質で、短距離をパワーでゴリ押しするというよりはマイルをしなやかさで走るタイプ。そのあたりはフサイチアソートやドリームガードナーのイメージと近い。小倉1200mよりも東京1400mのほうが明らかに合っている馬だし、阪神外1600mも守備範囲とみたいが、京王杯はアクティブミノルが控えたのでスローの単騎逃げで恵まれた部分はあった。

ケツァルテナンゴ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104708/
ダイナマイトダディ=トゥナンテ兄弟が出る牝系で、母ダイワオンディーヌはクロフネ×トニービン×ノーザンテーストという典型的なクロペリオン配合でダートで4勝。そこにチチカステナンゴでNorthern Dancer≒Icecapade4×5・5・5、これにLuthierやAureoleやガーサントやオンリーフォアライフなどが絡んで、Pretty Pollyを引く血が豊富な配合でもある。
チチカステナンゴ産駒は新中京やエアレーション中山など時計のかかる芝に強いが、本馬は母方もパワーと粘りの血統なので、上がり11.4-12.7の中京2歳をシッカリした脚どりで抜け出してきたが、上がり11.2-11.4のデイリー杯では後方から前と同じ脚で上がるので精一杯だった。阪神で上がりのかかる決着になれば差は詰めてくるだろうが、弾けるマイラーではなくしぶとい中距離馬だから、マイルG1で重い印は打てない。

コスモナインボール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103129/
牝祖Tabaは亜1000ギニー馬でここからTurkoman、サーガノヴェル、ブライトラインなどが出る。母母ビトウィーンダンシーズはRose Bower≒Table Playの3/4同血クロス3×3(PrincequilloとLea Lane=Leallah)、母父カリズマティックはWeekend Surprise≒Drone2×2(Secretariat≒Sir GaylordとTom Fool)、母シックスポケットはNorthern Dancer4×4にWhat a Pleasure=Bold Princess4×4にWeekend Surprise≒Drone≒Hopespringseternal3・3×3(ナスキロ+Tom Fool)、自身はNorthern DancerとSir Ivor≒Drone≒HopespringseternalとSir Gaylord≒Secretariatの継続クロス。代々の配合はなかなか凝っている。
ハイアーゲームは東京と外回りのスローで斬れ味を発揮するタイプだったが、本馬もナスキロ柔い体質でストライドはきれいに伸びるので直線長いコース向き。ただ父ほど斬れる脚はないので、「父中距離×母マイラー」らしく前々で運んで流れ込むタイプだ。アイビーもアスターもゴール前が12秒台で、持続戦消耗戦に持ち込んだからこそしぶとさを発揮したというべきだろう。マイラーというよりは1800型というべきで、"緩慢なサンレイレーザー"というあたりが落としどころか。ここもしぶとさで食い下がりたいが、多頭数のマイル戦だと先行するのに脚を使いそうだし、かといって差しに回って味があるタイプではない。

アルマワイオリ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100208/
スエヒロコマンダーの甥、マイネルロブストのイトコ、母母スエヒロジョウオーは現阪神JF勝ち。母父ピルサドスキーはファインモーションの3/4兄でエアグルーヴをねじ伏せてJCに勝ったが、種牡馬としてはスピード不足に苦しんだ。母はNorthern Dancer4×5とBuckpasser4×5のクロス。マツリダゴッホは中山の捲りの鬼だったが、産駒はウインマーレライ、クールホタルビ、ウインスプラッシュ、アルテ、ベルリネッタと、小回りコースやスローペースをフワッと先行押し切るような脚質の馬が多く、これはいかにもBold Ruler(母父Bel Bolide)のイメージだ。そしてウインマーレライもクールホタルビもウインスプラッシュも本馬も、母系からもBold Rulerの血を引いている。
デイリー杯は超スローで前半から引っかかり気味、逃げ馬の直後で何とかなだめて運んだが、追ってからピリッとした脚は使えず。Bold Bidder、Mill Reef、ボールドラッド、Sir Gaylordとナスキロ血脈豊富な配合で、脚長でしなやかなストライドで走るので、ゴッホ産駒にしては外回りで斬れるタイプではあるが、「ナスキロ柔いストライドで差すマイラー」というだけで勝てるレースかというと、もう少し配合的にもプラスアルファが欲しい。

ジャストドゥイング
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100600/
ストラテジーやラベの甥で、ゼンノロブロイ×フレンチデピュティはアニメイトバイオやニコールバローズやハイアーレートなどと同じ。ハイアーレートとは母系にSeattle Slewが入るのも同じで、脚長でナスキロ柔緩慢なストライドで走るところも似ている。ハイアーが東京ダートで出世したように本馬も東京や外回り向きのタイプだが、あまりにも上がりの競馬すぎてよくわからんレースだった芙蓉Sはともかく、他のレースを見たかぎりではやっぱり上がりがある程度かかってこそのタイプだと思う。Mr.Prospectorクロスを持つゼンノロブロイ牡駒もトレイルブレイザー、ナムラビクター、ハートビートソング、コスモロビンと、目の覚めるような鋭さを発揮するタイプはいない。距離も1800mぐらいあったほうがいい。道悪は巧者。

ペイシャオブロー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102116/
コスモシルバードの半弟で近親にダイワレイダースなどがいる。父のルールオブザローは英セントレジャーの勝ち馬だが、産駒はアンバルブライベンやキングオブローのようなスプリンターも出ており、コスモシルバードも函館2歳2着など2歳の短距離戦で活躍した。Kingmamboを脚長にしたような体型で1400mあたりがベストに見えるが、短距離で好走するのは一本気な性格もあるのだろうか。マイルも守備範囲かもしれないが、配合的にも斬れ味があるほうではないだけに、外マイルのG1で弾ける絵は描きづらい。

ワキノヒビキ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102477/
母ワキノバクシンは園田の認定競走でデビュー勝ちし、続くフェニックス賞で5着に入線したがその後は伸び悩んだ。ワキノバクシンの全兄マルイチバンバンは中央4勝(全てダ1400m)で、ネヴァービート4×3、Northern Dancer5×5を持つ父母相似配合。そこにディープインパクトの全弟オンファイアが配されて、Alzaoとダンシングブレーヴを通じるLyphardとSir Ivor≒Droneのクロスはスマートレイアーやサトノルパンやアヴニールマルシェと同じ。
ダリア賞では後方追走から大外に持ち出すと一頭だけ違う斬れ味で突き抜けてしまったが、あの斬れ味はAlzaoとダンシングブレーヴ譲りなのだろう。ただ体型的にはバクシンオーの影響も強いだけに、スマートレイアーが1400mで一番斬れるのと似たようなところはありそうで、距離延長はプラスではないと思う。(以上新潟2歳と同じ)

タガノアザガル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100528/
牝祖Born a LadyはNorthern Dancerの半妹で、ここからアントニオバローズやレディボナンザなどが出る。母ライアメロディーはNatalma5×3にAlmahmoud5・6×4、自身はNorthern Dancer4×5にHalo5×4とAlmahmoud牝系の血のクロスを代々重ねてきた。一方で父バゴは「3/4欧,1/4米」で母ライアメロディーは「3/4米,1/4欧」なので、「バゴに米血スピードを注入しHalo≒Red Godをクロスする」というビッグウィークやオウケンサクラやトロワボヌールと同じ成功しやすい配合形でもある。
Halo≒Red GodやTom Foolのクロス譲りの無駄のない脚捌きで走るので、阪神内回りを器用に差せるが、バゴ産駒にたまにいる伸びのない短距離向きの体型で、ここは外回りと距離延長が割り引きと判断。

アクティブミノル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103486/
メイショウダグザの甥で、米G1ウッドメモリアルS勝ちThirty Six Redなどが出る牝系。父スタチューオブリバティはStorm Cat直仔のスピード型でコヴェントリーS(英G3・芝6F)に勝ち、キクノストーム、ビッグリバティ、トップフライアー、カシノピカチュウ、サングラスなどを出している。
Storm CatとRahyが強いスプリンター体型で、父のSecretariat≒Sir Gaylord3×4や母のHalo≒Red God3×5や自身のTom Fool5×5などの影響で体質は柔らかく走りに無駄がなく手先が軽い。京王杯は押さえる競馬を試みるもちょっと行きたがってしまった。更に1F延びて相手強化となると、たとえ折り合いがついても見通しは明るくない。

ペプチドウォヘッド
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012105212/
テイエムオペラオーでおなじみのワンスウェドの牝系で、母チャンネルフォーはCBC賞2着など芝ダ兼用のスプリンターだった。本馬はキンカメにRobertoが入るので曲飛で小回りを捲れるタイプだし、母父バブルガムフェローの粘着力も受け継いで、好位から捲って前で受ける脚質のパワー型中距離馬に出たのは順当。芝マイルのG1ではスピードと斬れ味がちょっと足りない。

メイショウマサカゼ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103457/
3代母Welsh LoveはEla-Mana-Mouの娘でHyperionとDonatelloとCourt Martialをクロスするスタミナの塊で、ここからステラリードや仏グランクリテリウムのSecond Empireなどが出る。本馬は父がケイムホームでクロスがSecretariat≒Sir Gaylord4×4・6。Nasrullahが多すぎて家に帰りたくなるケイムホームにハイインロー的スタミナをもってきたのは悪くないが、いかにもGone West系のスプリンターという体型で、戦績どおり平坦芝1200mがベストだろう。

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週間予報では土曜に少し降る予報で、パンパンの良ではなく少し力の要る馬場も想定しておくべきか。
蛯名とショウナンアデラ、幸とホッコータルマエ、スミヨンとエピファネイア、岩田とダノンシャーク、川田とラキシス、北宏とスピルバーグ、酒井学とトーホウジャッカル、浜中とショウナンパンドラ、そして大野とスノードラゴン。
この中でテン乗りで一発ツモで勝ったのはスミヨンと岩田だけで、この天才二人はとりあえず置いとくとして、とにかく今期のG1は気心の知れた主戦+お手馬のコンビの活躍が目立ち、しかもここはキャリアの浅い2歳の競馬だけに、なおさらお手馬重視という視点がいきたいというのがまず一つ。
アッシュゴールドは池添が、ダノンプラチナは蛯名が、デビュー戦からずっと跨って競馬を教えてきた馬だ。

