栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第20回秋華賞回顧~Hペースで炸裂する“Rivermanの女性的な斬れ”

2015-10-18 17:32:20 | 血統予想

京都11R 秋華賞
◎11.タッチングスピーチ
○10.レッツゴードンキ
▲7.トーセンビクトリー
△18.ミッキークイーン
×1.ココロノアイ
注4.ディアマイダーリン
タッチングスピーチの母リッスンは英GIフィリーズマイル勝ち馬で、その全姉シクウォイアは英愛2000ギニーのヘインリーザナビゲーターを産んでおり、代々の配合も良く、繁殖としての成功は約束されたも同然の世界的名血だ。「母父中距離型」のディープ産駒だから、春は「母父マイラー型」に完成度で見劣ったが、この2連勝の内容は掛け値なしで、特に地面を掴む力が強くなって全くズレずに走っている。今の京都は高速馬場だが血統的にはパワー型の好走が目立つし(土曜もメイショウサムソン産駒が3勝)、この名血がついに本格化してきたとあれば、ここも器とパワーでねじ伏せてしまうだろうという結論で。ミッキークイーンは秋華賞よりはエリザベス女王杯で狙いたいストライドだから、ここでは○▲を上位にとった。

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今年の秋華賞は57.4-59.5とノットフォーマルがかなりのHペースで逃げ、直線は外から差し追い込み馬が次々とやってきましたが、それを尻目に内を割ったミッキークイーンがオークス馬の貫禄をみせつける勝利

「ウオッカやミッキークイーンが体現する“Rivermanの女性的な斬れ”について(1)(2)」で書いたように、いかにもRiverman的な斬れ味で東京の追い比べを制したオークス馬、ウオッカが外々を回らされてダイワスカーレットを差せなかったように、内回りではレース運びが難しいんじゃないだろうか…という読みやったのです

実際のところ3~4角では一頭も前を抜いてはおらず、しかし浜中は1角の入りと3角の入りでは内2頭目に馬を寄せていて、全てのコーナーでの距離ロスを最小限にとどめることで、直線まで番手を下げずに回ってこれたのが大きかった

そして最後の200mでようやくストライドが伸びて、そこからRivermanの斬れ味をついに発揮したという勝利で、これは秋華賞男と呼ぶにふさわしい浜中の好プレーやったと思います

以下「重賞の見どころ」より再掲

ミッキークイーン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104870/
母ミュージカルウェイはドラール賞(仏G2・芝1950m)勝ち馬で、その父Gold Awayはミュゲ賞(仏G2・芝1600m)などに勝ったマイラー。Gold AwayはGoldikova(BCマイル3連覇の欧年度代表馬の名牝)と配合パターンが似ていて、種牡馬として女傑Alexander Goldrunを出したように、牝馬にRivermanの斬れ味をよく伝える種牡馬だろう。母父がマイラーで母がNorthern Dancerのクロス(Northern Dancer≒Icecapade4×3)というのは、ディープ牝駒の最も成功しやすい配合形だ。伸びのある体型でしなやかに斬れるので、広いコースのほうが斬れるタイプだろうと書いてきたが、オークスではその本領を十二分に発揮。この外回り向きのストライドを、京都内回りで浜中騎手がどう操るかが焦点といえる。

そしてクイーンズリングは母がRiverman4×3、マキシマムドパリは母母父がHighest Honor(その母父Riverman)で、1~3着馬はみんな母系にRivermanの血を引いており、京都内回りでも持続戦になったことで、“Rivermanの女性的な斬れ”がモノを言う秋華賞になったのかと

クイーンズリングはあまりにも馬が良く見えたので馬券に加えるとコメント欄でフォローしましたが、マキシマムドパリがこの先行馬総崩れのなか3着に粘るとはちょっと驚きで、前走もエイシンハドソンをひと捲りで降しており、斬れだけでなく持続力に秀でたタイプなのかもしれません(叔母のハシッテホシーノもタキオン産駒ながらスタミナありました)

しかしTreveやGoldikovaやショウナンアデラやクイーンズリングの血統表をみると、スローのフランス競馬で育まれてきたAnabaaの女性的な斬れって、なかなか日本向きなんやなあ~と思いますね

アンドリエッテは川田が勝負をかけて捲っていきましたが、直線入り口での加速がイマイチで追いかけてきたアスカビレンに前に入られてしまい、そこからまた差し返して4着

この馬は春からずっとこんな競馬ばかりで、なにかこうチグハグになってしまうのは“ハッとする脚”がないからで、だから最後はきてるのになあ…という4着が多い

アースライズは母が英オークス2着で、このスタミナが強いようで、オークスといい秋華賞といい、大一番で持続戦になると掲示板に載っているという渋い馬ですね

レッツゴードンキの岩田は「馬を前に置いて折り合いたい」と言ってましたが、けっきょくカベをつくれずにHペースを追いかけてしまい、こうなるとベストは1800mですから苦しい

アスカビレンは「父中距離×母父スプリンター」の機動力型で絶妙なタイミングで捲ったかに見えましたが、これも1800mベストだけに今日のペースでは最後苦しくなった

今回はもう少し前で運びたいと言っていたタッチングスピーチですが、ペースが速くてここもやっぱり最後方、ただしそれで展開はハマっていたはず

惜しむらくは3~4角で外に振られてしまったことで、あの振られ方は皐月賞のサトノクラウン(ドゥラメンテにぶつけられるその前ね)と似たものがありましたが、でもゴール前の脚色は良かったし、次巻き返しを期待したいです