◎アッシュゴールド
○ダノンプラチナ
▲クラリティスカイ
☆ナヴィオン
△ブライトエンブレム

「フジキセキ×ホットプレイ=タマモ○○○プレイきょうだい」が、ステイゴールドやドリームパスポートと3/4同血ながら主にマイラーとして成功したのは、父がサンデーでなくフジキセキというのもあるだろうが、ノーザンテーストの世代が近い(母母父ではなく母父)ために、自己主張が強い大種牡馬ノーザンテーストのマイラーっぽい体型がONになりやすいからだろう…ということは何度か書いてきた。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104866/
その中でもタマモベストプレイはあまりノーザンテーストに似ておらず体型に伸びがあるので距離をこなすが、POG書籍で2歳になったアッシュゴールドの立ち姿を見たときに「オルフェーヴルやドリームジャーニーと比較してもノーザンテースト4×3が体型に強く出ているように見えるし、この馬はもしかしたら"頑強タマモホットプレイ"というイメージではないか」というようなニュアンスで書いてきたつもりだ。
古馬になって京都大賞典を勝つまでに距離適性を伸ばしてきたタマモベストプレイに対し、タマモホットプレイは10歳まで60戦以上のレースを走りつづけたが、ついに1600m以上で勝ち星をあげることはなかった。
全きょうだいでも遺伝子の発現の仕方が違えば距離適性が1000m違うこともあるわけで、アッシュゴールドはオルフェーヴルのように「柔らかく大きく、強く速く」動ける素質や体質を受け継いでいる馬だと思うが、少なくとも現時点の体型や走りを見ると、マイルで一番弾けるのはこの馬かもしれない、とも思わされる。
阪神JFは外マイルで行われるようになってから、桜花賞はもちろんオークスとも直結する王道レースとなったが、もともと牝馬は斬れ味勝負で、斬れ味で上回っていれば3歳春の時点では距離適性はあんまり関係ないところもあるから、朝日杯が阪神外マイルになったからといって即ダービーにつながるかというと、阪神JFとオークスほどは直結しないのではないかというのが筆者の考え。
ダノンプラチナの斬れ味は抜群だがディープの男馬として満点の配合かとまではほめられないところはあって、クラリティスカイは好配合だがマイラーではないだろうというのがあって、となると「兄たちよりもノーザンテースト的なアッシュゴールド」という着地点もアリかなと、まあそんなところで現時点では個の印。
 

コメント

「血統クリニック」朝日杯FSをアップ&今週の新馬戦

2014-12-18 17:30:05 | 血統クリニック

先ほど「血統クリニック」朝日杯FSをアップしましたので、今週もよろしくお願いします

今週の新馬戦は土曜阪神5Rマイアベーア(ディープ好配合)、朝日杯にはアッシュゴールド(POG好配合リスト)とブライトエンブレム(一口ピック)が出走

けっきょく札幌はそんなに降ってないし吹雪いてないですが、今日は寒いので血クリをかき上げながらおでんを作成(・∀・)もうちょっとしたら温めなおしていただきます~
大根一本買ったら、おでんに使った残りは醤油漬けに、むいた皮も捨てずにピリカラきんぴらにしたらなかなか美味いんですよ(・∀・)

コメント (6)

「血統クリニック」再掲~阪神JF

2014-12-14 15:36:31 | 血統クリニック

コートシャルマン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104217/
レッドオーヴァルの3/4妹で、ストロングリターン、ダイワマックワンの半妹。母コートアウトはSmartaire3×4の牝馬クロスを持ち、ハイインロー血脈が強くMr.Prospectorを1/4異系とする好配合で、マイルのスピードとハイインロー的成長力を確実に伝える名繁殖牝馬。
レッドオーヴァルに似たマイラー体型だがこちらのほうが胴は長い。新馬戦はアタマ差、りんどう賞はクビ差。瞬発力や斬れ味が抜群というわけではないのでいつも辛勝だが、実直に我慢強くシッカリ伸びつづけるし、競っての強さもある。実にHyperion的な脚質の牝馬で、川田と手が合いそうなタイプだし、いわゆる相手ナリというか、相手強化でレースレベルが上がれば更に奥深さをみせるはず。もちろん本当に強くなるのは古馬になってからなのだろうが、直線の急坂はプラスだし、ここも勝ち負けには加わってくるはずで、軸としての信頼度はなかなか高い。

ココロノアイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012105256/
母母マックスジョリーは桜花賞とオークスで3着、3代母マックスビューティは桜花賞とオークスに勝った女傑。母父デインヒルはフェノーメノと同じで、ナカヤマフェスタの母母父もデインヒルだから、ステイゴールドとはニックスと言っていい血だ。デインヒルはNorthern DancerにFlower Bowl(≒Determine)とHeliopolisだからDixieland Band(レッドリヴェールの母父)と血脈構成が似て、ノーザンテーストの「Northern Dancer+Hyperion+Swynford+Tracery」の頑強さをONにする効果が絶大といえる。
アルテミスでは出遅れた後少し出していったらガツンと引っかかって3番手、しかしゴール前で追い比べになるともうひと踏ん張りして抜かせず、まだまだ粗削りだが奥深さを感じさせる勝ち方だった。有馬と宝塚にめっぽう強いようにステゴ大物産駒はどちらかというと急坂小回りコースに向いた脚質になりがちで、だから苦手とするのが東京、京都外、阪神外などの2ターンの芝マイル戦。この条件の重賞で馬券に絡んだのはレッドリヴェール(阪神JF1着,桜花賞2着)とオルフェーヴル(シンザン記念2着)とウインプリメーラ(チューリップ賞2着)、そして本馬のアルテミスS1着とアッシュゴールドのデイリー杯2着、この6例だけだ。ステイゴールド×デインヒルで東京芝マイルの重賞を引っかかりながら勝ちきったというだけで、リヴェールにつづく大物牝馬の期待が高まる。またノリがガツンと持っていかれるということは、それだけ凄い脚力の持ち主だということでもあるだろう。マイラーではなく中距離馬だが、リヴェールのように性能と勝負根性で勝ちきってしまうかも。1,2戦目を見ると前にカベをつくれば折り合いはつきそうだ。

ロカ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104903/
母ランズエッジはディープインパクトやブラックタイドの3/4妹。ゴルトブリッツやリルダヴァルなどが出るおなじみウインドインハーヘアの牝系。母はNorthern Dancer4×4で、ハービンジャー産駒は母がNorthern Dancerクロスを持たないほうが成功しやすいだろうと書いてきたが、ここまで勝ち上がったハービンジャー産駒15頭の中で母がNorthern Dancerクロスを持つのは本馬だけ。本馬の場合はLyphard5×4、Nijinsky6×4、Shareef DancerとAlzaoを通じるNorthern DancerとSir Ivorの組み合わせのクロス、His Majesty=Graustark5×6、Aureole≒Burghclereのニアリークロスなど全体に父母相似配合になっている。
デインヒルをLyphardとNijinskyのクロスで胴長にしたような体型だが、Shareef DancerとAlzao経由の組み合わせのクロスの影響で細身で体質は柔らかく、直線でしなやかにビュンと斬れた脚はディープ産駒のようだった。まだキャリア一戦の牝馬で、現状は緩さや非力さも感じられるが、柔らかく大きくかつ速く動ける好素材なのはたしかだ。とはいえ、Sir Gaylordをクロスした緩さの残るディープ産駒が、マイルで急かして走らせると期待ほど弾けない…というシーンもこれまで何度も見てきた。素質は認めるが、素質だけで◎は打てない。

ショウナンアデラ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101324/
母母Always Loyalは仏1000ギニー勝ち馬で、その兄にAnabaaやKey of Luckがいる。母父Elusive Qualityは北米リーディングサイアーでハーロンベイの父、メイショウパワーズの母父。ディープ産駒でSir Ivor5×5、Sir Gaylord≒Secretariat6×5・6・6の継続クロスだから体質は柔らかいが、母がNorthern Dancer4×4にSearching≒Better Self6×6で母母は「HyperionとFair Trial」的な血が強く、ここからパワーも受け継いで、「柔らかすぎず緩すぎない」のがこの馬のいいところ。
Gone Westの影響も強いマイラー体型で、ちょっと脚元に不安が残るのでまた調教で攻めきれないところはあるのだが、それでここまで3戦2勝、デビュー戦でナヴィオンに惜敗しただけだから素質は確か。ただ1400mでもフワッと先頭に立ってしまうような軽さは、意地悪い見方をすればGone Westの軽薄さもONになっているからで、Gone Westを引く馬に芝マイルや中距離の大物が出ないのはちょっとスピードの質が軽すぎるからで、母父Grand Slamのダノングラシアスにも同じようなことがいえる。ここも好走は間違いないが、先行押し切りの正攻法で阪神外マイルのG1を勝ちきれるかとなると、最後の最後にGone Westの軽さが脚を引っ張りそうな予感。

レッツゴードンキ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102095/
クイーンスプマンテなどが出る牝系で、母マルトクはダ1000~1400mで5勝。そこへキングカメハメハが配されて、メイショウマンボと同じKingmambo≒ジェイドロバリー(Mr.ProspectorとNorthern DancerとSpecial)のニアリークロス2×3。キングカメハメハ産駒で母もNorthern Dancerクロス(4×5・5)というのはあまり感心しないが、本馬の場合は上記ニアリークロスも含め全体に父母相似配合になっている。完成度は高いほうだろう。
Kingmambo≒ジェイドロバリーのニアリークロスからSpecial的機動力を受け継いで札幌1800mをきれいに捲るが、ミスプロとナスキロのクロスから柔らかな体質を受け継いで東京でタメるとソコソコ斬れるし、Tom Fool的な脚捌きの無駄のなさもあって、内回りで捲れて外回りで差せて何でもできる馬だ。ただアルテミスは引っかかったココロノアイを差せなかったし、札幌2歳もミスなくロスなく運んでの3着。「何でもできる」は「器用貧乏」とも置き換えられるもので、この先ハイレベルな戦いになればなるほど、そこを突き抜けられるだけの強力な武器や個性が求められる。ここは連下有力としたい。

ダノングラシアス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103158/
母サーキットレディは1200mで3勝をあげた大型スプリンターで、その半姉に芝1200mで4勝をあげたモアザンベストがいる。母母ラグナセカはレイルバードS(米G2・ダ7F)3着。Seattle Slew、El Gran Senor、Private Accountと母系に入っていい血が重ねられて、それらを通じるBuckpasser~Busanda(War AdmiralとLa Troienne)の継続クロスだからサーキットレディは繁殖としてかなり期待できる配合をしている。
そこにマンハッタンカフェが配されて、本馬は「サンデー×ミスプロ×Seattle Slew」というサダムパテックやリーチザクラウンのような配合形となり、細身で胴長でストライドで走るタイプだから、外回りで末脚の威力は更に増すだろう…というのがファンタジーで◎にした根拠だった。そしてスローの前残りの中、直線では一番いい脚を使っていて負けて強しの内容でもあった。ただGone Westの軽さも表現されていてベストは1400mだろうというのが筆者の見立てで、阪神外マイルの今回はこの順番に。

レオパルディナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104768/
母母ラプーマはビウィッチS(米G3・芝12F)2着で、ペルー1000ギニーのRihannaなどが出る牝系はアウトサイダー血脈が強い。母ビオンドパンテーラがMr.Prospector×Marshua's Dancer2×3、そこにNijinsky≒Storm Bird4×3、Northern Dancer4・5×4・5、Lunchtime5×3のスニッツェルが配された。母にNorthern Dancerの血が入らないのは好感で、父も母もクロスがうるさいので完成は早めのタイプだろう。
ファンタジーは高速馬場のスローの前残りで上がり11.3-11.5、8枠から外を回って追い込むのは厳しかった。ゴール前はいい伸びを見せていたし、差す競馬ができたことと+12キロで馬体が良くなっていたのは収穫だったといえる。父はデインヒル系本流のスプリントを強く伝える種牡馬だが、本馬は体質に柔らかみがあり膝下も長く、このあたりは母方のミスプロの影響も強いから、パワーごり押しのスプリンターというイメージでもない。少なくとも差しに回れば1400mはOKだろう。しかし1600mのG1となると、ユタカが前半ごまかして追い込んでも、さすがに1400mほどは弾けないのでは。

アローシルバー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101328/
プティプランセスの半妹で、母母MasakeはハニームーンH(米G3・芝9F)勝ち馬。スペシャルウィーク×Seattle Slewはリーチザクラウンを思い起こさせる組み合わせだが、Northern Dancer5×4、Buckpasser5×5、Aureole≒ハイハット5×5・6と父母相似配合になっている。
血統通りの胴長体型だが、体質はそれほどナスキロ柔くなくHyperion的な粘着力を感じさせる。母母父Master Willie(ハイハット≒Aureole2×3、10~12Fの英G1を3勝)の影響も強いのだろう。いずれにしても内マイルで新馬勝ちしたが明らかに外回り向きの中距離馬で、カレンミロティックのようなイメージでいいのでは。ここはさすがに印は回らないが、中距離馬として先々楽しみな馬ではある。

トーセンラーク
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012105999/
母母タケイチイチホースはフェアリーS3着、その兄に小倉3歳Sのタケイチケントウがいる。アルテミスでは◎にしたが、予想コメントを再掲すると「社台の良血が揃ったここではやや地味な存在というべきだが、Mr.Prospector系×Storm Cat系×サンデー系の今どきマイラー血統で、3代母はLady Angela≒Sabzy3・4×4、母はStorm Bird≒ノーザンテースト3×3、父の母がBusanda≒Striking=Mr.Busher4×5・5、配合的にもやるべきことはやっている。わりとナスキロ柔い体質だから東京マイルは合っていそうだし、左回りも小回りも洋芝も道悪も経験し、函館2歳Sでは後方から馬群を割って追い込み、クローバー賞では番手を取りにいって勝ちきる競馬でシッカリ勝ちきり、この何でもできるキャリアと経験値が抜けた馬不在の混戦で頼もしい」というのが根拠だった。期待どおりにキャリアと経験値を活かしたソツのない競馬で頑張ってくれたが、あれ以上をここで望むのは酷か。

オーミアリス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100809/
リンドシェーバーの姪で、ホワイトマズル×ロイヤルアカデミーという血統もスプリンター然としないが体型は伸びがなく短距離馬のそれ。ホワイトマズル×トニービンでメリッサやヤマニンエマイユが出るのだから、ホワイトマズル牝駒には短距離向きの資質がONになることもある、という解釈でいいのだろう。
小倉2歳は33.0-35.4の前傾ラップを大外一気。芝短距離馬としてはそれほど俊敏なほうではなく、父譲りの粘着力とTom Fool≒First Roseのニアリークロス譲りの脚捌きの無駄のなさで実直に追い込んだら届いてしまった…という勝ち方だった。少し時計や上がりがかかるとしぶとい1400mベスト型、というのが筆者の見立てで、外マイルでこの相手だと、行っても差してもハマる絵は描きづらい。

ムーンエクスプレス
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101248/
コスモサンビームの姪で、近親にプリンセスマーガレットS(英G3・芝6F)などに勝ったMarina Parkがいる。母母ロビーズレインボウがRainbow Quest×Be My Guest×トンピオンでTudor Minstrel5×4とSpring Run≒Tom Fool5×4のクロス、そこにメジロライアンで母アモーレペガサスはNorthern Dancer4×4、そこにアウトブリードのアドマイヤムーンが配されて、母方の粘着力と機動力で走る1400m型となったが、小柄だが先行粘り強い脚質はHyperion的でもある。京都よりは阪神のほうが二枚腰が使えそうなタイプではあるが、アドマイヤムーン牝駒の獲得賞金ベスト5はウイングザムーン、ルナフォンターナ、ファインチョイス、ゴールデンムーン、サマールナ。明らかに1400mと1600mの間に一つ壁がある。

クールホタルビ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103383/
近親に目立った活躍馬はいないが、3代母ルスルーはヴェイグランシーH(米G3・ダ7F)勝ち馬で、マンノウォーSのRoyal Mountain Innなどが出るファミリー。母はNorthern Dancer5×3にGlamour5×6(Striking=Busher≒Busanda5・6×7・7)、Prince John≒Blue Quill5×5、自身はNever Bend5×5にBold BidderとSeattle Slewを通じるボルキロクロス、緊張→緩和のリズムが良くて、「3/4米,1/4欧」の構成で、クロスする血も良く、たしかにこうしてみるとマツリダゴッホ産駒としてはかなり高得点がつけられる配合だ。
マツリダゴッホ産駒は全芝[23.26.32.268]で連対率14%だが、芝1400mは[8.7.11.42]連対率22%、単回値442、複回値156。芝1400mだけ買っていれば蔵が建つ種牡馬だが、これはBold Ruler系の軽いスピードでフワッと流れ込むような脚質の馬が多いからで、ウインマーレライが小回り1800mをフワッと流れ込んだり、アルマワイオリが内1400mのもみじを勝って外1600mのデイリーで4着に終わったり、ちなみに芝1800mは[4.3.5.55]だが小回り内回りに限れば[4.2.2.25]で東京中京外回りでは[0.1.3.30]、斬れ味が必要なコースでは消しで機動力で押しきれるコースでは買い、マツリダゴッホ産駒は大雑把に言ってしまえばBold Ruler的な脚質なのだ。本馬はWoodmanとノーザンテーストの影響が強い短距離向き体型で1400mがベストだろうし、ファンタジーは外回りでもスローで機動力で押しきれるレースだった。阪神外マイルでもう少し流れると、同じ競馬で押しきるのは難しい。

スマートプラネット
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012106216/
3代母ダジルミージョリエはレアパフュームS(米G2・ダ8F)勝ち馬で、産駒に種牡馬アッミラーレがいる。母母メイクアスメリーがSweet Tooth≒Spring Sunshine3×3(NasrullahとReal Delight)で、母アンダルシアはRaise a Native4×4、そこへファルブラヴで本馬はFairy King≒Nureyev2×5。代々パワーの血を重ねてきたファルブラヴ牝駒で、いかにも短距離をパワーで走り抜くタイプ。3歳時はフィリーズレビューで全力買い、古馬になったら夏の洋芝短距離で全力買い、という馬だろう。

アルマオンディーナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012100382/
スカイディグニティやゴールデンダリアの妹で、父がキンシャサノキセキだからゴールデンダリア(父フジキセキ)とは3/4同血の間柄。ノーザンテーストが強い体型だがボルキロのクロスで体質は柔らかい。手堅い1400m型。

ダイワプロパー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103476/
ダイワストリームの全妹で、フサイチヒロシの姪、母母プリンセススキーは3歳牝馬S勝ち馬。ダイワメジャー×タイキシャトル×ロイヤルスキーでHalo3×4、ノーザンテーストとタイキシャトルを足して割ったようなマイラー体型で脚捌きはHalo無駄なく、戦績どおり内回りで機動力を発揮する1400m寄りマイラー。

カボスチャン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104414/
現フィリーズレビューなど重賞2勝ディスコホールの孫で、兄姉は堅実に走っている。426キロの細身の牝馬で、ブライアンズタイムやノーザンテーストのパワーは感じさせず、1000m64秒の超スローでも折り合いがついて燃費よくトボトボ走り、母系に入るHerbagerのスタミナもONになったかのような中距離馬。マイルG1では手が出ない。

エフェクト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012109205/
近親に目立った活躍馬はいないが、父スクワートルスクワートがNever Bend4×5で自身はHardy Climber≒Riverman5×5だから、スペシャルウィーク肌の優秀さは活かした配合という言い方はできる。スクワートルスクワートはBCスプリントに勝った北米チャンピオンスプリンターで、産駒はジェイケイセラヴィやシャウトラインなど夏スプリンターが多いのはNever Bendクロスの影響だろう。本馬は母父の影響で父よりは少し体型に伸びがあって1400mも守備範囲か。ただ冬場は硬くなりそうな体質に見えるし、距離延長も割り引きだから、ファンタジー以上を望むのは難しい。

アカリアイドル
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012103393/
フレンチデピュティの近親でサクラバクシンオー×ラムタラ×Mr.Prospector、柔らかみもあるので芝1400mぐらいなら走れそうだが、この相手で外マイルとなるとごまかしはきかないだろう。

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素質や将来性はココロノアイ、コートシャルマン、ロカ、この3頭で、勝つのもおそらくこのどれかだろうとは思う。
ただしまだ気性的に危うい上に長距離輸送をクリアしなければならないココロノアイや、キャリア一戦で見た目に緩い中距離馬のロカよりは、母方のマイラーっぽさも表現されていて、配合どおりのHyperion的実直さで接戦をモノにしてきたコートシャルマンのほうが、阪神外マイルのフルゲートという2歳牝馬にとってタフな舞台においては信用に足る。