ウオッカやミッキークイーンが体現する“Rivermanの女性的な斬れ”について
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/92aac231c91bda42fd1e1b140ceb8166

コメント (12)
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日曜のボツ予想~“ディープらしくないディープ”が躍動する京都芝

2015-10-18 09:44:37 | 血統予想

Highest Honorはナスキロ柔い斬れをよく伝える仏リーディングサイアーですが、斬れ味がしなやかで女性的すぎて牡馬の大物が出ない血でもあり、ついに母父Highest Honorからこんな大物牡馬が出たと思ったら、Solowはセン馬でした…というトランスワープみたいなオチがついたところで日曜のボツ予想

土曜もエゲツない時計や上がりが続出した京都芝ですが、一方でメイショウサムソン産駒が3勝、ディープでも母父CozzeneとかStorm Catのナスキロ柔いやつは届かず、勝つのはSilver HawkとかDynaformerとかKingmamboとかSingspielのパワーが表現されたタイプばかりで、その呼吸がなかなか難しいけれど面白い

シルバーステートなんて決してディープらしいディープじゃなくて、「Halo的走法を手に入れたグラスワンダー」ってな感じでピッチを上げる際のパワーが圧巻ですが、何というか阪神外1800mとか中山内2000mでベストパフォを出すような地面をしっかり掴んで走れるタイプが京都外でも好走している…という馬場にみえるのは先週と同じかなと

ドラゴンストリートは後駆がSir Gaylord的で地面をあんまり掴まず撫でて走りますが、ああいう京都の高速馬場に本来向いたタイプが勝ってないのです

京都2は◎レッドデイヴェル、前走時にも書きましたが、いかにもデインヒル系らしい短足パワーピッチで内回りのほうが差しやすそうな馬
○クラリティーアイズは母父が力馬のバチアーなので斬れは平凡で、これも内回りをパワーごり押しのほうが合っていそう
△ファンタサイズはナスキロ柔いファンジカ産駒で、外1800mが一番斬れそうですが距離延長はプラス
ドゥーカの前走は直線で追いづらいシーンが再三、ただこれも脚長の緩慢ストライドで外回りをジワジワ差してくるキャラでしょう

鳴滝は○レントラーはシルクプリマドンナを胴長にしたような馬で脚捌きは半分Roberto的、持続力は確かですが、戦績どおり京都で上がりが速くなったときが課題かと
◎グリュイエールは母がMr.Prospector(2本)+Nureyev+Robertoの砂黄金トライアングルで、このパワーで走るのでディープ産駒でも内回り向きの加速だと書いてきて、実際2勝目は東京マイルの超スローの上がりの競馬
春はレースを使うごとに行きたがるようになって岩田が苦労してて、戸崎がこういう馬に乗ると折り合いがスムーズになることがよくありますが、セントライトでは中団で抜いて追走して前と同じ脚では上がっていました
上がりだけの競馬になりそうなここは、今の京都芝のトレンドどおり、「母系のKingmambo&Robertoパワーで走るディープらしくないディープ」がピッチで抜け出すとみました

アイルランドはG1の裏のオープン特別らしいややこしすぎるメンバーで、△ヒュウマの前残りまで一考したくなりますが、前々走ダートで久々に気を吐いた◎アンコイルドは、東京2000m[2.1.0.1]で唯一の着外が秋天4着(エイシンフラッシュとクビ差)
斬れ味と機動力を兼備していてどこで走っても2着3着のナマクラ脚質だと書いてきましたが、Storm CatにAlzaoにRivermanでナスキロ柔い体質ですから、ベストパフォーマンスはエイシンフラッシュと叩き合った秋天とヒットザターゲットと叩き合った京都大賞典、やっぱり大箱のほうが少しパフォーマンスは上がるというべきかと
この煮えきらないメンツならば、久々にチャンスが巡ってきたのではないか…と考えながら戦歴を眺めていたら、この馬に◎を打つのは13年白富士S以来と判明、東京2000の煮えきらないオープン特別で、どこを走っても煮えきらないアンコイルドに二年半ぶりの◎を…

白秋は○アンジェリックはシンボリクリスエス譲りの胴長で、同じ1400mでも新潟内より東京がベターですから、新潟日報よりパフォーマンスを上げてくるはず
しかし東京1400で△クリノタカラチャンをモノサシにすれば◎アイラインも五分の評価で、ここ2走は馬群を捌けず脚を余しつづけてます
ダンシングブレーヴ3×3だけでなく非常に密な父母相似配合になっていて、ローレルゲレイロ産駒はアイラインもグランジゲレイロも「キングヘイロー黄金配合のツボ」Lady Be Goodをいじくっているのはさすがですが、やっぱりこれだけ強力な相似配合の牝馬やと完成は早いほうやと思うので、3歳で斤量の恩恵があるうちにもういっちょ狙っておきたいなあ…と

「No.1予想」では秋華賞を、「馬券総合倶楽部」では秋華賞ともみじSを予想していますので、日曜もよろしくお願いします

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