◎コートシャルマン
○ココロノアイ
▲ロカ
☆ショウナンアデラ
△レッツゴードンキ
△ダノングラシアス

「2戦2勝のベタな良血馬」という肩書きのわりにはあまり騒がれていない印象もあるコートシャルマンだが、それは2戦2勝の内容が、たとえばココロノアイの荒っぽい重賞勝ちやロカの鮮やかな新馬勝ちなどと比べると、ちょっと地味に映るからだろう。
でも地味に相手ナリに勝つところがこの血統の美点でもあり、名繁殖コートアウトがこれまで送り出してきた優駿たちと比較してみても、この牝馬にはHyperion的な美点が最も表現されているようにみえる。
ここも地味に勝つだろう。

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「血統クリニック」阪神JFをアップ&今週の新馬戦

2014-12-11 16:43:32 | 血統クリニック

先ほど「血統クリニック」阪神JFをアップしました~
コルボノワールの原稿も用意していたんですが除外になったようで、日曜中京のこうやまき賞に出てきますがここで供養しときます

コルボノワール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101285/
母母ジョウノマチエールの産駒にウインラディウスが、3代母ウメノシルバーの孫にウメノファイバーが出る。マンハッタンカフェ×シンボリクリスエスはシングウィズジョイと同じ。母はPrincequilloとStriking=Busher≒Blue Eyed Momo=BusandaとTom Foolのクロスで、自身はHail to ReasonとBoldnesianとPrincequilloのクロスだから、全体にSeattle Slew血脈を増幅した配合といえる。
デビュー戦は京都内マイルを大外一気。ただしストライドでズバッと決めたというよりは俊敏に差し切ったという勝ち方で、このあたりはウインラディウスやヴェルデグリーンやサンデーウェルなどこの牝系特有の、わりと中山向きで東京だとスローベターという小脚を受け継いでいる印象。Seattle Slewを増幅していてナスキロ的に斬れるのならば外マイルで上積みがあるだろうが、ウインラディウスやヴェルデグリーン的な差し脚だとするとJFをズバッと差し切るイメージではない。

今週の新馬戦は
土曜中山6Rワキノハガクレ(ハ)
日曜中山6Rエクソールナーレ(ク)
土曜阪神6Rリアファル(ク)
日曜阪神4Rクイーンズターフ(デ)
ク…「一口クラブ好配合ピック」デ…「ディープインパクト好配合リスト」 ハ…「望田潤のPOG好配合リスト ハーツクライ編」
クイーンズターフはディープ産駒なのにダートでデビューとは、やっぱりファーザのパワーがONになってるんかな(・∀・)

香港国際競走は日本馬はみんな可能性があると思ってますが、特にワールドエースとデインヒル勢に期待、ですかね(・∀・)

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「血統クリニック」チャンピオンズC再掲

2014-12-07 15:26:08 | 血統クリニック

インカンテーション
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104916/
母オリジナルスピンは2歳時にアーリントンワシントンBCラッシーS(米G3・ダ8F)に勝ちBCジュヴェナイルフィリーズで3着、3歳時にはテストS(米G1・ダ7F)で2着となった活躍馬。Machiavellian×Polish Precedentだから真っ当なマイラー血統で、母母Time CharterはHyperion5×4・5(その母Centroconがハイハット≒Aureole2×3)を持ちキングジョージや英オークスなどに勝った女傑。MachiavellianはNative Dancer3×4だから、Time Charterから見て緊張→緩和→緊張のリズムになっていること、Time CharterのHyperionクロスが1/4異系になっていること、この2点において配合も素晴らしいと褒められるレベルで、インカンのきょうだいもみんな走っているのが納得の好配合の名繁殖だ。
父シニスターミニスターは3歳時にG1ブルーグラスSを圧勝してケンタッキーダービーでは5人気の支持を受けたが16着に大敗、以後は裏街道を歩み1人気を裏切りつづけた。配合は父父A.P.IndyがBold Ruler4×3、父Old Triesteは強いクロスなし、母Sweet MinisterはHail to Reason4×4だから緊張と緩和のリズムはOK、シニスターミニスター自身はPoker≒Illustrious(Round TableとNasrullah)5×4やSecretariat≒ボールドラッド(ボルキロ)4×5などA.P.Indyの血脈構成を地味にニアリークロスしていて、A.P.Indy以外にあまり強力な血を持たないので素直にA.P.Indyらしさを伝える種牡馬だ。産駒はダブルスター、ダンシングミッシー、リーゼントブルースと東京ダートでの活躍が目立つのはA.P.Indy系らしいが、Pulpit~Tapitのラインのような才気ばったスピードはなく、インカンの場合はそこを早熟マイラーだった母から補っている。インカン自身はMr.Prospector5×3にA.P.IndyとPast Example(Polish Precedentの母)を通じるBold Ruler+Princequillo+War Admiral+La Troienneの組み合わせのクロスとなり(Seattle Slew≒Past Example4×4とも表記できる)、父がアウトで母がNative Dancer4・5×5だから緊張と緩和のリズムも実に正調。
Seattle Slew系らしい長手の体躯を活かしたストライド走法で、新潟ダ1800m[3.0.0.0]中京ダ1800m[2.0.1.0](3着は出遅れ)、比較的箱の大きなコースの中距離ではほぼパーフェクトと言っていい実績を残してきた。みやこSは外枠だったこともあり思ったほど行けずに中団の外、そこから外目を回って差し切ったわけだが、前崩れの展開が功を奏したともいえるし外を回ることであまりストライドロスなく脚を伸ばせたともいえるだろう。とはいえここへきて馬も本格化しているし、8戦連続でコンビを組む大野もすっかり手の内に入れてきて「何でもできる馬になった」と自信を持って晴れ舞台に挑んでくる。血統・体型・走法からみて中京1800mはベスト。

ローマンレジェンド
http://db.netkeiba.com/horse/2008102944/
ミラクルレジェンドの3/4弟で、母パーソナルレジェンドはターンバックジアラームH(米G3・ダ9F)とステージドアベティH(米G3・ダ8.5F)勝ち馬で、パーソナルエンスンS(米G1・ダ10F)2着もある活躍馬。その父Awesome AgainはBCクラシック勝ち馬。パーソナルレジェンドはNorthern Dancer4×3、Raise a Native5×5、Spring Run≒Tom Fool5×6、繁殖として大成功をおさめるのが納得というほどの配合には見えないが、父母相似配合で自身や父のダート中距離の高性能を産駒に確実に伝えているのだろう。ローマンレジェンドの場合はNijinsky≒Storm Bird4×3にBuckpasser5×6にQuill≒Neriad(Princequillo×Count Fleet)5×5とマルゼンスキーの主要血脈をクロスしていて、マルゼンスキーとパーソナルレジェンドのダート中距離のパワーを増幅した配合と言っていい。
スペシャルウィーク産駒らしい長手の体型で、ベストパフォーマンスは12年東京大賞典だろうが、インパクトとしては12年ジュライSをあげたい。6馬身ちぎって良馬場で1.49.4のレコード、東海Sが13年1.51.0、14年1.50.4、良の中京1800mダを1分49秒台で走破したのは後にも先にもこの馬だけ。2着トウショウフリーク(アンタレス2着)の走破タイムが1.50.4だから例年の東海Sレベルでは駆けているわけで、これをちぎり捨てたパフォーマンスは掛け値なしにG1級といえる。やはりこの馬のベストコースは東京と中京の1800~2100mだろう。それだけに休み明けで58を背負って小回り1700mの高速決着で、クリノスターオーの4角先頭の勝ちパターンをねじ伏せるように捲り差したエルムSには驚かされた。さすがは藤原英厩舎、ここで立て直してきたかという高パフォーマンスで、あれはエスポワールシチーに競り勝った12年エルムの再現と言っていいレベルで、全盛期の力を取り戻したとするならば、ここは生涯最高パフォーマンスまで期待できる。

コパノリッキー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010106548/
サンライズペガサスなどが出るアリーウィンにさかのぼる牝系に、トニービン(Hyperion5×3・5)、ティンバーカントリー(Swaps4×3)とHyperionが強い種牡馬が配されて、そこにゴールドアリュールが配されたコパノリッキーは、母系にMr.ProspectorとRobertoとIn Realityが入る」というエスポワールシチーやオーロマイスターやランウェイワルツと同じゴルア砂黄金配合となった。Her Honor=Countess Fleetの全姉妹クロス6×6という隠し味もある。
栗毛ということもあってゴールドアリュールとティンバーカントリーを足して割ったような馬体に見えるが、トモのつくりなどは母系のRoberto+Alydar的で小回りの機動力も十分、ただサンデー系×ミスプロ系らしいしなやかさもある体質でゴリゴリの力馬というわけではなく、JBCとフェブラリー勝ちを見てもわりと軽いダートのほうがパフォーマンスは上がるほうだ。何よりもFall Aspen、トニービン、Nureyevから受けたHyperionの血は、4角先頭でこそ最大限に活きるというべきで、逃げても逃げなくても直線では"抜かせない強さ"を発揮できるような形に持ち込みたいところ。この配合ならば来年更に強くなる可能性も十分ある。

ワンダーアキュート
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106794/
父カリズマティックは北米二冠馬でSecretariat≒Sir Gaylord3×3(Weekend Surprise≒Drone2×2と言ってもよい)にBold Ruler4×4とクロスがうるさく、一方母ワンダーヘリテージはRibotやPrince Roseなど全体にアウトサイダー血脈が強くクロスがNasrullah=Malindi5・6×4、3代母Grand TaniaはHeliopolis3×4を持つ。この緊張→緩和のリズムの絶妙さで生み出された一流馬というべきで、一方でPleasant Tapの母はナスキロラトロの組み合わせだからWeekend Surprise≒Never Knock3×3のニアリークロスになってもいる。
8歳の今年もG1ばかりを4戦して[1.0.2.1]は立派としか言いようがない。父よりも胴も脚も長くナスキロ柔い体質でストライドで走るダート馬だから、中京は初コースだがおそらく合っているだろう。フェブラリーは毎年少し忙しいというレースぶりで、2000mは安定しているが今年の帝王賞はスローの上がりの競馬だった。1800mのJCダートは3年連続2着だから、ベストはこの距離かもしれない。もう上がり目はないのはたしかだが、直線の長い1800mというのは舞台としては最高だろう。

グレープブランデー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103069/
マルカベンチャーの甥でアウトクラトールのイトコ。マンカフェ産駒としては伸びのある体型で脚も長く、このあたりはLaw Society≒Pleasant Colonyのニアリークロス(RibotとDetermine≒Flower Bowlとナスキロ)の影響ではないかとみている。その体型を活かしたストライドで走るので、13年の東海S→フェブラリーS連勝を見てのとおり直線の長いコース向きの脚質。武蔵野Sでは58キロを背負ってスタートから気合いを付けられて先行、直線追われてもそれほど反応はなかったがジリジリ伸びて3着、復活のキッカケは掴んだ。マイラーというよりは中距離馬だから中京1800mはおそらくベスト条件。ここは怖い。

ニホンピロアワーズ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007100191/
フジキセキと同じMarston's Mill~Milan Millにさかのぼる牝系。膝が極端にかぶってるのと繋ぎが立っているのと体質が硬めなのでダート向きに出たが、ホワイトマズル×アドマイヤベガ(母父トニービン)×Theatricalだから前で受けてハイインロー的スタミナで粘る脚質に完成したのは順当。4角先頭のときは[3.2.1.0]、4角2番手のときは[3.5.2.3]、4角5番手以降のときは[0.0.2.4]。東海Sが横綱相撲で完勝だったし、Nureyev的な胴長体型だから中京コースは合っている。コパノリッキーやクリノスターオーに早めに並びかけるぐらいの競馬ができれば面白いが。

クリソライト
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104098/
母クリソプレーズは東京のJCダートを勝ったアロンダイトの全妹にあたり、そこにゴールドアリュールだからこれも筋金入りのダート血統といえる。配合はNureyev≒Sadler's Wells3×4・5、ShoshannaとRivermanとSeattle Slewを通じるナスキロラトロの継続クロス。Nureyevのクロスはシルクフォーチュンと同じ。
エルコンドルパサーは母父に入っても牡には持続力、牝には機動力を伝えるし、脚長でナスキロ柔いストライドで走るので、距離は1800mより2000mがベターでコースは小回りより大回りがベターだと書いてきた。大井2000mのJDD圧勝がベストパフォだろうが、JBCも好位からジワジワ伸びてほぼ完全復調といえるところまできただけに、直線の長い中京なら見せ場はあるだろう。2000mなら◎まで打てたが、連下の一頭という評価。

ナムラビクター
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102179/
ナムラコクオー、マイネルヤマト、ヘイセイクラウド(東海ゴールドC)の甥。母母ケイジョイナーはHyperion4・5×7・7で、そこにエンドスウィープ、ゼンノロブロイと米血主体の種牡馬が配されて「3/4米,1/4欧」の配合形になった。自身はMr.Prospector4×4で、母はNorthern Dancer4×3。Mr.Prospectorをクロスするゼンノロブロイ牡駒はトレイルブレイザー、ハートビートソング、コスモロビンなど長いところを得意とする馬が多いが、本馬も2000m以上[3.1.0.1]と距離延長を苦にしない。サドンソー(ノーザンテーストの全弟)やフォーティナイナーのパワーが強いようで掻き込んで走るので、アンタレスS(9-10-8-2)や仁川S(4-4-3-2)のようにパワーで捲りきるのが勝ちパターンで、そこは小牧さんとの呼吸もピッタリ。パワーで捲りやすい阪神ダートが[3.1.1.0]でベストだろう。中京ダ1800mは1000万下で圧勝があるが、ストライドで走る馬がパフォーマンスを上げてくるぶん優位に立てるコースではないか。

ホッコータルマエ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009100921/
母母アンフォイルドの産駒にTCK女王盃3着のコスモプリズムがいる。母父Cherokee RunはBCスプリント勝ち馬でRed God≒Drone3×3、Nasrullah≒Royal Charger4×4・4・6、また母系の奥にBold Rulerも入るので、母の米血スピードで自在に先行したり捲ったり機動力が抜群で、その機動力を武器に昨年は小回りの交流重賞を勝ちまくった。一方でトライマイベストの母Sex AppealはBusanda≒Mr.Busher2×3、Cherokee RunはBetter Self≒Blue Eyed Momo4×4、UnbridledはBetter Selfの娘Aspidistraの4×4だから、「War AdmiralとLa Troienne」の組み合わせのパワーも強く受けている。曲飛は母父や母母に入るBull Lea譲りだろう。
父よりはマイラー寄りの体型で体質は少しラトロ硬く脚捌きはRed God≒Drone的に無駄がなく、スッと好位に付けて3~4角馬ナリで進出して直線半ばまでの加速で決めてしまう…というのが勝ちパターン。だから2ターンで直線が長い東京マイルでは乗り方が難しいのではとフェブラリーの血クリでは書いたが、1000m通過60秒6の超スローとなり、直線400mのダッシュ勝負をピッチで加速して抜け出して2着に頑張った。距離は1800mがベストだろう。中京も直線が長いのでフェブラリーのような上がりの競馬になってほしいところだが、1800mなら勝負どころで動いてくる連中が何頭かいるだけにそんな競馬にはならないだろう。

ワイドバッハ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106697/
アストニシメント系エベレストにさかのぼる名牝系だが代々目立った活躍馬は出ていない分枝で、そこにDanzig×Bold Rulerのアジュディケーティング、Mr.Prospector×Caerleon(の全妹)のスキャンと立て続けにマイルのスピードが重ねられて生まれたダートのマイラー。武蔵野の鮮やかな大外一気は展開がハマったというよりも1600mがベストなのだという解釈をしたい。Northern Dancerとナスキロのクロスで父を脚長にしたようなマイラーで、直線長いコースは合っているが1800mは少し長いかも。ここも追い込みでくるのだろうがスロー希望だろう。

グランドシチー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007103864/
3代母タケフブキはオークス馬でAvena=Harina=プリメロ4×4・5。母レディクラシックはHail to Reason3×3、Flower Bowl≒Swaps4×4。自身はキンカメ×ブライアンズタイムだからハタノヴァンクールと同じ砂黄金配合で、Gold Digger≒Bramalea4×4とGraustark6×4のクロス。二世代にわたってブライアンズタイムの血脈構成を増幅し、ボトムラインにはオークス馬のプリメロの全きょうだいクロスだから、ハタノヴァンクールを更にスタミナ寄りにした配合と言っていい。ズブいがバテずに確実に追い込んでくるダートのステイヤーで、当コースでは東海S2着の実績があるが、1800mよりは2000mのほうが狙いやすい馬ではある。

クリノスターオー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010100855/
3代母Question N Answerはクルーピアレディー(ジェニュインの母)の妹で父も同じBold Ruler系。そこにGold Alert、ジェイドロバリーとダート向きのミスプロ系がかけられて、全兄アドマイヤベガよりも力馬っぽい産駒を出すアドマイヤボスがかけられた。その配合のイメージどおりジェニュインを力馬にしたようなタイプで、体質が硬いのでストライドは伸びないがTom Fool無駄ない捌きで機動力はなかなかのもの。
シリウスでナムラビクターに捲りきられたのを差し返したのには驚かされたが、まだ揉まれ弱いところはありそうで、小回り1800mを揉まれず先行し流れ込むのが必勝パターン。シリウスはスローだったので2000mもこなしたとみるべきか。ここは距離はベストだが、中京の長い直線が割り引き。

サンビスタ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009103532/
母ホワイトカーニバルはフェアリーS(芝1200m)勝ち馬で、その母イエローブルームは現フィリーズレビュー2着。母がAlycidon6×5で、自身はMr.ProspectorとNorthern DancerとFlower Bowl≒Your HostとTom Foolのクロスだからスプリングマンボの名血をいじった配合にはなっている。脚捌きはTom Fool的に無駄がなく、「父中距離×母マイラー」の配合形だから小回りコース向きの機動力もあり、いわゆるダ1800mの捲り脚質。ここは男馬の一線級相手に機動力だけでは通用しないだろう。

ベストウォーリア
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010110127/
父Majestic WarriorはホープフルS(米G1・ダ7F)勝ち馬。A.P.Indy系×Gone West系でMr.ProspectorとSecretariatのクロスだからダートをストライドで走るマイラーで、東京と中京の1400~1600mではほとんどのレースで◎か○を打ってきたが、JBCではスローで先行したものの直線では反応なく後退、2000mは明らかに長かったが、あの淡泊な止まり方をみると1800mでも印は回しにくい。

カゼノコ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011102128/
母タフネススターはカブトヤマ記念に勝ち愛知杯やマーメイドSや新潟大賞典で2着、ラグビーボール×リードワンダーというのは「Grey SovereignとPrince Bio」の組み合わせ特有のフレンチな斬れ味がある配合で、この斬れ味を武器にローカル重賞を追い込む個性派だった。ちなみにタフネススターにはクッキーキティという全妹がおり、この全姉妹とアグネスデジタルとの配合はシャドークロス、トップキングダム、モンドクラッセ、タフネスデジタルと中央出走5頭全てが勝ち上がっておりなかなかのニックス。
スローで逃げたアスカノロマンをアッサリ差し切ったのだからダートでの決め手は3歳トップクラスで、あの斬れ味は母譲りと言っていいだろう。JBCは後方から上がり34秒台で追い込んでも前とは2秒以上離されており、あれはレースに参加していなかったと言われても仕方ない騎乗でノーカンでいい。とはいえ、JDDにしてもフィールザスマートと僅差の叩き合いだから、古馬混合G1で通用するだけのパフォーマンスはまだ見せていないというべきだろう。
※現時点では除外対象です

《外国馬》
インペラティヴImperative
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010190004/
チャーチルダウンズH(米G2・ダ7F)に勝ったBattle Wonの半弟で、父BernardiniはA.P.Indyの代表産駒の一頭で北米二冠馬。母父Caller I.D.はPhone Trick産駒らしいスピード馬でサラトガスペシャルS(米G2・ダ6F)などに勝った。
自身はチャールズタウンクラシック(米G2・ダ9F)など20戦3勝、G1パシフィッククラシックSでShared Beliefに5馬身離された3着がある程度で、G1レベルのレースでは通用していない。「父中距離×母父スプリンター」の組み合わせで、Bold Ruler5・6・6×5・6、好走パターンは概ね先行捲りで、どちらかというと小回りに向いたタイプか。中京ダートで買いたくなる典型的なA.P.Indyとはちょっとタイプが違うように思える。

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エルコンドルパサー産駒が連覇し(アロンダイト、ヴァーミリアン)、母母父Seattle Slewのシーキングザダイヤが2年連続2着したように、東京2100mで行われていたときのJCダートは、東京1600mのフェブラリー同様、Seattle Slewの血を引く馬が強いレースだった。
そしてテスタマッタ、サクセスブロッケン、カジノドライヴなどフェブラリーは相変わらずSeattle Slewが強いのだが、一方で阪神1800mに移ってからのJCダートはSeattle Slew持ちが壊滅状態である、ということは折に触れて書いてきた。
だから今年からチャンピオンズCと名を変えて中京1800mで行われることが発表されたときは、すでに中京ダと東京ダのロケーションが似ていて好走するタイプも似ていることも判明していただけに、これは7年ぶりぐらいにJCダートにおけるSeattle Slew持ちの復権があるのではないか、というような展望も何度か書いてきた。
インカンテーションとローマンレジェンドで2週間前ぐらいからずっと悩んでいて、今でも悩んでいるが、コパノリッキー、ベルシャザール、ニホンピロアワーズ、トランセンド、エスポワールシチー、ヴァーミリアン、ダート中距離の頂点を極めた馬たちは、みんなHyperionについて一家言ある配合をしている。
最後の決め手は「母系に入るHyperion」。ダートの頂上決戦だからこそ、血統屋としてはHyperionに拘るべきではないのか、というところで◎は決まった。

◎インカンテーション
○ローマンレジェンド
▲コパノリッキー
☆ワンダーアキュート
△グレープブランデー

先のスプリンターズSではお手馬スノードラゴンで会心の追い込みを決めた大野だが、トランスワープの重賞2勝も主戦の彼の手綱によるもので、完全無欠の何拍子も揃ったチャンピオンは回ってこないけれど、特定の条件下においては大きなところでも通用するスペシャリストの長所と短所を理解し、チャンスが巡ってきたならばその長所を最大限に引き出すことができる乗り役、というような評価は定着してきた感があるし、これはアラサー中堅騎手のあるべき姿の一つといえるだろう。
インカンテーションとは8戦連続でコンビを組み、コーナーに癖のない新潟と京都では好走、トリッキーな阪神と中山では苦戦、小回り札幌ではローマンレジェンドとクリノスターオーに完敗。
酸いも甘いも噛み分けながら両者の絆は着実に深まり、みやこSではこれまでのイメージを一新する中団差しを決めて、「何でもできる馬になった」と勝利インタビューで胸を張った。
インカンテーションの母オリジナルスピンの血統表において、1/4異系として燦然と輝くのがTime CharterのHyperion5×4・5、もっといえばHyperionとBleinheim(=His Grace)とDark RonaldとPretty Pollyの組み合わせクロス。
直線の叩き合いですべてを出し尽くすようなレースになればなるほど、このHyperion的な凝縮が、底力の塊が信用に足る。
「Seattle Slewだから」ではなく「Hyperionだから」、大野が手塩にかけて育て開花させたHyperionだからこそ信用に足るのだ。

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「血統クリニック」チャンピオンズCをアップ

2014-12-04 09:48:27 | 血統クリニック

ちょっとこれから夜まで出かけてしまうので、先ほど「血統クリニック」チャンピオンズCをアップしておきました~
今週もよろしくお願いします

月曜が「うますぎ」のイベント、火曜は某馬主さんとの会食、水曜はナスキロ会、そして今日もたぶん呑むでしょうが(^ ^;)、ヘパリーゼの高いほうのやつ毎日飲んでるので肝臓のほうはちゃんと機能しております

しかしこの怒涛の飲み会ラッシュに雑誌や会報の締め切りも三つ重なっていて、こうなるとあとは血クリを書き上げるのが精一杯、申し訳ないですが「2歳勝ち馬評価」は次週に持ち越しということで、2週ぶんまとめて来週やりますので、ご了承くださいm(_ _)m

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「血統クリニック」ジャパンC再掲

2014-12-01 00:34:35 | 血統クリニック

スピルバーグ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105961/
血統配合は秋天を参照してほしいが、一つ付け加えると、「ディープのLyphardクロスのG1馬は、母系にNorthern Dancer+Never Bend(Bold Reason)+Fair Trialの組み合わせを必ず持っている」説は今も有効で、トーセンラー=スピルバーグ(Sadler's Wells)もジェンティルドンナ(Bertolini)もディープブリランテ(Loup Sauvage)もこれにあてはまる。
全兄トーセンラーは母父LyciusのマイラーっぽさもONになっていて長いところよりは1800mぐらいのほうが斬れ味が際立つが、こちらは兄より伸びがある体型で重厚な体質で、スピードの乗りも持続的で、ようするにこちらのほうがLyphard的でありサドラー的でありHyperion的であるという説を採ってきた。兄より体質は硬めでそれほどストライドが伸びる走りではないが、しかし同じピッチで長く走ることができる。そういう「サンデー×Lyphard×ハイインロー」的粘着脚質に見えるから前受けに転じるべきだとずっと書いてきたが、ディープインパクトとダンシングブレーヴに関しては他のLyphardとは別もののオリジナルな爆発力がある血という解釈で、あまりLyphard論に固執しすぎるとよくないようだ。
秋天はスローで流れたわりには、早めに先頭に立ちすぎたとか、なかなか前が開かなかったとか、ポジションが後ろすぎたとか引っかかったとか、有力どころにそれぞれちょっとした誤算が生じた結果、有力どころがゴール前で意外に弾けず、いつもどおりの競馬をしていつもどおりの力を発揮した北宏スピルバーグだけがいつもどおりの末脚で追い込んだら突き抜けてしまった、というレースだったように思う。しかしここへきて本格化を辿っているのもたしかで、そこはBurghclere≒Aureoleのニアリークロスを持つディープ牡駒というべきだろう。ここは更に距離が400m延びるが、兄とは違って2000mに延びて持続力で勝ったのだから、それに兄もスローなら長い距離をこなすのだから、少なくともスロー想定ならば距離延長を割り引く必要はないのではないか。ただスローすぎて残り400mを23秒でダッシュするようなレースになってしまうと、後方一気でまとめて差し切るまでの鋭さは感じない。トーセンジョーダンがピンナで追い込んで秋天を勝った後、ウィリアムスでJCを先行して2着に粘ったような、あの二人はJC前にミーティングして先行策を決めたらしいが、そういう発想が少しでも北宏にあればというところで、「いつも意識して下げているわけではなく、この馬のリズムでもって進んで行っている」とは追い切り後の共同会見でのコメント。中団ぐらいからの差しで、上がり2Fではなく4Fの末脚勝負ならば、ここも名繁殖の血の本格化に期待できるだろう。

ワンアンドオンリー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105072/
血統配合は菊花賞を参照。
母はタイキシャトル×Danzigらしいマイラーだったが、この馬は父の若いころ、本格化前の2着を重ねていたころに似た細身で長手の体型。ダービーはノリが勝負を賭けて引っかかるのを覚悟で出していって、実際かかり気味ではあったがでも前で受けたぶんと距離適性のぶん、そして東京で伸び伸びとストライドを伸ばして走れたぶん、イスラボニータについに雪辱したというレースだった。神戸新聞は本番を控えてダービーのように出しては行かず、しかし追い込むのではなく3角すぎからのロングスパート。ゴール前は接戦になったが、先頭に立ってからの「抜かせない強さ」を見せたという点ではローズのヌーヴォレコルトと似た勝ち方で、やはりハーツクライ産駒が成長し完成するというのは、Hyperionが発現してくるのとニアリーイコールなのだ、ということを再認識させる勝ち方でもあった。菊の負けはいろいろ不利な条件が重なってのもので、神戸新聞では横綱相撲でサウンズオブアースとトーホウジャッカルをねじ伏せているのだから、中距離の持続力なら世代ナンバーワンの評価は不動。ここはダービーと同じ舞台で、この枠順ならばノリはダービーのように出してきて内に入れてくるのではないかと思うし、イスラが秋天で古馬トップに通用することを示したのだから、ベストの舞台でベストのレースができれば、この馬とてここで勝ち負けになっておかしくないはずだ。本当に良くなるのは来年という気もするのだが、ここでジャスタウェイとワンアンドオンリー、ハーツクライ産駒どちらを信用するかとなると、やっぱり明確な意思を持って出していくほうを、4角で前にいるほうを信用すべきだろうと思うのだ。

フェノーメノ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106599/
血統配合は秋天を参照。
秋天はスタートは良かったが両隣の馬に二の脚で見劣り、左右から来られて引かざるをえずポジションが下がってしまった。もともと立ち回りの巧さと粘り強さで走るタイプだけに、スローを後方待機から外差しという形では持ち味は出ない。それにしても、蛯名は最後はあまり追ってなかったとはいえ、直線の反応も伸びも平凡でやや期待外れの内容ではあった。敗因としては、馬が長いところのペースに慣れてしまっていること、加齢とともに休み明けは動かなくなっていること、この二つをあげておきたい。春は日経賞5着から春天で即巻き返しており、ここは変われる材料が揃ったし今週の追い切りの動きも良い。しかしこの秋のトレンドでいうとこの代打には全面的に飛びつけないというか、誰が乗っても乗りやすい馬だし岩田は若いころの主戦でもあったけれど、やっぱり戦略的優位で勝ってきた部分が少なからずある馬だから、引きつづき蛯名が乗ってくれたほうが◎を打ちやすかった...というところでこの順位。

ジャスタウェイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106461/
スカイノダンの半弟で、母母シャロンはCCAオークス(米G1・ダ10F)勝ち馬で、その母Double Wiggleの産駒にトーヨーレインボーやエターナルビート、孫にフォーエバーモアなどが出る。牝祖Blue Burstが持つBlue Gay≒Revoked1×2がこの牝系の活力源だ。母シビルはWild Again(3/4欧,1/4米)×シャロン(3/4米,1/4欧)で「1/2欧,1/2米」で強いクロスを持たず、そこに同じく「1/2欧,1/2米」で強いクロスを持たないハーツクライが配されて、ジャスタウェイ自身はNorthern Dancer≒Icecapade5×3、Revoked≒Nothirdchance5・6×7、そしてトニービンとBushel-N-Peckを通じるHyperionとNasrullah的な組み合わせのクロスで、全体としては緩い父母相似配合と言っていいだろう。
ハーツクライ産駒は概して晩成で、本格化とともにトモや腰に力がついて前でレースができるようになってくる。ワンアンドオンリーやヌーヴォレコルトやウインバリアシオンは母がNorthern Dancerの強いクロスなので開花は早めだったが、本馬は父母ともに強いクロスを持たない相似配合なので典型的な晩成ハーツクライの成長曲線で、13年エプソムC後に福永祐一が「トモに力がついた」とコメントしてから快進撃は始まった。体型は父と母を足して割ったような、Wild Againを胴長にしたようなイメージ。体質脚質はHyperion的で、父ほどストライドを伸ばして走るわけではなく、Wild Again系×トニービン系のトランセンドもかなりHyperion的な体質脚質だったが、同じフォームで同じラップで長く走りつづけることができる。だから追い込んで勝ったときも鋭い瞬発力で並ぶ間もなく差しきっているわけではなくて、秋天もドバイも緩みのないラップの持続戦をゴールまで完歩やピッチがあまり落ちずに同じようなラップを我慢強く刻みつづけ、その結果持続力の差が明らかになって抜け出してからも突き離してしまった、という勝ち方だった。この持続力は凱旋門賞のような上がりの競馬では100%活きるとは言いがたく、だからトランセンドのように逃げろとは言わないが、もうちょっと前で受けて自分で緩みないペースをつくってHyperionを絞り出すようなレースをすべきではないか、ということは本格化前から書いてきた。そして中山記念でのノリはテン乗りにもかかわらず、気合いをつけて出していって、先行してしかもゴール前の脚色が一番いいという完勝。長所を100%引き出した騎乗で、この馬の進むべき道を示してくれた。前にブログでも書いたが、Wild Againを父や祖父に持つ馬に追い込み馬の大物なんて(この馬を除いては)いない。ここはスローになりそうだし、今のところ陣営から先行するという旨の発言も出ていないから、となると◎を打とうという気にはやっぱりなれない。世界一の持続力を誇る馬だが、その持続力は上がり11.8-12.0を4角先頭でこそ最大限に光り輝くものだろう。

ハープスター
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104000/
母母ベガは桜花賞とオークスに勝ち、アドマイヤベガやアドマイヤドンを産んだ名繁殖でもある。トニービン×Northern DancerでHyperion4・6・6×5、残りのMoonscapeがTom Fool×Bold RulerでBull Dog3×4にAlpoise≒Outdone3×4(Laughing Queen=PompeyとPennant≒Pink DominoとBen BrushとMeddler)なので、「米血Moonscapeを1/4異系にし、3/4でHyperionとNasrullahをクロス」というトニービン産駒の王道配合。そこにファルブラヴが配されたのが母ヒストリックスターで、ファルブラヴは母父Slewpyを1/4異系とする「3/4欧,1/4米」の配合形だから、ヒストリックスターは「3/4欧,1/4米」の父母同士の配合ということになり、またHyperionクロスのベガに5代アウトのファルブラヴをもってきた「緊張→緩和」のリズムでもある。自身はNorthern Dancer3×3、Bold Ruler7×5、Specialとトニービンを通じるHyperionとNasrullahとFair Trialのクロス。そこにディープインパクトが配されたハープスターは、「母父がNorthern Dancer系のマイラーで(ファルブラヴはJCに勝った中距離馬だが種牡馬としてはFairy King的なマイラー資質を特に牝駒に強く伝えている)、母がNorthern Dancerのクロス」という、桜花賞で勝ち負けするディープ牝駒の典型のような配合パターンになった。またウインドインハーヘアはNorthern Dancer+Turn-to+Hyperion+Fair Trialという血脈構成だから、ウインドインハーヘアとFairy Kingとベガを通じてNorthern DancerとHyperionとNasrullah≒Royal ChargerとFair Trialの組み合わせをクロスしつつ、サンデーの米血を1/4異系的に使った配合形になってもいる。思わず膝を叩いてしまうようなニアリークロスがあるとか、近い世代に凄い全きょうだいクロスがあるとか、そういう特筆すべき仕掛けは見当たらないが、ファルブラヴの母系のどうでもいいところはあまりいじらず、ディープとFairy Kingとベガから引き出すべき資質は引き出した、ピントの合った配合と言うべきだろう。
Fairy Kingの影響が強いマイラーっぽい体型と肉付きの良い480キロ近い馬格を誇るが、体質はディープ譲りで柔らかみもある。札幌記念では川田がゴーサインを出してからの加速がスムーズで、ピッチ走法だから小回りコースでの機動力も十分。凱旋門賞は着順はともかく、直線でビュンと斬れた脚はTreveと双璧で、末脚の鋭さにかけては世界でも指折りだということは証明した。でもやっぱり、ジェンティルドンナと比較してもマイラー寄りの体型と加速をする馬で、2400mでもスローで上がり23秒ダッシュ決戦なら関係ないよと言われるかもしれないが、2000mと2400m、川田が乗りやすいのは間違いなく前者だろう。

ジェンティルドンナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106253/
血統配合は秋天を参照。
JC連覇を見てのとおりスローの上がりの競馬に強いが、それは母譲りのスプリントで一気に加速できる能力に秀でているからで、本質は2000m前後がベストの機動力と加速力に富む中距離馬だと思っている。2000mよりも2400m戦のほうが上がりの競馬になりやすいのでJCやドバイでベストパフォーマンスを叩き出してきた。「父中距離×母マイラー」の配合形で、2400mのスローをビュンと加速して抜け出してしまえる女傑、という点ではTreveとジェンティルは似たキャラだと思う。昨年の秋天はHペースで流れたのでジャスタウェイにちぎられたが、今年は得意のスローの上がりの競馬で当面の敵イスラボニータをきっちり捕らえたまではよかったが、スピルバーグにズバッと差し切られてしまったのをどう見るか。やはり休み明けは割り引きなのかもしれないが、Burghclereのニアリークロスを持たないしディープ産駒としても成長力に富む配合とは言えないから、衰えが忍び寄ってきているのも事実だろう。オルフェーヴルとの肉弾戦を制した一昨年と比べると、デニムアンドルビーに迫られた昨年はパフォーマンスを落としているのはたしかだし、その昨年より今年のほうがメンバーは強い。

エピファネイア
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104155/
血統配合は秋天を参照。
母を長手の体型でナスキロ柔い体質にしたような中距離馬で、Habitat絡みのニアリークロスの影響で血統の字面からは想像できないほどの動きの俊敏さ手先の軽さがある。Habitat譲りのトモの非力さはかなり強化されてきたが、今でも前の駆動の良さで走っているところはあって、京都や阪神の外回りの3~4角を唸りながら下ってくる脚が圧巻。唸りながら惰性で流れ込める京都外回りがベストコースで、東京も急坂がないのでダービーのように差しに回って斬れを発揮できるコースだ。秋天は前半ずっと力んで走っていたし、ゴール前で脚が上がり気味だったのはその影響も少なからずあるだろう。久々の来日となるスミヨンだが、誰もが折り合いに手を焼いていたキンシャサノキセキできれいに折り合ってスワンSを快勝、その後キンシャサはどこからでも差せる馬になった。この人もフランスの第一人者だけに折り合いのタッチは絶妙で、この乗り替わりで誰もが期待しているのはそこだろう。ダービー以上に弾ける可能性もアリという期待はあるが、菊を勝っているとはいえ、2400mよりは2000mがベターではあるとも思う。

イスラボニータ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103565/
血統配合は秋天を参照。
秋天は外枠のぶん2角までに少し脚を使わされるロスはあったが、スローの3番手で満を持して追い出して、しかし内からジェンティルにも差されての3着。本命馬としての最低限の責任は果たした一方で、「柔らかく大きく、かつ速く」動ける一流馬ではあっても、「柔らかく大きく、かつ速く強く」動けるスーパーホースではなかった、という言い方は少し酷だろうか。柔らかく大きくストライドを伸ばせるが、そこから地面をグッと掴んで筋肉が収縮して重心をテコに変えて反発する、その"強さ"が一流馬としては少し弱いように見える。だから秋天のように全部出し尽くすレースになると、ちょっと動きがダラッとして見える。また体型にそれほど伸びがないのに柔らかく大きく動けるということは、裏を返せば長い距離を走るための燃費が良い走りではない。ここは秋天以上に折り合いがカギとなるだろう。しなやかにストライドを伸ばして抜け出してくるシーンは目に浮かぶが、一方で秋天やダービー以上を望める材料は乏しい、というのが正直なところか。そんな状況下で、この馬の美点も欠点も知り尽くしている蛯名にかかる比重は大きい。

デニムアンドルビー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104
トゥザヴィクトリーやサイレントディールなどでおなじみのフェアリードールの牝系で、トゥザグローリー=トゥザワールド兄弟とはサンデーサイレンスとキングカメハメハとフェアリードールが共通する3/4同血の間柄。こちらは父がディープインパクトで、Alzaoとラストタイクーンを通じるNorthern DancerとナスキロとAttica≒Tom Foolのクロスになり、角居厩舎らしい東京外回り向きのストレッチランナーとなった。一方で道悪にもへこたれないパワーと持続力は母系の濃厚なハイインロー譲りで、カミソリというよりナタと表現したい斬れが武器。
秋華賞4着が内回りの4角の加速でメイショウマンボに譲るという負け方だっただけに、宝塚も牡馬の強豪相手では苦しいとみていたが、内々を立ち回れたとはいえあの5着は古馬になっての着実な地力アップを示す内容だった。そのような成長力もこの牝系のセールスポイントのひとつだ。秋天は直線前にいたエピファネイアの上りでの反応が悪く、これを避けるために外に立て直すロスがあったし、そこからゴールまではなかなかいい脚色で伸びていた。巧く捌ければ昨年以上に走れるかもしれない。それで何着になるかとなると、今年のほうがメンバーは厚いので3着ならば...という言い方に。

トーセンジョーダン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/
「トニービン→ジャングルポケットの父系にノーザンテーストをもってきてHyperionの濃厚な継続クロスを重ねつつ、米血の塊クラフティワイフを母母に置いて1/4異系とする」、このパターンは、本馬の他にもカンパニーやレニングラードが出た黄金配合だ。超Hペースの秋天を追い込んで勝ったのがもう3年前のこと。以後は13年JC3着も12年春天2着も12年大阪杯3着も11年JC2着もすべて先行粘り込みでの好走で、11年秋天は超HペースでHyperion的な持続力粘着力だけで追い込めたが、やっぱり前で受けてHyperionを振り絞るというのがこの馬の持ち味を最も出せる競馬だろう。しかしもう8歳の秋、「Hyperionの成長力」という言葉もさすがに使いにくくなった。昨年と同じようなレースになって同じようなレース運びができたとしても、着順はもう少し下がるだろう。

タマモベストプレイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104866/
タマモホットプレイ、タマモナイスプレイ、タマモトッププレイ、チャームポットなどの全弟で、ステイゴールドやドリームパスポートとも7/8同血ぐらいの関係で、おなじみのロイヤルサッシュにさかのぼる名牝系。母ホットプレイはNearco4×5・5、その父ノーザンテーストがLady Angela3×2、Nearco的Hyperion的凝縮を持つ母に5代アウトのフジキセキを配した緊張→緩和のメリハリだけでオープン級が続出する配合だ。
1400mぐらいがベストだった兄姉と比較すると体型に伸びがあってスピードの乗りも緩慢なので外1800mベスト説を採ってきたが、経年とともにますます緩慢で長いところ向きの走りになってきた。ロイヤルサッシュの牝系はPrincely Giftを引くだけに京都芝を上手に下ってくる馬が多いが、京都大賞典は速い脚がない弱みと下りを惰性で加速していける強みを理解し、下りから気合いを付けて逃げ馬を追いかけていった津村の好プレーだった。ただし最高に乗られた結果ラストインパクトに差し切られてしまったあたりはまだG1級で通用するレベルにはないと考えられるし、あのロンスパは東京では京都外ほどはハマらないだろう。展開的にはこの馬が番手をとれば、上がり2Fのヨーイドンにはならないという読みもできるか。

ヒットザターゲット
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104835/
血統配合は秋天を参照。
Miesqueとグリーンシャトーとニホンピロウイナーとノーザンテーストから受け継いだHyperionの血が騒ぎ始めたのはやはり古馬になってからで、4歳以降3つの重賞を手中に収めた。典型的な平坦巧者で、全8勝の内訳は小倉3、函館2、京都福島新潟が各1。若いころよりはいくぶんトモはシッカリしてきた印象もあるが、母系にHabitatの血が入るのでどちらかといえば前輪駆動の走りで、下りで惰性をつけられる京都外回りがベストコース。秋天は残り200mからジワジワ差してはきたが、よくみると坂の上りではやや置かれ気味というか他馬との加速で見劣っている。東京だと最後くるわりに着順が上がらないのはそのあたりだろう。

ディサイファ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102678/
血統配合は秋天を参照。
デビュー当初はいかにも"緩いディープ産駒"という感じで未完成だったが、古馬になって腰などがパンとしてきて追っての味も出てきた。ただグラスワンダー牝系譲りの掻き込み走法も受け継いでおり、毎日王冠やエプソムCを見ても、東京の良で一線級相手だと斬れ味で少し見劣るという印象。距離延長も母父からみてプラスとは言えないだろう。

《外国馬》

アイヴァンホウIvanhowe
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010190003/
母父Sternkonigの母SternwappenがWaffenart5×4、Alchimist=Antonia≒Arjaman≒Aditi6×4・5・5・5・6、3代母IndraがAlchimist≒Aditi2×4。母父父KalaglowがPalestine4×3、母母父Local SuitorがNasrullah3×4。母Indigo Girlはドイツ血脈が強いSternwappenとIndraを代々1/4異系とし、残りの3/4でNasrullah~Nearcoを継続クロスしてきたが、Nasrullah=Rivaz6・6×5・6、Wild Risk6・7×5、Aureole5×6ぐらいで強いクロスは持たない。父Soldier Hollowはバイエルンツフトレネン(独G1・芝2000m)を連覇した中距離馬で、Sadler's Wells≒レイクアイル2×2(Northern DancerとHail to ReasonとBimelech=Big HurryとSpecial=Lisadellが共通)、Northern Dancer3×5・5と強いクロスを持つので、なかなか見事な緊張→緩和になっている。
母がWild RiskとAureoleのクロスというだけでちょっとまともな気性とは思えないし、隣の馬にぶつかりながらSea the Moonに襲いかかるときの脚はそれらしい狂気も漂っていた。大物食いの一発大駆けタイプだろう。ただし凱旋門を見るかぎりはあくまで"ナタの斬れ"で、上がり11.5-11.5をビュンと差し切るような鋭さ軽さは期待できないかも。ちょっと上がりがかかればドゥーナデンぐらいは追い込めるかもしれない。外国馬ではこれを拾いたい。

トレーディングレザーTrading Leather
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010190002/
父TeofiloはFrankelと同じGalileo×デインヒルの配合でNorthern Dancer3×4、デューハーストS(英G1・芝7F)や愛ナショナルS(愛G1・芝7F)など5戦5勝でカルチェ賞2歳チャンピオンに選ばれたが、そのまま脚部不安で引退した。母のNorthern Dancerクロスがあまり強くない(5×4)ので配合全体のバランスは悪くない。母が持つMill Reef≒Riverman4×3にMiswakiの母Hopespringseternalが呼応する(ナスキロラトロ)ので、細身で脚長でナスキロ柔く斬れるが、動きは緩慢であくまでコンデュイット的な重厚な斬れだ。東京で上がり11.5-11.5では反応できないタイプだろう。

アップウィズザバーズ Up With the Birds
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010190001/
父Stormy AtlanticはStorm Cat×Seattle Slewだからスタチューオブリバティのような配合で、日本で走っている産駒は芝ダ兼用のスプリンター~マイラーが多い。母母Wilderness SongはスピンスターS(米G1・ダ9F)勝ち馬で、Wild Again産駒で欧血中心の血脈構成なので、アップウィズザバーズ自身は「3/4米、1/4欧」の配合形になっている。Seattle Slew的な胴長体型でナスキロ柔さもあるので、東京芝中距離への適性はありそうだが、2400mで真の底力や持続力を要求されて強い血統ではなく、適性だけで通用するとは思えない。

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サトノシュレンと久々二度目のコンビとなる川島がどんな逃げを打ってくるのか、ここがまず読みづらいが、いずれにしても番手はタマモベストプレイで、その後ろにフェノーメノとイスラボニータとトーセンジョーダンとワンアンドオンリー、レースをつくるのはここらだろう。京都大賞典はトゥザグローリーが引っかかって後続を離して逃げたが、番手の津村は下りから気合いを付けてスパート態勢に入らせており、瞬時に加速できないがダラッと長く脚を使えるベストプレイの持ち味を活かしきった好騎乗で、おそらくここも同じような呼吸でスパートしてくるだろう。
とすると、仮に川島がスローで逃げても上がり11.5-11.5のダッシュ勝負ではなく、ユタカのヒットザターゲット(11-9-6-2)やアンカツさんのウインバリアシオン(13-15-2-2)が4角手前からレースを動かして、上がり4~5Fの"スローからのロンスパ戦"にした13年や11年に近いイメージでいいかもしれない。
この4Fロンスパ戦に共通するのは(1)トーセンジョーダンが2着3着に残っていること(2)ジャガーメイル、トレイルブレイザー、アドマイヤラクティといわゆる目黒記念タイプが健闘していることで、スローでもヨーイドンでなければ、Hyperion的持続力や東京2500mで好走するようなスタミナがある程度信用に足る、というスタンスでいきたい。一方で昨年よりもメンバーは厚くなっていること、いわゆる"お手馬コンビ"が脚光を浴びる今期のトレンドも考慮して…。
05年JCで2番人気に支持されたハーツクライは、4角13番手から追い込んでハナ差2着。間違いなくあと一完歩でアルカセットを交わしていた。そしてこれがルメールに、次走有馬での先行を決意させる伏線となったのは言うまでもない。
ジャスタウェイもワンアンドオンリーも前走はうまくいかなかったレースだったが、それを踏まえてここで鞍上がどう乗ってくるか。予想する側としては男馬のHyperionを信じた印でいきたいし、男馬のHyperionを信じきって乗れるのは誰だろうか、というところでこんな印に着地。ディープ娘とイスラに印を回すかどうかは、もう2日間考えさせてください。

◎スピルバーグ
○ワンアンドオンリー
▲フェノーメノ
☆ジャスタウェイ
△アイヴァンホウ

藤沢厩舎所属でデビューした北村宏司はこれまで数多くの素質馬良血馬に跨ってきたが、一方で大一番の勝負がかりでは岡部さんやノリや外国人が騎乗することがほとんどで、これまでG1での騎乗成績は[2.2.5.87]、先の秋天勝ちが06年ヴィクトリアマイル(ダンスインザムード)以来8年ぶり2度目のG1タイトル奪取だった。この計96回のG1騎乗で1人気はなし、2人気は2回だけ(1.0.1.0)、3人気も3回だけ(0.0.1.2)だから、名門厩舎の準主戦を長くつとめてきたわりには、G1でチャンスのある馬に乗る機会はあまり巡ってこなかったというべきだろう。
スピルバーグもデビュー戦からコンビを組んでいたのだが、プリンシパルS勝ちはウチパクが、そしてダービーはノリが手綱を取った。ダービー大敗後に長期休養に入り、復帰後は1000万下からの出直し、それからはずっとコンビを組みつづけて[4.0.1.0]、着実なステップアップを遂げて大舞台に戻ってきて、いきなりの秋天勝利。岡部さんやノリの背中を見ながらキャリアを積んできた"永遠の準主戦"が、名繁殖プリンセスオリビアの血を引くディープインパクトの素質馬を、自分なりのやり方で完全開花させたのがスピルバーグなのだ。
今でも岡部さんのようには乗れないしノリのようにも乗れないけれど、スピルバーグの全13戦中8戦で手綱をとってきた自負を胸に、おそらく前にいるであろうワンアンドオンリーを視界に入れながら、ノリの背中を追いながら、北村宏司は鞭をふるうだろう。

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「血統クリニック」ジャパンCをアップ&今週の新馬戦

2014-11-27 16:30:31 | 血統クリニック

先ほど「血統クリニック」ジャパンCをアップしました~
しかしディープインパクトってやつは、東京だと他馬よりも柔らかく大きくストライドを伸ばしてバキューンと差し切るし、中山だと他馬よりも強く速く動いてバキューンと捲りきってしまうし、こんなんずるいよなあ…とJCの「重賞メモリアル」を見ながらボヤいてました(^ ^;)
今年のJCには「柔らかく大きく、強く速い」4拍子揃ったスーパースターはいませんから、3拍子揃った一流馬の戦いですから、非常に面白いレースになるんじゃないかと思います

今週の新馬戦は推奨馬の出走はなく、ベゴニアのマイネルエスパス、白菊のルアンジュ、未勝利のアドマイヤスカイ、ヴァンガードシチー、レトロクラシックあたりに期待ですが、エスパスはマイルは少し長そうやし、アドマイヤスカイは外回りやとまた3着ぐらいかなあ…

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